JP2004140155A - 液処理装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】ウェハ面内の現像液の温度の均一性を維持しつつ,ウェハの位置ずれも抑制する。
【解決手段】スピンチャック60の外側に,ウェハの裏面を線接触で支持する三つの支持部材80を設ける。支持部材80は,同一円周上において等間隔に配置される。支持部材80は,ナイフエッジリング82に取り付けられており,ナイフエッジリング82は,支持棒84を介して駆動部により上下動できる。そして,現像液の供給時と静止現像時に,スピンチャック60の上方においてウェハを支持部材80により支持する。こうすることにより,スピンチャック60からの熱によるウェハ面内の温度変動がなく,ウェハ上に供給された現像液の温度が均一に保たれる。ウェハを支持部材80により線接触で支持することにより,ウェハを点接触で支持した場合に比べてウェハの位置ずれが抑制される。
【選択図】 図6

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は,基板の液処理装置に関する。
【0002】
例えば半導体デバイスの製造プロセスにおけるフォトリソグラフィー工程では,半導体ウェハ(以下「ウェハ」という)上にレジスト液が塗布され,レジスト膜が形成されるレジスト塗布処理,ウェハに回路パターンが露光される露光処理,露光後のウェハに現像液が供給され,ウェハが静止現像される現像処理等が行われ,最終的にはウェハ上に所定の回路パターンが形成される。
【0003】
上述の現像処理においては,例えばウェハに現像液を供給し,ウェハ上に現像液の液盛りを形成する液盛り工程と,ウェハ上に現像液の液盛りを形成した状態でウェハを所定時間静止現像する静止現像工程と,静止現像の終了したウェハを回転させ,当該回転されているウェハに洗浄液を供給してウェハを洗浄する洗浄工程が行われている。
【0004】
従来より,上記現像液の液盛り工程は,ウェハをスピンチャックにより面接触で吸着保持し,ウェハを回転させながらウェハに現像液を供給することによって行われていた。上記静止現像工程は,引き続きウェハをスピンチャックにより保持した状態で行われていた。しかしながら,ウェハ面内においてスピンチャックの接触している部分と接触していない部分とでは,スピンチャックから伝導する熱量の相違によりウェハ温度が異なってくる。このため,ウェハ面内においてウェハ上の現像液の温度も異なり,ウェハ面内において現像速度が相違していた。この結果,ウェハ面内において現像状態に斑が生じ,最終的に形成される回路パターンの線幅にばらつきが生じていた。かかる問題を解決するために,現像液の液盛り工程時,静止現像工程時に,ウェハをスピンチャックと異なる保持ピンに支持させ,スピンチャックとウェハを離した状態で現像処理を行う新しい現像処理方法及び現像処理装置が提案された(例えば,特許文献1参照。)。
【0005】
【特許文献1】
特開2001―102298号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら,上記新しい現像処理方法を用いる場合,現像液の液盛り工程時,静止現像時にウェハは突部状の保持ピンで支持されているだけなので,ウェハの位置ずれが起こり易い。特に,現像液の液盛り工程時に,ウェハを保持ピンで支持させた場合,上述のスピンチャックのようにウェハ側を回転させることができないため,現像液供給ノズル側を移動させながら現像液を供給する必要がある。それ故,ウェハに滴下される現像液は,現像液供給ノズルの移動方向に速度成分を有しており,ウェハもこの速度成分の影響を受けて位置ずれし易い。そして,ウェハの位置ずれが起こると,ウェハ上に現像液が適正に供給されなかったり,ウェハの搬送が適切に行われなくなる。また,ウェハが保持ピンから落下すれば,ウェハの破損,装置トラブルの発生を招き好ましくない。
【0007】
本発明は,かかる点に鑑みてなされたものであり,ウェハを初めとする基板上に現像液などの処理液を供給して,基板を液処理する際に,基板面内の処理液の温度を均一に保ちつつ,同時に基板の位置ずれも抑制できる液処理装置を提供することをその目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明によれば,基板上に処理液を供給して,基板を液処理する液処理装置であって,処理液の供給される基板を線接触で支持する支持部材を備えたことを特徴とする液処理装置置が提供される。
【0009】
この発明によれば,基板に処理液を供給する時,またその後に,支持部材によって基板を線接触で支持することができる。したがって,基板上に供給された処理液の面内温度が,例えば上述のスピンチャックのような基板保持部材に影響されることなく,処理液による液処理を基板面内において均一に行うことができる。また,基板を線接触で支持できるので,上述したような保持ピンに比べて基板の位置ずれを抑制できる。
【0010】
前記液処理装置は,前記基板における前記支持部材に支持される部分と異なる部分を保持し,基板を回転させるための基板保持部材と,前記支持部材と基板保持部材とを上下方向に相対的に移動させるための駆動部を備えていてもよい。この場合,例えば液処理における基板の洗浄工程時や乾燥工程時に,基板を支持部材から基板保持部材に受け渡し,基板を確実に保持した状態で,基板を回転させることができる。また,例えば基板が支持部材に支持された状態で移動されても,基板は線接触で支持されているので,従来の保持ピンに比べて基板の位置ずれが抑制される。
【0011】
前記基板保持部材は,基板の中央部を保持可能であり,前記支持部材は,前記基板の中央部の外側を支持可能であってもよい。前記支持部材は,複数備えられ,前記基板の下方において,平面から見て基板の中心を円心とする同一円周上に等間隔で配置されていてもよい。かかる場合,支持部材が同一円周上に等間隔に配置されているので,水平方向のあらゆる方向への基板の位置ズレを好適に抑制できる。
【0012】
なお,前記各支持部材は,基板との接触部が平面から見て円弧状に形成されていてもよい。また,前記支持部材は,垂直板と,当該垂直板の下端部から水平方向に向けて形成された水平板とを有し,前記支持部材は,基板を前記垂直板の上端部で支持するようにしてもよい。この場合,例えば水平板にねじなどの取付部材と取り付けて,支持部材を所定の場所に固定することができる。したがって,支持部材の取り外しを垂直板に触れずに行うことができる。
【0013】
前記支持部材の外側には,基板の内側に向かって基板の裏面を伝う処理液が前記支持部材に付着することを防止する付着防止部材が設けられていてもよい。この場合,処理液によって支持部材が汚染されることが防止され,支持部材からパーティクルの原因となる浮遊物が発生することが防止できる。
【0014】
前記付着防止部材は,前記基板の裏面に近接可能で,環状に形成されていてもよく,かかる場合,付着防止部材を基板の裏面に近接させて,基板の裏面を伝う処理液が支持部材側に流れるのを阻止することができる。
【0015】
前記付着防止部材の前記基板の裏面との最近接部分は,前記基板の裏面側に凸の鋭角形状に形成されていてもよい。前記支持部材は,前記付着防止部材に取り付けられていてもよい。この場合,支持部材を移動させる駆動部と,付着防止部材を移動させる駆動部を両方設ける必要がなく,駆動系を簡素化できる。
【0016】
前記液処理装置は,前記付着防止部材に対し洗浄液を供給する洗浄液供給ノズルを備えていてもよい。この洗浄液供給ノズルにより,処理液の付着した付着防止部材を洗浄できる。したがって,付着防止部材からパーティクルの原因となる浮遊物が生じることを防止できる。
【0017】
前記洗浄液供給ノズルは,前記付着防止部材と前記支持部材との間に配置され,供給方向が基板の裏面に向けられていてもよい。前記洗浄液供給ノズルは,前記付着防止部材に取り付けられていてもよい。
【0018】
前記支持部材の材質には,基板よりも硬いものが用いられていてもよく,また弾性を有するものが用いられていてもよい。前者の場合,支持部材が摩耗し難くなり,摩耗によるパーティクルの発生が抑制される。後者の場合,基板の振動を吸収できるので,支持部材に支持された基板の位置ずれをより確実に抑制できる。なお,この液処理装置は,基板の現像処理装置であり,前記処理液は,現像液であってもい。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下,本発明の好ましい実施の形態について説明する。図1は,本実施の形態にかかる液処理装置が搭載された塗布現像処理システム1の構成の概略を示す平面図であり,図2は,塗布現像処理システム1の正面図であり,図3は,塗布現像処理システム1の背面図である。
【0020】
塗布現像処理システム1は,図1に示すように,例えば25枚のウェハWをカセット単位で外部から塗布現像処理システム1に対して搬入出したり,カセットCに対してウェハWを搬入出したりするカセットステーション2と,塗布現像処理工程の中で枚葉式に所定の処理を施す各種処理装置を多段配置してなる処理ステーション3と,この処理ステーション3に隣接して設けられている図示しない露光装置との間でウェハWの受け渡しをするインターフェイス部4とを一体に接続した構成を有している。
【0021】
カセットステーション2では,載置部となるカセット載置台5上の所定の位置に,複数のカセットCをX方向(図1中の上下方向)に一列に載置自在となっている。そして,このカセット配列方向(X方向)とカセットCに収容されたウェハWのウェハ配列方向(Z方向;鉛直方向)に対して移送可能なウェハ搬送体7が搬送路8に沿って移動自在に設けられており,各カセットCに対して選択的にアクセスできるようになっている。
【0022】
ウェハ搬送体7は,ウェハWの位置合わせを行うアライメント機能を備えている。このウェハ搬送体7は,後述するように処理ステーション3側の第3の処理装置群G3に属するエクステンション装置32に対してもアクセスできるように構成されている。
【0023】
処理ステーション3では,その中心部に主搬送装置13が設けられており,この主搬送装置13の周辺には各種処理装置が多段に配置されて処理装置群を構成している。この塗布現像処理システム1においては,4つの処理装置群G1,G2,G3,G4が配置されており,第1及び第2の処理装置群G1,G2は塗布現像処理システム1の正面側に配置され,第3の処理装置群G3は,カセットステーション2に隣接して配置され,第4の処理装置群G4は,インターフェイス部4に隣接して配置されている。さらにオプションとして破線で示した第5の処理装置群G5を背面側に別途配置可能となっている。前記主搬送装置13は,これらの処理装置群G1,G2,G3,G4,G5に配置されている後述する各種処理装置に対して,ウェハWを搬入出可能である。なお,処理装置群の数や配置は,ウェハWに施される処理の種類によって異なり,処理装置群の数は,1つ以上であれば任意に選択可能である。
【0024】
第1の処理装置群G1では,例えば図2に示すようにウェハWにレジスト液を塗布し,ウェハW上にレジスト膜を形成するレジスト塗布装置17と,本実施の形態にかかる液処理装置としての現像処理装置18とが下から順に2段に配置されている。第2の処理装置群G2にも同様に,レジスト塗布装置19と,現像処理装置20とが下から順に2段に配置されている。
【0025】
第3の処理装置群G3では,例えば図3に示すようにウェハWを冷却処理するクーリング装置30,レジスト液とウェハWとの定着性を高めるためのアドヒージョン装置31,ウェハWの受け渡しを行うためのエクステンション装置32,レジスト液中の溶剤を蒸発させるためのプリベーキング装置33,34,現像処理後の加熱処理を行うポストベーキング装置35が下から順に例えば6段に積み重ねられている。
【0026】
第4の処理装置群G4では,例えばクーリング装置40,載置したウェハWを自然冷却させるエクステンション・クーリング装置41,エクステンション装置42,クーリング装置43,露光後の加熱処理を行うポストエクスポージャーベーキング装置44,45,ポストベーキング装置46が下から順に例えば7段に積み重ねられている。
【0027】
インターフェイス部4の中央部には,図1に示すように例えばウェハ搬送体50が設けられている。このウェハ搬送体50はX方向(図1中の上下方向),Z方向(垂直方向)の移動とθ方向(Z軸を中心とする回転方向)の回転が自在にできるように構成されており,第4の処理装置群G4に属するエクステンション・クーリング装置41,エクステンション装置42,周辺露光装置51及び図示しない露光装置に対してアクセスして,各々に対してウェハWを搬送できるように構成されている。
【0028】
次に,上述した現像処理装置18の構成について詳しく説明する。図4,5に示すように現像処理装置18のケーシング18a内の中央部には,ウェハWを吸着保持する基板保持部材としてのスピンチャック60が設けられている。図5に示すようにスピンチャック60の上面60aは,ウェハWの径よりも小さい円形状を有し,水平に形成されている。スピンチャック60の上面60aには,ウェハWを着脱自在にするための複数の吸引口61が設けられている。吸引口61は,図示しない吸引装置に連通しており,この吸引口61からの吸引により,スピンチャック60は,ウェハWの裏面の中央部を吸着できる。
【0029】
例えばスピンチャック60には,図4に示すようにこのスピンチャック60を回転及び昇降させるための駆動機構62が設けられている。駆動機構62は,例えばスピンチャック60を鉛直方向の中心軸周りに所定の回転速度で回転させるためのモータなどの回転駆動部(図示せず)や,スピンチャック60を所定距離昇降させるためのモータ又はシリンダなどの昇降駆動部(図示せず)を備えている。したがって,スピンチャック60は,回転自在でかつ昇降自在である。
【0030】
スピンチャック60の周囲には,ウェハWから飛散又は落下する液体を受け止め,回収するカップ70が設けられている。カップ70は,例えばスピンチャック60の外方を取り囲み,主にウェハWの外方に飛散する液体を受け止める側壁部71と,ウェハWの裏面側を覆い,主にウェハWの裏面側から落下する液体を受け止める下壁部72とを有している。
【0031】
側壁部71は,例えば上面と下面が開口した略円筒形状を有し,上端部が内側に向かって傾斜している。側壁部71は,例えば図示しない昇降機構によって上下動できる。下壁部72は,例えばウェハWよりも大きな径を有する略円盤形状に形成され,その中央部にスピンチャック60が貫通している。下壁部72には,スピンチャック60に保持されたウェハWの周縁部に対向する位置に,環状の凸部73が形成されている。この凸部73は,例えば断面が略三角形状を有し,その頂上部73aから内側と外側に向かって傾斜している。つまり,スピンチャック60に保持されたウェハWと下壁部72との隙間は,頂上部73aにおいて狭くなっており,当該隙間が例えば1.0〜1.5mm程度になるように,頂上部73aの高さは調整されている。こうすることにより,ウェハWがスピンチャック60に保持され,回転された時に,現像液などの液体がウェハWの端部からウェハWの裏面に回り込み,ウェハWの裏面を汚染することを抑制できる。
【0032】
下壁部72の前記凸部73の内側には,頂上部73aから流れる液体やウェハWの裏面から直接落下する液体を受け止めるための凹部74が環状に形成されている。凹部74には,例えば受け止めた液体を排出する排液口74aが開口しており,当該排液口74aは,下壁部72の下部に接続された排液管75に通じている。したがって,凹部74で受け止めた液体は,排液口74aから排液管75を通じて装置外に排出される。
【0033】
下壁部72と側壁部71との間には,隙間が環状に設けられており,この隙間には,例えば環状の排気管76が接続されている。排気管76は,図示しない気液分離機構や負圧発生手段に連通している。かかる構成により,カップ70内の雰囲気や液体は,排気管76から共に排出され,その後気液が分離される。
【0034】
スピンチャック60の外側であって,凸部73よりも内側(凹部74上)には,ウェハWの裏面を支持する複数,例えば三つの支持部材80が設けられている。支持部材80は,図5,図6に示すようにスピンチャック60の中心軸周りに同一円周上に等間隔で設けられている。支持部材80は,図7に示すように垂直板80aと,当該垂直板80aの下端部から水平方向に形成された水平板80bを有し,略L字型に形成されている。ウェハWの裏面と接触する接触部としての垂直板80aの上端部80cは,図5に示すように平面から見て円弧状でかつ線状に形成されており,ウェハWを線接触で支持できる。各支持部材80の上端部80cは,例えば1mm以下の幅で,かつ例えば直径300mmのウェハWの場合で10〜30mm程度(中心角12/π〜36/π程度)の円弧の長さに設定されている。支持部材80の材質には,ウェハWよりも硬い材質,例えばPEEK(ポリエーテルエーテルケトン),PBI(セラゾール(リポン社の商品名))などの硬質樹脂又はアルミナ,ジルコニアなどのセラミックスが用いられている。
【0035】
支持部材80は,図6,図7に示すように取付部材であるねじ81によって,付着防止部材としてのナイフエッジリング82に着脱自在に取付けられている。ナイフエッジリング82は,環状に形成されている。また,ナイフエッジリング82は,縦断面が略三角形状に形成され,上側に凸の鋭角の頂点部82aと,その頂点部82aから内側に形成された傾斜面82bと,頂点部82aの外側に形成された垂直面82cを有している。傾斜面82bには,支持部材80と同じ数の凹み部82dが形成されており,前記支持部材80は,当該凹み部82dに取付けられている。頂点部82aは,支持部材80の上端部80cよりも僅かに低い位置,例えば1mm程度低い位置に形成されており,図7に示すように支持部材80がウェハWを支持した際に,頂点部82aは,ウェハWの裏面に近接し,頂点部82aとウェハWとの間に狭小の隙間D,例えば1.5mm〜1.0mm程度の隙間が形成される。この頂点部82aとウェハW裏面との隙間Dに液体が入ると,液の表面張力により隙間Dが閉鎖された状態となる。したがって,ナイフエッジリング82によって,ウェハWの裏面を内側に向かって伝う液体を遮断し,当該液体による支持部材80やスピンチャック60の汚染を防止できる。
【0036】
ナイフエッジリング82の垂直面82cには,外側に突出した複数,例えば三つの係止部83が形成されており,この各係止部83には,支持棒84が係止されている。各支持棒84は,例えば図4に示すように下壁部72を貫通し,下壁部72の下方に配置された駆動部としての昇降駆動部85に連動している。この昇降駆動部85は,各支持棒84を所定距離上下動させて,一体化したナイフエッジリング82と支持部材80を所定の位置に昇降させることができる。したがって,ウェハWを支持部材80によってスピンチャック60の上方で支持することができる。また,ナイフエッジリング82をウェハWの裏面に近接させることができる。
【0037】
図6,図8に示すようにナイフエッジリング82の傾斜面82b上には,頂点部82aを洗浄するためのリング洗浄ノズル90が固定されて設けられている。リング洗浄ノズル90は,上方に向けられており,頂点部82aよりも僅かに内側のウェハWの裏面に対し洗浄液を吐出できる。この際,ウェハWを回転させることにより,洗浄液がウェハWの裏面を外側に向かって流れて,頂点部82aに付着した液体に洗浄液を供給できる。傾斜面82bには,例えば貫通孔91が形成されており,リング洗浄ノズル90に洗浄液を供給する洗浄液供給管92は,この貫通孔91内を通っている。
【0038】
図4に示すようにナイフエッジリング82の外側であって,下壁部72の凸部73よりも内側には,ウェハWの裏面に洗浄液を供給して,ウェハWの裏面を洗浄するための裏面洗浄ノズル93が設けられている。
【0039】
図5に示すようにカップ70の一の外方側,例えばY方向正方向側(図5の上側)には,ノズル待機部Tが設置され,当該ノズル待機部Tには,ウェハWに対し処理液としての現像液を供給するための現像液供給ノズル100が待機している。
【0040】
現像液供給ノズル100は,図9に示すようにウェハWの直径よりも長い細長形状を有し,その下面には,長手方向に沿って複数の吐出口101が形成されている。現像液供給ノズル100の上部には,現像液供給管102が接続されており,現像液供給ノズル100の上部から流入され,現像液供給ノズル100の内部を通過した現像液が,各吐出口101から均等に吐出されるようになっている。
【0041】
現像液供給ノズル100は,図5に示すようにアーム102に保持されており,アーム102は,Y方向に沿って敷設されたレール103上を移動自在である。アーム102は,例えばモータなどを備えたアーム駆動部104によりレール103上を移動できる。レール103は,ノズル待機部T側からカップ70を挟んだ反対側の洗浄ノズル待機部Uまで延びており,現像液供給ノズル100は,少なくともノズル待機部Tからカップ70の反対側まで移動できる。現像液供給ノズル100は,長手方向がX方向に向くようにアーム102に保持されている。現像液供給ノズル100は,各吐出口101から現像液を吐出しながら,ウェハW上を通過することによって,ウェハW表面全面に現像液を供給できる。なお,アーム102には,図示しない昇降機構が備えられており,必要に応じて現像液供給ノズル100の高さを調節できる。
【0042】
カップ70のY方向負方向側(図5の下側)の外方には,ウェハWの表面に洗浄液を供給する洗浄ノズル110の洗浄ノズル待機部Uが設置されている。洗浄ノズル110は,リンスアーム111に保持されており,このリンスアーム111は,駆動部112によって前記アーム102と同じレール103上を移動可能である。洗浄ノズル110は,カップ70内のウェハW上に移動した際に,ウェハWの中心部に位置するようにリンスアーム111に保持されている。
【0043】
次に,以上のように構成されている現像処理装置18の作用を,塗布現像処理システム1で行われるフォトリソグラフィー工程のプロセスと共に説明する。
【0044】
先ず,ウェハ搬送体7によりカセットCから未処理のウェハWが1枚取り出され,第3の処理装置群G3に属するエクステンション装置32に搬送される。次にウェハWは,主搬送装置13によってアドヒージョン装置31に搬入され,ウェハWに対し,レジスト液の密着性を向上させる例えばHMDSが塗布される。次にウェハWは,クーリング装置30に搬送され,所定の温度に冷却された後,レジスト塗布装置17に搬送される。レジスト塗布処理装置17においてレジスト膜が形成されたウェハWは,主搬送装置13によってプリベーキング装置33,エクステンション・クーリング装置41に順次搬送され,さらにウェハ搬送体50によって,周辺露光装置51,露光装置(図示せず)に順次搬送され,各装置で所定の処理が施される。露光処理の終了したウェハWは,ウェハ搬送体50によりエクステンション装置42に搬送され,その後ポストエクスポージャーベーキング装置44,クーリング装置43で所定の処理が施された後,現像処理装置18に搬送されて,現像処理が行われる。
【0045】
現像処理装置18において現像処理の終了したウェハWは,ポストベーキング装置46,クーリング装置30に順次搬送され,各装置において所定の処理が施され,その後,エクステンション装置32を介してカセットCに戻されて,一連のフォトリソグラフィー工程が終了する。
【0046】
次に,上述した現像処理装置18で行われるウェハWの現像処理について詳しく説明する。先ず,ウェハWは,主搬送装置13によってケーシング18a内に搬入され,図10に示すように予めスピンチャック60上に上昇して待機していた支持部材80に支持される。このときウェハWは,支持部材80によって線接触で支持される。また,ナイフエッジリング82とウェハWとの間に狭小の隙間Dが形成される。次に,支持部材80が下降し,図11に示すようにウェハWが現像液の液盛り位置まで下降する。液盛り位置は,例えばスピンチャック60よりも高い位置であって,スピンチャック60の上面60aと例えば3〜11mm程度離れた位置に設定される。この液盛り位置は,ウェハW上のレジスト膜の種類によって変更してもよい。また,この時ウェハWが側壁部71の開口部を覆うように,側壁部71の上端部がウェハWと同じ高さに位置されている。
【0047】
ウェハWが液盛り位置で支持されると,現像液供給ノズル100がノズル待機部TからウェハWのY方向正方向側の端部の僅かに手前まで移動する。その位置において,現像液供給ノズル100から現像液が吐出され,現像液のいわゆるダミーディスペンスが行われる。その後,引き続き現像液を吐出した状態で,現像液供給ノズル100がウェハWの一端部上から他端部上まで移動し,ウェハW表面全面に現像液が供給される。こうしてウェハWがスピンチャック60から離隔され,かつウェハWが支持部材80に線接触で支持された状態で,ウェハW上に現像液の液盛りが形成される。このとき,仮にウェハW上からウェハWの裏面に現像液が回り込んでも,現像液がナイフエッジリング82により遮断され,現像液により支持部材80が汚染されることがない。
【0048】
ウェハW上に現像液の液盛りが形成され,ウェハW上から現像液供給ノズル100が退避すると,例えば側壁部71が上昇し,ウェハWの外周が側壁部71で覆われる。ウェハWは,液盛り位置において支持部材80に支持された状態で所定時間,例えば60秒間維持される。これにより,ウェハWの静止現像が行われる。このように,静止現像時においても,ウェハWは,スピンチャック60から離された位置で,支持部材80により線接触で支持されている。
【0049】
ウェハWの静止現像が終了すると,図12に示すように支持部材80が再度下降し,ウェハWがスピンチャック60上に載置される。なお,静止現像時間が経過する前であって現像処理がおよそ終了していると推定できる時間,例えば静止現像終了5秒前に支持部材80を下降させて,スピンチャック60上にウェハWを載置するようにしてもよい。ウェハWがスピンチャック60上に載置されると,吸引口61からの吸引により,ウェハWの裏面の中央部がスピンチャック60に吸着保持される。支持部材80は,ウェハWと接触しない位置まで下降する。このときスピンチャック60上のウェハWとナイフエッジリング82の頂点部82aと間は,1.5〜1.0mm程度の狭小に保たれる。ウェハWがスピンチャック60に保持されると,洗浄ノズル110がウェハWの中心部上方まで移動し,ウェハW上に洗浄液,例えば純水を吐出し始める。このとき,ウェハWは回転され,ウェハW上の現像液が純水により洗浄される。また,裏面洗浄ノズル93からも純水が吐出され,ウェハWの裏面も洗浄される。
【0050】
その後,洗浄ノズル110と裏面洗浄ノズル93からの純水の供給が停止され,続いてウェハWの回転数が上昇される。こうしてウェハWの振り切り乾燥が行われる。このとき図8に示すようにナイフエッジリング82の内側に設けられたリング洗浄ノズル90から洗浄液,例えば純水が吐出される。リング洗浄ノズル90から吐出された純水は,ウェハWの裏面を伝って,ナイフエッジリング82の頂点部82aに到達し,頂点部82aに付着した現像液を初めとする付着物を除去する。ウェハWの裏面から落下した純水などの液体は,下壁部72の凹部74に収集され,排液口74aから排出される。
【0051】
リング洗浄ノズル90からの純水の供給が停止され,ウェハWの高速回転によってウェハWが乾燥すると,ウェハWの回転が停止される。ウェハWは,例えばスピンチャック60により上昇され,スピンチャック60から主搬送装置13に受け渡され,主搬送装置13により現像処理装置18外に搬出される。こうして一連のウェハWの現像処理が終了する。
【0052】
以上の実施の形態によれば,現像処理装置18に,ウェハWを線接触で支持する支持部材80を設けたので,ウェハWをスピンチャック60から離した状態で,現像液の液盛り及び静止現像を行うことができる。したがって,ウェハW上の現像液の温度がスピンチャック60の温度に影響を受けず,ウェハW面内において均一に維持される。したがって,現像処理をウェハW面内において均一に行うことができる。ウェハWが線接触で支持されているので,点接触に比べてウェハWの位置ずれが抑制され,現像液の液盛りや静止現像が適正に行われる。
【0053】
支持部材80を昇降駆動部85により昇降自在にしたので,支持部材80とスピンチャック60との間のウェハWの受け渡しを好適に行うことができる。三つの支持部材80を同一円周上に等間隔に配置したので,ウェハWを受け取ってからの下降時,液盛り状態での下降時及び処理終了後の上昇時等において,水平方向のいずれの方向へのウェハWの位置ずれも抑制できる。
【0054】
支持部材80の外側にナイフエッジリング82を設けたので,ウェハWの裏面を伝う現像液が支持部材80に付着することが防止できる。支持部材80は,ナイフエッジリング82に取り付けられているので,前記昇降駆動部85により支持部材80とナイフエッジリング82との両方を昇降できる。したがって,各々に昇降駆動部85を設ける必要がなく,駆動系の簡略化が図られる。
【0055】
ナイフエッジリング82には,リング洗浄ノズル90が設けられたので,ナイフエッジリング82に付着する現像液を洗い落とすことができる。この結果,ナイフエッジリング82からのパーティクルの発生を防止できる。
【0056】
リング洗浄ノズル90の吐出口は,上方に向けられたので,ウェハWの回転中に洗浄液を吐出することにより,ナイフエッジリング82を洗浄することができる。なお,リング洗浄ノズル90の吐出口は,ナイフエッジリング82の頂点部82aに直接向けられていてもよい。
【0057】
支持部材80の材質には,ウェハWよりも硬いものが用いられたが,支持部材80の材質は,弾性をするもの,例えばバーフロロ系のゴム材であってもよい。かかる場合,支持部材80によってウェハWの振動を吸収できるので,ウェハWの位置ずれをより確実に防止できる。なお,支持部材80全体が上述の硬質樹脂,セラミックス,ゴム材等の材質で形成されていなくてもよく,少なくとも支持部材80の上端部80cがかかる材質で形成されていればよい。また,支持部材80の形状は,上述したような円弧状に限られず,他の形状,例えば環状であってもよい。
【0058】
前記支持部材80は,図13に示すように支持部材80の垂直板80aに,水平板80b上に溜まる液体を排出するための液抜き孔Hを備えていてもよい。例えば液抜き孔Hは,水平方向に水平板80bの表面に通じるように形成される。かかる場合,水平板80b上に溜まる洗浄液などが排出されるので,例えば残留洗浄液に起因するパーティクルの発生などが抑制される。
【0059】
支持部材80は,図14に示すように平面から見て円周方向から所定角度θ,例えば10°〜40°(好ましくは30°)程度傾けられて配置されていてもよい。かかる場合,例えばウェハWの回転に伴って発生する気流の方向に沿って支持部材80が配置されるので,支持部材80が当該気流を妨げることがない。したがって,ウェハWの回転時等に支持部材80周辺に乱流が形成されることが防止され,ウェハWを安定した雰囲気内で処理できる。
【0060】
リング洗浄ノズル90によるナイフエッジリング82の洗浄は,ウェハWの振り切り乾燥時に行わずに,例えば洗浄ノズル110又は裏面洗浄ノズル93によるウェハWの洗浄時に行ってもよい。また,このナイフエッジリング82の洗浄は,一枚のウェハWを現像処理する度に行わずに,所定枚数毎,ロット毎に行ってもよい。
【0061】
以上,本発明の実施の形態の一例について説明したが,本発明はこの例に限らず種々の態様を採りうるものである。例えば本発明の適用できる液処理装置は,現像処理装置に限られず,レジスト塗布装置にも適用できる。また,本実施の形態では,本発明を,ウェハWの現像処理装置について適用したものであったが,本発明はウェハ以外の基板例えばLCD基板,フォトマスク用のガラス基板の現像処理装置にも適用できる。
【0062】
【発明の効果】
本発明によれば,基板を線接触で支持できるので,接触部からの基板に対する熱の授受が少なく,基板上に供給される処理液の温度を基板面内において均一に保つことができる。したがって,基板の液処理が基板面内において均等に行われ,基板の歩留まりが向上する。また,基板が支持されている時の基板の位置ずれを抑制できるので,基板の液処理が滞りなく行われ,スループットの向上が図られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施の形態にかかる現像処理装置を搭載した塗布現像処理システムの構成の概略を示す平面図である。
【図2】図1の塗布現像処理システムの正面図である。
【図3】図1の塗布現像処理システムの背面図である。
【図4】現像処理装置の縦断面の説明図である。
【図5】現像処理装置の横断面の説明図である。
【図6】現像処理装置内の支持部材及びナイフエッジリングの構成を示す斜視図である。
【図7】ナイフエッジリングの縦断面の説明図である。
【図8】ナイフエッジリングの縦断面の説明図である。
【図9】現像液供給ノズルの斜視図である。
【図10】ウェハ搬入時に支持部材がウェハを支持した様子を示す現像処理装置の縦断面の説明図である。
【図11】現像液の液盛り時及び静止現像時の様子を示す現像処理装置の縦断面の説明図である。
【図12】ウェハの洗浄時の様子を示す現像処理装置の縦断面の説明図である。
【図13】液抜き孔を備えた支持部材の斜視図である。
【図14】支持部材を円周方向から傾けて設けた場合のスピンチャック及びナイフエッジリングの平面図である。
【符号の説明】
1  塗布現像処理システム
18  現像処理装置
60  スピンチャック
70  カップ
80  支持部材
82  ナイフエッジリング
84  支持棒
90  リング洗浄ノズル
100  現像液供給ノズル
W  ウェハ

Claims (16)

  1. 基板上に処理液を供給して,基板を液処理する液処理装置であって,
    処理液の供給される基板を線接触で支持する支持部材を備えたことを特徴とする,液処理装置。
  2. 前記基板における前記支持部材に支持される部分と異なる部分を保持し,基板を回転させるための基板保持部材と,
    前記支持部材と基板保持部材とを上下方向に相対的に移動させるための駆動部を備えたことを特徴とする,請求項1に記載の液処理装置。
  3. 前記基板保持部材は,基板の中央部を保持可能であり,
    前記支持部材は,前記基板の中央部の外側を支持可能であることを特徴とする,請求項2に記載の液処理装置。
  4. 前記支持部材は,複数備えられ,前記基板の下方において,平面から見て基板の中心を円心とする同一円周上に等間隔で配置されていることを特徴とする,請求項1,2又は3のいずれかに記載の液処理装置。
  5. 前記各支持部材は,基板との接触部が平面から見て円弧状に形成されていることを特徴とする,請求項4に記載の液処理装置。
  6. 前記支持部材は,垂直板と,当該垂直板の下端部から水平方向に向けて形成された水平板とを有し,
    前記支持部材は,基板を,前記垂直板の上端部で支持することを特徴とする,請求項1,2,3,4又は5のいずれかに記載の液処理装置。
  7. 前記支持部材の外側には,基板の内側に向かって基板の裏面を伝う処理液が前記支持部材に付着することを防止する付着防止部材が設けられていることを特徴とする,請求項1,2,3,4,5又は6のいずれかに記載の液処理装置。
  8. 前記付着防止部材は,前記基板の裏面に近接可能で,環状に形成されていることを特徴とする,請求項7に記載の液処理装置。
  9. 前記付着防止部材の前記基板の裏面との最近接部分は,前記基板の裏面側に凸の鋭角形状に形成されていることを特徴とする,請求項8に記載の液処理装置。
  10. 前記支持部材は,前記付着防止部材に取り付けられていることを特徴とする,請求項7,8又は9のいずれかに記載の液処理装置。
  11. 前記付着防止部材に対し洗浄液を供給する洗浄液供給ノズルを備えたことを特徴とする,請求項7,8,9又は10のいずれかに記載の液処理装置。
  12. 前記洗浄液供給ノズルは,前記付着防止部材と前記支持部材との間に配置され,供給方向が基板の裏面に向けられていることを特徴とする,請求項11に記載の液処理装置。
  13. 前記洗浄液供給ノズルは,前記付着防止部材に取り付けられていることを特徴とする,請求項7,8,9,10,11又は12のいずれかに記載の液処理装置。
  14. 前記支持部材の材質には,基板よりも硬いものが用いられていることを特徴とする,請求項1,2,3,4,5,6,7,8,9,10,11,12又は13のいずれかに記載の液処理装置。
  15. 前記支持部材の材質には,弾性を有するものが用いられていることを特徴とする,請求項1,2,3,4,5,6,7,8,9,10,11,12,13又は14のいずれかに記載の液処理装置。
  16. 前記液処理装置は,基板の現像処理装置であり,
    前記処理液は,現像液であることを特徴とする,請求項1,2,3,4,5,6,7,8,9,10,11,12,13,14又は15のいずれかに記載の液処理装置。
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