JP2004107908A - 長尺屋根板の配設構造 - Google Patents
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Abstract
【課題】降雪地にみられる屋根構造の外観品質の改善を可能とし、屋根雪の重量を分散解消することを可能とする。
【解決手段】軒に向かう方向に傾斜させた適宜長のパネル受材を設け、該パネル受材に対して略直角方向に長尺の屋根板を配して固定するものであり、各屋根板は、設置の傾斜角度を25〜45度の範囲とする。同時に、隣接する上下の屋根板同士の間に適宜間隔の隙間を設ける。隣接する上下の屋根板は、下側の屋根板の上端縁を上側の屋根板の下端縁より高い位置に設けて段差を形成することが望ましい。屋根板にソーラーパネルを配する場合がある。
【選択図】 図1
【解決手段】軒に向かう方向に傾斜させた適宜長のパネル受材を設け、該パネル受材に対して略直角方向に長尺の屋根板を配して固定するものであり、各屋根板は、設置の傾斜角度を25〜45度の範囲とする。同時に、隣接する上下の屋根板同士の間に適宜間隔の隙間を設ける。隣接する上下の屋根板は、下側の屋根板の上端縁を上側の屋根板の下端縁より高い位置に設けて段差を形成することが望ましい。屋根板にソーラーパネルを配する場合がある。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、長尺の屋根板を建物の屋根部分に配する構造に関する。降雪地方における積雪重量の分散が可能で、ソーラーパネルの設置を容易とするための構造である。
【0002】
【従来の技術】
図5は、いわゆる無落雪屋根を例示するものである。無落雪屋根は、降雪地の住宅等に用いられる屋根構造で、屋根の中央付近に溝(スノーダクト)1を設け、この溝1に向かって下降傾斜させた二つの傾斜部2、3によって、側面から見るとV字状(谷型)を呈する屋根構造をとる。
【0003】
切妻屋根や寄棟屋根と異なり、V字状の無落雪屋根は、屋根の上に積もった雪が屋根の外(道路や自宅敷地)に落下することがなく、歩行者の安全や除雪の手間が省けるという利点がある。
【0004】
一方、降雪地にみられる屋根構造であるが、降雪地では大型の倉庫や公衆浴場などやや規模の大きな建築物においても切妻屋根や寄棟タイプの各種の傾斜屋根を採用することが多い。傾斜を利用して雪を落とし、屋根にかかる降雪重量を軽減するためである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、降雪地におけるこのような従来の屋根構造は、次のような問題がある。
【0006】
第一に無落雪屋根であるが、これは屋根に積もった雪を外に落とさないという点では優れているが、住宅の見栄え(外観品質)が非常に悪い。
【0007】
住宅の外観品質は、不動産価値を左右するほどに重要なポイントであり、場合によっては居住者の人柄や経済状態の判断材料にまでされるほどである。屋根雪の落雪を防止するという技術的には優れた利点がある構造であっても、外観品質の悪さは不動産価値にマイナス要因となるし、特にアパート建築物では入居者の安定確保という面で難しい課題が残る。
【0008】
第二に倉庫などの大型建築物における旧来型の傾斜屋根(切妻など)は、屋根雪を落下させて降雪の重量を軽減できる構造ではあるが、住宅密集や敷地の狭さなどの理由から、近時は、屋根の上に雪止め材を設けることが少なくない。図6は、雪止め材5を備える傾斜屋根の構造を簡略に例示するものである。
【0009】
雪止め材5は、屋根に積もった雪の落下を防止できるが、反面、比較的大型の建築物の屋根の上に大量の降雪を留めおくことになる。その結果として、降雪重量に耐えられず躯体そのものが大きなダメージを受けるケースも少なくない。
【0010】
そこで本発明の目的は、主として降雪地にみられる各種の屋根構造を前提として、外観品質の改善が可能であり、同時に屋根雪の重量を分散解消できる構造を提供する点にある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するため、本発明に係る長尺屋根板の配設構造は、軒に向かう方向に傾斜させた適宜長のパネル受材を設け、該パネル受材に対して略直角方向に長尺の屋根板を配して固定するものであり、各屋根板は、設置の傾斜角度を25〜45度の範囲とする一方、隣接する上下の屋根板同士の間に適宜間隔の隙間を設ける(請求項1)。
【0012】
屋根板は、下方の屋根板の上端縁の下方位置に上方の屋根板の下端縁が位置するよう設置するとともに、下方の屋根板の上端縁と上方の屋根板の下端縁との間に、5〜50mmの範囲で隙間を設ける場合がある(請求項2)。
【0013】
屋根板の上面の一部または全部にソーラーパネルを配する場合がある(請求項3)。
【0014】
【作用】
本発明に係る長尺屋根板の配設構造は、無落雪屋根、或いは伝統的な切妻屋根や寄棟屋根の上に、軒に向かう方向に傾斜させたパネル受材を設ける。
【0015】
傾斜型の屋根である切妻や寄棟では、屋根の傾斜を利用してその上にパネル受材を設ければ良い。側面谷型を呈する無落雪屋根は、パネル受材を支えるための屋根の傾斜が存在しないから、パネル受材を逆V字状に組んでその上に屋根板を配設することになる。
【0016】
屋根板の傾斜角度は、側面から見て25〜45度の範囲とする。この角度は、ソーラーパネルの好ましい設置角度である。住宅の外観品質の向上や屋根雪対策と同時に、屋根板の上にソーラーパネル(太陽電池モジュール)を設置することを予め予定しておくことが望ましいからである。
【0017】
パネル受材の上に配設する屋根板は、上下に隙間を設ける。これは降雪を徐々に、屋根本体に逃がすことによって、本発明に係る特殊構造の長尺屋根板にかかる降雪重量を軽減するためである。上下の屋根板の間に少なくとも1cm、好ましくは5cm程度の隙間(傾斜角に沿って測定した場合の隙間寸法)があれば、降雪の一部は当該隙間を通って建築物の屋根本体に逃れるから、本発明に係る長尺屋根板の上に積もる雪の重量はその何割かが確実に軽減される。また本発明に係る長尺屋根板に積もった雪は、日中の陽光によって融け、屋根板の間の隙間を通って少しずつ建築物の屋根本体に逃れる。
【0018】
無落雪屋根の場合は、屋根本体に融雪用の加熱手段を備えることが少なくないため、本発明に係る長尺屋根板の隙間を通って積もった雪は速やかに融雪排除することが出来る。
【0019】
また、屋根板の隙間を通して本発明に係る長尺屋根板の上に残る雪の量を軽減させるため、陽光や暖気(外気温)による効率の良い融雪現象が見込まれ、本発明に係る長尺屋根板の上に残る雪の量も建築物の屋根本体に積もる雪の量も、速やかな融雪をみる。雪の性質は、層厚が大きくなるほど融けにくいが、薄くなるほど外気温等の温度変化に反応して融け易くなるからである。これは、切妻屋根や寄棟屋根も同じである。
【0020】
無落雪屋根と異なり、切妻屋根や寄棟屋根は、建築物の屋根本体に山型(逆V字状)の傾斜がある。このため、パネル受材は当該屋根本体の勾配に対して垂直方向に配するが、パネル受材の上に配する屋根板の傾斜角度は25〜45度の範囲とする必要があるため、各屋根板は、通常の場合、パネル受材の設置角度(屋根本体の勾配角度)よりも若干急峻に設ける必要がある。
【0021】
そして、各屋根板の設置角度をパネル受材の設置角度より大きくするときには、屋根板を接近して設けると、屋根の上で勾配の上段に位置する屋根板の下端縁より、勾配の下段に位置する屋根板の上端縁の方が、上下位置関係では上に位置する。従って、請求項1に記載した屋根板同士の間の「隙間」は、山型を呈する傾斜屋根の場合には、隣接する屋根板同士に生じ得る上下の隙間を利用すればよいことになる。
【0022】
【発明の実施の形態】
図1、図2は、本発明に係る長尺屋根板の配設構造を、谷型(V字状)を呈する無落雪屋根に対して適用する場合を例示するものである。
【0023】
図1は、スノーダクト11を挟んで谷型となるよう設計した二つの傾斜屋根14、15からなる無落雪屋根R1の上に、所定角度で設置したパネル受材16を設け、このパネル受材16上に長尺の屋根板18を配した状態を側面から示すものである。また図2は、パネル受材16の上に長尺の屋根板18を幾枚か配した状態を具体的に示す斜視図である。
【0024】
本発明では、長尺の屋根板18の設置角度を25〜45度の範囲とするので、無落雪屋根R1の場合は、適宜長のパネル受材16を用いて、各パネル受材16が25〜45度の傾斜角度をもつように組み上げる。これが図2の状態である。パネル受材16の下方端末部Dは、建築物の外壁19よりも外側に突出させ、傾斜屋根の構造に外観上類似する構造をとるように設計することが望ましい。
【0025】
屋根上に配設するパネル受材16は、予想できる降雪時の最大重量に耐え得る構造強度を保証できる限り、その本数や部材径寸は限定されない。パネル受材16の設置本数や径寸は、屋根(R1)の大きさや降雪量などの条件に応じて個別に設計すべき事項だからである。
【0026】
本発明の場合、パネル受材16の上に配設する長尺の屋根板18は、上下の屋根板同士をその上下端縁に形成したハゼ部(折り返し成形部)によって係合係止させる必要はないから、樹脂や金属に限らずどのような素材の成形板を用いても構わない。しかし、住宅の美観保持という点や降雪荷重に耐えうる点では広く流通している長尺屋根板を利用して良いことは勿論である。
【0027】
長尺の屋根板18は、上下の屋根板同士の間に若干の隙間Sを設ける。この隙間Sは、例えば15〜50mmとする。隙間Sの目的は、屋根板18の上に積もった雪を屋根本体(R1)に逃がすためであるから、大きく設計する方が機能上は好ましいのであるが、隙間Sが大きすぎると屋根の美観を損なう可能性があるため、通常の個人住宅や小規模アパートの場合は前記寸法(15〜50mm)の範囲に収めることが望ましい。
【0028】
従って、かかる長尺屋根板の配設構造によれば、住宅の外観品質を損なうという懸念が少なくなかった無落雪屋根に対して、切妻型屋根のような傾斜屋根の構造を自在に提供できることになり、降雪地に見られる住宅の外観品質を格段に高めることが出来る。
【0029】
屋根本体の上に付加する屋根は、外観品質を高めるものであるから、コスト的にいっても最小限度の構造強度を実現すれば良い。無落雪屋根(R1)の場合は、25〜45度の角度をもって設置したパネル受材16(例えば角材;垂木材)の上に長尺の屋根板18を隙間Sをあけて設置するだけで良いから、材料コストも作業性も良好である。
【0030】
外観品質の点だけで云えば、パネル受材16の設置角度を25〜45度の範囲とする必要はない。むしろ、もっと緩やかな傾斜の方が外観品質は向上する可能性もある。それにも拘わらず、敢えてパネル受材16の傾斜角度を25〜45度の範囲とするのは、屋根本体(R1)の上に新たに設ける長尺の屋根板18の上にソーラーパネル(太陽電池モジュール)を配することを考慮するためである。ソーラーパネルの好ましい設置角度は緯度によっても異なるが、国内の場合は概ね40度を中心とする25〜45度の範囲に設定すれば、良好な受光結果を得る。
【0031】
なお、屋根板18の上にソーラーパネルを設ける場合には、必ずしも全部の屋根板18の上にソーラーパネルをまんべんなく設ける必要はない。必要な電力量を満たすだけの受光素子を屋根板18の適宜箇所に配するだけでも良い。
【0032】
図3、図4は、本発明に係る長尺屋根板の配設構造を、山型(逆V字状)を呈する切妻屋根に対して適用する場合を例示するものである。切妻屋根のような勾配屋根に対して長尺の屋根板18を配する場合は、屋根本体(R2)の傾斜に沿ってパネル受材16を配設固定すれば良い。
【0033】
しかし通常の勾配屋根の傾斜角度は、本発明を実現するための角度(25〜45度)よりもかなり緩やかである(約17度)。そこで、屋根本体R2の傾斜に沿って配するパネル受材16の上に、25〜45度の角度をもって屋根板18を配するため、例えば図3に示すように、屋根板18を固定するパネル受材16に傾斜切込21を設け、この傾斜切込21を利用して屋根板18の傾斜角度を適宜の角度に設定することが出来る。
【0034】
一方、このような傾斜切込21を利用して屋根板18を設けると、下方の屋根板18の上端縁18Pが、上方の屋根板18の下端縁18Nより上下の位置関係で下方に位置することになる。そこで、切妻のような勾配屋根に長尺の屋根板18を設置するときには、この上下の隙間S2を利用して、雪を屋根本体R2に逃がせばよい。上下方向に開いた隙間S2の寸法は、例えば10〜50mm程度とすることが望ましい。尚、左右方向に若干の開き(離隔)があっても良いことは勿論である。
【0035】
このような構造によれば、切妻や寄棟などの勾配屋根(R2)においても、雪の重量を分散させることが可能となり、同時に屋根板18の上にシーラーパネルを設けることが可能となる。
【0036】
尚、勾配屋根(R2)は、外観品質の点では問題がない。また個人住宅のように、建築物の規模が比較的小さい場合には雪の荷重によるダメージの虞れも少ない。このため、勾配屋根(R2)の場合には、屋根本体R2の一部(例えば屋根の勾配中央部分)にのみパネル受材16を設け、ソーラーパネルを設けるに必要な面積量の屋根板18を配すれば良い場合もある。
【0037】
また、いわゆる無落雪屋根に長尺の屋根板を配する場合にも、隣接する二つの屋根板の上端縁と下端縁とに段差を設けておくことが望ましい。段差によって、雪の荷重を各屋根板に分散でき、建物外への落雪も防止できるからである。また、段差を設けない場合でも、各屋根板の上端縁に垂直フランジを設けることによって、屋根雪の荷重を分散し建物外への落雪を防止することが出来る。
【0038】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係る長尺屋根板の配設構造によれば、降雪地にみられる屋根構造における、外観品質の改善を可能ならしめ、屋根雪の重量を分散解消することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る構造を無落雪屋根に適用する場合を側面から示す図である。
【図2】本発明に係るパネル受材を無落雪屋根に配する場合を例示する斜視図である。
【図3】本発明に係る構造を傾斜屋根に適用する場合を側面から示す図である。
【図4】本発明に係るパネル受材を傾斜屋根に配する場合を例示する斜視図である。
【図5】無落雪屋根を例示する図である。
【図6】傾斜屋根に雪止め材を設けた状態を例示する図である。
【符号の説明】
11 スノーダクト
14、15 傾斜屋根
16 パネル受材
18 屋根板
18P 屋根板の上端縁
18N 屋根板の下端縁
21 傾斜切込
R1 無落雪屋根の屋根本体
R2 勾配屋根の屋根本体
S、S2 隙間
【発明の属する技術分野】
本発明は、長尺の屋根板を建物の屋根部分に配する構造に関する。降雪地方における積雪重量の分散が可能で、ソーラーパネルの設置を容易とするための構造である。
【0002】
【従来の技術】
図5は、いわゆる無落雪屋根を例示するものである。無落雪屋根は、降雪地の住宅等に用いられる屋根構造で、屋根の中央付近に溝(スノーダクト)1を設け、この溝1に向かって下降傾斜させた二つの傾斜部2、3によって、側面から見るとV字状(谷型)を呈する屋根構造をとる。
【0003】
切妻屋根や寄棟屋根と異なり、V字状の無落雪屋根は、屋根の上に積もった雪が屋根の外(道路や自宅敷地)に落下することがなく、歩行者の安全や除雪の手間が省けるという利点がある。
【0004】
一方、降雪地にみられる屋根構造であるが、降雪地では大型の倉庫や公衆浴場などやや規模の大きな建築物においても切妻屋根や寄棟タイプの各種の傾斜屋根を採用することが多い。傾斜を利用して雪を落とし、屋根にかかる降雪重量を軽減するためである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、降雪地におけるこのような従来の屋根構造は、次のような問題がある。
【0006】
第一に無落雪屋根であるが、これは屋根に積もった雪を外に落とさないという点では優れているが、住宅の見栄え(外観品質)が非常に悪い。
【0007】
住宅の外観品質は、不動産価値を左右するほどに重要なポイントであり、場合によっては居住者の人柄や経済状態の判断材料にまでされるほどである。屋根雪の落雪を防止するという技術的には優れた利点がある構造であっても、外観品質の悪さは不動産価値にマイナス要因となるし、特にアパート建築物では入居者の安定確保という面で難しい課題が残る。
【0008】
第二に倉庫などの大型建築物における旧来型の傾斜屋根(切妻など)は、屋根雪を落下させて降雪の重量を軽減できる構造ではあるが、住宅密集や敷地の狭さなどの理由から、近時は、屋根の上に雪止め材を設けることが少なくない。図6は、雪止め材5を備える傾斜屋根の構造を簡略に例示するものである。
【0009】
雪止め材5は、屋根に積もった雪の落下を防止できるが、反面、比較的大型の建築物の屋根の上に大量の降雪を留めおくことになる。その結果として、降雪重量に耐えられず躯体そのものが大きなダメージを受けるケースも少なくない。
【0010】
そこで本発明の目的は、主として降雪地にみられる各種の屋根構造を前提として、外観品質の改善が可能であり、同時に屋根雪の重量を分散解消できる構造を提供する点にある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するため、本発明に係る長尺屋根板の配設構造は、軒に向かう方向に傾斜させた適宜長のパネル受材を設け、該パネル受材に対して略直角方向に長尺の屋根板を配して固定するものであり、各屋根板は、設置の傾斜角度を25〜45度の範囲とする一方、隣接する上下の屋根板同士の間に適宜間隔の隙間を設ける(請求項1)。
【0012】
屋根板は、下方の屋根板の上端縁の下方位置に上方の屋根板の下端縁が位置するよう設置するとともに、下方の屋根板の上端縁と上方の屋根板の下端縁との間に、5〜50mmの範囲で隙間を設ける場合がある(請求項2)。
【0013】
屋根板の上面の一部または全部にソーラーパネルを配する場合がある(請求項3)。
【0014】
【作用】
本発明に係る長尺屋根板の配設構造は、無落雪屋根、或いは伝統的な切妻屋根や寄棟屋根の上に、軒に向かう方向に傾斜させたパネル受材を設ける。
【0015】
傾斜型の屋根である切妻や寄棟では、屋根の傾斜を利用してその上にパネル受材を設ければ良い。側面谷型を呈する無落雪屋根は、パネル受材を支えるための屋根の傾斜が存在しないから、パネル受材を逆V字状に組んでその上に屋根板を配設することになる。
【0016】
屋根板の傾斜角度は、側面から見て25〜45度の範囲とする。この角度は、ソーラーパネルの好ましい設置角度である。住宅の外観品質の向上や屋根雪対策と同時に、屋根板の上にソーラーパネル(太陽電池モジュール)を設置することを予め予定しておくことが望ましいからである。
【0017】
パネル受材の上に配設する屋根板は、上下に隙間を設ける。これは降雪を徐々に、屋根本体に逃がすことによって、本発明に係る特殊構造の長尺屋根板にかかる降雪重量を軽減するためである。上下の屋根板の間に少なくとも1cm、好ましくは5cm程度の隙間(傾斜角に沿って測定した場合の隙間寸法)があれば、降雪の一部は当該隙間を通って建築物の屋根本体に逃れるから、本発明に係る長尺屋根板の上に積もる雪の重量はその何割かが確実に軽減される。また本発明に係る長尺屋根板に積もった雪は、日中の陽光によって融け、屋根板の間の隙間を通って少しずつ建築物の屋根本体に逃れる。
【0018】
無落雪屋根の場合は、屋根本体に融雪用の加熱手段を備えることが少なくないため、本発明に係る長尺屋根板の隙間を通って積もった雪は速やかに融雪排除することが出来る。
【0019】
また、屋根板の隙間を通して本発明に係る長尺屋根板の上に残る雪の量を軽減させるため、陽光や暖気(外気温)による効率の良い融雪現象が見込まれ、本発明に係る長尺屋根板の上に残る雪の量も建築物の屋根本体に積もる雪の量も、速やかな融雪をみる。雪の性質は、層厚が大きくなるほど融けにくいが、薄くなるほど外気温等の温度変化に反応して融け易くなるからである。これは、切妻屋根や寄棟屋根も同じである。
【0020】
無落雪屋根と異なり、切妻屋根や寄棟屋根は、建築物の屋根本体に山型(逆V字状)の傾斜がある。このため、パネル受材は当該屋根本体の勾配に対して垂直方向に配するが、パネル受材の上に配する屋根板の傾斜角度は25〜45度の範囲とする必要があるため、各屋根板は、通常の場合、パネル受材の設置角度(屋根本体の勾配角度)よりも若干急峻に設ける必要がある。
【0021】
そして、各屋根板の設置角度をパネル受材の設置角度より大きくするときには、屋根板を接近して設けると、屋根の上で勾配の上段に位置する屋根板の下端縁より、勾配の下段に位置する屋根板の上端縁の方が、上下位置関係では上に位置する。従って、請求項1に記載した屋根板同士の間の「隙間」は、山型を呈する傾斜屋根の場合には、隣接する屋根板同士に生じ得る上下の隙間を利用すればよいことになる。
【0022】
【発明の実施の形態】
図1、図2は、本発明に係る長尺屋根板の配設構造を、谷型(V字状)を呈する無落雪屋根に対して適用する場合を例示するものである。
【0023】
図1は、スノーダクト11を挟んで谷型となるよう設計した二つの傾斜屋根14、15からなる無落雪屋根R1の上に、所定角度で設置したパネル受材16を設け、このパネル受材16上に長尺の屋根板18を配した状態を側面から示すものである。また図2は、パネル受材16の上に長尺の屋根板18を幾枚か配した状態を具体的に示す斜視図である。
【0024】
本発明では、長尺の屋根板18の設置角度を25〜45度の範囲とするので、無落雪屋根R1の場合は、適宜長のパネル受材16を用いて、各パネル受材16が25〜45度の傾斜角度をもつように組み上げる。これが図2の状態である。パネル受材16の下方端末部Dは、建築物の外壁19よりも外側に突出させ、傾斜屋根の構造に外観上類似する構造をとるように設計することが望ましい。
【0025】
屋根上に配設するパネル受材16は、予想できる降雪時の最大重量に耐え得る構造強度を保証できる限り、その本数や部材径寸は限定されない。パネル受材16の設置本数や径寸は、屋根(R1)の大きさや降雪量などの条件に応じて個別に設計すべき事項だからである。
【0026】
本発明の場合、パネル受材16の上に配設する長尺の屋根板18は、上下の屋根板同士をその上下端縁に形成したハゼ部(折り返し成形部)によって係合係止させる必要はないから、樹脂や金属に限らずどのような素材の成形板を用いても構わない。しかし、住宅の美観保持という点や降雪荷重に耐えうる点では広く流通している長尺屋根板を利用して良いことは勿論である。
【0027】
長尺の屋根板18は、上下の屋根板同士の間に若干の隙間Sを設ける。この隙間Sは、例えば15〜50mmとする。隙間Sの目的は、屋根板18の上に積もった雪を屋根本体(R1)に逃がすためであるから、大きく設計する方が機能上は好ましいのであるが、隙間Sが大きすぎると屋根の美観を損なう可能性があるため、通常の個人住宅や小規模アパートの場合は前記寸法(15〜50mm)の範囲に収めることが望ましい。
【0028】
従って、かかる長尺屋根板の配設構造によれば、住宅の外観品質を損なうという懸念が少なくなかった無落雪屋根に対して、切妻型屋根のような傾斜屋根の構造を自在に提供できることになり、降雪地に見られる住宅の外観品質を格段に高めることが出来る。
【0029】
屋根本体の上に付加する屋根は、外観品質を高めるものであるから、コスト的にいっても最小限度の構造強度を実現すれば良い。無落雪屋根(R1)の場合は、25〜45度の角度をもって設置したパネル受材16(例えば角材;垂木材)の上に長尺の屋根板18を隙間Sをあけて設置するだけで良いから、材料コストも作業性も良好である。
【0030】
外観品質の点だけで云えば、パネル受材16の設置角度を25〜45度の範囲とする必要はない。むしろ、もっと緩やかな傾斜の方が外観品質は向上する可能性もある。それにも拘わらず、敢えてパネル受材16の傾斜角度を25〜45度の範囲とするのは、屋根本体(R1)の上に新たに設ける長尺の屋根板18の上にソーラーパネル(太陽電池モジュール)を配することを考慮するためである。ソーラーパネルの好ましい設置角度は緯度によっても異なるが、国内の場合は概ね40度を中心とする25〜45度の範囲に設定すれば、良好な受光結果を得る。
【0031】
なお、屋根板18の上にソーラーパネルを設ける場合には、必ずしも全部の屋根板18の上にソーラーパネルをまんべんなく設ける必要はない。必要な電力量を満たすだけの受光素子を屋根板18の適宜箇所に配するだけでも良い。
【0032】
図3、図4は、本発明に係る長尺屋根板の配設構造を、山型(逆V字状)を呈する切妻屋根に対して適用する場合を例示するものである。切妻屋根のような勾配屋根に対して長尺の屋根板18を配する場合は、屋根本体(R2)の傾斜に沿ってパネル受材16を配設固定すれば良い。
【0033】
しかし通常の勾配屋根の傾斜角度は、本発明を実現するための角度(25〜45度)よりもかなり緩やかである(約17度)。そこで、屋根本体R2の傾斜に沿って配するパネル受材16の上に、25〜45度の角度をもって屋根板18を配するため、例えば図3に示すように、屋根板18を固定するパネル受材16に傾斜切込21を設け、この傾斜切込21を利用して屋根板18の傾斜角度を適宜の角度に設定することが出来る。
【0034】
一方、このような傾斜切込21を利用して屋根板18を設けると、下方の屋根板18の上端縁18Pが、上方の屋根板18の下端縁18Nより上下の位置関係で下方に位置することになる。そこで、切妻のような勾配屋根に長尺の屋根板18を設置するときには、この上下の隙間S2を利用して、雪を屋根本体R2に逃がせばよい。上下方向に開いた隙間S2の寸法は、例えば10〜50mm程度とすることが望ましい。尚、左右方向に若干の開き(離隔)があっても良いことは勿論である。
【0035】
このような構造によれば、切妻や寄棟などの勾配屋根(R2)においても、雪の重量を分散させることが可能となり、同時に屋根板18の上にシーラーパネルを設けることが可能となる。
【0036】
尚、勾配屋根(R2)は、外観品質の点では問題がない。また個人住宅のように、建築物の規模が比較的小さい場合には雪の荷重によるダメージの虞れも少ない。このため、勾配屋根(R2)の場合には、屋根本体R2の一部(例えば屋根の勾配中央部分)にのみパネル受材16を設け、ソーラーパネルを設けるに必要な面積量の屋根板18を配すれば良い場合もある。
【0037】
また、いわゆる無落雪屋根に長尺の屋根板を配する場合にも、隣接する二つの屋根板の上端縁と下端縁とに段差を設けておくことが望ましい。段差によって、雪の荷重を各屋根板に分散でき、建物外への落雪も防止できるからである。また、段差を設けない場合でも、各屋根板の上端縁に垂直フランジを設けることによって、屋根雪の荷重を分散し建物外への落雪を防止することが出来る。
【0038】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係る長尺屋根板の配設構造によれば、降雪地にみられる屋根構造における、外観品質の改善を可能ならしめ、屋根雪の重量を分散解消することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る構造を無落雪屋根に適用する場合を側面から示す図である。
【図2】本発明に係るパネル受材を無落雪屋根に配する場合を例示する斜視図である。
【図3】本発明に係る構造を傾斜屋根に適用する場合を側面から示す図である。
【図4】本発明に係るパネル受材を傾斜屋根に配する場合を例示する斜視図である。
【図5】無落雪屋根を例示する図である。
【図6】傾斜屋根に雪止め材を設けた状態を例示する図である。
【符号の説明】
11 スノーダクト
14、15 傾斜屋根
16 パネル受材
18 屋根板
18P 屋根板の上端縁
18N 屋根板の下端縁
21 傾斜切込
R1 無落雪屋根の屋根本体
R2 勾配屋根の屋根本体
S、S2 隙間
Claims (3)
- 長尺の屋根板を屋根の上に配設する構造であって、
軒に向かう方向に傾斜させた適宜長のパネル受材を設け、
該パネル受材に対して略直角方向に長尺の屋根板を配して固定するものであり、
各屋根板は、設置の傾斜角度を25〜45度の範囲とする一方、
隣接する上下の屋根板同士の間に適宜間隔の隙間を設けることを特徴とする長尺屋根板の配設構造。 - 屋根板は、下方の屋根板の上端縁の下方位置に上方の屋根板の下端縁が位置するよう設置するとともに、
下方の屋根板の上端縁と上方の屋根板の下端縁との間に、5〜50mmの範囲で上下方向の隙間を設けることを特徴とする請求項1記載の長尺屋根板の配設構造。 - 屋根板の上面の一部または全部にソーラーパネルを配することを特徴とする請求項1または請求項2記載の長尺屋根板の配設構造。
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---|---|---|---|
JP2002268946A JP2004107908A (ja) | 2002-09-13 | 2002-09-13 | 長尺屋根板の配設構造 |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2008075346A (ja) * | 2006-09-21 | 2008-04-03 | Daiwa Denki Kk | 無落雪屋根住宅におけるソーラーパネル架台の固定構造 |
JP2015010446A (ja) * | 2013-07-02 | 2015-01-19 | トヨタホーム株式会社 | 建物の屋根構造 |
-
2002
- 2002-09-13 JP JP2002268946A patent/JP2004107908A/ja active Pending
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