JP2019031786A - 筒状構造体および作業装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】ブームやアーム等の筒状構造体を構成する上下左右の板を溶接する際の位置合わせにかかる作業時間を短縮することができる筒状構造体および作業装置を提供する。【解決手段】左右の側板330の上端部および下端部の少なくとも一方に形成された凸部と、上板310および下板320の少なくとも一方に形成された凹部とを有し、前記凸部を前記凹部に挿入して左右の側板330の上端部および下端部にそれぞれ上板310および下板320を当接させた状態で溶接接合されて形成される。【選択図】図2

Description

本発明は、上板、下板および左右の側板をそれぞれ溶接して矩形筒状に構成される筒状構造体、および、その筒状構造体により構成される作業腕部材を備える作業装置に関する。
このような作業装置の一例として、パワーショベル(エクスカベータ)に設けられて掘削作業等を行うショベル装置がある。パワーショベルは、左右のクローラ機構を有した走行体と、走行体上に旋回可能に設けられた旋回体と、旋回体の前部に設けられたショベル装置とを備えて構成される。さらに、パワーショベルは、エンジンと、このエンジンにより駆動させる油圧ポンプとを備え、油圧ポンプから吐出される作動油を用いて左右のクローラ機構の走行油圧モータやショベル装置の油圧シリンダ等を駆動して走行や掘削作業等を行うように構成されている(例えば、特許文献1を参照)。
上記ショベル装置は、旋回体に上下揺動自在に設けられたブームと、ブームの先端部に上下揺動自在に設けられたアームと、アームの先端部に設けられたアタッチメント(例えば、バケットやブレーカ等)と、ブーム、アームおよびアタッチメントをそれぞれ揺動させる複数の油圧シリンダとを有して構成されている。ブームおよびアームは、作業時にかかる応力に耐え得る強度が必要である一方、軽量化も重要である。そこで、ブームおよびアームは、金属製の上板、下板および左右の側板をそれぞれ溶接して矩形筒状に構成されている。
特開2016‐53375号公報
上記のようなブームおよびアームの製造現場では、固定支持装置に下板を固定し、その下板に対して左右の側板および上板を複数の治具を用いて位置合わせを行っている。そして、それらの位置合わせを行った状態で仮溶接を行い、その後にロボットを用いて本溶接を行っている。上下左右の板の位置合わせを行う際には複数の治具が必要であるため、それらの治具の調整や板の位置合わせに非常に時間がかかるという課題があった。
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、ブームやアーム等の筒状構造体を構成する上下左右の板を溶接する際の位置合わせにかかる作業時間を短縮することができる筒状構造体および作業装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、第1の本発明は、上板、下板および左右の側板をそれぞれ溶接して矩形筒状に構成される筒状構造体(例えば、実施形態におけるブーム31)であって、前記左右の側板の上端部および下端部の少なくとも一方に形成された凸部(例えば、実施形態における上側凸部331,341、下側凸部332,342)と、前記上板および前記下板の少なくとも一方に形成された凹部(例えば、実施形態における上側凹部311、下側凹部321)とを有し、前記凸部を前記凹部に挿入して前記左右の側板の上端部および下端部にそれぞれ前記上板および前記下板を当接させた状態で溶接接合されて形成される。
上記構成の筒状構造体において、前記凸部は、前記左右の側板の上端部および下端部にそれぞれ形成され、前記凹部は、前記上板の下面左右および前記下板の上面左右にそれぞれ形成されることが好ましい。
上記構成の筒状構造体において、前記凹部は、前記上板および前記下板の少なくとも一方を上下方向に貫通して形成されてもよい。
上記構成の筒状構造体において、前記凹部は、筒状構造体の長手方向に延びる矩形状に形成され、前記凹部の長手方向の寸法が、前記凸部の長手方向の寸法よりも大きく形成され、前記凸部を前記凹部に挿入した状態において、前記凹部内に長手方向に所定の隙間が形成されることが好ましい。
上記構成の筒状構造体において、前記上板の上面および前記下板の下面の少なくとも一方に溶接されるブラケット(例えば、実施形態における上側シリンダブラケット312、下側シリンダブラケット322)を有し、前記凹部は、前記ブラケットを溶接したときの溶接ビードによって覆い隠される位置に形成されることが好ましい。
上記構成の筒状構造体において、前記凹部は、筒状構造体にかかる応力が筒状構造体の他の部分よりも小さい位置に形成されることが好ましい。なお、応力が小さい位置とは、筒状構造体にかかる応力分布を求め、筒状構造体の全体において当該応力の値を比較し、その応力値が他の部分よりも小さい位置のことである。
上記目的を達成するため、第2の本発明は、上記構成の筒状構造体により、車両(例えば、実施形態における走行体10および旋回体20)に対して上下揺動自在に設けられる作業腕部材が構成され、前記作業腕部材の先端部に作業具が設けられて構成される作業装置(例えば、実施形態におけるショベル装置30)である。
本発明によれば、左右の側板の上端部および下端部の少なくとも一方に形成された凸部と、上板および下板の少なくとも一方に形成された凹部とを有し、前記凸部を前記凹部に挿入して左右の側板の上端部および下端部にそれぞれ上板および下板を当接させた状態で溶接接合されて形成される。このように凸部を凹部に挿入することにより、左右の側板と上板および下板の少なくとも一方の位置合わせを行うことができるため、位置合わせに用いる治具の数を減らすことができる。従って、治具の調整や板の位置合わせにかかる作業時間を従来よりも大幅に短縮することができる。また、凸部および凹部によって正確に位置合わせできるため、きれいに(均一に)溶接することができ、溶接部の強度を向上させることができる。
本発明において、左右の側板の上端部および下端部にそれぞれ凸部が形成され、上板の下面左右および下板の上面左右にそれぞれ凹部が形成されることが好ましい。このような構成によれば、凸部および凹部により、左右の側板に対して上板および下板の両方の位置合わせを行うことができる。従って、位置合わせに用いる治具の数をより一層減らすことができる。
本発明において、凹部は筒状構造体の長手方向に延びる矩形状に形成され、凹部の長手方向の寸法が、凸部の長手方向の寸法よりも大きく形成され、凸部を凹部に挿入した状態において、凹部内に長手方向に所定の隙間が形成されることが好ましい。このような構成によれば、上板もしくは下板が曲げ変形しても、その変形分を当該隙間によって吸収することができる。
本発明において、凹部は上板および下板の少なくとも一方を上下方向に貫通して形成され、上板の上面および下板の下面の少なくとも一方に溶接されるブラケットを有し、凹部はブラケットを溶接したときの溶接ビードによって覆い隠される位置に形成されることが好ましい。このような構成によれば、当該溶接ビードが凹部内に入り込んで凹部と凸部が固着されるため、凹部および凸部を後から溶接する作業を行う必要がなく、作業効率を向上させることができる。
本発明において、凹部は、筒状構造体にかかる応力が筒状構造体の他の部分よりも小さい位置に形成されることが好ましい。このような構成によれば、筒状構造体の強度を低下させることなく、位置合わせを行うための凹部および凹部を設けることができる。
本発明に係る作業装置の一例であるショベル装置を備えたパワーショベルの斜視図である。 上記ショベル装置を構成するブームを斜め上方から見た斜視図である。 上記ブームを斜め下方から見た斜視図である。 上記ブームを構成する上板の斜視図である。 図4における丸Vの部分の拡大図である。 上記ブームを構成する下板の斜視図である。 図6における丸VIIの部分の拡大図である。 上記ブームを構成する左右の側板の側面図である。 (A)は図8における丸Aの部分の拡大図、(B)は図8における丸Bの部分の拡大図である。
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。本実施形態では、本発明に係る作業装置の一例であるショベル装置を備えたクローラ式のパワーショベル(エクスカベータ)について説明する。まず、パワーショベル1の全体構成について図1を参照して説明する。
パワーショベル1は、図1に示すように、走行可能に構成された走行体10と、走行体10の上部に水平旋回可能に設けられた旋回体20と、旋回体20の前部に設けられたショベル装置30とを有して構成される。
走行体10は、駆動輪、複数の従動輪および、これらの車輪に掛け回された履帯13を有する左右一対のクローラ機構15を、走行体フレーム11の左右両側にそれぞれ備えて構成される。左右のクローラ機構15はそれぞれ、駆動輪を回転駆動する走行モータ16を有して構成される。走行体10は、左右の走行モータ16の回転方向および回転速度を制御することにより任意の方向および速度で走行可能に構成されている。走行体フレーム11の前部には、上下揺動自在にブレード18が設けられている。ブレード18は、走行体フレーム11との間に跨設されたブレードシリンダ19を伸縮作動させることにより上下揺動可能に構成されている。
走行体フレーム11の上部中央には旋回機構が設けられている。この旋回機構は、走行体フレーム11に固定された内輪と、旋回体20に固定された外輪と、旋回体20に設けられた旋回モータと、旋回体20に設けられた油圧ポンプから走行体10に設けられた左右の走行モータ16およびブレードシリンダ19に作動油を供給するためのロータリーセンタージョイントとを有して構成される。旋回体20は、この旋回機構を介して走行体フレーム11に水平旋回自在に取り付けられ、旋回モータを正転または逆転作動させること
により、走行体10に対して左右方向に旋回可能に構成されている。旋回体20の前部には、前方に突出する本体側ブラケット22が設けられている。
ショベル装置30は、本体側ブラケット22に上下軸を中心に左右方向に揺動自在に取り付けられたブームブラケット39と、ブームブラケット39に第1揺動ピン35aにより上下揺動自在(起伏動自在)に取り付けられたブーム31と、ブーム31の先端部に第2揺動ピン35bにより上下揺動自在(屈伸自在)に取り付けられたアーム32と、アーム32の先端部に設けられたリンク機構33とを有して構成される。ショベル装置30は、さらに、旋回体20とブームブラケット39の間に跨設されたスイングシリンダ34と、ブームブラケット39とブーム31の間に跨設されたブームシリンダ36と、ブーム31とアーム32の間に跨設されたアームシリンダ37と、アーム32とリンク機構33の間に跨設されたバケットシリンダ38とを有して構成される。
ブームブラケット39は、スイングシリンダ34を伸縮作動させることにより旋回体20(本体側ブラケット22)に対して左右方向に揺動可能に構成されている。ブーム31は、ブームシリンダ36を伸縮作動させることにより本体側ブラケット22(旋回体20)に対して上下方向に揺動可能(起伏動可能)に構成されている。アーム32は、アームシリンダ37を伸縮作動させることによりブーム31に対して上下方向に揺動可能(屈伸動可能)に構成されている。
アーム32およびリンク機構33の先端部には、バケット、ブレーカ、圧砕機、カッター、オーガ装置等の各種アタッチメントを上下方向に揺動自在に取り付けることが可能になっている。アーム32の先端部に取り付けられたアタッチメントは、バケットシリンダ38を伸縮作動させることによりリンク機構33を介してアーム32に対して上下揺動可能に構成されている。これらのアタッチメントの油圧アクチュエータに作動油を供給するための油圧ホースを接続可能な第1〜第3アタッチメント接続ポート41〜43が、アーム32の左側面に配設されている。
旋回体20には、オペレータ(作業者)が搭乗可能な操作室を形成するオペレータキャビン23が設けられている。オペレータキャビン23は、略矩形箱状に形成されており、左側部に横開き開閉可能なキャビンドア24が設けられている。オペレータキャビン23内には、オペレータが前方側を向いて着座するオペレータシート、走行体10の走行操作を行う左右の走行操作レバー、旋回体20およびショベル装置30の作動操作を行う左右の作業操作レバーおよび作業操作ペダル、ブレード18の作動操作を行うブレード操作レバー、パワーショベル1における各種の車両情報を表示するディスプレイ装置、オペレータにより操作される各種の操作スイッチ等が設けられている。
旋回体20(オペレータキャビン23の後方および右方の位置)には、走行体10における左右の走行モータ16およびブレードシリンダ19、旋回体20における上記旋回モータ、並びに、ショベル装置30におけるスイングシリンダ34、ブームシリンダ36、アームシリンダ37およびバケットシリンダ38(以下、これらを纏めて油圧アクチュエータと称する)に作動油を供給して駆動させる油圧駆動装置が設けられている。
この油圧駆動装置は、ディーゼルエンジン(以下、エンジンと称する)と、このエンジンにより駆動される複数の油圧ポンプ(パイロット油圧ポンプを含む)と、油圧アクチュエータに供給する作動油の方向および流量を制御する制御バルブユニットと、上記走行操作レバーおよび作業操作レバー等の操作に応じて制御バルブユニットの各制御バルブのスプールを切り換えるためのパイロット油圧を生成するパイロットバルブユニットとを有して構成される。制御バルブユニットおよびパイロットバルブユニットは、油圧アクチュエータの各アクチュエータに対応した制御バルブおよびパイロットバルブ(リモコンバルブ
)を有して構成されている。
パワーショベル1では、オペレータがオペレータキャビン23内に搭乗し、エンジンキーを始動させると、このエンジンにより複数の油圧ポンプが駆動される。そして、オペレータキャビン23内の左右の走行操作レバーを前後に傾動操作することにより、その操作方向および操作量に応じて左右のクローラ機構15(走行モータ16)を駆動させてパワーショベル1を走行させることができる。また、左右の作業操作レバーを前後左右に傾動操作したり、左右の作業操作ペダルを踏込操作することにより、それらの操作方向および操作量に応じてショベル装置30等を駆動させて掘削等の作業を行うことができるように構成されている。
このように構成されるパワーショベル1のショベル装置30におけるブーム31について以下に説明する。ブーム31は、図2および図3に示すように、くの字の形に曲がって延びるブーム本体300と、ブーム本体300の基端部に設けられる基端ブロック350と、ブーム300の先端部に設けられる先端ブロック360とを有して構成される。
基端ブロック350は、左右方向に延びる筒状の第1ピン挿入孔351を基端部に有している。基端ブロック350は、この基端部をブームブラケット39の上方に延びる板状の左右一対のブーム取付部の間に挿入させ、左右のブーム取付部および第1ピン挿入孔351に第1揺動ピン35aが挿入されることにより、ブームブラケット39に枢結されるようになっている(図1を参照)。先端ブロック360は、前方に延びる板状の左右一対のアーム取付部361を有している。左右のアーム取付部361の先端部にはそれぞれ、左右方向に貫通した第2ピン挿入孔362が形成されている。左右のアーム取付部361の間にアーム32の基端部を挿入させ、第2ピン挿入孔362およびアーム32に第2揺動ピン35bが挿入されることにより、アーム32がブーム31に枢結されるようになっている(図1を参照)。
ブーム本体300は、上板310、下板320、左側板330および右側板340をそれぞれ溶接して矩形筒状(中空状)に構成されている。上板310は、図4に示すように、前後方向に延びる金属板(例えば、板厚4mm、6mmもしくは9mmの金属板)をくの字状に曲げ加工して構成され、この曲げ部の近傍位置に、上下に貫通した左右一対の上側凹部311が形成されている。左右の上側凹部311はそれぞれ、図5に示すように、前後方向(上板310の長手方向)に延びる矩形状の貫通孔になっている。図2に示すように、上板310の上面には、上記曲げ部から少し先端側(前端側)の位置に、上方に延びる板状の左右一対の上側シリンダブラケット312が溶接されて設けられている。左右の上側凹部311はそれぞれ、左右の上側シリンダブラケット312の基端部の近傍位置に形成されており、左右の上側シリンダブラケット312を上板310に本溶接したときにその溶接ビードによって左右の上側凹部311が覆い隠されるようになっている。なお、図2は、左右の上側シリンダブラケット312を上板310に仮溶接した状態であり、本溶接する前の状態の図であるため、左右の上側凹部311が見えている。また、左右の上側凹部311は、ショベル装置30を用いた作用時にブーム31にかかる応力分布を実験により求め、上板310全体において当該応力の値を比較し、その応力値が他の部分よりも小さい位置に形成されている。
左右の上側シリンダブラケット312の先端部にはそれぞれ、左右方向に貫通した第3ピン挿入孔313が形成され、これらの第3ピン挿入孔313に挿入される枢結ピンによりアームシリンダ37のボトム側が左右の上側シリンダブラケット312に枢結されるようになっている(図1を参照)。上板310の先端部(前端部)には、先端ブロック360を取り付けるための左右一対の取付溝部314が形成されている(図4を参照)。
下板320は、図6に示すように、前後方向に延びる金属板(例えば、板厚4mm、6mmもしくは9mmの金属板)をくの字状に曲げ加工して構成され、この曲げ部から少し基端側(後端側)の位置に、上下に貫通した左右一対の下側凹部321が形成されている。左右の下側凹部321はそれぞれ、図7に示すように、前後方向(下板320の長手方向)に延びる矩形状の貫通孔になっている。図3に示すように、下板320の下面には、上記曲げ部の位置に、下方に延びる板状の左右一対の下側シリンダブラケット322が溶接されて設けられている。左右の下側凹部321はそれぞれ、左右の下側シリンダブラケット322の基端部の近傍位置に形成されており、左右の下側シリンダブラケット322を下板320に本溶接したときにその溶接ビードによって左右の下側凹部321が覆い隠されるようになっている。なお、図3は、左右の下側シリンダブラケット322を下板320に仮溶接した状態であり、本溶接する前の状態の図であるため、左右の下側凹部321が見えている。また、左右の下側凹部321は、ショベル装置30を用いた作用時にブーム31にかかる応力分布を実験により求め、下板320全体において当該応力の値を比較し、その応力値が他の部分よりも小さい位置に形成されている。
左右の下側シリンダブラケット322の中間部にはそれぞれ、左右方向に貫通した第4ピン挿入孔323が形成され、これらの第4ピン挿入孔323に挿入される枢結ピンによりブームシリンダ36のロッド先端部が左右の下側シリンダブラケット322に枢結されるようになっている(図1を参照)。下板320の先端部(前端部)には、先端ブロック360を取り付けるための左右一対の取付溝部324が形成されている(図6を参照)。
左側板330および右側板340はそれぞれ、図8に示すように、金属板をくの字状に切断して構成されている。左右の側板330,340の上端部にはそれぞれ、くの字状の曲がり部の近傍位置に、上方に突出する上側凸部331,341が形成されている。上側凸部331,341は、図9(A)に示すように、前後方向(側板330,340の長手方向)に延びる略矩形状の突起になっている。上側凸部331,341は、上板310の上側凹部311に挿入可能な寸法になっている。より具体的には、上側凸部331,341の左右寸法は、上側凹部311の左右寸法と略同じ寸法になっており、左右方向には略隙間なく嵌合するようになっている。一方、上側凸部331,341の前後寸法(長手方向の寸法)は、上側凹部311の前後寸法よりも小さくなっており、上側凹部311に挿入されたときに、上側凹部311の内部において前後方向に所定の隙間が形成されるようになっている。上側凸部331,341の高さ寸法は、上側凹部311に挿入されたときに、上側凹部311に納まって上側凹部311から突出しない高さ寸法になっている。上側凸部331,341の上面は、上板310の曲げ部に合わせた曲面状に形成されている。
図8に示すように、左右の側板330,340の下端部にはそれぞれ、くの字状の曲がり部から少し基端側の位置に、下方に突出する下側凸部332,342が形成されている。下側凸部332,342は、図9(B)に示すように、前後方向(側板330,340の長手方向)に延びる略矩形状の突起になっている。下側凸部332,342は、下板320の下側凹部321に挿入可能な寸法になっている。より具体的には、下側凸部332,342の左右寸法は、下側凹部321の左右寸法と略同じ寸法になっており、左右方向には略隙間なく嵌合するようになっている。一方、下側凸部332,342の前後寸法(長手方向の寸法)は、下側凹部321の前後寸法よりも小さくなっており、下側凹部321に挿入されたときに、下側凹部321の内部において前後方向に所定の隙間が形成されるようになっている。下側凸部332,342の高さ寸法は、下側凹部321に挿入されたときに、下側凹部321に納まって下側凹部321から下方に突出しない高さ寸法になっている。
左右の側板330,340の先端部にはそれぞれ、図8に示すように、先端ブロック3
60を取り付けるための上下一対の取付段差部333,343が形成されている。左右の側板330,340の基端部にはそれぞれ、基端ブロック350を取り付けるための円弧状の取付凹部334,344が形成されている。
このように構成されるブーム31を製造する際には、先ず、固定支持装置に下板320を固定し、その下板320の左右の下側凹部321にそれぞれ左右の側板330,340の下側凸部332,342を挿入して、下板320に対して左右の側板330,340の位置合わせを行う。このとき、凹部321および凸部332,342の嵌合だけではしっかりと固定されてないため、治具を用いて固定するが、上記嵌合によって位置合わせされているため、使用する治具の個数を従来よりも少なくすることができる。このように下板320および左右の側板330,340の位置合わせを行った状態で、下板320および左右の側板330,340を仮溶接する。また、下板320および左右の側板330,340の基端部および先端部にそれぞれ基端ブロック350および先端ブロック360を仮溶接する。なお、仮溶接とは所謂スポット溶接であり、後述する本溶接は、部材の全ての当接部分を溶接することである。
次に、左右の側板330,340の上側凸部331,341をそれぞれ上板310の左右の上側凹部311に挿入して、左右の側板330,340に対して上板310の位置合わせを行う。このときも、凸部331,341および凹部311の嵌合だけではしっかりと固定されてないため、治具を用いて固定するが、上記嵌合によって位置合わせされているため、使用する治具の個数は従来よりも少なくすることができる。このように左右の側板330,340および上板310が位置合わせされた状態で、左右の側板330,340および上板310を仮溶接する。また、上板310の上面に左右の上側シリンダブラケット313をそれぞれ仮溶接するとともに、下板320の下面に左右の下側シリンダブラケット322をそれぞれ仮溶接する。
このように仮溶接を行った後に、上板310、下板320、左右の側板330,340、基端ブロック350、先端ブロック360、左右の上側シリンダブラケット312および左右の下側シリンダブラケット322の全ての当接部分をロボットを用いて本溶接する。このとき、左右の上側シリンダブラケット312を上板310に本溶接したときの溶接ビードが左右の上側凹部311内に入り込み、左右の上側凹部311および上側凸部331,341が当該溶接ビードによって覆い隠されるようになっている。また、左右の下側シリンダブラケット322を下板320に本溶接したときの溶接ビードが左右の下側凹部321内に入り込み、左右の下側凹部321および下側凸部332,342が当該溶接ビードによって覆い隠されるようになっている。
このようにして製造されるブーム31によれば、左右の側板330,340の上側凸部331,341および下側凸部332,342をそれぞれ、上板310の上側凹部311および下板320の下側凹部321に挿入して、上板310、下板320および左右の側板330,340の位置合わせを行うことができる。そのため、位置合わせに用いる治具の個数を従来よりも少なくすることができる。従って、治具の調整や板の位置合わせにかかる作業時間を従来よりも大幅に短縮することができる。また、凸部および凹部の嵌合により上下左右の板を正確に位置合わせできるため、きれいに(均一に)溶接することができ、溶接部の強度を向上させることができる。さらに、ロボットを用いた本溶接時に、仮溶接した部分が外れても、凸部および凹部の嵌合により上下左右の板が大きくずれることを防止することができる。
また、ブーム31によれば、上側凸部331,341が挿入された上側凹部311の内部、および下側凸部332,342が挿入された下側凹部321の内部において、前後方向に所定の隙間が形成されるように前後方向の寸法が設定されている。そのため、上板3
10および下板320が曲げ変形しても、その変形分を当該隙間によって吸収することができる。また、上側凹部311および下側凹部321がそれぞれ、上側シリンダブラケット312および下側シリンダブラケット322を溶接したときの溶接ビードによって覆い隠される位置に形成されている。そのため、当該溶接ビードが凹部311,321内に入り込んで凹部311,321と凸部331,341,332,342が固着されるため、これらの凹部および凸部を後から溶接する作業を行う必要がなく、作業効率を向上させることができる。また、上側凹部311および下側凹部321は、ショベル装置30を用いた作業時にブーム31にかかる応力が小さい位置に形成されている。そのため、ブーム31の強度を低下させることなく、位置合わせを行うための上側凹部311および下側凹部321を設けることができる。
これまで本発明の実施形態について説明したが、本発明の範囲は上述の実施形態に限定されるものではない。例えば、上述の実施形態では、左右一対の上側凹部311および下側凹部321を、ブーム31の長手方向の一箇所だけに形成しているが、ブーム31の長手方向の複数箇所に形成してもよい。なおそのとき、ブーム31にかかる応力が小さい位置に形成し、応力集中が生じてブーム31の強度が低下しないようにすることが好ましい。また、上述の実施形態では、左右の側板330,340の上端部および下端部にそれぞれ上側凸部331,341および下側凸部332,342が形成されているが、左右の側板330,340の上端部および下端部の少なくとも一方に凸部を形成した構成としてもよい。さらに、上述の実施形態では、上側凹部311および下側凹部321はそれぞれ上下方向に貫通して形成されているが、上側凹部311は下方に開口し、下側凹部321は上方に開口していれば、上下方向に貫通していなくてもよい。
また、上述の実施形態では、左右の側板330,340の上下端部に上板310および下板320を溶接した構成のブーム31について説明したが、左右の側板の内側に上板および下板を溶接する構成に変更してもよい。その場合には、左右の側板に凹部を形成し、上板および下板に凸部を形成すればよい。また、上述の実施形態では、本発明をブーム31に適用した例について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、本実施形態のアーム32、スキッドステアローダのアーム、クレーン車のブーム等、パワーショベル以外の作業用車両の作業装置においても適用することが可能である。
1 パワーショベル
30 ショベル装置(作業装置)
31 ブーム(筒状構造体、作業腕部材)
300 ブーム本体
310 上板
311 上側凹部
312 上側シリンダブラケット
320 下板
321 下側凹部
322 下側シリンダブラケット
330 左側板
331 上側凸部
332 下側凸部
340 右側板
341 上側凸部
342 下側凸部

Claims (7)

  1. 上板、下板および左右の側板をそれぞれ溶接して矩形筒状に構成される筒状構造体であって、
    前記左右の側板の上端部および下端部の少なくとも一方に形成された凸部と、前記上板および前記下板の少なくとも一方に形成された凹部とを有し、
    前記凸部を前記凹部に挿入して前記左右の側板の上端部および下端部にそれぞれ前記上板および前記下板を当接させた状態で溶接接合されて形成されたことを特徴とする筒状構造体。
  2. 前記凸部は、前記左右の側板の上端部および下端部にそれぞれ形成され、
    前記凹部は、前記上板の下面左右および前記下板の上面左右にそれぞれ形成されたことを特徴とする請求項1に記載の筒状構造体。
  3. 前記凹部は、前記上板および前記下板の少なくとも一方を上下方向に貫通して形成されたことを特徴とする請求項1もしくは2に記載の筒状構造体。
  4. 前記凹部は、筒状構造体の長手方向に延びる矩形状に形成され、
    前記凹部の長手方向の寸法が、前記凸部の長手方向の寸法よりも大きく形成され、前記凸部を前記凹部に挿入した状態において、前記凹部内に長手方向に所定の隙間が形成されることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の筒状構造体。
  5. 前記上板の上面および前記下板の下面の少なくとも一方に溶接されるブラケットを有し、
    前記凹部は、前記ブラケットを溶接したときの溶接ビードによって覆い隠される位置に形成されたことを特徴とする請求項3もしくは4に記載の筒状構造体。
  6. 前記凹部は、筒状構造体にかかる応力が筒状構造体の他の部分よりも小さい位置に形成されたことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の筒状構造体。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載の筒状構造体により、車両に対して上下揺動自在に設けられる作業腕部材が構成され、前記作業腕部材の先端部に作業具が設けられて構成される作業装置。
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