JP2004135227A - 高周波用伝送線路基板 - Google Patents
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Abstract
【課題】誘電体基材の両主面側の金属導体パターンを結合する部分のスタブを少なくして伝送特性の悪化を低減する高周波用伝送線路基板を提供する。
【解決手段】単板又は複数層の積層体からなる誘電体基材11の一方の主面側の同一面に1又は複数の信号線用の金属導体線路12及びグランド用の第1の金属導体パターン13と、他方の主面側にグランド用の1又は複数の第2の金属導体パターン14を有し、第1の金属導体パターン13と第2の金属導体パターン14を電気的に接続するためのビア15を有する高周波用伝送線路基板10において、第1の金属導体パターン13のそれぞれに設けられるビア15の中で少なくとも金属導体線路12に最も近接する位置にあるビア15の内の1個からなる伝送線路変換用ビア15aが第1の金属導体パターン13の電磁波伝播方向に平行する外周縁以外の外周縁のパターン境界線16に接続して設けられている。
【選択図】 図1
【解決手段】単板又は複数層の積層体からなる誘電体基材11の一方の主面側の同一面に1又は複数の信号線用の金属導体線路12及びグランド用の第1の金属導体パターン13と、他方の主面側にグランド用の1又は複数の第2の金属導体パターン14を有し、第1の金属導体パターン13と第2の金属導体パターン14を電気的に接続するためのビア15を有する高周波用伝送線路基板10において、第1の金属導体パターン13のそれぞれに設けられるビア15の中で少なくとも金属導体線路12に最も近接する位置にあるビア15の内の1個からなる伝送線路変換用ビア15aが第1の金属導体パターン13の電磁波伝播方向に平行する外周縁以外の外周縁のパターン境界線16に接続して設けられている。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明が属する技術分野】
本発明は、金属導体線路に高周波用の信号を通過させるための高周波用伝送線路基板に係り、より詳細には、誘電体基材の一方の主面側と、他方の主面側にグランド用の金属導体パターンを設け、ビアで電気的に接続する高周波用伝送線路基板に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年のモジュールの高周波化に伴い、半導体素子を搭載するためのパッケージや回路基板等を高周波が伝播したり、パッケージや回路基板等に接合して用いられたりする異なる信号線形態間を接続するための伝送線路基板を高周波が伝播したりする。従って、単なる電気的接続では、例えば、信号線を伝播する反射、クロストーク等の伝送線路としての電磁気的、電磁波的挙動が顕著になるため、反射ノイズを低減するための整合や、ドライバ回路のスイッチング時に生じる電源雑音、不要電磁放射(EMI)等の様々なノイズの対策が必要となっている。このノイズの発生要因を減少するために、高周波用伝送線路基板には、セラミックやプラスチックからなる誘電体基材に導体金属からなる信号線とグランドを形成して高速動作に対応できる特性インピーダンス等の電気的設計の考慮が行われている。
【0003】
高周波用伝送線路基板上で高速信号を伝播させるには、代表的な伝送線路構造として、マイクロストリップ線路、コプレナー線路、グランデッドコプレナー線路等の構造からなるものがある。それぞれの線路構造を有する高周波用伝送線路基板の特性インピーダンスは、信号線配線幅、絶縁層(誘電体基材)の厚さや信号線とグランドパターンとの隙間の幾何的寸法と、誘電体基材の比誘電率によって決まる。
【0004】
図6(A)、(B)に示すように、例えば、高周波の伝送特性に優れた高周波用パッケージ等に組み込まれて用いられる従来の高周波用伝送線路基板50は、誘電体基材51の一方の主面側(図6(A)参照)の上表面又は上層面に信号線用の金属導体線路52と局部的なパターンからなるグランド用の第1の金属導体パターン53を有している。誘電体基材51の他方の主面側(図6(B)参照)の下表面又は下層面には、べたパターンからなるグランド用の第2の金属導体パターン54を有している。そして、第1の金属導体パターン53と第2の金属導体パターン54とは、それぞれのパターン内で接続するビア55で導通を形成している。この高周波用伝送線路基板50は、誘電体基材51を挟んで、第1の金属導体パターン53、第2の金属導体パターン54、及び金属導体線路52とでグランデッドコプレナー線路構造部を形成し、第2の金属導体パターン54と、金属導体線路52とでマイクロストリップ線路構造部を形成している。そして、マイクロストリップ線路構造部とグランデッドコプレナー線路構造部を結合する部分で伝送線路変換部を形成している。
【0005】
また、図7(A)、(B)に示すように、他の従来の高周波用伝送線路基板50aは、誘電体基材51の一方の主面側(図7(A)参照)の上表面又は上層面に信号線用の金属導体線路52と局部的なパターンからなるグランド用の第1の金属導体パターン53を有している。誘電体基材51の他方の主面側(図7(B)参照)の下表面又は下層面には、局部的なパターンからなるグランド用の第2の金属導体パターン54aを有している。そして、第1の金属導体パターン53と第2の金属導体パターン54aとは、それぞれのパターン内で接続するビア55で導通を形成している。この高周波用伝送線路基板50aは、誘電体基材51を挟んで、第1の金属導体パターン53と、金属導体線路52とでコプレナー線路構造部を形成し、第2の金属導体パターン54aと、金属導体線路52とでマイクロストリップ線路構造部を形成している。そして、マイクロストリップ線路構造部とコプレナー線路構造部を結合する部分で伝送線路変換部を形成している。
【0006】
また、従来の高周波用伝送基板には、例えば、高周波特性に優れ、且つ伝送特性に優れた高周波用パッケージを構成するために、誘電体磁器基材の上表面に信号線と、この信号線を挟んでグランド用パターンを備え、下表面にも信号線と、この信号線を挟んでグランド用パターンを備え、上、下表面の信号線と信号線、上、下表面のグランド用パターンとグランド用パターンを導体ビアで接続した形態が開示されている(例えば、特許文献1参照)。更に、伝送基板には、複数の信号伝送線路間のクロストークの低減を図るために、セラミック基板(誘電体基材)の上面に複数の信号伝送線路をストライプ状に設け、信号伝送線路間に表面をセラミック基板から露出させた接地線路を設ける形態が開示されている(例えば、特許文献2参照)。
【0007】
【特許文献1】
特開2001−298306号公報(第1−7頁、弟1、2図)
【特許文献2】
特開平11−266105号公報(第1−16頁、弟1−20図)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前述したような従来の高周波用伝送線路基板は、次のような問題がある。
(1)マイクロストリップ線路構造部とグランデッドコプレナー線路構造部を結合する部分となる伝送線路変換部や、マイクロストリップ線路構造部とコプレナー線路構造部を結合する部分となる伝送線路変換部は、第1の金属導体パターンと第2の金属導体パターンを接続するビアを第1の金属導体パターンや第2の金属導体パターンからはみ出さないように配置した構造としている。この構造によって、例えば、周波数が30GHz程度以上の高周波になると、電磁波伝播方向のビアの外周縁から第1の金属導体パターン端部までのパターン分の長さ(例えば、図6(A)、図7(A)に示す長さX)や、ビアの外周縁から第2の金属導体パターンのパターン端部までのパターン分の長さ(例えば、図7(B)に示す長さY)が余分なパターン分の長さ(スタブ)として作用し、電磁波の反射が発生する等によって伝送特性が悪化するという問題がある。
【0009】
(2)第1の金属パターンと第2の金属パターンの電流の伝搬は、金属導体線路に近接する部分に集中するが、金属導体線路に近接する部分のビアの位置についての考慮がなされていないので、電磁波伝播方向のビアの外周縁から第1の金属導体パターン端部までのパターン分の長さや、ビアの外周縁から第2の金属導体パターンのパターン端部までのパターン分の長さが長くなり、これがスタブとして作用して電磁波の反射が発生する等により伝送特性の悪化をきたしている。
【0010】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであって、誘電体基材の一方の主面側と、他方の主面側に形成される金属導体パターンを結合する部分となる伝送線路変換部にできるスタブを少なくして伝送特性の悪化を低減する高周波用伝送線路基板を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
前記目的に沿う本発明に係る高周波用伝送線路基板は、単板又は複数層の積層体からなる誘電体基材の一方の主面側の同一面に高周波の信号を伝播させるための信号線用の1又は複数の金属導体線路及びグランド用の1又は複数の第1の金属導体パターンと、誘電体基材の他方の主面側にグランド用の1又は複数の第2の金属導体パターンを有し、第1の金属導体パターンと第2の金属導体パターンを電気的に接続するためのビアを有する高周波用伝送線路基板において、第1の金属導体パターンのそれぞれに設けられるビアの中で少なくとも金属導体線路に最も近接する位置にある1個又は複数個の内の1個からなる伝送線路変換用ビアが、第1の金属導体パターンの電磁波伝播方向に平行する外周縁以外の外周縁のパターン境界線に接続して設けられている。これにより、マイクロストリップ線路構造部とグランデッドコプレナー線路構造部を有する高周波用伝送線路基板において、マイクロストリップ線路構造部とグランデッドコプレナー線路構造部を結合する部分となる伝送線路変換部の第1の金属導体パターンの金属導体線路と近接する部分にスタブを形成するのを防止することができるので、電磁波の反射が発生する等による伝送特性の悪化を低減することができる。
【0012】
前記目的に沿う本発明に係る高周波用伝送線路基板は、単板又は複数層の積層体からなる誘電体基材の一方の主面側の同一面に高周波の信号を伝播させるための信号線用の1又は複数の金属導体線路及びグランド用の1又は複数の第1の金属導体パターンと、誘電体基材の他方の主面側にグランド用の1又は複数の第2の金属導体パターンを有し、第1の金属導体パターンと第2の金属導体パターンを電気的に接続するためのビアを有する高周波用伝送線路基板において、第1の金属導体パターンのそれぞれに設けられるビアの中で少なくとも金属導体線路に最も近接する位置にある伝送線路変換用ビアが第1の金属導体パターンと接続し、しかも、伝送線路変換用ビアが、第2の金属導体パターンの電磁波伝播方向に平行する外周縁以外の外周縁のパターン境界線に接続して設けられている。これにより、マイクロストリップ線路構造部とコプレナー線路構造部を有する高周波用伝送線路基板において、マイクロストリップ線路構造部とコプレナー線路構造部を結合する部分となる伝送線路変換部の第2の金属導体パターンの金属導体線路と近接する部分にスタブを形成するのを防止することができるので、電磁波のに反射が発生する等による伝送特性の悪化を低減することができる。
【0013】
前記目的に沿う本発明に係る高周波用伝送線路基板は、単板又は複数層の積層体からなる誘電体基材の一方の主面側の同一面に高周波の信号を伝播させるための信号線用の1又は複数の金属導体線路及びグランド用の1又は複数の第1の金属導体パターンと、誘電体基材の他方の主面側にグランド用の1又は複数の第2の金属導体パターンを有し、第1の金属導体パターンと第2の金属導体パターンを電気的に接続するためのビアを有する高周波用伝送線路基板において、第1の金属導体パターンのそれぞれに設けられるビアの中で少なくとも金属導体線路に最も近接する位置にある伝送線路変換用ビアが第1の金属導体パターンの電磁波伝播方向に平行する外周縁以外の外周縁のパターン境界線に接続して設けられ、しかも、伝送線路変換用ビアが、第2の金属導体パターンの電磁波伝播方向に平行する外周縁以外の外周縁のパターン境界線に接続して設けられている。これにより、マイクロストリップ線路構造部とコプレナー線路構造部を有する高周波用伝送線路基板において、マイクロストリップ線路構造部とコプレナー線路構造部を結合する部分となる伝送線路変換部の第1の金属導体パターンと、第2の金属導体パターンの金属導体線路と近接する部分にスタブを形成するのを防止することができるので、電磁波の反射が発生する等による伝送特性の悪化を低減することができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
続いて、添付した図面を参照しつつ、本発明を具体化した実施の形態について説明し、本発明の理解に供する。
ここに、図1(A)、(B)はそれぞれ本発明の一実施の形態に係る高周波用伝送線路基板の一方の主面側の平面図、他方の主面側の平面図、図2(A)、(B)はそれぞれ本発明の他の実施の形態に係る高周波用伝送線路基板の一方の主面側の平面図、他方の主面側の平面図、図3(A)、(B)はそれぞれ同高周波用伝送線路基板の変形例の一方の主面側の平面図、他方の主面側の平面図、図4(A)、(B)はそれぞれ本発明の更に他の実施の形態に係る高周波用伝送線路基板の一方の主面側の平面図、他方の主面側の平面図、図5は本発明及び従来の高周波用伝送線路基板の伝送特性のシミュレーション結果のグラフである。
【0015】
図1(A)、(B)に示すように、本発明の一実施の形態に係る高周波用伝送線路基板10は、単板、又は、複数枚を重ね合わせて積層して形成する積層体からなるセラミックや、プラスチック等の誘電体基材11の一方の主面側の上表面又は上層部に高周波の信号を通過させるための信号線用の1又は複数(本実施の形態では1個)の金属導体線路12と、同一面に金属導体線路12と接触しないように誘電体基材11が露出して絶縁域となる間隔を設け、部分的な小面積からなるグランド用の1又は複数(本実施の形態では2個)の第1の金属導体パターン13を有している。また、高周波用伝送線路基板10は、誘電体基材11の他方の主面側の中の下表面、又は複数層の積層体からなる誘電体基材11の中間層である下層部に、実質的に全面のべたパターンや、島状からなるグランド用の1又は複数(本実施の形態では1個のべたパターン)の第2の金属導体パターン14を有している。そして、第1の金属導体パターン13と第2の金属導体パターン14とは、誘電体基材11を貫通して形成された貫通孔の壁面に金属導体を接合したり、貫通孔内を金属導体で充填したりして形成する1個又は複数個(本実施の形態ではそれぞれの第1の金属導体パターン13に4個ずつ)のビア15で電気的な導通が図られるように接続されている。
【0016】
それぞれの第1の金属導体パターン13に設けるビア15において、少なくとも金属導体線路12に最も近接する位置に設ける1個のビア15、又は、金属導体線路12に近接する位置にあるビア15が複数個ある場合にはその内の1個のビア15であって、第2の金属導体パターン14に接続する伝送線路変換用ビア15aは、第1の金属導体パターン13の電磁波伝播方向(図1(A)、(B)においては平面視して上下の方向)に平行するパターン外周縁以外の外周縁の部分のパターン境界線16に接続して設けられている。なお、境界線16に接続して設けられるビア15は、伝送線路変換用ビア15a以外に金属導体線路12から遠ざかる位置に1又は複数個を設けてもよい。
【0017】
この高周波用伝送線路基板10は、第1の金属導体パターン13の電磁波伝播方向におけるパターンの下端部から、金属導体線路12に最も近接する伝送線路変換用ビア15aの近い側の接線までの長さa分の第1の金属導体パターン13aと、誘電体基材11を挟んで、これに対応する第2の金属パターン14の内の長さa分の第2の金属導体パターン14aと、及び、金属導体線路12の内の長さa分の金属導体線路12aとでグランデッドコプレナー線路構造部を形成している。また、この高周波用伝送線路基板10は、伝送線路変換用ビア15aの遠い側の接線から第1の金属導体パターン13以外のパターンが形成されていない部分の上端部までの長さbと、誘電体基材11を挟んで、これに対応する第2の金属パターン14の内の長さb分の第2の金属導体パターン14bと、及び、金属導体線路12の内の長さb分の金属導体線路12bとでマイクロストリップ線路構造部を形成している。そして、長さa分と、長さb分の境界との間の部分には、マイクロストリップ線路構造部と、グランデッドコプレナー線路構造部を結合するところになる長さc分の伝送線路変換部を形成している。この高周波用伝送線路基板10は、伝送線路変換部のスタブが形成されないので、伝送特性の悪化を低減することができる。
【0018】
次いで、図2(A)、(B)に示すように、本発明の他の実施の形態に係る高周波用伝送線路基板10aは、単板、又は、複数枚を重ね合わせて積層して形成する積層体からなるセラミックや、プラスチック等の誘電体基材11の一方の主面側の上表面又は上層部に高周波の信号を通過させるための信号線用の1又は複数の金属導体線路12と、同一面に金属導体線路12と接触しないように誘電体基材11が露出して絶縁域となる間隔を設け、部分的な小面積からなるグランド用の1又は複数の第1の金属導体パターン13を有している。また、高周波用伝送線路基板10aは、誘電体基材11の他方の主面側の中の下表面、又は複数層の積層体からなる誘電体基材11の中間層である下層部に、実質的に第1の金属導体パターン13と対向する部分にはパターンを設けないグランド用の1又は複数の第2の金属導体パターン14cを有している。そして、第1の金属導体パターン13と第2の金属導体パターン14cとは、誘電体基材11を貫通して形成された貫通孔の壁面に金属導体を接合したり、貫通孔内を金属導体で充填したりして形成する1個又は複数個のビア15で電気的な導通が図られるように接続されている。
【0019】
それぞれの第1の金属導体パターン13に設けるビア15において、少なくとも金属導体線路12に最も近接する位置に設けるビア15であって、第2の金属導体パターン14cに接続する伝送線路変換用ビア15aは、第1の金属導体パターン13と接続している。そして、この伝送線路変換用ビア15aは、第2の金属導体パターン14cの電磁波伝播方向(図2(A)、(B)においては平面視して上下の方向)に平行するパターン外周縁以外の外周縁の部分のパターン境界線16aに接続して設けられている。なお、伝送線路変換用ビア15aと、第1の金属導体パターン13の接続は、できるだけスタブが形成されないように伝送線路変換用ビア15aを第1の金属導体パターン13のパターン境界線16に近接又は接続して設けるのがよい。また、境界線16aに接続して設けられるビア15は、伝送線路変換用ビア15a以外に金属導体線路12から遠ざかる位置に1又は複数個を設けてもよい。
【0020】
この高周波用伝送線路基板10aは、誘電体基材11の下端部から、一方の主面側の第1の金属パターン13に接続する伝送線路変換用ビア15aの近い側の接線までの長さd分の第1の金属パターン13bと、誘電体基材11を挟んで、これに対応する他方の主面側の誘電体基材11の下端部から、第2の金属導体パターン14dのパターン境界線16aに接続する伝送線路変換用ビア15aの近い側の接線までのパターンのない部分の長さd分と、及び、金属導体線路12の内の長さd分の金属導体線路12cとでコプレナー線路構造部を形成している。また、この高周波用伝送線路基板10aは、誘電体基材11の一方の主面側の第1の金属導体パターン13のパターンが形成されていない部分から、又は、伝送線路変換用ビア15aがパターン境界線16から突出する場合には伝送線路変換用ビア15aの遠い側の接線から、上端部までの長さeと、誘電体基材11を挟んで、これに対応する他方の主面側の第2の金属パターン14cの内の長さe分の第2の金属導体パターン14dと、及び、金属導体線路12の内の長さe分の金属導体線路12dとでマイクロストリップ線路構造部を形成している。そして、長さd分と、長さe分の境界との間の部分には、マイクロストリップ線路構造部と、コプレナー線路構造部を結合するところになる長さf分の伝送線路変換部を形成している。この高周波用伝送線路基板10aは、伝送線路変換部のスタブの形成を小さく抑えることができるので、伝送特性の悪化を低減することができる。
【0021】
図3(A)、(B)に示すように、本発明の他の実施の形態に係る高周波用伝送線路基板10aの変形例の高周波用伝送線路基板10bは、高周波用伝送線路基板10aの場合と同様に、誘電体基材11の一方の主面側に1又は複数の金属導体線路12と、同一面に1又は複数の第1の金属導体パターン13を有している。また、高周波用伝送線路基板10bは、誘電体基材11の他方の主面側に、実質的に第1の金属導体パターン13と対向する部分にはパターンを設けないグランド用の1又は複数の第2の金属導体パターン14cを有している。そして、第1の金属導体パターン13と第2の金属導体パターン14cとは、誘電体基材11を貫通して形成された貫通孔の壁面に金属導体を接合したり、貫通孔内を金属導体で充填したりして形成する1個又は複数個のビア15で電気的な導通が図られるように接続されている。
【0022】
それぞれの第1の金属導体パターン13に設けるビア15において、少なくとも金属導体線路12に最も近接する位置に設けるビア15であって、第2の金属導体パターン14cに接続する伝送線路変換用ビア15aは、第1の金属導体パターン13の電磁波伝播方向(図3(A)、(B)においては平面視して上下の方向)に平行するパターン外周縁以外の外周縁の部分のパターン境界線16に接続し、しかも、この伝送線路変換用ビア15aは、第2の金属導体パターン14cに接続して設けられている。なお、伝送線路変換用ビア15aと、第2の金属導体パターン14cの接続は、できるだけスタブが形成されないように伝送線路変換用ビア15aを第2の金属導体パターン14cのパターン境界線16aに近接又は接続して設けるのがよい。また、境界線16に接続して設けられるビア15は、伝送線路変換用ビア15a以外に金属導体線路12から遠ざかる位置に1又は複数個を設けてもよい。
【0023】
この高周波用伝送線路基板10bは、第1の金属導体パターン13の電磁波伝播方向におけるパターンの下端部から、金属導体線路12に最も近接する伝送線路変換用ビア15aの近い側の接線までの長さa分の第1の金属導体パターン13aと、第2の金属導体パターン14cの誘電体基材11の下端部から、金属導体線路12に最も近接する位置の伝送線路変換用ビア15aの近い側の接線までの長さa分と、及び、金属導体線路12の内の長さa分の金属導体線路12aとでコプレナー線路構造部を形成している。また、この高周波用伝送線路基板10bは、第1の金属導体パターン13以外のパターンが形成されていない部分の伝送線路変換用ビア15aの遠い側の接線から、上端部までの長さb分と、第2の金属パターン14cの内の長さb分の第2の金属導体パターン14dと、及び、金属導体線路12の内の長さb分の金属導体線路12bとでマイクロストリップ線路構造部を形成している。そして、長さa分と、長さb分の境界との間の部分には、マイクロストリップ線路構造部と、コプレナー線路構造部を結合するところになる長さc分の伝送線路変換部を形成している。この高周波用伝送線路基板10bは、伝送線路変換部のスタブの形成を小さく抑えることができるので、伝送特性の悪化を低減することができる。
【0024】
次いで、図4(A)、(B)に示すように、本発明の更に他の実施の形態に係る高周波用伝送線路基板10cは、単板、又は、複数枚を重ね合わせて積層して形成する積層体からなるセラミックや、プラスチック等の誘電体基材11の一方の主面側の上表面又は上層部に高周波の信号を通過させるための信号線用の1又は複数の金属導体線路12と、同一面に金属導体線路12と接触しないように誘電体基材11が露出して絶縁域となる間隔を設け、部分的な小面積からなるグランド用の1又は複数の第1の金属導体パターン13を有している。また、高周波用伝送線路基板10cは、誘電体基材11の他方の主面側の中の下表面、又は複数層の積層体からなる誘電体基材11の中間層である下層部に、実質的に第1の金属導体パターン13と対向する部分にはパターンを設けないグランド用の1又は複数の第2の金属導体パターン14cを有している。そして、第1の金属導体パターン13と第2の金属導体パターン14cとは、誘電体基材11を貫通して形成された貫通孔の壁面に金属導体を接合したり、貫通孔内を金属導体で充填したりして形成する1個又は複数個のビア15で電気的な導通が図られるように接続されている。
【0025】
それぞれの第1の金属導体パターン13に設けるビア15において、少なくとも金属導体線路12に最も近接する位置に設けるビア15であって、第2の金属導体パターン14cに接続する伝送線路変換用ビア15aは、第1の金属導体パターン13の電磁波伝播方向(図4(A)、(B)においては平面視して上下の方向)に平行するパターン外周縁以外の外周縁の部分のパターン境界線16に接続し、しかも、この伝送線路変換用ビア15aは、第2の金属導体パターン14cの電磁波伝播方向に平行するパターン外周縁以外の外周縁の部分のパターン境界線16aに接続して設けられている。なお、境界線16、16aに接続して設けられるビア15は、伝送線路変換用ビア15a以外に金属導体線路12から遠ざかる位置に1又は複数個を設けてもよい。
【0026】
この高周波用伝送線路基板10cは、第1の金属導体パターン13の電磁波伝播方向におけるパターンの下端部から、金属導体線路12に最も近接する位置の伝送線路変換用ビア15aの近い側の接線までの長さa分の第1の金属導体パターン13aと、誘電体基材11の下端部から、第2の金属導体パターン14cのパターン境界線16aと接続して金属導体線路12に最も近接する位置の伝送線路変換用ビア15aの近い側の接線までの長さa分と、及び、金属導体線路12の内の長さa分の金属導体線路12aとでコプレナー線路構造部を形成している。また、この高周波用伝送線路基板10cは、誘電体基材11の一方の主面側の伝送線路変換用ビア15aの遠い側の接線から、第1の金属導体パターン13以外のパターンが形成されていない部分の上端部までの長さb分と、第2の金属パターン14cの内の長さb分の第2の金属導体パターン14dと、及び、金属導体線路12の内の長さb分の金属導体線路12bとでマイクロストリップ線路構造部を形成している。そして、長さa分と、長さb分の境界との間の部分には、マイクロストリップ線路構造部と、コプレナー線路構造部を結合するところになる長さc分の伝送線路変換部を形成している。この高周波用伝送線路基板10cは、伝送線路変換部のスタブの形成を防止することができるので、伝送特性の悪化を低減することができる。
【0027】
【実施例】
基板厚み0.25mm、ビア直径0.2mmのアルミナ(Al2O3)基材からなり、マイクロストリップ線路構造部とグランデッドコプレナー線路構造部との伝送線路変換部を有する実施例と、第1及び第2の金属導体パターン内にビアを設ける従来構造からなる比較例の高周波用伝送線路基板について、SパラメータのS11である反射係数をシミュレーションして調査した結果を説明する。
実施例1は、図1(A)に示す、伝送線路変換用ビア15aが第1の金属導体パターン13から飛び出した部分のパターン境界線16からの長さZを0.05mmとした。実施例2は、この長さZを0.1mmとした。比較例1は、図6(A)に示す、長さXを0.2mmとした。比較例2は、この長さXを0.1mmとした。比較例3は、この長さXを0.05mmとした。
【0028】
図5に示すように、Sパラメータシミュレーションを行った結果は、周波数が35〜45GHzの高周波領域にあっても、実施例1及び2のSパラメータのS11である反射係数が従来例1、2、及び3の反射係数より小さくなり、優れた伝送特性を有していることが分かる。
【0029】
【発明の効果】
請求項1記載の高周波用伝送線路基板は、第1の金属導体パターンのそれぞれに設けられるビアの金属導体線路に最も近接する位置に有する1個又は複数個の内の1個からなる伝送線路変換用ビアが第1の金属導体パターンの電磁波伝播方向に平行する外周縁以外の外周縁のパターン境界線に接続して設けられているので、マイクロストリップ線路構造部とグランデッドコプレナー線路構造部を結合する部分となる伝送線路変換部の第1の金属導体パターンの金属導体線路と近接する部分にスタブを形成するのを防止することができ、電磁波の反射が発生する等による伝送特性の悪化を低減することができる。
【0030】
請求項2記載の高周波用伝送線路基板は、第1の金属導体パターンのそれぞれに設けられるビアの金属導体線路に最も近接する位置に有する伝送線路変換用ビアが第1の金属導体パターンと接続し、しかも、伝送線路変換用ビアが第2の金属導体パターンの電磁波伝播方向に平行する外周縁以外の外周縁のパターン境界線に接続して設けられているので、マイクロストリップ線路構造部とコプレナー線路構造部を結合する部分となる伝送線路変換部の第2の金属導体パターンの金属導体線路と近接する部分にスタブを形成するのを防止することができ、電磁波の反射が発生する等による伝送特性の悪化を低減することができる。
【0031】
請求項3記載の高周波用伝送線路基板は、第1の金属導体パターンのそれぞれに設けられるビアの金属導体線路に最も近接する位置に有する伝送線路変換用ビアが第1の金属導体パターンの電磁波伝播方向に平行する外周縁以外の外周縁のパターン境界線に接続して設けられ、しかも、伝送線路変換用ビアが第2の金属導体パターンの電磁波伝播方向に平行する外周縁以外の外周縁のパターン境界線に接続して設けられているので、マイクロストリップ線路構造部とコプレナー線路構造部を結合する部分となる伝送線路変換部の第1の金属導体パターンと、第2の金属導体パターンの金属導体線路と近接する部分にスタブを形成するのを防止することができ、電磁波の反射が発生する等による伝送特性の悪化を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(A)、(B)はそれぞれ本発明の一実施の形態に係る高周波用伝送線路基板の一方の主面側の平面図、他方の主面側の平面図である。
【図2】(A)、(B)はそれぞれ本発明の他の実施の形態に係る高周波用伝送線路基板の一方の主面側の平面図、他方の主面側の平面図である。
【図3】(A)、(B)はそれぞれ同高周波用伝送線路基板の変形例の一方の主面側の平面図、他方の主面側の平面図である。
【図4】(A)、(B)はそれぞれ本発明の更に他の実施の形態に係る高周波用伝送線路基板の一方の主面側の平面図、他方の主面側の平面図である。
【図5】本発明及び従来の高周波用伝送線路基板の伝送特性のシミュレーション結果のグラフである。
【図6】(A)、(B)はそれぞれ従来の高周波用伝送線路基板の一方の主面側の平面図、他方の主面側の平面図である。
【図7】(A)、(B)はそれぞれ他の従来の高周波用伝送線路基板の一方の主面側の平面図、他方の主面側の平面図である。
【符号の説明】
10、10a、10b、10c:高周波用伝送線路基板、11:誘電体基材、12、12a、12b、12c、12d:金属導体線路、13、13a、13b:第1の金属導体パターン、14、14a、14b、14c、14d:第2の金属導体パターン、15:ビア、15a:伝送線路変換用ビア、16、16a:パターン境界線
【発明が属する技術分野】
本発明は、金属導体線路に高周波用の信号を通過させるための高周波用伝送線路基板に係り、より詳細には、誘電体基材の一方の主面側と、他方の主面側にグランド用の金属導体パターンを設け、ビアで電気的に接続する高周波用伝送線路基板に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年のモジュールの高周波化に伴い、半導体素子を搭載するためのパッケージや回路基板等を高周波が伝播したり、パッケージや回路基板等に接合して用いられたりする異なる信号線形態間を接続するための伝送線路基板を高周波が伝播したりする。従って、単なる電気的接続では、例えば、信号線を伝播する反射、クロストーク等の伝送線路としての電磁気的、電磁波的挙動が顕著になるため、反射ノイズを低減するための整合や、ドライバ回路のスイッチング時に生じる電源雑音、不要電磁放射(EMI)等の様々なノイズの対策が必要となっている。このノイズの発生要因を減少するために、高周波用伝送線路基板には、セラミックやプラスチックからなる誘電体基材に導体金属からなる信号線とグランドを形成して高速動作に対応できる特性インピーダンス等の電気的設計の考慮が行われている。
【0003】
高周波用伝送線路基板上で高速信号を伝播させるには、代表的な伝送線路構造として、マイクロストリップ線路、コプレナー線路、グランデッドコプレナー線路等の構造からなるものがある。それぞれの線路構造を有する高周波用伝送線路基板の特性インピーダンスは、信号線配線幅、絶縁層(誘電体基材)の厚さや信号線とグランドパターンとの隙間の幾何的寸法と、誘電体基材の比誘電率によって決まる。
【0004】
図6(A)、(B)に示すように、例えば、高周波の伝送特性に優れた高周波用パッケージ等に組み込まれて用いられる従来の高周波用伝送線路基板50は、誘電体基材51の一方の主面側(図6(A)参照)の上表面又は上層面に信号線用の金属導体線路52と局部的なパターンからなるグランド用の第1の金属導体パターン53を有している。誘電体基材51の他方の主面側(図6(B)参照)の下表面又は下層面には、べたパターンからなるグランド用の第2の金属導体パターン54を有している。そして、第1の金属導体パターン53と第2の金属導体パターン54とは、それぞれのパターン内で接続するビア55で導通を形成している。この高周波用伝送線路基板50は、誘電体基材51を挟んで、第1の金属導体パターン53、第2の金属導体パターン54、及び金属導体線路52とでグランデッドコプレナー線路構造部を形成し、第2の金属導体パターン54と、金属導体線路52とでマイクロストリップ線路構造部を形成している。そして、マイクロストリップ線路構造部とグランデッドコプレナー線路構造部を結合する部分で伝送線路変換部を形成している。
【0005】
また、図7(A)、(B)に示すように、他の従来の高周波用伝送線路基板50aは、誘電体基材51の一方の主面側(図7(A)参照)の上表面又は上層面に信号線用の金属導体線路52と局部的なパターンからなるグランド用の第1の金属導体パターン53を有している。誘電体基材51の他方の主面側(図7(B)参照)の下表面又は下層面には、局部的なパターンからなるグランド用の第2の金属導体パターン54aを有している。そして、第1の金属導体パターン53と第2の金属導体パターン54aとは、それぞれのパターン内で接続するビア55で導通を形成している。この高周波用伝送線路基板50aは、誘電体基材51を挟んで、第1の金属導体パターン53と、金属導体線路52とでコプレナー線路構造部を形成し、第2の金属導体パターン54aと、金属導体線路52とでマイクロストリップ線路構造部を形成している。そして、マイクロストリップ線路構造部とコプレナー線路構造部を結合する部分で伝送線路変換部を形成している。
【0006】
また、従来の高周波用伝送基板には、例えば、高周波特性に優れ、且つ伝送特性に優れた高周波用パッケージを構成するために、誘電体磁器基材の上表面に信号線と、この信号線を挟んでグランド用パターンを備え、下表面にも信号線と、この信号線を挟んでグランド用パターンを備え、上、下表面の信号線と信号線、上、下表面のグランド用パターンとグランド用パターンを導体ビアで接続した形態が開示されている(例えば、特許文献1参照)。更に、伝送基板には、複数の信号伝送線路間のクロストークの低減を図るために、セラミック基板(誘電体基材)の上面に複数の信号伝送線路をストライプ状に設け、信号伝送線路間に表面をセラミック基板から露出させた接地線路を設ける形態が開示されている(例えば、特許文献2参照)。
【0007】
【特許文献1】
特開2001−298306号公報(第1−7頁、弟1、2図)
【特許文献2】
特開平11−266105号公報(第1−16頁、弟1−20図)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前述したような従来の高周波用伝送線路基板は、次のような問題がある。
(1)マイクロストリップ線路構造部とグランデッドコプレナー線路構造部を結合する部分となる伝送線路変換部や、マイクロストリップ線路構造部とコプレナー線路構造部を結合する部分となる伝送線路変換部は、第1の金属導体パターンと第2の金属導体パターンを接続するビアを第1の金属導体パターンや第2の金属導体パターンからはみ出さないように配置した構造としている。この構造によって、例えば、周波数が30GHz程度以上の高周波になると、電磁波伝播方向のビアの外周縁から第1の金属導体パターン端部までのパターン分の長さ(例えば、図6(A)、図7(A)に示す長さX)や、ビアの外周縁から第2の金属導体パターンのパターン端部までのパターン分の長さ(例えば、図7(B)に示す長さY)が余分なパターン分の長さ(スタブ)として作用し、電磁波の反射が発生する等によって伝送特性が悪化するという問題がある。
【0009】
(2)第1の金属パターンと第2の金属パターンの電流の伝搬は、金属導体線路に近接する部分に集中するが、金属導体線路に近接する部分のビアの位置についての考慮がなされていないので、電磁波伝播方向のビアの外周縁から第1の金属導体パターン端部までのパターン分の長さや、ビアの外周縁から第2の金属導体パターンのパターン端部までのパターン分の長さが長くなり、これがスタブとして作用して電磁波の反射が発生する等により伝送特性の悪化をきたしている。
【0010】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであって、誘電体基材の一方の主面側と、他方の主面側に形成される金属導体パターンを結合する部分となる伝送線路変換部にできるスタブを少なくして伝送特性の悪化を低減する高周波用伝送線路基板を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
前記目的に沿う本発明に係る高周波用伝送線路基板は、単板又は複数層の積層体からなる誘電体基材の一方の主面側の同一面に高周波の信号を伝播させるための信号線用の1又は複数の金属導体線路及びグランド用の1又は複数の第1の金属導体パターンと、誘電体基材の他方の主面側にグランド用の1又は複数の第2の金属導体パターンを有し、第1の金属導体パターンと第2の金属導体パターンを電気的に接続するためのビアを有する高周波用伝送線路基板において、第1の金属導体パターンのそれぞれに設けられるビアの中で少なくとも金属導体線路に最も近接する位置にある1個又は複数個の内の1個からなる伝送線路変換用ビアが、第1の金属導体パターンの電磁波伝播方向に平行する外周縁以外の外周縁のパターン境界線に接続して設けられている。これにより、マイクロストリップ線路構造部とグランデッドコプレナー線路構造部を有する高周波用伝送線路基板において、マイクロストリップ線路構造部とグランデッドコプレナー線路構造部を結合する部分となる伝送線路変換部の第1の金属導体パターンの金属導体線路と近接する部分にスタブを形成するのを防止することができるので、電磁波の反射が発生する等による伝送特性の悪化を低減することができる。
【0012】
前記目的に沿う本発明に係る高周波用伝送線路基板は、単板又は複数層の積層体からなる誘電体基材の一方の主面側の同一面に高周波の信号を伝播させるための信号線用の1又は複数の金属導体線路及びグランド用の1又は複数の第1の金属導体パターンと、誘電体基材の他方の主面側にグランド用の1又は複数の第2の金属導体パターンを有し、第1の金属導体パターンと第2の金属導体パターンを電気的に接続するためのビアを有する高周波用伝送線路基板において、第1の金属導体パターンのそれぞれに設けられるビアの中で少なくとも金属導体線路に最も近接する位置にある伝送線路変換用ビアが第1の金属導体パターンと接続し、しかも、伝送線路変換用ビアが、第2の金属導体パターンの電磁波伝播方向に平行する外周縁以外の外周縁のパターン境界線に接続して設けられている。これにより、マイクロストリップ線路構造部とコプレナー線路構造部を有する高周波用伝送線路基板において、マイクロストリップ線路構造部とコプレナー線路構造部を結合する部分となる伝送線路変換部の第2の金属導体パターンの金属導体線路と近接する部分にスタブを形成するのを防止することができるので、電磁波のに反射が発生する等による伝送特性の悪化を低減することができる。
【0013】
前記目的に沿う本発明に係る高周波用伝送線路基板は、単板又は複数層の積層体からなる誘電体基材の一方の主面側の同一面に高周波の信号を伝播させるための信号線用の1又は複数の金属導体線路及びグランド用の1又は複数の第1の金属導体パターンと、誘電体基材の他方の主面側にグランド用の1又は複数の第2の金属導体パターンを有し、第1の金属導体パターンと第2の金属導体パターンを電気的に接続するためのビアを有する高周波用伝送線路基板において、第1の金属導体パターンのそれぞれに設けられるビアの中で少なくとも金属導体線路に最も近接する位置にある伝送線路変換用ビアが第1の金属導体パターンの電磁波伝播方向に平行する外周縁以外の外周縁のパターン境界線に接続して設けられ、しかも、伝送線路変換用ビアが、第2の金属導体パターンの電磁波伝播方向に平行する外周縁以外の外周縁のパターン境界線に接続して設けられている。これにより、マイクロストリップ線路構造部とコプレナー線路構造部を有する高周波用伝送線路基板において、マイクロストリップ線路構造部とコプレナー線路構造部を結合する部分となる伝送線路変換部の第1の金属導体パターンと、第2の金属導体パターンの金属導体線路と近接する部分にスタブを形成するのを防止することができるので、電磁波の反射が発生する等による伝送特性の悪化を低減することができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
続いて、添付した図面を参照しつつ、本発明を具体化した実施の形態について説明し、本発明の理解に供する。
ここに、図1(A)、(B)はそれぞれ本発明の一実施の形態に係る高周波用伝送線路基板の一方の主面側の平面図、他方の主面側の平面図、図2(A)、(B)はそれぞれ本発明の他の実施の形態に係る高周波用伝送線路基板の一方の主面側の平面図、他方の主面側の平面図、図3(A)、(B)はそれぞれ同高周波用伝送線路基板の変形例の一方の主面側の平面図、他方の主面側の平面図、図4(A)、(B)はそれぞれ本発明の更に他の実施の形態に係る高周波用伝送線路基板の一方の主面側の平面図、他方の主面側の平面図、図5は本発明及び従来の高周波用伝送線路基板の伝送特性のシミュレーション結果のグラフである。
【0015】
図1(A)、(B)に示すように、本発明の一実施の形態に係る高周波用伝送線路基板10は、単板、又は、複数枚を重ね合わせて積層して形成する積層体からなるセラミックや、プラスチック等の誘電体基材11の一方の主面側の上表面又は上層部に高周波の信号を通過させるための信号線用の1又は複数(本実施の形態では1個)の金属導体線路12と、同一面に金属導体線路12と接触しないように誘電体基材11が露出して絶縁域となる間隔を設け、部分的な小面積からなるグランド用の1又は複数(本実施の形態では2個)の第1の金属導体パターン13を有している。また、高周波用伝送線路基板10は、誘電体基材11の他方の主面側の中の下表面、又は複数層の積層体からなる誘電体基材11の中間層である下層部に、実質的に全面のべたパターンや、島状からなるグランド用の1又は複数(本実施の形態では1個のべたパターン)の第2の金属導体パターン14を有している。そして、第1の金属導体パターン13と第2の金属導体パターン14とは、誘電体基材11を貫通して形成された貫通孔の壁面に金属導体を接合したり、貫通孔内を金属導体で充填したりして形成する1個又は複数個(本実施の形態ではそれぞれの第1の金属導体パターン13に4個ずつ)のビア15で電気的な導通が図られるように接続されている。
【0016】
それぞれの第1の金属導体パターン13に設けるビア15において、少なくとも金属導体線路12に最も近接する位置に設ける1個のビア15、又は、金属導体線路12に近接する位置にあるビア15が複数個ある場合にはその内の1個のビア15であって、第2の金属導体パターン14に接続する伝送線路変換用ビア15aは、第1の金属導体パターン13の電磁波伝播方向(図1(A)、(B)においては平面視して上下の方向)に平行するパターン外周縁以外の外周縁の部分のパターン境界線16に接続して設けられている。なお、境界線16に接続して設けられるビア15は、伝送線路変換用ビア15a以外に金属導体線路12から遠ざかる位置に1又は複数個を設けてもよい。
【0017】
この高周波用伝送線路基板10は、第1の金属導体パターン13の電磁波伝播方向におけるパターンの下端部から、金属導体線路12に最も近接する伝送線路変換用ビア15aの近い側の接線までの長さa分の第1の金属導体パターン13aと、誘電体基材11を挟んで、これに対応する第2の金属パターン14の内の長さa分の第2の金属導体パターン14aと、及び、金属導体線路12の内の長さa分の金属導体線路12aとでグランデッドコプレナー線路構造部を形成している。また、この高周波用伝送線路基板10は、伝送線路変換用ビア15aの遠い側の接線から第1の金属導体パターン13以外のパターンが形成されていない部分の上端部までの長さbと、誘電体基材11を挟んで、これに対応する第2の金属パターン14の内の長さb分の第2の金属導体パターン14bと、及び、金属導体線路12の内の長さb分の金属導体線路12bとでマイクロストリップ線路構造部を形成している。そして、長さa分と、長さb分の境界との間の部分には、マイクロストリップ線路構造部と、グランデッドコプレナー線路構造部を結合するところになる長さc分の伝送線路変換部を形成している。この高周波用伝送線路基板10は、伝送線路変換部のスタブが形成されないので、伝送特性の悪化を低減することができる。
【0018】
次いで、図2(A)、(B)に示すように、本発明の他の実施の形態に係る高周波用伝送線路基板10aは、単板、又は、複数枚を重ね合わせて積層して形成する積層体からなるセラミックや、プラスチック等の誘電体基材11の一方の主面側の上表面又は上層部に高周波の信号を通過させるための信号線用の1又は複数の金属導体線路12と、同一面に金属導体線路12と接触しないように誘電体基材11が露出して絶縁域となる間隔を設け、部分的な小面積からなるグランド用の1又は複数の第1の金属導体パターン13を有している。また、高周波用伝送線路基板10aは、誘電体基材11の他方の主面側の中の下表面、又は複数層の積層体からなる誘電体基材11の中間層である下層部に、実質的に第1の金属導体パターン13と対向する部分にはパターンを設けないグランド用の1又は複数の第2の金属導体パターン14cを有している。そして、第1の金属導体パターン13と第2の金属導体パターン14cとは、誘電体基材11を貫通して形成された貫通孔の壁面に金属導体を接合したり、貫通孔内を金属導体で充填したりして形成する1個又は複数個のビア15で電気的な導通が図られるように接続されている。
【0019】
それぞれの第1の金属導体パターン13に設けるビア15において、少なくとも金属導体線路12に最も近接する位置に設けるビア15であって、第2の金属導体パターン14cに接続する伝送線路変換用ビア15aは、第1の金属導体パターン13と接続している。そして、この伝送線路変換用ビア15aは、第2の金属導体パターン14cの電磁波伝播方向(図2(A)、(B)においては平面視して上下の方向)に平行するパターン外周縁以外の外周縁の部分のパターン境界線16aに接続して設けられている。なお、伝送線路変換用ビア15aと、第1の金属導体パターン13の接続は、できるだけスタブが形成されないように伝送線路変換用ビア15aを第1の金属導体パターン13のパターン境界線16に近接又は接続して設けるのがよい。また、境界線16aに接続して設けられるビア15は、伝送線路変換用ビア15a以外に金属導体線路12から遠ざかる位置に1又は複数個を設けてもよい。
【0020】
この高周波用伝送線路基板10aは、誘電体基材11の下端部から、一方の主面側の第1の金属パターン13に接続する伝送線路変換用ビア15aの近い側の接線までの長さd分の第1の金属パターン13bと、誘電体基材11を挟んで、これに対応する他方の主面側の誘電体基材11の下端部から、第2の金属導体パターン14dのパターン境界線16aに接続する伝送線路変換用ビア15aの近い側の接線までのパターンのない部分の長さd分と、及び、金属導体線路12の内の長さd分の金属導体線路12cとでコプレナー線路構造部を形成している。また、この高周波用伝送線路基板10aは、誘電体基材11の一方の主面側の第1の金属導体パターン13のパターンが形成されていない部分から、又は、伝送線路変換用ビア15aがパターン境界線16から突出する場合には伝送線路変換用ビア15aの遠い側の接線から、上端部までの長さeと、誘電体基材11を挟んで、これに対応する他方の主面側の第2の金属パターン14cの内の長さe分の第2の金属導体パターン14dと、及び、金属導体線路12の内の長さe分の金属導体線路12dとでマイクロストリップ線路構造部を形成している。そして、長さd分と、長さe分の境界との間の部分には、マイクロストリップ線路構造部と、コプレナー線路構造部を結合するところになる長さf分の伝送線路変換部を形成している。この高周波用伝送線路基板10aは、伝送線路変換部のスタブの形成を小さく抑えることができるので、伝送特性の悪化を低減することができる。
【0021】
図3(A)、(B)に示すように、本発明の他の実施の形態に係る高周波用伝送線路基板10aの変形例の高周波用伝送線路基板10bは、高周波用伝送線路基板10aの場合と同様に、誘電体基材11の一方の主面側に1又は複数の金属導体線路12と、同一面に1又は複数の第1の金属導体パターン13を有している。また、高周波用伝送線路基板10bは、誘電体基材11の他方の主面側に、実質的に第1の金属導体パターン13と対向する部分にはパターンを設けないグランド用の1又は複数の第2の金属導体パターン14cを有している。そして、第1の金属導体パターン13と第2の金属導体パターン14cとは、誘電体基材11を貫通して形成された貫通孔の壁面に金属導体を接合したり、貫通孔内を金属導体で充填したりして形成する1個又は複数個のビア15で電気的な導通が図られるように接続されている。
【0022】
それぞれの第1の金属導体パターン13に設けるビア15において、少なくとも金属導体線路12に最も近接する位置に設けるビア15であって、第2の金属導体パターン14cに接続する伝送線路変換用ビア15aは、第1の金属導体パターン13の電磁波伝播方向(図3(A)、(B)においては平面視して上下の方向)に平行するパターン外周縁以外の外周縁の部分のパターン境界線16に接続し、しかも、この伝送線路変換用ビア15aは、第2の金属導体パターン14cに接続して設けられている。なお、伝送線路変換用ビア15aと、第2の金属導体パターン14cの接続は、できるだけスタブが形成されないように伝送線路変換用ビア15aを第2の金属導体パターン14cのパターン境界線16aに近接又は接続して設けるのがよい。また、境界線16に接続して設けられるビア15は、伝送線路変換用ビア15a以外に金属導体線路12から遠ざかる位置に1又は複数個を設けてもよい。
【0023】
この高周波用伝送線路基板10bは、第1の金属導体パターン13の電磁波伝播方向におけるパターンの下端部から、金属導体線路12に最も近接する伝送線路変換用ビア15aの近い側の接線までの長さa分の第1の金属導体パターン13aと、第2の金属導体パターン14cの誘電体基材11の下端部から、金属導体線路12に最も近接する位置の伝送線路変換用ビア15aの近い側の接線までの長さa分と、及び、金属導体線路12の内の長さa分の金属導体線路12aとでコプレナー線路構造部を形成している。また、この高周波用伝送線路基板10bは、第1の金属導体パターン13以外のパターンが形成されていない部分の伝送線路変換用ビア15aの遠い側の接線から、上端部までの長さb分と、第2の金属パターン14cの内の長さb分の第2の金属導体パターン14dと、及び、金属導体線路12の内の長さb分の金属導体線路12bとでマイクロストリップ線路構造部を形成している。そして、長さa分と、長さb分の境界との間の部分には、マイクロストリップ線路構造部と、コプレナー線路構造部を結合するところになる長さc分の伝送線路変換部を形成している。この高周波用伝送線路基板10bは、伝送線路変換部のスタブの形成を小さく抑えることができるので、伝送特性の悪化を低減することができる。
【0024】
次いで、図4(A)、(B)に示すように、本発明の更に他の実施の形態に係る高周波用伝送線路基板10cは、単板、又は、複数枚を重ね合わせて積層して形成する積層体からなるセラミックや、プラスチック等の誘電体基材11の一方の主面側の上表面又は上層部に高周波の信号を通過させるための信号線用の1又は複数の金属導体線路12と、同一面に金属導体線路12と接触しないように誘電体基材11が露出して絶縁域となる間隔を設け、部分的な小面積からなるグランド用の1又は複数の第1の金属導体パターン13を有している。また、高周波用伝送線路基板10cは、誘電体基材11の他方の主面側の中の下表面、又は複数層の積層体からなる誘電体基材11の中間層である下層部に、実質的に第1の金属導体パターン13と対向する部分にはパターンを設けないグランド用の1又は複数の第2の金属導体パターン14cを有している。そして、第1の金属導体パターン13と第2の金属導体パターン14cとは、誘電体基材11を貫通して形成された貫通孔の壁面に金属導体を接合したり、貫通孔内を金属導体で充填したりして形成する1個又は複数個のビア15で電気的な導通が図られるように接続されている。
【0025】
それぞれの第1の金属導体パターン13に設けるビア15において、少なくとも金属導体線路12に最も近接する位置に設けるビア15であって、第2の金属導体パターン14cに接続する伝送線路変換用ビア15aは、第1の金属導体パターン13の電磁波伝播方向(図4(A)、(B)においては平面視して上下の方向)に平行するパターン外周縁以外の外周縁の部分のパターン境界線16に接続し、しかも、この伝送線路変換用ビア15aは、第2の金属導体パターン14cの電磁波伝播方向に平行するパターン外周縁以外の外周縁の部分のパターン境界線16aに接続して設けられている。なお、境界線16、16aに接続して設けられるビア15は、伝送線路変換用ビア15a以外に金属導体線路12から遠ざかる位置に1又は複数個を設けてもよい。
【0026】
この高周波用伝送線路基板10cは、第1の金属導体パターン13の電磁波伝播方向におけるパターンの下端部から、金属導体線路12に最も近接する位置の伝送線路変換用ビア15aの近い側の接線までの長さa分の第1の金属導体パターン13aと、誘電体基材11の下端部から、第2の金属導体パターン14cのパターン境界線16aと接続して金属導体線路12に最も近接する位置の伝送線路変換用ビア15aの近い側の接線までの長さa分と、及び、金属導体線路12の内の長さa分の金属導体線路12aとでコプレナー線路構造部を形成している。また、この高周波用伝送線路基板10cは、誘電体基材11の一方の主面側の伝送線路変換用ビア15aの遠い側の接線から、第1の金属導体パターン13以外のパターンが形成されていない部分の上端部までの長さb分と、第2の金属パターン14cの内の長さb分の第2の金属導体パターン14dと、及び、金属導体線路12の内の長さb分の金属導体線路12bとでマイクロストリップ線路構造部を形成している。そして、長さa分と、長さb分の境界との間の部分には、マイクロストリップ線路構造部と、コプレナー線路構造部を結合するところになる長さc分の伝送線路変換部を形成している。この高周波用伝送線路基板10cは、伝送線路変換部のスタブの形成を防止することができるので、伝送特性の悪化を低減することができる。
【0027】
【実施例】
基板厚み0.25mm、ビア直径0.2mmのアルミナ(Al2O3)基材からなり、マイクロストリップ線路構造部とグランデッドコプレナー線路構造部との伝送線路変換部を有する実施例と、第1及び第2の金属導体パターン内にビアを設ける従来構造からなる比較例の高周波用伝送線路基板について、SパラメータのS11である反射係数をシミュレーションして調査した結果を説明する。
実施例1は、図1(A)に示す、伝送線路変換用ビア15aが第1の金属導体パターン13から飛び出した部分のパターン境界線16からの長さZを0.05mmとした。実施例2は、この長さZを0.1mmとした。比較例1は、図6(A)に示す、長さXを0.2mmとした。比較例2は、この長さXを0.1mmとした。比較例3は、この長さXを0.05mmとした。
【0028】
図5に示すように、Sパラメータシミュレーションを行った結果は、周波数が35〜45GHzの高周波領域にあっても、実施例1及び2のSパラメータのS11である反射係数が従来例1、2、及び3の反射係数より小さくなり、優れた伝送特性を有していることが分かる。
【0029】
【発明の効果】
請求項1記載の高周波用伝送線路基板は、第1の金属導体パターンのそれぞれに設けられるビアの金属導体線路に最も近接する位置に有する1個又は複数個の内の1個からなる伝送線路変換用ビアが第1の金属導体パターンの電磁波伝播方向に平行する外周縁以外の外周縁のパターン境界線に接続して設けられているので、マイクロストリップ線路構造部とグランデッドコプレナー線路構造部を結合する部分となる伝送線路変換部の第1の金属導体パターンの金属導体線路と近接する部分にスタブを形成するのを防止することができ、電磁波の反射が発生する等による伝送特性の悪化を低減することができる。
【0030】
請求項2記載の高周波用伝送線路基板は、第1の金属導体パターンのそれぞれに設けられるビアの金属導体線路に最も近接する位置に有する伝送線路変換用ビアが第1の金属導体パターンと接続し、しかも、伝送線路変換用ビアが第2の金属導体パターンの電磁波伝播方向に平行する外周縁以外の外周縁のパターン境界線に接続して設けられているので、マイクロストリップ線路構造部とコプレナー線路構造部を結合する部分となる伝送線路変換部の第2の金属導体パターンの金属導体線路と近接する部分にスタブを形成するのを防止することができ、電磁波の反射が発生する等による伝送特性の悪化を低減することができる。
【0031】
請求項3記載の高周波用伝送線路基板は、第1の金属導体パターンのそれぞれに設けられるビアの金属導体線路に最も近接する位置に有する伝送線路変換用ビアが第1の金属導体パターンの電磁波伝播方向に平行する外周縁以外の外周縁のパターン境界線に接続して設けられ、しかも、伝送線路変換用ビアが第2の金属導体パターンの電磁波伝播方向に平行する外周縁以外の外周縁のパターン境界線に接続して設けられているので、マイクロストリップ線路構造部とコプレナー線路構造部を結合する部分となる伝送線路変換部の第1の金属導体パターンと、第2の金属導体パターンの金属導体線路と近接する部分にスタブを形成するのを防止することができ、電磁波の反射が発生する等による伝送特性の悪化を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(A)、(B)はそれぞれ本発明の一実施の形態に係る高周波用伝送線路基板の一方の主面側の平面図、他方の主面側の平面図である。
【図2】(A)、(B)はそれぞれ本発明の他の実施の形態に係る高周波用伝送線路基板の一方の主面側の平面図、他方の主面側の平面図である。
【図3】(A)、(B)はそれぞれ同高周波用伝送線路基板の変形例の一方の主面側の平面図、他方の主面側の平面図である。
【図4】(A)、(B)はそれぞれ本発明の更に他の実施の形態に係る高周波用伝送線路基板の一方の主面側の平面図、他方の主面側の平面図である。
【図5】本発明及び従来の高周波用伝送線路基板の伝送特性のシミュレーション結果のグラフである。
【図6】(A)、(B)はそれぞれ従来の高周波用伝送線路基板の一方の主面側の平面図、他方の主面側の平面図である。
【図7】(A)、(B)はそれぞれ他の従来の高周波用伝送線路基板の一方の主面側の平面図、他方の主面側の平面図である。
【符号の説明】
10、10a、10b、10c:高周波用伝送線路基板、11:誘電体基材、12、12a、12b、12c、12d:金属導体線路、13、13a、13b:第1の金属導体パターン、14、14a、14b、14c、14d:第2の金属導体パターン、15:ビア、15a:伝送線路変換用ビア、16、16a:パターン境界線
Claims (3)
- 単板又は複数層の積層体からなる誘電体基材の一方の主面側の同一面に高周波の信号を伝播させるための信号線用の1又は複数の金属導体線路及びグランド用の1又は複数の第1の金属導体パターンと、前記誘電体基材の他方の主面側にグランド用の1又は複数の第2の金属導体パターンを有し、前記第1の金属導体パターンと前記第2の金属導体パターンを電気的に接続するためのビアを有する高周波用伝送線路基板において、
前記第1の金属導体パターンのそれぞれに設けられる前記ビアの中で少なくとも前記金属導体線路に最も近接する位置にある1個又は複数個の内の1個からなる伝送線路変換用ビアが、前記第1の金属導体パターンの電磁波伝播方向に平行する外周縁以外の外周縁のパターン境界線に接続して設けられていることを特徴とする高周波用伝送線路基板。 - 単板又は複数層の積層体からなる誘電体基材の一方の主面側の同一面に高周波の信号を伝播させるための信号線用の1又は複数の金属導体線路及びグランド用の1又は複数の第1の金属導体パターンと、前記誘電体基材の他方の主面側にグランド用の1又は複数の第2の金属導体パターンを有し、前記第1の金属導体パターンと前記第2の金属導体パターンを電気的に接続するためのビアを有する高周波用伝送線路基板において、
前記第1の金属導体パターンのそれぞれに設けられる前記ビアの中で少なくとも前記金属導体線路に最も近接する位置にある伝送線路変換用ビアが前記第1の金属導体パターンと接続し、しかも、前記伝送線路変換用ビアが、前記第2の金属導体パターンの電磁波伝播方向に平行する外周縁以外の外周縁のパターン境界線に接続して設けられていることを特徴とする高周波用伝送線路基板。 - 単板又は複数層の積層体からなる誘電体基材の一方の主面側の同一面に高周波の信号を伝播させるための信号線用の1又は複数の金属導体線路及びグランド用の1又は複数の第1の金属導体パターンと、前記誘電体基材の他方の主面側にグランド用の1又は複数の第2の金属導体パターンを有し、前記第1の金属導体パターンと前記第2の金属導体パターンを電気的に接続するためのビアを有する高周波用伝送線路基板において、
前記第1の金属導体パターンのそれぞれに設けられる前記ビアの中で少なくとも前記金属導体線路に最も近接する位置にある伝送線路変換用ビアが前記第1の金属導体パターンの電磁波伝播方向に平行する外周縁以外の外周縁のパターン境界線に接続して設けられ、しかも、前記伝送線路変換用ビアが、前記第2の金属導体パターンの電磁波伝播方向に平行する外周縁以外の外周縁のパターン境界線に接続して設けられていることを特徴とする高周波用伝送線路基板。
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JP (1) | JP2004135227A (ja) |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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KR101120043B1 (ko) | 2009-12-29 | 2012-03-22 | 이엠와이즈 통신(주) | 마이크로스트립 선로와 서스펜디드 스트립선로간 전이구조 및 그 응용 모듈 |
JP2014049877A (ja) * | 2012-08-30 | 2014-03-17 | Mitsubishi Electric Corp | プリント配線板 |
-
2002
- 2002-10-15 JP JP2002299970A patent/JP2004135227A/ja active Pending
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