JP2004121154A - ナノ黒鉛構造体に結合能を有するペプチド - Google Patents
ナノ黒鉛構造体に結合能を有するペプチド Download PDFInfo
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Abstract
【解決手段】ナノ黒鉛構造体に結合するペプチド提示ファージ集団をパニングすることにより、カーボンナノホーンやカーボンナノチューブ等のナノ黒鉛構造体を特異的に認識する、ナノ黒鉛構造体に結合能を有するペプチドを得る。
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、炭素材料物質であるカーボンナノホーンやカーボンナノチューブなどのナノ黒鉛構造体を認識するペプチド分子やファージ、前記ペプチド分子と機能性ペプチド若しくはタンパク質、又は標識化物質等との結合体からなる人工タンパク質又はキメラ分子、前記ペプチド分子、人工タンパク質又はキメラ分子とナノ黒鉛構造体との複合体等に関する。例えば、ナノメートルスケールの微細構造を有する黒鉛構造化合物とこれを特異的に認識するペプチド、人工タンパク質又はキメラ分子との複合体はナノバイオテクノロジー、材料工学、半導体、医薬品、化粧品などに有利に用いることができる。
【0002】
【従来の技術】
炭素の結晶構造としてはダイヤモンドとグラファイトが古くから知られているが、1985年にはスモーリー(R.E.Smalley)、カール(R.F.Curl)、クロトー(H.W.Kroto)らにより(C60)が発見された(例えば、非特許文献1参照。)。C60は12個の5角形と20個の6角形からなるサッカーボール状の構造をしており、C60のほかにもC70、C76などの大きな籠状分子が存在し、これら一連の分子は「フラーレン」と呼ばれている。また、1991年には本発明者の一人飯島澄男により「カーボンナノチューブ」(例えば、非特許文献2、及び特許文献1参照。)、1999年には同じく飯島澄男により「カーボンナノホーン」(例えば、非特許文献3、及び特許文献1参照。)といった、それまで存在が知られていなかった新しい構造を持った炭素系化合物が相次いで発見された。これら、フラーレン、カーボンナノチューブ、カーボンナノホーンはいずれも炭素原子の6員環と5員環から構成されており、ナノメートルスケールの微細構造体を形成することから、「ナノ黒鉛構造体」として近年大きな注目を集めている。
【0003】
ナノ黒鉛構造体が注目を集める理由をいくつか上げてみると、「カーボンナノチューブが、そのカイラリティーの違いにより金属と半導体の両方の性質をもつことができる(例えば、非特許文献4参照。)。」、「金属導入フラーレンが超電導を示す(例えば、非特許文献5参照。)」、「カーボンナノホーンの示す選択的な気体貯蔵能力(例えば、非特許文献6参照。)」などがある。これらの特徴的な性質を利用して、新しい電子材料や触媒、光材料、その他の分野で、より具体的には、半導体配線、蛍光表示管、燃料電池、ガス貯蔵、遺伝子治療ベクター、化粧品、薬品送達システム、バイオセンサーなどへのナノ黒鉛構造体の応用利用が期待されている。
【0004】
【特許文献1】
特開2001−64004号公報
【非特許文献1】
Nature,318:162−163, 1985
【非特許文献2】
Nature,354:56−58, 1991
【非特許文献3】
Chem.Phys.Lett.,309,165−170, 1999
【非特許文献4】
Nature,391:59−62, 1998
【非特許文献5】
Nature,350:600−601, 1991
【非特許文献6】
日経サイエンス8月号,42,2002
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記のように、ナノ黒鉛構造体の様々な分野での応用利用を考える場合、カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン、あるいはその修飾体を効率良く、認識、結合、分離、整列させる技術が必要となる。しかしながら、カーボンナノホーンやカーボンナノチューブといったナノ黒鉛構造体は、これを特異的に認識、結合する手法が一般的には存在しないため、利用しにくいといった問題点がある。本発明の課題は、カーボンナノホーンやカーボンナノチューブなどのナノ黒鉛構造体を効率良く、認識、結合、分離、整列させることを可能とする、ナノ黒鉛構造体を認識するペプチドやファージ、前記ペプチドと機能性ペプチド若しくはタンパク質又は標識化物質等との結合体からなる人工タンパク質やキメラ分子、前記ペプチド分子、人工タンパク質又はキメラ分子とナノ黒鉛構造体との複合体を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意研究し、ナノ黒鉛構造体を硝酸で処理し、ナノ黒鉛構造体上にまずカルボキシル基を生成させた後、このカルボキシル基をビオチン化し、さらにこのビオチン化されたナノ黒鉛構造体をストレプトアビジンでコートされた磁気ビーズに固相化し、この固相化ナノ黒鉛構造体に、多様なペプチド配列をファージ粒子上に提示したファージ集団を接触させ、ファージ粒子がペプチド配列を介して結合した固相化ナノ黒鉛構造体を永久磁石により回収し、得られたナノ黒鉛構造体に結合したファージ粒子を大腸菌中で増殖させ、次いで、増殖させたペプチド配列をファージ粒子上に提示したファージ集団を固相化ナノ黒鉛構造体に再度接触させるパニング操作を繰り返すことによりナノ黒鉛構造体に結合するファージクローンを濃縮し、カーボンナノホーンやカーボンナノチューブ等のナノ黒鉛構造体を特異的に認識する、ナノ黒鉛構造体に結合能を有するペプチドが得られることを見い出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち本発明は、ナノ黒鉛構造体を硝酸で処理し、ナノ黒鉛構造体上にまずカルボキシル基を生成させた後、このカルボキシル基をビオチン化し、さらにこのビオチン化されたナノ黒鉛構造体をストレプトアビジンでコートされた磁気ビーズに固相化し、この固相化ナノ黒鉛構造体に、異なったペプチド配列をファージ粒子上に提示したファージ集団を接触させ、ファージ粒子がペプチド配列を介して結合した固相化ナノ黒鉛構造体を永久磁石により回収し、得られたナノ黒鉛構造体に結合したファージ粒子を菌体中で増殖させ、次いで、増殖させたペプチド配列をファージ粒子上に提示したファージ集団を固相化ナノ黒鉛構造体に接触させるパニング操作を繰り返すことにより、ナノ黒鉛構造体に結合するファージクローンを濃縮することを特徴とするナノ黒鉛構造体に結合能を有するペプチドのスクリーニング方法(請求項1)や、請求項1記載のスクリーニング方法により得られることを特徴とするナノ黒鉛構造体に結合能を有するペプチド(請求項2)に関する。
【0008】
また本発明は、配列番号1〜20のいずれかに示されるアミノ酸配列からなることを特徴とするナノ黒鉛構造体に結合能を有するペプチド(請求項3)や、配列番号1〜20のいずれかに示されるアミノ酸配列の全部又はその一部を含むナノ黒鉛構造体に結合しうることを特徴とするナノ黒鉛構造体に結合能を有するペプチド(請求項4)や、アミノ酸配列が、DYFSSPYYEQLF(配列番号1)であることを特徴とする請求項2〜4のいずれか記載のナノ黒鉛構造体に結合能を有するペプチド(請求項5)や、アミノ酸配列が、YDPFHII(配列番号2)であることを特徴とする請求項2〜4のいずれか記載のナノ黒鉛構造体に結合能を有するペプチド(請求項6)や、化学修飾されていることを特徴とする請求項2〜6のいずれか記載のナノ黒鉛構造体に結合能を有するペプチド(請求項7)や、ナノ黒鉛構造体が、カーボンナノホーン又はカーボンナノチューブであることを特徴とする請求項2〜7のいずれか記載のナノ黒鉛構造体に結合能を有するペプチド(請求項8)や、カーボンナノホーン又はカーボンナノチューブが、炭素原子の大きさに相当する厚みの単層構造を有してなることを特徴とする請求項8記載のナノ黒鉛構造体に結合能を有するペプチド(請求項9)や、カーボンナノホーン又はカーボンナノチューブが、構成する炭素構造に官能基が付加されていることを特徴とする請求項8又は9記載のナノ黒鉛構造体に結合能を有するペプチド(請求項10)に関する。
【0009】
また本発明は、配列番号1〜20のいずれかに示されるアミノ酸配列からなるペプチドをその粒子表面上に提示することを特徴とするナノ黒鉛構造体に結合能を有するファージ(請求項11)や、配列番号1〜20のいずれかに示されるアミノ酸配列の全部又はその一部を含むナノ黒鉛構造体に結合能を有するペプチドをその粒子表面上に提示することを特徴とするナノ黒鉛構造体に結合能を有するファージ(請求項12)や、配列番号1〜20のいずれかに示されるアミノ酸配列が、DYFSSPYYEQLF(配列番号1)であることを特徴とする請求項11又は12記載のナノ黒鉛構造体に結合能を有するファージ(請求項13)や、配列番号1〜20のいずれかに示されるアミノ酸配列が、YDPFHII(配列番号2)であることを特徴とする請求項11又は12記載のナノ黒鉛構造体に結合能を有するファージ(請求項14)や、ナノ黒鉛構造体が、カーボンナノホーン又はカーボンナノチューブであることを特徴とする請求項11〜14のいずれか記載のナノ黒鉛構造体に結合能を有するファージ(請求項15)や、カーボンナノホーン又はカーボンナノチューブが、炭素原子の大きさに相当する厚みの単層構造を有してなることを特徴とする請求項15記載のナノ黒鉛構造体に結合能を有するファージ(請求項16)や、カーボンナノホーン又はカーボンナノチューブが、構成する炭素構造に官能基が付加されていることを特徴とする請求項15又は16記載のナノ黒鉛構造体に結合能を有するファージ(請求項17)に関する。
【0010】
また本発明は、配列番号1〜20のいずれかに示されるアミノ酸配列からなるペプチド、又は前記アミノ酸配列の全部若しくはその一部を含むナノ黒鉛構造体に結合能を有するペプチドと、機能性ペプチド又はタンパク質との結合体からなることを特徴とするナノ黒鉛構造体に結合能を有する人工タンパク質(請求項18)や、機能性ペプチド又はタンパク質が、ナノ黒鉛構造体に結合能を有するペプチドと協働して、二次元結晶を自己集合で形成しうるペプチド又はタンパク質であることを特徴とする請求項18記載のナノ黒鉛構造体に結合能を有する人工タンパク質(請求項19)や、機能性ペプチド又はタンパク質が、細胞認識活性をもつペプチド配列を有するペプチド又はタンパク質であることを特徴とする請求項18記載のナノ黒鉛構造体に結合能を有する人工タンパク質(請求項20)や、アミノ酸配列が、DYFSSPYYEQLF(配列番号1)であることを特徴とする請求項18〜20のいずれか記載のナノ黒鉛構造体に結合能を有する人工タンパク質(請求項21)や、アミノ酸配列が、YDPFHII(配列番号2)であることを特徴とする請求項18〜20のいずれか記載のナノ黒鉛構造体に結合能を有する人工タンパク質(請求項22)や、ナノ黒鉛構造体に結合能を有するペプチドが、化学修飾されていることを特徴とする請求項18〜22のいずれか記載のナノ黒鉛構造体に結合能を有する人工タンパク質(請求項23)や、ナノ黒鉛構造体が、カーボンナノホーン又はカーボンナノチューブであることを特徴とする請求項18〜23のいずれか記載のナノ黒鉛構造体に結合能を有する人工タンパク質(請求項24)や、カーボンナノホーン又はカーボンナノチューブが、炭素原子の大きさに相当する厚みの単層構造を有してなることを特徴とする請求項24記載のナノ黒鉛構造体に結合能を有する人工タンパク質(請求項25)や、カーボンナノホーン又はカーボンナノチューブが、構成する炭素構造に官能基が付加されていることを特徴とする請求項24又は25記載のナノ黒鉛構造体に結合能を有する人工タンパク質(請求項26)に関する。
【0011】
また本発明は、配列番号1〜20のいずれかに示されるアミノ酸配列からなるペプチド、又は前記アミノ酸配列の全部若しくはその一部を含むナノ黒鉛構造体に結合能を有するペプチドと、単独又は他の物質と反応することにより検出可能なシグナルをもたらすことができる標識化物質又はペプチドタグとの結合体からなることを特徴とするナノ黒鉛構造体に結合能を有するキメラ分子(請求項27)や、配列番号1〜20のいずれかに示されるアミノ酸配列からなるペプチド、又は前記アミノ酸配列の全部若しくはその一部を含むナノ黒鉛構造体に結合能を有するペプチドと、非ペプチド系化合物との結合体からなることを特徴とするナノ黒鉛構造体に結合能を有するキメラ分子(請求項28)や、アミノ酸配列が、DYFSSPYYEQLF(配列番号1)であることを特徴とする請求項27又は28記載のナノ黒鉛構造体に結合能を有するキメラ分子(請求項29)や、アミノ酸配列が、YDPFHII(配列番号2)であることを特徴とする請求項27又は28記載のナノ黒鉛構造体に結合能を有するキメラ分子(請求項30)や、ナノ黒鉛構造体に結合能を有するペプチドが、化学修飾されていることを特徴とする請求項27〜30のいずれか記載のナノ黒鉛構造体に結合能を有するキメラ分子(請求項31)や、ナノ黒鉛構造体が、カーボンナノホーン又はカーボンナノチューブであることを特徴とする請求項27〜31のいずれか記載のナノ黒鉛構造体に結合能を有するキメラ分子(請求項32)や、カーボンナノホーン又はカーボンナノチューブが、炭素原子の大きさに相当する厚みの単層構造を有してなることを特徴とする請求項32記載のナノ黒鉛構造体に結合能を有するキメラ分子(請求項33)や、カーボンナノホーン又はカーボンナノチューブが、構成する炭素構造に官能基が付加されていることを特徴とする請求項32又は33記載のナノ黒鉛構造体に結合能を有するキメラ分子(請求項34)に関する。
【0012】
また本発明は、配列番号1〜20のいずれかに示されるアミノ酸配列からなるペプチド又は前記アミノ酸配列の全部若しくはその一部を含むナノ黒鉛構造体に結合能を有するペプチド、請求項18〜26いずれか記載のナノ黒鉛構造体に結合能を有する人工タンパク質、又は、請求項27〜34いずれか記載のナノ黒鉛構造体に結合能を有するキメラ分子が、ナノ黒鉛構造体に結合したことを特徴とするナノ黒鉛構造体複合体(請求項35)や、アミノ酸配列が、DYFSSPYYEQLF(配列番号1)であることを特徴とする請求項35記載のナノ黒鉛構造体複合体(請求項36)や、アミノ酸配列が、YDPFHII(配列番号2)であることを特徴とする請求項35記載のナノ黒鉛構造体複合体(請求項37)や、ナノ黒鉛構造体に結合能を有するペプチドが、化学修飾されていることを特徴とする請求項35〜37のいずれか記載のナノ黒鉛構造体複合体(請求項38)や、ナノ黒鉛構造体が、カーボンナノホーン又はカーボンナノチューブであることを特徴とする請求項35〜38のいずれか記載のナノ黒鉛構造体複合体(請求項39)や、カーボンナノホーン又はカーボンナノチューブが、炭素原子の大きさに相当する厚みの単層構造を有してなることを特徴とする請求項39記載のナノ黒鉛構造体複合体(請求項40)や、カーボンナノホーン又はカーボンナノチューブが、構成する炭素構造に官能基が付加されていることを特徴とする請求項39又は40記載のナノ黒鉛構造体複合体(請求項41)に関する。
【0013】
さらに本発明は、配列番号1〜20に示されるアミノ酸配列の配列特性を抽出して導き出した、トリプトファン(W)、フェニルアラニン(F)、チロシン(Y)、ヒスチジン(H)に富んだアミノ酸配列からなることを特徴とするナノ黒鉛構造体に結合能を有する合成ペプチド(請求項42)や、ナノ黒鉛構造体が、カーボンナノホーン又はカーボンナノチューブであることを特徴とする請求項42記載のナノ黒鉛構造体に結合能を有する合成ペプチド(請求項43)や、カーボンナノホーン又はカーボンナノチューブが、炭素原子の大きさに相当する厚みの単層構造を有してなることを特徴とする請求項43記載のナノ黒鉛構造体に結合能を有する合成ペプチド(請求項44)や、カーボンナノホーン又はカーボンナノチューブが、構成する炭素構造に官能基が付加されていることを特徴とする請求項43又は44記載のナノ黒鉛構造体に結合能を有する合成ペプチド(請求項45)や、配列番号1〜20に示されるアミノ酸配列からなるペプチド、又は前記アミノ酸配列の全部若しくはその一部を含むナノ黒鉛構造体に結合能を有するペプチドをコードするDNA(請求項46)に関する。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明のナノ黒鉛構造体に結合能を有するペプチドとしては、配列番号1〜20のいずれかに示されるアミノ酸配列からなるペプチドや、配列番号1〜20のいずれかに示されるアミノ酸配列の全部又はその一部を含むナノ黒鉛構造体に結合しうるペプチド(以下、これらペプチドを「本件ペプチド」という)を挙げることができ、かかる本発明のナノ黒鉛構造体に結合能を有するペプチドは、ナノ黒鉛構造体を硝酸で処理し、ナノ黒鉛構造体上にまずカルボキシル基を生成させた後、このカルボキシル基をビオチン化し、さらにこのビオチン化されたナノ黒鉛構造体をストレプトアビジンでコートされた磁気ビーズに固相化し、この固相化ナノ黒鉛構造体に、異なったペプチド配列をファージ粒子上に提示したファージ集団を接触させ、ファージ粒子がペプチド配列を介して結合した固相化ナノ黒鉛構造体を永久磁石により回収し、得られたナノ黒鉛構造体に結合したファージ粒子を菌体中で増殖させ、次いで、増殖させたペプチド配列をファージ粒子上に提示したファージ集団を固相化ナノ黒鉛構造体に接触させるパニング操作を繰り返すことにより、ナノ黒鉛構造体に結合するファージクローンを濃縮する、ナノ黒鉛構造体に結合能を有するペプチドのスクリーニング方法により得ることができる。また、このスクリーニング方法により得ることができる、配列番号1〜20のいずれかに示される以外のアミノ酸配列からなるナノ黒鉛構造体に結合能を有するペプチドも本発明に含まれる。上記本発明のナノ黒鉛構造体に結合能を有するペプチドは、そのアミノ酸配列情報から合成により作製することもでき、精製されたものが好ましい。なお、ファージ粒子上に提示されているものは本発明の上記ペプチドからは除かれる。さらに、本発明のナノ黒鉛構造体に結合能を有するペプチドをコードするDNAとしては、本件ペプチドをコードするものであれば特に制限されるものではない。
【0015】
本発明のナノ黒鉛構造体に結合能を有するファージとしては、本件ペプチドをその粒子表面上に提示するファージであればどのようなものでもよく、かかるナノ黒鉛構造体に結合能を有するファージは、前記のスクリーニングの過程で、黒鉛構造体分子に強く結合したペプチド提示ファージを、その他のファージ集団から分離することにより、ナノ黒鉛構造体に結合するファージクローンとして得られる他、本件ペプチドをコードするDNAを常法によりファージミドベクターに組み込んで大腸菌等の宿主細胞を形質転換し、ヘルパーファージを感染させることで得ることもできる。一般的にM13やfdなどの繊維状ファージは、高濃度の状態では液晶状態となり、規則的な整列構造をとることから、ナノ黒鉛構造体を認識するペプチドファージを液晶状態にすることにより、ナノ黒鉛構造体を認識するペプチドが規則的にナノスケールで配列した状態をつくることができる。ここにナノ黒鉛構造体を接触させると、ペプチドのナノ黒鉛構造体認識能力により、ナノ黒鉛体を整列させることができる。
【0016】
本発明のナノ黒鉛構造体に結合能を有する人工タンパク質としては、本件ペプチドと、機能性ペプチド又はタンパク質との結合体からなるものであれば特に制限されるものではなく、上記機能性ペプチド又はタンパク質の機能としては、αヘリックス形成等の二次構造を形成しやすい機能、ウイルス等の中和抗体を誘導する抗原機能、免疫賦活化する機能(Nature Medicine,3:1266−1270,1997)、細胞増殖を促進又は抑制する機能、癌細胞を特異的に認識する機能、プロテイン・トランスダクション機能、細胞死誘導機能、抗原決定残基呈示機能、金属結合機能、補酵素結合機能、触媒活性機能、蛍光発色活性機能、特定の受容体に結合してその受容体を活性化する機能、信号伝達に関わる特定の因子に結合してその働きをモジュレートする機能、タンパク質、DNA、RNA、糖などの生体高分子を特異的に認識する機能、細胞接着機能、細胞外へタンパク質を局在化させる機能、特定の細胞内小器官(ミトコンドリア、葉緑体、ERなど)にターゲットする機能、細胞膜に埋め込まれる機能、アミロイド繊維形成機能、繊維性タンパク質の形成機能、タンパク質性ゲル形成機能、タンパク質性フィルム形成機能、単分子膜形成機能、二次元結晶を自己集合で形成しうる等の自己集合機能、粒子形成機能、他のタンパク質の高次構造形成を補助する機能などを挙げることができる。これらの人工タンパク質は、ナノ黒鉛構造体に結合能を有するペプチドに機能性ペプチド又はタンパク質を、アミノ酸レベルで、あるいはDNAレベルで直接的又は間接的に連結することにより、作製することができる。
【0017】
上記機能性ペプチド又はタンパク質の中でも、例えば、ナノ黒鉛構造体に結合能を有するペプチドと協働して、二次元結晶を自己集合で形成しうるペプチド又はタンパク質を用いると、その二次元結晶に沿ってナノ黒鉛化合物をナノスケールできれいに整列化することができる人工タンパク質を構築することができる。かかるナノ黒鉛構造体に結合能を有するペプチドと協働して、二次元結晶を自己集合で形成しうるペプチド又はタンパク質として、ウイルス(例えば、アデノウィルス、ロタウィルス、ポリオウィルス、HK97、CCMV等)、フェリチンやアポフェリチンのようなフェリチンファミリー、DpsAタンパク質やMrgAタンパク質を挙げることができる。その他の、二次元結晶を自己集合で形成しうるペプチド又はタンパク質としては、人工的に設計された繰り返し性に富む人工タンパク質などを挙げることができる。また、タンパク質の二次元結晶を作製する方法としては、タンパク質溶液を水面上に単分子膜で展開させた後、固体基板に吸着させる方法などを例示することができる。
【0018】
また、上記機能性ペプチド又はタンパク質の中でも、例えば、細胞接着活性等の細胞認識活性をもつペプチド配列を有するペプチド又はタンパク質を用いると、ナノ黒鉛化合と細胞を同時に認識する複合活性をもつ人工タンパク質を得ることができる。かかる細胞接着活性等の細胞認識活性をもつペプチド配列を有するペプチド又はタンパク質としては、各種リガンド、モノクローナル抗体やその可変領域、1本鎖抗体等を例示することができる他、上記のような天然タンパク質に限らず、細胞接着活性を有するペプチドを含む人工タンパク質を挙げることができる。
【0019】
本発明のナノ黒鉛構造体に結合能を有するキメラ分子としては、本件ペプチドと、単独又は他の物質と反応することにより検出可能なシグナルをもたらすことができる標識化物質又はペプチドタグとの結合体からなるキメラ分子を挙げることができる。上記標識化物質としては、酵素、蛍光物質、化学発光物質、放射性同位体、抗体のFc領域、等を挙げることができ、具体的には、ペルオキシダーゼ(例えば、horseradish peroxidase)、アルカリフォスファターゼ、β−D−ガラクトシダーゼ、グルコースオキシダーゼ、グルコ−ス−6−ホスフェートデヒドロゲナーゼ、アルコール脱水素酵素、リンゴ酸脱水素酵素、ペニシリナーゼ、カタラーゼ、アポグルコースオキシダーゼ、ウレアーゼ、ルシフェラーゼ若しくはアセチルコリンエステラーゼ等の酵素、フルオレスセインイソチオシアネート、フィコビリタンパク、希土類金属キレート、ダンシルクロライド若しくはテトラメチルローダミンイソチオシアネート等の蛍光物質、3H、14C、125I等の放射性同位体、化学発光物質を挙げることができる。また、ペプチドタグとしては、HA、FLAG、Myc等のエピトープタグや、GST、マルトース結合タンパク質、ビオチン化ペプチド、オリゴヒスチジン(His)等の親和性タグなどの従来知られているペプチドタグを具体的に例示することができる。例えば、HisタグとNi−NTAの親和性を利用すると、ナノ黒鉛構造体複合体を容易に精製することができる。
【0020】
また、本発明のナノ黒鉛構造体に結合能を有するキメラ分子としては、本件ペプチドと、非ペプチド系化合物との結合体からなるキメラ分子を挙げることができる。上記非ペプチド系化合物のうち、非ペプチド系低分子化合物としては、フルオレセイン、ローダミン等の蛍光色素、クロラムフェニコール、アンピシリン等の抗生物質を、非ペプチド系高分子化合物としては、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ガラスビーズ、シリカゲル、多糖類(誘導体を含む)、ポリエチレングリコール等のポリアルキレングリコールを具体的に例示することができる。
【0021】
本発明のナノ黒鉛構造体複合体としては、本件ペプチドや、上記本発明のナノ黒鉛構造体に結合能を有する人工タンパク質や、上記本発明のナノ黒鉛構造体に結合能を有するキメラ分子が、ナノ黒鉛構造体に疎水結合、パイ電子結合、ファンデルワールス結合、イオン結合などの弱い結合のいずれか、あるいは組み合わせにより結合した複合体を挙げることができる。
【0022】
また、本件ペプチドにおける、配列番号1〜20のいずれかに示されるアミノ酸配列の中でも、アミノ酸配列DYFSSPYYEQLF(配列番号1)やYDPFHII(配列番号2)からなるペプチドが、ナノ黒鉛構造体への優れた結合能を有する点で好ましい。そして、これら本件ペプチドやナノ黒鉛構造体に結合能を有するペプチドとして、化学修飾がなされたペプチドを有利に用いることができる。かかる化学修飾としては、官能基を有するアミノ酸への置換からなる化学修飾や、リンカーとの結合を容易に形成させるための化学修飾を挙げることができるが、化学修飾によりナノ黒鉛構造体への結合能が低下しない修飾が好ましい。上記リンカーとの結合を容易に形成させるための化学修飾としては、ビオチンのN−ハイドロキシサクシイミドエステル体を用いて、ペプチドのアミノ基へのビオチンの共有結合を具体的に例示することができる。かかるペプチドのビオチン化により、前記キメラ分子を容易に作製することができる。
【0023】
前記ナノ黒鉛構造体としては、カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン、カーボンナノカプセル、フラーレン等の炭素原子の6員環と5員環から構成されているナノメートルスケールの微細構造体を例示でき、上記カーボンナノホーン又はカーボンナノチューブとしては、炭素原子の大きさに相当する厚みの単層構造を有するものや、構成する炭素構造にカルボニル基、カルボキシル基、水酸基、エーテル基、イミノ基、ニトロ基、スルホン基等の官能基が付加されている親水性を呈するもの(特願2001−294499号)を好適に挙げることができる。例えば、炭素原子の大きさに相当する厚みの単層構造を有する親水性のカーボンナノホーンは、本来疎水性であるカーボンナノホーンを親水性にするために、酸化性のある硝酸、硫酸、過酸化水素酸等の酸を用いて酸化処理をすることによって製造することができる。
【0024】
【実施例】
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明の技術的範囲はこれらの例示に限定されるものではない。
(実施例1)
Arガスの6x104Pa雰囲気圧内の焼結丸棒状炭素表面に高出力のCO2ガスレーザ光(出力100W、パルス幅20ms、連続発振)を照射し、生じたすす状物質をエタノールに懸濁し、超音波撹拌(周波数40kHz、時間60分)とデカンテーションとを4回繰り返して単層カーボンナノホーンを得た。この単層カーボンナノホーン約200mgを、濃度約70%の硝酸40ml中に入れ、130℃で1時間還流をおこなった。終了後、イオン交換水でうすめて遠心分離を行い上澄みを捨てることを繰り返して中和洗浄し、官能基(カルボキシル基を含む)をもつ水溶性の単層カーボンナノホーンを調製した。
【0025】
1.2mgの硝酸処理済みカーボンナノホーンを2mlの0.1M 2−Morpholinoethanesulfonic acid.monohydrate(以下MES、同仁化学、熊本)(pH5.5)に懸濁した。これを、超音波装置用スピッツチューブ(AS−1000、東湘電気)に入れ、超音波細胞粉砕装置(Biorupter、コスモバイオ、東京)を用いて、出力200Wで1時間超音波撹拌して懸濁を完全なものとした。次にこの懸濁液を、500μlずつ1.8mlプラスチックチューブに分注し、それぞれに25μlの50mM 5−(Biotinamido)pentylamine(EZ−Link、ピアス社、Rockford)を加えて撹拌した。続いて直ちに0.1M MES(pH5.5)で調製した6.25μlの100mg/mlの1−Ethyl−3−[3−Dimethylaminopropyl]carbodiimide Hydrochloride(以下EDC、ピアス社)溶液をそれぞれに加えて、室温でマイクロインキュベーター(M−36、タイテック社、東京)を用いて良く撹拌しながら2時間インキュベートした。これにより硝酸処理カーボンナノホーンのカルボキシル基とビオチンのアミノ基の間でカルボジイミドの作用により、アミド結合が形成され、ビオチン化カーボンナノホーンが得られる。
【0026】
10mg/mlのストレプトアビジンコート磁気ビーズ懸濁液(ダイナビーズM−280、ダイナル社、Oslo)を0.1% Polyoxyethylenesorbitan monolaurate[以下Tween−20(シグマ社、St.Louis)]、50mM Tris−buffered Saline[以下TBS、(pH7.5)]で2回洗浄し、最後にビーズが0.1%Tween−20、50mM TBS中に5mg/mlとなるように調製した。ストレプトアビジンコート磁気ビーズの洗浄は、磁性体集積装置(MPC−E、ダイナル社、Oslo)を用いて磁気ビーズをチューブ外側から磁石で吸着させることによって進めた。
【0027】
120μlのビオチン化カーボンナノホーンの0.1M MES懸濁液(0.6mg/ml。カーボンナノホーン約70μg相当)と、5mg/ml前処理済みストレプトアビジンコート磁気ビーズ懸濁液(0.1%Tween−20、50mM TBS)100μlを混合し、30分おきに指で軽くチューブをたたくことで撹拌しながら、4時間、室温で吸着反応を進めた。次に、200μlの2%ウシ血清アルブミン(岩井化学薬品、東京)、50mM TBSで2回洗浄し、同バッファー200μlに再懸濁して室温で20分間インキュベートした。更に、10μlの1mM d−biotin(シグマ社)、2%ウシ血清アルブミン、50mM TBSを加え、室温で5分インキュベートした。この操作により、ストレプトアビジンのビオチン結合サイトをビオチンで飽和した。
【0028】
ペプチド提示ファージライブラリーは、12残基の直線状ランダムペプチドを提示するD12ライブラリー(NEB社、Beverly)と7残基の環状ランダムペプチドを提示するC7Cライブラリー(NEB社)を用いた。それぞれ、2.7x109、1.2x109種の異なるペプチド配列をもつライブラリーである。
【0029】
ビオチン化カーボンナノホーンが固相化された磁気ビーズ懸濁液(5mg/ml)100μlと、ビオチンが固相化されていない対照の磁気ビーズ懸濁液(5mg/ml)100μlをそれぞれ1.8mlプラスチックチューブに移し、200μlの2%ウシ血清アルブミン、50mM TBSで2回洗浄する。続いて、同バッファーに懸濁して室温で20分間インキュベートし、非特異的なファージの結合を抑えるための、ウシ血清アルブミンによるブロッキング操作を完了した。
【0030】
ファージライブラリー原液を希釈し、200μlの2%ウシ血清アルブミン、0.1%Tween−20、50mM TBS中に、ファージ力価がD12ライブラリーでは2.7x1011pfu/ml、C7Cライブラリーでは1.2x1011pfu/mlとなるようなファージ液を調製した。ファージ力価は常法(Phage Display−A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory Press,2001)に従いもとめた。
【0031】
ビーズ部分を認識してしまうような好ましくないペプチドファージのバックグラウンド結合をあらかじめ除外するために、以下のプレパニング操作をおこなった。すなわち、ウシ血清アルブミンによるブロッキングをおこなったカーボンナノホーンの固相化されていないビーズ0.5mgにファージ液200μl(ファージ力価がD12ライブラリーでは2.7x1011pfu/ml、C7Cライブラリーでは1.2x1011pfu/ml)を加え、室温で4時間インキュベートした。次に、ファージ液中の磁気ビーズを磁石に吸着させ、上清のファージ液を別のチューブに移した。さらに、ビーズ液を50μlの2%ウシ血清アルブミン、0.1%Tween20、50mM TBSで1回洗浄し、この洗浄液もあわせ、合計250μlのプレパニング済みのファージ液を得た。
【0032】
プレパニング処理をほどこした250μlファージライブラリー液をウシ血清アルブミンによるブロッキングを行ったビオチン化カーボンナノホーン固相化ビーズ(カーボンナノホーン約70μg相当)に加え、回転式撹拌器(RT−50、タイテック社、東京)により室温、18時間ゆっくりと撹拌しながらインキュベートした。磁気ビーズを1mlの0.1%Tween20、50mM TBSで10回洗浄した。最後の洗浄の後に、1mlの溶出バッファー[2M Glycine−HCl(pH2.2)、1mg/mlウシ血清アルブミン]をカーボンナノホーン固相化磁気ビーズに加え10分インキュベートし、カーボンナノホーンに結合したファージを溶出させた。磁石でビオチン化カーボンナノホーン固相化ビーズを吸着し、上清に回収される溶出したファージ液1mlを別のチューブに移した。回収したファージ液に150μlの1M Tris−HCl(pH9.1)を加えて、溶出液を中和し、溶出したファージの力価を測定した。
【0033】
上の操作で得られたファージ溶出液をLB20ml中で対数増殖中のER2738菌[F‘laclq△(lacZ)M15proA+B+zzf::Tn10(TetR)fhuA2supEthi△(lac−proAB)△(hsdMS−mcrB)5(rk−mk−McrBC−)]に感染させ、振とう培養機(BR−40LF、タイテック社)を用い37℃で激しく撹拌しながら4時間30分インキュベートした。ファージ感染菌培養液を遠心チューブ(50ml、ベックマン、カルフォルニア)に移して、ベックマン遠心機(ベックマン、JA−12ローター)を用い4℃、10分、10000rpmで遠心してER2738菌を取り除く操作を2度行い、上清のファージ液を別のチューブに移した。ファージ液に3.5ml(1/6量)の20%Polyethylene glycol 6000(以下PEG6000、Fluka社、Buchs)、2.5M NaCl溶液を加え、ミキサー(S−100、タイテック社)により良く撹拌して4℃、12時間インキュベートして、ファージを沈殿させた。
【0034】
沈殿したファージをベックマン遠心機で4℃、10分、10000rpmで遠心して回収した。ファージ沈殿を、更に4000rpm、1分で遠心し少量残っている上清を完全に取り除いた。得られたファージ沈殿に、1mlのTBSを加え、氷上で冷却した後に、穏やかにファージを懸濁した。このファージ懸濁液を、1.8mlプラスチックチューブに移し、微量高速遠心機(TMA−IIローター、トミー社、東京)を用い5分、15000rpmで遠心して上清を別のチューブに移し、懸濁されない残渣を取り除いた。ファージ液に再度、200μlの20%PEG6000、2.5M NaClを加えてミキサーで良く撹拌し、氷上で1時間インキュベートしてファージを沈殿させた。次に、微量高速遠心機により10分、15000rpmで遠心してファージ沈殿を回収した。得られたファージ沈殿に200μlの0.02%NaN3(和光純薬、大阪)、50mM TBSを加えて完全に懸濁させた。懸濁できない残渣を微量高速遠心機により5分、15000rpmで遠心し取り除いた。得られた濃縮ファージ液の力価を求めた。
【0035】
上に示すような標的分子(この場合カーボンナノホーン)へのファージの結合、洗浄、回収、大腸菌による増幅といった一連の作業はパニング操作と呼ばれている。パニング操作を繰り返すことにより、標的分子へ特異的に強く結合するファージクローンを濃縮していくことが可能である。この場合も、1回目のパニング操作後、一度大腸菌で増やしたファージを用いて、再度、ビオチン化カーボンナノホーン固相化ビーズに対する結合、洗浄、回収、増殖の2回目以降のパニング操作を繰り返していった。2回目以降のパニング操作実験条件で、1回目の操作と異なるのは以下の通りであった。すなわち、2回目以降のパニング操作で加えるファージの力価を、D−12ライブラリーでは2.7x1010、C7Cライブラリーでは1.2x1010となるように調製した。また、濃縮ファージを懸濁する溶液とビオチン化カーボンナノホーン固相化ビーズの反応バッファー及び、その洗浄バッファー中のTween−20濃度を2回目のパニング操作時で0.3%、3回目のパニング操作時とそれ以降で0.5%とした。
【0036】
D12ライブラリーを用いたパニング実験のインプット力価(標的分子に加えたファージ力価)とアウトプット力価(洗浄後の標的分子から溶出されたファージ力価)の比の値の変化を図1に、またC7Cライブラリーでのパニング実験のインプット力価とアウトプット力価の比の値の変化を図2に示す。
【0037】
D12ライブラリーでは5ラウンド、6ラウンドで得られたファージを、C7Cライブラリーでは6ラウンド、7ラウンドで得られたファージを、それぞれ常法(Phage Display A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory Press,2001)に従いクローン化し、その提示ペプチド部分の塩基配列を決定した。塩基配列の決定には提示ペプチド領域から96塩基下流に位置する塩基配列の相補鎖に相当するプライマー[−96gIII シーケンシングプライマー(5’−HOCCCTCATAGTTAGCGTAACG−3’)(配列番号32)、NEB社、Beverly]を用いて、ダイデオキシターミネイト法により決定した(CEQ DTCS Quick start kit、ベックマン社、カルフォルニア)。反応産物の泳動とデータ解析にはキャピラリーシーケンサー(CEQ2000、ベックマン)を用いた。
【0038】
決定した塩基配列から予想される提示ペプチド配列のいくつかを、D12ライブラリーについては図3(配列番号1、配列番号3〜7)に、C7Cライブラリーについては図4(配列番号2、配列番号8〜10、配列番号25)に示す。この中で、D12ライブラリーの5回目のパニング操作から得られたNHD12−5−2ファージの提示するペプチド配列、DYFSSPYYEQLF(配列番号1)は、5回目のパニングから調べた33個のクローンの中には同じ配列をもつものが15個(45%)あったのに対して、6回目のパニングから調べた15個のクローン中の13個(87%)までがこの配列をもつクローンであった。同様に、C7Cライブラリーの6回目のパニング操作から得られたNHC−6−2ファージの提示するペプチド配列、YDPFHII(配列番号2)は、6回目のパニングから調べた14個のクローン中には同じ配列をもつものが7個(50%)あったのに対して、7回目のパニングから調べた14個のクローンの中の10個(71%)までがこの配列をもつクローンであった。このようにパニングの回数が進むにつれて、特定のファージクローンが集団中の大多数を占めるようになることの理由の1つに、そのファージクローンが標的分子に対して強い結合能力をもつことがあげられる。
【0039】
図3(配列番号1、配列番号3〜7)、図4(配列番号2、配列番号8〜10、配列番号25)で示したペプチドを提示するファージをクローン化し、クローン化状態でのカーボンナノホーンとカーボンナノチューブに対する結合能力を実施例4に示すように評価した。
【0040】
(実施例2)
化学的気相成長法で合成された単層カーボンナノチューブであるHipco(カーボンナノテクノロジーズ社、テキサス)を1750℃、1x10−5Torrで5時間処理した後、濃度約70%の硝酸中、約130℃で30分還流をおこなった。終了後、水酸化ナトリウムで中和し、蒸留水で洗浄し、官能基(カルボキシル基を含む)をもつ単層カーボンナノチューブを調製した。
【0041】
得られた硝酸処理単層カーボンナノチューブを、実施例1で示すと同じ方法でビオチン化し、ストレプトアビジンコート磁気ビーズ上に固相化した。この固相化カーボンナノチューブを用い、実施例1で示すと同じ方法で、D12ライブラリー、C7Cライブラリーを用いたパニング実験をおこなった。ただし、C7Cライブラリーでは1ラウンド目のファージのインプット力価を2.4x1011とし、以降は実施例1と同様に1.2x1010とした。
【0042】
D12ライブラリーを用いたパニング実験のインプット力価とアウトプット力価の比の値の変化を図5に、またC7Cライブラリーでのパニング実験のインプット力価とアウトプット力価の比の値の変化を図6に示す。決定した塩基配列から予想される提示ペプチド配列のいくつかを、D12ライブラリーについては図7(配列番号11〜15、配列番号26〜28)に、C7Cライブラリーについては図8(配列番号29〜30)に示す。クローン化状態でのカーボンナノホーン、カーボンナノチューブに対する結合能力を実施例4に示すように評価した。
【0043】
(実施例3)
カーボンナノホーンの懸濁液と異なり、単層カーボンナノチューブの懸濁液は、遠心操作によりカーボンナノチューブだけを分離することが可能である。実施例1で示すと同じ方法で、D12ライブラリーを用いた未処理単層カーボンナノチューブに対するパニング操作を進めた。ただし、プレパニング操作を96穴ELISAプレート(イムロン4HBX、DYNEX、VA)で行い、ファージの結合反応を2時間とし、反応後の単層カーボンナノチューブの分離は、反応液を1.8mlプラスチックチューブに移し、微量高速遠心機(上記)を用い8分、15000rpmでの遠心操作により行った。また、1−2ラウンド目のファージのインプット力価を2.7x1011にし、以降のラウンドでは2.7x1010とした。インプット力価とアウトプット力価の比の値の変化を図9に示す。決定した塩基配列から予想される提示ペプチド配列のいくつかを図10(配列番号16〜20、配列番号31)に示す。配列を決定した19のファージクローンのうち、7個がファージクローンHiP2ファージが提示するペプチド配列(配列番号17)と同じ配列をもっていた。同様に、2個がファージクローンHiP1ファージが提示するペプチド配列(配列番号16)と同じ配列を、2個がファージクローンHiP6ファージが提示するペプチド配列(配列番号18)と同じ配列をもっていた。クローン化状態でのカーボンナノホーン、カーボンナノチューブに対する結合能力を実施例4に示すように評価した。
【0044】
(実施例4)
実施例1、2、3で得られたファージクローンを用い、固相化カーボンナノホーン、固相化単層カーボンナノチューブに対する結合能力を次のような実験から評価した。硝酸処理カーボンナノホーン、硝酸処理単層カーボンナノチューブを実施例1、2で示すと同じ方法でストレプトアビジンコート磁気ビーズ上に固相化した。これまでの1/20量(カーボンナノホーン約3.5μg相当)の固相化試料を96穴プレート(ファルコンU型アッセイプレート、ベクトンディッキンソン、ニュージャージー)に加え、磁性体集積装置(MPC−96、ダイナル社、Oslo)を用いて、200μlの2%ウシ血清アルブミン、TBS液にバッファー交換し、1時間インキュベートした。次に、200μlの0.5%Tween−20、TBSで3回洗浄し、ファージ力価が5x108pfu/mlとなるように200μlの2%ウシ血清アルブミン、0.5%Tween−20、50mM TBS液中に調製したファージクローンを加えてマイルドミキサー(PR−12、TAITEC)を用い、室温で撹拌しながら2時間インキュベートした。
【0045】
続いて磁性体集積装置を用いて、200μlの0.5%Tween−20、TBSで10回洗浄した。次に、M13ファージ検出ELISAキット(Detection Module Recombinant Phage Antibody System、amersham pharmacia biotech、Little Chalfont Buckinghamshire)を用い、ホースラディッシュペルオキシダーゼをコンジュゲートした抗M13抗体を結合させ、これに発色基質の2’,2’−Azino−Bis(3−Ethylbenzthiazoline−6−Sulphonic Acid)diammonium salt(ABTS)を過酸化水素と共に加えて、その吸光度(A415nm)を求めることで、固相化ビーズに結合しているファージの定量化を行った。なお、コントロールのファージクローンにはランダムペプチドをもたないN1と、パニング操作を行っていない原液のD12ライブラリーから得られたN2(配列番号22)、N3(配列番号23)、N4(配列番号24)ペプチドを提示するクローンを用いた。
【0046】
結果を図11にまとめてある。27クローンのうち20のクローンでは、硝酸処理カーボンナノホーン、硝酸処理単層カーボンナノチューブ、いずれかの試料に対して強い結合が認められた。それぞれのクローンが示す、カーボンナノホーンとカーボンナノチューブに対するELISAで評価される結合能力の程度は、クローンごとに特徴が見られた。すなわち、配列番号1で示されるペプチドを提示する、硝酸処理カーボンナノホーンに対する選択で得られたNHD12−5−2ファージの場合、カーボンナノホーンとカーボンナノチューブの両方に強く結合するが、配列番号11で示されるペプチドを提示する、硝酸処理単層カーボンナノチューブに対する選択で得られたBHiP9ファージの場合、カーボンナノホーンよりはカーボンナノチューブの方により強く結合することがわかる。後者の性質をもつファージの提示するペプチド配列を利用することから、ナノ黒鉛構造体の中の、微妙な構造変化を区別するペプチドや人工タンパク質のナノバイオテクノロジー分野での利用が考えられる。
【0047】
27クローンのうち7つのクローンではいずれの試料に対してもコントロールと同程度の結合しか示さなかったので、これら7つのクローンの提示するペプチド(配列番号25〜31)はナノ黒鉛構造体に親和性をもつものではないと考えられる。
【0048】
磁気ビーズに固相化した状態のナノ黒鉛構造体に対して、得られたファージペプチドの多くが結合することが示された。次に、磁気ビーズに固相化していない状態のカーボンナノホーンに対するファージ結合能力の評価を、ファージ凝集実験を用いて評価してみた。まず、単層カーボンナノホーンを、760Torrの酸素雰囲気下で、10分、420度で可熱処理し、官能基(カルボニル基を含む)をもつ単層カーボンナノホーンを調製した。この酸素処理カーボンナノホーンを0.5%Tween−20、TBS液に懸濁し、96穴プレート(cell−culture−treated 96 microplate/Round bottom、IWAKI)に200μlずつ加え、更に、ここにクローン化ファージを力価5×108で加えた。室温で2時間30分インキュベートした後の沈澱の様子を実体光学顕微鏡(WILD M10、ライカ社、スイス)により撮影した。結果を図12に示す。20のクローンではプレート中心付近にはっきりとしたカーボンナノホーンの凝集した沈澱が確認できた。これは赤血球の抗体による凝集反応に似た現象がおこっているためと考えられ、ファージのカーボンナノホーンに対する結合能力を示していると考えられる。この20のクローンは、上のELISAの実験から、少なくとも硝酸処理カーボンナノホーン、硝酸処理単層カーボンナノチューブ、いずれかの試料に対して強い結合が認められた20のクローンに完全に一致した。このことは、ELISAの実験で、ペプチド提示ファージが、ナノ黒鉛構造体ではなく、ビオチン、ストレプトアビジン、磁気ビーズなどの本来の標的ではない分子を認識している可能性を強く排除する。
【0049】
さらに次に、観察されるファージクローンのカーボンナノホーンへの結合には、提示されたペプチド部分が重要な役割をもつこと、さらに、ペプチド配列に特異的な結合であることを示すために、次のようなペプチド競合実験を、配列番号1で示されるペプチドを提示するNHD12−5−2ファージを用いておこなった。
【0050】
1μg/35μlのストレプトアビジン溶液(NEB社)をTBSで調製し、これを96穴ELISAプレート(イムロン4HBX、DYNEX、VA)に35μlずつ加え、密閉容器の中で37℃、1時間インキュベートし、ストレプトアビジンをELISAプレートに固相化した。次に、非吸着のストレプトアビジン溶液を捨て、4℃に冷やした200μlのTBSでプレートを洗浄した。次に、200μlの2%ウシ血清アルブミン、TBS液を加えて1時間インキュベートした。200μlの0.5%Tween−20、TBSで3回洗浄し、100μlのビオチン化カーボンナノホーンのMES懸濁液を加えてマイルドミキサー(PR−12、TAITEC)を用い、室温で撹拌しながら1時間インキュベートした。次に、10μlの1mM d−biotin、2%ウシ血清アルブミン、TBSを加えて5分インキュベートし、未反応のストレプトアビジンサイトをビオチンで飽和した。200μlの0.5%Tween−20、TBSで3回洗浄した。
【0051】
200μlの0.8% Dimethyl sulphoxide(以下DMSO)、2%ウシ血清アルブミン、0.5%Tween−20、TBSに、いろいろな量のDYFSSPYYEQLF(配列番号1)ペプチドもしくは、FQYLYSYPFDSE(配列番号21)ペプチド(純度HPLCグレードで95%以上、Anygen、Kwang−ju)を加え、更に、NHD12−5−2クローンを力価1.8x108で加えた。これを上記ビオチン化カーボンナノホーン固相化96穴プレートに加え、マイルドミキサー(PR−12、TAITEC)を用い、室温で撹拌しながら18時間インキュベートした。続いて200μlの0.5%Tween−20、TBSで10回洗浄し、最後の洗浄の後に、ELISA法による結合ファージの定量化をおこない、各ペプチド濃度存在下におけるファージの結合能力を調べた。ペプチドを加えない場合のNHD12−5−2クローンによるELISAの値を100%とし、ペプチドの添加による結合能の阻害効果を求めると図13のようになった。加えるDYFSSPYYEQLF(配列番号1)合成ペプチドの濃度が上昇するに従い、NHD12−5−2クローンの固相化カーボンナノホーンに対する結合が抑制されるが、同じアミノ酸組成をもちながら、その並びの異なる、FQYLYSYPFDSE(配列番号21)合成ペプチドの添加による阻害効果はあまり観察されなかった。この結果は、NHD12−5−2クローンの固相化カーボンナノホーンに対する結合に、ファージに提示されたペプチド部分が重要な役割をもつこと、さらに、この結合がペプチド配列に特異的な結合であることを示している。
【0052】
以上のような結合評価実験のまとめを図14に示す。強い結合能を示したクローンにはいずれもトリプトファン、チロシン、フェニルアラニンといった芳香族アミノ酸の並び配列が多く出現していることがわかる。また、強い結合能を示したクローンにはヒスチジンが多数出現するのも特徴である。
【0053】
【発明の効果】
本発明のナノ黒鉛構造体を特異的に認識するペプチド配列を用いると、ナノ黒鉛構造体とペプチドとの複合体、ナノ黒鉛構造体とペプチドを介した他の分子との複合体、ナノ黒鉛構造体とペプチド配列をもとに創製した人工タンパク質との複合体などを簡単に作製することができる。これらの複合体は、ナノ黒鉛構造体の性質改変、ナノメートルスケールでの整列といったナノバイオテクノロジー分野で応用することができる。
【0054】
【配列表】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1での固相化カーボンナノホーンに対するD12ペプチド提示ライブラリーのパニング実験の結果を示す図である。各パニング操作でのラウンド毎のアウトプット力価とインプット力価の比を示している。
【図2】本発明の実施例1での固相化カーボンナノホーンに対するC7Cペプチド提示ライブラリーのパニング実験の結果。各パニング操作でのラウンド毎のアウトプット力価とインプット力価の比を示しているを示す図である。
【図3】本発明の実施例1での固相化カーボンナノホーンに対するD12ペプチド提示ライブラリーのパニング実験により得られたファージクローンのクローン名とそのファージが提示しているペプチド配列を示す図である。
【図4】本発明の実施例1での固相化カーボンナノホーンに対するC7Cペプチド提示ライブラリーのパニング実験により得られたファージクローンのクローン名とそのファージが提示しているペプチド配列を示す図である。
【図5】本発明の実施例2での固相化カーボンナノチューブに対するD12ペプチド提示ライブラリーのパニング実験の結果を示す図である。各パニング操作でのラウンド毎のアウトプット力価とインプット力価の比を示している。
【図6】本発明の実施例2での固相化カーボンナノチューブに対するC7Cペプチド提示ライブラリーのパニング実験の結果を示す図である。各パニング操作でのラウンド毎のアウトプット力価とインプット力価の比を示している。
【図7】本発明の実施例2での固相化カーボンナノチューブに対するD12ペプチド提示ライブラリーのパニング実験により得られたファージクローンのクローン名とそのファージが提示しているペプチド配列を示す図である。
【図8】本発明の実施例2での固相化カーボンナノチューブに対するC7Cペプチド提示ライブラリーのパニング実験により得られたファージクローンのクローン名とそのファージが提示しているペプチド配列を示す図である。
【図9】本発明の実施例3でのカーボンナノチューブに対するD12ペプチド提示ライブラリーのパニング実験の結果。各パニング操作でのラウンド毎のアウトプット力価とインプット力価の比を示す図である。
【図10】本発明の実施例3でのカーボンナノチューブに対するD12ペプチド提示ライブラリーのパニング実験により得られたファージクローンのクローン名とそのファージが提示しているペプチド配列を示す図である。
【図11】本発明の実施例4での固相化カーボンナノホーン、固相化単層カーボンナノチューブに対する結合能を求めた実験結果。各試料に対してファージクローンによる結合能をELISAにより2回ずつ評価し、そのバラツキを求めた図である。グラフの上方には固相化したカーボンナノホーン(NH)に対しての結合能、下方には固相化したカーボンナノチューブ(NT)に対しての結合能を、ELISAの吸光度で示した。また、ファージクローンの結合能の違いにより2つのグループ(左の集団と右の集団)に分類した。
【図12】本発明の実施例4でのファージクローンによる酸素処理カーボンナノホーンの凝集実験の結果を示す図である。酸素処理カーボンナノホーン懸濁液にクローン化ファージを力価5×108で加え、室温で2時間30分インキュベートした後の沈澱の様子を実体光学顕微鏡で観察している。
【図13】本発明の実施例4でのNHD12−5−2クローンと合成ペプチドによる結合競合実験の結果を示している。示された濃度の合成ペプチドが存在する状態での、配列番号1で示されるペプチドを提示するNHD12−5−2ファージの固相化カーボンナノホーンに対する結合をELISAで評価し、ペプチド非存在下での結合を100%として示す図である。共存させるペプチドとしては、配列番号1をもつ合成ペプチドと、配列番号1と同じアミノ酸組成をもちながら、その並びの異なる、コントロールペプチド(配列番号21)を用いている。
【図14】本発明の実施例4で求めた各ファージクローンによる固相化カーボンナノホーン、固相化単層カーボンナノチューブに対する結合能、及び酸素処理カーボンナノホーンの凝集実験の結果をまとめ、ペプチド配列の傾向と共に示している図である。「+」の数は図11の実験で求めた結合能力の強さを表しており、数が多いほど強い。「+/−」はコントロールと比べて有意な差が観察されなかったことを表す。NHはカーボンナノホーンに、NTはカーボンナノチューブに対する結合の結果を示す。「○」「×」はそれぞれ、図12の実験で酸素処理カーボンナノホーンの凝集が観察されたものと観察されなかったものを表す。トリプトファン(W)、フェニルアラニン(F)、チロシン(Y)には下線を引いている。ヒスチジン(H)は太文字にしている。
Claims (46)
- ナノ黒鉛構造体を硝酸で処理し、ナノ黒鉛構造体上にまずカルボキシル基を生成させた後、このカルボキシル基をビオチン化し、さらにこのビオチン化されたナノ黒鉛構造体をストレプトアビジンでコートされた磁気ビーズに固相化し、この固相化ナノ黒鉛構造体に、異なったペプチド配列をファージ粒子上に提示したファージ集団を接触させ、ファージ粒子がペプチド配列を介して結合した固相化ナノ黒鉛構造体を永久磁石により回収し、得られたナノ黒鉛構造体に結合したファージ粒子を菌体中で増殖させ、次いで、増殖させたペプチド配列をファージ粒子上に提示したファージ集団を固相化ナノ黒鉛構造体に接触させるパニング操作を繰り返すことにより、ナノ黒鉛構造体に結合するファージクローンを濃縮することを特徴とするナノ黒鉛構造体に結合能を有するペプチドのスクリーニング方法。
- 請求項1記載のスクリーニング方法により得られることを特徴とするナノ黒鉛構造体に結合能を有するペプチド。
- 配列番号1〜20のいずれかに示されるアミノ酸配列からなることを特徴とするナノ黒鉛構造体に結合能を有するペプチド。
- 配列番号1〜20のいずれかに示されるアミノ酸配列の全部又はその一部を含むナノ黒鉛構造体に結合しうることを特徴とするナノ黒鉛構造体に結合能を有するペプチド。
- アミノ酸配列が、DYFSSPYYEQLF(配列番号1)であることを特徴とする請求項2〜4のいずれか記載のナノ黒鉛構造体に結合能を有するペプチド。
- アミノ酸配列が、YDPFHII(配列番号2)であることを特徴とする請求項2〜4のいずれか記載のナノ黒鉛構造体に結合能を有するペプチド。
- 化学修飾されていることを特徴とする請求項2〜6のいずれか記載のナノ黒鉛構造体に結合能を有するペプチド。
- ナノ黒鉛構造体が、カーボンナノホーン又はカーボンナノチューブであることを特徴とする請求項2〜7のいずれか記載のナノ黒鉛構造体に結合能を有するペプチド。
- カーボンナノホーン又はカーボンナノチューブが、炭素原子の大きさに相当する厚みの単層構造を有してなることを特徴とする請求項8記載のナノ黒鉛構造体に結合能を有するペプチド。
- カーボンナノホーン又はカーボンナノチューブが、構成する炭素構造に官能基が付加されていることを特徴とする請求項8又は9記載のナノ黒鉛構造体に結合能を有するペプチド。
- 配列番号1〜20のいずれかに示されるアミノ酸配列からなるペプチドをその粒子表面上に提示することを特徴とするナノ黒鉛構造体に結合能を有するファージ。
- 配列番号1〜20のいずれかに示されるアミノ酸配列の全部又はその一部を含むナノ黒鉛構造体に結合能を有するペプチドをその粒子表面上に提示することを特徴とするナノ黒鉛構造体に結合能を有するファージ。
- 配列番号1〜20のいずれかに示されるアミノ酸配列が、DYFSSPYYEQLF(配列番号1)であることを特徴とする請求項11又は12記載のナノ黒鉛構造体に結合能を有するファージ。
- 配列番号1〜20のいずれかに示されるアミノ酸配列が、YDPFHII(配列番号2)であることを特徴とする請求項11又は12記載のナノ黒鉛構造体に結合能を有するファージ。
- ナノ黒鉛構造体が、カーボンナノホーン又はカーボンナノチューブであることを特徴とする請求項11〜14のいずれか記載のナノ黒鉛構造体に結合能を有するファージ。
- カーボンナノホーン又はカーボンナノチューブが、炭素原子の大きさに相当する厚みの単層構造を有してなることを特徴とする請求項15記載のナノ黒鉛構造体に結合能を有するファージ。
- カーボンナノホーン又はカーボンナノチューブが、構成する炭素構造に官能基が付加されていることを特徴とする請求項15又は16記載のナノ黒鉛構造体に結合能を有するファージ。
- 配列番号1〜20のいずれかに示されるアミノ酸配列からなるペプチド、又は前記アミノ酸配列の全部若しくはその一部を含むナノ黒鉛構造体に結合能を有するペプチドと、機能性ペプチド又はタンパク質との結合体からなることを特徴とするナノ黒鉛構造体に結合能を有する人工タンパク質。
- 機能性ペプチド又はタンパク質が、ナノ黒鉛構造体に結合能を有するペプチドと協働して、二次元結晶を自己集合で形成しうるペプチド又はタンパク質であることを特徴とする請求項18記載のナノ黒鉛構造体に結合能を有する人工タンパク質。
- 機能性ペプチド又はタンパク質が、細胞認識活性をもつペプチド配列を有するペプチド又はタンパク質であることを特徴とする請求項18記載のナノ黒鉛構造体に結合能を有する人工タンパク質。
- アミノ酸配列が、DYFSSPYYEQLF(配列番号1)であることを特徴とする請求項18〜20のいずれか記載のナノ黒鉛構造体に結合能を有する人工タンパク質。
- アミノ酸配列が、YDPFHII(配列番号2)であることを特徴とする請求項18〜20のいずれか記載のナノ黒鉛構造体に結合能を有する人工タンパク質。
- ナノ黒鉛構造体に結合能を有するペプチドが、化学修飾されていることを特徴とする請求項18〜22のいずれか記載のナノ黒鉛構造体に結合能を有する人工タンパク質。
- ナノ黒鉛構造体が、カーボンナノホーン又はカーボンナノチューブであることを特徴とする請求項18〜23のいずれか記載のナノ黒鉛構造体に結合能を有する人工タンパク質。
- カーボンナノホーン又はカーボンナノチューブが、炭素原子の大きさに相当する厚みの単層構造を有してなることを特徴とする請求項24記載のナノ黒鉛構造体に結合能を有する人工タンパク質。
- カーボンナノホーン又はカーボンナノチューブが、構成する炭素構造に官能基が付加されていることを特徴とする請求項24又は25記載のナノ黒鉛構造体に結合能を有する人工タンパク質。
- 配列番号1〜20のいずれかに示されるアミノ酸配列からなるペプチド、又は前記アミノ酸配列の全部若しくはその一部を含むナノ黒鉛構造体に結合能を有するペプチドと、単独又は他の物質と反応することにより検出可能なシグナルをもたらすことができる標識化物質又はペプチドタグとの結合体からなることを特徴とするナノ黒鉛構造体に結合能を有するキメラ分子。
- 配列番号1〜20のいずれかに示されるアミノ酸配列からなるペプチド、又は前記アミノ酸配列の全部若しくはその一部を含むナノ黒鉛構造体に結合能を有するペプチドと、非ペプチド系化合物との結合体からなることを特徴とするナノ黒鉛構造体に結合能を有するキメラ分子。
- アミノ酸配列が、DYFSSPYYEQLF(配列番号1)であることを特徴とする請求項27又は28記載のナノ黒鉛構造体に結合能を有するキメラ分子。
- アミノ酸配列が、YDPFHII(配列番号2)であることを特徴とする請求項27又は28記載のナノ黒鉛構造体に結合能を有するキメラ分子。
- ナノ黒鉛構造体に結合能を有するペプチドが、化学修飾されていることを特徴とする請求項27〜30のいずれか記載のナノ黒鉛構造体に結合能を有するキメラ分子。
- ナノ黒鉛構造体が、カーボンナノホーン又はカーボンナノチューブであることを特徴とする請求項27〜31のいずれか記載のナノ黒鉛構造体に結合能を有するキメラ分子。
- カーボンナノホーン又はカーボンナノチューブが、炭素原子の大きさに相当する厚みの単層構造を有してなることを特徴とする請求項32記載のナノ黒鉛構造体に結合能を有するキメラ分子。
- カーボンナノホーン又はカーボンナノチューブが、構成する炭素構造に官能基が付加されていることを特徴とする請求項32又は33記載のナノ黒鉛構造体に結合能を有するキメラ分子。
- 配列番号1〜20のいずれかに示されるアミノ酸配列からなるペプチド又は前記アミノ酸配列の全部若しくはその一部を含むナノ黒鉛構造体に結合能を有するペプチド、請求項18〜26いずれか記載のナノ黒鉛構造体に結合能を有する人工タンパク質、又は、請求項27〜34いずれか記載のナノ黒鉛構造体に結合能を有するキメラ分子が、ナノ黒鉛構造体に結合したことを特徴とするナノ黒鉛構造体複合体。
- アミノ酸配列が、DYFSSPYYEQLF(配列番号1)であることを特徴とする請求項35記載のナノ黒鉛構造体複合体。
- アミノ酸配列が、YDPFHII(配列番号2)であることを特徴とする請求項35記載のナノ黒鉛構造体複合体。
- ナノ黒鉛構造体に結合能を有するペプチドが、化学修飾されていることを特徴とする請求項35〜37のいずれか記載のナノ黒鉛構造体複合体。
- ナノ黒鉛構造体が、カーボンナノホーン又はカーボンナノチューブであることを特徴とする請求項35〜38のいずれか記載のナノ黒鉛構造体複合体。
- カーボンナノホーン又はカーボンナノチューブが、炭素原子の大きさに相当する厚みの単層構造を有してなることを特徴とする請求項39記載のナノ黒鉛構造体複合体。
- カーボンナノホーン又はカーボンナノチューブが、構成する炭素構造に官能基が付加されていることを特徴とする請求項39又は40記載のナノ黒鉛構造体複合体。
- 配列番号1〜20に示されるアミノ酸配列の配列特性を抽出して導き出した、トリプトファン(W)、フェニルアラニン(F)、チロシン(Y)、ヒスチジン(H)に富んだアミノ酸配列からなることを特徴とするナノ黒鉛構造体に結合能を有する合成ペプチド。
- ナノ黒鉛構造体が、カーボンナノホーン又はカーボンナノチューブであることを特徴とする請求項42記載のナノ黒鉛構造体に結合能を有する合成ペプチド。
- カーボンナノホーン又はカーボンナノチューブが、炭素原子の大きさに相当する厚みの単層構造を有してなることを特徴とする請求項43記載のナノ黒鉛構造体に結合能を有する合成ペプチド。
- カーボンナノホーン又はカーボンナノチューブが、構成する炭素構造に官能基が付加されていることを特徴とする請求項43又は44記載のナノ黒鉛構造体に結合能を有する合成ペプチド。
- 配列番号1〜20に示されるアミノ酸配列からなるペプチド、又は前記アミノ酸配列の全部若しくはその一部を含むナノ黒鉛構造体に結合能を有するペプチドをコードするDNA。
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