JP3361292B2 - 免震装置の滑り支承 - Google Patents

免震装置の滑り支承

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JP3361292B2
JP3361292B2 JP23463399A JP23463399A JP3361292B2 JP 3361292 B2 JP3361292 B2 JP 3361292B2 JP 23463399 A JP23463399 A JP 23463399A JP 23463399 A JP23463399 A JP 23463399A JP 3361292 B2 JP3361292 B2 JP 3361292B2
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Description

【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、免震装置に使用さ
れる滑り支承に関するものであり、より具体的には二つ
の滑り部材を相対滑動自在に面接触させてなる免震装置
滑り支承に関するものである。 【0002】 【従来の技術】例えば、建築物の免震装置に使用される
滑り支承として、上部構造(建築物本体)の下面に取り
付けた平板状の滑り部材と下部構造(建築物基礎)の上
面に取り付けた平板状の滑り部材とを水平方向に相対滑
動自在に面接触させてなるものが周知である。 【0003】かかる滑り支承を介して上部構造を下部構
造に支承させた免震建物では、地震による水平荷重(地
震時水平力)の下部構造から上部構造への伝達が両滑り
部材の滑動作用によって吸収,回避されて、上部構造が
免震されるのである。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】ところで、滑り支承に
必要とされる摩擦係数は一定ではなく、その使用条件に
よって区々であり、使用条件に応じた適正な摩擦係数を
確保しておく必要がある。このため、従来の滑り支承に
あっては、一般に、滑り部材の構成材を選択することに
よって、必要とする摩擦係数が確保されるように図って
いる。 【0005】しかし、このような滑り部材の構成材選択
により制御できる摩擦係数の範囲は限られたものであ
り、かかる範囲外の摩擦係数が必要とされる場合には、
効果的な滑り機能を発揮する滑り支承を提供することが
できない。 【0006】例えば、摩擦係数が極めて低いとされる四
弗化エチレン樹脂にあっても、その摩擦係数は0.07
〜0.15程度にすぎない。したがって、上部構造が大
型の重量物である場合において、0.07をはるかに下
回る摩擦係数(例えば0.02程度)が必要とされると
きは、如何なる構成材を選択しても、必要な摩擦係数を
得ることができず、効果的な免震を行いうる滑り支承を
提供することができない。 【0007】また、必要とされる摩擦係数が構成材選択
によって制御できる摩擦係数の範囲内にあるときにも、
構成材選択による摩擦係数の調整幅は大きく、構成材を
変更することによって摩擦係数が大きく異なるため、必
要とされる摩擦係数を正確に得ることができない。 【0008】例えば、上部構造が小型の軽量物であった
り、建築物が大きな風荷重を受けるような場所に設置さ
れるものである場合には、摩擦係数が一定以上に小さい
と、地震が発生しないときにも上部構造が横揺れする虞
れがある。逆に、摩擦係数が一定以上に大きいと、上記
した場合と同様に、地震時水平力を吸収しうるに充分な
滑り機能が発揮されない。一方、第1の構成材を選択と
すると、摩擦係数が必要とされる摩擦係数よりはるかに
大きくなるが、摩擦係数が第1の構成材に最も近い第2
の構成材を選択すると、摩擦係数が必要とされる摩擦係
数よりはるかに小さくなることがある。かかる場合、必
要とされる摩擦係数が上記した範囲内にあるにも拘わら
ず、構成材選択によっては必要とされる摩擦係数を得る
ことができず、効果的な免震を行いうる滑り支承を提供
することができない。 【0009】本発明は、このような点に鑑みてなされた
もので、滑り部材の構成材選択によっては得ることがで
きない程度にまで摩擦係数を低減させることができると
共に、摩擦係数を略無段階的に制御することができ、使
用条件に最適する摩擦係数を容易に且つ正確に得ること
ができる滑り支承を提供することを目的とするものであ
る。 【0010】 【課題を解決するための手段】本発明は、第1滑り部材
と第2滑り部材とを相対滑動自在に面接触させてなる
震装置の滑り支承において、上記の目的を達成すべく、
特に、第1滑り部材に、その上面であって第2滑り部材
との接触面である第1滑り面に開口し且つその開口部及
び第1滑り面に平行する任意断面を同一面積A(m
2 )とする複数個(N個)の有底孔を、以下の第1及
び第2条件を満足するように設けると共に、各有底孔に
流動性を有する潤滑剤を充填保持しておくことを提案す
る。 【0011】而して、第1条件は、第1滑り面の面積S
(mm2 )に対する有底孔の総開口面積N・A(m
2 )の面積比率ξ(=(N・A/S)×100
(%))が0.1≦ξ≦1.0となることであり、第2
条件は、第1滑り面及びこれに平行する断面上における
各有底孔7とこれに隣接する有底孔7との間隔L(m
m)が0≦L≦38(A/π)1/2 (πは円周率)とな
ることである。ここに、各有底孔が第1滑り面に直交す
る方向に延びる径D(mm)の円形孔である場合には、
第1条件は0.1≦(N・πD2 /4S)×100≦
1.0となり、第2条件は0≦L≦19Dとなる。さら
に、有底孔相互間距離Lに代えて、隣接する有底孔の中
心間距離であるピッチP(mm)を用いると、L=P−
Dであり、第2条件はD≦P≦20Dとなる。またL=
0の場合は、L=0で隣接する2個又は3個以上の有底
孔が連通する凹溝を構成することになる。 【0012】なお、第1滑り材は、四弗化エチレン樹脂
(PTFE)を主成分とする低摩擦性樹脂で構成され、
第2滑り部材は、ステンレス鋼等の金属材又は第1滑り
部材と同様の低摩擦性樹脂で構成される。また、潤滑剤
としては、流動性を有する液状剤,半固形状剤,固形状
剤(液状剤を有底孔に充填した後に乾燥固化させたもの
を含む)使用され、例えばシリコンオイルや一般に離
型剤として使用されているもの等が好適する。 【0013】本発明の滑り支承にあっては、第1滑り面
に潤滑剤を充填した有底孔が開口されていることから、
第2滑り部材における第1滑り部材との接触面(以下
「第2滑り面」という)は、有底孔の開口部に対向する
個所において潤滑剤と接触することになる。すなわち、
第2滑り面との接触形態において、第1滑り面は、実質
的に、第1滑り部材の構成材(例えば、低摩擦性樹脂)
で構成された部分(有底孔が開口されていない部分であ
り、以下「構成材部分」という)と潤滑剤で構成される
部分(有底孔が開口されている部分であって、潤滑剤が
第2滑り面に接触している部分であり、以下「潤滑剤部
分」という)とで構成されることになる。そして、第2
滑り面と潤滑剤部分との間の摩擦係数は第2滑り面と構
成材部分との間の摩擦係数よりも小さい。さらに、第2
滑り面において潤滑剤部分に接触している部分(以下
「潤滑剤付着部分」という)には潤滑剤が付着している
から、第1滑り面と第2滑り面とが相対滑動すると、こ
の潤滑剤付着部分に付着している潤滑剤が構成材部分と
の間に移動して、両滑り面間に潤滑膜を形成する。ま
た、潤滑剤として流動性を有するシリコンオイル等を使
用した場合には、両滑り面の接触圧により潤滑剤の一部
が有底孔の開口部からその周辺に滲出して、構成材部分
と第2滑り面との間に潤滑膜を形成する。したがって、
第2滑り面に対する第1滑り面全体の摩擦係数は、有底
孔が形成されておらず第1滑り面全体が構成材部分で構
成されている場合に比して、低減されることになり、滑
り支承の摩擦係数を第1及び第2滑り部材の構成材選択
によっては得ることができない程度にまで低減すること
ができる。例えば、PTFEで構成される滑り面の摩擦
係数は前述した如く0.07〜0.15程度であるが、
当該滑り面に潤滑剤部分を分散配置しておくことによ
り、摩擦係数を0.02程度まで低減させることができ
る。 【0014】そして、潤滑剤部分ないし潤滑剤付着部分
による摩擦係数の低減程度は、第1滑り面における潤滑
剤部分が占める割合つまり上記した面積比率ξが大きく
なるに従い増大する。したがって、面積比率ξを調整す
ることにより、具体的には、上記した第1及び第2条件
を満足する範囲内で有底孔の開口面積(断面積)A又は
有底孔の個数Nを調整することにより、摩擦係数を所望
する値に正確に制御することができる。かかる制御精
度,制御範囲,制御幅は、滑り部材の構成材選択によっ
ては到底得ることができないものである。 【0015】さらに、各有底孔の開口部及び第1滑り面
に平行する任意断面が同一面積Aであり且つ第1滑り面
及びこれに平行する断面上における有底孔相互間の距離
L又はピッチPが一定範囲に設定されることから、第1
滑り面が摩耗した場合にも、第1滑り面における有底孔
の開口率(面積比率ξ)及び有底孔の開口分布が変化し
ない。すなわち、第1滑り面が摩耗しても、潤滑剤部分
ないし潤滑剤付着部分の面積及び分布形態が変化せず、
潤滑剤部分ないし潤滑剤付着部分の存在による摩擦係数
の低減程度は変化しない。したがって、滑り支承の摩擦
係数を、長期に亘って、初期状態(摩耗前の状態)と同
一又は略同一に保持させておくことができ、滑り支承の
信頼性及び耐久性を大幅に向上させることができる。ま
た、このような滑り支承の耐久性は、第1滑り面に直交
する方向における各有底孔の深さによって制御すること
ができ、当該深さを深くしておけば、許容摩耗量を大き
く設定することができる。すなわち、当該深さは、耐久
性上必要とされる第1滑り面の最大摩耗量に応じて決定
しておくものであり、予め設定した最大摩耗量より大き
くしておけばよい。 【0016】ところで、面積比率ξが0.1%未満(ξ
<0.1)であると、潤滑剤部分ないし潤滑剤付着部分
による摩擦係数の低減効果が顕著に現れず、摩擦係数は
潤滑剤部分を有しない場合(有底孔を有しない場合)と
殆ど変わらない。すなわち、潤滑剤部分の存在による摩
擦係数の低減効果は、面積比率ξを0.1%以上とする
ことによって発揮される。また、潤滑剤部分による摩擦
係数の低減程度は上記した如く面積比率ξが大きくなる
に従い増大するが、かかる摩擦係数の低減効果はξ=
1.0で飽和状態となり、これ以上に面積比率ξを大き
くしても、面積比率ξの増大に見合った摩擦係数の低減
効果は期待されないし、面積比率ξが1.0%を超える
(ξ>1.0)と、有底孔の存在により第1滑り面の強
度が低下する虞れがある。かかる理由から、本発明にお
いては上記第1条件を満足することを必須とした。 【0017】また、第1条件を満足する場合において
も、第2条件が満足されない場合(L>38(A/π)
1/2 又はP>20Dの場合)には、第1滑り面の大きさ
(面積S)に比して有底孔数N(潤滑剤部分ないし潤滑
剤付着部分の個数)や開口面積Aが極端に減少して、上
記した潤滑剤部分ないし潤滑剤付着部分による滑り面間
の潤滑機能が不充分となり、所望する摩擦係数の低減効
果が発揮されない。また、面積比率ξの調整による摩擦
係数の制御を適正に行い難い。かかる理由から、本発明
においては、第1条件に加えて、第2条件をも満足する
ことを必須とした。 【0018】 【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を、図
面に基づいて説明する。 【0019】この実施の形態は、本発明を建築物の免震
装置に使用される滑り支承に適用した例に係り、図1に
示す免震装置は、建築物の基礎に設けられた下部構造1
と建築物本体である上部構造2との間に複数の滑り支承
3…及び減衰手段たるダンパ4を配設してなる。なお、
ダンパ4は、両構造1,2の地震時水平力による水平方
向の相対移動範囲を減衰規制する共に地震後に両構造
1,2を原位置に復帰させるためのものである。 【0020】各滑り支承3は、図1及び図2に示す如
く、下部構造1の上面部に水平に固定された平板状の第
1滑り部材5と上部構造2の下面部に水平に固定された
平板状の第2滑り部材6とを水平方向に相対滑動自在に
面接触させてなる。 【0021】第1滑り部材5は、その上面たる第1滑り
面5aを所定面積S(mm2 )の円形とする円板であ
り、4弗化エチレン樹脂等の弗素樹脂を主成分とする低
摩擦性樹脂で構成されている。この例では、4弗化エチ
レン樹脂(PTFE)を主成分とする低摩擦性樹脂(P
TFE:66wt%,芳香族ポリエステル:29wt
%,グラファイト:5wt%)で構成されている。な
お、第1滑り部材5の下部構造1への固定は、第1滑り
部材5の下面部を下部構造1に設けた凹部1aに嵌合さ
せることにより行われている。第2滑り部材6はステン
レス鋼鈑で構成されており、その下面たる第2滑り面6
aは、両滑り部材5,6がダンパ4によって許容される
範囲において最大量相対滑動したときにも、第1滑り面
5aが全面的に接触するように、第1滑り面5aより所
定量大面積とされている。 【0022】而して、第1滑り部材5には、図2に示す
如く、複数個(N個)の有底孔7…が形成されている。
各有底孔7は、第1滑り面5aに開口し且つその開口部
及び第1滑り面5aに平行する任意断面の面積A(mm
2 )を同一とするものであり、適宜の潤滑材8が充填保
持されている。この例では、各有底孔7を第1滑り面5
aに直交する方向(鉛直方向)に延びる径D(mm)の
円形孔(錐孔)としている。各有底孔7には潤滑剤8が
充填保持されていて、後述する如く、第1滑り面5aを
一連の構成材部分5bとN個の潤滑剤部分5c…とで構
成すると共に、第2滑り面6aに潤滑剤部分5c…に対
応する潤滑剤付着部分6bを形成する。 【0023】有底孔7の個数N及び第1滑り面5aにお
ける開口面積A並びに第1滑り面5aにおける有底孔7
…の配置形態は、第1滑り面5aの面積Sに対する有底
孔7…の総開口面積N・Aの面積比率ξ(=(N・A/
S)×100(%))が0.1≦ξ≦1.0となること
(第1条件)及び第1滑り面5a及びこれに平行する断
面上における各有底孔7とこれに隣接する有底孔7との
間隔L(mm)が0≦L≦38(A/π)1/2 (πは円
周率)となること(第2条件)の2条件が満足されるよ
うに、当該滑り支承3の使用条件に応じて設定される。 【0024】この例では、各有底孔7が第1滑り面5a
に直交して延びる径Dの円形孔であり、A=πD2 /4
であるから、第1条件は0.1≦(N・πD2 /4S)
×100≦1.0となる。また、(A/π)1/2 =D/
2であるから、第2条件は0≦L≦19Dとなる。ま
た、第2条件を隣接する有底孔7,7の中心間隔たるピ
ッチP(mm)で表すと、L=P−Dであるから、D≦
P≦20Dとなる。但し、円形孔とする場合、一般に
は、10D≦P≦20D(9D≦L≦19D)としてお
くことがより好ましい。 【0025】また、有底孔7の径Dは、一般に、0.1
mm〜50mmの範囲において、潤滑剤8の性状や第1
滑り面5aの面積S等に応じて適宜に設定される。すな
わち、D<0.1であると、第1条件を満足させるため
の有底孔7の個数Nが必要以上に多くなって、滑り部材
5の機械的強度が低下する虞れがある。また、D>50
であると、第1条件を満足させるための有底孔7の個数
Nが極めて少なくなり、後述する潤滑剤部分5cないし
潤滑剤付着部分6bによる摩擦係数低減機能が充分に発
揮されない。また、滑り部材5の機械的強度が低下する
虞れがある。 【0026】また、有底孔7の深さ(第1滑り面5aに
直交する方向の深さ)Hは、予測される第1滑り面5a
の最大摩耗量より大きく設定しておく必要があり、一般
に、0.1mm以上とされる。 【0027】ところで、第1滑り面5aにおける有底孔
7…の配置形態は、第1及び第2条件を満足する限りに
おいて任意であり、第1滑り面5aの形状,大きさ(面
積S)や有底孔数N等に応じて適宜に設定することがで
きる。図3〜図8にその一例を示す(各図においては、
形成すべき有底孔7…の一部のみを図示している)。す
なわち、図3に示すものでは、有底孔7…を縦線71
(ピッチP1 )と横線72 …(ピッチP2 )との交点上
に開口させてある。図4に示すものでは、有底孔7…を
図3に示す縦線71 …と横線72 …との交点のうち千鳥
状をなして配列する交点上に開口させてある。図5に示
すものでは、有底孔7…を第1滑り面5aの中心部から
外周部へと延びる螺旋線73 上に開口させてある。図6
に示すものでは、有底孔7…を第1滑り面5aと同心状
をなす複数の円形線74 …上に開口させてある。図7に
示すものでは、有底孔7…を複数組の同心円75 …上に
開口させてある。また、有底孔7の開口部を図3〜図7
に例示する如き規則的な配置とせず、図8に示す如く、
ランダムに配置しておくようにしてもよい。 【0028】以上のように構成された滑り支承3にあっ
ては、第1滑り面5aに潤滑剤(シリコンオイル)8を
充填した有底孔7…が開口されていることから、第2滑
り面6aとの接触形態において、第1滑り面5aは、第
1滑り部材5の構成材(PTFEを主成分とする低摩擦
性樹脂)で構成された構成材部分5bと有底孔7…に充
満する潤滑剤表面で構成される潤滑剤部分5c…とで構
成されることになり、第1滑り面5aが構成材部分5b
のみで構成される場合(有底孔7…を設けない場合)に
比して摩擦係数が低減される。さらに、第2滑り面6a
において各潤滑剤部分5cに接触する部分(潤滑剤付着
部分)6bには、微量ながらも潤滑剤8が付着すること
から、第1滑り面5aと第2滑り面6aとが相対滑動す
ると、各潤滑剤付着部分6bに付着している潤滑剤8が
構成材部分5bとの間に移動して、両滑り面5a,6a
間に潤滑膜を形成する。また、潤滑剤8が流動性を有す
るシリコンオイルであることから、両滑り面5a,6a
の接触圧により潤滑剤8の一部が有底孔7…の開口部か
らその周辺に滲出して、構成材部分5bと第2滑り面6
aとの間に潤滑膜を形成する。したがって、第2滑り面
6aに対する第1滑り面5a全体の摩擦係数は、有底孔
7…が形成されておらず第1滑り面5a全体が構成材部
分5bのみで構成されている場合に比して、低減される
ことになり、滑り支承3の摩擦係数を滑り部材5,6の
構成材選択によっては得ることができない程度(例え
ば、0.02程度)にまで低減することができる。 【0029】したがって、潤滑剤部分5c…ないし潤滑
剤付着部分6b…の存在による摩擦係数の低減程度は、
第1滑り面5aにおける潤滑剤部分5c…が占める割合
(面積比率ξ)が大きくなるに従い増大することから、
面積比率ξを調整することにより(例えば、有底孔数N
を調整することにより)、摩擦係数を略無段階的に制御
することができ、必要とされる摩擦係数を正確に得るこ
とができる。 【0030】さらに、第1滑り面5aが、図2に鎖線で
示す如く、所定量T摩耗した場合にも、各有底孔7の深
さHを摩耗量Tより大きく設定しておけば、各有底孔7
の開口面積Aないし開口形状(径Dの円形)及び有底孔
相互間距離LないしピッチPが摩耗前の初期状態と同一
に維持され、全く変化しない。したがって、第1滑り面
5aが摩耗した場合にも、上記した潤滑剤部分5c…な
いし潤滑剤付着部分6b…による摩擦係数の低減効果は
損なわれず、初期状態と同一の摩擦係数を維持すること
ができる。したがって、長期に亘って安定した滑り特性
を確保することができ、滑り支承の信頼性及び耐久性を
大幅に向上させることができる。 【0031】これらの点は、次のような滑り特性試験に
より確認することができた。 【0032】この試験は、図12に示す如く、アクチュ
エータ(サーボパルサ)11により水平方向に進退動作
される可動板12と、可動板12の上下に配置した加圧
板13,13と、上位の加圧板13を下方へと押圧する
油圧プレス14とを具備する往復動滑り試験機10を使
用して行った。すなわち、可動板12の上下面に第2滑
り部材6,6を取り付けると共に、加圧板13,13の
上下対向面に第1滑り部材5,5を取り付けた上、油圧
プレス14により鉛直方向に加圧して、対向する各第1
滑り部材5と第2滑り部材6とを押圧接触させた後、こ
の状態で可動板12を往復動(正弦波100加振,速度
10cm/s)させた。そして、油圧プレス14による
加圧力を第1ロードセル15で計測すると共に、可動板
12に作用する摩擦反力を第2ロードセル16で計測し
て、計測された加圧力と摩擦反力とから滑り部材5,6
間の摩擦係数を求めた。 【0033】かかる試験を、面積比率ξを異にした複数
の第1滑り部材5…について繰り返し行った。これらの
第1滑り部材5…は、前記した組成(PTFE:66w
t%,芳香族ポリエステル:29wt%,グラファイ
ト:5wt%)の低摩擦性樹脂からなる同一形状の円板
(半径:45mm,第1滑り面5aの面積A:635
8.5mm2 )であって、D=1mm,A=0.785
mm2 ,H=2〜3mmの有底孔(錐孔)7を図3に示
す配置形態(P1 =P2 =10mm〜20mm)で形成
して、これに潤滑剤8たるシリコンオイルを充填保持さ
せたものであり、有底孔数Nの増減により面積比率ξを
異にしたものである。なお、第2滑り部材6としては、
何れの第1滑り部材5に対しても、SUS304製のも
のを使用した。 【0034】その結果は、図13に示す通りであった。
かかる試験結果から明らかなように、面積比率ξが増大
するに従って摩擦係数が減少すること、及び面積比率ξ
を調整することによって摩擦係数を無段階的に制御する
ことができことが理解される。因みに、試験結果の具体
的数値の一例を挙げると、N=13,ξ=0.160
%,P1 =P2 =20mmとした場合の摩擦係数は0.
07であり、N=41,ξ=0.506%,P1 =P2
=10mmとした場合の摩擦係数は0.03であり、N
=52,ξ=0.642%,P1 =P2 =10mmとし
た場合の摩擦係数は0.028であった。また、図14
〜図16は、これらの場合における摩擦係数の変化を示
す履歴曲線図である(図14はN=13,ξ=0.16
0%とした場合、図15はN=41,ξ=0.506%
とした場合、図16はN=52,ξ=0.642%とし
た場合を示す)が、かかる履歴曲線図から明らかなよう
に、面積比率ξが高い程、摩擦係数の変動幅が小さく安
定した滑り特性が発揮されることが理解される。 【0035】ところで、本発明は上記した実施の形態に
限定されるものではなく、本発明の基本原理を逸脱しな
い範囲において適宜に改良,変更することができる。 【0036】例えば、各有底孔7は、図9に示す如く、
第1滑り面5aに対して傾斜する形態で形成するように
してもよい。この場合、第1滑り面5aの摩耗による開
口形態が同一となるように、有底孔7…の傾斜方向及び
傾斜角度は同一としておくことが好ましい。また、第1
滑り部材5が薄いものである等の場合には、図10に示
す如く、第1滑り部材5を下部構造1の上面1bに接着
固定して、各有底孔7の底部を下部構造1の上面1bで
閉塞するようにしてもよい。 【0037】また、各有底孔7の断面形状は、円形の
他、角形や十字形等、任意とすることができる。したが
って、有底孔7の形成も、錐孔加工による他、プレス加
工等、任意である。 【0038】また、有底孔7…は、独立して形成する
他、2個以上のものが連なって凹溝形態をなすものとし
てもよい。例えば、図3〜図7に示す線71 ,72 ,7
3 ,7 4 ,75 上を通過する凹溝形態となるようなもの
としてもよい。 【0039】また、本発明に係る滑り支承は、図11に
示す如く、弾性支承と組み合わせた免震装置にも適用す
ることができる。すなわち、図11に示す免震装置で
は、複数のゴム材21…と金属板22…とを上下方向に
交互に積層してなる弾性支承20を下部構造1上に設置
し、この弾性支承20と上部構造2との間に本発明に係
る滑り支承3を介装してなる。 【0040】また、本発明に係る滑り支承は、滑り面5
a,6aが円弧面,円柱面等の曲面をなす場合にも適用
することができる。例えば、第2滑り部材6が回転軸で
あり、第1滑り部材5が当該回転軸の軸受けであるよう
な場合にも適用することができる。この場合、第2滑り
面6aは回転軸の外周面で構成され、第1滑り面5aは
円筒状軸受けの内周面で構成される。 【0041】また、本発明に係る滑り支承にあっては、
その使用条件によっては、両滑り部材5,6を同質材
(金属材,樹脂材)で構成することができ、面積比率ξ
の増減によって適正な摩擦係数が得られる限りにおい
て、滑り部材5,6の構成材は任意に選択しておくこと
ができる。 【0042】 【発明の効果】以上の説明から容易に理解されるよう
に、本発明の滑り支承にあっては、滑り部材の構成材選
択によっては得ることができない若しくは得ることが極
めて困難である低摩擦係数(例えば、0.02〜0.
1)を確保することができる。しかも、面積比率ξを増
減することによって、構成材選択によっては不可能であ
る略無段階的な摩擦係数制御を行うことができ、使用条
件に最適する滑り特性を得ることができる。さらに、第
1滑り面が摩耗した場合にも、摩擦係数が変化せず、長
期に亘って安定した滑り特性を発揮させることができ
る。
【図面の簡単な説明】 【図1】本発明に係る滑り支承を使用した免震装置の一
例を示す縦断正面図である。 【図2】図1の要部(滑り支承)を拡大して示す詳細図
である。 【図3】第1滑り面の一例を示す平面図である。 【図4】第1滑り面の変形例を示す図3相当の平面図で
ある。 【図5】第1滑り面の他の変形例を示す図3相当の平面
図である。 【図6】第1滑り面の更に他の変形例を示す図3相当の
平面図である。 【図7】第1滑り面の更に他の変形例を示す図3相当の
平面図である。 【図8】第1滑り面の更に他の変形例を示す図3相当の
平面図である。 【図9】滑り支承の変形例を示す図2相当の縦断正面図
である。 【図10】滑り支承の他の変形例を示す図2相当の縦断
正面図である。 【図11】滑り支承の更に他の変形例を示す縦断正面図
である。 【図12】往復動滑り試験機を示す側面図である。 【図13】当該試験機により測定した面積比率ξと摩擦
係数との関係を示す曲線図である。 【図14】当該試験機により測定された摩擦係数の変化
を示す履歴曲線図である。 【図15】面積比率ξを図14と異にした場合における
図14相当の履歴曲線図である。 【図16】面積比率ξを図14及び図15と異にした場
合における図14相当の履歴曲線図である。 【符号の説明】 1…下部構造、2…上部構造、3…滑り支承、5…第1
滑り部材、5a…第1滑り面、5b…構成材部分、5c
…潤滑剤部分、6…第2滑り部材、6a…第2滑り面、
6b…潤滑剤付着部分、7…有底孔、8…潤滑剤(シリ
コンオイル)。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平5−196042(JP,A) 特開 平8−159160(JP,A) 特開 平10−110554(JP,A) 特開 平11−294526(JP,A) 特開2001−27243(JP,A) 特開2000−320611(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F16F 15/02 F16C 17/04 F16C 33/20 E04B 1/36

Claims (1)

  1. (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 四弗化エチレン樹脂を主成分とする低摩
    擦性樹脂で構成された第1滑り部材と第2滑り部材とを
    相対滑動自在に面接触させてなる免震装置の滑り支承に
    おいて、第1滑り部材に、その上面であって第2滑り部
    材との接触面である第1滑り面に開口し且つその開口部
    及び第1滑り面に平行する任意断面を同一面積A(mm
    2 )とする複数個(N個)の有底孔を設けると共に、各
    有底孔に流動性を有する潤滑剤を充填保持してあり、第
    1滑り面の面積S(mm2 )に対する有底孔の総開口面
    積N・A(mm2 )の面積比率ξ(=(N・A/S)×
    100(%))が0.1≦ξ≦1.0であり、第1滑り
    面及びこれに平行する断面上における各有底孔とこれに
    隣接する有底孔との間隔L(mm)が0≦L≦38(A
    /π)1/2 (πは円周率)であることを特徴とする免震
    装置の滑り支承。
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