JP2004138686A - 体積位相型ホログラム記録用感光性組成物、ホログラム記録媒体、その製造方法およびホログラム記録方法 - Google Patents

体積位相型ホログラム記録用感光性組成物、ホログラム記録媒体、その製造方法およびホログラム記録方法 Download PDF

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Tetsuyuki Saiga
雑賀 哲行
Koji Aoki
青木 宏二
Takashi Matsuo
松尾 孝
Kazunori Yokoyama
横山 和典
Shigeto Iwasa
岩佐 成人
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Abstract

【課題】高い透明性、回折効率および屈折率変調を示し、かつ、ホログラム記録後も未反応性成分が残存しないようにできる新規な体積位相型ホログラム記録媒体、およびこれを作製するためのホログラム記録用感光性組成物を提供する。
【解決手段】ホログラム記録用感光性組成物は9,9−ジアリールフルオレン骨格を有し、ラジカル重合可能な不飽和二重結合を少なくとも1つ含有する固体のラジカル重合性化合物と、カチオン重合性化合物と、バインダーポリマーと、可視光の波長領域を有する干渉性の第一の光の干渉によって得られる干渉縞の照射により、ラジカル重合性化合物の重合を開始させる光ラジカル重合開始剤と、光ラジカル重合開始剤を増感させる光増感色素と、第一の光とは異なる波長領域を有する第二の光の照射によりカチオン重合性化合物の重合を開始させる光カチオン重合開始剤とからなる。
【選択図】  なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は体積位相型ホログラム記録用感光性に関する。さらに詳しくは、光干渉パターンの明暗の強度分布を屈折率の変化として記録するのに使用される新規な体積位相型ホログラム記録用感光性組成物、特にホログラムに要求される基本特性である透明性、回折効率、屈折率変調、加工性に優れた記録媒体、その製造方法、、およびこれを作製するためのホログラム記録用感光性組成物に関し、さらにこの記録媒体を用いるホログラム記録方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ホログラムはレーザー等の可干渉性光の干渉縞を感光材料等に記録したものであり、多機能を持つことから光学素子、立体画像ディスプレイ、干渉計測、画像・情報処理等多岐に亘って利用されている。
【0003】
従来の代表的なホログラム記録用感光性組成物としては、重クロム酸ゼラチン感光材料や、漂白処理した銀塩感光材料が知られている(例えば、非特許文献1および2参照)。
【0004】
しかし、重クロム酸ゼラチンは高い回析効率を示し、また漂白処理した銀塩感光材料は高い感度を示すものの、これらはいずれもホログラム作製時の処理が複雑で、特に湿式現像処理が要求されるという欠点があった。
【0005】
かかる欠点を克服する感光材料として、光反応に関与しないポリマーをバインダーとして用い、これを常温で液体である光重合性モノマーと組み合わせてなる組成物であって、バインダーが組成物の流動を抑えるものが提案されている(特許文献1参照)。この組成物はホログラム記録前後において加熱等の処理を必要とせず、単純な乾式処理だけでホログラムを作成することができる。しかしながら、この技術は、ホログラムの本質的な性能を表す回折効率という点においては、前述の重クロム酸ゼラチンや銀塩感光材料には及ばないものであった。
【0006】
上記従来技術の改良として、バインダーポリマーと、高屈折率の液体の光重合性モノマーと、可塑剤と、光重合開始剤とから主として構成され、屈折率変調を向上させるために、光重合性モノマーに塩素、臭素等の高屈折率に寄与する原子を含ませてなる組成物が提案されている(特許文献2および3参照)。この組成物では、可塑剤に対する相溶性が悪い場合が多く、組成物の溶解性不良および白濁等が起こる問題があった。また、記録されたホログラムは回折効率が不十分なものであったため、記録後に改めて加熱処理等を施し回折効率を増幅させる必要であり、依然後処理が煩雑なものであった。
【0007】
上記従来技術の改良として、高分子バインダーと、9,9−ジアリールフルオレン骨格を有する常温で液体のラジカル重合性化合物と、可塑性と、光重合開始剤とを含む組成物が提案されている(特許文献4参照)。該ラジカル重合性化合物は、屈折率を高めるために塩素、臭素等を含ませずに9,9−ジアリールフルオレン骨格を導入しているため、バインダーポリマー等の成分と相溶性が良いと述べられている。
【0008】
【非特許文献1】
「ディスプレーホログラフィーハンドブック」、第66−67頁、暁印書館(1985)。
【0009】
【非特許文献2】
「光工学ハンドブック」、第351−353頁、朝倉書店(1986))。
【0010】
【特許文献1】
米国特許第3,658,526号明細書。
【0011】
【特許文献2】
米国特許第4,942,102号明細書。
【0012】
【特許文献3】
米国特許第第4,942,112号明細書。
【0013】
【特許文献4】
特開平6−301322号公報。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、該化合物は常温で液体であり、常温で固体のモノマーに比べて屈折率が低いために、記録後のホログラムにおいて充分な回折効率が得られないという問題があった。そのためより屈折率が高い常温で固体であるモノマーと、高分子バインダーとの組み合わせが望まれていたが、常温で固体のモノマーを用いた場合には、感光材料が白濁してしまい、充分な光透過性が得られないというホログラム記録材料にとって致命的な問題が生じた。また、該記録材料は、重合に関与しない可塑剤を含んでいるために組成物の溶解性不良を起こしたり、ホログラム記録後に析出などの問題を生じた。さらに、ホログラム記録材料が光学素子、ディスプレイ、3D画像等に利用される際には、粘着剤を介した各種光学用シートとの貼りあわせる場合が多い。その場合、可塑剤等の重合に関与しない成分が存在すると回折効率が低下したり、回折波長がシフトしたりし、ホログラムの品質が低下するといった問題が生じた。そのため、ホログラム記録後あるいは後処理によってこのような未反応成分の残存量を極力低下させることが強く望まれた。
【0015】
本発明の目的は、従来技術では果たせなかった高い透明性、回折効率および屈折率変調を示し、かつ、ホログラム記録後も未反応性成分が残存しないようにできる新規な体積位相型ホログラム記録媒体、およびこれを作製するためのホログラム記録用感光性組成物を提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決すべく研究を重ねた結果、下記の新規なホログラム記録材料組成物を見出し、本発明を完成するに至った。
【0017】
すなわち、本発明の第一のものは、干渉性に優れた光を干渉させることによって得られる干渉縞の明暗の強度分布を屈折率の変化として記録するのに使用される体積位相型ホログラム記録用感光性組成物において、
(A)9,9−ジアリールフルオレン骨格を有し、ラジカル重合可能な不飽和二重結合を少なくとも1つ含有する常温常圧で固体であるラジカル重合性化合物と、
(B)カチオン重合性化合物と、
(C)バインダーポリマーと、
(D)可視光の波長領域を有する干渉性の第一の光の干渉によって得られる干渉縞の照射により、ラジカル重合性化合物(A)の重合を開始させる光ラジカル重合開始剤と、
(E)光ラジカル重合開始剤を増感させる光増感色素と、
(F)第一の光とは異なる波長領域を有す第二の光の照射によりカチオン重合性化合物(B)の重合を開始させる光カチオン重合開始剤と
からなり、
(A)ラジカル重合性化合物の屈折率が、(B)カチオン重合性化合物と(C)バインダーポリマーとの屈折率との加重平均値よりも大きいことを特徴とする体積位相型ホログラム記録用感光性組成物に関する。
【0018】
光カチオン重合開始剤(F)は、第二の光の照射によりカチオン重合性化合物(B)の重合を開始させるものであるが、第一の光の干渉によって得られる干渉縞の照射に対する感光性が低くてカチオン重合性化合物(B)の重合を実質上開始させないものが好ましい。
【0019】
第二の発明は、第一の発明による体積位相型ホログラム記録用感光性組成物からなる記録層が透明基材上に形成され、必要に応じて、記録層を覆う保護材が設けられていることを特徴とするホログラム記録媒体に関する。
【0020】
第三の発明は、第二の発明によるホログラム記録媒体を製造するにあたり、成分(A)から(D)までを溶剤に溶解させ、得られた溶液を基板上に塗布し、その後、溶剤を揮散させることにより記録層を形成することを特徴とするホログラム記録媒体の製造方法に関する。
【0021】
第四の発明は、第二の発明によるホログラム記録媒体に体積位相型ホログラムを記録するにあたり、始めに可視光の波長領域を有する干渉性の第一の光の干渉によって得られる干渉縞でホログラム記録媒体を露光し、次いで遮光下で50〜150℃の温度範囲で1〜120分間、該記録媒体を加熱することを特徴とするホログラム記録方法に関する。加熱の後、第一の光と異なる波長領域を有す第二の光で該記録媒体を露光することが好ましい。
【0022】
【発明の実施の形態】
第一発明による体積位相型ホログラム記録用感光性組成物の構成成分について説明をする。
【0023】
ラジカル重合性化合物(A)
本発明で用いられるラジカル重合性化合物(A)は、9,9−ジアリールフルオレン骨格を有し、かつ、ラジカル重合可能な不飽和二重結合を少なくとも1つ含有する常温、常圧で固体のものである。他のいずれの成分とも相溶性がよく、極力屈折率が高いものが好ましい。これは、可視光領域のコヒーレンス性に優れた第一の光の干渉縞を照射することにより、光ラジカル重合開始剤(D)より発生したラジカルによって干渉縞の明部でラジカル重合するものである。
【0024】
ラジカル重合性化合物(A)は下記一般式[I]で示されるものであってよい。
【0025】
【化1】
Figure 2004138686
【0026】
[式中、RおよびRは互いに同一もしくは異なる1価の有機基を意味し、そのうち少なくとも一方は末端に(メタ)アクリロイル基または(メタ)アクリロイルオキシ基を有する。MおよびMは、互いに同一もしくは異なり、−(OR)n−(Rは水酸基を有してもよい低級アルキレン基、nは0〜2の整数)で示される2価の有機基または単結合を意味する。X1およびX2は、互いに同一もしくは異なり、水素原子または低級アルキル基を意味する。]
【0027】
およびRのうち、(メタ)アクリロイル基または(メタ)アクリロイルオキシ基を有しない有機基は、炭素数1〜3の低級アルキル基であってよい。
【0028】
およびMの−(OR)n−において、低級アルキレン基Rの炭素数は好ましくは1〜3、より好ましくは1〜2である。nが2である場合、2つのRは同一であっても異なっていてもよい。ORとしては、オキシメチレン、オキシエチレン、オキシプロピレン、オキシブチレンなどが例示され、(OR)としては、ジオキシメチレン、ジオキシエチレン、オキシエチレンオキシプロピレン(プロポキシエトキシ)等が例示される。低級アルキレン基Rが水酸基を有している場合、水酸基は同アルキレン基のどの位置にあってもよいが、水酸基を有するアルキレンは例えば(2−ヒドロキシ)プロピレンである。
【0029】
有機基XおよびXは、メチル、エチル、プロピル等の炭素数1〜5のアルキル基であってよい。
【0030】
以下、ラジカル重合性化合物(A)を例示する;
9,9−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシフェニル)フルオレン、
9,9−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシメトキシフェニル)フルオレン、
9,9−ビス[4−(2−(メタ)アクリロイルオキシエトキシ)フェニル]フルオレン、
9,9−ビス[4−(メタ)アクリロイルオキシ−3−メチルフェニル]フルオレン、
9,9−ビス[4−(メタ)アクリロイルオキシメトキシ−3−メチルフェニル]フルオレン、
9,9−ビス[4−(2−(メタ)アクリロイルオキシエトキシ)−3−メチルフェニル]フルオレン、
9,9−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシ−3−エチルフェニル)フルオレン、
9,9−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシメトキシ−3−エチルフェニル)フルオレン、
9,9−ビス[4−(2−(メタ)アクリロイルオキシエトキシ)−3−エチルフェニル]フルオレン、
9,9−ビス[4−(2−(メタ)アクリロイルオキシプロポキシ)−3−エチルフェニル]フルオレン、
9,9−ビス[4−(3−(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシ)プロポキシフェニル]フルオレン、
9,9−ビス[4−(3−(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシ)プロポキシ−3−メチルフェニル]フルオレン、
9,9−ビス{4−[2−(3−アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシ−プロポキシ)−エトキシ]フェニル}フルオレン。
【0031】
ラジカル重合性化合物(A)は上記例示物の2量体または3量体程度のオリゴマーであってもよい。
【0032】
ラジカル重合性化合物(A)は上記例示物を単独で用いても2以上の組合わせで用いてもよい。
【0033】
良好な成膜性および回折効率等の光学特性を得るためには、有機基RおよびRはアクリロイル基および/またはアクリロイルオキシ基であり、かつ、MおよびMの−(OR)n−においてnは0、1または2であり、低級アルキレン基Rの炭素数は1〜2であり、かつ、XおよびXは水素原子であることが好ましい。
【0034】
上記の条件を満たす化合物のうち、好ましい化合物としては下記のものが例示される;
9,9−ビス[4−(3−アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシ)プロポキシフェニル]フルオレン、
【化2】
Figure 2004138686
【0035】
9,9−ビス(4−メタクリロイルオキシフェニル)フルオレン、
【化3】
Figure 2004138686
【0036】
9,9−ビス(4−アクリロイルオキシフェニル)フルオレン、
【化4】
Figure 2004138686
【0037】
9,9−ビス[4−(2−アクリロイルオキシエトキシ)フェニル]フルオレン、
【化5】
Figure 2004138686
【0038】
9,9−ビス[4−(2−メタクリロイルオキシエトキシ)フェニル]フルオレン、
【化6】
Figure 2004138686
【0039】
9,9−ビス[4−[2−(3−アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシ−プロポキシ)−エトキシ]フェニル]フルオレン、
【化7】
Figure 2004138686
【0040】
9,9−ビス[4−(3−アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシ)プロポキシ−3−メチルフェニル]フルオレン
【化8】
Figure 2004138686
【0041】
さらに好ましい化合物としては、下記のものが例示される;
9,9−ビス[4−(3−アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシ)プロポキシフェニル]フルオレン、
9,9−ビス(4−メタクリロイルオキシフェニル)フルオレン、
9,9−ビス(4−アクリロイルオキシフェニル)フルオレン、
9,9−ビス[4−(2−アクリロイルオキシエトキシ)フェニル]フルオレン、
9,9−ビス[4−(2−メタクリロイルオキシエトキシ)フェニル]フルオレン。
【0042】
カチオン重合性モノマー(B)
本発明で用いられるカチオン重合性化合物(B)は、他のいずれの成分とも相溶性がよく、ラジカル重合性化合物(A)よりも屈折率が極力低く、常温常圧で液体であることが好ましい。このようなカチオン重合性化合物を用いることによって、ホログラム記録前では全組成物が十分に相溶しているが、ホログラム記録が開始されるとともにラジカル重合性化合物(A)の拡散移動が起こりやすくなる。さらに、屈折率が低いものを選択することによって、ラジカル重合性化合物(A)の拡散移動によるカチオン重合性化合物(B)との分離において、両者の間でわずかな分離しか起こらなくても、大きな屈折率差(屈折率変調)を得ることができる。カチオン重合性化合物(B)は第一の光(好ましくは可視光線)と異なる波長領域を有す第二の光(好ましくは紫外線)を照射しカチオン重合開始剤(F)の反応により重合させられる。
【0043】
カチオン重合性化合物(B)の具体例としては、オキシラン構造およびオキセタン構造のいずれかを1分子中に少なくとも1つ以上、あるいは両者を有する化合物を挙げることができる。下記に好ましいカチオン重合性化合物(B)を例示する。
【0044】
グリシジルエーテル類;
フェニルグリシジルエーテル、
2−エチルヘキシルグリコールグリシジルエーテル、
エチレングリコールジグリシジルエーテル、
ジエチレングリコールジグリシジルエーテル、
ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、
プロピレングリコールジグリシジルエーテル、
トリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、
ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、
ネオネンチルグリコールジグリシジルエーテル、
1.6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、
グリセリンジグリシジルエーテル、
トチメチロールプロパントリグリシジルエーテル、
水添ビスフェノールAジグリシジルエーテル、
2.2−ジブロモネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル。
【0045】
オキセタン系化合物;
3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン、
1,4−ビス{〔(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシ〕メチル}ベンゼン、3−エチル−3−(フェノキシメチル)オキセタン、
ジ[1−エチル(3−オキセタニル)]メチルエーテル、
3−エチル−3−(2−エチルヘキシロキシメチル)オキセタン、
3−エチル−3−{〔3−(トリエトキシシリル)プロポキシ〕メチル}オキセタン、
オキセタニルシルセスキオキシサン、
フェノールノボラックオキセタン。
【0046】
重合収縮がほとんどないスピロオルソエステル、スピロオルソカーボネート、ビシクロオルソカーボネート類や3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレートも使用できる。
【0047】
上記例示物の2量体または3量体程度のオリゴマーであってもよい。また、これらは単独で用いても2以上の組合わせで用いてもよい。特にオキシラン化合物とオキセタン化合物を混合して使用すると、カチオン重合速度が上昇し、かつ、高分子量のポリマーが形成される。
【0048】
バインダーポリマー(C)
本発明で用いられるバインダーポリマー(C)は、ラジカル重合性化合物(A)およびカチオン重合性化合物(B)と相溶性が良く、有機溶媒中に完全に溶解しうるものであればよい。代表的なものは、エチレン性不飽和二重結合を有するモノマーの単独重合体、または、該モノマーと、これと共重合可能な共重合性モノマーとの共重合体、ジフェノール化合物とジカルボン酸化合物の縮合重合体、分子内に炭酸エステル基を有する重合体、分子内に−SO−基を有する重合体、セルロース誘導体、およびこれらの2以上の組み合わせからなる群より選ばれるものである。
【0049】
バインダーポリマーの具体例としては、ポリビニルアセテート、ポリビニルブチラート、ポリビニルホルマール、ポリビニルカルバゾール、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリメチルアクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリエチルアクリレート、ポリブチルアクリレート、ポリメタクリロニトリル、ポリエチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリアクリロニトリル、ポリ−1,2−ジクロロエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、シンジオタクチック型ポリメチルメタクリレート、ポリ−α−ビニルナフタレート、ポリカーボネート、セルロースアセテート、セルローストリアセテート、セルロースアセテートブチラート、ポリスチレン、ポリ−α−メチルスチレン、ポリ−o−メチルスチレン、ポリ−p−メチルスチレン、ポリ−p−フェニルスチレン、ポリ−2,5−ジクロロスチレン、ポリ−p−クロロスチレン、ポリ−2,5−ジクロロスチレン、ポリアリーレート、ポリサルホン、ポリエーテルサルホン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ジビニルベンゼン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ABS樹脂、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリビニルピロリドン、ポリ塩化ビニリデン、水素化スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体、透明ポリウレタン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、(メタ)アクリル酸環状脂肪族エステルとメチル(メタ)アクリレートとの共重合体等が挙げられる。
【0050】
バインダーポリマー(C)の上記例示物は単独で用いても2以上の組合わせで用いてもよい。
【0051】
バインダーポリマー(C)は、また、100℃以上のガラス転移温度(Tg)を有することが好ましい。
【0052】
バインダーポリマー(C)はホログラムの用途、応用等により種々選択することができる。良好な成膜性および回折効率等の光学特性を得るためには、ポリビニルアセテート、ポリビニルブチラート、セルロースアセテートブチラート、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリビニルホルマール等が好ましく用いられる。
【0053】
より良好な耐熱性、成膜性および回折効率等の光学特性を得るためには、(メタ)アクリル酸環状脂肪族エステルとメチル(メタ)アクリレートとの共重合体等が好ましく用いられる。
【0054】
(メタ)アクリル酸環状脂肪族エステルとメチル(メタ)アクリレートとの共重合体を構成する(メタ)アクリル酸環状脂肪族エステルの環状脂肪族部分は、ボルニル骨格、イソボルニル骨格またはノルボルニル骨格を有するものであってよい。
【0055】
(メタ)アクリル酸環状脂肪族エステルとメチル(メタ)アクリレートとの共重合体を構成する(メタ)アクリル酸環状脂肪族エステルの例としてはボルニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ノルボルニル(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0056】
(メタ)アクリル酸環状脂肪族エステルは一種であってもよいし、二種以上であってもよい。後者の場合は共重合体は二種以上の(メタ)アクリル酸環状脂肪族エステルとメチル(メタ)アクリレートとの三元以上の共重合である。
【0057】
良好な耐熱性を持つホログラムを得るためには、(メタ)アクリル酸環状脂肪族エステルとメチル(メタ)アクリレートとの共重合体のガラス転移温度は130℃以上であることが好ましい。
【0058】
(メタ)アクリル酸環状脂肪族エステルとメチル(メタ)アクリレートとの共重合体は、その1種を用いてもよいし、2種以上の組合わせを用いてもよい。
【0059】
光ラジカル重合開始剤(D)
本発明で用いられる光ラジカル重合開始剤(D)としては、可視光領域のコヒーレンス性に優れた第一の光の干渉縞を照射することによりラジカルを発生するものである。例えば、カルボニル化合物、アミン化合物、アリールアミノ酢酸化合物、有機錫化合物、アルキルアリールホウ素塩、トリハロゲノメチル置換トリアジン化合物、有機過酸化物、ビスイミダゾール誘導体、チタノセン化合物およびこれらの光ラジカル重合開始剤(D)と光増感色素(E)を組み合わせた複合型光ラジカル重合開始剤等が好ましく使用される。光増感色素(E)は紫外線から可視光線の光を効率よく吸収するため、複合型光ラジカル重合開始剤は好適に使用される。本発明において特に好ましい光ラジカル重合開始剤(D)としては、有機過酸化物、ビスイミダゾール誘導体およびこれらと光増感色素(E)の組み合わせた複合型光ラジカル重合開始剤が挙げられる。
【0060】
有機過酸化物として3,3′,4,4′−テトラ(tert−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノンが例示される。
【0061】
ビスイミダゾール誘導体として2,2’−ビス(o−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,1’−ビイミダゾール、ビス(2,4,5−トリフェニル)イミダゾリルが例示される。
【0062】
チタノセン化合物としてビス(η5−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)−フェニル)チタニウムが例示される。
【0063】
これらは単独で用いても2以上の組み合わせで用いてもよい。
【0064】
光増感色素(E)
光増感色素(E)としては、ミヒラケトン、アクリジンイエロー、メロシアニン、メチレンブルー、カンファーキノン、エオシン、脱カルボキシル化ローズベンガル等が好適に使用される。光増感色素は、可視領域の光に吸収を示すものであればよく、上記以外に、例えば、シアニン誘導体、メロシアニン誘導体、フタロシアニン誘導体、キサンテン誘導体、チオキサンテン誘導体、アクリジン誘導体、ポルフィリン誘導体、クマリン誘導体、ベーススチリル誘導体、ケトクマリン誘導体、キノロン誘導体、スチルベン誘導体、オキサジン誘導体、チアジン系色素等も使用可能であり、更には「色素ハンドブック」(大河原信他編、講談社、1986年)、「機能性色素の化学」(大河原信他編、シーエムシー、1983年)、「特殊機能材料」(池森忠三郎他編、シーエムシー、1986年)に記載される光増感色素も用いることができる。これらは単独で用いても2以上の組み合わせで用いてもよい。
【0065】
クマリン誘導体として下記の物が例示される;
3−(2−ベンゾチアゾリル)−7−ジエチルアミノ)クマリン、
3−(2−ベンゾチアゾリル)−7−ジブチルアミノ)クマリン、
3−(2−ベンゾチアゾリル)−7−ジオクチルアミノ)クマリン、
3−(2−ベンジミダゾリル)−7−ジエチルアミノ)クマリン。
【0066】
ケトクマリン誘導体としては下記のものが例示される;
3,3’−カルボニルビス(7−ジエチルアミノクマリン)、
3,3’−カルボニルビス−7−ジエチルアミノクマリン−7’−ビス(ブトキシエチル)アミノクマリン、
3,3’−カルボニルビス(7−ジブチルアミノクマリン)。
【0067】
ベーススチリル誘導体としては下記のものが例示される;
2−[p−(ジメチルアミノ)スチリル]ベンゾチアゾール、
2−[p−(ジメチルアミノ)スチリル]ナフト[1,2−d]チアゾール、
2−[(m−ヒドロキシ−p−メトキシ)スチリル]ベンゾチアゾール。
【0068】
メロシアニン誘導体としては下記のものが例示される;
3−エチル−5−[(3−エチル−2(3H)−ベンゾチアゾリリデン)エチリデン]−2−チオキソ−4−オキサゾリジノン、
5−[(1,3−ジヒドロ−1,3,3−トリメチル−2H−インドール−2−イリデン)エチリデン]−3−エチル−2−チオキソ−4−オキサゾリジノン。
光ラジカル重合開始剤(D)としての有機過酸化物と光増感色素の組み合わせの例としては、有機過酸化物3,3′,4,4′−テトラ(tert−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノンと、下記構造式の光増感色素との組み合わせが好ましい。
【0069】
【化9】
Figure 2004138686
【0070】
【化10】
Figure 2004138686
【0071】
【化11】
Figure 2004138686
【0072】
【化12】
Figure 2004138686
【0073】
【化13】
Figure 2004138686
【0074】
【化14】
Figure 2004138686
【0075】
【化15】
Figure 2004138686
【0076】
【化16】
Figure 2004138686
【0077】
【化17】
Figure 2004138686
【0078】
【化18】
Figure 2004138686
【0079】
【化19】
Figure 2004138686
【0080】
光カチオン重合開始剤(F)
本発明で用いられる光カチオン重合開始剤(F)としては、可視光領域のコヒーレンス性に優れた第一の光の干渉縞を照射する工程、およびつぎの加熱工程ではカチオン重合性化合物(B)の重合を全くないしは殆ど開始させず、第一の光と異なる波長領域を有する第二の光の照射により酸を発生し、その酸がカチオン重合性化合物(B)の重合を開始させるものであればよい。発生する酸はブレンステッド酸、p−トルエンスルホン酸、スルホン酸、アリールスルホン酸、ルイス酸等が挙げられる。このような光カチオン重合開始剤(F)としては、例えば、ジアゾニウム塩、ジアリールヨードニウム塩、トリアリールスルホニウム塩、トリアリールセレノニウム塩、シラノール/アルミニウム錯体、スルホン酸エステル、イミドスルホネート類、鉄アレーン錯体等が挙げられる。
【0081】
各成分の組成比について説明をする。
【0082】
本発明の体積位相型ホログラム記録用感光性組成物の各成分の組成比は、ラジカル重合性化合物(A)、カチオン重合性化合物(B)、バインダーポリマー(C)、光ラジカル重合開始剤(D)、光増感色素(E)および光カチオン重合開始剤(F)の合計100重量部に対して、ラジカル重合性化合物(A)は10〜70重量部、カチオン重合性化合物(B)は10〜70重量部、バインダーポリマー(C)は10〜70重量部、光ラジカル重合開始剤(D)は0.5〜15重量部、光増感色素(E)は0.01〜1重量部、光カチオン重合開始剤(F)は0.5〜15重量部であることが好ましく、より好ましくは、ラジカル重合性化合物(A)は15〜60重量部、カチオン重合性化合物(B)は15〜60重量部、バインダーポリマー(C)は15〜60重量部、光ラジカル重合開始剤(D)は1〜8重量部、光増感色素(E)は0.05〜0.5重量部、光カチオン重合開始剤(F)は1〜8重量部である。
【0083】
本発明によるホログラム記録用感光性組成物は、必要に応じて、増粘剤、熱重合禁止剤、連鎖移動剤等の添加剤や、溶媒等を含むことができる。
【0084】
増粘剤としては無機微粒子、例えばシリカゲルの微粒子としてダイソー社製の「ダイソーゲルSPシリーズ」、富士シリシア化学社製の「サイリシア」や「フジシリカゲル」、シオノギ製薬社製の「カープレックス」、日本アエロジル社製の「アエロジル」、トクヤマ社製の「レオロシール」、「トクシール」、「ファインシール」等が使用できる。または有機微粒子、例えば特開平10−72510、特開平10−310684各公報に記載の方法で作製され得るジアリルフタレート系ポリマー、若しくは「新材料シリーズ『超微粒子ポリマーの最先端技術』」(シーエムシー、室井宗一監修、1991年)に記載のある花王社製「PB,200シリーズ」、鐘紡社製「ベルパールシリーズ」、積水化成品社製「テクポリマーシリーズ」、積水ファインケミカル社製「ミクロパールシリーズ」、綜研化学社製「MRシリーズ」「MPシリーズ」等が使用できる。これら微粒子の粒径はホログラムの膜厚よりも小さければよく、通常は0.1〜20nmの範囲が好ましい。
【0085】
有機溶媒の使用は、粘度調整、相溶性調節の外、製膜性等を向上させるために有効である。例えば、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル系溶媒、キシレン、トルエンなどの芳香族系溶媒、メチルセロソルブ、エチルセロソルブなどのセロソルブ系溶媒、メタノール、エタノールなどのアルコール系溶媒、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル系溶媒、ジクロロメタン、クロロホロルムなどのハロゲン系溶媒等がよく用いられる。しかしながら、水は、粘度調整、相溶性調節、製膜性等を阻害するので、使用できない。水はエマルジョン形態でも媒質として使用できない。溶媒の使用量は、ラジカル重合性化合物(A)、カチオン重合性化合物(B)、バインダーポリマー(C)の合計100重量部に対して0.5〜1000重量部程度である。
【0086】
熱重合禁止剤の例としては、生成したラジカルを消去する働きのある、例えば、ハイドロキノン、p−メトキシフェノール、tert−ブチルカテコール、ナフチルアミン、ジフェニルピクリルヒドラジン、ジフェニルアミン等が挙げられる。
【0087】
連鎖移動剤の例としては、α−メチルスチレンダイマー、2−メルカプトベンズオキサゾール、2−メルカプトベンゾチアゾール、tert−ブチルアルコール、n−ブタノール、イソブタノール、イソプロピルベンゼン、エチルベンゼン、クロロホルム、メチルエチルケトン、プロピレン、塩化ビニル等が挙げられる。
【0088】
ホログラム記録用感光性組成物の調製について説明をする。
【0089】
本発明によるホログラム記録用感光性組成物を調製するには、例えば、ラジカル重合性化合物(A)、カチオン重合性化合物(B)、バインダーポリマー(C)、光ラジカル重合開始剤(D)、光増感色素(E)および光カチオン重合開始剤(F)、必要に応じて用いる上記任意添加成分を、ガラスビーカー等の耐薬品性容器に入れて、全体を撹拌する。この場合、固体成分の溶解を促進するために、組成物の変性が生じない範囲で、これを例えば40〜90℃程度に加熱してもよい。
【0090】
ホログラム記録媒体の作製について説明をする。
【0091】
本発明による体積位相型ホログラム記録用感光性組成物を用いてホログラム記録媒体を作製するには、同記録用感光性組成物を基板の片面に塗布しこれを乾燥させ、生じた塗膜すなわち記録層(記録用感光層)と基板とからなる2層構造の記録媒体を得る。また、必要に応じて、基板上の記録層の上にこれを覆うようにフィルム状、シート状ないしは板状の保護材を被せて3層構造体を得る。記録層の形成工程で有機溶媒を用いることが好ましい。この場合、ラジカル重合性化合物(A)、カチオン重合性化合物(B)、バインダーポリマー(C)、光ラジカル重合開始剤(D)、光増感色素(E)および光カチオン重合開始剤(F)、必要に応じて用いる上記任意添加成分を溶媒に溶解させ、得られた溶液を基板上に塗布し、その後、溶媒を揮散させ記録層を形成する。記録層に保護材を被せる場合は、保護材被覆の前に溶媒を風乾や減圧加熱等によって除去しておくのがよい。基板は光学的に透明な材料、例えばガラス板やポリエチレンテレフタレート板、ポリカーボネート板、ポリメチルメタクリレート板のようなプラスチック板もしくはフィルム等からなる。基板の厚みは好ましくは0.02〜10mmである。基板は平面である必要はなく屈曲や湾曲あるいは表面に凹凸構造のあるものでもよい。保護材も基板と同じく光学的に透明な材料からなる。保護材の厚みは好ましくは0.02〜10mmである。塗布方法はグラビア塗布、ロールコーティング塗布、バーコート塗布、スピンコート塗布等である。溶媒除去後の記録層の厚みは、好ましくは1〜100μmになるように塗布することが好ましい。
【0092】
記録方法等について説明をする。
【0093】
本発明によるホログラム記録媒体に被記録物をホログラムとして記録するには、通常の記録方法が採用できる。すなわち、波長が400〜700nmの範囲内にある可干渉性光を2つに分け、そのうち一方の光線(参照光)と、他方の光線を記録すべき物体に照射して得られる物体からの反射光(物体光)と(または予め該物体の情報を記録した体積位相型マスターホログラムに照射して得られるマスターホログラムからの透過光(物体光)と)を、該記録媒体に対してそれぞれ同一面よりあるいは表裏面より入射させて、干渉させることにより得られる干渉縞を捕らえることができる位置に、該体積位相型ホログラム記録媒体を配置し、同媒体に上記物体を記録する。より詳しくは、レーザー光をビームスプリッター等で2つの光線に分け、ミラー等の使用により両者を再度合わせることで干渉縞を得る(2光束露光法)。あるいは1つのレーザー光をミラーにより反射させ、入射光と反射光の両者を再度合わせることにより干渉縞を得る(1光束露光法)。このような干渉パターンを得る際には、別途作製したホログラムをマスターホログラムとして光路上に配置して、1光束および/または2光束露光法にて干渉縞を得ても良い。このように形成した干渉パターンの明暗の強度分布を捉えることのできる位置に記録媒体を設置する。この状態で、通常、数秒から数分間レーザー光照射を行うと、ホログラムとなる干渉縞が記録媒体上に記録される。ホログラム記録中はなるべく振動を与えないようにするため、これらの記録は光学除振台の上で行うべきである。用いるレーザー光の光量は、光強度と照射時間との積で表して、好ましくは1〜1万mJ/cm程度である。光量がこの範囲よりも少ないと記録が困難であり、またこの範囲を超えるとホログラムの回折効率が低下する場合があるので、いずれの場合も好ましくない。
【0094】
本発明で用いられる光源について説明をする。
【0095】
可視光の波長領域を有する第一の光の光源としては、レーザー発生装置が使用できる。レーザーは単一波長であり、コヒーレンス性を有しているため、ホログラム記録において好ましい。最も好ましい光源はコヒーレンス性に優れた光源、例えば、上記レーザー発生装置にエタロン等の光学素子等を装着したものである。これは該単一波長の周波数を単一周波数にしたものであり、干渉距離を長くすることができるため特に好ましい。レーザーの代表的な例としては、Kr(波長647nm、413nm、407nm)、He−Ne(波長633nm)、Ar(波長514.5nm、488nm)、YAG(波長532nm)、He−Cd(波長442nm)等が挙げられる。これら光源は単独で用いても、2種以上組み合わせて使用していも良い。また、該光源は連続光でも、ある一定または任意間隔にてパルス発振していても良い。
【0096】
上記光源によるホログラム記録、続く加熱処理の後にカチオン重合性化合物を光カチオン重合させるための第二の光の光源としては、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、低圧水銀灯、キセノンランプ、メタルハライドランプ等が例示できる。これら光源は可視領域の光線をカットするフィルターを併せて使用ことにより、可視光線を除去し紫外領域の光線を効率よく得ることができる。これら光源は単独で用いても、2種以上組み合わせて使用していも良い。
【0097】
ホログラムの形成方法について説明をする。
【0098】
本発明の体積位相型ホログラム記録媒体を用いたホログラムの形成を、可視光のレーザーで反応が起こる光ラジカル重合開始剤と、紫外線で反応が起こるカチオン重合開始剤とを含む組成物を例にとって説明する。この場合、体積位相型ホログラム記録媒中では、露光前はラジカル重合性化合物(A)、カチオン重合性化合物(B)、バインダーポリマー(C)、光ラジカル重合開始剤(D)、光増感色素(E)および光カチオン重合開始剤(F)が相溶しているが、可視光のレーザー光の干渉縞露光とともにラジカル重合性化合物(A)が優先的に光重合して高分子化することでホログラム記録層となる。
【0099】
すなわち、本発明による記録用感光性組成物を基板上に塗布してなる2層構造体、あるいはこの記録層の上に保護材を被せてなる3層構造体が可視光領域の光の明暗の強度分布を有する干渉縞で露光されると、まず、干渉縞中の光量の多い部分で光ラジカル重合開始剤(D)よりラジカルが発生し、光ラジカル重合反応性に富むラジカル重合性化合物(A)が光重合を開始し、その部分が体積収縮をきたすと同時に、ラジカル重合性化合物(A)の濃度が減少する。これによって生じた凹みおよび濃度勾配を補うために、光量の少ない部分から未反応物が流れ込むと共に、カチオン重合性化合物(B)およびバインダーポリマー(C)はラジカル重合性化合物(A)から相分離し、光量の少ない部分へ排除される。光量の多い部分へと拡散移動したラジカル重合性化合物(A)は、その光重合がさらに進む。これらの結果、光量の多い部分には屈折率の高い、ラジカル重合性化合物(A)の重合物が集積し、逆に光量の少ない部分には屈折率の低いバインダー(C)が集積した構造を形成する。ここで、カチオン重合性化合物(B)は主として、ラジカル重合性化合物(A)とバインダーポリマー(C)との分離を促進させるための成分として機能する。これは露光初期では系中に均一に存在するが、最終的には光量の少ない部分、即ちバインダーポリマー(C)側へと排除される。こうして、光量に応じた組成分布、すなわちラジカル重合性化合物(A)が多い部分とカチオン重合性化合物(B)とバインダーポリマー(C)が多い部分との屈折率の差に基づいた干渉縞がホログラムとして形成される。
【0100】
このようにして得られた体積位相型ホログラムは十分な屈折率変調を示すが、さらに屈折率変調を高めるために記録媒体に加熱処理を施すことができる。加熱温度は50〜150℃、好ましくは60〜130℃、加熱時間は1〜120分間、好ましくは5〜100分である。この加熱処理によって記録時の温度では拡散移動しきれなったラジカル重合性化合物(A)の未反応分の干渉縞明部への移動を促進させることができ、その結果、屈折率変調がさらに高くなり、回折効率の高い明るいホログラムが得られる。加熱処理は、体積位相型ホログラムが記録された後に、光ラジカル重合開始剤(D)および光カチオン重合開始剤(F)が反応しないように紫外線から可視光線の波長領域の光を遮断して行われる。このように遮光をして加熱処理を行わなければ、これら開始剤の存在下ではラジカル重合性化合物(A)およびカチオン重合性化合物(B)の重合が非選択的にホログラム全面にわたり生じてしまい、系全体が硬化してしまう。そのため、ラジカル重合性化合物(A)の干渉縞明部へのさらなる移動が抑制され、その結果、回折効率の上昇が抑制される。
【0101】
また、光カチオン重合開始剤、特にオニウム塩の中には、加熱の程度によってラジカルとカチオンを発生するものがある。そのため、第一の光によるホログラム記録後の加熱は注意を要する。例えば、80℃以上の高温加熱の場合は加熱時間は20分以下とするのがよい。このように加熱温度と加熱時間を調整することにより、オニウム塩によるラジカルとカチオンの発生によるラジカル重合性化合物(A)とカチオン重合性化合物(B)の重合を、遮光下の加熱による光学特性の向上を阻害しない程度に抑制することができる。
【0102】
この加熱処理はホログラム記録中に同時に行ってもよい。
【0103】
このようにして加熱により十分な屈折率変調が得られた後に、最後に第一の光と異なる波長領域を有す第二の光で該記録媒体を好ましくは全面に亘って露光する。この結果、光カチオン重合開始剤(F)により、主として未反応成分として残存しているカチオン重合性化合物(B)を重合させることができ、組成物全体が硬化した体積位相型ホログラムが形成される。
【0104】
ホログラムの再生について説明をする。
【0105】
本発明による体積位相型ホログラム記録媒体を用いれば、被記録物としての物体を記録および再生することができる。通常の写真では物体の振幅の情報のみしか記録できないために、写真に記録された物体は2次元としてしか見ることができないが、該記録媒体は物体の位相と振幅の情報を同時に記録できるため、つまり、完全な3次元の情報を記録できるため、記録された物体も完全な3次元として見ることができる。本発明の実施例ではミラーを用いた1光束露光法による記録が記載されているが、この場合、記録すべき物体はミラーの鏡面である。干渉縞を得るためには物体光および参照光を記録媒体の記録面に対して同一面より入射させ、あるいは表裏面より入射させ、干渉させることができる。このとき前者では透過型ホログラム、後者では反射型ホログラムが記録される。1光束露光法においてもミラーの鏡面が被記録物となるが、ミラーの代りに別の被記録物を用い、光源にレーザー光等のコヒーレンス性を有する光を用い、入射光(参照光)と物体からの反射光(物体光)との干渉によって形成される干渉縞を捕らえることができる位置に、該記録媒体を配置し、同媒体に物体を記録することができる。
【0106】
記録を再生する際には、参照光として白色光や記録時用いた光源を用いることができ、好ましくは後者の光源をホログラム記録時の参照光と同一角度にて照射することにより効率よく物体光が再生される。また、記録の際に物体光を得るためには予め物体の情報を記録した体積位相型ホログラムを用いてもよい。この方式では記録済のホログラムをマスターホログラムとして用い、一光束露光法にて該ホログラムの情報をコピーすることができる。この場合、一光束露光法は参照光(マスターホログラムからの透過光(物体の情報を含まない))と物体光(マスターホログラムからの回折された透過光(物体の情報を含む))との干渉により形成される干渉縞を記録することができる。この方式は量産化が行ない易いといった利点がある。本発明の実施例にて評価されている回折効率とは、参照光の強度に対する再生されたミラー鏡面の明るさ、つまり、物体光の強度のことであり、いかに物体を明るく記録でき、かつ、再生できたかを示す指標である。
【0107】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施例を幾つか挙げ、本発明を具体的に説明する。ただし、これら実施例は本発明を限定するものではない。
【0108】
実施例1
1)9,9−ジアリールフルオレン骨格を有し、かつ、常温常圧で固体であるラジカル重合性化合物(A)として、9,9−ビス[4−(3−アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシ)プロポキシフェニル]フルオレン(前記構造式[化2]、単体の屈折率:1.63)1.08g(全組成物に対する重量百分率:28.1重量%)、カチオン重合性化合物(B)としてエチレングリコールジグリシジルエーテル(単体の屈折率:1.46)1.05g(27.4重量%)、バインダーポリマー(C)としてポリメチルメチルメタクリレート(単体の屈折率:1.49)1.25g(32.6重量%)、光ラジカル重合開始剤(D)として3,3’,4,4’−テトラ(tert−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン0.25g(6.5重量%)、光増感色素(E)としてシアニン系色素(前記構造式[化10]の化合物)0.0082g(0.2重量%)、光カチオン重合開始剤(F)としてトリアリールスルホニウム系化合物(旭電化工業社製、「SP−170」、塩がヘキサフルオロアンチモネート)0.2g(5.2重量%)、および溶媒としてアセトン5gを常温で混合し、記録用感光性組成物を調製した。
【0109】
2)この組成物を60mm×60mmのガラス基板の片面に乾燥後の厚みが15〜20μmになるようにスピンコートにより塗布し、減圧下で加熱処理を施すことにより塗布層から溶媒を除去して記録層を形成した。
【0110】
3)この記録層に厚み50μmのPETフィルムを被せて3層構造の体積位相型ホログラム記録媒体、すなわち感光板を作成した。
【0111】
4)次に該感光板のガラス基板面をキシレン液層を介してミラーと重ね合わせ、ミラー/キシレン液層/ガラス基板/記録層/PETフィルムの層構成の多層体を得た。
【0112】
5)この状態で感光板にPETフィルム面からコヒーレンス性の優れた単一周波数を有する514.5nmのArイオンレーザーを垂直に入射させ、1光束の反射型ホログラムを記録した。このときに形成される干渉縞は入射光とミラーからの反射光によって形成される。
【0113】
6)1光束の反射型ホログラムの記録例を図1に示す。図1中、(1)はレーザー発生装置、(2)はスペイシャルフィルタ、(3)はコリメータレンズ、(4)は入射光、(5)は3層構造の体積位相型ホログラム記録媒体、すなわち感光板、(6)は キシレン液層、(7)はミラーである。また、多層体(ミラー/キシレン液層/ガラス基板/記録層/PETフィルム)の層構成を図2に示す。図2中、(8)はPETフィルム、(9)は記録層、(10)はガラス基板、(4)はレーザーの入射光、(11)はレーザーの反射光である。
【0114】
7)この状態で感光板を露光し、ホログラムとなる干渉縞を感光板上に記録した。1光束の反射型ホログラムの露光は、ビームの光強度を1.0mW/cmとして、40秒間、露光量40mJ/cmで行った。
【0115】
8)得られた反射型ホログラム全体をハロゲンランプにて10J/cm露光した。このときの回折効率1は72%であった。
【0116】
実施例2〜7
実施例1の配合組成において、ラジカル重合性化合物(A)、カチオン重合性化合物(B)、バインダーポリマー(C)、光ラジカル重合開始剤(D)、光増感色素(E)および光カチオン重合開始剤(F)の配合量を、表1に示すように変化させた。その他の点は実施例1と同様の操作を行った。
【0117】
実施例8
表1に示すように、ラジカル重合性化合物(A)として9,9−ビス[4−(2−メタクリロイルオキシエトキシ)フェニル]フルオレン(前記構造式[化6]、単体の屈折率:1.625)、開始剤(D)として2,2’−ビス(o−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,1’−ビイミダゾール、連鎖移動剤として2−メルカプトベンゾオキサゾールをそれぞれ表1に示す量で用いた。その他の点は実施例1と同様の操作を行った。
【0118】
実施例9〜11
実施例1の配合組成において、カチオン重合性化合物(B)としてジ[1−エチル(3−オキセタニル)]メチルエーテル、および3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート(単体の屈折率:1.4980)をそれぞれ表1に示す量で使用した。その他の点は実施例1と同様の操作を行った。
【0119】
実施例12〜14
実施例1の配合組成において、バインダーポリマー(C)として、酢酸ビニル(重合度1400〜1600、ポリマーの屈折率:1.46、)、セルロースアセテートブチラート(ポリマーの屈折率:1.45)、およびポリビニルブチラート(ポリマーの屈折率:1.45)をそれぞれ表1に示す量で使用した。その他の点は実施例1と同様の操作を行った。
【0120】
実施例15
実施例1の配合において、同様の操作を行うことにより得られた反射型ホログラム(未処理時の回折効率:約70%、回折波長:512nm)に遮光下で加熱処理(100℃/10分間)を行った。その後に、高圧水銀灯(ウシオ電気社製、UM−102)にて第二の光で全体を10J/cm露光した。この時の回折効率2は88%であった。
【0121】
このように反射型ホログラムの記録後に遮光下にて加熱処理を施すことで回折効率が顕著に上昇した。
【0122】
実施例16
実施例15で得られたホログラム(層構成:上よりPET/記録層/ガラス基板)からPETフィルムを剥がし、粘着フィルム(住友スリーエム社製、スコッチクリアーテープ、「CK−24」)をその粘着層がホログラム層に接着するように貼り合わせた。回折効率および回折波長のピークトップは張り合わせ前後で変化は起こらなかった。このように未反応性分がほとんど残っていないホログラムに粘着フィルムを張り合わせても、ホログラムの性能は維持された。
【0123】
比較例1〜2
実施例1の配合組成において、ラジカル重合性化合物として9,9−ジアリールフルオレン骨格を有さない常温で液体のラジカル重合性化合物である2−フェノキシエチルアクリレート(単体の屈折率:1.52)(比較例1)、および9,9−ジアリールフルオレン骨格を有し常温で液体のラジカル重合性化合物である9,9−ビス(3−エチル−4−アクリロキシジエトキシフェニル)フルオレン(単体の屈折率:1.59)(比較例2)をそれぞれ表2に示す量で使用した。その他の点は実施例1と同様の操作を行った。
【0124】
このようにラジカル重合性化合物として9,9−ジアリールフルオレン骨格を有し、かつ、ラジカル重合可能な不飽和二重結合を少なくとも1つ含有する常温常圧で固体であるものを用いない場合、表2に示すように、ラジカル重合性化合物の屈折率は、カチオン重合性化合物(B)の屈折率とバインダーポリマー(C)の屈折率との加重平均よりも大きいが、十分な回折効率が得られなかった。
【0125】
比較例3〜7
表2に示すように、ラジカル重合性化合物(A)、カチオン重合性化合物(B)、バインダーポリマー(C)、光ラジカル重合開始剤(D)、光増感色素(E)および光カチオン重合開始剤(F)を本発明で規定する範囲外の比で配合した。その他の点は実施例1と同様の操作を行った。
【0126】
このような配合では、表2に示すように、ラジカル重合性化合物(A)の屈折率は、カチオン重合性化合物(B)の屈折率とバインダーポリマー(C)の屈折率との加重平均よりも大きいが、いずれか1つあるいは2つの成分が過度に少量あるいは多量存在しているために、ホログラム記録において十分な物質移動が起こらず、および/または記録後の定着が不十分であるために、ホログラム記録が出来ないか、回折効率が著しく低下した。
【0127】
比較例8
表2に示すように、実施例1の配合組成において、バインダーポリマー(C)としてポリペンタブロモフェニルメタクリレート(屈折率:1.71)を用いた。その他の点は実施例1と同様の操作を行った。
【0128】
このように各成分および配合量は本発明で規定する範囲内にあるが、ラジカル重合性化合物(A)の屈折率がカチオン重合性化合物(B)とバインダーポリマー(C)の屈折率との加重平均と同じであり、十分な屈折率差がないために、回折効率が著しく低下した。
【0129】
比較例9
実施例1で作製した記録用感光板に、ホログラムを記録するための第一の光源としてコヒーレンス性の優れた単一周波数の514.5nmのArイオンレーザーを照射した。記録方式は2光束露光および1光束露光のいずれでもなく、単に記録用感光板に干渉縞でない光を照射した。
【0130】
このような光照射では透過および反射型ホログラムは全く記録できなかった。すなわち、レーザー光を用いてホログラムを記録しようとしても、光を干渉させなければホログラムは記録できない。
【0131】
比較例10
実施例1で作製した記録用感光板に、ホログラムを記録するための第一の光源として高圧水銀灯(ウシオ電気社製、UM−102)、超高圧水銀灯(同社製、USH−102D)、キセノンランプ(同社製、UXL−500D−0)またはメタルハライドランプ(同社製、UVL−4000M3)を用いて、2光束露光および1光束露光を行なった。いずれの場合も記録すべき物体はミラーである。
【0132】
このような光源では透過および反射型ホログラムは全く記録できなかった。すなわち、紫外線含有光を用いかつ光を干渉させても、光源からの光のコヒーレンス性が良くないと、2光束露光および1光束露光法によるホログラム記録ができない。
【0133】
比較例11
実施例1の配合において、同様の操作を行うことにより得られた反射型ホログラム(未処理時の回折効率:約70%、回折波長:512nm)にハロゲンランプにて全体を10J/cm露光した後、加熱処理(100℃/10分間)を行った。この時の回折効率68%であった。
【0134】
このように加熱処理をホログラム記録および全面露光を行った後に行っても回折効率の上昇は認められなかった。
【0135】
比較例12
実施例1で得られたホログラム(全面露光および加熱処理無、未処理時の回折効率:約70%、回折波長:512nm)に、実施例16と同様の粘着フィルムを貼りあわせた。回折効率は18%に低下し、回折波長のピークトップは403nmに低下した。
【0136】
このように未反応性分が未だ残っているホログラムに粘着フィルムを張り合わせると、ホログラムの性能が大きく低下した。
【0137】
比較例13
実施例1の配合においてカチオン重合性化合物(B)の代わりに、重合性の官能基を持たない非反応性の化合物であるセバシン酸ジエチル(屈折率:1.43)を用いてホログラムを記録し、実施例15と同様の処理を行った。このときの回折効率は69%、回折波長のピークトップは509nmであった。このホログラムに実施例15と同様に粘着フィルムを貼りあわせた。回折効率は10%に低下し、回折波長のピークトップは419nmに低下した。
【0138】
このように未反応性分を多く含んだホログラムに粘着フィルムを張り合わせると、ホログラムの性能が大きく低下した。
【0139】
性能評価
上記実施例および比較例で得られたホログラムについて、記録後のホログラムの膜厚および回折効率を測定した。
【0140】
a)膜厚
記録後のホログラムの膜厚をマイクロメーターを用いて測定した。
【0141】
b)回折効率
光パワーメター(PHOTODYNE社製、OPTICAL POWER/ENERGY METER, MODEL 66XLA)により入射光と回折光の値の比を測定し、得られた値から次式により透過型ホログラムの回折効率を算出した。
【0142】
回折効率(%)=(回折光強度/入射光強度)×100
【0143】
c)反射型ホログラムの回折効率を、紫外可視分光光度計(日本分光社製、「V−550」)による透過率の測定により求めた。回折効率の算出方法を図3に示す。得られた反射型ホログラムを紫外可視分光光度計にて測定すると、図3のようなチャートが得られる。図中、(T)はサンプルの透過率、(P)は回折光のピーク高さである。反射型ホログラムの回折効率は、全体の透過率に対する回折光のピーク高さより、次式より算出した。
【0144】
回折効率(%)=(回折光のピーク(高さ)/全体の透過率(高さ))×100
【表1】
Figure 2004138686
【0145】
【表2】
Figure 2004138686
【0146】
【発明の効果】
以上の通り、本発明による体積位相型ホログラム記録用感光性組成物は、ラジカル重合性化合物(A)と、カチオン重合性化合物(B)と、バインダーポリマー(C)と、光ラジカル重合開始剤(D)と、光増感色素(E)と、光カチオン重合開始剤(F)とからなるので、高い透明性、回折効率および屈折率変調を示すホログラム記録媒体を得ることができる。
【0147】
本発明によるホログラム記録方法では、第一の光の干渉によって得られる干渉縞でホログラム記録媒体を露光した後、遮光下で50〜150℃の温度範囲で1〜120分間、該記録媒体を加熱するので、回折効率および屈折率変調を上昇させることができる。さらに加熱の後に第二の光で該記録媒体を露光することにより、カチオン重合性化合物および未反応のラジカル重合性化合物を硬化させることができ、ホログラム記録後に未反応分を残存させないようにできる。そのため、長期の耐熱性、耐候性、耐溶剤性、さらには粘着フィルムとの接着性等のハンドリングを向上できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】1光束の反射型ホログラムの記録例を示す概略図である。
【図2】多層体(ミラー/キシレン液層/ガラス基板/記録層/PETフィルム)の層構成を示す概略図である。
【図3】回折効率の算出方法を示す概念図である。
【符号の説明】
1:レーザー発生装置
2:スペイシャルフィルタ
3:コリメータレンズ
4:入射光
5:体積位相型ホログラム記録媒体
6:キシレン液層
7:ミラー
8:PETフィルム
9:記録層
10:ガラス基板
11:反射光

Claims (5)

  1. 干渉性に優れた光を干渉させることによって得られる干渉縞の明暗の強度分布を屈折率の変化として記録するのに使用される体積位相型ホログラム記録用感光性組成物において、
    (A)9,9−ジアリールフルオレン骨格を有し、ラジカル重合可能な不飽和二重結合を少なくとも1つ含有する常温常圧で固体であるラジカル重合性化合物と、
    (B)カチオン重合性化合物と、
    (C)バインダーポリマーと、
    (D)可視光の波長領域を有する干渉性の第一の光の干渉によって得られる干渉縞の照射により、ラジカル重合性化合物(A)の重合を開始させる光ラジカル重合開始剤と、
    (E)光ラジカル重合開始剤を増感させる光増感色素と、
    (F)第一の光とは異なる波長領域を有する第二の光の照射によりカチオン重合性化合物(B)の重合を開始させる光カチオン重合開始剤と
    からなり、
    (A)ラジカル重合性化合物の屈折率が、(B)カチオン重合性化合物と(C)バインダーポリマーとの屈折率との加重平均値よりも大きいことを特徴とする体積位相型ホログラム記録用感光性組成物。
  2. 請求項1記載の体積位相型ホログラム記録用感光性組成物からなる記録層が透明基材上に形成され、必要に応じて、記録層を覆う保護材が設けられていることを特徴とするホログラム記録媒体。
  3. 請求項2記載のホログラム記録媒体を製造するにあたり、成分(A)から(D)までを溶剤に溶解させ、得られた溶液を基板上に塗布し、その後、溶剤を揮散させることにより記録層を形成することを特徴とするホログラム記録媒体の製造方法。
  4. 請求項2記載のホログラム記録媒体に体積位相型ホログラムを記録するにあたり、可視光の波長領域を有する干渉性の第一の光の干渉によって得られる干渉縞でホログラム記録媒体を露光し、次いで遮光下で50〜150℃の温度範囲で1〜120分間、該記録媒体を加熱することを特徴とするホログラム記録方法。
  5. 加熱の後、第一の光と異なる波長領域を有す第二の光で該記録媒体を露光することを特徴とする請求項4記載のホログラム記録方法。
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