JP2017198063A - 免震装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】地震時の揺れの吸収効果を高めることのできる免震装置を提供する。
【解決手段】互いに相対的に移動する上側固定部材10と下側固定部材20との間に、上面及び下面にそれぞれ上側固定部材10及び下側固定部材20が摺動自在に接触する複数の滑り部材30を設けたので、各滑り部材30の上下一方の面だけでなく上下両方の面で上側固定部材10及び下側固定部材20を摺動させることができ、地震の揺れの吸収効果を格段に高めることができる。摺動面が複数の滑り部材30に分割されているので、滑り部材30ごとの接触面積が小さくなり、クラウニング現象の発生を抑制することができる。各滑り部材30が水平方向に互いに独立して移動可能に設けられているので、互いに拘束されることなく独立して自由に動き回ることができ、各滑り部材30の摺動をより円滑に行うことができる。
【選択図】図1

Description

本発明は、例えば一般家屋、マンション、オフィスビル等の建物側と地盤側との間に設けられ、地盤側から建物側へ伝わる地震の揺れを吸収する免震装置に関するものである。
近年、例えば一般家屋、マンション、オフィスビル等の建物では、地震による建物の倒壊を防止するため、耐震強度の高い構造のものが多くなっている。しかしながら、建物の倒壊は防ぐことができても、地震による揺れが激しい場合は、室内の家具が転倒したり、備品が飛散するなど、室外側の被害が大きい場合がある。そこで、建物側と地盤側との間に免震装置を設け、地盤側から建物側へ伝わる地震の横揺れを免震装置によって吸収するようにしたものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
この免震装置は、建物側に固定される上側固定部材と、地盤側に固定される下側固定部材と、上側固定部材及び下側固定部材の間に設けられ、上側固定部材に固定された複数の滑り部材を備え、地震による地盤側から免震対象物側への揺れを各滑り部材と下側固定部材との摺動により吸収するようにしている。
特開2001−124138号公報
ところで、滑り部材を用いた免震装置では、建物の重量が滑り部材に加わると、滑り部材の外周側に接触圧が集中する、いわゆるクラウニング現象が発生しやすくなる。クラウニング現象が発生すると、滑り部材の実質的な接触面積が減少して面圧が部分的に高くなり、摩擦抵抗が増大して地震時の揺れの吸収効果が損なわれるという問題がある。そこで、前記免震装置では、建物の荷重を受ける滑り部材を複数の部材に分割することにより、滑り部材ごとの接触面積を小さくしてクラウニング現象の発生を抑制するようにしている。
しかしながら、前記免震装置では、各滑り部材の上端側が上側固定部材に固定されているため、摺動面が各滑り部材の下面と下側固定部材の上面との接触面のみとなり、しかも下側固定部材との接触面積は各滑り部材に分割されている分だけ小さくなる。このため、各滑り部材と下側固定部材との摺動面を十分確保することができなくなるとともに、各滑り部材と下側固定部材との接触面の面圧が高くなり、摩擦抵抗が増大して地震時の揺れの吸収効果が損なわれるという問題点があった。
本発明は前記問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、地震時の揺れの吸収効果を高めることのできる免震装置を提供することにある。
本発明は前記目的を達成するために、免震対象物側に固定される上側固定部材と、地盤側に固定される下側固定部材とを備え、地震による地盤側から免震対象物側への揺れを上側固定部材と下側固定部材との水平方向への相対移動により吸収するようにした免震装置において、前記上側固定部材及び下側固定部材の間に水平方向に互いに独立して移動可能に設けられ、上面及び下面にそれぞれ上側固定部材及び下側固定部材が摺動自在に接触する複数の滑り部材を備えている。
これにより、上側固定部材と下側固定部材との間に、上面及び下面にそれぞれ上側固定部材及び下側固定部材が摺動自在に接触する複数の滑り部材が設けられることから、各滑り部材の上下一方の面だけでなく上下両方の面で上側固定部材及び下側固定部材が摺動する。この場合、各滑り部材が水平方向に互いに独立して移動可能に設けられていることから、各滑り部材が互いに拘束されることなく独立して自由に摺動する。
本発明によれば、各滑り部材の上下一方の面だけでなく上下両方の面で上側固定部材及び下側固定部材を摺動させることができるので、地震の揺れの吸収効果を格段に高めることができる。この場合、摺動面が複数の滑り部材に分割されているので、滑り部材ごとの接触面積が小さくなり、クラウニング現象の発生を抑制することができる。また、各滑り部材が互いに拘束されることなく独立して自由に摺動することができるので、各滑り部材の摺動をより円滑に行うことができる。更に、各滑り部材が互いに拘束されることなく不規則に動き回ることにより、各滑り部材の周囲の潤滑油の流動が促進され、潤滑効果を高めることができるという利点もある。
本発明の第1の実施形態を示す免震装置の平面断面図 免震装置の側面断面図 免震装置を設置した建物の正面図 建物に設置された免震装置の側面断面図 免震装置の動作を示す側面断面図 免震装置の動作を示す平面断面図 本発明の第2の実施形態を示す滑り部材の平面図 滑り部材の側面断面図 本発明の第3の実施形態を示す滑り部材の平面断面図 滑り部材の側面断面図 本発明の第4の実施形態を示す免震装置の要部平面断面図 本発明の第5の実施形態を示す免震装置の要部平面断面図 本発明の第6の実施形態を示す免震装置の要部平面断面図
図1乃至図6は本発明の第1の実施形態を示すもので、地盤側から免震対象物側へ伝わる地震の揺れを吸収する免震装置を示すものである。
同図に示す免震装置1は、免震対象物側に固定される上側固定部材10と、地盤側に固定される下側固定部材20と、上側固定部材10及び下側固定部材20の間に設けられた複数の滑り部材30と、上側固定部材10を下側固定部材20に対して水平方向所定位置に戻す付勢手段としての複数のバネ40とを備え、上側固定部材10、下側固定部材20及び各滑り部材30には、ステンレス、チタン系金属等の剛性の高い材料が用いられる。
上側固定部材10は、円形に形成された上面部11と、上面部11の周縁から下方に延びる円周状の周壁部12とからなり、上面部11の上面に免震対象物が固定されるようになっている。この場合、周壁部12で囲まれた上面部11の下面は、各滑り部材30に水平方向に摺動自在に載置される平滑な滑り面11aを形成している。
下側固定部材20は、円形に形成された底面部21と、底面部21の周縁から上方に延びる円周状の周壁部22とからなり、底面部21の下面が地盤側に固定されるようになっている。下側固定部材20は外径が上側固定部材10の外径の約1/3の大きさに形成され、上側固定部材10の上面部11の下方に配置されている。また、周壁部22で囲まれた底面部21の上面は、各滑り部材30が水平方向に摺動自在に載置される平滑な滑り面21aを形成している。
各滑り部材30は、外径寸法よりも高さ寸法の小さい円柱状に形成され、各滑り部材30の下面は下側固定部材20の滑り面21aにそれぞれ摺動自在に接触している。各滑り部材30は、外径が下側固定部材20の周壁部22の内径の約1/4の大きさに形成され、互いに自由に移動可能な隙間を有するように配置されている。この場合、図1に示すように、例えば滑り面21aの中央に一つの滑り部材60が配置され、その周囲に複数の滑り部材30が円周状に並ぶように互いに間隔を置いて配置されている。各滑り部材30の上面には上側固定部材10の上面部11が載置され、各滑り部材30の上面は上側固定部材10の滑り面11aにそれぞれ摺動自在に接触している。また、各滑り部材30の周囲には潤滑油が充填されている。
各バネ40は、水平方向に延びるコイルバネからなり、一端を上側固定部材10の周壁部12に連結され、他端を下側固定部材20の周壁部22に連結されている。各バネ40は、互いに上側及び下側固定部材10,20の周方向に等間隔で配置され、上側固定部材10を下側固定部材20に対して水平方向中央に戻るように付勢している。
以上のように構成された免震装置1は、例えば図3に示す免震対象物としての建物2に設置される。建物2は、建物本体3が鉄筋コンクリート構造の耐圧盤4の上に配置されており、耐圧盤4は地盤5上に形成されている。免震装置1は、建物本体3の土台3aと耐圧盤4との間の複数個所に配置され、図4に示すように、下側固定部材20が耐圧盤4に固定され、土台3aの上には建物本体3の布基礎3b及び柱3cが配置される。
本実施形態の免震装置1においては、地震による横揺れが生ずると、図5に示すように、地盤5側に固定された下側固定部材20に対して建物2側に固定された上側固定部材10が水平方向に移動し、地盤5側から建物2側への揺れが吸収される。その際、下側固定部材20が上側固定部材10に対して水平方向に移動すると、各滑り部材30の上面及び下面がそれぞれ上側固定部材10の滑り面11a及び下側固定部材20の滑り面21aに対して摺動し、上側固定部材10及び下側固定部材20に対する各滑り部材30の摺動によって地盤5側から建物2側への揺れが吸収される。その際、摺動面が複数の滑り部材30に分割されているので、滑り部材30ごとの接触面積が小さくなり、クラウニング現象の発生が抑制される。また、各滑り部材30は、上側固定部材10及び下側固定部材20のいずれにも固定されておらず、しかも水平方向に互いに独立して移動可能なので、図6に示すように下側固定部材20の周壁部22で囲まれた領域内を互いに拘束されることなく独立して自由に摺動する。
地震の揺れがなくなった後は、各バネ40の復元力により、上側固定部材10が下側固定部材20に対して水平方向中央に戻るように付勢され、建物2が元の位置に復帰する。
このように、本実施形態の免震装置によれば、互いに相対的に移動する上側固定部材10と下側固定部材20との間に、上面及び下面にそれぞれ上側固定部材10及び下側固定部材20が摺動自在に接触する複数の滑り部材30を設けたので、各滑り部材30の上下一方の面だけでなく上下両方の面で上側固定部材10及び下側固定部材20を摺動させることができ、地震の揺れの吸収効果を格段に高めることができる。この場合、摺動面が複数の滑り部材30に分割されているので、滑り部材30ごとの接触面積が小さくなり、クラウニング現象の発生を抑制することができる。
また、各滑り部材30が水平方向に互いに独立して移動可能に設けられているので、互いに拘束されることなく独立して自由に摺動することができ、各滑り部材30の摺動をより円滑に行うことができる。更に、各滑り部材30が互いに拘束されることなく不規則に動き回ることにより、各滑り部材30の周囲の潤滑油の流動が促進され、潤滑効果を高めることができるという利点もある。
図7及び図8は本発明の第2の実施形態を示すもので、第1の実施形態と同等の構成部分は図示を省略または同一の符号を付して説明する。
本実施形態の滑り部材50は、第1の実施形態と同様、外径寸法よりも高さ寸法の小さい円柱状に形成され、上側固定部材10と下側固定部材20との間に複数設けられている。滑り部材50の上面及び下面にはそれぞれ潤滑油流通用の複数の溝51が設けられ、各溝51は滑り部材50の径方向中央から周縁まで放射状に延びるように形成されている。また、滑り部材50の径方向中央には上面から下面まで貫通する潤滑油流通用の孔52が設けられ、孔52の上端及び下端はそれぞれ滑り部材50の上面及び下面の各溝51に連通している。
本実施形態によれば、滑り部材50が上側固定部材10及び下側固定部材20に対して摺動すると、潤滑油が各溝51から滑り部材50の上面及び下面の間に供給され、滑り部材50の潤滑が促進される。また、各溝51内の潤滑油が孔52を流通して滑り部材50の上面及び下面の間を移動することから、潤滑効果をより高めることができる。
尚、前記第2の実施形態では、滑り部材50に潤滑油流通用の溝51及び孔52の両方を設けたものを示したが、いずれか一方のみを設けるようにしてもよい。
図9及び図10は本発明の第3の実施形態を示すもので、第1の実施形態と同等の構成部分は図示を省略または同一の符号を付して説明する。
本実施形態の滑り部材60は、第1の実施形態と同様、外径寸法よりも高さ寸法の小さい円柱状に形成され、上側固定部材10と下側固定部材20との間に複数設けられている。この場合、図1と同様、例えば滑り面21aの中央に一つの滑り部材60が配置され、その周囲に複数の滑り部材60が円周状に並ぶように互いに間隔を置いて配置されている。滑り部材60は、下面を円形に開口した中空状の上面部61と、上面部61の下面の周縁側を覆う板状の下面部62とからなり、滑り部材60内には、滑り部材60を下側固定部材20に対して水平方向所定位置に戻す付勢手段としての複数のバネ63が設けられている。また、下側固定部材20には、各バネ63を連結するための支軸23が滑り部材60内の中央に位置するように突設されている。この場合、下面部62の中央側は円形に開口されており、この開口部によって支軸23に対する滑り部材60の移動を許容するようになっている。
各バネ63は、水平方向に延びるコイルバネからなり、一端を滑り部材60の内周面に連結され、他端を支軸23に連結されている。各バネ63は、互いに滑り部材60の周方向に等間隔で配置され、滑り部材60を支軸23に対して水平方向中央に戻るように付勢している。
本実施形態では、各滑り部材60の上面及び下面がそれぞれ上側固定部材10の滑り面11a及び下側固定部材20の滑り面21aに対して摺動する。その際、各滑り部材60は、上側固定部材10及び下側固定部材20のいずれにも固定されておらず、しかも水平方向に互いに独立して移動可能なので、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。
また、地震の揺れがなくなった後は、各バネ63の復元力により、滑り部材60が下側固定部材20に対して支軸23の水平方向中央に戻るように付勢される。これにより、各滑り部材60をそれぞれ元の位置に復帰させることができるので、建物2の荷重を常に各滑り部材60によって均一に受けることができる。
更に、本実施形態では、滑り部材60の上面部61の下面の周縁側を板状の下面部62で覆うようにしているので、下面部62によって下側固定部材20との接触面積を十分に確保することができ、下側固定部材20側の面圧を低下させることができる。
尚、前記第3の実施形態の滑り部材60の上面に第2の実施形態と同様の潤滑油流通用の溝を設けるようにしてもよい。
図11は本発明の第4の実施形態を示すもので、第1の実施形態と同等の構成部分は図示を省略または同一の符号を付して説明する。
本実施形態では、下側固定部材20の滑り面21aに、潤滑油流通用の複数の溝21bが設けられ、各溝21bは滑り面21aの径方向中央から周縁まで放射状に延びるように形成されている。
本実施形態によれば、滑り部材30が下側固定部材20に対して摺動すると、潤滑油が各溝21bから下側固定部材20の滑り面21aと滑り部材30の下面との間に供給され、滑り部材30の潤滑が促進される。
図12は本発明の第5の実施形態を示すもので、第1の実施形態と同等の構成部分は図示を省略または同一の符号を付して説明する。
本実施形態では、下側固定部材20の滑り面21aに、潤滑油流通用の複数の溝21cが設けられ、各溝21cは滑り面21aの径方向中央を中心に同心円状に形成されている。
本実施形態によれば、滑り部材30が下側固定部材20に対して摺動すると、潤滑油が各溝21cから下側固定部材20の滑り面21aと滑り部材30の下面との間に供給され、滑り部材30の潤滑が促進される。
尚、前記第4及び第5の実施形態では、下側固定部材20の滑り面21aに溝21b,21cを設けたものを示したが、上側固定部材10の滑り面11aにも第4または第5の実施形態と同様の溝を設けるようにしてもよい。
また、図13の第6の実施形態に示すように、下側固定部材20(または上側固定部材10)に、第4の実施形態の溝21bと第5の実施形態の溝21cの両方を同じ滑り面に設けるようにしてもよい。
更に、第4及び第5の実施形態では、第1の実施形態の滑り部材30を用いたものを示したが、第2の実施形態の滑り部材50または第3の実施形態の滑り部材60を用いるようにしてもよい。
1…免震装置、2…建物、5…地盤、10…上側固定部材、20…下側固定部材、21b,21c…溝、30…滑り部材、40…バネ、50…滑り部材、51…溝、52…孔、60…滑り部材、63…バネ。

Claims (7)

  1. 免震対象物側に固定される上側固定部材と、地盤側に固定される下側固定部材とを備え、地震による地盤側から免震対象物側への揺れを上側固定部材と下側固定部材との水平方向への相対移動により吸収するようにした免震装置において、
    前記上側固定部材及び下側固定部材の間に水平方向に互いに独立して移動可能に設けられ、上面及び下面にそれぞれ上側固定部材及び下側固定部材が摺動自在に接触する複数の滑り部材を備えた
    ことを特徴とする免震装置。
  2. 前記上側固定部材及び下側固定部材の少なくとも一方と滑り部材との接触面に潤滑油流通用の溝を設けた
    ことを特徴とする請求項1記載の免震装置。
  3. 前記溝を放射状に形成した
    ことを特徴とする請求項2記載の免震装置。
  4. 前記溝を同心円状に形成した
    ことを特徴とする請求項2または3記載の免震装置。
  5. 前記滑り部材に、滑り部材の上面と下面とを貫通する潤滑油流通用の孔を設けた
    ことを特徴とする請求項1、2、3または4記載の免震装置。
  6. 前記上側固定部材を下側固定部材に対して水平方向所定位置に戻す付勢手段を備えた
    ことを特徴とする請求項1、2、3、4または5記載の免震装置。
  7. 前記滑り部材を上側固定部材または下側固定部材に対して水平方向所定位置に戻す付勢手段を備えた
    ことを特徴とする請求項1、2、3、4、5または6記載の免震装置。
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