JP2004148043A - パチンコ機 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】貯球タンク42内に設けた主貯球部132上に、タンク蓋64の凹陥部74により構成される補助貯球部130を配設する。補助貯球部130には弁機構136を設け、弁機構136の弁部材138は基端部を軸140により支持して回動可能とする。この弁部材138により、補助貯球部130の下流側を開放した状態又は閉塞した状態に切り替えて補助貯球部130の貯球容量を調整する。
【選択図】 図4
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、パチンコ機に係り、詳しくは、遊技球を貯える貯球構造が球受け皿及び貯球タンクにより構成されるパチンコ機に関する。
【0002】
【従来の技術】
遊技盤の左下に打球発射装置を配置し打球を上方へ打ち出す、通称「左打ち」と呼ばれるタイプのパチンコ機では、打球供給用となる球受け皿の後側に形成されたパチンコ機本体内の空きスペースに、球受け皿と連通して球受け皿に貯え切れない余剰分の遊技球を予備的に貯える貯球タンクを設けたものがある。またその構成では、球受け皿の容量に貯球タンク分を加えた総貯球容量が例えば700個程度とされて、通常の上受け皿及び下受け皿構成よりも多くされている(例えば、特許文献1、先行出願1参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開平11−9795号公報 (第3‐4頁、第1図)
【先行出願1】
特願2001−321746
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述したように貯球構造が球受け皿及び貯球タンクで構成され大容量化されたパチンコ機では、第2種等のように出球の少ない遊技仕様の場合、大役時に貯球タンクが満杯にならないため遊技者は獲得した賞球をパチンコ機外の球箱へ排出しなくてもよくなる。また、出球の多い第1種においても、1回のゲーム終了ですべての出球を交換する所謂「一回交換営業」等の営業方法が採られる場合は、ゲーム終了時に球箱へ排出される賞球数が例えば500個程度となって通常よりも大幅に減少する。
【0005】
このように、大役となったにも関わらず球箱への球排出機会が与えられない、あるいは球箱への球排出量が少なくされると、遊技者が抱く出球感や優越感は抑制され遊技の趣向性が低下することになる。
【0006】
本発明は上記事実を考慮して、遊技仕様や営業方法等が変わっても球箱への球排出を一定量確保し、遊技の趣向性を向上することができるパチンコ機を提供することを課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために請求項1に記載の発明は、パチンコ機本体内に設けられパチンコ機本体から払い出された遊技球を球受け皿へ案内するとともにその球受け皿に貯え切れない余剰分の前記遊技球が貯球される貯球タンクと、前記貯球タンクに設けられ前記遊技球の貯球容量を調整する貯球容量調整手段と、を有することを特徴としている。
【0008】
請求項1に記載の発明では、パチンコ機本体内に設けられた貯球タンクにパチンコ機本体の球払出装置等から賞球や貸球等の遊技球が払い出される。払い出された遊技球は、貯球タンクにより球受け皿へ案内されて貯えられ、例えば、球受け皿から打球発射装置に供給されて遊技盤面へ発射される。また、球受け皿に貯え切れない余剰分の遊技球は貯球タンクに貯えられ、球受け皿内の遊技球が減少するのに伴い貯球タンクから球受け皿へ順次送られる。
【0009】
この貯球タンクの貯球容量を貯球容量調整手段により調整して大容量とした場合は、大役時の出球が多い遊技仕様において十分な貯球が可能となる。一方、小容量とした場合は、大役時の出球が少ない遊技仕様又は一回交換営業等の営業方法において球箱への球排出が一定量確保される。これにより、遊技者に大役時の出球感や優越感を与えることができて遊技の趣向性を向上することができる。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1記載のパチンコ機において、前記貯球タンクは相互に区画された複数の貯球部を有し、その複数の貯球部の少なくとも一つに前記貯球容量調整手段が設けられていることを特徴としている。
【0011】
請求項2に記載の発明では、例えば、タンク内での球詰まり防止などのために貯球タンクに相互に区画された複数の貯球部を設ける構成では、その複数の貯球部の少なくとも一つに貯球容量調整手段を設けることにより、貯球容量の調整が可能となる。
【0012】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2記載のパチンコ機において、前記貯球容量変更調整手段は、前記貯球タンクの一部を開放する開放位置とこの一部を他部と仕切って閉塞する閉塞位置とに変位可能な仕切部材であることを特徴としている。
【0013】
請求項3に記載の発明では、仕切部材を開放位置に配置すると、貯球タンクの一部が開放されて例えばタンク内全域に遊技球が貯球できるようになり、貯球容量は多くされる。また、仕切部材を閉塞位置に配置すると、貯球タンクの一部は貯球タンクの他部と仕切られて閉塞され、その閉塞された一部には遊技球が貯球できないようになって貯球容量は少なくされる。このような仕切部材を用いることにより、貯球容量調整手段の構成が簡素化され、貯球容量を調整する操作も簡単になる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
【0015】
[第1の実施形態]
図1には、第1の実施形態に係るパチンコ機がパチンコホールの所謂「島」に設置された状態が示されており、図2及び図3には、パチンコ機本体の概略構成が示されている。
【0016】
図1に示すように、パチンコホールの島では、パチンコ機10の左側にそのパチンコ機10に対応する球貸サンド12が配置されており、それらパチンコ機10と球貸サンド12とは交互に配列されて設置されている。
【0017】
パチンコ機10は、内部に遊技盤14を収容できるパチンコ機本体16を備えている。
【0018】
遊技者側となるパチンコ機本体16の前面部分には、遊技盤14の盤面をガラス板20で覆うガラス枠を構成する上側パネル部材22と、遊技盤14の下方部分を覆う一体皿を構成する下側パネル部材24とが設けられている。この上側パネル部材22及び下側パネル部材24は、パチンコ機本体16の左端部に設けられたヒンジ26(下側パネル部材24のヒンジは図示省略)に軸支されて、開閉可能に取り付けられている。
【0019】
下側パネル部材24の前面略中央には、遊技者側に向けて突出された打球供給用の球受け皿28が設けられている。球受け皿28の底面28Aは、手前側から奥側に向けて反時計回りの螺旋状に下降傾斜しており、下降側の先端部となる左奥側には誘導通路29が設けられている。また、球受け皿28の奥壁28B略中央には、透明樹脂製のカバーにより塞がれて内部を透視することができる横長略矩形状の窓部30が設けられており、奥壁28Bの右側端部近傍には、パチンコ機本体16内の賞球払出装置(図示省略)から払い出された賞球(以下「遊技球」と呼ぶ場合がある)が排出される排出口31が形成されている。
【0020】
これにより、球受け皿28に、球貸サンド12から貸し出された貸球と排出口31から排出された賞球とは、底面28Aの下流側に転動して誘導通路29に案内され、誘導通路29により一列に整列されて、図2に示す遊技盤14の左下に配置された発射装置32へと供給される。
【0021】
球受け皿28の内部には、遊技球を球受け皿28から球箱34へ移すための球抜き通路35、36が形成されている。通常、この球抜き通路35、36は、球受け皿28の底面28Aと連通する通路入り口としての開口部が蓋部材37(球抜き通路35側の蓋部材は図示省略)によって塞がれており、遊技者が球受け皿28前面の球抜きレバー38及び球抜きボタン39を操作することにより、各蓋部材がそれぞれスライドして各通路入り口が開口される。これにより、球受け皿28内の遊技球が球抜き通路35、36を通って排出され球箱34へと移される。
【0022】
また、下側パネル部材24の前面には、球受け皿28の右側に、遊技球の発射力(飛距離)を調整する発射ハンドル40が配置され、球受け皿28の左側に、灰皿41が設けられている。
【0023】
次に、パチンコ機本体16の内部構成について説明する。
【0024】
図2に示すように、遊技盤14はパチンコ機本体16内の上部(上側パネル部材22の裏側)にセットされるようになっている。パチンコ機本体16内の下部(下側パネル部材24の裏側)には、前述したように、遊技盤14の左下に発射装置32が配置されており、また遊技盤14にほぼ真下に位置して貯球タンク42が着脱可能に取り付けられている。
【0025】
発射装置32は、装置下部側に回動式の発射杵44が設けられ、装置上部には、発射杵44により上方へ打ち出された遊技球46を遊技盤14側へガイドする発射通路48が形成されている。
【0026】
図3に示すように、発射通路48の上端に位置する通路出口50の左右側端部には、上面及び奥壁面が矩形状に開口された略箱状の球受け部52、54が設けられている。通路出口50の後側には、遊技盤14が載せられる載置台部55が位置しており、その載置台部55の下側に回収通路56が設けられている。球受け部52、54は、奥壁面側の開口を通してこの回収通路56にそれぞれ連通されている。
【0027】
回収通路56は、左右方向に沿って延設されるとともに、通路底面が右側に配置された貯球タンク42側に緩やかに傾斜している。さらに、下流側端部に位置する通路出口は、貯球タンク42の左側面に形成された開口58に接続されている。
【0028】
また、図2に示すように、貯球タンク42の前面右側端部には、下側パネル部材24(球受け皿28の奥壁28B)の排出口31と対応する位置に開口60が形成され、この開口60からタンク内の遊技球が排出されるようになっている。
【0029】
これにより、発射装置32により発射されて、遊技盤14の遊技部(遊技領域)に到達せずに戻ってきた遊技球(ファール球)は、発射通路48の左側の球受け部52に入るか(図3の矢印A)、又は発射通路48の右側の球受け部54に入り(図3の矢印B)、回収通路56を通って(図3の矢印C)貯球タンク42に送られる。貯球タンク42内に回収されたファール球は、後述するタンク内部を通って開口60から排出され、排出口31を抜けて球受け皿28に戻される。
【0030】
以下、その貯球タンク42について詳細に説明する。
【0031】
図4〜図7には、第1の実施形態に係る貯球タンク42が示されている。図示のように、貯球タンク42は左右方向を長手方向とした薄型の略直方体形状とされ、タンク下部側を構成する箱状のタンク本体62と、タンク本体62の開口された上面を塞ぐタンク蓋64及びタンク本体62の開口された前面を塞ぐタンクカバー66とにより構成されている。
【0032】
タンク蓋64は、PC等の樹脂材料による成形品とされて全体が略矩形板状とされている。天井面(下面)64A後側の左右側端部近傍には、同軸的に配置された一対のヒンジ部68が一体的に設けられている。タンク本体62には、このヒンジ部68と同軸的に一対のヒンジ部70が後壁部72上縁の左右側端部に一体的に設けられており、タンク蓋64は、これら一対のヒンジ部68、70を介してタンク本体62の後壁部72上縁に取り付けられ、ヒンジ部68、70の軸心Lを中心に図5の矢印D方向に回動可能とされている。
【0033】
タンク蓋64の上面64B中央部には、矩形状の凹陥部74が設けられている。凹陥部74の底面74Aは、タンク蓋64が閉じた状態で右斜め前方(開口60側)へ所定角度傾斜しており、底面74Aの上流側となる左側端部にはL字形の開口76が形成され、底面74Aの下流側となる右側端部には矩形の開口77が形成されている。また、底面74A上流側の開口76は、貯球タンク42がパチンコ機本体16に取り付けられた際に、図6に示すように、開口76の上方に位置する賞球払出装置の払出口120に対応して配置されるようになっている。そして、この凹陥部74により貯球タンク42の上部に補助貯球部130が構成され、補助貯球部130は、後述するタンク本体62(貯球タンク42の内部)に設けられた主貯球部132とは凹陥部74の底面74Aにより区画されている。
【0034】
また、凹陥部74の後部下流側には凸段部134が設けられており、凹陥部74の後部上流側には凸段部134と隣接して弁機構136が設けられている。
【0035】
弁機構136は角棒状の弁部材138を備えている。弁部材138は、図4の状態では左側に位置する基端部が凹陥部74の底面74Aに立設された軸140に回動可能に支持されて底面74A上を図中の矢印R方向に回動するようになっており、先端部には、スライドピン142及び圧縮コイルスプリング144が内蔵されている。
【0036】
スライドピン142は、弁部材138の長手方向に沿って摺動可能とされており、外周面に突設されたレバー146が、弁部材138の上面に長手方向に沿って形成されたガイド溝148に挿通されることで摺動範囲が規制されるとともに、圧縮コイルスプリング144の弾性力によって弁部材138の先端側に付勢されている。そしてレバー146を操作すると、スライドピン142の先端部は弁部材138の先端面から出没するようになっている。
【0037】
一方、凸段部134の左側端面と凹陥部74の前壁面74Bとには、孔部150、152がそれぞれ形成されている。この孔部150、152はスライドピン142と対応して配置されており、スライドピン142の先端部が挿抜可能となっている。
【0038】
これにより、図4及び図6に示すように、弁部材138が凹陥部74の後部側に退避した位置にされると、補助貯球部130全域が開放された状態となり、またスライドピン142の先端部が凸段部134の孔部150に挿入されて弁部材138はロックされる。そしてこのロック状態は、レバー146を操作することにより解除することができる。
【0039】
一方、図7に示すように、弁部材138が90度回動されて長手方向が前後方向に沿った向きにされると、補助貯球部130は弁部材138により仕切られて上流側貯球部と下流側貯球部とに分割される。そしてこの場合も、レバー146の操作により、スライドピン142の先端部を孔部152に挿抜させ弁部材138をロックする、あるいはロック解除することができる。
【0040】
図5に示すように、タンク蓋64の天井面64Aにはガイドリブ154が設けられている。このガイドリブ154は、開口76の左側縁部と前側縁部に沿ったL字形に形成されている。また、タンク蓋64の前面64C下端部には、前方へ突出されたリブ78が下端縁に沿って延設されており、このリブ78の上面にタンクカバー66が固着されている。
【0041】
タンクカバー66は、PC等の透明樹脂製で断面L字状に形成されており、リブ78に固着された取付部80の後端部がタンク蓋64の前面64Cに当接されて、前後方向の取付位置が決められている。取付部80の先端部から下方に直角に屈曲されたカバー部82には、タンク蓋64に形成された開口76の前方に位置して、フック部84が設けられている。
【0042】
フック部84は、上下方向と平行な向きに所定の間隔で形成された一対のスリットによってカバー部82の上端部側に接続されており、その接続部となる基端部86側が弾性変形可能とされている。また、フック部84の先端部には、カバー部82の裏面側に突出されたツメ部88が形成されている。
【0043】
タンク本体62は、ABS等の樹脂材料による成形品とされている。下面62Aには、貯球タンク42をパチンコ機本体16に取り付ける際の固定部となる取付片90が一体的に設けられている。取付片90は、所定厚さの略矩形板状とされ、貯球タンク42の開口60の左側に位置して左右方向と平行な向きに配置されている。
【0044】
取付片90の略中央部には、左右方向を長手方向として前後方向に貫通する略樽形状の長穴94が形成されており、左下隅には、円形の位置決め孔96が形成されている。これにより、貯球タンク42をパチンコ機本体16に取り付けるには、図2に示すように、貯球タンク42をパチンコ機本体16内のタンク取付部にセットすると、パチンコ機本体16に設けられた位置決めピン98に取付片90の位置決め孔96が嵌め入れられて位置決めされるとともに、長穴94には、横向きの姿勢とされたパチンコ機本体16側の回転レバー100が挿通される。この回転レバー100を図中の矢印E方向に90度回転させて縦向きの姿勢にすると、長穴94の縁部に回転レバー100が係止して、貯球タンク42はパチンコ機本体16に固定される。
【0045】
また、タンク本体62の前壁部102は、前述したファール球取入部としての開口58か形成された左壁部104よりも所定寸法低くされている。前壁部102の前面下端部には、前方へ突出されたリブ106が下端縁に沿って延設されており、リブ106には、タンクカバー66のフック部84と対応する位置に、切り欠き108が形成されている。これにより、図4に示すように、タンク蓋64を閉じると、タンクカバー66のカバー部82下端縁がタンク本体62のリブ106に乗り上げて閉方向の位置決めがなされ、フック部84は切り欠き108に嵌合してツメ部88を切り欠き108の下縁に係止させる。したがって、タンク蓋64はタンク本体62の上面部分を塞ぎ、タンクカバー66はタンク本体62の前面部分を塞いで、各々その位置に固定される。また、タンク蓋64を開けるときは、フック部84を弾性変形させてツメ部88の係止状態を解除することにより、簡単に開けることができる。
【0046】
また、タンクカバー66は透明樹脂製であるため、タンク蓋64及びタンクカバー66を閉じた状態でも、貯球タンク42の正面からタンクカバー66を通してタンク内部が視認できるようになる。貯球タンク42をパチンコ機本体16に取り付けた状態では、貯球タンク42の前面ほぼ中央に下側パネル部材24の窓部30が配置される。そのため、パチンコ機10の正面に座って遊技する遊技者には、窓部30を通して貯球タンク42の内部が視認できるようになる。
【0047】
次に、タンク本体62の内部について説明する。
【0048】
タンク本体62の底面62Bは、それぞれ異なる方向に傾斜された3つの傾斜面部により構成されている。
【0049】
図5に示すように、底面62Bの右側領域には、開口60の後側を占める略矩形状の傾斜面部110Aが設けられている(傾斜面部110Aの左右方向幅寸法は開口60の開口幅寸法とほぼ同じ)。その傾斜面部110A以外の左側の略矩形状領域には、左後角部と右前角部とを結ぶ対角線により区切られた2つの略直角三角形のうちの右後側を占める、傾斜面部110Aと隣接した傾斜面部110Bと、左前側を占める傾斜面部110Cとが設けられている。また、傾斜面部110Bの後端部右側には、平面視が略台形状とされた張出部112が設けられている。
【0050】
各傾斜面部の傾斜方向については、上流側となる一方の傾斜面部110Cが右方向(図中の矢印SC方向)へ傾斜し、他方の傾斜面部110Bは右斜め前方向(図中の矢印SB方向)へ傾斜しており、下流側となる傾斜面部110Aは前方向(図中の矢印SA方向)へ傾斜している。したがって、何れの傾斜面部も開口60側へ傾斜している。
【0051】
また、前述したタンク蓋64のガイドリブ154は、タンク蓋64を閉じると傾斜面部110C内に配置されるようになる。このガイドリブ154により、傾斜面部110Cの上流側には開口58から取り入れたファール球(図4の矢印H)を貯えるファール球貯球領域が区画して設けられる。そして、タンク蓋64及びタンクカバー66を閉じることで形成されるタンク本体62の内部空間が主貯球部132となり、主貯球部132はタンク蓋64に設けられた補助貯球部130の下方に配置される。
【0052】
次に、本実施形態の作用について説明する。
【0053】
本実施形態の貯球タンク42が第1種等の出球が多い機種で用いられる場合は、図6に示すように弁部材138を開放位置にする。
【0054】
パチンコ機10による遊技で、入賞等により賞球払出装置から賞球が払い出されると、図示のように、払出口120から払い出された賞球46Aは貯球タンク42の上面部分に設けられた開口76を通って主貯球部132に落下される(図4の矢印F)。
【0055】
ここで、主貯球部132に遊技球が貯球されていなければ、賞球は、タンク本体底面62Bの下り傾斜方向(図5の矢印SA、SB、SC方向)に転動して開口60を介し下側パネル部材24の排出口31から球受け皿28に排出される(図4の矢印G)。
【0056】
また、大役等により大量の賞球が払い出された場合は、先ず球受け皿28内の貯球タンク42よりも低位となる領域に賞球が貯えられていき、その低位領域がほぼ一杯になると貯球タンク42内の主貯球部132に貯えられていく。主貯球部132では、最下流側となる開口60付近から賞球が貯まり始め、次第に傾斜面部110Aの全域及び上流側の傾斜面部110B、110Cへと貯球されていく。なお、この貯球過程や主貯球部132の貯球量については、前述したように、下側パネル部材24の窓部30を通して視認することができる。
【0057】
ここで、主貯球部132が一杯になると、主貯球部132に収容しきれない賞球は、主貯球部132の上側に位置する補助貯球部130に溢れ出して貯えられていく。この補助貯球部130では、賞球が下流側となる開口77側から貯まり始め、次第に上流側の開口76側へと貯球されていく。
【0058】
そして、この補助貯球部130も賞球で一杯になると、賞球払出装置に設けられたオーバーフロースイッチ(図示省略)が賞球に押され、貯球できない状態になったことが検出されて、賞球の払い出しが一旦停止する。ここで、前述した球抜き操作を遊技者が行うと、球受け皿28内の遊技球(賞球)が球箱34に移されるのに伴い貯球タンク42の主貯球部132から賞球が排出され、補助貯球部130からは賞球が開口77より落下し主貯球部132を経由して排出される。そして、オーバーフロースイッチによる賞球の検出が解除されると、賞球払出装置からの賞球払い出しが再開される。
【0059】
このように、弁部材138を開放位置に配置すると、賞球を補助貯球部130の全域に貯球できるようになって貯球タンク42の貯球容量は多くなる。また、本実施形態の貯球タンク42は、貯球部を主貯球部132及び補助貯球部130の上下2段に構成してタンクの下部側と上部側に貯える賞球を分離しており、これによって、貯球時の球圧が高まることで起こりやすくなるタンク内での球詰まりが防がれている。
【0060】
また、本実施形態の貯球タンク42を第2種等の出球が少ない機種や一回交換営業等の営業方法で用いる場合は、図7に示すように弁部材138を閉塞位置にする。この状態では、弁部材138により補助貯球部130の下流側(一部)が上流側(他部)と仕切られて閉塞される。そのため、開口77を含む補助貯球部130の下流側貯球部(図6の斜線部)には賞球が貯球できなくなり、貯球タンク42の貯球容量は少なくなる。
【0061】
これにより、大役等による大量の賞球払い出しが発生すると、貯球タンク42に貯えきれなくなる賞球数が増え、遊技者はより多くの賞球を球受け皿28から排出して球箱34へ移すことになる。
【0062】
なお、本実施の形態の球受け皿28及び貯球タンク42による貯球構造では、弁部材138を開放した場合の総貯球容量が約680個となり、弁部材138を閉塞した場合の総貯球容量が約500個となる。
【0063】
以上説明したように、本実施の形態に係るパチンコ機10では、貯球タンク42の貯球容量を大容量とした場合は、大役時の出球が多い遊技仕様において十分な貯球が可能となり、小容量とした場合は、大役時の出球が少ない遊技仕様又は一回交換営業等の営業方法において球箱への球排出が一定量確保される。これにより、遊技者に大役時の出球感や優越感を与えることができて遊技の趣向性を向上することができる。
【0064】
また、貯球容量を調整するための手段を弁機構136としたことで構成が簡素化され、貯球容量を調整する操作についても、弁部材138をロック解除し回動させて開放及び閉塞位置に切り替えるだけであり簡単である。さらに、閉塞位置では弁部材138がスライドピン142によりロックされるため、高い球圧を受けても確実に保持される。
【0065】
[第2の実施形態]
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。第2の実施形態は第1の実施形態で説明した弁機構の変形例であり、第1の実施形態と同一構成部については同じ符合を付してその説明を省略する。
【0066】
図8及び図9に示すように、第2の実施形態に係る弁機構156も、タンク蓋64の凹陥部74内、すなわち貯球タンク42の補助貯球部130に配置されている。この弁機構156には矩形板状の弁部材158が設けられており、弁部材158は、長手方向の端部となる前端部及び後端部に一対の軸部160A、160Bが突設され、その一対の軸部160A、160Bが凹陥部74の前壁面74B及び後壁面74Bに形成された孔部にそれぞれ軸支されて、図中の矢印S方向に回動可能とされている。
【0067】
また、凹陥部74の底面74Aには弁部材158との対応部位に開口159が形成されており(図9参照)、この開口159が弁部材158に塞がれた状態では、弁部材158は底面74Aと同一面になる。
【0068】
また、前端部に設けられた軸部160Aには、クランク状とされたレバー部材162の基端部が固着されている。レバー部材162の先端部に設けられたレバー164は、タンク蓋64の前面64Cを貫通した円弧状のガイド溝166に挿通されて前端部がタンク蓋64の前面64Cから突出している。このレバー164を操作することにより、弁部材158の姿勢が略水平から略垂直となる範囲内で切り替えられる構成である。
【0069】
これにより、弁部材158を倒し略水平姿勢として開放位置にすると、補助貯球部130の全域が貯球可能となって貯球タンク42は大容量に構成される。また、弁部材158を起こし略垂直姿勢として閉塞位置にすると、第1の実施形態と同じく、弁部材158により補助貯球部130の下流側が閉塞されて貯球タンク42は小容量に構成される。
【0070】
このような弁機構156によっても貯球容量の調整が可能である。さらに、貯球タンク42がパチンコ機本体16に装着された状態でも弁部材158の位置を切り替えられるため、調整時の作業性も良好となる。
【0071】
以上、本発明を上述した特定の実施形態により詳細に説明したが、本発明はそれに限定されるものではなく、本発明の範囲内にて他の種々の実施形態が可能である。
【0072】
例えば、貯球タンク42の貯球容量を調整する手段としては、第1及び第2実施形態で説明した回動式の弁機構に限らず、これは、弁部材が補助貯球部130内を左右方向、又は前後方向にスライドするスライド式等の他の弁機構としてもよい。また、弁部材等の仕切部材を着脱可能に設けてもよく、あるいは仕切部材に換えて、貯球部の閉塞部分を完全に埋めてしまうブロック状部材やアダプター等を着脱可能に設けてもよい。また、それらスライド式の弁機構や着脱式の部材等を用いる場合は、貯球容量が任意に調整できるため、例えば、大役時の賞球数や営業方法等に応じて貯球容量を複数種類(例えば、第1及び第2実施形態であれば貯球構造の総貯球容量が700個、500個、300個等)に設定することが可能になる。
【0073】
また、第1及び第2実施形態で説明した貯球タンク42においては、貯球容量調整手段を主貯球部132に設けることもできる。また、補助貯球部130については、弁機構により上流側でせき止められた賞球をよりスムーズに開口76内に落下させるため、少なくともその上流側の底面は前側へ大きな下り傾斜を付けてもよい。
【0074】
また、貯球容量調整手段を弁機構等とする場合は、電気的な駆動手段を用いて位置を切り替えることが可能である。さらにその場合は、電気的駆動手段をホール管理コンピュータにより操作し作動させることで、貯球容量を自動的に調整することもできる。
【0075】
また、貯球タンクの構造については、貯球タンク42のように貯球部が2つ(主貯球部132及び補助貯球部130)のものに限らず、3つ以上、あるいは1つのものでもよい。また、複数の貯球部を備える場合の各貯球部の配置については、貯球タンク42のような積層配置に限らず、前後又は左右に隣接配置させてもよい。
【0076】
また、複数の貯球部の区画については、貯球タンク42のように、主貯球部132と補助貯球部130とが開口76、77を介して連通され凹陥部74の底面74Aによって実質的に区画されたものではなく、例えば、連通口に換えて賞球の出入り口を貯球部毎に設けるなどし、各貯球部を完全に区画するような構造でもよい。
【0077】
また、第2の実施形態では、球圧による弁部材158の姿勢変化を防ぐため、例えば、ガイド溝166にレバー164の移動を阻止するためのストッパー部材を嵌め込むなどとしたストッパー構造や、タンク蓋64の前面64C内部に前後方向にスライドして弁部材158の前端部を保持及び保持解除するようなロック機構等を設けてもよい。
【0078】
また本発明は、着脱可能とされた貯球タンクに限らず、パチンコ機本体内に固定的に設けられた貯球タンクにも適用することができる。
【0079】
【発明の効果】
本発明のパチンコ機は上記構成としたので、遊技仕様や営業方法等が変わっても球箱への球排出が一定量確保されて遊技の趣向性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るパチンコ機を示した斜視図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係るパチンコ機本体の概略構成を示した正面図である。
【図3】本発明の第1の実施形態に係るパチンコ機本体のファール球回収部付近を拡大した斜視図である。
【図4】本発明の第1の実施形態に係る貯球タンクを示した斜視図である。
【図5】本発明の第1の実施形態に係る貯球タンクのタンク蓋が開けられた状態を示した斜視図である。
【図6】本発明の第1の実施形態に係る貯球タンクを示した平面図であり、貯球タンクが大容量に構成された状態である。
【図7】本発明の第1の実施形態に係る貯球タンクを示した平面図であり、貯球タンクが小容量に構成された状態である。ある。
【図8】本発明の第2の実施形態に係る貯球タンクを示した斜視図である。
【図9】本発明の第2の実施形態に係る貯球タンクを示した平面図である。
【符号の説明】
10 パチンコ機
16 パチンコ機本体
28 球受け皿
42 貯球タンク
46A 賞球(遊技球)
130 補助貯球部(複数の貯球部)
132 主貯球部(複数の貯球部)
136 弁機構(貯球容量調整手段)
138 弁部材(貯球容量調整手段/仕切部材)
156 弁機構(貯球容量調整手段)
158 弁部材(貯球容量調整手段/仕切部材)
Claims (3)
- パチンコ機本体内に設けられパチンコ機本体から払い出された遊技球を球受け皿へ案内するとともにその球受け皿に貯え切れない余剰分の前記遊技球が貯球される貯球タンクと、
前記貯球タンクに設けられ前記遊技球の貯球容量を調整する貯球容量調整手段と、
を有することを特徴とするパチンコ機。 - 前記貯球タンクは相互に区画された複数の貯球部を有し、その複数の貯球部の少なくとも一つに前記貯球容量調整手段が設けられていることを特徴とする請求項1記載のパチンコ機。
- 前記貯球容量変更調整手段は、前記貯球タンクの一部を開放する開放位置とこの一部を他部と仕切って閉塞する閉塞位置とに変位可能な仕切部材であることを特徴とする請求項1又は請求項2記載のパチンコ機。
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