JP2004144778A - 静電荷現像用トナーに用いられる着色粒子の製造方法及びトナー - Google Patents

静電荷現像用トナーに用いられる着色粒子の製造方法及びトナー Download PDF

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Abstract

【課題】顔料濃度を上げても分散性を維持でき、しかも環境性や保存性が高く、有害な有機溶剤や排水処理のいらない環境負荷の少ない製造方法で静電荷現像用トナーに用いられる着色粒子を提供する。
【解決手段】少なくとも結着樹脂と着色剤を予め溶融混練し、次に該溶融混練物を超臨界流体あるいは亜臨界流体中に投入後、加熱攪拌し該溶融混練物を分散し、その後減圧することで、超臨界流体あるいは亜臨界流体中から着色粒子を取り出す。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真プロセスやイオンフロー方式により、像担持体上に形成された静電潜像を現像するためのトナーに用いられる着色粒子及びその製造方法と製造装置に関わる。
【0002】
【従来の技術】
電子写真に用いられるトナーは、昨今の高精細画像及び低消費量化の要求を満たすべく、小粒径や高顔料濃度化の方向にあり、一般に平均粒径が5〜15μm及び顔料濃度が5〜10重量%程度の微粒子として得られる。
【0003】
このような微粒子の製造方法としては、樹脂や顔料等を溶融混練した後、機械的に粉砕するいわゆる溶融混練粉砕法が一般的である。溶融混練粉砕法は溶融混練時に顔料に対し高シュアを付与できるため顔料の分散性は高めることができるが、機械的な粉砕のため、小粒径になる程所望のトナーを得るまでの設備工程が繁雑で、コスト面で割高になるばかりでなく、得られた粒子の形状も不定形で流動性や保存性に劣る、顔料やワックスが表面に出てくるため帯電安定性や保存性が劣る、などの欠点を有していた。
【0004】
一方、近年懸濁重合や乳化重合凝集法などの重合法と呼ばれるトナーの製造方法が提案されている。重合法は小粒子径化や真球から異形まで製造できるため保存性、また、水中で作製するため、疎水性の顔料やワックスを内包できるため帯電安定性や保存性の点で有利な製法である。しかしながら、造粒時に重合を伴うため樹脂がアクリル系樹脂に限定さたり、親水性の乳化剤や分散安定剤を使用するために、トナーの環境依存性や製造時の廃水処理の問題等があった。
【0005】
また、造粒時に重合を伴わない方法として液中乾燥法がある。液中乾燥法で作製されたトナーは重合法では作製できないポリエステル系の樹脂でも作製可能であるが、重合法と同じ排水処理の問題や樹脂を溶解するための溶剤を用いることによる環境への悪影響や操作が煩雑などの問題があった。
【0006】
本発明の目的は、上述した問題を解決する静電荷現像用トナーに用いられる着色粒子の製造方法を提供することにある。
【0007】
一方、特許文献1には超臨界流体を用いて微粒子を作製する方法を提案している。この方法はあくまでトナーに外添される微粒子を製造する方法であって、顔料を複合化させたトナーの製法については、何ら記載されていない。
【0008】
本発明者らは、樹脂と顔料を超臨界流体中に配合後、減圧することにより樹脂が析出し顔料を内包化したトナーが製造できることを見出し、特許文献2に新規なトナー製法として提案している。
【0009】
超臨界流体は常圧では気体であるために乾燥工程や排水処理も不用である。また、超臨界流体に炭酸ガスを用いれば有害な有機溶剤を用いることがないため、環境にも優しい製法である。更に、造粒時に重合を伴わないためポリエステル系の樹脂等でも製造可能である。また、得られる粒子の形状も真球形から略球形であるため、保存性の面でも有利であるなど、従来のトナーの問題点を解決することができる製法である。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、この超臨界流体を用いる方法では、顔料と樹脂が同時に析出するため、分散性を維持し造粒するには限界があった。特に、従来よりも高い量の顔料を複合化させようと思うと顔料の分散性が維持できないという問題があった。
顔料の濃度及び分散性はトナー消費量や光学特性等に悪影響を及ぼすため、早期の解決が望まれていた。
【0011】
【特許文献1】
特開平10−133417号公報
【特許文献2】
特開2001−312098号公報
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、鋭意研究した結果、超臨界流体あるいは亜臨界流体を利用するトナーに用いられる着色粒子製造方法及び製造装置において特定の工程を採用することによって上記課題が解決されることを見出し、本発明に至った。
【0013】
本発明の着色粒子の製造方法は、以上の課題を解決するために、少なくとも結着樹脂と着色剤を予め溶融混練し、次にその溶融混練物を超臨界流体あるいは亜臨界流体中に投入後、加熱攪拌し溶融混練物を分散、その後減圧することで、超臨界流体あるいは亜臨界流体中からトナーを取り出すことを特徴とする。
【0014】
予め樹脂と顔料を溶融混練することで、顔料の分散性を高くすることができる。この溶融混練物を超臨界流体中で分散することで小粒子径、かつ分布の狭いトナーを得ることができる。超臨界流体は減圧することで気体に変化するため洗浄・乾燥工程を必要としないため、簡便な方法でトナーを製造することができる。
【0015】
また、本発明の着色粒子の製造方法においては、少なくとも結着樹脂と着色剤を予め溶融混練し、次にその溶融混練物を超臨界流体あるいは亜臨界流体中に投入後、加熱攪拌し溶融混練物を分散後、減圧しトナーを取り出し際に、超臨界流体あるいは亜臨界流体中からトナーを取り出す前までに、超臨界流体あるいは亜臨界流体中に溶解する樹脂を配合しておくことが好ましい。超臨界流体あるいは亜臨界流体中樹脂を溶解時に溶解した樹脂は、減圧することで、不溶化し溶融混練物を分散した粒子の表面に析出することで、顔料やワックスを複合化したカプセル構造のトナーを作製することができる。
【0016】
また、本発明の着色粒子の製造方法は、溶融混練時にワックスを加えることが好ましい。溶融混練時にワックスを配合することで、ワックスを所定の粒度まで微粒化できるとともに、粒子内部に位置することで、保存安定性への悪影響を抑制できる。
【0017】
また、本発明の着色粒子の製造方法においては、超臨界流体あるいは亜臨界流体中に帯電制御剤を含有させることが好ましい。帯電制御剤を超臨界流体あるいは亜臨界流体中に加えることでトナー表面近傍に局在化させることが可能となり、少量で帯電性の高いトナーを得ることができる。
【0018】
更に、本発明の着色粒子の製造方法においては、超臨界流体あるいは亜臨界流体は、二酸化炭素であることが好ましい。二酸化炭素は臨界点が約31℃と比較的低く、樹脂と少し親和することで樹脂を軟化させることができる。そのため、比較的低温で製造でき、製造エネルギーコストが少なく環境に優しい方法で着色粒子を提供できる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を詳細に説明する。
【0020】
本発明のトナーに用いられる着色粒子の製造方法は少なくとも結着樹脂と着色剤を予め溶融混練し、次にその溶融混練物を超臨界流体あるいは亜臨界流体中に投入後、加熱攪拌し溶融混練物を分散、その後減圧することで、超臨界流体あるいは亜臨界流体中からトナーに用いられる着色粒子を取り出す方法である。
【0021】
本発明に用いる混練機は特に限定はないが、例えば二軸押し出し機、三本ロール、ラボブラストミル等の一般的な混練機を用いることができ、TEM−100B(東芝機械製),PCM−65/87(池貝製)等の1軸、もしくは、2軸のエクストルーダー、あるいは、ニーディックス(三井鉱山社製)などのオープンロール方式のものを挙げることができる。その中でも、特に溶融混練操作においては、添加剤を効率よく分散させるために、溶融時の樹脂粘度が下がりすぎないよう低温度での高シェア混練が望ましく、特にオープンロール方式のものなどが望ましい。
【0022】
次に、その溶融混練物を超臨界流体あるいは亜臨界流体中に投入する。ここで、超臨界流体あるいは亜臨界流体とは、物質の温度・圧力をある一定条件(臨界点)以上に設定すると、気相と液相とでの密度が等しい状態の流体となり、この臨界点近傍以上の温度・圧力下での流体が超臨界流体と呼ばれおり、また、超臨界点未満であっても、臨界点に近い条件でも超臨界流体に近い状態となり、このような流体を亜臨界流体と呼ぶ。
【0023】
超臨界流体あるいは亜臨界流体(以下の、超臨界流体の記載では、特に断らないかぎり亜臨界流体も含むものとする)中では、気体の性質と液体の性質がともに現れる。例えば、密度は液体に近く(気体の数100倍程度)、粘度は気体に近く(液体の1/10ないし1/100程度)、拡散係数も液体の1/10ないし1/100程度、熱伝導度は液体に近い(気体の100倍程度)とすることができる。
【0024】
このように超臨界流体は通常の液体に比べ熱電導性は同じだが、粘度が低くいため、高融点高粘度の溶融混練物を分散する点において非常に優れている。また、減圧により容易に気体に変化するために、乾燥性の点でも格段に優れている。
【0025】
ここで、超臨界流体として使用可能な物質として、例えば、CO、N、CH、C、CFH、NH、CFCl、CHOH、COH、HO等が挙げられる。これらの中で、前述したように、臨界点が比較的低く、安全性の点でCOが最も好適に用いることができる。
【0026】
樹脂の溶解性を向上あるいは樹脂の粘性を低下させる目的で、超臨界流体中に助溶剤を用いることができる。この時用いることができる助溶媒としては、例えばアルコール類(メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール等)や、ケトン類(メチルエチルケトン、アセトン、シクロヘキサノン等)や、エーテル類(ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等)、炭化水素類(トルエン、ベンゼン、シクロヘキサン等)や、エステル類(酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルアセテート、アルキルカルボン酸エステル等)や、ハロゲン化炭化水素類(クロロベンゼン、ジクロロメタン等)などがある。これらの中で、溶媒によるトナー粒子の変性の抑制や環境への負荷低減の観点からアルコール類が好適であり、その中でもエタノールが最も好適に用いることができる。
【0027】
前記溶融混練物中に含まれる樹脂成分としては、熱可塑性で超臨界流体中で溶解しなければ特に限定されない。例えば、ポリスチレン、スチレン/ブタジエン共重合体、スチレン/アクリル共重合体などのスチレン系樹脂や、ポリエチレン、ポリエチレン/酢酸ビニル共重合体、ポリエチレン/ビニルアルコール共重合体などのエチレン系樹脂、ポリメチルメタクリレートなどのアクリル系樹脂、また、フェノール系樹脂、エポキシ系樹脂、アリルフタレート系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリエーテル系樹脂、マレイン酸系樹脂等を用いることができる。
【0028】
また、一般に着色剤成分としてはブラック色、シアン色、マゼンタ色、イエロー色の内の何れかの色の顔料が含まれていればよい。
【0029】
ブラック顔料としては、カーボンブラック、酸化銅、二酸化マンガン、アニリン・ブラック、活性炭、非磁性フェライト、磁性フェライト、マグネタイトなどが例示される。
【0030】
青色顔料としては、紺青、コバルトブルー、アルカリブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキが例示される。
【0031】
マゼンタ顔料としては、ベンガラ、カドミウムレッド、鉛丹、硫化水銀、カドミウム、パーマネントレッド4R、リソールレッド、ピラゾロンレッド、ウオッチングレッド、カルシウム塩、レーキレッドC、レーキレッドD、ブリリアントカーミン6B、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、アリザリンレーキ、ブリリアントカーミン3Bなどがある。
【0032】
黄色顔料としては、黄鉛、亜鉛黄、カドミウムイエロー、黄色酸化鉄、ミネラルファストイエロー、ニッケルチタンイエロー、ネーブルイエロー、ナフトールイエローS、ハンザイエローG、ハンザイエロー10G、ベンジジンイエローG、ベンジジンイエローGR、キノリンイエローレーキ、パーマネントイエローNCG、タートラジンレーキなどがある。
【0033】
超臨界流体中に樹脂粒子を安定に分散させるために分散安定化剤を用いても良い。分散安定化剤としては特に限定されないが、フッ素系樹脂、シリコーン系樹脂、エポキシ系樹脂、ウレタン系樹脂が挙げられる。配合量としては特に限定はないが、好ましくは10重量%以下、より好ましくは5重量%以下が望ましい。10重量%を越えると粉体性能としての保存安定性等への問題がある。
【0034】
本発明では溶融混練時にワックスを加えることが好ましい。ワックスとしては特に限定はないが、例えば、パラフィンワックス、酸化パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックスなどのような石油ワックス、モンタンワックスなどのような鉱物ワックス、みつろう、カルナバワックスなどのような動植物ワックス、ポリオレフィンワックス(ポリエチレン、ポリプロピレンなど)、酸化ポリオレフィンワックス、フィッシャートロプシュワックスなどのような合成ワックス等が挙げられる。これら離型剤は単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0035】
超臨界流体中に配合することが好ましい帯電制御剤としては、低分子化合物から高分子化合物まで種々の物質が使用できる。例えば、4級アンモニウム塩化合物、ニグロシン系化合物、有機金属錯体、キレート化合物、アミノ基を有するモノマーを単独重合、あるいは、共重合させた高分子化合物等が挙げられる。これら帯電制御剤は単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0036】
次に、本発明の着色粒子を作製するための製造装置を説明する。トナーを作製するための製造装置としては、例えば図1に示すにような構成が挙げられる。まず、超臨界流体とする物質が充填されたガスボンベ1より、反応容器7に向けガスが供給される。このガスは加圧ポンプ2により所望の圧力に高められる。また、助剤3も同様に加圧ポンプ4で所望の圧力まで高められる。これら高圧ガスや助剤3はバルブ5、6を介して反応容器7に送られる。このとき、図示しないが、予熱コイル等で高圧ガスを所望の温度近くまで温調してもよい。また、反応容器7へ導入する前に、超臨界ガスと助剤3とを図示していないが予め別の容器中で混合しておいてもよい。
【0037】
反応容器7中には、溶融混練成分14と帯電制御剤15(場合によりカプセル用樹脂16と分散安定剤17)を封入しておき、この反応容器7は例えばヒーター8やあるいは図示していないが恒温水槽等で所望の温度となるよう構成されている。また、前記のバルブ5、6により、反応容器7内は所望の圧力となるように調整される。これら温度、圧力は温度計12、圧力計13によりモニターされる。このようにして反応容器7中には超臨界状態となった超臨界流体18、助剤3、溶融混練成分14と帯電制御剤15(場合によりカプセル用樹脂16と分散安定剤17)が混合された状態となる。このとき、攪拌装置19にて反応容器7内を所定の粒子径になるまで攪拌を行う。
【0038】
その後、図1に示す減圧バルブ9を開くことによって、着色粒子11は粒子捕集箱10及び反応容器7中にて採取される。
【0039】
【実施例】
以下、実施例により、本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらにより何ら限定されるものではない。
【0040】
「トナーの特性評価」
トナー粒子の粒子径及び分布はレーザー回折式粒径測定装置(LA−920;堀場製作所社製)で測定した体積平均粒子径及び変動係数である。変動係数が28%以下ならば分布が狭いと判断した。
【0041】
形状は反射型電子顕微鏡観察(SEM)により25個のトナーの短径と長径の比の平均値を形状係数として測定した。形状係数 = 短径/長径で表され、0.95以上を真球に近い値と判断した。
【0042】
また、顔料分散性はトナーを樹脂包埋後、薄膜切片の透過型電子顕微鏡観察(TEM)により、トナー粒子10個中の顔料分散径の最大値を目視確認した。最大径が0.7μm以下であれば分散性が良好と判断した。
【0043】
[溶融混練物≪P−1≫の作成]
スチレン−アクリル系樹脂(MW=22500・軟化点=129℃)178重量部に、カーボンブラック(キャボット社製;MOGAL−L)22重量部、の割合の原材料をヘンシェルミキサーに投入、10分間混合した原材料混合物を、三井鉱山(株)製ニーディクスMOS140−800で130℃以下で溶融混練分散させ、ブラック色の溶融混練物≪P−1≫を得た。
【0044】
[溶融混練物≪P−2≫及び≪P−3≫の作成]
ポリエーテル樹脂;TPO−349(三井化学(株)社製;軟化点=121℃)170重量部に、フタロシアニン顔料(Fastogen Blue 5415;大日本インキ化学製造社製)20重量部、ポリプロピレンワックス10重量部の割合の原材料をヘンシェルミキサーに投入、10分間混合した原材料混合物を、三井鉱山(株)製ニーディクスMOS140−800で130℃以下で溶融混練分散させ、シアン色の溶融混練物≪P−2≫を得た。
【0045】
樹脂と顔料をそれぞれポリエステル樹脂;EP208(三洋化成工業(株)社製;軟化点=117℃)及びイエロー顔料(Fast Yellow 7410;三洋色素社製)にし≪P−2≫と同条件で溶融混練分散させ、イエロー色の溶融混練物≪P−3≫を得た。
【0046】
[トナー粒子≪T−1≫の作製]
櫛歯型羽を有する攪拌機・ヒーター・温度及び圧力モニターが組み込まれた1000mlの高圧反応容器に溶融混練物≪P−1≫150重量部およびポリウレタン系の樹脂(BYK−182;ビックケミー社製)3重量部を投入した。ヒーター温度を120℃に設定および密閉した後、100RPMで攪拌しつつ炭酸ガスを加圧ポンプにより圧力が15MPaになるまで供給した。その後、エタノール350mlを供給した後、設定温度を95℃に変更し内温が90℃になるまで攪拌した。その時の反応容器内の圧力は24MPであった。その後1800RPMに攪拌速度を上げて約1h分散を行った。その後、減圧バルブを開放し反応容器内の混合物を粒子採取箱内に排出することでトナー粒子≪T−1≫を回収した。得られた粒子の平均粒子径は7.5μm、変動係数は22で分布が狭く、形状係数は0.98でほぼ球形、顔料最大粒度が0.52μmで分散性も高かった。
【0047】
[トナー粒子≪T−2≫及び≪T−3≫の作製]
櫛歯型羽を有する攪拌機・ヒーター・温度および圧力モニターが組み込まれた1000mlの高圧反応容器に溶融混練物≪P−2≫150重量部およびフッ素系の樹脂3重量部を投入した。ヒーター温度を130℃に設定および密閉した後、100RPMで攪拌しつつ炭酸ガスを加圧ポンプにより圧力が25MPaになるまで供給した。設定温度を85℃に変更し内温が80℃になるまで攪拌した。その後2000RPMに攪拌速度を上げて約1h分散を行った。その後、減圧バルブを開放し反応容器内の混合物を粒子採取箱内に排出することでトナー粒子≪T−2≫を回収した。得られた粒子の平均粒子径は6.8μm、変動係数は24で分布が狭く、形状係数は0.99でほぼ球形、顔料最大粒度が0.49μmで分散性も高かった。
【0048】
スチレン−アクリル系樹脂(ST/NBMA/GMA=30/20/50;MW=33500・軟化点=130℃)10部、サリチル酸アンモニウム(帯電調製剤)2重量部及びエタノール350mlを高圧反応容器中に配合した以外は≪T−1≫のトナー作製例と同様の方法でカプセル型のトナー粒子≪T−3≫を得た。得られた粒子の平均粒子径は6.5μm、変動係数は26で分布が狭く、形状係数は0.96でほぼ球形、顔料最大粒度が0.62μmで分散性も高かった。
【0049】
[トナー粒子≪T−4≫及び≪T−5≫の作製]
櫛歯型羽を有する攪拌機・ヒーター・温度および圧力モニターが組み込まれた1000mlの高圧反応容器に溶融混練物≪P−3≫150重量部およびフッ素系の樹脂4重量部を投入した。ヒーター温度を130℃に設定および密閉した後、100RPMで攪拌しつつ炭酸ガスを加圧ポンプにより圧力が25MPaになるまで供給した。内温120℃になるまで攪拌した。設定温度を85℃に変更し内温が80℃になるまで攪拌した。その後2000RPMに攪拌速度を上げて約1h分散を行った後、減圧バルブを開放し反応容器内の混合物を粒子採取箱内に排出することでトナー粒子≪T−4≫を回収した。得られた粒子の平均粒子径は6.9μm、変動係数は25で分布が狭く、形状係数は0.98でほぼ球形、顔料最大粒度が0.56μmで分散性も高かった。
【0050】
得られたトナー粒子≪T−4≫100重量部とポリエステル系樹脂;FZ−100(MW=33500・軟化点=130℃)8重量部、サリチル酸アンモニウム(帯電調製剤)2重量部及びエタノール300mlを高圧反応容器中に配合し密閉した。その後、200RPMで攪拌しつつ炭酸ガスを加圧ポンプにより圧力が25MPaになるまで供給した。その時の高圧容器内の温度は50℃を維持した。約1h攪拌を行った後、減圧バルブを開放し反応容器内の混合物を粒子採取箱内に排出することでカプセル型のトナー粒子≪T−5≫を得た。得られた粒子の平均粒子径は6.9μmで、単一ピーク分布でほぼ球形であった。得られた粒子の平均粒子径は7.9μm、変動係数は23で分布が狭く、形状係数は0.99でほぼ球形、顔料最大粒度が0.68μmで分散性も高かった。
【0051】
【発明の効果】
本発明のトナーに用いられる着色粒子の製造方法においては、結着樹脂と着色剤を予め溶融混練するために、顔料濃度を上げても分散性を維持できる。また、溶融混練物を超臨界流体あるいは亜臨界流体中に投入後、加熱攪拌し溶融混練物を分散するために、球形でしかも樹脂中に顔料が複合化されているために環境性や保存性が高く、有害な有機溶剤や排水処理のいらない環境負荷の少ない製造方法で静電荷現像用トナーを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のトナー製造に用いるトナー製造装置の模式図である。
【符号の説明】
1;ガスボンベ、2;加圧ポンプ、3;高圧ガスやエントレーナー(添加助剤)、4;加圧ポンプ、5,6;バルブ、7;反応容器、8;ヒーター、9;減圧バルブ、10;粒子補修箱、11;トナー粒子、12;温度計、13;圧力計、14;溶融混練成分、15;帯電制御材、16;カプセル用樹脂、17;分散安定剤、18;超臨界状態となった超臨界流体、19;攪拌装置。

Claims (6)

  1. 少なくとも結着樹脂と着色剤を予め溶融混練し、次に該溶融混練物を超臨界流体あるいは亜臨界流体中に投入後、加熱攪拌し該溶融混練物を分散させ、その後減圧することで、超臨界流体あるいは亜臨界流体中から着色粒子を取り出すことを特徴とする静電荷現像用トナーに用いられる着色粒子の製造方法。
  2. 超臨界流体あるいは亜臨界流体中に溶解する樹脂を更に配合することを特徴とする請求項1記載の静電荷現像用トナーに用いられる着色粒子の製造方法。
  3. 前記溶融混練時にワックスを加えることを特徴とする請求項1又は2に記載の静電荷現像用トナーに用いられる着色粒子の製造方法。
  4. 前記超臨界流体あるいは亜臨界流体中に帯電制御剤を含有させることを特徴とする請求項1ないし3の何れかに記載の静電荷現像用トナーに用いられる着色粒子の製造方法。
  5. 前記超臨界流体あるいは亜臨界流体は、二酸化炭素であることを特徴とする請求項1ないし4の何れかに記載の静電荷現像用トナーに用いられる着色粒子の製造方法。
  6. 請求項1ないし5の何れかに記載の方法で製造された静電荷現像用トナー。
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