JP2004107734A - 電子部品のめっき方法、及び電子部品 - Google Patents

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Abstract

【課題】はんだ濡れ性が劣化するのを回避して良好な実装性を有するめっき皮膜を形成することのできるようにする。
【解決手段】前処理工程11、自己触媒Niめっき工程12、及び置換Auめっき工程13により、セラミック素体の表面に形成されたCu電極上にNi−P皮膜及びAu皮膜を順次形成する。そして、後処理工程13では、pH4.0以下及び錯化剤を含有した溶液のうちの少なくともいずれか一方を含む溶液をNi除去液として使用し、Au皮膜の形成されたセラミック素体を前記Ni除去液に浸漬し、Au皮膜の表面に付着しているNi化合物を除去する。
【選択図】 図3

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は電子部品のめっき方法、及び電子部品に関し、より詳しくは半導体素子やコンデンサ、抵抗器等の外部電子部品がはんだを介して接合されたセラミック多層基板等の電子部品のめっき方法、及び該めっき方法を使用して製造された電子部品に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、セラミック多層基板等の電子部品は、一般に高分子系材料やセラミック系材料で形成された絶縁基体に内部導体が埋設されると共に、該絶縁基体の表面に外部導体が形成され、外部導体と内部導体とが電気的に接続されている。そして、前記外部導体のうち、少なくともはんだを介して外部電子部品に接続される外部導体については、電極部を構成するCu等の導電性材料がはんだ中に拡散して消失するのを回避するために前記電極部の表面にNi皮膜が形成され、またNi皮膜の酸化を防止し且つはんだ濡れ性の向上を図るべくNi皮膜の表面にAu皮膜が形成されている。
【0003】
尚、外部電子部品とは、セラミック多層基板等の電子部品に搭載される半導体素子やコンデンサ、抵抗器等の電子部品をいう。
【0004】
また、Ni皮膜やAu皮膜等のめっき皮膜を形成する方法としては、電解めっき法と無電解めっき法とがあるが、セラミック多層基板のような微細で複雑な導電パターンが要求されるものについては、電流分布の影響を受けることがない無電解めっきが多用されている。
【0005】
そして、前記無電解めっき法には、めっき液に還元剤を添加し該還元剤の酸化反応によって生ずる電子を金属の析出反応に利用する自己触媒型と、溶液中の金属イオンと素地金属間で生じる置換反応を利用した置換型とがあるが、Ni皮膜については、自己触媒型無電解めっき(以下、「自己触媒めっき」という)により形成し、Au皮膜については、置換型無電解めっき(以下、「置換めっき」という)により形成することが行われており、従来より、この種の関連技術が各種提案されている(特許文献1〜3参照)。
【0006】
【特許文献1】
特開平11−335859号公報
【特許文献2】
特開平8−325744号公報
【特許文献3】
特開2000−223442号公報
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の方法で形成されためっき皮膜は、はんだ付け時の熱負荷や湿中放置によってはんだ濡れ性が劣化し、このため電子部品と外部電子部品との間で接合不良や接合強度の低下等、実装不良が生じる虞があるという問題点があった。
【0007】
本発明はこのような問題点に鑑みなされたものであって、はんだ濡れ性が劣化するのを回避して良好な実装性を有するめっき皮膜を形成することのできる電子部品のめっき方法、及び電子部品を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、はんだ濡れ性を向上させるべく、めっき皮膜の表面性状について鋭意研究を行ったところ、置換Auめっき処理を施した直後においても、Auと置換したNi2+がAuめっき液中に存在し、このため、Ni2+がNi化合物となってAu皮膜の表面に付着し、その結果前記Ni化合物がAu皮膜の一部を被覆してはんだ濡れ性の劣化を招来することが判明した。
【0009】
したがって、はんだ濡れ性を向上させるためには、Au皮膜の表面に付着しているNi化合物を除去する必要がある。
【0010】
そこで、本発明に係る電子部品のめっき方法は、基板素体の表面に形成された導電部にめっき処理を施し、Niを主成分とするNi皮膜及びAuを主成分とするAu皮膜を順次形成し、その後、前記Au皮膜の表面に付着しているNi化合物を除去する後処理を行なうことを特徴としている。
【0011】
また、上記Ni化合物は水に対する溶解度が小さいため、通常の水洗や湯洗では除去することができない。
【0012】
そこで、本発明者が鋭意研究したところ、Niの溶解度が純水よりも大きな溶液、具体的には水素イオン指数pH(以下、単に「pH」という)が4.0以下に調製された酸性溶液及び錯化剤を含有した溶液のうちの少なくともいずれか一方の溶液をNi除去液として使用し、前記Ni化合物を前記Ni除去液に接触させることにより、Au皮膜の表面からNi化合物を除去することができるという知見を得た。
【0013】
すなわち、本発明のめっき方法は、前記後処理は、前記Ni化合物をNi除去液と接触させる接触処理を施し、前記Ni化合物を前記Au皮膜上から除去することを特徴とし、前記Ni除去液は、前記Ni除去液は、Niの溶解度が純水よりも大きい溶液、具体的には、pHが4.0以下及び錯化剤を含有した溶液のうちの少なくともいずれか一方の溶液を含むことを特徴としている。
【0014】
また、接触処理としては、Au皮膜がNi化合物で被覆された基板素体をNi除去液に浸漬させたり、Ni除去液をNi化合物に撒布する方法がある。
【0015】
そこで、本発明のめっき方法は、前記接触処理は、前記Au皮膜が形成されている基板素体を前記Ni除去液に浸漬することにより行うことを特徴とし、或いは前記Ni除去液を前記Ni化合物に撒布することにより行うことを特徴としている。
【0016】
また、本発明に係る電子部品は、上記めっき方法を使用して製造されていることを特徴としている。
【0017】
上記電子部品によれば、Au皮膜上のNi化合物が除去されているので、はんだ濡れ性が劣化することもなく、良好なはんだ付け性を有する電子部品を得ることができる。
【0018】
また、本発明に係る電子部品は、外部電子部品がはんだを介して電気的に接続されていることを特徴としている。
【0019】
上記電子部品によれば、Au皮膜上のNi化合物が除去されているので、はんだ濡れ性に起因した実装不良が生じることのない電子部品を得ることができる。
【0020】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施の形態を図面を参照しながら詳説する。
【0021】
図1は本発明に係るめっき方法を使用して製造された電子部品としてのセラミック多層基板の一実施の形態を示す断面図であって、該セラミック多層基板は、複数のセラミックシート(第1〜第4のセラミックシート1a〜1d)が積層されてセラミック素体2を形成している。
【0022】
また、セラミック素体2の表面には外部導体4a〜4gが形成されると共に、該セラミック素体2の内部には所定パターンの内部導体3a〜3eが埋設され、ビアホール5a〜5gを介して各内部導体間3a〜3e、又は内部導体3a〜3eと外部導体4a〜4gとが電気的に接続されている。
【0023】
さらに、外部導体4b〜4e上には外部電子部品としての半導体素子6及びコンデンサ7がはんだを介して接続されている。
【0024】
また、外部導体4(4a〜4g)は、図2に示すように、Cuを主成分とした電極部(以下、「Cu電極」という)8の表面にNi−P皮膜9が形成され、さらにNi−P皮膜9の表面にAu皮膜10が形成されている。
【0025】
次に、上記セラミック多層基板の製造方法を説明する。
【0026】
まず、所定形状に成形された第1〜第4のセラミックシート1a〜1dに対しビアホール5a〜5gを形成し、次いで、導電性ペーストを使用し、所定の配線パターンを第1〜第3のセラミックシート1a〜1c上にスクリーン印刷して内部導体3a〜3eを形成し、その後、第1〜第4のセラミックシート1a〜1dを積層し、所定温度で焼成処理してセラミック素体2を形成する。
【0027】
次いで、セラミック素体2の表面にCuを主成分とする導電性ペーストを塗布した後、焼付処理を行なって所定パターンのCu電極8が形成された被めっき物を作製し、該被めっき物に一連の前処理を行なった後、無電解めっき処理を行なう。
【0028】
図2は無電解めっきの処理手順を示す工程図である。
【0029】
まず、前処理工程11では、被めっき物から有機物質や無機物質による汚染を除去すると共に、めっき液とCu電極8との濡れ性を向上させるべく、被めっき物に脱脂処理を施す、尚、脱脂処理はアセトン等の非水系溶液で実施することが望ましいが、pH4〜10のエマルジョン系脱脂液や水を使用してもよい。
【0030】
次いで、被めっき物を硫酸塩やクエン酸等の酸性水溶液に浸漬してCu電極8の表面に固着している酸化物をエッチング除去し、さらにCu電極8の表面に形成されたスマットを酸性処理液で除去する。
【0031】
次に、自己触媒Niめっき工程12では、被めっき物をPd触媒液に浸漬し、Cu電極8にPd触媒を付与する。そして、還元剤として、Niに対し優れた還元性を有するホスフィン酸塩を使用し、浴温60〜90℃の無電解Niめっき液に被めっき物を浸漬して無電解Niめっきを施し、Cu電極8上にNi−P皮膜9を形成する。
【0032】
尚、ホスフィン酸塩としては、ホスフィン酸ナトリウム(NaHPO)、ホスフィン酸カリウム(KHPO)、ホスフィン酸カルシウム(Ca(HPO)等の可溶性塩を使用することができる。
【0033】
また、無電解Niめっき液のNi2+の供給源としては、各種ニッケル塩を使用することができ、例えば水酸化ニッケル(Ni(OH))、炭酸ニッケル(NiCO)、硫酸ニッケル(NiSO)、塩化ニッケル(NiCl)、スルファミン酸ニッケル(Ni(NHSO)、硫酸ニッケルアンモニウム((NHNi(SO・6HO)等を使用することができ、また無電解Niめっき液には、クエン酸やグルタミン酸等の錯化剤、その他の添加剤が含有され、pHが4〜10に調製されている。
【0034】
次いで、置換Auめっき工程13では、Au或いはAu を含有した浴温55〜90℃のめっき液(Auめっき液)に被めっき物を浸漬してNi−P皮膜9上にAuめっきを施す。
【0035】
すなわち、Ni−P皮膜9が形成された被めっき物をAuめっき液に浸漬すると、電気化学的に卑な金属であるNiが溶出して電子(e)を放出し、該放出された電子(e)によって貴なAu或いはAu が還元され、AuがNi−P皮膜9上に析出し、これによりAu皮膜10が形成される。
【0036】
尚、Auめっき液のAu或いはAu の供給源としては、塩化金ナトリウムや亜硫酸金ナトリウムなどの金塩を使用することができ、またAuめっき液には、前記金塩の他、シアン化ナトリウムや亜硫酸ナトリウム、チオ硫酸などの錯化剤、その他の添加剤が含有され、pHが5〜9に調製されている。
【0037】
次に、後処理工程14では、Au皮膜10が形成されたセラミック素体2をNi除去液に浸漬し、Au皮膜10の表面に付着しているNi化合物を除去する。
【0038】
すなわち、従来より、Au皮膜10におけるはんだ濡れ性の低下は下地皮膜であるNi−P皮膜9が経時的にAu皮膜10に拡散し、Au皮膜10の表面にNi化合物が形成するためと考えられていたが、本発明者の研究結果により、置換Auめっき工程13が終了した直後においてもAu皮膜10の表面にNi化合物が存在し、該Ni化合物がはんだ濡れ性を劣化させていることが判明した。すなわち、置換Auめっき工程13では、Auと置換したNi2+がAuめっき液中に存在し、該Au皮膜10の表面に付着することによりAu皮膜10の一部がNi(OH)やNiOなどのNi化合物によって被覆され、しかもこれらNi化合物は水への溶解度が小さいため水洗や湯洗では除去できず、厚みが数nmであってもはんだ濡れ性を低下させることが判明した。
【0039】
そこで、本実施の形態では、後処理工程14で被めっき物を水洗した後、Ni除去液に浸漬し、Ni化合物を除去している。
【0040】
そして、Ni化合物は純水に対して難溶性を示すことから、Ni除去液としては、少なくともNi溶解度が純水よりも大きい溶液を使用する必要がある。
【0041】
このような条件を充足するNi除去液としては、純水(pHが5〜8)よりもpHが小さい酸性溶液及び錯化剤を含有した溶液のうちの少なくともいずれか一方を含む溶液を使用することができる。
【0042】
ここで、酸性溶液としては、pHが4.0以下に調製された塩酸、硫酸、硝酸等を使用することができ、錯化剤としては、クエン酸、グリシン、酢酸、グルコン酸、グルタミン酸、酒石酸、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DPTA)、りんご酸、マロン酸、亜硫酸、アンモニア、スルファミン酸等を使用することができる。
【0043】
また、Ni化合物の溶解量は溶解速度と処理時間とによって決定されるが、溶解速度が過度に速いとNi−P皮膜9やセラミック素体2を浸食する。したがって、Ni−P皮膜9やセラミック素体2の浸食を防止するためにはNi化合物の溶解速度を極力遅くするのが望ましい。
【0044】
しかしながら、Au皮膜10の表面に付着しているNi化合物の厚みは約20nmであり、Ni除去液に浸漬された多数の電子部品の全数にNi除去液が浸透するためには数秒は要する。
【0045】
すなわち、Ni−P皮膜9やセラミック素体2の浸食を防止しつつ、Ni化合物を除去するためには、Niの溶解速度は0.3μm/min以下に調整するのが好ましい。
【0046】
尚、溶解速度の制御は、Ni除去液の浴温や撹拌状態の他、Ni除去液に酸性溶液を使用する場合はNi除去液のpH、Ni除去液に錯化剤を含有した溶液を使用する場合は錯化剤濃度を調整することにより行うことができる。
【0047】
そしてこのようにNi除去液でAu皮膜上のNi化合物を除去した後、水洗処理を施し、その後乾燥処理を行う。
【0048】
尚、水洗処理は脱気水を使用するのが好ましい。これは水洗水の溶存酸素濃度が高いとNi−P皮膜9が溶出し易くなるためである。また、乾燥処理では30℃以下でブロワー乾燥することが好ましい。これは加熱乾燥するとNi−P皮膜9がAu皮膜10の表面にまで熱拡散してはんだ濡れ性が低下するためである。
【0049】
このように本実施の形態では、pHが4.0以下の酸性溶液及び錯化剤を含有した溶液のうちの少なくともいずれか一方を含む溶液をNi除去液として使用し、Au皮膜10の表面に付着しているNi化合物を前記Ni除去液で除去しているので、はんだ濡れ性の劣化を防止することができ、電子部品上に半導体素子6やコンデンサ7等の電子部品をはんだ付けして実装した場合であっても接合不良や接合強度の低下を招くのを回避することができる。
【0050】
尚、本発明は上記実施の形態に限定されるものではない。上記実施の形態では、セラミック素体2をNi除去液に浸漬してNi化合物を除去しているが、Ni除去液をNi化合物上に撒布することにより、Ni化合物を除去するのも好ましい。
【0051】
また、上記実施の形態では、電極部としてCu電極8を使用しているが、Ag、Ag−Pd合金、或いはAuを使用しても同様である。
【0052】
また、上記実施の形態ではセラミック多層基板を例示して説明したが、チップ型のコンデンサやインダクタについても同様に適用できるのはいうまでもない。
【0053】
【実施例】
次に、本発明の実施例を具体的に説明する。
【0054】
(第1の実施例)
本発明者は、まず、縦10mm、横30mm、板厚0.3mmの無酸素Cu板を水洗処理した後、温度25℃のペルオキソ二硫酸アンモニウム溶液に1分間浸漬し、エッチング処理をした後、水洗処理した。
【0055】
次いで、水温25℃のPd触媒液に、2分間浸漬して無酸素Cu板上にPd触媒を付与し、浴温80℃、pHが4.7の無電解Niめっき液に20分間、浸漬し、膜厚4μmのNi−P皮膜を形成した。
【0056】
次に、純水で洗浄した後、浴温65℃のAuめっき液に被めっき物を10分間浸漬し、厚さ0.05μmのAu皮膜を形成した。
【0057】
そして、水洗処理を行なった後、pH1.3の希硝酸、pH2.0の希硫酸、pH2.5のペルオキソ二硫酸アンモニウム水溶液(10kg/m)、錯化剤として10mol/mのクエン酸水溶液にそれぞれ10秒間浸漬した。
【0058】
また、上述と同様、無酸素Cu板にNi−P皮膜を形成した後、Au皮膜を形成し、次いで、温度25℃の純水、及び温度80℃の純水に10秒間浸漬した。
【0059】
次に、本発明者は、SAT−5000(レスカ社製)を使用し、メニスコグラフ法によりはんだの引張力とはんだの排斥力とが等しくなるゼロクロス時間を測定した。すなわち、浸漬速度20mm/min、浸漬深さ5mm、浸漬時間15secで浴温235℃のはんだ溶融槽(60%Sn−40%Pb)に浸漬し、前記ゼロクロス時間を測定し、はんだ濡れ性を評価した。
【0060】
表1はゼロクロス時間の測定結果を示している。
【0061】
【表1】
Figure 2004107734
この表1から明らかなように比較例1及び2は、純水に浸漬しているに過ぎないため、Au皮膜の表面に付着しているNi化合物を除去することができず、ゼロクロス時間が2.5sec、2.3secと長く、はんだ濡れ性に劣っている。
【0062】
これに対して実施例1〜3はpHが4.0以下の溶液に浸漬しており、また実施例4は錯化剤水溶液に浸漬しているので、Au皮膜の表面に付着しているNi化合物を除去することができ、ゼロクロス時間が0.7〜0.8secと短く、はんだ濡れ性が大幅に向上することが確認された。
【0063】
(第2の実施例)
本発明者は、第1の実施例と同様の方法・手順で無酸素Cu板にNi−P皮膜及びAu皮膜を形成した後、pH2.0の希塩酸に所定時間浸漬し、Ni化合物の被覆率(以下、「Ni被覆率」という)とゼロクロス時間との関係を測定し、はんだ濡れ性を評価した。
【0064】
尚、Ni被覆率(atm%)はX線光電子分光法(XPS)で測定し、ゼロクロス時間は第1の実施例と同様の方法で測定した。
【0065】
また、Au皮膜を形成した直後のNi被覆率は20%であった。
【0066】
図4はその測定結果を示している。
【0067】
この図4から明らかなように、はんだ濡れ性とNi被覆率との間には相関関係があり、Ni被覆率が低下するに伴い、ゼロクロス時間が短くなってはんだ濡れ性が向上することが分かる。
【0068】
【発明の効果】
以上詳述したように本発明に係る電子部品のめっき方法は、基板素体の表面に形成された導電部にめっき処理を施し、Niを主成分とするNi皮膜及びAuを主成分とするAu皮膜を順次形成し、その後、前記Au皮膜の表面に付着しているNi化合物を除去する後処理を行なうので、はんだ濡れ性を大幅に向上させることが可能となる。
【0069】
また、本発明のめっき方法は、前記後処理は、前記Ni化合物をNiの溶解度が純水よりも大きいNi除去液、具体的にはpHが4.0以下の酸性溶液及び錯化剤を含有した溶液のうちの少なくともいずれか一方を含む溶液と接触させる接触処理を施し、前記Ni化合物を前記Au皮膜上から除去するので、はんだ濡れ性の劣化原因であるAu皮膜の表面に付着しているNi化合物を簡便に除去することができる。
【0070】
また、前記接触処理は、前記Au皮膜が形成されている基板素体を前記Ni除去液に浸漬することにより行うか、或いは前記Ni除去液を前記Ni化合物に撒布することにより行うことにより、Ni化合物をAu皮膜から容易に除去することができる。
【0071】
また、本発明に係る電子部品は、上記めっき方法を使用して製造されているので、Au皮膜上のNi化合物が除去されており、はんだ濡れ性が劣化することもなく、良好なはんだ付け性を有する実装性に優れた電子部品を得ることができる。
【0072】
さらに、本発明の電子部品は、外部電子部品がはんだを介して電気的に接続されているので、電子部品を搭載してもはんだ濡れ性に起因した接合不良や接合強度の低下を回避することのできる電子部品を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のめっき方法を使用して製造された電子部品としてのセラミック多層基板の一実施の形態を示す断面図である。
【図2】図1の要部拡大図である。
【図3】本発明に係る電子部品としてのセラミック多層基板のめっき方法を示すめっき工程図である。
【図4】第2の実施例におけるNi被覆率とゼロクロス時間との関係を示す特性図である。
【符号の説明】
2  セラミック素体(基板素体)
6  半導体素子(電子部品)
7  コンデンサ(電子部品)
8  Cu電極(導電部)
9  Ni皮膜
10 Au皮膜

Claims (8)

  1. 基板素体の表面に形成された導電部にめっき処理を施し、Niを主成分とするNi皮膜及びAuを主成分とするAu皮膜を順次形成し、その後、前記Au皮膜の表面に付着しているNi化合物を除去する後処理を行なうことを特徴とする電子部品のめっき方法。
  2. 前記後処理は、前記Ni化合物をNi除去液と接触させる接触処理を施し、前記Ni化合物を前記Au皮膜上から除去することを特徴とする請求項1記載の電子部品のめっき方法。
  3. 前記Ni除去液は、Niの溶解度が純水よりも大きい溶液であることを特徴とする請求項2記載の電子部品のめっき方法。
  4. 前記Ni除去液は、水素イオン指数pHが4.0以下の酸性溶液及び錯化剤を含有した溶液のうちの少なくともいずれか一方の溶液を含むことを特徴とする請求項3記載の電子部品のめっき方法。
  5. 前記接触処理は、前記Au皮膜が形成されている基板素体を前記Ni除去液に浸漬することにより行うことを特徴とする請求項2乃至請求項4のいずれかに記載の電子部品のめっき方法。
  6. 前記接触処理は、前記Ni除去液を前記Ni化合物に撒布することにより行うことを特徴とする請求項2乃至請求項4のいずれかに記載の電子部品のめっき方法。
  7. 請求項1乃至請求項6のいずれかに記載のめっき方法を使用して製造されていることを特徴とする電子部品。
  8. 外部電子部品がはんだを介して電気的に接続されていることを特徴とする請求項7記載の電子部品。
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