JP2004125770A - 角度検出装置およびそれを備えたプロジェクタ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】制御回路5は、ライン型パッシブ測距装置3の測距演算結果に基づきスクリーン1とプロジェクタ2との相対的な水平方向の傾斜角を算出するとともに、ライン型パッシブ測距装置4の測距演算結果に基づきスクリーン1とプロジェクタ2との相対的な垂直方向の傾斜角を算出する。表示駆動部7は、制御回路5が算出した水平方向および垂直方向の傾斜角に基づきコンデンサレンズを含む投射光学系8を調整して投影画像の台形歪みを補正する。
【選択図】 図1
Description
【発明の技術分野】
本発明は、ライン型パッシブ測距装置を用いた角度検出装置およびそれを備えたプロジェクタに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、液晶プロジェクタなどのプロジェクタを使用する場合、プロジェクタとスクリーンの位置関係により、投影画像に台形歪みと呼ばれる歪みが生じる不具合があった。この台形歪の補正技術としては、プロジェクタ内の映像回路で投影映像とは逆の台形歪のある画像を生成してそれを投影する電気的補正方法や、映像回路で生成する画像は補正せずにプロジェクタ内の投射光学系に含まれるコンデンサレンズの傾きを調整する光学的補正方法の2つの方法が一般的であった。
【0003】
このような台形歪を自動的に補正する従来技術が、特開2000−122617号公報や特開2001−339671号公報、特開2002−62842号公報に記載されている。
【0004】
特開2000−122617号公報に記載された従来技術は、液晶プロジェクタ前面の異なる位置に設けた2つのアクティブ式測距センサでそれぞれスクリーンまでの距離を検出し、検出した2つの距離と2つの測距センサ間の距離に基づきスクリーンに対する液晶プロジェクタの傾斜角を算出し、この算出した傾斜角に基づき上述したような方法で台形歪を補正するものである。
【0005】
特開2001−339671号公報に記載された従来技術は、プロジェクタやスクリーンにジャイロなどの角度センサ回路を設け、この回路から得られた角度情報に基づき水平(左右)方向の台形歪み補正、垂直(上下)方向の台形歪み補正あるいは水平および垂直方向の複合された台形歪み補正を行うものである。
【0006】
特開2002−62842号公報に記載された従来技術は、スクリーンの位置や傾きを検出するためにカメラを用い、カメラで撮影されたスクリーンの映像をスクリーン位置検出部で画像処理してスクリーンの位置や傾きを検出し、この検出したスクリーンの位置や傾きに応じて台形歪を補正するものである。
【0007】
【特許文献1】
特開2000−122617号(第4頁、図1)
【特許文献2】
特開2001−339671号(第3頁、図1)
【特許文献3】
特開2002−62842号(第10頁、図1)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
特開2000−122617号公報に記載された従来技術は、スクリーンに対する液晶プロジェクタの傾斜角を検出するために複数のアクティブ式測距装置を用いているので、画像投射用とは別に測距専用の発光素子が必要となるため構成が大きくなり、また測距用の発光素子を発光させるための電力が必要となるという問題があった。また、プロジェクタの投影画像が届く範囲において測距用の発光素子の光が届かない、またはプロジェクタの投影画像が届く範囲においてスクリーンで反射された測距用光が弱くなってしまう距離にスクリーンが存在する場合、測距精度が落ち、それに伴いスクリーンに対する液晶プロジェクタの傾斜角の検出精度が悪化してしまうという問題が生じていた。また、垂直方向の傾斜角度しか検出できないので、水平方向の傾斜に起因する台形歪を補正できなかった。
【0009】
これに対して、特開2001−339671号公報に記載された従来技術は、アクティブ式の測距装置を使わず、かつ水平および垂直方向の傾斜角を検出しているので、上述した不都合は生じないが、プロジェクタとスクリーンとの相対的な傾斜角を検出するためにプロジェクタとスクリーンの両方に角度センサを設けているため、構成が大きくなるという不都合が生じていた。
【0010】
特開2002−62842号公報に記載された従来技術は、スクリーンに対する液晶プロジェクタの傾斜角を検出するためにカメラを用いるので、上述したアクティブ式の測距装置を用いた場合の不都合やプロジェクタとスクリーンの両方に角度センサを設けて構成が大きくなるという不都合は解消されるが、傾斜角を検出するためにカメラや複雑な画像処理を行う処理回路が必要となるという不都合があった。
【0011】
本発明の目的は、角度検出専用の発光素子を用いない角度検出装置およびそれを備えたプロジェクタの構成の簡略化を図ることである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
第1の発明は、基線長だけ離して配置した1対のレンズと、上記1対のレンズにより測定対象の1対の像が結像するラインセンサと、上記ラインセンサの出力に基づき互いに異なる複数の方向について測距演算する演算部とを備えたライン型パッシブ測距装置と、上記ライン型パッシブ測距装置の演算結果に基づき上記基線長方向に対する上記測定対象の傾斜角を算出する傾斜角算出部とを含む角度検出装置である。このような構成によれば、カメラ等で利用されているライン型パッシブ測距装置を利用可能な簡便な角度検出装置を実現できる。
【0013】
第2の発明は、第1の発明において、上記傾斜角算出部は、上記複数の方向の各々の上記基線長の垂線に対する角度と上記ライン型パッシブ測距装置の演算結果に基づき上記基線長方向に対する上記測定対象の傾斜角を算出する角度検出装置である。このような構成によれば、カメラ等で利用されているライン型パッシブ測距装置を利用可能な簡便な角度検出装置を実現できる。
【0014】
第3の発明は、第1の発明において、上記傾斜角算出部は、上記複数の方向の各々の上記ラインセンサのコントラスト重心位置と上記ライン型パッシブ測距装置の演算結果に基づき上記基線長方向に対する上記測定対象の傾斜角を算出する角度検出装置である。このような構成によれば、カメラ等で利用されているライン型パッシブ測距装置を利用可能な簡便な角度検出装置を実現できる。
【0015】
第4の発明は、第1の基線長だけ離して配置した1対の第1のレンズと、上記1対の第1のレンズにより測定対象の1対の像が結像する第1のラインセンサと、上記第1のラインセンサの出力に基づき互いに異なる複数の方向について測距演算する第1の演算部とを備えた第1のライン型パッシブ測距装置と、上記第1のライン型パッシブ測距装置の演算結果に基づき上記第1の基線長方向に対する上記測定対象の傾斜角を算出する第1の傾斜角算出部と、上記第1の基線長の方向と直交する方向の第2の基線長だけ離して配置した1対の第2のレンズと、上記1対の第2のレンズにより上記測定対象の1対の像が結像する第2のラインセンサと、上記第2のラインセンサの出力に基づき互いに異なる複数の方向について測距演算する第2の演算部とを備えた第2のライン型パッシブ測距装置と、上記第2のライン型パッシブ測距装置の演算結果に基づき上記第2の基線長方向に対する上記測定対象の傾斜角を算出する第2の傾斜角算出部とを含む角度検出装置である。このような構成によれば、カメラ等で利用されているライン型パッシブ測距装置を利用して例えば水平と垂直方向等の直交する2方向の傾斜角を検出可能となり、直交する2方向の傾斜角を簡単な構成で検出可能となる。
【0016】
第5の発明は、上記測定対象を、画像が投影されるスクリーンとしている。このような構成によれは、基線長方向に対するスクリーンの傾斜角を検出可能となる。
【0017】
第6の発明は、入力映像信号に基づき形成された画像をスクリーンに投影するプロジェクタであって、上記角度検出装置と、上記角度検出装置が算出した傾斜角に基づき上記スクリーン上の上記画像の歪み補正する画像歪み補正部とを含むプロジェクタである。このような構成によれば、プロジェクタとスクリーンとの相対的な傾斜角に応じた画像の歪みを簡単な構成で実現可能となる。
【0018】
第7の発明は、上記角度検出装置は、上記基線長方向に対する上記スクリーンの傾斜角を間欠的に算出し、上記画像歪み補正部は、間欠的に算出される上記傾斜角に基づき上記スクリーン上の上記画像の歪み補正するプロジェクタである。このような構成によれば、間欠的に画像の歪みを補正するので、スクリーンやプロジェクタの設置状況等が変化してもその変化に応じた歪補正を自動的に行える。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に示す一実施例に基づき説明する。図1は、スクリーン1とプロジェクタ2との傾斜角を検出し、検出した傾斜角に基づきスクリーン1に投影される画像の台形歪みを補正するプロジェクタの例を示した図であり、図2はプロジェクタ2の正面図である。なお、傾斜角検出装置はプロジェクタに設けられるものに限るものではなく、またスクリーンとの傾斜角を検出するものに限るものでもない。
【0020】
図1において、第1のライン型パッシブ測距装置3は、図2に示した1対のレンズ31a、31bと1対のレンズ31a、31bにより測定対象としてのスクリーン1の1対の像が結像する第1のラインセンサとしての後述する1対のラインセンサ31c、31dを備えた撮像部31と、1対のラインセンサ31c、31dの出力に基づき互いに異なる複数の方向について測距演算する演算部32とを備え、スクリーン1までの距離を水平(左右)方向の複数ポイントで検出する。1対のレンズ31a、31bは水平方向に第1の基線長bだけ離して配置してある。
【0021】
第2のライン型パッシブ測距装置4は、図2に示した1対のレンズ41a、41bと1対のレンズ41a、41bによりスクリーン1の1対の像が結像する第2のラインセンサとしての後述する1対のラインセンサ41c、41dを備えた撮像部41と、1対のラインセンサ41c、41dの出力に基づき互いに異なる複数の方向について測距演算する演算部42とを備え、スクリーン1までの距離を垂直(上下)方向の複数ポイントで検出する。1対のレンズ41a、41bは垂直方向に第2の基線長b’だけ離して配置してある。
【0022】
第1、第2の傾斜角算出部としての制御回路5は、種々の制御や演算を行い、例えばライン型パッシブ測距装置3の測距演算結果に基づきスクリーン1とプロジェクタ2(第1の基線長方向)との相対的な水平方向の傾斜角を算出するとともに、ライン型パッシブ測距装置4の測距演算結果に基づきスクリーン1とプロジェクタ2(第2の基線長方向)との相対的な垂直方向の傾斜角を算出する。
【0023】
投影画像生成部6は、外部のパソコン等の画像データ出力部から出力される画像データを入力し、入力した画像データを表示用データに変換して表示駆動部7に出力する。
【0024】
画像歪み補正部としての表示駆動部7は、制御回路5が算出した水平方向および垂直方向の傾斜角に基づきコンデンサレンズを含む投射光学系8を調整して投影画像の台形歪みを補正する。
【0025】
次に、図3を参照してライン型パッシブ測距装置(外光三角測距方式)3、4の動作原理を説明する。なお、ライン型パッシブ測距装置3とライン型パッシブ測距装置4は設置されている角度は異なるが、同一構成なので、説明を簡略化するため、本例ではライン型パッシブ測距装置3についてのみ説明する。なお、構成の対応関係を説明すると、ライン型パッシブ測距装置4の1対のレンズ41a、41bはライン型パッシブ測距装置3の1対のレンズ31a、31bに対応し、ライン型パッシブ測距装置4の1対のラインセンサ41c、41dはライン型パッシブ測距装置3の1対のラインセンサ31c、31dに対応し、ライン型パッシブ測距装置4の撮像部41はライン型パッシブ測距装置3の撮像部31に対応し、ライン型パッシブ測距装置4の演算部42はライン型パッシブ測距装置3の演算部32に対応する。
【0026】
同図において、1対のレンズ31aと31bは所定の基線長bだけ離して配設してあり、1対のレンズ31aと31bから焦点距離fだけ離して配設された1対の光センサアレイ31cと31dに互いに異なる光路1Aと1Bを介して測定対象(スクリーン)1の映像をそれぞれ結像させる。測定対象1は1対のレンズ31a、31bから正面方向に距離LCだけ離れた位置に存在するものとする。
【0027】
測定対象1が無限遠の位置に存在するとき一対の光センサアレイ31cと31dに結像される映像の中心は光センサアレイ31c、31d上のレンズ31a、31bの光軸に対応する基準位置(31c1、31d1)に結像されるが、測定対象1が無限遠位置よりも近づくと、これら基準位置(31c1、31d1)からαだけずれた位置に結像される。三角測距の原理から測定対象1までの距離LCはLC=bf/αとなる。ここで、基線長bと焦点距離fは定数なので、ずれ量αを検出すれば距離LCを測定できる。これが外光三角測距のパッシブ型測距装置の動作原理であり、この演算を演算部32が行う。
【0028】
基準位置からのずれ量αは、1対のラインセンサ31c、31dから出力される1対の映像信号(映像データ列)IL、IRからそれぞれ抽出した部分映像データ群iL、iRについて図1に示した演算部32が相関演算を行うことにより検出する。この相関演算は周知であるため詳細な説明は割愛するが、概要的には図3(b)に示すように部分映像データ群iL、iRを重ねたときに最も一致度が高くなる領域を、重ねる部分映像データ群iL、iRを光センサアレイの並び方向に相対的にずらしながら検出していく演算である。
【0029】
なお、相関演算を行う際、図3(b)のように一方の部分映像データ群iLを基準部として基準位置に応じて固定し、他方の部分映像データ群iRを参照部としてずらしていくことにより、レンズ31aの光軸方向を測距方向とすることができる。しかしながら、測距方向を両レンズの中心位置からの方向とする場合は、一方の部分映像データ群iLと他方の部分映像データ群iRをそれぞれ相対的にずらしていくようにしても良い。
【0030】
次に、図4を参照して正面と異なる方向を測距方向とする場合のライン型パッシブ測距装置の測距原理を説明する。
【0031】
同図において、測定したい方向Cの無限遠位置に測定対象1が存在するときに1対の光センサアレイ31cと31dに結像される映像の中心を基準位置(31c2、31d2)とすると、測距方向Cにおいて測定対象1が無限遠位置よりも近づくと、これら基準位置(31c2、31d2)からαだけずれた位置に測定対象1の像が結像される。三角測距の原理から測定対象1までの距離LRはLR=bf/(αcosβ)となる。なお、角度βは基線の垂線Aに対する測距方向Cの傾き角であり、測定方向Cを決定することにより確定される角度となる。ここで、基線長b、焦点距離fおよびcosβは定数なので、ずれ量αを検出すれば距離LRを測定できる。これが正面と異なる方向を測距方向とする場合の測距原理である。なお、この場合も、相関演算を行う際、図4(b)のように一方の部分映像データ群iLを基準部として固定し、他方の部分映像データ群iRを参照部としてずらしていくことにより、レンズ31aの光軸に対して角度βだけずれた方向Cを測距方向とすることができる。よって、測距方向に応じて基準位置を複数設定することにより、1つのライン型パッシブ測距装置で複数方向の距離を検出可能となる。
【0032】
本例は、このようなライン型パッシブ測距装置3、4を利用してスクリーン1とプロジェクタ2との相対的な傾斜角を検出するものである。
【0033】
なお、1つのライン型パッシブ測距装置で複数方向の測距を行う際には、図5に示したようにラインセンサ31c中に複数の測距方向(本例ではR(右)、C(中央)、L(左)とする。)に基づく複数の基準位置に応じた複数の測距演算領域(31cR、31cC、31cL)を設けるとともにラインセンサ31d中に複数の測距方向(R、C、L)に基づく複数の基準位置に応じた複数の測距演算領域(31dR、31dC、31dL)を設け、測距方向で対応する1対の測距演算領域(31cRと31dR、31cCと31dC、31cLと31dL)中の部分映像データを使用して基準位置からのずれ量を求めている。
【0034】
次に、動作を説明する。
【0035】
電源等が投入されると、制御回路5は画像データが入力しているか否かを判断し、画像データの入力があれば、投影画像生成部6にその画像データに応じた表示データを出力させ、表示駆動部7、投射光学系8を介して画像をスクリーン1に投影し、画像データの入力がなければ、制御回路5の内部に予め記憶してある調整用コントラスト画像データを投影画像生成部6に出力し、そのデータに応じた画像をスクリーン1に投影させる。この動作は、ライン型パッシブ測距装置3、4の測距精度の悪化を防ぐため、コントラストのある画像をスクリーン1に表示させるための動作である。このように、ライン型パッシブ測距装置3、4の測距精度(傾斜角検出)の悪化を防止するための投光をプロジェクタが本来有している画像投影機能を利用して行うので、専用の投光部が不要になり、構成の簡略化が図れる。また、画像投影に基づき測距するので、測距可能な距離が投影可能な距離に応じたものとなる。よって、測距限界距離と投影限界距離を合わせ込む必要がなくなる。
【0036】
続いて、制御回路5はライン型パッシブ測距装置3、4を動作させ、各々にスクリーン1までの距離を複数方向において検出させる。
【0037】
制御回路5は、ライン型パッシブ測距装置3の測距演算結果に基づきスクリーン1とプロジェクタ2との相対的な水平方向(第1の基線長方向)の傾斜角を算出するとともに、ライン型パッシブ測距装置4の測距演算結果に基づきスクリーン1とプロジェクタ2との相対的な垂直方向(第2の基線長方向)の傾斜角を算出する。
【0038】
図6は、上述した傾斜角の算出の一例を説明するための図である。なお、本例は、水平(左右)方向の傾斜角検出、垂直(上下)方向の傾斜角検出または水平および垂直方向の複合された傾斜角検出を行うものを含んでいるが、同様な方式で理解できるため、以降はライン型パッシブ測距装置3を用いた水平方向の傾斜角検出について説明する。
【0039】
図6に示すように、ライン型パッシブ測距装置3の基線長方向(プロジェクタ2の水平方向)に対するスクリーン1の傾斜角度をθ1とし、測距演算領域31cLを用いて測距演算された結果がL1、測距演算領域31cRを用いて測距演算された結果がL2、測距演算領域31cRに対応する測距方向と基線長の垂線との角度をβ、測距演算領域31cLに対応する測距方向と基線長の垂線との角度をγとすると、傾斜角θ1は
tanθ1=(L2cosβ−L1cosγ)/(L1sinγ+L2sinβ)
で求めることが可能である。なお、角度β、γは上述したように設計段階等で求められる定数であり、これらの値は制御回路5内に予め記憶しておく。
【0040】
ライン型パッシブ測距装置4の基線長方向(プロジェクタ2の垂直方向)に対するスクリーン1の傾斜角θ2は、上記と同様な原理で求めることができる。
【0041】
よって、このような演算を制御回路5が行うことにより、傾斜角θ1とθ2を求められる。
【0042】
このように、カメラ等で利用されているライン型パッシブ測距装置を利用した簡便な傾斜角検出装置を実現できる。
【0043】
傾斜角θ1とθ2が求まると、制御回路5は求めた傾斜角θ1とθ2を表示駆動部7に出力し、表示駆動部7は、制御回路5が算出した水平方向および垂直方向の傾斜角に基づきコンデンサレンズを含む投射光学系8を調整して投影画像の台形歪みを補正する。
【0044】
なお、本例では、制御回路5が算出した水平方向および垂直方向の傾斜角に基づきコンデンサレンズを含む投射光学系8を調整して投影画像の台形歪みを光学的に補正するようにしているが、投影画像生成部6において制御回路5が算出した水平方向および垂直方向の傾斜角に基づき投影映像とは逆の台形歪のある画像の表示データを生成して投影画像の台形歪みを電気的に補正するようにしてもよい。
【0045】
このように、プロジェクタとスクリーンとの相対的な傾斜角に応じた画像の歪みをカメラ等で利用されているライン型パッシブ測距装置を利用した簡単な構成で実現可能となる。
【0046】
制御回路5は、傾斜角θ1とθ2が求まるとライン型パッシブ測距装置3、4の動作を停止させ、角度検出動作と台形歪み補正動作を終了する。
【0047】
なお、制御回路5は、一旦傾斜角θ1とθ2を求めた後、所定時間経過した時点で再びライン型パッシブ測距装置3、4を動作させ、再度傾斜角θ1とθ2を検出し、この検出した傾斜角θ1とθ2に基づき再び台形歪み補正動作を行うようにしてもよい。このようにすれば、間欠的に画像の歪みを補正するので、スクリーンやプロジェクタの設置状況等が変化してもその変化に応じた歪補正を自動的に行える。
【0048】
次に、本発明の他の実施例を図7を参照して説明する。図7は、上述した傾斜角の算出の他の例を説明するための図である。なお、本実施例では、傾斜角の算出についてのみ説明し、上記実施例と同一の構成には同一の符号を附してその説明を省略する。また、本実施例は、水平(左右)方向の傾斜角検出、垂直(上下)方向の傾斜角検出または水平および垂直方向の複合された傾斜角検出を行うものを含んでいるが、同様な方式で理解できるため、以降はライン型パッシブ測距装置3を用いた水平方向の傾斜角検出について説明する。
【0049】
図7に示すように、ライン型パッシブ測距装置3の基線長方向(プロジェクタ2の水平方向)に対するスクリーン1の傾斜角度をθ1とし、スクリーン1上の測距地点1Aを通り光軸Lと平行な直線をLAとし、スクリーン1上の測距地点1Bを通り光軸Lと平行な直線をLBとし、基線長と直線LAとの交点を1A´、基線長と直線LBとの交点を1B´、点1A´と光軸Lの垂線との距離をXA、点1B´と光軸Lの垂線との距離をXB、測距演算領域31cLを用いて測距演算された結果がYA、測距演算領域31cRを用いて測距演算された結果がYBとすると、傾斜角θ1は
tanθ1=(YB−YA)/(XA+XB)
で求めることが可能である。
【0050】
ここで、三角形の相似により、
YA:XA=f:(CA−l)×P
が成り立つ。これを展開すると、
XA=(CA−l)×P×YA/f
となる。ここで、CAはセンサ面に結像したエリアAのコントラスト重心位置に相当する画素番号、lは光軸に相当するラインセンサの画素番号、Pはラインセンサの画素ピッチ、fは焦点距離である。同様に、LBは、
LB=(CB−l)×P×YB/f
で表わせる。ここで、CBはセンサ面に結像したエリアBのコントラスト重心位置に相当する画素番号である。なお、P及びfは設計段階等で求められる定数であり、これらの値は制御回路5内に予め記憶しておく。
【0051】
ライン型パッシブ測距装置4の基線長方向(プロジェクタ2の垂直方向)に対するスクリーン1の傾斜角θ2は、上記と同様な原理で求めることができる。
【0052】
よって、このような演算を制御回路5が行うことにより、傾斜角θ1とθ2を求められる。
【0053】
このように、カメラ等で利用されているライン型パッシブ測距装置を利用した簡便な傾斜角検出装置を実現できる。
【0054】
傾斜角θ1とθ2が求まると、制御回路5は求めた傾斜角θ1とθ2を表示駆動部7に出力し、表示駆動部7は、制御回路5が算出した水平方向および垂直方向の傾斜角に基づきコンデンサレンズを含む投射光学系8を調整して投影画像の台形歪みを補正する。
【0055】
なお、本例では、制御回路5が算出した水平方向および垂直方向の傾斜角に基づきコンデンサレンズを含む投射光学系8を調整して投影画像の台形歪みを光学的に補正するようにしているが、投影画像生成部6において制御回路5が算出した水平方向および垂直方向の傾斜角に基づき投影映像とは逆の台形歪のある画像の表示データを生成して投影画像の台形歪みを電気的に補正するようにしてもよい。
【0056】
このように、プロジェクタとスクリーンとの相対的な傾斜角に応じた画像の歪みをカメラ等で利用されているライン型パッシブ測距装置を利用した簡単な構成で実現可能となる。
【0057】
制御回路5は、傾斜角θ1とθ2が求まるとライン型パッシブ測距装置3、4の動作を停止させ、角度検出動作と台形歪み補正動作を終了する。
【0058】
なお、制御回路5は、一旦傾斜角θ1とθ2を求めた後、所定時間経過した時点で再びライン型パッシブ測距装置3、4を動作させ、再度傾斜角θ1とθ2を検出し、この検出した傾斜角θ1とθ2に基づき再び台形歪み補正動作を行うようにしてもよい。このようにすれば、間欠的に画像の歪みを補正するので、スクリーンやプロジェクタの設置状況等が変化してもその変化に応じた歪補正を自動的に行える。
【0059】
なお、上記の各例では、2つのライン型パッシブ測距装置を用いて異なる複数の方向についての傾斜角を検出し、各々の検出結果に基づき台形歪み補正を行うようにしたが、1つのライン型パッシブ測距装置を用いて1方向についての傾斜角を検出し、この検出した1つの傾斜角に基づき台形歪み補正を行うようにしてもよい。
【0060】
また、上記の各例では2つのライン型パッシブ測距装置で、異なる複数の方向として垂直方向と水平方向の2方向の傾斜角を検出するようにしたが、異なる複数の方向は垂直方向と水平方向に限らず、適宜変更可能である。
【0061】
また、上記の各例では測定対象をスクリーンとしたが、測定対象はスクリーンに限らず、適宜変更可能である。
【0062】
また、本発明は上記の各実施例にのみ限定されず、要旨を変更しない範囲で適宜変形して実施できる。
【0063】
【発明の効果】
本発明によれば、カメラ等で利用されているライン型パッシブ測距装置を利用可能な簡便な傾斜角検出装置やスクリーンとの傾斜角度に応じて投影画像の台形歪み補正を行うプロジェクタの構成の簡略化が図れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示したブロック図。
【図2】図1の正面図。
【図3】図1のライン型パッシブ測距装置の測距原理を示した図。
【図4】図1のライン型パッシブ測距装置の測距原理を示した図。
【図5】本例の1対のラインセンサ31c、31dの複数の測距演算領域を示した図。
【図6】図1の傾斜角の検出方式を示した図。
【図7】本発明の他の実施例の傾斜角の検出方式を示した図。
【符号の説明】
3 第1のライン型パッシブ測距装置
31a、31b 第1の1対のレンズ
31c、31d 第1のラインセンサ
32 第1の演算部
4 第2のライン型パッシブ測距装置
41a、41b 第2の1対のレンズ
41c、41d 第2のラインセンサ
42 第2の演算部
5 第1、第2の傾斜角算出部
6 画像歪み補正部
7 画像歪み補正部
Claims (7)
- 基線長だけ離して配置した1対のレンズと、上記1対のレンズにより測定対象の1対の像が結像するラインセンサと、上記ラインセンサの出力に基づき互いに異なる複数の方向について測距演算する演算部とを備えたライン型パッシブ測距装置と、
上記ライン型パッシブ測距装置の演算結果に基づき上記基線長方向に対する上記測定対象の傾斜角を算出する傾斜角算出部と
を含むことを特徴とする角度検出装置。 - 請求項1において、上記傾斜角算出部は、上記複数の方向の各々の上記基線の垂線に対する角度と上記ライン型パッシブ測距装置の演算結果に基づき上記基線長方向に対する上記測定対象の傾斜角を算出することを特徴とする角度検出装置。
- 請求項1において、上記傾斜角算出部は、上記複数の方向の各々の上記ラインセンサのコントラスト重心位置と上記ライン型パッシブ測距装置の演算結果に基づき上記基線長方向に対する上記測定対象の傾斜角を算出することを特徴とする角度検出装置。
- 第1の基線長だけ離して配置した1対の第1のレンズと、上記1対の第1のレンズにより測定対象の1対の像が結像する第1のラインセンサと、上記第1のラインセンサの出力に基づき互いに異なる複数の方向について測距演算する第1の演算部とを備えた第1のライン型パッシブ測距装置と、
上記第1のライン型パッシブ測距装置の演算結果に基づき上記第1の基線長方向に対する上記測定対象の傾斜角を算出する第1の傾斜角算出部と、
上記第1の基線長の方向と直交する方向の第2の基線長だけ離して配置した1対の第2のレンズと、上記1対の第2のレンズにより上記測定対象の1対の像が結像する第2のラインセンサと、上記第2のラインセンサの出力に基づき互いに異なる複数の方向について測距演算する第2の演算部とを備えた第2のライン型パッシブ測距装置と、
上記第2のライン型パッシブ測距装置の演算結果に基づき上記第2の基線長方向に対する上記測定対象の傾斜角を算出する第2の傾斜角算出部と
を含むことを特徴とする角度検出装置。 - 請求項1乃至4のいずれかにおいて、上記測定対象は、画像が投影されるスクリーンであることを特徴とする角度検出装置。
- 入力される映像信号に基づき形成された画像をスクリーンに投影するプロジェクタであって、請求項5に記載の角度検出装置と、上記角度検出装置が算出した傾斜角に基づき上記スクリーン上の上記画像の歪み補正する画像歪み補正部とを含むことを特徴とするプロジェクタ。
- 請求項6において、上記角度検出装置は、上記基線長方向に対する上記スクリーンの傾斜角を間欠的に算出し、上記画像歪み補正部は、間欠的に算出される上記傾斜角に基づき上記スクリーン上の上記画像の歪み補正することを特徴とするプロジェクタ。
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