JP2004143081A - 農薬カプセル及び施用方法 - Google Patents

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JP2004143081A
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Yoshihiro Maeda
前田 嘉洋
Shigeki Fujita
藤田 茂樹
Susumu Kato
加藤 進
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    • Y02A50/30Against vector-borne diseases, e.g. mosquito-borne, fly-borne, tick-borne or waterborne diseases whose impact is exacerbated by climate change

Abstract

【課題】ドリフト等による圃場外への飛散や散布者への暴露がなく、安価な材料で煩雑な工程を経ずに製造でき、かつ植物の幼苗期の薬害を防止可能で、農薬散布の省力化を実現できる農薬カプセル、その製造方法及び施用方法を提供する。
【解決手段】外径が0.7〜10mmであり、該外径の0.005〜0.1倍の膜厚を有する生分解性高分子を成分とする粒状のカプセル内に、液状農薬を封入した農薬カプセルであり、植物の生育土壌にそのまま散布可能な粒状とし、土壌中における農薬活性成分の放出開始時期を散布時より遅延させられる。
【選択図】なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、植物の生育土壌に直接散布でき、農薬活性成分の放出開始時期を散布時から所定の期間遅延可能な、新規の農薬カプセル及び施用方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
【特許文献1】特開2000−302606号公報
【特許文献2】特開昭61−22001号公報
【特許文献3】特開昭61−22003号公報
【特許文献4】特開平9−137049号公報
【特許文献5】特開平5−85902号公報
【0003】
従来より、農薬製剤として、粒剤、粉剤、乳剤、水和剤、フロアブル剤、粒状水和剤、マイクロカプセル製剤(以下MC製剤と称す)等が広く知られている。中でも、MC製剤の技術は、農薬活性成分の放出を制御することで残効性を付与したり、分解を抑制したり、あるいは揮散を抑えることで防臭効果を得るのには有効であり、種々検討されている。
【0004】
しかし、MC製剤は、一般的に100μm以下の粒径を有するカプセルを、水を主成分とする液体状媒体に分散させた製剤であり、フロアブル剤や乳剤のように、原液のままで、または水で希釈し散布するものであるため、ドリフト等による圃場外への飛散や散布者への暴露等の問題があった。
【0005】
例えば、MC製剤に関する例として、固体農薬を芯材とし、難水溶性メラミン−ホルムアルデヒド樹脂系プレポリマーを重縮合させることにより形成される樹脂を壁材とするMC製剤(特許文献1)や、ゼラチン等のポリカチオン性の水溶性含窒素化合物を壁物質とするMC製剤(特許文献2、特許文献2)などの技術が開示されている。これらは、農薬又は殺虫活性成分の放出を抑え、残効性を付与する点については有効な手段であるが、水に希釈して散布するため、ドリフト等による圃場外への飛散や散布者への暴露の危険性が懸念された。
【0006】
そこで、散布者への暴露を低減できる製剤として、直接土壌に散布可能な粒剤が知られている。その中で、近年では、特に環境への負荷を低減するため生分解性ポリマーを用いる例がある。例えば、生分解性を有するポリ乳酸に害虫防除剤を保持させ、害虫防除剤を長期にわたり徐々に徐放できる生分解性徐放性製剤(特許文献4)、脂肪族ポリエステル結合を有する生分解性ポリマーと有効成分を鉱物質担体に保持せしめ、有効成分を安定的に放出できる徐放性農薬製剤(特許文献5)等が開示されている。しかし、これらの粒剤は、比較的高価なポリマーを用いること、製造法が煩雑であること、さらに、有効成分の放出が土壌への散布時に開始されるため、植物の幼苗期等の幼弱期における薬害が懸念された。
【0007】
一方、育苗箱による育苗の技術として、例えば野菜や花卉のセル成形苗(以下、セル苗と称す)技術がある。これは専用の育苗箱として、苗毎に区切られた区画を持つセル苗用トレイを用いるもので、近年はセル苗用トレイへの培土充填、播種、覆土の各工程の自動化が進んでいる。このような状況では、自動播種機等を利用して播種と同時に農薬を散布すれば農薬散布の省力化に繋がるが、従来の粒剤の農薬製剤では、上記のように植物の幼弱期における薬害が懸念されるため、播種と同時に農薬を散布することはできず、農薬散布の省力化が課題となっていた。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、ドリフト等による圃場外への飛散や散布者への暴露がなく、安価な材料で煩雑な工程を経ずに製造でき、かつ植物の幼苗期の薬害を防止可能で、農薬散布の省力化を実現できる農薬カプセル、その製造方法及び施用方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記課題について鋭意研究した結果、液状農薬を封入する生分解性高分子を主成分とするカプセルの外径、カプセルの膜厚、更に、好ましくはカプセルの材質を、散布からカプセルが壊れるまでの期間に応じて制御することにより、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。即ち、本発明は、下記の構成を有するものである。
【0010】
(1)液状農薬が、外径が0.7mm〜10mmであり、かつ該外径の0.005倍〜0.1倍の膜厚を有する生分解性高分子を成分とする粒状のカプセルに封入されてなり、植物の生育土壌にそのまま散布可能であり、かつ土壌中への農薬活性成分の放出開始時期を散布時より遅延させるようにしたことを特徴とする農薬カプセル。
(2)液状農薬が油性液状物質に農薬活性成分を溶解又は分散させた液状物である(1)に記載の農薬カプセル。
(3)生分解性高分子が、40℃を超える温水に溶解するが、40℃以下の水に難溶性乃至膨潤性である(1)または(2)に記載の農薬カプセル。
(4)生分解性高分子が、誘導タンパク質及び多糖類から選択される少なくとも1種を主成分とする(1)〜(3)のいずれか1項に記載の農薬カプセル。
(5)生分解性高分子が、ゼラチン及び寒天から選択される少なくとも1種を主成分とする(1)〜(3)のいずれか1項に記載の農薬カプセル。
(6)液状農薬48〜95.8重量%、ゼラチン2〜25重量%、寒天2〜20重量%、及びグリセリン0.2〜7重量%を含む(1)〜(4)のいずれか1項に記載の農薬カプセル。
(7)農薬活性成分の土壌への放出が、カプセルの散布時から少なくとも3日以上遅れて開始する(1)〜(6)のいずれか1項に記載の農薬カプセル。
(8)農薬活性成分が、殺菌剤、殺虫剤、植物成長調節剤、及び除草剤から選択される少なくとも1種である(1)〜(7)のいずれか1項に記載の農薬カプセル。
(9)(1)〜(8)のいずれか1項に記載の農薬カプセルを、水に希釈せず、植物の生育土壌に直接散布することを特徴とする農薬カプセルの施用方法。
(10)農薬カプセルを植物の播種時に散布することを特徴とする(9)に記載の農薬カプセルの施用方法。
(11)農薬カプセルを、植物の苗の移植時に、苗の植え穴に散布することを特徴とする(9)に記載の農薬カプセルの施用方法。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明の農薬カプセルは、液状農薬が、生分解性高分子を主成分とするカプセルに封入されたものであり、継ぎ目のない、所謂シームレスカプセルである。カプセルの外径は0.7mm〜10mmである。この範囲より小さいと、土壌に直接散布する際の作業性が低下する。また、この範囲より大きい場合は、カプセルの膜厚が上記範囲内であることを考慮すると、土壌にそのまま散布可能な粒状の農薬カプセルとしての形状の保持が困難となる上に、カプセル1粒ごとの農薬活性成分の必要量を超え、農薬散布過多となる危険性があるため、好ましくない。なかでも、カプセルの外径は好ましくは1〜7mm、特に好ましくは2〜6mmが好適である。
【0012】
本発明のカプセルの膜厚は、上記カプセルの外径の0.005〜0.1倍、好ましくは0.005〜0.05、更に好ましくは0.01〜0.05倍の膜厚を有するようにされる。具体的な膜厚は、好ましくは10〜350μm、特には50〜300μmである。膜厚が0.005倍より薄い場合には、植物の生育土壌にそのまま散布可能な粒状の農薬カプセルとしての形状の保持が困難となる上、土壌中における農薬活性成分の放出開始時期を散布時より遅延させる効果が低減する。また、カプセルの膜厚が0.1倍より厚い場合は、カプセルが壊れるまでに時間がかかりすぎ、農薬としての機能が発揮されにくくなるため、好ましくない。
【0013】
本発明の農薬カプセルにおいて、カプセルを構成する被膜の材質は、生分解性高分子を主成分とされる。生分解性高分子は、40℃を超える温水、好ましくは60℃を超える温水に溶解するが、40℃以下、好ましくは30℃以下の水に難溶性乃至膨潤性であることが好ましい。ここで、溶解とは、生分解性高分子が、1重量%以上溶解することを意味する。また、難溶性乃至膨潤性とは、生分解性高分子が1重量%以上未満しか溶解しないことを意味する。本発明でカプセルがこのような生分解性高分子で形成することにより、比較的高温の土壌中ではカプセル崩壊が促進され、低温土壌中では抑制される傾向となり、植物の成育も同様の傾向を有するため、農薬活性成分の放出開始時期を散布時より遅延させる期間を、土壌中の環境及び植物の成育に対応して自動的に制御可能となるからである。
【0014】
本発明において、生分解性高分子としては、各種の材料が使用でき、その例としては、ゼラチン、ゼラチンをアルカリ処理したもの、寒天、PEG、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、アルファ化デンプン、デキストリン等が挙げられる。生分解性高分子は、水溶性であるのが好ましい。ここで、水溶性とは、90℃以上の温水に少なくとも1重量%が溶解することを意味する。以下、水溶性の記述は、同様の意味である。生分解性高分子としては、これらの中から選ばれる1種、若しくは2種以上を混合して用いることができる。
【0015】
本発明では、生分解性高分子としては、水溶性を有する誘導タンパク質及び多糖類から選択される少なくとも1種を主成分とするものが好ましい。誘導タンパク質は、40℃以上の比較的温度の低い温水に溶解するものが多いうえに、土壌中に比較的多く存在する微生物で分解されやすい。また、多糖類は、90℃以上という比較的高い温度の温水に溶解するものが多いうえに、土壌中に比較的存在の少ない微生物で分解される。従って、誘導タンパク質及び多糖類の両者を混合し、その混合割合を変えることにより生分解性を制御し、カプセル内の農薬の放出時間を適宜に変えることができる。変性タンパク質とヘミセルロースは、前者/後者が重量比で好ましくは5/1〜1/1で使用するのが好適である。
【0016】
誘導タンパク質としては、ゼラチン(アルカリ処理したものを含む)、プラクアルブミン、ペプトンの使用が好ましい。また、多糖類としては、寒天、デンプン、グルコマンナンの使用が好ましい。なかでも、本発明では、ゼラチン及び寒天から選択される少なくとも1種を主成分とするものが特に好ましい。
【0017】
本発明でカプセルの材質は生分解性高分子を主成分とするものであるが、可塑剤として、グリセリン、ソルビトール等を含有してもよい。更に、必要に応じて、カプセルの強度を微調整するため、イソブチレン・無水マレイン酸交互共重合体等の水溶性ポリマーを添加してもよい。
【0018】
このようにして、本発明のカプセルは、植物の幼苗期の薬害を防止するため、農薬活性成分の土壌への放出が、20℃〜30℃の土壌中において、カプセルの散布時から少なくとも3日以上、特に7日以上遅れて開始するように調節するのが好ましい。
【0019】
本発明の農薬カプセルに封入される液状農薬は、油性液状物質に農薬活性成分を溶解又は分散させた液状物であることが好ましい。例えば、常温で固体若しくは液体の農薬活性成分を油性液状物質に溶解した溶液、常温で固体若しくは液体の農薬活性成分を油性液状物質に分散した分散液、これらの混合物等が挙げられる。
【0020】
農薬活性成分としては、常温で固体でも液体でもよく、特に限定されないが、殺菌剤、殺虫剤、植物成長調節剤、及び除草剤等から選択される少なくとも1種が好適な例として挙げられる。
【0021】
殺菌剤として作用する農薬活性成分の例としては、イソプロピル=[(S)−1−{[(R)−1−(6−フルオロ−1,3−ベンゾチアゾール−2−イル)エチル]カルバモイル}−2−メチルプロピル]カーバメート(ベンチアバリカルブイソプロピル)、3’−イソプロポキシ−2−メチルベンズアニリド(メプロニル)、α,α,α−トリフルオロ−3’−イソプロポキシ−O−トルアニリド(フルトラニル)、3,4,5,6−テトラクロロ−N−(2,3−ジクロロフェニル)フタルアミド酸(テクロフタラム)、1−(4−クロロベンジル)−1−シクロペンチル−3−フェニル尿素(ペンシクロン)、6−(3,5−ジクロロ−4−メチルフェニル)−3(2H)−ピリダジノン(ジクロメジン)、メチル=N−(2−メトキシアセチル)−N−(2,6−キシリル)−DL−アラニナ−ト(メタラキシル)、(E)−4−クロロ−α,α,α−トリフルオロ−N−(1−イミダゾール−1−イル−2−プロポキシエチリデン)−o−トルイジン(トリフルミゾール)、〔5−アミノ−2−メチル−6−(2,3,4,5,6−ペンタヒドロキシシクロヘキシロキシ)テトラヒドロピラン−3−イル〕アミノ−α−イミノ酢酸(カスガマイシン)、バリダマイシン、3−アリルオキシ−1,2−ベンゾイソチアゾール−1,1−ジオキシド(プロベナゾール)、ジイソプロピル−1,3−ジチオラン−2−イリデン−マロネート(イソプロチオラン)、5−メチル−1,2,4−トリアゾロ[3,4−b]ベンゾチアゾール(トリシクラゾール)、(1RS,3SR)−2,2−ジクロロ−N−[1−(4−クロロフェニル)エチル]−1−エチル−3−メチルシクロプロパンカルボキサミド(カルプロパミド)、1,2,5,6−テトラヒドロピロロ[3,2,1−ij]キノリン−4−オン(ピロキロン)、5−エチル−5,8−ジヒドロ−8−オキソ[1,3]ジオキソロ[4,5−g]キノリン−7−カルボン酸(オキソリニック酸)、(Z)−2’−メチルアセトフェノン=4,6−ジメチルピリミジン−2−イルヒドラゾン4,5,6,7−テトラクロロフタリド(フェリムゾン)、3−(3,5−ジクロロフェニル)−N−イソプロピル−2,4−ジオキソイミダゾリジン−1−カルボキサミド(イプロジオン)、1,4−ビス−(2,2,2−トリクロル−1−ホルムアミドエチル)−ピペラジン(トリホリン)などが挙げられる。
【0022】
殺虫剤として作用する農薬活性成分の例としては、1−(6−クロロ−3−ピリジルメチル)−N−ニトロイミダゾリジン−2−イリデンアミン(イミダクロプリド)、3−(6−クロロ−3−ピリジルメチル)−1,3−チアゾリジン−2−イリデンシアナミド(チアクロプリド)、(2R,3aR,5aR,5bS,9S,13S,14R,16aS,16bR)−2−(6−デオキシ−2,3,4−トリ−O−メチル−α−L−マンノピラノシルオキシ)13−(4−ジメチルアミノ−2,3,4,6−テトラデオキシ−β−Dエリスロピラノシルオキシ)−9−エチル−2,3,3a,5a,5b,6,7,9,10,11,12,13,14,15,16a,16b−ヘキサデカヒドロ−14−メチル−1H−8−オキサシクロドデカ[b]as−インダセン−7,15−ジオン(スピノシンA)、(2S,3aR,5aS,5bS,9S,13S,14R,16aS,16bR)−2−(6−デオキシ−2,3,4−トリ−O−メチル−α−L−マンノピラノシルオキシ)−13−(4−ジメチルアミノ−2,3,4,6−テトラデオキシ−β−D−エリスロピラノシルオキシ)−9−エチル−2,3,3a,5a,5b,6,7,9,10,11,12,13,14,15,16a,16b−ヘキサデカヒドロ−4,14−ジメチル−1H−8−オキサシクロドデカ[b]as−インダセン−7,15−ジオン(スピノシンD)、スピノシンA及びスピノシンDの混合物(スピノサド)、(E)−N1−[(6−クロロ−3−ピリジル)メチル]−N2−シアノ−N1−メチルアセトアミジン(アセタミプリド)、2,3−ジヒドロ−2,2−ジメチル−7−ベンゾ[b]フラニル=N−ジブチルアミノチオ−N−メチルカルバマート(カルボスルファン)、エチル=N−[2,3−ジヒドロ−2,2−ジメチルベンゾフラン−7−イルオキシカルボニル(メチル)アミノチオ]−N−イソプロピル−β−アラニナ−ト(ベンフラカルブ)、(RS)−α−シアノ−3−フェノキシベンジル=(RS)−2,2−ジクロロ−1−(4−エトキシフェニル)シクロプロパンカルボキシラート(シクロプロトリン)、1−ナフチル−N−メチルカーバメート(NAC)、O、O−ジエチル−O−(3−オキソ−2−フェニル−2H−ピリダジン−6−イル)ホスホロチオエート(ピリダフェンチオン)、O,O−ジメチル−O−3,5,6−トリクロロ−2−ピリジルホスホロチオエート(クロルピリホスメチル)、O,O−ジメチル−S−(N−メチルカルバモイルメチル)ジチオホスフェ−ト(ジメトエート)、O,S−ジメチル−N−アセチルホスホロアミドチオエート(アセフェート)、エチルパラニトロフェニルチオノベンゼンホスホネート(EPN)、1,3−ビス(カルバモイルチオ)−2−(N,N−ジメチルアミノ)プロパン塩酸塩(カルタップ)、5−ジメチルアミノ−1,2,3−トリチアンシュウ酸塩(チオシクラム)、S,S’−2−ジメチルアミノトリメチレン=ジ(ベンゼンチオスルホナ−ト)(ベンスルタップ)、2−タ−シャリ−ブチルイミノ−3−イソプロピル−5−フェニル−1,3,5,6テトラヒドロ−2H−1,3,5−チアジアジン−4−オン(ブプロフェジン)、1,1’−イミニオジ(オクタメチレン)ジグアニジニウム=トリアセタート(グアザチン)、(RS)−α−シアノ−3−フェノキシベンジル=(S)−2−(4−ジフルオロメトキシフェニル)−3−メチルブチラート(フルシトリネート)、ジメチルエチルスルフィニルイソプロピルチオホスフェート(ESP)などが挙げられる。
【0023】
植物成長調節剤として作用する農薬活性成分の例としては、4’−クロロ−2’−(α−ヒドロキシベンジル)イソニコチンアニリド(イナベンフィド)、(2RS,3RS)−1−(4−クロロフェニル)−4,4−ジメチル−2−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)ペンタン−3−オール(パクロブトラゾール)、(E)−(S)−1−(4−クロロフェニル)−4,4−ジメチル−2−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)ペンタ−1−エン−3−オール(ウニコナゾール)、6−(N−ベンジルアミノ)プリン(ベンジルアミノプリン)、カルシウム=3−オキシド−5−オキソ−4−プロピオニルシクロヘキサ−3−エンカルボキシラート(プロヘキサジオンカルシウム)などが挙げられる。
【0024】
除草剤として作用する農薬活性成分の例としては、2−メチル−4−クロロフェノキシチオ酢酸−S−エチル(フェノチオール)、S−(4−クロルベンジル)N,Nージエチルチオカーバメート(ベンチオカーブ)、S−ベンジル=1,2−ジメチルプロピル(エチル)チオカルバマート(エスプロカルブ)、S−エチルヘキサヒドロ−1H−アゼピン−1−カーボチオエート(モリネート)、2−クロロ−2’,6’−ジエチル−N−(ブトキシメチル)アセトアニリド(ブタクロール)、2−クロロ−2’,6’−ジエチル−N−(2−プロポキシエチル)アセトアニリド(プレチラクロール)、エチル4−(4−クロロ−o−トリロキシ)ブチレート(MCPBエチル)、S−1−メチル−1−フェニルエチル=ピペリジン−1−カルボチオアート(ジメピペレート)、2−メチルチオ−4−エチルアミノ−6−(1,2−ジメチルプロピルアミノ)−s−トリアジン(ジメタメトリン)、n−ブチル−(R)−2−[4−(2−フルオロ−4−シアノフェノキシ)フェノキシ]プロピオネート(シハロホップブチル)、S,S’−ジメチル=2−ジフルオロメチル−4−イソブチル−6−トリフルオロメチルピリジン−3,5−ジカルボチオアート(ジチオピル)、2,4,6,−トリクロルフェニル−4’−ニトロフェニルエーテル(CNP)、α−(2−ナフトキシ)プロピオンアニリド(ナプロアニリド)、5−(2,4−ジクロロフェノキシ)−2−ニトロ安息香酸メチル(ビフェノックス)、O−3−tert−ブチルフェニル=6−メトキシ−2−ピリジル(メチル)チオカルバマート(ピリブチカルブ)、(RS)−2−ブロモ−N−(α,α−ジメチルベンジル)−3,3−ジメチルブチルアミド(ブロモブチド)、2−ベンゾチアゾール−2−イルオキシ−N−メチルアセトアニリド(メフェナセット)、1−(α,α−ジメチルベンジル)−3−(パラトリル)尿素(ダイムロン)、メチル=α−(4,6−ジメトキシピリミジン−2−イルカルバモイルスルファモイル)−O−トルアート(ベンスルフロンメチル)、1−(2−クロロイミダゾ[1,2−a]ピリジン−3−イルスルホニル)−3−(4,6−ジメトキシピリミジン−2−イル)尿素(イマゾスルフロン)、エチル=5−(4,6−ジメトキシピリミジン−2−イルカルバモイルスルファモイル)−1−メチルピラゾール−4−カルボキシラート(ピラゾスルフロンエチル)、2メチルチオ−4,6−ビス(エチルアミノ)−s−トリアジン(シメトリン)、2−メチルチオ−4,6−ビス(イソプロピルアミノ)−s−トリアジン(プロメトリン)、2,4−ジクロロフェニル−3’−メトキシ−4’−ニトロフェニルエーテル(クロメトキシニル)、5−タ−シャリ−ブチル−3−(2,4−ジクロロ−5−イソプロポキシフェニル)−1,3,4−オキサジアゾリン−2−オン(オキサジアゾン)、4−(2,4−ジクロロベンゾイル)−1,3−ジメチル−5−ピラゾリル−p−トルエンスルホネート(ピラゾレート)、2−[4−(2,4−ジクロロベンゾイル)−1,3−ジメチルピラゾール−5−イルオキシ]アセトフェノン(ピラゾキシフェン)、(RS)−2−(2,4−ジクロロ−m−トリルオキシ)プロピオンアニリド(クロメプロップ)、2−[4−[2,4−ジクロロ−m−トルオイル]−1,3−ジメチルピラゾール−5−イルオキシ]−4’−メチルアセトフェノン(ベンゾフェナップ)、2−クロロ−N−(3−メトキシ−2−テニル)−2’,6’−ジメチルアセトアニリド(テニルクロール)、3−[1−(3,5−ジクロルフェニル)−1−メチルエチル]−2,3−ジヒドロ−6−メチル−5−フェニル−4H−1,3−オキサジンー4ーオン(オキサジクロメホン)、3−(4−クロロ−5−シクロペンチルオキシ−2フリオロフェニル)−5−イソプロピリデン−1,3−オキサゾリジン−2,4−ジオン(ペントキサゾン)、1−(ジエチルカルバモイル)−3−(2,4,6−トリメチルフェニルスルフォニル)−1,2,4−トリアゾール(カフェンストロール)、N−{[(4,6−ジメトキシピリミジン−2−イル)アミノカルボニル]}−1−メチル−4−(2−メチル−2H−テトラゾール−5−イル)(アジムスルフロン)、メチル−2−[(4,6−ジメトキシピリミジン−2−イル)オキシ]−6−[(E)−1−(メトキシイミノ)エチル]ベンゾエイト(ピリミノバックメチル)、4−(2−クロロ−フェニル)−5−オキソ−4,5ジヒドロ−テトラゾール−1−カルボン酸シクロヘキシル−エチル−アミド(フェントラザミド)等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0025】
農薬活性成分は、これらを単独、または2種以上混合して用いることができる。
農薬活性成分を溶解又は分散させる油性液状物質としては、疎水性を有し、農薬活性成分を溶解又は分散させても農薬活性成分の性質が保たれるものであれば特に限定されないが、例えば、大豆白絞油等の植物油、ジイソデシルアジペート、ジオクチルフタレート、メチルナフタレン、フェニルキシリールエタン、キシレン、シリコーン油等から選ばれる1種または2種以上を混合して用いることができる。
【0026】
また、液状農薬には、農薬活性成分と油性液状物質のほか、カプセル内での農薬活性成分の沈降を抑えるために、必要に応じて、ベントナイトやホワイトカーボン等の増粘剤を添加することもできる。
【0027】
かくして、本発明の好ましい農薬カプセルの一例の組成として、農薬活性成分は合計で、0.01〜50重量%、好ましくは0.1〜30重量%、油性液状物質は合計で、2〜98重量%、好ましくは30〜90重量%、生分解性高分子は、0.5〜60重量%、好ましくは2〜50重量%、可塑剤は0.01〜20重量%、好ましくは0.1〜10重量%、それぞれ含まれているものが挙げられる。
【0028】
特に、生分解性高分子がゼラチン及び寒天である場合の好ましい農薬カプセルの一例の組成は、液状農薬48〜95.8重量%、ゼラチン2〜25重量%、寒天2〜20重量%、及びグリセリン0.2〜7重量%である。
【0029】
本発明の農薬カプセルの製造法については特に限定されないが、例えば、二重オリフィスからなるノズルの内側のオリフィスから液状農薬を、外側のオリフィスから生分解性高分子(及び必要に応じて可塑剤)を含む水溶液を、同時に冷却媒中に滴下し、カプセル化することができる。かかる冷却媒(以下、硬化液ともいう)の例としては、トリグリセライド、大豆白絞油等が挙げられ、0〜20℃程度に冷却して使用するのが好ましい。以上のように形成された農薬カプセルの表面のカプセル部分は水を含んでいるため、通風乾燥するか、ホワイトカーボン等の吸水性または/及び吸油性を有する微粉を被覆し、カプセルの強度を増強することが好ましい。また、カプセルを乾燥しないで、例えば大豆白絞油等の少量の油性物質に分散させた状態でもよい。
【0030】
本発明の農薬カプセルは、水に希釈せず、植物の生育土壌に直接散布するものである。散布時期としては特に限定されないが、例えば、植物の播種時や、植物の苗の移植時が、省力的な散布時期として挙げられる。散布場所としては、例えば、水稲育苗箱、畑作物の移植苗を育てる育苗箱、苗を移植する際の植え穴などが挙げられる。散布方法としては、人手により、若しくは専用の散布機等で散布する。
【0031】
本発明の農薬カプセルは、土壌中における農薬活性成分の放出開始時期を散布時より所定の期間遅延できる。すなわち、農薬活性成分の放出開始時期を、薬害の懸念がない程度に植物が成長する時期より遅くなるように調整できる。このような構造となっているため、植物の幼弱期における薬害の懸念がない。例えば、薬害の懸念がない程度に植物が成長する時期が、苗の移植時より遅い場合であっても、播種と同時に育苗箱等に散布したカプセルは、育苗時には壊れず、畑に移植された後、薬害の懸念がなくなった頃にカプセルが壊れて農薬活性成分を有効に作用させることができる。このように、播種と同時に散布可能なため、農薬散布の省力化が実現できる。
【0032】
さらに、本発明の農薬カプセルの直径が種子と同程度であることから、自動播種機を利用して、本発明の農薬カプセルの散布を播種と同時に自動化して行うことが可能であり、農薬散布が大幅に省力化される。特に、培土充填、播種、覆土等の工程の自動化が進んでいるセル苗用トレイには既存の機械を使用して散布でき、農薬散布の省力化効果が極めて大きい。
【0033】
本発明の農薬カプセルの散布量は特に限定されないが、好ましい例としては、以下の通りである。すなわち、育苗箱に散布する場合は、育苗箱1平方メートルあたりに60〜600g、好ましくは120〜360gであり、セル苗用トレイに散布する場合は、1セル当たり1〜20個、好ましくは1〜5個であり、苗を移植する際の植え穴に散布する場合は、1穴当たり1〜20個である。
【0034】
【実施例】
以下、本発明を実施例及び試験例により詳細に説明するが、本発明はこれらに何ら制約されるものではない。尚、以下の実施例において、「部」は「重量部」を表す。
【0035】
[実施例1]
イミダクロプリド22.2部を大豆白絞油77.8部に加え、コロイドミル(T.K.マイコロイダー:特殊機化工業(株)製)で粉砕し、イミダクロプリドのオイルスラリーを得た(液状農薬)。水90部に対し、ゼラチン5部、寒天4部及びグリセリン1部を加え、90℃で加温溶解した(カプセル溶液)。
シームレス・ミニカプセル製造装置(スフェレックス:フロイント産業(株)製)を使用し、二重オリフィスからなるノズルの内側のオリフィスから液状農薬を、外側のオリフィスからカプセル溶液を、同時に10℃に冷却した大豆白絞油(硬化液)中に滴下し、液状農薬80部、カプセル20部のシームレスカプセルを得た。
【0036】
次いで、このシームレスカプセルを、20メッシュの篩でろ過し、硬化液を除去した後、25℃の通風を8時間行い乾燥した。その後、カプセル表面に付着している硬化液を酢酸エチルで洗浄し、本発明の農薬カプセルを得た。
得られた農薬カプセルの組成は、イミダクロプリド17.76重量%、大豆白絞油62.24重量%、ゼラチン10重量%、寒天8重量%、グリセリン2重量%であり、カプセルの膜厚は162μm、直径が6mmであった。
【0037】
[実施例2]
チアクロプリド20.8部をジイソデシルアジペート79.2部に加え、実施例1と同様のコロイドミルで粉砕し、チアクロプリドのオイルスラリーを得た(液状農薬)。水90部に対し、ゼラチン5部、寒天4部及びグリセリン1部を加え、90℃で加温溶解した(カプセル溶液)。
この液状農薬とカプセル溶液を、実施例1と同様にして、同時に10℃に冷却した大豆白絞油(硬化液)中に滴下し、液状農薬75部、カプセル25部のシームレスカプセルを得た。
【0038】
次いで、このシームレスカプセルを、実施例1と同様に、ろ過、硬化液の除去、乾燥、硬化液の洗浄を行い、本発明の農薬カプセルを得た。
得られた農薬カプセルの組成は、チアクロプリド15.6重量%、ジイソデシルアジペート59.4重量%、ゼラチン12.5重量%、寒天10重量%、グリセリン2.5重量%であり、カプセルの膜厚は175μm、直径が5mmであった。
【0039】
[実施例3]
アセタミプリド7部を大豆白絞油93部に加え、実施例1と同様のコロイドミルで粉砕し、アセタミプリドのオイルスラリーを得た(液状農薬)。水90部に対し、ゼラチン5部、寒天3部及びソルビトール1部を加え、90℃で加温溶解した(カプセル溶液)。
この液状農薬とカプセル溶液を、実施例1と同様にして、同時に10℃に冷却した大豆白絞油(硬化液)中に滴下し、液状農薬80部、カプセル20部のシームレスカプセルを得た。
【0040】
次いで、このシームレスカプセルを、実施例1と同様に、ろ過、硬化液の除去、乾燥、硬化液の洗浄を行い、本発明の農薬カプセルを得た。
得られた農薬カプセルの組成は、アセタミプリド5.6重量%、大豆白絞油74.4重量%、ゼラチン11.11重量%、寒天6.67重量%、ソルビトール2.22重量%であり、カプセルの膜厚は162μm、直径が6mmであった。
【0041】
[実施例4]
トリシクラゾール8.7部をジイソデシルアジペート91.3部に加え、実施例1と同様のコロイドミルで粉砕し、トリシクラゾールのオイルスラリーを得た(液状農薬)。水90部に対し、ゼラチン5部、寒天3.8部、PEG(M.W.6000)0.2部及びソルビトール1部を加え、90℃で加温溶解した(カプセル溶液)。
この液状農薬とカプセル溶液を、実施例1と同様にして、同時に10℃に冷却した大豆白絞油(硬化液)中に滴下し、液状農薬70部、カプセル30部のシームレスカプセルを得た。
【0042】
次いで、このシームレスカプセルを、実施例1と同様に、ろ過、硬化液の除去、乾燥、硬化液の洗浄を行い、本発明の農薬カプセルを得た。
得られた農薬カプセルの組成は、トリシクラゾール6.09重量%、ジイソデシルアジペート63.91重量%、ゼラチン15重量%、寒天11.4重量%、PEG0.6重量%、ソルビトール3重量%であり、カプセルの膜厚は86μm、直径が2mmであった。
【0043】
[比較例1]
アセタミプリド2部、クレー95部、アルファ化デンプン2部、ラウリル硫酸ナトリウム(花王(株)製 エマール10パウダー)1部を混合し、適量の水を加えて混練した後、2mmの穴をあけたプレートから押し出して造粒した。得られた造粒物を60℃の温風で乾燥し、短径が2mmのアセタミプリドを2%含有する農薬粒剤を得た。
【0044】
[試験例1](1粒当たりの重量の均一性)
実施例1〜4で得た本発明の農薬カプセル及び比較例1の粒剤に関し、1粒毎の重量のばらつきを調べた。農薬カプセル及び粒剤の10個を任意に選んで重量を測定し、変動計数を求めた。結果を表1に示す。
【0045】
【表1】
Figure 2004143081
【0046】
実施例1〜4の農薬カプセルは何れも変動計数が2%以下であり、概ね均一である。従って、例えばセル苗育苗において、各セルに一定の個数の農薬カプセルを散布する場合、セル毎の散布薬量が一定になることから、農薬活性成分の効果はセル毎に均一であると予想される。一方、比較例1の粒剤では1粒当たりの重量のばらつきが大きいため、各セルに一定の個数を散布する場合、セル毎の散布薬量が異なり、農薬活性成分の効果はセル毎にばらつきがあると予想され、農薬活性成分の効果が十分に得られないか、あるいは薬害が懸念される。
【0047】
[試験例2](農薬カプセルの状態の経時変化)
128穴のセル苗用トレイ(ヤンマー農機(株)製 野菜トレイ、トレイ30−128)にセル苗用培土(ヤンマー農機(株)製 ナプラ養土 S(標準)タイプ)を充填し、約500mlの水をトレイ全体に潅水した。その後、培土を鎮圧し、1セル当たり1個の播種穴を開けた。
実施例1〜3の農薬カプセルを別々に播種穴1個当たり1個散布し、バーミキュライトで覆土した。これを25℃の恒温室に入れ、その後一定時間後にカプセルを掘り出し、カプセルの様子を観察した。潅水は、朝、夕の2回、1回当たり200mlをジョーロで静かに、また均一に行った。観察は、散布後2日、5日、7日、14日、21日、28日、35日目に行った。結果を表2に示す。
【0048】
【表2】
Figure 2004143081
何れのサンプルも、散布後5日以内はカプセルに変化は認められなかった。
【0049】
[試験例3](アブラムシに対する薬効試験)
128穴のセル苗用トレイ(ヤンマー農機(株)製 野菜トレイ、トレイ30−128)にセル苗用培土(ヤンマー農機(株)製 ナプラ養土 S(標準)タイプ)を充填し、約500mlの水をトレイ全体に潅水した。その後、培土を鎮圧し、1セル当たり1個の播種穴を開けた。
【0050】
播種穴1つ当たり、実施例1の農薬カプセルを1個散布、更にキュウリ(品種:シャープ1)を播種し、バーミキュライトで覆土した。その後、日中は25〜30℃、夜間は15℃〜20℃となる温室内に移した。潅水は、朝、夕の2回行い、潅水量は培土の乾燥度合いに応じて1回当たり200ml〜500mlとした。
【0051】
28日間育苗後(この間の薬害を観察)、1/2000aワグネルポットに移植した。移植後、約100mlを潅水した。移植後3日目及び20日目にワタアブラムシ雌成虫3頭(10連制)を接種した。接種後3日目に、死虫率及び生存幼虫数(接種した雌成虫から産仔された幼虫)を調べた。結果を表3に示す。セル苗育苗期間の薬害は認められず、死虫率も概ね100%であった。
【0052】
【表3】
Figure 2004143081
【0053】
[試験例4](コナガに対する薬効試験)
試験例3と同様のセル苗用トレイ及びセル苗用培土を用い、試験例3と同様にして、1セル当たり1個の播種穴を開けた。
播種穴1つ当たり実施例2の農薬カプセルを1個散布、更にキャベツ(品種:コールスロー)を播種し、バーミキュライトで覆土した。その後、日中は25〜30℃、夜間は15℃〜20℃となる温室内に移した。潅水は、朝、夕の2回行い、潅水量は培土の乾燥度合いに応じて1回当たり200ml〜500mlとした。
【0054】
28日間育苗後(この間の薬害を観察)、1/2000aワグネルポットに移植した。移植後、約100mlを潅水した。移植後3日目及び20日目にコナガ3齢幼虫3頭(10連制)を接種した。接種後6日目に死虫率を調べた。結果を表4に示す。セル苗育苗期間及び移植後の薬害は認められず、死虫率も概ね100%であった。
【0055】
【表4】
Figure 2004143081
【0056】
[試験例5](コナガに対する薬効試験)
試験例3と同様のセル苗用トレイ及びセル苗用培土を用い、試験例3と同様にして、1セル当たり1個の播種穴を開けた。播種穴にキャベツ(品種:コールスロー)を播種し、バーミキュライトで覆土した。その後、適宜潅水を行い、28日間育苗し、キャベツ移植苗を調製した。
【0057】
このキャベツ移植苗を、1/2000aワグネルポットに移植した。移植の際、1つの植え穴に実施例3の農薬カプセル3個を、別の植え穴に比較例の粒剤1gを、それぞれ散布した。移植後、約100mlを潅水した。その後、日中は25〜30℃、夜間は15℃〜20℃となる温室内に移し、7日間栽培した。潅水は、朝、夕の2回行い、潅水量は培土の乾燥度合いに応じて1回当たり50ml〜100mlとした。
【0058】
14日間栽培後、コナガ3齢幼虫3頭(10連制)を接種し、6日目に死虫率を調査した。結果を表5に示す。実施例3の農薬カプセルを散布した苗については、薬害はなく、死虫率も100%であったが、比較例の粒剤を散布した苗については、葉が褐色に変化する薬害が認められ、死虫率も実施例3の農薬カプセルと比較して劣った。
【0059】
【表5】
Figure 2004143081
【0060】
30cm×60cmの育苗箱2箱に水稲の籾を播種し、稲移植苗が2.5葉期になるまで育成した後、1箱には実施例4の農薬カプセルを25g、残る1箱には50gを、それぞれ散布した。1日後、代かきをした1/10000aポットに2株ずつ深度2cmで移植した。
【0061】
移植後25日目及び50日目に、乾燥罹病葉上で形成させた分生胞子を蒸留水に懸濁し、ポット当たり4mlを葉面に散布して接種した。接種した後、温室内の湿室で管理し、5日目にいもち病の病斑数を調査して、防除価を算出した。併せて、薬害も調査した。試験は4連制にて行った。結果を表6に示す。何れの散布薬量でも散布後25日、50日で期待した防除効果が得られ、又、薬害もなかった。
【0062】
【表6】
Figure 2004143081
【0063】
【発明の効果】
本発明の農薬カプセルはそのまま散布可能な粒状であるため、従来の農薬製剤のように希釈液を広大な農地に散布する必要がなく、植物の生育土壌に直接散布できる。このため、ドリフト等による圃場外への飛散や散布者への暴露の懸念がなく、散布時の安全性が高い。
【0064】
また、本発明の農薬カプセルは、土壌中における農薬活性成分の放出開始時期を散布時より遅延できる構造を有しているため、播種と同時に散布しても、植物の発芽時及び幼苗期等の幼弱期における薬害が発生しない。よって、播種と同時散布が可能となり、農薬散布の省力化が実現できる。
【0065】
さらに、本発明の農薬カプセルの直径が種子と同程度であることから、自動播種機を利用して、本発明の農薬カプセルの散布を播種と同時に自動化して行うことが可能であり、農薬散布が大幅に省力化される。
【0066】
特に、機械による播種等の自動化が進んでいるセル苗用トレイに散布する場合は、既存の機械を使用して農薬カプセルの散布を播種と同時に行えるため農薬散布の省力化効果が極めて大きい。その上、本発明の農薬カプセルは直径が大きく、カプセル1個に含有できる薬剤が多いため、1セル当たり1個〜数個の極めて少量の薬剤を確実に散布することができ、無駄の無い農薬散布が可能である。
【0067】
また、本発明の農薬カプセルは、安価な材料で煩雑な工程を経ずに製造でき、また、カプセルを形成する生分解性高分子の材質として、水への溶解温度及び生分解性の異なる、誘導タンパク質及び多糖類の両者を混合し、その混合割合を変えることにより生分解性を制御し、カプセル内の農薬の放出時間を適宜に変えることができるという優れた利点も有する。

Claims (11)

  1. 液状農薬が、外径が0.7mm〜10mmであり、かつ該外径の0.005倍〜0.1倍の膜厚を有する生分解性高分子を成分とする粒状のカプセルに封入されてなり、植物の生育土壌にそのまま散布可能であり、かつ土壌中への農薬活性成分の放出開始時期を散布時より遅延させるようにしたことを特徴とする農薬カプセル。
  2. 液状農薬が油性液状物質に農薬活性成分を溶解又は分散させた液状物である請求項1に記載の農薬カプセル。
  3. 生分解性高分子が、40℃を超える温水に溶解するが、40℃以下の水に難溶性乃至膨潤性である請求項1または2に記載の農薬カプセル。
  4. 生分解性高分子が、誘導タンパク質及び多糖類から選択される少なくとも1種を主成分とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の農薬カプセル。
  5. 生分解性高分子が、ゼラチン及び寒天から選択される少なくとも1種を主成分とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の農薬カプセル。
  6. 液状農薬48〜95.8重量%、ゼラチン2〜25重量%、寒天2〜20重量%、及びグリセリン0.2〜7重量%を含む請求項1〜5のいずれか1項に記載の農薬カプセル。
  7. 農薬活性成分の土壌への放出が、カプセルの散布時から少なくとも3日以上遅れて開始する請求項1〜6のいずれか1項に記載の農薬カプセル。
  8. 農薬活性成分が、殺菌剤、殺虫剤、植物成長調節剤、及び除草剤から選択される少なくとも1種である請求項1〜7のいずれか1項に記載の農薬カプセル。
  9. 請求項1〜8のいずれか1項に記載の農薬カプセルを、水に希釈せず、植物の生育土壌に直接散布することを特徴とする農薬カプセルの施用方法。
  10. 農薬カプセルを植物の播種時に散布することを特徴とする請求項9に記載の農薬カプセルの施用方法。
  11. 農薬カプセルを、植物の苗の移植時に、苗の植え穴に散布することを特徴とする請求項9に記載の農薬カプセルの施用方法。
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