JP2004141887A - 無段変速機用ベルトのエレメントの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】バリが製品の下面よりはみ出すことなく形成でき、バリ取り工程を必要とせず、これにより、工数を短縮でき、安価なコストで製造できる無段変速機用ベルトのエレメントの製造方法を提供する。
【解決手段】傾斜部を両側に備えた無段変速機用ベルトのエレメントを、エレメントをダイ27上に残し、外側不用部分をダイ27と対となるパンチ31により打ち抜きする方法であって、エレメントの打ち抜き位置の内側に、切刃周縁に連続する突起28が形成されたダイ27を用い、ダイ27の上の板材25をストリッパー29で叩くことによりエレメント下部の外形形成箇所に連続する凹部30を設ける第1工程と、パンチ31によってエレメントの外側不用部分を抜き落とす第2工程とを有し、ダイ27とパンチ31との打ち抜き加工によって発生するバリ33が凹部30内に納まる。
【選択図】 図4
【解決手段】傾斜部を両側に備えた無段変速機用ベルトのエレメントを、エレメントをダイ27上に残し、外側不用部分をダイ27と対となるパンチ31により打ち抜きする方法であって、エレメントの打ち抜き位置の内側に、切刃周縁に連続する突起28が形成されたダイ27を用い、ダイ27の上の板材25をストリッパー29で叩くことによりエレメント下部の外形形成箇所に連続する凹部30を設ける第1工程と、パンチ31によってエレメントの外側不用部分を抜き落とす第2工程とを有し、ダイ27とパンチ31との打ち抜き加工によって発生するバリ33が凹部30内に納まる。
【選択図】 図4
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば、自動車等の動力伝達系に使用される無段変速機の金属ベルトに用いるエレメントの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
無段変速機は、変速機の変速比を連続的に変えるもので、例えば、自動車等に用いた場合には、エンジンの特性を十分に発揮させて更に排気ガスや燃費を改善できるというメリットがある。
従来、このような無段変速機として、図5(A)、(B)に概略構成を示すようなベルト式の無段変速機70が知られている。この無段変速機70は図示しない油圧機構によってそれぞれ、ベルト部材71の掛かり直径を可変とし、更にベルト部材71の両側の傾斜部72、73と同一勾配の内側壁を備える入力側のV溝プーリ74及び出力側のV溝プーリ75を有し、V溝プーリ74の回転力をベルト部材71を介してV溝プーリ75に伝達している。ベルト部材71は、所定形状の板材からなって荷重の伝達方向に多数枚並べて配置されたエレメント76と、エレメント76の両側に対称に設けられた水平溝部77、78に嵌入する無端のスチールリング79、80とを有している。従って、V溝プーリ74からV溝プーリ75への荷重の伝達は、ベルト部材71の各エレメント76及びスチールリング79、80を介して行われ、出力側のV溝プーリ75の回転速度を変える場合には、入力側のV溝プーリ74及び出力側のV溝プーリ75の内側壁の間隔を変えることによって行うようになっている。
そして、ベルト部材71を構成するエレメント76は、例えば、特許文献1に示すように、通常、パンチ及びパンチと対となるダイを備えた金型装置において、打ち抜き加工により製造されている。
【0003】
【特許文献1】
特開2002−5240号公報(第7頁、図5)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献1に記載の無段変速機用ベルトのエレメントの製造方法においては、未だ解決すべき以下のような問題があった。
エレメント76が打ち抜き加工によって形成され、打ち抜きにより発生するバリが製品の下面より下にはみ出すので、別途、金型外でバレル研摩や面取り加工等により、はみ出したバリを除去する必要があり、これにより、工数の増大、コストアップの要因となっていた。
【0005】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、バリが製品の下面よりはみ出すことなく形成でき、バリ取り工程を必要とせず、これにより、工数を短縮でき、安価なコストで製造できる無段変速機用ベルトのエレメントの製造方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
前記目的に沿う第1の発明に係る無段変速機用ベルトのエレメントの製造方法は、使用にあって装着されるV溝プーリの内側壁に対応する傾斜部を両側に備えた無段変速機用ベルトのエレメントを、エレメントをダイ上に残し、エレメントの外側不用部分をダイと対となるパンチによって打ち抜きして製造する方法であって、エレメントの打ち抜き位置の内側に、切刃周縁に連続する突起が形成されたダイを用い、ダイの上に載った板材を、板材の上に載るストリッパーで叩くことによって、エレメント下部の外形形成箇所に連続する凹部を設ける第1工程と、ダイと対となるパンチによってエレメントの外側不用部分を抜き落とす第2工程とを有し、ダイとパンチとの打ち抜き加工によって発生するバリが凹部内に納まるように構成する。これによって、第2工程においてダイとパンチとの打ち抜き加工によって発生するバリが、第1工程においてエレメント下部の外形形成箇所に連続して形成された凹部内に納まるので、バリは製品の下面よりはみ出すことがない。また、エレメント外周のつぶしと打ち抜きを一度に行うことができるため、金型制作費の削減につながる。
【0007】
第2の発明に係る無段変速機用ベルトのエレメントの製造方法は、第1の発明に係る無段変速機用ベルトのエレメントの製造方法において、第2工程の後に、シェービング加工を行う。このように、シェービング加工を行うことにより、所定の外形を形成するので、寸法精度良くエレメントの外形を形成することができる。
【0008】
なお、この無段変速機用ベルトのエレメントの製造方法は、板材は条材であって、多数のエレメントが所定の加工ステーションを経て、順次連続的に製造されるように構成することが好ましい。これによって、装置の必要な設置スペースが小さくて済み、また製造の効率が向上する。
【0009】
【発明の実施の形態】
続いて、添付した図面を参照しつつ、本発明を具体化した実施の形態につき説明し、本発明の理解に供する。
ここに、図1は本発明の一実施の形態に係る無段変速機用ベルトのエレメントの製造方法により製造されるエレメントの正面図、図2は同無段変速機用ベルトのエレメントの製造方法により製造されるエレメントの使用状態を示す説明図、図3は同無段変速機用ベルトのエレメントの製造方法を適用した金型装置の加工工程を示す説明図、図4は同無段変速機用ベルトのエレメントの製造方法の加工ステーションにおけるパンチとダイ、板材及びストリッパーの関係を示す説明図である。
【0010】
図1及び図2を参照しながら、本発明の一実施の形態に係る無段変速機用ベルトのエレメントの製造方法により製造するエレメント10について説明する。このエレメント10は、使用にあって装着されるV溝プーリ(図示せず)の内側壁(図5(A)及び(B)参照)に対応する傾斜部11、12を両側に備え、無段変速機用ベルトの一部を構成する製品である。図1に示すように、エレメント10は、V溝プーリの内側壁と摩擦接触する傾斜部11、12を両側に備え、実質的に逆台形状に形成された基体部13と、基体部13の外端中央部(図では上端中央部)に一体的に設けられた矩形状の首部14と、首部14の外端(図では上端)に一体的に連結された2等辺三角形状の上板部15とを有している。
【0011】
図1及び図2に示すように、上板部15の幅方向中心位置の表面16には、正面視して円形状の凸部17が、背面20には使用時に隣り合うエレメント10の凸部17が嵌入する凹部21が形成されている。従って、実質的に凸部17と凹部21は上板部15の表裏の同一位置に形成され、しかも凸部17の直径が凹部21の直径より僅少の範囲で小さくなっている。基体部13の表面には、首部14の表面及び上板部15の表面16と同一レベルの平行面18が形成され、さらに、平行面18の内側端に内周方向に沿って後方に傾いた傾斜面19が連接して形成されている。また、首部14及び基体部13の背面は、上板部15の背面20と同一レベルに形成されており、基体部13の傾斜面19及び背面を備えた部分を薄肉部19aと呼ぶ。この薄肉部19aは基体部13の途中位置から下方に徐々に肉薄となっている。さらに、首部14を挟んで、上板部15の内側と基体部13の外側との間には、2つのスチールリング24が嵌入される水平溝部22、23が形成されている。
【0012】
次いで、本発明の一実施の形態に係る無段変速機用ベルトのエレメントの製造方法について、図3及び図4を参照しながら説明する。なお、図3には、金型装置の所定の加工ステーションA〜Hを示しており、図4には、加工ステーションC及びE(加工ステーションF及びGも同じ)におけるパンチ及び対となるダイ、板材、及びストリッパーの位置関係を示している。また、金型装置は、帯状の板材の一例である条材25の幅方向に2個のエレメント10の上板部15同士を対向させて同時に形成するように構成されている。さらに、加工ステーションC〜Eでは、基体部13及び首部14の部分を、また、加工ステーションF、Gでは、上板部15の部分を加工している。
【0013】
(加工ステーションA)
鉄系合金鋼、例えば、SKS−5等の工具鋼(その他、炭素工具鋼や合金工具鋼などでもよい)からなる条材25(板厚又は厚みt)を、図示しないリール搬送手段により金型装置の加工ステーションAに搬送し、条材25の幅方向の中央部に、送り用のパイロット孔26を形成する。
(加工ステーションB)
条材25の幅方向に間隔を開けて2箇所に、表面側に凸部17を、背面側に凹部21を半抜き加工により形成する。なお、隣り合う凸部17及び凹部21は嵌合可能な対となっている。
【0014】
(加工ステーションC)
図4に実線で示す第1のダイ27の打ち抜き位置の内側の切刃周縁には連続した突起28が形成されており、この突起28に条材25を載せてストリッパー29により叩くことにより、エレメント10下部に、突起28により、外形形成箇所に連続する凹部30が形成される(第1工程)。
次いで、第1のパンチ31及び第1のパンチ31と対となる第1のダイ27により、条材25からエレメント10の外側不用部分37、即ち、首部14及び基体部13の周囲(図3に斜線部で表す領域)を打ち抜く(第2工程)。
【0015】
なお、この際、条材25の背面側には、図4に示すように、打ち抜きバリ33が発生するが、第1工程にて凹部30が形成されているので、打ち抜きバリ33は凹部30内に納まり、条材25の背面(下面)34から突出することはない。また、この工程では、剪断された条材25の外形寸法Gは、エレメント10の所定寸法gよりも若干大きく(0.1mm程度)形成されている。
【0016】
(加工ステーションD)
基体部13にコイニング加工を施し、薄肉部19aを形成する(図1及び図2参照)。
(加工ステーションE)
図4に二点鎖線で示す第2のパンチ35及び第2のパンチ35と対となる第2のダイ36により、基体部13及び首部14の部分にシェービング加工を行い、エレメント10の打ち抜きバリ33の外側部(図4の斜線部)を抜き落とす。この際、シェービングの削り代は0.1mm程度とし、これにより、前工程で生じた打ち抜きバリ33の大半を除去し、一部の残ったバリも予め形成された凹部30内に納まり、条材25の背面34から突出することはない。なお、第2のダイ36には、凹部30に嵌まり込む凸部を設けることがより好ましい。
【0017】
(加工ステーションF)
ここで使用されるダイにも、第1のダイ27と同様、エレメント10の打ち抜き箇所に突起が設けられており、加工ステーションCと同様にして、該突起に条材25を載せてストリッパーにて叩くことにより、エレメント10の上板部15の部分の下部の外形形成箇所に連続して、突起に対応する凹部が形成される(第1工程)。
次いで、エレメント10の上板部15を、第1のパンチ31及び第1のダイ27による場合と同様にして、上板部15の外側不要部分を打ち抜く(第2工程)。なお、この打ち抜きにより、隣り合うパイロット孔26間には帯状の搬送用片39が形成されると共に、搬送用片39の中央部両側には、エレメント10の上板部15の頂部に接続する連結片38が形成される。
【0018】
(加工ステーションG)
加工ステーションEと同様にして、パンチ及びダイにより上板部15の部分にシェービング加工を行う。シェービングの削り代は、加工ステーションEと同様、0.1mm程度とする。
(加工ステーションH)
パンチで連結片38を叩くことによって、2つのエレメント10を条材25(搬送用片39)から切り離し、個片化する。
【0019】
本発明は前記した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲での変更は可能であり、例えば、前記したそれぞれの実施の形態や変形例の一部又は全部を組み合わせて本発明の無段変速機用ベルトのエレメントの製造方法を構成する場合も本発明の権利範囲に含まれる。
前記実施の形態においては、エレメント10の外側不用部分を抜き落とす第2工程の後に、シェービング加工を施したが、これに限定されず、状況に応じて、即ち、厳密な外形寸法が要求されていない場合には、シェービング加工を省略することもできる。なお、このシェービング加工を複数回に分けて行ってもよい。
【0020】
板材として条材25を用いて、所定の加工ステーションA〜Hを経て、エレメント10が順次連続的に製造されるように構成したが、これに限定されず、必要に応じて、1枚の板を用いてエレメント10をバッチ的に製造することもできる。条材25の幅方向に2個のエレメント10を同時に形成したが、これに限定されず、必要に応じて、1個又は3個以上とすることもできる。
【0021】
エレメント10の形成において、首部14及び基体部13と、上板部15とに分けて2回加工したが、これに限定されず、必要に応じて、1回又は3回以上に分けて加工することもできる。
エレメント10の個片化は同一の金型装置内で行ったが、これに限定されず、状況に応じて、金型装置外にて、例えば、条材25とエレメント10とを連結片38にて繋いだ状態で硬化熱処理やめっき処理を行った後、トリム装置により個片化することもできる。
【0022】
【発明の効果】
請求項1及び2記載の無段変速機用ベルトのエレメントの製造方法においては、第2工程においてダイとパンチとの打ち抜き加工によって発生するバリが、第1工程においてエレメント下部の外形形成箇所に連続して形成された凹部内に納まるので、バリは製品の下面よりはみ出すことがないため、その後の工程でバリ取りを行う必要がなく、工数を削減でき、また、コストを低減することができる。また、エレメント外周のつぶしと打ち抜きを一度に行うことができるため、金型制作費の削減につながり経済的である。
【0023】
特に、請求項2記載の無段変速機用ベルトのエレメントの製造方法においては、シェービング加工を行うことにより、所定の外形を形成するので、寸法精度良くエレメントの外形を形成することができ、これにより製品の品質を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態に係る無段変速機用ベルトのエレメントの製造方法により製造されるエレメントの正面図である。
【図2】同無段変速機用ベルトのエレメントの製造方法により製造されるエレメントの使用状態を示す説明図である。
【図3】同無段変速機用ベルトのエレメントの製造方法を適用した金型装置の加工工程を示す説明図である。
【図4】同無段変速機用ベルトのエレメントの製造方法の加工ステーションにおけるパンチとダイ、板材及びストリッパーの関係を示す説明図である。
【図5】(A)、(B)はそれぞれ、従来のベルト式の無段変速機の斜視図、ベルト部材の構成図である。
【符号の説明】
10:エレメント、11、12:傾斜部、13:基体部、14:首部、15:上板部、16:表面、17:凸部、18:平行面、19:傾斜面、19a:薄肉部、20:背面、21:凹部、22、23:水平溝部、24:スチールリング、25:条材(板材)、26:パイロット孔、27:第1のダイ、28:突起、29:ストリッパー、30:凹部、31:第1のパンチ、32:曲面、33:打ち抜きバリ、34:背面、35:第2のパンチ、36:第2のダイ、37:外側不用部分、38:連結片、39:搬送用片
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば、自動車等の動力伝達系に使用される無段変速機の金属ベルトに用いるエレメントの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
無段変速機は、変速機の変速比を連続的に変えるもので、例えば、自動車等に用いた場合には、エンジンの特性を十分に発揮させて更に排気ガスや燃費を改善できるというメリットがある。
従来、このような無段変速機として、図5(A)、(B)に概略構成を示すようなベルト式の無段変速機70が知られている。この無段変速機70は図示しない油圧機構によってそれぞれ、ベルト部材71の掛かり直径を可変とし、更にベルト部材71の両側の傾斜部72、73と同一勾配の内側壁を備える入力側のV溝プーリ74及び出力側のV溝プーリ75を有し、V溝プーリ74の回転力をベルト部材71を介してV溝プーリ75に伝達している。ベルト部材71は、所定形状の板材からなって荷重の伝達方向に多数枚並べて配置されたエレメント76と、エレメント76の両側に対称に設けられた水平溝部77、78に嵌入する無端のスチールリング79、80とを有している。従って、V溝プーリ74からV溝プーリ75への荷重の伝達は、ベルト部材71の各エレメント76及びスチールリング79、80を介して行われ、出力側のV溝プーリ75の回転速度を変える場合には、入力側のV溝プーリ74及び出力側のV溝プーリ75の内側壁の間隔を変えることによって行うようになっている。
そして、ベルト部材71を構成するエレメント76は、例えば、特許文献1に示すように、通常、パンチ及びパンチと対となるダイを備えた金型装置において、打ち抜き加工により製造されている。
【0003】
【特許文献1】
特開2002−5240号公報(第7頁、図5)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献1に記載の無段変速機用ベルトのエレメントの製造方法においては、未だ解決すべき以下のような問題があった。
エレメント76が打ち抜き加工によって形成され、打ち抜きにより発生するバリが製品の下面より下にはみ出すので、別途、金型外でバレル研摩や面取り加工等により、はみ出したバリを除去する必要があり、これにより、工数の増大、コストアップの要因となっていた。
【0005】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、バリが製品の下面よりはみ出すことなく形成でき、バリ取り工程を必要とせず、これにより、工数を短縮でき、安価なコストで製造できる無段変速機用ベルトのエレメントの製造方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
前記目的に沿う第1の発明に係る無段変速機用ベルトのエレメントの製造方法は、使用にあって装着されるV溝プーリの内側壁に対応する傾斜部を両側に備えた無段変速機用ベルトのエレメントを、エレメントをダイ上に残し、エレメントの外側不用部分をダイと対となるパンチによって打ち抜きして製造する方法であって、エレメントの打ち抜き位置の内側に、切刃周縁に連続する突起が形成されたダイを用い、ダイの上に載った板材を、板材の上に載るストリッパーで叩くことによって、エレメント下部の外形形成箇所に連続する凹部を設ける第1工程と、ダイと対となるパンチによってエレメントの外側不用部分を抜き落とす第2工程とを有し、ダイとパンチとの打ち抜き加工によって発生するバリが凹部内に納まるように構成する。これによって、第2工程においてダイとパンチとの打ち抜き加工によって発生するバリが、第1工程においてエレメント下部の外形形成箇所に連続して形成された凹部内に納まるので、バリは製品の下面よりはみ出すことがない。また、エレメント外周のつぶしと打ち抜きを一度に行うことができるため、金型制作費の削減につながる。
【0007】
第2の発明に係る無段変速機用ベルトのエレメントの製造方法は、第1の発明に係る無段変速機用ベルトのエレメントの製造方法において、第2工程の後に、シェービング加工を行う。このように、シェービング加工を行うことにより、所定の外形を形成するので、寸法精度良くエレメントの外形を形成することができる。
【0008】
なお、この無段変速機用ベルトのエレメントの製造方法は、板材は条材であって、多数のエレメントが所定の加工ステーションを経て、順次連続的に製造されるように構成することが好ましい。これによって、装置の必要な設置スペースが小さくて済み、また製造の効率が向上する。
【0009】
【発明の実施の形態】
続いて、添付した図面を参照しつつ、本発明を具体化した実施の形態につき説明し、本発明の理解に供する。
ここに、図1は本発明の一実施の形態に係る無段変速機用ベルトのエレメントの製造方法により製造されるエレメントの正面図、図2は同無段変速機用ベルトのエレメントの製造方法により製造されるエレメントの使用状態を示す説明図、図3は同無段変速機用ベルトのエレメントの製造方法を適用した金型装置の加工工程を示す説明図、図4は同無段変速機用ベルトのエレメントの製造方法の加工ステーションにおけるパンチとダイ、板材及びストリッパーの関係を示す説明図である。
【0010】
図1及び図2を参照しながら、本発明の一実施の形態に係る無段変速機用ベルトのエレメントの製造方法により製造するエレメント10について説明する。このエレメント10は、使用にあって装着されるV溝プーリ(図示せず)の内側壁(図5(A)及び(B)参照)に対応する傾斜部11、12を両側に備え、無段変速機用ベルトの一部を構成する製品である。図1に示すように、エレメント10は、V溝プーリの内側壁と摩擦接触する傾斜部11、12を両側に備え、実質的に逆台形状に形成された基体部13と、基体部13の外端中央部(図では上端中央部)に一体的に設けられた矩形状の首部14と、首部14の外端(図では上端)に一体的に連結された2等辺三角形状の上板部15とを有している。
【0011】
図1及び図2に示すように、上板部15の幅方向中心位置の表面16には、正面視して円形状の凸部17が、背面20には使用時に隣り合うエレメント10の凸部17が嵌入する凹部21が形成されている。従って、実質的に凸部17と凹部21は上板部15の表裏の同一位置に形成され、しかも凸部17の直径が凹部21の直径より僅少の範囲で小さくなっている。基体部13の表面には、首部14の表面及び上板部15の表面16と同一レベルの平行面18が形成され、さらに、平行面18の内側端に内周方向に沿って後方に傾いた傾斜面19が連接して形成されている。また、首部14及び基体部13の背面は、上板部15の背面20と同一レベルに形成されており、基体部13の傾斜面19及び背面を備えた部分を薄肉部19aと呼ぶ。この薄肉部19aは基体部13の途中位置から下方に徐々に肉薄となっている。さらに、首部14を挟んで、上板部15の内側と基体部13の外側との間には、2つのスチールリング24が嵌入される水平溝部22、23が形成されている。
【0012】
次いで、本発明の一実施の形態に係る無段変速機用ベルトのエレメントの製造方法について、図3及び図4を参照しながら説明する。なお、図3には、金型装置の所定の加工ステーションA〜Hを示しており、図4には、加工ステーションC及びE(加工ステーションF及びGも同じ)におけるパンチ及び対となるダイ、板材、及びストリッパーの位置関係を示している。また、金型装置は、帯状の板材の一例である条材25の幅方向に2個のエレメント10の上板部15同士を対向させて同時に形成するように構成されている。さらに、加工ステーションC〜Eでは、基体部13及び首部14の部分を、また、加工ステーションF、Gでは、上板部15の部分を加工している。
【0013】
(加工ステーションA)
鉄系合金鋼、例えば、SKS−5等の工具鋼(その他、炭素工具鋼や合金工具鋼などでもよい)からなる条材25(板厚又は厚みt)を、図示しないリール搬送手段により金型装置の加工ステーションAに搬送し、条材25の幅方向の中央部に、送り用のパイロット孔26を形成する。
(加工ステーションB)
条材25の幅方向に間隔を開けて2箇所に、表面側に凸部17を、背面側に凹部21を半抜き加工により形成する。なお、隣り合う凸部17及び凹部21は嵌合可能な対となっている。
【0014】
(加工ステーションC)
図4に実線で示す第1のダイ27の打ち抜き位置の内側の切刃周縁には連続した突起28が形成されており、この突起28に条材25を載せてストリッパー29により叩くことにより、エレメント10下部に、突起28により、外形形成箇所に連続する凹部30が形成される(第1工程)。
次いで、第1のパンチ31及び第1のパンチ31と対となる第1のダイ27により、条材25からエレメント10の外側不用部分37、即ち、首部14及び基体部13の周囲(図3に斜線部で表す領域)を打ち抜く(第2工程)。
【0015】
なお、この際、条材25の背面側には、図4に示すように、打ち抜きバリ33が発生するが、第1工程にて凹部30が形成されているので、打ち抜きバリ33は凹部30内に納まり、条材25の背面(下面)34から突出することはない。また、この工程では、剪断された条材25の外形寸法Gは、エレメント10の所定寸法gよりも若干大きく(0.1mm程度)形成されている。
【0016】
(加工ステーションD)
基体部13にコイニング加工を施し、薄肉部19aを形成する(図1及び図2参照)。
(加工ステーションE)
図4に二点鎖線で示す第2のパンチ35及び第2のパンチ35と対となる第2のダイ36により、基体部13及び首部14の部分にシェービング加工を行い、エレメント10の打ち抜きバリ33の外側部(図4の斜線部)を抜き落とす。この際、シェービングの削り代は0.1mm程度とし、これにより、前工程で生じた打ち抜きバリ33の大半を除去し、一部の残ったバリも予め形成された凹部30内に納まり、条材25の背面34から突出することはない。なお、第2のダイ36には、凹部30に嵌まり込む凸部を設けることがより好ましい。
【0017】
(加工ステーションF)
ここで使用されるダイにも、第1のダイ27と同様、エレメント10の打ち抜き箇所に突起が設けられており、加工ステーションCと同様にして、該突起に条材25を載せてストリッパーにて叩くことにより、エレメント10の上板部15の部分の下部の外形形成箇所に連続して、突起に対応する凹部が形成される(第1工程)。
次いで、エレメント10の上板部15を、第1のパンチ31及び第1のダイ27による場合と同様にして、上板部15の外側不要部分を打ち抜く(第2工程)。なお、この打ち抜きにより、隣り合うパイロット孔26間には帯状の搬送用片39が形成されると共に、搬送用片39の中央部両側には、エレメント10の上板部15の頂部に接続する連結片38が形成される。
【0018】
(加工ステーションG)
加工ステーションEと同様にして、パンチ及びダイにより上板部15の部分にシェービング加工を行う。シェービングの削り代は、加工ステーションEと同様、0.1mm程度とする。
(加工ステーションH)
パンチで連結片38を叩くことによって、2つのエレメント10を条材25(搬送用片39)から切り離し、個片化する。
【0019】
本発明は前記した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲での変更は可能であり、例えば、前記したそれぞれの実施の形態や変形例の一部又は全部を組み合わせて本発明の無段変速機用ベルトのエレメントの製造方法を構成する場合も本発明の権利範囲に含まれる。
前記実施の形態においては、エレメント10の外側不用部分を抜き落とす第2工程の後に、シェービング加工を施したが、これに限定されず、状況に応じて、即ち、厳密な外形寸法が要求されていない場合には、シェービング加工を省略することもできる。なお、このシェービング加工を複数回に分けて行ってもよい。
【0020】
板材として条材25を用いて、所定の加工ステーションA〜Hを経て、エレメント10が順次連続的に製造されるように構成したが、これに限定されず、必要に応じて、1枚の板を用いてエレメント10をバッチ的に製造することもできる。条材25の幅方向に2個のエレメント10を同時に形成したが、これに限定されず、必要に応じて、1個又は3個以上とすることもできる。
【0021】
エレメント10の形成において、首部14及び基体部13と、上板部15とに分けて2回加工したが、これに限定されず、必要に応じて、1回又は3回以上に分けて加工することもできる。
エレメント10の個片化は同一の金型装置内で行ったが、これに限定されず、状況に応じて、金型装置外にて、例えば、条材25とエレメント10とを連結片38にて繋いだ状態で硬化熱処理やめっき処理を行った後、トリム装置により個片化することもできる。
【0022】
【発明の効果】
請求項1及び2記載の無段変速機用ベルトのエレメントの製造方法においては、第2工程においてダイとパンチとの打ち抜き加工によって発生するバリが、第1工程においてエレメント下部の外形形成箇所に連続して形成された凹部内に納まるので、バリは製品の下面よりはみ出すことがないため、その後の工程でバリ取りを行う必要がなく、工数を削減でき、また、コストを低減することができる。また、エレメント外周のつぶしと打ち抜きを一度に行うことができるため、金型制作費の削減につながり経済的である。
【0023】
特に、請求項2記載の無段変速機用ベルトのエレメントの製造方法においては、シェービング加工を行うことにより、所定の外形を形成するので、寸法精度良くエレメントの外形を形成することができ、これにより製品の品質を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態に係る無段変速機用ベルトのエレメントの製造方法により製造されるエレメントの正面図である。
【図2】同無段変速機用ベルトのエレメントの製造方法により製造されるエレメントの使用状態を示す説明図である。
【図3】同無段変速機用ベルトのエレメントの製造方法を適用した金型装置の加工工程を示す説明図である。
【図4】同無段変速機用ベルトのエレメントの製造方法の加工ステーションにおけるパンチとダイ、板材及びストリッパーの関係を示す説明図である。
【図5】(A)、(B)はそれぞれ、従来のベルト式の無段変速機の斜視図、ベルト部材の構成図である。
【符号の説明】
10:エレメント、11、12:傾斜部、13:基体部、14:首部、15:上板部、16:表面、17:凸部、18:平行面、19:傾斜面、19a:薄肉部、20:背面、21:凹部、22、23:水平溝部、24:スチールリング、25:条材(板材)、26:パイロット孔、27:第1のダイ、28:突起、29:ストリッパー、30:凹部、31:第1のパンチ、32:曲面、33:打ち抜きバリ、34:背面、35:第2のパンチ、36:第2のダイ、37:外側不用部分、38:連結片、39:搬送用片
Claims (2)
- 使用にあって装着されるV溝プーリの内側壁に対応する傾斜部を両側に備えた無段変速機用ベルトのエレメントを、該エレメントをダイ上に残し、該エレメントの外側不用部分を前記ダイと対となるパンチによって打ち抜きして製造する方法であって、
前記エレメントの打ち抜き位置の内側に、切刃周縁に連続する突起が形成された前記ダイを用い、該ダイの上に載った板材を、該板材の上に載るストリッパーで叩くことによって、前記エレメント下部の外形形成箇所に連続する凹部を設ける第1工程と、
前記ダイと対となる前記パンチによって前記エレメントの外側不用部分を抜き落とす第2工程とを有し、
前記ダイと前記パンチとの打ち抜き加工によって発生するバリが前記凹部内に納まることを特徴とする無段変速機用ベルトのエレメントの製造方法。 - 請求項1記載の無段変速機用ベルトのエレメントの製造方法において、前記第2工程の後に、シェービング加工を行うことを特徴とする無段変速機用ベルトのエレメントの製造方法。
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JP2007516084A (ja) * | 2003-12-05 | 2007-06-21 | ロベルト ボッシュ ゲゼルシャフト ミト ベシュレンクテル ハフツング | 精密打抜装置 |
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2002
- 2002-10-22 JP JP2002306499A patent/JP2004141887A/ja active Pending
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