JP4785001B2 - 光記録媒体 - Google Patents

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本発明は、参照光および物体光と異なる波長のゲート光を同時に照射した場合のみ、参照光と物体光とがなす干渉パターンの明暗の強度分布を屈折率の変化として記録できる二段階吸収型の光記録媒体に関する。
ホログラムメモリとして、一段階吸収型のホログラムメモリ、すなわち、光記録媒体にデータを載せた物体光と参照光を同時に照射して干渉縞を形成させ、干渉縞の強度分布をデータとして保存し(光記録)、次に参照光を照射して回折光を生成させ、回折光からデータを再生するホログラムメモリが知られている(非特許文献1)。
一段階吸収型の光記録媒体に使用されるホログラム記録媒体(フォトポリマー)としては、種々の物が開発されている(例えば、特許文献1〜7、非特許文献2〜4)。
しかし、これまでのホログラフィックメモリーの開発状況から判断すると、その容量は200GB(Gigabyte)程度が限界であり、近年の大容量化への要望に応えるには、媒体の構造を単層とするのでは限界がある。かかる限界を打破する有力な方法の1つとして、複数の記録層を積層することが挙げられる。複数の記録層からなる記録媒体においてホログラムを書き込み、読み出す方法としては、ゲート光照射によって選択した層にのみ、参照光と物体光とを照射してホログラムを書き込み、読み出すという二段階吸収型のホログラムを用いる方法が提案されている。二段階吸収型のホログラムを構成する材料としては、非特許文献5に、ビアセチル(ブタン−2,3−ジオン)をシアノアクリレートに添加したものが提案されている。
非特許文献5に記載のビアセチルを用いる方法では、第一励起光(=ゲート光)と第二励起光(=物体光+参照光)とを照射することにより、ビアセチルが高励起の三重項励起状態(T)に励起して構造変化を起こす。その結果、物体光と参照光とが作る干渉縞が媒質内(シアノアクリレート)の屈折率変化として定着され、ホログラムの記録・再生が可能となる。しかしながら、材料自体の効率が低いことから、実用には程遠いのが実用である。
そこで、ビアセチルを用いたホログラムを改善する試みが進められており、ビアセチルのように一分子に全ての過程を行わせるのではなくて、吸収過程と反応過程とを機能分担させる方式が提案されている。
従来の機能分担式の二段階吸収型の光記録媒体としては、三重項励起状態に励起された二段階吸収体からエネルギー受容体にエネルギーが移動して、エネルギー受容体が化学変化を起こして、屈折率を変化させるものが知られていた。このような光記録媒体では、エネルギー受容体の濃度により屈折率変化が制限される。エネルギー受容体の濃度は高々数質量%しかないことから、屈折率変化が小さく、従って光記録媒体の回折効率、感度も低かった。
また、二段階吸収型の光記録媒体として、図1に示すように、三重項励起状態に励起した二段階吸収体からエネルギー受容体にエネルギーが移動し、これにより活性化したエネルギー受容体が分散媒を攻撃することにより、物体光と参照光との干渉縞を分散媒に定着させるものが提案されている。例えば、特許文献8には、二段階吸収体としてオリゴチオフェンを用い、エネルギー受容体としてアジド化合物(東洋合成工業社製DZDS)を用い、これらを混合し、その混合体を分散媒(バインダ)であるシクロオレフィンポリマー(日本ゼオン社製ゼオネックス)に分散させた例が記載されている。この光記録媒体では、ビアセチルを用いたものに比べて回折効率が2桁以上高くなっている。
特開2005−275389号公報 特開2005−140852号公報 特開2005−140849号公報 特開2001−125474号公報 国際公開第03/081344号パンフレット 特開2004−138686号公報 特開2006−113164号公報 特開2006−293292号公報 志村努著、ホログラフィックメモリー、「O plus E」、2003年4月、p.385-390 Yasuo Tomita and Kouji Furushima"Organic nanoparticle "hyperbranched polymer…-dispersed photopolymersfor volume holographic storage," APPLIED PHYSICS LETTERS 88, 071103 2006 Yasuo Tomita and Naoaki SuzukiKatsumi Chikama "Holographic manipulation of nanoparticledistribution morphology in nanoparticle-dispersed photopolymers," OPTICS LETTERS, April 15, 2005 / Vol. 30, No. 8 / p. 839 D. A. Waldman, H.Y. S. Li, and E. A. Cetin, "Holographic recording properties in thick films of ULSH-500 Photopolymer, " SPIE- The international society for optical engineering, Proceedings of SPIE pp. 88-103. (28-29 January 1998, San Jose, California ) Chr.Brauchleら、「OPTICS LETTERS」、Vol.7、No.4、1982年4月、p.177−179
しかしながら、特許文献8に記載のオリゴチオフェン等を用いた機能分担タイプの媒体を用いても、ホログラムメモリを実用化するに至っていない。
機能分担タイプでは、(1)二段階吸収体の光吸収効率、(2)三重項励起した二段階吸収体からエネルギー受容体へのエネルギー移動の効率、(3)活性化したエネルギー受容体が分散媒を攻撃する反応の効率が、回折効率向上の鍵を握っている。したがって、これらの3要因の適正化を図れば、さらに回折効率が増大する可能性がある。
本発明は、前記3要因のうち、(3)活性化したエネルギー受容体が分散媒を攻撃する反応の効率を向上させることにより、回折効率を向上させた二段階吸収型の光記録媒体を提供することを目的とする。
二段階吸収型では、二段階吸収体のT状態からエネルギー受容体に励起エネルギーと三重項の両方が移動した後、エネルギー受容体が隣接分子に対してラジカル反応を起こして分散媒を攻撃する。本発明では、分散媒を適正化し、エネルギー受容体が分散媒を攻撃するラジカル反応の効率を向上させて、前記課題を解決している。
具体的には、本発明は、以下の態様を包含する。
[1] 第一励起光が照射されて一重項励起状態に励起された後、項間交差により最低三重項励起状態に移行し、続いて第一励起光と波長の異なる第二励起光が照射されて、最低三重項励起状態より高い三重項励起状態に励起される二段階吸収体(A)と、その二段階吸収体(A)からエネルギーを受け取るエネルギー受容体(B)と、分散媒とを含む二段階励起吸収型記録媒体において、
分散媒が、バインダーポリマー(C)と重合性モノマー(D)とを含有することを特徴とする光記録媒体。
[2] 二段階吸収体(A)が下記式(2−1)〜(2−5)のいずれかで表されるペンタチオフェンであることを特徴とする[1]に記載の光記録媒体
Figure 0004785001
[3] エネルギー受容体(B)が、第一励起光および第二励起光の波長を吸収しないものであり、重合性モノマー(D)の重合開始剤となるものであることを特徴とする[1]または[2]に記載の光記録媒体。
[4] エネルギー受容体(B)が、下記式(3−1)で表されるアジド系化合物であることを特徴とする[1]〜[3]のいずれかに記載の光記録媒体。
Figure 0004785001
[5] エネルギー受容体(B)が、下記式(4−1)または式(4−2)で表されるラジカル重合開始剤であることを特徴とする[1]〜[3]のいずれかに記載の光記録媒体。
Figure 0004785001
[6] 重合性モノマー(D)が、ラジカル重合性モノマーであることを特徴とする[4]または[5]に記載の光記録媒体。
[7] 重合性モノマー(D)が、9,9−ジアリールフルオレン骨格を有するエチレン性不飽和単量体であることを特徴とする[6]に記載の光記録媒体。
[8] エネルギー受容体(B)が、下記式(5)で表されるカチオン重合開始剤であることを特徴とする[1]〜[3]のいずれかに記載の光記録媒体。
Figure 0004785001
[9] 重合性モノマー(D)が、カチオン重合性モノマーであることを特徴とする[8]に記載の光記録媒体。
[10] 重合性モノマー(D)の屈折率が、バインダーポリマー(C)の屈折率と0.001以上異なることを特徴とする[1]〜[9]のいずれかに記載の光記録媒体。
本発明の光記録媒体では、第一励起光と第二励起光が同時に照射されると、オリゴチオフェンからなる二段階吸収体(A)が三重項励起状態に励起される。次いで、二段階吸収体(A)のエネルギーがエネルギー受容体(B)に移動し、さらにこのエネルギー受容体(B)が、いわば反応開始剤として働き、屈折率の高い(あるいは低い)重合性モノマー(D)が重合を開始する。モノマーが重合した明部ではモノマーが消費されて、暗部のモノマーが明部に拡散して流入しさらに重合が進む。屈折率の高い(あるいは低い)モノマーは屈折率の高い(あるいは低い)ポリマーになり、明部は屈折率が高く(あるいは低く)、暗部は屈折率が低くなる(あるいは高くなる)。これにより、従来の二段階吸収型の光記録媒体よりも大きな屈折率変化が得られるようになり、回折効率、感度を大幅に向上させることができる。
重合性モノマー(D)の屈折率がバインダーポリマー(C)の屈折率と0.001以上異なれば、明部の屈折率と暗部の屈折率の差△nがより大きくなるため、回折効率をより向上させることができる。
本発明の光記録媒体は、ホログラムメモリのみならず、二段階吸収のプロセスにより、媒体内部の任意のスポット(=ドット)あるいはラインにて、通常の屈折率変化を低パワーで起こさせる用途にも適用可能である。この場合には、第一励起光と第二励起光の2つのビームの交差した場所で大きく屈折率が変化する。たとえば、3次元媒体において2つのビームの重なった任意のスポット、ラインで屈折率変化を起こさせることが可能になる。したがって、光記録媒体を多層に並べたり、厚膜化したりすることで、異なる波長の光が交差した部分のみで屈折率が変化させることができる。よって、立体光導波路、立体光回路、3次元ディスプレイなどにも展開できる。
以下、本発明の光記録媒体について、ホログラムメモリへの適用を中心に説明する。
本発明の光記録媒体は、二段階吸収体(A)と、反応開始剤となるエネルギー受容体(B)と、分散媒とを必須成分として含有するものである。
分散媒は、バインダーポリマー(C)および重合性モノマー(D)を含有するものである。
[二段階吸収体(A)]
二段階吸収体(A)は、第一励起光が照射されて一重項励起状態に励起された後、項間交差により最低三重項励起状態に移行し、続いて第一励起光と波長の異なる第二励起光が照射されて、最低三重項励起状態より高い三重項励起状態に励起されるものである。
二段階吸収体(A)としては特に制限されないが、エネルギー供与体としての機能をより発揮しやすい点で、下記式(1−1)〜(1−4)のいずれかで表されるオリゴチオフェン系化合物が好ましい。
Figure 0004785001
前記式(1−1)〜(1−4)において、X〜X,X7a〜X7b,X8aX8d,X9a〜X9fは、水素原子、アルキル基、アルキル基の一部の炭素原子をケイ素原子と置き換えた基、ハロゲン、水酸基、アルキルオキシ基、アリールオキシ基、ジアルキルアミノ基である。X〜X,X7a〜X7b,X8a〜X8d,X9a〜X9fは、各々、同じであってもよいし、異なってもよい。
これらの中でも、2つの波長帯で効率よく光吸収するに際して商業的に入手容易な半導体レーザを使用できる光吸収特性を有することから、エネルギー供与体としての機能をより発揮することから、下記式(2)で表されるオリゴチオフェン系化合物がより好ましい。この式(2)で表される化合物は、式(1−4)に示される化合物であって、X=X=X=X=X9a=X9b=X9c=X9d=X9e=X9f=水素原子であり、XがSi(R)(R)(R)であり、XがSi(R)(R)(R)のものである。また、R〜Rは、水素原子、アルキル基、ハロゲン、水酸基、アルキルオキシ基、アリールオキシ基、ジアルキルアミノ基よりなる群から選ばれるいずれか1種の基を示す。R〜Rは、各々、同じであってもよいし、異なってもよい。
Figure 0004785001
式(2)に示されるオリゴチオフェン系化合物の具体例としては、上記式(2−1)〜(2−5)のいずれかで表されるペンタチオフェン化合物が挙げられる。
上記オリゴチオフェン系化合物の中でも、R11〜R16各々独立して、炭素数1〜2のアルキル基、炭素数6〜10のアルキル基、アリール基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、ピリジル基、チオフェン環である化合物が好ましい。このような化合物は、エネルギー供与体としての機能をより顕著に発揮する。このような具体例としては、式(2−2)で表される化合物、式(2−3)で表される化合物が挙げられる。
[エネルギー受容体(B)]
エネルギー受容体(B)は、三重項励起状態の二段階吸収体(A)からエネルギーを受容でき、分散媒の反応開始剤になるものである。
エネルギー受容体(B)としては、第一励起光および第二励起光の波長を吸収しないものであり、重合性モノマー(D)の重合開始剤となるものであることが好ましい。エネルギー受容体(B)が、第一励起光および第二励起光の波長を吸収しないものであれば、二段階吸収によってより容易に光記録できる。また、エネルギー受容体(B)が重合性モノマー(D)の重合開始剤であれば、重合性モノマーをより容易に重合させることができる。
このようなエネルギー受容体(B)の具体例としては、上記式(3)で表されるアジド系化合物が挙げられる。
Figure 0004785001
式(3)中、Yは、アルキル基、ハロゲン、アジド基、スルホニル基、アリール基、水酸基及びアルコキシ基よりなる群から選ばれる少なくとも1種の基を有する基、又は水素原子を示す。
このようなアジド系化合物の具体例としては、上記式(3−1)で表されるアジド系化合物があげられる。このアジド系化合物は、式(3)のYがアジド基を有する基である。
前記アジド系化合物からなるエネルギー受容体では、光照射された部分で、三重項ナイトレンが生じる。この三重項ナイトレンが、二段階吸収体(A)およびエネルギー受容体(B)を分散させるバインダーポリマー(C)において構造変化を生じさせ、また、反応開始剤となって、ラジカル重合性モノマー(D)のラジカル重合を開始させる。
また、エネルギー受容体(B)として、容易に回折効率を向上させることができるため、上記式(4−1)で表されるラジカル重合開始剤(2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製イルガキュア651)、上記式(4−2)で表されるラジカル重合開始剤(2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製ダロキュア1173)、上記式(5)で表されるカチオン性重合開始剤(ビス(デシルフェニル)ヨードニウム ヘキサフルオロフォスフェート、ビス(ドデシルフェニル)ヨードニウム ヘキサフルオロフォスフェート)が好ましい。
エネルギー受容体(B)の具体例としては、上記のもの以外に、3,3−ジアジドフェニルスルホン、2,2−ジメチル−2−ヒドロキシアセトフェノン、ヘキサアリールビスイミダゾール、テトラ(t−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、ビス(メチルフェニル)ヨードニウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ジクロロジフェニルヨードニウム テトラフルオロボレート、ビス(t−ブチルフェニル)ヨードニウム ヘキサフルオロアンチモネート、トリフェニルスルホニウム ヘキサフルオロフォスフェートなどが挙げられる。
[バインダーポリマー(C)]
バインダーポリマー(C)としては、例えば、ポリビニルアセテート、セルロースアセテート、セルローストリアセテート、セルロースアセテートブチラート、セルロースアセテートプロピレート、ポリビニルブチラート、ポリビニルホルマール、ポリビニルカルバゾール、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリメタクリレート、ポリメチルメタクリレート、メチルメタクリレート共重合体、ポリエチルアクリレート、ポリブチルアクリレート、ポリメタクリロニトリル、ポリエチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリアクリロニトリル、ポリ−1,2−ジクロロエチレン、ポリメチルフェニルシロキサン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリ−α−ビニルナフタレート、ポリジアリールフタレート、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリメチルスチレン、ポリ−p−フェニルスチレン、ポリ−2,5−ジクロロスチレン、ポリ−p−クロロスチレン、ポリアリレート、ポリサルホン、ポリエーテルサルホン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリビニルピロリドン、ポリ塩化ビニリデン、水素化スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体、ポリフッ化ビニリデン、脂環式アクリル樹脂(例えば、日立化成社製オプトレッツ)、脂環式オレフィン樹脂(例えば、三井化学社製アペル、日本ゼオン社製ゼオネックス、JSR社製アートン)等が挙げられる。
[重合性モノマー(D)]
重合性モノマー(D)は、エネルギー受容体(B)からエネルギーを受け取って重合を開始するものであり、バインダーポリマー(C)と屈折率が異なるものである。
重合性モノマー(D)としては、回折効率をより向上させることができるため、エネルギー受容体(B)であるアジド化合物またはラジカル重合開始剤によって容易にラジカル重合を開始するラジカル重合性モノマーであることが好ましい。
さらに、重合性モノマー(D)としては、9,9−ジアリールフルオレン骨格を有するエチレン性不飽和単量体であることがより好ましい。9,9−ジアリールフルオレン骨格を有するエチレン性不飽和単量体としては、式(6)で表される9,9−ジアリールフルオレン含有ジアクリルモノマーが挙げられる。
Figure 0004785001
式(6)中、R21およびR22は、各々独立して、1価の有機基を表し、そのうち少なくとも一方は末端に(メタ)アクリロイル基または(メタ)アクリロイルオキシ基を有する。R21およびR22のうち、(メタ)アクリロイル基または(メタ)アクリロイルオキシ基を有しない有機基は、炭素数1〜3の低級アルキル基であってよい。
およびMは、各々独立して、−(OR)−(Rは水酸基を有してもよい低級アルキレン基、nは0〜2のいずれかの整数)で示される2価の有機基または単結合を表す。
およびXは、各々独立して、水素原子または低級アルキル基(具体的には、メチル、エチル、プロピル等の炭素数1〜5のアルキル基)を表す。
およびMの−(OR)−において、低級アルキレン基Rの炭素数は好ましくは1〜3、より好ましくは1〜2である。nが2である場合、2つのRは同一であってもよいし異なっていてもよい。ORとしては、オキシメチレン、オキシエチレン、オキシプロピレン、オキシブチレンなどが例示され、(OR)としては、ジオキシメチレン、ジオキシエチレン、オキシエチレンオキシプロピレン(プロポキシエトキシ)等が例示される。低級アルキレン基Rが水酸基を有している場合、水酸基は同アルキレン基のどの位置にあってもよい。水酸基を有するアルキレンとしては、例えば、(2−ヒドロキシ)プロピレンが挙げられる。
重合性モノマー(D)として、上記9,9−ジアリールフルオレン含有ジアクリルモノマーを使用する場合には、バインダーポリマー(C)として当該モノマーとの相性に優れるジアリルフタレートプレポリマー等を用いることが好ましい。9,9−ジアリールフルオレン含有ジアクリルモノマーとジアリルフタレートプレポリマーは、ホログラム用として好適である。
重合性モノマー(D)の屈折率は、ホログラム記録がより容易になることから、バインダーポリマー(C)の屈折率よりも0.001以上異なることが好ましい。すなわち、[重合性モノマー(D)の屈折率]−[バインダーポリマー(C)の屈折率]≧0.001、[重合性モノマー(D)の屈折率]−[バインダーポリマー(C)の屈折率]≦−0.001であることが好ましい。
重合性モノマー(D)の具体例としては、ジアリールフルオレン含有ジアクリルモノマー以外には、2−フェノキシエチルアクリレート、p−クロロフェニルアクリレート、N−ビニルカルバゾール、N−フェニルマレイミド、1,3−ビス[2−(3・7−オキサビシクロ[4.1.0]ヘプチル)エチル]−テトラメチルジシロキサン、p−(t−ブチル)フェニルグリシジルエーテル、ジブロモフェニルグリシジルエーテル、エポキシシクロヘキシルオキシランなどが挙げられる。
[他の成分]
本発明の光記録媒体は、例えば、強色増感剤、可塑剤、カチオン重合性モノマーを任意成分として含有して、感度、定着性、透明性、耐熱性を向上させることができる。ただし、二段階吸収体プロセス、エネルギー移動プロセスを阻害しない限りにおいてのみ含有することができる。
強色増感剤としては、ホログラム記録時に使用するレーザが発振する波長の光を吸収しないものが好ましい。また、二段階吸収体(A)を含まなかった場合に、それ自身がエネルギー受容体(B)に対して分光増感作用を示さないものが好ましい。
可塑剤としては、二段階吸収体(A)、エネルギー受容体(B)、バインダーポリマー(C)および重合性モノマー(D)と反応しないものが使用される。
カチオン重合性モノマーとしては、他のいずれの成分とも相溶性がよく、ラジカル重合性モノマー(B)よりも屈折率が大幅に低く、常温常圧で液体であるものが好ましい。このようなカチオン重合性モノマーを用いれば、ホログラム記録前では全組成物が十分に相溶しているが、ホログラム記録が開始されるとともに重合性モノマー(D)の拡散移動が起こりやすくなる。さらに、屈折率が低いものを選択することによって、重合性モノマー(D)の拡散移動によるカチオン重合性モノマーとの分離において、両者の間でわずかな分離しか起こらなくても、大きな屈折率差(屈折率変調)を得ることができる。
さらに、本発明の光記録媒体には、貯蔵安定剤が含まれてもよい。ただし、光記録媒体の作製の後、直ちに光記憶の操作を行う場合には、貯蔵安定剤を含有させる必要はない。
[形状]
光記録媒体はガラス基板上に形成することが好ましい。光記録媒体をガラス基板上に形成するためには、例えば、上記(A)〜(D)成分を含む液を、例えば、ガラス基板等の上に塗布し、乾燥させる方法が採られる。
基板への塗布方法としては、例えば、ブレードコート法以外に、スピンコート法、スプレー法、ワイヤーバー法、インクジェット法等を適用することができる。
また、(A)〜(D)成分を含む層の表面にポリエチレンテレフタレートフィルム等の保護フィルムを積層してもよい。
以下、従来例および実施例により、本発明をさらに具体的に説明する。
(従来例1)
ペンタチオフェンとDZDS混合体(モル比1:6.4)をシクロオレフィンポリマー(日本ゼオン社製ゼオネックス)またはポリメチルメタクリレート(PMMA)に分散させた二段階吸収型の光記憶媒体を作製した。
この光記憶媒体についてホログラム実験を行い、回折効率の照射時間依存性を測定した。その結果を図2に示す。
ホログラム実験を行った実験装置は、図3に示すような、第一励起光Lを発生させる第1のレーザ発生器1と、第二励起光Lを発生させる第2のレーザ発生器2と、第二励起光Lを物体光L21と参照光L22とに分離するビームスプリッター3と、第一励起光Lと物体光L21と参照光L22とを光記憶媒体の試料Sに当てるためのレンズ5と、回折効率を測定するためのフィルタ6、スリット7およびパワーメーター8とを備えるものである。また、試料Sからの光をビームスプリッター9を介して撮像するカメラ10も備えている。
なお、第一励起光Lには波長410nmのGaNレーザ(連続光)を用い、第二励起光Lには、波長660nmの半導体励起固体レーザ(連続光)を用いた。物体光L21と参照光L22とのなす角度は2度とした。試料Sへの入射光のスポットサイズは240μmとした。入射光の強度は、第一励起光が0.05W/cm、第二励起光が、参照光、物体光ともに20W/cmとした。光記録媒体の試料の厚みは500μmとした。
二段階吸収型のホログラム実験では、光記録媒体の試料Sを所定の位置に設置し、これに、第1のレーザ発生器1から第一励起光Lであるゲート光を照射して、第一励起させる。次いで、第2のレーザ発生器2から第二励起光Lを発生させ、これをビームスプリッター3により物体光L21と参照光L22とに分け、それぞれを光記録媒体に照射する。これにより、ゲート光により第一励起された記憶可能な状態にあるエリアにおいて、物体光と参照光とにより生じる干渉縞が、光記録媒体の試料S内に屈折率変化として定着される。その定着された干渉縞から回折される参照光の割合を測定することにより、光記録媒体としての性能を知ることができる。図3における実験装置では、物体光を一時遮断し、参照光が試料S内に形成した干渉縞に回折される割合を、パワーメーター8により測定することにより回折効率を測定することができる。
回折効率は、分散媒の種類によって大きく異なり、シクロオレフィンポリマーからなるものは、PMMAからなるものに比べて、1桁高い回折効率が観測された。したがって、ラジカル反応を促進させるためには、シクロオレフィンポリマーからなるものの方が有利であることが分かったが、シクロオレフィンポリマーからなるものでも充分とはいえない。
なお、第一励起光を照射しない実験も行ってみたが、第二励起光の強度を上げても回折格子を光記憶媒体に書き込むことはできなかった。
(実施例1)
二段階吸収体(A)として式(2−4)のビス(ジメチル−t−ブチルシリル)ペンタチオフェンを0.01g、エネルギー受容体(B)として式(3−1)のDZDSアジド(東洋合成工業製)を0.05g、バインダーポリマー(C)として、酢酸ビニルポリマー(キシダ化学社製、「酢酸ビニルポリマー」、重合度500、ポリマーの屈折率:1.43)を2.5g、重合性モノマー(D)として、常温常圧で粘調液体であるビスフェノキシエタノールフルオレンジアクリレート(大阪ガス社製、「BPEFA」、単体の屈折率:1.61)を2.2g、強色増感剤として二段階吸収体(A)と等モル数のベーススチリル系色素(日本感光色素社製、NK1819)を0.0035g、可塑剤としてジエチルアセテート(和光純薬社製、「ADE」、屈折率:1.42)を1.0g、および溶媒としてアセトン10gを常温で混合して、ホログラム記録材料組成物を調製した。
得られたホログラム記録材料組成物を、40mm×40mmのガラス基板(厚さ約1mm)の片面に、乾燥後の厚みが25μmになるようにスピンコートにより塗布し、加熱(40℃)、減圧処理を施し、塗布層より溶媒を除去して、基板と記録層からなる光記録用積層体を得た。この積層体の記録層に厚み50μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(以下、PETフィルムという。)を積層して、光記録媒体を得た。
実施例1で得られた光記録媒体について、図2に示す実験装置を用いてホログラム実験を行い、回折効率の時間依存性を測定した。その結果を図4に示す。
この結果より、照射時間2分で、回折効率が5%に達することが分かった。すなわち、図2に示す従来例の結果に比べて、回折効率が大幅に向上することがわかった。
(従来例2)
実施例1における分散媒をゼオネックスのみに変更し、ビス(ジメチル−t−ブチルシリル)ペンタチオフェンが0.3質量%、DZDSアジドが1.9質量%含まれるようにした。記録層の厚みを250μmにしたこと以外は実施例1と同様にして、光記録媒体を得た。この光記録媒体を用いて、ホログラム実験を行った結果を図5に示す。
図4の結果と図5の結果との比較により、実施例1の光記録媒体の回折効率は、従来例2の光記録媒体に比べて、回折効率が5桁向上したことが分かる。また、図示しないが、ビアセチルとの比較では、回折効率が8桁以上向上したことも確認された。
なお、実施例1および従来例2の両方において、ホログラム実験の際に、(1)第一励起光を遮断し、第二励起光(参照光と物体光の双方)のみを入射した場合、および、(2)第一励起光を照射し、第二励起光のうち、物体光あるいは参照光のどちらか一方のみを照射した場合には、回折効率の増加は見られなかった。第一励起光と第二励起光(参照光と物体光の双方)との3ビームがサンプルに照射したときのみ、干渉縞が生成して物体光の回折が観測されたという本結果は、本発明の光記録媒体内には、二段階吸収過程を経て干渉縞が形成されたことを示している。
(実施例2)
二段階吸収体(A)として式(2−4)のビス(ジメチル−t−ブチルシリル)ペンタチオフェン0.01g、エネルギー受容体(B)として式(3−1)のDZDSアジド(東洋合成工業製)0.05g(組成物に全量に対する重量百分率:6.5重量%)、バインダーポリマー(C)としてポリメチルメタクリレート(単体の屈折率:1.49)1.25g(32.6重量%)、重合性モノマー(D)として常温常圧で固体である、9,9−ビス[4−(3−アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシ)プロポキシフェニル]フルオレン(式(6)の化合物、単体の屈折率:1.63)1.08g(28.1重量%)、カチオン重合性モノマーとしてエチレングリコールジグリシジルエーテル(単体の屈折率:1.46)1.05g(27.4重量%)、光カチオン重合開始剤としてトリアリールスルホニウム系化合物(旭電化工業社製、「SP−170」、塩化ヘキサフルオロアンチモネート)0.2g(5.2重量%)、および溶媒としてアセトン5gを常温で混合して、ホログラム記録材料組成物を調製した。
このホログラム記録材料組成物を、60mm×60mmのガラス基板(厚さ約1mm)の片面に、乾燥後の厚みが15〜20μmになるようにスピンコートにより塗布し、減圧下で加熱減圧処理を施し、塗布層より溶媒を除去して、基板と記録層からなる光記録用積層体を得た。この積層体の記録層に厚み50μmのPETフィルムを積層して、光記録媒体を得た。
(実施例3)
二段階吸収体(A)として式(2−4)のビス(ジメチル−t−ブチルシリル)ペンタチオフェンを0.01g、エネルギー受容体(B)として式(3−1)のDZDSアジド(東洋合成工業製)を0.05g、バインダーポリマー(C)としてセルロースアセテートブチレート(Aldrich社製、Mn:3万)を5.0g、重合性モノマー(D)としてフェノキシエチルアクリレート(共栄社化学製、ライトアクリレートPO−A)を4.6g、貯蔵安定剤として4−メトキシフェノールを0.001g、および溶媒としてアセトン20gを常温で混合して、ホログラム記録材料組成物を調製した。
この組成物を60mm×60mmのガラス基板(厚さ約1mm)の片面に、乾燥後の厚みがおよそ15μmになるようにスピンコートにより塗布し、加熱減圧処理を施し、塗布層から溶媒を除去して、基板と記録層からなる光記録用積層体を得た。
この積層体の記録層に厚み50μmのPETフィルムを積層して、光記録媒体を得た。
実施例2の光記録媒体及び実施例3の光記録媒体を用いて、実施例1と同様にしてホログラム実験を行った。観測された回折効率は、実施例1と同様の結果となった。
(実施例4)
二段階吸収体(A)として式(2−4)のビス(ジメチ−t−ブチルシリル)ペンタチオフェン0.01gをテトラヒドロフラン(THF)1gに溶かし、60℃で加熱した。不溶解分はろ過により取り除き、その後、エネルギー受容体(B)として式(3−1)のDZDSアジド(東洋合成工業製)0.05gを添加して混合した。この混合体に、光増感色素および反応開始剤が含まれておらず、バインダーポリマー(C)と重合性モノマー(D)とが含まれている市販品のフォトポリマーTP−1G(ダイソー社製)によく混合させて、ホログラム記録材料組成物を調製した。
本例で用いたダイソー社製フォトポリマーTP−1Gは、屈折率が低い有機溶媒に可溶なバインダーポリマー(C)と、9,9−ジアリールフルオレン骨格を有し、ラジカル重合可能な不飽和二重結合を少なくとも1つ含有するラジカル常温常圧で固体であるラジカル重合性モノマー(D)とが含まれている。溶媒はTHFである。なお、光増感色素は本発明の二段階吸収体(A)、反応開始剤は本発明のエネルギー受容体(B)と同じ役割を果たすため、これらが含まれていると、正確な実験が困難になる。
得られたホログラム記録材料組成物中のペンタチオフェン、DZDSアジドの濃度は、それぞれ0.3質量%、1.9質量%であった。
この組成物を60mm×60mmのガラス基板(厚さ約1mm)の片面に、乾燥後の厚みがおよそ22μmになるようにスピンコートにより塗布し、加熱減圧処理を施し、塗布層から溶媒を除去して、基板と記録層からなる光記録用積層体を得た。
この積層体の記録層に厚み50μmのPETフィルムを積層して、光記録媒体を得た。記録層の上にPETフィルムを積層したのは、TP−1Gに含まれるラジカル重合性モノマーは、酸素によってラジカル重合が阻害されるおそれがあり、それを防ぐためである。
実施例1と同様にホログラム実験を行った。その結果を図6に示す。図4と同様に短時間で大きな回折効率を示すことが分かった。
式(2−4)で表されるペンタオチフェンの代わりに式(2−5)で表されるビス(デシルジメチルシリル)ペンタチオフェンを用いて、同様の手順で記録媒体を作製し、ホログラム実験を行った結果も同様の回折効率が観測され、従来材料のビアセチルと比較すると、回折効率が8桁以上高くなっていた。ここでも、分散媒に光増感色素と反応開始剤を含まないフォトポリマーを用いる利点が確認された。
実施例1と同様の実験装置を用いて、二段階吸収体(A)であるペンタチオフェンを含有していない光記録媒体、すなわち、エネルギー受容体(B)とフォトポリマーTP−1Gとからなる光記録媒体、および、エネルギー受容体(B)であるアジド化合物を含有していない光記録媒体、すなわち、二段階吸収体(A)とフォトポリマーTP−1Gとからなる光記録媒体を用いた場合には、二段階吸収型のホログラム動作は確認できなかった。
また、(1)第一励起光を遮断し、第二励起光(参照光と物体光の双方)のみを入射した場合、および、(2)第一励起光を照射し、第二励起光のうち、物体光あるいは参照光のどちらか一方のみを照射した場合にも、二段階吸収型のホログラム動作は見られなかった。
このように、分散媒にフォトポリマーのバインダポリマー(C)と重合性モノマー(D)を用いることで、二段階吸収エネルギーを効率的に媒体の屈折率変化に反映させ、光記録に好適な大きな回折効率増大に結びつけることが可能となった。
(実施例5)
本例では、エネルギー受容体(B)としてDZDSアジドの代わりに、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社のラジカル重合開始剤イルガキュア651(式(4−1))またはダロキュア1173(式(4−2))を用いた。これらのラジカル重合開始剤を選択したのは、第一励起光、第二励起光の波長、即ち410nm,660nmにおいて吸収を持たず、且つラジカル重合開始剤として良好な特性を有しているためである。
具体的には、二段階吸収体(A)としてビス(ジメチル−t−ブチルシリル)ペンタチオフェンを、得られる組成物中の含有量が0.3質量%になるように、ラジカル重合開始剤であるエネルギー受容体(B)のイルガキュア651を2.0質量%になるように、光増感色素および反応開始剤を添加していない市販品のフォトポリマーTP−1G(ダイソー社製)に分散させて、ホログラム記録材料組成物を調製した。
また、二段階吸収体(A)としてビス(ジメチル−t−ブチルシリル)ペンタチオフェンを、得られる組成物中の含有量が0.3質量%になるように、ラジカル重合開始剤であるエネルギー受容体(B)のダロキュア1173を2.0質量%になるように、光増感色素および反応開始剤を添加していない市販品のフォトポリマーTP−1G(ダイソー社製)に分散させて、ホログラム記録材料組成物を調製した。これらのラジカル重合開始剤は溶解性が良好であった。
これらの組成物を60mm×60mmのガラス基板(厚さ約1mm)の片面に、乾燥後の厚みがおよそ10〜20μmになるようにスピンコートにより各々塗布し、加熱減圧処理を施し、塗布層から溶媒を除去して、基板と記録層からなる光記録用積層体を得た。この積層体の記録層に厚み50μmのPETフィルムを積層して、光記録媒体を得た。
この光記録媒体を用いてホログラム実験を行った結果、一定の照射時間に対して得られる回折効率は、実施例4の光記録媒体と比較すると、同条件で換算した結果、イルガキュア651を用いたサンプルでは、0.49倍、ダロキュア1173を用いたサンプルでは、0.058倍であることが分かった。実施例4のサンプルと比べると回折効率は低いものの、分散媒にゼオネックスを用いた場合に比べて大幅に高効率化が図られた。
(実施例6)
二段階吸収体(A)として式(2−4)のビス(ジメチル−t−ブチルシリル)ペンタチオフェンをTHF1gに溶かし、60℃で加熱した。ペンタチオフェン量は、得られる組成物中の含有量が0.03〜0.3質量%の範囲で各々異なる3種類とした。不溶解分はろ過により取り除き、この溶液と、ダイソー社製のフォトポリマーTP−1GのTHF溶液をよく混合させて、ホログラム記録材料組成物を調製した。
本例で用いたTP−1Gは、反応開始剤(B)、バインダーポリマー(C)および重合性モノマー(D)を含み、光増感色素は添加されていない。反応開始剤の濃度は2.0質量%であった。
この組成物を60mm×60mmのガラス基板(厚さ約1mm)の片面に、乾燥後の厚みがおよそ25μmになるようにスピンコートにより塗布し、加熱減圧処理を施し、塗布層から溶媒を除去して、基板と記録層からなる光記録用積層体を得た。この積層体の記録層に厚み50μmのPETフィルムを積層して、光記録媒体を得た。
この光記録媒体を用いて実施例1と同様にしてホログラム実験を行い、回折特性を測定した。ただし、本例では、参照光と物体光の光が記録媒体に±22.5度の角度で当たるように設定した。また、第一励起光である410nmの光のパワー密度は0.22W/cmと0.025W/cmと0.0044W/cmの3種類とし、第二励起光である660nmのレーザのパワー密度は14W/cmとした。ここで参照光と物体光の角度は光記録媒体に対して±22.5度とした。
露光開始から数秒後に回折効率が最大となった。その最大の回折効率のペンタチオフェン濃度依存性を図7に示す。回折効率は0.01〜0.1%となり、DZDSアジドを開始剤に用いた場合に比べて、回折効率は低いが、数秒で露光できるため感度は高かった。
(実施例7)
二段階吸収体(A)としてビス(ジメチルデルシリル)ペンタチオフェンを、得られる組成物中の0.3質量%になる量に秤量し、これに対してモル比10倍のカチオン性重合開始剤であるビス(デシルフェニル)ヨードニウム・ヘキサフルオロフォスフェートをエネルギー受容体(B)として添加した。これらと、メチルフェニル置換シロキサンポリマーバインダー(C)、1,3−ビス[2−(3{7−オキサビシクロ[4.1.0]ヘプチル}エチル]−テトラメチルジシロキサン(重合性モノマー(D))を混合して、ホログラム記録材料組成物を調製した。
このホログラム記録材料組成物を、60mm×60mmのガラス基板(厚さ約1mm)の片面に、乾燥後の厚みが15〜20μmになるようにスピンコートにより塗布し、減圧下で加熱処理を施し、塗布層より溶媒を除去して、基板と記録層からなる光記録用積層体を得た。この積層体の記録層に厚み50μmのPETフィルムを積層して、光記録媒体を得た。
そして、実施例1と同様にしてホログラム実験を行い、回折効率を測定したところ、回折効率は約1%と高かった。
(実施例8)
二段階吸収体(A)として式(2−5)のデシル基置換ペンタチオフェンを、0.001gから0.01gの範囲で各々質量が異なる3種類用意し、各々をTHF1gに溶かし、60℃で加熱した。デシル基置換ペンタチオフェンは実施例4の式(2−4)のビス(ジメチル−t−ブチルシリル)ペンタチオフェンよりも、溶けやすかった。その後、エネルギー受容体(B)として式(3−1)のDZDSアジド(東洋合成工業製)0.05gを添加して混合した。この混合液と、ダイソー社製のフォトポリマーTP−1GのTHF溶液をよく混合させた。本例におけるダイソー社TP−1Gは、バインダーポリマー(C)と重合性モノマー(D)とを含み、光増感色素(A)および反応開始剤(B)を含まないものである。
このようにして得たホログラム記録材料組成物におけるペンタチオフェンの濃度は、各々、0.03質量%、0.1質量%、0.3質量%であった。DZDSの濃度は2.0質量%であった。
このホログラム記録材料組成物を、60mm×60mmのガラス基板(厚さ約1mm)の片面に、乾燥後の厚みが25μmになるようにスピンコートにより塗布し、減圧下40℃で加熱処理を施し、塗布層より溶媒を除去して、基板と記録層からなる光記録用積層体を得た。この積層体の記録層に厚み50μmのPETフィルムを積層して、光記録媒体を得た。
そして、実施例1と同様にしてホログラム実験を行い、回折効率を測定した。ただし、本例では、参照光と物体光の光が記録媒体に±22.5度の角度で当たるように設定した。また、第一励起光である410nmの光のパワー密度は0.22W/cmと0.02W/cmの2種類とし、第二励起光である660nmのレーザのパワー密度は14W/cmとした。およそ60秒の露光で回折効率が最大になった。この最大の回折効率のペンタチオフェン(5T)濃度依存性を図8に示す。図8から明らかなように、ペンタチオフェン(5T)濃度が0.03〜0.3質量%の範囲で、1%以上の回折効率が得られた。
(実施例9)
二段階吸収体(A)として式(2−5)のデシル基置換ペンタチオフェンを、0.001gから0.01gの範囲で各々質量が異なる2種類用意し、各々をTHF1gに溶かし、60℃で加熱した。デシル基置換ペンタチオフェンは実施例4の式(2−4)のビス(ジメチル−t−ブチルシリル)ペンタチオフェンよりも、溶けやすかった。その後、エネルギー受容体(B)としてチバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製イルガキュア651 0.05gを添加して混合した。この混合液と、ダイソー社製のフォトポリマーTP−1GのTHF溶液をよく混合させた。本例におけるダイソー社TP−1Gは、バインダーポリマー(C)と重合性モノマー(D)とを含み、光増感色素(A)および反応開始剤(B)を含まないものである。
このようにして得たホログラム記録材料組成物におけるペンタチオフェンの濃度は、各々、0.03質量%、0.3質量%であった。また、イルガキュア651の濃度は、2.0質量%であった。
このホログラム記録材料組成物を、60mm×60mmのガラス基板(厚さ約1mm)の片面に、乾燥後の厚みが25μmになるようにスピンコートにより塗布し、減圧下40℃で加熱処理を施し、塗布層より溶媒を除去して、基板と記録層からなる光記録用積層体を得た。この積層体の記録層に厚み50μmのPETフィルムを積層して、光記録媒体を得た。
そして、実施例1と同様にしてホログラム実験を行い、回折効率を測定した。ただし、本例では、参照光と物体光の光が記録媒体に±22.5度の角度で当たるように設定した。また、第一励起光である410nmの光のパワー密度は0.38W/cm、0.267W/cm、0.06W/cmの3種類とし、第二励起光である660nmのレーザのパワー密度は14W/cmとした。およそ15秒の露光で回折効率が最大になった。この最大の回折効率のペンタチオフェン(5T)濃度依存性を図9に示す。図9から明らかなように、ペンタチオフェン(5T)濃度が0.03〜0.3質量%の範囲で、0.5%以上の回折効率が得られた。イルガキュア651を用いた場合には、経時変化もなく非常に安定であった。またホログラム画像の書き込み、読み出しでも良好な特性を得た。
なお、上記実施例では、二段階吸収過程を経て光記録媒体に光照射に基づく構造変化(屈折率変化)が起こる様子を、第一励起光(ゲート光)で励起したエリアにおいて、第二励起光である物体光と参照光との二光束干渉により生じた干渉縞により参照光が回折される現象により観測したが、本発明の意図する二段階吸収過程を経た光記録媒体は、それに限られず、第二励起光は一つであっても構わない。
図1に示すように、第一励起により記録可能な最低三重項状態となり、そこに第二励起光を一つ照射だけ照射しても構造変化(屈折率変化)が起こるのであるから、この一つの第二励起光照射によって起こった変化を別の光を照射して透過率の変化を観測する等によって読み取ることとすれば、光記憶・再生を行うことができる。ここでは、構造変化(屈折率変化)が生じた様子を回折光の観測によって確認したに過ぎない。
したがって、三次元の光記録媒体において、第一励起光と第二励起光とを照射すれば、その両者の重なった部分のみにおいて構造変化(屈折率変化)が起こるのであるから、任意の形態の三次元媒体、例えば、DVD等の記録層を多層に積層したような媒体において、一段階吸収過程で生じるデータ消去の問題を回避した光記憶・再生が可能となる。
また、照射時間は、本実施例で使用したレーザ光源の出力を上げるか、または、集光レンズの焦点距離を短くすることを行えば、容易に短縮させることができる。ペンタチオフェンの膜は十分な光耐性を有しているからである。本発明で作製した媒体を用いれば、例えば、ビアセチルでは不可能と考えられる薄膜化媒体、すなわち数μmオーダに薄膜化した媒体においても、実用的な回折光を観測できる。
機能分担式の二段階吸収型光記録媒体における光記録のメカニズムを示す模式図である。 従来例1の光記録媒体における回折効率の照射時間依存性を示すグラフである。 ホログラム実験装置を示す模式図である。 実施例1の光記録媒体における回折効率の照射時間依存性を示すグラフである。 従来例2の光記録媒体における回折効率の照射時間依存性を示すグラフである。 実施例4の光記録媒体における回折効率の照射時間依存性を示すグラフである。 実施例6の光記録媒体における回折効率のペンタチオフェン濃度依存性を示すグラフである。 実施例8の光記録媒体における回折効率とペンタチオフェン濃度依存性を示すグラフである。 実施例9の光記録媒体における回折効率とペンタチオフェン濃度依存性を示すグラフである。

Claims (10)

  1. 第一励起光が照射されて一重項励起状態に励起された後、項間交差により最低三重項励起状態に移行し、続いて第一励起光と波長の異なる第二励起光が照射されて、最低三重項励起状態より高い三重項励起状態に励起される二段階吸収体(A)と、その二段階吸収体(A)からエネルギーを受け取るエネルギー受容体(B)と、分散媒とを含む二段階励起吸収型記録媒体において、
    分散媒が、バインダーポリマー(C)と重合性モノマー(D)とを含有することを特徴とする光記録媒体。
  2. 二段階吸収体(A)が下記式(2−1)〜(2−5)のいずれかで表されるペンタチオフェンであることを特徴とする請求項1に記載の光記録媒体。
    Figure 0004785001
  3. エネルギー受容体(B)が、第一励起光および第二励起光の波長を吸収しないものであり、重合性モノマー(D)の重合開始剤となるものであることを特徴とする請求項1または2に記載の光記録媒体。
  4. エネルギー受容体(B)が、下記式(3−1)で表されるアジド系化合物であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の光記録媒体。
    Figure 0004785001
  5. エネルギー受容体(B)が、下記式(4−1)または式(4−2)で表されるラジカル重合開始剤であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の光記録媒体。
    Figure 0004785001
  6. 重合性モノマー(D)が、ラジカル重合性モノマーであることを特徴とする請求項4または5に記載の光記録媒体。
  7. 重合性モノマー(D)が、9,9−ジアリールフルオレン骨格を有するエチレン性不飽和単量体であることを特徴とする請求項6に記載の光記録媒体。
  8. エネルギー受容体(B)が、下記式(5)で表されるカチオン重合開始剤であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の光記録媒体。
    Figure 0004785001
  9. 重合性モノマー(D)が、カチオン重合性モノマーであることを特徴とする請求項8に記載の光記録媒体。
  10. 重合性モノマー(D)の屈折率が、バインダーポリマー(C)の屈折率と0.001以上異なることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の光記録媒体。
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