JP2004126542A - 電子写真用感光体製造方法、及び電子写真感光体、並びにそれを用いた電子写真装置 - Google Patents

電子写真用感光体製造方法、及び電子写真感光体、並びにそれを用いた電子写真装置 Download PDF

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Abstract

【課題】感光体表面に球状突起と呼ばれる異常成長部分が存在しても、それが画像上に現れず、画像欠陥を大幅に改善させることができる電子写真感光体製造方法、それによって製造された電子写真感光体、および電子写真装置を提供する。
【解決手段】第1の成膜炉内に導電性の表面を有する円筒状基体を設置し、少なくとも原料ガスを高周波電力により分解し、該円筒状基体上に少なくとも、非単結晶材料からなる第1の層を堆積する工程と、第1の層を堆積した円筒状基体を第1の成膜炉から取り出す工程と、第2の成膜炉内に該第1の層を堆積した円筒状基体を設置し、少なくとも原料ガスを高周波電力により分解し、該第1の層上に非単結晶材料から成る上部阻止層を含む第2の層を再び堆積させる工程とを有することを特徴とする電子写真感光体の製造方法及び該感光体、ならびに該感光体を用いた電子写真装置。
【選択図】 図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、画像欠陥の少なく帯電能が高くて濃度が濃い、良好な画像形成を長期間維持することができるアモルファスシリコン電子写真感光体を安価に製造する方法、及びその電子写真感光体、並びに電子写真装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
固体撮像装置、あるいは像形成分野における電子写真用電子写真感光体や原稿読み取り装置における光導電層を形成する材料として、高感度でSN比[光電流(Ip)/(Id)]が高く、照射する電磁波のスペクトル特性にマッチングした吸収スペクトル特性を有すること、光応答性が速く、所望の暗抵抗値を有すること、使用時において人体に無公害であること、さらには固体撮像装置においては、残像を所定時間内に容易に処理することができる等の特性が要求される。特に事務機としてオフィスで使用される電子写真感光体の場合には、上記の使用時における無公害性は重要な点である。
【0003】
この様な観点に立脚して注目されている材料に、水素やハロゲン原子等の一価の元素でダングリングボンドが修飾されたアモルファスシリコン(以後、「a−Si」と表記する)があり、例えば電子写真用電子写真感光体への応用がある(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
従来、導電性支持体上にa−Siからなる電子写真感光体を形成する方法として、スパッタリング法、熱により原料ガスを分解する方法(熱CVD法)、光により原料ガスを分解する方法(光CVD法)、プラズマにより原料ガスを分解する方法(プラズマCVD法)等多数知られている。なかでもプラズマCVD法、すなわち、原料ガスを直流または高周波、マイクロ波などのグロー放電によって分解し、導電性基体上に堆積膜を形成する方法は電子写真感光体の形成方法等、現在実用化が非常に進んでいる。
【0005】
このような堆積膜の層構成として、従来から行われてきたa−Siを母体とし、適宜修飾元素を添加した電子写真感光体に加えて、更に表面側に阻止能を持った、いわゆる表面層や上部阻止層を積層する構成も提案されている。
【0006】
例えば、光導電層と表面層との間に、炭素原子の含有量を表面層より減らし、伝導性を制御する原子を含有させた中間層(上部阻止層)を設けた感光体が開示されている(例えば、特許文献2参照)。
【0007】
【特許文献1】
特開昭54−86341号公報
【特許文献2】
特開平8−15882号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
このような従来の電子写真感光体形成方法により、ある程度実用的な特性と均一性を持つ電子写真感光体を得ることが可能になった。また真空反応容器内の清掃を厳格に行えば、ある程度欠陥の少ない電子写真感光体を得ることは可能である。しかし、これら従来の電子写真感光体の製造方法では、例えば電子写真用電子写真感光体のように大面積で比較的厚い堆積膜が要求される製品については、均一膜質で光学的及び電気的諸特性の要求を満足し、かつ電子写真プロセスにより画像形成時に画像欠陥の少ない堆積膜を高収率で得るのは難しいという問題がある。
【0009】
特に、a−Si膜は基体表面に数μmオーダーのダストが付着していた場合、成膜中にそのダストを核として異常成長、いわゆる「球状突起」が成長してしまうという性質を持っている。球状突起はダストを起点とした円錐形を逆転させた形をしており、正常堆積部分と球状突起部分の界面では局在準位が非常に多いために低抵抗化し、帯電電荷が界面を通って支持体側に抜けてしまうという性質を持っている。このため、球状突起のある部分は、画像上ではべた黒画像で白い点となって現れる(反転現像の場合はべた白画像に黒い点となって現れる)。このいわゆる「ポチ」と呼ばれる画像欠陥は年々規格が厳しくなっており、大きさによってはA3用紙に数個存在していても不良として扱われることがある。さらには、カラー複写機に搭載される場合にはさらに規格は厳しくなり、A3用紙に1個存在していても不良となる場合がある。
【0010】
この球状突起は、ダストを起点としているため、使用する支持体は成膜前に精密に洗浄され、成膜装置に設置する行程は全てクリーンルームあるいは真空下で作業が行われる。このようにして、成膜開始前に支持体上に付着するダストは極力少なくするよう努力されてきており、効果を上げてきた。しかし、球状突起の発生原因は支持体上に付着したダストのみではない。すなわち、a−Si感光体を製造する場合、要求される膜厚が数μmから数10μmと非常に厚いため、成膜時間は数時間から数十時間に及ぶ。この間に、a−Si膜は支持体のみではなく、成膜炉壁や成膜炉内の構造物にも堆積する。これらの炉壁、構造物は支持体のように管理された表面を有していないため、場合によっては密着力が弱く、長時間に渡る成膜中に膜剥がれを起こす場合があった。成膜中に僅かでも剥がれが発生すると、それがダストとなり、堆積中の感光体表面に付着し、これが起点となって球状突起の異常成長が発生してしまう。従って、高い歩留まりを維持していくためには、成膜前の支持体の管理のみならず、成膜中における成膜炉内の膜剥がれの防止についても慎重な管理が必要とされ、a−Si感光体の製造を難しいものにしていた。
【0011】
本発明の目的は、このような従来の電子写真感光体における諸問題を、電気的特性を犠牲にすることなく解決し、安価に安定して歩留まり良く製造し得る、画像欠陥が少なく高画質の使いやすい電子写真感光体の製造方法及びその電子写真感光体、並びに電子写真装置を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明は、非単結晶材料からなる層を含む電子写真感光体の製造方法において、第1ステップとして、排気手段と原料ガス供給手段を備えた真空気密可能な第1の成膜炉内に円筒状基体を設置し、少なくとも原料ガスを高周波電力により分解し、該基体の導電性上に少なくとも非単結晶材料からなる第1の層を堆積した基体を製造する工程と、第2ステップとして、第1の層を堆積した基体を第2の成膜炉に移す工程と、第3ステップとして、第2の成膜炉内で少なくとも原料ガスを高周波電力により分解し、該第1の層上に更に少なくとも非単結晶材料から成る上部阻止層を含む第2の層を再び堆積させる工程とを有することを特徴とする電子写真感光体の製造方法に関する。
【0013】
第1ステップにおいては、堆積速度が早くかつ膜質均一性に優れるVHF帯を採用したプラズマCVD方式(VHF−PCVD法)を採用し、第3ステップにおいては低レートで密着性が良いRF帯を採用したプラズマCVD方式(RF−PCVD法)を採用することが、画像欠陥低減と感光体特性の両面からより好ましい。
【0014】
第2ステップにおいて、前記第1の層を積層した基体を一旦、前記成膜炉から大気中に取り出してもよく、また、前記第1の層を積層した基体の表面に対して研磨などの加工を行う工程を含むことがより好ましい。さらに、第2ステップと第3ステップの間で該導電性の表面を有する基体の設定温度を変更してもよく、さらにその間に該基体の検査を行うとさらに良い。具体的には、外観検査、画像検査、電位検査などである。さらに検査後、水による洗浄を行うことにより、その後上部阻止層を成膜した際の密着性が向上し、膜剥がれに対するラチチュードが非常に広くなる。
【0015】
本発明者らは、非単結晶材料からなる感光体、特にa−Si感光体における球状突起に起因する画像欠陥の改善を検討してきた。特に、成膜途中に成膜炉壁や炉内の構造物からの膜剥がれによって発生する球状突起による画像欠陥を防止できないか鋭意努力してきた。
【0016】
前述のように、球状突起がポチのような画像欠陥になるのは、堆積膜の正常堆積部分と球状突起部分の界面に局在準位が多く、そこが低抵抗化し、帯電電荷が界面を通って支持体側に抜けてしまうからである。ところが、成膜途中に付着したダストによって発生する球状突起は基板からではなく堆積膜の途中から成長しているため、表面側に何らかの阻止層を設けて帯電電荷の注入を防止すれば、たとえ球状突起が存在しても画像欠陥にはならない可能性がある。
【0017】
そこで、本発明者らは、堆積膜の途中から球状突起が成長する成膜条件を選び、この条件で作成した基体の表面に上部阻止層を設ける実験を行った。ところが予想に反して球状突起からの電荷の注入は防止できず、画像欠陥が発生してしまうことが判明した。
【0018】
この原因を調べるため、球状突起の断面を削りだし、SEM(走査型電子顕微鏡)で詳細に観察を行った。その様子を図1に示す。図において、101は導電性基体、102は第1の層の正常堆積部分、103は球状突起、104は成膜中に付着したダスト、105は上部阻止層、106は球状突起部分と正常堆積部分の境界である。図1から分かるように、球状突起103は第1の層102の正常堆積部分の途中から、ダスト104を起点として成長しており、球状突起103と正常堆積部分の間には境界106が存在している。帯電電荷はこの境界を通って支持体側に抜けてしまうため、画像上でポチの原因となる。この球状突起103上に上部阻止層105を堆積しても、上部阻止層105はそれまでに成長した球状突起103の成長パターンを維持して堆積されるため、上部阻止層105にも境界106ができてしまう。その結果、帯電電荷はこの境界を通り抜けてしまい、上部阻止層としての機能が失われてしまうのである。
【0019】
そこで、本発明者らは、上部阻止層105を積層する際に境界106の成長を防止する検討を鋭意行った結果、第1の層の堆積と第2の層の堆積とで、異なる成膜方法で堆積させることで、この境界106の成長が抑えられることを発見した。
【0020】
すなわち、上部阻止層を成膜する前に第1の成膜炉から一旦基体を取り出し、新たに第2の成膜炉に移してその後に上部阻止層を堆積すると、この境界の成長が抑えられるのである。特に、第1の成膜炉にVHF−PCVD法等の高真空系成膜方法を採用し、第2の成膜炉にRF−PCVD法の低レート系成膜方法を採用することがより好ましいことが分かった。
【0021】
この状況を調べるため、再び球状突起の断面を削りだし、SEM(走査型電子顕微鏡)で断面観察を行った。その結果を図2に示す。球状突起203はこれまでと同様に第1の層202の正常堆積部分の成膜途中に付着したダスト204を起点として成長を開始している。しかし、今回の感光体で異なるのは、上部阻止層205を堆積した際、境界部分205がそれまでの球状突起203の境界部分からとぎれていることである。すなわち、VHF−PCVD法の第1の成膜炉で第1の層202を成膜し、一旦第1の成膜炉から取り出し、その後RF−PCVD法の第2の成膜炉内に戻して上部阻止層205を成膜した際、その成長面が不連続になったものと推定される。その結果、抵抗の低い球状突起部分203と正常堆積部分の境界が上部阻止層205で封止されて、帯電電荷が通り抜けにくくなり、画像欠陥が抑えられるのである。
【0022】
第1の層202の表面に起こる変化の詳細については現在不明であるが、VHF−PCVD法等の高真空成膜法とRF−PCVD法では成膜圧力が大きく異なるために、電子温度に差ができる。そのために、堆積膜の成長機構に差が生じ、結果的に境界106の成長が抑えられると考えられる。特にRF−PCVD法において低レート化することで、カバレージがよくなり突起部の境界のような影になりやすいところにも堆積膜が形成されるために、画像欠陥が抑えることができると考えられる。
【0023】
更に球状突起203から帯電電荷のすり抜けを防止するには、第1の層202を形成した後に球状突起203の頭頂部を研磨して平坦化することが効果的であることが判明した。
【0024】
図3に、第1の層302を成膜した後、球状突起303の頭頂部を研磨により平坦化し不連続な積層界面が形成された電子写真用感光体の一例を示す。球状突起303は第1の層302の正常堆積部分の成膜途中に付着したダスト304を起点として成長を開始している。しかし、球状突起303の頭頂部は上部阻止層305を堆積する前に研磨手段により研磨され、平坦化されている。このため、その後に成膜される上部阻止層305は境界部分306をまったく引き継がず、平坦化された表面上に均一に堆積されている。このように、積層界面を平坦化し、積層界面を明確な不連続界面になるように、第1の層202を研磨手段により平坦化した後に上部阻止層305を積層した場合の方がより完全に球状突起部分303と第1の層302の正常堆積部分の間の境界306が封止されるため、より帯電電荷が通り抜けにくくなり、画像欠陥を抑制する効果もより高まることとなる。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、必要に応じて図面を参照しつつ、本発明を詳細に説明する。
【0026】
<本発明に係わるa−Si感光体>
図4に本発明に係わる電子写真感光体の一例を示す。
【0027】
本発明の電子写真感光体は、例えばAl、ステンレス等の導電性材料からなる基体401上に、第1ステップとして第1の成膜炉において第1の層402を積層し、第2ステップとして第1の層を積層した基体を第1の成膜炉から取り出し第2の成膜炉に移し、第3ステップとして、第2の成膜炉で上部阻止層406を含む第2の層403を積層したものである。このように製造することによって、第1の層中から発生している球状突起408を覆うように上部阻止層406を堆積することができ、たとえ球状突起408が存在しても画像には現れず、良好な画質を保つことが可能となる。本発明においては第1の層402には光導電層405が含まれる。光導電層405の材料としてa−Siが用いられる。また、上部阻止層406の材料としてa−Siを母体とし、必要に応じて炭素、窒素、酸素を含有した層が用いられる。
【0028】
尚、第1の層402には必要に応じて更に下部阻止層404を設けてもよい。下部阻止層404を設け、13族元素および15族元素等をドーパントとして選択して含有させることにより、正帯電、負帯電といった帯電極性の制御も可能となる。
【0029】
ドーパントとなる第13族原子としては、具体的には、硼素(B)、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)、インジウム(In)、タリウム(Tl)等があり、特にB、Alが好適である。第15族原子としては、具体的には燐(P)、砒素(As)、アンチモン(Sb)、ビスマス(Bi)等があり、特にPが好適である。
【0030】
また、第2の層403には、上部阻止層406の上に必要に応じて更に表面層407を設けてもよい。表面層407はa−Siを母体とし、必要に応じて炭素、窒素、酸素の少なくとも1つを比較的多量に含有した層が用いられ、耐環境性、耐摩耗性や耐傷性を向上させることができる。
【0031】
さらに、第1の層402として少なくとも光導電層405の第1の領域を堆積させ、次に第2の層として少なくとも光導電層の第2の領域と上部阻止層406を堆積させることもできる。
【0032】
<本発明に係わる基体の形状及び材質>
基体401の形状は電子写真感光体の駆動方式などに応じた所望のものとしてよい。例えば、平滑表面あるいは凹凸表面の円筒状または板状無端ベルト状であることができ、その厚さは、所望通りの電子写真用感光体を形成し得るように適宜決定するが、電子写真用感光体としての可撓性が要求される場合には、シリンダーとしての機能が充分発揮できる範囲内で可能な限り薄くすることができる。しかしながら、シリンダーは製造上および取り扱い上、機械的強度等の点から通常は10μm以上が好ましい。
【0033】
基体材質としては上記Alやステンレス等の導電性材料が一般的であるが、例えば各種のプラスチックやガラス、セラミックス等、特には導電性を有しないものにこれら導電性材料を少なくとも光受容層を形成する側の表面に蒸着するなどして導電性を付与したものも用いることができる。
【0034】
導電性材料としては上記の他、Cr、Mo、Au、In、Nb、Te、V、Ti、Pt、Pd、Fe等の金属、およびこれらの合金が挙げられる。
【0035】
上記プラスチックとしてはポリエステル、ポリエチレン、ポリカーボネート、セルロースアセテート、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリアミド等のフィルムまたはシートが挙げられる。
【0036】
<本発明に係わる第1の層>
第1の層402としては、本発明ではシリコン原子を母体とし、更に水素原子及び/又はハロゲン原子を含む非晶質材料(「a−Si(H,X)」と略記する)で構成される。
【0037】
a−Si膜は、プラズマCVD法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等によって形成可能であるが、プラズマCVD法を用いて作製した膜は特に高品質の膜が得られるため好ましい。
【0038】
とくに、第1の層は、電子写真感光体の中で最も厚い層厚が必要とされ、かつ膜質の均一性が要求されるために、高真空化でのプラズマが可能なVHF帯を用いたプラズマCVD方式が用いられる。
【0039】
原料としてはSiH、Si、Si、Si10等のガス状態のまたはガス化し得る水素化珪素(シラン類)を原料ガスとして用い、高周波電力で分解することによって作製可能である。更に層作製時の取り扱い易さ、Si供給効率の良さ等の点でSiH、Siが好ましいものとして挙げられる。
【0040】
このとき、基体の温度は、200℃〜450℃、より好ましくは250℃〜350℃程度に保つことが特性上好ましい。これは基体表面での表面反応を促進させ、充分に構造緩和をさせるためである。
【0041】
反応容器内の圧力も同様に層設計にしたがって最適範囲が適宜選択されるが、通常の場合1×10−2〜1×10Pa、好ましくは5×10−2〜5×10Pa、最適には1×10−1〜1×10Paとするのが好ましい。
【0042】
また、これらのガスに更にHあるいはハロゲン原子を含むガスを所望量混合して層形成することも特性向上の点で好ましい。ハロゲン原子供給用の原料ガスとして有効なのは、弗素ガス(F)、BrF、ClF、ClF、BrF、BrF、IF、IF等のハロゲン間化合物を挙げることができる。ハロゲン原子を含む珪素化合物、いわゆるハロゲン原子で置換されたシラン誘導体としては、具体的には、たとえばSiF、Si等の弗化珪素が好ましいものとして挙げることができる。また、これらの炭素供給用の原料ガスを必要に応じてH、He、Ar、Ne等のガスにより希釈して使用してもよい。
【0043】
第1の層402の層厚は特に限定はないが、製造コストなどを考慮すると15〜50μm程度が適当である。
【0044】
更に、特性を向上させる為に第1の層402を複数の層構成にしても良い。例えばよりバンドギャップの狭い層を表面側に、よりバンドギャップの広い層を基板側に配置することで光感度や帯電特性を同時に向上させることができる。特に、半導体レーザーの様に、比較的長波長であって且つ波長ばらつきのほとんどない光源に対しては、こうした層構成の工夫によって画期的な効果が現れる。
【0045】
必要に応じて設けられる下部阻止層404は、一般的にa−Si(H,X)をベースとし、13族元素、15族元素等のドーパントを含有させることにより伝導型を制御し、基体からのキャリアの注入阻止能を持たせることが可能である。この場合、必要に応じて、C、N、Oから選ばれる少なくとも1つ以上の元素を含有させることで応力を調整し、感光層の密着性向上の機能を持たせることができる。
【0046】
下部阻止層404のドーパントとして用いられる13族元素、15族元素は前述したものが用いられる。また、第13族原子導入用の原料物質として具体的には、硼素原子導入用として、B、B10、B、B11、B10、B12、B14等の水素化硼素、BF、BCl、BBr等のハロゲン化硼素等が挙げられる。この他、AlCl、GaCl、Ga(CH、InCl、TlCl等も挙げることができる。中でもBは取り扱いの面からも好ましい原料物質の一つである。
【0047】
第15族原子導入用の原料物質として有効に使用されるのは、燐原子導入用として、PH、P等の水素化燐、PF、PF、PCl、PCl、PBr、PI等のハロゲン化燐、さらにPHI等が挙げられる。この他、AsH、AsF、AsCl、AsBr、AsF、SbH、SbF、SbF、SbCl、SbCl、BiH、BiCl、BiBr等が第15族原子導入用の出発物質の有効なものとして挙げられる。
【0048】
ドーパントの原子の含有量としては、好ましくは1×10−2〜1×10原子ppm、より好ましくは5×10−2〜5×10原子ppm、最適には1×10−1〜1×10原子ppmとされるのが望ましい。
【0049】
<本発明に係わる第2の層>
本発明に関わる第2の層403は、第1の層402が形成された後に、一旦放電を止めて第1の成膜炉から第2の成膜炉に移し替えて堆積される。
【0050】
第2の層の形成には、低レートで密着性が良いRF帯を用いたプラズマCVD方式を用いることが好ましい。
【0051】
成膜炉の移し替えは、第1の層402を形成後、真空を保ったまま成膜炉から基体を取り出しても良いし、成膜炉から基体を取り出し酸素および水蒸気を含むガスと接触させてもよい。酸素および水蒸気を含むガスとしては、通常の環境下の空気である大気を用いることができる。即ち、接触させるガスは、少なくとも酸素と水蒸気を含み、必要により窒素ガス等の不活性ガスを含んでいるものである。酸素は全ガス中に例えば5体積%以上程度含むものが好ましい。また水蒸気を加えた純酸素でもよいが、通常は空気程度の酸素含有量で充分である。また、水蒸気は、室温25℃における相対湿度が、例えば1%以上、好ましくは10%以上程度になるように添加されていればよい。通常の条件においては、環境下の空気である大気を用いることが、工程上も簡単であるので好ましい。また、このとき表面に存在する球状突起の頭頂部を研磨手段により研磨し、平坦にすることが好ましい。このような加工は後述する表面研磨装置により行うことができる。球状突起を平坦化することによって電荷のすり抜けをより効果的に防止できると共に、球状突起によるクリーニングブレードの欠けやクリーニング不良を防止でき、また、球状突起を起点とする融着の発生も防止することができる。
【0052】
また、成膜炉から第1の層を形成した基体を取り出した際に、必要に応じて基体の外観検査や特性評価を行うことも有意義である。この時点で検査を行うことで、品質不良の基体については後の工程を省略することができ、全体としてコストの低減を図ることができる。
【0053】
さらに、成膜炉に再度設置する前に、第1の層を形成した基体を洗浄することは、第2の層403の密着性向上やダスト付着低減のために望ましい。具体的な洗浄方法としては、清浄な布や紙で表面を拭き取る洗浄、望ましくは有機洗浄や水洗浄などにより精密洗浄をする方が望ましい。特に、近年の環境に対する配慮からは後述する水洗浄装置による水洗浄がより好ましい。
【0054】
本発明の第2の層403には上部阻止層406が含まれる。上部阻止層406は、感光体が一定極性の帯電処理をその自由表面に受けた際、表面側より第1の層側に電荷が注入されるのを阻止する機能を有し、逆の極性の帯電処理を受けた際にはそのような機能は発揮されない、いわゆる極性依存性を有している。そのような機能を付与するために、上部阻止層406には伝導性を制御する原子を適切に含有させることが必要である。そのような目的で用いられる原子としては、本発明においてはp型伝導特性を与える第13族原子、あるいはn型伝導特性を与える第15族原子を用いることができる。このような第13族原子として、具体的には硼素(B)、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)、インジウム(In)、タリウム(Tl)等があり、特に硼素が好適である。第15族原子として、具体的にはリン(P)、砒素(As)、アンチモン(Sb)、ビスマス(Bi)等があり、特にリンが好適である。
【0055】
上部阻止層406に含有される伝導性を制御する原子の必要な含有量は、上部阻止層406の組成や製造方法を考慮して適宜変更することが好ましいが、一般的にはネットワーク構成原子に対して100原子ppm以上、30000原子ppm以下とされ、500原子ppm以上、10000原子ppm以下とすることが更に好ましい。
【0056】
上部阻止層406に含有される伝導性を制御する原子は、上部阻止層406中に万偏なく均一に分布されていても良いし、あるいは層厚方向に不均一に分布する状態で含有していてもよい。しかしながら、いずれの場合にも基体の表面と平行面内方向においては、均一な分布で万偏なく含有されることが面内方向における特性の均一化を図る点からも必要である。
【0057】
上部阻止層406は、a−Si系の材料であればいずれの材質でも可能であるが、後述する表面層407と同様の材料で構成することが好ましい。すなわち、「a−SiC:H,X」、「a−SiO:H,X」、「a−SiN:H,X」、「a−SiCON:H,X」等の材料が好適に用いられる。上部阻止層406に含有される炭素原子または窒素原子または酸素原子は、該層中に万偏なく均一に分布されても良いし、あるいは層厚方向に不均一に分布する状態で含有していてもよい。しかしながら、いずれの場合にも基体の表面と平行面内方向においては、均一な分布で万偏なく含有されることが面内方向における特性の均一化を図る点からも必要である。
【0058】
本発明における上部阻止層406の全層領域に含有される炭素原子および/または窒素原子および/または酸素原子の含有量は、本発明の目的が効果的に達成されるように適宜決定されるが、1種類の場合はその量として、2種類以上の場合はその総和量として、シリコンとの総和に対して10%から70%の範囲とするのが好ましい。
【0059】
また、本発明においては上部阻止層406に水素原子および/またはハロゲン原子が含有されることが必要であるが、これはシリコン原子の未結合手を補償し、層品質の向上、特に光導電性特性および電荷保持特性を向上させるために必須不可欠である。水素含有量は、構成原子の総量に対して通常の場合30〜70原子%、好適には35〜65原子%、最適には40〜60原子%とするのが望ましい。また、ハロゲン原子の含有量として、通常の場合は0.01〜15原子%、好適には0.1〜10原子%、最適には0.5〜5原子%とするのが望ましい。
【0060】
上部阻止層406の膜厚は効果的に球状突起408による画像欠陥を防止できる膜厚に調整される。球状突起408を表面側から見た場合の大きさには様々なものがあるが、直径の大きいものほど電荷の注入度合いが大きく、画像に出やすいという性質がある。従って、上部阻止層406の膜厚も大きな球状突起ほど厚くすることが効果的である。具体的には、第2の層を堆積した後の基体上に存在する最大の球状突起の直径に対して10−4倍以上の厚さとすることが望ましい。この範囲の厚さとすることで球状突起408からの電荷のすり抜けを効果的に防止することができる。また、膜厚の上限は1μm以下とすることが、感度低下を最小限に抑えるという観点から望ましい。
【0061】
第1の層402と第2の層403の密着性を向上させるために、第1の層402の組成と同等な層を上部阻止層406との間に設けることは有効である。
【0062】
さらに、上部阻止層406は第1の層402側から表面層407に向かって組成を連続的に変化させることも好ましく、密着性の向上だけでなく干渉防止等に効果がある。
【0063】
本発明の目的を達成し得る特性を有する上部阻止層406を形成するには、Si供給用のガスとCおよび/またはNおよび/またはO供給用のガスとの混合比、反応容器内のガス圧、放電電力ならびに基体の温度を適宜設定することが必要である。
【0064】
上部阻止層の形成において使用されるシリコン(Si)供給用ガスとなり得る物質としては、SiH、Si、Si、Si10等のガス状態の、またはガス化し得る水素化珪素(シラン類)が有効に使用されるものとして挙げられ、更に層作成時の取り扱い易さ、Si供給効率の良さ等の点でSiH、Siが好ましいものとして挙げられる。また、これらのSi供給用の原料ガスを必要に応じてH、He、Ar、Ne等のガスにより希釈して使用してもよい。
【0065】
炭素供給用ガスとなり得る物質としては、CH、C、C、C、C10等のガス状態の、またはガス化し得る炭化水素が有効に使用されるものとして挙げられ、更に層作成時の取り扱い易さ、C供給効率の良さ等の点でCH、C、Cが好ましいものとして挙げられる。また、これらのC供給用の原料ガスを必要に応じてH、He、Ar、Ne等のガスにより希釈して使用してもよい。
【0066】
窒素または酸素供給用ガスとなり得る物質としては、NH、NO、NO、NO、O、CO、CO、N等のガス状態の、またはガス化し得る化合物が有効に使用されるものとして挙げられる。また、これらの窒素、酸素供給用の原料ガスを必要に応じてH、He、Ar、Ne等のガスで希釈して使用してもよい。
【0067】
反応容器内の圧力も同様に層設計に従って最適範囲が適宜選択されるが、通常の場合1×10−2〜1×10Pa、好ましくは5×10−2〜5×10Pa、最適には1×10−1〜1×10Paとするのが好ましい。
【0068】
さらに、基体の温度は層設計にしたがって最適範囲が適宜選択されるが、通常の場合好ましくは150〜350℃、より好ましくは180〜330℃、最適には200〜300℃とするのが望ましい。
【0069】
本発明においては、上部阻止層406を形成するための希釈ガスの混合比、ガス圧、放電電力、基体温度等の層作成ファクターは通常は独立的に別々に決められるものではなく、所望の特性を有する感光体を形成すべく相互的かつ有機的関連性に基づいて各層作成ファクターの最適値を決めるのが望ましい。
【0070】
本発明では、第2の層403には必要に応じて、上部阻止層406の上にさらに非単結晶材料、特にa−Si系の材料で形成された表面層407を設けてもよい。この表面層407は自由表面を有し、主に耐湿性、連続繰り返し使用特性、電気的耐圧性、使用環境特性、耐久性の改善に効果が得られる。
【0071】
a−Si系の表面層407は、第1の層を構成する光導電層405と上部阻止層406および表面層407とを形成する非晶質材料の各々がシリコン原子という共通の構成要素を有しているので、積層界面において化学的な安定性の確保が十分成されている。表面層407の材質としてa−Si系の材料を用いる場合は、炭素、窒素、酸素より選ばれた元素を少なくとも1つ含むシリコン原子との化合物が好ましく、特にa−SiCを主成分としたものが好ましい。
【0072】
表面層407が炭素、窒素、酸素のいずれか一つ以上を含む場合、これらの原子の含有量はネットワークを構成する全原子に対して30〜90%の範囲が好ましい。
【0073】
また、表面層407中に少なくとも水素原子および/またはハロゲン原子が含有されるが、これはシリコン原子の未結合手を補償し、層品質の向上、特に光導電性特性および電荷保持特性を向上させるために必須不可欠である。水素含有量は、構成原子の総量に対して通常の場合30〜70原子%、好適には35〜65原子%、最適には40〜60原子%とするのが望ましい。また、弗素原子の含有量として、通常の場合は0.01〜15原子%、好適には0.1〜10原子%、最適には0.5〜5原子%とするのが望ましい。
【0074】
これらの水素および/または弗素含有量の範囲内で形成される感光体は、実際面において優れたものとして充分適用させ得るものである。すなわち、表面層407内に存在する欠陥(主にシリコン原子や炭素原子のダングリングボンド)は、電子写真感光体としての特性に悪影響を及ぼすことが知られている。例えば自由表面から電荷の注入による帯電特性の劣化、使用環境、例えば高い湿度のもとで表面構造が変化することによる帯電特性の変動、更にコロナ帯電時や光照射時に光導電層より表面層に電荷が注入され、前記表面層内の欠陥に電荷がトラップされることによる繰り返し使用時の残像現象の発生等が、この悪影響として挙げられる。
【0075】
しかしながら、表面層407内の水素含有量を30原子%以上に制御することで表面層内の欠陥が大幅に減少し、その結果、従来に比べて電気的特性面及び高速連続使用性において向上を図ることができる。一方、表面層407中の水素含有量が70原子%を越えると表面層の硬度が低下するために、繰り返し使用に耐えられなくなる。従って、水素含有量を前記の範囲内に制御することが優れた所望の電子写真特性を得る上で重要な因子の1つである。表面層407中の水素含有量は、原料ガスの流量(比)、基体温度、放電パワー、ガス圧等によって制御し得る。
【0076】
また、前記表面層407中の弗素含有量を0.01原子%以上の範囲に制御することで表面層内のシリコン原子と炭素原子との結合の発生をより効果的に達成することが可能となる。さらに、弗素原子の働きとして、コロナ等のダメージによるシリコン原子と炭素原子との結合の切断を効果的に防止することができる。
【0077】
一方、前記表面層407中の弗素含有量が15原子%を超えると表面層内のシリコン原子と炭素原子との結合の発生の効果およびコロナ等のダメージによるシリコン原子と炭素原子との結合の切断を防止する効果がほとんど認められなくなる。さらに、過剰の弗素原子が表面層中のキャリアの走行性を阻害するため、残留電位や画像メモリーが顕著に認められてくる。従って、弗素含有量を前記範囲内に制御することが所望の電子写真特性を得る上で重要な因子の1つである。前記表面層407中の弗素含有量は、水素含有量と同様に原料ガスの流量(比)、基体温度、放電パワー、ガス圧等によって制御し得る。
【0078】
さらに本発明においては、表面層407には必要に応じて伝導性を制御する原子を含有させてもよい。伝導性を制御する原子は、表面層中に万偏なく均一に分布した状態で含有されても良いし、あるいは層厚方向には不均一な分布状態で含有している部分があってもよい。
【0079】
前記の伝導性を制御する原子としては、半導体分野における、いわゆる不純物を挙げることができ、p型伝導特性を与える第13族原子、またはn型伝導特性を与える第15族原子を用いることができる。
【0080】
表面層407の層厚としては、表面層の磨耗などの理由および残留電位の増加等の点から通常0.01〜3μm、好適には0.05〜2μm、最適には0.1〜1μmとされるのが望ましい。
【0081】
本発明の目的を達成し得る特性を有する表面層407を形成するには、基体の温度、反応容器内のガス圧を所望により適宜設定する必要がある。基体温度(Ts)は、層設計にしたがって最適範囲が適宜選択されるが、通常の場合、好ましくは150〜350℃、より好ましくは180〜330℃、最適には200〜300℃とするのが望ましい。
【0082】
反応容器内の圧力も同様に層設計にしたがって最適範囲が適宜選択されるが、通常の場合1×10−2〜1×10Pa、好ましくは5×10−2〜5×10Pa、最適には1×10−1〜1×10Paとするのが好ましい。
【0083】
表面層の形成に使用される原料ガスとしては、上部阻止層の形成に用いられる原料ガスを用いることができる。
【0084】
表面層407を形成するための基体温度、ガス圧の望ましい数値範囲として前記した範囲が挙げられるが、条件は通常は独立的に別々に決められるものではなく、所望の特性を有する感光体を形成すべく相互的且つ有機的関連性に基づいて最適値を決めるのが望ましい。
【0085】
<本発明に係わるa−Si感光体成膜装置>
図5は、第2の層形成を行うRF帯の高周波電源を用いたRFプラズマCVD法による感光体の堆積装置の一例を模式的に示した図であり、図6は、第1の層形成を行うVHF電源を用いたVHFプラズマCVD法による感光体の堆積装置の一例を模式的に示した図である。
【0086】
これらの装置は大別すると、堆積装置5100(6100)、原料ガスの供給装置5200、成膜炉5110内を減圧する為の排気装置(図示せず)から構成されている。なお、この装置は図5に示した堆積装置5100を図6の堆積装置6100に置き換えることで構成される。
【0087】
第1の層形成は、図6に示したVHFプラズマCVD法による感光体の堆積装置(第1の成膜炉)によって行なわれる。但し、印加する高周波電力は50M〜450MHz、例えば周波数105MHzのVHF電源により行い、圧力は13.3mPa〜1330Pa程度とRFプラズマCVD法よりも低めに保たれる。
【0088】
成膜装置6100の成膜炉6110内にはアースに接続された基体6112、基体の加熱用ヒーター6113、原料ガス導入管6114が設置され、更に高周波マッチングボックス6115を介して高周波電源6120が接続されている。原料ガス供給装置5200は、SiH、H、CH、NO、B、CF等の原料ガスボンベ5221〜5226とバルブ5231〜5236、5241〜5246、5251〜5256及びマスフローコントローラー5211〜5216から構成され、各構成ガスのボンベはバルブ5260を介して成膜炉6110内のガス導入管6114に接続されている。
【0089】
基体6112は導電性受け台6123の上に設置されることによってアースに接続される。
【0090】
以下、図6の装置を用いた感光体の形成方法の手順の一例について説明する。
【0091】
成膜炉6110内に基体6112を設置し、不図示の排気装置(例えば真空ポンプ)により成膜炉6110内を排気する。続いて基体加熱用ヒーター6113により基体6112の温度を200〜450℃、より好ましくは250〜350℃の所望の温度に制御する。次いで、感光体形成用の原料ガスを成膜炉5110内に流入させるにはガスボンベのバルブ5231〜5236、成膜炉のリークバルブ(不図示)が閉じられている事を確認し又、流入バルブ5241〜5246、流出バルブ5251〜5256、補助バルブ6260が開かれている事を確認し、メインバルブ6118を開いて成膜炉6110及びガス供給配管6116を排気する。
【0092】
その後、真空計6119の読みが0.5mPaになった時点で補助バルブ6260、流出バルブ5251〜5256を閉じる。その後ガスボンベ5221〜5226より各ガスをバルブ5231〜5236を開いて導入し圧力調整器5261〜5266により各ガス圧を0.2MPaに調整する。次に流入バルブ5241〜5246を徐々に開けて各ガスをマスフローコントローラー5211〜5216内に導入する。
【0093】
以上の手順によって成膜準備を完了した後、基体6112上に、まず第1の層、例えば光導電層の形成を行う。
【0094】
即ち、基体6112が所望の温度になったところで、各流出バルブ5251〜5256のうちの必要なものと補助バルブ6260とを徐々に開き、各ガスボンベ5221〜5226から所望の原料ガスをガス導入管6114を介して成膜炉6110内に導入する。次に、各マスフローコントローラー5211〜5216によって、各原料ガスが所望の流量になる様に調整する。その際、成膜炉6110内が13.3mPa〜1330Paの所望の圧力になる様に、真空計6119を見ながらメインバルブ6118の開口を調整する。内圧が安定したところで、高周波電源5120を所望の電力に設定して例えば、50〜450MHz、例えば周波数105MHzのVHF電源を用いて高周波電力を高周波マッチングボックス6115を通じてカソード電極6111に供給し高周波グロー放電を生起させる。この放電エネルギーによって成膜炉6110内に導入させた各原料ガスが分解され、基体6112上に所望のシリコン原子を主成分とする第1の層が堆積される。
【0095】
本装置においては支持体6112により取り囲まれた放電空間6130において、導入された原料ガスは、放電エネルギーにより励起されて解離し、支持体6112上に所定の堆積膜が形成される。この時、層形成の均一化を図るため支持体回転用モーター6120によって、所望の回転速度で回転させる。
【0096】
所望の膜厚の形成が行なわれた後、高周波電力の供給を止め、各流出バルブ5251〜5256を閉じて成膜炉6110への各原料ガスの流入を止め、第1の層の形成を終える。第1の層の組成や膜厚は公知のものを使用することができる。上記第1の層と基体の間に下部阻止層を形成する場合も基本的には上記の操作をあらかじめ行えばよい。
【0097】
上記の手順で第1の層まで成膜した基体は一旦、図6に示す第1の成膜炉から取り出し、図5に示す第2の成膜炉に移すことが重要である。成膜炉から取り出す場合には、同時に基体の剥がれ、球状突起などの外観検査を行っても良い。また、必要に応じて画像検査や電位特性検査なども行うことができる。
【0098】
画像検査や電位特性検査など、感光体がオゾンと接する検査を行った場合、第2の層の成膜を行う前に水洗浄あるいは有機洗浄を行うことが好ましいが、近年の環境への配慮から水洗浄がより好ましい。水洗浄の方法は後述する。このように第2の層成膜前に水洗浄を行うことで密着性を更に向上させることができる。
【0099】
大気に晒した基体は、第2の層形成を行うRF帯の高周波電源を用いたRFプラズマCVD法による感光体の堆積装置(第2の成膜炉)に戻され、上部阻止層を含む第2の層の成膜を行う。第2の層の成膜は原料ガスにCH、Cなどの炭化水素ガス、必要に応じてHなど希釈ガスを追加で用いる以外は基本的に第1の層の成膜に準じる。
【0100】
但し、印加する高周波電力は周波数1〜50MHz、例えば13.56MHzの高周波電力を高周波マッチングボックス5115を通じてカソード電極5111に供給し高周波グロー放電を生起させる。この放電エネルギーによって成膜炉5110内に導入させた各原料ガスが分解され、基体5112上に所望のシリコン原子を主成分とする第2の層が堆積される。その時、圧力は13.3Pa〜1330Pa程度とVHFプラズマCVD法よりも高めに保たれる。
【0101】
第2の層の組成や膜厚は公知のものを使用することができる。上記第2の層と第1の層の間の密着性を向上させるために、第1の層と同様の層を積層した後に第2の層を積層する場合も基本的には上記の操作をあらかじめ行えばよい。
【0102】
さらに、最表面には、Si含有ガス及び炭素含有ガスを用いて、SiC系の表面層を積層する。その場合も基本的には上記の操作を行えばよい。
【0103】
<本発明に係わる表面研磨装置>
図7に、本発明の電子写真用感光体の製造工程において、表面加工に際して利用される表面加工装置の一例、具体的には、表面加工として研磨を行う際に利用される表面研磨装置の一例を示す。図7に示す表面研磨装置の構成例において、加工対象物(円筒状の基体上の堆積膜表面)700は、その表面にa−Siからなる第1の層が堆積された円筒状の基体であり、弾性支持機構720に取り付けられる。図7に示す装置において、弾性支持機構720は例えば空気圧ホルダーが利用され、具体的にはブリジストン社製空気圧式ホルダー(商品名:エアーピック、型番:PO45TCA*820)が用いられる。加圧弾性ローラ730は、研磨テープ731を巻回して、加工対象物700のa−Si光導電層または中間層表面に押圧させる。研磨テープ731は、送り出しロール732から供給され、巻き取りロール733に回収される。その送り出し速度は、定量送り出しロール734とキャプスタンローラ735により調整され、また、その張力も調整されている。研磨テープ731には、通常ラッピングテープと呼ばれるものが好適に利用される。a−Si等の非単結晶材料の光導電層等の第1の層または上部阻止層等の中間層の表面を加工する際、ラッピングテープには、砥粒としてはSiC、Al、Feなどが用いられる。具体的には、富士フィルム社製ラッピングテープLT−C2000を用いた。加圧弾性ローラ730は、そのローラ部は、ネオプレンゴム、シリコンゴムなどの材質からなり、JISゴム硬度20〜80の範囲、より好ましくはJISゴム硬度30〜60の範囲とされている。また、ローラ部形状は、長手方向において中央部の直径が両端部の直径より若干太いものが好ましく、例えば両者の直径差が0.0〜0.6mmの範囲、より好ましくは0.2〜0.4mmの範囲となる形状が好適である。加圧弾性ローラ730は、回転する加工対象物(円筒状基体上の堆積膜表面)700に対して、加圧圧力0.05MPa〜0.2MPaの範囲で加圧しながら、研磨テープ731、例えば上記のラッピングテープを送り堆積膜表面の研磨を行う。
【0104】
なお、大気中で実施される表面研磨に対しては、前記研磨テープを利用する手段以外にバフ研磨のような湿式研磨の手段を利用することも可能である。また、湿式研磨の手段を利用する際には、研磨加工後、研磨に利用する液の洗浄除去を施す工程を設けるが、その際、表面を水と接触させ、洗浄する処理を併せて実施することができる。
【0105】
このように、例えば上記のようなアモルファスシリコンを含む積層界面を平坦化し、積層界面を不連続界面とすることにより、より完全に球状突起部分303と第1の層302の正常堆積部分の間の境界306が封止されるため、より帯電電荷が通り抜けにくくなり、画像欠陥を抑制する効果もより高まる感光体が得られる。
【0106】
<本発明に係わる水洗浄装置>
水洗浄に関しては、例えば特許第2786756号公報等に開示されている。本発明に用いることのできる水洗浄装置の一例を図8に示す。
【0107】
図8に示す処理装置は、処理部802と被処理部材搬送機構803よりなる。処理部802は、被処理部材投入台811、被処理部材洗浄槽821、純水接触槽831、乾燥槽841、被処理部材搬出台851よりなっている。洗浄槽821、純水接触槽831とも液の温度を一定に保つための温度調節装置(図示せず)が付いている。搬送機構803は、搬送レール865と搬送アーム861よりなり、搬送アーム861は、レール865上を移動する移動機構862、基体801を保持するチャッキング機構863及びチャッキング機構863を上下させるためのエアーシリンダー864よりなる。投入台811上に置かれた基体801は、搬送機構803により洗浄槽821に搬送される。洗浄槽821中の界面活性剤水溶液によりなる洗浄液822中で超音波処理されることにより表面に付着している油及び粉体の洗浄が行われる。次に基体801は、搬送機構803により純水接触槽831へ運ばれ、25℃の温度に保たれた抵抗率175kΩ・m(17.5MΩ・cm)の純水をノズル832から4.9MPaの圧力で吹き付けられる。純水接触工程の終わった基体801は搬送機構803により乾燥槽841へ移動され、ノズル842から高温の高圧空気を吹き付けられ乾燥される。乾燥工程の終了した基体801は、搬送機構803により搬出台851に運ばれる。
【0108】
<本発明に係わる電子写真装置>
本発明の電子写真感光体を用いた電子写真装置の一例を図9に示す。尚、本例の装置は円筒状の電子写真感光体を用いる場合に好適なものであるが、本発明の電子写真装置は本例に限定されるものではなく、感光体形状は無端ベルト状等の所望のものであってもよい。
【0109】
図9において、904が本発明で言うところの電子写真感光体であり、905は該感光体904に静電潜像形成のための帯電を行う一次帯電器である。図ではコロナ帯電器を記載してあるが、特開昭63−210864号公報記載のような接触帯電器でもよい。906は静電潜像の形成された感光体904に現像材(トナー)906aを供給するための現像器であり、907は感光体表面のトナーを転写材に移行させるための転写帯電器である。図ではコロナ帯電器を記載してあるが特開昭62−175781号公報記載のようなローラー電極でもよい。908は感光体表面の浄化を図るクリーナーである。本例では感光体表面の均一浄化を有効に行うために、弾性ローラー908−1とクリーニングブレード908−2を用いて感光体表面の浄化を行っているが、いずれか一方のみ、もしくはクリーナー908自体を具備しない構成も設計可能である。909及び910は、それぞれ次回の複写動作にそなえて感光体表面の除電を行うためのAC除電器および除電ランプであるが、もちろんいずれかがない、若しくは両者ともない構成も設計可能である。913は紙等の転写材、914は転写材の送りローラーである。露光Aの光源には、ハロゲン光源、或いは単一波長を主とするレーザー、LEDなどの光源を用いる。
【0110】
このような装置を用い、複写画像の形成は例えば以下のように行われる。
【0111】
まず電子写真感光体904を所定の速度で矢印の方向へ回転させ、一次帯電器905を用いて感光体904の表面を一様に帯電させる。次に、帯電された感光体904の表面に画像の露光Aを行い、該画像の静電潜像を感光体904の表面に形成させる。そして感光体904の表面の静電潜像の形成された部分が現像器906の設置部を通過する際に、現像器906によってトナーが感光体904の表面に供給され、静電潜像がトナー906aによる画像として顕像化(現像)され、更にこのトナー画像は感光体904の回転とともに転写帯電器907の設置部に到達し、ここで送りローラー914によって送られてくる転写材913に転写されるのである。
【0112】
転写終了後、次の複写工程に備えるために電子写真感光体904の表面から残留トナーがクリーナー908によって除去され、更に該表面の電位がゼロ若しくは殆どゼロとなるように除電器909および除電ランプ910により除電され、1回の複写工程を終了する。
【0113】
【実施例】
以下、実施例および比較例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらにより何ら限定されるものではない。
【0114】
[実施例1]
図6に示したa−Si感光体成膜装置(第1の成膜炉)を用いて、表1に示した条件で直径108mmのAl基体上に、第1の層として光導電層まで堆積した。
【0115】
【表1】
Figure 2004126542
【0116】
次いで、搬送チャンバーを用いて真空状態で、基体を図5で示す第2の成膜炉に移し、表2に示した条件で第2の層である上部阻止層と表面層を堆積した。
【0117】
【表2】
Figure 2004126542
【0118】
以上の手順で得られた感光体は負帯電で用いられる感光体であり、次のように評価した。
【0119】
(球状突起数)
得られた感光体の表面を光学顕微鏡で観察した。そして、20μm以上の大きさの球状突起の数を数え、10cm当たりの個数を調べた。得られた結果は、比較例2での値を100%とした場合の相対比較でランク付けを行った。
【0120】
◎・・・ 35%以上65%未満
○・・・ 65%以上95%未満
△・・・ 95%以上105%未満
×・・・ 105%以上。
【0121】
(画像欠陥)
一次帯電器としてコロナ放電を採用し、また、クリーナーにクリーニングブレードを具える電子写真装置に、本実施例で作製した電子写真用感光体を装着して画像形成を行った。具体的には、キヤノン製GP605(プロセススピード300mm/sec、イメージ露光)をベースに負帯電が可能なように改造し、トナーをネガトナーに変更した複写機を試験用電子写真装置として用い、A3サイズの白紙原稿を複写した。こうして得られた画像を観察し、直径0.3mm以上の球状突起に起因する黒ポチの個数を数えた。得られた結果は、比較例2での値を100%とした場合の相対比較でランク付けを行った。
【0122】
◎・・・ 35%以上65%未満
○・・・ 65%以上85%未満
△・・・ 85%以上95%未満
×・・・ 95%以上105%未満。
【0123】
(帯電能)
電子写真感光体を電子写真装置に設置し、正帯電用電子写真感光体の場合は帯電器に+6kVの高電圧を印加し、負帯電用電子写真感光体の場合は帯電器に−6kVの高電圧を印加しコロナ帯電を行い、現像器位置に設置した表面電位計により電子写真感光体の暗部表面電位を測定する。得られた結果は、比較例3での値を100%とした場合の相対評価でランク付けを行った。
【0124】
◎・・・ 115%以上
○・・・ 105%以上、115%未満
△・・・ 95%以上、105%未満
×・・・ 95%未満。
【0125】
(残留電位)
電子写真感光体を、一定の暗部表面電位(例えば450V)に帯電させる。そして直ちに一定光量の比較的強い光(例えば1.5Lx・sec)を照射する。この時、現像器位置に設置した表面電位計により電子写真用光感光体の残留電位を測定する。得られた結果は、比較例3での値を100%とした場合の相対評価でランク付けを行った。
【0126】
◎・・・ 85%未満
○・・・ 85%以上、95%未満
△・・・ 95%以上、105%未満
×・・・ 105%以上。
【0127】
(電位均一性)
電子写真感光体を、一定の暗部表面電位(例えば450V)に帯電させる。そして直ちに一定光量の光(例えば0.5Lx・sec)を照射する。この時、現像器位置に設置した表面電位計により電子写真用光感光体のドラム軸方向中央部の表面電位をおよそ200Vになるように光量を調節する。そして、周方向の電位分布及びドラム軸方向の電位分布を測定し、最大値−最小値の値を計算する。得られた結果は、比較例3での値を100%とした場合の相対評価でランク付けを行った。
【0128】
◎・・・ 95%未満
○・・・ 95%以上、105%未満
△・・・ 105%以上、110%未満
×・・・ 110%以上。
【0129】
(コスト)
1本の感光体当たりの生産時間を計算して各々のコストとした。図6に示したVHF方式の堆積装置は1回に8本の電子写真感光体が生産できる。また図5に示したRF方式の堆積装置は1回に1本とした。比較例4での値を100%とした場合の相対評価でランク付けを行った。
【0130】
◎・・・ 85%未満
○・・・ 85%以上、95%未満
△・・・ 95%以上、105%未満
×・・・ 105%以上
以上の方法で総合評価を行った。結果を比較例1、2、3、4と共に表5に示す。
【0131】
[比較例1]
図6に示す第1の成膜炉を用いて、直径108mmのAl基体に、表1に示す条件で第1の層である光導電層を堆積し、そのまま続けて表3に示す条件で第2の層である上部阻止層と表面層を堆積した。このようにして作製した負帯電用感光体は実施例1と同様に評価し、結果を表5に示す。
【0132】
[比較例2]
図5に示すa−Si感光体成膜装置を用いて、表4に示す条件で直径108mmのAl基体に第1の層である光導電層を積層し、そのまま続けて表2に示す条件で第2の層である上部阻止層と表面層を堆積した。このように作製した負帯電用感光体は実施例1と同様に評価し、結果を表5に示す。
【0133】
[比較例3]
図6に示すa−Si感光体成膜装置を用いて、表1に示す条件で直径108mmのAl基体に第1の層である光導電層を堆積し、搬送チャンバーを用いて真空状態で図5に示す第2の成膜炉に移し、本比較例では表2に示す第2の層の上部阻止層を設けずに表面層のみを積層した。このように作製した負帯電用感光体は実施例1と同様に評価し、結果を表5に示す。
【0134】
[比較例4]
図5に示すa−Si感光体成膜装置を用いて、表4に示す条件で直径108mmのAl基体に第1の層である光導電層を積層し、搬送チャンバーを用いて真空状態で図5に示す第2の成膜炉に移し、表2に示した条件で第2の層である上部阻止層と表面層を堆積した。このように作製した負帯電用感光体は実施例1と同様に評価し、結果を表5に示す。
【0135】
【表3】
Figure 2004126542
【0136】
【表4】
Figure 2004126542
【0137】
【表5】
Figure 2004126542
【0138】
表5から、本発明の感光体は球状突起数が比較例1〜3と同等レベルであっても、画像欠陥であるポチの数は非常に改善することが分かる。
【0139】
比較例1では、第2の層の積層にも続けてVHF方式を採用すると、成長機構が同じでありほとんど画像欠陥が減少しない。そのためにポチの低減効果が小さく現れている。比較例2では、第1の層の積層と第2の層の積層とを続けてRF方式を採用した結果、成長機構が同じでありほとんど画像欠陥が減少しない。
【0140】
また、実施例1および比較例1〜2に示すように、上部阻止層を設けることで帯電能、残留電位は改善し、画像欠陥が減少していることがわかる。
【0141】
[実施例2]
図6に示す第1の成膜炉を用いて、表6に示す条件で直径108mmのAl基体に、第1の層として光導電層まで堆積した。
【0142】
【表6】
Figure 2004126542
【0143】
次いで、その状態で搬送チャンバーを用いて真空状態で、図5に示す第2の成膜炉に移し、表7に示す条件で第2の層である上部阻止層を堆積した。
【0144】
以上の手順で作製した感光体は正帯電で用いられる感光体であり、評価にはキヤノン製GP605をベースにした複写機を試験用電子写真装置として用い、実施例1と同様の手順で評価し、結果を表8に示す。
【0145】
【表7】
Figure 2004126542
【0146】
[実施例3]
第1の成膜炉から基体を取り出し大気に晒した以外は、実施例2の場合と同様にして感光体を作製した。実施例1と同様の手順で評価し、結果を表8に示す。
【0147】
【表8】
Figure 2004126542
【0148】
表8から分かるように、本発明の効果は、高真空成膜方式の第1の成膜炉から感光ドラムを移してRF方式の第2の成膜炉で成膜することで得られる。また第1の成膜炉から第2の成膜炉に基体を移す際に、真空中で移しても良いし、大気に晒しても良い。
【0149】
[実施例4]
図6に示した第1の成膜炉を用いて、表9に示す条件で直径108mmのAl基体に、第1の層として下部阻止層と光導電層まで堆積した。
【0150】
【表9】
Figure 2004126542
【0151】
次いで、堆積済みの基体を一旦成膜炉から大気中に取り出し、その後に基体を図5に示す第2の成膜炉に戻し、表10に示す条件で第2の層である上部阻止層と表面層を堆積した。
【0152】
【表10】
Figure 2004126542
【0153】
以上の手順で作製した負帯電用感光体は実施例1と同様に評価した。結果を表11に示す。
【0154】
[実施例5]
図6に示す第1の成膜炉を用いて、表9に示す条件で直径108mmのAl基体に、第1の層として下部阻止層と光導電層まで堆積した。
【0155】
次いで堆積済みの基体を一旦成膜炉から大気中に取り出した。本実施例では、このとき、図7に示す研磨装置を用いて表面を研磨し、球状突起の突起部分の平坦化を行った。この平坦化は研磨前の表面の突起の高さをレーザー顕微鏡で測定したときに、約10μmであった突起が、0.5μm以下に減少するように平坦化研磨を行った。
【0156】
次に図8に示す水洗浄装置により基体を洗浄した。その後基体を図5に示した第2の成膜炉に移し、表10に示した条件で第2の層である上部阻止層と表面層を堆積した。
【0157】
以上の手順で作製した負帯電用感光体は実施例1と同様に評価した。結果を表11に示す。
【0158】
【表11】
Figure 2004126542
【0159】
表11から、下部阻止層を設けても本発明の効果は同様に得られることが分かる。また、球状突起の突起部分を平坦化した後に第2の層を積層する方がより画像欠陥低減効果が高まることが判明した。
【0160】
[実施例6]
図6に示す第1の成膜炉を用いて、表12に示す条件で直径108mmのAl基体に、第1の層として下部阻止層と光導電層まで堆積した。
【0161】
【表12】
Figure 2004126542
【0162】
次いで、堆積済みの基体を一旦成膜炉から大気中に取り出し、図8に示す水洗浄装置により基体を洗浄した。その後、基体を図5に示した第2の成膜炉に戻し、表13に示す条件で第2の層である上部阻止層と表面層を堆積した。本実施例においては、上部阻止層の膜厚を変化させた感光体A〜Fを作成した。
【0163】
【表13】
Figure 2004126542
【0164】
以上の手順で得られた負帯電用感光体は実施例1と同様の手順で評価すると共に、更に球状突起の大きさの評価を行った。得られた感光体の表面全体を光学顕微鏡で観察し、最も大きい球状突起のおおよその直径を調べた。その結果、本実施例の製造条件においては、いずれの感光体においてもほぼ100μmであることが判明した。こうして得られた最大球状突起の直径に対して、上部阻止層の膜厚の比を求めた。
【0165】
評価結果を表14に示す。表14から、本発明の画像欠陥低減効果を得るためには、上部阻止層の膜厚は、最大球状突起の直径の10−4倍以上の膜厚が好適であることが分かる。また、感光体Fについては画像欠陥低減効果が充分に得られたが、上部阻止層が厚くなりすぎたために感度低下が見られた。従って、膜厚の上限は1μm以下に抑えることが望ましい。また、第2の層を堆積する前に水洗浄装置により洗浄を行うことにより、より密着性が向上した。
【0166】
【表14】
Figure 2004126542
【0167】
[実施例7]
図6に示す第1の成膜炉を用いて、表15に示す条件で直径108mmのAl基体に、第1の層として下部阻止層と光導電層まで堆積した。
【0168】
【表15】
Figure 2004126542
【0169】
次いで、基体を成膜炉から大気中に取り出し、図8に示す水洗浄装置で基体の洗浄を行った。図5に示す第2の成膜炉に基体を戻した後に成膜炉を真空引きし、引き続いて、表16に示した条件で第2の層である上部阻止層と表面層を堆積した。本実施例においては、上部阻止層に含有される第13族原子であるB(ボロン)の含有量を変化させた感光体G〜Lを作製した。
【0170】
【表16】
Figure 2004126542
【0171】
以上の手順で得られた負帯電感光体を実施例1と同様の手順で評価した。
【0172】
評価後、それぞれの感光体を切り出し、SIMS分析(2次イオン質量分析)を行い上部阻止層中のB(ボロン)含有量を調べた。
【0173】
評価結果を表17に示す。表17から分かるように、上部阻止層のB(ボロン)含有量は100原子ppmから30000原子ppmが適している。また、第2の層を堆積する前に水洗浄装置により洗浄を行うことで、より密着性が向上した。
【0174】
【表17】
Figure 2004126542
【0175】
[実施例8]
図6に示した第1の成膜炉を用いて、表18に示した条件で直径108mmのAl基体に、第1の層として下部阻止層と光導電層の領域1、領域2まで堆積した感光体を製造した。
【0176】
【表18】
Figure 2004126542
【0177】
次いで、感光体を成膜炉から大気中に取り出し、図8に示した水洗浄装置で感光体の洗浄を行った。図5に示した第2の成膜炉に感光体を戻した後に成膜炉を真空引きし、引き続いて、表19に示した条件で第2の層である上部阻止層と表面層を堆積した。本実施例においては、光導電層を領域1及び領域2からなるように感光体を作製した。評価は、実施例1と同様に実施した。
【0178】
【表19】
Figure 2004126542
【0179】
[実施例9]
図6に示した第1の成膜炉を用いて、表20に示した条件で直径108mmのAl基体に、第1の層として下部阻止層と光導電層の領域1まで堆積した感光体を製造した。
【0180】
【表20】
Figure 2004126542
【0181】
次いで、感光体を成膜炉から大気中に取り出し、図8に示した水洗浄装置で感光体の洗浄を行った。図5に示した第2の成膜炉に感光体を戻した後に成膜炉を真空引きし、引き続いて、表21に示した条件で第2の層である光導電層の領域2、上部阻止層と表面層とを堆積した。本実施例においては、光導電層を領域1までを第1の成膜炉において作製し、光導電層の領域2からを第2の成膜炉において感光体を作製した。
【0182】
【表21】
Figure 2004126542
【0183】
以上の手順で得られた負帯電感光体は実施例1と同様の手順で評価した。
評価結果を表22に示す。表22から分かるように、光導電層を領域1及び領域2に分けても、またさらに光導電層の領域1と領域2の間で高真空成膜方式の第1の成膜炉から感光ドラムを移してRF方式の第2の成膜炉で成膜を行っても、本発明の効果が得られることが分かる。
【0184】
【表22】
Figure 2004126542
【0185】
[実施例10]
図6に示す第1の成膜炉を用いて、表23に示す条件で直径108mmのAl基体に、第1の層として下部阻止層と光導電層まで堆積した。
【0186】
【表23】
Figure 2004126542
【0187】
次いで、堆積済みの基体を一旦成膜炉から大気中に取り出した。本実施例では、このとき、図7に示した研磨装置を用いて表面を研磨し、球状突起の突起部分の平坦化を行った。その後、図8に示す水洗浄装置により基体を洗浄した。そして基体を図5に示した第2の成膜炉に戻し、表24に示す条件で第2の層である上部阻止層と表面層を堆積した。本実施例においては、成膜時間を変えることで上部阻止層の膜厚を変化させた感光体M〜Rを作成した。
【0188】
【表24】
Figure 2004126542
【0189】
以上の手順で得られた負帯電用感光体について、球状突起の大きさの評価を行った。球状突起の大きさの評価は、表面層、上部阻止層を通して見える第1の層の表面を光学顕微鏡で観察し、最も大きい球状突起のおおよその直径を調べた。その結果、本実施例の製造条件においては、M〜Rのいずれの感光体においてもほぼ80μmであることが判明した。こうして得られた最大球状突起の直径に対して、上部阻止層の膜厚の比を求めた。
【0190】
得られた負帯電用感光体は実施例1と同様の手順で評価すると共に、更に耐久後の画像欠陥の評価を行った。
【0191】
(耐久後の画像欠陥)
得られた電子写真感光体を電子写真装置に装着して、A4用紙横送りで10万枚の連続通紙耐久を行った。10万枚の通紙後、A3サイズの白紙原稿を複写した。こうして得られた画像を観察し、直径0.3mm以上の球状突起に起因する黒ポチの個数を数えた。
【0192】
得られた結果は、通紙耐久前の画像の黒ポチの個数と比較してランク付けを行った。
【0193】
◎・・・耐久後においても画像欠陥の悪化は見られず、非常に良好
○・・・わずかに画像欠陥は悪化したが10%未満の増加であり、良好
△・・・10%以上20%未満の増加が見られたが実用上、支障なし
×・・・20%以上の増加が見られた。
【0194】
評価結果を表25に示す。表25から、本発明の画像欠陥低減効果を得るためには、第1の層の表面に存在する球状突起の突起部を平坦化し、さらに上部阻止層の膜厚を最大球状突起の直径の10−4倍以上の膜厚にすることがより好適であることが判明した。また、上部阻止層を1.5μmとした感光体Rについては画像欠陥低減効果は充分に得られたが、若干の感度低下が見られた。従って、上部阻止層の膜厚の上限は1μm以下に抑えることが望ましいことが分かる。
【0195】
【表25】
Figure 2004126542
【0196】
【発明の効果】
以上述べたように、第1ステップとして、排気手段と原料ガス供給手段を備えた真空気密可能な第1の成膜炉内に円筒状基体を設置し、少なくとも原料ガスを高周波電力により分解し、該基体上に少なくとも非単結晶材料からなる第1の層を堆積する工程と、第2ステップとして、第1の層を堆積した円筒状基体を第1の成膜炉から取り出し第2の成膜炉に移す工程と、第3ステップとして、第2の成膜炉内で少なくとも原料ガスを高周波電力により分解し、該第1の層上に少なくとも非単結晶材料から成る上部阻止層を含む第2の層を再び堆積させる工程とを行うことにより、感光体表面に存在する球状突起が画像上に現れなくなる。その結果、画像欠陥を大幅に改善させることができる電子写真感光体製造方法を提供することが可能となった。
【0197】
第1のステップにおいて用いる第1の成膜炉が高真空成膜であるVHF方式の感光体製造装置であり、第3ステップにおいて用いる第2の成膜炉がRF方式の感光体製造装置であると、さらに画像欠陥を減少させることができる。
【0198】
更に第2ステップにおいて、球状突起の突起部を研磨することにより平坦化した後に第2の層を積層することで、より一層、球状突起を画像に現れにくくすることができ、その結果画像欠陥を減少させることができる。
【0199】
さらに第2ステップと第3ステップの間に感光体を水と接触させるとさらに良い。具体的には、水洗浄を行うことにより、その後表面保護層を堆積した際の密着性が向上し、膜ハガレに対するラチチュードが非常に広くなる。
【0200】
また、必要に応じて第2ステップで感光体の検査を行うことで、品質不良の感光体については後の工程を省略することができ、全体としてコストの低減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】電子写真感光体の球状突起の一例を示す模式的断面図である。
【図2】本発明の電子写真感光体の球状突起の一例を示す模式的断面図である。
【図3】第2のステップで表面を研磨した本発明の電子写真感光体の球状突起の一例を示す模式的断面図である。
【図4】本発明の電子写真感光体の一例を示す模式的断面図である。
【図5】RFを用いたa−Si感光体成膜装置の模式的断面図である。
【図6】VHFを用いたa−Si感光体成膜装置の模式的断面図である。
【図7】本発明に用いた表面研磨装置の模式的断面図である。
【図8】本発明に用いた水洗浄装置の模式的断面図である。
【図9】本発明の電子写真装置の一例の模式的断面図である。
【符号の説明】
101、201、301 導電性の表面を有する基体
102、202、302 第1の層
103、203、303 球状突起
104、204、304 ダスト
105、205、305 上部阻止層
106、206、306 球状突起正常堆積部分の境界
401 基体
402 第1の層
403 第2の層
404 下部阻止層
405 光導電層
406 上部阻止層
407 表面層
408 球状突起
5100、6100 成膜装置
5110、6110 反応容器、成膜炉
5111、6111 カソード電極
5112、6112 導電性の表面を有する基体
5113、6113 基体加熱用ヒーター
5114、6114 ガス導入管
5115、6115 高周波マッチングボックス
5116、6116 ガス配管
5117 リークバルブ
5118、6118 メインバルブ
5119、6119 真空計
5120、6120 高周波電源
5121 絶縁材料
5123 受け台
5200 ガス供給装置
5211〜5216 マスフローコントローラー
5221〜5226 ボンベ
5231〜5236 バルブ
5241〜5246 流入バルブ
5251〜5256 流出バルブ
5260,6260 補助バルブ
5261〜5266 圧力調整器
6120 回転モーター
6130 放電空間
700 基体
720 弾性支持機構
730 加圧弾性ローラ
731 研磨テープ
732 送り出しロール
733 巻き取りロール
734 定量送り出しロール
735 キャプスタンローラ
801 導電性の表面を有する基体
802 処理部
803 被処理部材搬送機構
811 被処理部材投入台
821 被処理部材洗浄槽
822 洗浄液
831 純水接触槽
832 ノズル
841 乾燥槽
842 ノズル
851 被処理部材搬出台
861 搬送アーム
862 移動機構
863 チャッキング機構
864 エアーシリンダー
865 搬送レール
904 電子写真感光体
905 一次帯電器
906 現像器
906a 現像剤(トナー)
907 転写帯電器
908 クリーナー
908−1 弾性ローラー
908−2 クリーニングブレード
909 AC除電器
910 除電ランプ
913 転写材
914 送りローラー
A 画像露光(アナログ光、或いはデジタル光)

Claims (24)

  1. 非単結晶材料からなる層を含む電子写真感光体の製造方法において、
    第1ステップとして、排気手段と原料ガス供給手段を備えた真空気密可能な第1の成膜炉内に導電性の表面を有する円筒状基体を設置し、少なくとも原料ガスを高周波電力により分解し、該円筒状基体上に少なくとも、非単結晶材料からなる第1の層を堆積する工程と、
    第2ステップとして、第1の層を堆積した円筒状基体を第1の成膜炉から取り出す工程と、
    第3ステップとして、排気手段と原料ガス供給手段を備えた真空気密可能な第2の成膜炉内に該第1の層を堆積した円筒状基体を設置し、少なくとも原料ガスを高周波電力により分解し、該第1の層上に非単結晶材料から成る上部阻止層を含む第2の層を堆積させる工程と
    を有することを特徴とする電子写真感光体の製造方法。
  2. 前記第1の層が、少なくともシリコン原子を母材とし、水素原子及び/またはハロゲン原子を含有する非単結晶材料であることを特徴とする請求項1に記載の電子写真感光体の製造方法。
  3. 前記上部阻止層が、少なくともシリコン原子を母材とし、更に炭素、酸素、窒素原子の少なくとも1つを含有する非単結晶材料であることを特徴とする請求項1または2に記載の電子写真感光体の製造方法。
  4. 前記上部阻止層が、更に導電性を制御する原子を含有する非単結晶材料であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の電子写真感光体の製造方法。
  5. 前記上部阻止層に含有される前記導電性を制御する原子が、周期律表第13族または第15族元素であることを特徴とする請求項4に記載の電子写真感光体の製造方法。
  6. 前記上部阻止層に含有される前記周期律表第13族または第15族元素の含有量が100原子ppm以上、30000原子ppm以下であることを特徴とする請求項4または5に記載の電子写真感光体の製造方法。
  7. 前記上部阻止層の膜厚が、第2の層を堆積した後の前記電子写真感光体の表面に存在する球状突起のうち、最大の球状突起の直径の10−4倍以上であり、かつ、1μm以下となるように前記上部阻止層を成膜することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の電子写真感光体の製造方法。
  8. 前記第2ステップにおいて、第1の層を堆積した円筒状気体を真空状態を保ったまま一旦、前記成膜炉から取り出すことを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の電子写真感光体の製造方法。
  9. 前記第2ステップにおいて、第1の層を堆積した円筒状基体を一旦、前記成膜炉から取り出し、酸素及び水蒸気を含むガスに晒すことを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の電子写真感光体の製造方法。
  10. 前記の酸素および水蒸気を含むガスが、大気であることを特徴とする請求項9に記載の電子写真感光体の製造方法。
  11. 前記第3ステップにおいて、前記上部阻止層の上に更に表面層を積層する工程を含むことを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の電子写真感光体の製造方法。
  12. 前記表面層が、少なくともシリコン原子を母材とし、更に炭素、酸素、窒素原子の少なくとも1つを含有する非単結晶材料からなることを特徴とする請求項11に記載の電子写真感光体の製造方法。
  13. 前記第1の成膜炉は、高周波にVHF帯を採用したプラズマCVD方式であることを特徴とする請求項1〜12のいずれかに記載の電子写真感光体の製造方法。
  14. 前記第2の成膜炉は、高周波にRF帯を採用したプラズマCVD方式であることを特徴とする請求項1〜13のいずれかに記載の電子写真感光体の製造方法。
  15. 前記第1の層として、少なくとも前記光導電層の第1の領域を堆積させ、次に第2の層として、少なくとも前記光導電層の第2の領域と前記上部阻止層を堆積させることを特徴とする請求項1〜14のいずれかに記載の電子写真感光体の製造方法。
  16. 前記第2ステップにおいて、更に前記第1の層の表面を加工する工程を含むことを特徴とする請求項1〜15のいずれかに記載の電子写真用感光体の製造方法。
  17. 前記第1の層の表面を加工する工程が、前記第1ステップにおいて堆積された第1の層表面に存在する突起物の少なくとも頭頂部を除去する工程であることを特徴とする請求項16記載の電子写真用感光体の製造方法。
  18. 前記第1の層の表面を加工する工程が、研磨加工であることを特徴とする請求項16または17に記載の電子写真用感光体の製造方法。
  19. 前記研磨加工は、前記第1ステップにおいて堆積された前記第1の層表面の突起物を研磨し、表面を平坦化するものであることを特徴とする請求項18に記載の電子写真用感光体の製造方法。
  20. 前記研磨加工は、前記第1ステップにおいて堆積された前記第1の層の表面に研磨テープを弾性ゴムローラを用いて当接させ、前記円筒状基体とともに回転される前記第1の層表面の回転移動速度と、前記研磨テープを当接させる弾性ゴムローラの回転移動速度との間に、相対的な速度差を設けることによりなされることを特徴とする請求項18または19に記載の電子写真用感光体の製造方法。
  21. 前記第2ステップにおいて、更に前記第1の層を積層した感光体の検査を行う工程を有することを特徴とする請求項1〜20のいずれかに記載の電子写真感光体の製造方法。
  22. 前記第2ステップにおいて、前記第3ステップに進む前に前記第1の層の表面を水と接触させ、洗浄処理することを特徴とする請求項1〜21のいずれかに記載の電子写真用感光体の製造方法。
  23. 請求項1〜22のいずれかの記載の製造方法により製造された電子写真感光体。
  24. 請求項23の電子写真感光体を用いた電子写真装置。
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