JP2004132994A - ポジ型感光性樹脂組成物及び半導体装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】一般式(1)で示されるポリアミド樹脂(A)と光で酸が発生する化合物(B)を含むことを特徴とするポジ型感光性樹脂組成物。
【化1】
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、低温硬化性に優れるポジ型感光性樹脂組成物及びそれを用いた半導体装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、半導体素子の表面保護膜、層間絶縁膜には、耐熱性に優れ又卓越した電気特性、機械特性等を有するポリイミド樹脂が用いられているが、近年半導体素子の高集積化、大型化、半導体装置の薄型化、小型化、半田リフローによる表面実装への移行等により耐熱サイクル性、耐熱ショック性等の特性に対する著しい向上の要求があり、更に高性能の樹脂が必要とされるようになってきた。
【0003】
一方、ポリイミド樹脂自身に感光性を付与する技術が注目を集めてきており、例えば、下記式(4)に示される感光性ポリイミド樹脂が挙げられる。
【0004】
【化4】
【0005】
これを用いるとパターン作成工程の一部が簡略化でき、工程短縮及び歩留まり向上の効果はあるが、現像の際にN−メチル−2−ピロリドン等の溶剤をスプレー状に噴霧することが必要となるため、安全性、取扱い性に問題がある。そこで、最近アルカリ水溶液で現像ができるポジ型の感光性樹脂組成物が開発されている。例えば、特公平1−46862号公報にはベース樹脂であるポリベンゾオキサゾール前駆体と感光材であるジアゾキノン化合物より構成されるポジ型感光性樹脂組成物が開示されている。これは高い耐熱性、優れた電気特性、微細加工性を有し、ウェハーコート用のみならず層間絶縁用としての可能性も有している。このポジ型の感光性樹脂組成物の現像メカニズムは、未露光部のジアゾキノン化合物はアルカリ水溶液に不溶であるが、露光することによりジアゾキノン化合物が化学変化を起こし、アルカリ水溶液に可溶となる。この露光部と未露光部との溶解性の差を利用し、露光部を溶解除去することにより未露光部のみの塗膜パターンの作成が可能となるものである。
【0006】
これらの感光性樹脂組成物は、上述したようにパターニングを行った後、熱的及び機械的に優れる塗膜を得るために、熱処理を行い硬化させることが必要である。この時、必要な温度は一般に300℃を越えている。しかし、近年半導体装置や半導体素子或いは適応する基板によっては、上記のような高温硬化を行うことができないものもあり、その場合従来の感光性樹脂組成物では充分な膜特性が得られず、膜にクラックが発生したり、剥がれが発生し、信頼性が得られないという問題が生じてきている。又、300℃以下のような低温で硬化した感光性樹脂組成物を層間絶縁用途に適用した場合、その多層化プロセスにおいて、クラック等が発生する等の問題も多く、低温硬化でも機械的特性が十分に発現するポジ型感光性樹脂組成物が強く望まれている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、従来の特性を維持しながら低温硬化性に優れる特性を有するポジ型感光性樹脂組成物及びそれを用いた半導体装置を提供するものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、
[1] 一般式(1)で示されるポリアミド樹脂(A)と光で酸が発生する化合物(B)を含むことを特徴とするポジ型感光性樹脂組成物、
【0009】
【化5】
【0010】
[2] 一般式(1)で示されるポリアミド樹脂中のXが、式(2)の群より選ばれてなる第[1]項記載のポジ型感光性樹脂組成物、
【0011】
【化6】
【0012】
[3] 一般式(1)で示されるポリアミド樹脂中のYが、式(3)の群より選ばれてなる第[1]項1又は第[2]項記載のポジ型感光性樹脂組成物、
【0013】
【化7】
【0014】
[4] 光で酸を発生する化合物が、フェノール化合物と1,2−ナフトキノン−2−ジアジド−5−スルホン酸及び/又は1,2−ナフトキノン−2−ジアジド−4−スルホン酸とのエステル化合物である第[1]項〜[3]項のいずれかに記載のポジ型感光性樹脂組成物、
[5] 一般式(1)で示されるポリアミド樹脂が、ゲルパーミエーションクロマトグラフィを用いて、標準のポリスチレンの検量線により求めた重量平均分子量8000以上である第[1]項〜[4]項のいずれかに記載のポジ型感光性樹脂組成物、
[6] 第[1]項〜[5]項のいずれかに記載のポジ型感光性樹脂組成物を加熱脱水閉環後の膜厚が、0.1〜30μmになるように半導体素子上に塗布し、プリベーク、露光、現像、加熱して得られることを特徴とする半導体装置、
である。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明で用いる一般式(1)で示される構造を含むポリアミド樹脂中のXは、2〜4価の環状化合物基を表し、R1は、水酸基、O−R3で、mは0〜2の整数であり、これらは同一でも異なっていても良い。Yは、2〜6価の環状化合物基を表し、R2は水酸基、カルボキシル基、O−R3、COO−R3で、nは0〜4の整数であり、これらは同一でも異なっていても良い。ここでR3は炭素数1〜15の有機基である。但し、R1として水酸基がない場合は、R2は少なくとも1つはカルボキシル基でなければならない。又R2としてカルボキシル基がない場合は、R1は少なくとも1つは水酸基でなければならない。
【0016】
一般式(1)で示される構造を含むポリアミド樹脂において、Xの置換基としてのO−R3、Yの置換基としてのO−R3、COO−R3は、水酸基、カルボキシル基のアルカリ水溶液に対する溶解性を調節する目的で、炭素数1〜15の有機基で保護された基であり、必要により水酸基、カルボキシル基を保護しても良い。R3の例としては、ホルミル基、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ターシャリーブチル基、ターシャリーブトキシカルボニル基、フェニル基、ベンジル基、テトラヒドロフラニル基、テトラヒドロピラニル基等が挙げられる。
【0017】
本発明の一般式(1)で示される構造を含むポリアミド樹脂のXは、例えば、
【0018】
【化8】
【0019】
等であるがこれらに限定されるものではない。
これらの中で特に好ましいものとしては、式(2)の群より選ばれるものであり、又2種以上用いても良い。
【0020】
又一般式(1)で示される構造を含むポリアミド樹脂のYは、例えば、
【0021】
【化9】
【0022】
等であるがこれらに限定されるものではない。
これらの中で特に好ましいものとしては、式(3)の群より選ばれるものであり、又2種以上用いても良い。
【0023】
本発明の一般式(1)で示される構造を含むポリアミド樹脂は、必要によってはXの構造を有するジアミン或いはビス(アミノフェノール)、2,4−ジアミノフェノール等から選ばれるアミン成分の一部を、以下に示される骨格を有するシリコーンジアミンで置き換えたものを含んでも良い。
【0024】
【化10】
【0025】
上記シリコーンジアミンは、例えば、シリコンウェハーのような基板に対して、特に優れた密着性が必要な場合に用いるが、その使用割合はX骨格を有する化合物中の最大40モル%までである。40モル%を越えると露光部の樹脂の溶解性が極めて低下し、現像残り(スカム)が発生し、パターン加工ができなくなるので好ましくない。これらのシリコーンジアミンは単独でも又2種類以上用いても良い。
【0026】
ポリアミド樹脂の末端を封止する例として、特開平5−197153号公報に開示されているが、この樹脂は300℃以下の低温硬化では充分な塗膜特性が得られない。又特開2001−235860号公報には、末端に不飽和基を有する芳香族アミンを反応させてなる樹脂が開示されている。しかし、この末端封止された樹脂を用いても300℃以下の低温硬化では充分な塗膜特性が得られないことがある。特開2001−235860号公報に記載されている樹脂を合成する場合、酸、アミン、末端封止剤を同時に仕込んで反応させた場合、分子量が大きくなりにくいという問題がある。理由は末端封止剤が、反応中に分子の成長を阻害するものと考えられる。又末端封止剤で封止されていない末端も存在しており、塗膜物性の低下につながる。塗膜物性の低下は塗膜の伸度の低下につながり、その低下はプロセス中において、塗膜のクラックの発生の原因となる
そこで本発明者らは、酸成分をアミン成分(アミノ基と水酸基を有する)よりモル数を過剰にして、予め反応させ、酸末端にした後、末端封止剤である不飽和基を有する芳香族アミンを反応させるという方法について実験を試みたが、酸成分とアミン成分との初期段階の反応中に、しばしばゲル化が起こった。これは反応系中の過剰の酸成分が分子中のアミン成分に起因する水酸基と反応するためと考えられる。
【0027】
そこで種々検討の結果、一般式(1)中のZの構造を有する酸誘導体を用いて、末端をアミドとして末端キャップすることで、これらの問題を解決することができた。本発明のエチニル基を有する末端封止剤は300℃以下の低温においても、硬化反応が可能で架橋構造を形成し、塗膜性能を向上することができる。更に本発明においてはアミン成分を酸成分よりモル数を過剰にして、予め反応させ、アミン末端にした後に、末端封止剤である酸誘導体を反応することで、反応中にゲル化することなく末端処理が可能となった。
一般式(1)におけるZとしては、例えば
【0028】
【化11】
等であるがこれらに限定されるものではない。
【0029】
これらのなかで特に好ましいものとしては、以下のものである。
【化12】
【0030】
又本発明においては、一般式(1)の末端の一部が反応中において、その反応時の熱により、環化して、オキサゾール構造、又はイミド構造になっていてもよい。
【0031】
一般式(1)で示されるポリアミド樹脂は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィを用いて、標準のポリスチレンの検量線により求めた重量平均分子量8000以上が好ましい。重量平均分子量8000未満だと、充分な塗膜性能が得られないためで好ましくない。
このポリアミド樹脂を約200〜400℃で加熱すると脱水閉環する反応と末端同士による架橋反応が起こり、その結果、ポリイミド、又はポリベンゾオキサゾール或いは両者の共重合という形で耐熱性樹脂が得られる。
【0032】
本発明で用いる光で酸が発生する化合物(B)としては、ジアジドキノン化合物、ハロゲン化トリアジン化合物、スルホン酸エステル化合物、ジスルホン化合物、ヨードニウム化合物、スルホニウム塩、フォスホニウム塩等のオニウム塩類等を使用することができるが、これらの中で感光特性の観点よりジアジドキノン化合物が好ましい。
【0033】
ジアゾキノン化合物(B)は、1,2−ベンゾキノンジアジド或いは1,2−ナフトキノンジアジド構造を有する化合物であり、米国特許明細書第2772975号、第2797213号、第3669658号により公知の物質である。例えば、下記のものが挙げられる。
【0034】
【化13】
【0035】
【化14】
【0036】
【化15】
【0037】
【化16】
【0038】
【化17】
【0039】
【化18】
【0040】
本発明で用いる光で酸が発生する化合物(B)の添加量は、一般式(1)のポリアミド樹脂100重量部に対して1〜50重量部が好ましい。1重量部未満だとポリアミド樹脂のパターニング性が不良となり、50重量部を越えると感度が大幅に低下おそれがあるので好ましくない。
【0041】
本発明におけるポジ型感光性樹脂組成物には、必要によりレベリング剤、シランカップリング剤等の添加剤を含んでも良い。
本発明においては、これらの成分を溶剤に溶解し、ワニス状にして使用する。溶剤としては、N−メチル−2−ピロリドン、γ−ブチロラクトン、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸ブチル、メチル−1,3−ブチレングリコールアセテート、1,3−ブチレングリコール−3−モノメチルエーテル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、メチル−3−メトキシプロピオネート等が挙げられ、単独でも混合して用いても良い。
【0042】
本発明のポジ型感光性樹脂組成物は、まず該樹脂組成物を適当な支持体、例えば、シリコンウェハー、セラミック基板、アルミ基板等に塗布する。塗布量は、半導体装置の場合、硬化後の最終膜厚が0.1〜30μmになるように塗布する。膜厚が0.1μm未満だと半導体素子の保護表面膜としての機能を十分に発揮することが困難となり、30μmを越えると、微細な加工パターンを得ることが困難となる。塗布方法としては、スピンナーを用いる回転塗布、スプレーコーターを用いる噴霧塗布、浸漬、印刷、ロールコーティング等がある。次に、60〜130℃でプリベークして塗膜を乾燥後、所望のパターン形状に化学線を照射する。化学線としては、X線、電子線、紫外線、可視光線等が使用できるが、200〜500nmの波長のものが好ましい。
【0043】
次に照射部を現像液で溶解除去することによりレリーフパターンを得る。現像液としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、アンモニア水等の無機アルカリ類、エチルアミン、n−プロピルアミン等の第1アミン類、ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン等の第2アミン類、トリエチルアミン、メチルジエチルアミン等の第3アミン類、ジメチルエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルコールアミン類、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド等の第4級アンモニウム塩等のアルカリ類の水溶液、及びこれにメタノール、エタノールのごときアルコール類等の水溶性有機溶媒や界面活性剤を適当量添加した水溶液を好適に使用することができる。現像方法としては、スプレー、パドル、浸漬、超音波等の方式が可能である。
【0044】
次に、現像によって形成したレリーフパターンをリンスする。リンス液としては、蒸留水を使用する。次に200℃以上の硬化温度で加熱処理を行い、硬化させる。硬化においては末端同士による架橋反応と環化する反応、つまりポリイミド環、もしくはオキサゾール環、又はポリイミド環とオキサゾール環の両方の環を形成の反応が起こるが、本発明においては、全ての環が環化している必要はなく、耐熱性、機械的特性に富む最終パターンを得ることができるものである。
本発明によるポジ型感光性樹脂組成物は、半導体用途のみならず、多層回路の層間絶縁やフレキシブル銅張板のカバーコート、ソルダーレジスト膜や液晶配向膜等としても有用である。
【0045】
【実施例】
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。
<実施例1>
4,4’―オキシジフタル酸無水物17.1g(0.055モル)と2−メチル−2−プロパノール8.2g(0.110モル)とピリジン10.9g(0.138モル)とを温度計、攪拌機、原料投入口、乾燥窒素ガス導入管を備えた4つ口のセパラブルフラスコに入れ、N−メチル−2−ピロリドン150gを加えて溶解させた。この反応溶液に1−ヒドロキシ−1,2,3−ベンゾトリアゾール14.9g(0.110モル)をN−メチル−2−ピロリドン30gと共に滴下した後、ジシクロヘキシルカルボジイミド22.7g(0.110モル)をN−メチル−2−ピロリドン50gと共に滴下し、室温で一晩反応させた。その後、この反応溶液にジフェニルエーテル−4,4’−ジカルボン酸1.0モルと1−ヒドロキシ−1,2,3−ベンゾトリアゾール2.0モルとを反応させて得られたジカルボン酸誘導体(活性エステル)27.1g(0.055モル)とヘキサフルオロ−2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン44.7g(0.122モル)をN−メチル−2−ピロリドン70gと共に添加し、室温で2時間攪拌した。その後オイルバスを用いて75℃にて12時間攪拌して反応させた。次にN−メチル−2−ピロリドン21.5gに溶解した4−エチニルフタル酸無水物4.3g(0.025モル)を15分かけて滴下した。そのまま3時間、75℃で攪拌し、反応を終了した。反応混合物を濾過した後、反応混合物を水/メタノール=3/1(体積比)の溶液に投入、沈殿物を濾集し水で十分洗浄した後、真空下で乾燥し、一般式(1)で示され、Xが下記式X−1、Yが下記式Y−1及びY−2からなるポリアミド樹脂(A−1)を合成した。得られたポリアミド樹脂の分子量をゲルパーミエーションクロマトグラフィ(以下、GPCという)を用いて、標準のポリスチレンの検量線により求めた重量平均分子量(以下、Mwと呼ぶ。)は12200であった。この時のGPCの測定条件はガードカラム:GL―S300((株)日立製作所・製)、カラム:GL−S300MDT−5((株)日立製作所・製)×2本、カラム温度:30℃、展開溶媒:テトラヒドロフラン/N,N―ジメチルホルムアミド/リン酸=100/100/1(体積比)、展開溶媒の流速:1.0ml/分である。
【0046】
ポジ型感光性樹脂組成物の作製
合成したポリアミド樹脂(A−1)100g、下記式(Q−1)の構造を有する感光性ジアゾキノン化合物19gをγ−ブチロラクトン150gに溶解した後、0.2μmのテフロン(R)フィルターで濾過しポジ型感光性樹脂組成物を得た。
【0047】
特性評価
このポジ型感光性樹脂組成物をシリコンウェハー上にスピンコーターを用いて塗布した後、ホットプレートにて120℃で4分プリベークし、膜厚約7μmの塗膜を得た。この塗膜に凸版印刷(株)製・マスク(テストチャートNo.1:幅0.88〜50μmの残しパターン及び抜きパターンが描かれている)を通して、i線ステッパー((株)ニコン製・4425i)を用いて、露光量を変化させて照射した。
次に2.38%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液に40秒浸漬することによって露光部を溶解除去した後、純水で10秒間リンスした。その結果、露光量250mJ/cm2で照射した部分よりパターンが形成されていることが確認できた。(感度は250mJ/cm2)。解像度は3μmと非常に高い値を示した。
又これとは別に6インチシリコンウエハーに硬化後の厚さが10μmとなるようにポジ型感光性樹脂組成物を塗布し、120℃/4分でプリベークを行った。次にクリーンオーブンで酸素濃度を2000ppm以下に制御して、150℃/30分+210℃/180分で硬化を行った。次に得られたウェハーをダイシングソーを用いて、10mmの短冊状にカットした後、2%のHF水溶液(フッ酸)ことによって、ウェハーから剥離したフィルムを得た。次に引っ張り試験器にて引っ張り伸度を測定したところ、18%と良好であった。
上記と同様の方法で6インチシリコンウェハーに硬化後の厚みが10μmとなるように硬化膜を作製した後、スパッタ装置(SPF−740H:アネルバ・製)を用いて、Arガスによる逆スパッタ(300W/90秒)を行った後、クロムを0.05μm、次に銅0.2μmの膜付けを行った。次にレジストEPPRA(東京応化工業(株)・製)を5μmになるように塗布し、120℃/2分でプリベークを行った。続いてPLA601(キヤノン(株)・製)を用い、テストパターンを介して露光を行い、専用現像液で1分間現像した後、専用リンス液で1分間リンス、乾燥させた。次に120℃/2分のポストベークを行った。次にエンプレートAD−485(メルテックス・製)で銅を30秒間エッチングした後、純水で1分間リンス、乾燥させた。更に混酸クロムエッチング液(関東化学(株)・製)でクロムを30秒間エッチングした後、純水で1分間リンス、乾燥させた。次に専用剥離液を用いてレジストを剥離、表面観察を行ったところ、クラック等は発生せず良好であった。
【0048】
<実施例2>
ポリアミド樹脂の合成
テレフタル酸0.9モルとイソフタル酸0.1モルと1−ヒドロキシ−1,2,3−ベンゾトリアゾール2.0モルとを反応させて得られたジカルボン酸誘導体(活性エステル)360.4g(0.9モル)とヘキサフルオロ−2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン366.3g(1.0モル)とを温度計、攪拌機、原料投入口、乾燥窒素ガス導入管を備えた4つ口のセパラブルフラスコに入れ、N−メチル−2−ピロリドン3000gを加えて溶解させた。その後オイルバスを用いて75℃にて12時間反応させた。次に温度を5℃以下にして、N−メチル−2−ピロリドン100gに溶解させた4−エチニルベンゾイルクロライド32.9g(0.2モル)を15分かけて加え、更にピリジン17.4g(0.22モル)を添加した。2時間攪拌して反応を終了した。反応混合物を濾過した後、反応混合物を水/メタノール=3/1(体積比)の溶液に投入、沈殿物を濾集し水で充分洗浄した後、真空下で乾燥し、一般式(1)で示され、Xが下記式X−1、Yが下記式Y−3及びY−4の混合物からなる目的のポリアミド樹脂(A−2)を得た。得られたポリアミド樹脂の分子量をGPCを用いて求めたMwは29400であった。
【0049】
ポジ型感光性樹脂組成物の作製
合成したポリアミド樹脂(A−2)100g、下記式(Q−2)の構造を有する感光性ジアゾキノン化合物21gをγ−ブチロラクトン150gに溶解した後、0.2μmのテフロン(R)フィルターで濾過しポジ型感光性樹脂組成物を得た。それ以外は実施例1と同様の評価を行った。
【0050】
<実施例3>
ポリアミド樹脂の合成
ジフェニルエーテル−4,4’−ジカルボン酸1.0モルと1−ヒドロキシ−1,2,3−ベンゾトリアゾール2.0モルとを反応させて得られたジカルボン酸誘導体(活性エステル)443.2g(0.9モル)とヘキサフルオロ−2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン366.3g(1.0モル)とを温度計、攪拌機、原料投入口、乾燥窒素ガス導入管を備えた4つ口のセパラブルフラスコに入れ、N−メチル−2−ピロリドン3000gを加えて溶解させた。その後オイルバスを用いて75℃にて12時間反応させた。次にN−メチル−2−ピロリドン100gに溶解させた4−エチニルフタル酸無水物34.4g(0.2モル)を15分かけて加え、3時間攪拌して反応を終了した。反応混合物を濾過した後、反応混合物を水/メタノール=3/1(体積比)の溶液に投入、沈殿物を濾集し水で充分洗浄した後、真空下で乾燥し、一般式(1)で示され、Xが下記式X−1、Yが下記式Y−2からなる目的のポリアミド樹脂(A−3)を得た。得られたポリアミド樹脂の分子量をGPCを用いて求めたMwは22600であった。
【0051】
ポジ型感光性樹脂組成物の作製
合成したポリアミド樹脂(A−3)100g、下記式(Q−3)の構造を有する感光性ジアゾキノン化合物13gをγ−ブチロラクトン150gに溶解した後、0.2μmのテフロン(R)フィルターで濾過しポジ型感光性樹脂組成物を得た。それ以外は実施例1と同様の評価を行った。
【0052】
<実施例4>
ポリアミド樹脂の合成
テレフタル酸0.9モルとイソフタル酸0.1モルと1−ヒドロキシ−1,2,3−ベンゾトリアゾール2.0モルとを反応させて得られたジカルボン酸誘導体(活性エステル)360.4g(0.9モル)とヘキサフルオロ−2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン348.0g(0.95モル)と1,3−ビス(3−アミノプロピル)−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン12.4g(0.05モル)を温度計、攪拌機、原料投入口、乾燥窒素ガス導入管を備えた4つ口のセパラブルフラスコに入れ、N−メチル−2−ピロリドン3000gを加えて溶解させた。その後オイルバスを用いて75℃にて12時間反応させた。次に温度を5℃以下にし、N−メチル−2−ピロリドン100gに溶解させた4−エチニルベンゾイルクロライド32.9g(0.2モル)を15分かけて加え、更にピリジン17.4g(0.22モル)を添加した。2時間攪拌して反応を終了した。反応混合物を濾過した後、反応混合物を水/メタノール=3/1(体積比)の溶液に投入、沈殿物を濾集し水で充分洗浄した後、真空下で乾燥し、一般式(1)で示され、Xが下記式X−1、X−2、Yが下記式Y−3及びY−4の混合物からなる目的のポリアミド樹脂(A−4)を得た。得られたポリアミド樹脂の分子量をGPCを用いて求めたMwは16200であった。
【0053】
ポジ型感光性樹脂組成物の作製
合成したポリアミド樹脂(A−4)100g、下記式(Q−1)の構造を有する感光性ジアゾキノン化合物20gをγ−ブチロラクトン150gに溶解した後、0.2μmのテフロン(R)フィルターで濾過しポジ型感光性樹脂組成物を得た。それ以外は実施例1と同様の評価を行った。
【0054】
<実施例5>
ヘキサフルオロ−2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン44.0g(0.12モル)をN−メチル−2−ピロリドン200gに溶解させた後、N−メチル−2−ピロリドン160gに溶解させた無水トリメリット酸クロライド50.6g(0.24モル)を5℃以下に冷却しながら加えた。更にピリジン22.8g(0.29モル)を加えて、20℃以下で3時間攪拌した。次に、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル28.0g(0.14モル)を加えた後、室温で5時間反応させた。次に内温を85℃にし、3時間攪拌した。次にN−メチル−2−ピロリドン500gに溶解させたエチニルフタル酸無水物8.6g(0.05モル)を加え、更に12時間攪拌して反応を終了した。反応終了後、濾過した反応混合物を、水/メタノール=5/1(体積比)に投入し、沈殿物を濾集して水で充分洗浄した後、真空下で乾燥し、一般式(1)で示され、Xが下記式X−1、X―3で、Yが下記式Y−5からなる混合物からなる目的のポリアミド樹脂(A−5)を合成した。得られたポリアミド樹脂の分子量をGPCを用いて求めたMwは12800であった。
【0055】
ポジ型感光性樹脂組成物の作製
合成したポリアミド樹脂(A−5)100g、下記式(Q−1)の構造を有する感光性ジアゾキノン化合物22gをγ−ブチロラクトン150gに溶解した後、0.2μmのテフロン(R)フィルターで濾過しポジ型感光性樹脂組成物を得た。それ以外は実施例1と同様の評価を行った。
【0056】
<実施例6>
ポリアミド樹脂の合成
ジフェニルエーテル−4,4’−ジカルボン酸1.0モルと1−ヒドロキシ−1,2,3−ベンゾトリアゾール2.0モルとを反応させて得られたジカルボン酸誘導体(活性エステル)443.2g(0.9モル)とヘキサフルオロ−2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン366.3g(1.0モル)とを温度計、攪拌機、原料投入口、乾燥窒素ガス導入管を備えた4つ口のセパラブルフラスコに入れ、N−メチル−2−ピロリドン3000gを加えて溶解させた。その後オイルバスを用いて75℃にて12時間反応させた。次にN−メチル−2−ピロリドン250gに溶解させたフェニルエチニルフタル酸無水物49.6g(0.2モル)を15分かけて加え、3時間攪拌して反応を終了した。反応混合物を濾過した後、反応混合物を水/メタノール=3/1(体積比)の溶液に投入、沈殿物を濾集し水で充分洗浄した後、真空下で乾燥し、一般式(1)で示され、Xが下記式X−1、Yが下記式Y−2からなる目的のポリアミド樹脂(A−6)を得た。得られたポリアミド樹脂の分子量をGPCを用いて求めたMwは26400であった。
【0057】
ポジ型感光性樹脂組成物の作製
合成したポリアミド樹脂(A−6)100g、下記式(Q−1)の構造を有する感光性ジアゾキノン化合物19gをγ−ブチロラクトン150gに溶解した後、0.2μmのテフロン(R)フィルターで濾過しポジ型感光性樹脂組成物を得た。それ以外は実施例1と同様の評価を行った
【0058】
<比較例1>
4,4’―オキシジフタル酸無水物17.1g(0.055モル)と2−メチル−2−プロパノール8.2g(0.110モル)とピリジン10.9g(0.138モル)とを温度計、攪拌機、原料投入口、乾燥窒素ガス導入管を備えた4つ口のセパラブルフラスコに入れ、N−メチル−2−ピロリドン150gを加えて溶解させた。この反応溶液に1−ヒドロキシ−1,2,3−ベンゾトリアゾール14.9g(0.110モル)をN−メチル−2−ピロリドン30gと共に滴下した後、ジシクロヘキシルカルボジイミド22.7g(0.110モル)をN−メチル−2−ピロリドン50gと共に滴下し、室温で一晩反応させた。その後、この反応溶液にジフェニルエーテル−4,4’−ジカルボン酸1.0モルと1−ヒドロキシ−1,2,3−ベンゾトリアゾール2.0モルとを反応させて得られたジカルボン酸誘導体(活性エステル)27.1g(0.055モル)とヘキサフルオロ−2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン44.8g(0.077モル)、エチニルアニリン3.9g(0.033モル)をN−メチル−2−ピロリドン70gと共に添加し、室温で2時間攪拌した。その後オイルバスを用いて75℃にて12時間攪拌して反応させた。反応混合物を濾過した後、反応混合物を水/メタノール=3/1(体積比)の溶液に投入、沈殿物を濾集し水で十分洗浄した後、真空下で乾燥し、一般式(1)で示され、Xが下記式X−1、Yが下記式Y−1及びY−2からなるポリアミド樹脂(A−7)を合成した。得られたポリアミド樹脂の分子量をGPCを用いて求めたMwは7800であった。
このようにして得られたポリアミドを用いて、実施例1と同様に評価を行った。
【0059】
<比較例2>
ジフェニルエーテル−4,4’−ジカルボン酸1.0モルと1−ヒドロキシ−1,2,3−ベンゾトリアゾール2.0モルとを反応させて得られたジカルボン酸誘導体(活性エステル)49.2g(0.10モル)とヘキサフルオロ−2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン33.0g(0.09モル)、とを温度計、攪拌機、原料投入口、乾燥窒素ガス導入管を備えた4つ口のセパラブルフラスコに入れ、N−メチル−2−ピロリドン500gを加えて溶解させた。その後オイルバスを用いて75℃にて上げ、1時間攪拌したところで、反応系がゲル化し、末端封止できなかった。
【0060】
<比較例3>
ポリアミド樹脂の合成
ジフェニルエーテル−4,4’−ジカルボン酸1.0モルと1−ヒドロキシ−1,2,3−ベンゾトリアゾール2.0モルとを反応させて得られたジカルボン酸誘導体(活性エステル)443.2g(0.9モル)とヘキサフルオロ−2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン366.3g(1.0モル)とを温度計、攪拌機、原料投入口、乾燥窒素ガス導入管を備えた4つ口のセパラブルフラスコに入れ、N−メチル−2−ピロリドン3000gを加えて溶解させた。その後オイルバスを用いて75℃にて12時間反応させた。次にN−メチル−2−ピロリドン160gに溶解させた5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物32.8g(0.2モル)を15分かけて加え、3時間攪拌して反応を終了した。反応混合物を濾過した後、反応混合物を水/メタノール=3/1(体積比)の溶液に投入、沈殿物を濾集し水で充分洗浄した後、真空下で乾燥し、一般式(1)で示され、Xが下記式X−1、Yが下記式Y−2からなる目的のポリアミド樹脂(A−8)を得た。得られたポリアミド樹脂の分子量をGPCを用いて求めたMwは18800であった。
【0061】
ポジ型感光性樹脂組成物の作製
合成したポリアミド樹脂(A−8)100g、下記式(Q−1)の構造を有する感光性ジアゾキノン化合物19gをγ−ブチロラクトン150gに溶解した後、0.2μmのテフロン(R)フィルターで濾過しポジ型感光性樹脂組成物を得た。それ以外は実施例1と同様の評価を行った。
【0062】
実施例1〜6は、伸度が10〜22%と良好な塗膜特性が得られ、更に多層化評価においてもクラックの発生はなかった。しかし比較例1では分子量が大きくならず、伸度も低くクラックも発生し、比較例2では酸過剰で反応するとゲル化が発生し、比較例3で用いた末端処理剤では伸度も低くクラックも発生した。
【0063】
以下に、実施例及び比較例の構造を示す。
【0064】
【化19】
【0065】
【化20】
【0066】
【化21】
【0067】
【表1】
【0068】
【表2】
【0069】
【発明の効果】
本発明のポジ型感光性樹脂組成物は、従来の特性を維持しながら、300℃以下の低温硬化において優れた膜特性を有している。更に多層化におけるプロセスにも充分適用は可能である。
Claims (6)
- 光で酸を発生する化合物が、フェノール化合物と1,2−ナフトキノン−2−ジアジド−5−スルホン酸及び/又は1,2−ナフトキノン−2−ジアジド−4−スルホン酸とのエステル化合物である請求項1〜3のいずれかに記載のポジ型感光性樹脂組成物。
- 一般式(1)で示されるポリアミド樹脂が、ゲルパーミエーションクロマトグラフィを用いて、標準のポリスチレンの検量線により求めた重量平均分子量8000以上である請求項1〜4のいずれかに記載のポジ型感光性樹脂組成物。
- 請求項1〜5のいずれかに記載のポジ型感光性樹脂組成物を加熱脱水閉環後の膜厚が、0.1〜30μmになるように半導体素子上に塗布し、プリベーク、露光、現像、加熱して得られることを特徴とする半導体装置。
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