JP2006208772A - 波長選択フィルター用組成物、波長選択フィルター及びその製造法 - Google Patents

波長選択フィルター用組成物、波長選択フィルター及びその製造法 Download PDF

Info

Publication number
JP2006208772A
JP2006208772A JP2005021206A JP2005021206A JP2006208772A JP 2006208772 A JP2006208772 A JP 2006208772A JP 2005021206 A JP2005021206 A JP 2005021206A JP 2005021206 A JP2005021206 A JP 2005021206A JP 2006208772 A JP2006208772 A JP 2006208772A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
light
wavelength selective
selective filter
wavelength
polymerizable compound
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2005021206A
Other languages
English (en)
Inventor
Takashi Matsuo
孝 松尾
Shigeto Iwasa
成人 岩佐
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Osaka Soda Co Ltd
Original Assignee
Daiso Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Daiso Co Ltd filed Critical Daiso Co Ltd
Priority to JP2005021206A priority Critical patent/JP2006208772A/ja
Publication of JP2006208772A publication Critical patent/JP2006208772A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Optical Filters (AREA)
  • Materials For Photolithography (AREA)

Abstract

【課題】 波長選択フィルター用フォトポリマー組成物の提供。
【解決手段】 干渉性に優れた光を干渉させることによって得られる干渉縞の明暗の強度分布を屈折率の変化として記録するのに使用される波長選択フィルター用フォトポリマー組成物において、
(A)9,9−ジアリールフルオレン骨格を有する特定のラジカル重合性化合物、(B)カチオン重合性化合物、(C)バインダーポリマー、(D)特定の光ラジカル重合開始剤、(E)光ラジカル重合開始剤を増感させる光増感色素、および(F)特定の光カチオン重合開始剤とからなり、
(A)ラジカル重合性化合物の屈折率が、(B)カチオン重合性化合物と(C)バインダーポリマーとの屈折率との加重平均値よりも大きいことを特徴とする波長選択フィルター用フォトポリマー組成物。
【選択図】
なし。

Description

本発明は、フォトポリマーからなる体積位相型ホログラム記録材料を応用した、通信用波長選択フィルター等に関するものである。
情報通信ネットワークの基盤技術としての波長選択フィルターは、光ネットワーク用のキーデバイスであり、その重要性が高まり、低価格化と量産化が要望されている。
波長選択機能を有するフィルターを製造する一般的方法としては、サイズが30cm×30cm程度、厚さ0.5mm以上の光学ガラス、石英、シリコン等の硬質基板の上に、Ta2O5、TiO2等からなる透明な誘電体から選ばれる2種類以上の低屈折率誘電体層と高屈折率誘電体層の薄膜を交互に、スパッタリング、EB蒸着、真空蒸着法等により、数十から数百層程度に多層に10μm程度まで積層する。そして、積層後、硬質基板の背面を研磨して所望の厚さとした後、所定の大きさに切断する方法で製造されている。しかし、研磨工程や基板清浄作業等が複雑で熟練を要すること、1チップサイズを縮小して1つの基板から取れるチップ枚数を多くとろうとしても基板が割れやすく、かつ、歩留まりが悪いこと等から低価格化には限界があり、依然高額なものであった。
また、さらに緻密な誘電体多層膜を得るためにイオンアシスト蒸着法を使用する手段や、それにより生じるフィルタに反りを解消するために基板に光学的に透明なプラスチックフィルムを用いて、その上に誘電体多層膜を積層する方法がある(特許文献1等)。しかし、高精度に制御された均一の膜厚の多層膜が得られないこと、巻き取りの際にクラックを生じたり多層膜が剥がれたりすることから、依然歩留まりが悪くコスト低減が図りづらいという問題があった。
一方、上記の蒸着技術による製造法とは別に、屈折率の高い樹脂層と低い樹脂層を別個に押出機で溶融して交互に多数積層させ、且つその各層の厚みの最大値と最小値の比を制御することにより、任意の波長帯の光を選択的に反射または透過させる多層積層フィルムの製造の記載がある(特許文献2)。しかし、この方法では融点の高い樹脂を溶融させるために別途溶融装置が必要であり、フィードブロック部分の温度制御及び膜厚制御が必要であり、依然として歩留まりの改善及び低コスト化が望まれていていた。
特開昭63−88505号 特開2003−112355号
このように、従来より種々の方法より歩留まり及び生産効率の改善が考案されてきているが、依然として製造工程において歩留まりは解消されておらず低コスト化には大きな課題が残っている。
一方、特定の波長範囲の光を、特定方向に反射させる別技術としてホログラフィーがある。これは、レーザー等の可干渉性光の干渉縞を感光材料等に記録したものであり、多機能を持つことから光学素子、立体画像ディスプレイ、干渉計測、画像・情報処理等多岐に亘って利用されている。本技術を用いて2光束露光法により感光材料内部に屈折率の異なる層を形成させた場合、例えば、感光材料の表裏より光を180℃の角度をつけてそれぞれ入射させると、入射光の波長が457.9nm、感光材料の屈折率が1.63の場合、感光材料の厚さ1mm当たりに形成される高屈折率層と低屈折率層の数は14,240層にも及び、複雑な処理工程や装置を必要とせずとも非常に多数の層を瞬時に積層することが理論上可能である。従って、感光材料の種類や膜厚を調整すれば、波長選択フィルターとして実用上使用可能な十分反射率の高いものが得られ、従来の問題点である、歩留まり及び生産効率の改善が効果的に図られ得ると考えられる。
ところで、従来の代表的なホログラム記録用感光性組成物としては、重クロム酸ゼラチン感光材料や、漂白処理した銀塩感光材料が知られている。しかし、重クロム酸ゼラチンや銀塩感光材料はいずれもホログラム作製時の処理が複雑で、特に湿式現像処理が要求されるという欠点があった。さらに、耐久性についても湿気などに弱いといった問題があり、波長選択性フィルターに使用した場合にも同様に欠点となる。
かかる欠点を克服するために、湿式現像処理が不要なフォトポリマー感光材料が種々発表されている。例えば、光反応に関与しないポリマーをバインダーとして用い、これを常温で液体である光重合性モノマーと組み合わせてなる組成物であって、バインダーが組成物の流動を抑えるもの(米国特許第3,658,526号明細書参照)や、バインダーポリマーと、高屈折率の液体の光重合性モノマーと、可塑剤と、光重合開始剤とから主として構成され、屈折率変調を向上させるために、光重合性モノマーに塩素、臭素等の高屈折率に寄与する原子を含ませてなる組成物(米国特許第4,942,102号明細書、米国特許第4,942,112号明細書参照)が知られる。
しかしながら、これら現存する種々のディスプレーホログラフィー用フォトポリマー組成物を波長選択フィルターへ応用することを考えた場合には、無色透明性、耐熱性等の波長選択フィルター固有の要求特性を必ずしも十分満足するとは限らず、実用化にあたっての大きな障害となっている。
以上のことから、本発明の目的は、歩留まり及び生産効率の改善を目的として、それを実現し得る波長選択フィルター用フォトポリマー組成物、およびそれからなる波長選択フィルターとその効率的製造法を提供することにある。
発明者らは、前記課題を解決するべく鋭意検討した結果、特定の体積位相型フォトポリマーに対し、可干渉性光源からの光の干渉露光を施して、該フォトポリマー内部に屈折率の異なる層(厳密には点の集合体である)を形成させれば、前記課題を解決できることを見出し、本発明を完成させたものである。
即ち、本発明は、干渉性に優れた光を干渉させることによって得られる干渉縞の明暗の強度分布を屈折率の変化として記録するのに使用される体積位相型ホログラム記録用感光性組成物において、
(A)9,9−ジアリールフルオレン骨格を有し、ラジカル重合可能な不飽和二重結合を少なくとも1つ含有する常温常圧で固体であるラジカル重合性化合物と、
(B)カチオン重合性化合物と、
(C)バインダーポリマーと、
(D)可視光の波長領域を有する干渉性の第一の光の干渉によって得られる干渉縞の照射により、ラジカル重合性化合物(A)の重合を開始させる光ラジカル重合開始剤と、
(E)光ラジカル重合開始剤を増感させる光増感色素と、
(F)第一の光とは異なる波長領域を有す第二の光の照射によりカチオン重合性化合物(B)の重合を開始させる光カチオン重合開始剤とからなり、
(A)ラジカル重合性化合物の屈折率が、(B)カチオン重合性化合物と(C)バインダーポリマーとの屈折率との加重平均値よりも大きいことを特徴とする波長選択フィルター用フォトポリマー組成物である。
また、本発明は、上記波長選択フィルター用フォトポリマー組成物を製膜してなる波長選択フィルター用記録媒体である。
更に、本発明は、上記波長選択フィルター用記録媒体に可干渉性光源からの光の干渉露光してなる波長選択フィルターである。
加えて、本発明は、上記波長選択フィルターを二つ以上積層してなる複合型波長選択フィルターである。
本発明によれば、体積型フォトポリマーを用いて可干渉性光源からの光の干渉露光を行うことにより、波長選択フィルターの製造工程を大幅に簡素化でき、かつ、透明性及び耐久性に優れた波長選択フィルターを製造することができる。
はじめに、波長選択フィルター用フォトポリマー組成物の構成成分について説明をする。
ラジカル重合性化合物(A)
本発明で用いられるラジカル重合性化合物(A)は、9,9−ジアリールフルオレン骨格を有し、かつ、ラジカル重合可能な不飽和二重結合を少なくとも1つ含有するものである。常温、常圧で固体のものが好ましい。また、他のいずれの成分とも相溶性がよく、極力屈折率が高いものが好ましい。これは、可視光領域のコヒーレンス性に優れた第一の光の干渉縞を照射することにより、光ラジカル重合開始剤(D)より発生したラジカルによって干渉縞の明部でラジカル重合するものである。
ラジカル重合性化合物(A)は下記一般式[I]で示されるものであってよい。
Figure 2006208772
[式中、RおよびRは互いに同一もしくは異なる1価の有機基を意味し、そのうち少なくとも一方は末端に(メタ)アクリロイル基または(メタ)アクリロイルオキシ基を有する。MおよびMは、互いに同一もしくは異なり、−(OR)n−(Rは水酸基を有してもよい低級アルキレン基、nは0〜2の整数)で示される2価の有機基または単結合を意味する。X1およびX2は、互いに同一もしくは異なり、水素原子または低級アルキル基を意味する。]
およびRのうち、(メタ)アクリロイル基または(メタ)アクリロイルオキシ基を有しない有機基は、炭素数1〜3の低級アルキル基であってよい。
およびM の−(OR)n−において、低級アルキレン基Rの炭素数は好ましくは1〜3、より好ましくは1〜2である。nが2である場合、2つのRは同一であっても異なっていてもよい。ORとしては、オキシメチレン、オキシエチレン、オキシプロピレン、オキシブチレンなどが例示され、(OR)
としては、ジオキシメチレン、ジオキシエチレン、オキシエチレンオキシプロピレン(プロポキシエトキシ)等が例示される。低級アルキレン基Rが水酸基を有している場合、水酸基は同アルキレン基のどの位置にあってもよいが、水酸基を有するアルキレンは例えば(2−ヒドロキシ)プロピレンである。
有機基XおよびXは、メチル、エチル、プロピル等の炭素数1〜5のアルキル基であってよい。
以下、ラジカル重合性化合物(A)を例示する;
9,9−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシフェニル)フルオレン、
9,9−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシメトキシフェニル)フルオレン、
9,9−ビス[4−(2−(メタ)アクリロイルオキシエトキシ)フェニル]フルオレン、
9,9−ビス[4−(メタ)アクリロイルオキシ−3−メチルフェニル]フルオレン、
9,9−ビス[4−(メタ)アクリロイルオキシメトキシ−3−メチルフェニル]フルオレン、
9,9−ビス[4−(2−(メタ)アクリロイルオキシエトキシ)−3−メチルフェニル]フルオレン、
9,9−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシ−3−エチルフェニル)フルオレン、
9,9−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシメトキシ−3−エチルフェニル)フルオレン、
9,9−ビス[4−(2−(メタ)アクリロイルオキシエトキシ)−3−エチルフェニル]フルオレン、
9,9−ビス[4−(2−(メタ)アクリロイルオキシプロポキシ)−3−エチルフェニル]フルオレン、
9,9−ビス[4−(3−(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシ)プロポキシフェニル]フルオレン、
9,9−ビス[4−(3−(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシ)プロポキシ−3−メチルフェニル]フルオレン、
9,9−ビス{4−[2−(3−アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシ−プロポキシ)−エトキシ]フェニル}フルオレン。
ラジカル重合性化合物(A)は上記例示物の2量体または3量体程度のオリゴマーであってもよい。
ラジカル重合性化合物(A)は上記例示物を単独で用いても2以上の組合わせで用いてもよい。
良好な成膜性および回折効率等の光学特性を得るためには、有機基RおよびRはアクリロイル基および/またはアクリロイルオキシ基であり、かつ、MおよびMの−(OR)n−においてnは0、1または2であり、低級アルキレン基Rの炭素数は1〜2であり、かつ、XおよびXは水素原子であることが好ましい。
上記の条件を満たす化合物のうち、好ましい化合物としては下記のものが例示される;
9,9−ビス[4−(3−アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシ)プロポキシフェニル]フルオレン、
Figure 2006208772
9,9−ビス(4−メタクリロイルオキシフェニル)フルオレン、
Figure 2006208772
9,9−ビス(4−アクリロイルオキシフェニル)フルオレン、
Figure 2006208772
9,9−ビス[4−(2−アクリロイルオキシエトキシ)フェニル]フルオレン、
Figure 2006208772
9,9−ビス[4−(2−メタクリロイルオキシエトキシ)フェニル]フルオレン、
Figure 2006208772
9,9−ビス[4−[2−(3−アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシ−プロポキシ)−エトキシ]フェニル]フルオレン、
Figure 2006208772
9,9−ビス[4−(3−アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシ)プロポキシ−3−メチルフェニル]フルオレン
Figure 2006208772
さらに好ましい化合物としては、下記のものが例示される;
9,9−ビス[4−(3−アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシ)プロポキシフェニル]フルオレン、
9,9−ビス(4−メタクリロイルオキシフェニル)フルオレン、
9,9−ビス(4−アクリロイルオキシフェニル)フルオレン、
9,9−ビス[4−(2−アクリロイルオキシエトキシ)フェニル]フルオレン、
9,9−ビス[4−(2−メタクリロイルオキシエトキシ)フェニル]フルオレン。
カチオン重合性モノマー(B)
本発明で用いられるカチオン重合性化合物(B)は、他のいずれの成分とも相溶性がよく、ラジカル重合性化合物(A)よりも屈折率が極力低く、常温常圧で液体であることが好ましい。このようなカチオン重合性化合物を用いることによって、ホログラム記録前では全組成物が十分に相溶しているが、ホログラム記録が開始されるとともにラジカル重合性化合物(A)の拡散移動が起こりやすくなる。さらに、屈折率が低いものを選択することによって、ラジカル重合性化合物(A)の拡散移動によるカチオン重合性化合物(B)との分離において、両者の間でわずかな分離しか起こらなくても、大きな屈折率差(屈折率変調)を得ることができる。カチオン重合性化合物(B)は第一の光(好ましくは可視光線)と異なる波長領域を有す第二の光(好ましくは紫外線)を照射しカチオン重合開始剤(F)の反応により重合させられる。
カチオン重合性化合物(B)の具体例としては、オキシラン構造およびオキセタン構造のいずれかを1分子中に少なくとも1つ以上、あるいは両者を有する化合物を挙げることができる。下記に好ましいカチオン重合性化合物(B)を例示する。
グリシジルエーテル類;
フェニルグリシジルエーテル、
2−エチルヘキシルグリコールグリシジルエーテル、
エチレングリコールジグリシジルエーテル、
ジエチレングリコールジグリシジルエーテル、
ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、
プロピレングリコールジグリシジルエーテル、
トリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、
ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、
ネオネンチルグリコールジグリシジルエーテル、
1.6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、
グリセリンジグリシジルエーテル、
トチメチロールプロパントリグリシジルエーテル、
水添ビスフェノールAジグリシジルエーテル、
2.2−ジブロモネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル。
オキセタン系化合物;
3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン、
1,4−ビス{〔(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシ〕メチル}ベンゼン、3−エチル−3−(フェノキシメチル)オキセタン、
ジ[1−エチル(3−オキセタニル)]メチルエーテル、
3−エチル−3−(2−エチルヘキシロキシメチル)オキセタン、
3−エチル−3−{〔3−(トリエトキシシリル)プロポキシ〕メチル}オキセタン、
オキセタニルシルセスキオキシサン、
フェノールノボラックオキセタン。
重合収縮がほとんどないスピロオルソエステル、スピロオルソカーボネート、ビシクロオルソカーボネート類や3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレートも使用できる。
上記例示物の2量体または3量体程度のオリゴマーであってもよい。また、これらは単独で用いても2以上の組合わせで用いてもよい。特にオキシラン化合物とオキセタン化合物を混合して使用すると、カチオン重合速度が上昇し、かつ、高分子量のポリマーが形成される。
バインダーポリマー(C)
本発明で用いられるバインダーポリマー(C)は、ラジカル重合性化合物(A)およびカチオン重合性化合物(B)と相溶性が良く、有機溶媒中に完全に溶解しうるものであればよい。代表的なものは、エチレン性不飽和二重結合を有するモノマーの単独重合体、または、該モノマーと、これと共重合可能な共重合性モノマーとの共重合体、ジフェノール化合物とジカルボン酸化合物の縮合重合体、分子内に炭酸エステル基を有する重合体、分子内に−SO−基を有する重合体、セルロース誘導体、およびこれらの2以上の組み合わせからなる群より選ばれるものである。
バインダーポリマーの具体例としては、ポリビニルアセテート、ポリビニルブチラート、ポリビニルホルマール、ポリビニルカルバゾール、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリメチルアクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリエチルアクリレート、ポリブチルアクリレート、ポリメタクリロニトリル、ポリエチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリアクリロニトリル、ポリ−1,2−ジクロロエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、シンジオタクチック型ポリメチルメタクリレート、ポリ−α−ビニルナフタレート、ポリカーボネート、セルロースアセテート、セルローストリアセテート、セルロースアセテートブチラート、ポリスチレン、ポリ−α−メチルスチレン、ポリ−o−メチルスチレン、ポリ−p−メチルスチレン、ポリ−p−フェニルスチレン、ポリ−2,5−ジクロロスチレン、ポリ−p−クロロスチレン、ポリ−2,5−ジクロロスチレン、ポリアリーレート、ポリサルホン、ポリエーテルサルホン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ジビニルベンゼン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ABS樹脂、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリビニルピロリドン、ポリ塩化ビニリデン、水素化スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体、透明ポリウレタン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、(メタ)アクリル酸環状脂肪族エステルとメチル(メタ)アクリレートとの共重合体等が挙げられる。
バインダーポリマー(C)の上記例示物は単独で用いても2以上の組合わせで用いてもよい。
バインダーポリマー(C)は、また、100℃以上のガラス転移温度(Tg)を有することが好ましい。
バインダーポリマー(C)は良好な成膜性および回折効率等の光学特性を得るためには、ポリビニルアセテート、ポリビニルブチラート、セルロースアセテートブチラート、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリビニルホルマール等が好ましく用いられる。
より良好な耐熱性、成膜性および回折効率等の光学特性を得るためには、(メタ)アクリル酸環状脂肪族エステルとメチル(メタ)アクリレートとの共重合体等が好ましく用いられる。
(メタ)アクリル酸環状脂肪族エステルとメチル(メタ)アクリレートとの共重合体を構成する(メタ)アクリル酸環状脂肪族エステルの環状脂肪族部分は、ボルニル骨格、イソボルニル骨格またはノルボルニル骨格を有するものであってよい。
(メタ)アクリル酸環状脂肪族エステルとメチル(メタ)アクリレートとの共重合体を構成する(メタ)アクリル酸環状脂肪族エステルの例としてはボルニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ノルボルニル(メタ)アクリレートが挙げられる。
(メタ)アクリル酸環状脂肪族エステルは一種であってもよいし、二種以上であってもよい。後者の場合、共重合体は二種以上の(メタ)アクリル酸環状脂肪族エステルとメチル(メタ)アクリレートとの三元以上の共重合である。
良好な耐熱性を持つホログラムを得るためには、(メタ)アクリル酸環状脂肪族エステルとメチル(メタ)アクリレートとの共重合体のガラス転移温度は130℃以上であることが好ましい。
(メタ)アクリル酸環状脂肪族エステルとメチル(メタ)アクリレートとの共重合体は、その1種を用いてもよいし、2種以上の組合わせを用いてもよい。
光ラジカル重合開始剤(D)
本発明で用いられる光ラジカル重合開始剤(D)としては、可視光領域のコヒーレンス性に優れた第一の光の干渉縞を照射することによりラジカルを発生するものである。例えば、カルボニル化合物、アミン化合物、アリールアミノ酢酸化合物、有機錫化合物、アルキルアリールホウ素塩、トリハロゲノメチル置換トリアジン化合物、有機過酸化物、ビスイミダゾール誘導体、チタノセン化合物およびこれらの光ラジカル重合開始剤(D)と光増感色素(E)を組み合わせた複合型光ラジカル重合開始剤等が好ましく使用される。光増感色素(E)は紫外線から可視光線の光を効率よく吸収するため、複合型光ラジカル重合開始剤は好適に使用される。本発明において特に好ましい光ラジカル重合開始剤(D)としては、有機過酸化物、ビスイミダゾール誘導体およびこれらと光増感色素(E)の組み合わせた複合型光ラジカル重合開始剤が挙げられる。
有機過酸化物として3,3′,4,4′−テトラ(tert−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノンが例示される。
ビスイミダゾール誘導体として2,2’−ビス(o−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,1’−ビイミダゾール、ビス(2,4,5−トリフェニル)イミダゾリルが例示される。
チタノセン化合物としてビス(η5−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)−フェニル)チタニウムが例示される。
これらは単独で用いても2以上の組み合わせで用いてもよい。
光増感色素(E)
光増感色素(E)としては、シアニン、ミヒラケトン、アクリジンイエロー、メロシアニン、メチレンブルー、カンファーキノン、エオシン、脱カルボキシル化ローズベンガル等が好適に使用される。光増感色素は、可視領域の光に吸収を示すものであればよく、上記以外に、例えば、シアニン誘導体、メロシアニン誘導体、フタロシアニン誘導体、キサンテン誘導体、チオキサンテン誘導体、アクリジン誘導体、ポルフィリン誘導体、クマリン誘導体、ベーススチリル誘導体、ケトクマリン誘導体、キノロン誘導体、スチルベン誘導体、オキサジン誘導体、チアジン系色素等も使用可能であり、更には「色素ハンドブック」(大河原信他編、講談社、1986年)、「機能性色素の化学」(大河原信他編、シーエムシー、1983年)、「特殊機能材料」(池森忠三郎他編、シーエムシー、1986年)に記載される光増感色素も用いることができる。これらは単独で用いても2以上の組み合わせで用いてもよい。
シアニン誘導体として下記の物が例示される;
2,5−ビス(4−ジエチルアミノベンジリデン)シクロペンタノン
2,5−ビス[4−(ジエチルアミノ)−2−メチルベンジリデン]シクロペンタノン
クマリン誘導体として下記の物が例示される;
3−(2−ベンゾチアゾリル)−7−ジエチルアミノ)クマリン、
3−(2−ベンゾチアゾリル)−7−ジブチルアミノ)クマリン、
3−(2−ベンゾチアゾリル)−7−ジオクチルアミノ)クマリン、
3−(2−ベンジミダゾリル)−7−ジエチルアミノ)クマリン。
ケトクマリン誘導体としては下記のものが例示される;
3,3’−カルボニルビス(7−ジエチルアミノクマリン)、
3,3’−カルボニルビス−7−ジエチルアミノクマリン−7’−ビス(ブトキシエチル)アミノクマリン、
3,3’−カルボニルビス(7−ジブチルアミノクマリン)。
ベーススチリル誘導体としては下記のものが例示される;
2−[p−(ジメチルアミノ)スチリル]ベンゾチアゾール、
2−[p−(ジメチルアミノ)スチリル]ナフト[1,2−d]チアゾール、
2−[(m−ヒドロキシ−p−メトキシ)スチリル]ベンゾチアゾール。
メロシアニン誘導体としては下記のものが例示される;
3−エチル−5−[(3−エチル−2(3H)−ベンゾチアゾリリデン)エチリデン]−2−チオキソ−4−オキサゾリジノン、
5−[(1,3−ジヒドロ−1,3,3−トリメチル−2H−インドール−2−イリデン)エチリデン]−3−エチル−2−チオキソ−4−オキサゾリジノン。
光ラジカル重合開始剤(D)としての有機過酸化物と光増感色素の組み合わせの例としては、有機過酸化物3,3′,4,4′−テトラ(tert−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノンと、下記構造式の光増感色素との組み合わせが好ましい。
Figure 2006208772
Figure 2006208772
Figure 2006208772
Figure 2006208772
Figure 2006208772
Figure 2006208772
Figure 2006208772
Figure 2006208772
Figure 2006208772
Figure 2006208772
Figure 2006208772
Figure 2006208772
Figure 2006208772
光カチオン重合開始剤(F)
本発明で用いられる光カチオン重合開始剤(F)としては、可視光領域のコヒーレンス性に優れた第一の光の干渉縞を照射する工程、およびつぎの加熱工程ではカチオン重合性化合物(B)の重合を全くないしは殆ど開始させず、第一の光と異なる波長領域を有する第二の光の照射により酸を発生し、その酸がカチオン重合性化合物(B)の重合を開始させるものであればよい。発生する酸はブレンステッド酸、p−トルエンスルホン酸、スルホン酸、アリールスルホン酸、ルイス酸等が挙げられる。このような光カチオン重合開始剤(F)としては、例えば、ジアゾニウム塩、ジアリールヨードニウム塩、トリアリールスルホニウム塩、トリアリールセレノニウム塩、シラノール/アルミニウム錯体、スルホン酸エステル、イミドスルホネート類、鉄アレーン錯体等が挙げられる。
次に、各成分の組成比について説明をする。
本発明の波長選択フィルター用フォトポリマー組成物の各成分の組成比は、ラジカル重合性化合物(A)、カチオン重合性化合物(B)、バインダーポリマー(C)、光ラジカル重合開始剤(D)、光増感色素(E)および光カチオン重合開始剤(F)の合計100重量部に対して、ラジカル重合性化合物(A)は10〜70重量部、カチオン重合性化合物(B)は10〜70重量部、バインダーポリマー(C)は10〜70重量部、光ラジカル重合開始剤(D)は0.5〜15重量部、光増感色素(E)は0.01〜1重量部、光カチオン重合開始剤(F)は0.5〜15重量部であることが好ましく、より好ましくは、ラジカル重合性化合物(A)は15〜60重量部、カチオン重合性化合物(B)は15〜60重量部、バインダーポリマー(C)は15〜60重量部、光ラジカル重合開始剤(D)は1〜8重量部、光増感色素(E)は0.05〜0.5重量部、光カチオン重合開始剤(F)は1〜8重量部である。
本発明による波長選択フィルター用フォトポリマー組成物は、必要に応じて、増粘剤、熱重合禁止剤、連鎖移動剤等の添加剤や、溶媒等を含むことができる。
増粘剤としては無機微粒子、例えばシリカゲルの微粒子としてダイソー社製の「ダイソーゲルSPシリーズ」、富士シリシア化学社製の「サイリシア」や「フジシリカゲル」、シオノギ製薬社製の「カープレックス」、日本アエロジル社製の「アエロジル」、トクヤマ社製の「レオロシール」、「トクシール」、「ファインシール」等が使用できる。または有機微粒子、例えば特開平10−72510、特開平10−310684各公報に記載の方法で作製され得るジアリルフタレート系ポリマー、若しくは「新材料シリーズ『超微粒子ポリマーの最先端技術』」(シーエムシー、室井宗一監修、1991年)に記載のある花王社製「PB,200シリーズ」、鐘紡社製「ベルパールシリーズ」、積水化成品社製「テクポリマーシリーズ」、積水ファインケミカル社製「ミクロパールシリーズ」、綜研化学社製「MRシリーズ」「MPシリーズ」等が使用できる。これら微粒子の粒径はホログラムの膜厚よりも小さければよく、通常は0.1〜20nmの範囲が好ましい。
有機溶媒の使用は、粘度調整、相溶性調節の外、製膜性等を向上させるために有効である。例えば、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル系溶媒、キシレン、トルエンなどの芳香族系溶媒、メチルセロソルブ、エチルセロソルブなどのセロソルブ系溶媒、メタノール、エタノールなどのアルコール系溶媒、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル系溶媒、ジクロロメタン、クロロホルムなどのハロゲン系溶媒等がよく用いられる。しかしながら、水は、粘度調整、相溶性調節、製膜性等を阻害するので、使用できない。水はエマルジョン形態でも媒質として使用できない。溶媒の使用量は、ラジカル重合性化合物(A)、カチオン重合性化合物(B)、バインダーポリマー(C)の合計100重量部に対して0.5〜1000重量部程度である。
熱重合禁止剤の例としては、生成したラジカルを消去する働きのある、例えば、ハイドロキノン、p−メトキシフェノール、tert−ブチルカテコール、ナフチルアミン、ジフェニルピクリルヒドラジン、ジフェニルアミン等が挙げられる。
連鎖移動剤の例としては、α−メチルスチレンダイマー、2−メルカプトベンズオキサゾール、2−メルカプトベンゾチアゾール、tert−ブチルアルコール、n−ブタノール、イソブタノール、イソプロピルベンゼン、エチルベンゼン、クロロホルム、メチルエチルケトン、プロピレン、塩化ビニル等が挙げられる。
次に、組成物の調製について説明する。
本発明による波長選択フィルター用フォトポリマー組成物を調製するには、例えば、ラジカル重合性化合物(A)、カチオン重合性化合物(B)、バインダーポリマー(C)、光ラジカル重合開始剤(D)、光増感色素(E)および光カチオン重合開始剤(F)、必要に応じて用いる上記任意添加成分を、ガラスビーカー等の耐薬品性容器に入れて、全体を撹拌する。この場合、固体成分の溶解を促進するために、組成物の変性が生じない範囲で、これを例えば40〜90℃程度に加熱してもよい。
次に、波長選択フィルター用記録媒体の作製について説明する。
本発明による波長選択フィルター用フォトポリマー組成物を用いて波長選択フィルター用記録媒体を作製する方法の一例としては、同フォトポリマー組成物を基板の片面に塗布し、これを乾燥させ、生じた塗膜すなわち記録層(記録用感光層)と基板とからなる2層構造の記録媒体を得ることが挙げられる。また、必要に応じて、基板上の記録層の上にこれを覆うようにフィルム状、シート状ないしは板状の保護材を被せて3層構造体を得てもよい。記録層の形成工程で有機溶媒を用いることが好ましい。この場合、ラジカル重合性化合物(A)、カチオン重合性化合物(B)、バインダーポリマー(C)、光ラジカル重合開始剤(D)、光増感色素(E)および光カチオン重合開始剤(F)、必要に応じて用いる上記任意添加成分を溶媒に溶解させ、得られた溶液を基板上に塗布し、その後、溶媒を揮散させ記録層を形成する。記録層に保護材を被せる場合は、保護材被覆の前に溶媒を風乾や減圧加熱等によって除去しておくのがよい。基板は光学的に透明な材料、例えばガラス板やポリエチレンテレフタレート板、ポリカーボネート板、ポリメチルメタクリレート板のようなプラスチック板もしくはフィルム等からなる。これら基板は、表面での反射光を抑えるためにアンチリフレクション処理を施したものがよく、可視光での光線透過率ができるだけ高いものが好ましい。基板の厚みは好ましくは0.02〜10mmである。基板は平面である必要はなく屈曲や湾曲あるいは表面に凹凸構造のあるものでもよい。保護材も基板と同じく光学的に透明な材料からなる。保護材の厚みは好ましくは0.02〜10mmである。塗布方法はグラビア塗布、ロールコーティング塗布、バーコート塗布、スピンコート塗布等である。溶媒除去後の記録層の厚みは、好ましくは1〜100μmになるように塗布することが好ましい。
次に、体積位相型ホログラムの記録方法について説明する。
波長選択フィルター用記録媒体に体積位相型ホログラムを記録するには一回目の露光、必要な場合に加熱、二回目の露光の順で以下のようにして行うことができる。
可視光源から発せられる光の分割された一方の光線を、配置すべき記録媒体の表面方向から、そして他方の光線を裏面方向からそれぞれ入射させ、干渉させることにより得られる干渉縞を捕らえることができる位置に波長選択フィルター用記録媒体を配置し、露光することにより該波長選択フィルター用記録媒体上に干渉パターンを得ることができる。
露光はレーザー光をビームスプリッター等で2つの光線に分け、ミラー等の使用により両者を再度合わせることで干渉縞を得る方法(2光束露光法)や、あるいは1つのレーザー光をミラーにより反射させ、入射光と反射光の両者を再度合わせることにより干渉縞を得る方法(1光束露光法)を採用することができる。
2光束露光は、可干渉性光源からの光線の分光により得られる二つの光線を該波長選択フィルター用記録媒体の表裏より入射させ撮影する。
該波長選択フィルター用記録媒体に光線を特定の方向から入射させたときに、所望の波長範囲の光が特定の方向に反射し、入射光角度と反射光角度が正反射の関係とならないように、可干渉性光源からの光線の分光により得られる二つの光線の波長選択フィルター用記録媒体への入射角度をそれぞれ任意に設定することができる。(図1)
1光束露光は、該波長選択フィルター用記録媒体を、直接或いは透明基材を介してミラーと接触させることにより、可干渉性光源からの光線を分光せずとも、1つの光線のみで、分けられた二つの光線を該波長選択フィルター用記録媒体の表裏より入射させたと同様な効果を生じさせることで2光束干渉露光させる撮影方法である。(図2)
このような干渉パターンを得る別の手段として、別途作製した波長選択フィルターをマスターホログラムとして光路上に配置して、上述の1光束または2光束露光法にて干渉縞を得てもよい。
照射条件としては、通常、数秒から数分間レーザー光照射を行うと、ホログラムとなる干渉縞が記録媒体上に記録され得る。ホログラム記録中はなるべく振動を与えないようにするため、これらの記録は光学除振台の上で行うのがよい。用いるレーザー光の光量は、光強度と照射時間との積で表して、好ましくは1〜1万mJ/cm程度である。
可視光の波長領域を有する第一の光の光源としては、レーザー発生装置が使用できる。レーザーは単一波長であり、コヒーレンス性を有しているため、ホログラム記録において好ましい。最も好ましい光源はコヒーレンス性に優れた光源、例えば、上記レーザー発生装置にエタロン等の光学素子等を装着したものである。これは該単一波長の周波数を単一周波数にしたものであり、干渉距離を長くすることができるため特に好ましい。レーザーの代表的な例としては、Kr(波長647nm、413nm、407nm)、He−Ne(波長633nm)、Ar(波長514.5nm、488nm)、YAG(波長532nm)、He−Cd(波長442nm)等が挙げられる。これら光源は単独で用いても、2種以上組み合わせて使用してもよい。また、該光源は連続光でも、ある一定または任意間隔にてパルス発振していてもよい。
第一回目の露光が完了すれば、遮光下で該波長選択フィルター用記録媒体を加熱することができる。加熱は50〜150℃の温度範囲で1〜120分間行うのが好ましい。また、第一回目の露光によるラジカル重合時の粘度を下げるため、第一回目の露光と同時に加熱してもよい。
ここで、光カチオン重合開始剤、特にオニウム塩の中には、加熱の程度によってラジカルとカチオンの両方を発生するものがある。そのため、第一回目の露光によるホログラム記録後の加熱は注意を要する。例えば、80℃以上の高温加熱の場合の加熱時間は20分以下とするのがよい。このように加熱温度と加熱時間を調整することにより、オニウム塩によるラジカルとカチオンの発生によるラジカル重合性化合物(A)とカチオン重合性化合物(B)の重合を、遮光下の加熱による光学特性の向上を阻害しない程度に抑制することができる。
このようにして加熱により十分な屈折率変調が得られた後に、最後に第一の光と異なる波長領域を有する第二の光で該記録媒体を全面に亘って露光する。この結果、光カチオン重合開始剤(F)により、主として未反応成分として残存しているカチオン重合性化合物(B)を重合させることができ、組成物全体が硬化した波長選択フィルターが形成される。
上記光源によるホログラム記録、続く加熱処理の後にカチオン重合性化合物を光カチオン重合させるための第二の光の光源としては、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、低圧水銀灯、キセノンランプ、メタルハライドランプ等が例示できる。これら光源は可視領域の光線をカットするフィルターを併せて使用ことにより、可視光線を除去し紫外領域の光線を効率よく得ることができる。これら光源は単独で用いても、2種以上組み合わせて使用しても良い。
これにより得られる波長選択フィルターは、入射光角度と反射光角度の設定が正反射に限らず任意に設定でき、フィルタリングされていない波長域の可視光透過率が85%以上有し、かつ、−40〜85℃の環境下でも反射光ピーク波長のずれが±5nm以内である特性を有する。
こうして得られた波長選択フィルターは十分な屈折率変調を示すが、さらに屈折率変調を高めるために当該波長選択フィルターに第二回目の加熱処理を施すことができる。加熱温度は50〜150℃が好ましく、更に好ましくは60〜130℃であり、加熱時間は1〜120分間が好ましく、更に好ましくは5〜100分である。この加熱処理によって記録時の温度では拡散移動しきれなったラジカル重合性化合物(A)の未反応分の干渉縞明部への移動を促進させることができ、その結果、屈折率変調がさらに高くなり、回折効率の高い明るいホログラムが得られる。加熱処理は、体積位相型ホログラムが記録された後に、光ラジカル重合開始剤(D)および光カチオン重合開始剤(F)が反応しないように紫外線から可視光線の波長領域の光を遮断して行うのがよい。
このように遮光をして加熱処理を行わなければ、これら開始剤の存在下ではラジカル重合性化合物(A)およびカチオン重合性化合物(B)の重合が非選択的にホログラム全面にわたり生じてしまい、系全体が硬化してしまう。そのため、ラジカル重合性化合物(A)の干渉縞明部へのさらなる移動が抑制され、その結果、回折効率の上昇が抑制される。
得られた波長選択フィルターはそのまま単独で使用してもよいが、基板より剥離して、同種のフィルターや別途選択機能の異なるフィルターを積層することも可能である。この場合、例えばガラス基板には予め離型剤処理を施しておき、剥離は第一回目の光照射後、加熱処理前に行うことが望ましい。
波長選択フィルター同士を複数積層する場合には、基材とホログラム感光層からなる波長選択フィルター用記録媒体に対し第1回目の露光を行う第一の工程、ホログラム感光層面同士が互いに接触するように貼り合せ、必要な場合に加熱する第二の工程、および、該記録媒体に対し第2回目の露光を行う第三の工程を順次行えばよい。各フィルター間に接着剤や粘着材を用いてもよいが、本件のように、第一回目の露光後の加熱前や、第二回目の露光直前に積層を行い、その後第二回目の露光を該記録媒体全面に亘って行えば、接着剤や粘着剤を用いなくとも十分に接着した積層型波長選択フィルターを得ることができる。
また、得られた該波長選択フィルターを保護するために、フィルターの最上層及び最下層表面に光線透過率90%以上の透過率を有するアンチリフレクション(AR)処理を施した基材を各設けることも可能である。
波長選択フィルターを2層積層し、その上層及び下層にAR処理基材を持つような層構成を得るには次のような工程により作製できる。該AR処理フィルム基材上に、ホログラム感光層を積層してなる波長選択フィルター用記録媒体を準備する。次に、当該記録媒体を第一回目の露光を行い、次いで必要な加熱増幅する工程を経た後に、ホログラム感光層面同士が互いに接触するように貼り合せた後に第二の光で該記録媒体を全面に亘って露光する工程より製造できる。
図3に本発明にて製作される波長選択フィルターの例を示す。
(作用)
本願における体積異相型ホログラムの形成原理について説明する。
本発明の波長選択フィルター用記録媒体へのホログラムの形成原理を、可視光のレーザーで反応が起こる光ラジカル重合開始剤と、紫外線で反応が起こるカチオン重合開始剤とを含む波長選択フィルター用フォトポリマー組成物を例にとって説明する。
この場合、波長選択フィルター用記録媒体中では、露光前はラジカル重合性化合物(A)、カチオン重合性化合物(B)、バインダーポリマー(C)、光ラジカル重合開始剤(D)、光増感色素(E)および光カチオン重合開始剤(F)が相溶しているが、可視光のレーザー光の干渉縞露光とともにラジカル重合性化合物(A)が優先的に光重合して高分子化することでホログラム記録層となる。
すなわち、本発明による波長選択フィルター用記録媒体を基板上に塗布してなる2層構造体、あるいはこの記録層の上に保護材を被せてなる3層構造体が可視光領域の光の明暗の強度分布を有する干渉縞で露光されると、まず、干渉縞中の光量の多い部分で光ラジカル重合開始剤(D)よりラジカルが発生し、光ラジカル重合反応性に富むラジカル重合性化合物(A)が光重合を開始し、その部分が体積収縮をきたすと同時に、ラジカル重合性化合物(A)の濃度が減少する。これによって生じた凹みおよび濃度勾配を補うために、光量の少ない部分から未反応物が流れ込むと共に、カチオン重合性化合物(B)およびバインダーポリマー(C)はラジカル重合性化合物(A)から相分離し、光量の少ない部分へ排除される。光量の多い部分へと拡散移動したラジカル重合性化合物(A)は、その光重合がさらに進む。これらの結果、光量の多い部分には屈折率の高い、ラジカル重合性化合物(A)の重合物が集積し、逆に光量の少ない部分には屈折率の低いバインダー(C)が集積した構造を形成する。ここで、カチオン重合性化合物(B)は主として、ラジカル重合性化合物(A)とバインダーポリマー(C)との分離を促進させるための成分として機能する。これは露光初期では系中に均一に存在するが、最終的には光量の少ない部分、即ちバインダーポリマー(C)側へと排除される。こうして、光量に応じた組成分布、すなわちラジカル重合性化合物(A)が多い部分とカチオン重合性化合物(B)とバインダーポリマー(C)が多い部分との屈折率の差に基づいた干渉縞がホログラムとして形成される。
以下、本発明の実施例を挙げ、本発明を具体的に説明する。但し、これら実施例は本発明を限定するものではない。
[実施例1]
実施例1では光源を緑色LED光(中心発光波長525nm)として、入射角度45°の該光線に対して−45°方向に緑色525nm付近の波長の光線を効率よく反射する場合の、波長選択フィルターの作製について述べる。使用するホログラム記録媒体はガラス基板面にキシレンを介してミラーと積層したものを用い、1光束露光法のホログラム撮影を行った。
<ホログラム記録媒体の作製>
1)バインダーポリマーとしてポリメチルメタクリレート(三菱レイヨン(株)製、アクリペットVH)5gと、ラジカル重合性化合物として9,9-ビス(4-ヒドロキシフェニル)フルオレンのグリシジルエーテルのアクリル酸付加物(新日鐵化学社製、「ASF400」)4gと、ジ[1-エチル(3-オキセタニル)]メチルエーテル(東亞合成社製、「OXT-221」)4.8g、3,4-エポキシシクロヘキシルメチル-3,4-エポシキシクロヘキサンカルボキシレート(チバガイギー社製、「アラルダイトCY179」)1.2g、光重合開始剤として3, 3′,4, 4′−テトラ(tert- ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン(日本油脂社製、「BTTB−25」)0.8gと、光増感色素としてシアニン系色素:2,5−ビス(4−ジエチルアミノベンジリデン)シクロペンタノン0.026gと、溶媒としてアセトン10gを混合し、記録材料組成物を調整した。この際、まずポリマーとアセトンからなる溶液を40℃程度で調整した後、他の化合物を添加し溶解させた。
2)この組成物を小型コーターにてアンチリフレクション処理したフィルム基材(帝人デュポンフィルム社製、ARフィルム「HC3」、厚み100μm、全光線透過率92%
以上、ボトム反射率1%以下)の片面に乾燥後の厚みが15〜20μmになるように塗工し、40〜60℃の熱風を吹き付け加熱処理を施すことにより塗布層から溶媒を除去し、基板と感光層からなる2層構造の記録媒体を作成した。
3)上記記録層に厚みが50μmの離型処理したラミネートPETフィルムを被せて3層構造の波長選択フィルター用記録媒体を作成した。
4)この3層構造の波長選択フィルター用記録媒体を適当なサイズにカットし、ラミネートPETフィルムを剥離し、感光層面を60mm×60mm×1.3mm厚みのガラス基板(MATSUNAMI
MICRO SLIDE GLASS)の片面に貼り付け、ガラス基板と感光層と基材フィルムからなる3層構造の波長選択フィルター用記録媒体を作成した。この層構造のホログラム記録媒体を作成するには、1)で得られた溶液を直接ガラス基板にスピンコーター等により製膜して、真空オーブンにて40℃で10分間乾燥させたものにラミネートPETフィルムを貼り付けてもよい。
5)波長選択フィルター用記録媒体の例を図4に示す。ここで、記録時のレーザー光の入射角度は媒体の法線方向を0°とする。
<ホログラムの撮影及び波長選択フィルターの作製>
ここでは、近年、高速駆動が可能な光ファイバー用の光源として注目されているGaN系緑色LED(中心波長525nm、発光帯域525nm±20nm程度)を光源とし、入射角度45°の該光線に対して−45°方向に該光線を効率よく反射する場合の、波長選択フィルターの作製について述べる。ホログラム記録するレーザーの波長は、LED光源の波長となるべく近いものを使用することが好ましい。ここでは532nmのYAGレーザーを使用する。一般的にフォトポリマーを重合させた場合、硬化収縮が起こり、ホログラム内部の低屈折率成分と高屈折率成分から形成される多層構造の周期の間隔がわずかに狭くなることがある。該記録材料を用いた場合も記録方法に依存して、記録波長に対して再生波長が0〜数nm程度短くなることがある。このため、525nmの光源に対しては532nmが好適に用いられる。また、特定の入射角度からの光源の波長に合うように、ホログラム撮影時のレーザー光の入射角度を意図的に変えておき、再生時の反射光ピークを目的の波長に合わせることも可能である。例えば、455nmの光源にて入射角度45°の該光線に対して−45°方向に該光線を効率よく反射する場合の、波長選択フィルターの作製においては、ホログラム撮影するレーザーの波長は488nmのArイオンレーザーを用い、ホログラムに対して30°で入射させて撮影し、得られたホログラムに45°方向より455nmの光源を入射させれば、反射光も455nm付近の光となる。この関係はブラッグの条件、2dsinθ=λを利用したものである。ここでdは干渉縞の間隔、θは再生入射光と再生光のなす角度の半分、λは波長であり、入射光の方向と干渉縞の間隔が決まれば、特定波長の光だけを取り出すことが可能であることを意味する。具体的には532nmからのレーザー光をビームスプリッターで分光し、それぞれをミラーにより角度を変えて、一方を対物レンズ、ピンホール、コリメータレンズを用いて平行光(参照光)とし、他方も対物レンズ、ピンホール、コリメータレンズを用いて平行光(物体光)とした後、再び合成して干渉させ干渉縞を得た。この干渉縞を捉えることができる位置に上記波長選択フィルター用記録媒体を設置した。このとき2光束露光法による反射型ホログラムが撮影される。(図1)また、上記波長選択フィルター用記録媒体のガラス面を、空気の層を遮断するために溶媒としてキシレンを介して、ミラーに接触させて新たな波長選択フィルター用記録媒体を作製し、このAR処理基材面から1つの平行光を入射させてもよい。(図2)このとき、記録媒体への入射光が参照光となり、ミラーからの反射光が物体光となって、干渉縞が得られ、1光束露光法による反射型ホログラムが撮影される。この撮影方法は振動による撮影時の悪影響を防止する効果が高いことから量産工程に適している。
本実施例では1光束露光法を用い、波長選択フィルター用記録媒体へのレーザー光の入射光角度を46°にして入射させた。この状態で波長選択フィルター用記録媒体を露光しホログラムとなる干渉縞を記録した。
露光量はレーザービームの強度を1.0mW/cm2、撮影時間10〜20秒間として、10〜20mJ/cm2行った。撮影後のホログラム記録媒体を遮光下にて100℃で3分間加熱を行った後、紫外線として高圧水銀灯を3J/cm2照射し、波長選択フィルターを作製した。
<波長選択フィルターの評価>
得られた波長選択フィルターのガラス基板を剥離して、2枚のAR処理基材にてサンドされたホログラム層からなる層構成の波長選択フィルターを分光光度計にて光線入射角度45°にて評価した際に得られるチャートの模式図を図5に示す。図中に得られるピークが波長選択フィルターによって反射された光線である。ここで、反射率は入射光強度I0に対する反射ピークの高さI1で表され、半値幅は反射ピークの高さI1の半分の位置での波長範囲Hwである。得られた反射ピークの反射率は75%であり、そのときのピーク波長は525nmであり、半値幅は20nm(525nm±10nm)であった。反射ピーク以外の可視光領域(400〜700nm)の光線透過率は85〜95%であり、可視部にほとんど吸収のない高透明なものであった。
<波長選択フィルターの耐久性評価>
上記評価にて使用された波長選択フィルターを85℃の環境下で200時間保存した結果、反射率及び半値幅の変化はそれぞれ+1%以下及び+2nmであった。また、反射ピークのシフトは−2nmであり、可視光光線透過率も85〜95%を維持し、熱に対して安定であった。また、波長選択フィルターを−40℃の環境下で200時間保存した結果、反射率、半値幅、反射ピークの変化は無く、可視光光線透過率も85〜95%を維持した。
[実施例2]
実施例2では実施例1と同光源を用いて、入射角度45°の該光線に対して0°方向に緑色525nm付近の波長の光線を効率よく反射する場合の、波長選択フィルターの作製について述べる。使用するホログラム記録媒体はガラス基板とAR処理基材でサンドされたものを用い、2光束露光法のホログラム撮影を行った。
<ホログラム記録媒体の作製>
実施例1と同様にして行った。
<ホログラムの撮影及び波長選択フィルターの作製>
ホログラム撮影するレーザーの波長はYAGレーザーの532nmを用い、2光束露光法にて、参照光としてホログラム記録媒体へのレーザー光の入射光角度を46°にして入射させ、物体光を記録媒体の背面180°の方向より入射させた。露光量及び定着処理は実施例1に準じて行った。得られた波長選択フィルターのガラス基板を剥離して、2枚のAR処理基材にてサンドされたホログラム層からなる層構成の波長選択フィルターを作製した。
<波長選択フィルターの評価>
得られた波長選択フィルターを分光光度計にて光線入射角度45°にて評価した結果、反射光は0°方向に得られた。また、反射ピークの反射率は63%であり、そのときのピーク波長は525nmであり、半値幅は20nm(525nm±10nm)であった。反射ピーク以外の可視光領域(400〜700nm)の光線透過率は85〜95%であり、可視部にほとんど吸収のない高透明なものであった。
<波長選択フィルターの耐久性評価>
上記評価にて使用された波長選択フィルターを85℃の環境下で200時間保存した結果、反射率及び半値幅の変化はそれぞれ+1%以下及び−1nmであった。また、反射ピークのシフトは−3nmであり、可視光光線透過率も85〜95%を維持し、熱に対して安定であった。
[実施例3]
実施例3では光源を白色LED光として、入射角度45°の該光線に対して−45°方向に青色450nm付近の波長の光線を効率よく反射する場合の、波長選択フィルターの作製について述べる。使用するホログラム記録媒体はガラス基板面にキシレンを介してミラーと積層したものを用い、1光束露光法のホログラム撮影を行った。
<ホログラム記録媒体の作製>
実施例1と同様にして行った。
<ホログラムの撮影及び波長選択フィルターの作製>
ホログラム撮影するレーザーの波長は488nmのArイオンレーザーを用い、1光束露光法にて、ホログラム記録媒体へのレーザー光の入射光角度を33°にして入射させた。露光量及び定着処理は実施例1に準じて行った。得られた波長選択フィルターのガラス基板を剥離して、2枚のAR処理基材にてサンドされたホログラム層からなる層構成の波長選択フィルターを作製した。
<波長選択フィルターの評価>
得られた波長選択フィルターを分光光度計にて光線入射角度45°にて評価した結果、得られた反射ピークの反射率は67%であり、そのときのピーク波長は454nmであり、半値幅は22nm(454nm±11nm)であった。反射ピーク以外の可視光領域(400〜700nm)の光線透過率は85〜95%であり、可視部にほとんど吸収のない高透明なものであった。
<波長選択フィルターの耐久性評価>
上記評価にて使用された波長選択フィルターを85℃の環境下で200時間保存した結果、反射率及び半値幅の変化はそれぞれ+2%以下及び+1nmであった。また、反射ピークのシフトは−2nmであり、可視光光線透過率も85〜95%を維持し、熱に対して安定であった。
[実施例4]
実施例4では実施例1で得られた緑用の波長選択フィルターと実施例2で得られた青用の波頭選択フィルターを積層し、AR処理基材/緑用フィルター/青用フィルター/AR処理基材からなる層構成の波長選択フィルターの作製について述べる。
<ホログラム記録媒体の作製>
実施例1と同様にして行った。
<ホログラムの撮影及び波長選択フィルターの作製>
ホログラム撮影は実施例1及び2に準じて行った。ホログラム撮影後、得られた緑用及び青用波長選択フィルターのガラス基板を剥離して100℃で3分間加熱処理した後、それぞれホログラム面が接触するように積層させ、第2の光源として高圧水銀灯を3J/cm2照射し、AR処理基材/緑用フィルター/青用フィルター/AR処理基材からなる層構成の波長選択フィルターを作製した。
<波長選択フィルターの評価>
得られた波長選択フィルターを分光光度計にて光線入射角度45°にて評価した結果、得られた反射ピークの反射率は74%及び66%であり、そのときのピーク波長はそれぞれ525nm及び454nmであり、半値幅はそれぞれ20nm(525nm±10nm)及び22nm(454nm±11m)であった。反射ピーク以外の可視光領域(400〜700nm)の光線透過率は85〜95%であり、可視部にほとんど吸収のない高透明なものであった。また、各フィルター同士は十分に接着しており、ナイフ等による切断を行ってもAR処理基材やフィルターからの剥離は起こらなかった。
[比較例1]
比較例1では特許文献1に記載されている組成物にて、同様に波長選択フィルターを作成した場合の例である。
<ホログラム記録媒体の作製>
1)バインダーポリマーとしてポリビニルアセテート「日本合成化学社製、「M50−Y5」)5gと、ラジカル重合性化合物としてフェノシキアクリレート(共栄社化学、ライトアクリレート「PO-A」)5gと、光重合開始剤として2,2’−ビス(o−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール(保土ヶ谷化学社製、「B-CIM」)0.8gと、連鎖移動剤として、2−メルカプトベンゾチアゾール(大内新興化学工業社製、「MBT」)0.4、シアニン系増感色素として2,5−ビス(4−ジエチルアミノベンジリデン)シクロペンタノン0.035g、溶媒としてアセトン10gを混合し、記録材料組成物を調整した。この際、まずポリマーとアセトンからなる溶液を40℃程度で調整した後、他の化合物を添加し溶解させた。
2)ホログラム記録媒体の作製は実施例1〜3に準じる。
<ホログラムの撮影及び波長選択フィルターの作製>
ホログラム撮影するレーザーの波長は532nmレーザーを用い、1光束露光法にて、ホログラム記録媒体へのレーザー光の入射光角度を46°にして入射させた。露光量及び定着処理は実施例1に準じて行った。得られた波長選択フィルターのガラス基板を剥離して、2枚のAR処理基材にてサンドされたホログラム層からなる層構成の波長選択フィルターを作製した。
<波長選択フィルターの評価>
得られた波長選択フィルターを分光光度計にて光線入射角度45°にて評価した結果、得られた反射ピークの反射率は60%であり、そのときのピーク波長は525mであり、半値幅は10nm(525m±5nm)であった。反射ピーク以外の可視光領域(400〜700nm)の光線透過率は60〜70%であり、可視部に黄色く着色した透明性の低いものであった。
<波長選択フィルターの耐久性評価>
上記評価にて使用された波長選択フィルターを85℃の環境下で200時間保存した結果、反射率及び半値幅の変化はそれぞれ+3%以下及び+6nmであった。また、反射ピークのシフトは−4nmであり、熱に対して比較的安定であった。しかし、可視光光線透過率が50%程度まで低下し濁りが強いものであった。このようにホログラム記録材料に特定のものを選ばなければ、得られる波長選択フィルターの耐熱性は十分なものが得られなかった。
本発明は、例えば通信用波長選択フィルターの製造分野において有効に利用することができる。
2光束露光法の例を示した概念図である。 1光束露光法の例を示した概念図である。 波長選択フィルターの例を示した概念図である。 波長選択フィルター用記録媒体の例を示した概念図である。 分光スペクトルの例を示した概念図である。
符号の説明
1.ガラス基板
2.ホログラム感光層
3.AR処理PET基材
4.キシレン
5.入射光
6.反射光
7.透過光
8.対物レンズ
9.ピンホール
10.コリメーターレンズ
11.参照光
12.物体光
13.ミラー
14.レーザー
15.ビームスプリッター

Claims (10)

  1. 干渉性に優れた光を干渉させることによって得られる干渉縞の明暗の強度分布を屈折率の変化として記録するのに使用される波長選択フィルター用フォトポリマー組成物において、
    (A)9,9−ジアリールフルオレン骨格を有し、ラジカル重合可能な不飽和二重結合を少なくとも1つ含有するラジカル重合性化合物と、
    (B)カチオン重合性化合物と、
    (C)バインダーポリマーと、
    (D)可視光の波長領域を有する干渉性の第一の光の干渉によって得られる干渉縞の照射により、ラジカル重合性化合物(A)の重合を開始させる光ラジカル重合開始剤と、
    (E)光ラジカル重合開始剤を増感させる光増感色素と、
    (F)第一の光とは異なる波長領域を有す第二の光の照射によりカチオン重合性化合物(B)の重合を開始させる光カチオン重合開始剤とからなり、
    (A)ラジカル重合性化合物の屈折率が、(B)カチオン重合性化合物と(C)バインダーポリマーとの屈折率との加重平均値よりも大きいことを特徴とする波長選択フィルター用フォトポリマー組成物。
  2. 請求項1記載の波長選択フィルター用フォトポリマー組成物を製膜してなる波長選択フィルター用記録媒体。
  3. 請求項2記載の波長選択フィルター用記録媒体に可干渉性光源からの光を干渉露光してなる波長選択フィルター。
  4. 可視光源から発せられる光の分割された一方の光線を、配置すべき記録媒体の表面方向から、そして他方の光線を裏面方向からそれぞれ入射させ、干渉させることにより得られる干渉縞を捕らえることができる位置に請求項2記載の波長選択フィルター用記録媒体を配置し、露光してなる波長選択フィルター。
  5. 入射光角度と反射光角度を異にし、フィルタリングされていない波長域の可視光透過率が85%以上有し、かつ、−40〜85℃の環境下でも反射光ピーク波長のずれが±5nm以内であることを特徴とする請求項3または4記載の波長選択フィルター。
  6. 請求項3〜5記載の波長選択フィルターを二つ以上積層してなる複合型波長選択フィルター。
  7. 各フィルター同士を接着剤や粘着剤を介在させずに接合することを特徴とする請求項6記載の複合型波長選択フィルター。
  8. 請求項5記載の波長選択フィルターの製造において、光線を特定の方向から入射させたときに、所望の波長範囲の光が特定の方向に反射し、入射光角度と反射光角度が正反射の関係とならないように、可干渉性光源からの光線の分光により得られる二つの光線の波長選択フィルター用記録媒体への入射角度をそれぞれ任意に設定することを特徴とする波長選択フィルターの製造法。
  9. 請求項3〜5記載の波長選択フィルターの製造にあたり、該波長選択フィルター用記録媒体を、直接或いは透明基材を介してミラーと接触させることにより、可干渉性光源からの光線を分光せずとも、1つの光線のみで、分けられた二つの光線を該波長選択フィルター用記録媒体の表裏より入射させたと同様な効果を生じさせることで2光束干渉露光させることを特徴とする波長選択フィルターの製造法。
  10. 基材とホログラム感光層からなる波長選択フィルター用記録媒体に対し第1回目の露光を行う第一の工程、ホログラム感光層面同士が互いに接触するように貼り合せる第二の工程、および、該記録媒体に対し第2回目の露光を行う第三の工程からなることを特徴とする複合型波長選択フィルターの製造法。
JP2005021206A 2005-01-28 2005-01-28 波長選択フィルター用組成物、波長選択フィルター及びその製造法 Pending JP2006208772A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005021206A JP2006208772A (ja) 2005-01-28 2005-01-28 波長選択フィルター用組成物、波長選択フィルター及びその製造法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005021206A JP2006208772A (ja) 2005-01-28 2005-01-28 波長選択フィルター用組成物、波長選択フィルター及びその製造法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2006208772A true JP2006208772A (ja) 2006-08-10

Family

ID=36965702

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2005021206A Pending JP2006208772A (ja) 2005-01-28 2005-01-28 波長選択フィルター用組成物、波長選択フィルター及びその製造法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2006208772A (ja)

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP2110718A1 (en) * 2007-02-05 2009-10-21 Nippon Steel Chemical Co., Ltd. Volume phase hologram recording material and optical information recording medium
JP2011006564A (ja) * 2009-06-25 2011-01-13 Nippon Steel Chem Co Ltd 耐熱性樹脂及びこれを含んだ樹脂組成物
US11718580B2 (en) * 2019-05-08 2023-08-08 Meta Platforms Technologies, Llc Fluorene derivatized monomers and polymers for volume Bragg gratings
US11780819B2 (en) 2019-11-27 2023-10-10 Meta Platforms Technologies, Llc Aromatic substituted alkane-core monomers and polymers thereof for volume Bragg gratings
US11879024B1 (en) 2020-07-14 2024-01-23 Meta Platforms Technologies, Llc Soft mold formulations for surface relief grating fabrication with imprinting lithography

Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP2110718A1 (en) * 2007-02-05 2009-10-21 Nippon Steel Chemical Co., Ltd. Volume phase hologram recording material and optical information recording medium
EP2110718A4 (en) * 2007-02-05 2011-06-29 Nippon Steel Chemical Co VOLUME PHASE HOLOGRAPHIC RECORDING MATERIAL AND OPTICAL INFORMATION RECORDING MEDIUM
US8298726B2 (en) 2007-02-05 2012-10-30 Nippon Steel Chemical Co., Ltd. Volume phase hologram recording material and optical information recording medium
JP2011006564A (ja) * 2009-06-25 2011-01-13 Nippon Steel Chem Co Ltd 耐熱性樹脂及びこれを含んだ樹脂組成物
US11718580B2 (en) * 2019-05-08 2023-08-08 Meta Platforms Technologies, Llc Fluorene derivatized monomers and polymers for volume Bragg gratings
US11780819B2 (en) 2019-11-27 2023-10-10 Meta Platforms Technologies, Llc Aromatic substituted alkane-core monomers and polymers thereof for volume Bragg gratings
US11879024B1 (en) 2020-07-14 2024-01-23 Meta Platforms Technologies, Llc Soft mold formulations for surface relief grating fabrication with imprinting lithography

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2849021B2 (ja) 体積ホログラム記録用感光性組成物
JP4344177B2 (ja) 体積型ホログラム記録用感光性組成物、体積型ホログラム記録用感光性媒体、及び体積型ホログラム
KR100806650B1 (ko) 홀로그램 기록 재료용 조성물, 홀로그램 기록 매체 및 그제조 방법
JP5942736B2 (ja) ホログラム記録材料およびホログラム記録媒体
US8900775B2 (en) Hologram recording material and hologram recording medium
JP2006208772A (ja) 波長選択フィルター用組成物、波長選択フィルター及びその製造法
JP4325404B2 (ja) ホログラム記録材料用フォトポリマー組成物、ホログラム記録媒体およびその製造方法
JP4618624B2 (ja) 体積型ホログラム記録用感光性組成物及びそれを用いた体積型ホログラム記録用感光性媒体
JP2004138686A (ja) 体積位相型ホログラム記録用感光性組成物、ホログラム記録媒体、その製造方法およびホログラム記録方法
JP2006003388A (ja) 体積位相型ホログラム記録用感光性組成物、ホログラム記録媒体とその製法、およびホログラム記録法
JPH08101501A (ja) 体積ホログラム記録用感光性組成物、及びそれを用いた記録媒体ならびに体積ホログラム形成方法
JP2006003387A (ja) 体積位相型ホログラム記録用感光性組成物、ホログラム記録媒体とその製法、およびホログラム記録方法
JP2005017354A (ja) ホログラム記録材料用組成物、ホログラム記録材料及びホログラム記録方法。
TW200532375A (en) Volume hologram recording photosensitive composition
EP3896530B1 (en) Hologram recording composition, hologram recording medium, diffraction optical element, and optical device, optical component, and image display device in which diffraction optical element is used
WO2017104402A1 (ja) ホログラム記録材料、体積ホログラム媒体及び体積ホログラム媒体の製造方法
JP2005017730A (ja) ホログラム記録材料用組成物、ホログラム記録材料及びホログラム記録方法。
JP2007034334A (ja) 体積ホログラム記録用感光性組成物、及びそれを用いた記録媒体ならびに体積ホログラム形成方法
JP2005275389A (ja) 体積ホログラム記録用感光性組成物およびそれを用いる体積ホログラム記録媒体の製造方法
JP4232001B2 (ja) ホログラム記録材料用組成物、ホログラム記録媒体およびその製造方法
JP2000109509A (ja) 可視光重合性組成物
JP4142396B2 (ja) 体積型ホログラム記録用感光性組成物およびそれを用いた体積型ホログラム記録用感光性媒体
JP2018116209A (ja) 体積ホログラム積層体
JP3482256B2 (ja) 体積ホログラム記録用感光性組成物、及びそれを用いた記録媒体ならびに体積ホログラム形成方法
JPH07199779A (ja) ホログラム記録材料及びホログラム記録用媒体