JP4500423B2 - 継手 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば給水系及び給湯系の配管システムにおいて使用される樹脂パイプ用の継手に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来のこの種の継手としては、次のようなものが知られている。すなわち、従来の継手は、樹脂パイプの端部の挿入を許容する挿入空間を有する本体と、本体の一端に嵌入された割リングと、本体の一端に螺合されたナットとから主に構成されている。前記本体の内部からは挿入空間内へ突出する内筒部が突設され、その内筒部の先端外周面には収容溝が凹設されている。さらに、前記収容溝にはゴム材料によりリング状に形成された止水部材としてのシール材が嵌着されている。
【0003】
上記の継手に樹脂パイプを接続する場合には、まず樹脂パイプの端部を挿入空間内に差し込むとともに、樹脂パイプ内に内筒部を嵌入し、次いで本体に螺合されたナットをさらに締め付ける。ナットを締め付けると割リングは継手の内奥方向へと押し込まれる。そして、本体の内周面に対して割リングの外周面が係合して割リングが縮径されることにより、割リングが樹脂パイプの外周面に圧接して係合され、樹脂パイプの端部が挿入空間内に抜け止めされる。それと同時に、シール材がパイプ内周面に密接して内筒部外周面とパイプ内周面との間が止水される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記した従来の継手において、樹脂パイプの端部が斜状に切断され、その切断された側を挿入空間内に挿入したとき、斜状をなす切断面のうち、突出した部分が先ずシール材に接触する。さらに、その突出した部分の内周面によりシール材が押圧されるとともに、樹脂パイプ内周面と収容溝との間にシール材が挟み込まれる。このとき、前記樹脂パイプの端面において、突出した部分のほぼ反対側の部分はシール材に到達しておらずシール材はパイプ内周面に抑え込まれていない。そのため、樹脂パイプの突出した部分によるシール材に対する押圧力が、樹脂パイプにより押圧されていない部分に伝達してシール材が収容溝から突出してしまう。
【0005】
そして、シール材が収容溝から突出した状態で樹脂パイプをさらに挿入空間内に挿入すると、収容溝から突出したシール材に樹脂パイプの端面が到達し、そのシール材を本体奥方へ押し出してしまう。このとき、収容溝から突出した部分の反対側に位置するシール材は樹脂パイプ内周面と収容溝とにより挟み込まれているため、収容溝内を移動できず、奥方へ押し出されたシール材が樹脂パイプの挿入により切断されたり、損傷を受けたりしてしまうおそれがあるという問題があった。
【0006】
本発明は、上記のような従来技術に存在する問題点に着目してなされたものである。その目的とするところは、パイプの挿入空間内への挿入に伴う止水部材の収容溝からの突出、止水部材の損傷等の止水部材に起因する不具合をなくすことができる継手を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、請求項1〜3に記載の発明は、筒状をなし、パイプの端部の挿入を許容する挿入空間を内部に有する本体と、前記本体の内部に突設されるとともに、前記挿入空間内に挿入されるパイプに内嵌される内筒部と、前記本体の一端に螺合されたナットと、前記本体とナットとの間に配置されてパイプの端部を挿入空間内に抜け止めする抜け止め部材とを備えた継手において、前記内筒部の外周面に収容溝を凹設するとともに、その収容溝に前記挿入空間に挿入されるパイプの内周面に圧接する弾性材料製の止水部材を収容し、その止水部材を少なくとも2本のリング状をなすシール材を連結して形成して、前記挿入空間内へのパイプの挿入の際の止水部材の収容溝からの突出を規制するように構成したことを特徴とするものである。
【0008】
とくに、請求項1に記載の発明は、前記止水部材を、少なくとも2本のシール材を、同各シール材に対して斜状に交差する連結部材により連結して斜め格子状に形成したものである。
【0009】
とくに、請求項2に記載の発明は、前記各シール材の間に形成される隙間から潤滑補助剤を収容したものである。
とくに、請求項3に記載の発明は、前記収容溝を内筒部の先端側に向かうにつれて深さが深くなるように凹設したものである。
【0010】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の継手において、前記抜け止め部材を環状をなすとともに、その内周から内方へ突出する複数の規制片を備えたロックリングにより形成し、前記本体の一端に螺合されたナット内を介して本体の挿入空間内にパイプを挿入し、前記ロックリングの規制片のパイプ外面への係合によりパイプを挿入空間から抜け止めするように構成したものである。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を、水道配管を構成する管体の端部とポリオレフィン(架橋ポリエチレン、ポリブテン等)等の合成樹脂材料で形成された樹脂パイプの端部とを接続する継手に具体化した一実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、以下の説明における上下左右は、図1における上下左右に対応する。
【0012】
図1に示すように、継手11は、前記管体(図示せず)の端部が接続される管体接続部12を左端に有し、樹脂パイプ10(図3〜図5参照)の端部が接続されるパイプ接続部13を右端に有している。樹脂パイプ10は端部をパイプ接続部13から継手11内に差し込むことにより、また管体(図示せず)は端部を管体接続部12に外嵌させることにより継手11に接続されるようになっている。この継手11は、図1及び図3に示すように、円筒状の本体14と、その本体14に組付けられるナット15、割リング16、座金17、止水部材19、Oリング18、カラー20及びシャフト21とから構成されている。本体14、ナット15、割リング16及び座金17は真鍮で、Oリング18及び止水部材19は弾性材料としてのエチレン−プロピレン−ジエン共重合体で、カラー20及びシャフト21はポリアセタールでそれぞれ形成されている。
【0013】
本体14は、左右両端の外周面にネジ山22,23を有している。そして、本体14の右端には前記ナット15が螺合され、本体14の左端には前記管体(図示せず)が螺合されるようになっている。また、図1に示すように、本体14の右端内周面は、右側に向かうほど本体14の外周面に接近するテーパ面24となっている。さらに、本体14の内部には円筒状の内筒部25が突設されている。この内筒部25は本体14の軸線方向における中間部の内周面から右側に向かって延出されている。
【0014】
内筒部25の右端部には、止水部材19が収容された収容溝26が凹設されている。この収容溝26は、内筒部25の周方向に全周にわたって形成されている。収容溝26は、先端側(右側)に向かうにつれて深さが深くなるように内底面を傾斜させて形成されている。この内筒部25と本体14との間には円環状の隙間があり、この隙間がパイプ接続部13から継手11内に差し込まれる樹脂パイプ10の挿入を許容する挿入空間27となっている。
【0015】
前記収容溝26に収容される弾性材料製の止水部材19について説明する。図1及び図2の止水部材19の展開図で示すように、止水部材19は同じ内径を有する2本のリング状をなすシール材19aが、各シール材19aと同じ直径を有する連結部材19bにより各シール材19aの軸線が互いに平行をなすように連結して形成されている。なお、止水部材19の幅方向への長さは8mmに設定されている。
【0016】
止水部材19について具体的に説明すると、止水部材19は展開状態で、複数本の直線状をなす連結部材19bが一対のシール材19aに対してそれぞれ斜めに交差するとともに、各連結部材19b同士が互いに一定間隔をおいて平行かつ直交するように連結され、さらに、連結部材19b同士は直交している。その結果、一対のシール材19a間で連結部材19b同士が交差して斜め格子状をなすように配置されているとともに、一対のシール材19aと連結部材19bとの間に隙間19cが形成されている。
【0017】
そして、上記構成の止水部材19が収容溝26に嵌着された状態では、止水部材19の外周面は、収容溝26内のいずれの位置にある場合でも収容溝26からわずかに突出されている。また、その突出量は内筒部25の右側から左側、即ち内筒部25の先端側から挿入空間27へ向かうに連れて大きくなっている。さらに、一対のシール材19aは同じ内径を有するが、収容溝26の左側の直径は右側の直径よりも大きいため、左側のシール材19aは右側のシール材19aよりも収容溝26内底面に対する締付力が大きくなっている。
【0018】
内筒部25に外嵌された樹脂パイプ10の内周面に対して止水部材19が圧接することで、樹脂パイプ10と内筒部25との間がシールされるようになっている。前記隙間19cには潤滑補助剤としてのグリースが収容され、樹脂パイプ10の止水部材19上の通過によりグリースが止水部材19外面に塗布されるようになっている。
【0019】
図1及び図3に示すように、前記ナット15は、内周面にネジ山28を有するとともに、右端部から径方向内側に向かって延出された円環状の係止部29を有している。前記割リング16は本体14の右端に嵌入されている。割リング16は略C字状に形成され、外方から径方向内側に向かって力が加わったときに縮径可能な構成となっている。また、割リング16の外周面は、左側に向かうほど割リング16の内周面に接近して、その左端において前記内周面と一致するテーパ面16aとなっている。前記座金17はリング状に形成され、割リング16とナット15の係止部29との間に介在されている。
【0020】
前記Oリング18は、前記挿入空間27の内奥部に配設されている。そして、挿入空間27の内壁とその挿入空間27に挿入される樹脂パイプ10の端部とに密接することにより両者間をシールするようになっている。
【0021】
前記カラー20は、本体14の中間部において径方向に穿設された貫通孔30に嵌入されている。貫通孔30は、挿入空間27の内奥部に対応する位置において挿入空間27に連通するように形成されている。一方、シャフト21は略円柱状に形成されている。シャフト21の下端部は下方に向かうほど縮径する円錐形状をなし、この下端部には傾斜面としてのテーパ面31が形成されている。シャフト21は、カラー20に嵌挿された状態で貫通孔30内に配設され、その貫通孔30内において上下に移動可能に構成されている。
【0022】
次に、上記のように構成された継手11の作用を説明する。
継手11のパイプ接続部13に、端面が斜状に切断された樹脂パイプ10を接続する場合には、まず、図4に示すように、内筒部25の右端に樹脂パイプ10の端部を外嵌させて、その状態で樹脂パイプ10を継手11の挿入空間27内奥に向かって押し込む。樹脂パイプ10を奥方へ押し込むと、樹脂パイプ10の切断面において、突出した側の内周面と収容溝26との間に止水部材19の一部分が挟まれて止水部材19が収容溝26側へ押圧される。
【0023】
このとき、止水部材19は一対のシール材19a及び複数の連結部材19bより構成されているため、止水部材19が一本のシール材19aにより構成されている場合と比較して収容溝26内底面に対する締付力が大きくなっている。また、一対のシール材19aのうち、左側のシール材19aの前記締付力は右側のシール材19aよりも大きくなっている。さらに、樹脂パイプ10内周面による止水部材19の押圧力がシール材19a及び連結部材19bに分散される。加えて、連結部材19bは一対のシール材19aに対して斜めに交差しているため、連結部材19bが一対のシール材19aに対して直交している場合と比較して連結部材19bの軸線方向への長さが長くなっている。
【0024】
従って、止水部材19が一本のシール材19aにより形成されている場合と比較して、樹脂パイプ10内周面による止水部材19への押圧に対する抵抗力が大きくなり、押圧された部分のほぼ反対側に位置する部分へ伝達される前記押圧力が小さくなる。その結果、止水部材19が一本のシール材19aにより形成されている場合と比較して樹脂パイプ10内周面により押圧された部分のほぼ反対側に位置する止水部材19が収容溝26から突出するのが規制される。
【0025】
さらに、樹脂パイプ10を捻りながら内筒部25に外嵌させたとき、その捻り方向にほぼ沿うように止水部材19の連結部材19bが斜めに延びているため、連結部材19bが一対のシール材19aに対して直交している場合と比較して止水部材19の樹脂パイプ10内周面に対する抵抗が小さくなる。
【0026】
また、収容溝26は内筒部25の右側ほど深く、内筒部25の右端側、即ち、樹脂パイプ10が挿入される側に向かうに連れて収容溝26からの止水部材19の突出高さが少なくなっている。そのため、樹脂パイプ10の端面と止水部材19の端面との接触面積が小さくなり、樹脂パイプ10の端面が止水部材19を乗り越える際の抵抗が小さくなる。加えて、止水部材19の隙間19c及び止水部材19外面にはグリースが塗布されているため、樹脂パイプ10内周面と止水部材19外面との摩擦が小さくなり、樹脂パイプ10内周面の止水部材19上の通過が円滑に行われる。
【0027】
図5に示すように、さらに樹脂パイプ10を内奥に押し込むと、樹脂パイプ10の端部はシャフト21の下端部のテーパ面31に押し当たり、樹脂パイプ10を押し込むにつれてシャフト21は徐々に上方へ移動する。そして、端部がOリング18に当接するまで樹脂パイプ10を押し込んだとき、シャフト21の上端の突出量は最大となる。
【0028】
上記のようにして樹脂パイプ10を継手11内に差し込んで、シャフト21の上端が外方に突出しているのを確認した後、ナット15を締め付けることにより樹脂パイプ10の接続は完了する。ナット15を締め付けると、ナット15の係止部29によって座金17を介して割リング16が左方へ押し込まれ、本体14のテーパ面24に割リング16のテーパ面16aが係合して割リング16が縮径される。これにより、割リング16が樹脂パイプ10の外周面に圧接して係合し、樹脂パイプ10の不用意の脱落が抑制される。また同時に、樹脂パイプ10の端部が割リング16に挟持されながらさらに継手11の内奥へと押し込まれることにより、樹脂パイプ10の端部がOリング18に圧接されてシール性が発揮される。
【0029】
以上詳述した本実施形態によれば次のような効果が発揮される。
・ 止水部材19を一対のシール材19a及び連結部材19bを連結して形成したため、止水部材19の収容溝26に対する締付力、即ち、樹脂パイプ10の押圧に対する抵抗力を止水部材19が一本のシール材19aで形成されている場合と比較して大きくすることができる。従って、端面が斜状をなす樹脂パイプ10の挿入空間27内への挿入時、樹脂パイプ10により押圧された部分のほぼ反対側に位置する止水部材19が収容溝26から突出するのが規制され、止水部材19の突出部分に樹脂パイプ10の端面が接触することにより止水部材19が損傷を受けたり、切断されたりするといった不具合をなくすことができる。
【0030】
・ 樹脂パイプ10を捻りながら内筒部25に外嵌したとき、連結部材19bは樹脂パイプ10の捻り方向に沿って斜めに延びているため、一対のシール材19aに対して連結部材19bが直交している場合と比較して、連結部材19bに作用する捻り応力を小さくすることができる。従って、止水部材19が損傷を受けたり、切断されたりすると行った不具合をなくすことができる。
【0031】
・ 連結部材19bは一対のシール材19aに対して斜めに交差している。そのため、連結部材19bが一対のシール材19aに対して直交している場合と比較して軸線方向への長さが長く、樹脂パイプ10の押圧に対する抵抗力を大きくすることができる。従って、止水部材19が一本のシール材19aにより形成されている場合と比較して前記押圧力に対する抵抗が大きくなり、樹脂パイプ10内周面により押圧された部分と反対側に位置する止水部材19が収容溝26から突出するのをより規制することができる。
【0032】
・ 止水部材19の隙間19c内にはグリースが収容され、止水部材19外面にはグリースが塗布されているため、樹脂パイプ10内周面の止水部材19上の通過を円滑にして継手11に対する樹脂パイプ10の差込作業を速やかに行うことができる。
【0033】
・ 収容溝26は内筒部25の右側ほど深くなっているため、収容溝26が同じ深さに形成されている場合と異なり、収容溝26の右端に向かうに連れて収容溝26からの止水部材19の突出高さが少なくなっている。そのため、樹脂パイプ10の切断面と止水部材19との接触面積が小さくなり、樹脂パイプ10による止水部材19の押圧力を小さくして反対側の止水部材19の突出量を小さくすることができる。
【0034】
・ 同様に、樹脂パイプ10の端面の止水部材19上の通過を円滑に行うことができ、挿入空間27内への樹脂パイプ10の挿入作業を速やかに行うことができる。
【0035】
なお、前記実施形態を次のように変更して構成することもできる。
・ 実施形態では、抜け止め部材として割リング16を使用したが、図6に示す継手11を使用するとともに、割リング16の代わりに抜け止め部材としてロックリング33を使用してもよい。
【0036】
図6に示す継手11について説明すると、本体14の右端内周面のテーパ面24は省略され、本体14の右端には前記ロックリング33の円環状部分が係合可能に形成されている。収容溝26においては、右側に向かうにつれて深さが深くなるように内底面の直径が異なる3段の段差状に形成され、各段差部分と収容溝26内底面との間にシール材19aが収容可能な凹溝が形成されている。止水部材19は同じ内径を有する3本のシール材19aを円環状部分が互いに平行をなすように接合して形成され、収容溝26の各凹溝内に各シール材19aが嵌着されている。図6に破線で示すように、ロックリング33はステンレス鋼製の円環状をなし、その内周部分には内方へ同一長さで突出するとともに、樹脂パイプ10外周面に係合可能な複数の規制片33aが形成されている。
【0037】
そして、両ロックリング33はそれらの間に円環状をなすスペーサ34が介装された状態で本体14の右端面上に配設されている。そして、本体14にナット15を螺合すると、本体14とナット15との間に一対のロックリング33が間にスペーサ34を介装した状態で継手11内に位置決め固定される。
【0038】
この継手11の使用の際は、ナット15側から、そのナット15内を介して本体14の挿入空間27内奥方へ樹脂パイプ10を押し込む。すると、樹脂パイプ10の切断面において、突出した側の内周面と収容溝26との間に止水部材19の一部分が挟まれて止水部材19が収容溝26側へ押圧される。
【0039】
このとき、止水部材19は3本のシール材19aより構成されているため、止水部材19が一本のシール材19aにより構成されている場合と比較して収容溝26に対する締付力が大きくなっている。また、樹脂パイプ10端面によりシール材19aが奥方へ引っ張られたとき、各シール材19aはそれぞれ凹溝の壁面に当接するため、前記引張りに対する抵抗力が作用するとともに、左側のシール材19aを右側へ引っ張る力が作用する。
【0040】
従って、止水部材19が一本のシール材19aにより形成されている場合と比較して、樹脂パイプ10内周面による止水部材19への押圧に伴い発生する止水部材19をめくり上げる力に対する抵抗力が大きくなり、押圧された部分のほぼ反対側に位置する部分へ伝達される前記押圧力が小さくなる。その結果、止水部材19が一本のシール材19aにより形成されている場合と比較して樹脂パイプ10内周面により押圧された部分のほぼ反対側に位置する止水部材19が収容溝26から突出するのが規制される。
【0041】
さらに、樹脂パイプ10外面に一対のロックリング33の規制片33aが係合する。その結果、挿入空間27から樹脂パイプ10が抜け出るのが規制される。また、ナット15を本体14に螺合した後、樹脂パイプ10を差し込むだけて継手11に樹脂パイプ10が接続されるため、ナット15を締め付ける作業を省略することができ、樹脂パイプ10の継手11に対する接続作業を速やかに行うことができる。
【0042】
なお、収容溝26を段差状に形成せず、斜状に傾斜するように形成し、止水部材19を実施形態に使用したものを使用してもよい。また、左側に位置する凹溝を側断面直線状に形成し、その他の凹溝を、その側断面形状がシール材19aの外面形状に対応するように側断面円弧状に形成してもよい。
【0043】
・ 実施形態では収容溝26を内筒部25の右側に向かうにつれて深さが深くなるように内底面を傾斜して形成したが、収容溝26を傾斜させず、同じ深さに形成してもよい。また、収容溝26を同じ深さに形成した場合、内筒部25の右側に向かうにつれてシール材19aの外径を小さくして、止水部材19の収容溝26からの突出量を少なくしてもよい。このように構成した場合も、樹脂パイプ10の端面と止水部材19との接触面積を小さくして挿入空間27内への挿入作業を円滑に行うことができる。
【0044】
・ 実施形態では止水部材19の隙間19c及び止水部材19外面にグリースを塗布したが、グリースを塗布しなくてもよい。また、グリースの代わりに潤滑補助剤として止水部材19外面にワックス等を塗布してもよい。
【0045】
・ 実施形態では止水部材19を一対のシール材19aに対して連結部材19bが斜状に交差するように形成したが、図7に示すように、3本のシール材19aに対して連結部材19bが直交するようにしてシール材19a同士を連結部材19bで連結してもよい。また、一対のシール材19aに対して連結部材19bが直交するようにしてシール材19a同士を連結部材19bで連結してもよい。
【0046】
・ 実施形態では水道配管を構成する管体の端部と樹脂パイプ10の端部とを接続する継手11に具体化したが、排水管、給油管、ヘッダーと樹脂パイプ10又は銅等の軟質金属材料製のパイプの端部とを接続する際に、継手11を使用してもよい。
【0047】
さらに、前記実施形態より把握できる技術的思想について以下に記載する。
(1) 筒状をなし、パイプの端部の挿入を許容する挿入空間を内部に有する本体と、前記本体の内部に突設されるとともに、前記挿入空間内に挿入されるパイプに内嵌される内筒部と、前記本体の一端に螺合されたナットと、前記本体とナットとの間に配置されてパイプの端部を挿入空間内に抜け止めする抜け止め部材とを備えた継手の前記内筒部の外周面に凹設された収容溝に収容され、前記挿入空間に挿入されるパイプの内周面に圧接する弾性材料製の止水部材であって、少なくとも2本のリング状をなすシール材を連結して形成され、前記挿入空間内へのパイプの挿入の際の収容溝からの突出を規制可能に構成された止水部材。このように構成した場合、パイプの挿入空間内への挿入に伴う止水部材の収容溝からの突出、止水部材の損傷等の止水部材に起因する不具合をなくすことができる。
【0048】
(2) 前記少なくとも2本のシール材が、同各シール材に対して斜状に交差する連結部材により連結されて斜め格子状に形成されている前記(1)に記載の止水部材。このように構成した場合、パイプ内周面による止水部材への押圧に対する抵抗力をより大きくしてパイプ内周面により押圧された部分と反対側に位置する止水部材が収容溝から突出するのをより規制することができる。
【0049】
(3) 前記収容溝内のいずれの位置においても前記止水部材が収容溝から突出していることを特徴とする継手。
このように構成した場合、パイプ内周面と内筒部の外周面との間において確実にシール性を発揮することができる。
【0050】
【発明の効果】
本発明は、以上のように構成されているため、次のような効果を奏する。
各請求項に記載の発明によれば、パイプの挿入空間内への挿入に伴う止水部材の収容溝からの突出、止水部材の損傷等の止水部材に起因する不具合をなくすことができる。
【0051】
とくに、請求項1に記載の発明によれば、パイプ内周面による止水部材への押圧に対する抵抗力を大きくしてパイプ内周面により押圧された部分と反対側に位置する止水部材が収容溝から突出するのをより規制することができる。
【0052】
とくに、請求項2に記載の発明によれば、パイプの挿入空間内への挿入作業を速やかに行うことができる。
とくに、請求項3に記載の発明によれば、パイプの端面と止水部材との接触面積が小さくなり、パイプによる止水部材の押圧力を小さくして止水部材の突出量を小さくすることができる。
【0053】
請求項4に記載の発明によれば、請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の発明の効果に加え、パイプと継手との接続作業を速やかかつ容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本実施形態における継手を示す半断面図。
【図2】 実施形態の止水部材を示す展開図。
【図3】 継手を分解して示す斜視図。
【図4】 樹脂パイプの継手への差し込み状態を示す要部断面図。
【図5】 樹脂パイプの継手への差し込み状態を示す半断面図。
【図6】 別例の継手を示す半断面図。
【図7】 別例の止水部材を示す展開図。
【符号の説明】
10…樹脂パイプ、11…継手、14…本体、15…ナット、16…抜け止め部材としての割リング、19…止水部材、19a…シール材、19b…連結部材、19c…隙間、25…内筒部、26…収容溝、27…挿入空間、33…抜け止め部材としてのロックリング、33a…規制片。
Claims (4)
- 筒状をなし、パイプの端部の挿入を許容する挿入空間を内部に有する本体と、
前記本体の内部に突設されるとともに、前記挿入空間内に挿入されるパイプに内嵌される内筒部と、
前記本体の一端に螺合されたナットと、
前記本体とナットとの間に配置されてパイプの端部を挿入空間内に抜け止めする抜け止め部材とを備えた継手において、
前記内筒部の外周面に収容溝を凹設するとともに、その収容溝に前記挿入空間に挿入されるパイプの内周面に圧接する弾性材料製の止水部材を収容し、その止水部材を少なくとも2本のリング状をなすシール材を連結して形成して、前記挿入空間内へのパイプの挿入の際の止水部材の収容溝からの突出を規制するように構成し、
前記止水部材を、少なくとも2本のシール材を、同各シール材に対して斜状に交差する連結部材により連結して斜め格子状に形成したことを特徴とする継手。 - 筒状をなし、パイプの端部の挿入を許容する挿入空間を内部に有する本体と、
前記本体の内部に突設されるとともに、前記挿入空間内に挿入されるパイプに内嵌される内筒部と、
前記本体の一端に螺合されたナットと、
前記本体とナットとの間に配置されてパイプの端部を挿入空間内に抜け止めする抜け止め部材とを備えた継手において、
前記内筒部の外周面に収容溝を凹設するとともに、その収容溝に前記挿入空間に挿入されるパイプの内周面に圧接する弾性材料製の止水部材を収容し、その止水部材を少なくとも2本のリング状をなすシール材を連結して形成して、前記挿入空間内へのパイプの挿入の際の止水部材の収容溝からの突出を規制するように構成し、
前記各シール材の間に形成される隙間から潤滑補助剤を収容したことを特徴とする継手。 - 筒状をなし、パイプの端部の挿入を許容する挿入空間を内部に有する本体と、
前記本体の内部に突設されるとともに、前記挿入空間内に挿入されるパイプに内嵌される内筒部と、
前記本体の一端に螺合されたナットと、
前記本体とナットとの間に配置されてパイプの端部を挿入空間内に抜け止めする抜け止め部材とを備えた継手において、
前記内筒部の外周面に収容溝を凹設するとともに、その収容溝に前記挿入空間に挿入されるパイプの内周面に圧接する弾性材料製の止水部材を収容し、その止水部材を少なくとも2本のリング状をなすシール材を連結して形成して、前記挿入空間内へのパイプの挿入の際の止水部材の収容溝からの突出を規制するように構成し、
前記収容溝を内筒部の先端側に向かうにつれて深さが深くなるように凹設したことを特徴とする継手。 - 前記抜け止め部材を環状をなすとともに、その内周から内方へ突出する複数の規制片を備えたロックリングにより形成し、前記本体の一端に螺合されたナット内を介して本体の挿入空間内にパイプを挿入し、前記ロックリングの規制片のパイプ外面への係合によりパイプを挿入空間から抜け止めするように構成した請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の継手。
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