JP3913843B2 - 凝集沈澱処理設備 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、原水中の懸濁物質を凝集沈澱法により固液分離する凝集沈澱処理設備に関するものであり、詳しくは凝集沈澱により回収した汚泥の少なくとも一部を、懸濁物質の凝結反応を行なう系に戻すことにより、凝集沈澱の処理効率を向上させた凝集沈澱処理設備に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
河川水,湖沼水などを原水にして浄水等を製造する水処理設備においては、一般に、原水に含まれる懸濁物質(SS)分を除去するためにアルミニウム系の凝集剤を添加して、懸濁物質を凝結させ、次いでこれを凝集フロックに成長させて、凝集フロック(汚泥)の沈澱により処理水と汚泥を分離し、分離した処理水は後段の処理水系に流出させ、他方、分離回収した汚泥は、適宜濃縮などによって減容化を図り、脱水して廃棄処分されている。しかしこの方法は、処理操作が簡単ではあるが、使用する凝集剤の量が多いという問題のあることが知られている。
【0003】
上記方法における凝集剤使用量を低減する目的で、分離回収した汚泥をpH2程度にしてこれに含まれている水酸化アルミニウム(Al(OH)3)を溶解させ、上澄液からアルミニウムイオンAl3+を回収して凝集剤として再利用する方法も提案されている。これは一般に再生バンド方式と称され、再利用によって使用する凝集剤の量が減少するため設備の運転コストが削減されるという優れた利点がある。
【0004】
しかし、この再生バンド方式は、汚泥中のアルミニウムを有効に利用できるためアルミニウム系凝集剤の使用量を削減できるものの、アルミニウム回収後の酸性の汚泥は消石灰等を添加して脱水処理しなければならず汚泥量が増加するという欠点がある。また、アルミニウムイオンを含む上澄液と汚泥を分離するための沈澱槽が必要となると共に、年間に1〜2回程度沈澱槽底部に溜まった高濃度の汚泥を清掃処理しなければならないという欠点もある。
【0005】
これらの再生バンド方式の欠点を解消するため、本出願人は、懸濁物質を凝結させる撹拌系に、再活性化したアルミニウムイオンのみを戻すのではなく、沈澱回収した汚泥の一部を戻し、かつこの汚泥返送の途中においてこれに含まれる水酸化アルミニウムのイオン化のために酸を添加する方法(特開平2−157005号)や、さらにこの方法の改良法として汚泥返送系の途中に、返送汚泥をこれに含まれる好気性微生物の至適環境に所定時間保持する酸化手段(空気曝気)と、該返送汚泥中に含まれるAl(OH)3をイオン化させる酸添加手段とを、この順序で設けて返送汚泥の悪臭の発生を防止した凝集沈澱処理設備(特開平7−328327号)を提案している。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら本発明者らが、凝集沈澱処理設備で発生した汚泥に酸を添加して汚泥を再利用する実験を繰り返したところ、空気曝気では、汚泥に含まれる鉄やマンガンの酸化効果に差があることが判明した。すなわち空気曝気による酸化手段では、鉄は短時間で酸化されるが、マンガンを酸化するのに数日ないし数週間必要であった。つまり、汚泥を空気曝気で酸化処理するには、大容量の曝気槽が必要となり、また大きな曝気用のブロワーを必要とする点で、敷地面積の狭い浄水場では問題があった。
【0007】
また、汚泥の一部を返送する凝集沈澱処理設備では、原水中にクリプトスポリジウム等の塩素で死滅しない耐塩素性病原体が含まれている場合、返送汚泥中にクリプトスポリジウム等が混入してしまい、処理系内でクリプトスポリジウム等の耐塩素性病原体が蓄積し、浄水が耐塩素性病原体で汚染されてしまう欠点がある。
【0008】
本発明が解決しようとする課題は、より少ない設置面積で汚泥中のマンガンを効率的に酸化する凝集沈澱処理設備を提供することである。
【0009】
また汚泥の一部を返送する凝集沈澱設備では、返送汚泥中のTOCがトリハロメタンの生成量を増加させる要因となったり、あるいはTOC成分が凝集剤のアルミニウムイオンと錯体を形成してしまい、そのため凝集作用を阻害し、併用使用する凝集剤の使用量を増加させたり、処理水の濁度を悪化させたりすることがあるが、本発明の他の課題は、このような問題点を解決する凝集沈澱処理設備を提供することである。
【0010】
さらにまた本発明が解決しようとする他の課題は、クリプトスポリジウム等の耐塩素性病原体で原水が汚染されていても、クリプトスポリジウム等の耐塩素性病原体を死滅除去できる凝集沈澱処理設備を提供することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、化学的酸化方法または活性炭吸着法を組み合わせることにより上記課題を解決できることを見いだし、本発明を完成するに至った。
【0012】
すなわち、本発明は、無機金属凝集剤の添加により原水中の懸濁物質を凝集させる攪拌系と、凝結した懸濁物質を凝集沈澱させて処理水と分離し、処理水は処理水系に流出させると共に沈澱汚泥は回収する汚泥分離処理系と、沈澱回収した汚泥の少なくとも一部を上記撹拌系に戻す汚泥返送系と、を有する凝集沈澱処理設備において、汚泥返送系の途中に、返送汚泥に活性炭を添加して返送汚泥を改質する手段と、該返送汚泥中に含まれる無機金属凝集剤のフロックをイオン化する酸添加手段とを、設けたことを特徴とする凝集沈澱処理設備に関するものである。
【0013】
【発明の実施の形態】
請求項1に記載の本発明の凝集沈澱処理装置に用いられる無機金属凝集剤としては、凝集フロックが酸によりイオン化されるものであれば特に限定されないが、例えば硫酸アルミニウム、ポリ塩化アルミニウム(PAC)等のアルミニウム系凝集剤や硫酸第二鉄、塩化第二鉄、ポリ硫酸鉄等の鉄系凝集剤等を挙げることができる。
【0017】
なお、原水に臭素イオン(Br-)が含まれている場合、オゾン処理によってBr-が酸化され、人体に有害とされているBrO- 3が生成するが、活性炭の添加により、生成したBrO- 3を活性炭の触媒作用で分解することができる。
【0018】
活性炭を添加する位置は、汚泥に酸を添加して汚泥中の無機金属凝集剤のフロックを溶解する反応槽中に酸と同時に添加するか、あるいは汚泥に酸を添加した後に活性炭を添加するのが好ましい。
【0019】
その理由は、汚泥に酸を添加して酸性に調整することにより、汚泥中の固形物からTOC成分が溶出し、汚泥のTOC濃度が増加するとともに、有機物に対する活性炭の吸着効率は一般に中性よりも酸性側の方が高いためである。
【0020】
なお、活性炭の添加により返送汚泥を改質しようとする場合、請求項5に記載した凝集沈澱処理設備のように、返送汚泥に酸化剤を添加して化学的に酸化処理する手段を設けず、返送汚泥に活性炭を添加して返送汚泥を改質する手段と、該返送汚泥中に含まれる無機金属凝集剤のフロックをイオン化する酸添加手段とを、設けた凝集沈澱処理設備としてもよい。
【0021】
請求項1に記載の発明において、原水中の懸濁物質を凝結させる撹拌系とは、凝集剤の添加により原水中の懸濁物質を微小な粒子に結合させる反応(凝結反応)を行なう系として形成され、一般的には、開放型の槽に導入された原水に対し凝集剤を添加して急速に混和させる撹拌機付の槽(撹拌槽)として設けられる。なお場合によっては比較的強い水流で撹拌するタイプの撹拌槽も用いられる。この撹拌槽中(及び/又は次記凝集沈澱槽)の原水に対しては従来法と同様に塩素を添加するようにしてもよい。
【0022】
この撹拌系の次段に設けられ、凝結した懸濁物質を凝集フロックとして成長させ沈澱させた汚泥を処理水と分離して回収する上記汚泥分離処理系は、例えば、適度の緩速撹拌を行ないながら、凝結した懸濁物質を凝集フロックとして成長させる領域と、この成長したフロックを沈降により処理水と固液分離する領域とからなる凝集沈澱槽として設けることができるが、特にこれに限定されるものではなく、既知の方式のいずれのものであってもよく、さらに上記撹拌系と汚泥分離処理系とが一体として形成されている凝集沈澱槽も用いることができる。また、この凝集沈澱槽の汚泥引抜き系の次段に、引抜いた汚泥を、原水側に戻すのに適した濃度に濃縮調整するシックナー(沈降型濃縮槽)等の濃縮手段を設けることが好ましい。
【0023】
沈澱回収した汚泥を上記撹拌系に戻す汚泥返送系は、上記凝集沈澱槽,濃縮槽等から連続的あるいは間欠的に汚泥返送する径路として設けられ、汚泥返送のためのポンプなどが併設される。返送は通常は上記凝集沈澱槽,濃縮槽等で回収された汚泥の一部とされるが必要に応じて全部とすることもできる。汚泥の返送は、上記撹拌系の槽に戻すようにしてもよいし、撹拌槽に原水を導入する径路に戻すようにしてもよく、特に限定されるものではない。
【0024】
返送汚泥を所定時間含酸素気体で曝気する方法は、特に限定されず例えば曝気槽に返送汚泥を導入し、一般的には1時間当たりの空気(1気圧)量が汚泥量とほぼ同量とした曝気を0.5時間〜24時間程度行なうことにより、汚泥中の鉄が酸化され、さらに汚泥が好気性状態となるため、返送汚泥が嫌気状態となることによる臭気発生を防止することができる。なお、鉄の酸化や臭気の除去を主目的とした場合は曝気量にもよるが、通常1時間〜12時間の曝気で十分である。返送汚泥を所定時間含酸素気体で曝気した後添加する酸化剤としては、オゾン、過酸化水素、次亜塩素酸ナトリウム、液化塩素、二酸化塩素等を挙げることができるが、酸化力が強く後述するように耐塩素性病原体を死滅除去できる点とTOC成分の分解能力を高める点で、オゾンまたはオゾンと過酸化水素の併用が好ましい。
【0025】
酸化剤としてオゾンを用いる場合は、曝気によりオゾンを供給することが好ましい。
【0026】
また、酸化剤としてのオゾンは、クリプトスポリジウム等の耐塩素性病原体を死滅させることができる点でも好ましい。オゾンによるクリプトスポリジウムの不活性(死滅)率は、
c×t=10mg・min/L
(ただし、c:溶存オゾン濃度(mg/L)、t:反応時間(min))
の条件で99%である。
【0027】
したがって、オゾンで処理する場合は、c×t値が15mg・min/L以上、好ましくは20〜60mg・min/Lとなるような条件でオゾン処理を行うことにより、クリプトスポリジウムをほぼ完全に死滅させることができる。
【0028】
一方、汚泥中には凝集剤に吸着したTOC(Total Organic Carbon)成分が数十mg/L程度含まれている。このTOC成分は塩素処理によりトリハロメタンとなるので、汚泥中からできるだけ取り除くことが好ましい。汚泥中のTOC成分は、オゾン単独ではTOC成分の低分子化が主な作用となりTOC濃度はほとんど低減できないが、オゾンと過酸化水素を併用することにより大幅に低減できる。従って、オゾンと過酸化水素処理により、汚泥中のマンガンの酸化だけではなく、TOC成分も除去でき、よって凝集沈澱処理水中のマンガンとトリハロメタン発生源であるTOC成分を低減することができる。
【0029】
なお、オゾンと過酸化水素を併用して処理する場合は、オゾンと過酸化水素を同時に使用するとオゾン単独の場合と比べて殺菌力が弱くなるため、まず上記条件に準じてオゾン処理を行って汚泥中のマンガンを酸化するとともに耐塩素性病原体を死滅させ、次いでオゾン処理後の汚泥に過酸化水素を添加し、その後再びオゾンを吹き込んでTOCの分解を行うようにするのが好ましい。したがって、オゾンと過酸化水素を併用する場合は、第1段目のオゾン処理槽と、過酸化水素添加後の第2段目のオゾン処理槽の二つのオゾン処理槽を設けることが望ましい。
【0030】
返送汚泥を酸化剤により化学処理した後、無機金属凝集剤を回収再利用するためにフロックをイオン化するための酸添加手段を設けるが、酸添加手段としては硫酸,塩酸などの鉱酸、好ましくは硫酸を添加して、返送汚泥をpH4以下、好ましくはpH2〜3程度にするものである。具体的には撹拌機を有する貯槽に酸を添加する方式、汚泥返送径路に酸を注入して径路中で撹拌する方式、汚泥返送径路に酸を注入して撹拌機で撹拌する方式など種々のものを採用することができる。酸添加手段にはpHメータ等を設けて添加量制御を行なうことも好ましい。酸添加手段により無機金属凝集剤のフロックをイオン化することができ、イオン化された無機金属凝集剤が凝集工程へ返送されるため、凝集工程で使用する無機金属凝集剤の使用量を低減することができる。
【0034】
【実施例】
以下本発明を浄水製造設備に適用した場合の実施例として、図面に基づいて更に説明する。
【0035】
参考例1
図1において、2は凝集剤混和撹拌槽であり、回転羽根型の撹拌装置を備えている。そしてこの撹拌槽2において、原水導入管1から導入される原水と、凝集剤貯留槽16からポンプ等の凝集剤注入装置15により注入される無機金属凝集剤を撹拌混和させ、原水中に含まれている懸濁物質の凝結反応を行なわせる。
【0036】
この凝集剤混和撹拌槽2の後段には、凝集沈澱槽3が配置されていて、凝結された懸濁物質の微粒子を適度の緩速撹拌により凝集フロック化すると共に更にこれを成長させて、沈降分離により該槽3の底部に汚泥を沈澱させ、他方、処理水18は、図示しない溢流路を介して、同じく図示しない後段の浄水処理系に流出させる。
【0037】
凝集沈澱槽3の底部に集められた汚泥は、凝集汚泥引抜き管4により凝集汚泥濃縮槽5に適宜に引抜かれ、この濃縮槽5において返送汚泥として原水側に戻すのに適した濃度に濃縮(例えば2〜10倍程度)される。そしてこの濃縮槽5の底部からは、第1の濃縮凝集汚泥引抜き管61を通して濃縮凝集汚泥移送ポンプ71により脱水装置などの濃縮凝集汚泥処理装置17に適宜間欠的に送泥し、余剰汚泥を脱水廃棄処分できるように設けられている。また濃縮槽5の底部にはもう一つの第2の濃縮凝集汚泥引抜き管62が接続されていて、これを通して濃縮凝集汚泥移送ポンプ72により汚泥の一部を曝気槽8に送泥するように設けられている。
【0038】
本例の曝気槽8は開放型横流槽をなしていて、上記第2の濃縮凝集汚泥引抜き管62を通して導入された汚泥が、後段の第1汚泥送泥ポンプ101により送り出すまでの間において、ブロワ9により槽底部の散気管91から噴出させた空気により曝気され、例えば2時間の間この曝気槽内に保持されるように設けられている。なお、この曝気槽8は省略してもよい。曝気程度は、上記のように時間で管理することができるが、工業的規模の装置としては、曝気槽の出口において汚泥の酸化還元電位を監視し、曝気槽8の曝気制御あるいは汚泥通流制御にフィードバックして確実な酸化制御を行なわせるように設けることも好ましい。この曝気処理により、汚泥中に含まれる鉄、臭気原因物質等が主に酸化される。
【0039】
この曝気槽8において所定の曝気処理が行われた汚泥は、上記第1汚泥送泥ポンプ101により、密閉型のオゾン反応槽102に導入され、オゾン発生機103により供給されるオゾンにより曝気処理される。処理後のオゾンは、排ガス排出管104により排出される。図示しないが、排出された廃オゾンは、排ガス処理を施して系外へ排出する。なお、排オゾンガスを上記曝気槽8に導入し、汚泥曝気用含酸素気体として利用することもできる。
【0040】
オゾンで曝気処理された汚泥は、中間槽105へ導入し一時貯留し、第2汚泥送泥ポンプ10により汚泥返送管19を通して途中酸貯留槽12からの酸が添加された後に撹拌装置13に導入され、該汚泥中に含まれる無機金属凝集剤のイオン化が行われた後、上記撹拌槽2に返送される。11は酸貯留槽12内の酸を汚泥返送管19に注入するための酸注入ポンプである。また14は、撹拌装置13からの出口における汚泥のpHを測定するためのpHメータであり、この測定情報を上記酸注入ポンプ11にフィードバックして、酸添加量を例えば該出口汚泥のpHを3以下に維持するように制御することに用いられる。
【0041】
以上のように構成された本参考例1の凝集沈澱処理設備によれば、凝集沈澱して集められた汚泥中に発生している浄水処理に阻害 となる成分を、まず曝気処理により分解、不溶化した後、オゾン等の酸化剤による化学的酸化処理を行い、しかる後に凝集剤の再利用を図るための酸添加を行う ので、上記汚泥が嫌気性になっても、凝集剤の再利用に、この汚泥が嫌気性に移行していることの影響を解消でき、従来から原理的には可能とされていた凝集剤 の再利用を図ることができ、さらにオゾン等の酸化剤による化学的酸化処理により返送汚泥中のマンガン、TOCを酸化することができ、さらに原水が耐塩素性 病原体で汚染された場合でも耐塩素性病原体を死滅除去することができるので、工業的規模の設備で悪臭等の弊害を招くことなく理想的浄水処理を実現できると いう利益が得られる。
【0042】
また、撹拌槽に返送された汚泥に含まれる懸濁物質は原水に返送添加されることで凝集助剤として機能し、原水が低濁度である場合には、従来の凝集剤添加の量制御の困難性を改善し、また高い密度の凝集フロックの成長にも貢献して汚泥の分離性を向上させるという利益をもたらす。
【0043】
更に、使用凝集剤の削減、発生する廃棄汚泥総量の削減、運転コストの削減等々の効果も、運転操作の複雑化や新たな弊害を招致することなく実現できるという効果も得られる。
【0044】
参考例2
図2において、原水に無機金属凝集剤を添加し汚泥を凝集分離する装置は図1に示した汚泥凝集処理装置と同様であるので説明を省略する。
【0045】
凝集汚泥濃縮槽5の底部に設けられた第2の濃縮凝集汚泥引抜管62を介して第2の汚泥送泥ポンプ72により引き抜かれた返送汚泥は、密閉型のオゾン反応槽102に導入され、オゾン発生機103により供給されるオゾンにより曝気処理される。処理後のオゾンは、排ガス排出管104により排出される。図示しないが、排出された廃オゾンは、排ガス処理を施して系外へ排出する。なお、排オゾンガスを上記曝気槽8に導入し、汚泥曝気用含酸素気体として利用することもできる。
【0046】
オゾン処理された返送汚泥は、反応槽302へ導入され、酸貯留槽12からの酸が酸注入ポンプ11により注入添加され、返送汚泥中の無機金属凝集剤のフロックがイオン化される。反応槽302には、酸の注入と同時に粉末活性炭貯槽300より粉末活性炭注入ポンプにより活性炭が添加される。活性炭の添加により、返送汚泥中のTOCをより完全に除去することができる。また14は、反応槽302における汚泥のpHを測定するためのpHメータであり、この測定情報を上記酸注入ポンプ11にフィードバックして、酸添加量を例えば該出口汚泥のpHを3以下に維持するように制御することに用いられる。
【0047】
酸および粉末活性炭で処理された汚泥は、汚泥返送ポンプ10により凝集剤混和攪拌槽2へ返送される。なお、添加された粉末活性炭は返送汚泥と共に、凝集剤混和攪拌槽2に流入し、更に凝集沈澱槽3に流入して原水中の懸濁物質と共に凝集フロック化され、底部に沈澱する。
【0048】
実施例
図3において、原水に無機金属凝集剤を添加し汚泥を凝集分離する装置は図1に示した汚泥凝集処理装置と同様であるので説明を省略する。
【0049】
凝集汚泥濃縮槽5の底部に設けられた第2の濃縮凝集汚泥引抜管62を介して第2の汚泥送泥ポンプ72により引き抜かれた返送汚泥は、反応槽302へ送出される。
【0050】
反応槽302へ導入された返送汚泥に、酸貯留槽12からの酸が酸注入ポンプ11により注入添加され、返送汚泥中の無機金属凝集剤のフロックがイオン化される。反応槽302には、酸の注入と同時に粉末活性炭貯槽300より粉末活性炭注入ポンプにより活性炭が添加される。活性炭の添加により、返送汚泥中のTOCを除去することができる。また14は、反応槽302における汚泥のpHを測定するためのpHメータであり、この測定情報を上記酸注入ポンプ11にフィードバックして、酸添加量を例えば該出口汚泥のpHを3以下に維持するように制御することに用いられる。
【0051】
酸および粉末活性炭で処理された汚泥は、汚泥返送ポンプ10により凝集剤混和攪拌槽2へ返送される。なお、添加された粉末活性炭は返送汚泥と共に、凝集剤混和攪拌槽2に流入し、更に凝集沈澱槽3に流入して原水中の懸濁物質と共に凝集フロック化され、底部に沈澱する。
【0052】
参考例3
図4において、原水に無機金属凝集剤を添加し汚泥を凝集分離する装置は図1に示した汚泥凝集処理装置と同様であるので説明を省略する。
【0053】
凝集汚泥濃縮槽5の底部に設けられた第2の濃縮凝集汚泥引抜管62を介して第2の汚泥送泥ポンプ72により引き抜かれた返送汚泥は、反応槽202へ導入される。無機凝集剤のフロックをイオン化する酸は貯留槽12から酸注入ポンプ11により返送汚泥に添加される。添加する場所は、図2の実線で示したように汚泥引抜管62の途中でもよく、あるいは点線で示したように反応槽202へ添加してもよい。
【0054】
反応槽202は、攪拌装置とpHメータ14が設けられており、過酸化水素は過酸化水素溶液貯留槽200から過酸化水素注入ポンプ201により添加される。過酸化水素が添加されることにより、返送汚泥中に含まれている第一鉄とフェントン試薬を形成し、返送汚泥中の鉄、マンガン、TOC等を酸化し、さらに原水が耐塩素性病原体で汚染されていても耐塩素性病原体を死滅除去することができる。
【0055】
鉄、マンガン、TOC等が酸化され、無機金属凝集剤のフロックがイオン化された返送汚泥は汚泥送泥ポンプ10により、凝集剤混和攪拌槽2へ返送される。この汚泥凝集処理装置は、曝気槽を必要としないため、より少ない設置面積で構成することができ、またフェントン試薬により返送汚泥を酸化処理するので、汚泥中の鉄、マンガン等の重金属が酸化され、またトリハロメタンの原因物質である有機物を効率よく酸化分解することができる。また、原水がクリプトスポリジウム等の耐塩素性病原体で汚染されていても耐塩素性病原体を死滅除去することができる。
【0056】
以上の実施例装置の効果を確認するために以下の試験を行った。
【0057】
比較試験例1
無機凝集剤として、硫酸アルミニウムを使用している浄水場の濃縮槽中の汚泥(固形物濃度2.5WT%)を抜いて、300mL/L/mgの空気で曝気し、汚泥濾液(汚泥をNo.5の濾紙で濾過して得られる濾液)中に含まれるTOC、Fe2+、Mn2+の経時変化を測定した。測定結果を図5に示した。なお、原汚泥の特性(汚泥濾液中の各成分の初濃度)を表1に示した。
【0058】
図5から明らかなように、鉄は空気曝気のみで非常に短い時間で酸化されて不溶化されたが、Mn2+の酸化速度は2時間経過後に著しく低下し、空気曝気のみで完全酸化するには数週間かかることが分かる。また、TOCも空気曝気のみでは完全に酸化されないことが分かる。
【0059】
参考試験例1
上記の汚泥を2時間空気曝気した後、オゾンを添加して、汚泥濾液中のMn2+の濃度を経時的に測定した。その結果を図6に示した。なお、比較のために、濃縮槽から採取した汚泥を空気曝気せずに直接オゾン処理した結果を図6に示した。
【0060】
図6の結果から明らかなように、オゾンを添加することによりMn2+が完全に酸化されて、不溶化された。また、汚泥を直接オゾンで酸化処理するより、あらかじめ空気曝気した汚泥をオゾンで酸化処理する方が、Mn2+を速く酸化でき、オゾンの消費量を低減できた。
【0061】
【表1】
Figure 0003913843
【0062】
参考試験例2
上記の汚泥を2時間空気曝気した後、オゾン濃度10mgO3/L、曝気量1L/L/minでオゾンガスを添加した後過酸化水素を添加して、汚泥濾液中のTOC濃度を経時的に測定した。過酸化水素の添加量は20mg/Lであった。その結果を図7に示した。
【0063】
比較のために、過酸化水素を添加せずにオゾンのみを添加した場合の結果を図7に示した。
【0064】
図7の結果から明らかなように、オゾンと過酸化水素を組み合わせて処理することによりオゾン処理単独の場合に比べてTOCの分解をより完全に行うことができた。
【0065】
試験例3
上記の汚泥を曝気せずに、硫酸を添加してpH3.0とした後、600mg/Lの過酸化水素を添加し、汚泥濾液中のTOCの濃度を経時的に測定した。測定結果を図8に示す。実験に用いた汚泥の第一鉄量が少なかったため、第一鉄(硫酸第一鉄)を150mgFe/L添加して行った実験結果も併せて図8に示した。
【0066】
図8から明らかなように、過酸化水素と第一鉄とのフェントン試薬の酸化作用により、TOCは2時間で約5mg/L以下になった。
【0067】
なお、図8において反応前のTOC濃度が原汚泥のそれより高いのは、硫酸の添加によって汚泥の固形物中からTOC成分が溶出するためである。
【0068】
試験例
原汚泥を空気曝気せずに、オゾン濃度10mgO3/L,曝気量1L/L/minで原汚泥に直接オゾンガスを45分間添加して汚泥中のMn2+およびFe2+を完全に酸化した後、硫酸を添加してpH3.0として汚泥中のアルミフロックを溶解した。次いで、この汚泥に所定量の粉末活性炭を添加して1時間攪拌した後、No.5の濾紙で濾過して濾液中のTOC濃度を測定した。活性炭添加量と濾液のTOC濃度との関係を図9に示す。なお、オゾン処理を行なわず、活性炭および硫酸を添加して処理した結果も合わせて図9に示す。
【0069】
図9から明らかなように、活性炭により、TOC成分を効率よく吸着、除去できる。
【0070】
【発明の効果】
本願の請求項1の発明によれば、以下のような効果を奏することができる。
【0080】
請求項に記載の発明により、TOC成分を活性炭で効率よく除去することができ、凝集処理設備における凝集剤使用量の増加や処理水濁度の悪化あるいはトリハロメタン生成量の増加を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 参考例1の凝集沈澱処理設備の構成概要をフロー図で示した一例を示す図である。
【図2】 参考例2の凝集沈澱処理設備の構成概要をフロー図で示した一例を示す図である。
【図3】 本発明よりなる凝集沈澱処理設備の実施例の構成概要をフロー図で示した一例を示す図である。
【図4】 参考例3凝集沈澱処理設備の構成概要をフロー図で示した一例を示す図である。
【図5】 比較試験例1の濃縮汚泥を空気曝気した時の、Fe2+とMn2+およびTOCの濃度を経時的に測定した結果を示すグラフ。
【図6】 参考試験例1の濃縮汚泥を空気曝気後オゾン処理した時の、Mn2+の濃度を経時的に測定した結果を示すグラフ。
【図7】 参考試験例2の濃縮汚泥を空気曝気後オゾン、過酸化水素処理した時の、TOCの濃度を経時的に測定した結果を示すグラフ。
【図8】 参考試験例3の濃縮汚泥を過酸化水素、第一鉄処理した時の、TOC濃度を経時的に測定した結果を示すグラフ。
【図9】 試験例の濃縮汚泥をオゾン処理した後、粉末活性炭を添加した時、およびオゾン処理を行なわず、粉末活性炭を添加した時の活性炭添加量とTOC濃度との関係を示すグラフ。
【符号の説明】
1 原水導入管
2 凝集剤混和撹拌槽
3 凝集沈澱槽
4 凝集汚泥引抜き管
5 凝集汚泥濃縮槽
61,62 濃縮凝集汚泥引抜き管
71,72 濃縮凝集汚泥移送ポンプ
8 曝気槽
9 ブロワ
10 汚泥移送ポンプ
11 酸注入ポンプ
12 酸貯留槽
13 撹拌装置
14 pHメータ
15 凝集剤注入装置
16 凝集剤貯留槽
17 凝集汚泥処理装置
18 処理水
19 汚泥返送管
101 第1汚泥送泥ポンプ
102 オゾン反応槽
103 オゾン発生機
104 排ガス排出管
105 中間槽
200 過酸化水素溶液貯留槽
201 過酸化水素注入ポンプ
202 反応槽
300 粉末活性炭貯槽
301 粉末活性炭注入ポンプ
302 反応槽

Claims (2)

  1. 無機金属凝集剤の添加により原水中の懸濁物質を凝集させる攪拌系と、凝結した懸濁物質を凝集沈澱させて処理水と分離し、処理水は処理水系に流出させると共に沈澱汚泥は回収する汚泥分離処理系と、沈澱回収した汚泥の少なくとも一部を上記撹拌系に戻す汚泥返送系と、を有する凝集沈澱処理設備において、汚泥返送系の途中に、返送汚泥に活性炭を添加して返送汚泥を改質する手段と、該返送汚泥中に含まれる無機金属凝集剤のフロックをイオン化する酸添加手段とを、設けたことを特徴とする凝集沈澱処理設備。
  2. 無機金属凝集剤がアルミニウム系凝集剤であることを特徴とする請求項1に記載の凝集沈澱処理設備。
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