JP2004144135A - 滑り部材及びその製作方法 - Google Patents

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Shiro Ichikawa
市川 士郎
Toshinao Kawai
河合 俊直
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Abstract

【課題】滑り面の摩擦係数を無段階的に且つ正確に制御することができ、耐久性及び信頼性に極めて優れた滑り部材を提供すると共に、この滑り部材を容易且つ高精度に製作することができる方法を提供する。
【解決手段】滑り部材1は、多孔質構造をなす基体2の表面たる滑り面3を、これに部分的に潤滑剤4を含浸させることにより、潤滑剤4が含浸された潤滑剤含浸部分3aと潤滑剤4が含浸されていない非潤滑剤含浸部分3bとで構成して、滑り面3全体における潤滑剤含浸部分3aの占める面積比率を調整することにより、滑り面3の摩擦係数を制御するようにしたものである。この滑り部材1は、滑り面3に、その一部を除いてマスキング6を施した上で、潤滑剤4を含浸させることにより、製作される。
【選択図】    図4

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、免震装置の滑り支承や軸受け等に使用される滑り部材に関するものであり、特に、用途や使用条件に応じて摩擦係数を無段階的に制御することができる滑り部材とその製作方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
例えば、建築物の免震装置には、上部構造(建築物本体)の下面に取り付けた平板状の滑り部材と下部構造(建築物基礎)の上面に取り付けた平板状の滑り部材とを水平方向に相対滑動自在に面接触させてなる滑り支承が使用されているが、かかる滑り支承に必要とされる摩擦係数は一定ではなく、その使用条件によって区々であり、使用条件に応じた適正な摩擦係数を確保しておく必要がある。例えば、上部構造が小型の軽量物であったり、建築物が大きな風荷重を受けるような場所に設置されるものである場合には、摩擦係数が過小であると、地震が発生しないときにも上部構造が横揺れする虞れがある。逆に、摩擦係数が過大であると、地震時水平力を吸収しうるに充分な滑り機能が発揮されない。
【0003】
このように、滑り支承等に使用される滑り部材の摩擦係数つまり相手部材と面接触する滑り面(滑り部材表面)の摩擦係数は、用途や使用条件に応じて制御しておく必要がある。
【0004】
そこで、従来からも、図8(A)に示す如く、滑り面13に複数の凹部11aを形成すると共に各凹部11aに潤滑油等の潤滑剤14を充填,保持させてなる滑り部材11が提案されている。
【0005】
かかる滑り部材(以下「従来滑り部材」という)11にあっては、滑り面13に潤滑剤4を充填した凹部11aが開口されていることから、相手部材15の接触面15aは、凹部11aの開口部に対向する個所において潤滑剤14と接触することになる。すなわち、相手部材15との接触形態において、滑り面13は、実質的に、潤滑剤4で構成される潤滑部分(凹部11aが開口されている部分であって、潤滑剤4が相手部材15に接触している部分)13aと滑り部材11の構成材(例えば、低摩擦性樹脂)で構成された非潤滑部分(凹部11aが開口されていない部分)13bとで構成されることになる。そして、相手部材15と潤滑部分13aとの間の摩擦係数は相手部材15と非潤滑部分13bとの間の摩擦係数よりも小さいことから、滑り面13全体の摩擦係数は、凹部11aが形成されておらず滑り面13全体が非潤滑部分13bで構成されている場合に比して低減されることになり、その低減程度は、滑り面13における全潤滑部分13aが占める割合(面積比率)が大きくなるに従い増大する。したがって、潤滑部分13aの面積比率を調整することにより、つまり凹部11aの数及び開口面積を調整することにより、滑り面13の摩擦係数を無段階的に制御することが可能となる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来滑り部材11にあっては、複数の凹部(有底孔)11aを形成することによる強度低下は回避することができず、凹部11aの形成された部分とそうでない部分とで強度差が大きいこと(滑り部材全体としての強度分布が不均一となること)とも相俟って、外力による変形が生じ易く、耐久性に問題がある。
【0007】
また、理論的には、上述する如く潤滑部分13aの面積比率を調整することにより摩擦係数を無段階的に制御することが可能であるが、現実的には、上記強度上の問題から、隣接する潤滑部分13a,13aの間隔(隣接凹部11a,11aの間隔)や各凹部11aの開口面積が制限されることから、摩擦係数制御を狭い範囲で有段階的に行いうるにすぎない。
【0008】
また、従来滑り部材11にあっては、相手部材15との滑り動作が繰り返されることにより、凹部11aの開口周縁部11bが図8(B)に示す如く変形して、当該凹部11aの開口面積つまり潤滑部分13aの面積が変化することになる。すなわち、滑り面13全体における潤滑部分13aの面積比率によって決定される摩擦係数が変化することになる。したがって、予め設定された摩擦係数を長期に亘って維持することができず、安定した滑り機能を発揮できない。
【0009】
さらに、建築物の免震装置における滑り支承の如く、両部材11,15間に大きな鉛直荷重が作用するような場合には、初期の段階(滑り支承の構築時)において、当該荷重による滑り部材11の圧縮変形に伴い潤滑剤14が一部が凹部11aの開口部からその周辺に滲出して、図8(C)に示す如く、滲出潤滑剤14aが非潤滑部分13bをも潤滑することになる。すなわち、滑り面13に凹部11aが形成されていることから、凹部11a,11a間の部分(非潤滑部分3b)が圧縮変形されて、凹部11a内の潤滑剤14が部材11,15間に押出されることになり、部材11,15間に滲出潤滑剤14aによる潤滑膜が形成されることになる。したがって、滑り面13の摩擦係数が、潤滑部分13aの面積比率によって設定された値より低くなり、結果的に、潤滑部分13aの面積比率による摩擦係数制御を有効に行い得ない。すなわち、摩擦係数制御を適正且つ正確に行うことは、現実的に不可能である。
【0010】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたもので、従来滑り部材11における上記した問題を解決して、滑り面の摩擦係数を適正且つ正確に制御することができ、長期に亘って安定した滑り機能を発揮しうる信頼性の高い滑り部材を提供すると共に、かかる滑り部材を好適に製作することができる方法を提供することを目的とするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記の目的を達成すべく、第1に、多孔質構造をなす基体の表面たる滑り面を、これに部分的に潤滑剤を含浸させることにより、潤滑剤が含浸された潤滑剤含浸部分と潤滑剤が含浸されていない非潤滑剤含浸部分とで構成して、滑り面全体における潤滑剤含浸部分の占める面積比率を調整することにより、滑り面の摩擦係数を制御するようにしたことを特徴とする滑り部材を提案する。
【0012】
また、本発明は、第2に、多孔質構造をなす基体の表面たる滑り面に、当該滑り面の一部を除いてマスキングを施した上で、潤滑剤を含浸させることにより、滑り面が潤滑剤を含浸させた潤滑剤含浸部分と潤滑剤を含浸させない非潤滑剤含浸部分とで構成された滑り部材を得るようにしたことを特徴とする滑り部材の製作方法を提案する。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、図1〜図7に基づいて説明する。
【0014】
図1〜図4は、本発明を建築物の免震装置に使用される滑り支承Cを構成する滑り部材1に適用した例を示すものである。
【0015】
免震装置は、図1に示す如く、建築物本体である上部構造Aと建築物の基礎に設けられた下部構造Bとの間に複数の滑り支承C及び減衰手段たるダンパDを配設してなる。なお、ダンパDは、両構造A,Bの地震時水平力による水平方向の相対移動範囲を減衰規制する共に地震後に両構造A,Bを原位置に復帰させるためのものである。
【0016】
各滑り支承Cは、図1及び図2に示す如く、下部構造Bの上面部に水平に固定された円形平板状の滑り部材1と上部構造Aの下面部に水平に固定された円形平板状の相手滑り部材5とを水平方向に相対滑動自在に面接触させてなるが、滑り部材1は、本発明に従って、次のように構成されている。
【0017】
滑り部材1は、図2に示す如く、多孔質構造をなす基体2の表面である滑り面3を、これに部分的に潤滑剤4を含浸させることにより、潤滑剤4が含浸された潤滑剤含浸部分3aと潤滑剤4が含浸されていない非潤滑剤含浸部分3bとで構成してなる。なお、滑り部材1の下部構造Bへの固定は、滑り部材1の下面部を下部構造Bに設けた凹部Eに嵌合させることにより行われている。また、相手滑り部材5は、滑り部材1と同様構造をなすものであってもよいが、この例ではステンレス鋼鈑で構成されており、滑り部材1との接触面(相手滑り面)5aは、両滑り部材1,5がダンパDによって許容される範囲において最大量相対滑動したときにも、滑り部材1の滑り面3が全面的に接触するように、滑り面3より所定量大面積とされている。
【0018】
基体2は、滑り支承Cに作用する鉛直荷重(積載荷重)に耐え得る機械的強度(一般には、900MPa以上の圧縮弾性率を有することが好ましい)を有する低摩擦性材で多孔質構造に構成されたものであり、例えば、芳香族ポリエステルを含有する四フッ化エチレン樹脂(PTFE)からなる多孔質板で構成される。この例では、基体2は、PTFE及び芳香族ポリエステル並びに必要に応じて適宜の充填材(例えば、グラファイト、グラスファイバー、二硫化モリブデン、チタン酸カリウム及びブロンズから選択される1種又は複数種)を混合し、その混合物(PTFE組成物)を所定形状に成形,焼成することによって多孔質板を得た上、その多孔質板の表面を機械加工による切削又は研磨により滑り面13となすことによって得られたものである。なお、PTFE組成物に含有される芳香族ポリエステルとしては、芳香族基を有するポリエステルであればよく、p−ヒドロキシ安息香酸ホモポリマー等が好適する。また、芳香族ポリエステルはPTFE組成物の焼成体を多孔質構造となすために含有されるものであるが、芳香族ポリエステルの含有量が10mass%未満であると、潤滑剤4を良好に含浸させるに必要な多孔質構造を得ることが困難であると共に、900MPa以上の圧縮弾性率を得ることができないし、芳香族ポリエステルが35mass%を超えると、多孔性の度合(空隙率)が必要以上に高くなり、免震滑り支承Cにおける高荷重(例えば、200Kgf/cm以上)に耐え得るに充分な機械的強度を得ることが困難である。したがって、免震滑り支承Cの滑り部材1として好適に使用できる機械的強度及び多孔質構造の基体2を得るためには、芳香族ポリエステルの含有量を10〜35mass%(より好ましくは15〜20mass%)としておくことが好ましい。
【0019】
また、潤滑剤4としては、多孔質構造の滑り面3に含浸させうるものであればよく、流動性を有する液状剤,半固形状剤,固形状剤(液状剤を滑り面3に含浸させた後に乾燥固化させたものを含む)が使用される。例えば、シリコンオイルや一般に離型剤として使用されているもの等が使用され、一般的には、流動可能なポリシロキサンを使用することが好ましい。すなわち、比較的低分子量の液状ポリシロキサンであるジメチルポリシロキサン,メチルハイドロジェンポリシロキサン,メチルメトキシポリシロキサン等やこれよりもやや高分子量のワックス状のポリシロキサンであるジメチルポリシロキサン,メチルフェニルポリシロキサン,長鎖アルキル変性シリコン,トリフルオロプロピルメチルポリシロキサン等を単独又は組み合わせて使用することが好ましい。
【0020】
而して、滑り部材1にあっては、滑り面3が潤滑剤4が含浸された潤滑剤含浸部分3aと潤滑剤4が含浸されていない非潤滑剤含浸部分3bとで構成されていて、相手部材5と潤滑剤含浸部分3aとの間の摩擦係数は相手部材15と非潤滑剤含浸部分3bとの間の摩擦係数よりも小さくなっていることから、滑り面3全体の摩擦係数は、潤滑剤4が全く含浸されていない場合(滑り面3全体が非潤滑剤含浸部分3bで構成されている場合)に比して低減されることになり、その低減程度は、滑り面3において全潤滑剤含浸部分3aが占める割合(面積比率)ξが大きくなるに従い増大し、逆に面積比率が小さくなるに従い減少する。したがって、全潤滑剤含浸部分3aの面積比率つまり滑り面13における潤滑剤4の含浸総面積を調整することにより、滑り面3の摩擦係数を無段階的に制御することができ、所望する摩擦係数を的確に得ることができる。
【0021】
ところで、潤滑剤含浸部分3bは、一般には、滑り面3全体に均等又は略均等に分布するように形成しておくことが好ましいが、その形成パターンは任意であり、例えば、図3(A)〜(C)に示す如く、同一形状(方形,三角形,円形等)をなす複数の潤滑剤含浸部分3bを散点状に形成されるパターン、同図(D)(E)に示す如く、異なる形状の複数の潤滑剤含浸部分3bが適当間隔を隔てて形成されるパターン、又は同図(F)に示す如く、一つの潤滑剤含浸部分3bが幾何学的模様等の一連形状をなして形成されるパターンが考えられる。
【0022】
而して、滑り部材1は、本発明の方法に従って、次のように製造することができる。
【0023】
すなわち、表面を滑り面3として機能しうる平滑面に加工した多孔質構造の基体2を製作した上、この基体2の表面(滑り面)3に、潤滑剤4を含浸させる領域を除いて、マスキングを施す。すなわち、滑り面3に、図4(A)に示す如く、潤滑剤含浸部分3の形成パターン合致する形状(例えば、図3(A)〜(F)に示す潤滑剤含浸部分3aに合致する形状)の含浸孔6aを形成したマスキングテープ6を貼着する。次に、真空吸引等の手法により、滑り面3に潤滑剤4を含浸させると、図4(B)に示す如く、マスキングを施された滑り面部分3bには潤滑剤4が含浸されず、マスキングを施していない滑り面部分つまり含浸孔6aから露出している滑り面部分3bのみに潤滑剤4が含浸される。しかる後、マスキングテープ6を除去すると、図4(C)に示す如く、滑り面3の所望部分3bのみに潤滑剤4が含浸された滑り部材1が得られる。すなわち、滑り部材1の滑り面3には、マスキングテープ6に形成された含浸孔6aの形状,形成パターンに合致する形態の潤滑剤含浸部分3aが形成されることになる。
【0024】
以上のように構成された滑り部材1にあっては、潤滑剤含浸部分3aが滑り面3に潤滑剤4を含浸させることにより形成されるものであり、基体2自体には何らの加工を施す必要がない(冒頭で述べた如き凹部11aを形成する必要がない)ことから、潤滑剤含浸部分3aの存在は基体2の形状,強度に何らの影響を及ぼすことがない。したがって、滑り部材1の強度は基体2によって一義的に決定され、潤滑剤含浸部分3aの面積比率に影響されないことから、従来滑り部材11と異なって、摩擦係数制御を滑り部材1の強度に制限されることなく自由に行うことができる。
【0025】
また、従来滑り部材11にあっては、強度上の問題から凹部11a,11a間の間隔や凹部11aの開口面積に制限があり、滑り面13における全潤滑部分13aの面積比率を自由に設定することができないが、本発明に係る滑り部材1にあっては、潤滑剤含浸部分3aの形成パターンが制限されないことから、滑り面3における全潤滑剤含浸部分3aの面積比率は自由に設定することができ、滑り面3の摩擦係数を自由に設定することができる。
【0026】
また、長期使用において図7(B)に示す如き開口縁部11bの変形により潤滑部分13aの面積変化が生じるようなことがなく、相手滑り部材5との滑り動作が繰り返されることにより滑り面13が摩耗するにすぎず、滑り面3における潤滑剤含浸部分3aの面積比率は変化しない。さらに、滑り支承Cが構築された初期段階において滑り部材1に大きな鉛直荷重(積載荷重)が作用したときにも、基体2の表面3には、従来滑り部材11の如き凹凸(凹部11aの形成による凹凸)が何ら生じておらず、滑り面3全体における強度分布が均一であるから、潤滑剤4が滑り面3の微小孔に含浸されていることとも相俟って、潤滑剤含浸部分3aから潤滑剤4が大量に滲出することがなく、滑り面3における摩擦係数(静摩擦係数)は潤滑剤含浸部分3aの面積比率によって決定された値から変化しない。
【0027】
これらの点から理解されるように、本発明に係る滑り部材1にあっては、滑り面3の摩擦係数を用途,使用条件に応じて適正に制御することができ、このようにして制御された摩擦係数(上記面積比率の調整により設定された摩擦係数)が両部材1,5の滑り動作の有無や滑り動作の回数に拘わらず一定に保持されることになる。したがって、長期に亘って安定した滑り特性を確保することができ、滑り支承Cの信頼性及び耐久性を大幅に向上させることができ、当該滑り部材1を組み込んだ滑り支承Cを使用することにより、良好且つ安定した免震機能を発揮させることができる。
【0028】
これらの点は、次に示す滑り特性試験により確認することができた。すなわち、この試験は、図6に示す如く、油圧源21に接続されたアクチュエータ(サーボパルサ)22により水平方向に進退動作される可動板23と、可動板23の上下に配置した加圧板24,25と、上位の加圧板24を下方へと押圧する油圧プレス26とを具備してなる往復動滑り試験機20を使用して行ったものであり、可動板23の上下面に相手滑り部材(ステンレス鋼鈑)5,5を取り付けると共に、加圧板24,25の上下対向面に夫々滑り部材1,1を取り付けた上、油圧プレス26により鉛直方向に加圧して、対向する各滑り部材1と相手滑り部材5とを押圧接触させた後、この状態で可動板23を往復動(正弦波100加振,速度10cm/s)させた。そして、油圧プレス26による加圧力を第1ロードセル28で計測すると共に、可動板23に作用する摩擦反力を第2ロードセル29で計測して、計測された加圧力と摩擦反力とから滑り部材1,5間の摩擦係数を求めた。
【0029】
そして、かかる試験を、滑り面3における全潤滑剤含浸部分3aの面積比率を異にした第1及び第2滑り部材1について繰り返し行った。各滑り部材1は、PTFE組成物(PTFE:80mass%,芳香族ポリエステル(ポリp−ヒドロキシ安息香酸):15mass%,グラファイト(平均粒径44μm):5mass%)を焼成して得られた多孔質構造(空隙率:17%)をなす基体2の表面(滑り面)3に、部分的に潤滑剤としてシリコンオイル4を含浸させることにより、図3(C)に示すパターンの潤滑剤含浸部分3aを形成したものであり、潤滑剤含浸部分3aの面積比率は、第1滑り部材1にあっては99%とし、第2滑り部材1にあっては87%とした。
【0030】
その結果は、第1滑り部材1にあっては図7(A)に示す通りであり、第2滑り部材1にあっては同図(B)に示す通りであった。かかる試験結果から、潤滑剤含浸部分3aの面積比率によって摩擦係数を制御できること、及び摩擦係数が滑り動作の回数に拘わらず初期段階から変化せず、安定した滑り機能が発揮されることが確認された。ところで、従来滑り部材11についても同様の滑り試験を行ったが、摩擦係数が滑り動作の回数によって大きく変動した。
【0031】
なお、本発明は上記した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の基本原理を逸脱しない範囲において適宜に改良,変更することができる。例えば、本発明は、あらゆる形式,構成の滑り支承や軸受け等における滑り部材に適用することができる。また、滑り部材1の形状は、用途,使用条件等におうじて任意に設定できるものであり、例えば、図5に示す如く、相手滑り部材5が軸等の断面円形のものである場合、基体2ないし滑り面3を相手滑り部材5の外周面5aに応じた円形状ないし円弧形状としておく。また、滑り部材1が薄肉のものであり、金属基板の表面に貼着させる形態で使用されるものである場合、潤滑剤4を基体2の厚み方向全体に含浸させるようにすることも可能である。また、基体2は、用途,使用条件に応じて必要とされる機械的強度が得られ且つ潤滑剤4を含浸しうる多孔質構造をなすものであればよく、かかる多孔質構造が得られ且つ潤滑剤含浸部分3aの面積比率の調整によって所望の摩擦係数が得られる限りにおいて、その構成材は任意である。
【0032】
【発明の効果】
以上の説明から理解されるように、本発明によれば、従来滑り部材における問題をすべて解決することができ、滑り面の摩擦係数を無段階的に且つ正確に制御することができ、耐久性及び信頼性に極めて優れた滑り部材を提供することができる。したがって、本発明の滑り部材を使用することにより、用途,使用条件に応じた最適の滑り機能(免震機能等)を発揮させることができ、その実用的価値極めて大なるものである。また、本発明の方法によれば、かかる滑り部材を容易且つ高精度に製作することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る滑り部材を使用した免震装置の一例を示す縦断正面図である。
【図2】図1の要部を拡大して示す詳細図である。
【図3】本発明に係る滑り部材の滑り面を示す平面図である。
【図4】本発明に係る滑り部材の製造工程を示す縦断正面図である。
【図5】本発明に係る滑り部材の変形例を示す要部の縦断正面図である。
【図6】往復動滑り試験機を示す正面図である。
【図7】当該試験機により測定された摩擦係数の変化を示す履歴曲線図である。
【図8】従来滑り部材を示す縦断正面図である。
【符号の説明】
1…滑り部材、2…基体、3…滑り面(基体の表面)、3a…潤滑剤含浸部分、3b…非潤滑剤含浸部分、4…潤滑剤、5…相手滑り部材、C…滑り支承。

Claims (2)

  1. 多孔質構造をなす基体の表面たる滑り面を、これに部分的に潤滑剤を含浸させることにより、潤滑剤が含浸された潤滑剤含浸部分と潤滑剤が含浸されていない非潤滑剤含浸部分とで構成して、滑り面全体における潤滑剤含浸部分の占める面積比率を調整することにより、滑り面の摩擦係数を制御するようにしたことを特徴とする滑り部材。
  2. 多孔質構造をなす基体の表面たる滑り面に、当該滑り面の一部を除いてマスキングを施した上で、潤滑剤を含浸させることにより、滑り面が潤滑剤を含浸させた潤滑剤含浸部分と潤滑剤を含浸させない非潤滑剤含浸部分とで構成された滑り部材を得るようにしたことを特徴とする滑り部材の製作方法。
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