JP2004137165A - 含窒素複素環化合物の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】多様な用途を有する窒素原子と他の異種原子を有する複素環化合物を、安価に入手可能な原料を用いて容易に製造する方法を提供する。
【解決手段】一般式(I)
【化1】
(式中、R1〜R9は、それぞれ同一又は異なる反応に関与しない基。)で表されるアミン化合物と一般式(II)
R10 n−2EX2 (II)
(式中、EはBi、Sb、P、Si、S、Se及びTeから選ばれる原子、Xは脱離基、R10はXと同一の基または反応に関与しない基、nは原子Eの原子価。)で表されるヘテロ元素化合物とを、Mgを用いて環化反応させる一般式(III)
【化2】
(式中、R1〜R10及びnは、それぞれ前記と同じ意味を有する。)で表される含窒素複素環化合物の製造方法である。
【選択図】 なし
【解決手段】一般式(I)
【化1】
(式中、R1〜R9は、それぞれ同一又は異なる反応に関与しない基。)で表されるアミン化合物と一般式(II)
R10 n−2EX2 (II)
(式中、EはBi、Sb、P、Si、S、Se及びTeから選ばれる原子、Xは脱離基、R10はXと同一の基または反応に関与しない基、nは原子Eの原子価。)で表されるヘテロ元素化合物とを、Mgを用いて環化反応させる一般式(III)
【化2】
(式中、R1〜R10及びnは、それぞれ前記と同じ意味を有する。)で表される含窒素複素環化合物の製造方法である。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、有機合成試剤、触媒、抗菌・抗カビ剤、殺藻剤、水中生物付着防止剤及び医農薬の合成中間体などとして有用な含窒素複素環化合物の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ジベンジルアミン誘導体を原料として窒素原子と他の異種原子を含む八員環複素環を形成させる方法としては、ビス(2−ブロモフェニルメチル)アルキルアミンを用い、それぞれアンチモン、ビスマス及びケイ素を環構成元素とする複素環化合物の製造方法が知られている(例えば、非特許文献1〜3、特許文献1参照)。
また、この種の複素環の形成法を用いて、それぞれ異種原子としてリン、イオウ、セレン及びテルルを含む複素環化合物の製造方法も知られている(例えば、非特許文献4〜7参照)。 ところが、従来の製法は、いずれも原料化合物を安価にかつ容易には入手し難いという問題があった。
【0003】
【非特許文献1】
Tetrahedron Lett.29,p5401(1988)
【非特許文献2】
Tetrahedron Lett.30,p4841(1989)
【特許文献1】
特開2000−355511号公報(第15〜16頁)
【非特許文献3】
Organometallis 16,p3878(1997)
【非特許文献4】
J.Gen.Chem.USSR,p1841(1978)
【非特許文献5】
薬学雑誌93,p991及びp997(1973)
【非特許文献6】
J.Chem.Soc.Chem.Commun.98(1991)
【非特許文献7】
J.Am.Chem.Soc.117,p6388(1995)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、多様な用途を有する窒素原子と他の異種原子を有する複素環化合物を、従来の方法より安価に入手可能な原料を用いて容易に製造する方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、安価な原料より得られるビス(2−クロロフェニルメチル)アミン類と脱離基を有するヘテロ元素化合物とをマグネシウムを用いて反応させることにより容易に環化して複素環化合物が得られることを見いだし、これらの事実に基づいて本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、一般式(I)
【化3】
(式中、R1〜R9は、それぞれ同一又は異なる反応に関与しない基を示す。)で表されるアミン化合物と一般式(II)
R10 n−2EX2 (II)
(式中、Eはビスマス、アンチモン、リン、ケイ素、イオウ、セレン及びテルルから選ばれる原子を示し、Xは脱離基を示し、R10はXと同一の基または反応に関与しない基を示す。また、nは原子Eの原子価を示す。)で表されるヘテロ元素化合物とを、マグネシウムを用いて環化反応させることによる、一般式(III)
【化4】
(式中、R1〜R10及びnは、それぞれ前記と同じ意味を有する。)で表される含窒素複素環化合物の製造方法である。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明の製法において原料として用いられる前記一般式(I)で表されるアミン化合物は、ビス(2−クロロフェニルメチル)アミン骨格を有するものであり、ベンゼン環上及び窒素原子上の置換基(R1〜R9)は、いずれも本発明の環化反応に悪影響を及ぼさないものであれば、特に制限されることなく使用可能である。
【0007】
一般式(I)において、R1 は、窒素原子と結合し、環化反応に関与しない基であって、例えば、置換基を有していてもよい炭化水素基及び複素環基から選ばれるものである。その炭化水素基としては、メチル、エチル、プロピル、t−ブチルなどのアルキル基、エテニル、1−プロペニル、1−ブテニルなどのアルケニル基、1−プロピニル、フェニルエチニルなどのアルキニル基、フェニル、トリル、キシリル、ビフェニリル、ナフチルなどのアリール基、シクロヘキシルなどのシクロアルキル基、シクロヘキセニルなどのシクロアルケニル基などが挙げられる。また、複素環基としては、N、O、Sなどの異種原子の1種以上を環構成元素(異項環原子)とする複素環基であって、具体的には4−ピリジル、2−フリル、2−チエニル基やこれらの縮合環基などが挙げられる。さらに、それらに置換していてもよい置換基としては、アルキル基、アリール基、アルケニル基、フッ素原子、パーフルオロアルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、スルホニル基などが挙げられる。
【0008】
また、一般式(I)中のR2〜R9は、いずれもベンゼン環に結合する基であって、それぞれ水素原子、フッ素原子、置換基を有していてもよい炭化水素基、アルコキシ基、ジアルキルアミノ基、トリフルオロメチル基及び置換基を有していてもよい複素環基から選ばれるものである。また、置換基を有していてもよい炭化水素基及び複素環基については、前記R1 について述べたと同じものが挙げられる。さらに、アルコキシ基としてはメトキシ基、エトキシ基などが挙げられ、またジアルキルアミノ基としてはジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基などが挙げられる。
【0009】
次に、本発明に用いる他の原料としては、次の一般式(II)
R10 n−2EX2 (II)
で表されるヘテロ元素化合物である。
一般式(II)において、Eは一般式(I)中の窒素原子とともに複素環を形成するヘテロ原子であり、周期律表の14族元素、15族元素及び16族元素に含まれる元素であって、ビスマス、アンチモン、リン、ケイ素、イオウ、セレン及びテルルから選ばれる原子である。この原料中のE原子を適宜選択することにより相当するE原子を含む複素環化合物を容易に得ることができる。
【0010】
また、脱離基Xは、本発明方法において複素環化合物を形成する際に脱離し得るものであればよく、例えば、塩素、臭素などのハロゲン原子、スルフォナート基、メトキシ、エトキシなどのアルコキシ基などが挙げられる。さらに、R10は、Xと同一の基であるか、または反応に悪影響を与えない基、例えば、置換基を有していてもよい炭化水素基及び複素環基から選ばれるものであって、具体的には、前記R1について述べたものが挙げられる。この製法では、化合物(I)と化合物(II)との比は一方を過剰に用いてもよい。しかし、反応の効率、経済性などを考慮すると、好ましくは5:1〜1:5であり、より好ましくは2:1〜1:2である。
【0011】
本発明の製法は、反応系内に金属マグネシウムを用いることを特徴とするものであって、化合物(I)とマグネシウムの比は1:1〜1:100の範囲で実施できるが、好ましくは1:1.5〜1:20であり、より好ましくは1:2〜1:10である。また、マグネシウムの反応性を向上させるために、ヨウ素或いはハロゲン化アルキルをマグネシウムに対し0.01〜30モル%の範囲で添加することも好ましい態様である。
【0012】
この製法では、反応を効率的に進行させるには遷移金属触媒を共存させることが好ましい。遷移金属触媒としては、2価の鉄化合物または一価の銅化合物が好ましいが、これらに限られるものではない。化合物(I)に対する遷移金属触媒のモル比は0.000001〜1の範囲であるが、反応の効率及び経済性などを考慮すると、0.0001〜0.5が好ましく、0.001〜0.2がより好ましい。
【0013】
また、この反応は溶媒を用いて行うことが好ましい。使用し得る溶媒としては、エーテル系、芳香族炭化水素系、脂肪族炭化水素系などが挙げられるが、なかでも、エーテル系溶媒または芳香族炭化水素系溶媒が好ましく、具体的には、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、メチルt−ブチルエーテル、トルエン、ベンゼン、キシレン等が例示される。
【0014】
反応温度としては、あまりに低温では反応が有利な速度で進行せず、一方、あまりに高温では副反応が優先することから、一般的には−100℃〜150℃の範囲から選ばれ、好ましくは−80℃〜100℃の範囲で実施される。
本反応の中間体は酸素や水に敏感であるから、反応の実施は、窒素やアルゴン等の不活性ガス雰囲気中で行うことが好ましい。反応生成混合物から所望の目的生成物を分離するには、溶媒抽出、再結晶、クロマトグラフィー及び昇華等の通常の分離精製法を用いることにより容易に達成される。
【0015】
【実施例】
以下、本発明を実施例などによりさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって何ら限定されるものではない。
参考例1(原料化合物の製造)
ビス(2−クロロフェニルメチル)t−ブチルアミンの合成
t−ブチルアミン0.63ml(6.0mmol)、トリエチルアミン2.4ml(17mmol)及びヨウ化ナトリウム16mgのジメチルホルムアミド溶液(3ml)に、室温で2−クロロベンジルクロリド2.0ml(15.6mmol)を滴下した後、80℃で3時間、次いで120℃で30時間加熱攪拌して反応させた。この反応生成液にエーテル80ml及び水30mlを加えた後、有機層を分離し無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧留去させた後、残留物をシリカゲルカラムで精製することにより標記化合物1.62g(84%)を得た。
【0016】
実施例1
6−t−ブチル−12−クロロ−5,6,7,12−テトラヒドロジベンゾ[c,f][1,5]アザビスモシンの合成
マグネシウム粉末584mg(24mmol)に無水テトラヒドロフラン5mlを加えて60℃に加熱し、ヨウ素約10mgを加えた。このヨウ素の色が消失した後、温度を40℃とし、臭化エチル30μl(0.4mmol)を加え攪拌した。約30分攪拌した後、触媒として塩化鉄(II)51mg(0.4mmol)を加え40℃で40分攪拌して反応液を調整した。この反応液を60℃に昇温し、ビス(2−クロロフェニルメチル)t−ブチルアミン2.6g(8mmol)のテトラヒドロフラン(5ml)溶液を加えて18時間攪拌した。次に、この溶液を、別のフラスコに用意した−78℃に冷却した三塩化ビスマス2.1g(6.7mmol)のテトラヒドロフラン溶液(80ml)に滴下した後、攪拌しながら約5時間かけて室温(25℃)まで昇温して反応させた。
得られた反応混合液に1規定塩酸100ml及びジクロロメタン100mlを加え、生成した有機層を分離し、水洗後、無水硫酸マグネシウムで乾燥させた。これを少量のシリカゲルでろ過し、溶媒を減圧下で留去させた後、残留固体をジクロロメタン/ヘキサン混合溶媒で再結晶することにより、目的物である6−t−ブチル−12−クロロ−5,6,7,12−テトラヒドロジベンゾ[c,f][1,5]アザビスモシンの無色結晶2.1g(収率62%)を得た。
【0017】
実施例2
実施例1において、触媒として用いた塩化鉄(II)0.4mmolに代えて、アセチルアセトン鉄(II)0.4mmolを用いたこと以外は、実施例1と全く同様にして反応させることにより、目的物の無色結晶1.63g(収率48%)を得た。
【0018】
実施例3
6−t−ブチル−12−フェニル−5,6,7,12−テトラヒドロジベンゾ[c,f][1,5]アザビスモシンの合成
実施例1において、原料として用いた三塩化ビスマス6.7mmolに代えて、二臭化フェニルビスマス3.34g(7.5mmol)を用いたこと以外は、実施例1と全く同様にして反応を行った。反応終了後、反応混合液にヘキサン(150ml)を加え、不溶物をセライトでろ過した。次に、ろ液を減圧下に濃縮し、残渣をジクロロメタンで抽出し、抽出液を再びセライトでろ過した。得られたろ液を減圧下に濃縮した後、残渣をトルエン/ヘキサン混合溶媒で再結晶することにより、目的物の無色結晶2.62g(収率65%)を得た。
【0019】
【発明の効果】
本発明によれば、入手の容易な原料であるクロロベンジル類と有機アミン類を用いて、多様な用途を有する各種の元素を持つ複素環化合物を容易に高収率で製造できるから、複素環化合物の工業的製法として極めて有用なものである。
【発明の属する技術分野】
本発明は、有機合成試剤、触媒、抗菌・抗カビ剤、殺藻剤、水中生物付着防止剤及び医農薬の合成中間体などとして有用な含窒素複素環化合物の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ジベンジルアミン誘導体を原料として窒素原子と他の異種原子を含む八員環複素環を形成させる方法としては、ビス(2−ブロモフェニルメチル)アルキルアミンを用い、それぞれアンチモン、ビスマス及びケイ素を環構成元素とする複素環化合物の製造方法が知られている(例えば、非特許文献1〜3、特許文献1参照)。
また、この種の複素環の形成法を用いて、それぞれ異種原子としてリン、イオウ、セレン及びテルルを含む複素環化合物の製造方法も知られている(例えば、非特許文献4〜7参照)。 ところが、従来の製法は、いずれも原料化合物を安価にかつ容易には入手し難いという問題があった。
【0003】
【非特許文献1】
Tetrahedron Lett.29,p5401(1988)
【非特許文献2】
Tetrahedron Lett.30,p4841(1989)
【特許文献1】
特開2000−355511号公報(第15〜16頁)
【非特許文献3】
Organometallis 16,p3878(1997)
【非特許文献4】
J.Gen.Chem.USSR,p1841(1978)
【非特許文献5】
薬学雑誌93,p991及びp997(1973)
【非特許文献6】
J.Chem.Soc.Chem.Commun.98(1991)
【非特許文献7】
J.Am.Chem.Soc.117,p6388(1995)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、多様な用途を有する窒素原子と他の異種原子を有する複素環化合物を、従来の方法より安価に入手可能な原料を用いて容易に製造する方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、安価な原料より得られるビス(2−クロロフェニルメチル)アミン類と脱離基を有するヘテロ元素化合物とをマグネシウムを用いて反応させることにより容易に環化して複素環化合物が得られることを見いだし、これらの事実に基づいて本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、一般式(I)
【化3】
(式中、R1〜R9は、それぞれ同一又は異なる反応に関与しない基を示す。)で表されるアミン化合物と一般式(II)
R10 n−2EX2 (II)
(式中、Eはビスマス、アンチモン、リン、ケイ素、イオウ、セレン及びテルルから選ばれる原子を示し、Xは脱離基を示し、R10はXと同一の基または反応に関与しない基を示す。また、nは原子Eの原子価を示す。)で表されるヘテロ元素化合物とを、マグネシウムを用いて環化反応させることによる、一般式(III)
【化4】
(式中、R1〜R10及びnは、それぞれ前記と同じ意味を有する。)で表される含窒素複素環化合物の製造方法である。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明の製法において原料として用いられる前記一般式(I)で表されるアミン化合物は、ビス(2−クロロフェニルメチル)アミン骨格を有するものであり、ベンゼン環上及び窒素原子上の置換基(R1〜R9)は、いずれも本発明の環化反応に悪影響を及ぼさないものであれば、特に制限されることなく使用可能である。
【0007】
一般式(I)において、R1 は、窒素原子と結合し、環化反応に関与しない基であって、例えば、置換基を有していてもよい炭化水素基及び複素環基から選ばれるものである。その炭化水素基としては、メチル、エチル、プロピル、t−ブチルなどのアルキル基、エテニル、1−プロペニル、1−ブテニルなどのアルケニル基、1−プロピニル、フェニルエチニルなどのアルキニル基、フェニル、トリル、キシリル、ビフェニリル、ナフチルなどのアリール基、シクロヘキシルなどのシクロアルキル基、シクロヘキセニルなどのシクロアルケニル基などが挙げられる。また、複素環基としては、N、O、Sなどの異種原子の1種以上を環構成元素(異項環原子)とする複素環基であって、具体的には4−ピリジル、2−フリル、2−チエニル基やこれらの縮合環基などが挙げられる。さらに、それらに置換していてもよい置換基としては、アルキル基、アリール基、アルケニル基、フッ素原子、パーフルオロアルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、スルホニル基などが挙げられる。
【0008】
また、一般式(I)中のR2〜R9は、いずれもベンゼン環に結合する基であって、それぞれ水素原子、フッ素原子、置換基を有していてもよい炭化水素基、アルコキシ基、ジアルキルアミノ基、トリフルオロメチル基及び置換基を有していてもよい複素環基から選ばれるものである。また、置換基を有していてもよい炭化水素基及び複素環基については、前記R1 について述べたと同じものが挙げられる。さらに、アルコキシ基としてはメトキシ基、エトキシ基などが挙げられ、またジアルキルアミノ基としてはジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基などが挙げられる。
【0009】
次に、本発明に用いる他の原料としては、次の一般式(II)
R10 n−2EX2 (II)
で表されるヘテロ元素化合物である。
一般式(II)において、Eは一般式(I)中の窒素原子とともに複素環を形成するヘテロ原子であり、周期律表の14族元素、15族元素及び16族元素に含まれる元素であって、ビスマス、アンチモン、リン、ケイ素、イオウ、セレン及びテルルから選ばれる原子である。この原料中のE原子を適宜選択することにより相当するE原子を含む複素環化合物を容易に得ることができる。
【0010】
また、脱離基Xは、本発明方法において複素環化合物を形成する際に脱離し得るものであればよく、例えば、塩素、臭素などのハロゲン原子、スルフォナート基、メトキシ、エトキシなどのアルコキシ基などが挙げられる。さらに、R10は、Xと同一の基であるか、または反応に悪影響を与えない基、例えば、置換基を有していてもよい炭化水素基及び複素環基から選ばれるものであって、具体的には、前記R1について述べたものが挙げられる。この製法では、化合物(I)と化合物(II)との比は一方を過剰に用いてもよい。しかし、反応の効率、経済性などを考慮すると、好ましくは5:1〜1:5であり、より好ましくは2:1〜1:2である。
【0011】
本発明の製法は、反応系内に金属マグネシウムを用いることを特徴とするものであって、化合物(I)とマグネシウムの比は1:1〜1:100の範囲で実施できるが、好ましくは1:1.5〜1:20であり、より好ましくは1:2〜1:10である。また、マグネシウムの反応性を向上させるために、ヨウ素或いはハロゲン化アルキルをマグネシウムに対し0.01〜30モル%の範囲で添加することも好ましい態様である。
【0012】
この製法では、反応を効率的に進行させるには遷移金属触媒を共存させることが好ましい。遷移金属触媒としては、2価の鉄化合物または一価の銅化合物が好ましいが、これらに限られるものではない。化合物(I)に対する遷移金属触媒のモル比は0.000001〜1の範囲であるが、反応の効率及び経済性などを考慮すると、0.0001〜0.5が好ましく、0.001〜0.2がより好ましい。
【0013】
また、この反応は溶媒を用いて行うことが好ましい。使用し得る溶媒としては、エーテル系、芳香族炭化水素系、脂肪族炭化水素系などが挙げられるが、なかでも、エーテル系溶媒または芳香族炭化水素系溶媒が好ましく、具体的には、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、メチルt−ブチルエーテル、トルエン、ベンゼン、キシレン等が例示される。
【0014】
反応温度としては、あまりに低温では反応が有利な速度で進行せず、一方、あまりに高温では副反応が優先することから、一般的には−100℃〜150℃の範囲から選ばれ、好ましくは−80℃〜100℃の範囲で実施される。
本反応の中間体は酸素や水に敏感であるから、反応の実施は、窒素やアルゴン等の不活性ガス雰囲気中で行うことが好ましい。反応生成混合物から所望の目的生成物を分離するには、溶媒抽出、再結晶、クロマトグラフィー及び昇華等の通常の分離精製法を用いることにより容易に達成される。
【0015】
【実施例】
以下、本発明を実施例などによりさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって何ら限定されるものではない。
参考例1(原料化合物の製造)
ビス(2−クロロフェニルメチル)t−ブチルアミンの合成
t−ブチルアミン0.63ml(6.0mmol)、トリエチルアミン2.4ml(17mmol)及びヨウ化ナトリウム16mgのジメチルホルムアミド溶液(3ml)に、室温で2−クロロベンジルクロリド2.0ml(15.6mmol)を滴下した後、80℃で3時間、次いで120℃で30時間加熱攪拌して反応させた。この反応生成液にエーテル80ml及び水30mlを加えた後、有機層を分離し無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧留去させた後、残留物をシリカゲルカラムで精製することにより標記化合物1.62g(84%)を得た。
【0016】
実施例1
6−t−ブチル−12−クロロ−5,6,7,12−テトラヒドロジベンゾ[c,f][1,5]アザビスモシンの合成
マグネシウム粉末584mg(24mmol)に無水テトラヒドロフラン5mlを加えて60℃に加熱し、ヨウ素約10mgを加えた。このヨウ素の色が消失した後、温度を40℃とし、臭化エチル30μl(0.4mmol)を加え攪拌した。約30分攪拌した後、触媒として塩化鉄(II)51mg(0.4mmol)を加え40℃で40分攪拌して反応液を調整した。この反応液を60℃に昇温し、ビス(2−クロロフェニルメチル)t−ブチルアミン2.6g(8mmol)のテトラヒドロフラン(5ml)溶液を加えて18時間攪拌した。次に、この溶液を、別のフラスコに用意した−78℃に冷却した三塩化ビスマス2.1g(6.7mmol)のテトラヒドロフラン溶液(80ml)に滴下した後、攪拌しながら約5時間かけて室温(25℃)まで昇温して反応させた。
得られた反応混合液に1規定塩酸100ml及びジクロロメタン100mlを加え、生成した有機層を分離し、水洗後、無水硫酸マグネシウムで乾燥させた。これを少量のシリカゲルでろ過し、溶媒を減圧下で留去させた後、残留固体をジクロロメタン/ヘキサン混合溶媒で再結晶することにより、目的物である6−t−ブチル−12−クロロ−5,6,7,12−テトラヒドロジベンゾ[c,f][1,5]アザビスモシンの無色結晶2.1g(収率62%)を得た。
【0017】
実施例2
実施例1において、触媒として用いた塩化鉄(II)0.4mmolに代えて、アセチルアセトン鉄(II)0.4mmolを用いたこと以外は、実施例1と全く同様にして反応させることにより、目的物の無色結晶1.63g(収率48%)を得た。
【0018】
実施例3
6−t−ブチル−12−フェニル−5,6,7,12−テトラヒドロジベンゾ[c,f][1,5]アザビスモシンの合成
実施例1において、原料として用いた三塩化ビスマス6.7mmolに代えて、二臭化フェニルビスマス3.34g(7.5mmol)を用いたこと以外は、実施例1と全く同様にして反応を行った。反応終了後、反応混合液にヘキサン(150ml)を加え、不溶物をセライトでろ過した。次に、ろ液を減圧下に濃縮し、残渣をジクロロメタンで抽出し、抽出液を再びセライトでろ過した。得られたろ液を減圧下に濃縮した後、残渣をトルエン/ヘキサン混合溶媒で再結晶することにより、目的物の無色結晶2.62g(収率65%)を得た。
【0019】
【発明の効果】
本発明によれば、入手の容易な原料であるクロロベンジル類と有機アミン類を用いて、多様な用途を有する各種の元素を持つ複素環化合物を容易に高収率で製造できるから、複素環化合物の工業的製法として極めて有用なものである。
Claims (9)
- 一般式(I)として、R1が置換基を有していてもよい炭化水素基及び複素環基から選ばれるアミン化合物を用いる請求項1に記載の製造方法。
- 一般式(I)の化合物として、R2〜R9が、それぞれ水素原子、フッ素原子、置換基を有していてもよい炭化水素基、アルコキシ基、ジアルキルアミノ基、トリフロオロメチル基及び複素環基から選ばれるアミン化合物を用いる請求項1又は2に記載の製造方法。
- 前記反応が、遷移金属触媒の存在下に行われる請求項1〜3のいずれか1項に記載の製造方法。
- 遷移金属触媒が2価の鉄化合物である請求項4に記載の製造方法。
- 一般式(II)として、R10が置換基を有していてもよい炭化水素基及び複素環基から選ばれる化合物を用いる請求項1〜5のいずれか1項に記載の製造方法。
- 一般式(II)として、R10がXと同一の基であり、かつXがハロゲン原子である化合物を用いる請求項1〜5のいずれか1項に記載の製造方法。
- 一般式(II)として、Xが塩素原子または臭素原子である化合物を用いる請求項1、6または7に記載の製造方法。
- 一般式(II)として、Eがビスマス原子である化合物を用いる請求項1〜8のいずれか1項に記載の製造方法。
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- 2002-10-16 JP JP2002301551A patent/JP2004137165A/ja active Pending
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