JP2004124357A - ブーム構造およびブーム部材の製造方法 - Google Patents
ブーム構造およびブーム部材の製造方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2004124357A JP2004124357A JP2002262198A JP2002262198A JP2004124357A JP 2004124357 A JP2004124357 A JP 2004124357A JP 2002262198 A JP2002262198 A JP 2002262198A JP 2002262198 A JP2002262198 A JP 2002262198A JP 2004124357 A JP2004124357 A JP 2004124357A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- section
- boom
- substantially rectangular
- rectangular cross
- boom structure
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Images
Classifications
-
- E—FIXED CONSTRUCTIONS
- E02—HYDRAULIC ENGINEERING; FOUNDATIONS; SOIL SHIFTING
- E02F—DREDGING; SOIL-SHIFTING
- E02F3/00—Dredgers; Soil-shifting machines
- E02F3/04—Dredgers; Soil-shifting machines mechanically-driven
- E02F3/28—Dredgers; Soil-shifting machines mechanically-driven with digging tools mounted on a dipper- or bucket-arm, i.e. there is either one arm or a pair of arms, e.g. dippers, buckets
- E02F3/36—Component parts
- E02F3/38—Cantilever beams, i.e. booms;, e.g. manufacturing processes, forms, geometry or materials used for booms; Dipper-arms, e.g. manufacturing processes, forms, geometry or materials used for dipper-arms; Bucket-arms
Abstract
【課題】建設機械に用いられ、略矩形断面を有するブームの疲労強度の向上を図るとともに、軽量化を図ることができるブーム構造を提供する。
【解決手段】建設機械に用いられ、略矩形断面を有するブーム構造であって、ブームの長手方向に、第1直線部2aと、第1直線部2aに連なる曲線部2bと、曲線部2bに連なる第2直線部2cとを備え、ブーム長手方向における少なくとも曲線部2bには、前記略矩形断面における上下のうちの少なくとも一方に位置する角部8が、閉じられた断面をもつ管9を用いて形成されている。
【選択図】 図1
【解決手段】建設機械に用いられ、略矩形断面を有するブーム構造であって、ブームの長手方向に、第1直線部2aと、第1直線部2aに連なる曲線部2bと、曲線部2bに連なる第2直線部2cとを備え、ブーム長手方向における少なくとも曲線部2bには、前記略矩形断面における上下のうちの少なくとも一方に位置する角部8が、閉じられた断面をもつ管9を用いて形成されている。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、建設機械に用いられ、略矩形断面を有するブーム構造及びブーム部材の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
油圧ショベル等の建設機械においては、下部走行体に上部旋回体が設けられ、上部に搭載したブーム、アーム、バケット等のアタッチメントを操作して掘削作業等を行う。このような建設機械の例として、油圧ショベル100の側面視を図5に示す。この油圧ショベル100は、下部走行体101(クローラ)の上に上部旋回体102が旋回可能に設けられ、上部旋回体102には、ブーム103、アーム104、バケット105等で構成されるアタッチメントが取り付けられている。ブーム103、アーム104、バケット105は、それぞれブームシリンダ106、アームシリンダ107、バケットシリンダ108で駆動される。これらのアタッチメントにおいて、ブーム103、アーム104は掘削作業時に片持ち状態で荷重を支えるため、十分な強度が必要となる。一方、アタッチメント自体が機体(101、102)より前方に突出したオーバーハング状態(片持ち状態)で取り付けられているため、機体(101、102)との重量バランスの関係上、アタッチメントの軽量化も望まれる。そして、長くへの字状に形成されているブーム103が、アタッチメントの中でも最も重く、その軽量化がより重要となる。
【0003】
図6(a)に、従来の技術におけるブーム構造110の断面形状を示す。このブーム構造110は、例えば、前述のブーム103に適用される。ブーム構造110は、上板110a、下板110b、2枚の側板110cを4辺とする略矩形断面を有し、その4隅の角(かど)部が溶接で接合されている(溶接部分110d)。前述のように、ブームには軽量化とともに十分な強度の確保が求められるため、ブーム構造110には、強度保持のため、ブームを構成する板材を厚くする構成、またスティフナと呼ばれる隔壁(図示せず)等を取り付けた構造などが用いられる。なお、ブーム構造は、基本的には、図6(a)に示すようなブーム構造110のように略矩形断面に構成されるのが一般的である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
油圧ショベル等において掘削作業を行う場合は、ブームには曲げモーメントが加わり、への字状に曲がったブームの曲線部をまっすぐに伸ばそうとする方向に曲げ変形が生じる(図5参照)。図6(b)は、図6(a)に示すブーム構造110に、この掘削作業時の曲げ変形が加わった状態を誇張して示したものであり、ブームのへの字状の曲線部における断面を示している(図中点線が変形前の状態、実線が変形後の状態)。図6(b)に示すように、ブーム構造110の4隅の溶接部分110dには、溶接線に直交する方向(図中矢印方向)の高い応力が作用することになる。しかし、溶接部分110dは、溶接線直交方向の応力を受ける場合、母材部分に比べると著しく強度が低下している。このため、掘削作業が繰り返し行われると、ブーム構造110には繰り返し応力が作用することになり、溶接部分110dの疲労寿命により、ブーム構造110の寿命が律速してしまうことになる。そのため、母材強度には余裕があるにもかかわらず、角部の溶接部分の疲労強度を確保するため、前述したように、補強のためブームを構成する板材を厚くしたり、隔壁等を設けたりせざるを得ず、ブームの重量増加を招いてしまうことになる。
【0005】
略矩形断面を有するブーム構造としては、例えば、特開平11−200397号公報や、実開平4−57542号公報等に記載されたものがある。しかし、特開平11−200397号公報に記載のブーム構造(箱型構造物)では、大きな補強板が必要なため、軽量化との両立は困難である。また、実開平4−57542号公報に記載のブーム構造では、コの字型の左右側面板を突合わせ溶着する構造であるため溶接部分が4隅の角部には位置しないが、への字状の曲線部分(く字型)の前後で分割された前後ブロックを突合わせ溶着する構造であるため、この前後ブロックの接合部の強度確保が問題となる。なお、小型の油圧ショベルでは、1本のパイプを折り曲げてブーム構造を構成するものも知られているが、あくまで小型に適したものであり、大型ショベルへの適用に関しては強度的に改良の余地があった。
【0006】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、建設機械に用いられ、略矩形断面を有するブームの疲労強度の向上を図るとともに、軽量化を図ることができるブーム構造を提供し、また、そのブーム部材の製造方法を提供することとを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、請求項1に記載のブーム構造は、建設機械に用いられ、略矩形断面を有するブーム構造であって、ブームの長手方向に、第1直線部と、この第1直線部に連なる曲線部と、この曲線部に連なる第2直線部とを備え、ブーム長手方向における少なくとも前記曲線部には、前記略矩形断面における上下のうちの少なくとも一方に位置する角部が、閉じられた断面をもつ管を用いて形成されていることを特徴とする。
【0008】
この構成によると、ブーム構造の略矩形断面における角部の疲労強度が問題となる曲線部において、略矩形断面の上下の少なくとも一方の角部に、閉じられた断面をもつ管が用いられているため、溶接部分の位置を角部から離れた位置に配置することができ、高応力となる角部では母材の強度が確保できることになる。これにより、略矩形断面の角部の疲労強度の向上を図ることができる。また、管の外形のうち、略矩形断面の外形を構成しない部分は、略矩形断面の内部側に位置することになり、補強部材としての機能を果たすことができる。したがって、このブーム構造によると、補強のためブームを構成する板材を厚くする場合や隔壁等を用いる場合に比べ、軽量化を図ることができる。すなわち、ブームの疲労強度を向上させ、軽量化を図ることができる。
【0009】
請求項2に記載のブーム構造は、請求項1において、前記管には、ブーム長手方向に延びる平坦部分が形成されていることを特徴とする。
【0010】
この構成によると、管に形成された平坦部分で略矩形断面の外形の一部を構成することができ、角部に配置される管を用いて略矩形断面のブーム構造を容易に構築できる。また、管と他の部材とを接合して略矩形断面を形成する場合に、他の部材を管の平坦部分と接合することができ、接合が容易に行える。
【0011】
請求項3に記載のブーム構造は、請求項1または2において、少なくとも前記曲線部における前記略矩形断面は、前記管の外形の一部と、前記管に溶接される部材とで形成され、前記溶接される部材はブーム長手方向に延びる平板部分を有し、前記平板部分におけるブーム長手方向に延びる端部が、前記略矩形断面の外形に略沿う前記管の外形部分のうち、前記角部とは異なる曲折した部分と重なって溶接されていることを特徴とする。
【0012】
この構成によると、平板部分を有する部材の端部を、角部から遠ざけた位置で管と溶接することができ、角部からより離れた個所に溶接部分が位置する略矩形断面のブーム構造とすることができる。
【0013】
請求項4に記載のブーム構造は、請求項1〜3において、前記略矩形断面の上下に、それぞれ前記管が1本ずつ配設され、前記管のそれぞれが、前記角部を2つ形成していることを特徴とする。
【0014】
この構成によると、略矩形断面の上下の角部において母材の強度が得られるとともに、管の外形のうち、2つの角部を形成しない側に位置し、略矩形断面の外形を構成しない部分にて、ブーム構造の両側板間を架橋する補強板としての機能を果たすことができる。
【0015】
請求項5に記載のブーム構造は、請求項4において、前記管の外形部分であって前記略矩形断面の内部側に位置している部分に、前記管の内部側にくぼむ凹部が形成されていることを特徴とする。
【0016】
この構成によると、管の外形のうち、2つの角部を形成しない側に位置し、略矩形断面の外形を構成しない部分にて、ブーム構造の両側板間を架橋する補強板としての機能を果たすともに、さらに、ブーム構造の幅方向の曲げに対する強度や捩じり方向に対する強度も向上させることができる。
【0017】
請求項6に記載のブーム構造は、請求項1〜5のいずれかにおいて、前記略矩形断面の4隅に、それぞれ前記管が1本ずつ配設され、前記管のそれぞれが、前記角部を形成していることを特徴とする。
【0018】
この構成によると、角部に配設された各管が、それぞれ角部において母材強度を確保するとともに、略矩形断面の外形を構成しない部分にて、各角部をそれぞれ補強することができる。
【0019】
請求項7に記載のブーム構造は、請求項3〜6のいずれかにおいて、前記管の前記曲折した部分には、前記管の内部側にくぼむ段部が形成され、この段部に前記平板部分の前記端部が溶接されていることを特徴とする。
【0020】
この構成によると、管の内部側にくぼむ段部に対して、略矩形断面を構成する部材の平板部分の端部を嵌め合わすようにして溶接できるため、溶接が容易に行える。また、安定した溶接が可能なため、溶接部分の接合強度も確保し易い。
【0021】
請求項8に記載のブーム構造は、請求項1〜7のいずれかにおいて、前記第1直線部はアームが取り付けられる先端側に位置し、前記第2直線部は建設機械本体側に支持される支持側に位置し、前記略矩形断面の上側に配設される前記管は、前記曲線部から前記第2直線部にわたる部分に、前記略矩形断面の下側に配設される前記管は、前記曲線部から前記第1直線部にわたる部分に、それぞれ延設されていることを特徴とする。
【0022】
アームを駆動するアームシリンダは、一般的に、ブームの曲線部と第1直線部の境界近傍に配設され、ブームを駆動するブームシリンダは、ブームの曲線部に配設される。そのため、ブームに負荷が作用すると、曲線部から第2直線部にわたる部分には略矩形断面の上側に、曲線部から第1直線部にわたる部分には略矩形断面の下側に、それぞれ高応力が発生し易い。したがって、本発明の構成によると、高応力が発生する個所に効率よく管を配設し、ブームの軽量化を図ることができる。
【0023】
請求項9に記載のブーム構造は、請求項1〜8において、前記管は、継ぎ目無し鋼管または電縫管を変形させたものであることを特徴とする。
【0024】
この構成によると、継ぎ目無し鋼管または電縫管を変形させた異形管を用いることで、略矩形断面の角部に、閉じられた断面をもつ管を容易に配設することができる。
【0025】
請求項10に記載のブーム部材の製造方法は、略矩形断面を有し、建設機械に用いられるブーム部材の製造方法であって、円管を外型ロール間を通過させることで異形管に成形し、前記異形管成形時に、前記異形管の長手方向に一部曲線部分を形成し、平板部分を有する部材を前記異形管と溶接することで、略矩形断面を形成するとともに、前記曲線部分を前記略矩形断面における上下のうちの少なくとも一方の角部に位置するように配設し、ブーム長手方向に、アームが取り付けられる第1直線部と、この第1直線部に連なり前記異形管の前記曲線部分を含む曲線部と、この曲線部に連なり建設機械本体側に支持される第2直線部とを備えるブーム部材を形成することを特徴とする。
【0026】
この構成によると、略矩形断面を有するブーム部材であって、ブームの長手方向に、第1直線部と、この第1直線部に連なる曲線部と、この曲線部に連なる第2直線部とを備え、曲線部における略矩形断面の角部に、閉じられた断面をもつ管を用いたブーム部材を容易に製造することができる。すなわち、溶接部分の位置を角部から離れた位置に配置し、高応力となる角部では母材の強度が確保できるブーム部材を製造できる。したがって、疲労強度を向上させるとともに、軽量化を図ることができるブーム部材を製造することができる。
【0027】
請求項11に記載のブーム構造は、建設機械に用いられ、略矩形断面を有するブーム構造であって、ブームの長手方向に、第1直線部と、この第1直線部に連なる曲線部と、この曲線部に連なる第2直線部とを備え、前記略矩形断面は、複数の部材が略突き合わされて溶接されることで形成されるとともに、前記略矩形断面の4隅の角部は、前記部材における折り曲げ部分で形成されており、ブーム長手方向における少なくとも前記曲線部には、前記略矩形断面における上下のうちの少なくとも一方に位置する前記角部とともに閉じられた断面を形成するように架け渡される補強部材が設けられていることを特徴とする。
【0028】
この構成によると、略矩形断面の4隅の角部は、部材の折り曲げ部分で形成されている。このため、略矩形断面を構成する部材の突き合わせ溶接部分を、角部から離れた位置に配置することができ、高応力となる角部では母材の強度を確保することができる。そして、疲労強度が問題となる曲線部において、略矩形断面の上下の少なくとも一方の角部に閉断面を形成するように補強部材が配設されるため、ブーム構造の断面2次モーメントを高めることができ、疲労強度の向上を図ることができる。したがって、補強のためブームを構成する板材を厚くする場合や隔壁等を用いる場合に比べ、少ない材料で十分な疲労強度を確保でき、軽量化を図ることができる。即ち、ブームの疲労強度を向上させるとともに、軽量化を図ることができるブーム構造を提供できる。
【0029】
請求項12に記載のブーム構造は、請求項11において、前記複数の部材のうち、前記略矩形断面の前記角部を形成する前記部材には、略L字型断面を有するL字型部材が用いられていることを特徴とする。
【0030】
この構成によると、略矩形断面の各角部が、L字型部材の折り曲げ部分でそれぞれ形成されるため、略矩形断面を構成する部材の突き合わせ溶接部分を角部から離れた位置に配置することができ、高応力となる角部では母材の強度を確保することができる。
【0031】
請求項13に記載のブーム構造は、請求項11において、前記複数の部材のうち、前記略矩形断面の前記角部を形成する前記部材には、略コの字型断面を有するコ字型部材が用いられていることを特徴とする。
【0032】
この構成によると、略矩形断面の各2つの角部が、コ字型部材の2つの折り曲げ部分にてそれぞれ形成されるため、略矩形断面を構成する部材の突き合わせ溶接部分を角部から離れた位置に配置することができ、高応力となる角部では母材の強度を確保することができる。
【0033】
請求項14に記載のブーム構造は、請求項11〜13のいずれかにおいて、前記補強部材は、1つの前記角部とともに閉じられた断面を形成するように、それぞれ架け渡されていることを特徴とする。
【0034】
この構成によると、略矩形断面のブーム構造の断面2次モーメントを高めるとともに、疲労強度が問題となる角部をそれぞれ補強することができる。したがって、効率よく補強部材を配設することができ、疲労強度向上と軽量化との両立が図れる。
【0035】
請求項15に記載のブーム構造は、請求項14において、前記補強部材は、前記略矩形断面の内側に配設されていることを特長とする。
【0036】
この構成によると、角部を内側から補強するため、掘削作業時に両側板が内側に撓もうとする断面変形を効率よく抑制し、疲労強度を向上させることができる。
【0037】
請求項16に記載のブーム構造は、請求項14において、前記補強部材は、前記略矩形断面の外側に配設されていることを特徴とする。
【0038】
この構成によると、角部を外側から補強するため、ブーム構造の断面2次モーメントを高め、疲労強度を向上させることができる。
【0039】
請求項17に記載のブーム構造は、請求項11〜13のいずれかにおいて、前記補強部材は、2つの前記角部とともに閉じられた断面を形成するように、それぞれ架け渡されていることを特徴とする。
【0040】
この構成によると、略矩形断面のブーム構造の断面2次モーメントを高めるとともに、略矩形断面の上下面と対向して架け渡されるように配設されることになる補強部材によって、掘削作業時に両側板が内側に撓もうとする断面変形を効率よく抑制し、疲労強度を向上させることができる。したがって、効率よく補強部材を配設することができ、疲労強度向上と軽量化との両立が図れる。
【0041】
請求項18に記載のブーム構造は、請求項12〜17のいずれかにおいて、前記略矩形断面の前記角部を形成する前記部材間には、この部材よりも薄肉の側板が配設されていることを特徴とする。
【0042】
この構成によると、あまり高い疲労強度が必要でない両側板部分には、角部を形成する部材よりも薄肉の側板を用いることで、より軽量化を図ることができる。
【0043】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の第1〜第3実施形態に係るブーム構造を図面に基づいて説明する。
【0044】
〔第1実施形態〕
図1は、本発明の第1実施形態に係るブーム構造1(ブーム部材1)を示しており、図1(a)は、ブーム構造1の側面図を、図1(b)は、図1(a)のA−A線矢視断面の模式図を示している。このブーム構造1は、油圧ショベル等の建設機械に用いられる。例えば、図5に示す油圧ショベル100のブーム103に用いられる。
【0045】
図1に示すように、ブーム構造1は、略矩形断面(図1(b)参照)を有し、ブーム長手方向に、第1直線部2aと、第1直線部2aに連なる曲線部2bと、曲線部2bに連なる第2直線部2cとを備え、への字状に形成されている。第1直線部2aの先端には図示しないアーム(例えば、図5のアーム104)を回動自在に支持するアーム連結部3が取り付けられている(即ち、第1直線部2aはアームが取り付けられる先端側に位置している)。また、曲線部2bにおける上側(への字状の出っ張り側)には、図示しないアームシリンダ(例えば、図5のアームシリンダ107)を取り付けるためのブラケット4が設けられている。そして、曲線部2bの両側面には、図示しないブームシリンダ(例えば、図5のブームシリンダ106)の先端が回動自在に取り付けられるためのボス部5が設けられている。また、第2直線部2cの端部には、図示しない建設機本体(例えば、図5の上部旋回体102)と回動自在に連結される本体連結部6が設けられている(即ち、第2直線部2cは建設機本体側に支持される支持側に位置している)。
【0046】
ブーム構造1の曲線部2bにおける断面(A−A線矢視断面)は、図1(b)に示すように略矩形断面として形成されている。そして、この略矩形断面の上下4隅に位置する角(かど)部8a〜8d(以下、「角部8」ともいう)は、閉じられた断面をもつ管9a、9bを用いて形成されている。すなわち、略矩形断面の上下に、それぞれ管9a又は9b(以下、「管9」ともいう)が1本ずつ配設され、管9のそれぞれが、その外形の一部で角部を2つ(角部8a及び8b、または角部8c及び8d)形成している。
【0047】
曲線部2bにおける角部8を形成している管9は、ブーム長手方向の第1直線部2a、曲線部2b、第2直線部2cの全てにわたって略矩形断面の上下に配設されている(図1(a)参照)。この管9には、ブーム長手方向に延びる平坦部分10(10a〜d)、11(11a〜d)が形成されている。すなわち、管9aには、上面10a、側面10b及び10c、下面10dが形成されており、管9bには、上面11a、側面11b及び11c、下面11dが形成されている。そして、管9の外形の一部を構成している上面10a、側面10b、10c、側面11b、11c、下面11dが、略矩形断面の一部を構成している。なお、この管9は、継ぎ目無し鋼管(シームレスパイプ)または電縫管を変形させた異形管として形成されている。
【0048】
略矩形断面は、上述した管9の外形の一部(10a〜c、11b〜d)と、管9に溶接される部材12とで形成される。この部材12は、ブーム長手方向に延びる平板状に形成されている(即ち、ブーム長手方向に延びる平板部分12a又は12bを有している)。そして、平板部分12a又は12bにおけるブーム長手方向に延びる端部12c〜12fが、略矩形断面の外形に略沿う管9の外形部分のうち、角部8とは異なる曲折した部分13と重なって溶接されている。なお、曲折した部分13には、管9の内部側にくぼむ段部13a〜dが形成され、この段部13a〜dに平板部分12a、12bの端部12c〜fが溶接されている。
【0049】
以上説明したブーム構造1によると、ブーム構造の略矩形断面における角部8の疲労強度が問題となる曲線部2bにおいて、角部8に閉じられた断面をもつ管9が用いられているため、溶接部分の位置を角部8から離れた位置に配置することができる。すなわち、管9における角部8から離れた曲折した部分13と、平板部分12の端部(12c〜f)とで溶接することができる。これにより、高応力となる角部8では母材の強度が確保できることになる。したがって、略矩形断面の角部8の疲労強度がブームの疲労寿命を律速させてしまうことを緩和し、ブームの疲労強度の向上を図ることができる。また、管9の外形のうち、略矩形断面の外形を構成しない部分、即ち管9aの下面10dと管9bの上面11aとは、略矩形断面の内部側に位置することになり、補強部材としての機能を果たし、略矩形断面の変形を防止することができる。そして、このブーム構造1によると、角部8の疲労強度が向上しているため、薄肉の管材料を用いて、従来よりもブーム部材のトータル重量を軽くし、且つ、従来と同等以上の疲労強度を確保することができる。即ち、補強用にブームを構成する板材を厚くする場合や隔壁等を用いる場合に比べ、ブームの軽量化が図れる。
【0050】
つぎに、ブーム部材1の製造方法について図2を参照しながら説明する。図2(a)は、管9を構成する素材である継ぎ目無し鋼管や電縫管等の円管14の断面図を示している。この円管14を外型ロール間を通過させることで異形管に成形する。図2(b)は、円管14を外型ロール15間を通過させて異形管9(図1(b)における管9に相当)に成形する過程における管断面と外型ロール(15a〜d)との状態を示したものである。すなわち、図中一点鎖線で示す回転軸をもつロール15a〜dが4方に配設されて外型ロール15を構成し、この1組のロールセット(15a〜d)が、直列に(紙面垂直方向に)複数スタンド(複数組)配列され、この複数スタンドの外型ロール15間を順次通過させながら円管14を徐々に変形して異形管9に成形する。これにより、図2(c)に示す異形管9(管9a、9b)が得られる。なお、ロール15dのように、ロールバレルに凹凸を設けることで、曲折した部分13(段部13a〜d)を成形することができる。
【0051】
上記のように、円形14から異形管9を成形する方法としては、円管を外型ロール間に押し込みながら成形するエクスト・ロール方式、円管を主として上流スタンドの外型ロールで送り出しながら下流スタンドの外型ロールで形状を整えていくロールフォーミング方式、円管の先端に口部を形成し、この口部を引っ張り出しながら外型ロール間で引抜き加工を行うドローベンチ方式などが用いられる。そして、これらの方式により円管14から異形管9を成形する際に、円管14(異形管9)の通過方向の角度を変更することで、異形管の長手方向に一部曲線部分を形成する。なお、異形管9の成形時において、円管14(異形管9)の内部に中子を嵌挿し、外型ロール(ダイス)と中子(プラグ)とで、より精密に成形を行うものであってもよい。
【0052】
図2(c)に示す異形管9(管9)が得られると、図2(d)に示すように、この管9を管9a、9bとしてそれぞれ上下に配置し、両側面に平板部分(12a、12b)を有する部材12をそれぞれ配置し、これらを溶接して略矩形断面を形成する(図中矢印で示す方向に接合する)。すなわち、端部12c〜fをそれぞれ段部13a〜dと溶接する。このとき、異形管9の長手方向に形成した前述の曲線部分を略矩形断面における上下のうちの少なくとも一方の角部に位置するように配設する(ブーム部材1では、上下両方の角部8に管9が配設されている)。これにより、図2(e)に示すように略矩形断面をし、図1(a)に示すように、ブーム長手方向に、アームが取り付けられる第1直線部2aと、第1直線部2aに連なり異形管9の曲線部分を含む曲線部2bと、曲線部2bに連なり建設機械本体側に支持される第2直線部2cとを備えるブーム部材1を形成することができる。したがって、図2(e)に示すように、溶接部分16a〜dの位置を角部8(8a〜d)から離れた位置に配置し、高応力となる角部8では母材の強度が確保できるブーム部材1を製造できる。
【0053】
(変形例)
つぎに、本発明の第1実施形態に係るブーム構造の変形例について説明する。図3は、変形例に係る各ブーム構造の略矩形断面を示したものであり、いずれもブーム構造の曲線部における断面(図1のA−A線矢視断面に相当する断面)を示している。管の外形の一部と管に溶接される部材とで形成される略矩形断面は、図3(a)〜(g)に例示するように、種々の形態をとることができる。
【0054】
図3(a)に示すブーム構造21では、2本の長方形断面の管31、32と2枚の平板部材33、34(平板部分33、34)とで略矩形断面が形成されている。平板部材33、34の端部(33a、33b、34a、34b)は、管31、32における略矩形断面の角部35a〜dとは異なる曲折した部分(31a、31b、32a、32b)と重なって溶接されている。また、図3(b)に示すブーム構造22では、1本の長方形断面の管36が、略矩形断面の上側に配設され、これにコの字型断面の部材37が溶接されて略矩形断面が形成されている。即ち、略矩形断面における上側の角部36a、36bは、管34によって形成され、下側の角部36c、36dは、部材35によって形成されている。部材35の両側面を成す平板部分35a、35bの各端部35c、35dは、管34における略矩形断面の角部36a、36bとは異なる曲折した部分34a、34bと重なって溶接されている。なお、ブーム構造21及び22においては、曲折した部分に、段部は形成されていない。
【0055】
図3(c)に示すブーム構造23は、略矩形断面の4隅に、それぞれ三角形断面の管39(39a〜d)が1本ずつ配設され、これらの各管39と各平板部材41(41a〜d)とが溶接され、略矩形断面が構成されている。略矩形断面の角部40a〜dは、各管39のそれぞれによって形成されている。管39における角部40a〜dとは異なる曲折した部分42a〜hは、平板部材41の端部43a〜hと重なって溶接されている。このように、略矩形断面の4隅にそれぞれ1本ずつ管39を配置すると、それぞれ角部40a〜dにおいて母材強度を確保できるとともに、管39における略矩形断面の外形を構成しない部分にて、各角部40a〜dをそれぞれ補強することができる。
【0056】
図3(d)及び図3(e)に示すブーム構造24または25は、ブーム構造1、21、22と同様、略矩形断面の上下に配設された2本の管44または47と、略矩形断面の両側面を形成する2枚の平板部材45または48とそれぞれ構成される。しかし、ブーム構造24または25は、管44または47の外形部分であって略矩形断面の内側に位置している部分に、管44または47の内部側にくぼむ凹部46または49が形成されている。すなわち、図1に示すブーム構造1において、管9aの下面10dと管9bの上面11aとに、管9a及び9bの内部側にくぼむ凹部が形成されているものに相当する。なお、凹部46はアーチ状に、凹部49は台形状に形成されている。このように、凹部46または49を形成することで、ブーム構造の幅方向の曲げに対する強度や捩じり方向に体する強度も向上させることができる。
【0057】
図3(f)に示すブーム構造26は、図3(c)のブーム構造23において曲折した部分42a〜hに段部をそれぞれ形成し、この段部に端部43a〜hを溶接したものに相当する。このように段部を形成することで、略矩形断面の4隅にそれぞれ管を設けたブーム構造においても、溶接性を改善できる。また、図3(g)に示すブーム構造27は、図3(a)のブーム構造21において角部35a〜dに斜面部分を形成したものである。このように、略矩形断面の形状としては、必ずしも直角に形成された角部を有するものに限らず、角部に斜面部分やR部などを形成した種々の形態を選択し得る。
【0058】
最後に、ブーム長手方向における管の配設位置に関する変形例を図4に示す。図4(a)または図4(b)に側面視を示すブーム構造28または29は、いずれも略矩形断面の上下に管51(51a、51b)または52(52a、52b)を有している。なお、図1に示すブーム構造1と共通する部分には、同一の符号を付している。
【0059】
図4(a)のブーム構造28は、略矩形断面の上側に配設される管51aが、曲線部2bから第2直線部2cにわたる部分に延設され、略矩形断面の下側に配設される管51bが、曲線部2bから第1直線部2aにわたる部分に延設されている。油圧ショベル等のアタッチメントにおいては、アームを駆動するアームシリンダは、曲線部2bとブーム先端側のアームとの間における略矩形断面の上方に配設され、ブームを駆動するブームシリンダは、曲線部2bとブーム支持側の建設機本体との間における略矩形断面に下方に配設される(図5参照)。そのため、ブームに負荷が作用すると、曲線部2bから第2直線部2cにわたる部分には略矩形断面の上側に、曲線部2bから第1直線部2aにわたる部分には略矩形断面の下側に、それぞれ高応力が発生し易い。したがって、ブーム構造28の構成によると、高応力が発生する個所に効率よく管51を配設することができ、さらなる軽量化が図れる。
【0060】
図4(b)のブーム構造29は、略矩形断面の上下に配設される管52a及び52bともに曲線部2bにのみ配設されている。このように、少なくとも、もっとも高い応力が発生する曲線部2bには管52を配設することで、ブームの疲労強度の向上と軽量化を図ることができる。
【0061】
〔第2実施形態〕
つぎに、本発明の第2実施形態に係るブーム構造60について説明する。図7は、ブーム構造60(ブーム部材60)を示しており、図7(a)は、ブーム構造60の側面図を、図7(b)は、図7(a)のB−B線矢視断面の模式図を示している。このブーム構造60は、第1実施形態のブーム構造1と同様、油圧ショベル等の建設機械に用いられる。以下、第1実施形態と説明が重複する部分については適宜割愛しながら説明する。
【0062】
ブーム構造60は、ブーム構造1と同様、略矩形断面を有し(図7(b)参照)、ブーム長手方向に、第1直線部61aと、第1直線部61aに連なる曲線部61bと、曲線部61bに連なる第2直線部61cとを備え、への字状に形成されている。また、ブーム構造1と同様に、アーム連結部63と、ブラケット64と、ボス部65と、本体連結部66とが設けられている。
【0063】
ブーム構造60の断面(B−B線矢視断面)は、図1(b)に示すように、複数の部材67(67a〜d)を用いて略矩形断面として形成されている。この複数の部材67のうち、略矩形断面の上下4隅の角部68(68a〜d)を形成する部材67a〜d(ブーム構造60においては、部材67の全てが該当する)には、略L字型断面を有するL字型部材67(67a〜d)が用いられており、これら複数の部材67a〜dが略突き合わされて溶接されることで略矩形断面が形成されている。即ち、角部68は、L字型部材67における折り曲げ部分で形成されている。そして、L字型部材67におけるブーム長手方向に延びる端部同士が突き合わせ溶接され、溶接部分69(69a〜d)が形成されている。
【0064】
また、図7(b)に示すように、略矩形断面の内側には、平板状の補強部材70(70a〜d)が配設されている。これらの補強部材70は、略矩形断面において、1つの角部68とともに閉じられた断面を形成するように、それぞれ架け渡されている。即ち、各補強部材70は、各角部68に対向するように設けられており、ブーム長手方向に延びる各補強部材70の各両端部がそれぞれ略矩形断面の内側に対して溶接で接合されている。そして、図7(a)に点線で示すように、補強部材70は、ブーム長手方向における第1直線部61a、曲線部61b、第2直線部61cの全てにわたって略矩形断面の上下に配設されている。即ち、ブーム長手方向における少なくとも曲線部61bには、略矩形断面のおける上下のうちの少なくとも一方に位置する角部68とともに閉じられた断面を形成するように補強部材70が架け渡されていることになる。
【0065】
以上説明したブーム構造60によると、略矩形断面の4隅の角部は、部材の折り曲げ部分で形成されている。このため、略矩形断面を構成する部材の突き合わせ溶接部分を、角部から離れた位置に配置することができ、高応力となる角部では母材の強度を確保することができる。そして、疲労強度が問題となる曲線部において、略矩形断面の上下の少なくとも一方の角部に閉断面を形成するように補強部材が配設されるため、ブーム構造60の断面2次モーメントを高めることができ、疲労強度の向上を図ることができる。したがって、このブーム構造60によると、角部68の疲労強度が向上しているため、薄肉のL字型部材67を用いて、従来よりもブーム部材のトータル重量を軽くし、且つ、従来と同等以上の疲労強度を確保することができる。即ち、補強のためブームを構成する板材を厚くする場合や隔壁等を用いる場合に比べ、少ない材料で十分な疲労強度を確保でき、軽量化を図ることができるため、ブームの疲労強度を向上させるとともに、軽量化を図ることができるブーム構造を提供できる。
【0066】
(変形例)
つぎに、第2実施形態に係るブーム構造の略矩形断面の構造に関する変形例について説明する。なお、以下に説明する第2実施形態に係る変形例(図8〜10)は、いずれもブーム構造の曲線部における断面(図7のB−B線矢視断面に相当する断面)を示している。そして、ブーム構造60と同様に、補強部材を略矩形断面における1つの角部とともに閉じられた断面を形成するように、それぞれ架け渡されているものである。以下、ブーム構造60と異なる個所のみ説明する。
【0067】
まず、図8に示す各変形例(図8(a)〜(d))は、いずれもL字型部材を用いて略矩形断面の各角部を形成した例を示すものである。図8(a)に示すブーム構造71は、ブーム構造60と同様に4つのL字型部材72(72a〜d)で略矩形断面が形成されているが、各角部73(73a〜d)のうち、上側の角部73a及び73bに対向する個所にのみ、角部とともに閉じられた断面を形成する補強部材74(74a、b)がそれぞれ架け渡されている。このように、とくに略矩形断面の上側の角部の強度が問題となる場合は、その個所に優先して補強部材を配設することで、効率よく補強部材を配設して、疲労強度と軽量化との両立が図れる。
【0068】
図8(b)又は図8(c)に示すブーム構造75又は76においては、いずれも、L字型部材77(77a〜d)又は78(78a〜d)で形成された略矩形断面の4隅の角部にそれぞれ対向する補強部材79(79a〜d)又は80(80a〜d)が配設されている。しかし、ブーム構造60の場合と異なり、ブーム構造75には、円弧状断面を持つ補強部材79が用いられている。また、ブーム構造76には、ブーム長手方向に延びる両端部にそれぞれ段部が形成された補強部材80が用いられている。
【0069】
図8(d)に示すブーム81は、略矩形断面の各角部82(82a〜d)を形成する部材として、L字型部材83(83a〜d)が用いられ、各角部82に対向する個所に、それぞれ平板状の各補強部材84(84a〜d)が架け渡されている。しかし、ブーム構造60と異なり、L字型部材83間には(L字型部材83aと83cとの間、又は、L字型部材83bと83dとの間には)、このL字型部材83よりも薄肉の側板85(85a、b)が配設されている。角部82と異なり、あまり高い疲労強度が必要でない両側板部分には、このように、角部を形成する部材よりも薄肉の側板を用いることで、より軽量化を図ることができる。
【0070】
次に、図9に示す各変形例(図9(a)〜(d))は、いずれも、略矩形断面を形成する複数の部材のうち角部を形成する部材に、略コの字型断面を有するコ字型部材を用いている例を示すものである。図9(a)に示すブーム構造86は、コ字型部材87(87a、b)が略突き合わされて溶接されることで略矩形断面が形成されている。そして、各角部89(89a〜d)に対向する個所には、各角部89とともにそれぞれ閉じられた断面を形成するように平板状の補強部材88(88a〜d)が架け渡されている。
【0071】
図9(b)又は図9(c)に示すブーム構造90又は91は、ブーム構造86と同様、コ字型部材92(92a、b)又は93(93a、b)が突き合わせ溶接されることで略矩形断面が形成されている。しかし、ブーム構造90においては、角部を補強する補強部材94(94a、b)が、上側の角部に対向する個所にのみ配設されている。また、ブーム構造91においては、4隅の各角部を補強する補強部材として、円弧状断面を有する補強部材95(95a〜d)が用いられている。なお、図8(c)に示すブーム構造76と同様、段部を有する補強部材を用いてもよい。
【0072】
図9(d)に示すブーム構造96は、略矩形断面の上下にそれぞれコ字型部材97(97a、b)が配設され、各角部に対向する個所には、それぞれ各補強部材98(98a〜d)が架け渡されているが、コ字型部材97間には(コ字型部材97aと97bとの間には)、このコ字型部材96よりも薄肉の側板99(99a、b)が配設されている。
【0073】
次に、図10に示す各変形例(図10(a)〜(c))は、いずれも、略矩形断面における角部とともに閉じられた断面を形成するように架け渡される補強部材が、略矩形断面の外側に配設されている例を示すものである。図10(a)に示すブーム構造120は、4つの略L字型断面を有するL字型部材121(121a〜d)で略矩形断面が構成されているが、4隅の角部122(122a〜d)を形成する折り曲げ部分は2段階に折り曲げられており、斜面部分が形成されている。そして、この各角部122とともに閉じられた断面を形成するように略矩形断面の外側に、L字型断面を有する補強部材123(123a〜d)が架け渡されている。
【0074】
図10(b)に示すブーム構造124は、ブーム構造120と同様に、斜面部分を有するL字型部材125(125a〜d)で略矩形断面の各角部が形成されており、各角部の外側にはL字型断面を有する補強部材126(126a〜d)がそれぞれ設けられている。しかし、ブーム構造120と異なり、L字型部材125間には(L字型部材125aと125cと間、又はL字型部材125bと125dとの間には)、このL字型部材125よりも薄肉の側板127(127a、b)が配設されている。図10(c)に示すブーム構造128は、略矩形断面の上側については、ブーム構造120と同様に、斜面部分を有するL字型部材129(129a、b)と、L字型部材129で形成される角部の外側に配設されるL字型断面を有する補強部材130(130a、b)とが設けられている。しかし、略矩形断面の下側については、コの字型断面を有するコ字型部材131が配設されている。
【0075】
最後に、ブーム長手方向における補強部材の配設位置に関する変形例を図11に示す。図11(a)又は図11(b)に側面視を示すブーム構造132又は133は、いずれも略矩形断面の上下に補強部材134(134a、b)又は135(135a、b)を備えている。なお、図7に示すブーム構造60と共通する部分には、同一の符号を付している。
【0076】
図11(a)に示すブーム構造132は、略矩形断面の上側に配設される補強部材134aが、曲線部61bから第2直線部61cにわたる部分に延設され、略矩形断面の下側に配設される補強部材134bが、曲線部61bから第1直線部61aにわたる部分に延設されている。これによると、第1実施形態で説明したように、高応力が発生する個所に効率よく補強部材134を配設することができる。また、図11(b)に示すブーム構造133は、略矩形断面の上下に配設される補強部材135a及び135bともに曲線部61にのみ配設されている。このように、少なくとも、もっとも高い応力が発生する曲線部61bには補強部材135を配設することで、ブームの疲労強度の向上と軽量化を図ることができる。
【0077】
〔第3実施形態〕
つぎに、本発明の第3実施形態に係るブーム構造136について説明する。図12は、ブーム構造136(ブーム部材136)を示しており、図12(a)は、ブーム構造136の側面図を、図12(b)は、図12(a)のC−C線矢視断面図を示している。このブーム構造136は、第1及び第2実施形態と同様、油圧ショベル等の建設機械に用いられる。以下、第1及び第2実施形態と説明が重複する部分については適宜割愛しながら説明する。
【0078】
ブーム構造136は、ブーム構造1と同様、略矩形断面を有し(図12(b)参照)、ブーム長手方向に、第1直線部137a、曲線部137b、第2直線部137cを備え、への字状に形成されている。そして、アーム連結部138、ブラケット139、ボス部140、本体連結部141が設けられている。
【0079】
ブーム構造136の断面(C−C線矢視断面)は、図12(b)に示すように、複数の部材142(142a、b)、143(143a、b)を用いて略矩形断面として形成されている。この複数の部材(142、143)のうち、略矩形断面の上下4隅の角部144(144a〜d)を形成する部材には、略コの字型断面を有するコ字型部材が用いられている。そして、このコ字型部材142間には(コ字型部材142aと142bとの間には)、コ字型部材142よりも薄肉の側板143(部材143)が配設されている。これらの複数の部材(142、143)が略突き合わされて溶接されることで略矩形断面が形成されている。なお、角部144は、コ字型部材における折り曲げ部分で形成されている。
【0080】
また、図12(b)に示すように、略矩形断面の内側には、平板状の補強部材145(145a、b)が配設されている。これらの補強部材145は、略矩形断面において、2つの角部(144a及び144b、又は、144c及び144d)とともに閉じられた断面を形成するように、それぞれ架け渡されている。即ち、略矩形断面の上面146a側と下面146b側とにそれぞれ略平行に補強部材145aと145bとが架け渡され、ブーム長手方向に延びる各補強部材145の各両端部がそれぞれ略矩形断面の内側に対して溶接で接合されている。そして、図12(a)に点線で示すように、補強部材145は、ブーム長手方向における第1直線部137a、曲線部137b、第2直線部137cの全てにわたって略矩形断面の上下に配設されている。即ち、少なくとも曲線部137bには、略矩形断面の上下少なくとも一方の角部144とともに閉じられた断面を形成するように補強部材145が設けられている。
【0081】
以上説明したブーム構造136によると、第2実施形態に係るブーム構造と同様に、高応力となる角部では母材の強度を確保できるとともに、疲労強度が問題となる曲線部において、略矩形断面の上下の少なくとも一方の角部に閉断面を形成するように補強部材が配設されるため、ブーム構造136の断面2次モーメントを高めることができ、疲労強度の向上を図ることができる。また、略矩形断面の上下面と対向して架け渡されるように配設されることになる補強部材によって、掘削作業時に両側板が内側に撓もうとする断面変形を効率よく抑制し、疲労強度を向上させることができる。したがって、このブーム構造136によると、角部144の疲労強度が向上しているため、薄肉の部材142、143を用いて、従来よりもブーム部材のトータル重量を軽くし、且つ、従来と同等以上の疲労強度を確保することができる。即ち、補強のためブームを構成する板材を厚くする場合や隔壁等を用いる場合に比べ、少ない材料で十分な疲労強度を確保でき、軽量化を図ることができるため、ブームの疲労強度を向上させるとともに、軽量化を図ることができるブーム構造を提供できる。
【0082】
(変形例)
つぎに、第3実施形態に係るブーム構造の略矩形断面の構造に関する変形例について説明する。なお、以下に説明する第3実施形態に係る変形例(図13)は、いずれもブーム構造の曲線部における断面(図12のC−C線矢視断面に相当する断面)を示している。そして、ブーム構造136と同様に、補強部材を略矩形断面における2つの角部とともに閉じられた断面を形成するように、それぞれ架け渡されているものである。以下、ブーム構造136と異なる個所のみ説明する。
【0083】
図13(a)に示すブーム構造146は、ブーム構造136と同様にコ字型部材147(147a、b)と側板148(148a、b)とで略矩形断面が形成されているが、略矩形断面の上側にのみ、2つの角部(149a、149b)とともに閉じられた断面を形成する補強部材150が架け渡されている。
【0084】
図13(b)に示すブーム構造151は、ブーム構造136と同様に、コ字型部材152(152a、b)と側板153(153a、b)とで略矩形断面が形成され、2つの角部とともに閉じられた断面を形成する補強部材154(154a、b)が、略矩形断面の上下それぞれに架け渡されている。しかし、補強部材154のブーム長手方向に延びる各両端部には、折り曲げ部155がそれぞれ設けられている。この折り曲げ部155を設けることで、補強部材154の断面2次モーメントを高め、さらにブームの疲労強度を向上させることができる。
【0085】
図13(c)に示すブーム構造156は、略矩形断面の各角部157(157a〜d)を形成する部材に、L字型断面を有するL字型部材158(158a〜d)が用いられている。即ち、各L字型部材158の折り曲げ部分が、それぞれ各角部157を形成し、平板状の補強部材159(159a、b)は、2つのL字型部材間(L字型部材158aと158bとの間、又は158cと158dとの間)にそれぞれ架け渡されている。
【0086】
図13(d)に示すブーム構造160は、ブーム構造136と同様に、コ字型部材161(161a、b)と側板162(162a、b)とで略矩形断面が形成されているが、補強部材163が、両側板間(側板162aと162bとの間)に架け渡されている。このように補強板163を設けても、ブーム構造の断面2次モーメントを高め、疲労強度を向上させることができる。
【0087】
なお、ブーム長手方向に関しては、第2実施形態における図11に示す変形例を第3実施形態においても同様に適用することができる。
【0088】
【発明の効果】
請求項1の発明によると、ブーム構造の略矩形断面における角部の疲労強度が問題となる曲線部において、略矩形断面の上下の少なくとも一方の角部に、閉じられた断面をもつ管が用いられているため、溶接部分の位置を角部から離れた位置に配置することができ、高応力となる角部では母材の強度が確保できることになる。これにより、略矩形断面の角部の疲労強度の向上を図ることができる。また、管の外形のうち、略矩形断面の外形を構成しない部分は、略矩形断面の内部側に位置することになり、補強部材としての機能を果たすことができる。したがって、このブーム構造によると、補強のためブームを構成する板材を厚くする場合や隔壁等を用いる場合に比べ、軽量化を図ることができる。すなわち、ブームの疲労強度を向上させ、軽量化を図ることができる。
【0089】
請求項2の発明によると、管に形成された平坦部分で略矩形断面の外形の一部を構成することができ、角部に配置される管を用いて略矩形断面のブーム構造を容易に構築できる。また、管と他の部材とを接合して略矩形断面を形成する場合に、他の部材を管の平坦部分と接合することができ、接合が容易に行える。
【0090】
請求項3の発明によると、平板部分を有する部材の端部を、角部から遠ざけた位置で管と溶接することができ、角部からより離れた個所に溶接部分が位置する略矩形断面のブーム構造とすることができる。
【0091】
請求項4の発明によると、略矩形断面の上下の角部において母材の強度が得られるとともに、管の外形のうち、2つの角部を形成しない側に位置し、略矩形断面の外形を構成しない部分にて、ブーム構造の両側板間を架橋する補強板としての機能を果たすことができる。
【0092】
請求項5の発明によると、管の外形のうち、2つの角部を形成しない側に位置し、略矩形断面の外形を構成しない部分にて、ブーム構造の両側板間を架橋する補強板としての機能を果たすともに、さらに、ブーム構造の幅方向の曲げに対する強度や捩じり方向に対する強度も向上させることができる。
【0093】
請求項6の発明によると、角部に配設された各管が、それぞれ角部において母材強度を確保するとともに、略矩形断面の外形を構成しない部分にて、各角部をそれぞれ補強することができる。
【0094】
請求項7の発明によると、管の内部側にくぼむ段部に対して、略矩形断面を構成する部材の平板部分の端部を嵌め合わすようにして溶接できるため、溶接が容易に行える。また、安定した溶接が可能なため、溶接部分の接合強度も確保し易い。
【0095】
請求項8の発明によると、高応力が発生する個所に効率よく管を配設し、ブームの軽量化を図ることができる。
【0096】
請求項9の発明によると、継ぎ目無し鋼管または電縫管を変形させた異形管を用いることで、略矩形断面の角部に、閉じられた断面をもつ管を容易に配設することができる。
【0097】
請求項10の発明によると、略矩形断面を有するブーム部材であって、ブームの長手方向に、第1直線部と、この第1直線部に連なる曲線部と、この曲線部に連なる第2直線部とを備え、曲線部における略矩形断面の角部に、閉じられた断面をもつ管を用いたブーム部材を容易に製造することができる。すなわち、溶接部分の位置を角部から離れた位置に配置し、高応力となる角部では母材の強度が確保できるブーム部材を製造できる。したがって、疲労強度を向上させるとともに、軽量化を図ることができるブーム部材を製造することができる。
【0098】
請求項11の発明によると、略矩形断面の4隅の角部は、部材の折り曲げ部分で形成されている。このため、略矩形断面を構成する部材の突き合わせ溶接部分を、角部から離れた位置に配置することができ、高応力となる角部では母材の強度を確保することができる。そして、疲労強度が問題となる曲線部において、略矩形断面の上下の少なくとも一方の角部に閉断面を形成するように補強部材が配設されるため、ブーム構造の断面2次モーメントを高めることができ、疲労強度の向上を図ることができる。したがって、補強のためブームを構成する板材を厚くする場合や隔壁等を用いる場合に比べ、少ない材料で十分な疲労強度を確保でき、軽量化を図ることができる。即ち、ブームの疲労強度を向上させるとともに、軽量化を図ることができるブーム構造を提供できる。
【0099】
請求項12の発明によると、略矩形断面の各角部が、L字型部材の折り曲げ部分でそれぞれ形成されるため、略矩形断面を構成する部材の突き合わせ溶接部分を角部から離れた位置に配置することができ、高応力となる角部では母材の強度を確保することができる。
【0100】
請求項13の発明によると、略矩形断面の各2つの角部が、コ字型部材の2つの折り曲げ部分にてそれぞれ形成されるため、略矩形断面を構成する部材の突き合わせ溶接部分を角部から離れた位置に配置することができ、高応力となる角部では母材の強度を確保することができる。
【0101】
請求項14の発明によると、略矩形断面のブーム構造の断面2次モーメントを高めるとともに、疲労強度が問題となる角部をそれぞれ補強することができる。したがって、効率よく補強部材を配設することができ、疲労強度向上と軽量化との両立が図れる。
【0102】
請求項15の発明によると、角部を内側から補強するため、掘削作業時に両側板が内側に撓もうとする断面変形を効率よく抑制し、疲労強度を向上させることができる。
【0103】
請求項16の発明によると、角部を外側から補強するため、ブーム構造の断面2次モーメントを高め、疲労強度を向上させることができる。
【0104】
請求項17の発明によると、略矩形断面のブーム構造の断面2次モーメントを高めるとともに、略矩形断面の上下面と対向して架け渡されるように配設されることになる補強部材によって、掘削作業時に両側板が内側に撓もうとする断面変形を効率よく抑制し、疲労強度を向上させることができる。したがって、効率よく補強部材を配設することができ、疲労強度向上と軽量化との両立が図れる。
【0105】
請求項18の発明によると、あまり高い疲労強度が必要でない両側板部分には、角部を形成する部材よりも薄肉の側板を用いることで、より軽量化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施形態に係るブーム構造を示しており、図1(a)は側面図を、図1(b)は図1(a)のA−A線矢視断面の模式図を示している。
【図2】第1実施形態に係るブーム構造の製造方法の製造工程の概略を説明する図である。
【図3】第1実施形態に係るブーム構造の変形例を示す図であって、変形例に係る各ブーム構造の略矩形断面を示したものである。
【図4】第1実施形態に係るブーム構造の変形例を示す図であって、ブーム長手方向における管の配設位置に関する変形例を示す側面図である。
【図5】略矩形断面を有するブーム部材が用いられる油圧ショベルの側面図である。
【図6】図6(a)は、従来の技術におけるブーム構造の断面図であり、図6(b)は、図6(a)に示すブーム構造に、掘削作業時の曲げ変形が加わった状態を示したものである。
【図7】第2実施形態に係るブーム構造を示しており、図7(a)は側面図を、図7(b)は図7(a)のB−B線矢視断面の模式図を示している。
【図8】第2実施形態に係るブーム構造の変形例を示す図であって、変形例に係る各ブーム構造の略矩形断面を示したものである。
【図9】第2実施形態に係るブーム構造の変形例を示す図であって、変形例に係る各ブーム構造の略矩形断面を示したものである。
【図10】第2実施形態に係るブーム構造の変形例を示す図であって、変形例に係る各ブーム構造の略矩形断面を示したものである。
【図11】第2実施形態に係るブーム構造の変形例を示す図であって、ブーム長手方向における補強部材の配設位置に関する変形例を示す側面図である。
【図12】第3実施形態に係るブーム構造を示しており、図12(a)は側面図を、図12(b)は図12(a)のC−C線矢視断面の模式図を示している。
【図13】第3実施形態に係るブーム構造の変形例を示す図であって、変形例に係る各ブーム構造の略矩形断面を示したものである。
【符号の説明】
1、21〜29 ブーム構造
2a 第1直線部
2b 曲線部
2c 第2直線部
8、8a〜d、35a〜d、38a〜d 角部
9、31、32、36、39、44、51、52 管
10、11 平坦部分
【発明の属する技術分野】
本発明は、建設機械に用いられ、略矩形断面を有するブーム構造及びブーム部材の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
油圧ショベル等の建設機械においては、下部走行体に上部旋回体が設けられ、上部に搭載したブーム、アーム、バケット等のアタッチメントを操作して掘削作業等を行う。このような建設機械の例として、油圧ショベル100の側面視を図5に示す。この油圧ショベル100は、下部走行体101(クローラ)の上に上部旋回体102が旋回可能に設けられ、上部旋回体102には、ブーム103、アーム104、バケット105等で構成されるアタッチメントが取り付けられている。ブーム103、アーム104、バケット105は、それぞれブームシリンダ106、アームシリンダ107、バケットシリンダ108で駆動される。これらのアタッチメントにおいて、ブーム103、アーム104は掘削作業時に片持ち状態で荷重を支えるため、十分な強度が必要となる。一方、アタッチメント自体が機体(101、102)より前方に突出したオーバーハング状態(片持ち状態)で取り付けられているため、機体(101、102)との重量バランスの関係上、アタッチメントの軽量化も望まれる。そして、長くへの字状に形成されているブーム103が、アタッチメントの中でも最も重く、その軽量化がより重要となる。
【0003】
図6(a)に、従来の技術におけるブーム構造110の断面形状を示す。このブーム構造110は、例えば、前述のブーム103に適用される。ブーム構造110は、上板110a、下板110b、2枚の側板110cを4辺とする略矩形断面を有し、その4隅の角(かど)部が溶接で接合されている(溶接部分110d)。前述のように、ブームには軽量化とともに十分な強度の確保が求められるため、ブーム構造110には、強度保持のため、ブームを構成する板材を厚くする構成、またスティフナと呼ばれる隔壁(図示せず)等を取り付けた構造などが用いられる。なお、ブーム構造は、基本的には、図6(a)に示すようなブーム構造110のように略矩形断面に構成されるのが一般的である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
油圧ショベル等において掘削作業を行う場合は、ブームには曲げモーメントが加わり、への字状に曲がったブームの曲線部をまっすぐに伸ばそうとする方向に曲げ変形が生じる(図5参照)。図6(b)は、図6(a)に示すブーム構造110に、この掘削作業時の曲げ変形が加わった状態を誇張して示したものであり、ブームのへの字状の曲線部における断面を示している(図中点線が変形前の状態、実線が変形後の状態)。図6(b)に示すように、ブーム構造110の4隅の溶接部分110dには、溶接線に直交する方向(図中矢印方向)の高い応力が作用することになる。しかし、溶接部分110dは、溶接線直交方向の応力を受ける場合、母材部分に比べると著しく強度が低下している。このため、掘削作業が繰り返し行われると、ブーム構造110には繰り返し応力が作用することになり、溶接部分110dの疲労寿命により、ブーム構造110の寿命が律速してしまうことになる。そのため、母材強度には余裕があるにもかかわらず、角部の溶接部分の疲労強度を確保するため、前述したように、補強のためブームを構成する板材を厚くしたり、隔壁等を設けたりせざるを得ず、ブームの重量増加を招いてしまうことになる。
【0005】
略矩形断面を有するブーム構造としては、例えば、特開平11−200397号公報や、実開平4−57542号公報等に記載されたものがある。しかし、特開平11−200397号公報に記載のブーム構造(箱型構造物)では、大きな補強板が必要なため、軽量化との両立は困難である。また、実開平4−57542号公報に記載のブーム構造では、コの字型の左右側面板を突合わせ溶着する構造であるため溶接部分が4隅の角部には位置しないが、への字状の曲線部分(く字型)の前後で分割された前後ブロックを突合わせ溶着する構造であるため、この前後ブロックの接合部の強度確保が問題となる。なお、小型の油圧ショベルでは、1本のパイプを折り曲げてブーム構造を構成するものも知られているが、あくまで小型に適したものであり、大型ショベルへの適用に関しては強度的に改良の余地があった。
【0006】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、建設機械に用いられ、略矩形断面を有するブームの疲労強度の向上を図るとともに、軽量化を図ることができるブーム構造を提供し、また、そのブーム部材の製造方法を提供することとを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、請求項1に記載のブーム構造は、建設機械に用いられ、略矩形断面を有するブーム構造であって、ブームの長手方向に、第1直線部と、この第1直線部に連なる曲線部と、この曲線部に連なる第2直線部とを備え、ブーム長手方向における少なくとも前記曲線部には、前記略矩形断面における上下のうちの少なくとも一方に位置する角部が、閉じられた断面をもつ管を用いて形成されていることを特徴とする。
【0008】
この構成によると、ブーム構造の略矩形断面における角部の疲労強度が問題となる曲線部において、略矩形断面の上下の少なくとも一方の角部に、閉じられた断面をもつ管が用いられているため、溶接部分の位置を角部から離れた位置に配置することができ、高応力となる角部では母材の強度が確保できることになる。これにより、略矩形断面の角部の疲労強度の向上を図ることができる。また、管の外形のうち、略矩形断面の外形を構成しない部分は、略矩形断面の内部側に位置することになり、補強部材としての機能を果たすことができる。したがって、このブーム構造によると、補強のためブームを構成する板材を厚くする場合や隔壁等を用いる場合に比べ、軽量化を図ることができる。すなわち、ブームの疲労強度を向上させ、軽量化を図ることができる。
【0009】
請求項2に記載のブーム構造は、請求項1において、前記管には、ブーム長手方向に延びる平坦部分が形成されていることを特徴とする。
【0010】
この構成によると、管に形成された平坦部分で略矩形断面の外形の一部を構成することができ、角部に配置される管を用いて略矩形断面のブーム構造を容易に構築できる。また、管と他の部材とを接合して略矩形断面を形成する場合に、他の部材を管の平坦部分と接合することができ、接合が容易に行える。
【0011】
請求項3に記載のブーム構造は、請求項1または2において、少なくとも前記曲線部における前記略矩形断面は、前記管の外形の一部と、前記管に溶接される部材とで形成され、前記溶接される部材はブーム長手方向に延びる平板部分を有し、前記平板部分におけるブーム長手方向に延びる端部が、前記略矩形断面の外形に略沿う前記管の外形部分のうち、前記角部とは異なる曲折した部分と重なって溶接されていることを特徴とする。
【0012】
この構成によると、平板部分を有する部材の端部を、角部から遠ざけた位置で管と溶接することができ、角部からより離れた個所に溶接部分が位置する略矩形断面のブーム構造とすることができる。
【0013】
請求項4に記載のブーム構造は、請求項1〜3において、前記略矩形断面の上下に、それぞれ前記管が1本ずつ配設され、前記管のそれぞれが、前記角部を2つ形成していることを特徴とする。
【0014】
この構成によると、略矩形断面の上下の角部において母材の強度が得られるとともに、管の外形のうち、2つの角部を形成しない側に位置し、略矩形断面の外形を構成しない部分にて、ブーム構造の両側板間を架橋する補強板としての機能を果たすことができる。
【0015】
請求項5に記載のブーム構造は、請求項4において、前記管の外形部分であって前記略矩形断面の内部側に位置している部分に、前記管の内部側にくぼむ凹部が形成されていることを特徴とする。
【0016】
この構成によると、管の外形のうち、2つの角部を形成しない側に位置し、略矩形断面の外形を構成しない部分にて、ブーム構造の両側板間を架橋する補強板としての機能を果たすともに、さらに、ブーム構造の幅方向の曲げに対する強度や捩じり方向に対する強度も向上させることができる。
【0017】
請求項6に記載のブーム構造は、請求項1〜5のいずれかにおいて、前記略矩形断面の4隅に、それぞれ前記管が1本ずつ配設され、前記管のそれぞれが、前記角部を形成していることを特徴とする。
【0018】
この構成によると、角部に配設された各管が、それぞれ角部において母材強度を確保するとともに、略矩形断面の外形を構成しない部分にて、各角部をそれぞれ補強することができる。
【0019】
請求項7に記載のブーム構造は、請求項3〜6のいずれかにおいて、前記管の前記曲折した部分には、前記管の内部側にくぼむ段部が形成され、この段部に前記平板部分の前記端部が溶接されていることを特徴とする。
【0020】
この構成によると、管の内部側にくぼむ段部に対して、略矩形断面を構成する部材の平板部分の端部を嵌め合わすようにして溶接できるため、溶接が容易に行える。また、安定した溶接が可能なため、溶接部分の接合強度も確保し易い。
【0021】
請求項8に記載のブーム構造は、請求項1〜7のいずれかにおいて、前記第1直線部はアームが取り付けられる先端側に位置し、前記第2直線部は建設機械本体側に支持される支持側に位置し、前記略矩形断面の上側に配設される前記管は、前記曲線部から前記第2直線部にわたる部分に、前記略矩形断面の下側に配設される前記管は、前記曲線部から前記第1直線部にわたる部分に、それぞれ延設されていることを特徴とする。
【0022】
アームを駆動するアームシリンダは、一般的に、ブームの曲線部と第1直線部の境界近傍に配設され、ブームを駆動するブームシリンダは、ブームの曲線部に配設される。そのため、ブームに負荷が作用すると、曲線部から第2直線部にわたる部分には略矩形断面の上側に、曲線部から第1直線部にわたる部分には略矩形断面の下側に、それぞれ高応力が発生し易い。したがって、本発明の構成によると、高応力が発生する個所に効率よく管を配設し、ブームの軽量化を図ることができる。
【0023】
請求項9に記載のブーム構造は、請求項1〜8において、前記管は、継ぎ目無し鋼管または電縫管を変形させたものであることを特徴とする。
【0024】
この構成によると、継ぎ目無し鋼管または電縫管を変形させた異形管を用いることで、略矩形断面の角部に、閉じられた断面をもつ管を容易に配設することができる。
【0025】
請求項10に記載のブーム部材の製造方法は、略矩形断面を有し、建設機械に用いられるブーム部材の製造方法であって、円管を外型ロール間を通過させることで異形管に成形し、前記異形管成形時に、前記異形管の長手方向に一部曲線部分を形成し、平板部分を有する部材を前記異形管と溶接することで、略矩形断面を形成するとともに、前記曲線部分を前記略矩形断面における上下のうちの少なくとも一方の角部に位置するように配設し、ブーム長手方向に、アームが取り付けられる第1直線部と、この第1直線部に連なり前記異形管の前記曲線部分を含む曲線部と、この曲線部に連なり建設機械本体側に支持される第2直線部とを備えるブーム部材を形成することを特徴とする。
【0026】
この構成によると、略矩形断面を有するブーム部材であって、ブームの長手方向に、第1直線部と、この第1直線部に連なる曲線部と、この曲線部に連なる第2直線部とを備え、曲線部における略矩形断面の角部に、閉じられた断面をもつ管を用いたブーム部材を容易に製造することができる。すなわち、溶接部分の位置を角部から離れた位置に配置し、高応力となる角部では母材の強度が確保できるブーム部材を製造できる。したがって、疲労強度を向上させるとともに、軽量化を図ることができるブーム部材を製造することができる。
【0027】
請求項11に記載のブーム構造は、建設機械に用いられ、略矩形断面を有するブーム構造であって、ブームの長手方向に、第1直線部と、この第1直線部に連なる曲線部と、この曲線部に連なる第2直線部とを備え、前記略矩形断面は、複数の部材が略突き合わされて溶接されることで形成されるとともに、前記略矩形断面の4隅の角部は、前記部材における折り曲げ部分で形成されており、ブーム長手方向における少なくとも前記曲線部には、前記略矩形断面における上下のうちの少なくとも一方に位置する前記角部とともに閉じられた断面を形成するように架け渡される補強部材が設けられていることを特徴とする。
【0028】
この構成によると、略矩形断面の4隅の角部は、部材の折り曲げ部分で形成されている。このため、略矩形断面を構成する部材の突き合わせ溶接部分を、角部から離れた位置に配置することができ、高応力となる角部では母材の強度を確保することができる。そして、疲労強度が問題となる曲線部において、略矩形断面の上下の少なくとも一方の角部に閉断面を形成するように補強部材が配設されるため、ブーム構造の断面2次モーメントを高めることができ、疲労強度の向上を図ることができる。したがって、補強のためブームを構成する板材を厚くする場合や隔壁等を用いる場合に比べ、少ない材料で十分な疲労強度を確保でき、軽量化を図ることができる。即ち、ブームの疲労強度を向上させるとともに、軽量化を図ることができるブーム構造を提供できる。
【0029】
請求項12に記載のブーム構造は、請求項11において、前記複数の部材のうち、前記略矩形断面の前記角部を形成する前記部材には、略L字型断面を有するL字型部材が用いられていることを特徴とする。
【0030】
この構成によると、略矩形断面の各角部が、L字型部材の折り曲げ部分でそれぞれ形成されるため、略矩形断面を構成する部材の突き合わせ溶接部分を角部から離れた位置に配置することができ、高応力となる角部では母材の強度を確保することができる。
【0031】
請求項13に記載のブーム構造は、請求項11において、前記複数の部材のうち、前記略矩形断面の前記角部を形成する前記部材には、略コの字型断面を有するコ字型部材が用いられていることを特徴とする。
【0032】
この構成によると、略矩形断面の各2つの角部が、コ字型部材の2つの折り曲げ部分にてそれぞれ形成されるため、略矩形断面を構成する部材の突き合わせ溶接部分を角部から離れた位置に配置することができ、高応力となる角部では母材の強度を確保することができる。
【0033】
請求項14に記載のブーム構造は、請求項11〜13のいずれかにおいて、前記補強部材は、1つの前記角部とともに閉じられた断面を形成するように、それぞれ架け渡されていることを特徴とする。
【0034】
この構成によると、略矩形断面のブーム構造の断面2次モーメントを高めるとともに、疲労強度が問題となる角部をそれぞれ補強することができる。したがって、効率よく補強部材を配設することができ、疲労強度向上と軽量化との両立が図れる。
【0035】
請求項15に記載のブーム構造は、請求項14において、前記補強部材は、前記略矩形断面の内側に配設されていることを特長とする。
【0036】
この構成によると、角部を内側から補強するため、掘削作業時に両側板が内側に撓もうとする断面変形を効率よく抑制し、疲労強度を向上させることができる。
【0037】
請求項16に記載のブーム構造は、請求項14において、前記補強部材は、前記略矩形断面の外側に配設されていることを特徴とする。
【0038】
この構成によると、角部を外側から補強するため、ブーム構造の断面2次モーメントを高め、疲労強度を向上させることができる。
【0039】
請求項17に記載のブーム構造は、請求項11〜13のいずれかにおいて、前記補強部材は、2つの前記角部とともに閉じられた断面を形成するように、それぞれ架け渡されていることを特徴とする。
【0040】
この構成によると、略矩形断面のブーム構造の断面2次モーメントを高めるとともに、略矩形断面の上下面と対向して架け渡されるように配設されることになる補強部材によって、掘削作業時に両側板が内側に撓もうとする断面変形を効率よく抑制し、疲労強度を向上させることができる。したがって、効率よく補強部材を配設することができ、疲労強度向上と軽量化との両立が図れる。
【0041】
請求項18に記載のブーム構造は、請求項12〜17のいずれかにおいて、前記略矩形断面の前記角部を形成する前記部材間には、この部材よりも薄肉の側板が配設されていることを特徴とする。
【0042】
この構成によると、あまり高い疲労強度が必要でない両側板部分には、角部を形成する部材よりも薄肉の側板を用いることで、より軽量化を図ることができる。
【0043】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の第1〜第3実施形態に係るブーム構造を図面に基づいて説明する。
【0044】
〔第1実施形態〕
図1は、本発明の第1実施形態に係るブーム構造1(ブーム部材1)を示しており、図1(a)は、ブーム構造1の側面図を、図1(b)は、図1(a)のA−A線矢視断面の模式図を示している。このブーム構造1は、油圧ショベル等の建設機械に用いられる。例えば、図5に示す油圧ショベル100のブーム103に用いられる。
【0045】
図1に示すように、ブーム構造1は、略矩形断面(図1(b)参照)を有し、ブーム長手方向に、第1直線部2aと、第1直線部2aに連なる曲線部2bと、曲線部2bに連なる第2直線部2cとを備え、への字状に形成されている。第1直線部2aの先端には図示しないアーム(例えば、図5のアーム104)を回動自在に支持するアーム連結部3が取り付けられている(即ち、第1直線部2aはアームが取り付けられる先端側に位置している)。また、曲線部2bにおける上側(への字状の出っ張り側)には、図示しないアームシリンダ(例えば、図5のアームシリンダ107)を取り付けるためのブラケット4が設けられている。そして、曲線部2bの両側面には、図示しないブームシリンダ(例えば、図5のブームシリンダ106)の先端が回動自在に取り付けられるためのボス部5が設けられている。また、第2直線部2cの端部には、図示しない建設機本体(例えば、図5の上部旋回体102)と回動自在に連結される本体連結部6が設けられている(即ち、第2直線部2cは建設機本体側に支持される支持側に位置している)。
【0046】
ブーム構造1の曲線部2bにおける断面(A−A線矢視断面)は、図1(b)に示すように略矩形断面として形成されている。そして、この略矩形断面の上下4隅に位置する角(かど)部8a〜8d(以下、「角部8」ともいう)は、閉じられた断面をもつ管9a、9bを用いて形成されている。すなわち、略矩形断面の上下に、それぞれ管9a又は9b(以下、「管9」ともいう)が1本ずつ配設され、管9のそれぞれが、その外形の一部で角部を2つ(角部8a及び8b、または角部8c及び8d)形成している。
【0047】
曲線部2bにおける角部8を形成している管9は、ブーム長手方向の第1直線部2a、曲線部2b、第2直線部2cの全てにわたって略矩形断面の上下に配設されている(図1(a)参照)。この管9には、ブーム長手方向に延びる平坦部分10(10a〜d)、11(11a〜d)が形成されている。すなわち、管9aには、上面10a、側面10b及び10c、下面10dが形成されており、管9bには、上面11a、側面11b及び11c、下面11dが形成されている。そして、管9の外形の一部を構成している上面10a、側面10b、10c、側面11b、11c、下面11dが、略矩形断面の一部を構成している。なお、この管9は、継ぎ目無し鋼管(シームレスパイプ)または電縫管を変形させた異形管として形成されている。
【0048】
略矩形断面は、上述した管9の外形の一部(10a〜c、11b〜d)と、管9に溶接される部材12とで形成される。この部材12は、ブーム長手方向に延びる平板状に形成されている(即ち、ブーム長手方向に延びる平板部分12a又は12bを有している)。そして、平板部分12a又は12bにおけるブーム長手方向に延びる端部12c〜12fが、略矩形断面の外形に略沿う管9の外形部分のうち、角部8とは異なる曲折した部分13と重なって溶接されている。なお、曲折した部分13には、管9の内部側にくぼむ段部13a〜dが形成され、この段部13a〜dに平板部分12a、12bの端部12c〜fが溶接されている。
【0049】
以上説明したブーム構造1によると、ブーム構造の略矩形断面における角部8の疲労強度が問題となる曲線部2bにおいて、角部8に閉じられた断面をもつ管9が用いられているため、溶接部分の位置を角部8から離れた位置に配置することができる。すなわち、管9における角部8から離れた曲折した部分13と、平板部分12の端部(12c〜f)とで溶接することができる。これにより、高応力となる角部8では母材の強度が確保できることになる。したがって、略矩形断面の角部8の疲労強度がブームの疲労寿命を律速させてしまうことを緩和し、ブームの疲労強度の向上を図ることができる。また、管9の外形のうち、略矩形断面の外形を構成しない部分、即ち管9aの下面10dと管9bの上面11aとは、略矩形断面の内部側に位置することになり、補強部材としての機能を果たし、略矩形断面の変形を防止することができる。そして、このブーム構造1によると、角部8の疲労強度が向上しているため、薄肉の管材料を用いて、従来よりもブーム部材のトータル重量を軽くし、且つ、従来と同等以上の疲労強度を確保することができる。即ち、補強用にブームを構成する板材を厚くする場合や隔壁等を用いる場合に比べ、ブームの軽量化が図れる。
【0050】
つぎに、ブーム部材1の製造方法について図2を参照しながら説明する。図2(a)は、管9を構成する素材である継ぎ目無し鋼管や電縫管等の円管14の断面図を示している。この円管14を外型ロール間を通過させることで異形管に成形する。図2(b)は、円管14を外型ロール15間を通過させて異形管9(図1(b)における管9に相当)に成形する過程における管断面と外型ロール(15a〜d)との状態を示したものである。すなわち、図中一点鎖線で示す回転軸をもつロール15a〜dが4方に配設されて外型ロール15を構成し、この1組のロールセット(15a〜d)が、直列に(紙面垂直方向に)複数スタンド(複数組)配列され、この複数スタンドの外型ロール15間を順次通過させながら円管14を徐々に変形して異形管9に成形する。これにより、図2(c)に示す異形管9(管9a、9b)が得られる。なお、ロール15dのように、ロールバレルに凹凸を設けることで、曲折した部分13(段部13a〜d)を成形することができる。
【0051】
上記のように、円形14から異形管9を成形する方法としては、円管を外型ロール間に押し込みながら成形するエクスト・ロール方式、円管を主として上流スタンドの外型ロールで送り出しながら下流スタンドの外型ロールで形状を整えていくロールフォーミング方式、円管の先端に口部を形成し、この口部を引っ張り出しながら外型ロール間で引抜き加工を行うドローベンチ方式などが用いられる。そして、これらの方式により円管14から異形管9を成形する際に、円管14(異形管9)の通過方向の角度を変更することで、異形管の長手方向に一部曲線部分を形成する。なお、異形管9の成形時において、円管14(異形管9)の内部に中子を嵌挿し、外型ロール(ダイス)と中子(プラグ)とで、より精密に成形を行うものであってもよい。
【0052】
図2(c)に示す異形管9(管9)が得られると、図2(d)に示すように、この管9を管9a、9bとしてそれぞれ上下に配置し、両側面に平板部分(12a、12b)を有する部材12をそれぞれ配置し、これらを溶接して略矩形断面を形成する(図中矢印で示す方向に接合する)。すなわち、端部12c〜fをそれぞれ段部13a〜dと溶接する。このとき、異形管9の長手方向に形成した前述の曲線部分を略矩形断面における上下のうちの少なくとも一方の角部に位置するように配設する(ブーム部材1では、上下両方の角部8に管9が配設されている)。これにより、図2(e)に示すように略矩形断面をし、図1(a)に示すように、ブーム長手方向に、アームが取り付けられる第1直線部2aと、第1直線部2aに連なり異形管9の曲線部分を含む曲線部2bと、曲線部2bに連なり建設機械本体側に支持される第2直線部2cとを備えるブーム部材1を形成することができる。したがって、図2(e)に示すように、溶接部分16a〜dの位置を角部8(8a〜d)から離れた位置に配置し、高応力となる角部8では母材の強度が確保できるブーム部材1を製造できる。
【0053】
(変形例)
つぎに、本発明の第1実施形態に係るブーム構造の変形例について説明する。図3は、変形例に係る各ブーム構造の略矩形断面を示したものであり、いずれもブーム構造の曲線部における断面(図1のA−A線矢視断面に相当する断面)を示している。管の外形の一部と管に溶接される部材とで形成される略矩形断面は、図3(a)〜(g)に例示するように、種々の形態をとることができる。
【0054】
図3(a)に示すブーム構造21では、2本の長方形断面の管31、32と2枚の平板部材33、34(平板部分33、34)とで略矩形断面が形成されている。平板部材33、34の端部(33a、33b、34a、34b)は、管31、32における略矩形断面の角部35a〜dとは異なる曲折した部分(31a、31b、32a、32b)と重なって溶接されている。また、図3(b)に示すブーム構造22では、1本の長方形断面の管36が、略矩形断面の上側に配設され、これにコの字型断面の部材37が溶接されて略矩形断面が形成されている。即ち、略矩形断面における上側の角部36a、36bは、管34によって形成され、下側の角部36c、36dは、部材35によって形成されている。部材35の両側面を成す平板部分35a、35bの各端部35c、35dは、管34における略矩形断面の角部36a、36bとは異なる曲折した部分34a、34bと重なって溶接されている。なお、ブーム構造21及び22においては、曲折した部分に、段部は形成されていない。
【0055】
図3(c)に示すブーム構造23は、略矩形断面の4隅に、それぞれ三角形断面の管39(39a〜d)が1本ずつ配設され、これらの各管39と各平板部材41(41a〜d)とが溶接され、略矩形断面が構成されている。略矩形断面の角部40a〜dは、各管39のそれぞれによって形成されている。管39における角部40a〜dとは異なる曲折した部分42a〜hは、平板部材41の端部43a〜hと重なって溶接されている。このように、略矩形断面の4隅にそれぞれ1本ずつ管39を配置すると、それぞれ角部40a〜dにおいて母材強度を確保できるとともに、管39における略矩形断面の外形を構成しない部分にて、各角部40a〜dをそれぞれ補強することができる。
【0056】
図3(d)及び図3(e)に示すブーム構造24または25は、ブーム構造1、21、22と同様、略矩形断面の上下に配設された2本の管44または47と、略矩形断面の両側面を形成する2枚の平板部材45または48とそれぞれ構成される。しかし、ブーム構造24または25は、管44または47の外形部分であって略矩形断面の内側に位置している部分に、管44または47の内部側にくぼむ凹部46または49が形成されている。すなわち、図1に示すブーム構造1において、管9aの下面10dと管9bの上面11aとに、管9a及び9bの内部側にくぼむ凹部が形成されているものに相当する。なお、凹部46はアーチ状に、凹部49は台形状に形成されている。このように、凹部46または49を形成することで、ブーム構造の幅方向の曲げに対する強度や捩じり方向に体する強度も向上させることができる。
【0057】
図3(f)に示すブーム構造26は、図3(c)のブーム構造23において曲折した部分42a〜hに段部をそれぞれ形成し、この段部に端部43a〜hを溶接したものに相当する。このように段部を形成することで、略矩形断面の4隅にそれぞれ管を設けたブーム構造においても、溶接性を改善できる。また、図3(g)に示すブーム構造27は、図3(a)のブーム構造21において角部35a〜dに斜面部分を形成したものである。このように、略矩形断面の形状としては、必ずしも直角に形成された角部を有するものに限らず、角部に斜面部分やR部などを形成した種々の形態を選択し得る。
【0058】
最後に、ブーム長手方向における管の配設位置に関する変形例を図4に示す。図4(a)または図4(b)に側面視を示すブーム構造28または29は、いずれも略矩形断面の上下に管51(51a、51b)または52(52a、52b)を有している。なお、図1に示すブーム構造1と共通する部分には、同一の符号を付している。
【0059】
図4(a)のブーム構造28は、略矩形断面の上側に配設される管51aが、曲線部2bから第2直線部2cにわたる部分に延設され、略矩形断面の下側に配設される管51bが、曲線部2bから第1直線部2aにわたる部分に延設されている。油圧ショベル等のアタッチメントにおいては、アームを駆動するアームシリンダは、曲線部2bとブーム先端側のアームとの間における略矩形断面の上方に配設され、ブームを駆動するブームシリンダは、曲線部2bとブーム支持側の建設機本体との間における略矩形断面に下方に配設される(図5参照)。そのため、ブームに負荷が作用すると、曲線部2bから第2直線部2cにわたる部分には略矩形断面の上側に、曲線部2bから第1直線部2aにわたる部分には略矩形断面の下側に、それぞれ高応力が発生し易い。したがって、ブーム構造28の構成によると、高応力が発生する個所に効率よく管51を配設することができ、さらなる軽量化が図れる。
【0060】
図4(b)のブーム構造29は、略矩形断面の上下に配設される管52a及び52bともに曲線部2bにのみ配設されている。このように、少なくとも、もっとも高い応力が発生する曲線部2bには管52を配設することで、ブームの疲労強度の向上と軽量化を図ることができる。
【0061】
〔第2実施形態〕
つぎに、本発明の第2実施形態に係るブーム構造60について説明する。図7は、ブーム構造60(ブーム部材60)を示しており、図7(a)は、ブーム構造60の側面図を、図7(b)は、図7(a)のB−B線矢視断面の模式図を示している。このブーム構造60は、第1実施形態のブーム構造1と同様、油圧ショベル等の建設機械に用いられる。以下、第1実施形態と説明が重複する部分については適宜割愛しながら説明する。
【0062】
ブーム構造60は、ブーム構造1と同様、略矩形断面を有し(図7(b)参照)、ブーム長手方向に、第1直線部61aと、第1直線部61aに連なる曲線部61bと、曲線部61bに連なる第2直線部61cとを備え、への字状に形成されている。また、ブーム構造1と同様に、アーム連結部63と、ブラケット64と、ボス部65と、本体連結部66とが設けられている。
【0063】
ブーム構造60の断面(B−B線矢視断面)は、図1(b)に示すように、複数の部材67(67a〜d)を用いて略矩形断面として形成されている。この複数の部材67のうち、略矩形断面の上下4隅の角部68(68a〜d)を形成する部材67a〜d(ブーム構造60においては、部材67の全てが該当する)には、略L字型断面を有するL字型部材67(67a〜d)が用いられており、これら複数の部材67a〜dが略突き合わされて溶接されることで略矩形断面が形成されている。即ち、角部68は、L字型部材67における折り曲げ部分で形成されている。そして、L字型部材67におけるブーム長手方向に延びる端部同士が突き合わせ溶接され、溶接部分69(69a〜d)が形成されている。
【0064】
また、図7(b)に示すように、略矩形断面の内側には、平板状の補強部材70(70a〜d)が配設されている。これらの補強部材70は、略矩形断面において、1つの角部68とともに閉じられた断面を形成するように、それぞれ架け渡されている。即ち、各補強部材70は、各角部68に対向するように設けられており、ブーム長手方向に延びる各補強部材70の各両端部がそれぞれ略矩形断面の内側に対して溶接で接合されている。そして、図7(a)に点線で示すように、補強部材70は、ブーム長手方向における第1直線部61a、曲線部61b、第2直線部61cの全てにわたって略矩形断面の上下に配設されている。即ち、ブーム長手方向における少なくとも曲線部61bには、略矩形断面のおける上下のうちの少なくとも一方に位置する角部68とともに閉じられた断面を形成するように補強部材70が架け渡されていることになる。
【0065】
以上説明したブーム構造60によると、略矩形断面の4隅の角部は、部材の折り曲げ部分で形成されている。このため、略矩形断面を構成する部材の突き合わせ溶接部分を、角部から離れた位置に配置することができ、高応力となる角部では母材の強度を確保することができる。そして、疲労強度が問題となる曲線部において、略矩形断面の上下の少なくとも一方の角部に閉断面を形成するように補強部材が配設されるため、ブーム構造60の断面2次モーメントを高めることができ、疲労強度の向上を図ることができる。したがって、このブーム構造60によると、角部68の疲労強度が向上しているため、薄肉のL字型部材67を用いて、従来よりもブーム部材のトータル重量を軽くし、且つ、従来と同等以上の疲労強度を確保することができる。即ち、補強のためブームを構成する板材を厚くする場合や隔壁等を用いる場合に比べ、少ない材料で十分な疲労強度を確保でき、軽量化を図ることができるため、ブームの疲労強度を向上させるとともに、軽量化を図ることができるブーム構造を提供できる。
【0066】
(変形例)
つぎに、第2実施形態に係るブーム構造の略矩形断面の構造に関する変形例について説明する。なお、以下に説明する第2実施形態に係る変形例(図8〜10)は、いずれもブーム構造の曲線部における断面(図7のB−B線矢視断面に相当する断面)を示している。そして、ブーム構造60と同様に、補強部材を略矩形断面における1つの角部とともに閉じられた断面を形成するように、それぞれ架け渡されているものである。以下、ブーム構造60と異なる個所のみ説明する。
【0067】
まず、図8に示す各変形例(図8(a)〜(d))は、いずれもL字型部材を用いて略矩形断面の各角部を形成した例を示すものである。図8(a)に示すブーム構造71は、ブーム構造60と同様に4つのL字型部材72(72a〜d)で略矩形断面が形成されているが、各角部73(73a〜d)のうち、上側の角部73a及び73bに対向する個所にのみ、角部とともに閉じられた断面を形成する補強部材74(74a、b)がそれぞれ架け渡されている。このように、とくに略矩形断面の上側の角部の強度が問題となる場合は、その個所に優先して補強部材を配設することで、効率よく補強部材を配設して、疲労強度と軽量化との両立が図れる。
【0068】
図8(b)又は図8(c)に示すブーム構造75又は76においては、いずれも、L字型部材77(77a〜d)又は78(78a〜d)で形成された略矩形断面の4隅の角部にそれぞれ対向する補強部材79(79a〜d)又は80(80a〜d)が配設されている。しかし、ブーム構造60の場合と異なり、ブーム構造75には、円弧状断面を持つ補強部材79が用いられている。また、ブーム構造76には、ブーム長手方向に延びる両端部にそれぞれ段部が形成された補強部材80が用いられている。
【0069】
図8(d)に示すブーム81は、略矩形断面の各角部82(82a〜d)を形成する部材として、L字型部材83(83a〜d)が用いられ、各角部82に対向する個所に、それぞれ平板状の各補強部材84(84a〜d)が架け渡されている。しかし、ブーム構造60と異なり、L字型部材83間には(L字型部材83aと83cとの間、又は、L字型部材83bと83dとの間には)、このL字型部材83よりも薄肉の側板85(85a、b)が配設されている。角部82と異なり、あまり高い疲労強度が必要でない両側板部分には、このように、角部を形成する部材よりも薄肉の側板を用いることで、より軽量化を図ることができる。
【0070】
次に、図9に示す各変形例(図9(a)〜(d))は、いずれも、略矩形断面を形成する複数の部材のうち角部を形成する部材に、略コの字型断面を有するコ字型部材を用いている例を示すものである。図9(a)に示すブーム構造86は、コ字型部材87(87a、b)が略突き合わされて溶接されることで略矩形断面が形成されている。そして、各角部89(89a〜d)に対向する個所には、各角部89とともにそれぞれ閉じられた断面を形成するように平板状の補強部材88(88a〜d)が架け渡されている。
【0071】
図9(b)又は図9(c)に示すブーム構造90又は91は、ブーム構造86と同様、コ字型部材92(92a、b)又は93(93a、b)が突き合わせ溶接されることで略矩形断面が形成されている。しかし、ブーム構造90においては、角部を補強する補強部材94(94a、b)が、上側の角部に対向する個所にのみ配設されている。また、ブーム構造91においては、4隅の各角部を補強する補強部材として、円弧状断面を有する補強部材95(95a〜d)が用いられている。なお、図8(c)に示すブーム構造76と同様、段部を有する補強部材を用いてもよい。
【0072】
図9(d)に示すブーム構造96は、略矩形断面の上下にそれぞれコ字型部材97(97a、b)が配設され、各角部に対向する個所には、それぞれ各補強部材98(98a〜d)が架け渡されているが、コ字型部材97間には(コ字型部材97aと97bとの間には)、このコ字型部材96よりも薄肉の側板99(99a、b)が配設されている。
【0073】
次に、図10に示す各変形例(図10(a)〜(c))は、いずれも、略矩形断面における角部とともに閉じられた断面を形成するように架け渡される補強部材が、略矩形断面の外側に配設されている例を示すものである。図10(a)に示すブーム構造120は、4つの略L字型断面を有するL字型部材121(121a〜d)で略矩形断面が構成されているが、4隅の角部122(122a〜d)を形成する折り曲げ部分は2段階に折り曲げられており、斜面部分が形成されている。そして、この各角部122とともに閉じられた断面を形成するように略矩形断面の外側に、L字型断面を有する補強部材123(123a〜d)が架け渡されている。
【0074】
図10(b)に示すブーム構造124は、ブーム構造120と同様に、斜面部分を有するL字型部材125(125a〜d)で略矩形断面の各角部が形成されており、各角部の外側にはL字型断面を有する補強部材126(126a〜d)がそれぞれ設けられている。しかし、ブーム構造120と異なり、L字型部材125間には(L字型部材125aと125cと間、又はL字型部材125bと125dとの間には)、このL字型部材125よりも薄肉の側板127(127a、b)が配設されている。図10(c)に示すブーム構造128は、略矩形断面の上側については、ブーム構造120と同様に、斜面部分を有するL字型部材129(129a、b)と、L字型部材129で形成される角部の外側に配設されるL字型断面を有する補強部材130(130a、b)とが設けられている。しかし、略矩形断面の下側については、コの字型断面を有するコ字型部材131が配設されている。
【0075】
最後に、ブーム長手方向における補強部材の配設位置に関する変形例を図11に示す。図11(a)又は図11(b)に側面視を示すブーム構造132又は133は、いずれも略矩形断面の上下に補強部材134(134a、b)又は135(135a、b)を備えている。なお、図7に示すブーム構造60と共通する部分には、同一の符号を付している。
【0076】
図11(a)に示すブーム構造132は、略矩形断面の上側に配設される補強部材134aが、曲線部61bから第2直線部61cにわたる部分に延設され、略矩形断面の下側に配設される補強部材134bが、曲線部61bから第1直線部61aにわたる部分に延設されている。これによると、第1実施形態で説明したように、高応力が発生する個所に効率よく補強部材134を配設することができる。また、図11(b)に示すブーム構造133は、略矩形断面の上下に配設される補強部材135a及び135bともに曲線部61にのみ配設されている。このように、少なくとも、もっとも高い応力が発生する曲線部61bには補強部材135を配設することで、ブームの疲労強度の向上と軽量化を図ることができる。
【0077】
〔第3実施形態〕
つぎに、本発明の第3実施形態に係るブーム構造136について説明する。図12は、ブーム構造136(ブーム部材136)を示しており、図12(a)は、ブーム構造136の側面図を、図12(b)は、図12(a)のC−C線矢視断面図を示している。このブーム構造136は、第1及び第2実施形態と同様、油圧ショベル等の建設機械に用いられる。以下、第1及び第2実施形態と説明が重複する部分については適宜割愛しながら説明する。
【0078】
ブーム構造136は、ブーム構造1と同様、略矩形断面を有し(図12(b)参照)、ブーム長手方向に、第1直線部137a、曲線部137b、第2直線部137cを備え、への字状に形成されている。そして、アーム連結部138、ブラケット139、ボス部140、本体連結部141が設けられている。
【0079】
ブーム構造136の断面(C−C線矢視断面)は、図12(b)に示すように、複数の部材142(142a、b)、143(143a、b)を用いて略矩形断面として形成されている。この複数の部材(142、143)のうち、略矩形断面の上下4隅の角部144(144a〜d)を形成する部材には、略コの字型断面を有するコ字型部材が用いられている。そして、このコ字型部材142間には(コ字型部材142aと142bとの間には)、コ字型部材142よりも薄肉の側板143(部材143)が配設されている。これらの複数の部材(142、143)が略突き合わされて溶接されることで略矩形断面が形成されている。なお、角部144は、コ字型部材における折り曲げ部分で形成されている。
【0080】
また、図12(b)に示すように、略矩形断面の内側には、平板状の補強部材145(145a、b)が配設されている。これらの補強部材145は、略矩形断面において、2つの角部(144a及び144b、又は、144c及び144d)とともに閉じられた断面を形成するように、それぞれ架け渡されている。即ち、略矩形断面の上面146a側と下面146b側とにそれぞれ略平行に補強部材145aと145bとが架け渡され、ブーム長手方向に延びる各補強部材145の各両端部がそれぞれ略矩形断面の内側に対して溶接で接合されている。そして、図12(a)に点線で示すように、補強部材145は、ブーム長手方向における第1直線部137a、曲線部137b、第2直線部137cの全てにわたって略矩形断面の上下に配設されている。即ち、少なくとも曲線部137bには、略矩形断面の上下少なくとも一方の角部144とともに閉じられた断面を形成するように補強部材145が設けられている。
【0081】
以上説明したブーム構造136によると、第2実施形態に係るブーム構造と同様に、高応力となる角部では母材の強度を確保できるとともに、疲労強度が問題となる曲線部において、略矩形断面の上下の少なくとも一方の角部に閉断面を形成するように補強部材が配設されるため、ブーム構造136の断面2次モーメントを高めることができ、疲労強度の向上を図ることができる。また、略矩形断面の上下面と対向して架け渡されるように配設されることになる補強部材によって、掘削作業時に両側板が内側に撓もうとする断面変形を効率よく抑制し、疲労強度を向上させることができる。したがって、このブーム構造136によると、角部144の疲労強度が向上しているため、薄肉の部材142、143を用いて、従来よりもブーム部材のトータル重量を軽くし、且つ、従来と同等以上の疲労強度を確保することができる。即ち、補強のためブームを構成する板材を厚くする場合や隔壁等を用いる場合に比べ、少ない材料で十分な疲労強度を確保でき、軽量化を図ることができるため、ブームの疲労強度を向上させるとともに、軽量化を図ることができるブーム構造を提供できる。
【0082】
(変形例)
つぎに、第3実施形態に係るブーム構造の略矩形断面の構造に関する変形例について説明する。なお、以下に説明する第3実施形態に係る変形例(図13)は、いずれもブーム構造の曲線部における断面(図12のC−C線矢視断面に相当する断面)を示している。そして、ブーム構造136と同様に、補強部材を略矩形断面における2つの角部とともに閉じられた断面を形成するように、それぞれ架け渡されているものである。以下、ブーム構造136と異なる個所のみ説明する。
【0083】
図13(a)に示すブーム構造146は、ブーム構造136と同様にコ字型部材147(147a、b)と側板148(148a、b)とで略矩形断面が形成されているが、略矩形断面の上側にのみ、2つの角部(149a、149b)とともに閉じられた断面を形成する補強部材150が架け渡されている。
【0084】
図13(b)に示すブーム構造151は、ブーム構造136と同様に、コ字型部材152(152a、b)と側板153(153a、b)とで略矩形断面が形成され、2つの角部とともに閉じられた断面を形成する補強部材154(154a、b)が、略矩形断面の上下それぞれに架け渡されている。しかし、補強部材154のブーム長手方向に延びる各両端部には、折り曲げ部155がそれぞれ設けられている。この折り曲げ部155を設けることで、補強部材154の断面2次モーメントを高め、さらにブームの疲労強度を向上させることができる。
【0085】
図13(c)に示すブーム構造156は、略矩形断面の各角部157(157a〜d)を形成する部材に、L字型断面を有するL字型部材158(158a〜d)が用いられている。即ち、各L字型部材158の折り曲げ部分が、それぞれ各角部157を形成し、平板状の補強部材159(159a、b)は、2つのL字型部材間(L字型部材158aと158bとの間、又は158cと158dとの間)にそれぞれ架け渡されている。
【0086】
図13(d)に示すブーム構造160は、ブーム構造136と同様に、コ字型部材161(161a、b)と側板162(162a、b)とで略矩形断面が形成されているが、補強部材163が、両側板間(側板162aと162bとの間)に架け渡されている。このように補強板163を設けても、ブーム構造の断面2次モーメントを高め、疲労強度を向上させることができる。
【0087】
なお、ブーム長手方向に関しては、第2実施形態における図11に示す変形例を第3実施形態においても同様に適用することができる。
【0088】
【発明の効果】
請求項1の発明によると、ブーム構造の略矩形断面における角部の疲労強度が問題となる曲線部において、略矩形断面の上下の少なくとも一方の角部に、閉じられた断面をもつ管が用いられているため、溶接部分の位置を角部から離れた位置に配置することができ、高応力となる角部では母材の強度が確保できることになる。これにより、略矩形断面の角部の疲労強度の向上を図ることができる。また、管の外形のうち、略矩形断面の外形を構成しない部分は、略矩形断面の内部側に位置することになり、補強部材としての機能を果たすことができる。したがって、このブーム構造によると、補強のためブームを構成する板材を厚くする場合や隔壁等を用いる場合に比べ、軽量化を図ることができる。すなわち、ブームの疲労強度を向上させ、軽量化を図ることができる。
【0089】
請求項2の発明によると、管に形成された平坦部分で略矩形断面の外形の一部を構成することができ、角部に配置される管を用いて略矩形断面のブーム構造を容易に構築できる。また、管と他の部材とを接合して略矩形断面を形成する場合に、他の部材を管の平坦部分と接合することができ、接合が容易に行える。
【0090】
請求項3の発明によると、平板部分を有する部材の端部を、角部から遠ざけた位置で管と溶接することができ、角部からより離れた個所に溶接部分が位置する略矩形断面のブーム構造とすることができる。
【0091】
請求項4の発明によると、略矩形断面の上下の角部において母材の強度が得られるとともに、管の外形のうち、2つの角部を形成しない側に位置し、略矩形断面の外形を構成しない部分にて、ブーム構造の両側板間を架橋する補強板としての機能を果たすことができる。
【0092】
請求項5の発明によると、管の外形のうち、2つの角部を形成しない側に位置し、略矩形断面の外形を構成しない部分にて、ブーム構造の両側板間を架橋する補強板としての機能を果たすともに、さらに、ブーム構造の幅方向の曲げに対する強度や捩じり方向に対する強度も向上させることができる。
【0093】
請求項6の発明によると、角部に配設された各管が、それぞれ角部において母材強度を確保するとともに、略矩形断面の外形を構成しない部分にて、各角部をそれぞれ補強することができる。
【0094】
請求項7の発明によると、管の内部側にくぼむ段部に対して、略矩形断面を構成する部材の平板部分の端部を嵌め合わすようにして溶接できるため、溶接が容易に行える。また、安定した溶接が可能なため、溶接部分の接合強度も確保し易い。
【0095】
請求項8の発明によると、高応力が発生する個所に効率よく管を配設し、ブームの軽量化を図ることができる。
【0096】
請求項9の発明によると、継ぎ目無し鋼管または電縫管を変形させた異形管を用いることで、略矩形断面の角部に、閉じられた断面をもつ管を容易に配設することができる。
【0097】
請求項10の発明によると、略矩形断面を有するブーム部材であって、ブームの長手方向に、第1直線部と、この第1直線部に連なる曲線部と、この曲線部に連なる第2直線部とを備え、曲線部における略矩形断面の角部に、閉じられた断面をもつ管を用いたブーム部材を容易に製造することができる。すなわち、溶接部分の位置を角部から離れた位置に配置し、高応力となる角部では母材の強度が確保できるブーム部材を製造できる。したがって、疲労強度を向上させるとともに、軽量化を図ることができるブーム部材を製造することができる。
【0098】
請求項11の発明によると、略矩形断面の4隅の角部は、部材の折り曲げ部分で形成されている。このため、略矩形断面を構成する部材の突き合わせ溶接部分を、角部から離れた位置に配置することができ、高応力となる角部では母材の強度を確保することができる。そして、疲労強度が問題となる曲線部において、略矩形断面の上下の少なくとも一方の角部に閉断面を形成するように補強部材が配設されるため、ブーム構造の断面2次モーメントを高めることができ、疲労強度の向上を図ることができる。したがって、補強のためブームを構成する板材を厚くする場合や隔壁等を用いる場合に比べ、少ない材料で十分な疲労強度を確保でき、軽量化を図ることができる。即ち、ブームの疲労強度を向上させるとともに、軽量化を図ることができるブーム構造を提供できる。
【0099】
請求項12の発明によると、略矩形断面の各角部が、L字型部材の折り曲げ部分でそれぞれ形成されるため、略矩形断面を構成する部材の突き合わせ溶接部分を角部から離れた位置に配置することができ、高応力となる角部では母材の強度を確保することができる。
【0100】
請求項13の発明によると、略矩形断面の各2つの角部が、コ字型部材の2つの折り曲げ部分にてそれぞれ形成されるため、略矩形断面を構成する部材の突き合わせ溶接部分を角部から離れた位置に配置することができ、高応力となる角部では母材の強度を確保することができる。
【0101】
請求項14の発明によると、略矩形断面のブーム構造の断面2次モーメントを高めるとともに、疲労強度が問題となる角部をそれぞれ補強することができる。したがって、効率よく補強部材を配設することができ、疲労強度向上と軽量化との両立が図れる。
【0102】
請求項15の発明によると、角部を内側から補強するため、掘削作業時に両側板が内側に撓もうとする断面変形を効率よく抑制し、疲労強度を向上させることができる。
【0103】
請求項16の発明によると、角部を外側から補強するため、ブーム構造の断面2次モーメントを高め、疲労強度を向上させることができる。
【0104】
請求項17の発明によると、略矩形断面のブーム構造の断面2次モーメントを高めるとともに、略矩形断面の上下面と対向して架け渡されるように配設されることになる補強部材によって、掘削作業時に両側板が内側に撓もうとする断面変形を効率よく抑制し、疲労強度を向上させることができる。したがって、効率よく補強部材を配設することができ、疲労強度向上と軽量化との両立が図れる。
【0105】
請求項18の発明によると、あまり高い疲労強度が必要でない両側板部分には、角部を形成する部材よりも薄肉の側板を用いることで、より軽量化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施形態に係るブーム構造を示しており、図1(a)は側面図を、図1(b)は図1(a)のA−A線矢視断面の模式図を示している。
【図2】第1実施形態に係るブーム構造の製造方法の製造工程の概略を説明する図である。
【図3】第1実施形態に係るブーム構造の変形例を示す図であって、変形例に係る各ブーム構造の略矩形断面を示したものである。
【図4】第1実施形態に係るブーム構造の変形例を示す図であって、ブーム長手方向における管の配設位置に関する変形例を示す側面図である。
【図5】略矩形断面を有するブーム部材が用いられる油圧ショベルの側面図である。
【図6】図6(a)は、従来の技術におけるブーム構造の断面図であり、図6(b)は、図6(a)に示すブーム構造に、掘削作業時の曲げ変形が加わった状態を示したものである。
【図7】第2実施形態に係るブーム構造を示しており、図7(a)は側面図を、図7(b)は図7(a)のB−B線矢視断面の模式図を示している。
【図8】第2実施形態に係るブーム構造の変形例を示す図であって、変形例に係る各ブーム構造の略矩形断面を示したものである。
【図9】第2実施形態に係るブーム構造の変形例を示す図であって、変形例に係る各ブーム構造の略矩形断面を示したものである。
【図10】第2実施形態に係るブーム構造の変形例を示す図であって、変形例に係る各ブーム構造の略矩形断面を示したものである。
【図11】第2実施形態に係るブーム構造の変形例を示す図であって、ブーム長手方向における補強部材の配設位置に関する変形例を示す側面図である。
【図12】第3実施形態に係るブーム構造を示しており、図12(a)は側面図を、図12(b)は図12(a)のC−C線矢視断面の模式図を示している。
【図13】第3実施形態に係るブーム構造の変形例を示す図であって、変形例に係る各ブーム構造の略矩形断面を示したものである。
【符号の説明】
1、21〜29 ブーム構造
2a 第1直線部
2b 曲線部
2c 第2直線部
8、8a〜d、35a〜d、38a〜d 角部
9、31、32、36、39、44、51、52 管
10、11 平坦部分
Claims (18)
- 建設機械に用いられ、略矩形断面を有するブーム構造であって、
ブームの長手方向に、第1直線部と、この第1直線部に連なる曲線部と、この曲線部に連なる第2直線部とを備え、
ブーム長手方向における少なくとも前記曲線部には、前記略矩形断面における上下のうちの少なくとも一方に位置する角部が、閉じられた断面をもつ管を用いて形成されていることを特徴とするブーム構造。 - 前記管には、ブーム長手方向に延びる平坦部分が形成されていることを特徴とする請求項1に記載のブーム構造。
- 少なくとも前記曲線部における前記略矩形断面は、前記管の外形の一部と、前記管に溶接される部材とで形成され、
前記溶接される部材はブーム長手方向に延びる平板部分を有し、
前記平板部分におけるブーム長手方向に延びる端部が、
前記略矩形断面の外形に略沿う前記管の外形部分のうち、前記角部とは異なる曲折した部分と重なって溶接されていることを特徴とする請求項1または2に記載のブーム構造。 - 前記略矩形断面の上下に、それぞれ前記管が1本ずつ配設され、前記管のそれぞれが、前記角部を2つ形成していることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のブーム構造。
- 前記管の外形部分であって前記略矩形断面の内部側に位置している部分に、前記管の内部側にくぼむ凹部が形成されていることを特徴とする請求項4に記載のブーム構造。
- 前記略矩形断面の4隅に、それぞれ前記管が1本ずつ配設され、前記管のそれぞれが、前記角部を形成していることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のブーム構造。
- 前記管の前記曲折した部分には、前記管の内部側にくぼむ段部が形成され、この段部に前記平板部分の前記端部が溶接されていることを特徴とする請求項3〜6のいずれかに記載のブーム構造。
- 前記第1直線部はアームが取り付けられる先端側に位置し、前記第2直線部は建設機械本体側に支持される支持側に位置し、
前記略矩形断面の上側に配設される前記管は、前記曲線部から前記第2直線部にわたる部分に、前記略矩形断面の下側に配設される前記管は、前記曲線部から前記第1直線部にわたる部分に、それぞれ延設されていることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載のブーム構造。 - 前記管は、継ぎ目無し鋼管または電縫管を変形させたものであることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載のブーム構造。
- 略矩形断面を有し、建設機械に用いられるブーム部材の製造方法であって、
円管を外型ロール間を通過させることで異形管に成形し、
前記異形管成形時に、前記異形管の長手方向に一部曲線部分を形成し、
平板部分を有する部材を前記異形管と溶接することで、略矩形断面を形成するとともに、前記曲線部分を前記略矩形断面における上下のうちの少なくとも一方の角部に位置するように配設し、
ブーム長手方向に、アームが取り付けられる第1直線部と、この第1直線部に連なり前記異形管の前記曲線部分を含む曲線部と、この曲線部に連なり建設機械本体側に支持される第2直線部とを備えるブーム部材を形成することを特徴とするブーム部材の製造方法。 - 建設機械に用いられ、略矩形断面を有するブーム構造であって、
ブームの長手方向に、第1直線部と、この第1直線部に連なる曲線部と、この曲線部に連なる第2直線部とを備え、
前記略矩形断面は、複数の部材が略突き合わされて溶接されることで形成されるとともに、前記略矩形断面の4隅の角部は、前記部材における折り曲げ部分で形成されており、
ブーム長手方向における少なくとも前記曲線部には、前記略矩形断面における上下のうちの少なくとも一方に位置する前記角部とともに閉じられた断面を形成するように架け渡される補強部材が設けられていることを特徴とするブーム構造。 - 前記複数の部材のうち、前記略矩形断面の前記角部を形成する前記部材には、略L字型断面を有するL字型部材が用いられていることを特徴とする請求項11に記載のブーム構造。
- 前記複数の部材のうち、前記略矩形断面の前記角部を形成する前記部材には、略コの字型断面を有するコ字型部材が用いられていることを特徴とする請求項11に記載のブーム構造。
- 前記補強部材は、1つの前記角部とともに閉じられた断面を形成するように、それぞれ架け渡されていることを特徴とする請求項11〜13のいずれかに記載のブーム構造。
- 前記補強部材は、前記略矩形断面の内側に配設されていることを特徴とする請求項14に記載のブーム構造。
- 前記補強部材は、前記略矩形断面の外側に配設されていることを特徴とする請求項14に記載のブーム構造。
- 前記補強部材は、2つの前記角部とともに閉じられた断面を形成するように、それぞれ架け渡されていることを特徴とする請求項11〜13のいずれかに記載のブーム構造。
- 前記略矩形断面の前記角部を形成する前記部材間には、この部材よりも薄肉の側板が配設されていることを特徴とする請求項12〜17のいずれかに記載のブーム構造。
Priority Applications (4)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002262198A JP2004124357A (ja) | 2002-08-02 | 2002-09-09 | ブーム構造およびブーム部材の製造方法 |
US10/623,555 US20040161326A1 (en) | 2002-08-02 | 2003-07-22 | Boom structure of construction machine and manufacturing method thereof |
EP03254641A EP1387012A3 (en) | 2002-08-02 | 2003-07-23 | Boom structure of construction machine and manufacturing method |
CNA031525326A CN1480596A (zh) | 2002-08-02 | 2003-08-01 | 建筑机械的悬臂结构及其制造方法 |
Applications Claiming Priority (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002226256 | 2002-08-02 | ||
JP2002262198A JP2004124357A (ja) | 2002-08-02 | 2002-09-09 | ブーム構造およびブーム部材の製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004124357A true JP2004124357A (ja) | 2004-04-22 |
Family
ID=30117513
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2002262198A Pending JP2004124357A (ja) | 2002-08-02 | 2002-09-09 | ブーム構造およびブーム部材の製造方法 |
Country Status (4)
Country | Link |
---|---|
US (1) | US20040161326A1 (ja) |
EP (1) | EP1387012A3 (ja) |
JP (1) | JP2004124357A (ja) |
CN (1) | CN1480596A (ja) |
Cited By (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2005001211A1 (ja) * | 2003-06-30 | 2005-01-06 | Hitachi Construction Machinery Co., Ltd. | 建設機械用作業腕及びその製造方法 |
JP2006188858A (ja) * | 2005-01-05 | 2006-07-20 | Kubota Corp | ブーム |
JP2011006837A (ja) * | 2009-06-23 | 2011-01-13 | Kobe Steel Ltd | 油圧ショベルのアタッチメント |
WO2012067014A1 (ja) * | 2010-11-15 | 2012-05-24 | 日立建機株式会社 | 建設機械の旋回フレーム |
JP2019031786A (ja) * | 2017-08-04 | 2019-02-28 | 株式会社竹内製作所 | 筒状構造体および作業装置 |
KR20200101369A (ko) * | 2017-12-19 | 2020-08-27 | 푸츠마이스터 엔지니어링 게엠베하 | 종방향으로 가변적인 판금 두께를 갖는 콘크리트-펌프 붐-아암 세그먼트, 및 이러한 콘크리트 펌프 붐 아암 세그먼트를 제조하기 위한 방법 |
Families Citing this family (18)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP4170962B2 (ja) * | 2004-07-22 | 2008-10-22 | 日立建機株式会社 | フロント装置 |
EP1943177B1 (de) * | 2005-10-12 | 2010-01-13 | Palfinger AG | Kran mit verstärkungsblech |
WO2008133244A1 (ja) * | 2007-04-25 | 2008-11-06 | Komatsu Ltd. | 作業機ブーム |
US8584362B2 (en) * | 2008-11-06 | 2013-11-19 | Wayne Industrial Holdings, Llc | Three piece lift arm apparatus and method |
AU2010287670B2 (en) * | 2009-08-25 | 2014-04-17 | Nippon Steel Corporation | Bent member and an apparatus and method for its manufacture |
US9290363B2 (en) | 2011-07-21 | 2016-03-22 | Manitowoc Crane Companies, Llc | Tailor welded panel beam for construction machine and method of manufacturing |
ITMI20120206A1 (it) * | 2012-02-14 | 2013-08-15 | Cifa Spa | Segmento di un braccio articolato e braccio articolato comprendente detto segmento |
DE112013001006B4 (de) * | 2012-02-16 | 2021-06-10 | Hitachi Construction Machinery Co., Ltd. | Stiel für Baumaschine |
JP6046024B2 (ja) * | 2013-11-19 | 2016-12-14 | キャタピラー エス エー アール エル | 建設機械のブーム |
CN105584943A (zh) * | 2016-01-15 | 2016-05-18 | 三一帕尔菲格特种车辆装备有限公司 | 一种起重臂和起重机 |
CN105804134A (zh) * | 2016-05-12 | 2016-07-27 | 华若延 | 一种建筑机械的悬臂结构及其制造方法 |
EP3553230A1 (en) * | 2018-04-11 | 2019-10-16 | Deere & Company | Hybrid loader boom arm assembly |
US10697148B2 (en) | 2018-04-11 | 2020-06-30 | Deere & Company | Hybrid loader boom arm assembly |
US10662609B2 (en) | 2018-04-11 | 2020-05-26 | Deere & Company | Hybrid loader boom arm assembly |
US10822768B2 (en) | 2018-04-11 | 2020-11-03 | Deere & Company | Hybrid loader boom arm assembly |
CN109930639B (zh) * | 2019-04-16 | 2024-02-13 | 徐州徐工矿业机械有限公司 | 一种挖掘机动臂及挖掘机 |
CN111173287A (zh) * | 2020-03-10 | 2020-05-19 | 三一汽车制造有限公司 | 臂架和作业设备 |
DE102021104701A1 (de) | 2021-02-26 | 2022-09-01 | Putzmeister Engineering Gmbh | Mastarm-Segment und Verfahren zum Herstellen eines Mastarm-Segments |
Family Cites Families (11)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US1917666A (en) * | 1931-02-21 | 1933-07-11 | Koehring Co | Welded dipper stick construction |
DE1634979B2 (de) * | 1963-12-18 | 1973-08-30 | Einhaengevorrichtung fuer einen anbaubagger an ein traegerfahrzeug | |
DE2317595A1 (de) * | 1973-04-07 | 1974-10-31 | Kaspar Klaus | Teleskopierbare einheit, insbesondere fuer hebezeuge |
US4214923A (en) * | 1978-10-04 | 1980-07-29 | Caterpillar Tractor Co. | Method for treating metal |
FR2445481A1 (fr) * | 1978-12-29 | 1980-07-25 | Poclain Sa | Structure mecano-soudee d'un bras de force |
JPS5711731A (en) * | 1980-06-25 | 1982-01-21 | Komatsu Ltd | Production of curved boom |
JP3501876B2 (ja) * | 1995-07-04 | 2004-03-02 | ヤンマー株式会社 | バックホーの作業腕構造 |
JPH09165773A (ja) * | 1995-12-15 | 1997-06-24 | Komatsu Ltd | 油圧ショベルの作業機 |
JP3794004B2 (ja) * | 1998-03-04 | 2006-07-05 | 株式会社小松製作所 | 建設機械の作業機 |
JP2000199240A (ja) * | 1998-12-28 | 2000-07-18 | Yutani Heavy Ind Ltd | 油圧ショベルのブ―ム構造 |
JP2001081810A (ja) * | 1999-09-13 | 2001-03-27 | Kubota Corp | 作業機のブーム |
-
2002
- 2002-09-09 JP JP2002262198A patent/JP2004124357A/ja active Pending
-
2003
- 2003-07-22 US US10/623,555 patent/US20040161326A1/en not_active Abandoned
- 2003-07-23 EP EP03254641A patent/EP1387012A3/en not_active Withdrawn
- 2003-08-01 CN CNA031525326A patent/CN1480596A/zh active Pending
Cited By (14)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2005001211A1 (ja) * | 2003-06-30 | 2005-01-06 | Hitachi Construction Machinery Co., Ltd. | 建設機械用作業腕及びその製造方法 |
US7670099B2 (en) | 2003-06-30 | 2010-03-02 | Hitachi Construction Machinery Co., Ltd. | Working arm for construction machine and method of producing the same |
JP2006188858A (ja) * | 2005-01-05 | 2006-07-20 | Kubota Corp | ブーム |
JP4641800B2 (ja) * | 2005-01-05 | 2011-03-02 | 株式会社クボタ | ブーム |
JP2011006837A (ja) * | 2009-06-23 | 2011-01-13 | Kobe Steel Ltd | 油圧ショベルのアタッチメント |
JP5465790B2 (ja) * | 2010-11-15 | 2014-04-09 | 日立建機株式会社 | 建設機械の旋回フレーム |
WO2012067014A1 (ja) * | 2010-11-15 | 2012-05-24 | 日立建機株式会社 | 建設機械の旋回フレーム |
US8960778B2 (en) | 2010-11-15 | 2015-02-24 | Hitachi Construction Machinery Co., Ltd. | Revolving frame of construction machine |
KR101837220B1 (ko) * | 2010-11-15 | 2018-03-09 | 히다찌 겐끼 가부시키가이샤 | 건설 기계의 선회 프레임 |
EP2642032A4 (en) * | 2010-11-15 | 2018-03-21 | Hitachi Construction Machinery Co., Ltd. | Construction machine swing frame |
JP2019031786A (ja) * | 2017-08-04 | 2019-02-28 | 株式会社竹内製作所 | 筒状構造体および作業装置 |
JP6998148B2 (ja) | 2017-08-04 | 2022-01-18 | 株式会社竹内製作所 | 筒状構造体および作業装置 |
KR20200101369A (ko) * | 2017-12-19 | 2020-08-27 | 푸츠마이스터 엔지니어링 게엠베하 | 종방향으로 가변적인 판금 두께를 갖는 콘크리트-펌프 붐-아암 세그먼트, 및 이러한 콘크리트 펌프 붐 아암 세그먼트를 제조하기 위한 방법 |
KR102614228B1 (ko) * | 2017-12-19 | 2023-12-14 | 푸츠마이스터 엔지니어링 게엠베하 | 종방향으로 가변적인 판금 두께를 갖는 콘크리트-펌프 붐-아암 세그먼트, 및 이러한 콘크리트 펌프 붐 아암 세그먼트를 제조하기 위한 방법 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
CN1480596A (zh) | 2004-03-10 |
US20040161326A1 (en) | 2004-08-19 |
EP1387012A3 (en) | 2004-04-07 |
EP1387012A2 (en) | 2004-02-04 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP2004124357A (ja) | ブーム構造およびブーム部材の製造方法 | |
JP4948080B2 (ja) | ブーム | |
EP2700752A1 (en) | Boom for construction machine | |
US9187875B2 (en) | Arm for construction machine | |
KR100591423B1 (ko) | 버킷식 굴삭기의 부움 및 그 제조방법 | |
EP1870525B1 (en) | Piping structure of a front work machine | |
EP2711466B1 (en) | Arm for construction machinery | |
JP2005029984A (ja) | 建設機械用作業腕及びその製造方法 | |
JP4689252B2 (ja) | 作業機械用ブレード装置と同ブレード装置を備えた作業機械 | |
JP3227123B2 (ja) | 建設機械の旋回フレーム | |
JP2015010386A (ja) | 作業機のブーム | |
JP2002242227A (ja) | 作業機械の作業腕構造 | |
JP2012229619A (ja) | 建設機械のキャブ | |
JP6323500B2 (ja) | 建設機械のアタッチメント | |
JP2004224083A (ja) | 作業車両 | |
JPH11140901A (ja) | 油圧ショベルの作業機アーム | |
JP2003193512A (ja) | 建設機械の作業機並びに作業機ブーム及びその製造方法 | |
JPH11158907A (ja) | 作業機のブーム構造 | |
JP2005163375A (ja) | 建設機械のアーム | |
JP6647327B2 (ja) | 油圧ショベル | |
CN219773054U (zh) | 一种拼装式挖掘机斗杆 | |
JP2010083338A (ja) | キャブおよび建設機械 | |
JPH11131520A (ja) | 建設機械の作業機 | |
JP2005336920A (ja) | 建設機械の旋回フレーム | |
JP2006045976A (ja) | 建設機械 |