JP2004115605A - 熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents

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金子 学
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藤江 忍
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Abstract

【課題】高い導電性を有するとともに、比重が低く、例えばコピー機、FAX機、プリンター、デスクトップ型/ノート型/タワー型/サーバー型コンピューター、PDA、携帯電話/PHS、TV、ビデオデッキ、オーディオ機器等の各種OA/情報/家電機器のハウジング及びシャーシー部品、PHS交換機、電話交換機等のハウジング、エアコン/クーラーの室内外機のハウジング、家電機器のハウジング、食器用途、表示部品、各種建材部材等に適した熱可塑性樹脂組成物を提供すること。
【解決手段】金属被覆量が23〜50質量%である金属被覆炭素繊維(α)10〜65質量%と、熱可塑性樹脂(β)35〜90質量%(αとβの合計量100質量%)からなる熱可塑性樹脂組成物。
前記金属はニッケルであることが好ましい。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、高い導電性を有する剛性に優れた樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、電気・電子機器、医療機器、自動車制御系機器、電気自動車やその充電機器等の技術的進歩は目覚しく、高性能化あるいは必要エネルギーの増加に応じて機器の高周波化や大電流化が図られている。その様な中、誤動作を防ぐためのEMIシールドがますます重要となり、より高いEMIシールド性能が求められている。EMIシールドには金属材料が使用されてきたが、軽量化や複雑な部品形状に対応するため樹脂材料を使用する場合がある。
樹脂材料を使用してEMIシールド性を持たせるには、樹脂材料に導電性を付与することが必要であり、二次加工として金属めっきや金属蒸着が使用されている。しかしながら、これらは成形後に加工が施されるため生産性に劣る。そのため樹脂材料単体で導電性を持たせる試みがなされている。
【0003】
樹脂材料単体に導電性を付与するためには、金属紛、炭素繊維、金属繊維、カーボンブラックなどを配合する方法が用いられる。しかし、これらの方法では得られる樹脂材料の導電性は低い。この様な不都合を解決するため、金属を被覆した繊維を用いることが提案されている(例えば特許文献1、特許文献2)。
【特許文献1】特開平2−265726号公報
【特許文献2】特開平9−279003号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、金属被覆繊維を単独で熱可塑性樹脂に添加しても、得られる樹脂組成物の導電性は低く、他の導電性物質を添加する必要がある。また、金属系物質を添加するために得られる樹脂材料の比重が増加することが考えられ、樹脂材料のメリットである低比重性を損なうことがある。
本発明は、高い導電性を有するとともに、比重が低い熱可塑性樹脂材料を提供することを目的とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明の要旨は、金属被覆量が23〜50質量%である金属被覆炭素繊維(α)10〜65質量%と、熱可塑性樹脂(β)35〜90質量%(αとβの合計量100質量%)からなる熱可塑性樹脂組成物にある。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明に用いる炭素繊維は、特に限定されるものではないが、PAN系、ピッチ系、リグニン系等が挙げられる。好ましくはPAN系炭素繊維である。
金属を被覆するための被覆方法も特に限定されず、めっき(無電解めっきや電気めっき)、蒸着等挙げられるが、めっき法により金属被覆したものが好ましい。
金属被覆された炭素繊維はチョップ化して用いてもよく、フィラメントのまま用いてもよい。表面処理方法、収束剤等の有無も特に限定されない。
炭素繊維に被覆される金属も特に限定されず、鉄、銅、銀、ニッケル、金、クロム、チタン等が挙げられるが、性能とコストの面からニッケルが好ましい。金属は単独で用いても二種以上を併用してもよい。また、異種の金属を被覆した複数種の炭素繊維を併用することもできる。
【0007】
炭素繊維に被覆する金属の量は、金属被覆炭素繊維(α)100質量%中の金属含有量が23〜50質量%の範囲内となるよう用いることが好ましい。金属量が23質量%未満となると導電性が低下する傾向にあり、50質量%を超えると比重が増大する傾向にある。より好ましくは23〜44質量%、更に好ましくは28〜40質量%である。
金属被覆炭素繊維(α)の配合量は、金属被覆炭素繊維(α)と熱可塑性樹脂(β)の合計量100質量%中10〜65質量%である。配合量が10質量%未満では導電性が低下する傾向にあり、65質量%を超えると流動性が低下する傾向にある。好ましくは12〜50質量%、更に好ましくは13〜30質量%である。
【0008】
本発明に用いる熱可塑性樹脂(β)は特に限定されず、例えば、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、液晶ポリマー樹脂、ポリエーテルサルフォン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリスルフォン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリスチレン樹脂、変性ポリスチレン樹脂、ABS樹脂、変性ABS樹脂、MBS樹脂、変性MBS樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、変性ポリメチルメタクリレート樹脂等及びこれらのポリマーアロイ樹脂が挙げられる。
【0009】
本発明においては、熱可塑性樹脂(β)が、ゴム質重合体(r)に、芳香族アルケニル化合物単量体(a)及び/又はシアン化ビニル化合物単量体(b)を含有する単量体がグラフト重合されてなるグラフト共重合体(A)5〜50質量%と、芳香族アルケニル化合物単量体(a)単位及び/又はシアン化ビニル化合物単量体(b)単位を含有する共重合体(B)0〜45質量%と、ポリカーボネート樹脂(C)50〜95質量%((A)、(B)、(C)の合計量が100質量%)からなる組成物であることが好ましい。
【0010】
前述したゴム質重合体(r)は、特に制限は無いがブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、ニトリルゴム、イソプレンゴム、クロロプレンゴム、ブチルゴム、エチレンプロピレンゴム、エチレンプロピレンジエンゴム、アクリルゴム、エピクロルヒドリンゴム、シリコーンゴム、フッ化シリコーンゴム、フッ素ゴム、ジエン−アクリル複合ゴム、シリコーン−アクリル複合ゴムが用いられる。より好ましくはアクリルゴム、ジエン−アクリル複合ゴム、シリコーンーアクリル複合ゴムが挙げられる。
本発明に好ましく用いられるアクリルゴム、ジエン−アクリレート複合ゴム、シリコーンーアクリル複合ゴムにおいてアルキル(メタ)アクリレ−ト(d)としては、例えばメチルアクリレ−ト、エチルアクリレ−ト、n−プロピルアクリレ−ト、n−ブチルアクリレ−ト、2−エチルヘキシルアクリレ−ト等のアルキルアクリレ−トおよびヘキシルメタクリレ−ト、2−エチルヘキシルメタクリレ−ト、n−ラウリルメタクリレ−ト等のアルキルメタクリレ−トが挙げられ、これらを単独でまたは二種以上併用して用いることができる。またグラフト共重合体を含む樹脂組成物の耐衝撃性および成形光沢を考慮すると、特にn−ブチルアクリレ−トの使用が好ましい。
多官能単量体(e)としては、例えばアリルメタクリレ−ト、エチレングリコ−ルジメタクリレ−ト、プロピレングリコ−ルジメタクリレ−ト、1,3−ブチレングリコ−ルジメタクリレ−ト、1,4−ブチレングリコ−ルジメタクリレ−ト、トリアリルシアヌレ−ト、トリアリルイソシアヌレ−ト等が挙げられ、これらを単独でまたは二種以上併用して用いることができる。
【0011】
ジエン系ゴム(f)は、ブタジエン重合体、ブタジエン及びこれと共重合可能な単量体よりなる共重合体が用いられる。具体的にはブタジエンゴム、SBR、NBR等が挙げられる。
ポリオルガノシロキサン(g)としては特に限定されるものではないが好ましくは、ビニル重合性官能基を含有するポリオルガノシロキサンである。
本発明に好ましく用いるゴム質重合体は、通常のラジカル重合開始剤を作用させて乳化重合することによって調製できる。また、重合に用いるラジカル重合開始剤としては、過酸化物、アゾ系開始剤または酸化剤・還元剤を組み合わせたレドックス系開始剤が用いられる。この中では、レドックス系開始剤が好ましく、特に硫酸第一鉄・エチレンジアミン四酢酸にナトリウム塩・ロンガリット・ヒドロパーオキサイドを組み合わせたスルホキシレート系開始剤が好ましい。
【0012】
芳香族アルケニル化合物単量体(a)、シアン化ビニル化合物単量体(b)の組成比は特に限定されるものではないが、好ましくはシアン化ビニル化合物単量体(b)が両合計に対し10質量%〜50質量%である。
上記芳香族アルケニル化合物単量体(a)としては、例えばスチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等が挙げられ、好ましくはスチレンである。シアン化ビニル化合物単量体(b)としては、例えばアクリロニトリル、メタクリロニトリル等が挙げられ、好ましくはアクリロニトリルである。
共重合可能な単量体(c)の例としては、メタクリル酸エステルとしては例えばメチルメタクリレ−ト、エチルメタクリレ−ト、2−エチルヘキシルメタクリレ−ト等であり、アクリル酸エステルとしては例えばメチルアクリレ−ト、エチルアクリレ−ト、ブチルアクリレ−ト等であり、マレイミドではN−フェニルマレイミド等があげられる。
【0013】
グラフト重合は、ゴム質重合体のラテックスに芳香族アルケニル化合物単量体(a)及びシアン化ビニル化合物単量体(b)及び/またはこれに共重合可能なビニル系単量体(c)を加え、ラジカル重合法により一段であるいは多段で行うことができる。また、重合に用いるラジカル重合開始剤としては、過酸化物、アゾ系開始剤、または酸化剤・還元剤を組み合わせたレドックス系開始剤が用いられる。この中では、レドックス系開始剤が好ましく、特に硫酸第一鉄・エチレンジアミン四酢酸にナトリウム塩・ロンガリット・ヒドロパーオキサイドを組み合わせたスルホキシレート系開始剤が好ましい。
また、グラフト重合において用いる単量体中にはグラフトポリマーの分子量やグラフト率を調製するための各種連鎖移動剤を添加することができる。
また、グラフト重合には、重合ラテックスを安定化させさらにグラフト共重合体の平均粒子径を制御するために乳化剤を添加することができる。用いる乳化剤としては、特に限定させるものではないが、好ましい例としてはカチオン系乳化剤、アニオン系乳化剤およびノニオン系乳化剤であり、さらに好ましい例としてはスルホン酸塩乳化剤あるいは硫酸塩乳化剤とカルボン酸塩乳化剤を併用させて使用する方法である。
また、上記のように調製されるグラフト共重合体(A)の粒子径は特に限定されるものではない。
本発明に好ましく用いられるグラフト共重合体(A)は、好ましくはアセトン溶媒に対する不溶分を70〜99質量%含み、かつアセトン可溶分の0.2g/100ccN,N−ジメチルホルムアミド溶液として25℃で測定した還元粘度が0.30〜0.70dl/gである。
【0014】
本発明の樹脂組成物の構成成分であるグラフト共重合体(A)は、アセトン溶媒に対する可溶分を取り除いた重合体成分を指す。実際の乳化重合法では上記溶媒の可溶分、すなわちグラフトしていない重合体(芳香族アルケニル化合物単量体(a)単位及び/又はシアン化ビニル化合物単量体(b)単位を含有する共重合体(B))が共に得られることが多いが、本発明の樹脂組成物においては、グラフト共重合体(A)は共重合体(B)との混合物として添加されても良いし単独で添加されても良い。
本発明に好ましく用いられるグラフト共重合体(A)の配合量は、5〜50質量%である。配合量が5質量%未満では耐衝撃性が低下する傾向にあり、60質量%を超えると難燃性が低下する傾向にある。より好ましくは7〜40質量%である。
【0015】
本発明に好ましく用いられる、芳香族アルケニル化合物単量体(a)単位及び/又はシアン化ビニル化合物単量体(b)単位を含有する共重合体(B)の具体例としてはスチレン−アクリロニトリル共重合体(SAN樹脂)が挙げられる。また、耐熱性を上げる目的でN−置換マレイミドを共重合することもできる。具体例としてスチレン−アクリロニトリル−N−フェニルマレイミド共重合体が挙げられる。
芳香族アルケニル化合物とシアン化ビニル化合物の組成比は特に限定されるものではないが、好ましくはシアン化ビニル化合物が両合計に対し10質量%〜50質量%である。
分子量については特に限定はないが、好ましくは0.2g/100ccN,N−ジメチルホルムアミド溶液として25℃で測定した還元粘度で0.4〜1.4dl/gである。
該共重合体(B)を配合する際の配合量は、0〜45質量%とすることが好ましい((A)+(B)+(C)=100質量%)。配合量が45質量%を超えると耐衝撃性が悪化する傾向にある。
【0016】
本発明に好ましく用いられるポリカ−ボネ−ト樹脂(C)としては、特に限定されないが好ましくはビスフェーノールAタイプである。また、芳香族環が有機基置換されても良く、あるいは、ポリシロキサン/ポリシリコン等の珪素あるいは珪素/酸素を主骨格とするポリマー/オリゴマーがグラフトあるいはブロック共重合されてもよい。また、分子量も特に限定されるものではないが、好ましくは粘度平均分子量でMv15000〜35000である。
ポリカ−ボネ−ト樹脂(C)の配合量としては50〜95質量%((A)、(B)、(C)の合計量が100質量%)である。配合量が40質量%未満では難燃性や衝撃強度が低下する傾向にあり、95質量%を超えると流動性が低下するとともに耐衝撃性の厚み依存性が増加する傾向にある。好ましくは50〜80質量%、更に好ましくは50〜60質量%である。
【0017】
また、本発明において用いる熱可塑性樹脂(β)は、前記グラフト共重合体(A)5〜50質量%、前記共重合体(B)0〜45質量%、前記ポリカーボネート樹脂(C)49.5〜94.5質量%、芳香族ポリエステル樹脂(K)0.5〜45.5質量%からなる組成物((A)、(B)、(C)、(K)の合計量が100質量%)とからなる組成物であってもよい。
用いる芳香族ポリエステル樹脂(K)は特に限定されず、そのジオール成分の例としてはブタンジオール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ヘキサメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物あるいはポリエチレングリコール、ポリオキシテトラメチレングリコールなどのポリオキシアルキレングリコールが挙げられる。また、酸成分の例としてはテレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、イソフタル酸、オルトフタル酸等が挙げられる。これらを単一組み合わせや複数組み合わせで用いられる。これらの中では1,4−ブタンジオールとテレフタル酸、1,4−ブタンジオールとナフタレンジカルボン酸の組み合わせ、すなわち、ポリブチレンテレフタレート樹脂やポリブチレンナフタレート樹脂が望ましい。
フェノ−ル/1,1,2,2−テトラクロルエタン=重量比1/1の混合溶媒に溶解させ,25℃にて測定した固有粘度は0.55〜1.40dl/gの範囲が好ましい。
本発明に好ましく用いられる芳香族ポリエステル樹脂(K)は常法にて製造することができる。たとえば、エステル交換法では,テトラメチレングリコ−ル等の全グリコール成分が,テレフタル酸等のエステル形成性誘導体等の,全酸成分に対してモル比で1.2〜1.6倍となるように反応容器内に仕込み,テトラブトキシチタン等の触媒の存在下で150〜220℃まで徐々に加熱して十分にエステル交換反応を行った後,−0.7kPa以下の減圧下で230〜260℃に加熱し、2〜5時間縮合重合した後、ストランド状で水槽中に吐出し、ストランドカッターにてチップ状にカットしたものを速やかに乾燥してチップに付着した水分を取り除くことによって、本発明に使用されるポリエステル樹脂を得ることができる。また、エステル化法では、テトラメチレングリコ−ル等の全グリコール成分が、テレフタル酸等の全酸成分に対してモル比で1.2〜1.6倍となるように反応容器内に仕込み、窒素で加圧した状態で徐々に150〜220℃まで加熱して十分にエステル化反応を行った後、−0.7kPa以下の減圧下で230〜260℃に加熱し、2〜5時間縮合重合した後、ストランド状で水槽中に吐出し、ストランドカッターにてチップ状にカットしたものを速やかに乾燥してチップに付着した水分を取り除くことによって、本発明に使用されるポリエステル樹脂を得ることができる。
本発明に使用されるポリエステル樹脂を製造する際に使用されるその他の触媒は、エステル交換触媒として酢酸亜鉛、酢酸マンガン、酢酸マグネシウム等が挙げられ、重合触媒として三酸化アンチモン、二酸化ゲルマニウム、四塩化ゲルマニウム、ジブチルスズオキシド等が挙げられ、全酸成分に対して20〜1000ppmの範囲で添加される。
芳香族ポリエステル樹脂(K)の配合量としては0.5〜15質量%((A)+(B)+(C)+(D)=100質量%中)である。0.5質量%未満では耐衝撃性改良効果がなく、45.5質量%を超えると耐熱性が低下する。好ましくは0.5〜7質量%、更に好ましくは1〜4質量%である。
【0018】
本発明に好ましく用いられる難燃剤(D)は特に制限されず、例を挙げると臭素化合物、塩素化合物、フッ素化合物、燐化合物、赤燐、窒素化合物、珪素化合物、ホウ素化合物、アンチモン化合物等が挙げられる。これらの一種あるいは二種以上を組み合わせて用いられる。
窒素化合物の例としてはトリアジン類、メラミン類が挙げられる。
珪素化合物はシリコーンが挙げられる。直鎖状、分岐状でも良いし架橋されていても良い。
ホウ素化合物の例としてはホウ酸、酸化ホウ素、ホウ酸塩等が挙げられる。ホウ酸塩としてはホウ酸亜鉛、ホウ酸バリウムホウ酸マグネシュウム等が挙げられる。好ましくはホウ酸亜鉛である。
アンチモン化合物の例としては三酸化アンチモン、アンチモン酸ソーダ等が挙げられる。
好ましくは臭素系難燃剤(E)/三酸化アンチモン(F)系、リン系難燃剤(G)系、リン系難燃剤(G)/ポリテトラフルオロエチレン(H)系である。
臭素系難燃剤(E)の例としては臭素化エポキシ、臭素化ポリスチレン、臭素化ビスフェノールA、ポリブロモベンジルアクリレート、臭素化ポリカーボネート、臭素化ポリフェニレンエーテル、ポリブロモジフェニルエーテル、ポリブロモジフェニルエーテル等が挙げられる。好ましくは臭素化エポキシである。
三酸化アンチモン(F)は流通している市販品を用いることができる。
リン系難燃剤(G)の例としてはリン酸エステル系難燃剤(I)、赤リン系難燃剤(J)、フォスファゼン、ポリリン酸塩等が挙げられる。好ましくはリン酸エステル系難燃剤(I)や赤リン難燃剤(J)である。
テトラフルオロエチレン(H)は流通している市販品を用いることができる。また、テトラフルオロエチレンを何らかの樹脂と複合化し樹脂への分散性を向上させたものでもよい。
リン酸エステル系難燃剤(I)の例としては次式で表さられるリン酸エステルが挙げられるがこれに限定されるものではない。
【0019】
【式1】
Figure 2004115605
【0020】
(ここで、R、R、R、Rは有機基を表し、それぞれ異なっても同一でも良い。Aは2価の有機基を表し、nは0以上の整数を表す。)
リン酸エステルの具体例としては、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリオクチルホスフェート、トリブトキシエチルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシルフォスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、キシルジフェニルフォスフェート、オクチルジフェニルホスフェート、ジイソプロピルフェニルホスフェート、ジフェニル−2−エチルクレシルフォスフェート、トリス(イソプロピルフェニル)フォスフェート、メチルホスホン酸ジフェニル、フェニルホスホン酸ジエチル、レゾルシニルジフェニルフォスフェート等のモノフォスフェート;フェニレンビス(ジフェニルフォスフェート)、フェニレンビス(ジキシリルフォスフェート)、フェニレンビス(ジトリルフォスフェート)、ビスフェノールA−ビス(ジフェニルフォスフェート)、ビスフェノールA−ビス(ジキシリルフォスフェート)、ビスフェノールA−ビス(ジトリルフォスフェート)、ビフェニレンビス(ジフェニルフォスフェート)、ビフェニレンビス(ジキシリルフォスフェート)、ビフェニレンビス(ジトリルフォスフェート)等のポリフォスフェート;である。なかでも、トリフェニルホスフェート、トリキシルフォスフェート、フェニレンビス(ジフェニルフォスフェート)、フェニレンビス(ジキシリルフォスフェート)が好ましい。
赤リン系難燃剤(J)は熱硬化性樹脂及び/又は金属水酸化物で被覆され安定化されたものが好ましい。赤リン難燃剤はそれだけでは発火性があるので予め構成樹脂成分でマスターバッチ化されたものを用いることが好ましい。
難燃剤(D)の添加量は(A)、(B)、(C)の合計量100部に対して1〜30質量部である。1質量部未満では難燃効果がなく、30質量部を超えると耐衝撃性が低下する。
【0021】
本発明の樹脂組成物は通常の公知の混練機械によって押し出しし、成形することにより製造することができる。このような成形機としては押出機、射出成形機、ブロー成形機、カレンダー成形機およびインフレーション成形機等が挙げられる。また、樹脂成分だけを配合混練しペレット化したものと金属被覆炭素繊維をチョップ化したものを射出成形機に直接投入し成形品を得てもよい。
さらに、本発明の樹脂組成物は、必要に応じて染料、顔料、安定剤、タルク、マイカ等の充填材、炭素繊維、ガラス繊維、アルミナ繊維、シリコンカーバイド繊維、セラミック繊維、チタン酸カリウムウイスカー、ワラストナイト、酸化チタンウイスカー、酸化亜鉛ウイスカー等の無機繊維や燃助剤等を配合することができる。
本発明に係る熱可塑性樹脂の用途としては、特に限定されるものではないが、例えばコピー機、FAX機、プリンター、デスクトップ型/ノート型/タワー型/サーバー型コンピューター、PDA、携帯電話/PHS、TV、ビデオデッキ、オーディオ機器等の各種OA/情報/家電機器のハウジング及びシャーシー部品、PHS交換機、電話交換機等のハウジング、エアコン/クーラーの室内外機のハウジング、家電機器のハウジング、食器用途、表示部品および各種建材部材等が挙げられる。
【0022】
【実施例】
以下、実施例により本発明を説明する。尚、参考例、実施例および比較例において『部』および『%』は特に断らない限り『質量部』および『質量%』を意味する。
参考例、実施例における各種評価は以下の方法により行った。
(1)ラテックス中のグラフト共重合体の質量平均粒子径
大塚電子(株)社製DLS−700型を用いた動的光散乱法により求めた。
(2)グラフト共重合体中のアセトン不溶分量の測定
冷却管および加熱器を備えたフラスコ中にグラフト共重合体約2.5g(秤量)およびアセトン80mlを入れ、加熱器により65℃で3時間加熱抽出処理を行い、冷却後次いで内液を日立工機(株)遠心分離器を用いて15000回転/分の条件で30分処理することによって、アセトン不溶分を分離し、ついで上澄みを取り除いた後の沈殿物を乾燥後、その質量を測定し、以下の式で算出した。
アセトン不溶分(質量%)=分離処理後の沈殿物乾燥質量/アセトン抽出前のグラフト共重合体質量×100
(3)グラフト共重合体中のアセトン可溶成分の還元粘度の測定
グラフト共重合体をアセトン溶媒を用いて可溶分を抽出し、次いで遠心分離処理によりアセトン不溶分を分離し、得られた上澄み液中のアセトン溶媒を減圧蒸発させることによってアセトン可溶成分を析出回収し、次いでこのアセトン可溶成分0.2gを100ccのN,N−ジメチルホルムアミドに溶解させた溶液の溶液粘度を自動粘度計(SAN DENSHI(株)社製)を用いて25℃で測定し、同条件で測定した溶媒粘度よりアセトン可溶分の還元粘度を求めた。
【0023】
(4)アイゾット(Iz)衝撃強度の測定
ASTM D256に準拠した方法により3.2mm厚み/ノッチ付試片を作製し試験を行った。ノッチ側から試片を打撃し測定したものをノッチ側、ノッチの反対側から試片を打撃し測定したものを反ノッチ側と称する。
(5)荷重たわみ温度の測定
ASTM D648に準拠した方法により6.4mm厚み試片を作製し試験を行った。1.82MPa荷重にて測定した。
(6)燃焼試験
UL94法に準拠した方法で行った。
(7)曲げ弾性率の測定
ASTM D790に準拠した方法により3.2mm厚み試片を作製し試験を行った。
(8)固有粘度の測定
フェノ−ル/1,1,2,2−テトラクロルエタン=質量比1/1の混合溶媒にポリエステル樹脂の粉砕物を溶解させ,ウベローデ粘度計を用いて25℃で測定した。単位はdl/gで示した。
(9)二点間抵抗値
射出成形機にて100mm×100mm×1.4mmの平板を作成し、ついで、対角線上80mmの間隔でインサート金属金具を2つ熱インサートした。このインサート金具2点間の抵抗値を一般的なテスター(1.5V駆動)で測定した。
(10)EMIシールド測定
アドバンテスト社製スペクトラムアナライザー(R3361C)とプラスチックシールド材評価装置(TR17301A)により100mm×100mm×1.4mmの平板を用い測定した。
【0024】
実施例および比較例における樹脂組成物の製造においては、下記原料を使用した。
・金属被覆炭素繊維:Composite Materials, L.L.C.製 COMPMAT
以下の条件のニッケル被覆炭素繊維チョップを用いた。
Fiber Size:12K, Chop Length:1/4”
ニッケル被覆量:20%、25%、30%、45%、60%
・ポリカーボネート樹脂:出光石油化学(株)製タフロンA1700、三菱エンジニアリングプラスチックス(株)社製ノバレックス7022A
・トリフェニルフォスフェート:大八化学(株)製 トリフェニルフォスフェート難燃剤 TPP
・FP−500:旭電化工業(株)製1,3−フェニレンビス(ジ−2,6−キシリルフォスフェート)難燃剤 アデカスタブFP−500
・赤リン系難燃剤:燐化学工業(株)製ノーバエクセル140
・赤リンマスターバッチ:ノーバエクセル140(30%)とポリブチレンテレフタレート(参考例7)(70%)を予め窒素雰囲気下で押出機で混合したものを用いた。
・臭素化エポキシ化合物:坂本薬品工業(株)製SR−T1000
・三酸化アンチモン:(株)鈴裕化学製ファイヤーカットAT−3
・アクリロニトリル−スチレン共重合体
アクリロニトリル成分27質量%およびスチレン成分73質量%よりなり、N,N−ジメチルホルムアミド溶液から測定した還元粘度が0.6dl/gであるアクリロニトリル−スチレン共重合体を懸濁重合法にて調製し、使用した。
【0025】
(参考例1) ポリブタジエンラテックス(L−1)の製造
下記の各成分を10Lのステンレス製オートクレーブに仕込んだ。
イオン交換水                       145質量部
不均化ロジン酸カリウム                  1.0質量部
オレイン酸カリウム                     1.0質量部
ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート二水和物    0.4質量部
無水硫酸ナトリウム                     0.1質量部
ターシャリードデシルメルカプタン             0.3質量部
ジイソプロピルベンゼンヒドロパーオキサイド        0.5質量部
1,3−ブタジエン                    26.2質量部
スチレン                         1.4質量部
これを50℃に昇温し、ピロリン酸ナトリウムが0.5質量部、硫酸第一鉄が0.005質量部、イオン交換水が5質量部の混合物を添加し、重合を開始した。重合温度57℃で、1,3−ブタジエンが68.6質量部、スチレンが3.6質量部からなる混合物を圧力ポンプにて滴下供給した。次いで、重合転化率が40%に達した時点で、ノルマルドデシルメルカプタンを0.3質量部を添加しさらに重合を継続した。8時間後残存した1,3−ブタジエンを除去し、固形分が40.2質量%、重合転化率が97%、質量平均粒子径70nmのジエン系重合体ラテックス(L)を得た。
【0026】
(参考例2) 肥大化用酸基含有共重合体(K)の合成
冷却管、ジャケット加熱器および攪拌装置を備えた反応器内に、窒素気流下で下記各成分を仕込み、攪拌を行いながら内温65℃に昇温した。
オレイン酸カリウム                    2.2質量部
ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム(70%溶液)     3.6質量部
ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート二水和物    0.3質量部
硫酸第一鉄七水塩                   0.003質量部
エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩         0.009質量部
イオン交換水                       200質量部
これに、n−ブチルアクリレートが81.5質量部、メタクリル酸が18.5質量部、クメンヒドロパーオキシドが0.5質量部からなる混合物を2時間かけて添加し,添加終了後も2時間そのままの温度で重合を継続した。重合転化率は98%であり、平均粒子径150nmの肥大化用酸基含有共重合体ラテックス(K)を得た。
【0027】
(参考例3) グラフト共重合体(A−1)の製造
参考例1で調製したジエン系重合体ラテックス(L−1)100質量部(固形分として)に、参考例2で調製した肥大化用酸基含有共重合体(K)ラテックス2.1質量部(固形分として)を攪拌しながら添加し、さらに30分間攪拌を続け肥大化ジエン系ゴムラテックスを得た。肥大化後の重合体の平均粒子径は380nmであった。
次に試薬注入容器、冷却管、ジャケット加熱機および攪拌装置を備えた反応器に、この肥大化ジエン系ゴムラテックス10質量部(固形分として)、アルケニルコハク酸ジカリウム0.3質量部、イオン交換水175質量部およびブチルアクリレ−ト40質量部、アリルメタクリレ−ト0.16質量部、1,3−ブチレングリコ−ルジメタクリレ−ト0.08質量部およびターシャリーブチルヒドロパ−オキサイト0.1質量部の混合物を添加した。
この反応器に窒素気流を通じることによって、雰囲気の窒素置換を行い、60℃まで昇温した。内部の液温が50℃となった時点で、硫酸第一鉄0.00015質量部、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩0.00045質量部およびロンガリット0.24質量部を蒸留水5質量部に溶解させた水溶液を添加した後内温を75℃に上昇させ、ラジカル重合を開始せしめた。1時間この状態を維持し、アクリレ−ト成分の重合を完結させ肥大化ポリブタジエンとブチルアクリレ−トゴムとの複合ゴム重合体のラテックスを得た。この複合ゴム重合体ラテックスを少量サンプリングして測定した複合ゴム重合体の質量平均粒子径は、300nmであった。
次に、ロンガリット0.15質量部およびアルケニルコハク酸ジカリウム0.65質量部を蒸留水10質量部に溶解した水溶液を添加し、次いでアクリロニトリル6.3質量部、スチレン18.7質量部およびターシャリーブチルヒドロパ−オキサイト0.11質量部の混合液を1時間にわたって滴下し重合した。滴下終了から5分後、硫酸第一鉄0.001質量部、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩0.003質量部およびロンガリット0.15質量部を蒸留水5質量部に溶解させた水溶液を添加し、次いでアクリロニトリル6.3質量部、スチレン18.7質量部およびターシャリーブチルヒドロパ−オキサイト0.19質量部およびノルマルオクチルメルカプタン0.014質量部の混合液を1時間にわたって滴下し重合した。滴下終了後、温度75℃の状態を10分間保持した後冷却し、内温が60℃となった時点で、抗酸化剤(アンテージW500)0.2質量部およびアルケニルコハク酸ジカリウム0.2質量部を蒸留水5質量部に溶解した水溶液を添加した。以上の操作により、肥大化ポリブタジエンとブチルアクリレ−トゴムとの複合ゴムに、アクリロニトリル/スチレンをグラフト重合させたグラフト共重合体のラテックスを得た。
得られたラテックス中の重合体の平均粒子径は、325nmであった。
次いで、上記重合ラテックスを全ラテックスの1.2倍量の45℃に加熱した硫酸0.6%水溶液中に攪拌しながら投入し、重合体を凝析させた。次いで液温を65℃に上昇させ5分間保持した後、液温を90まで上昇させた。次いで析出物を分離した後、この回収物を10倍量の蒸留水中に投入後10分間撹拌することで洗浄を実施した。この分散液を遠心脱水機に脱水処理し、さらに80℃で16時間乾燥し、グラフト共重合体混合物(A−a)を得た。
グラフト共重合体混合物(A−a)中のアセトン不溶分量は82質量%であった。グラフト共重合体(A−1)が82質量%含まれるグラフト共重合体混合物を得た。
【0028】
(参考例4) ポリオルガノシロキサン(L−2)ラテックスの製造
オクタメチルシクロテトラシロキサン98部、γ−メタクリロイルオキシプロピルジメトキシメチルシラン2部を混合してシロキサン系混合物100部を得た。これにドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.67部を溶解した蒸留水300部を添加し、ホモミキサ−にて10000回転/分で2分間撹拌した後、ホモジナイザ−に200kg/cm2 の圧力で1回通し、安定な予備混合オルガノシロキサンラテックスを得た。
一方、試薬注入容器、冷却管、ジャケット加熱機および攪拌装置を備えた反応器内に、ドデシルベンゼンスルホン酸10部と蒸留水90部とを注入し、10%のドデシルベンゼンスルホン酸水溶液を調製した。
この水溶液を85℃に加熱した状態で、予備混合オルガノシロキサンラテックスを4時間に亘って滴下し、滴下終了後1時間温度を維持し、冷却した。次いでこの反応物を苛性ソ−ダ水溶液で中和した。
このようにして得られたラテックスを170℃で30分間乾燥して固形分を求めたところ、17.7%であった。また、ラテックス中のポリオルガノシロキサンの質量平均粒子径は0.05μmであった。
【0029】
(参考例5) グラフト共重合体(A−2)の製造
試薬注入容器、冷却管、ジャケット加熱機および攪拌装置を備えた反応器内に、参考例4で製造したポリオルガノシロキサンラテックス(L−1)45.2部、エマールNC−35(ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルサルフェート;花王(株)社製)0.2部を採取し、蒸留水148.5部を添加混合した後、ブチルアクリレ−ト42部、アリルメタクリレ−ト0.3部、1,3−ブチレングリコ−ルジメタクリレ−ト0.1部およびt−ブチルハイドロパ−オキサイト0.11部の混合物を添加した。
この反応器に窒素気流を通じることによって、雰囲気の窒素置換を行い、60℃まで昇温した。内部の液温が60℃となった時点で、硫酸第一鉄0.000075部、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩0.000225部およびロンガリット0.2部を蒸留水10部に溶解させた水溶液を添加し、ラジカル重合を開始せしめた。アクリレ−ト成分の重合により、液温は78℃まで上昇した。1時間この状態を維持し、アクリレ−ト成分の重合を完結させポリオルガノシロキサンとブチルアクリレ−トゴムとの複合ゴムのラテックスを得た。
反応器内部の液温が70℃に低下した後、ロンガリット0.25部を蒸留水10部に溶解した水溶液を添加し、次いでアクリロニトリル2.5部、スチレン7.5部およびt−ブチルハイドロパ−オキサイト0.05部の混合液を2時間にわたって滴下し重合した。滴下終了後、温度60℃の状態を1時間保持した後、硫酸第一鉄0.001部、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩0.003部、ロンガリット0.2部およびエマールNC−35(花王(株)社製)0.2部を蒸留水10部に溶解させた水溶液を添加し、次いでアクリロニトリル10部、スチレン30部およびt−ブチルハイドロパ−オキサイト0.2部の混合液を2時間にわたって滴下し重合した。滴下終了後、温度60℃の状態を0.5時間保持した後キュメンヒドロパ−オキサイト0.05部を添加し、さらに温度60℃の状態を0.5時間保持した後冷却した。このラテックスにラテムルASK(アルケニルコハク酸ジカリウム塩;花王(株)社製)を0.5部添加し、ポリオルガノシロキサンとブチルアクリレ−トゴムとからなる複合ゴムに、アクリロニトリル、スチレンをグラフト重合させたグラフト共重合体の重合ラテックスを得た。
動的光散乱法より求めたラテックス中のグラフト共重合体の質量平均粒子径は、0.12μmであった。
次いで酢酸カルシウムにより凝固、脱水、乾燥しグラフト共重合体混合物(A−b)を得た。グラフト共重合体混合物(A−b)中のアセトン不溶分は85質量%であった。グラフト共重合体(A−2)が85質量%含まれたグラフト共重合体混合物を得た。
【0030】
(参考例6) グラフト共重合体(A−3)の製造
参考例1で調製したジエン系重合体ラテックス(L−1)100質量部(固形分として)に、参考例2で調製した肥大化用酸基含有共重合体(K)ラテックス1.5質量部(固形分として)を攪拌しながら添加し、さらに30分間攪拌を続け肥大化ジエン系ゴムラテックスを得た。肥大化後の重合体の平均粒子径は310nmであった。5リットルガラス製反応器に、水150部、肥大化ジエン系ゴムラテックス100質量部(固形分として)、
デキストローズ0.6部、ピロリン酸ナトリウム0.1部、硫酸第一鉄七水塩0.01部を仕込み、窒素置換後60℃に昇温しアクリロニトリル30部、スチレン70部、t−ドデシルメルカプタン1.2部、クメンハイドロパーオキシド0.3部からなる単量体混合物を200分かけて滴下し、その時に内温を65℃になる様にコントロールした。滴下終了後、クメンハイドロパーオキシド0.12部を添加し、さらに一時間保持し、老化防止剤(川口化学工業(株)製アンテージW−400)1部を添加後、冷却した。このグラフト共重合体ラテックスを5%硫酸水溶液凝固し、洗浄、乾燥してグラフト共重合体混合物(A−c)を得た。グラフト共重合体混合物中のアセトン不溶分は85質量%であった。グラフト共重合体(A−3)が85質量%含まれたグラフト共重合体混合物を得た。
【0031】
(参考例7) ポリブチレンテレフタレート樹脂(K)の製造
ジメチルテレフタレート100モル部とテトラメチレングリコ−ル140モル部(以下BDO)、精留塔および攪拌装置を備えた反応容器に入れ,反応容器を140℃まで加熱した後、テトラブトキシチタンを対酸成分に対して600ppm(BDO溶液の希薄溶液として)添加し、攪拌を行いながら220℃まで3時間かけて徐々に昇温し、留出するメタノールを系外に排出しながらエステル交換反応を行った。その後、重縮合反応容器に移し真空度−99kPa以下、245℃で3時間縮合重合を行い所定の攪拌トルクに至ったところで、ストランド状で水槽中に吐出したものを、ストランドカッターにてチップ状に切断し、これを120℃で6時間真空乾燥してポリブチレンテレフタレート樹脂(K)を得た。これについて、固有粘度を測定したところ 1.01dl/gであった
【0032】
実施例、比較例
表1に示した配合及びこれらに加え酸化安定剤(酸化安定剤(アデカ・アーガス化学株式会社AO−60、AO−412S)各0.2部を混合し、この混合物を260℃に加熱した二軸押出機に供給し、また、金属被覆炭素繊維をサイドフィーダーにより溶融樹脂へ供給し混練してペレットを得た。実施例11は65mmφ単軸押出機を用い原料すべて一括投入し賦形した。
得られたペレットを20mmφ、35オンスのスクリューインライン成形機で、シリンダー温度250℃、金型温度60℃、にて各試験片を作成した。
測定結果を表1に示す。
なお、用いた原料には混合物が含まれるため、正味の配合量を「実際の配合部数」として記載した。
【0033】
【表1】
Figure 2004115605
【0034】
【表2】
Figure 2004115605
【0035】
【表3】
Figure 2004115605
【0036】
【表4】
Figure 2004115605
【0037】
【発明の効果】
本発明の熱可塑性樹脂組成物によれば、金属被覆炭素繊維の被覆金属量を適正化することにより、高い曲げ弾性、耐衝撃性を発現するとともに、比重が低く、更に導電率の高い組成物となる。
これにより、特に波シールド性が必要な部材に、めっきや蒸着や導電塗料の塗布といった2次加工することなく使用することができる。

Claims (10)

  1. 金属被覆量が23〜50質量%である金属被覆炭素繊維(α)10〜65質量%と、熱可塑性樹脂(β)35〜90質量%(αとβの合計量100質量%)からなる熱可塑性樹脂組成物。
  2. 前記金属がニッケルであることを特徴とする請求項1記載の熱可塑性樹脂組成物。
  3. 熱可塑性樹脂(β)が、ゴム質重合体(r)に、芳香族アルケニル化合物単量体(a)及び/又はシアン化ビニル化合物単量体(b)を含有する単量体がグラフト重合されてなるグラフト共重合体(A)5〜50質量%と、芳香族アルケニル化合物単量体(a)単位及び/又はシアン化ビニル化合物単量体(b)単位を含有する共重合体(B)0〜45質量%と、ポリカーボネート樹脂(C)50〜95質量%((A)、(B)、(C)の合計量が100質量%)とからなることを特徴とする請求項1又は2記載の熱可塑性樹脂組成物。
  4. 熱可塑性樹脂(β)が、グラフト共重合体(A)5〜50質量%、共重合体(B)0〜45質量%、ポリカーボネート樹脂(C)49.5〜94.5質量%、芳香族ポリエステル樹脂(K)0.5〜45.5質量%からなる組成物((A)、(B)、(C)、(K)の合計量が100質量%)とからなることを特徴とする請求項1又は2記載の熱可塑性樹脂組成物。
  5. 熱可塑性樹脂(β)100質量部に対して難燃剤(D)が1〜30質量部配合されてなることを特徴とする請求項1〜4記載の何れか1項記載の熱可塑性樹脂組成物。
  6. 難燃剤(D)が臭素系難燃剤(E)及び/又は三酸化アンチモン(F)である請求項5記載の熱可塑性樹脂組成物。
  7. 難燃剤(D)がリン系難燃剤(G)、または、リン系難燃剤(G)およびテトラフルオロエチレン(H)である請求項5記載の熱可塑性樹脂組成物。
  8. リン系難燃剤(G)がリン酸エステル系難燃剤(I)である請求項7記載の熱可塑性樹脂組成物。
  9. リン系難燃剤(G)が赤リン系難燃剤(J)である請求項7記載の熱可塑性樹脂組成物。
  10. 赤リン系難燃剤(J)が熱硬化性樹脂及び/又は金属水酸化物で被覆されてなる安定化された赤リンである請求項9記載の熱可塑性樹脂組成物。
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