JP2012063486A - 体積ホログラム層形成用組成物、体積ホログラム積層体、および体積ホログラム層転写箔 - Google Patents

体積ホログラム層形成用組成物、体積ホログラム積層体、および体積ホログラム層転写箔 Download PDF

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Abstract

【課題】箔切れ性に優れた体積ホログラム層を形成することが可能な、体積ホログラム層形成用組成物を提供することを主目的とする。
【解決手段】カチオン重合性官能基を有するカチオン重合性化合物、およびラジカル重合性官能基を有するラジカル重合性化合物を含有し、体積ホログラムが記録された体積ホログラム層を形成するために用いられる体積ホログラム層形成用組成物であって、上記体積ホログラム層の破断強度を低下させることができ、かつカチオン重合性官能基を有するカチオン重合性機能材料を含有することを特徴とする、体積ホログラム層形成用組成物を提供することにより、上記課題を解決する。
【選択図】図1

Description

本発明は、体積ホログラムが記録された体積ホログラム層を形成するために用いられる体積ホログラム層形成用組成物、および当該体積ホログラム層形成用組成物を用いて作成された体積ホログラム層を有する体積ホログラム積層体、および体積ホログラム層転写箔に関するものである。
ホログラムは、波長の等しい二つの光(物体光と参照光)を干渉させることによって、物体光の波面が干渉縞として感光材料に記録されたものであり、干渉縞記録時の参照光と同一波長の光が当てられると干渉縞によって回折現象が生じ、元の物体光と同一の波面が再生できるものである。ホログラムは、外観が美しく、複製が困難である等の利点を有することからセキュリティ用途等に多く使用されている。なかでもクレジットカードや、キャッシュカード等に代表されるプラスチックカードにおいては、主として複製防止および意匠性付与の観点からホログラム付カードが広く用いられるに至っている。
このようなホログラムは、干渉縞の記録形態によっていくつかの種類に分類することができるが、代表的には表面レリーフホログラムと体積ホログラムとに分けることができる。ここで、上記表面レリーフホログラムは、ホログラム層の表面に微細な凹凸パターンが賦型されることによりホログラムが記録されたものである。一方、上記体積ホログラムは光の干渉によって生じる干渉縞が、屈折率の異なる縞として厚み方向に三次元的に描画されることによってホログラムが記録されたものである。なかでも、上記体積ホログラムは材料の屈折率差によってホログラム像が記録されたものであるため、上記レリーフホログラムに比べて複製することが困難であるという利点を有することから、有価証券やカード類の偽造防止手段としての用途が期待されている。
また、意匠性の付与や偽造防止手段等としてホログラムを用いる場合において、ホログラムを有価証券やカード等に付与する方法としては、ホログラムを付与する対象に応じて種々の方法が知られている。このような方法としては、例えば、スリット状のホログラムを編み込む方法や、ホログラムを外部から視認可能なように媒体中に埋め込む方法が知られているが、一般的にはホログラムを所定の位置に貼付する方法が用いられている。なかでも、より簡便な方法として、任意の基材上にホログラムが形成されたホログラム層転写箔から、ホログラムを転写することによってホログラムを所定の位置に貼付する方法が広く用いられるに至っている。
ここで、上記体積ホログラムには屈折率の異なる複数の材料が用いられるのが一般的であり、通常は特定の光を照射することによって重合させることが可能な光重合性材料が用いられている。このため、体積ホログラムが記録されたホログラム層は機械強度が大きくなる傾向があることが知られている。また、体積ホログラムは、屈折率差が三次元的に配列されることによってホログラム像が記録されるものであるという性質上、ホログラムが形成される層の厚みが上記レリーフホログラムと比較して厚くなる傾向にある。このため、体積ホログラム層は箔切れ性が乏しく、上述したホログラム層転写箔を用いてホログラム層を転写する方法を用いた場合に、体積ホログラム層を所定の形状で転写すると、端部にバリ等が発生して転写不良が生じるなどの問題が指摘されていた。
このような状況において、特許文献1および2には体積ホログラムが記録されたホログラム層の破断点伸度および破断強度を所定の値に調整することにより、体積ホログラムについても上述したホログラム層転写箔を用いた転写方法を用いることを可能とした例が開示されている。しかしながら、ホログラム像を鮮明に記録するためには、使用できる材料が限られていること等の理由により、鮮明なホログラム像を記録することと、破断点伸度および破断強度を所定の値に調整することとを両立することは困難であるという問題点がある。
また、特許文献3、4には、ホログラム層の全幅に切れ込み部を形成することによって、ホログラム層の箔切れ性を向上させる技術が開示されている。このような切れ込み部を形成する技術は、ホログラム層を全幅に渡って転写する場合には、転写不良を改善する有効な手段の一つといえる。しかしながら、ホログラム層の一部のみをスポット的に転写する場合には、このような切れ込み部を形成する手段を用いることは困難であるという問題点があった。
特開平3−46687号公報 特開2005−070064号公報 特開2009−274428号公報 特開2009−9105号公報
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、箔切れ性に優れた体積ホログラム層を形成することが可能な、体積ホログラム層形成用組成物を提供することを主目的とするものである。
上記課題を解決するために本発明は、カチオン重合性官能基を有するカチオン重合性化合物、およびラジカル重合性官能基を有するラジカル重合性化合物を含有し、体積ホログラムが記録された体積ホログラム層を形成するために用いられる体積ホログラム層形成用組成物であって、上記体積ホログラム層の破断強度を低下させることができ、かつカチオン重合性官能基を有するカチオン重合性機能材料を含有することを特徴とする、体積ホログラム層形成用組成物を提供する。
本発明の体積ホログラム層形成用組成物によれば、上記カチオン重合性化合物、および上記ラジカル重合性化合物に加え、上記体積ホログラム層の破断強度を低下させることができ、かつカチオン重合性官能基を有するカチオン重合性機能材料を含有することにより、破断強度が低く、箔切れ性に優れた体積ホログラム層を形成することができる。
本発明の体積ホログラム層形成用組成物においては、上記カチオン重合性機能材料が、分子内に単一の上記カチオン重合性官能基を有する単官能化合物であることが好ましい。これにより、本発明の体積ホログラム層形成用組成物を用いて形成された体積ホログラム層において架橋密度を低下させることができ、より破断強度が低く、箔切れ性に優れた体積ホログラム層を形成することができるからである。
また本発明は、カチオン重合性官能基を有するカチオン重合性化合物、およびラジカル重合性官能基を有するラジカル重合性化合物の重合物を含有し、体積ホログラムが記録された体積ホログラム層を備える体積ホログラム積層体であって、上記体積ホログラム層に、上記体積ホログラム層の破断強度を低下させることができ、かつカチオン重合性官能基を有するカチオン重合性機能材料の重合物が含まれることを特徴とする、体積ホログラム積層体を提供する。
本発明の体積ホログラム積層体によれば、上記体積ホログラム層が、カチオン重合性官能基を有するカチオン重合性化合物、およびラジカル重合性官能基を有するラジカル重合性化合物の重合物を含有し、さらに上記体積ホログラム層の破断強度を低下させることができ、かつカチオン重合性官能基を有するカチオン重合性機能材料の重合物を含有することにより、上記体積ホログラム層の判断強度を低下させることができる。このため、本発明によれば箔切れ性に優れた体積ホログラム積層体を得ることができる。
さらに本発明は、基材と、上記基材上に形成された剥離性保護層と、上記剥離性保護層上に形成され、カチオン重合性官能基を有するカチオン重合性化合物、およびラジカル重合性官能基を有するラジカル重合性化合物の重合物を含有し、体積ホログラムが記録された体積ホログラム層と、上記体積ホログラム層上に形成され、熱可塑性樹脂を含有するヒートシール層と、を有する体積ホログラム層転写箔であって、上記体積ホログラム層に、上記体積ホログラム層の破断強度を低下させることができ、かつカチオン重合性官能基を有するカチオン重合性機能材料の重合物が含まれることを特徴とする体積ホログラム層転写箔を提供する。
本発明の体積ホログラム層転写箔によれば、上記体積ホログラム層が、カチオン重合性官能基を有するカチオン重合性化合物、およびラジカル重合性官能基を有するラジカル重合性化合物の重合物を含有し、さらに上記体積ホログラム層の破断強度を低下させることができ、かつカチオン重合性官能基を有するカチオン重合性機能材料の重合物を含有することにより、上記体積ホログラム層の判断強度を低下させることができる。このため、本発明によれば箔切れ性に優れた体積ホログラム層転写箔を得ることができる。
本発明の体積ホログラム層形成用組成物は、箔切れ性に優れた体積ホログラム層を形成することができるという効果を奏する。また、本発明の体積ホログラム積層体、および体積ホログラム層転写箔は、箔切れ性に優れるという効果を奏する。
本発明の体積ホログラム層転写箔の一例を示す概略断面図である。 本発明の体積ホログラム層転写箔の他の例を示す概略断面図である。
本発明は、体積ホログラム層形成用組成物、体積ホログラム積層体、および体積ホログラム層転写箔に関するものである。
以下、これらの発明について順に説明する。
A.体積ホログラム層形成用組成物
まず、本発明の体積ホログラム層形成用組成物について説明する。上述したように本発明の体積ホログラム層形成用組成物は、体積ホログラムが記録された体積ホログラム層を形成するために用いられるものであって、カチオン重合性官能基を有するカチオン重合性化合物、およびラジカル重合性官能基を有するラジカル重合性化合物を含有し、さらに上記体積ホログラム層の破断強度を低下させることができ、かつカチオン重合性官能基を有するカチオン重合性機能材料を含有することを特徴とするものである。
本発明の体積ホログラム層形成用組成物によれば、上記カチオン重合性化合物、および上記ラジカル重合性化合物に加え、上記体積ホログラム層の破断強度を低下させることができ、かつカチオン重合性官能基を有するカチオン重合性機能材料を含有することにより、破断強度が低く、箔切れ性に優れた体積ホログラム層を形成することができる。
本発明の体積ホログラム層形成用組成物は、少なくとも上記カチオン重合性機能材料、カチオン重合性化合物、およびラジカル重合性化合物を含有するものであり、必要に応じて他の構成を有してもよいものである。
以下、本発明の体積ホログラム層形成用組成物に用いられる各構成について順に説明する。
1.カチオン重合性機能材料
本発明に用いられるカチオン重合性機能材料について説明する。本発明に用いられるカチオン重合性機能材料は、カチオン重合性官能基を有し、本発明の体積ホログラム層形成用組成物を用いて体積ホログラム層を形成した際に、当該体積ホログラム層の破断強度を低下させることができるものである。すなわち、本発明に用いられるカチオン重合性機能材料は、カチオン重合性官能基を有し、これが含有されることにより、含有されない場合と比較して体積ホログラム層の破断強度を低下させる機能を有するものである。
本発明に用いられるカチオン重合性機能材料としては、カチオン重合性官能基を有するものであり、かつ上述した体積ホログラム層の破断強度を低下させることができる機能を有するものであれば特に限定されるものではない。本発明に用いられるカチオン重合性機能材料が有するカチオン重合性官能基は、特に限定されるものではないが、後述するカチオン重合性化合物が有するカチオン重合性官能基と同一のカチオン重合性官能基であることが好ましい。なお、本発明に用いられるカチオン重合性機能材料は、上述した体積ホログラム層の破断強度を低下させることができる機能を有するものであることから、通常、後述するカチオン重合性化合物とは異なる種類の材料となる。
また、本発明に用いられるカチオン重合性機能材料は、上述した体積ホログラム層の破断強度を低下させることができる機能を有するものであれば、分子内に単一のカチオン重合性官能基を有する単官能化合物であってもよく、または分子内に複数のカチオン重合性官能基を有する他官能化合物であってもよい。中でも本発明に用いられるカチオン重合性機能材料は、単官能化合物であることが好ましい。上記カチオン重合性機能材料として、単官能化合物が用いられることにより、本発明の体積ホログラム層形成用組成物を用いて形成される体積ホログラム層の架橋密度を低下させることができるため、よい破断強度が低く、箔切れ性に優れた体積ホログラム層を形成することができるからである。
さらに、本発明に用いられるカチオン重合性機能材料は、単位カチオン重合性官能基当たりの分子量が大きいものであることが好ましい。これにより、本発明の体積ホログラム層形成用組成物を用いて形成される体積ホログラム層の箔切れ性をより向上させることができるからである。
ここで、単位カチオン重合性官能基当たりの分子量としてどの程度が好ましいかは、上記カチオン重合性官能基の種類に応じて適宜決定されるものである。
本発明に用いられるカチオン重合性機能材料の例としては、例えば、カチオン重合性官能基がグリシジル基であるものとして、アルキルモノグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル、デシルグリシジルエーテル、p−tert−ブチルフェニルグリシジルエーテル、n-ブチルグリシジルエーテル、p−sec−ブチルフェニルグリシジルエーテル、ステアリルグリシジルエーテルなどが挙げられる。また、カチオン重合性官能基がオキセタニル基を有するものとして、2−エチルヘキシルオキセタン、3―エチル―3−(ヒドロキシメチル)オキセタン、3―エチル―3−[(フェノキシ)メチル]オキセタン、3―エチル―3−(クロロメチル)オキセタン等が挙げられるが、これに限定されるものではない。
なお、本発明に用いられるカチオン重合性機能材料は、1種類のみであってもよく、または2種類以上であってもよい。
本発明の体積ホログラム層形成用組成物における上記カチオン重合性機能材料の含有量としては、本発明の体積ホログラム層形成用組成物を用いて形成される体積ホログラム層の用途等に応じて、所望の破断強度を示す体積ホログラム層を形成できる範囲内であれば特に限定されるものではない。具体的な含有量については、上記カチオン重合性機能材料の種類や、後述するカチオン重合性化合物、およびラジカル重合性化合物の種類等に応じて適宜決定されるものであり、特に限定されるものではないが、通常、体積ホログラム層形成用組成物全体から溶剤成分を除いたものに対して0.1質量%〜30質量%の範囲内であることが好ましく、さらに、1質量%〜10質量%の範囲内であることがより好ましい。カチオン重合性機能材料の含有量が上記範囲よりも多いと、本発明の体積ホログラム層形成用組成物を用いて体積ホログラム層を形成する際に、鮮明な体積ホログラム像を記録することが困難になる場合があるからである。また、含有量が上記範囲よりも少ないと、本発明の体積ホログラム層形成用組成物を用いて形成された体積ホログラム層の破断強度を十分に低くすることができず、箔切れ性が不十分な体積ホログラム層が形成される場合があるからである。
2.カチオン重合性化合物
次に、本発明に用いられるカチオン重合性化合物について説明する。本発明に用いられるカチオン重合性化合物は、カチオン重合性官能基を有し、後述するラジカル重合性化合物と併用されることにより、体積ホログラム層を記録することができるものであれば特に限定されるものではない。なかでも本発明に用いられるカチオン重合性化合物は、ラジカル重合性化合物の重合が比較的低粘度の組成物中で行われることが好ましいという点から、室温で液状のものが好適に用いられる。
本発明に用いられるカチオン重合性化合物としては、例えば、エポキシ環やオキセタン環に代表される環状エーテル類、チオエーテル類、ビニルエーテル類が挙げられる。具体例として、エポキシ環含有化合物を挙げることができる。このようなカチオン重合性化合物の例としては、例えば、ジグリセロールジエーテル、ペンタエリスリトールポリジグリシジルエーテル、1,4−ビス(2,3−エポキシプロポキシパーフルオロイソプロピル)シクロヘキサン、ソルビトールポリグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、ポリアルキレングリコールジグリシジルエーテル、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、ジグリセロールトリグリシジルエーテル、ジグリシジルヘキサヒドロフタレート、トリメチロールプロパンジグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、シクロヘキセンオキシド、等を例示することができるが、これらに限定されるものではない。
なお、本発明に用いられるカチオン重合性化合物は、1種類のみであってもよく、または2種類以上であってもよい。
本発明の体積ホログラム層形成用組成物における上記カチオン重合性化合物の含有量としては、後述するラジカル重合性化合物と併用することにより、体積ホログラムを記録することが可能な範囲内であれば特に限定されるものではない。具体的な含有量については、上記カチオン重合性化合物、および後述するラジカル重合性化合物の種類等に応じて適宜決定されるものであり、特に限定されるものではないが、通常、体積ホログラム層形成用組成物全体から溶剤成分を除いたものに対して、3質量%〜60質量%の範囲内であることが好ましく、さらに10質量%〜50質量%の範囲内であることがより好ましい。
3.ラジカル重合性化合物
次に、本発明に用いられるラジカル重合性化合物について説明する。本発明に用いられるラジカル重合性化合物としては、ラジカル重合性官能基を有し、上述したカチオン重合性化合物と併用されることにより、体積ホログラム層を記録することができるものであれば特に限定されるものではない。なかでも本発明に用いられるラジカル重合性化合物は、分子中に少なくとも1つのエチレン性不飽和二重結合を有するものが好ましい。また、本発明に用いられるラジカル重合性化合物の平均屈折率は、上記カチオン重合性化合物の平均屈折率より大きいことが好ましく、なかでも0.02以上大きいことが好ましい。これは、ラジカル重合性化合物とカチオン重合性化合物との屈折率の差によって、体積ホログラムが形成されることによるものである。したがって、平均屈折率の差が上記値以下である場合には、屈折率変調が不十分となるからである。
本発明に用いられるラジカル重合性化合物としては少なくとも一つの付加重合可能なエチレン性不飽和二重結合を持つ化合物が挙げられ、例えば不飽和カルボン酸、及びその塩、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アルコール化合物とのエステル、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アミン化合物とのアミド結合物が挙げられる。具体例として脂肪族多価アルコール化合物と不飽和カルボン酸とのエステルのモノマーを挙げることができる。より具体的には、アクリル酸エステルとして、エチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、1,3−ブタンジオールジアクリレート、テトラメチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリ(アクリロイルオキシプロピル)エーテル、トリメチロールエタントリアクリレート、ヘキサンジオールジアクリレート、1,4−シクロヘキサンジオールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールジアクリレート、ジペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ソルビトールトリアクリレート、ソルビトールテトラアクリレート、ソルビトールペンタアクリレート、ソルビトールヘキサアクリレート、トリ(アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、ポリエステルアクリレートオリゴマー、2−フェノキシエチルアクリレート、2−フェノキシエチルアクリレート、フェノールエトキシレートモノアクリレート、2−(p−クロロフェノキシ)エチルアクリレート、p−クロロフェニルアクリレート、フェニルアクリレート、2−フェニルエチルアクリレート、ビスフェノールAの(2−アクリルオキシエチル)エーテル、エトキシ化されたビスフェノールAジアクリレート、2−(1−ナフチルオキシ)エチルアクリレート、o−ビフェニルアクリレート、o−ビフェニルアクリレート、ジフェノキシエタノールフルオレンジアクリレート、9,9−ビス(4−アクリロキシジエトキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−アクリロキシトリエトキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−アクリロキシジプロポキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−アクリロキシエトキシ−3−メチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−アクリロキシエトキシ−3−エチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−アクリロキシエトキシ−3,5−ジメチル)フルオレンなどが例示される。また、特開昭61−72748号公報に開示されている、硫黄含有アクリル化合物を使用することもでき、例えば、4,4’−ビス(β−アクリロイルオキシエチルチオ)ジフェニルスルホン、4,4’−ビス(β−アクリロイルオキシエチルチオ)ジフェニルケトン、4,4’−ビス(β−アクリロイルオキシエチルチオ)−3,3’,5,5’−テトラブロモジフェニルケトン、2,4−ビス(β−アクリロイルオキシエチルチオ)ジフェニルケトンが挙げられるが、これらに限定されるものではない。さらに、メタクリル酸エステルとして、上記アクリル酸エステル化合物名のうち、「アクリレート」が「メタクリレート」に、「アクリロキシ」が「メタクリロキシ」に、「アクリロイル」が「メタクリロイル」になる化合物を挙げることができる。
なお、本発明に用いられるラジカル重合性化合物は、1種類のみであってもよく、または2種類以上であってもよい。
本発明の体積ホログラム層形成用組成物における上記ラジカル重合性化合物の含有量としては、上述したカチオン重合性化合物と併用することにより、体積ホログラムを記録することが可能な範囲内であれば特に限定されるものではない。具体的な含有量については、上記ラジカル重合性化合物、および上述したカチオン重合性化合物の種類等に応じて適宜決定されるものであり、特に限定されるものではないが、通常、体積ホログラム層形成用組成物全体から溶剤成分を除いたものに対して、3質量%〜60質量%の範囲内であることが好ましく、さらに10質量%〜50質量%の範囲内であることがより好ましい。
4.その他の化合物
本発明の体積ホログラム層形成用組成物には、必要に応じて上記カチオン重合性機能材料、カチオン重合性化合物、およびラジカル重合性化合物以外の他の化合物が含まれていてもよい。本発明に用いられる他の化合物は、本発明の体積ホログラム層形成用組成物の効果を阻害しないものであれば特に限定されるものではなく、任意の機能を有する化合物を適宜選択して用いることができる。中でも本発明においては、上記他の化合物として、通常、光ラジカル重合開始剤系、および光カチオン重合開始剤系が用いられることが好ましい。光ラジカル重合開始剤系、および光カチオン重合開始剤系が用いられることにより、本発明の体積ホログラム層形成用組成物を用いて体積ホログラムが記録された体積ホログラム層を形成する際に、上述したカチオン重合性化合物、およびラジカル重合性化合物を重合することが容易になるからである。
上記光ラジカル重合開始剤系としては、本発明の体積ホログラム層形成用組成物を用いて、体積ホログラムが記録された体積ホログラム層を形成する際に、第1露光によって活性ラジカルを生成し、該活性ラジカルがラジカル重合性化合物を重合させることができるものであれば特に限定されるものではない。また、一般に光を吸収する成分である増感剤と活性ラジカル発生化合物や酸発生化合物を組み合わせて用いてもよい。このような光ラジカル重合開始剤系における増感剤は可視レーザー光を吸収するために色素のような有色化合物が用いられる場合が多いが、透明性が要求される用途の体積ホログラムを作製する場合には、ホログラム記録後の後工程、或いは、加熱や紫外線照射等の後処理により分解或いは構造変化を生じて透明になる増感色素を用いることが好ましい。後工程又は後処理において透明にできる色素としては、シアニン系色素、メロシアニン系色素、クマリン系色素、ケトクマリン系色素、シクロペンタノン系色素が挙げられる。ここで、透明とは、ホログラム記録部以外の領域において目視で透明であること、又は、可視領域(波長400〜700nm)の透過率が60%以上であることをいう。
上記活性ラジカル発生化合物としては、例えば、ジアリールヨードニウム塩類、あるいは2,4,6−置換−1,3,5−トリアジン類が挙げられる。高い感光性が必要なときは、ジアリールヨードニウム塩類の使用が特に好ましい。上記ジアリールヨードニウム塩類の具体例としては、ジフェニルヨードニウム、4,4´−ジクロロジフェニルヨードニウム、4,4´−ジメトキシジフェニルヨードニウム、4,4´−ジターシャリーブチルジフェニルヨードニウム、3,3´−ジニトロジフェニルヨードニウムなどのクロリド、ブロミド、テトラフルオロボレート、ヘキサフルオロホスフェート、ヘキサフルオロアルセネート、ヘキサフルオロアンチモネート、トリフルオロメタンスルホン酸塩、9,10−ジメトキシアントラセン−2−スルホン酸塩などが例示される。又2,4,6−置換−1,3,5−トリアジン類の具体例としては、2−メチル−4,6−ビス(トリクロロメチル)ー1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−フェニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−(p−メトキシフェニルビニル)−1,3,5−トリアジン、2−(4´−メトキシ−1´−ナフチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン等が挙げられる。
上記光カチオン重合開始剤系としては、本発明の体積ホログラム層形成用組成物を用いて、体積ホログラムが記録された体積ホログラム層を形成する際に、体積ホログラムが記録される際の第1露光に対しては低感光性で、第1露光と異なる波長の光を照射する後露光に感光してブレンステッド酸あるいはルイス酸を発生し、カチオン重合性化合物を重合させるような開始剤系であれば特に限定されるものではない。なかでも本発明においては第1露光の間はカチオン重合性化合物を重合させないものが用いられることが特に好ましい。このような光カチオン重合開始剤系としては、例えばジアリールヨードニウム塩類、トリアリールスルホニウム塩類、鉄アレン錯体類等が挙げられる。ジアリールヨードニウム塩類で好ましいものとしては上述した光ラジカル重合開始剤系で示したヨードニウムのテトラフルオロボレート、ヘキサフルオロホスフェート、ヘキサフルオロアルセネート、ヘキサフルオロアンチモネートなどが挙げられる。トリアリールスルホニウム塩類で好ましいものとしては、トリフェニルスルホニウム、4−ターシャリーブチルトリフェニルスルホニウム等が挙げられる。
また、発明においては、上記他の化合物として、上記光ラジカル重合開始剤系および光カチオン重合開始剤系以外に、必要に応じてバインダー樹脂、熱重合防止剤、シランカップリング剤、可塑剤、着色料等を併用してもよい。バインダー樹脂は、ホログラム形成前の組成物の成膜性、膜厚の均一性を改善する場合や、レーザー光等の光の照射による重合で形成された干渉縞を後露光までの間、安定に存在させるために使用される。バインダー樹脂は、カチオン重合性化合物やラジカル重合性化合物と相溶性のよいものであればよく、例えば塩素化ポリエチレン、ポリメチルメタクリレート、メチルメタクリレートと他の(メタ)アクリル酸アルキルエステルとの共重合体、塩化ビニルとアクリロニトリルの共重合体、ポリ酢酸ビニル等が挙げられる。バインダー樹脂は、その側鎖又は主鎖にカチオン重合性基等の反応性を有していてもよい。
5.体積ホログラム層形成用組成物
本発明の体積ホログラム層形成用組成物は、体積ホログラムが記録された体積ホログラム層を形成するために用いられるものである。本発明の体積ホログラム層形成用組成物は、カチオン重合性化合物、およびラジカル重合性化合物を含有することから、通常、光ラジカル重合開始剤系、および光カチオン重合開始剤系を併用し、光ラジカル重合開始剤系が感光するレーザー光等の光を照射して、ラジカル重合性化合物を重合させた後、次いで、光カチオン重合開始剤系が感光する上記レーザー光とは別の波長の光を照射することにより、カチオン重合性化合物を重合させる方法によって体積ホログラムが記録された体積ホログラム層が形成されることになる。
B.体積ホログラム積層体
次に、本発明の体積ホログラム積層体について説明する。本発明の体積ホログラム積層体は、カチオン重合性官能基を有するカチオン重合性化合物、およびラジカル重合性官能基を有するラジカル重合性化合物の重合物を含有し、体積ホログラムが記録された体積ホログラム層を備えるものであって、上記体積ホログラム層に、上記体積ホログラム層の破断強度を低下させることができ、かつカチオン重合性官能基を有するカチオン重合性機能材料の重合物が含まれることを特徴とするものである。
本発明の体積ホログラム積層体によれば、上記体積ホログラム層が、カチオン重合性官能基を有するカチオン重合性化合物、およびラジカル重合性官能基を有するラジカル重合性化合物の重合物を含有し、さらに上記体積ホログラム層の破断強度を低下させることができ、かつカチオン重合性官能基を有するカチオン重合性機能材料の重合物を含有することにより、上記体積ホログラム層の判断強度を低下させることができる。このため、本発明によれば箔切れ性に優れた体積ホログラム積層体を得ることができる。
本発明の体積ホログラム積層体は、上記体積ホログラム層を有することを特徴とするものであり、上記体積ホログラム層を有すること以外は、任意の構成とすることができるものである。
以下、このような体積ホログラム積層体について詳細に説明する。
1.体積ホログラム層
まず、本発明に用いられる体積ホログラム層について説明する。本発明に用いられる体積ホログラム層は、カチオン重合性官能基を有するカチオン重合性化合物、およびラジカル重合性官能基を有するラジカル重合性化合物の重合物を含有し、体積ホログラムが記録されたものである。そして、本発明に用いられる体積ホログラム層は、上記体積ホログラム層の破断強度を低下させることができ、かつカチオン重合性官能基を有するカチオン重合性機能材料の重合物が含まれることを特徴とするものである。このようなカチオン重合性機能材料の重合物が含有されることにより、本発明に用いられる体積ホログラム層の破断強度を低くすることができる結果、箔切れ性に優れた体積ホログラム積層体を得ることができるのである。
本発明に用いられる体積ホログラム層は、上記カチオン重合性機能材料、カチオン重合性化合物、およびラジカル重合性化合物の重合物が含まれるものである。ここで、「カチオン重合性機能材料」、「カチオン重合性化合物」、および「ラジカル重合性化合物」については、上記「A.体積ホログラム層形成用組成物」の項において説明したものと同様であるため、ここでの説明は省略する。
本発明に用いられる体積ホログラム層の厚みは、所定の体積ホログラム層を形成することができる範囲内であれば特に限定されるものではなく、上述した構成材料の種類に応じて適宜調整することができる。なかでも本発明に用いられる体積ホログラム層の厚みは、1μm〜50μmの範囲内であることが好ましく、3μm〜25μmの範囲内であることがより好ましい。なお、本発明においては体積ホログラム層に上記カチオン重合性機能材料の重合物が含まれていることから、厚みに関わらず箔切れ性の良好な体積ホログラム層を得ることができる。
本発明に用いられる体積ホログラム層には、上記体積ホログラム層は、上記カチオン重合性機能材料、カチオン重合性化合物、およびラジカル重合性化合物の重合物以外に、必要に応じて他の化合物が含まれていてもよい。このような他の化合物としては、上記「A.体積ホログラム層形成用組成物」の項において説明したものと同様のものを用いることができる。
本発明に用いられる体積ホログラム層は、上述した本発明の体積ホログラム層形成用組成物を用いることによって形成することができるものである。すなわち、上述したように本発明の体積ホログラム層形成用組成物は、カチオン重合性機能材料、カチオン重合性化合物、およびラジカル重合性化合物を含有するものであることから、当該体積ホログラム層形成用組成物を用いて、適宜、カチオン重合性機能材料、カチオン重合性化合物、およびラジカル重合性化合物を重合して体積ホログラムを記録することにより、本発明に用いられる体積ホログラム層を形成することができる。
2.体積ホログラム積層体
本発明の体積ホログラム積層体は、上述した体積ホログラム層を有するものであり、当該体積ホログラム層を有すること以外は、任意の構成とすることができるものである。本発明の体積ホログラム積層体の具体例としては、基材フィルムと体積ホログラム層を有する、ホログラムフィルム、ホログラムフィルムに接着剤層が設けられたホログラムラベル、ホログラムフィルムを細幅に断裁したホログラムスレッド、ホログラムスレッドが抄きこまれたホログラム偽造防止用紙、ホログラムフィルムがカードに埋め込まれたホログラムカード、ホログラムフィルムが接着剤層を介して布に貼り付けられている、ホログラム織ネーム、基材(紙)と体積ホログラム層と接着剤層が設けられたホログラム紙ラベル、基材フィルムと剥離性保護層と体積ホログラム層と接着剤層(ヒートシール層)が設けられたホログラム転写箔、ホログラム転写箔が金券や通帳や紙・フィルムなどに転写されて基材フィルムが除去された、保護層、本発明の体積ホログラム層、接着剤層、被転写体の層構成のものなどが挙げられる。
本発明の体積ホログラム積層体は、例えば、後述する「C.体積ホログラム層転写箔」の項において詳述する本発明の体積ホログラム層転写箔を用い、当該体積ホログラム層転写箔から、任意の被転写体へ体積ホログラム層を転写することによって製造することができる。
C.体積ホログラム層転写箔
次に、本発明に用いられる体積ホログラム層転写箔について説明する。上述したように本発明の体積ホログラム層転写箔は、基材と、上記基材上に形成された剥離性保護層と、上記剥離性保護層上に形成され、カチオン重合性官能基を有するカチオン重合性化合物、およびラジカル重合性官能基を有するラジカル重合性化合物の重合物を含有し、体積ホログラムが記録された体積ホログラム層と、上記体積ホログラム層上に形成され、熱可塑性樹脂を含有するヒートシール層と、を有するものであって、上記体積ホログラム層に、上記体積ホログラム層の破断強度を低下させることができ、かつカチオン重合性官能基を有するカチオン重合性機能材料の重合物が含まれることを特徴とするものである。
このような本発明の体積ホログラム層転写箔について図を参照しながら説明する。図1は本発明の体積ホログラム層転写箔の一例を示す概略断面図である。図1に例示するように、本発明の体積ホログラム層転写箔10は、基材11と、上記基材11上に形成された剥離性保護層12と、上記剥離性保護層12上に形成され、カチオン重合性官能基を有するカチオン重合性化合物、およびラジカル重合性官能基を有するラジカル重合性化合物の重合物を含有し、体積ホログラムが記録された体積ホログラム層13と、上記体積ホログラム層13上に形成され、熱可塑性樹脂を含有するヒートシール層14と、を有するものである。このような例において、本発明の体積ホログラム層転写箔10は、上記体積ホログラム層13に、上記体積ホログラム層13の破断強度を低下させることができ、かつカチオン重合性官能基を有するカチオン重合性機能材料の重合物が含まれることを特徴とするものである。
本発明の体積ホログラム層転写箔によれば、上記体積ホログラム層が、カチオン重合性官能基を有するカチオン重合性化合物、およびラジカル重合性官能基を有するラジカル重合性化合物の重合物を含有し、さらに上記体積ホログラム層の破断強度を低下させることができ、かつカチオン重合性官能基を有するカチオン重合性機能材料の重合物を含有することにより、上記体積ホログラム層の判断強度を低下させることができる。このため、本発明によれば箔切れ性に優れた体積ホログラム層転写箔を得ることができる。
本発明の体積ホログラム層転写箔は、通常、体積ホログラム層を任意の被転写体へ転写することによって、体積ホログラム積層体を作製するために用いられるものである。本発明の体積ホログラム層転写箔は、少なくとも基材、剥離性保護層、体積ホログラム層、およびヒートシール層を有するものであり、必要に応じて他の任意の構成を有してもよいものである。
以下、本発明に用いられる各構成について順に説明する。
1.体積ホログラム層
まず、本発明に用いられる体積ホログラム層について説明する。本発明に用いられる体積ホログラム層は、カチオン重合性官能基を有するカチオン重合性化合物、およびラジカル重合性官能基を有するラジカル重合性化合物の重合物を含有し、体積ホログラムが記録されたものである。そして、本発明に用いられる体積ホログラム層は、上記体積ホログラム層の破断強度を低下させることができ、かつカチオン重合性官能基を有するカチオン重合性機能材料の重合物が含まれることを特徴とするものである。このようなカチオン重合性機能材料の重合物が含有されることにより、本発明に用いられる体積ホログラム層の破断強度を低くすることができる結果、箔切れ性に優れた体積ホログラム層転写箔を得ることができるのである。
本発明に用いられる体積ホログラム層は、上記カチオン重合性機能材料、カチオン重合性化合物、およびラジカル重合性化合物の重合物が含まれるものである。ここで、「カチオン重合性機能材料」、「カチオン重合性化合物」、および「ラジカル重合性化合物」については、上記「A.体積ホログラム層形成用組成物」の項において説明したものと同様であるため、ここでの説明は省略する。
本発明に用いられる体積ホログラム層の厚みは、所定の体積ホログラム層を形成することができる範囲内であれば特に限定されるものではなく、上述した構成材料の種類に応じて適宜調整することができる。なかでも本発明に用いられる体積ホログラム層の厚みは、1μm〜50μmの範囲内であることが好ましく、3μm〜25μmの範囲内であることがより好ましい。なお、本発明においては体積ホログラム層に上記カチオン重合性機能材料の重合物が含まれていることから、厚みに関わらず箔切れ性の良好な体積ホログラム層を得ることができる。
本発明に用いられる体積ホログラム層には、上記体積ホログラム層は、上記カチオン重合性機能材料、カチオン重合性化合物、およびラジカル重合性化合物の重合物以外に、必要に応じて他の化合物が含まれていてもよい。このような他の化合物としては、上記「A.体積ホログラム層形成用組成物」の項において説明したものと同様のものを用いることができる。
本発明に用いられる体積ホログラム層は、上述した本発明の体積ホログラム層形成用組成物を用いることによって形成することができるものである。すなわち、上述したように本発明の体積ホログラム層形成用組成物は、カチオン重合性機能材料、カチオン重合性化合物、およびラジカル重合性化合物を含有するものであることから、当該体積ホログラム層形成用組成物を用いて、適宜、カチオン重合性機能材料、カチオン重合性化合物、およびラジカル重合性化合物を重合して体積ホログラムを記録することにより、本発明に用いられる体積ホログラム層を形成することができる。
2.基材
次に、本発明に用いられる基材について説明する。本発明に用いられる基材としては、本発明に用いられる剥離性保護層、体積ホログラム層、およびヒートシール層を支持できるものであれば特に限定されるものではない。このような基材としては、例えば、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリフッ化エチレン系フィルム、ポリフッ化ビニリデンフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルム、エチレン−ビニルアルコール共重合体フィルム、ポリビニルアルコールフィルム、ポリメチルメタクリレートフィルム、ポリエーテルスルホンフィルム、ポリエーテルエーテルケトンフィルム、ポリアミドフィルム、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体フィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム等のポリエステルフィルム、ポリイミドフィルム等の樹脂フィルム等を挙げることができる。
また、本発明に用いられる基材の厚みは、本発明の体積ホログラム層転写箔の用途や種類等に応じて適宜選択されるものであるが、通常、2μm〜200μm、好ましくは10μm〜50μmの範囲内とされる。
3.剥離性保護層
次に、本発明に用いられる剥離性保護層について説明する。本発明に用いられる剥離性保護層は、上述した基材および体積ホログラム層の間に形成されるものである。そして、このような位置に剥離性保護層が形成されていることによって、本発明の体積ホログラム層転写箔は、次のような効果を奏することができる。
まず第1に、上記剥離性保護層が用いられることにより、基材と体積ホログラム層とを接着力を任意の範囲に調整することができるため、本発明の体積ホログラム層転写箔から体積ホログラム層を転写させる際に、体積ホログラム層の基材からの剥離性を向上させることができる。
第2に、上記剥離性保護層が用いられることにより、本発明の体積ホログラム層転写箔を用いて被転写体に体積ホログラム層を転写した際に、体積ホログラム層の表面を剥離性保護層によって覆うことができるため、転写された体積ホログラム層を保護することができる。
本発明に用いられる剥離性保護層に用いられる材料としては、上述した効果を奏することが可能な剥離性保護層を形成できるものであれば特に限定されるものではないが、例えばポリメチルアクリレート、ポリメチルメタクリレート等のアクリル系およびメタアクリル系樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、セルロース樹脂、シリコーン樹脂、塩化ゴム、カゼイン、各種界面活性剤、金属酸化物等の1種または2種以上混合したもの等を挙げることができる。
また、本発明に用いられる剥離性保護層の厚みは、本発明の体積ホログラム層転写箔の用途や種類等に応じて適宜選択されるものであるが、通常、0.1μm〜20μmの範囲内であることが好ましく、0.5μm〜10μmの範囲内であることがより好ましい。
4.ヒートシール層
次に本発明に用いられるヒートシール層について説明する。本発明に用いられるヒートシール層は、上述した体積ホログラム層上に形成され、熱可塑性樹脂を含有するものであり、本発明の体積ホログラム層転写箔を用いて体積ホログラム層を被転写体へ転写する際に、体積ホログラム層と被転写体とを接着させる機能を有するものである。
以下、本発明に用いられるヒートシール層について詳細に説明する。
本発明に用いられる熱可塑性樹脂としては、本発明の体積ホログラム層転写箔から体積ホログラム層が転写される被転写体の種類に応じて、体積ホログラム層と被転写体とを接着できるものであれば特に限定されるものではない。このような熱可塑性樹脂としては、例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエチレン樹脂、エチレン−イソブチルアクリレート共重合樹脂、ブチラール樹脂、ポリ酢酸ビニルおよびその共重合体樹脂、アイオノマー樹脂、酸変性ポリオレフィン系樹脂、アクリル系・メタクリル系などの(メタ)アクリル系樹脂、アクリル酸エステル系樹脂、エチレン・(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン・(メタ)アクリル酸エステル共重合体、ポリメチルメタクリレート系樹脂、セルロース系樹脂、ポリビニルエーテル系樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリプロピレン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ビニル系樹脂、マレイン酸樹脂、アルキッド樹脂、ポリエチレンオキサイド樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、メラミン・アルキッド樹脂、シリコーン樹脂、ゴム系樹脂、スチレンブタジエンスチレンブロック共重合体(SBS)、スチレンイソプレンスチレンブロック共重合体(SIS)、スチレンエチレンブチレンスチレンブロック共重合体(SEBS)、スチレンエチレンプロピレンスチレンブロック共重合体(SEPS)等を挙げることができる。本発明においてはこれらのいずれの熱可塑性樹脂であっても好適に用いることができる。
なお、本発明に用いられる熱可塑性樹脂は1種類のみであってもよく、あるいは、2種類以上であってもよい。
本発明に用いられるヒートシール層には、上記熱可塑性樹脂以外に他の添加剤が含まれていてもよい。本発明に用いられる添加剤としては、例えば、分散剤、充填剤、可塑剤、帯電防止剤等を挙げることができる。
本発明に用いられるヒートシール層の厚みは特に限定されるものではなく、体積ホログラム層転写箔の種類や、本発明の体積ホログラム層転写箔を用いて体積ホログラム層が転写される被転写体の種類等によって適宜選択されるものであるが、通常、1μm〜50μmの範囲内であることが好ましく、なかでも1μm〜25μmの範囲内であることが好ましい。厚みが上記範囲よりも薄いと被転写体との接着性が不十分になってしまう可能性があるからである。また上記範囲よりも厚いと、本発明の体積ホログラム層転写箔から体積ホログラム層を転写する際に、ヒートシール層を加熱する温度が高くなりすぎてしまい、基材等に損傷が生じてしまう可能性があるからである。
5.他の構成
本発明の体積ホログラム層転写箔は、少なくとも上記基材、剥離性保護層、体積ホログラム層、およびヒートシール層を有するものであるが、必要に応じてこれら以外の任意の構成を有するものであってもよい。本発明に用いられる任意の構成としては、本発明の体積ホログラム層転写箔、あるいは本発明の体積ホログラム層転写箔を用いて製造される体積ホログラム積層体に所望の機能を付与することができるものであれば特に限定されるものではない。なかでも本発明に好適に用いられる任意の構成としては、画像形成層を挙げることができる。
本発明に用いられる画像形成層は、上記体積ホログラム層と上記ヒートシール層との間に形成されるものであり、本発明の体積ホログラム層転写箔を用いて体積ホログラム積層体を製造する際に、体積ホログラム層と共に被転写体に転写され、製造される体積ホログラム積層体に意匠性や偽造防止機能等の諸機能を付与することができるものである。
本発明の体積ホログラム層転写箔に画像形成層が形成されている場合について、図を参照しながら説明する。図2は、本発明の体積ホログラム層転写箔に画像形成層が形成されている場合の一例を示す概略断面図である。図2に例示するように、本発明の体積ホログラム層転写箔10には、上記体積ホログラム層13と上記ヒートシール層14との間に画像形成層15が形成されていてもよい。
本発明に用いられる画像形成層としては、本発明の体積ホログラム層転写箔を用いて製造される体積ホログラム積層体に画像を付与することにより、意匠性や偽造防止機能等を付与することできるものであれば特に限定されるものではない。このような画像形成層としては、本発明の体積ホログラム層転写箔を用いて製造される体積ホログラム積層体の用途に応じて、所望の画像を付与することができるものであれば特に限定されるものではなく、任意の材料によって画像が形成されたものを用いることができる。
なお、本発明に用いられる画像形成層は、通常、画像形成層自体がパターン状に形成されることによって画像を構成するものであり、画像形成層に画像が描画されるものではない。
ここで、本発明に用いられる画像形成層によって形成される画像は、本発明の体積ホログラム層転写箔を用いて製造する体積ホログラム積層体の用途に応じて、所望の画像とすることができる。なお、上記「画像」とは、パターン、線画、文字、図形、記号等のみならず、単に全面が着色された態様も含むものである。
本発明に用いられる画像形成層は、厚みが0.1μm〜50μmの範囲内であることが好ましく、0.5μm〜20μmの範囲内であることがより好ましい。厚みが上記範囲よりも厚いと、本発明の体積ホログラム層転写箔を用いて製造された体積ホログラム積層体の表面に、画像形成層が形成されていることに起因する凹凸形状が形成されてしまう可能性があるからである。また、上記範囲よりも薄いと、画像形成層に形成された画像の保存安定性等が損なわれるおそれがあるからである。
なお、本発明における画像形成層は、上記ヒートシール層内に埋め込まれるように形成されてもよい(図2参照)。
本発明に用いられる画像形成層の例としては、例えば、紫外線を吸収することにより蛍光を発する蛍光材料によって形成された蛍光画像形成層、視認する角度によって色が変化する光学可変材料によって形成された光学可変画像形成層を挙げることができる。本発明においては、これらのいずれの画像形成層であっても好適に用いることができる。ここで、上記蛍光画像形成層が用いられることにより、上記画像形成層の存在を外部から容易に視認できないようにすることができるため、本発明の体積ホログラム層転写箔を用いて、より偽造防止機能に優れた体積ホログラム積層体を製造することができるという利点がある。上記光学可変材料で作製された画像は、通常のインキでは複製することが不可能であるため、上記光学可変画像形成層が用いられていることにより、さらに偽造防止機能に優れた体積ホログラム積層体を製造することができるようになる。
以下、本発明に用いられる光学可変画像形成層および蛍光画像形成層について詳細に説明する。
(光学可変画像形成層)
まず、本発明に用いられる光学可変画像形成層について説明する。本発明に用いられる光学可変画像形成層は、光学可変材料によって形成されたものである。本発明に用いられる光学可変材料としては、所望の色を発現できるものであれば特に限定されるものではない。このような光学可変材料の例としては、例えば、所定の角度から観た際に、上記体積ホログラム層に記録された体積ホログラムの像と同一色の色を発現できるものを挙げることができる。このような光学可変材料が用いられることにより、所定の角度から視認した際に、画像形成層の画像と、体積ホログラム層の体積ホログラム像とを同一色の画像にすることができるため、上記体積ホログラム層における体積ホログラム像と、光学可変画像形成層における画像とが重なるように形成することにより、特定の角度において体積ホログラムが視認されないようにすることが可能になり、さらにセキュリティ性を向上させることができることになる。
本発明に用いられる光学可変材料としては、例えば、パール顔料、偏光インキ、液晶インキ、および再帰反射性インキ等を挙げることができる。本発明においてはこれらの光学可変材料を1種類のみ用いてもよく、あるいは、2種類以上を用いてもよい。
上記パール顔料としては、魚介類から抽出したパールエッセンス、塩基性炭酸鉛、酸性ヒ酸鉛、酸塩化ビスマス、雲母を金属酸化物で被覆したもの等を挙げることができる。本発明においてはこれらのいずれパール顔料であっても好適に用いることができるが、なかでも安全性の見地から雲母を金属酸化物で被覆したものが好ましい。ここで、金属酸化物としては、その光沢性および屈折率から酸化チタン、酸化鉄が好ましくは利用される。
また、本発明に用いられるパール顔料は、それをさらに顔料、染料等で着色したものであってもよい。
上記偏光インキおよび液晶インキとは、偏光コレステリック高分子液晶顔料とバインダーおよび分散剤等を混合したインキを意味するものである。上記偏光コレステリック高分子液晶顔料は、支持体に架橋性液晶ポリオルガノシロキサンと重合開始剤の混合溶液を剪断力などにより配向させながら塗布し、その後紫外線照射や加熱により架橋させ、架橋した液晶層を支持体から剥離し、ミル等で粉砕することによって得ることができる。
上記再帰反射性インキとは、ガラスビーズなど反射鏡となる粒子をバインダーに分散させたインキである。このようなインキとしては、雲母やアルミニウム粉体、着色パール顔料などその他の顔料素材と混ぜて使用してもよい。
(蛍光画像形成層)
次に、本発明に用いられる蛍光画像形成層について説明する。本発明に用いられる蛍光画像形成層は、紫外線を吸収することにより、蛍光を発する蛍光材料によって形成されたものである。本発明に用いられる蛍光材料としては、紫外線を吸収することにより所望の波長の蛍光を発することができるものであれば特に限定されるものではない。
本発明に用いられる蛍光材料は少なくとも1種類が用いられるものであるが、本工程においては発光する蛍光の波長が異なる複数の蛍光材料が用いられることが好ましく、特に赤、緑、青の各色を発色する蛍光材料が用いられることが好ましい。これにより本発明に用いられる画像形成層に蛍光でフルカラーの画像を形成することが可能になるからである。
本発明に用いられる蛍光材料としては、例えば、有機蛍光色素および無機蛍光色素を挙げることができる。
上記有機蛍光色素としては、例えば、有機蛍光色素としては、ジアミノスチルベンジスルホン酸誘導体、イミダゾール誘導体、クマリン誘導体、トリアゾール、カルバゾール、ピリジン、ナフタル酸、イミダゾロン等の誘導体、フルオレセイン、エオシン等の色素、アントラセン等のベンゼン環を持つ化合物などが挙げられる。具体的には可視光で無色の蛍光染料としては、EB−501(三井化学(株)製、発光色:青色)、EG−302(三井化学(株)製、発光色:黄緑色)、EG−307(三井化学(株)製、発光色:緑色)、ER−120(三井化学(株)製、発光色:赤色)、ER−122(三井化学(株)製、発光色:赤色)、蛍光増白剤と呼ばれるユビテックスOB(チバスペシャルティケミカルズ社製、発光色:青色)、ユーロピウム−テノイルトリフルオロアセトンキレート(シンロイヒ(株)、赤橙色)等を挙げることができる。
また、上記無機蛍光色素としては、無機蛍光色素としては、Ca、Ba、Mg、Sr、などの酸化物、硫化物、ケイ酸塩、リン酸塩、タングステン酸塩のなどの結晶を主成分とし、Eu、Mn、Pb、Fe、Mn、Zn、Ag、Cuなどの金属元素または希土類元素をドープ剤として添加した顔料を用いることができる。具体的には可視光下では無色から白色のG−300シリーズ(SrAl:Eu,Dy 根本特殊化学製 発光色:緑)やV−300シリーズ(CaAl4:Eu,Nd 根本特殊化学製 発光色:紫)等を挙げることができる。
また、本発明に用いられる蛍光材料としては、たとえば、チオフェン系蛍光色素、β−キノフタロン系蛍光色素、クマリン系蛍光色素、ビススチリルベンゼン系蛍光色素、オキサゾール系蛍光色素、およびユーロピウム錯体系蛍光色素等を挙げることができる。これらの蛍光色素の具体例としては、例えば特開2004−122690号公報に記載されたものを例示することができる。
なお、本発明に用いられる蛍光画像形成層には上記蛍光材料以外に、通常、バインダー樹脂が含まれることが好ましい。本発明に用いられるバインダー樹脂としては、例えば、エチルセルロース、エチルヒドロキシセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、酢酸セルロース等のセルロース系樹脂、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルブチラール、ポリビニルアセタール、ポリビニルピロリドン等のビニル系樹脂、ポリ(メタ)アクリレート、ポリ(メタ)アクリルアミド等のアクリル系樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル系樹脂、これらの樹脂の混合物等が挙げられる。本発明においてはこれらのいずれの樹脂であっても好適に用いることができる。
上記画像形成層以外に、本発明に用いられる任意の構成としては、例えば、体積ホログラム層とヒートシール層との接着性、あるいは、体積ホログラム層と、上記剥離性保護層との接着性を向上させるために用いられるプライマー層を挙げることができる。このようなプライマー層としては、例えば、ポリウレタン、ポリエステル、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、アクリル樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、エチレンと酢酸ビニルあるいはアクリル酸等との共重合体、エポキシ樹脂等が用いられたものを挙げることができる。
また本発明においては上記任意の構成として、上記体積ホログラム層とヒートシール層との間にバリア層が形成されてもよい。体積ホログラム層に用いられる感光材料やヒートシール層に用いられる熱可塑樹脂の組み合わせによっては、経時的に体積ホログラム層から他の層への低分子量成分の移行が起こり、これに起因して体積ホログラム層に記録された体積ホログラムの再生波長が青側(短波長側)に移行してしまう場合があるが、バリア層を設けることによって、このような問題を解消することができるからである。
バリア層に用いられる材料としては、所望のバリア性を発現できる材料であれば特に限定されるものではないが、通常、透明性有機樹脂材料が用いられる。本発明に用いられる透明性有機樹脂材料としては、例えば、無溶剤系の3官能以上、好ましくは6官能以上の、紫外線や電子線等の電離放射線に反応する電離放射線硬化性エポキシ変性アクリレート樹脂、ウレタン変性アクリレート樹脂、アクリル変性ポリエステル樹脂等を挙げることができる。
6.体積ホログラム層転写箔の製造方法
本発明の体積ホログラム層転写箔は、例えば、基材の片面上に剥離性保護層、体積ホログラム層、ヒートシール層を順次積層することにより製造することができる。基材上に各層を形成する方法については、一般的に体積ホログラム層転写箔を製造する方法として公知の方法を用いることができるため、ここでの説明は省略する。なお、上記体積ホログラム層は、上記本発明に係る体積ホログラム層形成用組成物を用いることにより、容易に形成することができる。
7.体積ホログラム層転写箔の用途
本発明の体積ホログラム層転写箔は、上記体積ホログラム層を被転写体に転写することによって、被転写体に体積ホログラム層が貼り合わされた構成を有する体積ホログラム積層体を製造するために用いられる。
本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
以下、実施例および比較例を挙げて本発明を具体的に説明する。
[実施例]
1.体積ホログラム転写箔の作製
(1)第1積層体
第1のフィルムとしてPETフィルム(ルミラーT60(50μm):東レ(株)製)を準備し、下記組成からなる体積ホログラム層形成用組成物を、乾燥膜厚7μmとなるようにグラビアコートにて塗工し、塗工面に表面離型処理PETフィルム(「SP−PET」50μm、トーセロ(株)製)をラミネートし、第1積層体を作製した。
<体積ホログラム層形成用組成物の組成>
・エポキシ基含有アクリル樹脂;ブレンマーCP−50M(日本油脂(株)製)
(重量平均分子量10,000、エポキシ当量310g/eq.) 35重量%
・1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル
(デナコールEX−212;ナガセケムテックス(株)製) 25重量%
・ジフェノキシエタノールフルオレンジアクリレート
(BPEFA;大阪ガスケミカル(株)製) 35重量%
・ジアリールヨードニウム塩(PI2074;ローディア製) 4重量%
・2,5−ビス(4−ジエチルアミノベンジリデン)シクロペンタノン 1重量%
・メチルイソブチルケトン 100重量%
・1−ブタノール 100重量%
・単官能エポキシモノマーYED111AN(ジャパンエポキシレジン社製)アルキルモノグリシジルエーテル 3重量部
(2)基材/保護層の第2積層体
第2のフィルムとしてPETフィルム(ルミラーT60(50μm):東レ(株)製)を準備し、下記組成からなる剥離性保護層形成用組成物を、乾燥膜厚1μmとなるようにグラビアコートにて塗工することにより剥離性保護層を形成した。
<剥離性保護層形成用組成物の組成>
・ポリメチルメタクリレート樹脂(分子量;35000) 97重量部
・ポリエチレンワックス(分子量;10000、平均粒径;5μm)
3重量部
・溶剤(メチルエチルケトン/トルエン=1/1(重量比))
400重量部
(3)体積ホログラムの記録
第1のフィルム/体積ホログラム層形成用組成物層/表面離型処理PETフィルムの積層体に波長;532nmのレーザー光を用いてリップマンホログラムを撮影し記録した。記録後、この積層体を100℃の雰囲気中で10分間加熱し、加熱後表面離型処理済PETフィルムを剥離して露出させた体積ホログラム層形成用組成物層に、第2のフィルム/剥離性保護層の積層体のはく製保護層側が接するようにして重ね、ニップした80℃の熱ローラー対の間を通過させて、第1のフィルム/体積ホログラム層/剥離性保護層/第2のフィルムの積層体を得た後、高圧水銀灯を用いて、全面に照射線量;2500mJ/cm2の紫外線を照射して、体積ホログラム層形成用組成物層の定着を行った。
(4)ヒートシール層の塗工
上記で作製した第1のフィルム/体積ホログラム層/剥離性保護層/第2のフィルムの第1のフィルムを剥離し体積ホログラム層上に下記組成からなるヒートシール層形成用組成物を、乾燥膜厚4μmとなるようにグラビアコートにて塗工することにより、ヒートシール層を形成した。
<ヒートシール層形成用塗工液の組成>
・ポリエステル樹脂(バイロン550 TOYOBO製 Tg:−15℃ 分子量280
00) 20重量部
・溶剤(メチルエチルケトン/トルエン=1/1(重量比)) 80重量部
(4)転写評価
保存前の体積ホログラム転写箔に対して、市販のホットスタンプ機を用い転写温度150℃、圧力0.8MPaで塩化ビニルカードへ転写評価を行った。5cmの正方形の押し型を使用し、転写箔の切れ込み内をホットスタンプするときれいに5cmの正方形状に転写することが出来た。また、厚さ125μm、米坪104g/m2の偽造防止用紙へも同様のホットスタンプ転写評価をおこなった。きれいに5cmの正方形状に転写することが出来、バリはほとんど認められなかった。
[比較例]
体積ホログラム層形成用組成物に単官能エポキシモノマーYED111AN(ジャパンエポキシレジン社製)アルキルモノグリシジルエーテルを含有させなかったこと以外は、実施例1と同様に体積ホログラム層転写箔を作製した。実施例1と同様に転写評価を行ったところ、塩化ビニルカードへの転写も、偽造防止用紙への転写も転写領域境界において、約1mm程度のバリが発生し、きれいに転写することはできなかった。
10 … 体積ホログラム層転写箔
11 … 基材
12 … 剥離性保護層
13 … 体積ホログラム層
14 … ヒートシール層
15 … 画像形成層

Claims (4)

  1. カチオン重合性官能基を有するカチオン重合性化合物、およびラジカル重合性官能基を有するラジカル重合性化合物を含有し、体積ホログラムが記録された体積ホログラム層を形成するために用いられる体積ホログラム層形成用組成物であって、
    前記体積ホログラム層の破断強度を低下させることができ、かつカチオン重合性官能基を有するカチオン重合性機能材料を含有することを特徴とする、体積ホログラム層形成用組成物。
  2. 前記カチオン重合性機能材料が、分子内に単一の前記カチオン重合性官能基を有する単官能化合物であることを特徴とする、請求項1に記載の体積ホログラム層形成用組成物。
  3. カチオン重合性官能基を有するカチオン重合性化合物、およびラジカル重合性官能基を有するラジカル重合性化合物の重合物を含有し、体積ホログラムが記録された体積ホログラム層を備える体積ホログラム積層体であって、
    前記体積ホログラム層に、前記体積ホログラム層の破断強度を低下させることができ、かつカチオン重合性官能基を有するカチオン重合性機能材料の重合物が含まれることを特徴とする、体積ホログラム積層体。
  4. 基材と、
    前記基材上に形成された剥離性保護層と、
    前記剥離性保護層上に形成され、カチオン重合性官能基を有するカチオン重合性化合物、およびラジカル重合性官能基を有するラジカル重合性化合物の重合物を含有し、体積ホログラムが記録された体積ホログラム層と、
    前記体積ホログラム層上に形成され、熱可塑性樹脂を含有するヒートシール層と、
    を有する体積ホログラム層転写箔であって、
    前記体積ホログラム層に、前記体積ホログラム層の破断強度を低下させることができ、かつカチオン重合性官能基を有するカチオン重合性機能材料の重合物が含まれることを特徴とする、体積ホログラム層転写箔。
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