JP2004107516A - ポリエステル樹脂及びポリエステル繊維 - Google Patents

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Abstract

【課題】カチオン染料による染色性が良好であり、かつ難燃性、耐光性にも優れた繊維を形成するのに好適なポリエステル樹脂、及びそのようなポリエステル繊維を提供する
【解決手段】ポリエステルを構成する繰り返し単位の80モル%以上がエチレンテレフタレート単位であり、スルホン酸塩基含有成分がポリエステルの全酸成分に対して0.5〜5.0モル%共重合されており、下記一般式〔1〕で示される有機リン化合物がポリエステル中のリン原子の含有量として5000〜15000ppmとなるよう共重合されており、ジエチレングリコールの含有量が5モル%以下であることを特徴とするポリエステル樹脂。
【化1】
Figure 2004107516

〔1〕
(式中、Xはアルキル基の水素原子のうち2個以上がカルボキシル基で置換されたアルキル基を表す。)
【選択図】   なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、カチオン染料での染色性に優れ、かつ難燃性及び耐光性も良好な繊維を提供することが可能なポリエステル樹脂、及びそのようなポリエステル繊維に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ポリエステル、特にポリエチレンテレフタレート(以下、PETと略記する)はその優れた機械的特性及び化学的特性のため、 衣料用、産業用等の繊維のほか、磁気テープ用、コンデンサー用等のフィルムあるいはボトル等の成形物用として広く用いられている。
しかし、ポリエステルは衣料用繊維としては染色性が良好とは言えず、また、分散染料による染色が一般的であるため、染色物の鮮明さが劣るなどの欠点を有している。
このような欠点を補うために、5−ナトリウムスルホイソフタル酸等に代表されるスルホン酸塩基含有成分を共重合したポリエステル(以下、スルホン酸塩基共重合ポリエステルと略す)が、塩基性染料に可染性のポリエステルとして公知である(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
しかしながら、上記したようなスルホン酸塩基共重合ポリエステルは、通常のポリエステルよりも溶融粘度が高く、燃焼時の溶融落下が起きにくいために延焼しやすいという欠点を有しており、難燃性が要求される分野での使用が制限されるという問題がある。
このような問題を解決する方法として、特定の含リンジカルボン酸化合物とスルホン酸塩基含有成分を含有するポリエステル繊維が提案されている(例えば、特許文献2参照)。しかし、特にスルホン酸塩基含有成分を共重合する際には、その酸触媒作用によって重合反応過程でジエチレングリコールの生成が促進され、得られるポリエステル中のジエチレングリコール含有量が高くなる傾向にある。したがって、リン化合物が共重合されているうえにジエチレングリコール含有量が高いことにより、耐光性に問題が生じるおそれがあるため、用途が制限される場合がある。
【0004】
【特許文献1】
特公昭34−10497号公報
【特許文献2】
特開平7−109621号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記のような現状に鑑み、本発明の課題は、カチオン染料による染色性が良好であり、かつ難燃性、耐光性にも優れた繊維を形成するのに好適なポリエステル樹脂、及びそのようなポリエステル繊維を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記の課題を解決するものであって、ポリエステルを構成する繰り返し単位の80モル%以上がエチレンテレフタレート単位であり、スルホン酸塩基含有成分がポリエステルの全酸成分に対して0.5〜5.0モル%共重合されており、下記一般式〔1〕で示される有機リン化合物がポリエステル中のリン原子の含有量として5000〜15000ppmとなるよう共重合されており、ジエチレングリコールの含有量が5モル%以下であることを特徴とするポリエステル樹脂を要旨とするものである。
【0007】
【化3】
Figure 2004107516
(式中、Xはアルキル基の水素原子のうち2個以上がカルボキシル基で置換されたアルキル基を表す。)
【0008】
また、本発明は、繊維表面が上記のポリエステル樹脂で形成されてなることを特徴とするポリエステル繊維を要旨とするものである。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明のポリエステル樹脂においては、ポリエステルを構成する繰り返し単位の80モル%、好ましくは90モル%以上がエチレンテレフタレート単位である。エチレンテレフタレート単位の割合が80モル%未満であると、ポリエステルに特有の良好な物性が低下する。
【0010】
本発明のポリエステル樹脂には、スルホン酸塩基含有成分が全酸成分に対して0.5〜5.0モル%共重合されていることが必要である。スルホン酸塩基含有成分の共重合量が0.5モル%未満であると、十分な染色性能が得られず、ポリエステル樹脂から得られる繊維がカチオン染料に染まり難いものとなる。一方、5.0モル%を超えると、ポリエステル樹脂の溶融粘度が高くなるため、重合度を十分に上げることが困難となる結果、紡糸操業性が悪くなったり、糸強度等が低下したりする。
【0011】
上記のスルホン酸塩基含有成分としては、ポリエステルと反応する官能基を有するスルホン酸塩基含有成分であれば特に限定されるものではないが、例えば、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、5−カリウムスルホイソフタル酸、5−リチウムスルホイソフタル酸、ナトリウムスルホナフタレンジカルボン酸、5−ナトリウムスルホテレフタル酸等が挙げられる。このうち、特に5−ナトリウムスルホイソフタル酸が、紡糸性及び得られる繊維のカチオン染料による発色性を良好にするので好ましい。
【0012】
また、本発明のポリエステル樹脂には、下記一般式〔1〕で示される有機リン化合物が、ポリエステル中のリン原子の含有量として5000〜15000ppmとなるよう、好ましくは6000〜10000ppm共重合されている。
【0013】
【化4】
Figure 2004107516
(式中、Xはアルキル基の水素原子のうち2個以上がカルボキシル基で置換されたアルキル基を表す。)
【0014】
上記の有機リン化合物の共重合割合がリン原子の含有量として5000ppm未満では、十分な難燃性能が得られない。一方、15000ppmを超えると、ポリエステルの重合性が悪くなるため重合度を十分に上げることが困難となり、紡糸性が悪くなったり、繊維としたときの強度が不足する。
【0015】
上記の一般式〔1〕で示される有機リン化合物の具体例としては、下記式(a)〜(c)で示される化合物が挙げられる。(a)は9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド(以下、HCAと略記する)のイタコン酸付加体、(b)はHCAのマレイン酸又はフマル酸付加体、(c)はHCAの1−ブテン−3,4−ジカルボン酸付加体を示す。これらのなかでも、有機リン化合物の安定性、リン原子含有率の高さ、繊維製造工程での有機リン化合物の揮発や飛散の少なさ、及び繊維物性への影響等を総合的に勘案すると、式(a)で示される化合物である、HCAのイタコン酸付加体(以下、HCA−IAと略記する)が特に好ましい。
【0016】
【化5】
Figure 2004107516
【0017】
上記のような有機リン化合物をポリエステルに共重合する方法としては、ポリエステルを製造する際に有機リン化合物をそのまま反応系に添加して反応させる方法が工業的に好ましいが、有機リン化合物をエチレングリコール、メタノール等と反応させてエステル体の形にしてから反応系に添加してもよい。
【0018】
本発明のポリエステル樹脂においては、ジエチレングリコール(以下、DEGと略記する)の含有量が5モル%以下であることが必要である。ポリエステル樹脂中のDEGの含有量が5モル%を超えると、ポリエステル樹脂を加工して得られる繊維の耐光性が低下して、染色物が色あせするといった現象が起こりやすくなる。
ポリエステル樹脂中のDEGの含有量は、スルホン酸塩基含有成分の共重合割合が大きくなるにつれ、その酸触媒作用によって増加する傾向にある。また、ポリエステル中の有機リン化合物の共重合割合が大きくなる場合にも、ポリエステル樹脂の重合性が低下して、目標粘度に到達させるまでの反応時間が長くなるため、やはりDEGの含有量が高くなる傾向にある。
【0019】
本発明者らは、ポリエステル樹脂を製造するにあたり、スルホン酸塩基含有成分や有機リン化合物の添加時期、添加後の反応条件によりポリエステル樹脂中のDEGの含有量を制御することができることを見出した。すなわち、本発明においては、スルホン酸塩基含有成分及び有機リン化合物を250℃以下の温度条件下で反応系に添加し、その後15分以内に減圧を開始して重縮合反応を開始させることにより、本発明のポリエステル樹脂中のDEG含有量を5mol%未満とすることができる。
【0020】
本発明のポリエステル樹脂には、本発明の目的を損なわない範囲において、上記した以外の共重合成分が少量含まれていてもよい。そのような共重合成分の例としては、イソフタル酸、無水フタル酸、ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸成分、アジピン酸、セバシン酸等の脂肪族ジカルボン酸成分、1,3−プロピレングリコール、1,4ーシクロヘキサンジメタノール、1,4−ブタンジオール、ポリエチレングリコール等のグリコール成分、4−ヒドロキシ安息香酸、ε−カプロラクトン等のヒドロキシカルボン酸成分が挙げられる。
また、本発明の目的を損なわない範囲において、本発明のポリエステル樹脂には、ヒンダードフェノール系化合物のような抗酸化剤、コバルト化合物、蛍光剤、染料のような色調改良剤、二酸化チタンのような顔料、酸化セリウムのような耐光性改良材等の添加剤が添加されていてもよい。
【0021】
本発明のポリエステル樹脂は、例えば次のような方法により製造することができる。
まず、テレフタル酸とジオールを直接エステル化させるか、テレフタル酸の低級アルキルエステルとジオールをエステル交換させることにより、ポリエステルオリゴマー(PETオリゴマー)を合成する。次いで、これにスルホン酸塩基含有成分及び有機リン化合物、必要に応じて用いられる上記した添加物等を250℃以下の温度条件下で添加し、その後15分以内に重縮合反応を開始させ、反応開始後に所定温度まで内温を上昇させる。
重縮合反応は、通常、アンチモン、ゲルマニウム、スズ、チタン、亜鉛、アルミニウム、もしくはコバルト等の金属化合物(触媒)の存在下で、0.12〜12hPa程度の減圧下、250〜290℃の温度で、極限粘度が0.5以上となるまで行うことが好ましい。
【0022】
次に、本発明のポリエステル繊維について説明する。
本発明のポリエステル繊維は、本発明のポリエステル樹脂により形成されるポリエステル繊維であり、上記したような本発明のポリエステル樹脂の構成がもたらす作用により、カチオン染料による染色性が良好であり、かつ、難燃性及び耐光性に優れたポリエステル繊維となっている。本発明の目的を達成するうえで、本発明のポリエステル繊維は、その全てが本発明のポリエステル樹脂で形成されていてもよいが、少なくとも繊維表面が本発明のポリエステル樹脂で形成されていれば足りる。例えば、芯鞘構造を有し、その鞘部が本発明のポリエステル樹脂で形成されているポリエステル繊維は、本発明のポリエステル繊維に含まれる。
【0023】
本発明のポリエステル繊維は、上記した本発明のポリエステル樹脂を原料として、これを常法により乾燥し、通常の溶融紡糸機に供給してポリエステルの融点より好ましくは20℃以上高い温度で溶融紡糸し、糸条を冷却後に未延伸糸または半未延伸糸としていったん捲き取るか、あるいは、捲き取ることなしに引き続いて延伸、熱処理等を行うことにより製造することができる。
なお、本発明の目的が損なわれない限りにおいて、他の樹脂との複合繊維としてもよい。
また、ポリエステル繊維としては、長繊維でも短繊維でもよく、さらに、必要に応じて捲縮加工、仮撚加工、薬液による処理等の後加工がを施されたものであってもよい。
【0024】
【作用】
本発明のポリエステル樹脂は、スルホン酸塩基含有成分が共重合されており、繊維とした場合に、カチオン染料による染色性が良好な繊維が得られる。従来一般のスルホン酸塩基共重合ポリエステルは、通常のポリエステルよりも溶融粘度が高いために燃焼しやすいという欠点を有しているが、本発明のポリエステル樹脂は特定の有機リン化合物を含有しており、これが燃焼時にポリエステルの熱分解を促進して溶融落下を助長するため、優れた難燃性を示す。
また、反応条件を適切に選択することにより、ポリエステル樹脂中のDEG含有量を抑制して耐光性に優れたものとすることができる。
さらに、本発明のポリエステル樹脂は操業性が良く、安定してポリエステル繊維を生産することができる。
【0025】
【実施例】
次に、実施例により本発明を具体的に説明する。
なお、実施例及び比較例中に示したポリエステル樹脂及び繊維の特性は、以下の方法により測定もしくは評価したものである。
(1)極限粘度〔η〕
フェノールとテトラクロロエタンとの等質量混合物を溶媒とし、温度20℃で測定した。
(2)リン原子含有量
蛍光X線スぺクトロメーター(リガク社製3270型)を用いて、蛍光X線法により定量した。
(3)DEGの含有量
ポリエステル樹脂をアルカリ加水分解後、ガスクロマトグラフ法によりEGとDEGのモル数を定量し、次式により算出した。
【0026】
【数1】
Figure 2004107516
【0027】
(4)繊維の強伸度
オリエンティック社製テンシロンRTC−1210型を用い、50cm長の繊維を試料として、50cm/分の速度にて引張試験を行い、そのストレス−ストレイン曲線から求めた。
(5)難燃性
得られたフィラメントヤーンを筒編みにしたものをサンプルとして、JIS  K 7201に準拠してLOI値(限界酸素指数)を測定し、28以上のものを合格とした。
(6)繊維の染色性
得られたフィラメントヤーンを筒編みにし、常法により60℃、20分間の精練を行った後、下記の条件により130℃で60分間染色した後風乾した。次に小型ピンテンターを用いて150℃、1分間の熱セットを行った後、4枚重ねのサンプル片を作製し、そのサンプル片の色調L値を色彩色差計(ミノルタ社製CR−100型)で測定し、染色性の指標とした。L値が低いほど繊維が濃色に染色されていることを示すものであり、L値40以下を合格とした。
Figure 2004107516
【0028】
(7)耐光性
上記(6)に記載の染色した筒編みをサンプルとして、JIS  L 0841に準拠して染色耐光堅牢度を測定し、4級以上のものを合格とした。
【0029】
実施例1
PETオリゴマーの存在するエステル化反応缶に、テレフタル酸とエチレングリコールとの物質量比が1:1.6であるスラリーを連続的に供給し、温度250℃、圧力0.1MPa、滞留時間8時間の条件で、エステル化反応を行い、反応率95%のPETオリゴマーを連続的に得た。
このエステル化反応させたPETオリゴマー56.8kgを重縮合反応缶に移送した後、エチレングリコール(以下、EGと略記する)を6.5kg添加して40分間解重合を行い、重縮合反応缶内の温度が240℃の時点で、HCA−IAの濃度が33 質量%に調製されたEG溶液8.5kg(HCA−IAがポリエステルの全酸成分に対して4.3モル%となる量に相当する)、二酸化チタンの濃度が34質量%に調製されたEGスラリー0.7kg(二酸化チタンが生成するポリマーに対し0.4質量%となる量に相当する)、三酸化アンチモンの濃度が2質量%に調製されたEG溶液0.8kg(三酸化アンチモンがポリエステルの全酸成分1モルに対して2×10−4モルとなる量に相当する)、及び5−ナトリウムスルホイソフタル酸のエチレングリコールエステル(以下SIPGと略記する)の濃度が35質量%に調製されたEG溶液4.6kg(SIPGがポリエステルの全酸成分に対して1.5モル%となる量に相当する)をそれぞれ添加した。その5分後、減圧を開始して60分後に1.2hPa以下とし、反応缶内の温度は減圧開始後30分間で275℃まで昇温させた。この条件で、攪拌しながら4時間重縮合反応を行った後、常法により払い出してペレット化して、本発明のポリエステル樹脂を得た。
次に、このポリエステル樹脂ペレットを常法により乾燥した後、通常の溶融紡糸装置を用いて紡糸温度290℃で溶融紡糸し、1400m/分の速度で未延伸糸を捲き取った。この未延伸糸を延伸機に供給し、80℃で予熱した後、温度150℃のヒートプレートに接触させながら3.5倍に延伸、熱処理して捲き取ることにより、83デシテックス/36フィラメントのポリエステルフィラメントヤーンを得た。
【0030】
実施例2〜4、比較例1〜4
スルホン酸塩基含有成分の種類及び共重合割合、有機リン化合物の種類および共重合割合を表1に示すように種々変更した以外は、実施例1と同様に行うことにより、ポリエステル樹脂及びポリエステルフィラメントヤーンを得た。
【0031】
比較例5
実施例1と同様にしてエステル化反応させたPETオリゴマー56.8kgを重縮合反応缶に移送した後、EGを6.5kg添加して40分間解重合を行い、重縮合反応缶内の温度が240℃の時点で、HCA−IAの濃度が33質量%に調製されたEG溶液8.5kg(HCA−IAがポリエステルの全酸成分に対して4.3モル%となる量に相当する)、二酸化チタンの濃度が34質量%に調製されたEGスラリー0.7kg(二酸化チタンが生成するポリマーに対し0.4質量%となる量に相当する)、三酸化アンチモンの濃度が2質量%に調製されたEG溶液0.8kg(三酸化アンチモンがポリエステルの全酸成分1モルに対して2×10−4モルとなる量に相当する)、及びSIPGの濃度が35質量%に調製されたEG溶液4.6kg(SIPG      がポリエステルの全酸成分に対して1.5モル%となる量に相当する)をそれぞれ添加した。その後、反応缶内の温度を30分間で275℃に昇温するとともに、上記各EG溶液添加の20分後から圧力を徐々に減じて60分後に1.2hPa以下とした。この条件で、攪拌しながら4時間重縮合反応を行った後、常法により払い出してペレット化して、ポリエステル樹脂を得た。
次に、このポリエステル樹脂ペレットを常法により乾燥した後、実施例1と同様の方法で紡糸、延伸を行い、83デシテックス/36フィラメントのフィラメントヤーンを得た。
【0032】
上記の実施例及び比較例で得られたポリエステル樹脂及びフィラメントヤーンの特性について測定及び評価した結果を下記表1にまとめて示す。
【0033】
【表1】
Figure 2004107516
【0034】
表1に示された結果から明らかなように、実施例1〜4では、繊維化するのに適した極限粘度を有し、DEGの含有量も低い本発明のポリエステル樹脂が得られた。そして当該ポリエステル樹脂を製糸加工することにより、染色性、難燃性、及び耐光性の良好な本発明のポリエステル繊維を操業性良く得ることができた。
これに対して比較例1では、スルホン酸塩基含有成分(SIPG)の共重合割合が小さすぎたために、得られた繊維は染色性に劣るものであった。
また、比較例2では、スルホン酸塩基含有成分(SIPG)の共重合割合が大きすぎたために、その酸触媒作用によりDEG含有量が5モルを超え、結果として溶融粘性が高くなったことによりポリエステルの重合度を上げることができず、得られたポリエステル樹脂の極限粘度が繊維化するのに十分な値とならなかった。したがって、紡糸を行うことができなかった。
また、比較例3では、有機リン化合物(HCA−IA)の共重合割合が小さすぎたために、ポリエステル樹脂中のリン原子の含有量が少ないものとなり、得られた繊維のLOI値は目標値に達せず、満足な難燃性が得られなかった。
また、比較例4では、有機HCA−IAの共重合割合が大きすぎたためにポリエステルの重合性が悪くなり、繊維化するのに適した極限粘度が得られず、紡糸することができなかった。
また、比較例5では、SIPGやHCA−IA添加から重縮合反応開始までの時間が長く、反応開始時の温度が高くなったために、ポリエステル樹脂中のDEGの含有量が5モル%を超えた結果、得られた繊維の耐光性は不十分なものとなった。
【0035】
【発明の効果】
本発明のポリエステル樹脂を用いることにより、カチオン染料での染色性が良好で、難燃性及び耐光性にも優れた繊維を得ることができるので、そのような優れた性能を有する繊維構造物として、インテリア用品等幅広い用途に適用できる。

Claims (3)

  1. ポリエステルを構成する繰り返し単位の80モル%以上がエチレンテレフタレート単位であり、スルホン酸塩基含有成分がポリエステルの全酸成分に対して0.5〜5.0モル%共重合されており、下記一般式〔1〕で示される有機リン化合物がポリエステル中のリン原子の含有量として5000〜15000ppmとなるよう共重合されており、ジエチレングリコールの含有量が5モル%以下であることを特徴とするポリエステル樹脂。
    Figure 2004107516
    (式中、Xはアルキル基の水素原子のうち2個以上がカルボキシル基で置換されたアルキル基を表す。)
  2. 有機リン酸化合物は、下記式(a)〜(c)で示される化合物から選択されるものであることを特徴とする請求項1に記載のポリエステル樹脂。
    Figure 2004107516
  3. 繊維表面が請求項1〜2に記載のいずれかのポリエステル樹脂により形成されてなることを特徴とするポリエステル繊維。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN111875786A (zh) * 2020-08-07 2020-11-03 安徽皖维高新材料股份有限公司 一种腈纶同浴染色型波斯纶用聚酯及其制备方法

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