JP2004129164A - 移動端末、転送装置、通信システム、通信方法及びプログラム - Google Patents

移動端末、転送装置、通信システム、通信方法及びプログラム Download PDF

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Abstract

【課題】パケットの転送経路が冗長になることを抑制し、移動端末のロケーションプライバシーを十分に確保する。
【解決手段】制御部15が、MAPとCNとの間の距離に基づいて利用するMAPを選択する。モビリティ制御部14が、選択したMAPに端末気付アドレスを通知し、CNに選択したMAPの位置を示すアドレスを通知する。
【選択図】   図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、移動端末、転送装置、通信システム、通信方法及びプログラムに関する。
【0002】
【従来の技術】
移動端末とその通信相手装置とがIPパケットを送受信する通信システムでは、移動端末が移動してもパケットの送受信を可能にするために、モバイルIPという技術を採用している。モバイルIPでは、移動端末は、気付アドレスを用いてパケットを送受信する。
【0003】
モバイルIPでは、移動端末が通信相手装置からのパケットを受信する場合に、パケットの転送経路が冗長になることを抑制するために、移動端末が、通信相手装置に移動端末の気付アドレス等を通知する場合がある。ホームエージェントのみを用いるモバイルIPでは、移動端末は、移動先の位置を示す気付アドレス(Link care of Address)を通信相手装置に通知する。又、ホームエージェントだけでなくモビリティアンカーポイントも用いるモバイルIPでは、移動端末は、パケットの転送に利用するモビリティアンカーポイントに割り当てられているアドレスや、モビリティアンカーポイントのIPアドレスのネットワークプレフィクスを用いて作成した気付アドレス(Regional care of Address)を通知する。
【0004】
又、モバイルIPでは、移動端末が通信相手装置へのパケットを送信する場合に、移動先の位置を示す気付アドレス(Link care of Address)を送信元アドレスに設定したパケットを、通信相手装置に直接送信してしまうと、その送信元アドレスから、通信相手装置に移動端末の移動先の位置を知られてしまう問題がある。即ち、移動端末のロケーションプライバシーが確保されない問題がある。 そこで、ロケーションプライバシーを確保するために、移動端末は、通信相手装置に直接パケットを送信せずに、ホームエージェントやモビリティアンカーポイントによって、通信相手装置にパケットを転送してもらうリバーストンネリング(Reverse tunneling)という技術が採用されている(例えば、非特許文献1参照)。
【0005】
【非特許文献1】
“リバース トンネリング フォー モバイル アイピー(ReverseTunneling for Mobile IP)”、[online]、2001年1月、インターネット ソサイエティ(The Internet Society)、[平成14年8月28日検索]、インターネット<URL:http://www.rfc−editor.org/rfc/rfc3024.txt>
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、ホームエージェントのみを用いるモバイルIPにおいて、移動端末が、移動端末の移動先の位置を示す気付アドレス(Link care of Address)を通信相手装置に通知すると、通信相手装置から移動端末へのパケットの転送経路が冗長になることを抑制できるものの、ロケーションプライバシーは全く確保できない問題点があった。又、ホームエージェントのみを用いるモバイルIPにおいて、リバーストンネリングを適用すると、ロケーションプライバシーを確保できるものの、固定されたホームエージェントが、移動端末から通信相手装置へのパケットを転送する。そのため、移動端末から通信相手装置へのパケットは、必ず固定のホームエージェントを経由することになり、パケットの転送経路が冗長になる問題点があった。
【0007】
又、ホームエージェントだけでなくモビリティアンカーポイントも用いるモバイルIPでは、移動端末は、ハンドオフの際のパケットロスを減らすために、自身の近隣に存在するモビリティアンカーポイントを利用する。そのため、移動端末が、移動端末の近隣に存在するモビリティアンカーポイントに割り当てられているアドレスや、モビリティアンカーポイントのIPアドレスのネットワークプレフィクスを用いて作成した気付アドレス(Regional care of Address)を通信相手装置に通知すると、通信相手装置から移動端末へのパケットの転送経路が冗長になることを抑制できるものの、十分なロケーションプライバシーを確保できない問題点があった。即ち、移動端末は、自身の近隣に存在するモビリティアンカーポイントのアドレス等から通信相手装置に移動先のおおよその位置を知られてしまい、ロケーションプライバシーを十分に確保できない問題点があった。
【0008】
又、ホームエージェントだけでなくモビリティアンカーポイントも用いるモバイルIPにおいて、リバーストンネリングを適用すると、ロケーションプライバシーを確保できるものの、固定されたホームエージェントが、移動端末から通信相手装置へのパケットを転送する場合がある。そのため、移動端末から通信相手装置へのパケットは、固定のホームエージェントを経由する場合があり、パケットの転送経路が冗長になる問題点があった。
【0009】
即ち、ホームエージェントのみを用いたモバイルIP、モビリティアンカーポイントも用いたモバイルIPいずれの場合にも、パケットの転送経路が冗長になることの抑制と、移動端末のロケーションプライバシーの十分な確保を両立することができないという問題点があった。
【0010】
そこで、本発明は、パケットの転送経路が冗長になることを抑制し、移動端末のロケーションプライバシーを十分に確保することができる移動端末、転送装置、通信システム、通信方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る通信システムは、移動端末と、その移動端末とパケットの送受信を行う通信相手装置と、移動端末と通信相手装置との間でパケットを転送する複数の転送装置とを備える通信システムである。そして、本発明に係る移動端末は、転送装置と通信相手装置との間の距離に基づいて、パケットの送受信に利用する転送装置を選択する選択手段と、その選択手段が選択した転送装置に移動端末の移動先の位置を示す端末気付アドレスを通知し、通信相手装置に選択した転送装置の位置を示すアドレスを通知する通知手段とを備えることを特徴とする。
【0012】
このような本発明によれば、選択手段が、転送装置と通信相手装置との間の距離に基づいて利用する転送装置を選択する。そして、通知手段が、選択した転送装置に端末気付アドレスを通知し、通信相手装置に選択した転送装置の位置を示すアドレスを通知する。そのため、移動端末は、転送装置と通信相手装置との間の距離に基づいて選択した転送装置によって、端末気付アドレスにパケットを転送してもらうことができる。よって、パケットは、転送装置と通信相手装置との間の距離に基づいて選択した転送装置を経由することになり、パケットの転送経路が冗長になることを抑制できる。又、移動端末は、通信相手装置に端末気付アドレスを知られない。更に、移動端末は、利用する転送装置の位置を示すアドレスを通信相手装置に知られてしまうものの、利用する転送装置を転送装置と通信相手装置との間の距離に基づいて選択しているため、転送装置の位置を示すアドレスから、移動先の位置を知られてしまうおそれを低減できる。よって、移動端末は、ロケーションプライバシーを十分に確保することができる。
【0013】
又、通知手段は、通信相手装置に転送装置の位置を示すアドレスとして、転送装置に割り当てられているアドレスを通知することが好ましい。これによれば、通信相手装置が、移動端末に宛てたパケットを、移動端末が選択した転送装置に割り当てられているアドレスに送信することができる。そして、移動端末が選択した転送装置は、通信相手装置から受信した移動端末に宛てたパケットを端末気付アドレスに転送する。よって、移動端末は、転送装置と通信相手装置との間の距離に基づいて選択した転送装置を介して、通信相手装置からのパケットを受信できる。
【0014】
又、通知手段は、通信相手装置に転送装置の位置を示すアドレスとして、選択した転送装置の存在するネットワークを特定するデータを含むネットワーク気付アドレスを通知するようにしてもよい。これによれば、通信相手装置が、移動端末に宛てたパケットを、ネットワーク気付アドレスに送信することができる。これにより、移動端末が選択した転送装置に移動端末に宛てたパケットが届く。そして、移動端末が選択した転送装置は、通信相手装置から受信した移動端末に宛てたパケットを端末気付アドレスに転送する。よって、移動端末は、転送装置と通信相手装置との間の距離に基づいて選択した転送装置を介して、通信相手装置からのパケットを受信できる。
【0015】
又、本発明に係る他の移動端末は、転送装置と通信相手装置との間の距離に基づいて、パケットの送受信に利用する転送装置を選択する選択手段と、その選択手段が選択した転送装置を介して通信相手装置にパケットを送信するように制御する制御手段とを備えることを特徴とする。
【0016】
このような本発明に係る他の移動端末によれば、選択手段が、転送装置と通信相手装置との間の距離に基づいて利用する転送装置を選択する。そして、制御手段が、選択した転送装置を介して通信相手装置にパケットを送信するように制御する。そのため、移動端末は、転送装置と通信相手装置との間の距離に基づいて選択した転送装置によって、通信相手装置にパケットを転送してもらうことができる。よって、パケットは、転送装置と通信相手装置との間の距離に基づいて選択した転送装置を経由することになり、パケットの転送経路が冗長になることを抑制できる。更に、通信相手装置に届くパケットは、転送装置と通信相手装置との間の距離に基づいて選択した転送装置によって転送されたものであるため、移動端末は、通信相手装置にパケットの転送元から移動先の位置を知られてしまうおそれを低減できる。よって、移動端末は、ロケーションプライバシーを十分に確保することができる。
【0017】
又、制御手段は、通信相手装置に宛てたパケットを、選択手段が選択した転送装置に割り当てられているアドレスをあて先アドレスとするヘッダでカプセル化することにより、選択した転送装置を介して通信相手装置にパケットを送信するように制御することが好ましい。これによれば、移動端末は、選択した転送装置を介して通信相手装置にパケットを送信することができる。
【0018】
又、移動端末は、転送装置に関する情報を記憶する転送装置情報記憶手段を備え、選択手段は、転送装置情報記憶手段に記憶された転送装置の中で、転送装置と通信相手装置との間の距離が最も短い転送装置を選択することが好ましい。これによれば、選択手段は、移動端末が把握している転送装置の中で、最も通信相手装置に近い転送装置を選択することができる。そのため、移動端末は、通信相手装置に近い転送装置を介して、通信相手装置とパケットを送受信できる。その結果、パケットの転送経路が冗長になることをより一層抑制することができる。更に、移動端末は、選択した転送装置の位置を示すアドレスやパケットの転送元から、通信相手装置に移動先の位置を知られてしまうおそれをより一層低減できる。そのため、移動端末は、ロケーションプライバシーを十分に確保することができる。
【0019】
更に、移動端末は、転送装置と通信相手装置との間の距離を取得する取得手段を備え、選択手段は、取得手段が取得した距離に基づいて、利用する転送装置を選択することが好ましい。これによれば、移動端末は、取得手段により転送装置と通信相手装置との間の現在の距離を把握することができ、より適切に転送手段を選択することができる。
【0020】
又、取得手段としては、転送装置に通信相手装置との間の距離の計測を依頼する計測依頼パケットを作成して送信し、計測依頼パケットに基づく距離の計測結果を通知する計測結果通知パケットを転送装置から受信し、その計測結果通知パケットから距離を取得するものであることが好ましい。これによれば、移動端末は、転送装置と通信相手装置との間の距離を転送装置に計測してもらい、把握できる。そのため、移動端末の制御負荷が軽減される。
【0021】
更に、移動端末は、転送装置を検出する検出手段を備えることが好ましい。これによれば、移動端末は、検出手段により通信システムに現在存在する転送装置を把握することができ、その中からより適切な転送手段を選択することができる。又、検出手段としては、転送装置に転送装置を探索するための探索パケットを作成して送信し、探索パケットに対して転送装置を通知する通知パケットを転送装置から受信し、その通知パケットに基づいて転送装置を検出するものであることが好ましい。これによれば、移動端末は、転送装置からの通知パケットに基づいて、容易に転送装置を検出することができる。
【0022】
又、本発明に係る移動端末は、パケットを転送する転送装置を介して通信相手装置とパケットを送受信する移動端末に、転送装置と通信相手装置との間の距離に基づいて、パケットの送受信に利用する転送装置を選択する選択手段と、その選択手段が選択した転送装置に移動端末の移動先の位置を示す端末気付アドレスを通知し、通信相手装置に選択した転送装置の位置を示すアドレスを通知する通知手段として機能させるためのプログラムを実行することにより実現できる。
【0023】
又、本発明に係る他の移動端末は、パケットを転送する転送装置を介して通信相手装置とパケットを送受信する移動端末に、転送装置と通信相手装置との間の距離に基づいて、パケットの送受信に利用する転送装置を選択する選択手段と、その選択手段が選択した転送装置を介して通信相手装置にパケットを送信するように制御する制御手段として機能させるためのプログラムを実行することにより実現できる。
【0024】
又、本発明に係る転送装置は、移動端末と、その移動端末とパケットを送受信する通信相手装置との間でパケットを転送する転送装置であって、転送装置と通信相手装置との間の距離を計測する計測手段と、計測手段による計測結果を移動端末に通知する計測結果通知手段とを備えることを特徴とする。このような本発明に係る転送装置によれば、計測手段が、転送装置と通信相手装置との間の距離を計測し、計測結果通知手段がその計測結果を移動端末に通知する。そのため、転送装置は、移動端末に転送装置と通信相手装置との間の現在の距離を提供することができる。その結果、移動端末は、転送装置と通信相手装置との間の現在の距離に基づいて、転送装置を適切に選択することができる。
【0025】
更に、転送装置は、他の転送装置に関する情報を記憶する転送装置情報記憶手段と、その転送装置情報記憶手段に記憶された他の転送装置に関する情報を、移動端末に通知する転送装置情報通知手段とを備えることが好ましい。これによれば、転送装置は、転送装置において把握している他の転送装置に関する情報を、移動端末に提供することができる。その結果、移動端末は、通信システム内に現在存在する転送装置を把握でき、その中からより適切な転送装置を選択することができる。
【0026】
又、本発明に係る他の転送装置は、移動端末によって、移動端末がパケットを送受信する通信相手装置と転送装置との間の距離に基づいて、パケットの送受信に利用する転送装置として選択される転送装置であって、選択を行った移動端末から、その移動端末の移動先の位置を示す端末気付アドレスの通知を受信する受信手段と、受信手段が受信した端末気付アドレスに、移動端末へのパケットを転送するように制御する転送制御手段とを備えることを特徴とする。このような本発明に係る他の転送装置によれば、受信手段は、転送装置を、通信相手装置と転送装置との間の距離に基づいて、パケットの送受信に利用する転送装置として選択した移動端末から、端末気付アドレスの通知を受ける。そして、転送制御手段が、受信手段が受信した端末気付アドレスに、その移動端末へのパケットを転送するように制御する。
【0027】
そのため、移動端末は、転送装置と通信相手装置との間の距離に基づいて選択した転送装置によって、端末気付アドレスにパケットを転送してもらうことができる。よって、パケットは、転送装置と通信相手装置との間の距離に基づいて選択した転送装置を経由することになり、パケットの転送経路が冗長になることを抑制できる。又、移動端末は、通信相手装置に端末気付アドレスを知られない。よって、移動端末のロケーションプライバシーを十分に確保することができる。
【0028】
更に、転送装置は、受信手段が受信した端末気付アドレスを他の転送装置に通知する通知手段を備えることが好ましい。これによれば、転送装置が、移動端末から受信した端末気付アドレスを他の転送装置にも通知できる。そのため、移動端末は、複数の転送装置に端末気付アドレスを通知する場合に、ある転送装置に端末気付アドレスを通知すれば、他の転送装置に端末気付アドレスを通知することを省略できる。
【0029】
又、本発明に係る通信方法は、移動端末がパケットを転送する転送装置を介して通信相手装置とパケットを送受信する通信方法であって、移動端末が、転送装置と通信相手装置との間の距離に基づいて、パケットの送受信に利用する転送装置を選択するステップと、移動端末が、選択した転送装置に移動端末の移動先の位置を示す端末気付アドレスを通知するステップと、移動端末が、通信相手装置に選択した転送装置の位置を示すアドレスを通知するステップとを有することを特徴とする。
【0030】
このような本発明に係る通信方法によれば、移動端末は、転送装置と通信相手装置との間の距離に基づいて選択した転送装置によって、端末気付アドレスにパケットを転送してもらうことができる。よって、パケットは、転送装置と通信相手装置との間の距離に基づいて選択した転送装置を経由することになり、パケットの転送経路が冗長になることを抑制できる。又、移動端末は、通信相手装置に端末気付アドレスを知られない。更に、移動端末は、利用する転送装置の位置を示すアドレスを通信相手装置に知られてしまうものの、利用する転送装置を転送装置と通信相手装置との間の距離に基づいて選択しているため、転送装置の位置を示すアドレスから、移動先の位置を知られてしまうおそれを低減できる。よって、移動端末のロケーションプライバシーを十分に確保することができる。
【0031】
又、本発明に係る他の通信方法は、移動端末がパケットを転送する転送装置を介して通信相手装置とパケットを送受信する通信方法であって、移動端末が、転送装置と通信相手装置との間の距離に基づいて、パケットの送受信に利用する転送装置を選択するステップと、選択した転送装置を介して通信相手装置にパケットを送信するステップとを有することを特徴とする。
【0032】
このような本発明に係る他の通信方法によれば、移動端末は、転送装置と通信相手装置との間の距離に基づいて選択した転送装置によって、通信相手装置にパケットを転送してもらうことができる。よって、パケットは、転送装置と通信相手装置との間の距離に基づいて選択した転送装置を経由することになり、パケットの転送経路が冗長になることを抑制できる。更に、通信相手装置に届くパケットは、転送装置と通信相手装置との間の距離に基づいて選択した転送装置によって転送されたものであるため、通信相手装置にパケットの転送元から移動先の位置を知られてしまうおそれを低減できる。よって、移動端末のロケーションプライバシーを十分に確保することができる。
【0033】
又、移動端末は、転送装置に関する情報を記憶しており、選択するステップにおいて、記憶している転送装置の中で、転送装置と通信相手装置との間の距離が最も短い転送装置を、利用する転送装置として選択することが好ましい。又、移動端末が、転送装置と通信相手装置との間の距離を取得するステップを有するようにし、選択するステップにおいて、取得した距離に基づいて、利用する転送装置を選択するようにしてもよい。又、移動端末が、転送装置を検出するステップを有するようにしてもよい。
【0034】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0035】
[第1の実施の形態]
〔通信システム〕
図1に示すように、通信システム1は、モバイルノード(Mobile Node、以下「MN」という)10と、複数のモビリティアンカーポイント(Mobility Anchor Point、以下「MAP」という)(a)20a〜MAP(f)20fと、コレスポンディングノード(Correspondent Node、以下「CN」という)30と、ホームエージェント(Home Agent、以下「HA」という)40と、複数のアクセスルータ(Access Router、以下「AR」という)(a)50a〜AR(c)50cとを備える。
【0036】
MN10は、パケットを転送するMAP(a)20a〜MAP(f)20fを介してCN30とパケットを送受信する移動端末である。MN10は、AR(a)50a〜AR(c)50cと無線リンクを確立して接続し、AR(a)50a〜AR(c)50cを介してパケットを送受信する。又、MN10は、MAP(a)20a〜MAP(f)20fとCN30との間の距離を取得する。又、MN10は、MAP(a)20a〜MAP(f)20fを探索して検出する。そして、MN10は、パケットの送受信に利用するMAP(a)20a〜MAP(f)20fを選択する。CN30は、MN10とパケットを送受信する通信相手装置である。CN30は、MAP(a)20a〜MAP(f)20fを介してMN10とパケットを送受信する。
【0037】
MAP(a)20a〜MAP(f)20fとHA40は、MN10とCN30との間でパケットを転送する転送装置である。MAP(a)20a〜MAP(f)20fとHA40は、MN10からCN30に宛てたパケットをCN30に転送し、CN30からMN10に宛てたパケットをCN10に転送する。又、MAP(a)20a〜MAP(f)20fは、自身とCN30との間の距離を計測する。又、MAP(a)20a〜MAP(f)20fは、自身以外の他のMAP(a)20a〜MAP(f)20fを探索して検出する。そして、MAP(a)20a〜MAP(f)20fは、計測したCN30との距離や検出した他のMAPをMN10に通知する。
【0038】
AR(a)50a〜AR(c)50cは、MN10と無線リンクを確立するルータである。AR(a)50a〜AR(c)50cは、自身と無線リンクを確立して接続しているMN10から送信されたパケットを、そのあて先アドレスに従いルーチングする。又、AR(a)50a〜AR(c)50cは、自身と無線リンクを確立して接続しているMN10宛のパケットを、MN10に送信する。
【0039】
(MN)
次に、MN10について詳細に説明する。図2に示すように、MN10は、アプリケーション部11と、TCP/UDP(Transmission Control Protocol/User Data gram  Protocol)部12と、IP制御部13と、モビリティ制御部14と、制御情報記憶部14aと、制御部15と、MAP選択ポリシー記憶部15aと、MAPテーブル16と、第2テーブル17と、リンク制御部18と、インターフェース19とから構成される。
【0040】
まず、アプリケーション部11から、TCP/UDP部12、IP制御部13、リンク制御部18、インターフェース19までのデータの流れに沿って、各構成について説明する。アプリケーション部11は、アプリケーションを搭載している。アプリケーション部11は、TCP/UDP部12にデータを提供したり、TCP/UDP部12からデータを取得したりする。
【0041】
TCP/UDP部12は、TCP/UDPレベルの制御を行う。TCP/UDP部12は、アプリケーション部11から取得したデータに、TCP/UDPヘッダを付加してIP制御部13に提供する。又、TCP/UDP部12は、IP制御部13から取得したデータのTCP/UDPヘッダを外して、データ内容に応じてアプリケーション部11の各アプリケーションに提供する。
【0042】
IP制御部13は、IPレベルの制御を行う。IP制御部13は、TCP/UDP部12から取得したTCP/UDPヘッダが付加されたデータにIPヘッダを付加して、リンク制御部18に提供する。又、IP制御部13は、リンク制御部18から取得したデータのIPヘッダを外して、TCP/UDP部12に提供する。
【0043】
リンク制御部18は、データリンクレベルの制御を行う。リンク制御部18は、IP制御部13から取得したIPヘッダが付加されたデータに、データリンクレベルのヘッダを付加して、インターフェース19に提供する。又、リンク制御部18は、インターフェース19から取得したデータのデータリンクレベルのヘッダを外して、IP制御部13に提供する。
【0044】
インターフェース19は、MAP(a)20a〜MAP(f)20fやHA40を介してCN30とパケットを送受信する通信手段である。インターフェース19は、AR(a)50a〜AR(c)50cと無線リンクを確立し、AR(a)50a〜AR(c)50cを介してMAP(a)20a〜MAP(f)20fとパケットの送受信を行う。又、インターフェース19は、リンク制御部18から取得したパケットを、MAP(a)20a〜MAP(f)20fやHA40に送信する。又、インターフェース19は、MAP(a)20a〜MAP(f)20fやHA40からパケットを受信し、リンク制御部18に提供する。
【0045】
次に、MN10が移動してもCNとのパケットの送受信を可能にするためのモビリティ制御に着目して各構成を説明する。アプリケーション部11は、MAP選択ポリシーの設定を行う。MAP選択ポリシーとは、MN10がパケットの送受信に利用するMAPを選択する選択基準である。MAP選択ポリシーは、MAPとCNとの間の距離について定められる。ここで、ノード間の距離を示すパラメータには、ノード間のパケット送信における遅延値、ノード間のホップ数等がある。又、遅延値にも複数の種類があり、例えば、パケットがノードAを出発してノードBを経由し、ノードAに戻ってくるまでの時間であるラウンドトリップタイム(Round Trip Time、以下「RTT」という)や、パケットがノードBを出発してノードAに到達するまでの時間である片道の伝送遅延値等がある。よって、MAP選択ポリシーとして、例えば、「CNとの間のRTTが最も小さいMAP」や「CNとの間のホップ数が最も小さいMAP」といったものを定めることができる。又、MAP選択ポリシーは、距離を示す1つのパラメータを用いて定めてもよく、距離を示す複数のパラメータを組み合わせて定めてもよい。更に、MAP選択ポリシーは、距離に加えて他の条件について定めてもよい。
【0046】
アプリケーション部11は、定めたMAP選択ポリシーを、MAP選択ポリシー記憶部15aに記録することにより設定する。又、アプリケーション部11は、新たにMAP選択ポリシーを定めた場合には、MAP選択ポリシー記憶部15aに記録されているMAP選択ポリシーを更新して、再設定する。尚、MAP選択ポリシーは、MN10のユーザや通信システム1のシステム設計者等が設定してもよい。
【0047】
MAP選択ポリシー記憶部15aは、MN10がパケットの送受信に利用するMAPを選択する選択基準であるMAP選択ポリシーを記憶する選択基準記憶手段である。MAP選択ポリシー記憶部15aは、アプリケーション部11により記録されるMAP選択ポリシーを記憶する。尚、MAP選択ポリシー記憶部15aは、MN10のユーザや通信システム1のシステム設計者等が定めたMAP選択ポリシーを記憶してもよい。本実施形態では、MAP選択ポリシー記憶部15aは、「CNとの間のRTTが最も小さいMAP」というMAP選択ポリシーを記憶している。
【0048】
MAPテーブル16は、MAPに関する情報を記憶する転送装置情報記憶手段である。MAPテーブル16は、MAPに関する情報として、MAPに割り当てられているIPアドレスや、MAPとCNとの間の距離等を記憶する。MAPテーブル16を図3を用いて説明する。図3には、MAPテーブル16の初期状態が示されている。図3に示すように、MAPテーブル16は、複数のMAPについて、IPアドレスと、CNとのRTTの計測値(単位はmsec)と、生存時間(単位はsec)と、シーケンスナンバ1を記憶する。又、MAPテーブル16は、最大ノード登録数のMAPに関する情報を記憶する。図3に示すMAPテーブル16では、最大ノード登録数は「5」に設定されている。最大ノード登録数を設定することにより、MN10の記憶容量の圧迫を防止できる。又、MAPテーブル16は、基準に従ってMAPに関する情報を記憶する。図3では、MAPテーブル16は、「RTTの最も小さいMAPから順番に上位5つのMAPを記憶する」という基準に従って、各MAPに関する情報を記憶する。これにより、MN10は、記憶している情報の利用や更新作業を容易にすることができる。
【0049】
MAPテーブル16は、初期状態において任意のMAPのIPアドレスを1つ以上記憶している。図3に示すMAPテーブル16は、初期状態においてMAP(a)20aとMAP(f)20fのIPアドレスを記憶している。以下、MAP(a)20a〜MAP(f)20fやCN30に割り当てられている固有のIPアドレスを、「MAP(a)」、「MAP(b)」、「CN」のように表す。又、生存時間は、MAPに関する情報のMAPテーブル16内の生存時間である。生存時間は、制御部15によって毎秒減らされる。生存時間が0に到達すると、そのMAPに関する情報は制御部15によってMAPテーブル16から消去される。MAPテーブル16は、初期状態では生存時間の値として、生存時間の初期値である初期生存時間を記憶している。シーケンスナンバ1は、MAP通知パケットに基づいてMAPに関する情報を更新した際のMAP通知パケットのシーケンスナンバである。ここで、MAP通知パケットとは、MAPがMN10に送信するMAPに関する情報を通知するパケットである。尚、MAPテーブル16は、初期状態ではRTTの値とシーケンスナンバ1の値を記憶していない。
【0050】
第2テーブル17は、制御部15がMAPの探索やMAPテーブル16の更新を行うために必要な情報を記憶する記憶手段である。第2テーブル17を図3を用いて説明する。図3には、第2テーブル17の初期状態が示されている。図3に示すように、第2テーブル17は、シーケンスナンバ2、初期生存時間(単位はsec)、探索生存時間(単位はsec)を記憶する。
【0051】
シーケンスナンバ2は、MN10が最後に送信したMAP探索パケットのシーケンスナンバである。ここで、MAP探索パケットは、MN10がMAPに送信するMAPを探索するためのパケットである。シーケンスナンバ2は、制御部15によって、MAP探索パケットを作成する際に「1」加算される。第2テーブル17は、初期状態ではシーケンスナンバ2として「1」を記憶している。初期生存時間は、MAPテーブル16の生存時間を更新する際に設定する生存時間である。初期状態のMAPテーブル16は、生存時間の値として第2テーブル17に記憶されている初期生存時間「900」を記憶している。探索生存時間は、MN10がMAPの探索を開始する時間である。そのため、近隣MAPテーブル16の生存時間が、第2テーブル17の探索生存時間に達するとMAPの探索が開始される。
【0052】
制御部15は、MAPとCNとの間の距離に基づいて、パケットの送受信に利用するMAPを選択する選択手段である。又、制御部15は、MAPとCNとの間の距離を取得する取得手段としても機能する。更に、制御部15は、MAPを検出する検出手段としても機能する。MAP検出のために、制御部15は、MAPを探索するためのノード探索プロトコルを実装している。又、制御部15は、MAPとCNとの間の距離を取得する際に用いるパケットや、MAPを探索して検出する際に用いるパケットを、IP制御部13に提供したり、IP制御部13から取得したりする。
【0053】
モビリティ制御部14は、MN10が行うモビリティ制御に関する処理を行う。具体的には、モビリティ制御部14は、MN10の移動先の位置を示す端末気付アドレスを取得する。本実施形態では、モビリティ制御部14は、端末気付アドレスとしてリンクケアオブアドレス(Link care of Address、以下「LCoA」という)を自ら作成して取得する。モビリティ制御部14は、MN10が無線リンクを確立して接続しているARのIPアドレスのネットワークプレフィクス(Network Prefix)と、MN10に割り当てられているIPアドレスのホストアドレスとからLCoAを作成する。
【0054】
又、モビリティ制御部14は、制御部15が選択したMAPにMN10の移動先の位置を示す端末気付アドレスを通知し、CNに選択したMAPの位置を示すアドレスを通知する通知手段として機能する。又、モビリティ制御部14は、制御部15が選択したMAPを介してCNにパケットを送信するように制御する制御手段としても機能する。又、モビリティ制御部14は、制御部15が選択したMAPにMN10の移動先の位置を示す端末気付アドレスを通知し、CNに選択したMAPの位置を示すアドレスを通知する際に利用するパケットや、CNと送受信するパケットを、IP制御部13に提供したり、IP制御部13から取得したりする。
【0055】
制御情報記憶部14aは、モビリティ制御部14が行うモビリティ制御に関するモビリティ制御情報を記憶する制御情報記憶手段である。制御情報記憶部14aは、モビリティ制御情報として、制御部15が選択したMAPに割り当てられているIPアドレスや、モビリティ制御部14が取得した端末気付アドレスであるLCoA等を記憶する。
【0056】
IP制御部13は、制御部15がMAPとCNとの間の距離を取得する際に用いるパケットや、MAPを探索して検出する際に用いるパケットを、リンク制御部18から取得して制御部15に提供したり、制御部15から取得してリンク制御部18に提供したりする。又、IP制御部13は、モビリティ制御部14が、制御部15が選択したMAPにMN10の移動先の位置を示す端末気付アドレスを通知し、CNに選択したMAPの位置を示すアドレスを通知する際に利用するパケットや、CNと送受信するパケットを、リンク制御部18から取得してモビリティ制御部14に提供したり、モビリティ制御部14から取得してリンク制御部18に提供したりする。
【0057】
尚、このようなMN10は、例えば、パケットを転送する転送装置を介して通信相手装置とパケットを送受信する移動端末に、上記した移動端末がパケットの送受信に利用する転送装置を選択する選択基準を記憶する選択基準記憶手段と、転送装置に関する情報を記憶する転送装置情報記憶手段と、転送装置を検出する検出手段と、転送装置と通信相手装置との間の距離を取得する取得手段と、転送装置と通信相手装置との間の距離に基づいて、パケットの送受信に利用する転送装置を選択する選択手段と、モビリティ制御情報を記憶する制御情報記憶手段と、選択手段が選択した転送装置に端末気付アドレスを通知し、通信相手装置に選択した転送装置の位置を示すアドレスを通知する通知手段と、選択手段が選択した転送装置を介して通信相手装置にパケットを送信するように制御する制御手段として機能させるプログラムを実行することにより実現できる。
【0058】
(MAP)
次に、MAP(a)20a〜MAP(f)20fについて詳細に説明する。図4に、MAP(a)20aの構成を示す。尚、MAP(b)20b〜MAP(f)20fも、図4に示すMAP(a)20aと同様の構成となっている。MAP(a)20aは、アプリケーション部21と、TCP/UDP部22と、IP制御部23と、モビリティ制御部24と、バインディング情報記憶部24aと、制御部25と、近隣MAPテーブル26と、第2テーブル27と、リンク制御部28と、インターフェース29ととから構成される。
【0059】
まず、アプリケーション部21から、TCP/UDP部22、IP制御部23、リンク制御部28、インターフェース29までのデータの流れに沿って、各構成について説明する。この場合、アプリケーション部21、TCP/UDP部22、IP制御部23、リンク制御部28は、MN10のアプリケーション部11、TCP/UDP部12、IP制御部13、リンク制御部18と実質的に同様である。
【0060】
インターフェース29は、他のMAP(b)20b〜MAP(f)20fやMN10、CN30とパケットを送受信する通信手段である。インターフェース29は、リンク制御部28から取得したパケットを、他のMAP(b)20b〜MAP(f)20fやMN10、CN30に送信する。又、インターフェース29は、MAP(b)20b〜MAP(f)20fやMN10、CN30からパケットを受信し、リンク制御部28に提供する。
【0061】
次に、MNが移動してもCNとのパケットの送受信を可能にするためのモビリティ制御に着目して各構成を説明する。近隣MAPテーブル26は、MAP(a)20a以外の他のMAP(b)20b〜MAP(f)20fに関する情報を記憶する転送装置情報記憶手段である。尚、近隣MAPテーブル16は、MAP(a)20a自身に関する情報も記憶する。近隣MAPテーブル26は、他のMAPに関する情報として、MAPに割り当てられているIPアドレスや、MAP(a)20aと、他のMAP(b)20b〜MAP(f)20との間の距離等を記憶する。
【0062】
近隣MAPテーブル26を図5を用いて説明する。図5に示すように、近隣MAPテーブル26は、他のMAPについて、IPアドレスと、MAP(a)20aとのRTTの計測値(単位はmsec)と、生存時間(単位はsec)と、シーケンスナンバ1を記憶する。又、近隣MAPテーブル26は、最大ノード登録数のMAPに関する情報を記憶する。近隣MAPテーブル26では、最大ノード登録数は「6」に設定されている。又、近隣MAPテーブル26は、基準に従って近隣のMAPに関する情報を記憶する。図5では、近隣MAPテーブル26は、「RTTの最も小さいMAPから順番に上位6つのMAPを記憶する」という基準に従って、各MAPに関する情報を記憶する。そのため、近隣MAPテーブル26は、MAP(a)20a以外の他のMAPとして、MAP(a)20aの近隣に存在するMAPに関する情報を記憶することになる。生存時間、シーケンスナンバ1は、MN10のMAPテーブル16における生存時間、シーケンスナンバ1と実質的に同様である。
【0063】
第2テーブル27は、制御部25が他のMAPの探索や、近隣MAPテーブル26の更新を行うために必要な情報を記憶する記憶手段である。図5に示すように、第2テーブル27は、シーケンスナンバ2、初期生存時間(単位はsec)、探索生存時間(単位はsec)を記憶する。シーケンスナンバ2、初期生存時間、探索生存時間は、MN10の第2テーブル17におけるシーケンスナンバ2、初期生存時間、探索生存時間と実質的に同様である
制御部25は、MAP(a)20aとCNとの間の距離を計測する計測手段である。又、制御部25は、MAP(a)20aとCNとの間の距離の計測結果を、MNに通知する計測結果通知手段としても機能する。又、制御部25は、近隣MAPテーブル26に記憶されたMAP(a)20a以外の他のMAPに関する情報を、MNに通知する転送装置情報通知手段としても機能する。更に、制御部25は、MAP(a)20a以外の他のMAPを検出する検出手段としても機能する。MAP検出のために、制御部25は、MAPを探索するためのノード探索プロトコルを実装している。制御部25は、MAP(a)20aとCNとの間の距離を計測したり、その計測結果を通知したりする際に用いるパケットや、近隣MAPテーブル26に記憶された他のMAPに関する情報をMNに通知する際に利用するパケット、他のMAPを検出する際に用いるパケットを、IP制御部23に提供したり、IP制御部23から取得したりする。
【0064】
モビリティ制御部24は、MAP(a)20aが行うモビリティ制御に関する処理を行う。具体的には、モビリティ制御部24は、MNとCNとが送受信するパケットの転送を制御する。具体的には、モビリティ制御部24は、CNからMNに宛てたパケットのMNへの転送を制御する。モビリティ制御部24は、MNに転送するパケットをIP制御部23に提供したり、IP制御部23から取得したりする。バインディング情報記憶部24aは、モビリティ制御部24がパケットの転送を制御する際に必要な情報を記憶するバインディング情報記憶手段である。
【0065】
IP制御部23は、制御部25がMAP(a)20aとCNとの間の距離を計測したり、その計測結果を通知したりする際に用いるパケットや、近隣MAPテーブル26に記憶された他のMAPに関する情報をMNに通知する際に利用するパケット、他のMAPを検出する際に用いるパケットを、制御部25から取得してリンク制御部28に提供したり、リンク制御部28から取得して制御部25に提供したりする。又、IP制御部23は、MN10に転送するパケット、MN10から移動先の位置を示す端末気付アドレスの通知を受ける際に利用するパケット等をモビリティ制御部24から取得してリンク制御部28に提供したり、リンク制御部28から取得してモビリティ制御部24に提供したりする。又、IP制御部23は、MNからCNに宛てたパケットのリバーストンネリングのためのヘッダを外してデカプセル化する。
【0066】
(CN)
次に、CN30について詳細に説明する。図6に、CN30の構成を示す。CN30は、アプリケーション部31と、TCP/UDP部32と、IP制御部33と、モビリティ制御部34と、バインディング情報記憶部34aと、制御部35と、リンク制御部36と、インターフェース37とから構成される。
【0067】
まず、アプリケーション部31から、TCP/UDP部32、IP制御部33、リンク制御部36、インターフェース37までのデータの流れに沿って、各構成について説明する。この場合、アプリケーション部31、TCP/UDP部32、IP制御部33、リンク制御部36は、MN10のアプリケーション部11、TCP/UDP部12、IP制御部13、リンク制御部18と実質的に同様である。
【0068】
インターフェース37は、MAP(a)20a〜MAP(f)20fやHA40を介して、MN10とパケットを送受信する通信手段である。インターフェース37は、リンク制御部36から取得したパケットを、MAP(a)20a〜MAP(f)20fやHA40に送信する。又、インターフェース37は、MAP(a)20a〜MAP(f)20fやHA40からパケットを受信し、リンク制御部36に提供する。
【0069】
次に、MNが移動してもパケットの送受信を可能にするためのモビリティ制御に着目して各構成について説明する。制御部35は、MAPが行うMAPとCN30との間の距離の計測に関する処理を行う。制御部35は、MAPとCN30との間の距離の計測に利用するデータをIP制御部33に提供したり、IP制御部33から取得したりする。
【0070】
モビリティ制御部34は、CN30が行うモビリティ制御に関する処理を行う。具体的には、モビリティ制御部34は、MN10が選択したMAPを介してMNにパケットを送信するようにインターフェース37を制御する。モビリティ制御部34は、MNと送受信するパケットをIP制御部33に提供したり、IP制御部33から取得したりする。バインディング情報記憶部34aは、モビリティ制御部34がMNへのパケットの送信を制御する際に必要な情報を記憶するバインディング情報記憶手段である。
【0071】
IP制御部33は、制御部35がMAPとCN30との間の距離の計測に利用するデータを、制御部35から取得してリンク制御部36に提供したり、リンク制御部36から取得して制御部35に提供したりする。又、IP制御部33は、MN10と送受信するパケットを、モビリティ制御部34から取得してリンク制御部36に提供したり、リンク制御部36から取得してモビリティ制御部35に提供したりする。
【0072】
〔通信方法〕
(基本動作)
まず、MN10が、MAP(a)20a〜MAP(f)20fを介して、CN30とパケットを送受信する際のMN10、MAP(a)20a〜MAP(f)20f、CN30の基本動作について説明する。ここでは、MN10のMAPテーブル16が、図3に示した初期状態の場合を例にとって説明する。
【0073】
図7に示すように、MN10は、CN30とパケットの送受信を開始する際に、まず、RTT計測依頼パケットをMAP(a)20aとMAP(f)20fに送信する(図7中点線)。RTT計測依頼パケットは、MAP(a)20a、MAP(f)20fにCN30との間の距離の計測を依頼する計測依頼パケットであり、距離としてRTTの計測を依頼するパケットである。MN10は、パケットの送受信を開始する際にMAPテーブル16が記憶しているMAP(a)20aとMAP(f)20fに、RTT計測依頼パケットを送信する。
【0074】
具体的には、まず、図2に示すMN10の制御部15が、図8に示すRTT計測依頼パケット4a,4fを作成する。図8(a)は、MAP(a)20a宛のRTT計測依頼パケット4aを示し、図8(b)は、MAP(f)20f宛のRTT計測依頼パケット4fを示す。RTT計測依頼パケット4a,4fは、IPv6ヘッダ41a,41fと、あて先オプションヘッダ42a,42fとから構成される。
【0075】
IPv6ヘッダ41a,41fには、IPのバージョンを示すバージョン、RTT計測依頼パケット4a,4fの送信元を示す送信元アドレス、あて先を示すあて先アドレス等が格納される。尚、ここでは、本発明に関連するものだけを説明するが、IPv6ヘッダには、他にも様々な情報が格納される。あて先オプションヘッダ42a,42fは、IPv6のオプションの拡張ヘッダの1つである。あて先オプションヘッダ42a,42fには、パケットの種類を示すタイプ、MAPとの距離を計測する計測相手を示すターゲットアドレスが格納される。
【0076】
MN10の制御部15は、モビリティ制御部14に対して端末気付アドレスを要求する。モビリティ制御部14は、制御情報記憶部14aから端末気付アドレスである「LCoA」を取得して制御部15に通知する。そして、制御部15は、IPv6ヘッダ41a,41fの送信元アドレスに「LCoA」を設定する。又、制御部15は、図3に示すMAPテーブル16から、MAP(a)20aとMAP(f)20fに割り当てられているIPアドレス「MAP(a)」と「MAP(f)」を取得する。そして、制御部15は、IPv6ヘッダ41a,41fのあて先アドレスにそれぞれ「MAP(a)」、「MAP(f)」を設定する。更に、制御部15は、あて先オプションヘッダ42a,42fのタイプに、RTT計測依頼パケットを示すタイプ「102」を設定する。又、制御部15は、あて先オプションヘッダ42a,42fのターゲットアドレスに、MN10がパケットを送受信する相手であるCN30に割り当てられているIPアドレス「CN」を設定する。このようにして、制御部15は、RTT計測依頼パケット4a,4fを作成する。次に、インターフェース19が、制御部15が作成したRTT計測依頼パケット4a,4fを、それぞれMAP(a)20a、MAP(f)20fに送信する。
【0077】
次に、RTT計測依頼パケット4a,4fを受信したMAP(a)20aとMAP(f)20fは、RTT計測依頼パケット4a,4fに基づいて、それぞれMAP(a)20aとCN30との間の距離、MAP(f)20fとCN30との間の距離を計測する。MAP(a)20a、MAP(f)20fは、距離としてRTTを計測する。
【0078】
具体的には、図4に示すMAP(a)20aのインターフェース29がRTT計測依頼パケット4aを受信する。MAP(a)20aの制御部25は、受信したRTT計測依頼パケット4aに含まれるターゲットアドレス「CN」に送信するピング(ping)要求を作成する。ピング要求は、MAP(a)20aとCN30とのRTTを計測するためのデータである。そして、インターフェース29がピング要求をCN30に送信する。
【0079】
MAP(a)20aから送信されたピング要求を、図6に示すCN30のインターフェース37が受信する。CN30の制御部35は、受信したピング要求に対するピング応答を作成する。そして、インターフェース35がピング応答をMAP(a)20aに送信する。CN30から送信されたピング応答を、MAP(a)20aのインターフェース29が受信する。制御部25は、受信したピング応答に基づいて、MAP(a)20aとCN30との間のRTTの値を取得する。
【0080】
このように、MAP(a)20aの制御部25が、ピング要求を作成してCN30に送信し、そのピング要求に対するピング応答をCN30から受信し、CN30からのピング応答に基づいてRTTの値を取得することにより、MAP(a)20aとCN30との間の距離を計測する計測手段として機能する。MAP(f)20fもMAP(a)と同様にして、MAP(f)20fとCN30との間のRTTを計測する。
【0081】
次に、MAP(a)20a、MAP(f)20fはそれぞれ、MAP(a)20aとCN30との間のRTT、MAP(f)20fとCN30との間のRTTの計測結果を、RTT計測依頼パケット4a,4fの送信元であるMN10に通知する。MAP(a)20a、MAP(f)20fは、図7に示すように、RTT計測結果通知パケットをMN10に送信して通知する(図7中一点鎖線)。RTT計測結果通知パケットは、RTT計測依頼パケット4a,4fに基づく距離の計測結果を通知する計測結果通知パケットであり、距離の計測結果としてRTTの計測結果を通知するパケットである。
【0082】
具体的には、まず、MAP(a)20aとMAP(f)20fの制御部25がそれぞれ、図9に示すRTT計測結果通知パケット5a,5fを作成する。図9(a)は、MAP(a)20aからのRTT計測結果通知パケット5aを示し、図9(b)は、MAP(f)20fからのRTT計測結果通知パケット5fを示す。RTT計測結果通知パケット5a,5fは、IPv6ヘッダ51a,51fと、あて先オプションヘッダ52a,52fとから構成される。IPv6ヘッダ51a,51fには、IPのバージョンを示すバージョン、RTT計測結果通知パケット5a,5fの送信元を示す送信元アドレス、あて先を示すあて先アドレス等が格納される。あて先オプションヘッダ52a,52fには、パケットの種類を示すタイプ、計測したRTTの値が格納される。
【0083】
MAP(a)20aとMAP(f)20fの制御部25は、IPv6ヘッダ51a,51fの送信元アドレスにそれぞれ、図8に示したRTT計測依頼パケット4a,4fのあて先アドレスである「MAP(a)」、「MAP(f)」を設定する。又、MAP(a)20aとMAP(f)20fの制御部25は、IPv6ヘッダ51a,51fのあて先アドレスにそれぞれ、RTT計測依頼パケット4a,4fの送信元アドレスである「LCoA」を設定する。更に、MAP(a)20aとMAP(f)20fの制御部25は、あて先オプションヘッダ52a,52fのタイプに、RTT計測結果通知パケットを示すタイプ「103」を設定する。又、MAP(a)20aとMAP(f)20fの制御部25は、あて先オプションヘッダ52a,52fのRTTにそれぞれ、MAP(a)20aとCN30とのRTTの計測値「14」、MAP(f)20fとCN30との間のRTTの計測値「49」を設定する。このようにして、MAP(a)20aとMAP(f)20fの制御部25は、RTT計測結果通知パケット5a,5fを作成する。
【0084】
次に、MAP(a)20aとMAP(f)20fのインターフェース29が、制御部25が作成したRTT計測結果通知パケット5a,5fをMN10に送信する。このように、MAP(a)20a、MAP(f)20fの制御部25がRTT計測結果通知パケットを作成して、MN10に送信することにより、距離の計測結果をMN10に通知する計測結果通知手段として機能する。
【0085】
次に、RTT計測結果通知パケット5a,5fを受信したMN10は、RTT計測結果通知パケット5a,5fから、MAP(a)20aとCN30との間の距離、MAP(f)20fとCN30との間の距離を取得する。そして、MN10は、MAPテーブル16を更新する。又、MN10は、取得したMAP(a)20aとCN30との間の距離、MAP(f)20fとCN30との間の距離に基づいて、CN30とのパケットの送受信に利用するMAPを選択する。
【0086】
具体的には、図2に示すMN10のインターフェース19がRTT計測結果通知パケット5a,5fを受信する。制御部15は、RTT計測結果通知パケット5a,5fに含まれるRTTの計測値を取得する。制御部15は、「RTTの最も小さいMAPから順番に上位5つのMAP記憶する」という基準に従って、MAPテーブル16を更新する。制御部15は、CN30との間のRTTの計測値が「14」のMAP(a)20a、CNとの間のRTTの計測値が「49」のMAP(f)20fの順番で、MAP(a)20a、MAP(f)20fのIPアドレス及びCN30とのRTTの計測値を記録し、MAPテーブル16を更新する。
【0087】
更に、制御部15は、MAP選択ポリシー記憶部15aから、「CNとの間のRTTが最も小さいMAP」というMAP選択ポリシーを取得する。そして、制御部15は、RTTの計測値とMAP選択ポリシーを照らし合わせて、MAP選択ポリシーに合致するMAPを、利用するMAPとして選択する。制御部15は、更新後のMAPテーブル16の最も上位に記録されているMAPを選択すればよい。制御部15は、CN30とのRTTの計測値が「14」と最も小さいMAP(a)20aがMAP選択ポリシーと合致するため、MAP(a)20aを利用するMAPとして選択する。
【0088】
このように、制御部15が、RTT計測依頼パケット4a,4fを作成して、MAP(a)20a、MAP(f)20fに送信し、RTT計測依頼パケット4a,4fに基づくRTTの計測結果を通知するRTT計測結果通知パケット5a,5fをMAP(a)20a、MAP(f)20fから受信し、RTT計測結果通知パケット5a,5fからRTTの計測値を取得することにより、MAPとCNとの間の距離を取得する取得手段として機能する。これにより、MN10は、MAP(a)20a、MAP(f)20fとCN30との間の距離を、MAP(a)20a、MAP(f)20fに計測してもらい、MAP(a)20a、MAP(f)20fとCN30との間の現在の距離を把握することができる。そのため、MN10は、制御負荷も軽減できる。
【0089】
又、制御部15が、RTT計測結果通知パケット5a,5fから取得したRTTの計測値に基づいて利用するMAPを選択することにより、制御部15は、取得手段が取得した距離に基づいて、利用するMAPを選択することができる。そのため、MN10は、取得したMAP(a)20a、MAP(f)20fとCN30との間の現在の距離に基づいて、より適切にMAPを選択することができる。
【0090】
更に、制御部15は、RTT計測依頼パケット4a,4fを、MAPテーブル16が記憶しているMAPに送信する。そのため、制御部15は、MAPテーブル16に記憶されたMAPについてCN30との間のRTTを計測し、その計測結果に基づいて利用するMAPを選択することになる。このようにして、制御部15は、MAPテーブル16に記憶されたMAPの中で、CN30との間の距離が最も短いMAPを、利用するMAPとして選択することができる。
【0091】
次に、MN10の制御部15は、選択したMAP(a)20aに割り当てられているIPアドレスを、モビリティ制御部14に通知する。モビリティ制御部14は、通知されたMAP(a)20aに割り当てられているIPアドレスを制御情報記憶部14aに記録する。
【0092】
次に、MN10は、選択したMAP(a)20a及びHA40に、MN10の端末気付アドレスであるLCoAを通知する。又、MN10は、CN30に選択したMAP(a)20aの位置を示すアドレスを通知する。本実施形態では、MN10は、MAP(a)20aの位置を示すアドレスとして、MAP(a)20aに割り当てられているIPアドレス「MAP(a)」を通知する。又、MN10は、選択したMAP(a)20a及びHA40に、MN10の端末気付アドレスと、それに対応するMN10に割り当てられているIPアドレスであるホームアドレスも通知する。又、MN10は、CN30に、選択したMAP(a)20aに割り当てられているIPアドレスと、それに対応するMN10のホームアドレスも通知する。MN10は、図7に示すように、対応するアドレスを通知するバインディングアップデート(Binding Update 、以下「BU」という)パケットを、MAP(a)20aやHA40、CN30に送信して、通知を行う(図7中実線)。MAP(a)20aやHA40、CN30は、受信したBUパケットに基づいてアドレスの対応付け(バインディング)を行う。
【0093】
以下、図10を用いて、BUパケットの送信とアドレスの対応付けについて詳細に説明する。尚、図10では、送信元アドレス(Source Address)は「S」、あて先アドレス(Destination Address)は「D」、ホームアドレスオプションヘッダ(Home Address Option Header)は「H」、ルーティングヘッダ(Routing Header)は「R」、オルタネイトケアオブアドレスオプションヘッダ(Alternate Care of Address Option Header)は「A」、使用済みのルーティングヘッダは「r」の記号を用いて表す。又、ホームアドレス(Home Address)は、「HoA」と表す。
【0094】
まず、MN10のモビリティ制御部14は、選択したMAP(a)20aに、MN10の端末気付アドレス及びホームアドレスを通知するBUパケット6aを作成する。図10に示すように、モビリティ制御部14は、送信元アドレスSに端末気付アドレスである「LCoA」を、あて先アドレスDに選択したMAP(a)に割り当てられているIPアドレス「MAP(a)」を、ホームアドレスオプションヘッダHにMN10のホームアドレス「HoA」を設定して、BUパケット6aを作成する。MN10のインターフェース19が、BUパケット6aをMAP(a)20aに送信する(S101)。
【0095】
MAP(a)20aのインターフェース29が、BUパケット6aを受信する。このようにして、インターフェース29は、選択を行ったMN10から、MN10の端末気付アドレスの通知を受信する受信手段として機能する。MAP(a)20aのモビリティ制御部24は、BUパケット6aのホームアドレスオプションヘッダHに設定されている「HoA」と、送信元アドレスSの「LCoA」とを対応付けることにより、MN10のホームアドレス「HoA」と端末気付アドレス「LCoA」とを対応付ける。モビリティ制御部24は、MN10のホームアドレス「HoA」と端末気付アドレス「LCoA」との対応付けを、バインディング情報記憶部24aに記録する(S102)。尚、アドレスの対応付けは、原則として、このようにBUパケットのホームアドレスオプションヘッダHに設定されているアドレスと、送信元アドレスに設定されているアドレスとを対応付けて行われる。
【0096】
MAP(a)20aのモビリティ制御部24は、BUパケット6aに対する応答として、バインディングアップデート応答(Binding update Acknowledge、以下「BA」という)パケット6bを作成する。図10に示すように、モビリティ制御部24は、送信元アドレスSにMAP(a)に割り当てられているIPアドレス「MAP(a)」を、あて先アドレスDにMN10の端末気付アドレスである「LCoA」を、ルーティングヘッダRにMN10のホームアドレス「HoA」を設定して、BAパケット6bを作成する。MAP(a)20aのインターフェース29が、BAパケット6bをMN10に送信する(S103)。MN10のモビリティ制御部14は、MAP(a)20aに送信したBUパケット6aに対するBAパケット6bを取得することにより、MAP(a)20aへの端末気付アドレス「LCoA」及びMN10のホームアドレス「HoA」の通知が完了したことを把握できる。
【0097】
次に、MN10のモビリティ制御部14は、CN30に、選択したMAP(a)20aに割り当てられているIPアドレス及びMN10のホームアドレスを通知するBUパケット6cを作成する。図10に示すように、モビリティ制御部14は、送信元アドレスSにホームアドレスである「HoA」を、あて先アドレスDにCN10に割り当てられているIPアドレス「CN」を、オルタネイトケアオブアドレスオプションヘッダAに選択したMAP(a)に割り当てられているIPアドレス「MAP(a)」を、ホームアドレスオプションヘッダHにMN10のホームアドレス「HoA」を設定して、BUパケット6cを作成する。
【0098】
更に、図10に示すように、モビリティ制御部14は、送信元アドレスSに端末気付アドレスである「LCoA」を、あて先アドレスDにMAP(a)20aに割り当てられているIPアドレス「MAP(a)」を設定して、ヘッダ6dを作成する。そして、モビリティ制御部14は、BUパケット6cをヘッダ6dでカプセル化する。最後に、MN10のインターフェース19が、ヘッダ6dでカプセル化されたBUパケット6cをMAP(a)20aに送信する(S104)。
【0099】
MAP(a)20aのインターフェース29が、ヘッダ6dでカプセル化されたBUパケット6cを受信する。MAP(a)20aのIP制御部23は、ヘッダ6dを外してデカプセル化し、BUパケット6cを取り出す。そして、インターフェース29がデカプセル化されたBUパケット6cをCN30に送信する(S105)。このように、選択したMAP(a)20aに割り当てられているIPアドレス及びMN10のホームアドレスを通知するBUパケット6cは、MN10とMAP(a)20aとの間のトンネル経路を経由して、MAP(a)20aによってCN30に転送される。
【0100】
CN30のインターフェース37が、BUパケット6cを受信する。CN30のモビリティ制御部34は、BUパケット6cのホームアドレスオプションヘッダHに設定されている「HoA」と、オルタネイトケアオブアドレスオプションヘッダAに設定されている「MAP(a)」とを対応付けることにより、MN10のホームアドレス「HoA」と、MN10が選択したMAP(a)20aに割り当てられているIPアドレス「MAP(a)」とを対応付ける。モビリティ制御部34は、MN10のホームアドレス「HoA」と、選択したMAP(a)20aに割り当てられているIPアドレス「MAP(a)」との対応付けを、バインディング情報記憶部34aに記録する(S106)。尚、アドレスの対応付けは、BUパケットにオルタネイトケアオブアドレスオプションヘッダAが含まれる場合には、例外的に、BUパケットのホームアドレスオプションヘッダHに設定されているアドレスと、オルタネイトケアオブアドレスオプションヘッダAに設定されているアドレスとを対応付けて行われる。
【0101】
CN30のモビリティ制御部34は、BUパケット6cに対するBAパケット6eを作成する。図10に示すように、モビリティ制御部34は、送信元アドレスSにCN30に割り当てられている「CN」を、あて先アドレスDにMAP(a)に割り当てられているIPアドレス「MAP(a)」を、ルーティングヘッダRにMN10のホームアドレス「HoA」を設定して、BAパケット6eを作成する。CN30のインターフェース37が、BAパケット6eをMAP(a)20aに送信する(S107)。
【0102】
MAP(a)20aのインターフェース29が、BAパケット6eを受信する。MAP(a)20aのIP制御部23は、BAパケット6eを、あて先アドレスD「MAP(a)」とルーティングヘッダRに設定されている「HoA」とを入れ替えて、ルーティングヘッダRを使用済みルーティングヘッダrに変更して、BAパケット16eに変更する。
【0103】
モビリティ制御部24は、バインディング情報記憶部24aから、変更されたBAパケット16eのあて先アドレスD「HoA」と対応付けられている端末気付アドレス「LCoA」を取得する。モビリティ制御部24は、図10に示すように、送信元アドレスSにMAP(a)20aに割り当てられているIPアドレス「MAP(a)」を、あて先アドレスDに端末気付アドレスである「LCoA」を設定してヘッダ6fを作成する。そして、モビリティ制御部24は、BUパケット16eをヘッダ6fでカプセル化する。最後に、MAP(a)20aのインターフェース29が、ヘッダ6fでカプセル化されたBUパケット16eをMN10に送信する(S108)。このように、BAパケット16eは、MAP(a)20aとMN10との間のトンネル経路を経由して、MAP(a)20aによってMN10に転送される。
【0104】
MN10のIP制御部13は、ヘッダ6fを外してデカプセル化し、BAパケット16eを取り出す。モビリティ制御部14は、CN30に送信したBUパケット6cに対するBAパケット16eを取得することにより、CN30への選択したMAP(a)20aに割り当てられているIPアドレス「MAP(a)」及びMN10のホームアドレス「HoA」の通知が完了したことを把握する。尚、MN10は、ステップ(S101)〜(S103)と同様にして、HA40にも、端末気付アドレス「LCoA」及びMN10のホームアドレス「HoA」を通知する。但し、BUパケット6aのあて先アドレス及びBAパケット6bの送信元アドレスは、HAのIPアドレスとなる。
【0105】
このようにして、モビリティ制御部14は、選択したMAP(a)20a及びHA40に、MN10の端末気付アドレスであるLCoAを通知し、CN30に選択したMAP(a)20aの位置を示すアドレスを通知する通知手段として機能する。
【0106】
MN10が、BAパケット6b,16eを受信し、MAP(a)20aとCN30に対するアドレスの通知が完了したことを把握すると、MN10は、図7に示すように、選択したMAP(a)20aを介してCN30にデータパケットを送信する(図7中二重線)。以下、図11を用いて、MN10とCN30との間のデータパケットの送受信について詳細に説明する。尚、図11における記号の意味は図10と同様である。
【0107】
まず、MN10のIP制御部13は、TCP/UDP部12から取得したデータにIPヘッダを付加して、MN10からCN30に宛てたデータパケット7aを作成する。図11に示すように、IP制御部13は、送信元アドレスSにMN10のホームアドレス「HoA」を、あて先アドレスDにCN30に割り当てられたIPアドレス「CN」を設定して、IPデータを含むデータパケット7aを作成する。IP制御部13は、作成したデータパケット7aをモビリティ制御部14に提供する。
【0108】
モビリティ制御部14は、制御情報記憶部14aから端末気付アドレス「LCoA」と、選択したMAP(a)20aに割り当てられたIPアドレス「MAP(a)」を取得する。モビリティ制御部14は、図11に示すように、送信元アドレスSに端末気付アドレスである「LCoA」を、あて先アドレスDにMAP(a)20aに割り当てられたIPアドレス「MAP(a)」を設定してヘッダ7bを作成する。そして、モビリティ制御部14は、データパケット7aをヘッダ7bでカプセル化する。最後に、MN10のインターフェース19が、ヘッダ7bでカプセル化したデータパケット7aを、MAP(a)20aに送信する(S201)。このようにして、モビリティ制御部14は、制御部15が選択したMAP(a)20aを介してCN30にパケットを送信するように制御する制御手段として機能する。よって、MN10は、選択したMAP(a)20aを介してCN30にパケットを送信することができる。
【0109】
次に、MAP(a)20aのインターフェース29が、ヘッダ7bでカプセル化されたデータパケット7aを受信する。MAP(a)20aのIP制御部23は、ヘッダ7bを外してデカプセル化し、データパケット7aを取り出す。そして、インターフェース29がデカプセル化されたデータパケット7aをCN30に送信する(S202)。このように、MN10からCN30に宛てたデータパケット7aは、MN10とMAP(a)20aとの間のトンネル経路を経由して、MAP(a)20aによってCN30に転送される。又、端末気付アドレスを含むヘッダ7bが、MAP(a)20aによってデカプセル化されるため、MN10は、CN30に、CN30がMN10から受信したデータパケットの送信元アドレスから、端末気付アドレスが知られることを防止できる。
【0110】
次に、CN30のインターフェース37がデータパケット7aを受信する。CN30のアプリケーション部31は、受信したデータに応答するデータを作成する。IP制御部33は、TCP/UDP部32から応答のデータを取得する。IP制御部33は、取得した応答のデータに、送信元アドレスにCN30に割り当てられたIPアドレス「CN」を、あて先アドレスにMN10のホームアドレス「HoA」を設定したIPヘッダを付加して、IPデータを含むデータパケットを作成する。
【0111】
IP制御部33は、作成したデータパケットをモビリティ制御部34に提供する。モビリティ制御部34は、バインディング情報記憶部34aから、IP制御部33から取得したデータパケットのあて先アドレス「HoA」と対応付けられているMAP(a)に割り当てられているIPアドレス「MAP(a)」を取得する。モビリティ制御部34は、IP制御部33から取得したデータパケットのあて先アドレスに設定されていた「HoA」をルーティングヘッダRに設定し、あて先アドレスDにバインディング情報記憶部34aから取得したMAP(a)20aのアドレス「MAP(a)」を新たに設定して、図11に示すデータパケット7cを作成する。そして、CN30のインターフェース37が、データパケット7cをMAP(a)20aに送信する(S203)。
【0112】
MAP(a)20aのインターフェース29が、データパケット7cを受信する。MAP(a)20aのIP制御部23は、データパケット7cを、あて先アドレスD「MAP(a)」とルーティングヘッダRに設定されている「HoA」とを入れ替えて、ルーティングヘッダRを使用済みルーティングヘッダrに変更して、データパケット17cに変更する。
【0113】
モビリティ制御部24は、バインディング情報記憶部24aから、変更されたデータパケット17cのあて先アドレスD「HoA」と対応付けられている端末気付アドレス「LCoA」を取得する。モビリティ制御部24は、図11に示すように、送信元アドレスSにMAP(a)20aに割り当てられているIPアドレス「MAP(a)」を、あて先アドレスDに端末気付アドレスである「LCoA」を設定してヘッダ7dを作成する。そして、モビリティ制御部24は、データパケット17cをヘッダ7dでカプセル化する。最後に、MAP(a)20aのインターフェース29が、ヘッダ7dでカプセル化されたデータパケット17cをMN10に送信する(S204)。このように、データパケット17eは、MAP(a)20aとMN10との間のトンネル経路を経由して、MAP(a)20aによってMN10に送信される。このようにして、モビリティ制御部24は、インターフェース29がMN10から受信した端末気付アドレスに、MN10へのパケットを転送するように制御する転送制御手段として機能する。
【0114】
以上説明したようにして、MN10とCN30とは、CN10が選択したMAP(a)20aを介してデータパケットを送受信する。又、MN10が、MAP(a)20aやHA40に、端末気付アドレス「LCoA」及びMN10のホームアドレス「HoA」を通知した後は、MN10は、HA40やMAP(a)20aを介して、CN30以外の他のCNからのパケットも受信するようになる。MN10は、新たなCNからのパケットを受信した場合にも同様にして、新たなCNとMAPとの間の距離を取得し、新たなCNとのパケットの送受信に利用するMAPを選択し、選択したMAPやCNに対するアドレスの通知を行って、パケットの送受信を行う。
【0115】
(利用するMAPの最適化)
上記したように、MN10のMAPテーブル16は、初期状態では任意のMAPに割り当てられているIPアドレスを記憶している。又、通信システム1は、一定の状態を保ち続けるわけではない。そのため、MN10は、CN30とのパケットの送受信により適したMAPを利用できるように、MN10において把握しているMAP以外のMAPを検出し、MAPとCN30との間の距離を取得して、継続的にMAPを選択する。以下、このような利用するMAPの最適化について説明する。
【0116】
図12に示すように、MN10は、まず、図3に示すMAPテーブル16が記憶するMAP(a)20aに、MAP探索パケットを送信する(図12中実線)。具体的には、MN10の制御部15は、図3に示すMAPテーブル16が記憶しているMAP(a)20aやMAP(f)20fの生存時間を、毎秒減少させている。制御部15は、MAP(a)20aやMAP(f)20fの生存時間が、第2テーブル17の探索生存時間「60(sec)」に達し、生存時間と探索生存時間が一致するとMAPの探索を開始する。ここでは、MAP(a)20aに対してMAP探索パケットを送信する場合を説明する。
【0117】
生存時間と探索生存時間が一致すると、制御部15は、図13に示すMAP探索パケット8を作成する。図13に示すように、MAP探索パケット8は、IPv6ヘッダ81と、あて先オプションヘッダ82とから構成される。IPv6ヘッダ81には、IPのバージョンを示すバージョン、MAP探索パケット8の送信元を示す送信元アドレス、あて先を示すあて先アドレス等が格納される。あて先オプションヘッダ82は、パケットの種類を示すタイプ、MAP探索パケット8を管理するシーケンスナンバが格納される。
【0118】
MN10の制御部15は、モビリティ制御部14に対して端末気付アドレスを要求する。モビリティ制御部14は、制御情報記憶部14aから端末気付アドレスである「LCoA」を取得して制御部15に通知する。そして、制御部15は、IPv6ヘッダ81の送信元アドレスに「LCoA」を設定する。又、制御部15は、図3に示すMAPテーブル16から、MAP(a)20aに割り当てられているIPアドレス「MAP(a)」を取得し、IPv6ヘッダ81のあて先アドレスに設定する。
【0119】
更に、制御部15は、あて先オプションヘッダ82のタイプに、MAP探索パケットを示すタイプ「104」を設定する。又、制御部15は、図3に示す第2テーブル17からシーケンスナンバ2「1」を取得し、あて先オプションヘッダ82のシーケンスナンバに設定する。このとき、制御部15は、第2テーブル17のシーケンスナンバ2の値に1を加算する。このようにして、制御部15は、MAP探索パケット8を作成する。そして、MN10のインターフェース19がMAP探索パケット8をMAP(a)20aに送信する。
【0120】
次に、MAP探索パケット8を受信したMAP(a)20aは、図12に示すように、受信したMAP探索パケットに対してMAP通知パケットをMN10に送信する(図12中二重線)。MAP通知パケットとは、MAP(a)20aがMN10に送信するMAPに関する情報を通知するパケットであり、MAP探索パケットに対して、MAP(a)20aにおいて把握しているMAPを通知するパケットである。MAP(a)20aは、近隣MAPテーブル26が記憶する他のMAPに関する情報を、MAP通知パケットによりMN10に通知する。
【0121】
まず、MAP(a)20aの制御部25が、図14に示すMAP通知パケット9を作成する。図14に示すようにMAP通知パケット9は、IPv6ヘッダ91と、あて先オプションヘッダ92とから構成される。IPv6ヘッダ91には、IPのバージョンを示すバージョン、MAP通知パケット9の送信元を示す送信元アドレス、あて先を示すあて先アドレス等が記録されている。あて先オプションヘッダ92は、パケットの種類を示すタイプ、MAP通知パケットを管理するシーケンスナンバ、他のMAPに関する情報としてMAPのIPアドレスが格納される。
【0122】
制御部25は、IPv6ヘッダ91の送信元アドレスに、図13に示したMAP探索パケット8のあて先アドレスである「MAP(a)」を設定する。又、制御部25は、IPv6ヘッダ91のあて先アドレスに、MAP探索パケット8の送信元アドレスである「LCoA」を設定する。更に、制御部25は、あて先オプションヘッダ92のタイプに、MAP通知パケットを示すタイプ「105」を設定する。又、制御部25は、あて先オプションヘッダ92のシーケンスナンバに、MAP探索パケット8のシーケンスナンバ「1」を設定する。
【0123】
更に、制御部25は、図5に示す近隣MAPテーブル26から、MAP(a)20a〜MAP(f)20fのIPアドレスを取得する。制御部25は、あて先オプションヘッダ92のMAPアドレスに、近隣MAPテーブル26から取得したMAP(a)20a〜MAP(f)20fに割り当てられているIPアドレス「MAP(a)」、「MAP(b)」、「MAP(e)」、「MAP(d)」、「MAP(f)」、「MAP(c)」を設定する。このようにして、制御部25は、MAP通知パケット9を作成する。そして、MAP(a)20aのインターフェース29が、MAP通知パケット9をMN10に送信する。
【0124】
又、このようにMAP(a)20aの制御部25がMAP通知パケット9を作成し、MAP通知パケット9をMN10に送信することにより、近隣MAPテーブル26に記憶されたMAP(a)20a以外の他のMAP(b)20b〜MAP(f)20fに関する情報を、MN10に通知する転送装置情報通知手段として機能する。
【0125】
MN10は、MAP(a)から受信したMAP通知パケットに基づいて、MAPを検出する。MN10の制御部15は、受信したMAP通知パケットに含まれるMAP(a)20a〜MAP(f)20fに割り当てられているIPアドレスを取得することにより、MN10が把握していたMAP(a)20a、MAP(f)20f以外の他のMAPとして、新たにMAP(b)20b〜MAP(e)20eを検出する。
【0126】
このように、MN10の制御部15が、MAP探索パケット8を作成して、MAP(a)20aに送信し、MAP探索パケット8に対するMAP通知パケット9をMAP(a)20aから受信し、受信したMAP通知パケット9に基づいて、新たなMAPを検出することにより、MAPを検出する検出手段として機能する。そのため、MN10は、通信システム1に現在存在するMAPを把握することができる。又、MN10は、MAPからのMAP通知パケットに基づいて、容易にMAPを検出することができる。
【0127】
次に、MN10は、受信したMAP通知パケット9に含まれるMAP(a)20a〜MAP(f)20fに割り当てられているIPアドレスに宛てたRTT計測依頼パケットを送信する。これにより、MN10は、図12に示すように、新たに検出したMAP(b)20b〜MAP(e)20及び既に把握していたMAP(a)20a、MAP(f)20fに、MAP(a)20a〜MAP(f)20fとCN30との間の距離の計測を依頼するRTT計測依頼パケットを送信することになる(図12中点線)。
【0128】
RTT計測依頼パケットを受信したMAP(a)20a〜MAP(f)20fは、受信したRTT計測依頼パケットに基づいて、それぞれMAP(a)20a〜MAP(f)20fとCN30との間のRTTを計測する。そして、図12に示すように、MAP(a)20a〜MAP(f)20fはそれぞれ、MAP(a)20a〜MAP(f)20fとCN30との間のRTTの計測結果を通知するRTT計測結果通知パケットを、MN10に送信する(図12中一点鎖線)。
【0129】
MN10は、受信したRTT計測結果通知パケットに基づいて、MAPテーブル16を更新する。MN10は、「RTTの最も小さいMAPから順番に上位5つのMAPを記憶する」という基準に従って、MAP(a)20a〜MAP(f)20fから受信したRTT計測結果通知パケットに含まれるMAPのIPアドレス及びRTTの計測値を記録し、MAPテーブル16を更新する。
【0130】
次に、MN10の制御部15は、RTTの計測値とMAP選択ポリシーを照らし合わせて、MAP選択ポリシーに合致するMAPを、利用するMAPとして選択する。制御部15は、更新後のMAPテーブル16の最も上位に記録されているMAPを選択すればよい。このとき、CN30との間のRTTの計測値が最も小さいMAPが、MAP(b)20bであったとする。この場合、制御部15は、利用するMAPとしてMAP(b)20bを新たに選択する。
【0131】
MN10の制御部15は、選択したMAP(b)20bに割り当てられているIPアドレス「MAP(b)」を、モビリティ制御部14に通知する。モビリティ制御部14は、通知されたMAPのIPアドレスと、制御情報記憶部14aが記憶するMAPのIPアドレスとを比較する。モビリティ制御部14は、通知されたMAPのIPアドレス「MAP(b)」と、制御情報記憶部14aが記憶するMAPのIPアドレス「MAP(a)」とが一致しない場合には、新たなMAPが選択されたと判断する。
【0132】
この場合、モビリティ制御部14は、制御情報記憶部14aに新たに通知されたMAP(b)20bに割り当てられているIPアドレス「MAP(b)」を記録して、更新する。更に、MN10は、新たに選択したMAP(b)20b及びHA40に、MN10の端末気付アドレスと、それに対応するMN10のホームアドレスも通知する。又、MN10は、CN30に、新たに選択したMAP(b)20bに割り当てられているIPアドレスと、それに対応するMN10のホームアドレスも通知する。MN10は、BUパケットを、MAP(b)20bやHA40、CN30に送信して、通知を行う。MAP(b)20bやHA40、CN30は、受信したBUパケットに基づいてアドレスの対応付けを行う。一方、モビリティ制御部14は、通知されたMAPのIPアドレスと、制御情報記憶部14aが記憶するMAPのIPアドレスが一致する場合には、利用するMAPに変更がないと判断し、何もしない。
【0133】
MAP(b)20bが新たに選択された場合のBUパケットの送信とアドレスの対応付けの様子を、図15に示す。尚、図15における記号の意味は図10と同様である。MN10は、新たに選択したMAP(b)20bに、送信元アドレスSに端末気付アドレスである「LCoA」が、あて先アドレスDにMAP(b)20bに割り当てられているIPアドレス「MAP(b)」が、ホームアドレスオプションヘッダHにMN10のホームアドレス「HoA」が設定されたBUパケット106aを送信する(S301)。
【0134】
MAP(b)20bは、受信したBUパケット106aのホームアドレスオプションヘッダHに設定されている「HoA」と、送信元アドレスSの「LCoA」とを対応付けることにより、MN10のホームアドレス「HoA」と端末気付アドレス「LCoA」とを対応付ける。MAP(b)20bは、MN10のホームアドレス「HoA」と端末気付アドレス「LCoA」との対応付けを、バインディング情報記憶部24aに記録して、更新する(S302)。
【0135】
次に、MAP(b)20bは、BUパケット106aに対するBAパケット106bをMN10に送信する。MAP(b)20bは、送信元アドレスSにMAP(b)20bに割り当てられているIPアドレス「MAP(b)」が、あて先アドレスDに端末気付アドレスである「LCoA」が、ルーティングヘッダRにMN10のホームアドレス「HoA」が設定されているBAパケット106bを送信する(S303)。
【0136】
次に、MN10は、CN30に、BUパケット106cをヘッダ106dでカプセル化して送信する。MN10は、送信元アドレスSにMN10のホームアドレス「HoA」が、あて先アドレスDにCN30に割り当てられているIPアドレス「CN」が、オルタネイトケアオブアドレスオプションヘッダAに、新たに選択したMAP(b)20bに割り当てられているIPアドレス「MAP(b)」が、ホームアドレスオプションヘッダHにMN10のホームアドレス「HoA」が設定されているBUパケット106cを送信する。又、MN10は、送信元アドレスSに端末気付アドレスである「LCoA」が、あて先アドレスDにMAP(b)20bのIPアドレス「MAP(b)」が設定されているヘッダ106dでカプセル化する(S304)。
【0137】
MAP(b)20bは、ヘッダ106dを外してデカプセル化し、BUパケット106cを取り出す。MAP(b)20bは、デカプセル化されたBUパケット106cをCN30に送信する(S305)。CN30は、受信したBUパケット106cのホームアドレスオプションヘッダHに設定されている「HoA」と、BUパケット6cのオルタネイトケアオブアドレスオプションヘッダAに設定されている「MAP(b)」とを対応付けることにより、MN10のホームアドレス「HoA」と、MN10が新たに選択したMAP(b)20bに割り当てられているIPアドレス「MAP(b)」とを対応付ける。CN30は、MN10のホームアドレス「HoA」と、新たに選択したMAP(b)20bに割り当てられているIPアドレス「MAP(b)」との対応付けを、バインディング情報記憶部34aに記録して、更新する(S306)。
【0138】
次に、CN30は、BUパケット106cに対するBAパケット106eをMAP(b)20bに送信する。CN30は、送信元アドレスSにCN30に割り当てられているIPアドレス「CN」が、あて先アドレスDにMAP(b)に割り当てられているIPアドレス「MAP(b)」が、ルーティングヘッダRにMN10のホームアドレス「HoA」が設定されているBAパケット106eを、MAP(b)20bに送信する(S307)。
【0139】
MAP(b)20bは、受信したBAパケット106eをBAパケット116eに変更し、変更後のBAパケット116eをヘッダ106fでカプセル化して、MN10に送信する。MAP(b)20bは、BAパケット106eを、あて先アドレスD「MAP(b)」とルーティングヘッダRに設定されている「HoA」とを入れ替えて、ルーティングヘッダRを使用済みルーティングヘッダrに変更して、BAパケット116eに変更する。又、MAP(b)20bは、送信元アドレスSにMAP(b)20bに割り当てられているIPアドレス「MAP(b)」が、あて先アドレスDに端末気付アドレスである「LCoA」が設定されたヘッダ106fでカプセル化する(S308)。
【0140】
MN10が、BAパケット106b,116eを受信し、新たに選択したMAP(b)20bとCN30に対するアドレスの通知が完了したことを把握すると、MN10は、新たに選択したMAP(b)20bを介してCN30にデータパケットを送信する。MAP(b)20bが新たに選択された場合のデータパケットの送受信の様子を、図16に示す。尚、図16における記号の意味は図10と同様である。
【0141】
MN10は、CN30に、データパケット107aをヘッダ107bでカプセル化して送信する。MN10は、送信元アドレスSにMN10のホームアドレス「HoA」が、あて先アドレスDにCN30に割り当てられているIPアドレス「CN」が設定された、IPデータを含むデータパケット107aを送信する。又、MN10は、送信元アドレスSに端末気付アドレスである「LCoA」が、あて先アドレスDにMAP(b)20bに割り当てられているIPアドレス「MAP(b)」が設定されたヘッダ107bでカプセル化する(S401)。
【0142】
MAP(b)20bは、ヘッダ107bを外してデカプセル化し、データパケット107aを取り出す。MAP(b)20bは、デカプセル化されたデータパケット107aをCN30に送信する(S402)。CN30は、受信したデータパケット107aに対する応答のデータパケット107cを、MAP(b)20bに送信する。CN30は、送信元アドレスSにCN30に割り当てられているIPアドレス「CN」が、あて先アドレスDにMAP(b)20bに割り当てられているIPアドレス「MAP(b)」が、ルーティングヘッダRにMN10のホームアドレス「HoA」設定された、IPデータを含むデータパケット107cを送信する(S403)。
【0143】
MAP(b)20bは、受信したデータパケット107cをデータパケット117cに変更し、変更後のデータパケット117cをヘッダ107dでカプセル化して、MN10に送信する。MAP(b)20bは、データパケット107cを、あて先アドレスD「MAP(b)」とルーティングヘッダRに設定されている「HoA」とを入れ替えて、ルーティングヘッダRを使用済みルーティングヘッダrに変更して、データパケット117cに変更する。又、MAP(b)20bは、送信元アドレスSにMAP(b)20bに割り当てられているIPアドレス「MAP(b)」が、あて先アドレスDに端末気付アドレスである「LCoA」が設定されたヘッダ107dでカプセル化する(S404)。
【0144】
以上説明したように、MN10が、MN10において把握しているMAP以外のMAPを検出し、MAPとCN30との間の距離を取得して、新たなMAPを選択した結果、MN10とCN30との間で送受信するデータパケットの転送経路は、図17に示すようになる。図17から明らかなように、初期状態のMAPテーブル16が記憶するMAPの中から選択したMAP(a)20aを利用したパケットの転送経路よりも、MN10が、新たなMAPを検出することにより更新したMAPテーブル16が記憶するMAPの中から選択したMAP(b)20bを利用したパケットの転送経路の方が、より一層冗長性が抑制されている。このように、MN10は、MAPを検出し、通信システム1に現在存在するMAPを把握することにより、その中からより適切なMAPを選択することができる。
【0145】
MN10は、このようなMAPの検出と、MAPとCN30との間の距離の計測を定期的に行い、MAPテーブル16の更新やMAPの選択を継続的に行う。そして、MN10は、新たなMAPを選択した場合には、新たに選択したMAPに、MN10の端末気付アドレスを通知し、CN30に、新たに選択したMAPの位置を示すアドレスとして、選択したMAPに割り当てられているIPアドレスを通知する。これにより、MN10は、パケットの転送経路を最適化して、冗長性が抑制された転送経路を用いたパケットの転送を継続することができる。
【0146】
尚、MAPテーブル16は、上記したようなMAPテーブル16の更新が繰り返された結果、例えば、図18に示すようになる。ここで、MAP通知パケットに基づいたMAPテーブル16の更新について詳細に説明する。MN10が、シーケンスナンバ「152」が設定されたMAP探索パケットを送信し、それに対する応答として、シーケンスナンバ「152」が設定されたMAP通知パケットを受信した場合を例にとって説明する。又、MAP通知パケットには、MAP(a)20a〜MAP(d)20dに割り当てられているIPアドレスと、図1に図示されていない他のMAPに割り当てられているIPアドレス「MAP(g)」が格納されていたとする。
【0147】
MN10は、MAP通知パケットに含まれるMAPに割り当てられているIPアドレスに宛てたRTT計測依頼パケットを送信し、それに対する応答として、RTT計測結果通知パケットを受信する。MN10の制御部15は、RTT計測結果通知パケットからRTTの計測値を取得する。制御部15は、「RTTの最も小さいMAPから順番に上位5つのMAPを記憶する」という基準に従って、受信したRTT計測結果通知パケットに含まれるMAPのIPアドレス及びRTTの計測値を記録し、MAPテーブル16を更新する。
【0148】
そのため、制御部15は、MAPテーブル16が更新時に既に記憶しているRTTの計測値も含めて、MAPテーブル16に記録するMAPを決定する。例えば、MAPテーブル16がMAP(a)20a、MAP(b)20b、MAP(c)20c、MAP(e)20e、MAP(f)20fに関する情報を記憶している場合に、MAPテーブル16が記憶するMAP(e)20e、MAP(f)20fとCN30とのRTTの計測値よりも、「MAP(d)」20dやIPアドレス「MAP(g)」のMAPから送信されたRTT計測結果通知パケットに含まれるRTTの計測値の方が大きい場合には、「MAP(d)」20dやIPアドレス「MAP(g)」のMAPに関する情報は、MAPテーブル16には記録されない。
【0149】
この場合、制御部15は、MAP(a)20a、MAP(b)20b、MAP(c)20cについては、MAPテーブル16に記憶されたRTTの計測値を、RTT計測結果通知パケットに含まれる計測値に更新し、MAP(e)20e、MAP(f)20fに関する情報は変更しない。更に、制御部15は、RTTの計測値を更新したMAP(a)20a、MAP(b)20b、MAP(c)20cに関するシーケンスナンバ1を、RTT計測結果通知パケットに含まれるシーケンスナンバ「152」に更新し、生存時間を第2テーブル17の初期生存時間「900」に更新する。その結果、このような更新後、50秒程度経過した後のMAPテーブル16は、図18に示すようになる。
【0150】
又、MAP(a)20a〜MAP(f)20fも、MN10と同様にして近隣MAPテーブル26が記憶するMAPに、MAP探索パケットを送信して、他のMAPを探索して検出する。具体的には、MAP(a)20a〜MAP(f)20fの制御部25が、図5に示す近隣MAPテーブル16が記憶しているMAPの生存時間が、第2テーブル17の探索生存時間「60(sec)」に達し、生存時間と探索生存時間が一致すると、そのMAPに送信するMAP探索パケットを作成する。そして、インターフェース29がMAP探索パケットをMAPに送信する。
【0151】
又、MAP(a)20a〜MAP(f)20fは、MAP(a)20a〜MAP(f)20fからMAP探索パケットを受信した場合にも、MN10からMAP探索パケットを受信した場合と同様にして、受信したMAP探索パケットに対してMAP通知パケットを送信する。そして、MAP(a)20a〜MAP(f)20fの制御部25は、MN10と同様にして受信したMAP通知パケットに基づいて近隣MAPテーブル26を更新する。
【0152】
(ハンドオフ時の動作)
MN10は移動に伴い、接続するARを切り替えるハンドオフを行う。以下、ハンドオフ時のMN10、MAP(a)20a〜MAP(f)20f、CN30の動作について図19を用いて説明する。
【0153】
MN10のインターフェース19は、最初、AR(a)50aと無線リンクを確立して接続している。このとき、MN10のモビリティ制御部14は、AR(a)50aのIPアドレスのネットワークプレフィクスと、MN10に割り当てられているIPアドレスのホストアドレスとから「LCoA1」を作成して、端末気付アドレスを取得する。モビリティ制御部14は、取得した「LCoA1」を制御情報記憶部14aに記録する。
【0154】
そして、MN10が、図12に示した手順によって、MAP(b)20bをパケットの送受信に利用するMAPとして選択すると、制御情報記憶部14aにMAP(b)20bに割り当てられているIPアドレス「MAP(b)」を記録する。更に、図19に示すように、MN10は、選択したMAP(b)20bに、MN10の端末気付アドレス「LCoA1」及びMN10のホームアドレスを通知するBUパケットを送信する(図19中実線)。又、MN10は、CN30に、選択したMAP(b)20bに割り当てられているIPアドレス及びMN10のホームアドレス通知するBUパケットを送信する(図19中点線)。
【0155】
BUパケットを受信したMAP(b)20bは、MN10のホームアドレス「HoA」と、端末気付アドレス「LCoA1」とを対応付けて、バインディング情報記憶部24aに記録する。又、BUパケットを受信したCN30は、MN10のホームアドレス「HoA」と、選択したMAP(b)20bに割り当てられているIPアドレス「MAP(b)」とを対応付けて、バインディング情報記憶部34aに記録する。以降は、CN30は、MN10宛のデータパケットをMAP(b)20bに送信する。MAP(b)20bは、MN10宛のデータパケットを「LCoA1」に転送する。
【0156】
そして、MN10は、図19中矢印A方向に移動すると、接続先をAR(a)50aからAR(b)50bに切り替える。即ち、MN10のインターフェース19は、AR(b)50bと無線リンクを確立して接続する。インターフェース19が接続先を変更すると、モビリティ制御部14は、新たに接続したAR(b)50bのIPアドレスのネットワークプレフィクスと、MN10に割り当てられているIPアドレスのホストアドレスとから新たに「LCoA2」を作成して、新たな端末気付アドレスを取得する。モビリティ制御部14は、新たに取得した「LCoA2」を制御情報記憶部14aに記録して、更新する。
【0157】
このとき、図19に示すように、MN10は、選択されているMAP(b)20bに、MN10の新たな端末気付アドレス「LCoA2」及びMN10のホームアドレスを通知するBUパケットを送信する(図19中実線)。尚、MN10は、CN30にはBUパケットを送信しない。BUパケットを受信したMAP(b)20bは、MN10のホームアドレス「HoA」と、新たな端末気付アドレス「LCoA2」とを対応付けて、バインディング情報記憶部24aに記録して、更新する。以降は、MAP(b)20bは、MN10宛のデータパケットを「LCoA2」に転送する。尚、CN30は、選択されているMAPに変更はないので、MN10宛のデータパケットをMAP(b)20bに送信すればよい。
【0158】
MN10は、図19中矢印A方向に更に移動すると、接続先をAR(b)50bからAR(c)50cに切り替える。即ち、MN10のインターフェース19は、AR(c)50cと無線リンクを確立して接続するようになる。そして、モビリティ制御部14は、新たに接続したAR(c)50cのIPアドレスのネットワークプレフィクスと、MN10に割り当てられているIPアドレスのホストアドレスとから新たに「LCoA3」を作成して、新たな端末気付アドレスを取得する。
【0159】
この場合も、図19に示すように、MN10は、選択されているMAP(b)20bに、MN10の新たな端末気付アドレス「LCoA3」及びMN10のホームアドレスを通知するBUパケットを送信する(図19中実線)。BUパケットを受信したMAP(b)20bは、MN10のホームアドレス「HoA」と、新たな端末気付アドレス「LCoA3」とを対応付けて、バインディング情報記憶部24aに記録して、更新する。以降は、MAP(b)20bは、MN10宛のデータパケットを「LCoA3」に転送する。
【0160】
〔効果〕
このような通信システム1、MN10及び通信方法によれば、制御部15が、MAPとCNとの間の距離に基づいて利用するMAPを選択する。そして、モビリティ制御部14が、選択したMAPに端末気付アドレスを通知し、CNに選択したMAPの位置を示すアドレスを通知する。そのため、MN10は、MAPとCNとの間の距離に基づいて選択したMAPによって、端末気付アドレスにパケットを転送してもらうことができる。よって、パケットは、MAPとCNとの間の距離に基づいて選択したMAPを経由することになり、パケットの転送経路が冗長になることを抑制できる。又、MN10は、CNに端末気付アドレスを知られない。更に、MN10は、利用するMAPの位置を示すアドレスをCNに知られてしまうものの、利用するMAPを、MAPとCNとの間の距離に基づいて選択しているため、MAPの位置を示すアドレスから、MN10の位置を知られてしまうおそれを低減できる。よって、MN10は、ロケーションプライバシーを十分に確保することができる。
【0161】
又、モビリティ制御部14は、CNにMAPの位置を示すアドレスとして、MAPに割り当てられているIPアドレスを通知する。そのため、CNは、MN10に宛てたパケットを、MN10が選択したMAPに割り当てられているIPアドレスに送信することができる。そして、MN10が選択したMAPは、CNから受信したMN10に宛てたパケットを端末気付アドレスに転送する。よって、MN10は、MAPとCNとの間の距離に基づいて選択したMAPを介して、CNからのパケットを受信できる。
【0162】
又、モビリティ制御部14は、制御部15が選択したMAPを介してCNにパケットを送信するように制御する。そのため、MN10は、MAPとCNとの間の距離に基づいて選択したMAPによって、CNにパケットを転送してもらうことができる。よって、パケットは、MAPとCNとの間の距離に基づいて選択したMAPを経由することになり、パケットの転送経路が冗長になることを抑制できる。更に、CNに届くパケットは、MAPとCNとの間の距離に基づいて選択したMAPによって転送されたものであるため、MN10は、CNにパケットの転送元から移動先の位置を知られてしまうおそれを低減できる。よって、MN10は、ロケーションプライバシーを十分に確保することができる。
【0163】
又、MN10は、MAPに関する情報を記憶するMAPテーブル16を備え、制御部15は、MAPテーブル16に記憶されたMAPの中で、MAPとCNとの間の距離が最も短いMAPを選択する。そのため、制御部15は、MN10が把握しているMAPの中で、最もCNに近いMAPを選択することができる。よって、MN10は、CNに近いMAPを介して、CNとパケットを送受信できる。その結果、パケットの転送経路が冗長になることをより一層抑制することができる。更に、MN10は、選択したMAPの位置を示すアドレスやパケットの転送元から、CNに移動先の位置を知られてしまうおそれをより一層低減できる。そのため、MN10は、ロケーションプライバシーを十分に確保することができる。
【0164】
又、MAP(a)20a〜MAP(f)20fは、制御部25が、MAP(a)20a〜MAP(f)20fとCN30との間のRTTを計測し、その計測結果をMN10に通知する。そのため、MAP(a)20a〜MAP(f)20fは、MN10にMAP(a)20a〜MAP(f)20fとCN30との間の現在のRTTを提供することができる。その結果、MN10は、MAP(a)20a〜MAP(f)20fとCN30との間の現在のRTTに基づいて、利用するMAPを適切に選択することができる。
【0165】
更に、MAP(a)20a〜MAP(f)20fは、制御部25が、近隣MAPテーブル27に記憶された他のMAPに関する情報を、MN10に通知する。そのため、MAP(a)20a〜MAP(f)20fは、MAP(a)20a〜MAP(f)20fにおいて把握している他のMAPに関する情報を、MN10に提供することができる。その結果、MN10は、通信システム1内に現在存在するMAPを把握でき、その中からより適切なMAPを選択することができる。
【0166】
更に、MAP(a)20a〜MAP(f)20fは、インターフェース29が、MAPを、CN30とMAPとの間の距離に基づいて、パケットの送受信に利用するMAPとして選択したMN10から、端末気付アドレスの通知を受ける。そして、モビリティ制御部24が、インターフェース29が受信した端末気付アドレスに、そのMN10へのパケットを転送するように制御する。そのため、MN10、MAPとCN30との間の距離に基づいて選択したMAPによって、端末気付アドレスにパケットを転送してもらうことができる。よって、パケットは、MAPとCN30との間の距離に基づいて選択したMAPを経由することになり、パケットの転送経路が冗長になることを抑制できる。又、MN10は、CN30に端末気付アドレスを知られない。よって、MN10のロケーションプライバシーを十分に確保することができる。
【0167】
[第2の実施の形態]
本実施形態では、MN10が、CN30に、選択したMAPの位置を示すアドレスとして、選択したMAPの存在するネットワークを特定するデータを含むネットワーク気付アドレスを通知する。
【0168】
本実施形態では、図2に示すMN10のモビリティ制御部14は、MN10の移動先の位置を示す端末気付アドレスに加えて、制御部15が選択したMAPの存在するネットワークを特定するデータを含むネットワーク気付アドレスを取得する。モビリティ制御部14は、ネットワーク気付アドレスとしてリージョナルケアオブアドレス(Regional care of Address、以下「RCoA」という)を自ら作成して取得する。モビリティ制御部14は、MN10が選択したMAPのIPアドレスのネットワークプレフィクスと、MN10に割り当てられているIPアドレスのホストアドレスとからRCoAを作成する。又、制御情報記憶部14aは、モビリティ制御情報として、制御部15が選択したMAPに割り当てられているIPアドレスや、モビリティ制御部14が取得した端末気付アドレスであるLCoAに加えて、モビリティ制御部14が取得したネットワーク気付アドレスであるRCoAを記憶する。
【0169】
MN10は、利用するMAPを選択した後に、選択したMAPのIPアドレスのネットワークプレフィクスと、MN10に割り当てられているIPアドレスのホストアドレスとからRCoAを作成する。そして、MN10は、選択したMAP及びHA40に、MN10の端末気付アドレスと、それに対応するネットワーク気付アドレスを通知する。又、MN10は、CN30に、選択したMAPの位置を示すアドレスとしてネットワーク気付アドレスを通知し、そのネットワーク気付アドレスに対応するMN10のホームアドレスも通知する。そして、このようなMN10からのアドレスの通知に基づいて、MAPやHA40、CN30は、アドレスの対応付けを行う。
【0170】
以下、図20を用いて、BUパケットの送信とアドレスの対応付けについて詳細に説明する。尚、図20における記号の意味は図10と同様である。MN10の制御部15が、図7に示した手順によって、MAP(a)20aをパケットの送受信に利用するMAPとして選択した場合を例にとって説明する。制御部15は、モビリティ制御部14に、選択したMAP(a)20aに割り当てられているIPアドレス「MAP(a)」を通知する。モビリティ制御部14は、制御部15が選択したMAP(a)20aのIPアドレスのネットワークプレフィクスと、MN10に割り当てられているIPアドレスのホストアドレスとから「RCoA(a)」を作成して、取得する。モビリティ制御部14は、取得した「RCoA(a)」と、MAP(a)20aに割り当てられているIPアドレス「MAP(a)」を、制御情報記憶部14aに記録する。
【0171】
次に、MN10のモビリティ制御部14は、選択したMAP(a)20aに、MN10の端末気付アドレス及びネットワーク気付アドレスを通知するBUパケット206aを作成する。図20に示すように、モビリティ制御部14は、送信元アドレスSに端末気付アドレスである「LCoA」を、あて先アドレスDに選択したMAP(a)に割り当てられているIPアドレス「MAP(a)」を、ホームアドレスオプションヘッダHにネットワーク気付アドレスである「RCoA(a)」を設定して、BUパケット206aを作成する。MN10のインターフェース19が、BUパケット206aをMAP(a)20aに送信する(S501)。
【0172】
MAP(a)20aのインターフェース29が、BUパケット206aを受信する。MAP(a)20aのモビリティ制御部24は、BUパケット206aのホームアドレスオプションヘッダHに設定されている「RCoA(a)」と、送信元アドレスS「LCoA」とを対応付けることにより、MN10のネットワーク気付アドレス「RCoA(a)」と端末気付アドレス「LCoA」とを対応付ける。モビリティ制御部24は、MN10のネットワーク気付アドレス「RCoA(a)」と端末気付アドレス「LCoA」との対応付けを、バインディング情報記憶部24aに記録する(S502)。
【0173】
MAP(a)20aのモビリティ制御部24は、BUパケット206aに対する応答として、BUパケット206bを作成する。図20に示すように、モビリティ制御部24は、送信元アドレスSにMAP(a)に割り当てられているIPアドレス「MAP(a)」を、あて先アドレスDにMN10の端末気付アドレスである「LCoA」を、ルーティングヘッダRにMN10のネットワーク気付アドレス「RCoA(a)」を設定して、BAパケット206bを作成する。MAP(a)20aのインターフェース29が、BAパケット206bをMN10に送信する(S503)。MN10のモビリティ制御部14は、MAP(a)20aに送信したBUパケット206aに対するBAパケット206bを取得することにより、MAP(a)20aへの端末気付アドレス「LCoA」及びネットワーク気付アドレス「RCoA(a)」の通知が完了したことを把握できる。
【0174】
次に、MN10のモビリティ制御部14は、CN30に、MN10のネットワーク気付アドレス「RCoA(a)」及びMN10のホームアドレスを通知するBUパケット206cを作成する。図20に示すように、モビリティ制御部14は、送信元アドレスSにネットワーク気付アドレス「RCoA(a)」を、あて先アドレスDにCN10に割り当てられているIPアドレス「CN」を、ホームアドレスオプションヘッダHにMN10のホームアドレス「HoA」を設定して、BUパケット206cを作成する。
【0175】
更に、図20に示すように、モビリティ制御部14は、送信元アドレスSに端末気付アドレスである「LCoA」を、あて先アドレスDにMAP(a)20aに割り当てられているIPアドレス「MAP(a)」を設定して、ヘッダ206dを作成する。そして、モビリティ制御部14は、BUパケット206cをヘッダ206dでカプセル化する。最後に、MN10のインターフェース19が、ヘッダ206dでカプセル化されたBUパケット206cをMAP(a)20aに送信する(S504)。
【0176】
MAP(a)20aのインターフェース29が、ヘッダ206dでカプセル化されたBUパケット206cを受信する。MAP(a)20aのIP制御部23は、ヘッダ206dを外してデカプセル化し、BUパケット206cを取り出す。そして、インターフェース29がデカプセル化されたBUパケット206cをCN30に送信する(S505)。
【0177】
CN30のインターフェース37が、BUパケット206cを受信する。CN30のモビリティ制御部34は、BUパケット206cのホームアドレスオプションヘッダHに設定されている「HoA」と、送信元アドレスSの「RCoA」とを対応付けることにより、MN10のホームアドレス「HoA」と、MN10のネットワーク気付アドレス「RCoA(a)」とを対応付ける。モビリティ制御部34は、MN10のホームアドレス「HoA」とネットワーク気付アドレス「RCoA」との対応付けを、バインディング情報記憶部34aに記録する(S506)。
【0178】
CN30のモビリティ制御部34は、BUパケット206cに対するBAパケット206eを作成する。図20に示すように、モビリティ制御部34は、送信元アドレスSにCN30に割り当てられている「CN」を、あて先アドレスDにネットワーク気付アドレス「RCoA(a)」を、ルーティングヘッダRにMN10のホームアドレス「HoA」を設定して、BAパケット206eを作成する。CN30のインターフェース37が、BAパケット206eをMAP(a)20aに送信する(S507)。
【0179】
MAP(a)20aのインターフェース29が、BAパケット206eを受信する。モビリティ制御部24は、バインディング情報記憶部24aから、BAパケット206eのあて先アドレスD「RCoA(a)」と対応付けられている端末気付アドレス「LCoA」を取得する。モビリティ制御部24は、図20に示すように、送信元アドレスSにMAP(a)20aに割り当てられているIPアドレス「MAP(a)」を、あて先アドレスDに端末気付アドレスである「LCoA」を設定してヘッダ206fを作成する。そして、モビリティ制御部24は、BUパケット206eをヘッダ206fでカプセル化する。最後に、MAP(a)20aのインターフェース29が、ヘッダ206fでカプセル化されたBUパケット206eをMN10に送信する(S508)。
【0180】
MN10のIP制御部13は、ヘッダ206fを外してデカプセル化し、BAパケット206eを取り出す。モビリティ制御部14は、CN30に送信したBUパケット206cに対するBAパケット206eを取得することにより、CN30へのMN10のネットワーク気付アドレス「RCoA(a)」及びホームアドレス「HoA」の通知が完了したことを把握する。尚、MN10は、ステップ(S501)〜(S503)と同様にして、HA40にも、端末気付アドレス「LCoA」及びネットワーク気付アドレス「RCoA」を通知する。但し、BUパケット206aのあて先アドレス及びBAパケット206bの送信元アドレスは、HAのIPアドレスとなる。
【0181】
このようにして、モビリティ制御部14は、選択したMAP(a)20a及びHA40に、MN10の端末気付アドレスであるLCoAを通知し、CN30に選択したMAP(a)20aの位置を示すアドレスを通知する通知手段として機能する。
【0182】
本実施形態においても、MN10が、BAパケット206b,206eを受信し、MAP(a)20aとCN30に対するアドレスの通知が完了したことを把握すると、MN10は、選択したMAP(a)20aを介してCN30にデータパケットを送信する。以下、図21を用いて、MN10とCN30との間のデータパケットの送受信について詳細に説明する。尚、図21における記号の意味は図10と同様である。
【0183】
まず、MN10のIP制御部13は、TCP/UDP部12から取得したデータにIPヘッダを付加して、MN10からCN30に宛てたデータパケット7aを作成する。図21に示すように、IP制御部13は、送信元アドレスSにMN10のネットワーク気付アドレス「RCoA(a)」を、あて先アドレスDにCN30に割り当てられたIPアドレス「CN」を、ホームアドレスオプションヘッダHにMN10のホームアドレス「HoA」を設定して、IPデータを含むデータパケット207aを作成する。IP制御部13は、作成したデータパケット207aをモビリティ制御部14に提供する。
【0184】
モビリティ制御部14は、制御情報記憶部14aから端末気付アドレス「LCoA」と、選択したMAP(a)20aに割り当てられたIPアドレス「MAP(a)」を取得する。モビリティ制御部14は、図21に示すように、送信元アドレスSに端末気付アドレスである「LCoA」を、あて先アドレスDにMAP(a)20aに割り当てられたIPアドレス「MAP(a)」を設定してヘッダ207bを作成する。そして、モビリティ制御部14は、データパケット207aをヘッダ207bでカプセル化する。最後に、MN10のインターフェース19が、ヘッダ207bでカプセル化したデータパケット207aを、MAP(a)20aに送信する(S601)。
【0185】
次に、MAP(a)20aのインターフェース29が、ヘッダ207bでカプセル化されたデータパケット207aを受信する。MAP(a)20aのIP制御部23は、ヘッダ207bを外してデカプセル化し、データパケット207aを取り出す。そして、インターフェース29がデカプセル化されたデータパケット207aをCN30に送信する(S602)。
【0186】
次に、CN30のインターフェース37がデータパケット207aを受信する。CN30のアプリケーション部31は、受信したデータに応答するデータを作成する。IP制御部33は、TCP/UDP部32から応答のデータを取得する。IP制御部33は、取得した応答のデータに、送信元アドレスにCN30に割り当てられたIPアドレス「CN」を、あて先アドレスにMN10のホームアドレス「HoA」を設定したIPヘッダを付加して、IPデータを含むデータパケットを作成する。
【0187】
IP制御部33は、作成したデータパケットをモビリティ制御部34に提供する。モビリティ制御部34は、バインディング情報記憶部34aから、IP制御部33から取得したデータパケットのあて先アドレス「HoA」と対応付けられているネットワーク気付アドレス「RCoA(a)」を取得する。モビリティ制御部34は、IP制御部33から取得したデータパケットのあて先アドレスに設定されていた「HoA」をルーティングヘッダRに設定し、あて先アドレスDにバインディング情報記憶部34aから取得したネットワーク気付アドレス「RCoA(a)」を新たに設定して、図21に示すデータパケット207cを作成する。そして、CN30のインターフェース37が、データパケット207cをMAP(a)20aに送信する(S603)。
【0188】
MAP(a)20aのインターフェース29が、データパケット207cを受信する。モビリティ制御部24は、バインディング情報記憶部24aから、データパケット207cのあて先アドレスD「RCoA(a)」と対応付けられている端末気付アドレス「LCoA」を取得する。モビリティ制御部24は、図21に示すように、送信元アドレスSにMAP(a)20aに割り当てられているIPアドレス「MAP(a)」を、あて先アドレスDに端末気付アドレスである「LCoA」を設定してヘッダ207dを作成する。そして、モビリティ制御部24は、データパケット207cをヘッダ207dでカプセル化する。最後に、MAP(a)20aのインターフェース29が、ヘッダ207dでカプセル化されたデータパケット207cをMN10に送信する(S604)。以上説明したようにして、MN10とCN30とは、CN10が選択したMAP(a)20aを介してデータパケットを送受信する。
【0189】
又、本実施形態においても、MN10は、図12に示した手順によって、パケットの送受信に利用するMAPを新たに選択する。以下、MN10が、MAP(b)20bをパケットの送受信に利用するMAPとして新たに選択した場合を例にとって説明する。MN10の制御部15は、新たに選択したMAP(b)20bに割り当てられているIPアドレス「MAP(b)」を、モビリティ制御部14に通知する。モビリティ制御部14は、制御部15が新たに選択したMAP(b)20bのIPアドレスのネットワークプレフィクスと、MN10に割り当てられているIPアドレスのホストアドレスとから「RCoA(b)」を作成して、取得する。モビリティ制御部14は、取得した「RCoA(b)」と、MAP(b)20bに割り当てられているIPアドレス「MAP(b)」を、制御情報記憶部14aに記録して、更新する。
【0190】
又、MN10は、新たに選択したMAP(b)20b及びHA40に、MN10の端末気付アドレスと、それに対応するMN10の新たなネットワーク気付アドレス「RCoA(b)」も通知する。又、MN10は、CN30に、MN10の新たなネットワーク気付アドレス「RCoA(b)」と、それに対応するMN10のホームアドレスも通知する。MN10は、BUパケットを、MAP(b)20bやHA40、CN30に送信して、通知を行う。MAP(b)20bやHA40、CN30は、受信したBUパケットに基づいてアドレスの対応付けを行う。
【0191】
MAP(b)20bが新たに選択された場合のBUパケットの送信とアドレスの対応付けの様子を、図22に示す。尚、図22における記号の意味は図10と同様である。MN10は、新たに選択したMAP(b)20bに、送信元アドレスSに端末気付アドレスである「LCoA」が、あて先アドレスDにMAP(b)20bに割り当てられているIPアドレス「MAP(b)」が、ホームアドレスオプションヘッダHにMN10の新たなネットワーク気付アドレス「RCoA(b)」が設定されたBUパケット306aを送信する(S701)。
【0192】
MAP(b)20bは、受信したBUパケット306aのホームアドレスオプションヘッダHに設定されている「RCoA(b)」と、送信元アドレスSの「LCoA」とを対応付けることにより、MN10の新たなネットワーク気付アドレス「RCoA(b)」と端末気付アドレス「LCoA」とを対応付ける。MAP(b)20bは、MN10の新たなネットワーク気付アドレス「RCoA(b)」と端末気付アドレス「LCoA」との対応付けを、バインディング情報記憶部24aに記録して、更新する(S702)。
【0193】
次に、MAP(b)20bは、BUパケット306aに対するBAパケット306bをMN10に送信する。MAP(b)20bは、送信元アドレスSにMAP(b)20bに割り当てられているIPアドレス「MAP(b)」が、あて先アドレスDに端末気付アドレスである「LCoA」が、ルーティングヘッダRにMN10の新たなネットワーク気付アドレス「RCoA(b)」が設定されているBAパケット306bを送信する(S703)。
【0194】
次に、MN10は、CN30に、BUパケット306cをヘッダ306dでカプセル化して送信する。MN10は、送信元アドレスSにMN10の新たなネットワーク気付アドレス「RCoA(b)」が、あて先アドレスDにCN30に割り当てられているIPアドレス「CN」が、ホームアドレスオプションヘッダHにMN10のホームアドレス「HoA」が設定されているBUパケット306cを送信する。又、MN10は、送信元アドレスSに端末気付アドレスである「LCoA」が、あて先アドレスDにMAP(b)20bのIPアドレス「MAP(b)」が設定されているヘッダ306dでカプセル化する(S704)。
【0195】
MAP(b)20bは、ヘッダ306dを外してデカプセル化し、BUパケット306cを取り出す。MAP(b)20bは、デカプセル化されたBUパケット306cをCN30に送信する(S705)。CN30は、受信したBUパケット306cのホームアドレスオプションヘッダHに設定されている「HoA」と、BUパケット306cの送信元アドレスの「RCoA(b)」とを対応付けることにより、MN10のホームアドレス「HoA」と、MN10の新たなネットワーク気付アドレス「RCoA(b)」とを対応付ける。CN30は、MN10のホームアドレス「HoA」と、MN10の新たなネットワーク気付アドレス「RCoA(b)」との対応付けを、バインディング情報記憶部34aに記録して、更新する(S706)。
【0196】
次に、CN30は、BUパケット306cに対するBAパケット306eをMAP(b)20bに送信する。CN30は、送信元アドレスSにCN30に割り当てられているIPアドレス「CN」が、あて先アドレスDにMN10の新たなネットワーク気付アドレス「RCoA(b)」が、ルーティングヘッダRにMN10のホームアドレス「HoA」が設定されているBAパケット306eを、MAP(b)20bに送信する(S707)。
【0197】
MAP(b)20bは、受信したBAパケット306eをヘッダ306fでカプセル化して、MN10に送信する。MAP(b)20bは、送信元アドレスSにMAP(b)20bに割り当てられているIPアドレス「MAP(b)」が、あて先アドレスDに端末気付アドレスである「LCoA」が設定されたヘッダ306fでカプセル化する(S708)。
【0198】
MN10が、BAパケット306b,306eを受信し、新たに選択したMAP(b)20bとCN30に対するアドレスの通知が完了したことを把握すると、MN10は、新たに選択したMAP(b)20bを介してCN30にデータパケットを送信する。MAP(b)20bが新たに選択された場合のデータパケットの送受信の様子を、図23に示す。尚、図23における記号の意味は図10と同様である。
【0199】
MN10は、CN30に、データパケット307aをヘッダ307bでカプセル化して送信する。MN10は、送信元アドレスSにMN10の新たなネットワーク気付アドレス「RCoA(b)」が、あて先アドレスDにCN30に割り当てられているIPアドレス「CN」が、ホームアドレスオプションヘッダHにホームアドレス「HoA」が設定された、IPデータを含むデータパケット307aを送信する。又、MN10は、送信元アドレスSに端末気付アドレスである「LCoA」が、あて先アドレスDにMAP(b)20bに割り当てられているIPアドレス「MAP(b)」が設定されたヘッダ307bでカプセル化する(S801)。
【0200】
MAP(b)20bは、ヘッダ307bを外してデカプセル化し、データパケット307aを取り出す。MAP(b)20bは、デカプセル化されたデータパケット307aをCN30に送信する(S802)。CN30は、受信したデータパケット307aに対する応答のデータパケット307cを、MAP(b)20bに送信する。CN30は、送信元アドレスSにCN30に割り当てられているIPアドレス「CN」が、あて先アドレスDにMN10の新たなネットワーク気付アドレス「RCoA(b)」が、ルーティングヘッダRにMN10のホームアドレス「HoA」設定された、IPデータを含むデータパケット307cを送信する(S803)。
【0201】
MAP(b)20bは、受信したデータパケット307cをヘッダ307dでカプセル化して、MN10に送信する。MAP(b)20bは、送信元アドレスSにMAP(b)20bに割り当てられているIPアドレス「MAP(b)」が、あて先アドレスDに端末気付アドレスである「LCoA」が設定されたヘッダ307dでカプセル化する(S804)。
【0202】
以上説明したように、本実施形態でも、MN10は、MAPの検出と、MAPとCN30との間の距離の計測を定期的に行い、MAPテーブル16の更新やMAPの選択を継続的に行う。そして、MN10は、新たなMAPを選択した場合には、新たに選択したMAPに、MN10の端末気付アドレスを通知し、CN30に、新たに選択したMAPの位置を示すアドレスとして、ネットワーク気付アドレスを通知する。
【0203】
このように、本実施形態では、MN10のモビリティ制御部14は、CNに、選択したMAPの位置を示すアドレスとして、選択したMAPの存在するネットワークを特定するデータを含むネットワーク気付アドレスを通知する。そのため、CNは、MN10に宛てたパケットを、ネットワーク気付アドレスに送信することができる。これにより、MN10が選択したMAPに、MN10に宛てたパケットが届く。そして、MN10が選択したMAPは、CNから受信したMN10に宛てたパケットを端末気付アドレスに転送する。よって、MN10は、MAPとCNとの間の距離に基づいて選択したMAPを介して、CNからのパケットを受信できる。
【0204】
[変更例]
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。
【0205】
図7では、MN10が、HA40にMN10の移動先の位置を示す端末気付アドレスを通知するBUパケットを送信しているが、MN10から端末気付アドレスを通知するBUパケットを受信したMAP(a)20a〜MAP(f)20fが、HA40にMN10の端末気付アドレスを通知するようにしてもよい。
【0206】
以下、MAP(a)20aのインターフェース29が、MN10から、端末気付アドレスを通知するBUパケットを受信した場合を例にとって説明する。この場合、MN10は、HA40に割り当てられているIPアドレス「HA」を含むBUパケットを送信する。MAP(a)20aのインターフェース29は、MN10の端末気付アドレスとそれに対応するMN10のホームアドレスを通知するBUパケットや、MN10の端末気付アドレスとそれに対応するMN10のネットワーク気付アドレスを通知するBUパケットを受信する。
【0207】
モビリティ制御部24は、MN10から受信したBUパケットに含まれているMN10の端末気付アドレスとそれに対応するMN10のホームアドレスや、MN10の端末気付アドレスとそれに対応するMN10のネットワーク気付アドレスを、HA40に通知するBUパケットを作成する。このとき、モビリティ制御部24は、BUパケットから、HA40に割り当てられているIPアドレスを取得して、HA40に通知するBUパケットを作成する。そして、インターフェース29が、HA40に作成したBUパケットを送信する。このようにして、モビリティ制御部24は、インターフェース29が受信した端末気付アドレスを他の転送装置であるHA40に通知する通知手段として機能する。
【0208】
これによれば、MAP(a)20aが、MN10から受信した端末気付アドレスをHA40にも通知できる。そのため、MN10は、MAP(a)20aやHA40等の複数の転送装置に端末気付アドレスを通知する場合に、MAP(a)20aに端末気付アドレスを通知すれば、HA40に端末気付アドレスを通知することを省略できる。尚、MN10が、HA40に割り当てられているIPアドレス「HA」を含むBUパケットを送信せずに、MAP(a)20aのバインディング情報記憶部24aが、予めHA40に割り当てられているIPアドレス「HA」を記憶しておいてもよい。この場合、モビリティ制御部24は、バインディング情報記憶部24aからHA40に割り当てられているIPアドレス「HA」を取得して、HA40に通知するBUパケットを作成する。
【0209】
又、第2の実施形態では、MN10は、パケットの送受信に利用する転送装置を、MAP(a)20a〜MAP(f)20fの中から選択しているが、MN10は、HA40を、利用する転送装置の候補に含めて、利用する転送装置を選択することができる。その場合には、MN10は、MAPテーブル16に、HA40に関する情報を記憶することによって、HA40をMAPと共に、利用する転送装置の候補に含めることができる。例えば、MAPテーブル16は、初期状態でHA40に割り当てられているIPアドレスを記憶しておいてもよい。又、MAPが、近隣MAPテーブル26にHA40に関する情報を記憶しておけば、MN10は、MAPからのMAP通知パケットに基づいて、HA40に関する情報をMAPテーブル16に記憶することができる。尚、この場合には、HA40は、MAPと同様に、HA40とCN30との間の距離を計測する計測手段と、その計測結果をMN10に通知する計測結果通知手段とを備えることが必要である。
【0210】
これによれば、MN10は、HA40とMAPの中から、HA40やMAPとCN30との間の距離に基づいてHA40を選択した場合には、そのHA40を用いても、パケットの転送経路が冗長になることを抑制でき、移動端末のロケーションプライバシーを十分に確保することができる。
【0211】
又、MN10の制御部15は、ロケーションプライバシーを確保するためのMAPとは別に、ハンドオフ時のパケットロスを低減するためのMAPを選択してもよい。MN10制御部15は、ロケーションプライバシーを確保するためには、上記したようなMAPとCNとの間の距離に基づいてMAPを選択する。又、MN10制御部15は、ハンドオフ時のパケットロスを低減するためには、MAPとMN10との間の距離に基づいてMAPを選択する。例えば、MN10は、MN10との距離が短いMAPを選択する。これによれば、MN10は、選択した2つのMAPを、ロケーションプライバシーを確保したい場合とパケットロスを低減したい場合とで使い分けることもできるし、同時に使うこともできる。
【0212】
又、上記実施形態では、IPv6を利用しているが、IPv4を利用することもできる。IPv4を利用する場合、RTT計測依頼パケット、RTT計測結果通知パケット、MAP探索パケット、MAP通知パケットのあて先オプションヘッダに格納されていた情報を、IPv4のパケットのデータ部に格納したパケットを用いる。又、あて先オプションヘッダのタイプが示していたパケットの種類は、UDPヘッダのポート番号を用いて示す。
【0213】
図24に、IPv4を利用する場合のMN210の構成を示す。MN210は、アプリケーション部211と、TCP/UDP部212と、IP制御部213と、モビリティ制御部214と、制御情報記憶部214aと、制御部215と、MAP選択ポリシー記憶部215aと、MAPテーブル216と、第2テーブル217と、リンク制御部218と、インターフェース219とから構成される。アプリケーション部211、制御情報記憶部214aと、リンク制御部218、インターフェース219は、図2に示すMN10のアプリケーション部11、制御情報記憶部14a、リンク制御部18、インターフェース19と実質的に同様である。
【0214】
TCP/UDP部212は、制御部215がMAPとCNとの間の距離を取得する際に用いるパケットや、MAPを探索して検出する際に用いるパケットを、IP制御部213から取得して制御部215に提供したり、制御部215から取得してIP制御部213に提供したりする。又、TCP/UDP部212は、モビリティ制御部214が、制御部215が選択したMAPにMN210の移動先の位置を示す端末気付アドレスを通知し、CNに選択したMAPの位置を示すアドレスを通知する際に利用するパケット、例えば、登録要求(Registration Request)パケットや、登録応答(Registration Reply)パケットを、モビリティ制御部214から取得してIP制御部213に提供したり、IP制御部213から取得してモビリティ制御部214に提供したりする。尚、TCP/UDP部212は、TCPヘッダのポート番号により、パケットの種類を判断する。TCP/UDP部212は、これらの点以外は、図2に示すMN10のTCP/UDP部12と同様である。
【0215】
又、モビリティ制御部214は、制御部215が選択したMAPにMN210の移動先の位置を示す端末気付アドレスを通知し、CNに選択したMAPの位置を示すアドレスを通知する際に利用するパケット、例えば、登録要求パケットや登録応答パケットを、TCP/UDP部212に提供したり、TCP/UDP部212から取得したりする。
【0216】
又、制御部215は、MAPとCNとの間の距離を取得する際に用いるパケットや、MAPを探索して検出する際に用いるパケットを、TCP/UDP部212に提供したり、TCP/UDP部212から取得したりする。又、制御部215は、MAP選択ポリシー記憶部215aやMAPテーブル216、第2テーブル217から情報を取得したり、MAPテーブル216や第2テーブル217の情報を更新したりする。このように、制御部215は、TCP/UDPレベルで処理を行う以外は、図2に示すMN10の制御部15と実質的に同様である。又、MAP選択ポリシー記憶部215a、MAPテーブル216、第2テーブル217は、TCP/UDPレベルで行う処理に利用される点以外は、図2に示すMN10のMAP選択ポリシー記憶部15a、MAPテーブル16、第2テーブル17と実質的に同様である。又、IP制御部213は、制御部215とパケットの授受を行わない以外は、図2に示すIP制御部13と、実質的に同様である。
【0217】
図25に、IPv4を利用する場合のMAP220の構成を示す。MAP22は、アプリケーション部221と、TCP/UDP部222と、IP制御部223と、モビリティ制御部224と、バインディング情報記憶部224aと、制御部225と、近隣MAPテーブル226と、第2テーブル227と、リンク制御部228と、インターフェース229とから構成される。アプリケーション部221、バインディング情報記憶部224a、リンク制御部228、インターフェース229は、図4に示すMAP(a)20aのアプリケーション部21、バインディング情報記憶部24a、リンク制御部28、インターフェース29と実質的に同様である。
【0218】
TCP/UDP部222は、制御部225がMAP220とCNとの間の距離を計測したり、その計測結果を通知したりする際に用いるパケットや、近隣MAPテーブル226に記憶された他のMAPに関する情報をMNに通知する際に利用するパケット、他のMAPを検出する際に用いるパケットを、制御部225から取得してIP制御部223に提供したり、IP制御部223から取得して制御部225に提供したりする。又、TCP/UDP部222は、MN210から移動先の位置を示す端末気付アドレスの通知を受ける際に利用するパケット、例えば、登録要求パケットや登録応答パケットを、IP制御部223から取得してモビリティ制御部224に提供したり、モビリティ制御部224から取得してIP制御部223に提供したりする。尚、TCP/UDP部222は、TCPヘッダのポート番号により、パケットの種類を判断する。TCP/UDP部222は、これらの点以外は、図4に示すMAP20のTCP/UDP部22と同様である。
【0219】
又、モビリティ制御部224は、MN210から移動先の位置を示す端末気付アドレスの通知を受ける際に利用するパケット、例えば、登録要求パケットや登録応答パケットを、TCP/UDP部212から取得したりTCP/UDP部212に提供したりする。
【0220】
又、制御部225は、MAP220とCNとの間の距離を計測したり、その計測結果を通知したりする際に用いるパケットや、近隣MAPテーブル226に記憶された他のMAPに関する情報をMNに通知する際に用いるパケット、他のMAPを検出する際に用いるパケットを、TCP/UDP部222に提供したり、TCP/UDP部222から取得したりする。又、制御部225は、近隣MAPテーブル226、第2テーブル227から情報を取得したり、MAPテーブル226や第2テーブル227の情報を更新したりする。このように、制御部225は、TCP/UDPレベルで処理を行う以外は、図3に示すMAP(a)20aの制御部25と実質的に同様である。又、近隣MAPテーブル226、第2テーブル227は、TCP/UDPレベルで行う処理に利用される点以外は、図4に示すMAP(a)20aの近隣MAPテーブル26、第2テーブル27と実質的に同様である。又、IP制御部223は、制御部225とパケットの授受を行わない以外は、図4に示すIP制御部23と、実質的に同様である。
【0221】
【発明の効果】
本発明によれば、パケットの転送経路が冗長になることを抑制し、移動端末のロケーションプライバシーを十分に確保することができる移動端末、転送装置、通信システム、通信方法及びプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る通信システムを示す図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係るMNの構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態に係るMAPテーブル及び第2テーブルを示す図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態に係るMAP(a)の構成を示すブロック図である。
【図5】本発明の第1の実施の形態に係る近隣MAPテーブル及び第2テーブルを示す図である。
【図6】本発明の第1の実施の形態に係るCNの構成を示すブロック図である。
【図7】本発明の第1の実施の形態に係るパケットの送受信における基本動作を説明する説明図である。
【図8】本発明の第1の実施の形態に係るRTT計測依頼パケットを示す図である。
【図9】本発明の第1の実施の形態に係るRTT計測結果通知パケットを示す図である。
【図10】本発明の第1の実施の形態に係るBUパケットの送信とアドレスの対応付けの手順を示すシーケンス図である。
【図11】本発明の第1の実施の形態に係るデータパケットの送受信の手順を示すシーケンス図である。
【図12】本発明の第1の実施の形態に係る利用するMAPの最適化における動作を説明する説明図である。
【図13】本発明の第1の実施の形態に係るMAP探索パケットを示す図である。
【図14】本発明の第1の実施の形態に係るMAP通知パケットを示す図である。
【図15】本発明の第1の実施の形態に係る新たにMAPを選択した際のBUパケットの送信とアドレスの対応付けの手順を示すシーケンス図である。
【図16】本発明の第1の実施の形態に係る新たにMAPを選択した際のデータパケットの送受信の手順を示すシーケンス図である。
【図17】本発明の第1の実施の形態に係るデータパケットの転送経路を示す図である。
【図18】本発明の第1の実施の形態に係る更新後のMAPテーブル及び第2テーブルを示す図である。
【図19】本発明の第1の実施の形態に係るハンドオフ時の動作を説明する説明図である。
【図20】本発明の第2の実施の形態に係るBUパケットの送信とアドレスの対応付けの手順を示すシーケンス図である。
【図21】本発明の第2の実施の形態に係るデータパケットの送受信の手順を示すシーケンス図である。
【図22】本発明の第2の実施の形態に係る新たにMAPを選択した際のBUパケットの送信とアドレスの対応付けの手順を示すシーケンス図である。
【図23】本発明の第2の実施の形態に係る新たにMAPを選択した際のデータパケットの送受信の手順を示すシーケンス図である。
【図24】本発明の変更例に係るMNの構成を示すブロック図である。
【図25】本発明の変更例に係るMAPの構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
1 通信システム
10 MN
20a〜20f MAP(a)〜MAP(f)
30 CN
40 HA
50a〜50c AR(a)〜AR(c)
4a,4f RTT計測依頼パケット
5a,5f RTT計測結果通知パケット
8 MAP探索パケット
9 MAP通知パケット
11,21,31,211,221 アプリケーション部
12,22,32,212,222 TCP/UDP部
13,23,33,213,223 IP制御部
14,24,34,214,224 モビリティ制御部
14a,214a 制御情報記憶部
15,25,35,215,225 制御部
15a,215a MAP選択ポリシー記憶部
16,217 MAPテーブル
17,27,217,227 第2テーブル
18,28,36,218,228 リンク制御部
19,29,37,219,229 インターフェース
24a,34a,224a バインディング情報記憶部
26,226 近隣MAPテーブル

Claims (31)

  1. パケットを転送する転送装置を介して通信相手装置と前記パケットを送受信する移動端末であって、
    前記転送装置と前記通信相手装置との間の距離に基づいて、前記パケットの送受信に利用する前記転送装置を選択する選択手段と、
    該選択手段が選択した転送装置に移動端末の移動先の位置を示す端末気付アドレスを通知し、前記通信相手装置に前記選択した転送装置の位置を示すアドレスを通知する通知手段と
    を備えることを特徴とする移動端末。
  2. 前記通知手段は、前記通信相手装置に前記転送装置の位置を示すアドレスとして、前記転送装置に割り当てられているアドレスを通知することを特徴とする請求項1に記載の移動端末。
  3. 前記通知手段は、前記通信相手装置に前記転送装置の位置を示すアドレスとして、前記選択した転送装置の存在するネットワークを特定するデータを含むネットワーク気付アドレスを通知することを特徴とする請求項1に記載の移動端末。
  4. 前記転送装置に関する情報を記憶する転送装置情報記憶手段を備え、
    前記選択手段は、前記転送装置情報記憶手段に記憶された前記転送装置の中で、該転送装置と前記通信相手装置との間の距離が最も短い転送装置を、前記利用する転送装置として選択することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の移動端末。
  5. 前記転送装置と前記通信相手装置との間の距離を取得する取得手段を備え、
    前記選択手段は、前記取得手段が取得した距離に基づいて、前記利用する転送装置を選択することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の移動端末。
  6. 前記取得手段は、前記転送装置に前記通信相手装置との間の距離の計測を依頼する計測依頼パケットを作成して送信し、前記計測依頼パケットに基づく距離の計測結果を通知する計測結果通知パケットを前記転送装置から受信し、該計測結果通知パケットから前記距離を取得することを特徴とする請求項5に記載の移動端末。
  7. 前記転送装置を検出する検出手段を備えることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の移動端末。
  8. 前記検出手段は、前記転送装置に転送装置を探索するための探索パケットを作成して送信し、前記探索パケットに対して前記転送装置を通知する通知パケットを前記転送装置から受信し、該通知パケットに基づいて前記転送装置を検出することを特徴とする請求項7に記載の移動端末。
  9. パケットを転送する転送装置を介して通信相手装置と前記パケットを送受信する移動端末であって、
    前記転送装置と前記通信相手装置との間の距離に基づいて、前記パケットの送受信に利用する前記転送装置を選択する選択手段と、
    該選択手段が選択した転送装置を介して前記通信相手装置にパケットを送信するように制御する制御手段と
    を備えることを特徴とする移動端末。
  10. 前記制御手段は、前記通信相手装置に宛てたパケットを、前記選択手段が選択した転送装置に割り当てられているアドレスをあて先アドレスとするヘッダでカプセル化することにより、前記選択した転送装置を介して前記通信相手装置にパケットを送信するように制御することを特徴とする請求項9に記載の移動端末。
  11. 前記転送装置に関する情報を記憶する転送装置情報記憶手段を備え、
    前記選択手段は、前記転送装置情報記憶手段に記憶された前記転送装置の中で、該転送装置と前記通信相手装置との間の距離が最も短い転送装置を、前記利用する転送装置として選択することを特徴とする請求項9又は10に記載の移動端末。
  12. 前記転送装置と前記通信相手装置との間の距離を取得する取得手段を備え、
    前記選択手段は、前記取得手段が取得した距離に基づいて、前記利用する転送装置を選択することを特徴とする請求項9乃至11のいずれか1項に記載の移動端末。
  13. 前記取得手段は、前記転送装置に前記通信相手装置との間の距離の計測を依頼する計測依頼パケットを作成して送信し、前記計測依頼パケットに基づく距離の計測結果を通知する計測結果通知パケットを前記転送装置から受信し、該計測結果通知パケットから前記距離を取得することを特徴とする請求項12に記載の移動端末。
  14. 前記転送装置を検出する検出手段を備えることを特徴とする請求項9乃至13のいずれか1項に記載の移動端末。
  15. 前記検出手段は、前記転送装置に転送装置を探索するための探索パケットを作成して送信し、前記探索パケットに対して前記転送装置を通知する通知パケットを前記転送装置から受信し、該通知パケットに基づいて前記転送装置を検出することを特徴とする請求項14に記載の移動端末。
  16. 移動端末と、該移動端末とパケットを送受信する通信相手装置との間で前記パケットを転送する転送装置であって、
    該転送装置と前記通信相手装置との間の距離を計測する計測手段と、
    該計測手段による計測結果を前記移動端末に通知する計測結果通知手段と
    を備えることを特徴とする転送装置。
  17. 他の転送装置に関する情報を記憶する転送装置情報記憶手段と、
    該転送装置情報記憶手段に記憶された他の転送装置に関する情報を、前記移動端末に通知する転送装置情報通知手段と
    を備えることを特徴とする請求項16に記載の転送装置。
  18. 移動端末によって、該移動端末がパケットを送受信する通信相手装置と転送装置との間の距離に基づいて、前記パケットの送受信に利用する転送装置として選択される転送装置であって、
    前記選択を行った移動端末から、該移動端末の移動先の位置を示す端末気付アドレスの通知を受信する受信手段と、
    該受信手段が受信した端末気付アドレスに、前記移動端末へのパケットを転送するように制御する転送制御手段と
    を備えることを特徴とする転送装置。
  19. 前記受信手段が受信した端末気付アドレスを他の転送装置に通知する通知手段を備えることを特徴とする請求項18に記載の転送装置。
  20. 移動端末と、
    該移動端末とパケットを送受信する通信相手装置と、
    前記移動端末と前記通信相手装置との間で前記パケットを転送する複数の転送装置とを備える通信システムであって、
    前記移動端末は、
    前記転送装置と前記通信相手装置との間の距離に基づいて、前記パケットの送受信に利用する前記転送装置を選択する選択手段と、
    該選択手段が選択した転送装置に移動端末の移動先の位置を示す端末気付アドレスを通知し、前記通信相手装置に前記選択した転送装置の位置を示すアドレスを通知する通知手段と
    を備えることを特徴とする通信システム。
  21. 移動端末と、
    該移動端末とパケットを送受信する通信相手装置と、
    前記移動端末と前記通信相手装置との間で前記パケットを転送する複数の転送装置とを備える通信システムであって、
    前記移動端末は、
    前記転送装置と前記通信相手装置との間の距離に基づいて、前記パケットの送受信に利用する前記転送装置を選択する選択手段と、
    該選択手段が選択した転送装置を介して前記通信相手装置にパケットを送信するように制御する制御手段と
    を備えることを特徴とする通信システム。
  22. 移動端末が、パケットを転送する転送装置を介して通信相手装置と前記パケットを送受信する通信方法であって、
    前記移動端末が、前記転送装置と前記通信相手装置との間の距離に基づいて、前記パケットの送受信に利用する前記転送装置を選択するステップと、
    前記移動端末が、前記選択した転送装置に移動端末の移動先の位置を示す端末気付アドレスを通知するステップと、
    前記移動端末が、前記通信相手装置に前記選択した転送装置の位置を示すアドレスを通知するステップと
    を有することを特徴とする通信方法。
  23. 前記移動端末は、前記転送装置に関する情報を記憶しており、
    前記選択するステップにおいて、前記記憶している転送装置の中で、該転送装置と前記通信相手装置との間の距離が最も短い転送装置を、前記利用する転送装置として選択することを特徴とする請求項22に記載の通信方法。
  24. 前記移動端末が、前記転送装置と前記通信相手装置との間の距離を取得するステップを有し、
    前記選択するステップにおいて、前記取得した距離に基づいて、前記利用する転送装置を選択することを特徴とする請求項22又は23に記載の通信方法。
  25. 前記移動端末が、前記転送装置を検出するステップを有することを特徴とする請求項21乃至23のいずれか1項に記載の通信方法。
  26. 移動端末が、パケットを転送する転送装置を介して通信相手装置と前記パケットを送受信する通信方法であって、
    前記移動端末が、前記転送装置と前記通信相手装置との間の距離に基づいて、前記パケットの送受信に利用する前記転送装置を選択するステップと、
    前記移動端末が、前記選択した転送装置を介して前記通信相手装置にパケットを送信するステップと
    を有することを特徴とする通信方法。
  27. 前記移動端末は、前記転送装置に関する情報を記憶しており、
    前記選択するステップにおいて、前記記憶している転送装置の中で、該転送装置と前記通信相手装置との間の距離が最も短い転送装置を、前記利用する転送装置として選択することを特徴とする請求項26に記載の通信方法。
  28. 前記移動端末が、前記転送装置と前記通信相手装置との間の距離を取得するステップを有し、
    前記選択するステップにおいて、前記取得した距離に基づいて、前記利用する転送装置を選択することを特徴とする請求項26又は27に記載の通信方法。
  29. 前記移動端末が、前記転送装置を検出するステップを有することを特徴とする請求項26乃至29のいずれか1項に記載の通信方法。
  30. パケットを転送する転送装置を介して通信相手装置と前記パケットを送受信する移動端末に、
    前記転送装置と前記通信相手装置との間の距離に基づいて、前記パケットの送受信に利用する前記転送装置を選択する選択手段と、
    該選択手段が選択した転送装置に移動端末の移動先の位置を示す端末気付アドレスを通知し、前記通信相手装置に前記選択した転送装置の位置を示すアドレスを通知する通知手段として機能させるためのプログラム。
  31. パケットを転送する転送装置を介して通信相手装置と前記パケットを送受信する移動端末に、
    前記転送装置と前記通信相手装置との間の距離に基づいて、前記パケットの送受信に利用する前記転送装置を選択する選択手段と、
    該選択手段が選択した転送装置を介して前記通信相手装置にパケットを送信するように制御する制御手段として機能させるためのプログラム。
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