JP2004107277A - ノルボルネン系化合物、ケイ素含有化合物、ポリシロキサンおよび感放射線性樹脂組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】波長200nm以下の放射線に対する透明性が高く、解像度に優れ、アルカリ現像液に対する溶解性の制御が容易なレジストの樹脂成分等として有用な、含フッ素ノルボルナン骨格を有する新規ポリシロキサン、該ポリシロキサンの合成原料ないし中間体等として有用な新規ケイ素含有化合物および新規ノルボルネン系化合物、並びに該ポリシロキサンを含有する感放射線性樹脂組成物を提供する。
【解決手段】ノルボルネン系化合物は5−ヘプタフルオロプロポキシ−5,6,6−トリフルオロビシクロ[ 2.2.1 ]ヘプト−2−エン等に代表され、ケイ素含有化合物は5−ヘプタフルオロプロポキシ−5,6,6−トリフルオロビシクロ[ 2.2.1 ]ヘプチル・トリエトキシシラン等に代表される。ポリシロキサンは該ケイ素含有化合物に由来する構造単位を有し、感放射線性樹脂組成物は該ポリシロキサンおよび感放射線性酸発生剤を含有する。
【選択図】 なし
【解決手段】ノルボルネン系化合物は5−ヘプタフルオロプロポキシ−5,6,6−トリフルオロビシクロ[ 2.2.1 ]ヘプト−2−エン等に代表され、ケイ素含有化合物は5−ヘプタフルオロプロポキシ−5,6,6−トリフルオロビシクロ[ 2.2.1 ]ヘプチル・トリエトキシシラン等に代表される。ポリシロキサンは該ケイ素含有化合物に由来する構造単位を有し、感放射線性樹脂組成物は該ポリシロキサンおよび感放射線性酸発生剤を含有する。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、フッ素原子含有ノルボルナン骨格を有する新規ポリシロキサンの合成原料等として有用な新規ケイ素含有化合物、該ケイ素含有化合物の合成原料等として有用な新規ノルボルネン系化合物、該ポリシロキサン、該ポリシロキサンを含有する感放射線性樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、LSI(高集積回路)の高密度化、高集積化に対する要求が益々高まっており、それに伴い配線パターンの微細化も急速に進行している。
このような配線パターンの微細化に対応しうる手段の一つとして、リソグラフィープロセスに用いる放射線を短波長化する方法があり、近年では、g線(波長436nm)やi線(波長365nm)等の紫外線に替えて、KrFエキシマレーザー(波長248nm)あるいはArFエキシマレーザー(波長193nm)に代表される遠紫外線や、電子線、X線等が用いられるようになっており、またF2 エキシマレーザー(波長157nm)の使用も検討されている。
ところで、従来のレジスト組成物には、樹脂成分としてノボラック樹脂、ポリ(ビニルフェノール)等が用いられてきたが、これらの材料は構造中に芳香族環を含み、193nmの波長に強い吸収があるため、例えばArFエキシマレーザーを用いたリソグラフィープロセスでは、高感度、高解像度、高アスペクト比に対応した高い精度が得られない。
そこで、200nm以下の波長に対して透明で、かつ芳香族環と同等以上のドライエッチング耐性を有するレジスト用樹脂成分が求められている。その一つとしてシロキサン系ポリマーが考えられ、MIT R.R.Kunzらは、ポリシロキサン系ポリマーが、200nm以下の波長、特に157nmでの透明性に優れるという測定結果を提示しており、このポリマーが193nm以下の波長を用いるリソグラフィープロセスにおけるレジスト材料に適していると報告している(例えば、非特許文献1、非特許文献2参照。) 。また、ポリシロキサン系ポリマーはドライエッチング耐性に優れ、中でもラダー構造をもつポリオルガノシルセスキオキサンを含むレジストが高い耐プラズマ性を有することも知られている。
【0003】
一方、シロキサン系ポリマーを用いるレジスト材料についても既に幾つか報告されている。即ち、カルボン酸エステル基、フェノールエーテル基等の酸解離性基が1個以上の炭素原子を介してケイ素原子に結合した、側鎖に酸解離性基を有するポリシロキサンを用いた放射線感応性樹脂組成物(例えば、特許文献1参照。)、ポリ(2−カルボキシエチルシロキサン)のカルボキシル基をt−ブチル基等の酸解離性基で保護したポリマーを用いたポジ型レジスト(例えば、特許文献2参照。)、酸解離性エステル基を有するポリオルガノシルセスキオキサンを用いたレジスト樹脂組成物(例えば、特許文献3参照。)が開示されている。しかし、これらの従来の酸解離性基含有シロキサン系ポリマーを用いたレジスト材料では、放射線に対する透明性、解像度、現像性等のレジストとしての基本物性の点で未だ満足できるレベルにあるとはいえない。
さらに、カルボキシル基を有する非芳香族系の単環式もしくは多環式炭化水素基または有橋環式炭化水素基を側鎖に有し、かつ該カルボキシル基の少なくとも1部が酸不安定性基で置換されたシロキサン系ポリマー、および該ポリマーを用いたレジスト材料が報告されており(例えば、特許文献4参照。)、このレジスト材料は、KrFエキシマレーザー(波長248nm)あるいはArFエキシマレーザー(波長193nm)の吸収が小さく、パターン形状が良好であり、また感度、解像度、ドライエッチング耐性等にも優れているとされている。
しかしながら、特許文献4のシロキサン系ポリマーを含めても、レジスト材料の樹脂成分として有用なシロキサン系ポリマーの種類は少なく、短波長の放射線に有効に感応し、高度のドライエッチング耐性を備えつつ、レジストとしての基本物性に優れたレジスト材料をもたらしうる新たなシロキサン系ポリマーの開発は、半導体素子における急速な微細化の進行に対応しうる技術開発の観点から重要な課題となっている。
【0004】
【非特許文献1】
J. Photopolym. Sci. Technol., Vol.12, No.4 (1999) P.561−570
【非特許文献2】
SPIE, Vol.3678 (1999) P.13−23
【特許文献1】
特開平5−323611号公報
【特許文献2】
特開平8−160623号公報
【特許文献3】
特開平11−60733号公報
【特許文献4】
特開平11−302382号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、ArFエキシマレーザー(波長193nm)あるいはF2 エキシマレーザー(波長157nm)に代表される波長200nm以下の放射線に有効に感応し、放射線に対する透明性が高く、解像度が優れ、かつ樹脂成分のアルカリ現像液に対する溶解性の制御が容易であり、また感度、現像性、ドライエッチング耐性等にも優れたレジストの樹脂成分等として有用な、フッ素原子含有ノルボルナン骨格を有する新規ポリシロキサン、該ポリシロキサンの合成原料等として有用な新規ケイ素含有化合物、該ケイ素含有化合物の合成原料等として有用な新規ノルボルネン系化合物、該ポリシロキサンを含有する感放射線性樹脂組成物を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、第一に、
下記一般式(α)で表されるノルボルネン系化合物(以下、「ノルボルネン系化合物(α)」という。)からなる。
【0007】
【化4】
【0008】
〔一般式(α)において、各Z1 は相互に独立に水素原子、フッ素原子または炭素数1〜4の1価のフッ素化炭化水素基を示し、かつZ1 の少なくとも1つがフッ素原子または炭素数1〜4の1価のフッ素化炭化水素基であり、R1 はヒドロキシメチル基または−A−R’ 基(但し、Aは酸素原子またはジフルオロメチレン基であり、R’ は炭素数1〜10の1価の炭化水素基、炭素数1〜10の1価のハロゲン化炭化水素基またはヒドロキシル基で置換された炭素数1〜10の1価のハロゲン化炭化水素基である。)を示し、nは0または1である。〕
ノルボルネン系化合物(α)は、その橋頭結合部と−R1 基がシス配置であるエキソ形ないしトランス配置であるエンド形の構造を有することができる。
【0009】
本発明は、第二に、
下記一般式(1)または一般式(2)で表されるケイ素含有化合物(以下、「ケイ素含有化合物(a)」という。)、からなる。
【0010】
【化5】
【0011】
〔一般式(1)および一般式(2)において、X1 は水素原子、炭素数1〜20の1価の炭化水素基、炭素数1〜20の1価のハロゲン化炭化水素基、ハロゲン原子または1級、2級もしくは3級のアミノ基を示し、複数存在するX1 は相互に同一でも異なってもよく、Y1 は炭素数1〜20の1価の炭化水素基または炭素数1〜20の1価のハロゲン化炭化水素基を示し、複数存在するY1 は相互に同一でも異なってもよく、X2 は水素原子、炭素数1〜20の1価の炭化水素基、炭素数1〜20の1価のハロゲン化炭化水素基、炭素数1〜20の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルコキシル基、ハロゲン原子または1級、2級もしくは3級のアミノ基を示し、各Z1 は相互に独立に水素原子、フッ素原子または炭素数1〜4の1価のフッ素化炭化水素基を示し、かつZ1 の少なくとも1つがフッ素原子または炭素数1〜4の1価のフッ素化炭化水素基であり、各R1 は相互に独立にヒドロキシメチル基または−A−R’ 基(但し、Aは酸素原子またはジフルオロメチレン基であり、R’ は炭素数1〜10の1価の炭化水素基、炭素数1〜10の1価のハロゲン化炭化水素基またはヒドロキシル基で置換された炭素数1〜10の1価のハロゲン化炭化水素基である。)を示し、xは0〜2の整数であり、yは3〜5の整数であり、各nは相互に独立に0または1である。〕
【0012】
ケイ素含有化合物(a)は、そのケイ素原子が、最上位にあるビシクロ[ 2.2.1 ]ヘプタン環の2−位ないし3−位に結合している。
また、一般式(2)で表されるケイ素含有化合物(a)は、yが3、4または5の何れかである化合物、あるいはyが異なる2種以上の化合物の混合物であることができる。
【0013】
本発明は、第三に、
下記一般式(I)で表される構造単位(以下、「構造単位(I)」という。)および一般式(II)で表される構造単位(以下、「構造単位(II)」という。)の群から選ばれる少なくとも1種を有する、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)によるポリスチレン換算重量平均分子量が500〜1,000,000のポリシロキサン(以下、「ポリシロキサン(A)」という。)、からなる。
【0014】
【化6】
【0015】
〔一般式(I)および一般式(II)において、X1 は水素原子、炭素数1〜20の1価の炭化水素基、炭素数1〜20の1価のハロゲン化炭化水素基、ハロゲン原子または1級、2級もしくは3級のアミノ基を示し、各Z1 は相互に独立に水素原子、フッ素原子または炭素数1〜4の1価のフッ素化炭化水素基を示し、かつZ1 の少なくとも1つがフッ素原子または炭素数1〜4の1価のフッ素化炭化水素基であり、各R1 は相互に独立にヒドロキシメチル基または−A−R’ 基(但し、Aは酸素原子またはジフルオロメチレン基であり、R’ は炭素数1〜10の1価の炭化水素基、炭素数1〜10の1価のハロゲン化炭化水素基またはヒドロキシル基で置換された炭素数1〜10の1価のハロゲン化炭化水素基である。)を示し、各nは相互に独立に0または1である。〕
【0016】
本発明は、第四に、
(イ)ポリシロキサン(A)のうち、酸解離性基を有するアルカリ不溶性またはアルカリ難溶性の樹脂であって、該酸解離性基が解離したときアルカリ易溶性となる樹脂(以下、「ポリシロキサン(A1)」という。)、並びに(ロ)感放射線性酸発生剤を含有することを特徴とする感放射線性樹脂組成物、からなる。
【0017】
以下、本発明について詳細に説明する。
ノルボルネン系化合物(α)
一般式(α)におけるZ1 およびR1 としては、例えば、後述する一般式(1)および一般式(2)におけるそれぞれZ1 およびR1 について例示する基と同様のものを挙げることができる。
【0018】
本発明において、好ましいノルボルネン系化合物(α)の具体例としては、下記式(α−1−1) 〜式(α−1−28)で表される化合物、下記式(α−2−1) 〜式(α−2−28)で表される化合物等を挙げることができる。
【0019】
【化7】
【0020】
【化8】
【0021】
【化9】
【0022】
【化10】
【0023】
【化11】
【0024】
【化12】
【0025】
【化13】
【0026】
【化14】
【0027】
【化15】
【0028】
【化16】
【0029】
【化17】
【0030】
【化18】
【0031】
【化19】
【0032】
【化20】
【0033】
【化21】
【0034】
【化22】
【0035】
【化23】
【0036】
【化24】
【0037】
【化25】
【0038】
【化26】
【0039】
【化27】
【0040】
【化28】
【0041】
【化29】
【0042】
【化30】
【0043】
これらのノルボルネン系化合物(α)のうち、特に、式(α−1−1) 、式(α−1−2) 、式(α−1−3) 、式(α−1−9) 、式(α−1−11)、式(α−1−17)、式(α−1−19)、式(α−1−24)、式(α−1−25)、式(α−1−26)、式(α−1−28)、式(α−2−3) 、式(α−2−9) 、式(α−2−17)、式(α−2−19)、式(α−2−24)、式(α−2−25)、式(α−2−26)または式(α−2−28)で表される化合物等が好ましい。
【0044】
ノルボルネン系化合物(α)は、例えば、対応するビニル化合物とシクロペンタジエンとのディールス−アルダー反応によって合成することができる。
【0045】
ノルボルネン系化合物(α)は、特に、下記するケイ素含有化合物(a)の合成原料として有用であるほか、関連するノルボルネン誘導体やノルボルナン誘導体の合成原料、ポリマーの合成原料等としても使用することができる。
【0046】
ケイ素含有化合物(a)
一般式(1)および一般式(2)において、Z1 の炭素数1〜4の1価のフッ素化炭化水素基としては、例えば、トリフルオロメチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、ペンタフルオロエチル基、3,3,3−トリフルオロ−n−プロピル基、3,3,3,2,2−ペンタフルオロ−n−プロピル基、ヘプタフルオロ−n−プロピル基、4,4,4−トリフルオロ−n−ブチル基、4,4,4,3,3−ペンタフルオロ−n−ブチル基、4,4,4,3,3,2,2−ヘプタフルオロ−n−ブチル基、ノナフルオロ−n−ブチル基等を挙げることができる。
Z1 としては、フッ素原子、トリフルオロメチル基、ノナフルオロ−n−ブチル基等が好ましく、複数存在するZ1 の2つ以上がフッ素原子である場合が特に好ましい。
【0047】
また、R1 が−A−R’ 基であるとき、R’ の炭素数1〜10の1価の炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、2−メチルプロピル基、1−メチルプロピル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、3−メチルブチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、n−ノニル基、n−デシル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキル基;フェニル基、o−トリル基、m−トリル基、p−トリル基、ベンジル基、フェネチル基、α−ナフチル基、β−ナフチル基等の芳香族炭化水素基;ノルボルニル基、トリシクロデカニル基、テトラシクロデカニル基、アダマンチル基等の有橋式炭化水素基等を挙げることができる。
これらの1価の炭化水素基のうち、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基等が好ましい。
【0048】
また、R’の炭素数1〜10の1価のハロゲン化炭化水素基としては、例えば、前記炭素数1〜10の1価の炭化水素基を、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等の1種以上あるいは1個以上、好ましくは1個以上のフッ素原子で置換した基(以下、「フッ素化炭化水素基」という。)を挙げることができる。
【0049】
好ましいフッ素化炭化水素基の具体例としては、トリフルオロメチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、ペンタフルオロエチル基、3,3,3−トリフルオロ−n−プロピル基、3,3,3,2,2−ペンタフルオロ−n−プロピル基、ヘプタフルオロ−n−プロピル基、4,4,4−トリフルオロ−n−ブチル基、4,4,4,3,3−ペンタフルオロ−n−ブチル基、4,4,4,3,3,2,2−ヘプタフルオロ−n−ブチル基、ノナフルオロ−n−ブチル基、5,5,5−トリフルオロ−n−ペンチル基、5,5,5,4,4−ペンタフルオロ−n−ペンチル基、5,5,5,4,4,3,3−ヘプタフルオロ−n−ペンチル基、5,5,5,4,4,3,3,2,2−ノナフルオロ−n−ペンチル基、パーフルオロ−n−ペンチル基、パーフルオロ−n−オクチル基等を挙げることができる。
【0050】
これらのフッ素化炭化水素基のうち、特に、トリフルオロメチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、ペンタフルオロエチル基、3,3,3−トリフルオロ−n−プロピル基、3,3,3,2,2−ペンタフルオロ−n−プロピル基、ヘプタフルオロ−n−プロピル基、ノナフルオロ−n−ブチル基、パーフルオロ−n−ペンチル基等が好ましい。
【0051】
また、R’のヒドロキシル基で置換された炭素数1〜10の1価のハロゲン化炭化水素基としては、例えば、炭素数1〜10の1価の炭化水素基を1個以上のヒドロキシル基と、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等の1種以上あるいは1個以上、好ましくは1個以上のフッ素原子とで置換した基(以下、「ヒドロキシル基含有フッ素化炭化水素基」という。)を挙げることができる。
【0052】
好ましいヒドロキシル基含有フッ素化炭化水素基としては、例えば、1,1−ジフルオロ−2−ヒドロキシエチル基、1,1,2,2−テトラフルオロ−3−ヒドロキシ−n−プロピル基、1,1,2,2−テトラフルオロ−4−ヒドロキシ−n−ブチル基、1,1,2,2−テトラフルオロ−3,3−ジ(トリフルオロメチル)−3−ヒドロキシ−n−プロピル基、1,1,2,2,3,3−ヘキサフルオロ−4−ヒドロキシ−n−ブチル基、1,1,2,2,3,3−ヘキサフルオロ−5−ヒドロキシ−n−ペンチル基、1,1,2,2,3,3,4,4−オクタフルオロ−5−ヒドロキシ−n−ペンチル基、1,1,2,2,3,3,4,4,5,5−デカフルオロ−6−ヒドロキシ−n−ヘキシル基等を挙げることができる。
【0053】
これらのヒドロキシル基含有フッ素化炭化水素基のうち、特に、1,1−ジフルオロ−2−ヒドロキシエチル基、1,1,2,2−テトラフルオロ−3−ヒドロキシ−n−プロピル基、1,1,2,2−テトラフルオロ−4−ヒドロキシ−n−ブチル基、1,1,2,2−テトラフルオロ−3,3−ジ(トリフルオロメチル)−3−ヒドロキシ−n−プロピル基、1,1,2,2,3,3−ヘキサフルオロ−4−ヒドロキシ−n−ブチル基、1,1,2,2,3,3−ヘキサフルオロ−5−ヒドロキシ−n−ペンチル基等が好ましい。
【0054】
また、一般式(1)におけるxとしては、0または1が好ましく、一般式(1)および一般式(2)におけるnとしてはそれぞれ、0および1がともに好ましい。
【0055】
また、X1 およびX2 の炭素数1〜20の1価の炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、2−メチルプロピル基、1−メチルプロピル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、3−メチルブチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ドデシル基、n−テトラデシル基、n−ヘキサデシル基、n−オクタデシル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキル基;フェニル基、o−トリル基、m−トリル基、p−トリル基、ベンジル基、フェネチル基、α−ナフチル基、β−ナフチル基等の芳香族炭化水素基;ノルボルニル基、トリシクロデカニル基、テトラシクロデカニル基、アダマンチル基等の有橋式炭化水素基等を挙げることができる。
これらの1価の炭化水素基のうち、メチル基、エチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ノルボルニル基、テトラシクロデカニル基等が好ましい。
【0056】
また、X1 およびX2 の炭素数1〜20の1価のハロゲン化炭化水素基としては、例えば、X1 およびX2 の前記1価の炭化水素基を1種以上あるいは1個以上のハロゲン原子、好ましくは1個以上のフッ素原子で置換した基、より具体的には、トリフルオロメチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、3,3,3−トリフルオロ−n−プロピル基、ヘプタフルオロ−n−プロピル基、4,4,4−トリフルオロ−n−ブチル基、3,3,4,4,4−ペンタフルオロ−n−ブチル基、ペンタフルオロフェニル基、4−t−ブトキシテトラフルオロフェニル基等を挙げることができる。
【0057】
また、X1 およびX2 のハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等を挙げることができる。
これらのハロゲン原子のうち、フッ素原子、塩素原子が好ましい。
また、X1 およびX2 の2級もしくは3級のアミノ基としては、例えば、メチルアミノ基、エチルアミノ基、n−プロピルアミノ基、i−プロピルアミノ基、n−ブチルアミノ基、シクロペンチルアミノ基、シクロヘキシルアミノ基、フェニルアミノ基、ベンジルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジ−i−プロピルアミノ基、ジシクロペンチルアミノ基、ジシクロヘキシルアミノ基、ジフェニルアミノ基、ジベンジルアミノ基等を挙げることができる。
X1 およびX2 のアミノ基としてはそれぞれ、アミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジシクロペンチルアミノ基、ジシクロヘキシルアミノ基、ジフェニルアミノ基等が好ましい。
【0058】
また、X2 の炭素数1〜20の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルコキシル基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基、n−ブトキシ基、2−メチルプロポキシ基、1−メチルプロポキシ基、t−ブトキシ基、n−ペンチルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基、n−ヘプチルオキシ基、n−オクチルオキシ基、n−ノニルオキシ基、n−デシルオキシ基、n−ドデシルオキシ基、n−テトラデシルオキシ基、n−ヘキサデシルオキシ基、n−オクタデシルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基等を挙げることができる。
これらのアルコキシル基のうち、メトキシ基、エトキシ基等が好ましい。
【0059】
一般式(1)におけるX1 としては、特に、メチル基、エチル基、3,3,3−トリフルオロ−n−プロピル基、4,4,4−トリフルオロ−n−ブチル基、3,3,4,4,4−ペンタフルオロ−n−ブチル基、ペンタフルオロフェニル基、4−t−ブトキシテトラフルオロフェニル基、フッ素原子、塩素原子、ジメチルアミノ基等が好ましい。
【0060】
また、一般式(2)におけるX2 としては、特に、メチル基、エチル基、3,3,3−トリフルオロ−n−プロピル基、4,4,4−トリフルオロ−n−ブチル基、3,3,4,4,4−ペンタフルオロ−n−ブチル基、ペンタフルオロフェニル基、4−t−ブトキシテトラフルオロフェニル基、フッ素原子、塩素原子、ジメチルアミノ基、メトキシ基、エトキシ基等が好ましい。
【0061】
本発明において、好ましいケイ素含有化合物(a)の具体例としては、下記式(1−1−1) 〜式(1−1−72)で表される化合物、下記式(1−2−1) 〜式(1−2−72)で表される化合物等を挙げることができる。
【0062】
【化31】
【0063】
【化32】
【0064】
【化33】
【0065】
【化34】
【0066】
【化35】
【0067】
【化36】
【0068】
【化37】
【0069】
【化38】
【0070】
【化39】
【0071】
【化40】
【0072】
【化41】
【0073】
【化42】
【0074】
【化43】
【0075】
【化44】
【0076】
【化45】
【0077】
【化46】
【0078】
【化47】
【0079】
【化48】
【0080】
【化49】
【0081】
【化50】
【0082】
【化51】
【0083】
【化52】
【0084】
【化53】
【0085】
【化54】
【0086】
【化55】
【0087】
【化56】
【0088】
【化57】
【0089】
【化58】
【0090】
【化59】
【0091】
【化60】
【0092】
【化61】
【0093】
【化62】
【0094】
【化63】
【0095】
【化64】
【0096】
【化65】
【0097】
【化66】
【0098】
【化67】
【0099】
【化68】
【0100】
【化69】
【0101】
【化70】
【0102】
【化71】
【0103】
【化72】
【0104】
【化73】
【0105】
【化74】
【0106】
【化75】
【0107】
【化76】
【0108】
【化77】
【0109】
【化78】
【0110】
【化79】
【0111】
【化80】
【0112】
【化81】
【0113】
【化82】
【0114】
【化83】
【0115】
【化84】
【0116】
【化85】
【0117】
【化86】
【0118】
【化87】
【0119】
【化88】
【0120】
【化89】
【0121】
【化90】
【0122】
【化91】
【0123】
【化92】
【0124】
【化93】
【0125】
【化94】
【0126】
これらのケイ素含有化合物(a)のうち、特に、式(1−1−1) 、式(1−1−2) 、式(1−1−3) 、式(1−1−11)、式(1−1−17)、式(1−1−19)、式(1−1−24)、式(1−1−25)、式(1−1−26)、式(1−1−28)、式(1−1−29)、式(1−1−30)、式(1−1−31)、式(1−1−34)、式(1−1−36)、式(1−1−39)、式(1−1−41)、式(1−1−46)、式(1−1−47)、式(1−1−48)、式(1−1−50)、式(1−2−1) 、式(1−2−2) 、式(1−2−3) 、式(1−2−11)、式(1−2−17)、式(1−2−19)、式(1−2−24)、式(1−2−25)、式(1−2−26)、式(1−2−28)、式(1−2−29)、式(1−2−30)、式(1−2−31)、式(1−2−34)、式(1−2−36)、式(1−2−39)、式(1−2−41)、式(1−2−46)、式(1−2−47)、式(1−2−48)または式(1−2−50)で表される化合物等が好ましい。
【0127】
ケイ素含有化合物(a)は、例えば、ノルボルネン系化合物(α)と、対応するヒドロシラン化合物とを、常法のヒドロシリル化反応により、ヒドロシリル化触媒の存在下、無溶媒下あるいは適当な溶媒中で反応させる方法により合成することができる。
【0128】
ケイ素含有化合物(a)は、特に、下記するポリシロキサン(A)の合成原料として有用であるほか、他のポリシロキサンや他の関連するケイ素含有化合物の合成原料としても使用することができる。
【0129】
ポリシロキサン(A)
ポリシロキサン(A)は、少なくとも1種のケイ素含有化合物(a)を、酸性触媒または塩基性触媒の存在下、無溶媒または溶媒中で、常法により重縮合させることによって製造することができる。この重縮合に際しては、ケイ素含有化合物(a)は、一部または全部を部分縮合物として用いることもできる。
【0130】
以下、ポリシロキサン(A)を製造する重縮合法について説明する。
前記酸性触媒としては、例えば、塩酸、硫酸、硝酸、蟻酸、酢酸、n−プロピオン酸、酪酸、吉草酸、しゅう酸、マロン酸、琥珀酸、マレイン酸、フマル酸、アジピン酸、フタル酸、テレフタル酸、無水酢酸、無水マレイン酸、クエン酸、ホウ酸、燐酸、四塩化チタン、塩化亜鉛、塩化アルミニウム、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸等を挙げることができる。
これらの酸性触媒は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
【0131】
前記塩基性触媒のうち、無機塩基類としては、例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等を挙げることができる。
【0132】
また、前記塩基性触媒のうち、有機塩基類としては、例えば、
n−ヘキシルアミン、n−ヘプチルアミン、n−オクチルアミン、n−ノニルアミン、n−デシルアミン、シクロヘキシルアミン等の直鎖状、分岐状もしくは環状のモノアルキルアミン類;
ジ−n−ブチルアミン、ジ−n−ペンチルアミン、ジ−n−ヘキシルアミン、ジ−n−ヘプチルアミン、ジ−n−オクチルアミン、ジ−n−ノニルアミン、ジ−n−デシルアミン、シクロヘキシルメチルアミン、ジシクロヘキシルアミン等の直鎖状、分岐状もしくは環状のジアルキルアミン類;
トリエチルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリ−n−ブチルアミン、トリ−n−ペンチルアミン、トリ−n−ヘキシルアミン、トリ−n−ヘプチルアミン、トリ−n−オクチルアミン、トリ−n−ノニルアミン、トリ−n−デシルアミン、シクロヘキシルジメチルアミン、ジシクロヘキシルメチルアミン、トリシクロヘキシルアミン等の直鎖状、分岐状もしくは環状のトリアルキルアミン類;
【0133】
アニリン、N−メチルアニリン、N,N−ジメチルアニリン、2−メチルアニリン、3−メチルアニリン、4−メチルアニリン、4−ニトロアニリン、ジフェニルアミン、トリフェニルアミン、ナフチルアミン等の芳香族アミン類;
エチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノジフェニルアミン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、2−(3−アミノフェニル)−2−(4−アミノフェニル)プロパン、2−(4−アミノフェニル)−2−(3−ヒドロキシフェニル)プロパン、2−(4−アミノフェニル)−2−(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,4−ビス〔1−(4−アミノフェニル)−1−メチルエチル〕ベンゼン、1,3−ビス〔1−(4−アミノフェニル)−1−メチルエチル〕ベンゼン等のジアミン類;
【0134】
イミダゾール、ベンズイミダゾール、4−メチルイミダゾール、4−メチル−2−フェニルイミダゾール等のイミダゾール類;
ピリジン、2−メチルピリジン、4−メチルピリジン、2−エチルピリジン、4−エチルピリジン、2−フェニルピリジン、4−フェニルピリジン、2−メチル−4−フェニルピリジン、ニコチン、ニコチン酸、ニコチン酸アミド、キノリン、4−ヒドロキシキノリン、8−オキシキノリン、アクリジン等のピリジン類;ピペラジン、1−(2’−ヒドロキシエチル)ピペラジン等のピペラジン類のほか、
ピラジン、ピラゾール、ピリダジン、キノザリン、プリン、ピロリジン、ピペリジン、モルホリン、4−メチルモルホリン、1,4−ジメチルピペラジン、1,4−ジアザビシクロ [2.2.2] オクタン等の他の含窒素複素環化合物
等を挙げることができる。
これらの塩基性触媒は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
【0135】
前記酸性触媒および塩基性触媒のうち、塩酸、硫酸、酢酸、しゅう酸、マロン酸、マレイン酸、フマル酸、無水酢酸、無水マレイン酸、トリエチルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリ−n−ブチルアミン、ピリジン等が好ましい。
酸性触媒または塩基性触媒の使用量は、ケイ素含有化合物の全量100重量部に対して、通常、0.01〜10,000重量部である。
【0136】
また、重縮合に用いられる溶媒としては、例えば、
2−ブタノン、2−ペンタノン、3−メチル−2−ブタノン、2−ヘキサノン、4−メチル−2−ペンタノン、3−メチル−2−ペンタノン、3,3−ジメチル−2−ブタノン、2−ヘプタノン、2−オクタノン等の直鎖状もしくは分岐状のケトン類;
シクロペンタノン、3−メチルシクロペンタノン、シクロヘキサノン、2−メチルシクロヘキサノン、2,6−ジメチルシクロヘキサノン、イソホロン等の環状のケトン類;
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノ−i−プロピルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノ−i−ブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノ−sec−ブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノ−t−ブチルエーテルアセテート等のプロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類;
【0137】
2−ヒドロキシプロピオン酸メチル、2−ヒドロキシプロピオン酸エチル、2−ヒドロキシプロピオン酸n−プロピル、2−ヒドロキシプロピオン酸i−プロピル、2−ヒドロキシプロピオン酸n−ブチル、2−ヒドロキシプロピオン酸i−ブチル、2−ヒドロキシプロピオン酸sec−ブチル、2−ヒドロキシプロピオン酸t−ブチル等の2−ヒドロキシプロピオン酸アルキル類;
3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル等の3−アルコキシプロピオン酸アルキル類;
エタノール、n−プロパノール、i−プロパノール、n−ブタノール、t−ブタノール、シクロヘキサノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル等のアルコール類;
【0138】
ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジ−n−プロピルエーテル、ジエチレングリコールジ−n−ブチルエーテル等のジアルキレングリコールジアルキルエーテル類;
エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノ−n−プロピルエーテルアセテート等のエチレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類;
トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;
2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、エトキシ酢酸エチル、ヒドロキシ酢酸エチル、2−ヒドロキシ−3−メチル酪酸メチル、3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルプロピオネート、3−メチル−3−メトキシブチルブチレート、酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸n−ブチル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル等の他のエステル類のほか、
【0139】
N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ベンジルエチルエーテル、ジ−n−ヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、カプロン酸、カプリル酸、1−オクタノール、1−ノナノール、ベンジルアルコール、酢酸ベンジル、安息香酸エチル、しゅう酸ジエチル、マレイン酸ジエチル、γ−ブチロラクトン、炭酸エチレン、炭酸プロピレン等を挙げることができる。
これらの溶媒は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
溶媒の使用量は、ケイ素含有化合物の全量100重量部に対して、通常、2,000重量部以下である。
【0140】
ポリシロキサン(A)を製造する重縮合は、無溶媒下、あるいは2−ブタノン、2−ペンタノン、3−メチル−2−ブタノン、2−ヘキサノン、4−メチル−2−ペンタノン、3−メチル−2−ペンタノン、3,3−ジメチル−2−ブタノン、2−ヘプタノン、2−オクタノン、シクロペンタノン、3−メチルシクロペンタノン、シクロヘキサノン、2−メチルシクロヘキサノン、2,6−ジメチルシクロヘキサノン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジ−n−プロピルエーテル、ジエチレングリコールジ−n−ブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノ−n−プロピルエーテルアセテート等の溶媒中で実施することが好ましい。
【0141】
また、重縮合に際しては、反応系に水を添加することもできる。この場合の水の添加量は、ケイ素含有化合物の全量100重量部に対して、通常、10,000重量部以下である。
重縮合における反応温度は、通常、−50〜+300℃、好ましくは20〜100℃であり、反応時間は、通常、1分〜100時間程度である。
【0142】
ポリシロキサン(A)は、構造単位(I)および構造単位(II)以外の構造単位(以下、「他の構造単位」という。)を1種以上有することができる。
他の構造単位を与える好ましいケイ素含有化合物(以下、「他のケイ素含有化合物」という。)としては、例えば、下記一般式(3)で表されるケイ素含有化合物(以下、「ケイ素含有化合物(3)」という。)、下記一般式(4)で表されるシラン化合物(以下、「ケイ素含有化合物(4)」という。)等の酸解離性基を有するケイ素含有化合物や、下記一般式(5)で表されるケイ素含有化合物(以下、「ケイ素含有化合物(5)」という。)、下記一般式(6)で表されるケイ素含有化合物(以下、「ケイ素含有化合物(6)」という。)、下記一般式(7)で表されるケイ素含有化合物(以下、「ケイ素含有化合物(7)」という。)等を挙げることができる。これらのケイ素含有化合物(3)〜(7)はそれぞれ、一部または全部を部分縮合物として用いることもできる。
【0143】
【化95】
【0144】
〔一般式(3)および一般式(4)において、各Eは相互に独立に酸解離性基を有する1価の有機基を示し、各R2 は相互に独立に炭素数1〜20の1価の炭化水素基または炭素数1〜20の1価のハロゲン化炭化水素基を示し、R3 は水素原子、炭素数1〜20の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、炭素数1〜20の直鎖状もしくは分岐状のハロゲン化アルキル基、炭素数6〜20の1価の芳香族炭化水素基または炭素数6〜20の1価のハロゲン化芳香族炭化水素基を示す。〕
【0145】
【化96】
【0146】
〔一般式(5)〜(7)において、各R2 および各R3 は一般式(3)および一般式(4)におけるそれぞれR2 およびR3 と同義であり、各R4 は相互に独立にヒドロキシル基、カルボキシル基、ヒドロキシル基を有する1価の有機基またはカルボキシル基を有する1価の有機基を示す。〕
【0147】
以下、ケイ素含有化合物(3)〜(7)について順次説明する。
一般式(3)および一般式(4)において、Eの酸解離性基を有する1価の有機基としては、酸により解離して、好ましくは、フェノール性水酸基、アルコール性水酸基あるいはカルボキシル基を生じる酸解離性基を有する炭素数1〜20の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、該酸解離性基を有する炭素数4〜30の1価の脂環式炭化水素基等の、ポリシロキサン(A)を製造する反応条件下で安定な基を挙げることができる。
Eにおける酸解離性基としては、例えば、下記一般式(8)または一般式(9)で表される基(以下、「酸解離性基(e)」という。)等が好ましい。
【0148】
【化97】
【0149】
〔一般式(8)および一般式(9)において、Pは単結合、メチレン基、ジフルオロメチレン基、炭素数2〜20の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキレン基、炭素数2〜20の直鎖状、分岐状もしくは環状のフルオロアルキレン基、炭素数6〜20の2価の芳香族基または炭素数3〜20の2価の他の脂環式基を示し、Gは酸により解離して水素原子を生じる1価の有機基を示す。〕
【0150】
一般式(8)および一般式(9)において、Pの炭素数2〜20の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキレン基としては、例えば、エチレン基、トリメチレン基、プロピレン基、テトラメチレン基、1,3−シクロペンチレン基、1,4−シクロヘキシレン基等を挙げることができ、炭素数2〜20の直鎖状、分岐状もしくは環状のフルオロアルキレン基としては、例えば、テトラフルオロエチレン基、2,2−ジ(トリフルオロメチル)エチレン基、ヘキサフルオロトリメチレン基、オクタフルオロテトラメチレン基等を挙げることができ、炭素数6〜20の2価の芳香族基としては、例えば、1,4−フェニレン基、1,4−ナフチレン基、テトラフルオロ−1,4−フェニレン基、パーフルオロ−1,4−ナフチレン基等を挙げることができ、また炭素数3〜20の2価の他の脂環式基としては、ノルボルネン骨格、トリシクロデカン骨格あるいはアダマンタン骨格を有する2価の炭化水素基や、これらの基のハロゲン化物等を挙げることができる。
【0151】
一般式(8)および一般式(9)におけるPとしては、エチレン基、シクロヘキシレン基、フェニレン基、テトラフルオロフェニレン基、ノルボルネン骨格を有する2価の炭化水素基やそのハロゲン化物、アダマンタン骨格を有する2価の炭化水素基やそのハロゲン化物等が好ましい。
【0152】
また、Gの酸により解離して水素原子を生じる1価の有機基としては、例えば、
メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、2−メチルプロピル基、1−メチルプロピル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−デシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、4−t−ブチルシクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基等の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキル基;
フェノキシカルボニル基、4−t−ブチルフェノキシカルボニル基、1−ナフチルオキシカルボニル基等のアリーロキシカルボニル基;
ベンジル基、4−t−ブチルベンジル基、フェネチル基、4−t−ブチルフェネチル基等のアラルキル基;
t−ブトキシカルボニル基、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、i−プロポキシカルボニル基、9−フルオレニルメチルカルボニル基、2,2,2−トリクロロエチルカルボニル基、2−(トリメチルシリル)エチルカルボニル基、i−ブチルカルボニル基、ビニルカルボニル基、アリルカルボニル基、ベンジルカルボニル基、4−エトキシ−1−ナフチルカルボニル基、メチルジチオカルボニル基等の有機カルボニル基;
【0153】
メトキシメチル基、メチルチオメチル基、t−ブチルチオメチル基、(フェニルジメチルシリル)メトキシメチル基、ベンジルオキシメチル基、t−ブトキシメチル基、シロキシメチル基、2−メトキシエトキシメチル基、2,2,2−トリクロロエトキシメチル基、ビス(2−クロロエトキシ)メチル基、2−(トリメチルシリル)エトキシメチル基、1−メトキシシクロヘキシル基、テトラヒドロピラニル基、4−メトキシテトラヒドロピラニル基、テトラヒドロフラニル基、テトラヒドロチオピラニル基、テトラヒドロチオフラニル基、1−エトキシエチル基、1−メチル−1−メトキシエチル基、1−メチル−1−ベンジルオキシエチル基、1−(2−クロロエトキシ)エチル基、1−メチル−1−ベンジルオキシ−2−フルオロエチル基、2,2,2−トリクロロエチル基、2−トリメチルシリルエチル基、2−(フェニルセレニル)エチル基等の、一般式(8)中の酸素原子と結合してアセタール基を形成する有機基;
トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリ−i−プロピルシリル基、ジメチル−i−プロピルシリル基、ジエチル−i−プロピルシリル基、ジメチルエチルシリル基、t−ブチルジメチルシリル基、t−ブチルジフェニルシリル基、トリベンジルシリル基、トリ−p−キシリルシリル基、トリフェニルシリル基、ジフェニルメチルシリル基、t−ブチルメトキシフェニルシリル基等の有機シリル基等を挙げることができる。
【0154】
これらの酸により解離して水素原子を生じる1価の有機基のうち、t−ブチル基、テトラヒドロピラニル基、1−エトキシエチル基、t−ブチルジメチルシリル基等が好ましい。
一般式(3)および一般式(4)におけるEとしては、2−t−ブトキシカルボニルエチル基、4−t−ブトキシカルボニルシクロヘキシル基、4−t−ブトキシカルボニルフェニル基、4−t−ブトキシカルボニル−2,3,5,6−テトラフルオロフェニル基、5−t−ブトキシカルボニルノルボニル基、5−トリフルオロメチル−5−t−ブトキシカルボニルノルボニル基、4−t−ブトキシカルボニルテトラシクロ[ 6.2.1.13,6 .02,7 ] ドデカニル基、4−トリフルオロメチル−4−t−ブトキシカルボニルテトラシクロ[ 6.2.1.
13,6 .02,7 ] ドデカニル基、5−t−ブトキシカルボニルアダマンチル基等が好ましい。
【0155】
また、R2 の炭素数1〜10の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、2−メチルプロピル基、1−メチルプロピル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等を挙げることができ、炭素数1〜10の直鎖状、分岐状もしくは環状のハロゲン化アルキル基としては、例えば、フルオロメチル基、クロロメチル基、ブロモメチル基、ジフルオロメチル基、ジクロロメチル基、トリフルオロメチル基等を挙げることができる。
一般式(3)および一般式(4)におけるR2 としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基等が好ましい。
【0156】
また、一般式(4)において、R3 の炭素数1〜20の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、2−メチルプロピル基、1−メチルプロピル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基等を挙げることができ、炭素数1〜20の直鎖状もしくは分岐状のハロゲン化アルキル基としては、例えば、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、ヘプタフルオロ−n−プロピル基、ヘプタフルオロ−i−プロピル基等を挙げることができ、炭素数6〜20の1価の芳香族炭化水素基としては、例えば、フェニル基、α−ナフチル基、β−ナフチル基、ベンジル基、フェネチル基等を挙げることができ、炭素数6〜20の1価のハロゲン化芳香族炭化水素基としては、例えば、ペンタフルオロフェニル基、パーフルオロベンジル基、パーフルオロフェネチル基、2−(ペンタフルオロフェニル)ヘキサフルオロ−n−プロピル基、3−(ペンタフルオロフェニル)ヘキサフルオロ−n−プロピル基等を挙げることができる。
一般式(4)におけるR3 としては、メチル基、エチル基、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、パーフルオロフェネチル基、3−(ペンタフルオロフェニル)ヘキサフルオロ−n−プロピル基等が好ましい。
【0157】
次に、一般式(5)〜(7)において、R2 およびR3 としては、例えば、前記一般式(3)および一般式(4)におけるそれぞれR2 およびR3 について例示した基と同様のものを挙げることができる。
【0158】
また、R4 のヒドロキシル基を有する1価の有機基としては、例えば、下記一般式(10)で表される基を挙げることができ、R4 のカルボキシル基を有する1価の有機基としては、例えば、下記一般式(11)で表される基を挙げることができる。
【0159】
【化98】
〔一般式(10)および一般式(11)において、Qはメチレン基、ジフルオロメチレン基、炭素数2〜20の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキレン基、炭素数2〜20の直鎖状、分岐状もしくは環状のフルオロアルキレン基、炭素数6〜20の2価の芳香族基または炭素数3〜20の2価の他の脂環式基を示す。〕
【0160】
一般式(10)および一般式(11)において、Qの炭素数2〜20の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキレン基、炭素数2〜20の直鎖状、分岐状もしくは環状のフルオロアルキレン基、炭素数6〜20の2価の芳香族基および炭素数3〜20の2価の他の脂環式基としては、例えば、一般式(8)および一般式(9)におけるPについて例示したそれぞれ対応する基と同様のものを挙げることができる。
一般式(10)および一般式(11)におけるQとしては、メチレン基、ジフルオロメチレン基、2,2−ジ(トリフルオロメチル)エチレン基、ノルボルネン骨格を有する2価の炭化水素基やそのハロゲン化物、アダマンタン骨格を有する2価の炭化水素基やそのハロゲン化物等が好ましい。
【0161】
本発明において、他のケイ素含有化合物は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができ、それらを適切に選択しあるいは適切に組み合わせることにより、得られるポリシロキサン(A)の分子量およびガラス転移温度(Tg)を制御でき、また193nm以下、特に157nmの波長における透明性をさらに向上させることができる。
【0162】
ポリシロキサン(A)における各構造単位の具体的な含有率は、それらの種類や組み合わせ、ポリシロキサン(A)の用途等に応じて変わり、それぞれの場合における各構造単位の好適な含有率は、試験等により当業者が適宜に選定することができる。
例えば、遠紫外線、電子線、X線等の放射線を用いる微細加工用のレジスト材料において、酸解離性基を有し、該酸解離性基が解離したときにアルカリ易溶性となる樹脂成分として使用する場合、構造単位(I)の含有率は、全構造単位に対して、通常、0.1〜80モル%、好ましくは0.5〜70モル%、特に好ましくは1〜50モル%であり、構造単位(II) の含有率は、全構造単位に対して、通常、0.1〜80モル%、好ましくは0.5〜70モル%、特に好ましくは1〜50モル%であり、かつ該構造単位(I)と該構造単位(II)との合計含有率は、全構造単位に対して、通常、0.1〜80モル%、好ましくは0.5〜70モル%、特に好ましくは1〜50モル%である。
また、酸解離性基(e)を有する他の構造単位(即ち、ケイ素含有化合物(3)あるいはケイ素含有化合物(4)に由来する構造単位)の含有率は、全構造単位に対して、通常、1〜60モル%、好ましくは5〜50モル%、特に好ましくは10〜50モル%であり、それ以外の他の構造単位の含有率は、全構造単位に対して、通常、90モル%以下、好ましくは80モル%以下である。
【0163】
ポリシロキサン(A)のゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)により測定したポリスチレン換算重量平均分子量(以下、「Mw」という。)は、500〜1,000,000、好ましくは500〜50,000、特に好ましくは800〜50,000である。この場合、Mwが500未満では、得られるポリマーのガラス転移温度(Tg)が低下する傾向があり、一方1,000,000を超えると、得られるポリマーの溶剤への溶解性が低下する傾向がある。
【0164】
ポリシロキサン(A)は、放射線に対する透明性が高く、かつアルカリ現像液に対する溶解性の制御が容易である特性を有し、遠紫外線、電子線、X線等の放射線を用いる微細加工用のレジストにおける樹脂成分として極めて有用である。また、ポリシロキサン(A)は、単独であるいは一般のポリシロキサンと混合物して、例えば、成型品、フィルム、ラミネート材、塗料成分等としても有用である。
【0165】
以下に、化学増幅型レジストとして有用な本発明の感放射線性樹脂組成物について説明する。
感放射線性樹脂組成物
本発明の感放射線性樹脂組成物は、(イ)ポリシロキサン(A1)、並びに(ロ)感放射線性酸発生剤(以下、単に「酸発生剤」という。)を含有するものである。
本発明の感放射線性樹脂組成物において、ポリシロキサン(A1)は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができ、またポリシロキサン(A1)と共に、他のポリシロキサンを1種以上併用することができる。
前記他のポリシロキサンとしては、例えば、前記ケイ素含有化合物(3)〜(7)に由来する構造単位を少なくとも1種有するものを挙げることができる。
【0166】
−酸発生剤−
本発明の感放射線性樹脂組成物における酸発生剤は、露光により酸を発生する成分であり、その酸の作用によって、ポリシロキサン(A1)中に存在する酸解離性基を解離させ、その結果レジスト被膜の露光部がアルカリ現像液に易溶性となり、ポジ型のレジストパターンを形成する作用を有するものである。
本発明における酸発生剤は、前記作用を有する限り特に限定されるものではないが、好ましい酸発生剤としては、露光により、トリフルオロメタンスルホン酸または下記一般式(12)で表される酸(以下、「酸(β)」という。)を発生する化合物(以下、「酸発生剤(B1)」という。)を含むものが好ましい。
【0167】
【化99】
【0168】
〔一般式(12)において、各Rf1は相互に独立にフッ素原子またはトリフルオロメチル基を示し、Ra は水素原子、フッ素原子、炭素数1〜20の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、炭素数1〜20の直鎖状もしくは分岐状のフッ素化アルキル基、炭素数3〜20の環状の1価の炭化水素基または炭素数3〜20の環状の1価のフッ素化炭化水素基を示し、該環状の1価の炭化水素基および該環状の1価のフッ素化炭化水素基は置換されていてもよい。〕
【0169】
酸発生剤(B1)としては、例えば、オニウム塩化合物、スルホン化合物、スルホン酸化合物、カルボン酸化合物、ジアゾケトン化合物、ハロゲン含有化合物等を挙げることができる。
本発明における酸発生剤としては、酸発生剤(B1)のみを使用することもできるが、酸発生剤(B1)と、下記一般式(13)で表される酸(以下、「酸(γ−1)」という。)、一般式(14)で表される酸(以下、「酸(γ−2)」という。)あるいは一般式(15)で表される酸(以下、「酸(γ−3)」という。)を発生する感放射線性酸発生剤(以下、「酸発生剤(B2)」という。)とを組み合わせて使用することもできる。
【0170】
【化100】
【0171】
〔一般式(13)において、Rf1はフッ素原子またはトリフルオロメチル基を示し、Rf2は水素原子、フッ素原子、メチル基またはトリフルオロメチル基を示し、Rb は水素原子、炭素数1〜20の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、炭素数3〜20の環状の1価の炭化水素基または炭素数3〜20の環状の1価のフッ素化炭化水素基を示し、該環状の1価の炭化水素基および該環状の1価のフッ素化炭化水素基は置換されていてもよい。
【0172】
一般式(14)において、Rs は炭素数1〜20の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基または炭素数3〜20の環状の1価の炭化水素基を示し、該環状の1価の炭化水素基は置換されていてもよい。
【0173】
一般式(15)において、Rc は炭素数1〜20の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、炭素数1〜20の直鎖状もしくは分岐状のフッ素化アルキル基、炭素数3〜20の環状の1価の炭化水素基または炭素数3〜20の環状の1価のフッ素化炭化水素基を示し、該環状の1価の炭化水素基および該環状の1価のフッ素化炭化水素基は置換されていてもよい。〕
【0174】
一般式(12)〜(15)において、Ra 、Rb 、Rs およびRc の炭素数1〜20の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、nープロピル基、i―プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基等を挙げることができる。
【0175】
また、Ra およびRc の炭素数1〜20の直鎖状もしくは分岐状のフッ素化アルキル基の具体例としては、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、ヘプタフルオロ−n−プロピル基、ヘプタフルオロ−i−プロピル基、ノナフルオロ−n−ブチル基、ノナフルオロ−i−ブチル基、ノナフルオロ−sec−ブチル基、ノナフルオロ−t−ブチル基、パーフルオロ−n−ペンチル基、パーフルオロ−n−ヘキシル基、パーフルオロ−n−ヘプチル基、パーフルオロ−n−オクチル基等を挙げることができる。
また、Ra 、Rb 、Rs およびRc の炭素数3〜20の環状の1価の炭化水素基または炭素数3〜20の環状の1価のフッ素化炭化水素基あるいはこれらの置換誘導体としては、例えば、下記式(16)〜(22)で表される基等を挙げることができる。
【0176】
【化101】
【0177】
【化102】
【0178】
【化103】
【0179】
【化104】
【0180】
【化105】
【0181】
【化106】
【0182】
【化107】
【0183】
〔式(16)〜(22)において、各R5 は相互に独立に水素原子、ハロゲン原子、水酸基、アセチル基、カルボキシル基、ニトロ基、シアノ基、1級アミノ基、2級アミノ基、炭素数1〜10の直鎖状もしくは分岐状のアルコキシル基、炭素数1〜10の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基または炭素数1〜10の直鎖状もしくは分岐状のフッ素化アルキル基を示し、各R6 は相互に独立に水素原子、ハロゲン原子、1〜10の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、炭素数1〜10の直鎖状もしくは分岐状のフッ素化アルキル基を示し、pは0〜10の整数である。
式(19)において、qは1〜18の整数である。
式(20)において、mは0〜3の整数である。〕
【0184】
本発明における好ましい酸(β)としては、例えば、
トリフルオロメタンスルホン酸、ペンタフルオロエタンスルホン酸、ヘプタフルオロ−n−プロパンスルホン酸、ノナフルオロ−n−ブタンスルホン酸、パーフルオロ−n−オクタンスルホン酸、1,1,2,2,−テトラフルオロ−n−プロパンスルホン酸、1,1,2,2,−テトラフルオロ−n−ブタンスルホン酸、1,1,2,2,−テトラフルオロ−n−オクタンスルホン酸や、
【0185】
前記式(16)〜(22)で表される基の結合手に、−CF2 CF2 SO3 H、−CF2 CF(CF3)SO3 H、−CF(CF3)CF2 SO3 H、
−CF(CF3)CF(CF3)SO3 H、−C(CF3)2 CF2 SO3 Hまたは
−CF2 C(CF3)2 SO3 Hの基が結合した酸、例えば、下記式(12−1) 〜(12−10)の酸等を挙げることができる。
【0186】
【化108】
【0187】
【化109】
【0188】
【化110】
【0189】
【化111】
【0190】
【化112】
【0191】
また、本発明における好ましい酸(γ−1) としては、例えば、
1−フルオロエタンスルホン酸、1−フルオロ−n−プロパンスルホン酸、1−フルオロ−n−ブタンスルホン酸、1−フルオロ−n−オクタンスルホン酸、1,1−ジフルオロエタンスルホン酸、1,1−ジフルオロ−n−プロパンスルホン酸、1,1−ジフルオロ−n−ブタンスルホン酸、1,1−ジフルオロ−n−オクタンスルホン酸、1−トリフルオロメチル−n−プロパンスルホン酸、1−トリフルオロメチル−n−ブタンスルホン酸、1−トリフルオロメチル−n−オクタンスルホン酸、1,1−ビス(トリフルオロメチル)エタンスルホン酸、1,1−ビス(トリフルオロメチル)−n−プロパンスルホン酸、1,1−ビス(トリフルオロメチル)−n−ブタンスルホン酸、1,1−ビス(トリフルオロメチル)−n−オクタンスルホン酸や、
【0192】
前記式(16)〜(22)で表される基の結合手に、−CF2 SO3 H、
−CHFSO3 H、−CH(CF3)SO3 Hまたは−C(CF3)2 SO3 Hの基が結合した酸、例えば、下記式(13−1) 〜(13−40)の酸等を挙げることができる。
【0193】
【化113】
【0194】
【化114】
【0195】
【化115】
【0196】
【化116】
【0197】
【化117】
【0198】
【化118】
【0199】
【化119】
【0200】
【化120】
【0201】
【化121】
【0202】
【化122】
【0203】
【化123】
【0204】
【化124】
【0205】
【化125】
【0206】
【化126】
【0207】
【化127】
【0208】
【化128】
【0209】
【化129】
【0210】
【化130】
【0211】
【化131】
【0212】
【化132】
【0213】
また、本発明における好ましい酸(γ−2) としては、例えば、
メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、n−プロパンスルホン酸、n−ブタンスルホン酸、i−ブタンスルホン酸、sec−ブタンスルホン酸、t−ブタンスルホン酸、n−ペンタンスルホン酸、n−ヘキサンスルホン酸、n−オクタンスルホン酸、シクロペンタンスルホン酸、シクロヘキサンスルホン酸等の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキルスルホン酸類;
ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、ベンジルスルホン酸、α―ナフタレンスルホン酸、β―ナフタレンスルホン酸等の芳香族スルホン酸類;
10−カンファースルホン酸や、
前記式(16)〜(22)で表される基の結合手に、−SO3 H基が結合した酸等を挙げることができる。
【0214】
さらに、本発明における好ましい酸(γ−3) としては、例えば、
酢酸、n−プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、吉草酸、イソ吉草酸、カプロン酸、安息香酸、サリチル酸、フタル酸、テレフタル酸、α―ナフタレンカルボン酸、β−ナフタレンカルボン酸、シクロブタンカルボン酸、シクロペンタンカルボン酸、シクロヘキサンカルボン酸、1,1−シクロブタンジカルボン酸、1,2−シクロブタンジカルボン酸、1,1−シクロペンタンジカルボン酸、1,2−シクロペンタンジカルボン酸、1,3−シクロペンタンジカルボン酸、1,1−シクロヘキサンジカルボン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、2−ノルボルナンカルボン酸、2,3−ノルボルナンジカルボン酸、ノルボルニル−2−酢酸、1−アダマンタンカルボン酸、1−アダマンタン酢酸、1,3−アダマンタンジカルボン酸、1,3−アダマンタンジ酢酸、 リトコール酸、デオキシコール酸、ケノデオキシコール酸、コール酸や、
前記式(16)〜(22)で表される基の結合手に、−COOH基が結合した酸等を挙げることができる。
【0215】
酸(β)、酸(γ−1) 、酸(γ−2) あるいは酸(γ−3) を発生するオニウム塩化合物としては、例えば、
ジフェニルヨードニウム塩、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウム塩、トリフェニルスルホニウム塩、
4−ヒドロキシフェニル・フェニル・メチルスルホニウム塩、シクロヘキシル・2−オキソシクロヘキシル・メチルスルホニウム塩、ジシクロヘキシル・2−オキソシクロヘキシルスルホニウム塩、2−オキソシクロヘキシルジメチルスルホニウム塩、4−ヒドロキシフェニル・ベンジル・メチルスルホニウム塩、
1−ナフチルジメチルスルホニウム塩、1−ナフチルジエチルスルホニウム塩、4−シアノ−1−ナフチルジメチルスルホニウム塩、4−シアノ−1−ナフチルジエチルスルホニウム塩、4−ニトロ−1−ナフチルジメチルスルホニウム塩、4−ニトロ−1−ナフチルジエチルスルホニウム塩、4−メチル−1−ナフチルジメチルスルホニウム塩、4−メチル−1−ナフチルジエチルスルホニウム塩、4−ヒドロキシ−1−ナフチルジメチルスルホニウム塩、4−ヒドロキシ−1−ナフチルジエチルスルホニウム塩、
【0216】
1−(4−ヒドロキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウム塩、1−(4−メトキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウム塩、1−(4−エトキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウム塩、1−(4−n−ブトキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウム塩、1−(4−メトキシメトキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウム塩、1−(4−エトキトメトキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウム塩、1−〔4−(1−メトキシエトキシ)ナフタレン−1−イル〕テトラヒドロチオフェニウム塩、1−〔4−(2−メトキシエトキシ)ナフタレン−1−イル〕テトラヒドロチオフェニウム塩、1−(4−メトキシカルボニルオキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウム塩、1−(4−エトキシカルボニルオキシナフナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウム塩、1−(4−n−プロポキシカルボニルオキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウム塩、1−(4−i−プロポキシカルボニルオキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウム塩、1−(4−n−ブトキシカルボニルオキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウム塩、1−(4−t−ブトキシカルボニルオキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウム塩、1−〔4−(2−テトラヒドロフラニルオキシ)ナフタレン−1−イル〕テトラヒドロチオフェニウム塩、1−〔4−(2−テトラヒドロピラニルオキシ)ナフタレン−1−イル〕テトラヒドロチオフェニウム塩、1−(4−ベンジルオキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウム塩、1−〔1−(1−ナフチルアセトメチル)〕テトラヒドロチオフェニウム塩
等を挙げることができる。
【0217】
また、酸(β)、酸(γ−1) あるいは酸(γ−2) を発生するスルホン化合物としては、例えば、β−ケトスルホン、β−スルホニルスルホンや、これらの化合物のα−ジアゾ化合物等を挙げることができる。
また、酸(β)、酸(γ−1) あるいは酸(γ−2) を発生するスルホン酸化合物としては、例えば、スルホン酸エステル、スルホン酸イミド、アリールスルホン酸エステル、イミノスルホネート等を挙げることができる。
また、酸(γ−3) を発生するカルボン酸化合物としては、例えば、カルボン酸エステル、カルボン酸イミド、カルボン酸シアネート等を挙げることができる。
【0218】
また、酸(β)、酸(γ−1) 、酸(γ−2) あるいは酸(γ−3) を発生するジアゾケトン化合物としては、例えば、1,3−ジケト−2−ジアゾ化合物、ジアゾベンゾキノン化合物、ジアゾナフトキノン化合物等を挙げることができる。
また、酸(β)、酸(γ−1) 、酸(γ−2) あるいは酸(γ−3) を発生するハロゲン含有化合物としては、例えば、ハロアルキル基含有炭化水素化合物、ハロアルキル基含有複素環式化合物等を挙げることができる。
【0219】
さらに、酸発生剤(B1)および酸発生剤(B2)以外の好ましい酸発生剤(以下、単に「他の酸発生剤」という。)としては、例えば、
ジフェニルヨードニウムピレンスルホネート、ジフェニルヨードニウム n−ドデシルベンゼンスルホネート、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウム n−ドデシルベンゼンスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムナフタレンスルホネート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、トリフェニルスルホニウムナフタレンスルホネート、トリフェニルスルホニウム10−カンファースルホネート、4−ヒドロキシフェニル・フェニル・メチルスルホニウムp−トルエンスルホネート、4−ヒドロキシフェニル・ベンジル・メチルスルホニウム p−トルエンスルホネート等の他のオニウム塩化合物;
4−トリスフェナシルスルホン、メシチルフェナシルスルホン、ビス(フェニルスルホニル)メタン等の他のスルホン化合物;
ベンゾイントシレート、ニトロベンジル−9,10−ジエトキシアントラセン−2−スルホネート等の他のスルホン酸化合物;
【0220】
1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホニルクロリド、1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホニルクロリド、2,3,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノンの1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸エステルまたは1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸エステル、1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタンの1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸エステルまたは1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸エステル等の他のジアゾケトン化合物;
フェニルビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、4−メトキシフェニルビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、1−ナフチルビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン等の(トリクロロメチル)−s−トリアジン誘導体、1,1−ビス(4−クロロフェニル)−2,2,2−トリクロロエタン等の他のハロゲン含有化合物
等を挙げることができる。
本発明においては、酸発生剤として他の酸発生剤のみを使用することもできるが、他の酸発生剤を酸発生剤(B1)あるいはこれと酸発生剤(B2)との混合物と組み合わせて使用することも好ましい。
【0221】
本発明において、酸発生剤は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
酸発生剤の使用量は、レジストとしての感度および現像性を確保する観点から、全ポリシロキサン成分100重量部に対して、通常、0.1〜10重量部、好ましくは0.5〜7重量部である。この場合、酸発生剤の使用量が0.1重量部未満では、感度および現像性が低下する傾向があり、一方10重量部を超えると、放射線に対する透明性が低下して、矩形のレジストパターンを得られ難くなる傾向がある。
【0222】
−添加剤−
本発明の感放射線性樹脂組成物には、酸拡散制御剤、溶解制御剤、界面活性剤等の各種の添加剤を配合することができる。
前記酸拡散制御剤は、露光により酸発生剤から生じる酸のレジスト被膜中における拡散現象を制御し、非露光領域における好ましくない化学反応を抑制する作用を有する成分である。
このような酸拡散制御剤を配合することにより、得られる感放射線性樹脂組成物の貯蔵安定性がさらに向上し、またレジストとしての解像度がさらに向上するとともに、露光から現像処理までの引き置き時間(PED)の変動によるレジストパターンの線幅変化を抑えることができ、プロセス安定性に極めて優れた組成物が得られる。
酸拡散制御剤としては、レジストパターンの形成工程中の露光や加熱処理により塩基性が変化しない含窒素有機化合物が好ましい。
このような含窒素有機化合物としては、例えば、下記一般式(23) で表される化合物(以下、「酸拡散制御剤(C) 」という。)を挙げることができる。
【0223】
【化133】
〔一般式(23)において、各R7 は相互に独立に水素原子、直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキル基、アリール基またはアラルキル基を示し、これらのアルキル基、アリール基およびアラルキル基は水酸基等の官能基で置換されていてもよく、U1 は2価の有機基を示し、rは0〜2の整数である。〕
【0224】
酸拡散制御剤(C) において、r=0の化合物を「含窒素化合物(C1)」とし、r=1〜2の化合物を「含窒素化合物(C2)」とする。また、窒素原子を3個以上有するポリアミノ化合物および重合体をまとめて「含窒素化合物(C3)」とする。
さらに、酸拡散制御剤(C) 以外の含窒素有機化合物としては、例えば、4級アンモニウムヒドロキシド化合物、アミド基含有化合物、ウレア化合物、含窒素複素環化合物等を挙げることができる。
【0225】
含窒素化合物(C1)としては、例えば、n−ヘキシルアミン、n−ヘプチルアミン、n−オクチルアミン、n−ノニルアミン、n−デシルアミン、シクロヘキシルアミン等のモノ(シクロ)アルキルアミン類;ジ−n−ブチルアミン、ジ−n−ペンチルアミン、ジ−n−ヘキシルアミン、ジ−n−ヘプチルアミン、ジ−n−オクチルアミン、ジ−n−ノニルアミン、ジ−n−デシルアミン、シクロヘキシルメチルアミン、ジシクロヘキシルアミン等のジ(シクロ)アルキルアミン類;トリエチルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリ−n−ブチルアミン、トリ−n−ペンチルアミン、トリ−n−ヘキシルアミン、トリ−n−ヘプチルアミン、トリ−n−オクチルアミン、トリ−n−ノニルアミン、トリ−n−デシルアミン、シクロヘキシルジメチルアミン、ジシクロヘキシルメチルアミン、トリシクロヘキシルアミン等のトリ(シクロ)アルキルアミン類;アニリン、N−メチルアニリン、N,N−ジメチルアニリン、2−メチルアニリン、3−メチルアニリン、4−メチルアニリン、4−ニトロアニリン、2,6−ジメチルアニリン、2,6−ジイソプロピルアニリン、ジフェニルアミン、トリフェニルアミン、ナフチルアミン等の芳香族アミン類を挙げることができる。
【0226】
含窒素化合物(C2)としては、例えば、エチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラキス(2−ヒドロキシプロピル)エチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、1,3−ビス〔1−(4−アミノフェニル)−1−メチルエチル〕ベンゼンテトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノジフェニルアミン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、2−(3−アミノフェニル)−2−(4−アミノフェニル)プロパン、2−(4−アミノフェニル)−2−(3−ヒドロキシフェニル)プロパン、2−(4−アミノフェニル)−2−(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,4−ビス〔1−(4−アミノフェニル)−1−メチルエチル〕ベンゼン、1,3−ビス〔1−(4−アミノフェニル)−1−メチルエチル〕ベンゼン、ビス(2−ジメチルアミノエチル)エーテル、ビス(2−ジエチルアミノエチル)エーテル等を挙げることができる。
含窒素化合物(C3)としては、例えば、ポリエチレンイミン、ポリアリルアミン、2−ジメチルアミノエチルアクリルアミドの重合体等を挙げることができる。
前記4級アンモニウムヒドロキシド化合物としては、例えば、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラ−n−プロピルアンモニウムヒドロキシド、テトラ−n−ブチルアンモニウムヒドロキシド等を挙げることができる。
【0227】
前記アミド基含有化合物としては、例えば、N−t−ブトキシカルボニルジ−n−オクチルアミン、N−t−ブトキシカルボニルジ−n−ノニルアミン、N−t−ブトキシカルボニルジ−n−デシルアミン、N−t−ブトキシカルボニルジシクロヘキシルアミン、N−t−ブトキシカルボニル−1−アダマンチルアミン、N−t−ブトキシカルボニル−N−メチル−1−アダマンチルアミン、N,N−ジ−t−ブトキシカルボニル−1−アダマンチルアミン、N,N−ジ−t−ブトキシカルボニル−N−メチル−1−アダマンチルアミン、N−t−ブトキシカルボニル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、N,N’−ジ−t−ブトキシカルボニルヘキサメチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラ−t−ブトキシカルボニルヘキサメチレンジアミン、N,N’−ジ−t−ブトキシカルボニル−1,7−ジアミノヘプタン、N,N’−ジ−t−ブトキシカルボニル−1,8−ジアミノオクタン、N,N’−ジ−t−ブトキシカルボニル−1,9−ジアミノノナン、N,N’−ジ−t−ブトキシカルボニル−1,10−ジアミノデカン、N,N’−ジ−t−ブトキシカルボニル−1,12−ジアミノドデカン、
N,N’−ジ−t−ブトキシカルボニル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、N−t−ブトキシカルボニルベンズイミダゾール、N−t−ブトキシカルボニル−2−メチルベンズイミダゾール、N−t−ブトキシカルボニル−2−フェニルベンズイミダゾール等のN−t−ブトキシカルボニル基含有アミノ化合物のほか、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、プロピオンアミド、ベンズアミド、ピロリドン、N−メチルピロリドン等を挙げることができる。
【0228】
前記ウレア化合物としては、例えば、尿素、メチルウレア、1,1−ジメチルウレア、1,3−ジメチルウレア、1,1,3,3−テトラメチルウレア、1,3−ジフェニルウレア、トリ−n−ブチルチオウレア等を挙げることができる。前記含窒素複素環化合物としては、例えば、イミダゾール、4−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、4−メチル−2−フェニルイミダゾール、ベンズイミダゾール、2−フェニルベンズイミダゾール等のイミダゾール類;ピリジン、2−メチルピリジン、4−メチルピリジン、2−エチルピリジン、4−エチルピリジン、2−フェニルピリジン、4−フェニルピリジン、2−メチル−4−フェニルピリジン、ニコチン、ニコチン酸、ニコチン酸アミド、キノリン、4−ヒドロキシキノリン、8−オキシキノリン、アクリジン等のピリジン類;ピペラジン、1−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン等のピペラジン類のほか、ピラジン、ピラゾール、ピリダジン、キノザリン、プリン、ピロリジン、ピペリジン、3−ピペリジノ−1,2−プロパンジオール、モルホリン、4−メチルモルホリン、1,4−ジメチルピペラジン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2] オクタン等を挙げることができる。
【0229】
これらの酸拡散制御剤は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
酸拡散制御剤の配合量は、酸発生剤に対して、通常、100モル%以下、好ましくは50モル%以下、さらに好ましくは30モル%以下である。この場合、酸拡散制御剤の配合量が100モル%を超えると、レジストとしての感度や露光部の現像性が低下する傾向がある。なお、酸拡散制御剤の配合量が0.1モル%未満であると、プロセス条件によっては、レジストとしてのパターン形状や寸法忠実度が低下するおそれがある。
【0230】
前記溶解制御剤としては、好ましくは、例えば、下記一般式(24)で表される化合物(以下、「溶解制御剤(D1)」という。)、下記一般式(25)で表される化合物(以下、「溶解制御剤(D2)」という。)、下記一般式(26)で表される繰り返し単位を有するポリケトン(以下、「溶解制御剤(D3)」という。)、下記一般式(27)で表される繰り返し単位を有するポリスピロケタール(以下、「溶解制御剤(D4)」という。)等を挙げることができ、さらに好ましくは、溶解制御剤(D1)および溶解制御剤(D2)の群から選ばれる少なくとも1種および/または溶解制御剤(D3)および溶解制御剤(D4)の群から選ばれる少なくとも1種である。このような溶解制御剤を含有することにより、レジストとしたときの溶解コントラストおよび溶解速度をより適切に制御することができる。
【0231】
【化134】
〔一般式(24)および一般式(25)において、各R8 は相互に独立に水素原子、フッ素原子、炭素数1〜10の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、炭素数1〜10の直鎖状もしくは分岐状のフッ素化アルキル基、または下記式(i)で表される基
【0232】
【化135】
(式中、各Rf3は相互に独立に水素原子、メチル基またはトリフルオロメチル基を示し、U2 は単結合、メチレン基、シクロヘキシレン基またはフェニレン基を示し、R9 は水素原子または酸により解離して水素原子を生じる1価の有機基を示し、uは0〜3の整数であり、vは0または1である。)
を示し、かつR8 の少なくとも1つが式(i)で表される基であり、sおよびtは相互に独立に0〜2の整数である。〕
【0233】
【化136】
〔一般式(26)および一般式(27)において、各R8 は一般式(24)および一般式(25)におけるR8 と同義である。但し、一般式(26)および一般式(27)におけるR8 は一般式(24)および一般式(25)におけるR8 と相互に同一でも異なってもよい。〕
【0234】
一般式(24)〜(27)において、R8 の炭素数1〜10の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基等を挙げることができる。
また、R8 の炭素数1〜10の直鎖状もしくは分岐状のフッ素化アルキル基としては、例えば、フルオロメチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、ヘプタフルオロ−n−プロピル基、ヘプタフルオロ−i−プロピル基、ノナフルオロ−n−ブチル基、パーフルオロ−n−ペンチル基、パーフルオロ−n−ヘキシル基、パーフルオロ−n−ヘプチル基、パーフルオロ−n−オクチル基、パーフルオロ−n−ノニル基、パーフルオロ−n−デシル基等を挙げることができる。
【0235】
また、R8 を示す前記式(i)で表される基(以下、「官能基(i)」という。)において、U2 のシクロヘキシレン基およびフェニレン基中の2つの結合手はそれぞれ、1,2−位、1,3−位あるいは1,4−位にあることができる。
【0236】
また、R9 の酸により解離して水素原子を生じる1価の有機基としては、例えば、
t−ブトキシカルボニル基、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、i−プロポキシカルボニル基、9−フルオレニルメチルカルボニル基、2,2,2−トリクロロエチルカルボニル基、2−(トリメチルシリル)エチルカルボニル基、i−ブチルカルボニル基、ビニルカルボニル基、アリルカルボニル基、ベンジルカルボニル基、4−エトキシ−1−ナフチルカルボニル基、メチルジチオカルボニル基等の有機カルボニル基;
【0237】
メトキシメチル基、メチルチオメチル基、エトキシメチル基、エチルチオメチル基、t−ブトキシメチル基、t−ブチルチオメチル基、(フェニルジメチルシリル)メトキシメチル基、ベンジロキシメチル基、t−ブトキシメチル基、シロキシメチル基、2−メトキシエトキシメチル基、2,2,2−トリクロロエトキシメチル基、ビス(2−クロロエトキシ)メチル基、2−(トリメチルシリル)エトキシメチル基、1−メトキシシクロヘキシル基、テトラヒドロピラニル基、4−メトキシテトラヒドロピラニル基、テトラヒドロフラニル基、テトラヒドロチオピラニル基、テトラヒドロチオフラニル基、1−メトキシエチル基、1−エトキシエチル基、1−(2−クロロエトキシ)エチル基、1−メチル−1−メトキシエチル基、1−メチル−1−ベンジロキシエチル基、1−(2−クロロエトキシ)エチル基、1−メチル−1−ベンジロキシ−2−フルオロエチル基、2,2,2−トリクロロエチル基、2−トリメチルシリルエチル基、2−(フェニルセレニル)エチル基等の、式(i)中の酸素原子と結合してアセタール構造を形成する有機基;
【0238】
トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリ−i−プロピルシリル基、ジメチル−i−プロピルシリル基、ジエチル−i−プロピルシリル基、ジメチルエチルシリル基、t−ブチルジメチルシリル基、t−ブチルジフェニルシリル基、トリベンジルシリル基、トリ−p−キシリルシリル基、トリフェニルシリル基、ジフェニルメチルシリル基、t−ブチルメトキシフェニルシリル基等のアルキルシリル基;
2−メチル−2−アダマンチル基、2−エチル−2−アダマンチル基、2−メチル−2−ノルボルニル基、2−エチル−2−ノルボルニル基、1−メチルシクロペンチル基、1−エチルシクロペンチル基、1−メチルシクロヘキシル基、1−エチルシクロヘキシル基等のアルキル置換脂環族基
等を挙げることができる。
【0239】
これらの酸により解離して水素原子を生じる1価の有機基のうち、t−ブトキシカルボニル基、メトキシメチル基、エトキシメチル基、1−メトキシエチル基、1−エトキシエチル基等が好ましい。
【0240】
好ましい溶解制御剤(D1)としては、例えば、下記一般式(D1−1) 〜式(D1−4) で表される化合物等を挙げることができる。
【0241】
【化137】
【0242】
【化138】
【0243】
〔一般式(D1−1) 〜(D1−4) において、各R10は相互に独立に水素原子、t−ブトキシカルボニル基、メトキシメチル基、エトキシメチル基、1−メトキシエチル基または1−エトキシエチル基を示し、各Rf4は相互に独立に水素原子、フッ素原子またはトリフルオロメチル基を示す。但し、一般式(D1−3) および一般式(D1−4) では、それぞれ8つのRf4が同時に水素原子をとることがない。〕
【0244】
また、好ましい溶解制御剤(D2)としては、例えば、下記一般式(D2−1) 〜式(D2−5) で表される化合物等を挙げることができる。
【0245】
【化139】
【0246】
【化140】
【0247】
【化141】
【0248】
〔一般式(D2−1) 〜(D2−5) において、各R10および各Rf4は一般式(D1−1) 〜(D1−4) におけるそれぞれR10およびRf4と同義である。但し、一般式(D2−3) および一般式(D2−4) では、それぞれ4つのRf4が同時に水素原子をとることがない。〕
【0249】
溶解制御剤(D1)としては、例えば、下記式(D1−1−1) 、式(D1−1−2) 、式(D1−2−1) または式(D1−2−2) の化合物がさらに好ましく、また溶解制御剤(D2)としては、例えば、下記式(D2−1−1) 、式(D2−1−2) 、式(D2−2−1) 、式(D2−2−2) または式(D2−5−1) の化合物がさらに好ましい。
【0250】
【化142】
【0251】
【化143】
【0252】
【化144】
【0253】
【化145】
【0254】
【化146】
【0255】
また、溶解制御剤(D4)としては、下記式(D4−1) で表される繰り返し単位を有するポリスピロケタールがさらに好ましい。
【0256】
【化147】
【0257】
溶解制御剤(D3)であるポリケトンおよび溶解制御剤(D4)であるポリスピロケタールのMwは、通常、300〜100,000、好ましくは800〜3,000である。
【0258】
本発明において、溶解制御剤の配合量は、全ポリシロキサン成分100重量部に対して、通常、50重量部以下、好ましくは30重量部以下である。この場合、溶解制御剤の配合量が50重量部を超えると、レジストとしての耐熱性が低下する傾向がある。
【0259】
前記界面活性剤は、塗布性、ストリエーション、現像性等を改良する作用を示す成分である。
このような界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンn−オクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンn−ノニルフェニルエーテル、ポリエチレングリコールジラウレート、ポリエチレングリコールジステアレート等のノニオン系界面活性剤のほか、以下商品名で、KP341(信越化学工業(株)製)、ポリフローNo.75,同No.95(共栄社化学(株)製)、エフトップEF301,同EF303,同EF352(トーケムプロダクツ(株)製)、メガファックスF171,同F173(大日本インキ化学工業(株)製)、フロラードFC430,同FC431(住友スリーエム(株)製)、アサヒガードAG710,サーフロンS−382,同SC−101,同SC−102,同SC−103,同SC−104,同SC−105,同SC−106(旭硝子(株)製)等を挙げることができる。
これらの界面活性剤は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
界面活性剤の配合量は、全ポリシロキサン成分100重量部に対して、通常、2重量部以下である。
また、前記以外の添加剤としては、ハレーション防止剤、接着助剤、保存安定化剤、消泡剤等を挙げることができる。
【0260】
−組成物溶液の調製−
本発明の感放射線性樹脂組成物は、普通、その使用に際して、全固形分濃度が、通常、1〜25重量%、好ましくは2〜15重量%となるように、溶剤に溶解したのち、例えば孔径0.2μm程度のフィルターでろ過することによって、組成物溶液として調製される。
前記組成物溶液の調製に使用される溶剤としては、例えば、
2−ブタノン、2−ペンタノン、3−メチル−2−ブタノン、2−ヘキサノン、4−メチル−2−ペンタノン、3−メチル−2−ペンタノン、3,3−ジメチル−2−ブタノン、2−ヘプタノン、2−オクタノン等の直鎖状もしくは分岐状のケトン類;
シクロペンタノン、3−メチルシクロペンタノン、シクロヘキサノン、2−メチルシクロヘキサノン、2,6−ジメチルシクロヘキサノン、イソホロン等の環状のケトン類;
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノ−i−プロピルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノ−i−ブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノ−sec−ブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノ−t−ブチルエーテルアセテート等のプロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類;
2−ヒドロキシプロピオン酸メチル、2−ヒドロキシプロピオン酸エチル、2−ヒドロキシプロピオン酸n−プロピル、2−ヒドロキシプロピオン酸i−プロピル、2−ヒドロキシプロピオン酸n−ブチル、2−ヒドロキシプロピオン酸i−ブチル、2−ヒドロキシプロピオン酸sec−ブチル、2−ヒドロキシプロピオン酸t−ブチル等の2−ヒドロキシプロピオン酸アルキル類;
3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル等の3−アルコキシプロピオン酸アルキル類や、
【0261】
2,3−ジフルオロベンジルアルコール、2,2,2−トリフルオロエタノール、1,3−ジフルオロ−2−プロパノール、、1,1,1−トリフルオロ−2−プロパノール、3,3,3−トリフルオロ−1−プロパノール、2,2,3,3,4,4,4−ヘプタフルオロ−1−ブタノール、2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロ−1−ペンタノール、3,3,4,4,5,5,5−ヘプタフルオロ−2−ペンタノール、1H,1H−パーフルオロ−1−オクタノール、1H,1H,2H,2H−パーフルオロ−1−オクタノール、1H,1H,9H−パーフルオロ−1−ノナノール、1H,1H,2H,3H,3H−パーフルオロノナン−1,2−ジオール、1H,1H,2H,2H−パーフルオロ−1−デカノール、1H,1H,2H,3H,3H−パーフルオロウンデカン−1,2−ジオール等のフッ素含有アルコール類;
【0262】
2,2,2−トリフルオロエチルブチレート、エチルヘプタフルオロブチレート、ヘプタフルオロブチル酢酸エチル、ヘキサフルオログルタル酸エチル、エチル−3−ヒドロキシ−4,4,4−トリフルオロブチレート、エチル−2−メチル−4,4,4−トリフルオロアセトアセテート、エチルペンタフルオロベンゾエート、エチルペンタフルオロプロピオネート、ペンタフルオロプロピオン酸エチル、エチルパーフルオロオクタノエート、エチル−4,4,4−トリフルオロアセトアセテート、エチル−4,4,4−トリフルオロブチレート、エチル−4,4,4−トリフルオロクロトネート、エチルトリフルオロスルホネート、エチル−3−(トリフルオロメチル)ブチレート、エチルトリフルオロピルベート、エチルトリフルオロアセテート、イソプロピル−4,4,4−トリフルオロアセトアセテート、メチルパーフルオロデカノエート、メチルパーフルオロ(2−メチル−3−オキサヘキサノエート)、メチルパーフルオロノナノエート、メチルパーフルオロオクタノエート、メチル−2,3,3,3−テトラフルオロプロピオネート、メチルトリフルオロアセトアセテート、メチルトリフルオロアセトアセテート、パーフルオロ(2,5,8−トリメチル−3,6,9−トリオキサドデカン酸)メチル、プロピレングリコールトリフルオロメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールメチルエーテルトリフルオロメチルアセテート、トリフルオロメチル酢酸n−ブチル、3−トリフルオロメトキシプロピオン酸メチル、1,1,1−トリフルオロ−2−プロピルアセテート、トリフルオロ酢酸n−ブチル等のフッ素含有エステル類;
【0263】
2−フルオロアニソール、3−フルオロアニソール、4−フルオロアニソール、2,3−ジフルオロアニソール、2,4−ジフルオロアニソール、2,5−ジフルオロアニソール、5,8−ジフルオロ−1,4−ベンゾジオキサン、トリフルオロアセトアルデヒドエチルヘミアセタール、2H−パーフルオロ(5−メチル−3,6−ジオキサノナン)、2H−パーフルオロ(5,8,11,14−テトラメチル−3,6,9,12,15−ペンタオキサオクタデカン)、(パーフルオロ−n−ブチル)テトラヒドロフラン、パーフルオロ(n−ブチルテトラヒドロフラン)、プロピレングリコールトリフルオロメチルエーテル等のフッ素含有エーテル類;
【0264】
2,4−ジフルオロプロピオフェノン、フルオロシクロヘキサン、1,1,1,2,2,3,3−ヘプタフルオロ−7,7−ジメチル−4,6−オクタンジオン、1,1,1,3,5,5,5−ヘプタフルオロペンタン−2,4−ジオン、3,3,4,4,5,5,5−ヘプタフルオロ−2−ペンタノン、1,1,1,2,2,6,6,6−オクタフルオロ−2,4−ヘキサンジオン、トリフルオロブタノール−1,1,1−トリフルオロ−5−メチル−2,4−ヘキサンジオン、パーフルオロシクロヘキサノン等のフッ素含有ケトン類;
トリフルオロアセトアミド、パーフルオロトリブチルアミン、パーフルオロトリヘキシルアミン、パーフルオロトリペンチルアミン、パーフルオロトリプロピルアミン等のフッ素含有アミン類;
2,4−ジフルオロトルエン、パーフルオロデカリン、パーフルオロ(1,2−ジメチルシクロヘキサン)、パーフルオロ(1,3−ジメチルシクロヘキサン)等のフッ素置換環状炭化水素類
等のフッ素含有溶剤のほか、
【0265】
n−プロパノール、i−プロパノール、n−ブタノール、t−ブタノール、シクロヘキサノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジ−n−プロピルエーテル、ジエチレングリコールジ−n−ブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノ−n−プロピルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、トルエン、キシレン、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、エトキシ酢酸エチル、ヒドロキシ酢酸エチル、2−ヒドロキシ−3−メチル酪酸メチル、3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルプロピオネート、3−メチル−3−メトキシブチルブチレート、酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸n−ブチル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ベンジルエチルエーテル、ジ−n−ヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、カプロン酸、カプリル酸、1−オクタノール、1−ノナノール、ベンジルアルコール、酢酸ベンジル、安息香酸エチル、しゅう酸ジエチル、マレイン酸ジエチル、γ−ブチロラクトン、炭酸エチレン、炭酸プロピレン
等を挙げることができる。
【0266】
これらの溶剤は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができるが、就中、直鎖状もしくは分岐状のケトン類、環状のケトン類、プロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類、2−ヒドロキシプロピオン酸アルキル類、3−アルコキシプロピオン酸アルキル類、フッ素含有溶剤等が好ましい。
【0267】
−レジストパターンの形成方法−
本発明の感放射線性樹脂組成物においては、露光により酸発生剤から酸が発生し、その酸の作用によって、ポリシロキサン(A1)中の酸解離性基が解離して、例えば、フェノール性水酸基、アルコール性水酸基あるいはカルボキシル基を生じ、その結果、レジストの露光部のアルカリ現像液に対する溶解性が高くなり、該露光部がアルカリ現像液によって溶解、除去されて、ポジ型のレジストパターンが得られる。
本発明の感放射線性樹脂組成物からレジストパターンを形成する際には、組成物溶液を、回転塗布、流延塗布、ロール塗布等の適宜の塗布手段によって、例えば、シリコンウエハー、アルミニウムで被覆されたウエハーや、予め下層膜を形成した基板等の上に塗布することにより、レジスト被膜を形成し、場合により予め加熱処理(以下、「PB」という。)を行ったのち、所定のレジストパターンを形成するように該レジスト被膜に露光する。その際に使用される放射線としては、ArKrエキシマレーザー(波長134nm)、Kr2 エキシマレーザー(波長147nm)、F2 エキシマレーザー(波長157nm)、ArFエキシマレーザー(波長193nm)あるいはKrFエキシマレーザー(波長248nm)が好ましい。
本発明においては、露光後に加熱処理(以下、「PEB」という。)を行うことが好ましい。このPEBにより、ポリシロキサン(A1)中の酸解離性基の解離反応が円滑に進行する。PEBの加熱条件は、レジスト組成物の配合組成によって変わるが、通常、30〜200℃、好ましくは50〜170℃である。
【0268】
本発明においては、感放射線性樹脂組成物の潜在能力を最大限に引き出すため、例えば特公平6−12452号公報等に開示されているように、使用される基板上に有機系あるいは無機系の下層膜を形成しておくことができ、また環境雰囲気中に含まれる塩基性不純物等の影響を防止するため、例えば特開平5−188598号公報等に開示されているように、レジスト被膜上に保護膜を設けることもでき、あるいはこれらの技術を併用することもできる。
【0269】
次いで、露光されたレジスト被膜を現像することにより、所定のレジストパターンを形成する。
現像に使用される現像液としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、けい酸ナトリウム、メタけい酸ナトリウム、アンモニア水、エチルアミン、n−プロピルアミン、ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、トリエチルアミン、メチルジエチルアミン、エチルジメチルアミン、トリエタノールアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、ピロール、ピペリジン、コリン、1,8−ジアザビシクロ−[5.4.0]−7−ウンデセン、1,5−ジアザビシクロ−[4.3.0]−5−ノネン等のアルカリ性化合物の少なくとも1種を溶解したアルカリ性水溶液が好ましい。
前記アルカリ性水溶液の濃度は、通常、10重量%以下である。この場合、アルカリ性水溶液の濃度が10重量%を超えると、非露光部も現像液に溶解するおそれがあり好ましくない。
【0270】
また、前記アルカリ性水溶液からなる現像液には、例えば有機溶媒を添加することもできる。
前記有機溶媒としては、例えば、アセトン、2−ブタノン、4−メチル−2−ペンタノン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、3−メチルシクロペンタノン、2,6−ジメチルシクロヘキサノン等のケトン類;メタノール、エタノール、n−プロパノール、i−プロパノール、n−ブタノール、t−ブタノール、シクロペンタノール、シクロヘキサノール、1,4−ヘキサンジオール、1,4−ヘキサンジメチロール等のアルコール類;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸i−アミル等のエステル類;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類や、フェノール、アセトニルアセトン、ジメチルホルムアミド等を挙げることができる。
これらの有機溶媒は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
有機溶媒の使用量は、アルカリ性水溶液に対して、100容量%以下が好ましい。この場合、有機溶媒の使用量が100容量%を超えると、現像性が低下して、露光部の現像残りが多くなるおそれがある。
また、アルカリ性水溶液からなる現像液には、界面活性剤等を適量添加することもできる。
なお、アルカリ性水溶液からなる現像液で現像したのちは、一般に、水で洗浄して乾燥する。
【0271】
【発明の実施の形態】
以下、実施例を挙げて、本発明の実施の形態をさらに具体的に説明する。但し、本発明は、これらの実施例に何ら制約されるものではない。ここで、部は特記しない限り重量基準である。
実施例および比較例における各測定・評価は、下記の要領で行った。
Mw:
東ソー(株)製GPCカラム(G2000HXL 2本、G3000HXL 1本、G4000HXL 1本)を用い、流量1.0ミリリットル/分、溶出溶媒テトラヒドロフラン、カラム温度40℃の分析条件で、単分散ポリスチレンを標準とするゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定した。
吸光係数:
各ポリシロキサンを2−ヘプタノンに溶解して、固形分濃度5%の樹脂溶液を調製した。その後、各樹脂溶液をふっ化マグネシウム基板上にスピンコートにより塗布し、110℃あるいは140℃に保持したホットプレート上で90秒間加熱して,膜厚1,000Åの被膜を形成した。その後、この被膜について、波長157nmおよび193nmにおける吸光係数を測定した。
【0272】
【実施例】
合成例1
300ミリリットルのオートクレーブに、ヘプタフルオロ−n−プロピルトリフルオロビニルエーテル42gをジエチルエーテル100ミリリットルに溶解した溶液を仕込み、シクロペンタジエン10gを加えた。その後、オートクレーブを密閉し、100℃で8時間加熱して反応させた。反応終了後、ジエチルエーテルを留去したのち、精留することにより、24mmHgにおける沸点が69℃の留分として、化合物20gを得た。
この化合物について、 1H、13Cおよび19FによるNMR分析(化学シフトδ)およびガスクロマトグラフィ−質量分析(GC−MS)を行ったところ下記のとおりであり、前記式(α−1−3) で表される5−ヘプタフルオロ−n−プロポキシ−5,6,6−トリフルオロビシクロ[ 2.2.1 ]ヘプト−2−エンのエキソ体とエンド体との等量混合物として同定された。
この化合物の 1H−NMRスペクトルを図1に、13C−NMRスペクトルを図2に、19F−NMRスペクトルを図3に示す。
【0273】
1H−NMRスペクトル(δ;単位ppm):
1.9〜2.2、2.6、2.8(以上、CH2 部) ;
3.1、3.2〜3.4、3.7〜3.9(以上、橋頭部);
5.6、6.0、6.2〜6.4(以上、炭素−炭素二重結合部)。
13C−NMRスペクトル(δ;単位ppm):
32、42(以上、CH2 部) ;
43、48、49、53(以上、橋頭部);
103〜122(フッ素原子に結合した炭素原子);
123、134、137(以上、炭素−炭素二重結合部)。
19F−NMRスペクトル(δ;単位ppm):
−131、−127、−124、−123、−122、−120、−115、
−113、−109、−107、−106、−88〜−79、−82。
GC−MS(m/e):
28、66、69、115、147、332。
【0274】
合成例2
撹拌機、還流冷却器、温度計を装着した3つ口フラスコに、トリエトキシシラン15g、5−ヘプタフルオロ−n−プロポキシ−5,6,6−トリフルオロビシクロ[ 2.2.1 ]ヘプト−2−エン20gを仕込み、室温にて撹拌したのち、塩化白金酸(H2 PtCl6 )の0.2モルi−プロピルアルコール溶液0.1ミリリットルを加えて、反応を開始させ、80℃で18時間加熱した。その後、反応溶液を室温に戻し、n−ヘキサンで希釈したのち、セライトを敷いた吸引ロートでろ過し、得られたろ液を減圧留去して、粗生成物を得た。その後、粗生成物を精製して、4mmHgにおける沸点が110℃の留分として、化合物13gを得た。
この化合物について、 1H、13C、19Fおよび29SiによるNMR分析(化学シフトδ)およびガスクロマトグラフィ−質量分析(GC−MS)を行ったところ下記のとおりであり、前記式(1−1−3) で表される化合物(以下、「ケイ素含有化合物(a−1)」とする。)として同定された。
この化合物の 1H−NMRスペクトルを図4に、13C−NMRスペクトルを図5に、19F−NMRスペクトルを図6に示す。
【0275】
1H−NMRスペクトル(δ;単位ppm):
1.2(CH3 部);
1.2〜1.5、1,6〜2.1、2.5〜2.9(以上、橋頭部);
3.8(CH2 部)。
13C−NMRスペクトル(δ;単位ppm):
14、18(以上、CH3 部);
22、30、43〜47(以上、橋頭部);
69(CH2 部);
103〜110、112〜124(以上、フッ素原子に結合した炭素原子)。19F−NMRスペクトル(δ;単位ppm):
−132、−130、−129、−127、−126、−122、−121、−120〜−117、−113〜−112、−87、−85、−82、−79。
29Si−NMRスペクトル(δ;単位ppm):
−51。
GC−MS(m/e):
69、79、97、109、119、129、148、163、183、314、495。
【0276】
合成例3
300ミリリットルのオートクレーブに、4−(トリフルオロビニルオキシ)−2,2,3,3,4,4−ヘキサフルオロ−1−ブタノール42gをジエチルエーテル100ミリリットルに溶解した溶液を仕込み、ジシクロペンタジエンの熱分解により合成したシクロペンタジエン10gを加えた。その後、オートクレーブを密閉し、120℃で10時間加熱して反応させた。反応終了後、ジエチルエーテルを留去したのち、精留することにより、10mmHgにおける沸点が85℃の留分として、化合物21gを得た。
この化合物について、 1H、13Cおよび19FによるNMR分析(化学シフトδ)およびガスクロマトグラフィ−質量分析(GC−MS)を行ったところ下記のとおりであり、前記式(α−1−17 )で表される5−(1,1,2,2,3,3−ヘキサフルオロ−4−ヒドロキシブトキシ)−5,6,6−トリフルオロビシクロ[ 2.2.1 ]ヘプト−2−エンのエキソ体とエンド体との等量混合物として同定された。
【0277】
1H−NMRスペクトル(δ;単位ppm):
1.9〜2.2、2.6、2.8(以上、CH2 部) ;
3.1、3.2〜3.4、3.7〜3.9(以上、橋頭部);
5.6、6.0、6.2〜6.4(以上、炭素−炭素二重結合部)。
13C−NMRスペクトル(δ;単位ppm):
32、42(以上、CH2 部);
43、48、49、53(以上、橋頭部);
103〜122(フッ素原子に結合した炭素原子);
123、134、137(以上、炭素−炭素二重結合部)。
19F−NMRスペクトル(δ;単位ppm):
−131、−127、−124、−123、−122、−120、−115、
−113、−109、−107、−106、−88〜−79、−82。
GC−MS(m/e)CI[M+H+ ] :
345。
【0278】
合成例4
撹拌機、還流冷却器、温度計を装着した3つ口フラスコに、トリエトキシシラン15g、合成例3で得た5−(1,1,2,2,3,3−ヘキサフルオロ−4−ヒドロキシブトキシ)−5,6,6−トリフルオロビシクロ[ 2.2.1 ]ヘプト−2−エン20gを仕込み、室温にて撹拌したのち、塩化白金酸(H2 PtCl6 )の0.2モルi−プロピルアルコール溶液0.1ミリリットルを加えて、反応を開始させ、80℃で18時間加熱した。その後、反応溶液を室温に戻し、n−ヘキサンで希釈したのち、セライトを敷いた吸引ロートでろ過し、得られたろ液を減圧留去して、粗生成物を得た。その後、粗生成物を精製して、2mmHgにおける沸点が102℃の留分として、化合物13gを得た。
この化合物について、 1H、13C、19Fおよび29SiによるNMR分析(化学シフトδ)およびガスクロマトグラフィ−質量分析(GC−MS)を行ったところ下記のとおりであり、前記式(1−1−17)で表される化合物(以下、「ケイ素含有化合物(a−2)」とする。)として同定された。
【0279】
1H−NMRスペクトル(δ;単位ppm):
1.2(CH3 部);
1.2〜1.5、1,6〜2.1、2.5〜2.9(以上、橋頭部);
3.8(CH2 部)。
13C−NMRスペクトル(δ;単位ppm):
14、18(以上、CH3 部);
22、30、43〜47(以上、橋頭部);
69(CH2 部);
103〜110、112〜124(以上、フッ素原子に結合した炭素原子)。19F−NMRスペクトル(δ;単位ppm):
−132、−130、−129、−127、−126、−122、−121、
−120〜−117、 −113〜−112、−87、−85、−82、−79。
29Si−NMRスペクトル(δ;単位ppm):
−51。
GC−MS(m/e)CI[M+H+ ]:
509。
【0280】
合成例5
300ミリリットルのオートクレーブに、2,2,3,3,4,5,5−ヘプタフルオロペンタ−4−エン−1−オール42gをジエチルエーテル100ミリリットルに溶解した溶液を仕込み、ジシクロペンタジエンの熱分解により合成したシクロペンタジエン13gを加えた。その後、オートクレーブを密閉し、120℃で10時間加熱して反応させた。反応終了後、ジエチルエーテルを留去したのち、精留することにより、20mmHgにおける沸点が72℃の留分として、化合物24gを得た。
この化合物について、 1H、13Cおよび19FによるNMR分析(化学シフトδ)およびガスクロマトグラフィ−質量分析(GC−MS)を行ったところ下記のとおりであり、前記式(α−1−24)で表される5−(1,1,2,2−テトラフルオロ−3−ヒドロキシプロピル]−5,6,6−トリフルオロビシクロ[ 2.2.1 ]ヘプト−2−エンのエキソ体とエンド体との等量混合物として同定された。
【0281】
1H−NMRスペクトル(δ;単位ppm):
1.9〜2.2、2.6、2.8(以上、CH2 部) ;
3.1、3.2〜3.4、3.7〜3.9(以上、橋頭部);
5.6、6.0、6.2〜6.4(以上、炭素−炭素二重結合部)。
13C−NMRスペクトル(δ;単位ppm):
32、42(以上、CH2 部);
43、48、49、53(以上、橋頭部);
103〜122(以上、フッ素原子に結合した炭素原子);
123、134、137(以上、炭素−炭素二重結合部)。
19F−NMRスペクトル(δ;単位ppm):
−131、−127、−124、−123、−122、−120、−115、
−113、−109、−107、−106、−88〜−79、−82。
GC−MS(m/e)CI[M+H+ ]:
279。
【0282】
合成例6
撹拌機、還流冷却器、温度計を装着した3つ口フラスコに、トリエトキシシラン15g、合成例5で得た5−(1,1,2,2−テトラフルオロ−3−ヒドロキシプロピル)−5,6,6−トリフルオロビシクロ[ 2.2.1 ]ヘプト−2−エン 20gを仕込み、室温にて撹拌したのち、塩化白金酸(H2 PtCl6 )の0.2モルi−プロピルアルコール溶液0.1ミリリットルを加えて、反応を開始させ、80℃で18時間加熱した。その後、反応溶液を室温に戻し、n−ヘキサンで希釈したのち、セライトを敷いた吸引ロートでろ過し、得られたろ液を減圧留去して、粗生成物を得た。その後、粗生成物を精製して、3mmHgにおける沸点が92℃の留分として、化合物13gを得た。
この化合物について、 1H、13C、19Fおよび29SiによるNMR分析(化学シフトδ)およびガスクロマトグラフィ−質量分析(GC−MS)を行ったところ下記のとおりであり、前記式(1−1−24)で表される化合物(以下、「ケイ素含有化合物(a−3)」とする。)として同定された。
【0283】
1H−NMRスペクトル(δ;単位ppm):
1.2(CH3 部);
1.2〜1.5、1,6〜2.1、2.5〜2.9(以上、橋頭部);
3.8(CH2 部)。
13C−NMRスペクトル(δ;単位ppm):
14、18(以上、CH3 部);
22、30、43〜47(以上、橋頭部);
69(CH2 部);
103〜110、112〜124(以上、フッ素原子に結合した炭素原子)。19F−NMRスペクトル(δ;単位ppm):
−132、−130、−129、−127、−126、−122、−121、
−120〜−117、 −113〜−112、−87、−85、−82、−79。
29Si−NMRスペクトル(δ;単位ppm):
−51。
GC−MS(m/e)CI[M+H+ ]:
443。
【0284】
製造例1
撹拌機、還流冷却器、温度計を装着した3つ口フラスコに、下記式(3−1)で表されるケイ素含有化合物(以下、「ケイ素含有化合物(3−1)」という。)5.8g、下記式(3−2)で表されるケイ素含有化合物(以下、「ケイ素含有化合物(3−2)」という。)20.8g、ケイ素含有化合物(a−1)3.4g、4−メチル−2−ペンタノン30g、1.75重量%蓚酸水溶液5.1gを仕込み、撹拌しつつ、80℃で6時間反応させた。その後反応容器を氷冷して、反応を停止させたのち、反応溶液を分液ロートに移して、水層を廃棄し、さらにイオン交換水を加えて水洗して、反応溶液が中性になるまで水洗を繰り返した。その後、有機層を減圧留去して、ポリマー約22gを得た。
次いで、このポリマーを4−メチル−2−ペンタノン 67gに溶解し、蒸留水7.4g、トリエチルアミン10.5gを加えて、窒素気流中80℃で6時間攪拌したのち、氷冷し、蓚酸8.0gを蒸留水300gに溶解した水溶液を加えてさらに撹拌した。その後、反応溶液を分液ロートに移して、水層を廃棄し、さらにイオン交換水を加えて水洗して、反応溶液が中性になるまで水洗を繰り返した。その後、有機層を減圧留去して、ポリシロキサン(A1)21.5gを得た。このポリシロキサン(A1)のMwは2,000であった。
【0285】
【化148】
【0286】
製造例2
撹拌機、還流冷却器、温度計を装着した3つ口フラスコに、ケイ素含有化合物(3−1)5.7g、ケイ素含有化合物(3−2)17.6g、ケイ素含有化合物(a−1)6.7g、4−メチル−2−ペンタノン 30g、1.75重量%蓚酸水溶液5.1gを仕込み、撹拌しつつ、80℃で6時間反応させた。その後反応容器を氷冷して、反応を停止させたのち、反応溶液を分液ロートに移して、水層を廃棄し、さらにイオン交換水を加えて水洗して、反応溶液が中性になるまで水洗を繰り返した。その後、有機層を減圧留去して、ポリシロキサン(A1)22.0gを得た。
このポリシロキサン(A1)のMwは1,600であった。
【0287】
製造例3〜12
表1に示すケイ素含有化合物を使用した以外は、製造例3〜5および製造例7〜12では製造例1と同様の方法で、製造例6では製造例2と同様の方法で、各ポリシロキサン(A1)を得た。各ポリシロキサン(A1)の収量およびMwを表1に示す。
【0288】
【表1】
【0289】
製造例13〜27
表2に示すケイ素含有化合物を使用した以外は、製造例1と同様の方法で、各ポリシロキサン(A1)を得た。各ポリシロキサン(A1)の収量およびMwを表2に示す。
【0290】
【表2】
【0291】
製造例28(下層膜の形成)
温度計を備えたセパラブルフラスコに、窒素雰囲気下で、アセナフチレン100部、トルエン78部、ジオキサン52部、アゾビスイソブチロニトリル3部を仕込み、70℃で5時間攪拌した。その後、p―トルエンスルホン酸1水和物5.2部、パラホルムアルデヒド40部を添加して、120℃に昇温したのち、さらに6時間攪拌した。その後、反応溶液を多量のイソプロパノール中に投入し、沈殿したポリマーをろ別し、40℃で減圧乾燥して、ポリマーを得た。
このポリマーは、Mwが22,000であり、 1H−NMR分析の結果、下記式で表される構造単位を有することが確認された。
【0292】
【化149】
【0293】
得られたポリマー10部、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウム10−カンファ−スルホネート0.5部、4,4’−〔1−{4−(1−[ 4−ヒドロキシフェニル ]−1−メチルエチル)フェニル}エチリデン〕ビスフェノール0.5部、シクロヘキサノン89部を均一に混合したのち、孔径0.1μmのメンブランフィルターでろ過して、下層膜形成用組成物を調製した。
次いで、得られた下層膜形成用組成物を、シリコンウエハー上に、膜厚300nmの下層膜が得られるように、スピンコートにより塗布したのち、ホットプレート上にて、180℃で60秒間、次いで300℃で120秒間ベークして、下層膜(β−1)を形成した。
【0294】
評価例1〜27
製造例1〜27で得た各ポリシロキサン(A1)について吸光係数を評価した。評価結果を表3および表4に示す。
また、製造例1〜27で得た各ポリシロキサン(A1)100部に対して、表3および表4に示した酸発生剤、および酸発生剤の総量に対し8モル%の2−フェニルベンズイミダゾールを加えた混合物を、表3および表4に示した溶剤に溶解したのち、0.45μmのメンブランフィルターでろ過して、組成物溶液を調製した。その後、各組成物溶液を、製造例28で得た下層膜(β−1)を形成した基板上に、スピンコートにより塗布し、140℃に保持したホットプレート上で、それぞれ90秒間PBを行って、膜厚1,200Åのレジスト被膜を形成した。その後、各レジスト被膜に対して、F2 エキシマレーザー(波長157nm、NA=0.60)あるいはArFエキシマレーザー(波長193nm、NA=0.55)をレチクルを通してそれぞれ露光量を変えて露光し、100℃に保持したホットプレート上で、それぞれ90秒間PEBを行ったのち、2.38重量%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液で現像して、ライン・アンド・スペースパターン(1L1S)を形成し、解像度を評価した。評価結果を表3および表4に示す。
【0295】
表3および表4において、F2はF2 エキシマレーザー、ArFはArFエキシマレーザーを表す。
また、酸発生剤(B−1) 〜(B−4) および溶剤(C−1)〜(C−3)は下記のとおりである。
B−1:トリフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート
B−2:トリフェニルスルホニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート
B−3:トリフェニルスルホニウム2−ノルボルニル−1,1,2,2−テトラフルオロエタン−1−スルホネート
B−4:トリフェニルスルホニウム10−カンファースルホネート
C−1:2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロ−1−ペンタノール
C−2:2−ヘプタノン
C−3:プロピレングリコールモノメチルエーテル
【0296】
【表3】
【0297】
【表4】
【0298】
【発明の効果】
本発明のポリシロキサン(A)は、特に、遠紫外線、電子線、X線等の放射線を用いる微細加工用のレジストにおける樹脂成分として有用である。ポリシロキサン(A)を用いた感放射線性樹脂組成物は、ArFエキシマレーザー(波長193nm)あるいはF2 エキシマレーザー(波長157nm)に代表される遠紫外線等の波長200nm以下の放射線に有効に感応し、放射線に対する透明性が高く、解像度に優れ、かつ樹脂成分のアルカリ現像液に対する溶解性の制御が容易であり、また感度、現像性、ドライエッチング耐性等にも優れており、今後ますます微細化が進行するとみられるLSIの製造に極めて好適に使用することができる。また、本発明のノルボルネン系化合物(α)は、特に本発明のケイ素含有化合物(a)の合成原料として有用であり、ケイ素含有化合物(a)は、特にポリシロキサン(A)の合成原料として有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】合成例1で得た化合物の 1H−NMRスペクトルを示す図である。
【図2】合成例1で得た化合物の13C−NMRスペクトルを示す図である。
【図3】合成例1で得た化合物の19F−NMRスペクトルを示す図である。
【図4】合成例2で得た化合物の 1H−NMRスペクトルを示す図である。
【図5】合成例2で得た化合物の13C−NMRスペクトルを示す図である。
【図6】合成例2で得た化合物の19F−NMRスペクトルを示す図である。
【発明の属する技術分野】
本発明は、フッ素原子含有ノルボルナン骨格を有する新規ポリシロキサンの合成原料等として有用な新規ケイ素含有化合物、該ケイ素含有化合物の合成原料等として有用な新規ノルボルネン系化合物、該ポリシロキサン、該ポリシロキサンを含有する感放射線性樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、LSI(高集積回路)の高密度化、高集積化に対する要求が益々高まっており、それに伴い配線パターンの微細化も急速に進行している。
このような配線パターンの微細化に対応しうる手段の一つとして、リソグラフィープロセスに用いる放射線を短波長化する方法があり、近年では、g線(波長436nm)やi線(波長365nm)等の紫外線に替えて、KrFエキシマレーザー(波長248nm)あるいはArFエキシマレーザー(波長193nm)に代表される遠紫外線や、電子線、X線等が用いられるようになっており、またF2 エキシマレーザー(波長157nm)の使用も検討されている。
ところで、従来のレジスト組成物には、樹脂成分としてノボラック樹脂、ポリ(ビニルフェノール)等が用いられてきたが、これらの材料は構造中に芳香族環を含み、193nmの波長に強い吸収があるため、例えばArFエキシマレーザーを用いたリソグラフィープロセスでは、高感度、高解像度、高アスペクト比に対応した高い精度が得られない。
そこで、200nm以下の波長に対して透明で、かつ芳香族環と同等以上のドライエッチング耐性を有するレジスト用樹脂成分が求められている。その一つとしてシロキサン系ポリマーが考えられ、MIT R.R.Kunzらは、ポリシロキサン系ポリマーが、200nm以下の波長、特に157nmでの透明性に優れるという測定結果を提示しており、このポリマーが193nm以下の波長を用いるリソグラフィープロセスにおけるレジスト材料に適していると報告している(例えば、非特許文献1、非特許文献2参照。) 。また、ポリシロキサン系ポリマーはドライエッチング耐性に優れ、中でもラダー構造をもつポリオルガノシルセスキオキサンを含むレジストが高い耐プラズマ性を有することも知られている。
【0003】
一方、シロキサン系ポリマーを用いるレジスト材料についても既に幾つか報告されている。即ち、カルボン酸エステル基、フェノールエーテル基等の酸解離性基が1個以上の炭素原子を介してケイ素原子に結合した、側鎖に酸解離性基を有するポリシロキサンを用いた放射線感応性樹脂組成物(例えば、特許文献1参照。)、ポリ(2−カルボキシエチルシロキサン)のカルボキシル基をt−ブチル基等の酸解離性基で保護したポリマーを用いたポジ型レジスト(例えば、特許文献2参照。)、酸解離性エステル基を有するポリオルガノシルセスキオキサンを用いたレジスト樹脂組成物(例えば、特許文献3参照。)が開示されている。しかし、これらの従来の酸解離性基含有シロキサン系ポリマーを用いたレジスト材料では、放射線に対する透明性、解像度、現像性等のレジストとしての基本物性の点で未だ満足できるレベルにあるとはいえない。
さらに、カルボキシル基を有する非芳香族系の単環式もしくは多環式炭化水素基または有橋環式炭化水素基を側鎖に有し、かつ該カルボキシル基の少なくとも1部が酸不安定性基で置換されたシロキサン系ポリマー、および該ポリマーを用いたレジスト材料が報告されており(例えば、特許文献4参照。)、このレジスト材料は、KrFエキシマレーザー(波長248nm)あるいはArFエキシマレーザー(波長193nm)の吸収が小さく、パターン形状が良好であり、また感度、解像度、ドライエッチング耐性等にも優れているとされている。
しかしながら、特許文献4のシロキサン系ポリマーを含めても、レジスト材料の樹脂成分として有用なシロキサン系ポリマーの種類は少なく、短波長の放射線に有効に感応し、高度のドライエッチング耐性を備えつつ、レジストとしての基本物性に優れたレジスト材料をもたらしうる新たなシロキサン系ポリマーの開発は、半導体素子における急速な微細化の進行に対応しうる技術開発の観点から重要な課題となっている。
【0004】
【非特許文献1】
J. Photopolym. Sci. Technol., Vol.12, No.4 (1999) P.561−570
【非特許文献2】
SPIE, Vol.3678 (1999) P.13−23
【特許文献1】
特開平5−323611号公報
【特許文献2】
特開平8−160623号公報
【特許文献3】
特開平11−60733号公報
【特許文献4】
特開平11−302382号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、ArFエキシマレーザー(波長193nm)あるいはF2 エキシマレーザー(波長157nm)に代表される波長200nm以下の放射線に有効に感応し、放射線に対する透明性が高く、解像度が優れ、かつ樹脂成分のアルカリ現像液に対する溶解性の制御が容易であり、また感度、現像性、ドライエッチング耐性等にも優れたレジストの樹脂成分等として有用な、フッ素原子含有ノルボルナン骨格を有する新規ポリシロキサン、該ポリシロキサンの合成原料等として有用な新規ケイ素含有化合物、該ケイ素含有化合物の合成原料等として有用な新規ノルボルネン系化合物、該ポリシロキサンを含有する感放射線性樹脂組成物を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、第一に、
下記一般式(α)で表されるノルボルネン系化合物(以下、「ノルボルネン系化合物(α)」という。)からなる。
【0007】
【化4】
【0008】
〔一般式(α)において、各Z1 は相互に独立に水素原子、フッ素原子または炭素数1〜4の1価のフッ素化炭化水素基を示し、かつZ1 の少なくとも1つがフッ素原子または炭素数1〜4の1価のフッ素化炭化水素基であり、R1 はヒドロキシメチル基または−A−R’ 基(但し、Aは酸素原子またはジフルオロメチレン基であり、R’ は炭素数1〜10の1価の炭化水素基、炭素数1〜10の1価のハロゲン化炭化水素基またはヒドロキシル基で置換された炭素数1〜10の1価のハロゲン化炭化水素基である。)を示し、nは0または1である。〕
ノルボルネン系化合物(α)は、その橋頭結合部と−R1 基がシス配置であるエキソ形ないしトランス配置であるエンド形の構造を有することができる。
【0009】
本発明は、第二に、
下記一般式(1)または一般式(2)で表されるケイ素含有化合物(以下、「ケイ素含有化合物(a)」という。)、からなる。
【0010】
【化5】
【0011】
〔一般式(1)および一般式(2)において、X1 は水素原子、炭素数1〜20の1価の炭化水素基、炭素数1〜20の1価のハロゲン化炭化水素基、ハロゲン原子または1級、2級もしくは3級のアミノ基を示し、複数存在するX1 は相互に同一でも異なってもよく、Y1 は炭素数1〜20の1価の炭化水素基または炭素数1〜20の1価のハロゲン化炭化水素基を示し、複数存在するY1 は相互に同一でも異なってもよく、X2 は水素原子、炭素数1〜20の1価の炭化水素基、炭素数1〜20の1価のハロゲン化炭化水素基、炭素数1〜20の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルコキシル基、ハロゲン原子または1級、2級もしくは3級のアミノ基を示し、各Z1 は相互に独立に水素原子、フッ素原子または炭素数1〜4の1価のフッ素化炭化水素基を示し、かつZ1 の少なくとも1つがフッ素原子または炭素数1〜4の1価のフッ素化炭化水素基であり、各R1 は相互に独立にヒドロキシメチル基または−A−R’ 基(但し、Aは酸素原子またはジフルオロメチレン基であり、R’ は炭素数1〜10の1価の炭化水素基、炭素数1〜10の1価のハロゲン化炭化水素基またはヒドロキシル基で置換された炭素数1〜10の1価のハロゲン化炭化水素基である。)を示し、xは0〜2の整数であり、yは3〜5の整数であり、各nは相互に独立に0または1である。〕
【0012】
ケイ素含有化合物(a)は、そのケイ素原子が、最上位にあるビシクロ[ 2.2.1 ]ヘプタン環の2−位ないし3−位に結合している。
また、一般式(2)で表されるケイ素含有化合物(a)は、yが3、4または5の何れかである化合物、あるいはyが異なる2種以上の化合物の混合物であることができる。
【0013】
本発明は、第三に、
下記一般式(I)で表される構造単位(以下、「構造単位(I)」という。)および一般式(II)で表される構造単位(以下、「構造単位(II)」という。)の群から選ばれる少なくとも1種を有する、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)によるポリスチレン換算重量平均分子量が500〜1,000,000のポリシロキサン(以下、「ポリシロキサン(A)」という。)、からなる。
【0014】
【化6】
【0015】
〔一般式(I)および一般式(II)において、X1 は水素原子、炭素数1〜20の1価の炭化水素基、炭素数1〜20の1価のハロゲン化炭化水素基、ハロゲン原子または1級、2級もしくは3級のアミノ基を示し、各Z1 は相互に独立に水素原子、フッ素原子または炭素数1〜4の1価のフッ素化炭化水素基を示し、かつZ1 の少なくとも1つがフッ素原子または炭素数1〜4の1価のフッ素化炭化水素基であり、各R1 は相互に独立にヒドロキシメチル基または−A−R’ 基(但し、Aは酸素原子またはジフルオロメチレン基であり、R’ は炭素数1〜10の1価の炭化水素基、炭素数1〜10の1価のハロゲン化炭化水素基またはヒドロキシル基で置換された炭素数1〜10の1価のハロゲン化炭化水素基である。)を示し、各nは相互に独立に0または1である。〕
【0016】
本発明は、第四に、
(イ)ポリシロキサン(A)のうち、酸解離性基を有するアルカリ不溶性またはアルカリ難溶性の樹脂であって、該酸解離性基が解離したときアルカリ易溶性となる樹脂(以下、「ポリシロキサン(A1)」という。)、並びに(ロ)感放射線性酸発生剤を含有することを特徴とする感放射線性樹脂組成物、からなる。
【0017】
以下、本発明について詳細に説明する。
ノルボルネン系化合物(α)
一般式(α)におけるZ1 およびR1 としては、例えば、後述する一般式(1)および一般式(2)におけるそれぞれZ1 およびR1 について例示する基と同様のものを挙げることができる。
【0018】
本発明において、好ましいノルボルネン系化合物(α)の具体例としては、下記式(α−1−1) 〜式(α−1−28)で表される化合物、下記式(α−2−1) 〜式(α−2−28)で表される化合物等を挙げることができる。
【0019】
【化7】
【0020】
【化8】
【0021】
【化9】
【0022】
【化10】
【0023】
【化11】
【0024】
【化12】
【0025】
【化13】
【0026】
【化14】
【0027】
【化15】
【0028】
【化16】
【0029】
【化17】
【0030】
【化18】
【0031】
【化19】
【0032】
【化20】
【0033】
【化21】
【0034】
【化22】
【0035】
【化23】
【0036】
【化24】
【0037】
【化25】
【0038】
【化26】
【0039】
【化27】
【0040】
【化28】
【0041】
【化29】
【0042】
【化30】
【0043】
これらのノルボルネン系化合物(α)のうち、特に、式(α−1−1) 、式(α−1−2) 、式(α−1−3) 、式(α−1−9) 、式(α−1−11)、式(α−1−17)、式(α−1−19)、式(α−1−24)、式(α−1−25)、式(α−1−26)、式(α−1−28)、式(α−2−3) 、式(α−2−9) 、式(α−2−17)、式(α−2−19)、式(α−2−24)、式(α−2−25)、式(α−2−26)または式(α−2−28)で表される化合物等が好ましい。
【0044】
ノルボルネン系化合物(α)は、例えば、対応するビニル化合物とシクロペンタジエンとのディールス−アルダー反応によって合成することができる。
【0045】
ノルボルネン系化合物(α)は、特に、下記するケイ素含有化合物(a)の合成原料として有用であるほか、関連するノルボルネン誘導体やノルボルナン誘導体の合成原料、ポリマーの合成原料等としても使用することができる。
【0046】
ケイ素含有化合物(a)
一般式(1)および一般式(2)において、Z1 の炭素数1〜4の1価のフッ素化炭化水素基としては、例えば、トリフルオロメチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、ペンタフルオロエチル基、3,3,3−トリフルオロ−n−プロピル基、3,3,3,2,2−ペンタフルオロ−n−プロピル基、ヘプタフルオロ−n−プロピル基、4,4,4−トリフルオロ−n−ブチル基、4,4,4,3,3−ペンタフルオロ−n−ブチル基、4,4,4,3,3,2,2−ヘプタフルオロ−n−ブチル基、ノナフルオロ−n−ブチル基等を挙げることができる。
Z1 としては、フッ素原子、トリフルオロメチル基、ノナフルオロ−n−ブチル基等が好ましく、複数存在するZ1 の2つ以上がフッ素原子である場合が特に好ましい。
【0047】
また、R1 が−A−R’ 基であるとき、R’ の炭素数1〜10の1価の炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、2−メチルプロピル基、1−メチルプロピル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、3−メチルブチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、n−ノニル基、n−デシル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキル基;フェニル基、o−トリル基、m−トリル基、p−トリル基、ベンジル基、フェネチル基、α−ナフチル基、β−ナフチル基等の芳香族炭化水素基;ノルボルニル基、トリシクロデカニル基、テトラシクロデカニル基、アダマンチル基等の有橋式炭化水素基等を挙げることができる。
これらの1価の炭化水素基のうち、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基等が好ましい。
【0048】
また、R’の炭素数1〜10の1価のハロゲン化炭化水素基としては、例えば、前記炭素数1〜10の1価の炭化水素基を、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等の1種以上あるいは1個以上、好ましくは1個以上のフッ素原子で置換した基(以下、「フッ素化炭化水素基」という。)を挙げることができる。
【0049】
好ましいフッ素化炭化水素基の具体例としては、トリフルオロメチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、ペンタフルオロエチル基、3,3,3−トリフルオロ−n−プロピル基、3,3,3,2,2−ペンタフルオロ−n−プロピル基、ヘプタフルオロ−n−プロピル基、4,4,4−トリフルオロ−n−ブチル基、4,4,4,3,3−ペンタフルオロ−n−ブチル基、4,4,4,3,3,2,2−ヘプタフルオロ−n−ブチル基、ノナフルオロ−n−ブチル基、5,5,5−トリフルオロ−n−ペンチル基、5,5,5,4,4−ペンタフルオロ−n−ペンチル基、5,5,5,4,4,3,3−ヘプタフルオロ−n−ペンチル基、5,5,5,4,4,3,3,2,2−ノナフルオロ−n−ペンチル基、パーフルオロ−n−ペンチル基、パーフルオロ−n−オクチル基等を挙げることができる。
【0050】
これらのフッ素化炭化水素基のうち、特に、トリフルオロメチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、ペンタフルオロエチル基、3,3,3−トリフルオロ−n−プロピル基、3,3,3,2,2−ペンタフルオロ−n−プロピル基、ヘプタフルオロ−n−プロピル基、ノナフルオロ−n−ブチル基、パーフルオロ−n−ペンチル基等が好ましい。
【0051】
また、R’のヒドロキシル基で置換された炭素数1〜10の1価のハロゲン化炭化水素基としては、例えば、炭素数1〜10の1価の炭化水素基を1個以上のヒドロキシル基と、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等の1種以上あるいは1個以上、好ましくは1個以上のフッ素原子とで置換した基(以下、「ヒドロキシル基含有フッ素化炭化水素基」という。)を挙げることができる。
【0052】
好ましいヒドロキシル基含有フッ素化炭化水素基としては、例えば、1,1−ジフルオロ−2−ヒドロキシエチル基、1,1,2,2−テトラフルオロ−3−ヒドロキシ−n−プロピル基、1,1,2,2−テトラフルオロ−4−ヒドロキシ−n−ブチル基、1,1,2,2−テトラフルオロ−3,3−ジ(トリフルオロメチル)−3−ヒドロキシ−n−プロピル基、1,1,2,2,3,3−ヘキサフルオロ−4−ヒドロキシ−n−ブチル基、1,1,2,2,3,3−ヘキサフルオロ−5−ヒドロキシ−n−ペンチル基、1,1,2,2,3,3,4,4−オクタフルオロ−5−ヒドロキシ−n−ペンチル基、1,1,2,2,3,3,4,4,5,5−デカフルオロ−6−ヒドロキシ−n−ヘキシル基等を挙げることができる。
【0053】
これらのヒドロキシル基含有フッ素化炭化水素基のうち、特に、1,1−ジフルオロ−2−ヒドロキシエチル基、1,1,2,2−テトラフルオロ−3−ヒドロキシ−n−プロピル基、1,1,2,2−テトラフルオロ−4−ヒドロキシ−n−ブチル基、1,1,2,2−テトラフルオロ−3,3−ジ(トリフルオロメチル)−3−ヒドロキシ−n−プロピル基、1,1,2,2,3,3−ヘキサフルオロ−4−ヒドロキシ−n−ブチル基、1,1,2,2,3,3−ヘキサフルオロ−5−ヒドロキシ−n−ペンチル基等が好ましい。
【0054】
また、一般式(1)におけるxとしては、0または1が好ましく、一般式(1)および一般式(2)におけるnとしてはそれぞれ、0および1がともに好ましい。
【0055】
また、X1 およびX2 の炭素数1〜20の1価の炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、2−メチルプロピル基、1−メチルプロピル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、3−メチルブチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ドデシル基、n−テトラデシル基、n−ヘキサデシル基、n−オクタデシル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキル基;フェニル基、o−トリル基、m−トリル基、p−トリル基、ベンジル基、フェネチル基、α−ナフチル基、β−ナフチル基等の芳香族炭化水素基;ノルボルニル基、トリシクロデカニル基、テトラシクロデカニル基、アダマンチル基等の有橋式炭化水素基等を挙げることができる。
これらの1価の炭化水素基のうち、メチル基、エチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ノルボルニル基、テトラシクロデカニル基等が好ましい。
【0056】
また、X1 およびX2 の炭素数1〜20の1価のハロゲン化炭化水素基としては、例えば、X1 およびX2 の前記1価の炭化水素基を1種以上あるいは1個以上のハロゲン原子、好ましくは1個以上のフッ素原子で置換した基、より具体的には、トリフルオロメチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、3,3,3−トリフルオロ−n−プロピル基、ヘプタフルオロ−n−プロピル基、4,4,4−トリフルオロ−n−ブチル基、3,3,4,4,4−ペンタフルオロ−n−ブチル基、ペンタフルオロフェニル基、4−t−ブトキシテトラフルオロフェニル基等を挙げることができる。
【0057】
また、X1 およびX2 のハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等を挙げることができる。
これらのハロゲン原子のうち、フッ素原子、塩素原子が好ましい。
また、X1 およびX2 の2級もしくは3級のアミノ基としては、例えば、メチルアミノ基、エチルアミノ基、n−プロピルアミノ基、i−プロピルアミノ基、n−ブチルアミノ基、シクロペンチルアミノ基、シクロヘキシルアミノ基、フェニルアミノ基、ベンジルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジ−i−プロピルアミノ基、ジシクロペンチルアミノ基、ジシクロヘキシルアミノ基、ジフェニルアミノ基、ジベンジルアミノ基等を挙げることができる。
X1 およびX2 のアミノ基としてはそれぞれ、アミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジシクロペンチルアミノ基、ジシクロヘキシルアミノ基、ジフェニルアミノ基等が好ましい。
【0058】
また、X2 の炭素数1〜20の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルコキシル基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基、n−ブトキシ基、2−メチルプロポキシ基、1−メチルプロポキシ基、t−ブトキシ基、n−ペンチルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基、n−ヘプチルオキシ基、n−オクチルオキシ基、n−ノニルオキシ基、n−デシルオキシ基、n−ドデシルオキシ基、n−テトラデシルオキシ基、n−ヘキサデシルオキシ基、n−オクタデシルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基等を挙げることができる。
これらのアルコキシル基のうち、メトキシ基、エトキシ基等が好ましい。
【0059】
一般式(1)におけるX1 としては、特に、メチル基、エチル基、3,3,3−トリフルオロ−n−プロピル基、4,4,4−トリフルオロ−n−ブチル基、3,3,4,4,4−ペンタフルオロ−n−ブチル基、ペンタフルオロフェニル基、4−t−ブトキシテトラフルオロフェニル基、フッ素原子、塩素原子、ジメチルアミノ基等が好ましい。
【0060】
また、一般式(2)におけるX2 としては、特に、メチル基、エチル基、3,3,3−トリフルオロ−n−プロピル基、4,4,4−トリフルオロ−n−ブチル基、3,3,4,4,4−ペンタフルオロ−n−ブチル基、ペンタフルオロフェニル基、4−t−ブトキシテトラフルオロフェニル基、フッ素原子、塩素原子、ジメチルアミノ基、メトキシ基、エトキシ基等が好ましい。
【0061】
本発明において、好ましいケイ素含有化合物(a)の具体例としては、下記式(1−1−1) 〜式(1−1−72)で表される化合物、下記式(1−2−1) 〜式(1−2−72)で表される化合物等を挙げることができる。
【0062】
【化31】
【0063】
【化32】
【0064】
【化33】
【0065】
【化34】
【0066】
【化35】
【0067】
【化36】
【0068】
【化37】
【0069】
【化38】
【0070】
【化39】
【0071】
【化40】
【0072】
【化41】
【0073】
【化42】
【0074】
【化43】
【0075】
【化44】
【0076】
【化45】
【0077】
【化46】
【0078】
【化47】
【0079】
【化48】
【0080】
【化49】
【0081】
【化50】
【0082】
【化51】
【0083】
【化52】
【0084】
【化53】
【0085】
【化54】
【0086】
【化55】
【0087】
【化56】
【0088】
【化57】
【0089】
【化58】
【0090】
【化59】
【0091】
【化60】
【0092】
【化61】
【0093】
【化62】
【0094】
【化63】
【0095】
【化64】
【0096】
【化65】
【0097】
【化66】
【0098】
【化67】
【0099】
【化68】
【0100】
【化69】
【0101】
【化70】
【0102】
【化71】
【0103】
【化72】
【0104】
【化73】
【0105】
【化74】
【0106】
【化75】
【0107】
【化76】
【0108】
【化77】
【0109】
【化78】
【0110】
【化79】
【0111】
【化80】
【0112】
【化81】
【0113】
【化82】
【0114】
【化83】
【0115】
【化84】
【0116】
【化85】
【0117】
【化86】
【0118】
【化87】
【0119】
【化88】
【0120】
【化89】
【0121】
【化90】
【0122】
【化91】
【0123】
【化92】
【0124】
【化93】
【0125】
【化94】
【0126】
これらのケイ素含有化合物(a)のうち、特に、式(1−1−1) 、式(1−1−2) 、式(1−1−3) 、式(1−1−11)、式(1−1−17)、式(1−1−19)、式(1−1−24)、式(1−1−25)、式(1−1−26)、式(1−1−28)、式(1−1−29)、式(1−1−30)、式(1−1−31)、式(1−1−34)、式(1−1−36)、式(1−1−39)、式(1−1−41)、式(1−1−46)、式(1−1−47)、式(1−1−48)、式(1−1−50)、式(1−2−1) 、式(1−2−2) 、式(1−2−3) 、式(1−2−11)、式(1−2−17)、式(1−2−19)、式(1−2−24)、式(1−2−25)、式(1−2−26)、式(1−2−28)、式(1−2−29)、式(1−2−30)、式(1−2−31)、式(1−2−34)、式(1−2−36)、式(1−2−39)、式(1−2−41)、式(1−2−46)、式(1−2−47)、式(1−2−48)または式(1−2−50)で表される化合物等が好ましい。
【0127】
ケイ素含有化合物(a)は、例えば、ノルボルネン系化合物(α)と、対応するヒドロシラン化合物とを、常法のヒドロシリル化反応により、ヒドロシリル化触媒の存在下、無溶媒下あるいは適当な溶媒中で反応させる方法により合成することができる。
【0128】
ケイ素含有化合物(a)は、特に、下記するポリシロキサン(A)の合成原料として有用であるほか、他のポリシロキサンや他の関連するケイ素含有化合物の合成原料としても使用することができる。
【0129】
ポリシロキサン(A)
ポリシロキサン(A)は、少なくとも1種のケイ素含有化合物(a)を、酸性触媒または塩基性触媒の存在下、無溶媒または溶媒中で、常法により重縮合させることによって製造することができる。この重縮合に際しては、ケイ素含有化合物(a)は、一部または全部を部分縮合物として用いることもできる。
【0130】
以下、ポリシロキサン(A)を製造する重縮合法について説明する。
前記酸性触媒としては、例えば、塩酸、硫酸、硝酸、蟻酸、酢酸、n−プロピオン酸、酪酸、吉草酸、しゅう酸、マロン酸、琥珀酸、マレイン酸、フマル酸、アジピン酸、フタル酸、テレフタル酸、無水酢酸、無水マレイン酸、クエン酸、ホウ酸、燐酸、四塩化チタン、塩化亜鉛、塩化アルミニウム、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸等を挙げることができる。
これらの酸性触媒は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
【0131】
前記塩基性触媒のうち、無機塩基類としては、例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等を挙げることができる。
【0132】
また、前記塩基性触媒のうち、有機塩基類としては、例えば、
n−ヘキシルアミン、n−ヘプチルアミン、n−オクチルアミン、n−ノニルアミン、n−デシルアミン、シクロヘキシルアミン等の直鎖状、分岐状もしくは環状のモノアルキルアミン類;
ジ−n−ブチルアミン、ジ−n−ペンチルアミン、ジ−n−ヘキシルアミン、ジ−n−ヘプチルアミン、ジ−n−オクチルアミン、ジ−n−ノニルアミン、ジ−n−デシルアミン、シクロヘキシルメチルアミン、ジシクロヘキシルアミン等の直鎖状、分岐状もしくは環状のジアルキルアミン類;
トリエチルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリ−n−ブチルアミン、トリ−n−ペンチルアミン、トリ−n−ヘキシルアミン、トリ−n−ヘプチルアミン、トリ−n−オクチルアミン、トリ−n−ノニルアミン、トリ−n−デシルアミン、シクロヘキシルジメチルアミン、ジシクロヘキシルメチルアミン、トリシクロヘキシルアミン等の直鎖状、分岐状もしくは環状のトリアルキルアミン類;
【0133】
アニリン、N−メチルアニリン、N,N−ジメチルアニリン、2−メチルアニリン、3−メチルアニリン、4−メチルアニリン、4−ニトロアニリン、ジフェニルアミン、トリフェニルアミン、ナフチルアミン等の芳香族アミン類;
エチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノジフェニルアミン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、2−(3−アミノフェニル)−2−(4−アミノフェニル)プロパン、2−(4−アミノフェニル)−2−(3−ヒドロキシフェニル)プロパン、2−(4−アミノフェニル)−2−(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,4−ビス〔1−(4−アミノフェニル)−1−メチルエチル〕ベンゼン、1,3−ビス〔1−(4−アミノフェニル)−1−メチルエチル〕ベンゼン等のジアミン類;
【0134】
イミダゾール、ベンズイミダゾール、4−メチルイミダゾール、4−メチル−2−フェニルイミダゾール等のイミダゾール類;
ピリジン、2−メチルピリジン、4−メチルピリジン、2−エチルピリジン、4−エチルピリジン、2−フェニルピリジン、4−フェニルピリジン、2−メチル−4−フェニルピリジン、ニコチン、ニコチン酸、ニコチン酸アミド、キノリン、4−ヒドロキシキノリン、8−オキシキノリン、アクリジン等のピリジン類;ピペラジン、1−(2’−ヒドロキシエチル)ピペラジン等のピペラジン類のほか、
ピラジン、ピラゾール、ピリダジン、キノザリン、プリン、ピロリジン、ピペリジン、モルホリン、4−メチルモルホリン、1,4−ジメチルピペラジン、1,4−ジアザビシクロ [2.2.2] オクタン等の他の含窒素複素環化合物
等を挙げることができる。
これらの塩基性触媒は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
【0135】
前記酸性触媒および塩基性触媒のうち、塩酸、硫酸、酢酸、しゅう酸、マロン酸、マレイン酸、フマル酸、無水酢酸、無水マレイン酸、トリエチルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリ−n−ブチルアミン、ピリジン等が好ましい。
酸性触媒または塩基性触媒の使用量は、ケイ素含有化合物の全量100重量部に対して、通常、0.01〜10,000重量部である。
【0136】
また、重縮合に用いられる溶媒としては、例えば、
2−ブタノン、2−ペンタノン、3−メチル−2−ブタノン、2−ヘキサノン、4−メチル−2−ペンタノン、3−メチル−2−ペンタノン、3,3−ジメチル−2−ブタノン、2−ヘプタノン、2−オクタノン等の直鎖状もしくは分岐状のケトン類;
シクロペンタノン、3−メチルシクロペンタノン、シクロヘキサノン、2−メチルシクロヘキサノン、2,6−ジメチルシクロヘキサノン、イソホロン等の環状のケトン類;
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノ−i−プロピルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノ−i−ブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノ−sec−ブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノ−t−ブチルエーテルアセテート等のプロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類;
【0137】
2−ヒドロキシプロピオン酸メチル、2−ヒドロキシプロピオン酸エチル、2−ヒドロキシプロピオン酸n−プロピル、2−ヒドロキシプロピオン酸i−プロピル、2−ヒドロキシプロピオン酸n−ブチル、2−ヒドロキシプロピオン酸i−ブチル、2−ヒドロキシプロピオン酸sec−ブチル、2−ヒドロキシプロピオン酸t−ブチル等の2−ヒドロキシプロピオン酸アルキル類;
3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル等の3−アルコキシプロピオン酸アルキル類;
エタノール、n−プロパノール、i−プロパノール、n−ブタノール、t−ブタノール、シクロヘキサノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル等のアルコール類;
【0138】
ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジ−n−プロピルエーテル、ジエチレングリコールジ−n−ブチルエーテル等のジアルキレングリコールジアルキルエーテル類;
エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノ−n−プロピルエーテルアセテート等のエチレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類;
トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;
2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、エトキシ酢酸エチル、ヒドロキシ酢酸エチル、2−ヒドロキシ−3−メチル酪酸メチル、3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルプロピオネート、3−メチル−3−メトキシブチルブチレート、酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸n−ブチル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル等の他のエステル類のほか、
【0139】
N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ベンジルエチルエーテル、ジ−n−ヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、カプロン酸、カプリル酸、1−オクタノール、1−ノナノール、ベンジルアルコール、酢酸ベンジル、安息香酸エチル、しゅう酸ジエチル、マレイン酸ジエチル、γ−ブチロラクトン、炭酸エチレン、炭酸プロピレン等を挙げることができる。
これらの溶媒は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
溶媒の使用量は、ケイ素含有化合物の全量100重量部に対して、通常、2,000重量部以下である。
【0140】
ポリシロキサン(A)を製造する重縮合は、無溶媒下、あるいは2−ブタノン、2−ペンタノン、3−メチル−2−ブタノン、2−ヘキサノン、4−メチル−2−ペンタノン、3−メチル−2−ペンタノン、3,3−ジメチル−2−ブタノン、2−ヘプタノン、2−オクタノン、シクロペンタノン、3−メチルシクロペンタノン、シクロヘキサノン、2−メチルシクロヘキサノン、2,6−ジメチルシクロヘキサノン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジ−n−プロピルエーテル、ジエチレングリコールジ−n−ブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノ−n−プロピルエーテルアセテート等の溶媒中で実施することが好ましい。
【0141】
また、重縮合に際しては、反応系に水を添加することもできる。この場合の水の添加量は、ケイ素含有化合物の全量100重量部に対して、通常、10,000重量部以下である。
重縮合における反応温度は、通常、−50〜+300℃、好ましくは20〜100℃であり、反応時間は、通常、1分〜100時間程度である。
【0142】
ポリシロキサン(A)は、構造単位(I)および構造単位(II)以外の構造単位(以下、「他の構造単位」という。)を1種以上有することができる。
他の構造単位を与える好ましいケイ素含有化合物(以下、「他のケイ素含有化合物」という。)としては、例えば、下記一般式(3)で表されるケイ素含有化合物(以下、「ケイ素含有化合物(3)」という。)、下記一般式(4)で表されるシラン化合物(以下、「ケイ素含有化合物(4)」という。)等の酸解離性基を有するケイ素含有化合物や、下記一般式(5)で表されるケイ素含有化合物(以下、「ケイ素含有化合物(5)」という。)、下記一般式(6)で表されるケイ素含有化合物(以下、「ケイ素含有化合物(6)」という。)、下記一般式(7)で表されるケイ素含有化合物(以下、「ケイ素含有化合物(7)」という。)等を挙げることができる。これらのケイ素含有化合物(3)〜(7)はそれぞれ、一部または全部を部分縮合物として用いることもできる。
【0143】
【化95】
【0144】
〔一般式(3)および一般式(4)において、各Eは相互に独立に酸解離性基を有する1価の有機基を示し、各R2 は相互に独立に炭素数1〜20の1価の炭化水素基または炭素数1〜20の1価のハロゲン化炭化水素基を示し、R3 は水素原子、炭素数1〜20の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、炭素数1〜20の直鎖状もしくは分岐状のハロゲン化アルキル基、炭素数6〜20の1価の芳香族炭化水素基または炭素数6〜20の1価のハロゲン化芳香族炭化水素基を示す。〕
【0145】
【化96】
【0146】
〔一般式(5)〜(7)において、各R2 および各R3 は一般式(3)および一般式(4)におけるそれぞれR2 およびR3 と同義であり、各R4 は相互に独立にヒドロキシル基、カルボキシル基、ヒドロキシル基を有する1価の有機基またはカルボキシル基を有する1価の有機基を示す。〕
【0147】
以下、ケイ素含有化合物(3)〜(7)について順次説明する。
一般式(3)および一般式(4)において、Eの酸解離性基を有する1価の有機基としては、酸により解離して、好ましくは、フェノール性水酸基、アルコール性水酸基あるいはカルボキシル基を生じる酸解離性基を有する炭素数1〜20の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、該酸解離性基を有する炭素数4〜30の1価の脂環式炭化水素基等の、ポリシロキサン(A)を製造する反応条件下で安定な基を挙げることができる。
Eにおける酸解離性基としては、例えば、下記一般式(8)または一般式(9)で表される基(以下、「酸解離性基(e)」という。)等が好ましい。
【0148】
【化97】
【0149】
〔一般式(8)および一般式(9)において、Pは単結合、メチレン基、ジフルオロメチレン基、炭素数2〜20の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキレン基、炭素数2〜20の直鎖状、分岐状もしくは環状のフルオロアルキレン基、炭素数6〜20の2価の芳香族基または炭素数3〜20の2価の他の脂環式基を示し、Gは酸により解離して水素原子を生じる1価の有機基を示す。〕
【0150】
一般式(8)および一般式(9)において、Pの炭素数2〜20の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキレン基としては、例えば、エチレン基、トリメチレン基、プロピレン基、テトラメチレン基、1,3−シクロペンチレン基、1,4−シクロヘキシレン基等を挙げることができ、炭素数2〜20の直鎖状、分岐状もしくは環状のフルオロアルキレン基としては、例えば、テトラフルオロエチレン基、2,2−ジ(トリフルオロメチル)エチレン基、ヘキサフルオロトリメチレン基、オクタフルオロテトラメチレン基等を挙げることができ、炭素数6〜20の2価の芳香族基としては、例えば、1,4−フェニレン基、1,4−ナフチレン基、テトラフルオロ−1,4−フェニレン基、パーフルオロ−1,4−ナフチレン基等を挙げることができ、また炭素数3〜20の2価の他の脂環式基としては、ノルボルネン骨格、トリシクロデカン骨格あるいはアダマンタン骨格を有する2価の炭化水素基や、これらの基のハロゲン化物等を挙げることができる。
【0151】
一般式(8)および一般式(9)におけるPとしては、エチレン基、シクロヘキシレン基、フェニレン基、テトラフルオロフェニレン基、ノルボルネン骨格を有する2価の炭化水素基やそのハロゲン化物、アダマンタン骨格を有する2価の炭化水素基やそのハロゲン化物等が好ましい。
【0152】
また、Gの酸により解離して水素原子を生じる1価の有機基としては、例えば、
メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、2−メチルプロピル基、1−メチルプロピル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−デシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、4−t−ブチルシクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基等の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキル基;
フェノキシカルボニル基、4−t−ブチルフェノキシカルボニル基、1−ナフチルオキシカルボニル基等のアリーロキシカルボニル基;
ベンジル基、4−t−ブチルベンジル基、フェネチル基、4−t−ブチルフェネチル基等のアラルキル基;
t−ブトキシカルボニル基、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、i−プロポキシカルボニル基、9−フルオレニルメチルカルボニル基、2,2,2−トリクロロエチルカルボニル基、2−(トリメチルシリル)エチルカルボニル基、i−ブチルカルボニル基、ビニルカルボニル基、アリルカルボニル基、ベンジルカルボニル基、4−エトキシ−1−ナフチルカルボニル基、メチルジチオカルボニル基等の有機カルボニル基;
【0153】
メトキシメチル基、メチルチオメチル基、t−ブチルチオメチル基、(フェニルジメチルシリル)メトキシメチル基、ベンジルオキシメチル基、t−ブトキシメチル基、シロキシメチル基、2−メトキシエトキシメチル基、2,2,2−トリクロロエトキシメチル基、ビス(2−クロロエトキシ)メチル基、2−(トリメチルシリル)エトキシメチル基、1−メトキシシクロヘキシル基、テトラヒドロピラニル基、4−メトキシテトラヒドロピラニル基、テトラヒドロフラニル基、テトラヒドロチオピラニル基、テトラヒドロチオフラニル基、1−エトキシエチル基、1−メチル−1−メトキシエチル基、1−メチル−1−ベンジルオキシエチル基、1−(2−クロロエトキシ)エチル基、1−メチル−1−ベンジルオキシ−2−フルオロエチル基、2,2,2−トリクロロエチル基、2−トリメチルシリルエチル基、2−(フェニルセレニル)エチル基等の、一般式(8)中の酸素原子と結合してアセタール基を形成する有機基;
トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリ−i−プロピルシリル基、ジメチル−i−プロピルシリル基、ジエチル−i−プロピルシリル基、ジメチルエチルシリル基、t−ブチルジメチルシリル基、t−ブチルジフェニルシリル基、トリベンジルシリル基、トリ−p−キシリルシリル基、トリフェニルシリル基、ジフェニルメチルシリル基、t−ブチルメトキシフェニルシリル基等の有機シリル基等を挙げることができる。
【0154】
これらの酸により解離して水素原子を生じる1価の有機基のうち、t−ブチル基、テトラヒドロピラニル基、1−エトキシエチル基、t−ブチルジメチルシリル基等が好ましい。
一般式(3)および一般式(4)におけるEとしては、2−t−ブトキシカルボニルエチル基、4−t−ブトキシカルボニルシクロヘキシル基、4−t−ブトキシカルボニルフェニル基、4−t−ブトキシカルボニル−2,3,5,6−テトラフルオロフェニル基、5−t−ブトキシカルボニルノルボニル基、5−トリフルオロメチル−5−t−ブトキシカルボニルノルボニル基、4−t−ブトキシカルボニルテトラシクロ[ 6.2.1.13,6 .02,7 ] ドデカニル基、4−トリフルオロメチル−4−t−ブトキシカルボニルテトラシクロ[ 6.2.1.
13,6 .02,7 ] ドデカニル基、5−t−ブトキシカルボニルアダマンチル基等が好ましい。
【0155】
また、R2 の炭素数1〜10の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、2−メチルプロピル基、1−メチルプロピル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等を挙げることができ、炭素数1〜10の直鎖状、分岐状もしくは環状のハロゲン化アルキル基としては、例えば、フルオロメチル基、クロロメチル基、ブロモメチル基、ジフルオロメチル基、ジクロロメチル基、トリフルオロメチル基等を挙げることができる。
一般式(3)および一般式(4)におけるR2 としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基等が好ましい。
【0156】
また、一般式(4)において、R3 の炭素数1〜20の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、2−メチルプロピル基、1−メチルプロピル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基等を挙げることができ、炭素数1〜20の直鎖状もしくは分岐状のハロゲン化アルキル基としては、例えば、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、ヘプタフルオロ−n−プロピル基、ヘプタフルオロ−i−プロピル基等を挙げることができ、炭素数6〜20の1価の芳香族炭化水素基としては、例えば、フェニル基、α−ナフチル基、β−ナフチル基、ベンジル基、フェネチル基等を挙げることができ、炭素数6〜20の1価のハロゲン化芳香族炭化水素基としては、例えば、ペンタフルオロフェニル基、パーフルオロベンジル基、パーフルオロフェネチル基、2−(ペンタフルオロフェニル)ヘキサフルオロ−n−プロピル基、3−(ペンタフルオロフェニル)ヘキサフルオロ−n−プロピル基等を挙げることができる。
一般式(4)におけるR3 としては、メチル基、エチル基、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、パーフルオロフェネチル基、3−(ペンタフルオロフェニル)ヘキサフルオロ−n−プロピル基等が好ましい。
【0157】
次に、一般式(5)〜(7)において、R2 およびR3 としては、例えば、前記一般式(3)および一般式(4)におけるそれぞれR2 およびR3 について例示した基と同様のものを挙げることができる。
【0158】
また、R4 のヒドロキシル基を有する1価の有機基としては、例えば、下記一般式(10)で表される基を挙げることができ、R4 のカルボキシル基を有する1価の有機基としては、例えば、下記一般式(11)で表される基を挙げることができる。
【0159】
【化98】
〔一般式(10)および一般式(11)において、Qはメチレン基、ジフルオロメチレン基、炭素数2〜20の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキレン基、炭素数2〜20の直鎖状、分岐状もしくは環状のフルオロアルキレン基、炭素数6〜20の2価の芳香族基または炭素数3〜20の2価の他の脂環式基を示す。〕
【0160】
一般式(10)および一般式(11)において、Qの炭素数2〜20の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキレン基、炭素数2〜20の直鎖状、分岐状もしくは環状のフルオロアルキレン基、炭素数6〜20の2価の芳香族基および炭素数3〜20の2価の他の脂環式基としては、例えば、一般式(8)および一般式(9)におけるPについて例示したそれぞれ対応する基と同様のものを挙げることができる。
一般式(10)および一般式(11)におけるQとしては、メチレン基、ジフルオロメチレン基、2,2−ジ(トリフルオロメチル)エチレン基、ノルボルネン骨格を有する2価の炭化水素基やそのハロゲン化物、アダマンタン骨格を有する2価の炭化水素基やそのハロゲン化物等が好ましい。
【0161】
本発明において、他のケイ素含有化合物は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができ、それらを適切に選択しあるいは適切に組み合わせることにより、得られるポリシロキサン(A)の分子量およびガラス転移温度(Tg)を制御でき、また193nm以下、特に157nmの波長における透明性をさらに向上させることができる。
【0162】
ポリシロキサン(A)における各構造単位の具体的な含有率は、それらの種類や組み合わせ、ポリシロキサン(A)の用途等に応じて変わり、それぞれの場合における各構造単位の好適な含有率は、試験等により当業者が適宜に選定することができる。
例えば、遠紫外線、電子線、X線等の放射線を用いる微細加工用のレジスト材料において、酸解離性基を有し、該酸解離性基が解離したときにアルカリ易溶性となる樹脂成分として使用する場合、構造単位(I)の含有率は、全構造単位に対して、通常、0.1〜80モル%、好ましくは0.5〜70モル%、特に好ましくは1〜50モル%であり、構造単位(II) の含有率は、全構造単位に対して、通常、0.1〜80モル%、好ましくは0.5〜70モル%、特に好ましくは1〜50モル%であり、かつ該構造単位(I)と該構造単位(II)との合計含有率は、全構造単位に対して、通常、0.1〜80モル%、好ましくは0.5〜70モル%、特に好ましくは1〜50モル%である。
また、酸解離性基(e)を有する他の構造単位(即ち、ケイ素含有化合物(3)あるいはケイ素含有化合物(4)に由来する構造単位)の含有率は、全構造単位に対して、通常、1〜60モル%、好ましくは5〜50モル%、特に好ましくは10〜50モル%であり、それ以外の他の構造単位の含有率は、全構造単位に対して、通常、90モル%以下、好ましくは80モル%以下である。
【0163】
ポリシロキサン(A)のゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)により測定したポリスチレン換算重量平均分子量(以下、「Mw」という。)は、500〜1,000,000、好ましくは500〜50,000、特に好ましくは800〜50,000である。この場合、Mwが500未満では、得られるポリマーのガラス転移温度(Tg)が低下する傾向があり、一方1,000,000を超えると、得られるポリマーの溶剤への溶解性が低下する傾向がある。
【0164】
ポリシロキサン(A)は、放射線に対する透明性が高く、かつアルカリ現像液に対する溶解性の制御が容易である特性を有し、遠紫外線、電子線、X線等の放射線を用いる微細加工用のレジストにおける樹脂成分として極めて有用である。また、ポリシロキサン(A)は、単独であるいは一般のポリシロキサンと混合物して、例えば、成型品、フィルム、ラミネート材、塗料成分等としても有用である。
【0165】
以下に、化学増幅型レジストとして有用な本発明の感放射線性樹脂組成物について説明する。
感放射線性樹脂組成物
本発明の感放射線性樹脂組成物は、(イ)ポリシロキサン(A1)、並びに(ロ)感放射線性酸発生剤(以下、単に「酸発生剤」という。)を含有するものである。
本発明の感放射線性樹脂組成物において、ポリシロキサン(A1)は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができ、またポリシロキサン(A1)と共に、他のポリシロキサンを1種以上併用することができる。
前記他のポリシロキサンとしては、例えば、前記ケイ素含有化合物(3)〜(7)に由来する構造単位を少なくとも1種有するものを挙げることができる。
【0166】
−酸発生剤−
本発明の感放射線性樹脂組成物における酸発生剤は、露光により酸を発生する成分であり、その酸の作用によって、ポリシロキサン(A1)中に存在する酸解離性基を解離させ、その結果レジスト被膜の露光部がアルカリ現像液に易溶性となり、ポジ型のレジストパターンを形成する作用を有するものである。
本発明における酸発生剤は、前記作用を有する限り特に限定されるものではないが、好ましい酸発生剤としては、露光により、トリフルオロメタンスルホン酸または下記一般式(12)で表される酸(以下、「酸(β)」という。)を発生する化合物(以下、「酸発生剤(B1)」という。)を含むものが好ましい。
【0167】
【化99】
【0168】
〔一般式(12)において、各Rf1は相互に独立にフッ素原子またはトリフルオロメチル基を示し、Ra は水素原子、フッ素原子、炭素数1〜20の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、炭素数1〜20の直鎖状もしくは分岐状のフッ素化アルキル基、炭素数3〜20の環状の1価の炭化水素基または炭素数3〜20の環状の1価のフッ素化炭化水素基を示し、該環状の1価の炭化水素基および該環状の1価のフッ素化炭化水素基は置換されていてもよい。〕
【0169】
酸発生剤(B1)としては、例えば、オニウム塩化合物、スルホン化合物、スルホン酸化合物、カルボン酸化合物、ジアゾケトン化合物、ハロゲン含有化合物等を挙げることができる。
本発明における酸発生剤としては、酸発生剤(B1)のみを使用することもできるが、酸発生剤(B1)と、下記一般式(13)で表される酸(以下、「酸(γ−1)」という。)、一般式(14)で表される酸(以下、「酸(γ−2)」という。)あるいは一般式(15)で表される酸(以下、「酸(γ−3)」という。)を発生する感放射線性酸発生剤(以下、「酸発生剤(B2)」という。)とを組み合わせて使用することもできる。
【0170】
【化100】
【0171】
〔一般式(13)において、Rf1はフッ素原子またはトリフルオロメチル基を示し、Rf2は水素原子、フッ素原子、メチル基またはトリフルオロメチル基を示し、Rb は水素原子、炭素数1〜20の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、炭素数3〜20の環状の1価の炭化水素基または炭素数3〜20の環状の1価のフッ素化炭化水素基を示し、該環状の1価の炭化水素基および該環状の1価のフッ素化炭化水素基は置換されていてもよい。
【0172】
一般式(14)において、Rs は炭素数1〜20の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基または炭素数3〜20の環状の1価の炭化水素基を示し、該環状の1価の炭化水素基は置換されていてもよい。
【0173】
一般式(15)において、Rc は炭素数1〜20の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、炭素数1〜20の直鎖状もしくは分岐状のフッ素化アルキル基、炭素数3〜20の環状の1価の炭化水素基または炭素数3〜20の環状の1価のフッ素化炭化水素基を示し、該環状の1価の炭化水素基および該環状の1価のフッ素化炭化水素基は置換されていてもよい。〕
【0174】
一般式(12)〜(15)において、Ra 、Rb 、Rs およびRc の炭素数1〜20の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、nープロピル基、i―プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基等を挙げることができる。
【0175】
また、Ra およびRc の炭素数1〜20の直鎖状もしくは分岐状のフッ素化アルキル基の具体例としては、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、ヘプタフルオロ−n−プロピル基、ヘプタフルオロ−i−プロピル基、ノナフルオロ−n−ブチル基、ノナフルオロ−i−ブチル基、ノナフルオロ−sec−ブチル基、ノナフルオロ−t−ブチル基、パーフルオロ−n−ペンチル基、パーフルオロ−n−ヘキシル基、パーフルオロ−n−ヘプチル基、パーフルオロ−n−オクチル基等を挙げることができる。
また、Ra 、Rb 、Rs およびRc の炭素数3〜20の環状の1価の炭化水素基または炭素数3〜20の環状の1価のフッ素化炭化水素基あるいはこれらの置換誘導体としては、例えば、下記式(16)〜(22)で表される基等を挙げることができる。
【0176】
【化101】
【0177】
【化102】
【0178】
【化103】
【0179】
【化104】
【0180】
【化105】
【0181】
【化106】
【0182】
【化107】
【0183】
〔式(16)〜(22)において、各R5 は相互に独立に水素原子、ハロゲン原子、水酸基、アセチル基、カルボキシル基、ニトロ基、シアノ基、1級アミノ基、2級アミノ基、炭素数1〜10の直鎖状もしくは分岐状のアルコキシル基、炭素数1〜10の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基または炭素数1〜10の直鎖状もしくは分岐状のフッ素化アルキル基を示し、各R6 は相互に独立に水素原子、ハロゲン原子、1〜10の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、炭素数1〜10の直鎖状もしくは分岐状のフッ素化アルキル基を示し、pは0〜10の整数である。
式(19)において、qは1〜18の整数である。
式(20)において、mは0〜3の整数である。〕
【0184】
本発明における好ましい酸(β)としては、例えば、
トリフルオロメタンスルホン酸、ペンタフルオロエタンスルホン酸、ヘプタフルオロ−n−プロパンスルホン酸、ノナフルオロ−n−ブタンスルホン酸、パーフルオロ−n−オクタンスルホン酸、1,1,2,2,−テトラフルオロ−n−プロパンスルホン酸、1,1,2,2,−テトラフルオロ−n−ブタンスルホン酸、1,1,2,2,−テトラフルオロ−n−オクタンスルホン酸や、
【0185】
前記式(16)〜(22)で表される基の結合手に、−CF2 CF2 SO3 H、−CF2 CF(CF3)SO3 H、−CF(CF3)CF2 SO3 H、
−CF(CF3)CF(CF3)SO3 H、−C(CF3)2 CF2 SO3 Hまたは
−CF2 C(CF3)2 SO3 Hの基が結合した酸、例えば、下記式(12−1) 〜(12−10)の酸等を挙げることができる。
【0186】
【化108】
【0187】
【化109】
【0188】
【化110】
【0189】
【化111】
【0190】
【化112】
【0191】
また、本発明における好ましい酸(γ−1) としては、例えば、
1−フルオロエタンスルホン酸、1−フルオロ−n−プロパンスルホン酸、1−フルオロ−n−ブタンスルホン酸、1−フルオロ−n−オクタンスルホン酸、1,1−ジフルオロエタンスルホン酸、1,1−ジフルオロ−n−プロパンスルホン酸、1,1−ジフルオロ−n−ブタンスルホン酸、1,1−ジフルオロ−n−オクタンスルホン酸、1−トリフルオロメチル−n−プロパンスルホン酸、1−トリフルオロメチル−n−ブタンスルホン酸、1−トリフルオロメチル−n−オクタンスルホン酸、1,1−ビス(トリフルオロメチル)エタンスルホン酸、1,1−ビス(トリフルオロメチル)−n−プロパンスルホン酸、1,1−ビス(トリフルオロメチル)−n−ブタンスルホン酸、1,1−ビス(トリフルオロメチル)−n−オクタンスルホン酸や、
【0192】
前記式(16)〜(22)で表される基の結合手に、−CF2 SO3 H、
−CHFSO3 H、−CH(CF3)SO3 Hまたは−C(CF3)2 SO3 Hの基が結合した酸、例えば、下記式(13−1) 〜(13−40)の酸等を挙げることができる。
【0193】
【化113】
【0194】
【化114】
【0195】
【化115】
【0196】
【化116】
【0197】
【化117】
【0198】
【化118】
【0199】
【化119】
【0200】
【化120】
【0201】
【化121】
【0202】
【化122】
【0203】
【化123】
【0204】
【化124】
【0205】
【化125】
【0206】
【化126】
【0207】
【化127】
【0208】
【化128】
【0209】
【化129】
【0210】
【化130】
【0211】
【化131】
【0212】
【化132】
【0213】
また、本発明における好ましい酸(γ−2) としては、例えば、
メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、n−プロパンスルホン酸、n−ブタンスルホン酸、i−ブタンスルホン酸、sec−ブタンスルホン酸、t−ブタンスルホン酸、n−ペンタンスルホン酸、n−ヘキサンスルホン酸、n−オクタンスルホン酸、シクロペンタンスルホン酸、シクロヘキサンスルホン酸等の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキルスルホン酸類;
ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、ベンジルスルホン酸、α―ナフタレンスルホン酸、β―ナフタレンスルホン酸等の芳香族スルホン酸類;
10−カンファースルホン酸や、
前記式(16)〜(22)で表される基の結合手に、−SO3 H基が結合した酸等を挙げることができる。
【0214】
さらに、本発明における好ましい酸(γ−3) としては、例えば、
酢酸、n−プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、吉草酸、イソ吉草酸、カプロン酸、安息香酸、サリチル酸、フタル酸、テレフタル酸、α―ナフタレンカルボン酸、β−ナフタレンカルボン酸、シクロブタンカルボン酸、シクロペンタンカルボン酸、シクロヘキサンカルボン酸、1,1−シクロブタンジカルボン酸、1,2−シクロブタンジカルボン酸、1,1−シクロペンタンジカルボン酸、1,2−シクロペンタンジカルボン酸、1,3−シクロペンタンジカルボン酸、1,1−シクロヘキサンジカルボン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、2−ノルボルナンカルボン酸、2,3−ノルボルナンジカルボン酸、ノルボルニル−2−酢酸、1−アダマンタンカルボン酸、1−アダマンタン酢酸、1,3−アダマンタンジカルボン酸、1,3−アダマンタンジ酢酸、 リトコール酸、デオキシコール酸、ケノデオキシコール酸、コール酸や、
前記式(16)〜(22)で表される基の結合手に、−COOH基が結合した酸等を挙げることができる。
【0215】
酸(β)、酸(γ−1) 、酸(γ−2) あるいは酸(γ−3) を発生するオニウム塩化合物としては、例えば、
ジフェニルヨードニウム塩、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウム塩、トリフェニルスルホニウム塩、
4−ヒドロキシフェニル・フェニル・メチルスルホニウム塩、シクロヘキシル・2−オキソシクロヘキシル・メチルスルホニウム塩、ジシクロヘキシル・2−オキソシクロヘキシルスルホニウム塩、2−オキソシクロヘキシルジメチルスルホニウム塩、4−ヒドロキシフェニル・ベンジル・メチルスルホニウム塩、
1−ナフチルジメチルスルホニウム塩、1−ナフチルジエチルスルホニウム塩、4−シアノ−1−ナフチルジメチルスルホニウム塩、4−シアノ−1−ナフチルジエチルスルホニウム塩、4−ニトロ−1−ナフチルジメチルスルホニウム塩、4−ニトロ−1−ナフチルジエチルスルホニウム塩、4−メチル−1−ナフチルジメチルスルホニウム塩、4−メチル−1−ナフチルジエチルスルホニウム塩、4−ヒドロキシ−1−ナフチルジメチルスルホニウム塩、4−ヒドロキシ−1−ナフチルジエチルスルホニウム塩、
【0216】
1−(4−ヒドロキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウム塩、1−(4−メトキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウム塩、1−(4−エトキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウム塩、1−(4−n−ブトキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウム塩、1−(4−メトキシメトキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウム塩、1−(4−エトキトメトキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウム塩、1−〔4−(1−メトキシエトキシ)ナフタレン−1−イル〕テトラヒドロチオフェニウム塩、1−〔4−(2−メトキシエトキシ)ナフタレン−1−イル〕テトラヒドロチオフェニウム塩、1−(4−メトキシカルボニルオキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウム塩、1−(4−エトキシカルボニルオキシナフナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウム塩、1−(4−n−プロポキシカルボニルオキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウム塩、1−(4−i−プロポキシカルボニルオキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウム塩、1−(4−n−ブトキシカルボニルオキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウム塩、1−(4−t−ブトキシカルボニルオキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウム塩、1−〔4−(2−テトラヒドロフラニルオキシ)ナフタレン−1−イル〕テトラヒドロチオフェニウム塩、1−〔4−(2−テトラヒドロピラニルオキシ)ナフタレン−1−イル〕テトラヒドロチオフェニウム塩、1−(4−ベンジルオキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウム塩、1−〔1−(1−ナフチルアセトメチル)〕テトラヒドロチオフェニウム塩
等を挙げることができる。
【0217】
また、酸(β)、酸(γ−1) あるいは酸(γ−2) を発生するスルホン化合物としては、例えば、β−ケトスルホン、β−スルホニルスルホンや、これらの化合物のα−ジアゾ化合物等を挙げることができる。
また、酸(β)、酸(γ−1) あるいは酸(γ−2) を発生するスルホン酸化合物としては、例えば、スルホン酸エステル、スルホン酸イミド、アリールスルホン酸エステル、イミノスルホネート等を挙げることができる。
また、酸(γ−3) を発生するカルボン酸化合物としては、例えば、カルボン酸エステル、カルボン酸イミド、カルボン酸シアネート等を挙げることができる。
【0218】
また、酸(β)、酸(γ−1) 、酸(γ−2) あるいは酸(γ−3) を発生するジアゾケトン化合物としては、例えば、1,3−ジケト−2−ジアゾ化合物、ジアゾベンゾキノン化合物、ジアゾナフトキノン化合物等を挙げることができる。
また、酸(β)、酸(γ−1) 、酸(γ−2) あるいは酸(γ−3) を発生するハロゲン含有化合物としては、例えば、ハロアルキル基含有炭化水素化合物、ハロアルキル基含有複素環式化合物等を挙げることができる。
【0219】
さらに、酸発生剤(B1)および酸発生剤(B2)以外の好ましい酸発生剤(以下、単に「他の酸発生剤」という。)としては、例えば、
ジフェニルヨードニウムピレンスルホネート、ジフェニルヨードニウム n−ドデシルベンゼンスルホネート、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウム n−ドデシルベンゼンスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムナフタレンスルホネート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、トリフェニルスルホニウムナフタレンスルホネート、トリフェニルスルホニウム10−カンファースルホネート、4−ヒドロキシフェニル・フェニル・メチルスルホニウムp−トルエンスルホネート、4−ヒドロキシフェニル・ベンジル・メチルスルホニウム p−トルエンスルホネート等の他のオニウム塩化合物;
4−トリスフェナシルスルホン、メシチルフェナシルスルホン、ビス(フェニルスルホニル)メタン等の他のスルホン化合物;
ベンゾイントシレート、ニトロベンジル−9,10−ジエトキシアントラセン−2−スルホネート等の他のスルホン酸化合物;
【0220】
1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホニルクロリド、1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホニルクロリド、2,3,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノンの1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸エステルまたは1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸エステル、1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタンの1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸エステルまたは1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸エステル等の他のジアゾケトン化合物;
フェニルビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、4−メトキシフェニルビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、1−ナフチルビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン等の(トリクロロメチル)−s−トリアジン誘導体、1,1−ビス(4−クロロフェニル)−2,2,2−トリクロロエタン等の他のハロゲン含有化合物
等を挙げることができる。
本発明においては、酸発生剤として他の酸発生剤のみを使用することもできるが、他の酸発生剤を酸発生剤(B1)あるいはこれと酸発生剤(B2)との混合物と組み合わせて使用することも好ましい。
【0221】
本発明において、酸発生剤は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
酸発生剤の使用量は、レジストとしての感度および現像性を確保する観点から、全ポリシロキサン成分100重量部に対して、通常、0.1〜10重量部、好ましくは0.5〜7重量部である。この場合、酸発生剤の使用量が0.1重量部未満では、感度および現像性が低下する傾向があり、一方10重量部を超えると、放射線に対する透明性が低下して、矩形のレジストパターンを得られ難くなる傾向がある。
【0222】
−添加剤−
本発明の感放射線性樹脂組成物には、酸拡散制御剤、溶解制御剤、界面活性剤等の各種の添加剤を配合することができる。
前記酸拡散制御剤は、露光により酸発生剤から生じる酸のレジスト被膜中における拡散現象を制御し、非露光領域における好ましくない化学反応を抑制する作用を有する成分である。
このような酸拡散制御剤を配合することにより、得られる感放射線性樹脂組成物の貯蔵安定性がさらに向上し、またレジストとしての解像度がさらに向上するとともに、露光から現像処理までの引き置き時間(PED)の変動によるレジストパターンの線幅変化を抑えることができ、プロセス安定性に極めて優れた組成物が得られる。
酸拡散制御剤としては、レジストパターンの形成工程中の露光や加熱処理により塩基性が変化しない含窒素有機化合物が好ましい。
このような含窒素有機化合物としては、例えば、下記一般式(23) で表される化合物(以下、「酸拡散制御剤(C) 」という。)を挙げることができる。
【0223】
【化133】
〔一般式(23)において、各R7 は相互に独立に水素原子、直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキル基、アリール基またはアラルキル基を示し、これらのアルキル基、アリール基およびアラルキル基は水酸基等の官能基で置換されていてもよく、U1 は2価の有機基を示し、rは0〜2の整数である。〕
【0224】
酸拡散制御剤(C) において、r=0の化合物を「含窒素化合物(C1)」とし、r=1〜2の化合物を「含窒素化合物(C2)」とする。また、窒素原子を3個以上有するポリアミノ化合物および重合体をまとめて「含窒素化合物(C3)」とする。
さらに、酸拡散制御剤(C) 以外の含窒素有機化合物としては、例えば、4級アンモニウムヒドロキシド化合物、アミド基含有化合物、ウレア化合物、含窒素複素環化合物等を挙げることができる。
【0225】
含窒素化合物(C1)としては、例えば、n−ヘキシルアミン、n−ヘプチルアミン、n−オクチルアミン、n−ノニルアミン、n−デシルアミン、シクロヘキシルアミン等のモノ(シクロ)アルキルアミン類;ジ−n−ブチルアミン、ジ−n−ペンチルアミン、ジ−n−ヘキシルアミン、ジ−n−ヘプチルアミン、ジ−n−オクチルアミン、ジ−n−ノニルアミン、ジ−n−デシルアミン、シクロヘキシルメチルアミン、ジシクロヘキシルアミン等のジ(シクロ)アルキルアミン類;トリエチルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリ−n−ブチルアミン、トリ−n−ペンチルアミン、トリ−n−ヘキシルアミン、トリ−n−ヘプチルアミン、トリ−n−オクチルアミン、トリ−n−ノニルアミン、トリ−n−デシルアミン、シクロヘキシルジメチルアミン、ジシクロヘキシルメチルアミン、トリシクロヘキシルアミン等のトリ(シクロ)アルキルアミン類;アニリン、N−メチルアニリン、N,N−ジメチルアニリン、2−メチルアニリン、3−メチルアニリン、4−メチルアニリン、4−ニトロアニリン、2,6−ジメチルアニリン、2,6−ジイソプロピルアニリン、ジフェニルアミン、トリフェニルアミン、ナフチルアミン等の芳香族アミン類を挙げることができる。
【0226】
含窒素化合物(C2)としては、例えば、エチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラキス(2−ヒドロキシプロピル)エチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、1,3−ビス〔1−(4−アミノフェニル)−1−メチルエチル〕ベンゼンテトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノジフェニルアミン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、2−(3−アミノフェニル)−2−(4−アミノフェニル)プロパン、2−(4−アミノフェニル)−2−(3−ヒドロキシフェニル)プロパン、2−(4−アミノフェニル)−2−(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,4−ビス〔1−(4−アミノフェニル)−1−メチルエチル〕ベンゼン、1,3−ビス〔1−(4−アミノフェニル)−1−メチルエチル〕ベンゼン、ビス(2−ジメチルアミノエチル)エーテル、ビス(2−ジエチルアミノエチル)エーテル等を挙げることができる。
含窒素化合物(C3)としては、例えば、ポリエチレンイミン、ポリアリルアミン、2−ジメチルアミノエチルアクリルアミドの重合体等を挙げることができる。
前記4級アンモニウムヒドロキシド化合物としては、例えば、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラ−n−プロピルアンモニウムヒドロキシド、テトラ−n−ブチルアンモニウムヒドロキシド等を挙げることができる。
【0227】
前記アミド基含有化合物としては、例えば、N−t−ブトキシカルボニルジ−n−オクチルアミン、N−t−ブトキシカルボニルジ−n−ノニルアミン、N−t−ブトキシカルボニルジ−n−デシルアミン、N−t−ブトキシカルボニルジシクロヘキシルアミン、N−t−ブトキシカルボニル−1−アダマンチルアミン、N−t−ブトキシカルボニル−N−メチル−1−アダマンチルアミン、N,N−ジ−t−ブトキシカルボニル−1−アダマンチルアミン、N,N−ジ−t−ブトキシカルボニル−N−メチル−1−アダマンチルアミン、N−t−ブトキシカルボニル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、N,N’−ジ−t−ブトキシカルボニルヘキサメチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラ−t−ブトキシカルボニルヘキサメチレンジアミン、N,N’−ジ−t−ブトキシカルボニル−1,7−ジアミノヘプタン、N,N’−ジ−t−ブトキシカルボニル−1,8−ジアミノオクタン、N,N’−ジ−t−ブトキシカルボニル−1,9−ジアミノノナン、N,N’−ジ−t−ブトキシカルボニル−1,10−ジアミノデカン、N,N’−ジ−t−ブトキシカルボニル−1,12−ジアミノドデカン、
N,N’−ジ−t−ブトキシカルボニル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、N−t−ブトキシカルボニルベンズイミダゾール、N−t−ブトキシカルボニル−2−メチルベンズイミダゾール、N−t−ブトキシカルボニル−2−フェニルベンズイミダゾール等のN−t−ブトキシカルボニル基含有アミノ化合物のほか、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、プロピオンアミド、ベンズアミド、ピロリドン、N−メチルピロリドン等を挙げることができる。
【0228】
前記ウレア化合物としては、例えば、尿素、メチルウレア、1,1−ジメチルウレア、1,3−ジメチルウレア、1,1,3,3−テトラメチルウレア、1,3−ジフェニルウレア、トリ−n−ブチルチオウレア等を挙げることができる。前記含窒素複素環化合物としては、例えば、イミダゾール、4−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、4−メチル−2−フェニルイミダゾール、ベンズイミダゾール、2−フェニルベンズイミダゾール等のイミダゾール類;ピリジン、2−メチルピリジン、4−メチルピリジン、2−エチルピリジン、4−エチルピリジン、2−フェニルピリジン、4−フェニルピリジン、2−メチル−4−フェニルピリジン、ニコチン、ニコチン酸、ニコチン酸アミド、キノリン、4−ヒドロキシキノリン、8−オキシキノリン、アクリジン等のピリジン類;ピペラジン、1−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン等のピペラジン類のほか、ピラジン、ピラゾール、ピリダジン、キノザリン、プリン、ピロリジン、ピペリジン、3−ピペリジノ−1,2−プロパンジオール、モルホリン、4−メチルモルホリン、1,4−ジメチルピペラジン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2] オクタン等を挙げることができる。
【0229】
これらの酸拡散制御剤は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
酸拡散制御剤の配合量は、酸発生剤に対して、通常、100モル%以下、好ましくは50モル%以下、さらに好ましくは30モル%以下である。この場合、酸拡散制御剤の配合量が100モル%を超えると、レジストとしての感度や露光部の現像性が低下する傾向がある。なお、酸拡散制御剤の配合量が0.1モル%未満であると、プロセス条件によっては、レジストとしてのパターン形状や寸法忠実度が低下するおそれがある。
【0230】
前記溶解制御剤としては、好ましくは、例えば、下記一般式(24)で表される化合物(以下、「溶解制御剤(D1)」という。)、下記一般式(25)で表される化合物(以下、「溶解制御剤(D2)」という。)、下記一般式(26)で表される繰り返し単位を有するポリケトン(以下、「溶解制御剤(D3)」という。)、下記一般式(27)で表される繰り返し単位を有するポリスピロケタール(以下、「溶解制御剤(D4)」という。)等を挙げることができ、さらに好ましくは、溶解制御剤(D1)および溶解制御剤(D2)の群から選ばれる少なくとも1種および/または溶解制御剤(D3)および溶解制御剤(D4)の群から選ばれる少なくとも1種である。このような溶解制御剤を含有することにより、レジストとしたときの溶解コントラストおよび溶解速度をより適切に制御することができる。
【0231】
【化134】
〔一般式(24)および一般式(25)において、各R8 は相互に独立に水素原子、フッ素原子、炭素数1〜10の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、炭素数1〜10の直鎖状もしくは分岐状のフッ素化アルキル基、または下記式(i)で表される基
【0232】
【化135】
(式中、各Rf3は相互に独立に水素原子、メチル基またはトリフルオロメチル基を示し、U2 は単結合、メチレン基、シクロヘキシレン基またはフェニレン基を示し、R9 は水素原子または酸により解離して水素原子を生じる1価の有機基を示し、uは0〜3の整数であり、vは0または1である。)
を示し、かつR8 の少なくとも1つが式(i)で表される基であり、sおよびtは相互に独立に0〜2の整数である。〕
【0233】
【化136】
〔一般式(26)および一般式(27)において、各R8 は一般式(24)および一般式(25)におけるR8 と同義である。但し、一般式(26)および一般式(27)におけるR8 は一般式(24)および一般式(25)におけるR8 と相互に同一でも異なってもよい。〕
【0234】
一般式(24)〜(27)において、R8 の炭素数1〜10の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基等を挙げることができる。
また、R8 の炭素数1〜10の直鎖状もしくは分岐状のフッ素化アルキル基としては、例えば、フルオロメチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、ヘプタフルオロ−n−プロピル基、ヘプタフルオロ−i−プロピル基、ノナフルオロ−n−ブチル基、パーフルオロ−n−ペンチル基、パーフルオロ−n−ヘキシル基、パーフルオロ−n−ヘプチル基、パーフルオロ−n−オクチル基、パーフルオロ−n−ノニル基、パーフルオロ−n−デシル基等を挙げることができる。
【0235】
また、R8 を示す前記式(i)で表される基(以下、「官能基(i)」という。)において、U2 のシクロヘキシレン基およびフェニレン基中の2つの結合手はそれぞれ、1,2−位、1,3−位あるいは1,4−位にあることができる。
【0236】
また、R9 の酸により解離して水素原子を生じる1価の有機基としては、例えば、
t−ブトキシカルボニル基、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、i−プロポキシカルボニル基、9−フルオレニルメチルカルボニル基、2,2,2−トリクロロエチルカルボニル基、2−(トリメチルシリル)エチルカルボニル基、i−ブチルカルボニル基、ビニルカルボニル基、アリルカルボニル基、ベンジルカルボニル基、4−エトキシ−1−ナフチルカルボニル基、メチルジチオカルボニル基等の有機カルボニル基;
【0237】
メトキシメチル基、メチルチオメチル基、エトキシメチル基、エチルチオメチル基、t−ブトキシメチル基、t−ブチルチオメチル基、(フェニルジメチルシリル)メトキシメチル基、ベンジロキシメチル基、t−ブトキシメチル基、シロキシメチル基、2−メトキシエトキシメチル基、2,2,2−トリクロロエトキシメチル基、ビス(2−クロロエトキシ)メチル基、2−(トリメチルシリル)エトキシメチル基、1−メトキシシクロヘキシル基、テトラヒドロピラニル基、4−メトキシテトラヒドロピラニル基、テトラヒドロフラニル基、テトラヒドロチオピラニル基、テトラヒドロチオフラニル基、1−メトキシエチル基、1−エトキシエチル基、1−(2−クロロエトキシ)エチル基、1−メチル−1−メトキシエチル基、1−メチル−1−ベンジロキシエチル基、1−(2−クロロエトキシ)エチル基、1−メチル−1−ベンジロキシ−2−フルオロエチル基、2,2,2−トリクロロエチル基、2−トリメチルシリルエチル基、2−(フェニルセレニル)エチル基等の、式(i)中の酸素原子と結合してアセタール構造を形成する有機基;
【0238】
トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリ−i−プロピルシリル基、ジメチル−i−プロピルシリル基、ジエチル−i−プロピルシリル基、ジメチルエチルシリル基、t−ブチルジメチルシリル基、t−ブチルジフェニルシリル基、トリベンジルシリル基、トリ−p−キシリルシリル基、トリフェニルシリル基、ジフェニルメチルシリル基、t−ブチルメトキシフェニルシリル基等のアルキルシリル基;
2−メチル−2−アダマンチル基、2−エチル−2−アダマンチル基、2−メチル−2−ノルボルニル基、2−エチル−2−ノルボルニル基、1−メチルシクロペンチル基、1−エチルシクロペンチル基、1−メチルシクロヘキシル基、1−エチルシクロヘキシル基等のアルキル置換脂環族基
等を挙げることができる。
【0239】
これらの酸により解離して水素原子を生じる1価の有機基のうち、t−ブトキシカルボニル基、メトキシメチル基、エトキシメチル基、1−メトキシエチル基、1−エトキシエチル基等が好ましい。
【0240】
好ましい溶解制御剤(D1)としては、例えば、下記一般式(D1−1) 〜式(D1−4) で表される化合物等を挙げることができる。
【0241】
【化137】
【0242】
【化138】
【0243】
〔一般式(D1−1) 〜(D1−4) において、各R10は相互に独立に水素原子、t−ブトキシカルボニル基、メトキシメチル基、エトキシメチル基、1−メトキシエチル基または1−エトキシエチル基を示し、各Rf4は相互に独立に水素原子、フッ素原子またはトリフルオロメチル基を示す。但し、一般式(D1−3) および一般式(D1−4) では、それぞれ8つのRf4が同時に水素原子をとることがない。〕
【0244】
また、好ましい溶解制御剤(D2)としては、例えば、下記一般式(D2−1) 〜式(D2−5) で表される化合物等を挙げることができる。
【0245】
【化139】
【0246】
【化140】
【0247】
【化141】
【0248】
〔一般式(D2−1) 〜(D2−5) において、各R10および各Rf4は一般式(D1−1) 〜(D1−4) におけるそれぞれR10およびRf4と同義である。但し、一般式(D2−3) および一般式(D2−4) では、それぞれ4つのRf4が同時に水素原子をとることがない。〕
【0249】
溶解制御剤(D1)としては、例えば、下記式(D1−1−1) 、式(D1−1−2) 、式(D1−2−1) または式(D1−2−2) の化合物がさらに好ましく、また溶解制御剤(D2)としては、例えば、下記式(D2−1−1) 、式(D2−1−2) 、式(D2−2−1) 、式(D2−2−2) または式(D2−5−1) の化合物がさらに好ましい。
【0250】
【化142】
【0251】
【化143】
【0252】
【化144】
【0253】
【化145】
【0254】
【化146】
【0255】
また、溶解制御剤(D4)としては、下記式(D4−1) で表される繰り返し単位を有するポリスピロケタールがさらに好ましい。
【0256】
【化147】
【0257】
溶解制御剤(D3)であるポリケトンおよび溶解制御剤(D4)であるポリスピロケタールのMwは、通常、300〜100,000、好ましくは800〜3,000である。
【0258】
本発明において、溶解制御剤の配合量は、全ポリシロキサン成分100重量部に対して、通常、50重量部以下、好ましくは30重量部以下である。この場合、溶解制御剤の配合量が50重量部を超えると、レジストとしての耐熱性が低下する傾向がある。
【0259】
前記界面活性剤は、塗布性、ストリエーション、現像性等を改良する作用を示す成分である。
このような界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンn−オクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンn−ノニルフェニルエーテル、ポリエチレングリコールジラウレート、ポリエチレングリコールジステアレート等のノニオン系界面活性剤のほか、以下商品名で、KP341(信越化学工業(株)製)、ポリフローNo.75,同No.95(共栄社化学(株)製)、エフトップEF301,同EF303,同EF352(トーケムプロダクツ(株)製)、メガファックスF171,同F173(大日本インキ化学工業(株)製)、フロラードFC430,同FC431(住友スリーエム(株)製)、アサヒガードAG710,サーフロンS−382,同SC−101,同SC−102,同SC−103,同SC−104,同SC−105,同SC−106(旭硝子(株)製)等を挙げることができる。
これらの界面活性剤は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
界面活性剤の配合量は、全ポリシロキサン成分100重量部に対して、通常、2重量部以下である。
また、前記以外の添加剤としては、ハレーション防止剤、接着助剤、保存安定化剤、消泡剤等を挙げることができる。
【0260】
−組成物溶液の調製−
本発明の感放射線性樹脂組成物は、普通、その使用に際して、全固形分濃度が、通常、1〜25重量%、好ましくは2〜15重量%となるように、溶剤に溶解したのち、例えば孔径0.2μm程度のフィルターでろ過することによって、組成物溶液として調製される。
前記組成物溶液の調製に使用される溶剤としては、例えば、
2−ブタノン、2−ペンタノン、3−メチル−2−ブタノン、2−ヘキサノン、4−メチル−2−ペンタノン、3−メチル−2−ペンタノン、3,3−ジメチル−2−ブタノン、2−ヘプタノン、2−オクタノン等の直鎖状もしくは分岐状のケトン類;
シクロペンタノン、3−メチルシクロペンタノン、シクロヘキサノン、2−メチルシクロヘキサノン、2,6−ジメチルシクロヘキサノン、イソホロン等の環状のケトン類;
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノ−i−プロピルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノ−i−ブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノ−sec−ブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノ−t−ブチルエーテルアセテート等のプロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類;
2−ヒドロキシプロピオン酸メチル、2−ヒドロキシプロピオン酸エチル、2−ヒドロキシプロピオン酸n−プロピル、2−ヒドロキシプロピオン酸i−プロピル、2−ヒドロキシプロピオン酸n−ブチル、2−ヒドロキシプロピオン酸i−ブチル、2−ヒドロキシプロピオン酸sec−ブチル、2−ヒドロキシプロピオン酸t−ブチル等の2−ヒドロキシプロピオン酸アルキル類;
3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル等の3−アルコキシプロピオン酸アルキル類や、
【0261】
2,3−ジフルオロベンジルアルコール、2,2,2−トリフルオロエタノール、1,3−ジフルオロ−2−プロパノール、、1,1,1−トリフルオロ−2−プロパノール、3,3,3−トリフルオロ−1−プロパノール、2,2,3,3,4,4,4−ヘプタフルオロ−1−ブタノール、2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロ−1−ペンタノール、3,3,4,4,5,5,5−ヘプタフルオロ−2−ペンタノール、1H,1H−パーフルオロ−1−オクタノール、1H,1H,2H,2H−パーフルオロ−1−オクタノール、1H,1H,9H−パーフルオロ−1−ノナノール、1H,1H,2H,3H,3H−パーフルオロノナン−1,2−ジオール、1H,1H,2H,2H−パーフルオロ−1−デカノール、1H,1H,2H,3H,3H−パーフルオロウンデカン−1,2−ジオール等のフッ素含有アルコール類;
【0262】
2,2,2−トリフルオロエチルブチレート、エチルヘプタフルオロブチレート、ヘプタフルオロブチル酢酸エチル、ヘキサフルオログルタル酸エチル、エチル−3−ヒドロキシ−4,4,4−トリフルオロブチレート、エチル−2−メチル−4,4,4−トリフルオロアセトアセテート、エチルペンタフルオロベンゾエート、エチルペンタフルオロプロピオネート、ペンタフルオロプロピオン酸エチル、エチルパーフルオロオクタノエート、エチル−4,4,4−トリフルオロアセトアセテート、エチル−4,4,4−トリフルオロブチレート、エチル−4,4,4−トリフルオロクロトネート、エチルトリフルオロスルホネート、エチル−3−(トリフルオロメチル)ブチレート、エチルトリフルオロピルベート、エチルトリフルオロアセテート、イソプロピル−4,4,4−トリフルオロアセトアセテート、メチルパーフルオロデカノエート、メチルパーフルオロ(2−メチル−3−オキサヘキサノエート)、メチルパーフルオロノナノエート、メチルパーフルオロオクタノエート、メチル−2,3,3,3−テトラフルオロプロピオネート、メチルトリフルオロアセトアセテート、メチルトリフルオロアセトアセテート、パーフルオロ(2,5,8−トリメチル−3,6,9−トリオキサドデカン酸)メチル、プロピレングリコールトリフルオロメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールメチルエーテルトリフルオロメチルアセテート、トリフルオロメチル酢酸n−ブチル、3−トリフルオロメトキシプロピオン酸メチル、1,1,1−トリフルオロ−2−プロピルアセテート、トリフルオロ酢酸n−ブチル等のフッ素含有エステル類;
【0263】
2−フルオロアニソール、3−フルオロアニソール、4−フルオロアニソール、2,3−ジフルオロアニソール、2,4−ジフルオロアニソール、2,5−ジフルオロアニソール、5,8−ジフルオロ−1,4−ベンゾジオキサン、トリフルオロアセトアルデヒドエチルヘミアセタール、2H−パーフルオロ(5−メチル−3,6−ジオキサノナン)、2H−パーフルオロ(5,8,11,14−テトラメチル−3,6,9,12,15−ペンタオキサオクタデカン)、(パーフルオロ−n−ブチル)テトラヒドロフラン、パーフルオロ(n−ブチルテトラヒドロフラン)、プロピレングリコールトリフルオロメチルエーテル等のフッ素含有エーテル類;
【0264】
2,4−ジフルオロプロピオフェノン、フルオロシクロヘキサン、1,1,1,2,2,3,3−ヘプタフルオロ−7,7−ジメチル−4,6−オクタンジオン、1,1,1,3,5,5,5−ヘプタフルオロペンタン−2,4−ジオン、3,3,4,4,5,5,5−ヘプタフルオロ−2−ペンタノン、1,1,1,2,2,6,6,6−オクタフルオロ−2,4−ヘキサンジオン、トリフルオロブタノール−1,1,1−トリフルオロ−5−メチル−2,4−ヘキサンジオン、パーフルオロシクロヘキサノン等のフッ素含有ケトン類;
トリフルオロアセトアミド、パーフルオロトリブチルアミン、パーフルオロトリヘキシルアミン、パーフルオロトリペンチルアミン、パーフルオロトリプロピルアミン等のフッ素含有アミン類;
2,4−ジフルオロトルエン、パーフルオロデカリン、パーフルオロ(1,2−ジメチルシクロヘキサン)、パーフルオロ(1,3−ジメチルシクロヘキサン)等のフッ素置換環状炭化水素類
等のフッ素含有溶剤のほか、
【0265】
n−プロパノール、i−プロパノール、n−ブタノール、t−ブタノール、シクロヘキサノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジ−n−プロピルエーテル、ジエチレングリコールジ−n−ブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノ−n−プロピルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、トルエン、キシレン、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、エトキシ酢酸エチル、ヒドロキシ酢酸エチル、2−ヒドロキシ−3−メチル酪酸メチル、3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルプロピオネート、3−メチル−3−メトキシブチルブチレート、酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸n−ブチル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ベンジルエチルエーテル、ジ−n−ヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、カプロン酸、カプリル酸、1−オクタノール、1−ノナノール、ベンジルアルコール、酢酸ベンジル、安息香酸エチル、しゅう酸ジエチル、マレイン酸ジエチル、γ−ブチロラクトン、炭酸エチレン、炭酸プロピレン
等を挙げることができる。
【0266】
これらの溶剤は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができるが、就中、直鎖状もしくは分岐状のケトン類、環状のケトン類、プロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類、2−ヒドロキシプロピオン酸アルキル類、3−アルコキシプロピオン酸アルキル類、フッ素含有溶剤等が好ましい。
【0267】
−レジストパターンの形成方法−
本発明の感放射線性樹脂組成物においては、露光により酸発生剤から酸が発生し、その酸の作用によって、ポリシロキサン(A1)中の酸解離性基が解離して、例えば、フェノール性水酸基、アルコール性水酸基あるいはカルボキシル基を生じ、その結果、レジストの露光部のアルカリ現像液に対する溶解性が高くなり、該露光部がアルカリ現像液によって溶解、除去されて、ポジ型のレジストパターンが得られる。
本発明の感放射線性樹脂組成物からレジストパターンを形成する際には、組成物溶液を、回転塗布、流延塗布、ロール塗布等の適宜の塗布手段によって、例えば、シリコンウエハー、アルミニウムで被覆されたウエハーや、予め下層膜を形成した基板等の上に塗布することにより、レジスト被膜を形成し、場合により予め加熱処理(以下、「PB」という。)を行ったのち、所定のレジストパターンを形成するように該レジスト被膜に露光する。その際に使用される放射線としては、ArKrエキシマレーザー(波長134nm)、Kr2 エキシマレーザー(波長147nm)、F2 エキシマレーザー(波長157nm)、ArFエキシマレーザー(波長193nm)あるいはKrFエキシマレーザー(波長248nm)が好ましい。
本発明においては、露光後に加熱処理(以下、「PEB」という。)を行うことが好ましい。このPEBにより、ポリシロキサン(A1)中の酸解離性基の解離反応が円滑に進行する。PEBの加熱条件は、レジスト組成物の配合組成によって変わるが、通常、30〜200℃、好ましくは50〜170℃である。
【0268】
本発明においては、感放射線性樹脂組成物の潜在能力を最大限に引き出すため、例えば特公平6−12452号公報等に開示されているように、使用される基板上に有機系あるいは無機系の下層膜を形成しておくことができ、また環境雰囲気中に含まれる塩基性不純物等の影響を防止するため、例えば特開平5−188598号公報等に開示されているように、レジスト被膜上に保護膜を設けることもでき、あるいはこれらの技術を併用することもできる。
【0269】
次いで、露光されたレジスト被膜を現像することにより、所定のレジストパターンを形成する。
現像に使用される現像液としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、けい酸ナトリウム、メタけい酸ナトリウム、アンモニア水、エチルアミン、n−プロピルアミン、ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、トリエチルアミン、メチルジエチルアミン、エチルジメチルアミン、トリエタノールアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、ピロール、ピペリジン、コリン、1,8−ジアザビシクロ−[5.4.0]−7−ウンデセン、1,5−ジアザビシクロ−[4.3.0]−5−ノネン等のアルカリ性化合物の少なくとも1種を溶解したアルカリ性水溶液が好ましい。
前記アルカリ性水溶液の濃度は、通常、10重量%以下である。この場合、アルカリ性水溶液の濃度が10重量%を超えると、非露光部も現像液に溶解するおそれがあり好ましくない。
【0270】
また、前記アルカリ性水溶液からなる現像液には、例えば有機溶媒を添加することもできる。
前記有機溶媒としては、例えば、アセトン、2−ブタノン、4−メチル−2−ペンタノン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、3−メチルシクロペンタノン、2,6−ジメチルシクロヘキサノン等のケトン類;メタノール、エタノール、n−プロパノール、i−プロパノール、n−ブタノール、t−ブタノール、シクロペンタノール、シクロヘキサノール、1,4−ヘキサンジオール、1,4−ヘキサンジメチロール等のアルコール類;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸i−アミル等のエステル類;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類や、フェノール、アセトニルアセトン、ジメチルホルムアミド等を挙げることができる。
これらの有機溶媒は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
有機溶媒の使用量は、アルカリ性水溶液に対して、100容量%以下が好ましい。この場合、有機溶媒の使用量が100容量%を超えると、現像性が低下して、露光部の現像残りが多くなるおそれがある。
また、アルカリ性水溶液からなる現像液には、界面活性剤等を適量添加することもできる。
なお、アルカリ性水溶液からなる現像液で現像したのちは、一般に、水で洗浄して乾燥する。
【0271】
【発明の実施の形態】
以下、実施例を挙げて、本発明の実施の形態をさらに具体的に説明する。但し、本発明は、これらの実施例に何ら制約されるものではない。ここで、部は特記しない限り重量基準である。
実施例および比較例における各測定・評価は、下記の要領で行った。
Mw:
東ソー(株)製GPCカラム(G2000HXL 2本、G3000HXL 1本、G4000HXL 1本)を用い、流量1.0ミリリットル/分、溶出溶媒テトラヒドロフラン、カラム温度40℃の分析条件で、単分散ポリスチレンを標準とするゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定した。
吸光係数:
各ポリシロキサンを2−ヘプタノンに溶解して、固形分濃度5%の樹脂溶液を調製した。その後、各樹脂溶液をふっ化マグネシウム基板上にスピンコートにより塗布し、110℃あるいは140℃に保持したホットプレート上で90秒間加熱して,膜厚1,000Åの被膜を形成した。その後、この被膜について、波長157nmおよび193nmにおける吸光係数を測定した。
【0272】
【実施例】
合成例1
300ミリリットルのオートクレーブに、ヘプタフルオロ−n−プロピルトリフルオロビニルエーテル42gをジエチルエーテル100ミリリットルに溶解した溶液を仕込み、シクロペンタジエン10gを加えた。その後、オートクレーブを密閉し、100℃で8時間加熱して反応させた。反応終了後、ジエチルエーテルを留去したのち、精留することにより、24mmHgにおける沸点が69℃の留分として、化合物20gを得た。
この化合物について、 1H、13Cおよび19FによるNMR分析(化学シフトδ)およびガスクロマトグラフィ−質量分析(GC−MS)を行ったところ下記のとおりであり、前記式(α−1−3) で表される5−ヘプタフルオロ−n−プロポキシ−5,6,6−トリフルオロビシクロ[ 2.2.1 ]ヘプト−2−エンのエキソ体とエンド体との等量混合物として同定された。
この化合物の 1H−NMRスペクトルを図1に、13C−NMRスペクトルを図2に、19F−NMRスペクトルを図3に示す。
【0273】
1H−NMRスペクトル(δ;単位ppm):
1.9〜2.2、2.6、2.8(以上、CH2 部) ;
3.1、3.2〜3.4、3.7〜3.9(以上、橋頭部);
5.6、6.0、6.2〜6.4(以上、炭素−炭素二重結合部)。
13C−NMRスペクトル(δ;単位ppm):
32、42(以上、CH2 部) ;
43、48、49、53(以上、橋頭部);
103〜122(フッ素原子に結合した炭素原子);
123、134、137(以上、炭素−炭素二重結合部)。
19F−NMRスペクトル(δ;単位ppm):
−131、−127、−124、−123、−122、−120、−115、
−113、−109、−107、−106、−88〜−79、−82。
GC−MS(m/e):
28、66、69、115、147、332。
【0274】
合成例2
撹拌機、還流冷却器、温度計を装着した3つ口フラスコに、トリエトキシシラン15g、5−ヘプタフルオロ−n−プロポキシ−5,6,6−トリフルオロビシクロ[ 2.2.1 ]ヘプト−2−エン20gを仕込み、室温にて撹拌したのち、塩化白金酸(H2 PtCl6 )の0.2モルi−プロピルアルコール溶液0.1ミリリットルを加えて、反応を開始させ、80℃で18時間加熱した。その後、反応溶液を室温に戻し、n−ヘキサンで希釈したのち、セライトを敷いた吸引ロートでろ過し、得られたろ液を減圧留去して、粗生成物を得た。その後、粗生成物を精製して、4mmHgにおける沸点が110℃の留分として、化合物13gを得た。
この化合物について、 1H、13C、19Fおよび29SiによるNMR分析(化学シフトδ)およびガスクロマトグラフィ−質量分析(GC−MS)を行ったところ下記のとおりであり、前記式(1−1−3) で表される化合物(以下、「ケイ素含有化合物(a−1)」とする。)として同定された。
この化合物の 1H−NMRスペクトルを図4に、13C−NMRスペクトルを図5に、19F−NMRスペクトルを図6に示す。
【0275】
1H−NMRスペクトル(δ;単位ppm):
1.2(CH3 部);
1.2〜1.5、1,6〜2.1、2.5〜2.9(以上、橋頭部);
3.8(CH2 部)。
13C−NMRスペクトル(δ;単位ppm):
14、18(以上、CH3 部);
22、30、43〜47(以上、橋頭部);
69(CH2 部);
103〜110、112〜124(以上、フッ素原子に結合した炭素原子)。19F−NMRスペクトル(δ;単位ppm):
−132、−130、−129、−127、−126、−122、−121、−120〜−117、−113〜−112、−87、−85、−82、−79。
29Si−NMRスペクトル(δ;単位ppm):
−51。
GC−MS(m/e):
69、79、97、109、119、129、148、163、183、314、495。
【0276】
合成例3
300ミリリットルのオートクレーブに、4−(トリフルオロビニルオキシ)−2,2,3,3,4,4−ヘキサフルオロ−1−ブタノール42gをジエチルエーテル100ミリリットルに溶解した溶液を仕込み、ジシクロペンタジエンの熱分解により合成したシクロペンタジエン10gを加えた。その後、オートクレーブを密閉し、120℃で10時間加熱して反応させた。反応終了後、ジエチルエーテルを留去したのち、精留することにより、10mmHgにおける沸点が85℃の留分として、化合物21gを得た。
この化合物について、 1H、13Cおよび19FによるNMR分析(化学シフトδ)およびガスクロマトグラフィ−質量分析(GC−MS)を行ったところ下記のとおりであり、前記式(α−1−17 )で表される5−(1,1,2,2,3,3−ヘキサフルオロ−4−ヒドロキシブトキシ)−5,6,6−トリフルオロビシクロ[ 2.2.1 ]ヘプト−2−エンのエキソ体とエンド体との等量混合物として同定された。
【0277】
1H−NMRスペクトル(δ;単位ppm):
1.9〜2.2、2.6、2.8(以上、CH2 部) ;
3.1、3.2〜3.4、3.7〜3.9(以上、橋頭部);
5.6、6.0、6.2〜6.4(以上、炭素−炭素二重結合部)。
13C−NMRスペクトル(δ;単位ppm):
32、42(以上、CH2 部);
43、48、49、53(以上、橋頭部);
103〜122(フッ素原子に結合した炭素原子);
123、134、137(以上、炭素−炭素二重結合部)。
19F−NMRスペクトル(δ;単位ppm):
−131、−127、−124、−123、−122、−120、−115、
−113、−109、−107、−106、−88〜−79、−82。
GC−MS(m/e)CI[M+H+ ] :
345。
【0278】
合成例4
撹拌機、還流冷却器、温度計を装着した3つ口フラスコに、トリエトキシシラン15g、合成例3で得た5−(1,1,2,2,3,3−ヘキサフルオロ−4−ヒドロキシブトキシ)−5,6,6−トリフルオロビシクロ[ 2.2.1 ]ヘプト−2−エン20gを仕込み、室温にて撹拌したのち、塩化白金酸(H2 PtCl6 )の0.2モルi−プロピルアルコール溶液0.1ミリリットルを加えて、反応を開始させ、80℃で18時間加熱した。その後、反応溶液を室温に戻し、n−ヘキサンで希釈したのち、セライトを敷いた吸引ロートでろ過し、得られたろ液を減圧留去して、粗生成物を得た。その後、粗生成物を精製して、2mmHgにおける沸点が102℃の留分として、化合物13gを得た。
この化合物について、 1H、13C、19Fおよび29SiによるNMR分析(化学シフトδ)およびガスクロマトグラフィ−質量分析(GC−MS)を行ったところ下記のとおりであり、前記式(1−1−17)で表される化合物(以下、「ケイ素含有化合物(a−2)」とする。)として同定された。
【0279】
1H−NMRスペクトル(δ;単位ppm):
1.2(CH3 部);
1.2〜1.5、1,6〜2.1、2.5〜2.9(以上、橋頭部);
3.8(CH2 部)。
13C−NMRスペクトル(δ;単位ppm):
14、18(以上、CH3 部);
22、30、43〜47(以上、橋頭部);
69(CH2 部);
103〜110、112〜124(以上、フッ素原子に結合した炭素原子)。19F−NMRスペクトル(δ;単位ppm):
−132、−130、−129、−127、−126、−122、−121、
−120〜−117、 −113〜−112、−87、−85、−82、−79。
29Si−NMRスペクトル(δ;単位ppm):
−51。
GC−MS(m/e)CI[M+H+ ]:
509。
【0280】
合成例5
300ミリリットルのオートクレーブに、2,2,3,3,4,5,5−ヘプタフルオロペンタ−4−エン−1−オール42gをジエチルエーテル100ミリリットルに溶解した溶液を仕込み、ジシクロペンタジエンの熱分解により合成したシクロペンタジエン13gを加えた。その後、オートクレーブを密閉し、120℃で10時間加熱して反応させた。反応終了後、ジエチルエーテルを留去したのち、精留することにより、20mmHgにおける沸点が72℃の留分として、化合物24gを得た。
この化合物について、 1H、13Cおよび19FによるNMR分析(化学シフトδ)およびガスクロマトグラフィ−質量分析(GC−MS)を行ったところ下記のとおりであり、前記式(α−1−24)で表される5−(1,1,2,2−テトラフルオロ−3−ヒドロキシプロピル]−5,6,6−トリフルオロビシクロ[ 2.2.1 ]ヘプト−2−エンのエキソ体とエンド体との等量混合物として同定された。
【0281】
1H−NMRスペクトル(δ;単位ppm):
1.9〜2.2、2.6、2.8(以上、CH2 部) ;
3.1、3.2〜3.4、3.7〜3.9(以上、橋頭部);
5.6、6.0、6.2〜6.4(以上、炭素−炭素二重結合部)。
13C−NMRスペクトル(δ;単位ppm):
32、42(以上、CH2 部);
43、48、49、53(以上、橋頭部);
103〜122(以上、フッ素原子に結合した炭素原子);
123、134、137(以上、炭素−炭素二重結合部)。
19F−NMRスペクトル(δ;単位ppm):
−131、−127、−124、−123、−122、−120、−115、
−113、−109、−107、−106、−88〜−79、−82。
GC−MS(m/e)CI[M+H+ ]:
279。
【0282】
合成例6
撹拌機、還流冷却器、温度計を装着した3つ口フラスコに、トリエトキシシラン15g、合成例5で得た5−(1,1,2,2−テトラフルオロ−3−ヒドロキシプロピル)−5,6,6−トリフルオロビシクロ[ 2.2.1 ]ヘプト−2−エン 20gを仕込み、室温にて撹拌したのち、塩化白金酸(H2 PtCl6 )の0.2モルi−プロピルアルコール溶液0.1ミリリットルを加えて、反応を開始させ、80℃で18時間加熱した。その後、反応溶液を室温に戻し、n−ヘキサンで希釈したのち、セライトを敷いた吸引ロートでろ過し、得られたろ液を減圧留去して、粗生成物を得た。その後、粗生成物を精製して、3mmHgにおける沸点が92℃の留分として、化合物13gを得た。
この化合物について、 1H、13C、19Fおよび29SiによるNMR分析(化学シフトδ)およびガスクロマトグラフィ−質量分析(GC−MS)を行ったところ下記のとおりであり、前記式(1−1−24)で表される化合物(以下、「ケイ素含有化合物(a−3)」とする。)として同定された。
【0283】
1H−NMRスペクトル(δ;単位ppm):
1.2(CH3 部);
1.2〜1.5、1,6〜2.1、2.5〜2.9(以上、橋頭部);
3.8(CH2 部)。
13C−NMRスペクトル(δ;単位ppm):
14、18(以上、CH3 部);
22、30、43〜47(以上、橋頭部);
69(CH2 部);
103〜110、112〜124(以上、フッ素原子に結合した炭素原子)。19F−NMRスペクトル(δ;単位ppm):
−132、−130、−129、−127、−126、−122、−121、
−120〜−117、 −113〜−112、−87、−85、−82、−79。
29Si−NMRスペクトル(δ;単位ppm):
−51。
GC−MS(m/e)CI[M+H+ ]:
443。
【0284】
製造例1
撹拌機、還流冷却器、温度計を装着した3つ口フラスコに、下記式(3−1)で表されるケイ素含有化合物(以下、「ケイ素含有化合物(3−1)」という。)5.8g、下記式(3−2)で表されるケイ素含有化合物(以下、「ケイ素含有化合物(3−2)」という。)20.8g、ケイ素含有化合物(a−1)3.4g、4−メチル−2−ペンタノン30g、1.75重量%蓚酸水溶液5.1gを仕込み、撹拌しつつ、80℃で6時間反応させた。その後反応容器を氷冷して、反応を停止させたのち、反応溶液を分液ロートに移して、水層を廃棄し、さらにイオン交換水を加えて水洗して、反応溶液が中性になるまで水洗を繰り返した。その後、有機層を減圧留去して、ポリマー約22gを得た。
次いで、このポリマーを4−メチル−2−ペンタノン 67gに溶解し、蒸留水7.4g、トリエチルアミン10.5gを加えて、窒素気流中80℃で6時間攪拌したのち、氷冷し、蓚酸8.0gを蒸留水300gに溶解した水溶液を加えてさらに撹拌した。その後、反応溶液を分液ロートに移して、水層を廃棄し、さらにイオン交換水を加えて水洗して、反応溶液が中性になるまで水洗を繰り返した。その後、有機層を減圧留去して、ポリシロキサン(A1)21.5gを得た。このポリシロキサン(A1)のMwは2,000であった。
【0285】
【化148】
【0286】
製造例2
撹拌機、還流冷却器、温度計を装着した3つ口フラスコに、ケイ素含有化合物(3−1)5.7g、ケイ素含有化合物(3−2)17.6g、ケイ素含有化合物(a−1)6.7g、4−メチル−2−ペンタノン 30g、1.75重量%蓚酸水溶液5.1gを仕込み、撹拌しつつ、80℃で6時間反応させた。その後反応容器を氷冷して、反応を停止させたのち、反応溶液を分液ロートに移して、水層を廃棄し、さらにイオン交換水を加えて水洗して、反応溶液が中性になるまで水洗を繰り返した。その後、有機層を減圧留去して、ポリシロキサン(A1)22.0gを得た。
このポリシロキサン(A1)のMwは1,600であった。
【0287】
製造例3〜12
表1に示すケイ素含有化合物を使用した以外は、製造例3〜5および製造例7〜12では製造例1と同様の方法で、製造例6では製造例2と同様の方法で、各ポリシロキサン(A1)を得た。各ポリシロキサン(A1)の収量およびMwを表1に示す。
【0288】
【表1】
【0289】
製造例13〜27
表2に示すケイ素含有化合物を使用した以外は、製造例1と同様の方法で、各ポリシロキサン(A1)を得た。各ポリシロキサン(A1)の収量およびMwを表2に示す。
【0290】
【表2】
【0291】
製造例28(下層膜の形成)
温度計を備えたセパラブルフラスコに、窒素雰囲気下で、アセナフチレン100部、トルエン78部、ジオキサン52部、アゾビスイソブチロニトリル3部を仕込み、70℃で5時間攪拌した。その後、p―トルエンスルホン酸1水和物5.2部、パラホルムアルデヒド40部を添加して、120℃に昇温したのち、さらに6時間攪拌した。その後、反応溶液を多量のイソプロパノール中に投入し、沈殿したポリマーをろ別し、40℃で減圧乾燥して、ポリマーを得た。
このポリマーは、Mwが22,000であり、 1H−NMR分析の結果、下記式で表される構造単位を有することが確認された。
【0292】
【化149】
【0293】
得られたポリマー10部、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウム10−カンファ−スルホネート0.5部、4,4’−〔1−{4−(1−[ 4−ヒドロキシフェニル ]−1−メチルエチル)フェニル}エチリデン〕ビスフェノール0.5部、シクロヘキサノン89部を均一に混合したのち、孔径0.1μmのメンブランフィルターでろ過して、下層膜形成用組成物を調製した。
次いで、得られた下層膜形成用組成物を、シリコンウエハー上に、膜厚300nmの下層膜が得られるように、スピンコートにより塗布したのち、ホットプレート上にて、180℃で60秒間、次いで300℃で120秒間ベークして、下層膜(β−1)を形成した。
【0294】
評価例1〜27
製造例1〜27で得た各ポリシロキサン(A1)について吸光係数を評価した。評価結果を表3および表4に示す。
また、製造例1〜27で得た各ポリシロキサン(A1)100部に対して、表3および表4に示した酸発生剤、および酸発生剤の総量に対し8モル%の2−フェニルベンズイミダゾールを加えた混合物を、表3および表4に示した溶剤に溶解したのち、0.45μmのメンブランフィルターでろ過して、組成物溶液を調製した。その後、各組成物溶液を、製造例28で得た下層膜(β−1)を形成した基板上に、スピンコートにより塗布し、140℃に保持したホットプレート上で、それぞれ90秒間PBを行って、膜厚1,200Åのレジスト被膜を形成した。その後、各レジスト被膜に対して、F2 エキシマレーザー(波長157nm、NA=0.60)あるいはArFエキシマレーザー(波長193nm、NA=0.55)をレチクルを通してそれぞれ露光量を変えて露光し、100℃に保持したホットプレート上で、それぞれ90秒間PEBを行ったのち、2.38重量%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液で現像して、ライン・アンド・スペースパターン(1L1S)を形成し、解像度を評価した。評価結果を表3および表4に示す。
【0295】
表3および表4において、F2はF2 エキシマレーザー、ArFはArFエキシマレーザーを表す。
また、酸発生剤(B−1) 〜(B−4) および溶剤(C−1)〜(C−3)は下記のとおりである。
B−1:トリフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート
B−2:トリフェニルスルホニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート
B−3:トリフェニルスルホニウム2−ノルボルニル−1,1,2,2−テトラフルオロエタン−1−スルホネート
B−4:トリフェニルスルホニウム10−カンファースルホネート
C−1:2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロ−1−ペンタノール
C−2:2−ヘプタノン
C−3:プロピレングリコールモノメチルエーテル
【0296】
【表3】
【0297】
【表4】
【0298】
【発明の効果】
本発明のポリシロキサン(A)は、特に、遠紫外線、電子線、X線等の放射線を用いる微細加工用のレジストにおける樹脂成分として有用である。ポリシロキサン(A)を用いた感放射線性樹脂組成物は、ArFエキシマレーザー(波長193nm)あるいはF2 エキシマレーザー(波長157nm)に代表される遠紫外線等の波長200nm以下の放射線に有効に感応し、放射線に対する透明性が高く、解像度に優れ、かつ樹脂成分のアルカリ現像液に対する溶解性の制御が容易であり、また感度、現像性、ドライエッチング耐性等にも優れており、今後ますます微細化が進行するとみられるLSIの製造に極めて好適に使用することができる。また、本発明のノルボルネン系化合物(α)は、特に本発明のケイ素含有化合物(a)の合成原料として有用であり、ケイ素含有化合物(a)は、特にポリシロキサン(A)の合成原料として有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】合成例1で得た化合物の 1H−NMRスペクトルを示す図である。
【図2】合成例1で得た化合物の13C−NMRスペクトルを示す図である。
【図3】合成例1で得た化合物の19F−NMRスペクトルを示す図である。
【図4】合成例2で得た化合物の 1H−NMRスペクトルを示す図である。
【図5】合成例2で得た化合物の13C−NMRスペクトルを示す図である。
【図6】合成例2で得た化合物の19F−NMRスペクトルを示す図である。
Claims (4)
- 下記一般式(1)または一般式(2)で表されるケイ素含有化合物。
- 下記一般式(I)で表される構造単位および一般式(II)で表される構造単位の群から選ばれる少なくとも1種を有する、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)によるポリスチレン換算重量平均分子量が500〜1,000,000のポリシロキサン。
- (イ)請求項3に記載のポリシロキサンのうち、酸解離性基を有するアルカリ不溶性またはアルカリ難溶性の樹脂であって、該酸解離性基が解離したときアルカリ易溶性となる樹脂、並びに(ロ)感放射線性酸発生剤を含有することを特徴とする感放射線性樹脂組成物。
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