JP3740377B2 - 液供給装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば液晶装置に使われるガラス基板上にレジスト液を供給する液供給装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
液晶装置は半導体デバイス製造プロセスと同様のプロセスにより製造される。かかるプロセスにおけるフォトレジスト工程では、ガラス基板上にレジスト膜を形成し、露光処理を行い、その後現像処理を行っている。
【0003】
上記のレジスト膜を形成する工程では、例えばガラス基板を回転させながら、その中心にレジスト液を供給し、レジスト液を遠心力によりガラス基板全面に伸展する、スピンコート法が一般的に採用されている。
【0004】
このようなスピンコート法では、例えばガラス基板をスピンチャックに載置した状態で、これらガラス基板及びスピンチャックを回転せずに、ガラス基板の中心にノズルからレジスト液を供給する。
【0005】
次いで、スピンチャックを下方から包囲する回転カップに、蓋体を被せてガラス基板を回転カップと蓋体内に封入する。そして、ガラス基板を回転カップとともに回転させ、レジスト液をガラス基板の回転力と遠心力とによりガラス基板の中心から周縁に向けて拡散させて、ガラス基板上にレジスト膜を形成するとともに、このレジスト膜の膜厚を整えている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記の回転カップ内では、多少のミスト及び気流が発生し、このようなミストを含んだ気流がガラス基板と回転カップの床面との間の2mm〜4mm程度の隙間に回り込み、基板の裏面にミスト状の汚れが発生する、という問題がある。加えて、このような隙間に溶液自体も回り込みガラス基板の裏面を汚す場合もあった。
【0007】
このため、例えばガラス基板と回転カップの床面との間の隙間をなくし、ガラス基板を回転カップの床面に密着させながら回転させることが考えられるが、その場合にはスピンチャックを下降させる際にガラス基板が回転カップの床面に当接し、ガラス基板の欠け等の不良が発生する、という問題がある。
【0008】
本発明は、このような事情に基づきなされたもので、基板の欠け等の不良を発生させることもなく、基板の裏面におけるミスト状の汚れの発生を防止することができ、しかも供給液が基板の裏面に回り込むこともない液供給装置を提供することを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明の液供給装置は、基板のほぼ中央部分を回転可能に保持する保持部材と、前記保持部材により保持された基板を収容すると共に、前記保持部材と同期して回転可能であり、かつ、床面が前記保持部材の基板保持面よりも0.2mm〜0.4mm程度低くされた収容容器と、前記保持部材により保持された基板の外周に沿って該外周と対向するように前記床面上に設けられ、高さが、前記保持部材により保持された基板の表面よりも高く、かつ、0.7mm〜2mmであるプレートと、前記保持部材により保持された基板上に液を供給する液供給機構とを具備するものである。ここで、収容容器は、例えば保持部材を下方から包囲する回転カップ及びこの回転カップの上方を塞ぐ蓋体から構成される。
【0010】
本発明では、収容容器の床面を保持部材の基板保持面よりも0.2mm〜0.4mm程度低くし、基板の外周に沿って該外周と対向するようにプレートを設けたので、収容容器内で発生したミストを含んだ気流が基板の裏面とこれと対向する収容容器の床面との隙間に回り込むことはなくなる。しかも、供給液自体がこれらの隙間に回り込むこともなくなる。また、基板の裏面とこれと対向する収容容器の床面との間にある程度の隙間を確保しているので、保持部材が下降した際に基板が収容容器の床面に当接することはなく、基板の欠け等の不良が発生するようなことはない。本発明者の考察によると、上記の高低差が0.2mmよりも小さいと、保持部材が下降した際に基板が収容容器の床面に当接する可能性があり、また上記の0.4mmよりも大きいと、収容容器内で発生したミストを含んだ気流が当該隙間に回り込むようになる。
【0011】
また、収容容器内で発生したミストを含んだ気流が基板の裏面とこれと対向する収容容器の床面との隙間に回り込むことをより効果的に防止することができる。
【0012】
レートの高さが0.7mmよりも小さいと上記の回り込みが発生し易くなり、2mmよりも大きいと基板の外周方向に飛散しようとする液がプレートで反射する不具合が発生し易くなるからである。
【0013】
本発明の一の形態によれば、前記プレートの前記保持部材により保持された基板との対向面は、傾斜していることを特徴とする。これにより、上記の液のプレートでの反射を効果的に防止し、かつ、上記の回り込みも効果的に防止できる。
【0014】
本発明の一の形態によれば、収容容器の床面に基板の裏面を保持する高さがほぼ0.2mm程度の支持ピンが設けられていることを特徴とする。これにより、保持部材が下降した際に基板が収容容器の床面に当接して基板の欠け等が発生することをより確実に防止できる。
【0015】
本発明の一の形態によれば、前記保持部材の裏面側に配置され、前記保持部材が上昇したときに前記プレート表面に向けて洗浄液を吐出する洗浄機構を更に具備することを特徴とする。これにより、装置を大型化させることなくプレートの汚れを除去できるようになる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0017】
図1は本発明が適用される液晶装置に使われるガラス基板のレジスト塗布・現像処理システムを示す平面図である。
【0018】
この塗布・現像処理システムは、複数の矩形のガラス基板(以下、単に「ガラス基板」と呼ぶ。)Gを収容するカセットCを載置するカセットステーション1と、基板Gにレジスト塗布および現像を含む一連の処理を施すための複数の処理ユニットを備えた処理部2と、露光装置(図示せず)との間で基板Gの受け渡しを行うためのインターフェイス部3とを備えており、処理部2の両端にそれぞれカセットステーション1及びインターフェイス部3が配置されている。
【0019】
カセットステーション1は、カセットCと処理部2との間で基板Gの搬送を行うための搬送機構10を備えている。そして、カセットステーション1においてカセットCの搬入出が行われる。また、搬送機構10はカセットの配列方向に沿って設けられた搬送路10a上を移動可能な搬送アーム11を備え、この搬送アーム11によりカセットCと処理部2との間で基板Gの搬送が行われる。
【0020】
処理部2は、前段部2aと中段部2bと後段部2cとに分かれており、それぞれ中央に搬送路12、13、14を有し、これら搬送路の両側に各処理ユニットが配設されている。そして、これらの間には中継部15、16が設けられている。
【0021】
前段部2aは、搬送路12に沿って移動可能な主搬送装置17を備えており、搬送路12の一方側には、2つの洗浄ユニット(SCR)21a、21bが配置されており、搬送路12の他方側には紫外線照射ユニット(UV)と冷却ユニット(COL)とが2段に重ねられた処理ブロック25、加熱処理ユニット(HP)が2段に重ねられてなる処理ブロック26および冷却ユニット(COL)が2段に重ねられてなる処理ブロック27が配置されている。
【0022】
また、中段部2bは、搬送路13に沿って移動可能な主搬送装置18を備えており、搬送路13の一方側には、レジスト塗布処理ユニット(CT)22および基板Gの周縁部のレジストを除去する周縁レジスト除去ユニット(ER)23が一体的に設けられており、搬送路13の他方側には、加熱処理ユニット(HP)が2段に重ねられてなる処理ブロック28、加熱処理ユニット(HP)と冷却処理ユニット(COL)が上下に重ねられてなる処理ブロック29、およびアドヒージョン処理ユニット(AD)と冷却ユニット(COL)とが上下に重ねられてなる処理ブロック30が配置されている。
【0023】
さらに、後段部2cは、搬送路14に沿って移動可能な主搬送装置19を備えており、搬送路14の一方側には、3つの現像処理ユニット(DEV)24a、24b、24cが配置されており、搬送路14の他方側には加熱処理ユニット(HP)が2段に重ねられてなる処理ブロック31、およびともに加熱処理ユニット(HP)と冷却処理ユニット(COL)が上下に重ねられてなる処理ブロック32、33が配置されている。
【0024】
なお、処理部2は、搬送路を挟んで一方の側に洗浄処理ユニット21a、レジスト処理ユニット22、現像処理ユニット24aのようなスピナー系ユニットのみを配置しており、他方の側に加熱処理ユニットや冷却処理ユニット等の熱系処理ユニットのみを配置する構造となっている。
【0025】
また、中継部15、16のスピナー系ユニット配置側の部分には、薬液供給ユニット34が配置されており、さらに主搬送装置のメンテナンスを行うためのスペース35が設けられている。
【0026】
上記主搬送装置17,18,19は、それぞれ水平面内の2方向のX軸駆動機構、Y軸駆動機構、および垂直方向のZ軸駆動機構を備えており、さらにZ軸を中心に回転する回転駆動機構を備えており、それぞれ基板Gを支持するアーム17a,18a,19aを有している。
【0027】
上記主搬送装置17は、搬送機構10のアーム11との間で基板Gの受け渡しを行うとともに、前段部2aの各処理ユニットに対する基板Gの搬入・搬出、さらには中継部15との間で基板Gの受け渡しを行う機能を有している。また、主搬送装置18は中継部15との間で基板Gの受け渡しを行うとともに、中段部2bの各処理ユニットに対する基板Gの搬入・搬出、さらには中継部16との間の基板Gの受け渡しを行う機能を有している。さらに、主搬送装置19は中継部16との間で基板Gの受け渡しを行うとともに、後段部2cの各処理ユニットに対する基板Gの搬入・搬出、さらにはインターフェイス部3との間の基板Gの受け渡しを行う機能を有している。なお、中継部15、16は冷却プレートとしても機能する。
【0028】
インターフェイス部3は、処理部2との間で基板を受け渡しする際に一時的に基板Gを保持するエクステンション36と、さらにその両側に設けられた、バッファーカセットを配置する2つのバッファステージ37と、これらと露光装置(図示せず)との間の基板Gの搬入出を行う搬送機構38とを備えている。搬送機構38はエクステンション36およびバッファステージ37の配列方向に沿って設けられた搬送路38a上を移動可能な搬送アーム39を備え、この搬送アーム39により処理部2と露光装置との間で基板Gの搬送が行われる。
【0029】
このように各処理ユニットを集約して一体化することにより、省スペース化および処理の効率化を図ることができる。
【0030】
このように構成されたレジスト塗布・現像処理システムにおいては、カセットC内の基板Gが、処理部2に搬送され、処理部2では、まず、前段部2aの処理ブロック25の紫外線照射ユニット(UV)で表面改質・洗浄処理が行われ、冷却処理ユニット(COL)で冷却された後、洗浄ユニット(SCR)21a,21bでスクラバー洗浄が施され、処理ブロック26のいずれかの加熱処理ユニット(HP)で加熱乾燥された後、処理ブロック27のいずれかの冷却ユニット(COL)で冷却される。
【0031】
その後、基板Gは中段部2bに搬送され、レジストの定着性を高めるために、処理ブロック30の上段のアドヒージョン処理ユニット(AD)にて疎水化処理(HMDS処理)され、下段の冷却処理ユニット(COL)で冷却後、レジスト塗布処理ユニット(CT)22でレジストが塗布され、周縁レジスト除去ユニット(ER)23で基板Gの周縁の余分なレジストが除去される。その後、基板Gは、中段部2bの中の加熱処理ユニット(HP)の一つでプリベーク処理され、処理ブロック29または30の下段の冷却ユニット(COL)で冷却される。
【0032】
その後、基板Gは中継部16から主搬送装置19にてインターフェイス部3を介して露光装置に搬送されてそこで所定のパターンが露光される。そして、基板Gは再びインターフェイス部3を介して搬入され、必要に応じて後段部2cの処理ブロック31,32,33のいずれかの加熱処理ユニット(HP)でポストエクスポージャーベーク処理を施した後、現像処理ユニット(DEV)24a,24b,24cのいずれかで現像処理され、所定の回路パターンが形成される。現像処理された基板Gは、後段部2cのいずれかの加熱処理ユニット(HP)にてポストベーク処理が施された後、いずれかの冷却ユニット(COL)にて冷却され、主搬送装置19,18,17および搬送機構10によってカセットステーション1上の所定のカセットに収容される。
【0033】
次に、本発明の一実施形態に係るレジスト塗布処理ユニット(CT)22について説明する。
【0034】
図2はそのレジスト塗布処理ユニット(CT)22の模式的断面図である。
【0035】
図2に示すように、レジスト塗布処理ユニット(CT)22には、駆動装置40により回転されるスピンチャック41が昇降可能でかつ回転自在に設けられ、このスピンチャック41上には、基板Gがその表面を水平にしながら基板Gのほぼ中央部分を吸着して載置されるようになっている。また、このスピンチャック41とともに回転され、下方からスピンチャック41および基板Gを包囲する有底円筒形状の回転カップ42が設けられている。
【0036】
この回転カップ42の外周側には、回転カップ42の外周側と下方側を覆い、中空リング上のドレインカップ44が配置されている。このドレインカップ44は、レジスト塗布の際に飛散したレジスト液を下方に導くことが可能となっている。
【0037】
回転カップ42の上部開口には、図示しない搬送アームにより、中央部に開口46を有する環状の蓋体45が装着されるようになっている。この環状の蓋体45は、回転カップ42が基板Gとともに回転される際、回転カップ42とともに回転するようになっている。
【0038】
回転カップ42の上方には、図示しない装着アームによって、外蓋60が装着されるようになっており、この外蓋60の上には支持柱50が立設されている。
【0039】
支持柱50からは、基板Gにレジスト液や溶剤を供給するための噴頭49を先端に有するアーム48が支持柱50から延出している。この噴頭49には、レジスト液を吐出するためのレジスト液吐出ノズル51と、シンナー等の溶剤を吐出するための溶剤吐出ノズル52とからなる多系統のノズルユニットが設けられている。
【0040】
また、アーム48は、支持柱50内の機構(図示せず)により揺動可能および昇降可能に構成され、レジスト液や溶剤の吐出時には、レジスト液吐出ノズル51や溶剤吐出ノズル52が基板Gの上方であって、環状の蓋体45の開口46の上方に位置される一方、レジスト液等の吐出後には、待避位置に移動されるようになっている。
【0041】
この環状の蓋体45の開口46には、小蓋53が装着されるように構成されている。この小蓋53は、図示を省略した昇降機構により昇降可能に構成されている。
【0042】
スピンチャック41の下方には、ロータベース61が配置されている。ロータベース61は数枚のシム62を介して回転カップ42に例えばボルト(図示を省略)により固定されている。スピンチャック41は、基板Gを主搬送装置18との間で受け渡しをする際には蓋体45及び外蓋60が外された状態でロータベース61から離れて点線の位置まで上昇している。また、スピンチャック41は、液供給時等には図2の実線の如く下降してOリング65を介してロータベース61に密着するようになっている。そして、駆動装置40により、スピンチャック41、ロータベース61、回転カップ42及び蓋体45、更には小蓋53が一体的に回転するようになっている。
【0043】
また、上述したシム62の枚数によりスピンチャック41の基板保持面と回転カップ42の床面との高低差を調整することができる。本実施形態では、特に図3に示すように、スピンチャック41の基板保持面63が回転カップ42の床面64よりも0.2mm〜0.4mm、より好適には0.3mm程度と高く(高さh1)されている。
【0044】
さらに、図4にも示すように、スピンチャック41により保持された基板Gの外周に沿って該外周と対向するように回転カップ42の床面64上にプレート66が設けられている。このプレート66の高さh2は、スピンチャック41により保持された基板Gの表面よりも高い方が好ましく、例えば基板Gの厚さを0.7mmとしたときに0.7mm〜2mm程度、より好適にはほぼ1.5mmとされている。これにより、回転カップ42内で発生したミストを含んだ気流が基板Gの裏面と床面64との隙間に回り込むことをより効果的に防止することができる。すなわち、プレート66の高さが0.7mmよりも小さいと上記の回り込みが発生し易くなり、2mmよりも大きいと基板Gの外周方向に飛散しようとする液がプレート66で反射する不具合が発生し易くなるからである。
【0045】
プレート66の基板Gとの対向面67は、30°〜60°程度傾斜しており、該対向面67と基板Gの端部との隙間は例えば3mm程度とされている。このように対向面67が傾斜していることにより、レジスト液やシンナがプレート67で反射して基板G側に飛散することを防止でき、また基板Gの裏面と床面64との隙間に向けて気流が発生することも防止できる。
【0046】
回転カップ42の床面64には、基板Gの裏面を保持する支持ピン68が例えば4隅にそれぞれ1本、合計4本設けられている。これらの支持ピン68は、例えばPCTFE材からなり、高さがほぼ0.2mm程度であり、太さがφ8mm程度である。このように床面64に支持ピン68が設けられているので、スピンチャック41が下降した際に基板Gが床面64に当接することを確実に防止できる。従って、基板Gの欠け等が発生することはなくなる。
【0047】
また、回転カップ42の底部の外周側部分には、円周上に複数の空気の流出孔69が設けられており、環状の蓋体45の外周側部分には、円周上に複数の空気の流入孔70が設けられている。回転カップ42を回転させることにより、回転カップ42内の空気に遠心力が働き、回転カップ42の流出孔69から空気が外部に流出されるとともに、蓋体45の流入孔70を介して外部から空気が流入されるような気流が生起される。この流出孔69および流入孔70の大きさを変更して気流を調整することにより、基板G周辺のレジスト液の乾燥速度を調整して拡散速度を調整できるため、基板G周辺のレジスト膜の膜厚を制御することができるとともに、膜厚の均一性を維持することができる。
【0048】
次に、このように構成されるレジスト塗布ユニット(COT)により基板G表面にレジスト膜を形成する際の動作について説明する。図5は、基板Gの回転速度と処理時間とレジスト吐出量との関係を示すグラフである。
【0049】
まず、蓋体45が図示しない搬送アームにより回転カップ42から外されるとともに、基板Gが図示しない搬送アームによりスピンチャック41上に搬送されて真空吸着される。
【0050】
蓋体45が図示しない搬送アームにより回転カップ42の上部開口に装着され、次いで、レジスト液吐出ノズル51および溶剤吐出ノズル52が基板Gの上方であって、環状の蓋体45の開口46の上方に位置される。
【0051】
次に図5を用いて、基板Gの回転速度及びレジスト吐出量の経時変化について説明する。図5において、横軸は処理時間軸、縦軸は回転速度及びレジスト吐出量を示し、実線は回転速度、点線はレジスト吐出量を示している。
【0052】
図5に示すように、基板Gの回転開始前に、溶剤吐出ノズル52から、シンナー等の溶剤が環状の蓋体45の開口46を通して基板Gに吐出される。次いで、基板Gおよび回転カップ42の回転が開始されると同時に、レジスト液吐出ノズル51からレジスト液が蓋体45の開口46を通して基板Gに吐出され、基板G上にレジスト膜が形成される。回転カップ42は、回転開始後、徐々にその回転速度が上昇され、この上昇時に吐出量が一定量に保持されてレジスト液が供給される。その後、回転カップ42及び基板Gは、回転速度1500rpmにて一定時間保持され、この回転速度が維持された後、回転速度が低下されて、基板Gおよび回転カップ42が停止される。レジスト液の吐出量は、回転カップ42の回転速度が一定速度となった時から減少される。そして、レジスト液の供給を開始してから回転カップ42の回転が停止するまでに、段階的にレジスト液の吐出量は減少され、回転カップ42の回転の停止と同時にレジスト液の吐出が停止される。レジスト液の吐出は約4秒間行なわれる。この溶剤およびレジスト液の吐出時、蓋体45により、溶剤およびレジスト液の外部への飛散が防止される。レジスト液の吐出停止後、溶剤吐出ノズル52とレジスト液吐出ノズル51が待避位置に移動される。本実施形態では、基板回転時に、回転カップの回転速度を上昇させる間に塗布すべきレジスト液の吐出量のほとんどが吐出され、その後はレジスト液の吐出量が減少されて吐出される。このようにレジスト液の吐出量を可変可能とすることにより、レジスト膜の表面の乾燥を抑制しつつ、余剰なレジスト液の吐出を小さく抑えることができる。
【0053】
その後、基板Gおよび回転カップ42の停止時に、小蓋53が搬送されて、レジスト液の吐出停止から1秒後に、小蓋53は環状の蓋体45の開口46に装着される。
【0054】
その後、基板Gおよび回転カップ42の回転速度が1340rpmまで上昇されて、この回転速度が維持され、レジスト膜の膜厚が整えられる。
【0055】
本実施形態では、回転カップ42の床面64をスピンチャック41の基板保持面63よりも0.2mm〜0.4mm程度低くし、しかも基板Gの外周に沿って該外周と対向するようにプレート66を設けたので、ミスト等による基板G裏面の汚れの発生を防止することができる。
【0056】
すなわち、従来は回転カップの床面とスピンチャックの基板保持面との高低差はも2mm〜4mm程度であったため、しかも基板が矩形であることから図6に示すように、基板Gの裏面と床面との隙間にミストを含んだ気流が流れ込み基板Gの裏面にミスト状の汚れ101が付着したり、レジスト液等がこれらの隙間に回り込みそれによる汚れ102が付着していた。特に、上記のミスト状の汚れ101は強力な水銀灯等によってはじめて発見できる特殊な汚れであり、しかもかかる汚れ101は端面レジスト除去処理であるエッジリムーブ処理によっては除去できず、現状では非常に性質の悪い汚れであった。
【0057】
これに対して、本実施形態では、上記のように隙間を小さくし、かつ、プレート66を設けているので、基板G及び回転カップ42を回転させた際に回転カップ42内で発生したミストを含んだ気流が基板Gの裏面と床面64との隙間に回り込むことはなくなる。しかも、レジスト液等がこれらの隙間に回り込むこともなくなる。従って、ミスト状の汚れや液の流れ込みによる基板Gの汚れは皆無となる。
【0058】
また、本実施形態によれば、基板Gの裏面と床面64との間にある程度の隙間を確保しているので、スピンチャック41が下降した際に基板Gが床面54に当接することはなく、基板Gの欠け等の不良が発生するようなことはない。
【0059】
次に、本発明者等が本発明の効果を確認するために行った実験結果を図7及び図8に示す。
【0060】
図7から分かるように単に基板Gの裏面と床面64との隙間を小さくするだけではミスト状の汚れや液の流れ込みによる基板Gの汚れの両方を抑えることはできず、図8から分かるように基板Gの裏面と床面64との隙間を小さくし、かつ、プレート66を設けることでこれらの汚れの両方を抑えることが可能となる。すなわち、本発明は基板Gの裏面と床面64との隙間を小さくしたことと、プレート66を設けることの2つの構成の相乗によってはじめてかかる効果を達成するものである。
【0061】
図9は本発明の変形例に係るレジスト塗布処理ユニット(CT)を示す図であり、この図に示すレジスト塗布処理ユニット(CT)201では、スピンチャック65の裏側にプレート66に向けて洗浄液を吐出する洗浄用のノズル202が設けられている。そして、洗浄時には、同図の点線で示すように、スピンチャック65が上昇してノズル202がプレート66と対面し、ノズル202からプレート66に向けて洗浄液が吐出され、プレート66が洗浄されるようになっている。
【0062】
従って、本実施形態に係るレジスト塗布処理ユニット(CT)201では、非常に簡単でかつコンパクトな構成でプレート66の洗浄を行うことできる。
【0063】
なお、上記の実施形態では、基板へのレジスト液の供給を基板の回転前の静止状態から開始するものであったが、回転する基板上にレジスト液を供給するいわゆるダイナミック塗布タイプのレジスト塗布処理ユニットにも本発明を当然適用することができる。
【0064】
また、上述した実施形態では、基板に対してレジスト液を供給するレジスト塗布処理ユニットに対して本発明を適用したものであったが、レジスト液以外の例えば基板に対して洗浄液を供給する洗浄処理ユニット等にも本発明を当然適用できる。
【0065】
さらに、上記の実施形態では、基板としてガラス基板を用いた場合について示したが、これに限らず半導体ウエハ等他の基板への液供給装置にも本発明を適用することができる。
【0066】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、基板の欠け等の不良を発生させることもなく、基板の裏面におけるミスト状の汚れの発生を防止することができ、しかも供給液が基板の裏面に回り込むこともない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係るレジスト塗布・現像処理システムの概略平面図である。
【図2】図1に示したレジスト塗布処理ユニットを示す断面図である。
【図3】図2に示してレジスト塗布処理ユニットの一部拡大断面図である。
【図4】図2に示したレジスト塗布処理ユニットの斜視図である。
【図5】図2のレジスト塗布処理ユニットにおける基板の回転速度と処理時間とレジスト吐出量との関係を示すグラフである。
【図6】従来の問題点を説明するためのである。
【図7】本発明の効果を確認するために行った実験結果(その1)である。
【図8】本発明の効果を確認するために行った実験結果(その2)である。
【図9】本発明の変形例に係るレジスト塗布処理ユニットの断面図である。
【符号の説明】
22 レジスト塗布処理ユニット
41
G 基板
42 回転カップ
45 蓋体
49 噴頭
51 レジスト液吐出ノズル
52 溶剤吐出ノズル
61 ロータベース
63 基板保持面
64 回転カップの床面
66 プレート
67 プレートの基板との対向面
68 支持ピン
202 洗浄用のノズル

Claims (5)

  1. 基板のほぼ中央部分を回転可能に保持する保持部材と、
    前記保持部材により保持された基板を収容すると共に、前記保持部材と同期して回転可能であり、かつ、床面が前記保持部材の基板保持面よりも0.2mm〜0.4mm程度低くされた収容容器と、
    前記保持部材により保持された基板の外周に沿って該外周と対向するように前記床面上に設けられ、高さが、前記保持部材により保持された基板の表面よりも高く、かつ、0.7mm〜2mmであるプレートと、
    前記保持部材により保持された基板上に液を供給する液供給機構と
    を具備することを特徴とする液供給装置。
  2. 請求項1に記載の液供給装置において、
    前記プレートの前記保持部材により保持された基板との対向面は、傾斜していることを特徴とする液供給装置。
  3. 請求項1または請求項2に記載の液供給装置において、
    前記収容容器の床面には、前記基板の裏面を保持する支持ピンが設けられていることを特徴とする液供給装置。
  4. 請求項に記載の液供給装置において、
    前記支持ピンの高さが、ほぼ0.2mmであることを特徴とする液供給装置。
  5. 請求項1から請求項4のうちいずれか1項に記載の液供給装置において、
    前記保持部材の裏面側に配置され、前記保持部材が上昇したときに前記プレート表面に向けて洗浄液を吐出する洗浄機構を更に具備することを特徴とする液供給装置。
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