JP2004138102A - 継手 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】継手は筒状をなし、内部に挿入孔21が貫通形成され、基端に第2フランジ25が周設されている雌側継手20と、この雌側継手20の挿入孔21に挿入可能な突出部14を有する雄側継手11とから構成されている。また、雌側継手20のフランジ側端縁28には面取り部29が周設されている。この面取り部29にはフランジ側端縁28から内方へ順にアール面30、雌側継手20の軸線31と平行に延びる円環状のストレート面32及びストレート面32から雌側継手20の軸線31方向内方に向かうに従い縮径するテーパ面33が形成されている。そして、雄側継手11の突出部14を雌側継手20の挿入孔21に押し込むときには、シールリング18の外周面がストレート面32に摺接し、シールリング18の抜け出しが防止されるようになっている。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、水道配管、温水配管、床暖房、ロードヒーティング等に使用されるパイプ用の継手に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、例えば水道配管に、架橋ポリエチレン又はポリブテン製のパイプを接続するために継手が使用されている。この種の継手としては、以下に示すものが知られている(例えば、特許文献1参照)。すなわち、雌側継手に雄側継手の一端を内挿し、2つの継手を連結することにより構成されているタイプのものである。前記雌側継手は中心に挿入孔が貫設されるとともに、その基端部外周面にはフランジが突設されている。また、雄側継手の中間部外周面にはフランジが突設され、該フランジよりも先端側には雌側継手の挿入孔に挿入される突出部が設けられている。その突出部の先端部外周面には先端縁から雄側継手の軸線方向内方に向かうに従い拡径する面取り部が周設されている。また、突出部の中央部には収容溝が周設され、シール部材としてのシールリングが嵌着されている。
【0003】
雌側継手と雄側継手とを接続するには、まず雄側継手の突出部を雌側継手の挿入孔に挿入する。このとき、雄側継手の面取り部が挿入案内の役割をする。そして、雄側継手の突出部が雌側継手の挿入孔に完全に挿入され、各継手に設けられたフランジが突き合わされた後にこの突き合わせ部分に連結部材を装着する。
【0004】
この結果、連結部材によって雌側継手と雄側継手とが接続され、前記シールリングによって雌側継手の基端部内周面と雄側継手の突出部外周面との間がシールされる。
【0005】
【特許文献1】
特開2000―65260号公報 (第3〜4頁、図1)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、壁裏や床下等の狭い空間においては、雄側継手を雌側継手の軸線方向に対して斜め方向から接続する場合がある。この場合、雄側継手の突出部に設けられた収容溝に嵌着されたシールリングが雌側継手の挿入孔側端縁と接触し、その状態で無理な力を加えて雄側継手の突出部を雌側継手の挿入孔に挿入するとシールリングが収容溝から押し出されるおそれがあるという問題があった。
【0007】
本発明は、上記のような従来技術に存在する問題点に着目してなされたものである。その目的とするところは、シールリングの抜け出しを防止することができる継手を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、請求項1に記載の発明の継手は、筒状をなし、その一端にはフランジが周設され、内部には断面円形状の挿入孔が貫通形成され、挿入孔の内周面のフランジ側端縁には面取り部が周設されている雌側継手と、筒状をなし、その一端には前記挿入孔に挿入可能な円筒状の突出部を有し、突出部に周設された収容溝にはシールリングが嵌着され、突出部の基端にはフランジが周設されている雄側継手とからなり、両継手のフランジが突き合わされた状態で連結部材を装着して接続される継手において、前記面取り部には雌側継手の軸線と平行に延びる円環状のストレート面が設けられていることを特徴とするものである。
【0009】
請求項2に記載の発明の継手は、請求項1に記載の発明において、前記ストレート面の直径は挿入孔の内周面の直径よりも大きく、シールリングの外径よりも小さく設定されたことを特徴とするものである。
【0010】
請求項3に記載の発明の継手は、請求項1又は請求項2に記載の発明において、前記面取り部のフランジ側端縁から雌側継手の軸線方向内方への深さはシールリングの前記軸線方向の厚みと略同一に設定されたことを特徴とするものである。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図2に示すように、雄側継手11は筒状をなし、断面円形状の貫通孔12が貫通形成されている。雄側継手11の基端部外周面には第1雄ねじ部13が螺刻され、図示しない水道配管等の管体に螺合可能になっている。雄側継手11の先端部には円筒状をなす突出部14が設けられ、該突出部14の基端には第1フランジ15が周設されている。そして、第1フランジ15より基端側には第1環状溝16が凹設されている。
【0012】
前記突出部14の外周面には一対の収容溝17が周方向に凹設され、各収容溝17にはゴム材料製の断面円形状をなすシールリング18がそれぞれ嵌着されている。また、突出部14の先端外周縁は円弧面19となっている。
【0013】
一方、雌側継手20は筒状をなし、内部には断面円形状の挿入孔21が貫通形成されている。この挿入孔21の中央部には、基端側の内径が先端側の内径よりも大きくなる段差部22が形成され、この段差部22から基端側は雄側継手11の突出部14が挿入される挿入孔21の拡径部23となり、先端側は縮径部24となっている。そして、雄側継手11の突出部14が雌側継手20の挿入孔21の拡径部23に挿入されたときには、挿入孔21の拡径部23内周面に各シールリング18の外周面がそれぞれ密接され、雄側継手11の突出部14の外周面と雌側継手20の挿入孔21の拡径部23内周面との間がシールされるようになっている。また、雌側継手20の基端には第2フランジ25が周設され、該第2フランジ25より先端側には第2環状溝26が凹設されている。雌側継手20の先端部外周面には第2雄ねじ部27が螺刻され、図示しない水道配管等の管体に螺合可能になっている。
【0014】
図3に示すように、雌側継手20のフランジ側端縁28には面取り部29が周設されている。この面取り部29にはフランジ側端縁28から内方へ順にアール面30、雌側継手20の軸線31と平行に延びる円環状のストレート面32及びストレート面32から雌側継手20の軸線31方向内方に向かうに従い縮径するテーパ面33が形成されている。図1に示すように、ストレート面32の直径は雌側継手20の挿入孔21の拡径部23内周面の直径よりも大きく、雄側継手11の突出部14の収容溝17に嵌着されたシールリング18の外径よりも小さく設定されている。また、図3に示すように、テーパ面33の雌側継手20の軸線31方向に対する傾斜角度は30°に設定されている。面取り部29のフランジ側端縁28から雌側継手20の軸線31方向内方への深さ34は、シールリング18の前記軸線31方向の厚みと略同一に設定されている。
【0015】
図2に示すように、雄側継手11と雌側継手20とは第1フランジ15及び第2フランジ25の外端面同士が突き合わされた状態で連結部材としてのクイックファスナー35を装着することにより連結されている。図4(a)、(b)に示すように、クイックファスナー35は、ばね性を有する金属材料からなる板材を左右対称に曲げることにより、先端部間に開口部を有する略C環状に形成されている。該クイックファスナー35の周面上には略等間隔おきにヒンジ部36が断面コ字状に折曲形成され、両開口端部にはガイド部37がそれぞれ外方へ拡がるように折り曲げ形成されている。また、クイックファスナー35の両側壁38には挟持孔39がヒンジ部36を避けるようにしてその周方向に延びるように透設されている。
【0016】
そして、雄側継手11の第1フランジ15と雌側継手20の第2フランジ25とが突き合わされた状態で、クイックファスナー35の挟持孔39に第1フランジ15及び第2フランジ25が挟持されるようにガイド部37側からクイックファスナー35を装着するようになっている。ここで、第1フランジ15及び第2フランジ25の幅は挟持孔39を形成する内側壁40間の間隔とほぼ同じに設定され、第1フランジ15及び第2フランジ25がクイックファスナー35により連結固定されるようになっている。
【0017】
前記雄側継手11と、雌側継手20と、それらを接続するクイックファスナー35とから本実施形態の継手が構成されている。
次に、実施形態の継手の作用について以下に記載する。
【0018】
さて、雄側継手11と雌側継手20とを接続する場合には、まず、図5に示すように、雄側継手11の突出部14を雌側継手20の挿入孔21の拡径部23に挿入する。このとき、雄側継手11の突出部14の先端外周縁に設けられた円弧面19が突出部14の挿入を容易にする。そして、図6に示すように、雄側継手11の突出部14の先端部が雌側継手20の面取り部29よりも僅かに内奥側に達したとき、先端側に位置するシールリング18の外周面が面取り部29のアール面30と接触し、シールリング18が縮径されるように押し込まれる。続いて、図1に示すように、雄側継手11の突出部14を雌側継手20の挿入孔21の拡径部23に押し込むとシールリング18の外周面はストレート面32に摺接し、シールリング18は面取り部29内に収容される。
【0019】
次いで、雄側継手11の突出部14をさらに雌側継手20の挿入孔21の拡径部23に押し込むと、シールリング18はテーパ面33に案内されて縮径されながら雌側継手20の挿入孔21の拡径部23内周面に摺接するように移動する。また、もう1つの収容溝17に嵌着されたシールリング18も同様に面取り部29内に収容された後、雌側継手20の挿入孔21の拡径部23内周面へと移動する。そして、雄側継手11の突出部14が雌側継手20の挿入孔21の拡径部23に完全に押し込まれ、第1フランジ15の外端面が第2フランジ25の外端面に突き合わされる。
【0020】
このとき、一対のシールリング18によって雌側継手20の挿入孔21の拡径部23内周面と雄側継手11の突出部14の外周面との間がシールされる。
続いて、図5に示すように、第1フランジ15及び第2フランジ25の突き合わせ部分にクイックファスナー35の開口部が上方から押し付けられる。すると、クイックファスナー35の開口部がその弾性力によって拡げられ、下方に押し込まれたクイックファスナー35は、やがてその弾性力で元の形状に復帰する。そして、その側壁38が第1環状溝16及び第2環状溝26内にそれぞれ収容されるとともに、挟持孔39を形成する内側壁40に第1フランジ15及び第2フランジ25が接触した状態で挟持孔39に嵌入される。この状態でクイックファスナー35の内側に雄側継手11の中間部と雌側継手20の基端部とが包摂されるとともに、挟持孔39内で第1フランジ15及び第2フランジ25が挟着され、雄側継手11及び雌側継手20の脱着が規制される。
【0021】
以上の本実施形態によって発揮される効果について、以下に記載する。
・ 本実施形態の継手においては、雌側継手20のフランジ側端縁28には面取り部29が周設され、この面取り部29には雌側継手20の軸線31と平行に延びるストレート面32が設けられている。このため、雄側継手11の突出部14を雌側継手20の挿入孔21の拡径部23に押し込むときには、シールリング18がストレート面32に摺接されて面取り部29内に収容される。従って、各収容溝17からのシールリング18の抜け出しを防止することができる。
【0022】
・ さらに、面取り部29に設けられたストレート面32の直径は雌側継手20の挿入孔21の拡径部23内周面の直径よりも大きく、雄側継手11の突出部14の収容溝17に嵌着されたシールリング18の外径よりも小さく設定されている。このため、シールリング18の外周面がストレート面32と摺接したときには、シールリング18がストレート面32に沿って円滑に案内される。これにより、各収容溝17内からのシールリング18の抜け出しをより効果的に防止することができる。
【0023】
・ 加えて、面取り部29のフランジ側端縁28から雌側継手20の軸線31方向内方への深さ34は、シールリング18の前記軸線31方向の厚みと略同一に設定されている。このため、雄側継手11の突出部14を雌側継手20の挿入孔21の拡径部23に挿入する際は、シールリング18は面取り部29内に一旦収容されるとともに、雌側継手20の軸線31方向への移動が規制され、収容溝17内に安定して保持される。しかも、シールリング18が面取り部29を経て、雌側継手20の挿入孔21の拡径部23に押し込まれる際にもシールリング18に無理な力が加わることがないため、各収容溝17内からのシールリング18の抜け出しをさらに効果的に防止することができる。
【0024】
・ 面取り部29のテーパ面33の雌側継手20の軸線31方向に対する傾斜角度は30°に設定されている。このため、ストレート面32によって縮径されたシールリング18をさらに段階的に圧縮し、収容溝17内に安定して保持させた状態で雌側継手20の挿入孔21の拡径部23に押し込むことができる。
【0025】
・ 面取り部29にはストレート面32よりも基端側にアール面30が形成されている。このため、該アール面30がシールリング18の挿入案内の役割を成し、容易に雌側継手20の面取り部29内に押し込むことができる。
【0026】
・ 雄側継手11の突出部14の外周面には一対のシールリング18が嵌着されている。このため、雄側継手11の突出部14の外周面と雌側継手20の挿入孔21の拡径部23内周面との間が確実にシールされ、継手内からの水漏れの発生を効果的に防止することができる。
【0027】
なお、本実施形態は、次のように変更して具体化することも可能である。
・ 面取り部29のフランジ側端縁28から雌側継手20の軸線31方向内方への深さ34を、シールリング18の前記軸線31方向の厚みよりも大きくしてもよい。
【0028】
・ また、面取り部29に設けられたアール面30をテーパ面33に変更してもよい。
・ さらには、面取り部29に設けられたテーパ面33をアール面30に変更してもよい。
【0029】
・ 面取り部29に設けられたテーパ面33の雌側継手20の軸線31方向に対する傾斜角度を、例えば20°、40°などに変更してもよい。
・ 雄側継手11の突出部14の外周面に1つのシールリング18が嵌着される構成に変更してもよい。
【0030】
・ シールリング18の断面の形状を楕円形のものに変更してもよい。
さらに、前記実施形態より把握できる技術的思想について以下に記載する。
・ 前記面取り部にはストレート面の両端部にアール面及びテーパ面の少なくとも一方が形成されている請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の継手。この構成によれば、シールリングは容易に面取り部内に押し込まれ、シールリングを収容溝内に安定に保持した状態で雌側継手の挿入孔の拡径部に押し込むことができる。
【0031】
・ 前記面取り部のフランジ側端縁から雌側継手の軸線方向内方への深さは、シールリングの前記軸線方向の厚みよりも大きく設定されている請求項3に記載の継手。この構成によれば、面取り部内に収容されたシールリングは、雌側継手の軸線方向の移動がさらに規制され、収容溝内にさらに安定して保持することができる。
【0032】
【発明の効果】
以上詳述したように、この発明によれば、次のような効果を奏する。
請求項1に記載の発明の継手によれば、シールリングの抜け出しを防止することができる。
【0033】
請求項2に記載の発明の継手によれば、シールリングの抜け出しをより効果的に防止することができる。
請求項3に記載の発明の継手によれば、シールリングの抜け出しをさらに効果的に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態におけるシールリングが面取り部内に収容された状態を示す部分拡大側断面図。
【図2】実施形態の継手を示す側断面図。
【図3】雌側継手の面取り部を示す拡大側断面図。
【図4】(a)はクイックファスナーを示す斜視図、(b)は図4(a)の4b―4b線における断面図。
【図5】実施形態の継手を示す分解側断面図。
【図6】シールリングが面取り部内に収容され始める状態を示す拡大側断面図。
【符号の説明】
11…雄側継手、14…突出部、15…フランジとしての第1フランジ、17…収容溝、18…シールリング、20…雌側継手、21…挿入孔、25…フランジとしての第2フランジ、28…フランジ側端縁、29…面取り部、31…軸線、32…ストレート面、34…深さ、35…連結部材としてのクイックファスナー。
Claims (3)
- 筒状をなし、その一端にはフランジが周設され、内部には断面円形状の挿入孔が貫通形成され、挿入孔の内周面のフランジ側端縁には面取り部が周設されている雌側継手と、筒状をなし、その一端には前記挿入孔に挿入可能な円筒状の突出部を有し、突出部に周設された収容溝にはシールリングが嵌着され、突出部の基端にはフランジが周設されている雄側継手とからなり、両継手のフランジが突き合わされた状態で連結部材を装着して接続される継手において、
前記面取り部には雌側継手の軸線と平行に延びる円環状のストレート面が設けられていることを特徴とする継手。 - 前記ストレート面の直径は挿入孔の内周面の直径よりも大きく、シールリングの外径よりも小さく設定された請求項1に記載の継手。
- 前記面取り部のフランジ側端縁から雌側継手の軸線方向内方への深さはシールリングの前記軸線方向の厚みと略同一に設定された請求項1又は請求項2に記載の継手。
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