JP2004131749A - 真空成膜装置及び成膜方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】基材ホルダ4及びルツボ6の間に補正部材9を配置し、成膜中に該補正部材9を基材4及びルツボ6間を横切るように移動させる。また、該補正部材9を用いずに成膜した場合に膜厚が大きくなる傾向があるところでは、補正部材9を低速で移動させ、膜厚が小さくなる傾向があることろでは、補正部材9を高速で移動させる。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、真空成膜装置及び成膜方法、特に、成膜される膜の膜厚を補正し、より均一な膜厚を有する膜を形成することができる真空成膜装置及び成膜方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば光学レンズの表面に設けられる反射防止膜は、従来から真空成膜により形成されている。一般の真空成膜装置は、真空チャンバ内の所定位置に、基材を保持するための基材ホルダ,成膜される膜の材料たる成膜材料を載置すべく前記基材ホルダに対向配置されたルツボなどを備えている。
【0003】
また、一度の成膜工程において複数の基材上に同一膜を形成するため、略円板状をなしてその中心回りに回転駆動される基材ホルダが用いられる場合がある。
この場合、基材ホルダには複数の基材が保持され、前記ルツボは、基材ホルダの中心軸から若干ずらされて該基材ホルダに対向するように配置される。
【0004】
このような真空成膜装置では、真空排気された真空チャンバ内にて、基材を保持する基材ホルダを回転させる。そして、ルツボに載置された成膜材料を、電子ビームの照射又は抵抗加熱等により蒸散させる。基材ホルダに保持された複数の基材の夫々が該基材ホルダと共に回転することにより、基材上には均一に成膜材料粒子が蒸着される。これにより、同一の成膜条件下(真空度,温度,成膜材料等)で複数の基材の夫々に対して前記反射防止膜等の膜を同時に形成することができる。
【0005】
ところで、ルツボから蒸散する成膜材料粒子は、該ルツボを基点として放射状に飛散する。従って、基材上に形成される膜の成膜速度は、ルツボ及び基材間の距離と、ルツボ及び基材の対向角度とに影響される。即ち、ルツボ及び基材間の距離が近接するほど成膜速度は速く、また、ルツボ及び基材の対向角度が深いほど成膜速度は速くなる。
【0006】
上述したような回転駆動される基材ホルダを用いて成膜する場合、一般にルツボの真正面位置では成膜速度が速く、該位置から離隔するに従って、即ち、該位置から基材ホルダの外周方向又は中心方向へ行くに従って、成膜速度は遅くなる。
【0007】
従来、このような成膜速度の違いによって生じる不均一な膜厚分布を補正し、可及的に均一な膜厚を有する膜を形成するため、板部材からなる補正板が基材ホルダ及びルツボ間に設けられていた。
【0008】
該補正板は、基材ホルダ及びルツボの間にて、ルツボから蒸散する成膜材料粒子の移動経路を遮るようにして、成膜時には固定的に配置される。また、該補正板の形状は、成膜速度が速くなる基材上の位置ではルツボに対向する面積が大きく、成膜速度が遅くなる位置では前記面積が小さくなるように形成される。このような形状とすることにより、成膜速度がより速くなる位置では、ルツボから蒸散して基材へ向かう成膜材料粒子をより多く遮断することができ、均一な膜厚を有する膜を形成することができる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、成膜時に固定的に配置された補正板によって膜厚を補正する場合、該補正板の微妙な形状・寸法が膜厚に大きく影響する。従って、事前に補正板を配置せずに成膜を行い、このときに得られた膜厚分布に基づいて補正板を形成する。この作業は手作業で行っており、板部材を削りながらの微妙な調整が必要であった。
【0010】
また、成膜後の補正板には成膜材料粒子等の多数の物質が付着している。そして、真空成膜では真空チャンバ内に不純物が存在すると、所望の膜を形成するのが困難となるため、定期的に補正板を清掃し、該補正板に付着した成膜材料粒子等の物質を除去する必要がある。
【0011】
一般に、補正板に付着した物質は、ガラスビーズブラスト等により除去しているが、この作業により補正板の形状が微妙に変化する場合がある。従って、清掃後に補正板に変形が認められた場合には、該補正板の形状を復元する必要がある。この復元作業も従来手作業で行われており、可及的に正確に復元する必要があるため、微妙な調整を要する困難な作業であった。
【0012】
そこで本発明は、製作が困難な特定の形状・寸法をなす補正板を必要とせずに、均一な膜厚を有する膜を形成することができる真空成膜装置及び成膜方法を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記のような事情に鑑みてなされたものであり、本発明に係る真空成膜装置は、内部空間を真空排気することができる真空チャンバと、膜が形成される基材を保持すべく、前記真空チャンバ内に配置された基材ホルダと、前記基材に成膜される成膜材料を保持すべく、前記真空チャンバ内にて前記基材ホルダに対向配置されたルツボと、前記真空チャンバ内に配置されて基材上に形成される膜の膜厚を補正するための補正部材と、該補正部材を駆動させる駆動部とを備え、前記補正部材は、前記基材ホルダ及びルツボの間を横切って移動するように前記駆動部により駆動されるべくなしてある。
【0014】
このような構成とすることにより、例えば、補正部材を移動する過程において、成膜速度が比較的速い箇所に対向する位置では移動速度を小さくし、成膜速度が比較的遅い箇所に対向する位置では移動速度を大きくすることにより、ルツボから蒸散されて基材へ向かう成膜材料粒子を適切な数だけ間引きできる。従って、特定の形状・寸法をなす板状の補正部材を用いずとも、均一な膜厚を有する膜を形成することができる。
【0015】
また本発明は、前記補正部材が、速度可変に移動するように前記駆動部により駆動されるべくなしてあってもよい。
【0016】
このような構成とすることにより、例えば、基材上の各箇所での成膜速度の違いに応じ、補正部材の移動速度を変えることができる。従って、基材の表面全体に渡って成膜速度を略一定に保つことができ、均一な膜厚を有する膜を形成することができる。
【0017】
また本発明は、前記補正部材が、前記基材ホルダ及びルツボの間を横切って移動する過程における各位置での前記補正部材の移動速度は、該補正部材を用いずに成膜した場合に前記基材ホルダに保持された基材上に形成される膜における前記各位置に対向する各箇所での膜厚に応じ、前記駆動部により変化されるべくなしてあってもよい。
【0018】
例えば、補正部材を用いずに成膜された膜の膜厚分布を事前に計算し、又は実際に成膜して膜厚分布を取得する。そして、得られた膜厚分布に基づいて補正部材を適宜速度で移動させる。このようにすることにより、より均一な膜厚を有する膜を形成することができる。
【0019】
また本発明は、前記補正部材が、該補正部材を用いずに成膜した場合に膜厚がより大きい箇所に対向する位置にて移動速度がより小さくなるように前記駆動部により駆動されるべくなしてあってもよい。
【0020】
このような構成とすることにより、予め得られた膜厚分布に基づき、膜厚が大きくなりがちな箇所への成膜材料粒子の蒸着数を減らすことができ、均一な膜厚を有する膜を形成することができる。
【0021】
また本発明は、前記補正部材が、前記基材ホルダ及びルツボの間を横切って移動する過程において、前記ルツボの略正面位置にて移動速度が最小となるように前記駆動部により駆動されるべくなしてあってもよい。
【0022】
上述したように成膜速度はルツボ及び基材の間の距離と、ルツボ及び基材の対向角度とに影響を受ける。そして、一般には基材上においてルツボの正面位置での成膜速度が最も速くなる。従って、このような構成とすることにより、一般に成膜速度が最大となるルツボの正面位置にて補正部材の移動速度を最小とすることができ、均一な膜厚を有する膜を形成することができる。
【0023】
また本発明は、前記補正部材が、前記駆動部により前記基材ホルダ及びルツボの間を横切って往復移動するよう駆動されるべくなしてあってもよい。
【0024】
ルツボから蒸散される成膜材料粒子は放射状に散乱するが、その移動経路は必ずしも直線的であるとは限らず、補正部材の側方から背後に回り込んで基材へ到達するものもある。従って、このような構成とすることにより、1回又は複数回に渡ってその都度適正な移動速度で往復させることができ、より均一な膜厚を有する膜を形成することができる。
【0025】
また本発明に係る成膜方法は、膜が形成される基材と該基材に成膜される成膜材料を保持すべく前記基材に対向配置されたルツボとの間に遮蔽物がない状態で前記基材上に成膜した場合に該基材上に形成される膜の膜厚分布を予め取得するステップと、前記ルツボに保持された成膜材料を蒸散させるステップと、膜厚を補正するための補正部材を、予め取得された前記膜厚分布に基づく速度で、前記基材及びルツボの間を横切るように移動させるステップとを備える。
【0026】
このようにすることにより、これまでに述べたのと同様に、予め取得した膜厚分布に基づき、均一な膜厚を有する膜を形成することができる。
【0027】
また本発明は、前記補正部材を移動させるステップにおいて、該補正部材を、前記基材及びルツボの間を横切る過程にて、予め取得された前記膜厚分布に基づいて膜厚がより大きい箇所に対向する位置にて速度がより小さくなるように移動させてもよい。
【0028】
このようにすることにより、膜厚が大きくなりがちな箇所への成膜材料粒子の蒸着数を適切に減らすことができ、均一な膜厚を有する膜を形成することができる。
【0029】
また本発明は、前記補正部材を移動させるステップにおいて、該補正部材を、前記基材及びルツボの間を横切って往復移動させてもよい。
【0030】
このようにすることにより、成膜材料粒子が、補正部材の側方から背後に回り込んで基材へ到達するような場合であっても、1回又は複数回に渡ってその都度適正な移動速度で補正部材を往復させ、より均一な膜厚を有する膜を形成することができる。
【0031】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。図1は、本発明の実施の形態に係る真空成膜装置の概略構成を示す模式図である。真空成膜装置1は、内部空間を有する真空チャンバ2を備え、該真空チャンバ2内の上部には基材3を保持する基材ホルダ4、下部には成膜材料5を保持するルツボ6及び電子銃7が夫々配置されている。
【0032】
また、真空チャンバ2の上部外側の略中央位置には、図示しない出力軸を下方に向けてモータM1が配置されている。該出力軸は真空チャンバ2の上部壁面をシールを介して貫通し、該真空チャンバ2内にて前記基材ホルダ4に接続されている。従って、基材ホルダ4はモータM1の出力軸と共に、該出力軸と同軸を成す上下方向の軸C1を中心にして回転可能となっている。
【0033】
また、基材ホルダ4は、球面の上半分のみを有するような半球面形状を成しており、面上には基材ホルダ4の内外を貫通する複数の孔4aが形成されている。
なお、図1に示す基材ホルダ4の構成は一例であり、他の構成をなしていてもよい。
【0034】
基材3は、基材ホルダ4の外面にて前記孔4aを塞ぐように配置され、図示しないストッパにより保持されている。従って、真空チャンバ2内にて下方から上方を見上げた場合、基材ホルダ4の内面側から孔4aを通じて基材3の一部を視認することができる。
【0035】
ルツボ6は、前記基材ホルダ4の回転中心となる軸C1から若干ずれた位置に配置され、その上部には、粒状又はバルク状の成膜材料5が載置されている。また、電子銃7は、前記ルツボ6の近傍に配置されており、図示しない電源から電力が供給されることにより、電子ビームを射出することができる。電子銃7から射出された電子ビームは、図示しない電磁石により形成された磁界によって経路が湾曲され、ルツボ6上に載置された成膜材料5に照射される。
【0036】
また、真空チャンバ2の上部外側の端部近傍には、図示しない出力軸を下方に向けてサーボモータM2が配置されている。該サーボモータM2の出力軸は真空チャンバ2の上部壁面をシールを介して貫通し、該出力軸には、真空チャンバ2内にて回転軸8の一端部が連結されている。該回転軸8は、サーボモータM2の出力軸と共に、該出力軸と同軸を成す上下方向の軸C2を中心にして回転可能となっている。また、該回転軸8は途中で直角に屈曲され、他端部には板状の補正部材9が上下方向に面を向けて取り付けられている。従って、サーボモータM2の作動により、補正部材9は、軸C2回りに公転する。
【0037】
なお、本実施の形態において補正部材9は板状をなしているが、特に定まった形状でなくてもよく、矩形又は楕円形などの形状をなしていてもよい。更に、板状をなす他、立方体又は円筒形をなしていてもよい。また、図1に示すように、サーボモータM2は、サーボアンプ10を介してコントローラ11との間で電気的に接続されており、該コントローラ11から出力されてサーボアンプ10にて増幅された信号に基づき、その回転動作が制御される。また、回転軸8及び補正部材9は、回転軸8の前記他端部を基材ホルダ4の回転中心の軸C1側へ向けて位置させた場合、該他端部に取り付けられた補正部材9は、基材ホルダ4の前記回転中心位置に到達できる構成となっている。
【0038】
図2は、上述したような構成をなす真空成膜装置1において、基材ホルダ4及びルツボ6間に補正部材9を位置させずに成膜した場合の膜厚分布の一例を示す模式図である。真空成膜装置1において成膜速度は、ルツボ6からの距離と、ルツボ6に対向する角度とにより左右される。
【0039】
従って本実施の形態では、ルツボ6から比較的離隔している基材ホルダ4の中心付近の箇所Paと、ルツボ6との対向角度が比較的浅くなっている基材ホルダ4の外周部近傍の箇所Pcとにおいて成膜速度が最小となっており、その結果、膜厚が小さくなっている。これに対し、基材ホルダ4の中心と外周部との中間付近の箇所Pbは、ルツボ6との距離が比較的近く、またルツボ6との対向角度が比較的深いため、成膜速度が最大となっており、その結果、膜厚が大きくなっている。このように、補正部材9を用いずに真空成膜装置1にて成膜した場合には、基材ホルダ4の中心付近の箇所Pa及び外周部近傍の箇所Pcでは膜厚は小さく、両位置の中間付近の箇所Pbへ近づくにつれて膜厚が大きくなる傾向にある。
【0040】
次ぎに、真空成膜装置1を用いた成膜方法について説明する。真空成膜装置1を用いて成膜すれば、上述したような偏りのある膜厚分布を是正し、均一な膜厚を有する膜を形成することができる。図3は、真空成膜装置1を用いて成膜する際の補正部材9の動作を示す模式図であり、図4は、該補正部材9の位置と速度との関係を示すグラフである。
【0041】
初めに、基材3を基材ホルダ4にセットし、ルツボ6には成膜材料5を載置する。そして真空チャンバ2を密封して図示しない排気手段により排気し、真空チャンバ2内を真空雰囲気とする。真空チャンバ2内が所望の真空度に達した時点で電子銃7から電子ビームを射出させ、成膜材料5を加熱する。この間、ルツボ6の上方を遮るように図示しない遮蔽板を配置しておく。そして、成膜材料5が十分に加熱されて蒸発し、成膜材料粒子が安定して蒸散されるようになった時点で、モータM1を駆動させて基材ホルダ4を軸C1回りに回転させる。更に前記遮蔽板をルツボ6の上方から退避させることにより成膜が開始される。
【0042】
なお、補正部材9は、基材3を基材ホルダ4にセットする間、図3に示すように基材ホルダ4から離れた(基材ホルダ4及びルツボ6間を遮らない)位置P1に位置されている。また、その後成膜が開始されるまでに、コントローラ11からの信号に基づいてサーボモータM2が駆動することにより、補正部材9は基材ホルダ4の略中央位置P4に位置される。
【0043】
成膜の開始後、位置P4に位置する補正部材9は、コントローラ11から信号を受けたサーボモータM2の駆動により所定の速度変化をなしながら、基材ホルダ4及びルツボ6の間を横切って、基材ホルダ4の外周部近傍の位置P2まで水平方向に移動する。即ち、成膜中の補正部材9は、位置P4から位置P2へ移動する間に、上述したように成膜速度が最小となる基材ホルダ4上の箇所Paに対向する位置(位置P4)から、成膜速度が最大となる箇所Pbに対向する位置(位置P3)を経て、成膜速度が最小となる箇所Pcに対向する位置(位置P2)へと移動する。
【0044】
また、コントローラ11からの信号に基づいてサーボモータM2が駆動することにより、補正部材9は、図4に示すような速度変化をなしながら移動する。即ち補正部材9は、基材ホルダ4の中心付近の箇所Paに対向する位置P4では比較的速い速度Vaで移動する。そして、該箇所Paと基材ホルダ4の外周部近傍の箇所Pcとの中間付近の箇所Pbに対向する位置P3へ近づくにつれて減速し、該位置P3にて最小の速度Vbとなる。その後、該位置P3を通過し、基材ホルダ4の外周部近傍の箇所Pcに対向する位置P2へ近づくにつれて加速し、該位置P2にて比較的速い速度Vaとなる。
【0045】
なお、成膜開始後の補正部材9は、本実施の形態のように位置P4から移動を開始してもよいし、位置P2から移動を開始してもよいことは言うまでもない。
【0046】
このようにして成膜を行うことにより、比較的成膜速度が遅い基材ホルダ4上の箇所Pa,Pcに比べて比較的成膜速度が速い箇所Pbでは、ルツボ6から基材ホルダ6側へ蒸散する成膜材料粒子がより多く遮断される。従って、基材ホルダ4上の箇所Pa,Pb,Pcの夫々における成膜速度が均一化され、基材ホルダ4に保持された基材3には均一な膜厚を有する膜が形成される。
【0047】
また、定期的に補正部材9を清掃することにより、その形状が変わった場合であっても、元の補正部材9の形状に復元する煩瑣な作業は必要なく、補正部材9の移動速度の簡単な調整だけで、再び均一な膜厚を有する膜を形成することができる。
【0048】
なお、本実施の形態に係る成膜方法では、図4に示した補正部材9の移動速度は、図2に示すように補正部材9を用いずに予め成膜を行って得られた膜厚分布に基づいて決定しているが、これに代えて成膜のシミュレーションを行って算出される膜厚分布に基づいて決定してもよい。
【0049】
また、一般には、基材ホルダ4におけるルツボ6の真正面の箇所にて最も成膜速度が速くなる。従って、上述したように事前の成膜又はシミュレーションによって膜厚分布を予め取得することなく、基材ホルダ4上の各個所とルツボ6との位置関係に基づき、ルツボ6の真正面にて移動速度を最小とし、真正面から離隔するに従って移動速度を大きくするように補正部材9を移動させてもよい。
【0050】
また、位置P4と位置P2との間を水平方向に1回又は複数回だけ補正部材9を往復移動させてもよい。この場合、各回での位置P4から位置P2への移動速度、及び各回での位置P2から位置P4への移動速度は、夫々異なっていてもよい。このように往復移動させることにより、基材3上の各個所での膜厚のばらつきが更に是正され、より均一な膜厚を有する膜を形成することができる。
【0051】
また、本実施の形態では、図4に示すように補正部材9の速度は、滑らかに変化するようにコントローラ11により駆動制御されているが、補正部材9の動作はこれに限られない。例えば、補正部材9を断続的に移動させてもよい。この場合、成膜速度が比較的速い箇所Pbに対向する位置P3では停止期間を長くし、成膜速度が比較的遅い箇所Pa,Pcに対向する位置P4,P2では停止期間を短くすればよい。
【0052】
【発明の効果】
本発明によれば、製作が困難な特定の形状・寸法をなす補正部材を必要とせずに、均一な膜厚を有する膜を形成することができる真空成膜装置及び成膜方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る真空成膜装置の概略構成を示す模式図である。
【図2】基材及びルツボ間に補正部材を位置させずに成膜した場合の膜厚分布の一例を示す模式図である。
【図3】本実施の形態に係る真空成膜装置を用いて成膜する際の補正部材の動作を示す模式図である。
【図4】補正部材の位置と速度との関係を示すグラフである。
【符号の説明】
1 真空成膜装置
2 真空チャンバ
3 基材
4 基材ホルダ
5 成膜材料
6 ルツボ
7 電子銃
8 回転軸
9 補正部材
10 サーボアンプ
11 コントローラ
M1 モータ
M2 サーボモータ
C1,C2 軸
Claims (9)
- 内部空間を真空排気することができる真空チャンバと、
膜が形成される基材を保持すべく、前記真空チャンバ内に配置された基材ホルダと、
前記基材に成膜される成膜材料を保持すべく、前記真空チャンバ内にて前記基材ホルダに対向配置されたルツボと、
前記真空チャンバ内に配置されて基材上に形成される膜の膜厚を補正するための補正部材と、
該補正部材を駆動させる駆動部と
を備え、
前記補正部材は、前記基材ホルダ及びルツボの間を横切って移動するように前記駆動部により駆動されるべくなしてある
ことを特徴とする真空成膜装置。 - 前記補正部材は、速度可変に移動するように前記駆動部により駆動されるべくなしてあることを特徴とする請求項1に記載の真空成膜装置。
- 前記基材ホルダ及びルツボの間を横切って移動する過程における各位置での前記補正部材の移動速度は、該補正部材を用いずに成膜した場合に前記基材ホルダに保持された基材上に形成される膜における前記各位置に対向する各箇所での膜厚に応じ、前記駆動部により変化されるべくなしてあることを特徴とする請求項2に記載の真空成膜装置。
- 前記補正部材は、該補正部材を用いずに成膜した場合に膜厚がより大きい箇所に対向する位置にて移動速度がより小さくなるように前記駆動部により駆動されるべくなしてあることを特徴とする請求項3に記載の真空成膜装置。
- 前記補正部材は、前記基材ホルダ及びルツボの間を横切って移動する過程において、前記ルツボの略正面位置にて移動速度が最小となるように前記駆動部により駆動されるべくなしてあることを特徴とする請求項2に記載の真空成膜装置。
- 前記補正部材は、前記駆動部により前記基材ホルダ及びルツボの間を横切って往復移動するよう駆動されるべくなしてあることを特徴とする請求項1乃至5の何れかに記載の真空成膜装置。
- 膜が形成される基材と該基材に成膜される成膜材料を保持すべく前記基材に対向配置されたルツボとの間に遮蔽物がない状態で前記基材上に成膜した場合に該基材上に形成される膜の膜厚分布を予め取得するステップと、
前記ルツボに保持された成膜材料を蒸散させるステップと、
膜厚を補正するための補正部材を、予め取得された前記膜厚分布に基づく速度で、前記基材及びルツボの間を横切るように移動させるステップと
を備えることを特徴とする成膜方法。 - 前記補正部材を移動させるステップにおいて、該補正部材を、前記基材及びルツボの間を横切る過程にて、予め取得された前記膜厚分布に基づいて膜厚がより大きい箇所に対向する位置にて速度がより小さくなるように移動させることを特徴とする請求項7に記載の成膜方法。
- 前記補正部材を移動させるステップにおいて、該補正部材を、前記基材及びルツボの間を横切って往復移動させることを特徴とする請求項7又は8に記載の成膜方法。
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