JP2004143421A - 顔料分散マスターバッチ用樹脂 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ポリエステル樹脂(A)からなる顔料分散マスターバッチ用樹脂において、該(A)の酸価が10〜50、軟化点が75〜115℃であることを特徴とする顔料分散マスターバッチ用樹脂。
【選択図】 なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は顔料分散マスターバッチ用ポリエステル樹脂に関する。さらに詳しくは、電子写真、静電気録、静電印刷などに用いられるトナー製造時に使用する顔料分散マスターバッチ用ポリエステル樹脂に関する。
【0002】
【従来の技術】
電子写真などに用いられるトナーは、例えばトナーバインダー、顔料、荷電制御剤、離型剤などのトナー構成成分をミキサーにて予備混合した後、2軸押し出し機などにより加熱混練し、ハンマーミルなどで粗砕した後に、ジェットミルなどで微粉砕して製造されている。しかしながらこのようにして製造されたトナー中に、顔料が充分に均一分散されていない場合にはトナーとして使用した場合の帯電量の低下が発生し易くトナー飛散などが発生することから、画像特性の劣化が生じる。この問題に対して、例えば、予めスチレン系樹脂による染顔料成分のマスターバッチを製造後、トナーを作成する方法が提案されている(特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開昭62−30259号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記方法では顔料分散性は十分でない。
本発明の目的は、顔料分散性に優れたポリエステル系マスターバッチ用樹脂を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意検討した結果、本発明に到達した。すなわち本発明は、ポリエステル樹脂(A)からなる顔料分散マスターバッチ用樹脂において、該(A)の酸価が10〜50、軟化点が75〜115℃であることを特徴とする顔料分散マスターバッチ用樹脂である。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳述する。
本発明におけるポリエステル樹脂(A)は特定の酸価および軟化点を有することを特徴とする。(A)の酸価は通常10〜50、好ましくは10〜40、更に好ましくは15〜35である。酸価が10未満では、これを用いた顔料分散マスターバッチを使用して製造したトナーの帯電量が低下し、また、50を越えるとトナーの吸湿性が上がることから帯電量が低下し易い。尚、酸価はJIS K 0070に規定の方法で測定される。
【0007】
また、(A)の軟化点は通常75〜115℃、好ましくは80〜110℃、さらに好ましくは85〜105℃である。軟化点が80℃未満又は115℃を越えるとマスターバッチ化した場合の顔料均一分散性が低下し、これを使用して製造したトナーの顔料分散が不十分となり帯電量が低下するなどの不具合が生じやすい。
尚、軟化点はフローテスターを用いて、下記条件で等速昇温し、その流出量が1/2になる温度として規定される。
装置 :島津(株)製 フローテスター CFT−500D
荷重 : 20kgf/cm2
ダイ : 1mmΦ−1mm
昇温速度 : 6℃/分
試料量 : 1.0g
【0008】
マスターバッチにした場合の顔料均一分散という点で、マスターバッチ用ポリエステル樹脂のテトラヒドロフラン(THF)不溶解分は、好ましくは5%以下、さらに好ましくは2%以下、特に含有しないことが好ましい。THF不溶解分が5%を越えると、マスターバッチとした場合に顔料の分散されていない樹脂部分が残りやすい点で好ましくない。また、THF不溶解分が5%を越えると、マスターバッチの一部に顔料が分散されない部分が残りやすく、またマスターバッチ化する時のシアーによる分子鎖切断が発生し易いなどマスターバッチ化条件の影響を受けやすくなり、得られるマスターバッチの性能が安定しにくくなる点でも好ましくない。
尚、THF不溶解分は次の方法で測定される値である。
冷却管付きの200mlマイヤーフラスコに試料0.5g及びTHF50mlを加えて3時間撹拌還流させる。冷却後、予め重量を測定したセライト#545を担持させたグラスフィルターにて不溶解分をろ別し、80℃で3時間減圧乾燥する。グラスフィルター上の樹脂分の重量と試料の重量比から、不溶解分を算出する。
【0009】
本発明のポリエステル樹脂(A)としては、ポリカルボン酸とポリオールとの重縮合物などが挙げられる。
ポリカルボン酸としては、ジカルボン酸(a)及び3価以上のポリカルボン酸(b)が、ポリオールとしてはジオール(c)及び3価以上のポリオール(d)が挙げられる。
【0010】
ジカルボン酸(a)としては、炭素数4〜36のアルカンカルボン酸(コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、オクタデカンジカルボンなど);炭素数4〜36のアルケンジカルボン酸(マレイン酸、フマール酸、イタコン酸、シトラコン酸、ドデセニルコハク酸、ペンタデセニルコハク酸、オクタデセニルコハク酸など);炭素数8〜40の脂環式ジカルボン酸(ダイマー酸など);炭素数8〜36の芳香族ジカルボン酸(フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸など)などが挙げられる。
これらのうち好ましいものは、炭素数4〜20のアルキレンジカルボン酸および炭素数8〜20の芳香族ジカルボン酸であり、特に好ましいものは、マレイン酸、フマル酸、イソフタル酸及びテレフタル酸である。またこれらは2種以上を併用しても何ら問題はない。
【0011】
3価以上(3〜8価またはそれ以上)のポリカルボン酸(b)としては、炭素数9〜20の芳香族ポリカルボン酸(トリメリット酸及びピロメリット酸など);不飽和カルボン酸の重合体〔ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによる数平均分子量(Mn):500〜3,000、酸価:1〜40のもの、例えば、スチレン/マレイン酸共重合体、スチレン/アクリル酸共重合体、α−オレフィン/マレイン酸共重合体及びスチレン/フマル酸共重合体など〕などが挙げられる。これらのうち好ましいものは、炭素数9〜20の芳香族ポリカルボン酸であり、特に好ましいものはトリメリット酸である。
尚、(a)、(b)として上述のもののエステル形成性誘導体、例えば酸無水物又は低級アルキル(炭素数1〜4)エステル(メチルエステル、エチルエステル及びイソプロピルエステルなど)を用いてもよい。
【0012】
ジオール(c)としては、炭素数2〜36のアルキレングリコール(エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ドデカンジオールなど);炭素数4〜36のアルキレンエーテルグリコール(ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコールなど);炭素数6〜36の脂環式ジオール(1,4−シクロヘキサンジメタノール、水素添加ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールFなど);上記脂環式ジオールの炭素数2〜10のアルキレンオキサイド(以下AOと略記)付加物(付加モル数2〜30)及びビスフェノール類(ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールSなど)のAO付加物(付加モル数2〜30)などが挙げられる。上記及び以下において、AOにはエチレンオキサイド(以下EOと略記)、プロピレンオキサイド(以下POと略記)、ブチレンオキサイド、スチレンオキサイド、α−オレフィンオキサイド、及びこれらの2種以上の併用が含まれる。好ましいのはEO及びPOである。
これらのうち好ましいものは、炭素数2〜12のアルキレングリコール、ビスフェノール類のAO付加物(付加モル数2〜15)、脂環式ジオールであり、さらに好ましいものはビスフェノール類のAO付加物(付加モル数2〜6)、炭素数2〜8のアルキレングリコールおよびこれらの併用であり、特に好ましいものはビスフェノールAのEO付加物およびPO付加物、およびこれらの併用である。
【0013】
3価以上のポリオール(d)としては、炭素数3〜36の3〜8価若しくはそれ以上の脂肪族多価アルコール(グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール及びソルビトールなど);上記脂肪族多価アルコールのAO付加物(付加モル数2〜30);トリスフェノール類(トリスフェノールPAなど)のAO付加物(付加モル数2〜30);ノボラック樹脂(フェノールノボラック及びクレゾールノボラックなど:平均重合度2.4〜20)のAO付加物(付加モル数2.4〜40)などが挙げられる。これらのうち好ましいものは、3〜8価またはそれ以上の多価脂肪族アルコールおよびノボラック樹脂(平均重合度2.4〜20)のAO付加物(付加モル数2.4〜40)であり、特に好ましいものはノボラック樹脂(平均重合度2.4〜10)のAO付加物(付加モル数2.4〜20)である。
【0014】
本発明において、(A)における、ポリカルボン酸と、ポリオールの比率は、水酸基[OH]とカルボキシル基[COOH]の当量比[OH]/[COOH]として、通常2/1〜1/2、好ましくは1.5/1〜1/1.3、さらに好ましくは1.3/1〜1/1.2である。
(b)の比率は、(a)、(b)、(c)及び(d)合計のモル数に対して、好ましくは0〜2モル%、さらに好ましくは0〜1モル%、特に好ましくは0%である。
(d)の比率は、(a)、(b)、(c)及び(d)合計のモル数に対して、好ましくは0〜5モル%、より好ましくは0〜2モル%、さらに好ましくは0〜1モル%、特に好ましくは0%である。
(b)と(d)の合計比率は、(a)、(b)、(c)及び(d)合計のモル数に対して、好ましくは0〜5モル%、より好ましくは0〜2モル%、さらに好ましくは0〜1モル%、特に好ましくは0%である。
【0015】
本発明のポリエステル樹脂(A)は所定の酸価と軟化点をあわせ持つことが必要であり、このためにはポリカルボン酸とポリオールとから形成された重縮合物に、更に(a)および/または(b)の酸無水物を反応させることが好ましい。上記重縮合物のMnは、好ましくは800以上、更に好ましくは1,000〜8,000である。酸価は、好ましくは0〜40,更に好ましくは1〜20である。水酸基価は、好ましくは0.1〜60,更に好ましくは1〜50である。尚、水酸基価はJIS K 0070に規定の方法で測定される。
また、この場合の酸無水物の比率は、全モノマー成分のモル数に対して、好ましくは0.1〜25モル%、さらに好ましくは1〜15モル%、特に好ましくは1〜10モル%である。
この反応に使用する酸無水物として好ましいものは、無水マレイン酸、無水フタル酸、無水トリメリット酸であり、特に好ましいものは無水トリメリット酸である。
【0016】
本発明の(A)の具体例としては、以下のものなどが挙げられる。
(1)ビスフェノールA・PO2モル付加物/ビスフェノールA・EO2モル付加物/テレフタル酸の重縮合物に無水トリメリット酸を反応させて得られる線状ポリエステル。
(2)ビスフェノールA・PO2モル付加物/ビスフェノールA・PO3モル付加物/テレフタル酸の重縮合物に無水トリメリット酸を反応させて得られる線状ポリエステル。
(3)ビスフェノールA・PO2モル付加物/ビスフェノールA・PO3モル付加物/テレフタル酸の重縮合物に無水トリメリット酸を反応させて得られる線状ポリエステル。
(4)ビスフェノールA・PO2モル付加物/ビスフェノールA・EO2モル付加物/テレフタル酸の重縮合物。
【0017】
(A)のTHF可溶分のMnは、好ましくは1,000以上、更に好ましくは1,300〜10,000、特に好ましくは1,500〜5,000、最も好ましくは1,600〜4,000である。Mnが1,000以上ではマスターバッチとした場合の粉砕性が良好である。
(A)のTHF可溶分の重量平均分子量(Mw)は、好ましくは20,000以下、更に好ましくは2,000〜15,000、特に好ましくは3,000〜8,000、最も好ましくは4,000〜7,000である。Mwが20,000以下ではマスターバッチとした場合の粉砕性が良好である。
また、Mw/Mnは、好ましくは1.2〜30、さらに好ましくは1.3〜10である。
尚、Mn及びMwは、(A)のTHF可溶分をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて以下の測定条件で測定される。以下において、%は特に記載のない限り、重量%を意味する。
【0018】
(A)のガラス転移点(Tg)は、貯蔵安定性及び顔料の均一分散性の観点から、好ましくは45〜80℃、更に好ましくは50〜75℃である。尚、Tgは、セイコー電子工業(株)製DSC20,SSC/580を用いてASTM D3418−82に規定の方法(DSC法)で測定される。
(A)の水酸基価は、これを用いた顔料マスターバッチを使用したトナーの環境安定性および帯電量の観点から、好ましくは70以下、更に好ましくは10〜60、特に好ましくは20〜55である。
【0019】
(A)の製造方法としては以下の方法などが挙げられる。
(a)および必要により(b)と、(c)および必要により(d)とを窒素などの不活性気流下ないしは減圧条件下で150〜280℃に加熱し重縮合させて得られる。また、この重縮合物に通常150〜230℃、好ましくは170〜210℃の温度において、常圧または加圧下で30分〜3時間、酸無水物を反応させてハーフエスエル化物として(A)を得ることもできる。
【0020】
反応に際しては反応速度を向上させるためにエステル化触媒を用いることができる。エステル化触媒としては、チタンアセチルアセトナート、マレイン酸チタニル塩(マレイン酸チタニルカリウム、マレイン酸チタニルカリウムなど)、シュウ酸チタニル塩(シュウ酸チタニルナトリウム、シュウ酸チタニルカリウムなど)、テレフタル酸チタン、テトラブチルチタネート及びジブチルチンオキサイドなどを使用することができるが、触媒活性が高く、反応物の着色が少ないことからチタンアセチルアセトナート、マレイン酸チタニル塩、シュウ酸チタニル塩、テレフタル酸チタンが好ましく、チタンアセチルアセトナート、シュウ酸チタニルカリウムが更に好ましい。
(A)は、反応終点が近づいたならば、粘度または軟化点、酸価などを追跡しながら反応を進め、所定の粘度または軟化点、酸価に到達した時点で反応装置から取り出し冷却することで得られる。
【0021】
ポリエステル樹脂(A)は顔料分散キャリアーとしての機能を有し、(A)と顔料とを混合することにより、顔料が均一に分散したマスターバッチを得ることができる。
【0022】
顔料としては、特に限定されず、例えば有機顔料(アゾ系顔料、アントラキノン系顔料、ペリレン系顔料、フタロシアニン系顔料、キナクリドン系顔料、イソインドリン系顔料及びジオキサジン系顔料など)及び無機顔料(カーボンブラック、グラファイト及び磁性粉など)が挙げられる。これらのうち、(A)との親和性に優れマスターバッチ化の効果が顕著な点で、フタロシアニン系顔料、カーボンブラックが好ましく、カーボンブラックが特に好ましい。
【0023】
顔料マスターバッチ化に際して、必要に応じて他のポリエステル樹脂、スチレンアクリル樹脂を(A)の顔料分散性等の特性を損なわない範囲〔好ましくは(A)と他の樹脂の合計に対し50%以下、特に20%以下〕で併用することができる。
他のポリエステル樹脂としては、例えば、Mnが1,000〜10、000、Mwが2,000〜500,000、酸価が1〜50、軟化点が70〜150℃、THF可溶分が0〜40%の、ポリカルボン酸とポリオールとの重縮合物からなるポリエステル樹脂で、(A)以外のものが挙げられる。
また、必要に応じて可塑剤、滑剤、酸化防止剤、帯電防止剤など各種添加剤を加えてもよい。
【0024】
顔料マスターバッチ化に際しての(A)の使用量は、顔料分散性及びマスターバッチ化の目的の一つである高顔料濃度化の観点から、顔料に対して好ましくは25〜300%、更に好ましくは50〜200%である。
マスターバッチ中の(A)の含有量は、好ましくは20〜90%であり、更に好ましくは下限は40%、上限は70%である。顔料の含有量は、好ましくは10〜80%であり、更に好ましくは下限は30%、上限は60%である。他の樹脂の含有量は、好ましくは40%以下、更に好ましくは20%以下である。各種添加剤の合計含有量は、好ましくは5%以下、更に好ましくは2%以下である。
【0025】
マスターバッチの製造方法は特に限定されないが、例えば、3本ロールミル、バンバリーミキサー、2軸押し出し機、ニーダーなどによる混練分散が挙げられる。分散時の温度は、通常100〜180℃、分散時間は通常1分〜1時間である。
【0026】
本発明の(A)を用いた顔料分散マスターバッチは、例えばトナーバインダーおよび必要により離型剤、荷電制御剤及び流動化剤などの種々の添加剤等を混合し、乾式トナーとして用いられる。また、成型材料用樹脂に用いることもできる。
(A)を用いて作成した顔料分散マスターバッチは、トナー中の顔料含有量が、好ましくは2〜15%の範囲となるように適宜使用量を調整する。
【0027】
トナーバインダーとしては、従来公知のものが使用可能であり、例えばスチレン系樹脂[スチレンとアルキル(メタ)アクリレートの共重合体、スチレンとジエン系モノマーとの共重合体等]、エポキシ樹脂(ビスフェノールAとエピクロルヒドリンの付加縮合物等)、ウレタン樹脂(ジオールとジイソシアネートの重付加物等)などが挙げられる。
本発明の(A)がポリエステル樹脂であることから、トナーバインダーとしてはポリエステル樹脂を用いた方が(A)との均一混合性の点で好ましい。また、(A)をトナーバインダーないしはその一部として使用することもできる。
トナーバインダーに用いるポリエステル樹脂としては、(A)と同様の組成のポリカルボン酸とポリオールとの重縮合物などが挙げられる。このポリエステル樹脂のMnは、好ましくは1,500〜8,000、更に好ましくは2,000〜6,000である。Mwは、好ましくは3,000以上、更に好ましくは4,000〜500,000である。酸価は、好ましくは1〜50、更に好ましくは5〜40である。軟化点は、好ましくは75〜170℃、更に好ましくは80〜155℃である。THF可溶分は好ましくは0〜40%である。
【0028】
離型剤としては公知のものが使用でき、例えばポリオレフィンワッックス(ポリエチレンワックス及びポリプロピレンワックスなど)、長鎖炭化水素(パラフィンワッックス及びサゾールワックスなど)及びカルボニル基含有ワックス(カルナウバワックス、モンタンワックス、ジステアリルケトンなど)が挙げられる。
トナー中の離型剤の含有量は通常0〜10%であり、好ましくは1〜7%である。
【0029】
荷電制御剤としては、公知のものすなわち、ニグロシン染料、4級アンモニウム塩化合物、4級アンモニウム塩基含有ポリマー、含金属アゾ染料、サリチル酸金属塩、スルホン酸基含有ポリマー、含フッソ系ポリマー及びハロゲン置換芳香環含有ポリマーなどが挙げられる。
トナー中の荷電制御剤の含有量は通常0〜5%である。
流動化剤としては、コロイダルシリカ、アルミナ粉末、酸化チタン粉末及び炭酸カルシウム粉末など公知のものを用いることができる。
【0030】
乾式トナーの製造法としては、公知の混練粉砕法などが挙げられる。上記トナー成分を乾式ブレンドした後、溶融混練した後、ジェットミルなどを用いて微粉砕し、さらに風力分級して、粒径(D50)が通常2〜20μmの粒子として得られる。
尚、粒径(D50)は、コールターカウンター[例えば、商品名:マルチタイザーIII(コールター社製)]を用い測定される。
【0031】
作成された乾式トナーは必要に応じて鉄粉、ガラスビーズ、ニッケル粉、フェライト、マグネタイト、および樹脂(アクリル樹脂、シリコーン樹脂など)により表面をコーティングしたフェライトなどのキャリアー粒子と混合されて電気的潜像の現像剤として用いられる。また、キャリア粒子のかわりに帯電ブレードなどの部材と摩擦し、電気的潜像を形成することもできる。
次いで、公知の熱ロール定着方法などにより支持体(紙、ポリエステルフィルムなど)に定着して記録材料とされる。
【0032】
【実施例】
以下実施例により本発明を更に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。以下、部は重量部を示す。
【0033】
製造例1
[ポリエステル樹脂(A)の合成]
冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応槽中に、ビスフェノールA・EO2モル付加物300部、ビスフェノールA・PO2モル付加物440部、テレフタル酸270部および縮合触媒としてシュウ酸チタニルカリウム2部を入れ、230℃で窒素気流下に生成する水を留去しながら10時間反応させた。次いで5〜20mmHgの減圧下に反応させ、酸価が2以下になった時点で180℃に冷却し、無水トリメリット酸45部を加え、常圧密閉下2時間反応後取り出し、ポリエステル樹脂(A1)を得た。
ポリエステル樹脂(A1)はTHF不溶解分を含有しておらず、軟化点98℃、酸価23、水酸基価42、Tgは60℃、Mnは2300、Mwは5500であり、実質的に線状ポリエステルであった。
【0034】
製造例2
冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応槽中に、ビスフェノールA・PO2モル付加物313部、ビスフェノールA・PO3モル付加物425部、テレフタル酸265部および縮合触媒としてチタンアセチルアセトナート2部を入れ、230℃で窒素気流下に生成する水を留去しながら10時間反応させた。次いで5〜20mmHgの減圧下に反応させ、酸価が2以下になった時点で180℃に冷却し、無水トリメリット酸47部を加え、常圧密閉下2時間反応後取り出し、ポリエステル樹脂(A2)を得た。
ポリエステル樹脂(A2)はTHF不溶解分を含有しておらず、軟化点92℃、酸価27、水酸基価37、Tgは54℃、Mnは2500、Mwは5800であり、実質的に線状ポリエステルであった。
【0035】
比較製造例1
[比較用ポリエステル樹脂(F)の合成]
冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応槽中に、ビスフェノールA・EO2モル付加物300部、ビスフェノールA・PO2モル付加物440部、テレフタル酸270部、無水トリメリット酸45部および縮合触媒としてシュウ酸チタニルカリウム2部を入れ、230℃で窒素気流下に生成する水を留去しながら10時間反応させた。次いで5〜20mmHgの減圧下に反応させ、酸価が25になった時点で取り出し、比較用ポリエステル樹脂(F1)を得た。
比較用ポリエステル樹脂(F1)はTHF不溶解分9%、軟化点125℃、酸価24、水酸基価44、Tgは62℃、Mnは2100、Mwは35400であった。
【0036】
比較製造例2
冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応槽中に、ビスフェノールA・EO2モル付加物300部、ビスフェノールA・PO2モル付加物440部、テレフタル酸270部および縮合触媒としてシュウ酸チタニルカリウム2部を入れ、230℃で窒素気流下に生成する水を留去しながら10時間反応させた。次いで5〜20mmHgの減圧下に反応させ、酸価が2以下になった時点で取り出し、比較用ポリエステル樹脂(F2)を得た。
比較用ポリエステル樹脂(F2)はTHF不溶解分を含有しておらず、軟化点78℃、酸価1.7、水酸基価54、Tgは54℃、Mnは2050、Mwは4750であった。
【0037】
[カーボンブラック分散マスターバッチ(G)の製造]
実施例−1
ポリエステル樹脂(A1)100部と、カーボンブラックMA−100[三菱化学(株)製]70部を加熱温度130℃の3本ロールを用いて混練し、室温まで冷却後、粉砕して14メッシュ(目開き1.18mm)パス品としてカーボンブラック分散マスターバッチ(G1)を得た。(G1)のTgは61℃であった。
実施例−2
ポリエステル樹脂(A1)に代えてポリエステル樹脂(A2)を用いる以外は実施例−1と同様にしてカーボンブラック分散マスターバッチ(G2)を得た。(G2)のTgは55℃であった。
【0038】
[比較カーボンブラック分散マスターバッチ(H)の製造]
比較例−1
ポリエステル樹脂(A1)に代えて比較用ポリエステル樹脂(F1)を用いる以外は実施例−1と同様にして比較カーボンブラック分散マスターバッチ(H1)を得た。(H1)のTgは58℃であった。
比較例−2
ポリエステル樹脂(A1)に代えて比較用ポリエステル樹脂(F2)を用いる以外は実施例−1と同様にして比較カーボンブラック分散マスターバッチ(H2)を得た。(H2)のTgは53℃であった。
【0039】
[性能評価]
1.トナーバインダー樹脂の製造
冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応槽中に、ビスフェノールA・PO2モル付加物228部、ビスフェノールA・PO3モル付加物526部、フェノールノボラック(平均重合度約5)のEO5モル付加物16部、テレフタル酸119部、フマル酸74部および縮合触媒としてシュウ酸チタニルカリウム2部を入れ、220℃で窒素気流下に生成する水を留去しながら10時間反応させ、酸価が2以下になるまで反応させた。次いで無水トリメリット酸81部を加え、常圧下で1時間反応させた後、5〜20mmHgの減圧下に反応させ軟化点140℃で取り出し、ポリエステル(TB)とする。
ポリエステル(TB)は、酸価23、水酸基価35、Tgは63℃、Mnは3800、Mwは58000であった。
2.トナーの製造
(TB)55部、(A1)45部、(G1)17部、荷電制御剤T−77(保土谷化学製)1部およびビスコール550P[三洋化成工業(株)製ポリプロピレンワックス]2部を下記の方法でトナー化した。
まず、ヘンシェルミキサー[三井三池化工機(株)製 FM10B]を用いて予備混合した後、二軸混練機[(株)池貝製 PCM−30]で混練した。ついで超音速ジェット粉砕機ラボジェット[日本ニューマチック工業(株)製]を用いて微粉砕した後、気流分級機[日本ニューマチック工業(株)製 MDS−I]で分級し、粒径d50が8μmのトナー粒子を得た。ついで、トナー粒子100部にコロイダルシリカ(アエロジルR972:日本アエロジル製)0.5部をサンプルミルにて混合して、トナー(T1)を得た。
(G1)に代えて(G2)を用いる以外はトナー(T1)の製造と同様にして、トナー(T2)を得た。
【0040】
3.比較トナーの製造
(G1)に代えて(H1)を用いる以外はトナー(T1)の製造と同様にして、比較トナー(S1)を得た。
(G1)に代えて(H2)を用いる以外はトナー(T1)の製造と同様にして、比較トナー(S2)を得た。
【0041】
4.性能評価
トナー(T1)、(T2)、(S1)および(S2)について、以下に記載の評価方法を用いて評価した結果を表1に示す。
【0042】
【表1】
【0043】
[評価方法]
(1)現像剤の調製
トナー30部とフェライトキャリア(パウダーテック社製、F−150)800部と均一混合し二成分現像剤とする。
(2)飽和帯電量の測定および帯電量の立ち上がりの評価
上記現像剤を23℃、50%R.H.で8時間以上調湿した後、ターブラーシェーカーミキサーにて50rpm×1,3,7,20,60及び120分間摩擦攪拌し、それぞれの時間毎に帯電量を測定する。測定にはブローオフ帯電量測定装置[東芝ケミカル(株)製]を用い、帯電量の増加がなくなった摩擦時間の帯電量をもって飽和帯電量とする。
帯電量の立ち上がりの評価基準としては、上記帯電量測定結果を基に以下の基準で評価する。
A:飽和帯電量の80%の帯電量に到達する摩擦時間が7分未満
B:飽和帯電量の80%の帯電量に到達する摩擦時間が7分以上20分未満
C:飽和帯電量の80%の帯電量に到達する摩擦時間が20以上60分未満
E:飽和帯電量の80%の帯電量に到達する摩擦時間が60分以上
(3)連続複写試験
上記現像剤を用いて、市販複写機[AR5030、シャープ(株)製]を用いて現像した未定着画像を、市販複写機[SF8400A;シャープ(株)製]の定着機でプロセススピード145mm/秒で定着し、その画質を以下の評価基準で評価する。
A:5000枚連続複写後も画質良好のもの
B:5000枚連続複写後、かぶり発生による画質低下がややみられるもの
C:5000枚連続複写後、かぶり発生による画質低下が明らかなもの
D:複写初期から画質不良のもの
【0044】
[有機顔料分散マスターバッチ(J)の製造]
実施例−3
ポリエステル樹脂(A1)100部と、シアニンブルーKRO(山陽色素(株)製)70部を加熱温度130℃の3本ロールを用いて混練し、室温まで冷却後、粉砕して14メッシュ(目開き1.18mm)パス品として有機顔料分散マスターバッチ(J1)を得た。(J1)のTgは62℃であった。
実施例−4
(A1)に代えて(A2)を用いる以外は実施例−3と同様にして有機顔料分散マスターバッチ(J2)を得た。(J2)のTgは52℃であった。
【0045】
[比較有機顔料分散マスターバッチ(K)の製造]
比較例−3
(A1)に代えて比較用ポリエステル樹脂(F1)を用いる以外は実施例−3と同様にして比較有機顔料分散マスターバッチ(K1)を得た。(K1)のTgは61℃であった。
【0046】
[有機顔料分散マスターバッチの評価]
(J1)、(J2)および(K1)をプレートガラス上に各0.05g測り取り、表面温度を140±10℃に調整したホットプレート上で10分間静置溶融した後、カバーグラスを押しつけて評価用サンプルを作成した。このサンプルを100倍の光学顕微鏡で観察した結果、(J1)、(J2)を使用したサンプルは均一な有機顔料の分散を確認したが、(K1)を使用したサンプルは顔料の分散が不均一であるため、透過光の強度ムラが確認された。
【0047】
【発明の効果】
本発明の顔料分散マスターバッチ用樹脂は、優れた顔料分散性を有しており、本樹脂を使用したマスターバッチは顔料が均一に分散しているため、このマスターバッチをトナーに使用した場合、以下の効果を奏する。
1.トナーの飽和帯電量が高い。
2.帯電の立ち上がり性に優れ、短時間の摩擦で一定の帯電量に到達するトナーが得られる。
3.長時間の連続複写を重ねてもかぶりのすくない、鮮明な画像を安定に保持するトナーが得られる。
Claims (3)
- ポリエステル樹脂(A)からなる顔料分散マスターバッチ用樹脂において、該(A)の酸価が10〜50、軟化点が75〜115℃であることを特徴とする顔料分散マスターバッチ用樹脂。
- (A)のTHF不溶解分が5%以下である請求項1記載のマスターバッチ用樹脂。
- (A)が、ポリカルボン酸とポリオールとから形成される重縮合物に、更に酸無水物を反応させて得られるポリエステル樹脂である請求項1又は2記載のマスターバッチ用樹脂。
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JP2008274227A (ja) * | 2007-03-31 | 2008-11-13 | Sanyo Chem Ind Ltd | 顔料分散マスターバッチ用樹脂 |
JP2013160783A (ja) * | 2012-02-01 | 2013-08-19 | Toyo Ink Sc Holdings Co Ltd | カラーフィルタ用着色組成物の製造方法、カラーフィルタ用着色組成物およびカラーフィルタ |
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2003
- 2003-08-29 JP JP2003209762A patent/JP2004143421A/ja active Pending
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