JP3563669B2 - 免震滑り支承 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、低摩擦性の免震滑り支承に関する。
【0002】
【従来の技術】
免震滑り支承は、ビル、橋梁のような一般の建造物、各種工業製品、工業プラントなどに広く使用されている。この免震滑り支承は、例えば、ビルなどの上部構造体と、基礎部分である下部構造体との間に設けられ、1対のスライドベアリングが対向して接するように構成されている。入震時には、これらのスライドベアリングが任意方向に相対変位して水平荷重が吸収される。この免震滑り支承が機能するメカニズムは次のとおりである。地震が起きると下部構造体に水平荷重が加わる。この水平荷重は、スライドベアリングの滑動作用により低減されて、上部構造体に伝達される。この上部構造体に伝達される水平荷重は、上部構造体自身の積載荷重と滑り部材の摩擦係数とを乗じた値である。従って、スライドベアリングの摩擦係数は小さいことが、望ましい。
【0003】
このため、免震滑り支承においては、スライドベアリング間の摩擦係数を小さくする検討が種々行われている。例えば、上下のスライドベアリング間にグリース、フッ素オイルなどの潤滑剤を塗布してスライドベアリング間の摩擦の低減をはかる方法が検討されている。しかし、潤滑剤を単に塗布した場合、スライドベアリング間からすぐに排出され、その効果が持続しないという欠点がある。
【0004】
この欠点を解消すべく、スライドベアリングの金属基板の表面に潤滑剤を固定する方法が検討されている。例えば、特開平11−124591号公報には、PTFEと、エポキシ樹脂と側鎖にエポキシ基を有する反応性シリコーンオイルとを加熱・反応させて形成される部材をスライドベアリングとして用いる免震滑り支承が記載されている。
【0005】
しかし、高負荷条件下では、金属板上に官能基によって固定された潤滑性被膜が、下面のPTFEとの摺動により、摺動開始後早い段階で摺動面から排除されるという問題点がある。しかも、潤滑性被膜がいったん摺動面から排除されると再度被膜作製が必要となる上、取り替えに際して、免震滑り支承のジャッキアップなどの大掛かりな作業が必要となるという欠点がある。
【0006】
ところで、PTFEは、低摩擦性であり、化学的安定性に優れるため、免震滑り支承の材質として好ましく用いられており、上記問題点が解決できれば、有望な低摩擦性に対応するスライドベアリングとなり得る。しかし、なんら充填材を含まないPTFEからなるスライドベアリングを用いた場合、例えば、300Kgf/cm2以上の面圧が作用するような積載荷重の大きい高層建築物、橋梁、三階建の一戸建て住宅などにおいては、上記のようなフッ素樹脂を採用した免震滑り支承を用いても充分な免震効果が得られていない。なぜなら、PTFE自体には高い機械的強度を望めないからである。一般に、このような積載荷重の大きな構造物で充分な免震効果を得るためには、900MPa以上の圧縮弾性率を有するような機械的強度が必要とされている。
【0007】
さらに、上記のように、免震滑り支承の摩擦係数は低く、かつそれが長期的に安定していることが望まれる。特に、地震などにより残留変位が発生した場合にも摩擦係数が低いほうが復帰のための移動荷重が小さくてすむ。上記充填材を含まないPTFEを用いたスライドベアリング同士を対向させた場合の摩擦係数は、発明者らが試験したところ、通常0.05〜0.15である。300Kgf/cm2の高面圧条件下の摺動では、スライドベアリングの機械的強度が不足してスライドベアリングの早期劣化を招くとともに、円滑な滑り機能を損なう場合がある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、900MPa以上の圧縮弾性率を有するような機械的強度に優れ、そして、低摩擦係数が0.05以下を長期に亘って維持できるような免震滑り支承が求められている。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記の従来の問題点を解決することを課題とする。本発明は、高負荷条件下においても長期間にわたり安定して低い摩擦係数を維持することが可能な免震滑り支承を提供することにある。
【0010】
本発明は、上部構造体と下部構造体との間に一対のスライドベアリングが相対移動可能に対接するように配置された免震滑り支承であって、
該一対のスライドベアリングの少なくとも一方は、四フッ化エチレン樹脂を主成分とする芳香族ポリエステルを含有する組成物により形成された複数のボイドを有する多孔質構造の成形体でなるスライドベアリング(a)であって、
該組成物中に芳香族ポリエステルが14〜35重量%の割合で含有され、かつ、該成形体の表面部分に流動可能な潤滑剤が保持された潤滑剤保持層が形成されたスライドベアリング(a)である、免震滑り支承に関する。
【0011】
好ましい実施態様においては、前記スライドベアリング(a)を構成する組成物が、グラファイト、グラスファイバー、二硫化モリブデン、チタン酸カリウム、およびブロンズでなる群より選択される少なくとも1種の充填材を含有する。
【0012】
また、好ましい実施態様においては、前記潤滑剤が流動可能なポリシロキサンである。
【0013】
また、別の、さらに好ましい実施態様においては、前記一対のスライドベアリングが前記スライドベアリング(a)とスライドベアリング(b)とからなり、該スライドベアリング(b)が金属基板表面に四フッ化エチレン樹脂を主成分とする組成物からなる樹脂膜を有し、該樹脂膜は直径が10〜100μmの微細空孔を有し、該空孔の面積占有率が10〜50%であり、かつ、該樹脂膜表面部分に流動可能な潤滑剤が保持された潤滑剤保持層が形成されたスライドベアリング(b)である。
【0014】
好ましい実施態様においては、前記一対のスライドベアリングの一方は径は他方のベアリングの径よりも小さく、また、好ましい実施態様においては、前記径の小さいスライドベアリングがスライドベアリング(a)であり、径の大きいスライドベアリングがスライドベアリング(b)である。
【0015】
好ましい実施態様においては、前記免震滑り支承が、200Kgf/cm2の面圧下において0.02以下の摩擦係数を有する。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明の免震滑り支承に用いられるスライドベアリング(a)は、PTFEを主成分とし、芳香族ポリエステルを含有する組成物(PTFE組成物)により形成された、複数の微細空孔を有する多孔質構造の成形体でなり、その表面部分に流動可能な潤滑剤が保持されている。
【0017】
このスライドベアリング(a)を製造するには、まず、PTFEおよび芳香族ポリエステル、さらに必要に応じて上記充填材を混合し、得られたPTFE組成物を、例えば、通常の圧縮成形(予備成形、焼成、および冷却)によりブロック状の成形体を得、所望の形状、例えば板状に切り出す。このような工程で、ボイドを有する多孔質構造の成形体が得られる。この得られた成形体の表面部分に流動可能な潤滑剤を保持させて潤滑剤保持層を形成すると、本発明の免震滑り支承に用いられるスライドベアリング(a)が得られる。潤滑剤の保持処理は、真空条件下で行うことが、ボイドへの潤滑剤の浸透の点で好ましい。
【0018】
PTFE組成物に含有される芳香族ポリエステルとしては、芳香族基を有するポリエステルであれば、いずれもが利用可能である。例えば、p−ヒドロキシ安息香酸ホモポリマーなどが挙げられる。この芳香族ポリエステルは、上記PTFEを主とする組成物中、14〜35重量%、好ましくは15〜20重量%の割合で含有される。芳香族ポリエステルが14重量%よりも少いと、得られるスライドベアリングの圧縮弾性率が十分に向上せず、機械的強度の信頼性に劣る。さらに、この場合、PTFE組成物を用いて得られる成形体の多孔性の度合いが低く留まり、そのため、潤滑剤による低摩擦係数の維持が不十分となる。その一方、芳香族ポリエステルが35重量部よりも多いと、多孔性の度合いが高くなりすぎ、得られるスライドベアリングの機械的強度が低下し、高荷重(例えば、200Kgf/cm2以上)の免震滑り支承に適用できなくなる。
【0019】
このPTFE組成物には、さらに充填剤が含有されていてもよい。充填剤としては、グラファイト、グラスファイバー、二硫化モリブデン、チタン酸カリウム、ブロンズなどが用いられる。上記素材のうちグラスファイバー以外の素材は、通常微細粉末状で用いられる。これらの充填剤は単独で、あるいは組み合わせて用いられる。これらの充填剤は、得られるスライドベアリングの機械的強度を高め、あるいは摩擦係数を低減する目的で用いられる。このような充填材は、上記PTFE100重量部に対して、20重量部以下、好ましくは5〜15重量部の割合で用いられる。機械的強度向上の点でグラスファイバーが好ましい。
【0020】
PTFE組成物を、当業者が通常用いる圧縮成形(予備成形、焼成、および冷却)によりブロック状の成形体を得、所望の形状、例えば板状に切り出すことにより、多孔質構造の成形体が得られる。
【0021】
次に、得られた成形体の表面部分に流動可能な潤滑剤を保持させる。ここで、「表面部分」とは、単に成形体の表面のみを指すのではなく、潤滑剤が浸透し得る表面から内部層にわたる多孔質構造部分をも指して言う。このようにして、成形体の表面部分に潤滑層が形成される。上記潤滑剤は、塗布・浸漬などの簡単な手段により成形体表面に付与することが可能である。潤滑剤を付与した場合は、少なくとも表面から0.2mmを超える程度まで潤滑剤が浸透していることが確認されている。
【0022】
流動可能な潤滑剤としては、ポリシロキサンが挙げられる。ここで「流動可能なポリシロキサン」とは、液状の、あるいはワックス状のポリシロキサンをさして言う。液状のポリシロキサンとしては、比較的低分子量のポリシロキサンがあり、それには、ジメチルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、メチルメトキシポリシロキサンなどが含まれる。ワックス状のポリシロキサンとしては、上記液状のポリシロキサンよりはやや高分子量のポリシロキサンが挙げられ、それには、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、長鎖アルキル変性シリコーン、トリフルオロプロピルメチルポリシロキサンなどが含まれる。これらは単独で、あるいは組み合わせて用いることができる。
【0023】
このようにして、潤滑剤保持層を有する成形体でなる本発明の免震滑り支承に用いられるスライドベアリング(a)が得られる。
【0024】
本発明の免震滑り支承に用いられる多孔質構造を有する成形体からなるスライドベアリング(a)は、充分な機械的強度を有し、高負荷条件下においても長期間にわたり安定して低い摩擦係数を維持することが可能である。これは、次のような理由によると考えられる。本発明に用いられるPTFE組成物は、PTFEを主成分とし、特定の割合で芳香族ポリエステルを含有する。このように、特定の割合で芳香族ポリエステルが含有されることにより、組成物を成形して得られる成形体の機械的強度、特に圧縮弾性率が高く(約900MPa以上)なる。
【0025】
さらに、成形体中にボイドが適切な割合で含有されるようになる。これは、PTFEと芳香族ポリエステルとの相容性に起因すると考えられる。この成形体に潤滑剤が付与されると、成形体表面からボイド中に潤滑剤が浸透して保持される。得られたスライドベアリング(a)は、PTFEおよび潤滑剤の滑り作用により、きわめて低い摩擦係数(0.017〜0.020)が得られるとともに、長期維持が可能となる。
【0026】
このように、従来、460MPa程度の圧縮弾性率を有するスライドベアリングしか得られなかったが、本発明によれば、900MPa以上の圧縮弾性率を有し、かつ、極めて低い摩擦係数(0.017〜0.020)を有するスライドベアリング(a)が得られる。このスライドベアリング(a)を用いる免震滑り支承は、200Kgf/cm2の面圧で使用した場合、初期摩擦係数が0.02以下を達成できる。
【0027】
この機械的強度にも優れるスライドベアリング(a)を免震滑り支承に用いた場合、摺動初期においては、高荷重を受けてスライドベアリングをなす樹脂表面が適度に圧縮変形し、これによりボイド中に保持されていた潤滑剤が流出し、スライドベアリング間にさらなる潤滑剤が付与されることとなるため、極めて低い摩擦係数を達成できる。また、地震入力の結果、摺動が生じ、スライドベアリング(a)の表面部分の潤滑剤が初期段階でスライドベアリング間からこぼれ落ちて消失しても、表面から内部にかけてのボイドに保持された潤滑剤が、地震入力に起因して樹脂表面がランダムに変形する結果、滑り面表面に供給され続けるため、常に低い摩擦係数を維持することが可能である。高荷重条件下では、機械的強度が不十分であると円滑な滑り作用が働かない。さらに、長期にわたって使用されたため摺動により滑り表面が磨耗した場合においても、内部に潤滑剤を含むボイド部分が次々と表面に露出し、そのため滑り材表面に常に潤滑剤が存在し、順次滑り面表面に供給され続ける。したがって、本発明の免震滑り支承にスライドベアリングを用いると長期にわたってきわめて低い摩擦係数が得られる。すなわち、スライドベアリングに一度潤滑剤を付与するだけでよく、スライドベアリングを交換する必要がない。
【0028】
本発明の免震滑り支承は、スライドベアリング(a)を一対として用いてもよいが、スライドベアリング(a)と他のスライドベアリングとを組合せてもよい。組合せるスライドベアリングとしては、特に制限はない。通常より高い荷重にも耐えられるように、スライドベアリングとして平滑面を有する金属板(ステンレススチール、炭素鋼など)を使用することが多い。好ましいスライドベアリングとしては、表面に多孔性のPTFE樹脂膜を有する金属板(以下、スライドベアリング(b)ということがある)、あるいは、表面にPTFE樹脂膜を有する金属板(以下、スライドベアリング(c)ということがある)が挙げられる。
【0029】
スライドベアリング(b)は、PTFAを主成分とする多孔性の樹脂膜が金属板上に形成されている。この多孔性PTFE樹脂膜は、適切な強度があり、直径10〜100μmのボイドを有し、ボイドの面積占有率(単位面積あたりのボイドの占める割合)が10〜50%であり、樹脂膜の表面部分に流動可能な潤滑剤が保持された潤滑層が形成されていることが好ましい。
【0030】
このような多孔性の樹脂膜を作る方法は、特に制限されない。例えば、PTFEを主成分とする組成物(PTFE組成物)に充填材を混合し、通常の圧縮成形により成形体を得、これを切り出して金属基板上に配置することによって得られる。金属基板に用いられる金属としては、適切な強度を有し、酸化されにくい金属であれば特に制限はされない。例えば、ステンレススチール、炭素鋼などが用いられる。
【0031】
あるいは、PTFE組成物と海島構造を形成できる粒状の樹脂(例えばポリエチレンなどのPTFE組成物と相容性がない樹脂)との混合物を塗布し、加熱してその粒状の樹脂を加熱分解して除去する、あるいは溶媒で溶解除去することにより、多孔性のPTFE樹脂膜が得られる。
【0032】
上記好ましい多孔性PTFE膜を作製するためには、必要に応じて、通常PTFE組成物に添加される充填剤を20〜30重量%加えてもよい。添加する粒状の樹脂は、通常10〜100μm、好ましくは10〜20μmの大きさで、全体の0.05〜10重量%、好ましくは0.5〜3重量%の割合で用いられる。
【0033】
ボイドの面積占有率は、約10〜50%が好ましく、より好ましくは15〜40%である。面積占有率が約10%より少ないと、摩擦係数が小さくなりにくく、約50%より多いと、スライドベアリングの強度が小さくなる。
【0034】
この樹脂膜の表面部分に流動可能な潤滑剤が付与されることが好ましい。潤滑剤は塗布・浸漬などの簡単な手段により付与することができ、潤滑剤が多孔質構造部分に浸透し、空孔内に保持される。スライドベアリング(b)に用いられる流動可能な潤滑剤は、通常、液状あるいはワックス状であり、流動パラフィン、シリコーンオイル、含フッ素オイル、オレイン酸、オレイルアルコール、およびオレイル酸エステルなどが挙げられる。
【0035】
なお、スライドベアリング(b)の「表面部分」とは、単に成形体の表面だけでなく、この潤滑剤が浸透した表面近傍の多孔質構造部分、および樹脂膜の空孔全体に潤滑剤が保持される場合を含む。このように樹脂膜の空孔に潤滑剤が保持されるため、長期に亘って滑り面間に潤滑剤を供給することができ、摩擦係数をさらに小さくすることができる。
【0036】
得られるスライドベアリング(b)は、金属基板に多孔性のPTFE膜が形成されているので、強度が高く、ビルや橋梁のような大型構造物の免震滑り支承を始めとし、各種工業製品など広い分野で使用することが可能である。このように、スライドベアリング(b)は、低い摩擦係数を有するため、上部スライドベアリングとして有用である。
【0037】
また、スライドベアリング(c)(PTFE樹脂膜を有する金属板)は、PTFE樹脂を適切な溶媒に溶解し、これを塗布、乾燥することにより得られる。
【0038】
スライドベアリングを対接して配置する場合、スライドベアリングの一方の径は、他方の径より小さい方が好ましい。同じ大きさであると、滑りが発生した場合にスライドベアリング間でずれが生じて接触部分に荷重が集中し、大きな負荷がかかってスライドベアリングが損傷しやすくなる、負荷のかかり方が不均一となり一様な摩擦係数が保持できない、金属製スライドベアリングの端縁部が樹脂側にかみ込んで円滑な滑り作用を妨げスライドベアリングの損傷、滑り作用の劣化を生じるなどの問題が生じるからである。一方のスライドベアリングの径が他方のスライドベアリングの径より小さいと、常に受圧面積が一定となり、上記問題が生じる虞は少ない。この場合、下部スライドベアリングが上部スライドベアリングより小さいことが好ましい。
【0039】
上記において、上部スライドベアリングが、スライドベアリング(b)または(c)であり、下部スライドベアリングがスライドベアリング(a)であることが好ましい態様である。
【0040】
以下、スライドベアリング(a)を用いる免震滑り支承について説明する。
図1は、本発明の実施例の一つである、スライドベアリング(a)を用いる建築構造物用の免震滑り支承の断面図を示す。免震滑り支承1は、上部構造体Aに設けられた上部ベースプレート10上に上部スライドベアリング11を配置し、下部構造体B上に設けらた下部ベースプレート20上にスライドベアリング21を配置するように構成され、この上部スライドベアリング11と下部スライドベアリング21とが、相対移動可能に対接するように配置されている。
【0041】
このうち、本発明に用いられるスライドベアリング(a)は、少なくとも上部スライドベアリング11として用いるか、下部スライドベアリング21として用いるか、上部および下部の両方のスライドベアリングとして用いられる。
【0042】
下部スライドベアリング21としてスライドベアリング(a)を、上部スライドベアリング11として、スライドベアリング(c)(PTFE樹脂膜を有する金属板)あるいは、スライドベアリング(b)(多孔性のPTFE樹脂膜を有する金属板)を用い、スライドベアリング(a)の径をスライドベアリング(b)あるいは(c)の径よりも小さく設定していることが好ましい。この構成の免震滑り支承は、高荷重に対応し、かつ低摩擦係数を長期に亘って維持できる。
【0043】
図1の免震滑り支承は、地震による入力があった場合、上部スライドベアリング11および下部スライドベアリング21との間で相対変位が生じ、免震機能が得られる。図1に示す免震滑り支承装置は水平バネ13を有し、変位した上部構造体Aを元の位置に復帰させる。
【0044】
図2に免震滑り支承の別の例を示す。この滑り支承は、上部構造体Aと下部構造体Bとの間に、滑り支承2と積層ゴム支承3とを順次有する。滑り支承2は、上部ベースプレート10上に設けられた上部スライドベアリング11と、積層ゴム支承上部ベースプレート31上に形成された下部ベースプレート20および下部スライドベアリング21とから構成されている。積層ゴム支承3は、積層ゴム支承上部ベースプレート31と積層ゴム支承下部ベースプレート32との間に積層ゴム層33を有し、この積層ゴム層33は、複数のゴム材34および金属板35が順次積層されてなる。この免震滑り支承2は、スライドベアリング(a)を用いた滑り支承2と積層ゴム支承3との相乗作用により、免震効果とともに正規位置への復帰効果が得られる。
【0045】
【実施例】
以下に本発明を実施例に基づいて説明するが、本発明がこの実施例に限定されないことはいうまでもない。
【0046】
(スライドベアリング(a)の作製)
表1に記載の割合で、PTFEと、ポリp−ヒドロキシ安息香酸と、平均粒径44μmのグラファイトとを混合し、圧縮成形により成形体を得た。得られた成形体の多孔性の度合いを電子顕微鏡写真を用いて測定した。その結果を表1に示す。なお、表1に示す数値は単位面積当たりに孔が占める割合(面積占有率)を意味する。
【0047】
【表1】
【0048】
この成形体表面にシリコーン(信越シリコーンスプレー型離型剤 KP96SP)を付与し、実施例および比較例のスライドベアリングの試験サンプルを得た。なお、試験片の大きさは直径12.7mmであった。
【0049】
(スライドベアリング(b)の作製)
ポリフロンTFEエナメル(ダイキン工業;四フッ化エチレン樹脂を主成分とする塗布用分散液)100重量部に平均粒径が30μmのポリエチレン粉末20重量部を混合し、懸濁液を得た。この懸濁液を厚さ4mmのステンレス(SUS#800)製基板に乾燥後の厚みが50μmとなるように塗布し、乾燥して樹脂膜を得た。これを390℃で30分間乾燥させ、ポリエチレン粒子粉末を分解し、小孔を有する樹脂膜を形成させた。孔の面積占有率は18%であった。この樹脂膜表面に、潤滑剤としてシリコーンオイル(信越シリコーンスプレー型離型剤
KP96SP)を塗布し、スライドベアリング(b)を作製した。
【0050】
(スライドベアリング(c)の作製)
ポリフロンTFEエナメルを厚さ4mmのステンレス(SUS#800)製基板に乾燥後の厚みが50μmとなるように塗布し、乾燥して樹脂膜を得た。これを乾燥して、PTFE樹脂で被覆された金属板からなるスライドベアリング(c)を作製した。
【0051】
(実施例1〜4、比較例1〜3)
上記作成されたスライドベアリング(a)(実施例1〜4及び比較例1〜3)の圧縮弾性率をJIS K 7181のプラスチック−圧縮特性の試験方法を用いて測定した。なお、初期荷重は面圧0.2MPaであり、圧縮速度は1.3mm/分であった。
【0052】
次に、この実施例1〜4のスライドベアリング(a)と、スライドベアリング(b)または(c)とを組合せて免震滑り支承を形成し、その初期摩擦係数および中期摩擦係数を測定した。
【0053】
摩擦係数の測定は、図3に示す往復動滑り試験機4を用いて測定した。この試験機4は、加圧装置5、上下のサンプル固定部6、6、可動板7、油圧源8、および記録計9を有する。上下のサンプル固定部6、6にスライドベアリング(a)61、61を固定し、可動板7の両面にはスライドベアリング(b)または(c)を取り付けた(図3の71、71)。加圧装置5により、70トンfの荷重を負荷した。油圧源8からの動力をアクチュエーター81により所定の往復動に変え、可動板7を往復運動させ、スライドベアリング(a)とスライドベアリング(b)または(c)とを摺動させた。荷重面圧200Kgf/cm2、速度20cm/秒の条件で実験を行い、連続10往復時および300往復時の記録計9の測定値から摩擦係数を算出し、それぞれ初期摩擦係数および中期摩擦係数とした。なお、記録計9はスライドベアリング(a)61に加えられた圧力を測定するロードセル91、摩擦反力を測定するロードセル92、および変位を測定する変位計93でなる。
【0054】
圧縮弾性率および摩擦係数の測定結果を表2に示す。また、実施例3のスライドベアリング(a)とスライドベアリング(c)を用いた場合の、10往復時の水平変位と摩擦係数との関係を表すチャートを図4に、比較例3のスライドベアリングを用いて同様にして測定したチャートを図5に示す。ただし、図4においては、速度が20cm/sであり、図5では、速度が10cm/sであった。結果を表2に示す。なお、表2中、SB1はスライドベアリング(c)を、SB2はスライドベアリング(b)を示す。
【0055】
【表2】
【0056】
表1および2並びに図4および図5から明らかなように、本発明のスライドベアリング(a)を用いる免震滑り支承は、いずれも圧縮弾性率が900MPa以上であり、初期の摩擦係数が極めて低い。また、中期摩擦係数もほとんど増加することはなかった。比較例1で得られた成形体は多孔性の度合いが低い。この成形体を用いた場合、初期摩擦係数は低いが、中期摩擦係数が高くなる傾向にある。比較例2の成形体は圧縮弾性率が低く、機械的強度に劣る。比較例3では潤滑剤が付与されていないため初期摩擦係数および中期摩擦係数が高い。
【0057】
【発明の効果】
このように、本発明の免震滑り支承は、圧縮弾性率の高い、多孔質構造のPTFE樹脂を有する成形体等からなるスライドベアリング(a)を用いることにより、中、長期的に低摩擦係数が維持されるため、負荷荷重の高いビル、橋梁などの建築構造物の免震滑り支承装置をはじめとする広範な分野において好適に用いられる。特に、多孔質構造のPTFE樹脂からなるスライドベアリング(a)の径を対向配置させる他方のスライドベアリング、あるいは多孔性のPTFE樹脂膜を有する金属板からなるスライドベアリング(b)、あるいは、PTFE樹脂被膜を有する金属板からなるスライドベアリング(c)の径よりも小さく設定することで、金属板などの端縁部が樹脂製スライドベアリング(a)の滑り面にかみ込んで滑り不良を生じることもないので好ましい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の免震滑り支承の一実施例の断面図を示す。
【図2】本発明の別の免震滑り支承の断面図を示す。
【図3】スライドベアリングの摩擦係数を測定するための往復動滑り試験機の略図である。
【図4】本発明の免震滑り支承に用いられるスライドベアリング(a)の摩擦係数を示すチャートである。
【図5】比較例のスライドベアリングの摩擦係数を示すチャートである。
【符号の説明】
A 上部構造体
B 下部構造体
1 免震滑り支承
10 上部ベースプレート
11 上部スライドベアリング
20 下部ベースプレート
21 下部スライドベアリング
2 免震滑り支承
3 積層ゴム支承
31 積層ゴム支承上部ベースプレート
32 積層ゴム支承下部ベースプレート
33 積層ゴム層
34 ゴム材
35 金属板
4 往復動滑り試験機
5 加圧装置
6 サンプル固定部
7 可動板
8 油圧源
9 記録計
91 ロードセル(加圧計測用)
92 ロードセル(摩擦反力計測用)
93 変位計
Claims (7)
- 上部構造体と下部構造体との間に一対のスライドベアリングが相対移動可能に対接するように配置された免震滑り支承であって、
該一対のスライドベアリングの少なくとも一方は、四フッ化エチレン樹脂を主成分とする芳香族ポリエステルを含有する組成物により形成された複数のボイドを有する多孔質構造の成形体でなるスライドベアリング(a)であって、
該組成物中に芳香族ポリエステルが14〜35重量%の割合で含有され、かつ、該成形体の表面部分から少なくとも0.2mmを超える深さの部分にまで流動可能な潤滑剤が保持された潤滑剤保持層が形成されたスライドベアリング(a)である、免震滑り支承。 - 前記スライドベアリング(a)を構成する組成物が、グラファイト、グラスファイバー、二硫化モリブデン、チタン酸カリウム、およびブロンズでなる群より選択される少なくとも1種の充填材を含有する、請求項1に記載の免震滑り支承。
- 前記潤滑剤が流動可能なポリシロキサンである、請求項1または2に記載の免震滑り支承。
- 前記一対のスライドベアリングが、前記スライドベアリング(a)とスライドベアリング(b)とからなり、該スライドベアリング(b)が金属基板表面に四フッ化エチレン樹脂を主成分とする組成物からなる樹脂膜を有し、
該樹脂膜は直径が10〜100μmの微細空孔を有し、該空孔の面積占有率が10〜50%であり、かつ、該樹脂膜表面部分に流動可能な潤滑剤が保持された潤滑剤保持層が形成されたスライドベアリング(b)である、
請求項1から3のいずれかの項に記載の免震滑り支承。 - 前記一対のスライドベアリングの一方は径が、他方のベアリングの径よりも小さい、請求項1から4のいずれかの項に記載の免震滑り支承。
- 前記径の小さいスライドベアリングがスライドベアリング(a)であり、径の大きいスライドベアリングがスライドベアリング(b)である、請求項5に記載の免震滑り支承。
- 前記免震滑り支承が200Kgf/cm2の面圧下において0.02以下の摩擦係数を有する、請求項1から6のいずれかの項に記載の免震滑り支承。
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