JP2009080443A - ポリアミド樹脂、ポジ型感光性樹脂組成物、硬化膜、保護膜、絶縁膜およびそれを用いた半導体装置、表示体装置 - Google Patents

ポリアミド樹脂、ポジ型感光性樹脂組成物、硬化膜、保護膜、絶縁膜およびそれを用いた半導体装置、表示体装置 Download PDF

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Abstract

【課題】高感度、高解像度、および耐リフロー性を同時に満たすポジ型感光性樹脂組成物を提供する。
【解決手段】ヘキサフルオロ−2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン構造および3,3’−ジアミノ−4,4’−ビフェニルジオール構造を有するポリアミド樹脂(A)100重量部と、感光剤(B)1〜50重量部とを、含むポジ型感光性樹脂組成物を適用することにより、上記課題である高感度、高解像度、および耐リフロー性を同時に満たすポジ型感光性樹脂組成物を提供することが可能となるものである。
【選択図】なし

Description

本発明は、ポリアミド樹脂、ポジ型感光性樹脂組成物、硬化膜、保護膜、絶縁膜およびそれを用いた半導体装置、表示体装置に関するものである。
従来、半導体素子の表面保護膜、層間絶縁膜には、耐熱性に優れ、かつ卓越した電気特性、機械特性等を有するポリベンゾオキサゾール樹脂やポリイミド樹脂が用いられてきた。
ここでポリベンゾオキサゾール樹脂やポリイミド樹脂を用いた場合のプロセスを簡略化するために、感光材のジアゾキノン化合物をこれらの樹脂と組み合わせたポジ型感光性樹脂組成物も使用されている(例えば、特許文献1参照)。
これらポジ型感光性樹脂を実際のプロセスに用いた場合、問題となるのは露光特性であり、その中でも特に重要なのは露光時間である。つまり、スループット向上のため、短時間で露光できる高感度であるポジ型感光性樹脂が望まれている。また、半導体の小型化に伴い微細パターンの形成が必要となるために高解像度であるポジ型感光性樹脂が望まれている。
さらに、近年において、半田リフローによる表面実装への移行等により、半導体素子への熱履歴を極力低減することが強く望まれており、耐リフロー性に優れたポリベンゾオキサゾール樹脂やポリイミド樹脂が必要とされている。
ところが、これまでのポリベンゾオキサゾール樹脂やポリイミド樹脂を使用したポジ型感光性樹脂組成物では、高感度、高解像度、および耐リフロー性を同時に満たすことは困難であった。
特開平1−46862号公報
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、ポジ型感光性樹脂組成物に適用した場合に、高感度、高解像度、および耐リフロー性を同時に満たすポジ型感光性樹脂組成物を提供することにある。
(1)一般式(1)で示されるポリアミド樹脂(A)100重量部と、感光剤(B)1〜50重量部とを、含むことを特徴とするポジ型感光性樹脂組成物。
Figure 2009080443
(式中、YおよびYは有機基であり、RおよびR20は、水酸基、カルボキシル基、O−R、COO−Rのいずれかであり、同一でも異なっていてもよい。mは0〜8の整数である。Rは、炭素数1〜15の有機基である。pは0.05以上0.4以下である。nは、1〜500である。)
(2)一般式(1)中のYおよびYが下記式(2)からなる群より選ばれるものである、(1)に記載のポジ型感光性樹脂組成物。
Figure 2009080443
(ここで*はC=O基に結合することを示す。)
(3)一般式(1)で示されるポリアミド樹脂の一方の末端のアミノ基に、アルケニル基またはアルキニル基を少なくとも1個有する脂肪族基、または環式化合物基を含む酸無水物を反応させ、前記一般式(1)で示されるポリアミド樹脂の末端に不飽和基を導入したものである、(1)または(2)に記載のポジ型感光性樹脂組成物。
(4)一般式(1)で示されるポリアミド樹脂の側鎖および他方の末端の少なくとも一方に窒素含有環状化合物を含む酸無水物を反応させ、前記一般式(1)で示されるポリアミド樹脂に窒素含有環状化合物を導入したものである、(3)に記載のポジ型感光性樹脂組成物。
(5)さらに、フェノール性水酸基を有する化合物(C)を含むものである、(1)ないし(4)のいずれかに記載の記載のポジ型感光性樹脂組成物。
(6)前記フェノール性水酸基を有する化合物(C)が、下記式(3)より選ばれてなる(5)に記載のポジ型感光性樹脂組成物。
Figure 2009080443
(7)(1)ないし(6)いずれかに記載のポジ型感光性樹脂組成物の硬化物で構成されていることを特徴とする硬化膜。
(8)(7)に記載の硬化膜で構成されていることを特徴とする保護膜。
(9)(7)に記載の硬化膜で構成されていることを特徴とする絶縁膜
(10)(7)に記載の硬化膜を有することを特徴とする半導体装置。
(11)(7)に記載の硬化膜を有することを特徴とする表示体装置。
本発明によれば、ポジ型感光性樹脂組成物に適用した場合に、高感度、高解像度、および耐リフロー性を同時に満たすポジ型感光性樹脂組成物が提供される。
本発明のポジ型感光性樹脂組成物は、一般式(1)で示されるポリアミド樹脂(A)100重量部と、感光剤(B)1〜50重量部とを、含むことを特徴とするものである。
Figure 2009080443
(式中、YおよびYは有機基であり、RおよびR20は、水酸基、カルボキシル基、O−R、COO−Rのいずれかであり、同一でも異なっていてもよい。mは0〜8の整数である。Rは、炭素数1〜15の有機基である。pは0.05以上0.4以下である。nは、1〜500である。)
また、本発明の保護膜、絶縁膜は、前記ポジ型感光性樹脂組成物の硬化物で構成される硬化膜であることを特徴とするものである。更に、本発明の半導体装置、表示体装置は、前
記硬化膜を有していることを特徴とするものである。
以下、本発明の感光性樹脂組成物、絶縁膜、保護膜、半導体装置および表示体装置について説明する。
本発明に係る一般式(1)で示されるポリアミド樹脂(A)(以下、化合物(A)とも記載する。)は、ビスアミノフェノールである2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパンおよび3,3’−ジアミノ−4−4’−ビフェニルジオールと、カルボン酸誘導体とを、反応して得られるポリアミド樹脂である。
Figure 2009080443
(式中、YおよびYは有機基であり、RおよびR20は、水酸基、カルボキシル基、O−R、COO−Rのいずれかであり、同一でも異なっていてもよい。mは0〜8の整数である。Rは、炭素数1〜15の有機基である。pは0.05以上0.4以下である。nは、1〜500である。)
本発明に係る化合物(A)は、前記ビスアミノフェノールと、ジカルボン酸、ジカルボン酸クロライド等のカルボン酸誘導体とを反応して得られるものである。この時、ジカルボン酸を使用する場合には、反応収率等を高めるため、1−ヒドロキシ−1,2,3−ベンゾトリアゾール等を予め反応させた活性エステル型のカルボン酸誘導体を用いても良い。
また、本発明に係る化合物(A)は、約200〜400℃で加熱すると脱水閉環し、ポリイミド樹脂、又はポリベンゾオキサゾール樹脂、或いはポリベンゾオキサゾール樹脂とポリイミド樹脂の共重合という形の耐熱性樹脂が得られる。
前記化合物(A)中のYおよびYの置換基、O−R、COO−Rは、アルカリ水溶液に対する溶解性を調節する目的で、水酸基、カルボキシル基を炭素数1〜15の有機基であるRで保護された基である。Rの例としては、ホルミル基、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ターシャリーブチル基、ターシャリーブトキシカルボニル基、フェニル基、ベンジル基、テトラヒドロフラニル基、テトラヒドロピラニル基等が挙げられる。
前記化合物(A)中のpはポリアミド樹脂を構成するビスアミノフェノール中の2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパンの割合を表し、0.05〜0.4が好ましく、0.1〜0.3が特に好ましい。上記範囲とすることで、
ポジ型感光性樹脂組成物の高感度化、高解像度化、耐リフロー性の全てを満たすことが可能となる。
前記化合物(A)の繰返し単位nは、1〜500が好ましく、3〜370が特に好ましい。上記範囲とすることで、加工性と硬化膜物性を両立することが可能となる。
前記化合物(A)のYおよびYは、特に限定されるものではないが、例えば、ベンゼン環、ナフタレン環等の芳香族化合物、ビスフェノール類、ピロール類、ピリジン類、フラン類等の複素環式化合物等が挙げられ、より具体的には下記式(4)で示されるものを好ましく挙げることができる。これらは単独でも2種類以上混合して用いてもよい。
Figure 2009080443
(ここで*はC=O基に結合することを示す。R〜Rは有機基である。)
一般式(1)示すように、YおよびYにはRおよびR20が0〜8個結合される
。(式(4)において、RおよびR20は省略)
これらの中でも、現像液に対する溶解性、硬化後の誘電特性、耐熱性、電気特性、機械特性等の観点から、下記式(5)、(6)で示されるものが好ましい。下記式(5)中のテトラカルボン酸二無水物由来の構造については、C=O基に結合する位置が両方メタ位であるもの、両方パラ位であるものを挙げているが、メタ位とパラ位をそれぞれ含む構造でも良い。
Figure 2009080443
Figure 2009080443
Figure 2009080443
(式中、*はC=O基に結合することを示す。Rは、水素原子、アルキル基、アルキルエステル基、アルキルエーテル基、ベンジルエーテル基、ハロゲン原子の内から選ばれた1つを表し、それぞれ同じでも異なっていてもよい。R10は、水素原子又は炭素数1〜15の有機基から選ばれた1つを示し、一部が置換されていてもよい。t=0〜2の整数である。)
Figure 2009080443
(式中、*はC=O基に結合することを示す。)
前記化合物(A)のYおよびYは、ポジ型感光性樹脂組成物の高感度化、高解像度
化、耐リフロー性および溶剤への溶解性の全てを満たすことが可能となる下記式(2)で示される化合物が好ましい。
Figure 2009080443
前記化合物(A)は、ビスアミノフェノールである2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒ
ドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパンおよび3,3’−ジアミノ−4−4’−ビフェニルジオールと、カルボン酸誘導体とを、反応して得られるポリアミド樹脂であるが、ポジ型感光性樹脂組成物の各種基材対する密着性や硬化後の機械的特性を調整する目的で、他のジアミンを併用しても良く、例えば、下記一般式(7)で示されるポリアミド樹脂を挙げることができる。
Figure 2009080443
(一般式(7)中Yは有機基であり、Zは、XおよびXと異なる有機基である。a、bはモルパーセントを示し、a+b=100で、aが60以上100以下、bが0以上40以下である。R11は、水酸基、O−R13のいずれかであり、同一でも異なっていてもよい。R13は、炭素数1〜15の有機基である。R及びR12は、水酸基、カルボキシル基、O−R、COO−Rのいずれかであり、同一でも異なっていてもよい。Rは、炭素数1〜15の有機基である。k、l、mは0〜8の整数である。pは0.1以上0.3以下である。)
前記一般式(7)で示されるポリアミド樹脂中のa、bはモルパーセントを示し、a+
b=100で、aが60以上100以下、bが0以上40以下であり、好ましくは、aが70以上100以下、bが0以上30以下である。上記範囲とすることで、ポジ型感光性樹脂組成物の高感度化、高解像度化、耐リフロー性と密着性、機械的特性のバランスを保つことが可能となる。
一般式(7)で示されるポリアミド樹脂のZはXおよびXと異なる有機基であり、例えばベンゼン環、ナフタレン環等の芳香族化合物、ビスフェノール類、ピロール類、フラン類等の複素環式化合物、シロキサン化合物等が挙げられ、より具体的には下記式(8)で示されるものを好ましく挙げることができる。これらは低温で硬化した際の高環化性に影響しない程度に、必要により1種類又は2種類以上組み合わせて用いてもよい。
Figure 2009080443
(ここで*はNH基に結合することを示す。R16〜R19は有機基である。)
これらの中でも、現像液に対する溶解性、被着材との密着性、硬化後の誘電特性、耐熱性、電気特性、機械特性等の観点から、下記式(9)で示されるものが好ましい。
Figure 2009080443
一般式(7)で示されるポリアミド樹脂中のYは、特に限定されるものではなく、前述したYおよびYと同様のものを例示することができ、それらの中でも、ポジ型感光性樹脂組成物の高感度化、高解像度化、耐リフロー性および溶剤への溶解性がさらに優れる下記式(2)で示される化合物が好ましい。
Figure 2009080443
また、本発明のポジ型感光性樹脂組成物は、化合物(A)および一般式(7)で示されるポリアミド樹脂以外のポリイミド前駆体、ポリベンゾオキサゾール前駆体、ポリイミド化合物、ポリベンゾオキサゾール化合物等のポリアミド樹脂を混合して用いても良い。
本発明に係るポリアミド樹脂(A)は、前記ポリアミド樹脂(A)の末端のアミノ基を、アルケニル基またはアルキニル基を少なくとも1個有する脂肪族基、または環式化合物基を含む酸無水物を用いて封止してもよい。これにより、硬化膜の機械特性を、さらに、向上することができる。このような、アミノ基と反応した後のアルケニル基またはアルキニル基を少なくとも1個有する脂肪族基または環式化合物基を含む酸無水物に起因する基としては、例えば式(10)、式(11)で示される基等を挙げることができる。これらは単独で用いてもよいし、2種類以上組み合わせて用いても良い。
Figure 2009080443
Figure 2009080443
これらの中で特に好ましいものとしては、式(12)で選ばれる基が好ましい。これにより、特に保存性を向上することができる。
Figure 2009080443
また前記方法に限定される事はなく、前記ポリアミド樹脂(A)中に含まれる末端の酸をアルケニル基又はアルキニル基を少なくとも1個有する脂肪族基又は環式化合物基を含むアミン誘導体を用いてアミドとして末端を封止することもできる。
本発明に係るポリアミド樹脂(A)は、前記ポリアミド樹脂(A)の側鎖および他方の末端の少なくとも一方に窒素含有環状化合物を有しても良い。これにより金属配線(特に銅配線)等との密着性を向上することが出来る。その理由としては、ポリアミド樹脂(A)の一方の末端が不飽和基を有する有機基の場合、樹脂が反応する為に硬化膜の引っ張り伸び率等の機械特性が優れ、側鎖および他方の末端の少なくとも一方に窒素含有環状化合物を有する場合、その窒素含有環状化合物が銅および銅合金の金属配線と反応する為に密着性が優れるからである。
前記窒素含有環状化合物としては、例えば1−(5−1H−トリアゾイル)メチルアミノ基、3−(1H−ピラゾイル)アミノ基、4−(1H−ピラゾイル)アミノ基、5−(1H−ピラゾイル)アミノ基、1−(3−1H−ピラゾイル)メチルアミノ基、1−(4−1H−ピラゾイル)メチルアミノ基、1−(5−1H−ピラゾイル)メチルアミノ基、(1H−テトラゾル−5−イル)アミノ基、1−(1H−テトラゾル−5−イル)メチル−アミノ基、3−(1H−テトラゾル−5−イル)ベンズ−アミノ基等が挙げられる。これらの中でも式(13)で選ばれる化合物が好ましい。これにより、特に銅および銅合金の金属配線との密着性をより向上することができる。
Figure 2009080443
本発明のポジ型感光性樹脂組成物は、感光剤(B)を含む。これにより、化学線の照射により化学反応を生じ、化学線照射部(以下、露光部とする。)は、アルカリ水溶液に溶解しやすくなり、化学線未照射部(以下、未露光部とする。)との溶解度の差異を設けることができる。
前記感光剤としては、例えばフェノール化合物と1,2−ナフトキノン−2−ジアジド−5−スルホン酸または1,2−ナフトキノン−2−ジアジド−4−スルホン酸とのエステルが挙げられる。具体的には、式(14)〜式(19)に示すエステル化合物を挙げることができる。これらは2種以上用いても良い。なお、式(14)〜(19)中のQは、水素原子または1,2−ナフトキノン−2−ジアジド−5−スルホニル基または1,2−ナフトキノン−2−ジアジド−4−スルホニル基を示す。
Figure 2009080443
Figure 2009080443
Figure 2009080443
Figure 2009080443
Figure 2009080443
式中Qは、水素原子、式(18)、式(19)のいずれかから選ばれるものである。ここで各化合物のQのうち、少なくとも1つは式(18)、式(19)である。
本発明に係る感光剤(B)の添加量は、一般式(1)で示されるポリアミド樹脂(A)100重量部に対して1〜50重量部が好ましい。より好ましくは10〜40重量部である。添加量を上記範囲内とすることで、ポジ型感光性樹脂組成物の高感度化と高解像度化を両立することができる。
更に、本発明のポジ型感光性樹脂組成物は、高感度で更にスカム無くパターニングできるようにフェノール性水酸基を有する化合物を併用することができる。
具体的な構造としては、下記式(20)で表されるものが挙げられる。これらは1種類
又は2種類以上組み合わせて用いてもよい。
Figure 2009080443
前記フェノール性水酸基を有する化合物の含有量は、特に限定されないが、前記ポリアミド樹脂の合計100重量部に対して、1〜30重量部が好ましく、より好ましくは1〜20重量部である。添加量が、上記範囲内であると現像時において更にスカムの発生が抑制され、また露光部の溶解性が促進されることにより感度が向上する。
本発明のポジ型感光性樹脂組成物は、必要によりレベリング剤、シランカップリング剤、チタネート系カップリング剤等のカップリング剤およびそれらの各反応物等の添加剤を添加してもよい。
本発明のポジ型感光性樹脂組成物は、溶剤に溶解し、ワニス状にして使用することが好ましい。溶剤としては、例えばN−メチル−2−ピロリドン、γ−ブチロラクトン、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸ブチル、メチル−1,3−ブチレングリコールアセテート、1,3−ブチレングリコール−3−モノメチルエーテル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、メチル−3−メトキシプロピオネート等が挙げられ、単独でも混合して用いても良い。
次に、本発明の硬化膜の作製方法について説明する。
本発明の硬化膜は、例えば下記の工程を経て得ることができる。
上述したポジ型感光性組成物を支持体(例えばシリコンウエハー、セラミック基板、アルミ基板等)に塗布する(塗布工程)。塗布量は、半導体素子上に塗布する場合、硬化後の膜の厚さが、例えば0.1〜30μmになるよう塗布する。膜の厚さが前記下限値を下回ると半導体素子の保護(表面)膜としての機能を十分に発揮することが困難となる場合があり、前記上限値を越えると微細な加工パターンを得ることが困難となる場合がある。塗布方法としては、スピンナーを用いた回転塗布、スプレーコーターを用いた噴霧塗布、浸漬、印刷、ロールコーティング等を挙げることができる。
次に、例えば60〜130℃でプリベークして塗膜を乾燥後、所望のパターン形状に化学線を照射する(露光工程)。化学線としては、X線、電子線、紫外線、可視光線等が使用できるが、例えば200〜500nmの波長のものが好ましい。
次に、露光部を現像液で溶解除去することによりレリーフパターンを作製(現像工程)
するが、ポジ型感光性樹脂組成物の現像メカニズムは、下記の通りである。
未露光部ではジアゾキノン化合物がポリアミド樹脂と作用し、溶解抑止効果を発現して、アルカリ水溶液に難溶となる。一方、露光部ではジアゾキノン化合物が化学変化を起こし、アルカリ水溶液に可溶となる。この露光部と未露光部との溶解性の差を利用し、露光部を溶解除去することにより未露光部のみの塗膜パターンの作製が可能となるものである。現像工程で使用される現像液としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、アンモニア水等の無機アルカリ類、エチルアミン、n−プロピルアミン等の第1アミン類、ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン等の第2アミン類、トリエチルアミン、メチルジエチルアミン等の第3アミン類、ジメチルエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルコールアミン類、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド等の第4級アンモニウム塩等のアルカリ類の水溶液およびこれにメタノール、エタノール等のアルコール類の水溶性有機溶媒や界面活性剤を適当量添加した水溶液を好適に使用することができる。現像方法としては、例えばスプレー、パドル、浸漬、超音波等の方式が可能である。
次に、現像によって形成したレリーフパターンをリンス(洗浄)する(リンス工程)。リンス液としては、例えば蒸留水を使用することができる。
次に、加熱処理を行い、閉環構造(例えばオキサゾール環、イミド環等)を形成し、耐熱性に富むパターン化された硬化膜を得る(加熱工程)。
加熱処理温度は、特に限定されないが、150〜380℃が好ましく、特に280〜380℃が好ましい。
次に、本発明によるポジ型感光性樹脂組成物の硬化膜の用途について説明する。ポジ型感光性樹脂組成物の硬化物である硬化膜は、半導体素子等の半導体装置用途のみならず、TFT型液晶や有機EL等の表示体装置用途、多層回路の層間絶縁膜やフレキシブル銅張板のカバーコート、ソルダーレジスト膜や液晶配向膜としても有用である。
前記半導体装置用途の例としては、半導体素子上に上述のポジ型感光性樹脂組成物の硬化膜を形成してなるパッシベーション膜、パッシベーション膜上に上述のポジ型感光性樹脂組成物の硬化膜を形成してなるバッファーコート膜等の保護膜、また、半導体素子上に形成された回路上に上述のポジ型感光性樹脂組成物の硬化膜を形成してなる層間絶縁膜等の絶縁膜、また、α線遮断膜、平坦化膜、突起(樹脂ポスト)、隔壁等を挙げることができる。
前記表示体装置用途の例としては、表示体素子上に上述のポジ型感光性樹脂組成物の硬化膜を形成してなる保護膜、TFT素子やカラーフィルター用等の絶縁膜または平坦化膜、MVA型液晶表示装置用等の突起、有機EL素子陰極用等の隔壁等を挙げることができる。その使用方法は、半導体装置用途に準じ、表示体素子やカラーフィルターを形成した基板上にパターン化されたポジ型感光性樹脂組成物の硬化膜を、上記の方法で形成することによるものである。表示体装置用途の、特に絶縁膜や平坦化膜用途では、高い透明性が要求されるが、このポジ型感光性樹脂組成物層の硬化前に、後露光工程を導入することにより、透明性に優れた樹脂層が得られることもでき、実用上更に好ましい。
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。
≪実施例1≫
[ポリアミド樹脂の合成]
ジフェニルエーテル−4,4’−ジカルボン酸22.98g(0.089モル)と1−ヒドロキシ−1,2,3−ベンゾトリアゾール24.05g(0.178モル)とを反応
させて得られたジカルボン酸誘導体の混合物43.83g(0.089モル)とヘキサフルオロ−2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン3.66g(0.010モル)と3,3’−ジアミノ−4,4’−ビフェニルジオール19.46g(0.090モル)とを温度計、攪拌機、原料投入口、乾燥窒素ガス導入管を備えた4つ口のセパラブルフラスコに入れ、N−メチル−2−ピロリドン261.18gを加えて溶解させた。その後オイルバスを用いて75℃にて12時間反応させた。次にN−メチル−2−ピロリドン32.82gに溶解させた3,6−エンドメチレン−1,2,3,6−テトラヒドロフタル酸無水物6.57g(0.040モル)を加え、さらに12時間攪拌して反応を終了した。反応混合物を濾過した後、反応混合物を水/イソプロパノール=3/1(容積比)の溶液に投入、沈殿物を濾集し水で充分洗浄した後、真空下で乾燥し、目的のポリアミド樹脂(A−1)を得た。
[感光剤の合成]
1−[1−(4−ヒドロキシフェニル)イソプロピル]−4−[1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エチル]ベンゼン51重量部(0.12モル)と1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸クロリド72.5重量部(0.27モル)をテトラヒドロフラン450mlに溶解し、トリエチルアミン28.3重量部(0.28モル)を滴下する。室温で20時間反応させた後、析出したトリエチルアミンの塩酸塩を濾別除去し、イオン交換水10Lに投入し、沈殿物を得た。この沈殿物を凝集し、室温で48時間真空乾燥させた。これを感光剤(B−1)とする。
[ポジ型感光性樹脂樹脂組成物の作製]
合成したポリアミド樹脂(A−1)10g、合成した感光剤(B−1)2gをγ―ブチロラクトン70gに溶解した後、0.2μmのフッ素樹脂製フィルターで濾過し、ポジ型感光性樹脂組成物を得た。
≪実施例2≫
実施例1のポリアミド樹脂の合成において、ヘキサフルオロ−2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)プロパンの添加量を10.99g(0.030モル)に、3,3’−ジアミノ−4,4’−ビフェニルジオールの添加量を15.14g(0.070モル)に変更してポリアミド樹脂を合成した(A−2)。また、ポリアミド樹脂の合成以外は、実施例1と同様に、感光剤の合成、ポジ型感光性樹脂組成物の作製を行った。
≪実施例3≫
実施例1のポジ型感光性樹脂樹脂組成物の作製において、さらにフェノール化合物(C−1)0.5gを添加した以外は、実施例1と同様に、感光剤の合成、ポジ型感光性樹脂組成物の作製を行った。
Figure 2009080443
≪比較例1≫
実施例1のポリアミド樹脂の合成において、ヘキサフルオロ−2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)プロパンの添加量を18.31g(0.050モル)に、3,3’−ジアミノ−4,4’−ビフェニルジオールの添加量を10.81g(0.050モル)に変更してポリアミド樹脂を合成した(A−3)。また、ポリアミド樹脂の合成以外は、実施例1と同様に、感光剤の合成、ポジ型感光性樹脂組成物の作製を行った。
≪比較例2≫
実施例1のポリアミド樹脂の合成において、ヘキサフルオロ−2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)プロパンの添加量を36.63g(0.100モル)に、3,3’−ジアミノ−4,4’−ビフェニルジオールを無添加に変更してポリアミド樹脂を合成した(A−4)。ポリアミド樹脂の合成以外は、実施例1と同様に、感光剤の合成、ポジ型感光性樹脂組成物を作製を行った。
各実施例および比較例で得られたポジ型感光性樹脂組成物について、以下の評価を行った。評価項目を内容と共に示す。得られた結果を表1に示す。
1.現像性
各実施例および比較例で得られたポジ型感光性樹脂組成物を、シリコンウエハー上にスピンコーターを用いて塗布した後、ホットプレートにて120℃で4分乾燥し、膜厚約10μmの塗膜を得た。この塗膜に凸版印刷(株)製マスク(テストチャートNo.1:幅0.88〜50μmの残しパターン及び抜きパターンが描かれている)を通して、(株)ニコン製g線ステッパNSR―1505G3Aを用いて、露光量を100mJ/cm2から10mJ/cm2ステップで増やして露光を行った。次に1.50%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液に100秒浸漬することによって露光部を溶解除去した後、純水で30秒間リンスした。その結果、露光量300mJ/cm2で照射した部分より
パターンが形成されていることが確認できた。(感度は300mJ/cm2)。また、パ
ターンを観察して露光量300mJ/cm2でのラインの連続パターンのうち良好に開口したラインの最小の幅は3μmであった。(解像度は3μm)。
2.耐リフロー性
上記パターン加工したシリコンウエハーをクリーンオーブンにて酸素濃度1,000ppm以下で、150℃/30分、320℃/30分で硬化を行った。次に、このウエハーにタムラ化研(株)製フラックス、BF−30をスピンナーで500rpm/5秒+1,000rpm/30秒間の条件で塗布した。リフロー炉で140〜160℃/100秒(プレヒート)、250℃/10秒の条件で立て続けに連続2回通した。次に、40℃に加熱したキシレンで10分洗浄した後、イソプロピルアルコールでリンスして乾燥させた。フラックスを除去した膜表面を金属顕微鏡で観察した(評価は、n=10で行った)。各符号は、以下の通りである。
◎:全てのサンプルが、全面にシワが無かった。
○:7〜9個のサンプルにおいて、全面にシワが無かった。
△:シワが一部に有った。
×:シワが全面に有った。
Figure 2009080443
表1に示すように、実施例1、2、および3で得られたポジ型感光性樹脂組成物は、感度に優れていることが確認された。
また、実施例1,2、および3で得られたポジ型感光性樹脂組成物の硬化膜は、耐リフロー性に優れていることが確認された。

Claims (11)

  1. 一般式(1)で示されるポリアミド樹脂(A)100重量部と、感光剤(B)1〜50重量部とを、含むことを特徴とするポジ型感光性樹脂組成物。
    Figure 2009080443
    (式中、YおよびYは有機基であり、RおよびR20は、水酸基、カルボキシル基、O−R、COO−Rのいずれかであり、同一でも異なっていてもよい。mは0〜8の整数である。Rは、炭素数1〜15の有機基である。pは0.05以上0.4以下である。nは、1〜500である。)
  2. 一般式(1)中のYおよびYが下記式(2)からなる群より選ばれるものである、請求項1に記載のポジ型感光性樹脂組成物。
    Figure 2009080443
    (ここで*はC=O基に結合することを示す。)
  3. 一般式(1)で示されるポリアミド樹脂の一方の末端のアミノ基に、アルケニル基またはアルキニル基を少なくとも1個有する脂肪族基、または環式化合物基を含む酸無水物を反応させ、前記一般式(1)で示されるポリアミド樹脂の末端に不飽和基を導入したものである、請求項1または2に記載のポジ型感光性樹脂組成物。
  4. 一般式(1)で示されるポリアミド樹脂の側鎖および他方の末端の少なくとも一方に窒素含有環状化合物を含む酸無水物を反応させ、前記一般式(1)で示されるポリアミド樹脂に窒素含有環状化合物を導入したものである、請求項1または2に記載のポジ型感光性樹脂組成物。
  5. さらに、フェノール性水酸基を有する化合物(C)を含むものである、請求項1ないし4のいずれかに記載の記載のポジ型感光性樹脂組成物。
  6. 前記フェノール性水酸基を有する化合物(C)が、下記式(3)より選ばれてなる請求項5に記載のポジ型感光性樹脂組成物。
    Figure 2009080443
  7. 請求項1ないし6いずれかに記載のポジ型感光性樹脂組成物の硬化物で構成されていることを特徴とする硬化膜。
  8. 請求項7に記載の硬化膜で構成されていることを特徴とする保護膜。
  9. 請求項7に記載の硬化膜で構成されていることを特徴とする絶縁膜
  10. 請求項7に記載の硬化膜を有することを特徴とする半導体装置。
  11. 請求項7に記載の硬化膜を有することを特徴とする表示体装置。
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