JP4535422B2 - 位相変調型ホログラムの作製方法 - Google Patents

位相変調型ホログラムの作製方法 Download PDF

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Description

本発明は位相変調型ホログラムを作製する方法、さらに詳しくは、計算機合成ホログラム(Computer Generated Hologram:以下、CGHという。)の技術により形成されたマスクパターンを通してフォトポリマーを露光する位相変調型ホログラム作製方法に関するものである。
CGHでは光源と物体の形状を仮定すればそこから回折されてホログラムに到達する波面は回折理論によって計算できる。このCGHによって実在しない架空の物体の像が再生できるため、各種モデルの三次元ディスプレイ、ホログラムフィルタによる画像処理、光スキャナ、各種回折光学素子の設計に有用である。このようなCGHを生成する方法は当業者には周知である(非特許文献1、2)。
計算された合成ホログラムからホログラムを作製する方法としてはレリーフ型ホログラムを作製する方法が当業者によく知られている。これは、ガラスあるいは石英上にクロムの薄膜を施したものを電子ビームリソグラフを用いて二値強度パターンのフォトマスクを作製し、それを種々の方法でSiウエハー上に成長させた二酸化珪素膜や石英板等のホログラム媒体に転写するものである。典型的には、そのフォトマスクパターンをフォトリソグラフでホログラム媒体に転写、エッチングして表面レリーフパターンを作製する方法である。この方法はクロムマスクの作製に高価な電子ビームリソグラフの装置を必要とし、また二酸化珪素のフォトリソグラフも湿式の化学処理を必要とすることから手間がかかる。この方法を繰り返して多段表面レリーフパターンを作成することも可能であるが工程が更に複雑となる。
もう一つの方法は前述のフォトマスクから、フォトレジストにマスクパターンを露光して転写し、得られたレリーフパターンにアルミなどの反射コーティングを施し、ホログラムを作製する方法である。この方法は前者よりは簡便であるが、やはり電子ビームリソグラフ装置を必要とし、フォトレジストの現像に湿式化学処理が必要であるなど手間がかかる方法である。
ところで、このような二値強度CGHから体積位相ホログラムを製作する方法が提案されている(特許文献1)。CGHからやはりガラス基板上のクロム薄膜を電子ビームリソグラフを用いて加工し、透明な凹領域と不透明な凸領域とするレリーフ型フォトマスクを作製し、屈折率変調感光性ドライフィルムに押し付けてレリーフイメージと一致するように凹凸パターンをコピーさせると共に、透明凹領域から光を通過させてドライフィルムを硬化させてその屈折率に少なくとも0.001の変化を起こさせるものである。得られたホログラムはレリーフ型のエンボスホログラムと屈折率変調による位相変調型ホログラムの特性を合わせもつ。この方法により、ホログラム媒体の湿式のエッチングや現像の処理は不要になったが、マスク作製に高価な電子ビームリソグラフ装置を必要とするものであった。
特開平5-150700 Applied Optics, 26, 4351(1987) Applied Optics, 39, 6587(2000)
本発明の目的はCGHの技術を用いて計算した光線透過率の変化パターンであるマスクパターンから実質的に凹凸によるレリーフイメージを伴わない位相変調型ホログラムを簡便なドライプロセスにより作製する方法を提供することにある。
本発明者らは上記の課題を解決するため種々検討を重ねた結果、以下の発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、(1)マスクパターンとして計算機合成ホログラムにより光線透過率の変化パターンを計算する工程、(2)計算されたマスクパターンからフォトマスクを作製する工程、および(3)当該フォトマスクを通過した光により屈折率変調型フォトポリマーを露光する工程を含むことを特徴とする、実質的に凹凸による表面レリーフイメージを伴わない位相変調型ホログラムの作製方法である。
本発明を実施することにより、計算機合成ホログラムから位相変調型ホログラムを簡便に作製することができ、また、得られるホログラムは実質的に凹凸によるレリーフパターンを持たないため、表面状態が平滑となることから、物理的な外傷に強く、意匠性に優れたホログラムを得ることができる。
特に、計算機合成した架空の二値位相変調ホログラムの位相パターンをイメージセッターで出力してフォトマスクとして使用した場合には、従来の電子線リソグラフを用いたフォトマスクを使用したときより格段に簡便なドライプロセスにより、安価に位相変調型ホログラムを作製することができる。
本発明においては(課題を解決するための手段)に挙げた三つの工程を含むいかなる方法も本願発明に含まれるが、特に本質的に三つの工程のみから構成される方法が好ましい。
目的とするホログラムに対応したマスクパターンを作製するための上述(1)の計算機合成は、いわゆるコンピュータを用いた手段であって、コンピュータモデルとしてコンピュタ内に保持される物体からの光(物体光)を数値合成し、その物体の光を再生するように意図された架空の位相変調型ホログラムに対応するマスクパターンを計算から導き出すものである。
マスクパターンの計算機合成は、フォトマスクを通過する光線の透過率の変化パターンをコンピュータを用いて計算数値化されるものであればどのような手法であってもよいが、いわゆる二値位相変調型ホログラムに対応する計算機合成が好ましい。これはコンピュータ内に数値データとして作成した二値の位相分布パターン(架空の位相変調型ホログラム)の位相値を、透明、不透明の二値透過パターンに対応させてマスクパターンを計算するものである。
上述の二値位相変調型ホログラムに対応するマスクパターンの計算機合成においては、数値合成した物体光の光波複素振幅パターンを位相量子化して計算することができる。その計算法(コーディング法)には、例えば単純二値法に加え、誤差を修正する複素誤差拡散法などを適用することができる。
このような二値強度ホログラムのコーディング法としてはOptics Commun.72, 37 (1989)に述べられているものがある。
(2)の、上述(1)により計算されたマスクパターンからフォトマスクを作製する方法は特に問わないが、コンピュータにより目的とするホログラムの二値強度計算機合成された透明、不透明の二値パターンをイメージセッターに出力させてフォトマスクを作製してよい。
イメージセッターはコンピュータから出力される画像情報を高解像度で出力できるプリンターである。ポリエチレンテレフタレート、ポリオレフィン、脂環式ポリオレフィンなどの透明基材上に不透明なドットを出力してフォトマスクとして用いることができる。解像度は高いほど良いが現在は5000dpi程度の解像度を持つイメージセッターまで市販されており、これらを用いてよい。
得られるフォトマスクは実質的に表面が平滑であるのが好ましい。
次に上記(2)のフォトマスクを通過した光により屈折率変調型フォトポリマーを露光する場合において、その露光方法に特に限定はないが、例えば、図1のようにそのフォトマスクを屈折率変調型フォトポリマーに直接密着させてフォトポリマーを露光することができる。また、図2のようにフォトマスクとフォトポリマーの間に透明基材を挟むことも可能である。この場合、透明基材としてはガラスや石英、あるいはポリエチレンテレフタレート、アクリル樹脂、ポリカーボネート、ポリオレフィン、脂環式ポリポレフィンなどの透明樹脂を用いることができる。さらに図3のようにフォトマスクとフォトポリマーを空間的に離してフォトマスク側から光を照射して露光することも可能である。フォトマスクとフォトポリマーの間に透明基材を挟むことが好ましい。
使用することができる屈折率変調型フォトポリマーは、光により露光された部位の屈折率と未露光部位の屈折率の差が少なくとも0.001以上の屈折率変化を受けるものをいう。フォトポリマーは全面均一に光を照射する後露光、あるいは過熱処理により未露光部位も硬化させることができることが好ましい。未露光部位も硬化することにより通常屈折率が変化するがこの操作により屈折率差が失われてはならない。
このような屈折率変調型フォトポリマーの典型的な例は、光で重合を開始するラジカル重合性化合物とその光開始剤系、およびバインダーポリマーを含む組成物である。その例としては例えば、特公平9-2636653、特開平5-107999などに開示されている。特開2001-56631、 SPIE reprint, 4659, 334 (2002)、PCT/JP02/00681に開示されているフォトポリマーが好適である。
もう一つの例として光ラジカル重合性化合物と光カチオン重合性化合物からなる、例えば、特許第2873126号に開示されている組成物も挙げられる。さらに、光カチオン重合性化合物を用いた、例えば、特開平6-298912、特開2000-47552に開示された組成物も知られている。
本発明に用いられるフォトポリマーとして好適なフォトポリマーのより具体的な例はPCT/JP02/00681に開示されているが本発明に用いられるフォトポリマーはこれに限定されるものではない。PCT/JP02/00681に開示されるフォトポリマーは干渉縞の明暗の強度分布を屈折率の変化として記録するのに使用される体積位相型ホログラム記録材料用組成物において、有機溶媒に可溶な熱可塑性樹脂(A)と、9, 9'-ジアリールフルオレン骨格を有し、かつ、ラジカル重合可能な不飽和結合を少なくとも1つ含有する常温常圧で固体であるラジカル重合性化合物(B)と、可塑剤(C)と、光重合開始剤(D)とを含み、熱可塑性樹脂(A)とラジカル重合性化合物(B)と可塑剤(C)の重量百分率が(A):(B):(C)=10〜80: 10〜80: 10〜80であり、ラジカル重合性化合物(B)の屈折率が熱可塑性樹脂(A)の屈折率と可塑剤(C)の屈折率との加重平均よりも大きいことを特徴とするホログラム記録材料組成物が挙げられる。
用いられる熱可塑性樹脂(A)の具体例としては、ポリビニルアセテート、ポリビニルブチラート、ポリビニルホルマール、ポリビニルカルバゾール、ポリアクリル酸、ポリメタクリロニトリル、ポリアクリロニトリル、ポリ-1,2-ジクロロエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリメチルメタクリレート、シンジオタクチック型ポリメチルメタクリレート、ポリ-α-ビニルナフタレート、ポリカーボネート、セルロースアセテート、セルローストリアセテート、セルロースアセテートブチラート、ポリスチレン、ポリ-α-メチルスチレン、ポリ-O-メチルスチレン、ポリ-p-メチルスチレン、ポリ-p-フェニルスチレン、ポリ-p-クロロスチレン、ポリ-2,5-ジクロロスチレン、ポリアリレート、ポリサルホン、ポリエーテルサルホンが挙げられ、これらの例から選ばれる1種または2種以上の組み合わせが好適である。また、これらの樹脂の好適な分子量は10,000〜1,000,000である。
9,9-ジアリールフルオレン骨格、かつ、ラジカル重合可能な不飽和二重結合を少なくとも1つ以上含有する常温、常圧で固体のラジカル重合性化合物(B)として好適な化合物の具体例としては、9,9-ビス[4−(3−アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシ)プロポキシフェニル]フルオレン、9,9-ビス(4−メタクリロイルオキシフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4−アクリロイルオキシフェニル)フルオレン、9,9-ビス[4−(2−メタクリロイルオキシエトキシ)フェニル]フルオレン、9,9-ビス[4−(2−アクリロイルオキシエトキシ)フェニル]フルオレン、9,9-ビス{4−[2−(3−アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシ−プロポキシ)−エトキシ]フェニル}フルオレン、9,9-ビス[4−(3−アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシ)プロポキシ−3−メチルフェニル]フルオレンなどが挙げられる。
可塑剤(C)としては、ジメチルフタレート、ジエチルフタレート、ジオクチルフタレートに代表されるフタル酸エステル類;ジメチルアジペート、ジブチルアジペート、ジメチルセバケート、ジエチルセバケート、ジブチルセバケート、ジエチルサクシネートに代表される脂肪族二塩基酸エステル類;トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェートに代表される正リン酸エステル類;グリセリルトリアセテート、2−エチルヘキシルアセテートに代表される酢酸エステル類;トリフェニルホスファイト、ジブチルハイドロジエンホスファイトに代表される亜リン酸エステル類などの不活性化合物が例示される。
光重合開始剤(D)としては、He−Ne(波長633nm)、Ar(波長515,488nm)、He−Cd(波長442nm)等のレーザー光を吸収してラジカルを発生するものが好適に用いられる。このような光重合開始剤としては、例えば、カルボニル化合物、アミン化合物、アリールアミノ酢酸化合物、有機錫化合物、アルキルアリールホウ素塩、オニウム塩類、鉄アレーン錯体、トリハロゲノメチル置換トリアジン化合物、有機過酸化物、ビスイミダゾール誘導体、チタノセン化合物およびこれらの開始剤と光増感色素の組み合わせ等が好ましく使用される。上記カルボニル化合物としては、例えばベンジル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾフェノン、ジエトキシアセトフェノン等が例示できる。
光増感色素としては、ミヒラケトン、アクリジンイエロー、メロシアニン、メチレンブルー、カンファーキノン、エオシン、脱カルボキシル化ローズベンガル等が好適に使用される。光増感色素は、可視領域の光に吸収を示すものであればよく、上記以外に、例えば、シアニン誘導体、メロシアニン誘導体、フタロシアニン誘導体、キサンテン誘導体、チオキサンテン誘導体、アクリジン誘導体、ポルフィリン誘導体、クマリン誘導体、ベーススチリル誘導体、ケトクマリン誘導体、キノロン誘導体、スチルベン誘導体、オキサジン誘導体、チアジン系色素等も使用可能であり、更には「色素ハンドブック」(大河原信他編、講談社、 1986 年)、「機能性色素の化学」(大河原信他編、シーエムシー、 1983 年)、「特殊機能材料」(池森忠三郎他編、シーエムシー、 1986 年)に記載される光増感色素も用いることができる。これらは単独で用いても2以上の組み合わせで用いてもよい。
本発明に用いる屈折率変調型フォトポリマーはフィルム状であることが好ましく、その厚みは5μm〜500μmである。フォトポリマーは比較的薄くて傷つきやすいのでガラスや石英、あるいは樹脂からなる基材上にコーティングされている場合が多い。さらに基材上にコーティングされたフォトポリマーにさらにガラスや石英、あるいは樹脂からなるカバー層を設けてあっても良い。
基材やカバー層は透明であるか、光を反射しないように着色を施したものが用いられる。透明な素材としてはガラスや石英、ポリエチレンテレフタレート(PET)、アクリル樹脂、ポリカーボネート、ポリオレフィン、脂環式ポリポレフィンなどの透明樹脂を用いることができる。光を反射しないように着色する場合は使用する光源の波長を反射せずに吸収するように着色は決められなければならないが、黒の無反射材料は好適である。
図1のようにフォトマスクと屈折率変調型フォトポリマーを密着させてフォトマスク側から光を照射して露光する場合はこのフォトポリマーのカバー層を剥がしてフォトマスクと密着させて用いる。イメージセッターで出力したフォトマスクを用いる場合、印刷面は実質的に凹凸によるレリーフイメージを伴わないが印刷面を密着させるとインクの転写が起こる場合がある。このような場合にはインクの転写を防ぐために反対面(透明基材側)を密着させると良い。
フォトポリマーの基材、あるいは、カバーの少なくとも一方がガラスや石英、あるいは、透明樹脂などの透明素材である場合は、図2のようにフォトマスクと屈折率変調型フォトポリマーをその透明基材(あるいはカバー層)と密着させて露光することができる。
このときにフォトマスクと透明基材(あるいはカバー層)との間で光線の反射を防止するマッチング液を使用して密着させることができる。マッチング液はマスクパターンの透明基材とフォトポリマーの透明基材(あるいはカバー層)の屈折率に近いものがよく、当業者によく知られているものである。
図3のようにフォトマスクとフォトポリマーが空間的に離れている場合には、この空間にレンズやミラーなどの光学系を組み込んでマスクパターンを縮小してフォトポリマーに露光することも可能である。
フォトマスク側からフォトポリマーに照射された光はマスクパターンの透明部を通過した光によりフォトポリマーに化学変化を引き起こし、マスクパターンの不透明な暗部との屈折率差を引き起こす。化学変化は前述のフォトポリマーの種類に応じて様々であるが、典型的には光ラジカル重合や光カチオン重合などの重合反応である。
光は可視光、紫外光でそれぞれのフォトポリマーの感光感度波長を考慮して選択される。種々のレーザー光やハロゲンランプ、メタルハライドランプ、水銀灯、キセノンランプなどが好適に用いられるがこれらに限定されるものではない。照射条件はフォトポリマーによって異なるが、その感光波長領域において露光強度は0.1〜100 mW/cm2に調整して照射するのが好ましく、露光量はおよそ1〜1000 mJ/cm2が好ましい。
光重合反応により屈折率差を形成させる機構についてはApplied Optics, 11, 2069 (1972)、Applied Optics, 15, 534 (1976)、SPIE reprint, 4659, 334 (2002)などに記述されている。
光露光により屈折率変調を生じたフォトポリマーはその後に均一な露光や加熱によりフォトポリマー全体に化学変化を起こさせ、屈折率変化を固定定着させることも好ましい。後露光や加熱により屈折率差を大きくする増感増幅の効果が生じる場合も知られている。
作製された位相変調型ホログラムは通常フォトマスクを剥がして用いられる。また基材から剥離して用いても良いし、基材を付けたままで用いることができる。さらに、剥離したホログラムを新たな基材に接着して用いることも可能である。
実施例には全てPCT/JP02/00681に開示されているダイソー製位相変調型ホログラム記録用フォトポリマーを用いた。フォトポリマーの具体的な組成を表1に示す。フォトポリマーは光ラジカル重合により露光部の屈折率が未露光部より高くなる。フォトポリマーは厚さ20μmで二枚の透明PETフィルム(厚さ50μm)によりサンドイッチ状に保護されている。一方のPETフィルムには離型処理が施してあるため、選択的に剥がすことが可能である。
Figure 0004535422
実施例において、露光光源としてハロゲンランプと駿河精機社製青フィルターS76-B460を組み合わせた光源、あるいは昭和オプトロニクス社製アルゴンイオンレーザーGLG3110(波長488nm)のいずれかを用いた。
実施例において、イメージセッターは解像度4064dpiの大日本スクリーン社製DP-R2065を用い、透明PETフィルム(厚さ100μm)に出力した。出力されたピクセルサイズは6.25×6.25 μmである。位相差顕微鏡にはオリンパス社製BX41-31-PHを用いた。
ホログラムの再生実験はHe-Neレーザー(波長632.8 nm)を用いて行った。回折効率は入射光と一次光の強度を測定し、回折効率=一次光/入射光×100として%で示した。
実施例において、二値位相コーディングには、単純二値化コーディングと複素誤差拡散法(Optics Commun.72, 37(1989))を用いた。
(実施例1)
本発明によりホログラムの最も基本となる単純回折格子位相変調型ホログラムを作製した。すなわちイメージセッターにより図4に示す振幅ホログラムの格子縞を透明PETフィルムに出力する。このようにして透明部が2pixel (幅12.5μm)、不透明部2pixel (幅 12.5μm)である格子縞フィルムのフォトマスクを作製した。
フォトポリマーの保護フィルムの一方を剥がし透明ガラス基材に貼り付ける。もう一方の保護フィルム面側からフォトマスクを貼り付け、図2の構成にしてフォトマスク側から青色フィルターを透してハロゲンランプの光を照射して露光を行った。この時、ランプ電圧は90Vで、光強度0.3mW/cm2で395秒間露光を行った。
フォトポリマーの露光部は暗部より屈折率が高くなり、フォトマスクの透明/不透明パターンに従った屈折率変調パターンが記録された。次にフォトポリマーをフォトマスクから剥がして、ハロゲンランプにより全面均一露光により屈折率変調パターンを安定化して位相変調型ホログラムを作製した。
作製されたホログラムを位相差顕微鏡で観察すると図5に示す位相差パターンが観察され、フォトマスクのパターンに対応した位相差がフォトポリマー中に作成されたことが確認できた。フォトマスクとして用いた振幅変調型回折格子の回折効率は4.6%、作成された位相型回折格子の回折効率は4.4%であった。
(実施例2)
アルゴンイオンレーザー露光により、実施例1と同様の単純回折格子位相変調型ホログラム作成した。すなわちイメージセッターにより図4に示す振幅ホログラムの格子縞を透明PETフィルムに出力する。このようにして透明部が3pixel (幅18.75μm)、不透明部6pixel (幅 37.5μm)である格子縞フィルムのフォトマスクを作製した。
フォトポリマーの保護フィルムの一方を剥がし透明ガラス基材に貼り付ける。もう一方の保護フィルム面側からフォトマスクを貼り付け、図2の構成にしてフォトマスク側からアルゴンイオンレーザー(波長488 nm)を強度2mW/cm2で12秒間露光した。
次にフォトポリマーをハロゲンランプにより全面均一露光により屈折率変調パターンを安定化して位相変調型ホログラムを作製した。
作製されたホログラムを位相差顕微鏡で観察すると図6に示す位相差パターンが観察され、フォトマスクのパターンに対応した位相差がフォトポリマー中に作成されたことが確認できた。フォトマスクとして用いた振幅変調型回折格子の回折効率は5.5%、作成された位相差回折格子の回折効率は25.5%であった。このようにフォトマスクとして用いた振幅変調型ホログラムより位相差ホログラムの回折効率が高くなることは本法の利点の一つである。
(実施例3)
単純二値コーデイング法により立方体のワイヤーフレームモデルを計算してイメージセッターにより出力して8192×8192 pixelのフォトマスクを作製した。
フォトポリマーの保護フィルムの一方を剥がし透明ガラス基材に貼り付ける。もう一方の保護フィルム面側からフォトマスクを貼り付け、図2の構成にしてフォトマスク側からアルゴンイオンレーザー(波長488 nm)を照射して露光を行った。
次にフォトポリマーをハロゲンランプにより全面均一露光により屈折率変調パターンを安定化して位相変調型ホログラムを作製した。
得られた位相変調型ホログラムをHe-Neレーザー(波長632.8 nm)を用いて再生したところ明瞭な再生像を得た。また、シミュレーションによるとS/N比は5.5 dBであった。
(実施例4)
複素誤差拡散法によるコーディングにより立方体のワイヤーフレームモデルを計算してイメージセッターにより出力して8192×8192 pixelのフォトマスクを作製した。
フォトポリマーの保護フィルムの一方を剥がし透明ガラス基材に貼り付ける。もう一方の保護フィルム面側からフォトマスクを貼り付け、図2の構成にしてフォトマスク側からアルゴンイオンレーザー(波長488 nm)を照射して露光を行った。
次にフォトポリマーをハロゲンランプにより全面均一露光により屈折率変調パターンを安定化して位相変調型ホログラムを作製した。
得られた位相変調型ホログラムをHe-Neレーザー(波長632.8 nm)を用いて再生したところ図7に示す明瞭な再生像を得た。また、シミュレーションによるとS/N比は8.0 dBであった。実施例3の単純二値コーディング法より高いS/N比が得られた。
(実施例5)
複素誤差拡散法によるコーディングにより立方体のサーフェースモデルを計算してイメージセッターにより出力して8192×8192 pixelのフォトマスクを作製した。
フォトポリマーの保護フィルムの一方を剥がし透明ガラス基材に貼り付ける。これのもう一方の保護フィルム面側からフォトマスクを貼り付け、図2の構成にしてフォトマスク側からアルゴンイオンレーザー(波長488 nm)を照射して露光を行った。
次にフォトポリマーをハロゲンランプにより全面均一露光により屈折率変調パターンを安定化して位相変調型ホログラムを作成した。
得られた位相変調型ホログラムをHe-Neレーザー(波長632.8 nm)を用いて再生したところ明瞭な再生像を得た。また、シミュレーションによるとS/N比は8.2 dBであった。
本発明は、計算機合成ホログラムに由来する、種々の位相変調型ホログラフィック光学素子の製造に利用することができる。
フォトマスクと屈折率変調型フォトポリマーを密着させて露光する工程を示す模式的工程図である。 フォトマスクと屈折率変調型フォトポリマーを透明基材を介して密着させて露光する工程の模式的工程図である。 フォトマスクと屈折率変調型フォトポリマーを空間的に離して配置して露光する工程の模式的工程図である。 イメージセッターにより出力された回折格子の模式図である。 ハロゲンランプを用いて回折格子を転写した位相変調型ホログラムの位相差顕微鏡観察図である。 回折格子(左)と、それをフォトマスクとしてアルゴンイオンレーザーを用いて露光して作製した位相変調型ホログラムの位相差顕微鏡観察図(右)である。 アルゴンイオンレーザーを用いて露光した位相変調型ホログラムの再生像観察図である。
符号の説明
1 屈折率変調型フォトポリマー
2 透明基材
3 フォトマスク
4 光
5 透明基材(またはカバー層)
6 フォトマスクを通過した光

Claims (6)

  1. (1)マスクパターンとして計算機合成ホログラムにより光線透過率の変化パターンを透明、不透明の二値パターンで計算する工程、(2)計算されたマスクパターンからフォトマスクを作製する工程、および(3)光源としてレーザー光を用い、当該フォトマスクを通過した一方向のレーザー光のみを照射することにより屈折率変調型フォトポリマーを露光する工程を含むことを特徴とする、実質的に凹凸による表面レリーフイメージを伴わない位相変調型ホログラムの作製方法。
  2. (2)の工程において、イメージセッターを用いて、透明、不透明の二値パターンを透明基材上に描いてフォトマスクが形成されることを特徴とする請求項1に記載の位相変調型ホログラムの作製方法。
  3. (2)の工程において、作製されるフォトマスクの表面が平滑であることを特徴とする請求項1又は2に記載の位相変調型ホログラムの作製方法。
  4. (3)の工程において、フォトマスクと屈折率変調型フォトポリマーとを透明基材を介して密着させて一方向のレーザー光のみで露光することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の位相変調型ホログラムの作製方法。
  5. (3)の工程において、フォトマスクと屈折率変調型フォトポリマーとを直接密着させて露光することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の位相変調型ホログラムの作製方法。
  6. (3)の工程において、フォトマスクと屈折率変調型フォトポリマーとを空間的に離して配置して露光することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の位相変調型ホログラムの作製方法。
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