JP2004123793A - ケイ素含有化合物、ポリシロキサンおよび感放射線性樹脂組成物 - Google Patents

ケイ素含有化合物、ポリシロキサンおよび感放射線性樹脂組成物 Download PDF

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千葉 隆
Haruo Iwazawa
岩沢 晴生
Akihiro Hayashi
林 明弘
Tsutomu Shimokawa
下川 努
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Abstract

【課題】193nm以下の波長において透明性が高く、かつドライエッチング耐性に優れ、特に環境耐性に優れた新規ポリシロキサン、該ポリシロキサンの合成原料等として有用な新規ケイ素含有化合物、および該ポリシロキサンを含有する感放射線性樹脂組成物を提供する。
【解決手段】ケイ素含有化合物は、下記一般式(1)で表される。
【化1】
Figure 2004123793

〔式中、X1 は置換されていてもよい炭素数2〜20の2価の炭化水素基を示し、各R1 および各R2 は水素原子、ハロゲン原子、アルコキシル基、1価の炭化水素基または1価のハロゲン化炭化水素基を示し、かつR1 の2つまたは3つがハロゲン原子またはアルコキシル基であり、mおよびnは0〜3の整数で、(m+n)<6を満たす。〕
ポリシロキサンは、該ケイ素含有化合物を重縮合させて得られる。該感放射線性樹脂組成物は、該ポリシロキサンおよび感放射線性酸発生剤を含有する。
【選択図】   なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、フッ素置換された有機基を有する新規ポリシロキサン、該ポリシロキサンの合成原料等として有用な新規ケイ素含有化合物、該ポリシロキサンを含有し、遠紫外線、電子線、X線等の放射線を用いる微細加工に好適な感放射線性樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、LSI(高集積回路)の高密度化、高集積化に対する要求が益々高まっており、それに伴い配線パターンの微細化も急速に進行している。
このような配線パターンの微細化に対応しうる手段の一つとして、リソグラフィープロセスに用いる放射線を短波長化する方法があり、近年では、g線(波長436nm)やi線(波長365nm)等の紫外線に替えて、KrFエキシマレーザー(波長248nm)あるいはArFエキシマレーザー(波長193nm)等の遠紫外線や、電子線、X線等が用いられるようになっている。
ところで、従来のレジスト組成物には、樹脂成分としてノボラック樹脂、ポリ(ビニルフェノール)等が用いられてきたが、これらの材料は構造中に芳香環を含み、193nmの波長に強い吸収があるため、例えばArFエキシマレーザーを用いたリソグラフィープロセスでは、高感度、高解像度、高アスペクト比に対応した高い精度が得られない。
そこで、193nm以下、特に、F2 エキシマレーザー(波長157nm)、Kr2 エキシマレーザー(波長147nm)あるいはArKrエキシマレーザー(波長134nm)等に対して透明で、かつ芳香環と同等レベル以上の耐ドライエッチング性を有するレジスト用樹脂材料が求められている。その一つとしてシロキサン系ポリマーが考えられ、MIT R.R.Kunzらは、ポリシロキサン系ポリマーが、193nm以下の波長、特に157nmでの透明性に優れるという測定結果を提示しており、このポリマーが193nm以下の波長を用いるリソグラフィープロセスにおけるレジスト材料に適していると報告している(例えば、非特許文献1、非特許文献2参照。)。また、ポリシロキサン系ポリマーは耐ドライエッチング性に優れ、中でもラダー構造をもつポリオルガノポリシルセスキオキサンを含むレジストが高い耐プラズマ性を有することも知られている。
【0003】
一方、シロキサン系ポリマーを用いる化学増幅型レジスト材料についても既に幾つか報告されている。即ち、カルボン酸エステル基、フェノールエーテル基等の酸解離性基が1個以上の炭素原子を介してケイ素原子に結合した、側鎖に酸解離性基を有するポリシロキサンを用いた放射線感応性樹脂組成物が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。しかし、このポリシロキサンでは側鎖の酸解離性カルボン酸エステル基が効率よく解離しなければ解像度を上げることができず、また多くの酸解離性基を解離させると、レジスト被膜の硬化収縮応力が大きくなり、レジスト被膜の割れや剥がれなどを生じやすいという問題がある。
また、ポリ(2−カルボキシエチルシロキサン)のカルボキシル基をt−ブチル基等の酸解離性基で保護したポリマーを用いたポジ型レジストが開示されている(例えば、特許文献2参照。)。しかし、このレジストではカルボキシル基の保護率が低いために、未露光部分にカルボン酸成分が多く存在し、通常のアルカリ現像液での現像は困難である。
さらに、酸解離性エステル基を有するポリオルガノシルセスキオキサンを用いたレジスト樹脂組成物が開示されている(例えば、特許文献3参照。)。しかし、このポリオルガノシルセスキオキサンは、ビニルトリアルコキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリアルコキシシラン等の縮合生成物に、酸解離性基含有(メタ)アクリルモノマーを付加反応させることにより製造されるものであり、ポリマー側鎖に(メタ)アクリルモノマーに由来する不飽和基が残存するため、193nm以下の波長における透明性の面で問題がある。また該公報には、ポリヒドロキシカルボニルエチルシルセスキオキサンをt−ブチルアルコールでエステル化したポリマーを用いたレジスト樹脂組成物も記載されているが、このポリマーもカルボキシル基の保護率が低く、レジストとして特許文献2のものと同様の問題がある。
【0004】
また、前記のようなシロキサン系ポリマーを用いるの化学増幅型レジスト材料には、露光前あるいは露光後にレジスト被膜を放置したとき、大気中の塩基性不純物の影響等により酸が失活し、解像度やパターン形状が損なわれたり、パターン形成が困難になったりする問題がある。したがって、レジスト被膜を放置しても環境の影響を受け難い性質(以下、「環境耐性」ともいう。)も求められている。
【0005】
【非特許文献1】
J. Photopolym. Sci. Technol., Vol.12, No.4 (1999) P.561−570
【非特許文献2】
SPIE, Vol.3678 (1999) P.13−23
【特許文献1】
特開平5−323611号公報
【特許文献2】
特開平8−160623号公報
【特許文献3】
特開平11−60733号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、193nm以下、特に157nm、さらには147nm、134nm等の波長においても透明性が高く、かつドライエッチング耐性に優れ、特に環境耐性に優れた新規ポリシロキサン、該ポリシロキサンの合成原料等として有用な新規ケイ素含有化合物、および該ポリシロキサンを含有する感放射線性樹脂組成物を提供することにある。
【0007】
本発明は、第一に、
下記一般式(1)で表されるケイ素含有化合物(以下、「ケイ素含有化合物(1)」という。)、からなる。
【0008】
【化2】
Figure 2004123793
【0009】
〔一般式(1)において、X1 は置換されていてもよい炭素数2〜20の2価の炭化水素基を示し、各R1 および各R2 は相互に独立に水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルコキシル基、炭素数1〜20の1価の炭化水素基または炭素数1〜20の1価のハロゲン化炭化水素基を示し、かつR1 の2つまたは3つがハロゲン原子または炭素数1〜20の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルコキシル基であり、mおよびnは相互に独立に0〜3の整数で、(m+n)<6を満たす。〕
【0010】
本発明は、第二に、
ケイ素含有化合物(1)を重縮合させて得られる、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)によるポリスチレン換算重量平均分子量が500〜1,000,000のポリシロキサン(以下、「ポリシロキサン(A)」という。)、からなる。
【0011】
本発明は、第三に、
(イ)ポリシロキサン(A)のうち、酸解離性基を有するアルカリ不溶性またはアルカリ難溶性の樹脂であって、該酸解離性基が解離したときアルカリ易溶性となる樹脂(以下、「ポリシロキサン(A1)」という。)、および(ロ)感放射線性酸発生剤を含有することを特徴とする感放射線性樹脂組成物、からなる。
【0012】
以下、本発明について詳細に説明する。
ケイ素含有化合物(1)
一般式(1)において、X1 の置換されていてもよい炭素数2〜20の2価の炭化水素基としては、例えば、1,1−エチレン基、1,2−エチレン基、トリメチレン基、プロピレン基、テトラメチレン基、1,3−シクロペンチレン基、1,4−シクロヘキシレン基等の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキレン基;例えば、テトラフルオロエチレン基、2,2−ビス(トリフルオロメチル)エチレン基、ヘキサフルオロトリメチレン基、オクタフルオロテトラメチレン基等の直鎖状、分岐状もしくは環状のフルオロアルキレン基;例えば、1,4−フェニレン基、ナフチレン基、テトラフルオロ−1,4−フェニレン基、パーフルオロ−1,4−ナフチレン基等の2価の芳香族基;例えば、ノルボルネン骨格、トリシクロデカン骨格あるいはアダマンタン骨格を有する2価の炭化水素基やこれらの基のハロゲン化物等の2価の他の脂環式基等を挙げることができる。
【0013】
一般式(1)におけるX1 としては、1,1−エチレン基、1,2−エチレン基、トリメチレン基、プロピレン基、テトラフルオロ−1,4−フェニレン基、ノルボルネン骨格を有する2価の炭化水素基やそのフッ素化物、
等が好ましく、特に、ノルボルネン骨格を有する2価の炭化水素基やそのフッ素化物が好ましい。
【0014】
一般式(1)において、R1 およびR2 のハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等を挙げることができる。
これらのハロゲン原子のうち、フッ素原子、塩素原子が好ましい。
また、R1 およびR2 の炭素数1〜20の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルコキシル基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基、n−ブトキシ基、2−メチルプロポキシ基、1−メチルプロポキシ基、t−ブトキシ基、n−ペンチルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基、n−ヘプチルオキシ基、n−オクチルオキシ基、n−ノニルオキシ基、n−デシルオキシ基、n−ドデシルオキシ基、n−テトラデシルオキシ基、n−ヘキサデシルオキシ基、n−オクタデシルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基等を挙げることができる。
これらのアルコキシル基のうち、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基等が好ましい。
【0015】
また、R1 およびR2 の炭素数1〜20の1価の炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、2−メチルプロピル基、1−メチルプロピル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、3−メチルブチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ドデシル基、n−テトラデシル基、n−ヘキサデシル基、n−オクタデシル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキル基;フェニル基、o−トリル基、m−トリル基、p−トリル基、ベンジル基、フェネチル基、α−ナフチル基、β−ナフチル基等の芳香族炭化水素基;ノルボルニル基、トリシクロデカニル基、テトラシクロデカニル基、アダマンチル基等の有橋式炭化水素基等を挙げることができる。
これらの1価の炭化水素基のうち、メチル基、エチル基等が好ましい。
【0016】
また、R1 およびR2 の炭素数1〜20の1価のハロゲン化炭化水素基としては、例えば、R1 およびR2 の前記1価の炭化水素基を1種以上あるいは1個以上のハロゲン原子、好ましくは1個以上のフッ素原子で置換した基、より具体的には、トリフルオロメチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基等を挙げることができる。
【0017】
一般式(1)においては、R1 の2つまたは3つが塩素原子、メトキシ基またはエトキシ基であり、かつR2 の1つまたは2つが水素原子、塩素原子、メトキシ基またはエトキシ基であることが好ましく、R1 の2つまたは3つがエトキシ基であり、かつR2 の1つまたは2つが水素原子、塩素原子、メトキシ基またはエトキシ基であることがさらに好ましい。
【0018】
一般式(1)において、基−CHn (3−n) と基−CHm (3−m) の組み合わせとしては、何れか一方の基がトリフルオロメチル基であり、他方の基がメチル基またはトリフルオロメチル基である組み合わせが好ましく、特に両方の基がトリフルオロメチル基である組み合わせが好ましい。
【0019】
好ましいケイ素含有化合物(1)の具体例としては、例えば、下記式(1−1) 〜(1−80)で表される化合物等を挙げることができる。
【0020】
【化3】
Figure 2004123793
【0021】
【化4】
Figure 2004123793
【0022】
【化5】
Figure 2004123793
【0023】
【化6】
Figure 2004123793
【0024】
【化7】
Figure 2004123793
【0025】
【化8】
Figure 2004123793
【0026】
【化9】
Figure 2004123793
【0027】
【化10】
Figure 2004123793
【0028】
【化11】
Figure 2004123793
【0029】
【化12】
Figure 2004123793
【0030】
【化13】
Figure 2004123793
【0031】
【化14】
Figure 2004123793
【0032】
【化15】
Figure 2004123793
【0033】
【化16】
Figure 2004123793
【0034】
【化17】
Figure 2004123793
【0035】
【化18】
Figure 2004123793
【0036】
【化19】
Figure 2004123793
【0037】
【化20】
Figure 2004123793
【0038】
【化21】
Figure 2004123793
【0039】
【化22】
Figure 2004123793
【0040】
【化23】
Figure 2004123793
【0041】
【化24】
Figure 2004123793
【0042】
【化25】
Figure 2004123793
【0043】
【化26】
Figure 2004123793
【0044】
【化27】
Figure 2004123793
【0045】
【化28】
Figure 2004123793
【0046】
【化29】
Figure 2004123793
【0047】
【化30】
Figure 2004123793
【0048】
【化31】
Figure 2004123793
【0049】
【化32】
Figure 2004123793
【0050】
【化33】
Figure 2004123793
【0051】
【化34】
Figure 2004123793
【0052】
【化35】
Figure 2004123793
【0053】
【化36】
Figure 2004123793
【0054】
【化37】
Figure 2004123793
【0055】
【化38】
Figure 2004123793
【0056】
【化39】
Figure 2004123793
【0057】
【化40】
Figure 2004123793
【0058】
【化41】
Figure 2004123793
【0059】
【化42】
Figure 2004123793
【0060】
【化43】
Figure 2004123793
【0061】
【化44】
Figure 2004123793
【0062】
これらのケイ素含有化合物(1)のうち、ノルボルナン骨格を有するものが好ましく、特に好ましくは、式(1−35)、式(1−36)、式(1−37)、式(1−46)、式(1−48)、式(1−60)、式(1−62)、式(1−74)または式(1−76)で表される化合物等である。
【0063】
ケイ素含有化合物(1)は、例えば、下記反応式 [I] に示すように、ヒドロシラン化合物(α1)と不飽和化合物(α2)とを、常法のヒドロシリル化反応により、ヒドロシリル化触媒の存在下で反応させて、中間生成物(α3)を得たのち、中間生成物(α3)をシラン化合物(α4)とアルコール交換反応または脱ハロゲン化水素縮合反応させることにより合成することができる。この反応は、無溶媒下あるいは適当な溶媒中で実施することができる。
【0064】
【化45】
Figure 2004123793
【0065】
ケイ素含有化合物(1)は、特に、下記するポリシロキサン(A)の合成原料として有用であるほか、他のポリシロキサンや他の関連するケイ素含有化合物の合成原料としても使用することができる。
【0066】
ポリシロキサン(A)
ポリシロキサン(A)は、少なくとも1種のケイ素含有化合物(1)を、酸性触媒または塩基性触媒の存在下、無溶媒または溶媒中で、常法により重縮合させることによって製造することができる。この重縮合に際しては、ケイ素含有化合物(1)は、一部または全部を部分縮合物として用いることもできる。
【0067】
以下、ポリシロキサン(A)を製造する重縮合法について説明する。
前記酸性触媒としては、例えば、塩酸、硫酸、硝酸、蟻酸、酢酸、n−プロピオン酸、酪酸、吉草酸、しゅう酸、マロン酸、琥珀酸、マレイン酸、フマル酸、アジピン酸、フタル酸、テレフタル酸、無水酢酸、無水マレイン酸、クエン酸、ホウ酸、燐酸、四塩化チタン、塩化亜鉛、塩化アルミニウム、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸等を挙げることができる。
これらの酸性触媒は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
【0068】
前記塩基性触媒のうち、無機塩基類としては、例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等を挙げることができる。
【0069】
また、前記塩基性触媒のうち、有機塩基類としては、例えば、
n−ヘキシルアミン、n−ヘプチルアミン、n−オクチルアミン、n−ノニルアミン、n−デシルアミン、シクロヘキシルアミン等の直鎖状、分岐状もしくは環状のモノアルキルアミン類;
ジ−n−ブチルアミン、ジ−n−ペンチルアミン、ジ−n−ヘキシルアミン、ジ−n−ヘプチルアミン、ジ−n−オクチルアミン、ジ−n−ノニルアミン、ジ−n−デシルアミン、シクロヘキシルメチルアミン、ジシクロヘキシルアミン等の直鎖状、分岐状もしくは環状のジアルキルアミン類;
トリエチルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリ−n−ブチルアミン、トリ−n−ペンチルアミン、トリ−n−ヘキシルアミン、トリ−n−ヘプチルアミン、トリ−n−オクチルアミン、トリ−n−ノニルアミン、トリ−n−デシルアミン、シクロヘキシルジメチルアミン、ジシクロヘキシルメチルアミン、トリシクロヘキシルアミン等の直鎖状、分岐状もしくは環状のトリアルキルアミン類;
【0070】
アニリン、N−メチルアニリン、N,N−ジメチルアニリン、2−メチルアニリン、3−メチルアニリン、4−メチルアニリン、4−ニトロアニリン、ジフェニルアミン、トリフェニルアミン、ナフチルアミン等の芳香族アミン類;
エチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノジフェニルアミン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、2−(3−アミノフェニル)−2−(4−アミノフェニル)プロパン、2−(4−アミノフェニル)−2−(3−ヒドロキシフェニル)プロパン、2−(4−アミノフェニル)−2−(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,4−ビス〔1−(4−アミノフェニル)−1−メチルエチル〕ベンゼン、1,3−ビス〔1−(4−アミノフェニル)−1−メチルエチル〕ベンゼン等のジアミン類;
【0071】
イミダゾール、ベンズイミダゾール、4−メチルイミダゾール、4−メチル−2−フェニルイミダゾール等のイミダゾール類;
ピリジン、2−メチルピリジン、4−メチルピリジン、2−エチルピリジン、4−エチルピリジン、2−フェニルピリジン、4−フェニルピリジン、2−メチル−4−フェニルピリジン、ニコチン、ニコチン酸、ニコチン酸アミド、キノリン、4−ヒドロキシキノリン、8−オキシキノリン、アクリジン等のピリジン類;ピペラジン、1−(2’−ヒドロキシエチル)ピペラジン等のピペラジン類のほか、
ピラジン、ピラゾール、ピリダジン、キノザリン、プリン、ピロリジン、ピペリジン、モルホリン、4−メチルモルホリン、1,4−ジメチルピペラジン、1,4−ジアザビシクロ [2.2.2] オクタン等の他の含窒素複素環化合物
等を挙げることができる。
これらの塩基性触媒は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
【0072】
前記酸性触媒および塩基性触媒のうち、塩酸、硫酸、酢酸、しゅう酸、マロン酸、マレイン酸、フマル酸、無水酢酸、無水マレイン酸、トリエチルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリ−n−ブチルアミン、ピリジン等が好ましい。
酸性触媒または塩基性触媒の使用量は、ケイ素含有化合物の全量100重量部に対して、通常、0.01〜10,000重量部である。
【0073】
また、重縮合に用いられる溶媒としては、例えば、
2−ブタノン、2−ペンタノン、3−メチル−2−ブタノン、2−ヘキサノン、4−メチル−2−ペンタノン、3−メチル−2−ペンタノン、3,3−ジメチル−2−ブタノン、2−ヘプタノン、2−オクタノン等の直鎖状もしくは分岐状のケトン類;
シクロペンタノン、3−メチルシクロペンタノン、シクロヘキサノン、2−メチルシクロヘキサノン、2,6−ジメチルシクロヘキサノン、イソホロン等の環状のケトン類;
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノ−i−プロピルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノ−i−ブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノ−sec−ブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノ−t−ブチルエーテルアセテート等のプロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類;
【0074】
2−ヒドロキシプロピオン酸メチル、2−ヒドロキシプロピオン酸エチル、2−ヒドロキシプロピオン酸n−プロピル、2−ヒドロキシプロピオン酸i−プロピル、2−ヒドロキシプロピオン酸n−ブチル、2−ヒドロキシプロピオン酸i−ブチル、2−ヒドロキシプロピオン酸sec−ブチル、2−ヒドロキシプロピオン酸t−ブチル等の2−ヒドロキシプロピオン酸アルキル類;
3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル等の3−アルコキシプロピオン酸アルキル類;
エタノール、n−プロパノール、i−プロパノール、n−ブタノール、t−ブタノール、シクロヘキサノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル等のアルコール類;
【0075】
ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジ−n−プロピルエーテル、ジエチレングリコールジ−n−ブチルエーテル等のジアルキレングリコールジアルキルエーテル類;
エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノ−n−プロピルエーテルアセテート等のエチレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類;
トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;
2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、エトキシ酢酸エチル、ヒドロキシ酢酸エチル、2−ヒドロキシ−3−メチル酪酸メチル、3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルプロピオネート、3−メチル−3−メトキシブチルブチレート、酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸n−ブチル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル等の他のエステル類のほか、
【0076】
N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ベンジルエチルエーテル、ジ−n−ヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、カプロン酸、カプリル酸、1−オクタノール、1−ノナノール、ベンジルアルコール、酢酸ベンジル、安息香酸エチル、しゅう酸ジエチル、マレイン酸ジエチル、γ−ブチロラクトン、炭酸エチレン、炭酸プロピレン等を挙げることができる。
これらの溶媒は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
溶媒の使用量は、ケイ素含有化合物の全量100重量部に対して、通常、2,000重量部以下である。
【0077】
ポリシロキサン(A)を製造する重縮合は、無溶媒下、あるいは2−ブタノン、2−ペンタノン、3−メチル−2−ブタノン、2−ヘキサノン、4−メチル−2−ペンタノン、3−メチル−2−ペンタノン、3,3−ジメチル−2−ブタノン、2−ヘプタノン、2−オクタノン、シクロペンタノン、3−メチルシクロペンタノン、シクロヘキサノン、2−メチルシクロヘキサノン、2,6−ジメチルシクロヘキサノン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジ−n−プロピルエーテル、ジエチレングリコールジ−n−ブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノ−n−プロピルエーテルアセテート等の溶媒中で実施することが好ましい。
【0078】
また、重縮合に際しては、反応系に水を添加することもできる。この場合の水の添加量は、ケイ素含有化合物の全量100重量部に対して、通常、10,000重量部以下である。
重縮合における反応温度は、通常、−50〜+300℃、好ましくは20〜100℃であり、反応時間は、通常、1分〜100時間程度である。
【0079】
ポリシロキサン(A)を製造する際には、ケイ素含有化合物(1)以外のケイ素含有化合物(以下、「他のケイ素含有化合物」という。)を共重縮合させることができる。
好ましい他のケイ素含有化合物としては、例えば、下記一般式(2)で表されるケイ素含有化合物(以下、「ケイ素含有化合物(2)」という。)、下記一般式(3)で表されるシラン化合物(以下、「ケイ素含有化合物(3)」という。)等の酸解離性基を有するケイ素含有化合物や、下記一般式(4)で表されるケイ素含有化合物(以下、「ケイ素含有化合物(4)」という。)、下記一般式(5)で表されるケイ素含有化合物(以下、「ケイ素含有化合物(5)」という。)、下記一般式(6)で表されるケイ素含有化合物(以下、「ケイ素含有化合物(6)」という。)等を挙げることができる。これらのケイ素含有化合物(2)〜(6)はそれぞれ、一部または全部を部分縮合物として用いることもできる。
【0080】
【化46】
Figure 2004123793
【0081】
〔一般式(2)および一般式(3)において、各Eは相互に独立に酸解離性基を有する1価の有機基を示し、各R3 は相互に独立に炭素数1〜20の1価の炭化水素基または炭素数1〜20の1価のハロゲン化炭化水素基を示し、R4 は水素原子、炭素数1〜20の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、炭素数1〜20の直鎖状もしくは分岐状のハロゲン化アルキル基、炭素数6〜20の1価の芳香族炭化水素基または炭素数6〜20の1価のハロゲン化芳香族炭化水素基を示す。〕
【0082】
【化47】
Figure 2004123793
【0083】
〔一般式(4)〜(6)において、各R3 および各R4 は一般式(2)および一般式(3)におけるそれぞれR3 およびR4 と同義であり、各R5 は相互に独立にヒドロキシル基、カルボキシル基、ヒドロキシル基を有する1価の有機基またはカルボキシル基を有する1価の有機基を示す。〕
【0084】
以下、ケイ素含有化合物(2)〜(6)について順次説明する。
一般式(2)および一般式(3)において、Eの酸解離性基を有する1価の有機基としては、酸により解離して、好ましくは、フェノール性水酸基、アルコール性水酸基あるいはカルボキシル基を生じる酸解離性基を有する炭素数1〜20の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、該酸解離性基を有する炭素数4〜30の1価の脂環式炭化水素基等の、ポリシロキサン(A)を製造する反応条件下で安定な基を挙げることができる。
Eにおける酸解離性基としては、例えば、下記一般式(7)または一般式(8)で表される基(以下、「酸解離性基(e)」という。)等が好ましい。
【0085】
【化48】
Figure 2004123793
【0086】
〔一般式(7)および一般式(8)において、Pは単結合、メチレン基、ジフルオロメチレン基、炭素数2〜20の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキレン基、炭素数2〜20の直鎖状、分岐状もしくは環状のフルオロアルキレン基、炭素数6〜20の2価の芳香族基または炭素数3〜20の2価の他の脂環式基を示し、Gは酸により解離して水素原子を生じる1価の有機基を示す。〕
【0087】
一般式(7)および一般式(8)において、Pの炭素数2〜20の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキレン基としては、例えば、エチレン基、トリメチレン基、プロピレン基、テトラメチレン基、1,3−シクロペンチレン基、1,4−シクロヘキシレン基等を挙げることができ、炭素数2〜20の直鎖状、分岐状もしくは環状のフルオロアルキレン基としては、例えば、テトラフルオロエチレン基、2,2−ジ(トリフルオロメチル)エチレン基、ヘキサフルオロトリメチレン基、オクタフルオロテトラメチレン基等を挙げることができ、炭素数6〜20の2価の芳香族基としては、例えば、1,4−フェニレン基、1,4−ナフチレン基、テトラフルオロ−1,4−フェニレン基、パーフルオロ−1,4−ナフチレン基等を挙げることができ、また炭素数3〜20の2価の他の脂環式基としては、ノルボルネン骨格、トリシクロデカン骨格あるいはアダマンタン骨格を有する2価の炭化水素基や、これらの基のハロゲン化物等を挙げることができる。
【0088】
一般式(7)および一般式(8)におけるPとしては、エチレン基、シクロヘキシレン基、フェニレン基、テトラフルオロフェニレン基、ノルボルネン骨格を有する2価の炭化水素基やそのハロゲン化物、アダマンタン骨格を有する2価の炭化水素基やそのハロゲン化物等が好ましい。
【0089】
また、Gの酸により解離して水素原子を生じる1価の有機基としては、例えば、
メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、2−メチルプロピル基、1−メチルプロピル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−デシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、4−t−ブチルシクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基等の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキル基;
フェノキシカルボニル基、4−t−ブチルフェノキシカルボニル基、1−ナフチルオキシカルボニル基等のアリーロキシカルボニル基;
ベンジル基、4−t−ブチルベンジル基、フェネチル基、4−t−ブチルフェネチル基等のアラルキル基;
t−ブトキシカルボニル基、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、i−プロポキシカルボニル基、9−フルオレニルメチルカルボニル基、2,2,2−トリクロロエチルカルボニル基、2−(トリメチルシリル)エチルカルボニル基、i−ブチルカルボニル基、ビニルカルボニル基、アリルカルボニル基、ベンジルカルボニル基、4−エトキシ−1−ナフチルカルボニル基、メチルジチオカルボニル基等の有機カルボニル基;
【0090】
メトキシメチル基、メチルチオメチル基、t−ブチルチオメチル基、(フェニルジメチルシリル)メトキシメチル基、ベンジルオキシメチル基、t−ブトキシメチル基、シロキシメチル基、2−メトキシエトキシメチル基、2,2,2−トリクロロエトキシメチル基、ビス(2−クロロエトキシ)メチル基、2−(トリメチルシリル)エトキシメチル基、1−メトキシシクロヘキシル基、テトラヒドロピラニル基、4−メトキシテトラヒドロピラニル基、テトラヒドロフラニル基、テトラヒドロチオピラニル基、テトラヒドロチオフラニル基、1−エトキシエチル基、1−メチル−1−メトキシエチル基、1−メチル−1−ベンジルオキシエチル基、1−(2−クロロエトキシ)エチル基、1−メチル−1−ベンジルオキシ−2−フルオロエチル基、2,2,2−トリクロロエチル基、2−トリメチルシリルエチル基、2−(フェニルセレニル)エチル基等の、一般式(7)中の酸素原子と結合してアセタール基を形成する有機基;
トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリ−i−プロピルシリル基、ジメチル−i−プロピルシリル基、ジエチル−i−プロピルシリル基、ジメチルエチルシリル基、t−ブチルジメチルシリル基、t−ブチルジフェニルシリル基、トリベンジルシリル基、トリ−p−キシリルシリル基、トリフェニルシリル基、ジフェニルメチルシリル基、t−ブチルメトキシフェニルシリル基等の有機シリル基等を挙げることができる。
【0091】
これらの酸により解離して水素原子を生じる1価の有機基のうち、t−ブチル基、テトラヒドロピラニル基、1−エトキシエチル基、t−ブチルジメチルシリル基等が好ましい。
一般式(2)および一般式(3)におけるEとしては、2−t−ブトキシカルボニルエチル基、4−t−ブトキシカルボニルシクロヘキシル基、4−t−ブトキシカルボニルフェニル基、4−t−ブトキシカルボニル−2,3,5,6−テトラフルオロフェニル基、5−t−ブトキシカルボニルノルボニル基、5−トリフルオロメチル−5−t−ブトキシカルボニルノルボニル基、4−t−ブトキシカルボニルテトラシクロ[ 6.2.1.13,6 .02,7 ] ドデカニル基、4−トリフルオロメチル−4−t−ブトキシカルボニルテトラシクロ[ 6.2.1.
3,6 .02,7 ] ドデカニル基、5−t−ブトキシカルボニルアダマンチル基等が好ましい。
【0092】
また、R3 の炭素数1〜10の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、2−メチルプロピル基、1−メチルプロピル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等を挙げることができ、炭素数1〜10の直鎖状、分岐状もしくは環状のハロゲン化アルキル基としては、例えば、フルオロメチル基、クロロメチル基、ブロモメチル基、ジフルオロメチル基、ジクロロメチル基、トリフルオロメチル基等を挙げることができる。
一般式(2)および一般式(3)におけるR3 としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基等が好ましい。
【0093】
また、一般式(3)において、R4 の炭素数1〜20の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、2−メチルプロピル基、1−メチルプロピル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基等を挙げることができ、炭素数1〜20の直鎖状もしくは分岐状のハロゲン化アルキル基としては、例えば、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、ヘプタフルオロ−n−プロピル基、ヘプタフルオロ−i−プロピル基等を挙げることができ、炭素数6〜20の1価の芳香族炭化水素基としては、例えば、フェニル基、α−ナフチル基、β−ナフチル基、ベンジル基、フェネチル基等を挙げることができ、炭素数6〜20の1価のハロゲン化芳香族炭化水素基としては、例えば、ペンタフルオロフェニル基、パーフルオロベンジル基、パーフルオロフェネチル基、2−(ペンタフルオロフェニル)ヘキサフルオロ−n−プロピル基、3−(ペンタフルオロフェニル)ヘキサフルオロ−n−プロピル基等を挙げることができる。
一般式(3)におけるR4 としては、メチル基、エチル基、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、パーフルオロフェネチル基、3−(ペンタフルオロフェニル)ヘキサフルオロ−n−プロピル基等が好ましい。
【0094】
次に、一般式(4)〜(6)において、R3 およびR4 としては、例えば、前記一般式(2)および一般式(3)におけるそれぞれR3 およびR4 について例示した基と同様のものを挙げることができる。
【0095】
また、R5 のヒドロキシル基を有する1価の有機基としては、例えば、下記一般式(9)で表される基を挙げることができ、R5 のカルボキシル基を有する1価の有機基としては、例えば、下記一般式(10)で表される基を挙げることができる。
【0096】
【化49】
Figure 2004123793
〔一般式(9)および一般式(10)において、Qはメチレン基、ジフルオロメチレン基、炭素数2〜20の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキレン基、炭素数2〜20の直鎖状、分岐状もしくは環状のフルオロアルキレン基、炭素数6〜20の2価の芳香族基または炭素数3〜20の2価の他の脂環式基を示す。〕
【0097】
一般式(9)および一般式(10)において、Qの炭素数2〜20の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキレン基、炭素数2〜20の直鎖状、分岐状もしくは環状のフルオロアルキレン基、炭素数6〜20の2価の芳香族基および炭素数3〜20の2価の他の脂環式基としては、例えば、一般式(7)および一般式(8)におけるPについて例示したそれぞれ対応する基と同様のものを挙げることができる。
一般式(9)および一般式(10)におけるQとしては、メチレン基、ジフルオロメチレン基、2,2−ジ(トリフルオロメチル)エチレン基、ノルボルネン骨格を有する2価の炭化水素基やそのハロゲン化物、アダマンタン骨格を有する2価の炭化水素基やそのハロゲン化物等が好ましい。
【0098】
本発明において、他のケイ素含有化合物は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができ、それらを適切に選択しあるいは適切に組み合わせることにより、得られるポリシロキサン(A)の分子量およびガラス転移温度(Tg)を制御でき、また193nm以下、特に157nmの波長における透明性をさらに向上させることができる。
【0099】
ポリシロキサン(A)を製造する際における各ケイ素含有化合物の具体的な使用量は、それらの種類や組み合わせ、ポリシロキサン(A)の用途等に応じて変わり、それぞれの場合における各好適な使用量は、試験等により当業者が適宜に選定することができるが、ケイ素含有化合物(1)の使用量は、ケイ素含有化合物の全量に対して、好ましくは1〜100モル%、さらに好ましくは1〜90モル%、特に好ましくは3〜80モル%であり、ケイ素含有化合物(2)およびケイ素含有化合物(3)の合計使用量は、ケイ素含有化合物の全量に対して、好ましくは5〜80モル%、さらに好ましくは5〜70モル%、特に好ましくは5〜60モル%であり、これら以外の他のケイ素含有化合物の使用量は、ケイ素含有化合物の全量に対して、通常、80モル%以下、好ましくは70モル%以下である。
【0100】
ポリシロキサン(A)のゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)により測定したポリスチレン換算重量平均分子量(以下、「Mw」という。)は、500〜1,000,000、好ましくは500〜100,000、特に好ましくは500〜40,000である。この場合、Mwが500未満では、得られるポリマーのガラス転移温度(Tg)が低下する傾向があり、一方1,000,000を超えると、得られるポリマーの溶剤への溶解性が低下する傾向がある。
【0101】
ポリシロキサン(A)は、特に環境耐性に優れるとともに、機械的特性、電気的特性等にも優れ、単独であるいは一般のポリシロキサンと混合物して、例えば、成型品、フィルム、ラミネート材、塗料成分等として有用である。
特にポリシロキサン(A1)は、環境耐性に加えて、放射線に対する透明性が高く、遠紫外線、電子線、X線等の放射線を用いる微細加工用の化学増幅型レジストにおける樹脂成分として極めて好適に使用することができる。
以下に、化学増幅型レジストとして有用な本発明の感放射線性樹脂組成物について説明する。
【0102】
感放射線性樹脂組成物
本発明の感放射線性樹脂組成物は、(イ)ポリシロキサン(A1)および(ロ)感放射線性酸発生剤(以下、単に「酸発生剤」という。)を含有するものである。
本発明の感放射線性樹脂組成物において、ポリシロキサン(A1)は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
また、本発明の感放射線性樹脂組成物においては、ポリシロキサン(A1)と共に、他のポリシロキサンを1種以上併用することもできる。
前記他のポリシロキサンとしては、例えば、ケイ素含有化合物(2)〜(6)の群の少なくとも1種を重縮合させて得られるものを挙げることができる。
【0103】
−酸発生剤−
本発明の感放射線性樹脂組成物における酸発生剤は、露光により酸を発生する成分であり、その酸の作用によって、ポリシロキサン(A1)中に存在する酸解離性基を解離させ、その結果レジスト被膜の露光部がアルカリ現像液に易溶性となり、ポジ型のレジストパターンを形成する作用を有するものである。
本発明における酸発生剤は、前記作用を有する限り特に限定されるものではないが、好ましい酸発生剤としては、露光により、トリフルオロメタンスルホン酸または下記一般式(11)で表される酸(以下、「酸(β)」という。)を発生する化合物(以下、「酸発生剤(B1)」という。)を含むものが好ましい。
【0104】
【化50】
Figure 2004123793
【0105】
〔一般式(11)において、各Rfは相互に独立にフッ素原子またはトリフルオロメチル基を示し、Ra は水素原子、フッ素原子、炭素数1〜20の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、炭素数1〜20の直鎖状もしくは分岐状のフッ素化アルキル基、炭素数3〜20の環状の1価の炭化水素基または炭素数3〜20の環状の1価のフッ素化炭化水素基を示し、該環状の1価の炭化水素基および該環状の1価のフッ素化炭化水素基は置換されていてもよい。〕
【0106】
酸発生剤(B1)としては、例えば、オニウム塩化合物、スルホン化合物、スルホン酸化合物、カルボン酸化合物、ジアゾケトン化合物、ハロゲン含有化合物等を挙げることができる。
本発明における酸発生剤としては、酸発生剤(B1)のみを使用することもできるが、酸発生剤(B1)と、下記一般式(12)で表される酸(以下、「酸(γ−1)」という。)、一般式(13)で表される酸(以下、「酸(γ−2)」という。)あるいは一般式(14)で表される酸(以下、「酸(γ−3)」という。)を発生する感放射線性酸発生剤(以下、「酸発生剤(B2)」という。)とを組み合わせて使用することもできる。
【0107】
【化51】
Figure 2004123793
【0108】
〔一般式(12)において、Rfはフッ素原子またはトリフルオロメチル基を示し、Rfは水素原子、フッ素原子、メチル基またはトリフルオロメチル基を示し、Rb は水素原子、炭素数1〜20の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、炭素数3〜20の環状の1価の炭化水素基または炭素数3〜20の環状の1価のフッ素化炭化水素基を示し、該環状の1価の炭化水素基および該環状の1価のフッ素化炭化水素基は置換されていてもよい。
【0109】
一般式(13)において、Rs は炭素数1〜20の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基または炭素数3〜20の環状の1価の炭化水素基を示し、該環状の1価の炭化水素基は置換されていてもよい。
【0110】
一般式(14)において、Rc は炭素数1〜20の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、炭素数1〜20の直鎖状もしくは分岐状のフッ素化アルキル基、炭素数3〜20の環状の1価の炭化水素基または炭素数3〜20の環状の1価のフッ素化炭化水素基を示し、該環状の1価の炭化水素基および該環状の1価のフッ素化炭化水素基は置換されていてもよい。〕
【0111】
一般式(11)〜(14)において、Ra 、Rb 、Rs およびRc の炭素数1〜20の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、nープロピル基、i―プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基等を挙げることができる。
【0112】
また、Ra およびRc の炭素数1〜20の直鎖状もしくは分岐状のフッ素化アルキル基の具体例としては、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、ヘプタフルオロ−n−プロピル基、ヘプタフルオロ−i−プロピル基、ノナフルオロ−n−ブチル基、ノナフルオロ−i−ブチル基、ノナフルオロ−sec−ブチル基、ノナフルオロ−t−ブチル基、パーフルオロ−n−ペンチル基、パーフルオロ−n−ヘキシル基、パーフルオロ−n−ヘプチル基、パーフルオロ−n−オクチル基等を挙げることができる。
【0113】
また、Ra 、Rb 、Rs およびRc の炭素数3〜20の環状の1価の炭化水素基または炭素数3〜20の環状の1価のフッ素化炭化水素基あるいはこれらの置換誘導体としては、例えば、下記式(15)〜(21)で表される基等を挙げることができる。
【0114】
【化52】
Figure 2004123793
【0115】
【化53】
Figure 2004123793
【0116】
【化54】
Figure 2004123793
【0117】
【化55】
Figure 2004123793
【0118】
【化56】
Figure 2004123793
【0119】
【化57】
Figure 2004123793
【0120】
【化58】
Figure 2004123793
【0121】
〔式(15)〜(21)において、各R6 は相互に独立に水素原子、ハロゲン原子、水酸基、アセチル基、カルボキシル基、ニトロ基、シアノ基、1級アミノ基、2級アミノ基、炭素数1〜10の直鎖状もしくは分岐状のアルコキシル基、炭素数1〜10の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基または炭素数1〜10の直鎖状もしくは分岐状のフッ素化アルキル基を示し、各R7 は相互に独立に水素原子、ハロゲン原子、1〜10の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、炭素数1〜10の直鎖状もしくは分岐状のフッ素化アルキル基を示し、pは0〜10の整数である。
式(18)において、qは1〜18の整数である。
式(19)において、rは0〜3の整数である。〕
【0122】
本発明における好ましい酸(β)としては、例えば、
トリフルオロメタンスルホン酸、ペンタフルオロエタンスルホン酸、ヘプタフルオロ−n−プロパンスルホン酸、ノナフルオロ−n−ブタンスルホン酸、パーフルオロ−n−オクタンスルホン酸、1,1,2,2,−テトラフルオロ−n−プロパンスルホン酸、1,1,2,2,−テトラフルオロ−n−ブタンスルホン酸、1,1,2,2,−テトラフルオロ−n−オクタンスルホン酸や、
【0123】
前記式(15)〜(21)で表される基の結合手に、−CF2 CF2 SO3 H、−CF2 CF(CF)SO3 H、−CF(CF)CF2 SO3 H、−CF(CF)CF(CF)SO3 H、−C(CF2 CF2 SO3 Hまたは−CF2 C(CF2 SO3 Hの基が結合した酸、例えば、下記式(11−1) 〜(11−10)の酸等を挙げることができる。
【0124】
【化59】
Figure 2004123793
【0125】
【化60】
Figure 2004123793
【0126】
【化61】
Figure 2004123793
【0127】
【化62】
Figure 2004123793
【0128】
【化63】
Figure 2004123793
【0129】
また、本発明における好ましい酸(γ−1) としては、例えば、
1−フルオロエタンスルホン酸、1−フルオロ−n−プロパンスルホン酸、1−フルオロ−n−ブタンスルホン酸、1−フルオロ−n−オクタンスルホン酸、1,1−ジフルオロエタンスルホン酸、1,1−ジフルオロ−n−プロパンスルホン酸、1,1−ジフルオロ−n−ブタンスルホン酸、1,1−ジフルオロ−n−オクタンスルホン酸、1−トリフルオロメチル−n−プロパンスルホン酸、1−トリフルオロメチル−n−ブタンスルホン酸、1−トリフルオロメチル−n−オクタンスルホン酸、1,1−ビス(トリフルオロメチル)エタンスルホン酸、1,1−ビス(トリフルオロメチル)−n−プロパンスルホン酸、1,1−ビス(トリフルオロメチル)−n−ブタンスルホン酸、1,1−ビス(トリフルオロメチル)−n−オクタンスルホン酸や、
【0130】
前記式(15)〜(21)で表される基の結合手に、−CF2 SO3 H、−CHFSO3 H、−CH(CF)SO3 Hまたは−C(CF2 SO3 Hの基が結合した酸、例えば、下記式(12−1) 〜(12−40)の酸等を挙げることができる。
【0131】
【化64】
Figure 2004123793
【0132】
【化65】
Figure 2004123793
【0133】
【化66】
Figure 2004123793
【0134】
【化67】
Figure 2004123793
【0135】
【化68】
Figure 2004123793
【0136】
【化69】
Figure 2004123793
【0137】
【化70】
Figure 2004123793
【0138】
【化71】
Figure 2004123793
【0139】
【化72】
Figure 2004123793
【0140】
【化73】
Figure 2004123793
【0141】
【化74】
Figure 2004123793
【0142】
【化75】
Figure 2004123793
【0143】
【化76】
Figure 2004123793
【0144】
【化77】
Figure 2004123793
【0145】
【化78】
Figure 2004123793
【0146】
【化79】
Figure 2004123793
【0147】
【化80】
Figure 2004123793
【0148】
【化81】
Figure 2004123793
【0149】
【化82】
Figure 2004123793
【0150】
【化83】
Figure 2004123793
【0151】
また、本発明における好ましい酸(γ−2) としては、例えば、
メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、n−プロパンスルホン酸、n−ブタンスルホン酸、i−ブタンスルホン酸、sec−ブタンスルホン酸、t−ブタンスルホン酸、n−ペンタンスルホン酸、n−ヘキサンスルホン酸、n−オクタンスルホン酸、シクロペンタンスルホン酸、シクロヘキサンスルホン酸等の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキルスルホン酸類;
ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、ベンジルスルホン酸、α―ナフタレンスルホン酸、β―ナフタレンスルホン酸等の芳香族スルホン酸類;
10−カンファースルホン酸や、
前記式(15)〜(21)で表される基の結合手に、−SO3 H基が結合した酸等を挙げることができる。
【0152】
さらに、本発明における好ましい酸(γ−3) としては、例えば、
酢酸、n−プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、吉草酸、イソ吉草酸、カプロン酸、安息香酸、サリチル酸、フタル酸、テレフタル酸、α―ナフタレンカルボン酸、β−ナフタレンカルボン酸、シクロブタンカルボン酸、シクロペンタンカルボン酸、シクロヘキサンカルボン酸、1,1−シクロブタンジカルボン酸、1,2−シクロブタンジカルボン酸、1,1−シクロペンタンジカルボン酸、1,2−シクロペンタンジカルボン酸、1,3−シクロペンタンジカルボン酸、1,1−シクロヘキサンジカルボン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、2−ノルボルナンカルボン酸、2,3−ノルボルナンジカルボン酸、ノルボルニル−2−酢酸、1−アダマンタンカルボン酸、1−アダマンタン酢酸、1,3−アダマンタンジカルボン酸、1,3−アダマンタンジ酢酸、 リトコール酸、デオキシコール酸、ケノデオキシコール酸、コール酸や、
前記式(15)〜(21)で表される基の結合手に、−COOH基が結合した酸等を挙げることができる。
【0153】
酸(β)、酸(γ−1) 、酸(γ−2) あるいは酸(γ−3) を発生するオニウム塩化合物としては、例えば、
ジフェニルヨードニウム塩、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウム塩、トリフェニルスルホニウム塩、
4−ヒドロキシフェニル・フェニル・メチルスルホニウム塩、シクロヘキシル・2−オキソシクロヘキシル・メチルスルホニウム塩、ジシクロヘキシル・2−オキソシクロヘキシルスルホニウム塩、2−オキソシクロヘキシルジメチルスルホニウム塩、4−ヒドロキシフェニル・ベンジル・メチルスルホニウム塩、
1−ナフチルジメチルスルホニウム塩、1−ナフチルジエチルスルホニウム塩、4−シアノ−1−ナフチルジメチルスルホニウム塩、4−シアノ−1−ナフチルジエチルスルホニウム塩、4−ニトロ−1−ナフチルジメチルスルホニウム塩、4−ニトロ−1−ナフチルジエチルスルホニウム塩、4−メチル−1−ナフチルジメチルスルホニウム塩、4−メチル−1−ナフチルジエチルスルホニウム塩、4−ヒドロキシ−1−ナフチルジメチルスルホニウム塩、4−ヒドロキシ−1−ナフチルジエチルスルホニウム塩、
【0154】
1−(4−ヒドロキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウム塩、1−(4−メトキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウム塩、1−(4−エトキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウム塩、1−(4−n−ブトキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウム塩、1−(4−メトキシメトキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウム塩、1−(4−エトキトメトキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウム塩、1−〔4−(1−メトキシエトキシ)ナフタレン−1−イル〕テトラヒドロチオフェニウム塩、1−〔4−(2−メトキシエトキシ)ナフタレン−1−イル〕テトラヒドロチオフェニウム塩、1−(4−メトキシカルボニルオキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウム塩、1−(4−エトキシカルボニルオキシナフナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウム塩、1−(4−n−プロポキシカルボニルオキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウム塩、1−(4−i−プロポキシカルボニルオキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウム塩、1−(4−n−ブトキシカルボニルオキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウム塩、1−(4−t−ブトキシカルボニルオキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウム塩、1−〔4−(2−テトラヒドロフラニルオキシ)ナフタレン−1−イル〕テトラヒドロチオフェニウム塩、1−〔4−(2−テトラヒドロピラニルオキシ)ナフタレン−1−イル〕テトラヒドロチオフェニウム塩、1−(4−ベンジルオキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウム塩、1−〔1−(1−ナフチルアセトメチル)〕テトラヒドロチオフェニウム塩
等を挙げることができる。
【0155】
また、酸(β)、酸(γ−1) あるいは酸(γ−2) を発生するスルホン化合物としては、例えば、β−ケトスルホン、β−スルホニルスルホンや、これらの化合物のα−ジアゾ化合物等を挙げることができる。
また、酸(β)、酸(γ−1) あるいは酸(γ−2) を発生するスルホン酸化合物としては、例えば、スルホン酸エステル、スルホン酸イミド、アリールスルホン酸エステル、イミノスルホネート等を挙げることができる。
また、酸(γ−3) を発生するカルボン酸化合物としては、例えば、カルボン酸エステル、カルボン酸イミド、カルボン酸シアネート等を挙げることができる。
【0156】
また、酸(β)、酸(γ−1) 、酸(γ−2) あるいは酸(γ−3) を発生するジアゾケトン化合物としては、例えば、1,3−ジケト−2−ジアゾ化合物、ジアゾベンゾキノン化合物、ジアゾナフトキノン化合物等を挙げることができる。
また、酸(β)、酸(γ−1) 、酸(γ−2) あるいは酸(γ−3) を発生するハロゲン含有化合物としては、例えば、ハロアルキル基含有炭化水素化合物、ハロアルキル基含有複素環式化合物等を挙げることができる。
【0157】
さらに、酸発生剤(B1)および酸発生剤(B2)以外の好ましい酸発生剤(以下、単に「他の酸発生剤」という。)としては、例えば、
ジフェニルヨードニウムピレンスルホネート、ジフェニルヨードニウム n−ドデシルベンゼンスルホネート、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウム n−ドデシルベンゼンスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムナフタレンスルホネート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、トリフェニルスルホニウムナフタレンスルホネート、トリフェニルスルホニウム10−カンファースルホネート、4−ヒドロキシフェニル・フェニル・メチルスルホニウムp−トルエンスルホネート、4−ヒドロキシフェニル・ベンジル・メチルスルホニウム p−トルエンスルホネート等の他のオニウム塩化合物;
4−トリスフェナシルスルホン、メシチルフェナシルスルホン、ビス(フェニルスルホニル)メタン等の他のスルホン化合物;
ベンゾイントシレート、ニトロベンジル−9,10−ジエトキシアントラセン−2−スルホネート等の他のスルホン酸化合物;
【0158】
1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホニルクロリド、1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホニルクロリド、2,3,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノンの1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸エステルまたは1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸エステル、1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタンの1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸エステルまたは1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸エステル等の他のジアゾケトン化合物;
フェニルビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、4−メトキシフェニルビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、1−ナフチルビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン等の(トリクロロメチル)−s−トリアジン誘導体、1,1−ビス(4−クロロフェニル)−2,2,2−トリクロロエタン等の他のハロゲン含有化合物
等を挙げることができる。
本発明においては、酸発生剤として他の酸発生剤のみを使用することもできるが、他の酸発生剤を酸発生剤(B1)あるいはこれと酸発生剤(B2)との混合物と組み合わせて使用することも好ましい。
【0159】
本発明において、酸発生剤は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
酸発生剤の使用量は、レジストとしての感度および現像性を確保する観点から、全ポリシロキサン成分100重量部に対して、通常、0.1〜10重量部、好ましくは0.5〜7重量部である。この場合、酸発生剤の使用量が0.1重量部未満では、感度および現像性が低下する傾向があり、一方10重量部を超えると、放射線に対する透明性が低下して、矩形のレジストパターンを得られ難くなる傾向がある。
【0160】
−添加剤−
本発明の感放射線性樹脂組成物には、酸拡散制御剤、溶解制御剤、界面活性剤等の各種の添加剤を配合することができる。
前記酸拡散制御剤は、露光により酸発生剤から生じる酸のレジスト被膜中における拡散現象を制御し、非露光領域における好ましくない化学反応を抑制する作用を有する成分である。
このような酸拡散制御剤を配合することにより、得られる感放射線性樹脂組成物の貯蔵安定性がさらに向上し、またレジストとしての解像度がさらに向上するとともに、露光から現像処理までの引き置き時間(PED)の変動によるレジストパターンの線幅変化を抑えることができ、プロセス安定性に極めて優れた組成物が得られる。
酸拡散制御剤としては、レジストパターンの形成工程中の露光や加熱処理により塩基性が変化しない含窒素有機化合物が好ましい。
このような含窒素有機化合物としては、例えば、下記一般式(22) で表される化合物(以下、「酸拡散制御剤(C) 」という。)を挙げることができる。
【0161】
【化84】
Figure 2004123793
〔一般式(22)において、各R8 は相互に独立に水素原子、直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキル基、アリール基またはアラルキル基を示し、これらのアルキル基、アリール基およびアラルキル基は水酸基等の官能基で置換されていてもよく、U1 は2価の有機基を示し、sは0〜2の整数である。〕
【0162】
酸拡散制御剤(C) において、s=0の化合物を「含窒素化合物(C1)」とし、s=1〜2の化合物を「含窒素化合物(C2)」とする。また、窒素原子を3個以上有するポリアミノ化合物および重合体をまとめて「含窒素化合物(C3)」とする。
さらに、酸拡散制御剤(C) 以外の含窒素有機化合物としては、例えば、4級アンモニウムヒドロキシド化合物、アミド基含有化合物、ウレア化合物、含窒素複素環化合物等を挙げることができる。
【0163】
含窒素化合物(C1)としては、例えば、n−ヘキシルアミン、n−ヘプチルアミン、n−オクチルアミン、n−ノニルアミン、n−デシルアミン、シクロヘキシルアミン等のモノ(シクロ)アルキルアミン類;ジ−n−ブチルアミン、ジ−n−ペンチルアミン、ジ−n−ヘキシルアミン、ジ−n−ヘプチルアミン、ジ−n−オクチルアミン、ジ−n−ノニルアミン、ジ−n−デシルアミン、シクロヘキシルメチルアミン、ジシクロヘキシルアミン等のジ(シクロ)アルキルアミン類;トリエチルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリ−n−ブチルアミン、トリ−n−ペンチルアミン、トリ−n−ヘキシルアミン、トリ−n−ヘプチルアミン、トリ−n−オクチルアミン、トリ−n−ノニルアミン、トリ−n−デシルアミン、シクロヘキシルジメチルアミン、ジシクロヘキシルメチルアミン、トリシクロヘキシルアミン等のトリ(シクロ)アルキルアミン類;アニリン、N−メチルアニリン、N,N−ジメチルアニリン、2−メチルアニリン、3−メチルアニリン、4−メチルアニリン、4−ニトロアニリン、2,6−ジメチルアニリン、2,6−ジイソプロピルアニリン、ジフェニルアミン、トリフェニルアミン、ナフチルアミン等の芳香族アミン類を挙げることができる。
【0164】
含窒素化合物(C2)としては、例えば、エチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラキス(2−ヒドロキシプロピル)エチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、1,3−ビス〔1−(4−アミノフェニル)−1−メチルエチル〕ベンゼンテトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノジフェニルアミン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、2−(3−アミノフェニル)−2−(4−アミノフェニル)プロパン、2−(4−アミノフェニル)−2−(3−ヒドロキシフェニル)プロパン、2−(4−アミノフェニル)−2−(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,4−ビス〔1−(4−アミノフェニル)−1−メチルエチル〕ベンゼン、1,3−ビス〔1−(4−アミノフェニル)−1−メチルエチル〕ベンゼン、ビス(2−ジメチルアミノエチル)エーテル、ビス(2−ジエチルアミノエチル)エーテル等を挙げることができる。
含窒素化合物(C3)としては、例えば、ポリエチレンイミン、ポリアリルアミン、2−ジメチルアミノエチルアクリルアミドの重合体等を挙げることができる。
前記4級アンモニウムヒドロキシド化合物としては、例えば、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラ−n−プロピルアンモニウムヒドロキシド、テトラ−n−ブチルアンモニウムヒドロキシド等を挙げることができる。
【0165】
前記アミド基含有化合物としては、例えば、N−t−ブトキシカルボニルジ−n−オクチルアミン、N−t−ブトキシカルボニルジ−n−ノニルアミン、N−t−ブトキシカルボニルジ−n−デシルアミン、N−t−ブトキシカルボニルジシクロヘキシルアミン、N−t−ブトキシカルボニル−1−アダマンチルアミン、N−t−ブトキシカルボニル−N−メチル−1−アダマンチルアミン、N,N−ジ−t−ブトキシカルボニル−1−アダマンチルアミン、N,N−ジ−t−ブトキシカルボニル−N−メチル−1−アダマンチルアミン、N−t−ブトキシカルボニル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、N,N’−ジ−t−ブトキシカルボニルヘキサメチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラ−t−ブトキシカルボニルヘキサメチレンジアミン、N,N’−ジ−t−ブトキシカルボニル−1,7−ジアミノヘプタン、N,N’−ジ−t−ブトキシカルボニル−1,8−ジアミノオクタン、N,N’−ジ−t−ブトキシカルボニル−1,9−ジアミノノナン、N,N’−ジ−t−ブトキシカルボニル−1,10−ジアミノデカン、N,N’−ジ−t−ブトキシカルボニル−1,12−ジアミノドデカン、
N,N’−ジ−t−ブトキシカルボニル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、N−t−ブトキシカルボニルベンズイミダゾール、N−t−ブトキシカルボニル−2−メチルベンズイミダゾール、N−t−ブトキシカルボニル−2−フェニルベンズイミダゾール等のN−t−ブトキシカルボニル基含有アミノ化合物のほか、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、プロピオンアミド、ベンズアミド、ピロリドン、N−メチルピロリドン等を挙げることができる。
【0166】
前記ウレア化合物としては、例えば、尿素、メチルウレア、1,1−ジメチルウレア、1,3−ジメチルウレア、1,1,3,3−テトラメチルウレア、1,3−ジフェニルウレア、トリ−n−ブチルチオウレア等を挙げることができる。前記含窒素複素環化合物としては、例えば、イミダゾール、4−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、4−メチル−2−フェニルイミダゾール、ベンズイミダゾール、2−フェニルベンズイミダゾール等のイミダゾール類;ピリジン、2−メチルピリジン、4−メチルピリジン、2−エチルピリジン、4−エチルピリジン、2−フェニルピリジン、4−フェニルピリジン、2−メチル−4−フェニルピリジン、ニコチン、ニコチン酸、ニコチン酸アミド、キノリン、4−ヒドロキシキノリン、8−オキシキノリン、アクリジン等のピリジン類;ピペラジン、1−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン等のピペラジン類のほか、ピラジン、ピラゾール、ピリダジン、キノザリン、プリン、ピロリジン、ピペリジン、3−ピペリジノ−1,2−プロパンジオール、モルホリン、4−メチルモルホリン、1,4−ジメチルピペラジン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2] オクタン等を挙げることができる。
【0167】
これらの酸拡散制御剤は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
酸拡散制御剤の配合量は、酸発生剤に対して、通常、100モル%以下、好ましくは50モル%以下、さらに好ましくは30モル%以下である。この場合、酸拡散制御剤の配合量が100モル%を超えると、レジストとしての感度や露光部の現像性が低下する傾向がある。なお、酸拡散制御剤の配合量が0.1モル%未満であると、プロセス条件によっては、レジストとしてのパターン形状や寸法忠実度が低下するおそれがある。
【0168】
前記溶解制御剤としては、好ましくは、例えば、下記一般式(23)で表される化合物(以下、「溶解制御剤(D1)」という。)、下記一般式(24)で表される化合物(以下、「溶解制御剤(D2)」という。)、下記一般式(25)で表される繰り返し単位を有するポリケトン(以下、「溶解制御剤(D3)」という。)、下記一般式(26)で表される繰り返し単位を有するポリスピロケタール(以下、「溶解制御剤(D4)」という。)等を挙げることができ、さらに好ましくは、溶解制御剤(D1)および溶解制御剤(D2)の群から選ばれる少なくとも1種および/または溶解制御剤(D3)および溶解制御剤(D4)の群から選ばれる少なくとも1種である。このような溶解制御剤を含有することにより、レジストとしたときの溶解コントラストおよび溶解速度をより適切に制御することができる。
【0169】
【化85】
Figure 2004123793
〔一般式(23)および一般式(24)において、各R9 は相互に独立に水素原子、フッ素原子、炭素数1〜10の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、炭素数1〜10の直鎖状もしくは分岐状のフッ素化アルキル基、または下記式(i) で表される基
【0170】
【化86】
Figure 2004123793
(式中、各Rfは相互に独立に水素原子、メチル基またはトリフルオロメチル基を示し、U2 は単結合、メチレン基、シクロヘキシレン基またはフェニレン基を示し、R10は水素原子または酸により解離して水素原子を生じる1価の有機基を示し、vは0〜3の整数であり、wは0または1である。)
を示し、かつR9 の少なくとも1つが式(i) で表される基であり、tおよびuは相互に独立に0〜2の整数である。〕
【0171】
【化87】
Figure 2004123793
〔一般式(25)および一般式(26)において、各R9 は一般式(23)および一般式(24)におけるR9 と同義である。但し、一般式(25)および一般式(26)におけるR9 は一般式(23)および一般式(24)におけるR9 と相互に同一でも異なってもよい。〕
【0172】
一般式(23)〜(26)において、R9 の炭素数1〜10の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基等を挙げることができる。
また、R9 の炭素数1〜10の直鎖状もしくは分岐状のフッ素化アルキル基としては、例えば、フルオロメチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、ヘプタフルオロ−n−プロピル基、ヘプタフルオロ−i−プロピル基、ノナフルオロ−n−ブチル基、パーフルオロ−n−ペンチル基、パーフルオロ−n−ヘキシル基、パーフルオロ−n−ヘプチル基、パーフルオロ−n−オクチル基、パーフルオロ−n−ノニル基、パーフルオロ−n−デシル基等を挙げることができる。
【0173】
また、R9 を示す前記式(i) で表される基(以下、「官能基(i) 」という。)において、U2 のシクロヘキシレン基およびフェニレン基中の2つの結合手はそれぞれ、1,2−位、1,3−位あるいは1,4−位にあることができる。
【0174】
また、R10の酸により解離して水素原子を生じる1価の有機基としては、例えば、
t−ブトキシカルボニル基、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、i−プロポキシカルボニル基、9−フルオレニルメチルカルボニル基、2,2,2−トリクロロエチルカルボニル基、2−(トリメチルシリル)エチルカルボニル基、i−ブチルカルボニル基、ビニルカルボニル基、アリルカルボニル基、ベンジルカルボニル基、4−エトキシ−1−ナフチルカルボニル基、メチルジチオカルボニル基等の有機カルボニル基;
【0175】
メトキシメチル基、メチルチオメチル基、エトキシメチル基、エチルチオメチル基、t−ブトキシメチル基、t−ブチルチオメチル基、(フェニルジメチルシリル)メトキシメチル基、ベンジロキシメチル基、t−ブトキシメチル基、シロキシメチル基、2−メトキシエトキシメチル基、2,2,2−トリクロロエトキシメチル基、ビス(2−クロロエトキシ)メチル基、2−(トリメチルシリル)エトキシメチル基、1−メトキシシクロヘキシル基、テトラヒドロピラニル基、4−メトキシテトラヒドロピラニル基、テトラヒドロフラニル基、テトラヒドロチオピラニル基、テトラヒドロチオフラニル基、1−メトキシエチル基、1−エトキシエチル基、1−(2−クロロエトキシ)エチル基、1−メチル−1−メトキシエチル基、1−メチル−1−ベンジロキシエチル基、1−(2−クロロエトキシ)エチル基、1−メチル−1−ベンジロキシ−2−フルオロエチル基、2,2,2−トリクロロエチル基、2−トリメチルシリルエチル基、2−(フェニルセレニル)エチル基等の、式(i) 中の酸素原子と結合してアセタール構造を形成する有機基;
【0176】
トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリ−i−プロピルシリル基、ジメチル−i−プロピルシリル基、ジエチル−i−プロピルシリル基、ジメチルエチルシリル基、t−ブチルジメチルシリル基、t−ブチルジフェニルシリル基、トリベンジルシリル基、トリ−p−キシリルシリル基、トリフェニルシリル基、ジフェニルメチルシリル基、t−ブチルメトキシフェニルシリル基等のアルキルシリル基;
2−メチル−2−アダマンチル基、2−エチル−2−アダマンチル基、2−メチル−2−ノルボルニル基、2−エチル−2−ノルボルニル基、1−メチルシクロペンチル基、1−エチルシクロペンチル基、1−メチルシクロヘキシル基、1−エチルシクロヘキシル基等のアルキル置換脂環族基
等を挙げることができる。
【0177】
これらの酸により解離して水素原子を生じる1価の有機基のうち、t−ブトキシカルボニル基、メトキシメチル基、エトキシメチル基、1−メトキシエチル基、1−エトキシエチル基等が好ましい。
【0178】
好ましい溶解制御剤(D1)としては、例えば、下記一般式(D1−1) 〜式(D1−4) で表される化合物等を挙げることができる。
【0179】
【化88】
Figure 2004123793
【0180】
【化89】
Figure 2004123793
【0181】
〔一般式(D1−1) 〜(D1−4) において、各R11は相互に独立に水素原子、t−ブトキシカルボニル基、メトキシメチル基、エトキシメチル基、1−メトキシエチル基または1−エトキシエチル基を示し、各Rfは相互に独立に水素原子、フッ素原子またはトリフルオロメチル基を示す。但し、一般式(D1−3) および一般式(D1−4) では、それぞれ8つのRfが同時に水素原子をとることがない。〕
【0182】
また、好ましい溶解制御剤(D2)としては、例えば、下記一般式(D2−1) 〜式(D2−5) で表される化合物等を挙げることができる。
【0183】
【化90】
Figure 2004123793
【0184】
【化91】
Figure 2004123793
【0185】
【化92】
Figure 2004123793
【0186】
〔一般式(D2−1) 〜(D2−5) において、各R11および各Rfは一般式(D1−1) 〜(D1−4) におけるそれぞれR11およびRfと同義である。但し、一般式(D2−3) および一般式(D2−4) では、それぞれ4つのRfが同時に水素原子をとることがない。〕
【0187】
溶解制御剤(D1)としては、例えば、下記式(D1−1−1) 、式(D1−1−2) 、式(D1−2−1) または式(D1−2−2) の化合物がさらに好ましく、また溶解制御剤(D2)としては、例えば、下記式(D2−1−1) 、式(D2−1−2) 、式(D2−2−1) 、式(D2−2−2) または式(D2−5−1) の化合物がさらに好ましい。
【0188】
【化93】
Figure 2004123793
【0189】
【化94】
Figure 2004123793
【0190】
【化95】
Figure 2004123793
【0191】
【化96】
Figure 2004123793
【0192】
【化97】
Figure 2004123793
【0193】
また、溶解制御剤(D4)としては、下記式(D4−1) で表される繰り返し単位を有するポリスピロケタールがさらに好ましい。
【0194】
【化98】
Figure 2004123793
【0195】
溶解制御剤(D3)であるポリケトンおよび溶解制御剤(D4)であるポリスピロケタールのMwは、通常、300〜100,000、好ましくは800〜3,000である。
【0196】
本発明において、溶解制御剤の配合量は、全ポリシロキサン成分100重量部に対して、通常、50重量部以下、好ましくは30重量部以下である。この場合、溶解制御剤の配合量が50重量部を超えると、レジストとしての耐熱性が低下する傾向がある。
【0197】
前記界面活性剤は、塗布性、ストリエーション、現像性等を改良する作用を示す成分である。
このような界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンn−オクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンn−ノニルフェニルエーテル、ポリエチレングリコールジラウレート、ポリエチレングリコールジステアレート等のノニオン系界面活性剤のほか、以下商品名で、KP341(信越化学工業(株)製)、ポリフローNo.75,同No.95(共栄社化学(株)製)、エフトップEF301,同EF303,同EF352(トーケムプロダクツ(株)製)、メガファックスF171,同F173(大日本インキ化学工業(株)製)、フロラードFC430,同FC431(住友スリーエム(株)製)、アサヒガードAG710,サーフロンS−382,同SC−101,同SC−102,同SC−103,同SC−104,同SC−105,同SC−106(旭硝子(株)製)等を挙げることができる。
これらの界面活性剤は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
界面活性剤の配合量は、全ポリシロキサン成分100重量部に対して、通常、2重量部以下である。
また、前記以外の添加剤としては、ハレーション防止剤、接着助剤、保存安定化剤、消泡剤等を挙げることができる。
【0198】
−組成物溶液の調製−
本発明の感放射線性樹脂組成物は、普通、その使用に際して、全固形分濃度が、通常、1〜25重量%、好ましくは2〜15重量%となるように、溶剤に溶解したのち、例えば孔径0.2μm程度のフィルターでろ過することによって、組成物溶液として調製される。
前記組成物溶液の調製に使用される溶剤としては、例えば、
2−ブタノン、2−ペンタノン、3−メチル−2−ブタノン、2−ヘキサノン、4−メチル−2−ペンタノン、3−メチル−2−ペンタノン、3,3−ジメチル−2−ブタノン、2−ヘプタノン、2−オクタノン等の直鎖状もしくは分岐状のケトン類;
シクロペンタノン、3−メチルシクロペンタノン、シクロヘキサノン、2−メチルシクロヘキサノン、2,6−ジメチルシクロヘキサノン、イソホロン等の環状のケトン類;
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノ−i−プロピルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノ−i−ブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノ−sec−ブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノ−t−ブチルエーテルアセテート等のプロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類;
2−ヒドロキシプロピオン酸メチル、2−ヒドロキシプロピオン酸エチル、2−ヒドロキシプロピオン酸n−プロピル、2−ヒドロキシプロピオン酸i−プロピル、2−ヒドロキシプロピオン酸n−ブチル、2−ヒドロキシプロピオン酸i−ブチル、2−ヒドロキシプロピオン酸sec−ブチル、2−ヒドロキシプロピオン酸t−ブチル等の2−ヒドロキシプロピオン酸アルキル類;
3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル等の3−アルコキシプロピオン酸アルキル類や、
【0199】
2,3−ジフルオロベンジルアルコール、2,2,2−トリフルオロエタノール、1,3−ジフルオロ−2−プロパノール、、1,1,1−トリフルオロ−2−プロパノール、3,3,3−トリフルオロ−1−プロパノール、2,2,3,3,4,4,4−ヘプタフルオロ−1−ブタノール、2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロ−1−ペンタノール、3,3,4,4,5,5,5−ヘプタフルオロ−2−ペンタノール、1H,1H−パーフルオロ−1−オクタノール、1H,1H,2H,2H−パーフルオロ−1−オクタノール、1H,1H,9H−パーフルオロ−1−ノナノール、1H,1H,2H,3H,3H−パーフルオロノナン−1,2−ジオール、1H,1H,2H,2H−パーフルオロ−1−デカノール、1H,1H,2H,3H,3H−パーフルオロウンデカン−1,2−ジオール等のフッ素含有アルコール類;
【0200】
2,2,2−トリフルオロエチルブチレート、エチルヘプタフルオロブチレート、ヘプタフルオロブチル酢酸エチル、ヘキサフルオログルタル酸エチル、エチル−3−ヒドロキシ−4,4,4−トリフルオロブチレート、エチル−2−メチル−4,4,4−トリフルオロアセトアセテート、エチルペンタフルオロベンゾエート、エチルペンタフルオロプロピオネート、ペンタフルオロプロピオン酸エチル、エチルパーフルオロオクタノエート、エチル−4,4,4−トリフルオロアセトアセテート、エチル−4,4,4−トリフルオロブチレート、エチル−4,4,4−トリフルオロクロトネート、エチルトリフルオロスルホネート、エチル−3−(トリフルオロメチル)ブチレート、エチルトリフルオロピルベート、エチルトリフルオロアセテート、イソプロピル−4,4,4−トリフルオロアセトアセテート、メチルパーフルオロデカノエート、メチルパーフルオロ(2−メチル−3−オキサヘキサノエート)、メチルパーフルオロノナノエート、メチルパーフルオロオクタノエート、メチル−2,3,3,3−テトラフルオロプロピオネート、メチルトリフルオロアセトアセテート、メチルトリフルオロアセトアセテート、パーフルオロ(2,5,8−トリメチル−3,6,9−トリオキサドデカン酸)メチル、プロピレングリコールトリフルオロメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールメチルエーテルトリフルオロメチルアセテート、トリフルオロメチル酢酸n−ブチル、3−トリフルオロメトキシプロピオン酸メチル、1,1,1−トリフルオロ−2−プロピルアセテート、トリフルオロ酢酸n−ブチル等のフッ素含有エステル類;
【0201】
2−フルオロアニソール、3−フルオロアニソール、4−フルオロアニソール、2,3−ジフルオロアニソール、2,4−ジフルオロアニソール、2,5−ジフルオロアニソール、5,8−ジフルオロ−1,4−ベンゾジオキサン、トリフルオロアセトアルデヒドエチルヘミアセタール、2H−パーフルオロ(5−メチル−3,6−ジオキサノナン)、2H−パーフルオロ(5,8,11,14−テトラメチル−3,6,9,12,15−ペンタオキサオクタデカン)、(パーフルオロ−n−ブチル)テトラヒドロフラン、パーフルオロ(n−ブチルテトラヒドロフラン)、プロピレングリコールトリフルオロメチルエーテル等のフッ素含有エーテル類;
【0202】
2,4−ジフルオロプロピオフェノン、フルオロシクロヘキサン、1,1,1,2,2,3,3−ヘプタフルオロ−7,7−ジメチル−4,6−オクタンジオン、1,1,1,3,5,5,5−ヘプタフルオロペンタン−2,4−ジオン、3,3,4,4,5,5,5−ヘプタフルオロ−2−ペンタノン、1,1,1,2,2,6,6,6−オクタフルオロ−2,4−ヘキサンジオン、トリフルオロブタノール−1,1,1−トリフルオロ−5−メチル−2,4−ヘキサンジオン、パーフルオロシクロヘキサノン等のフッ素含有ケトン類;
トリフルオロアセトアミド、パーフルオロトリブチルアミン、パーフルオロトリヘキシルアミン、パーフルオロトリペンチルアミン、パーフルオロトリプロピルアミン等のフッ素含有アミン類;
2,4−ジフルオロトルエン、パーフルオロデカリン、パーフルオロ(1,2−ジメチルシクロヘキサン)、パーフルオロ(1,3−ジメチルシクロヘキサン)等のフッ素置換環状炭化水素類
等のフッ素含有溶剤のほか、
【0203】
n−プロピルアルコール、i−プロピルアルコール、n−ブチルアルコール、t−ブチルアルコール、シクロヘキサノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジ−n−プロピルエーテル、ジエチレングリコールジ−n−ブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノ−n−プロピルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、トルエン、キシレン、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、エトキシ酢酸エチル、ヒドロキシ酢酸エチル、2−ヒドロキシ−3−メチル酪酸メチル、3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルプロピオネート、3−メチル−3−メトキシブチルブチレート、酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸n−ブチル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ベンジルエチルエーテル、ジ−n−ヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、カプロン酸、カプリル酸、1−オクタノール、1−ノナノール、ベンジルアルコール、酢酸ベンジル、安息香酸エチル、しゅう酸ジエチル、マレイン酸ジエチル、γ−ブチロラクトン、炭酸エチレン、炭酸プロピレン
等を挙げることができる。
【0204】
これらの溶剤は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができるが、就中、直鎖状もしくは分岐状のケトン類、環状のケトン類、プロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類、2−ヒドロキシプロピオン酸アルキル類、3−アルコキシプロピオン酸アルキル類、フッ素含有溶剤等が好ましい。
【0205】
−レジストパターンの形成方法−
本発明の感放射線性樹脂組成物においては、露光により酸発生剤から酸が発生し、その酸の作用によって、ポリシロキサン(A1)中の酸解離性基が解離して、例えば、フェノール性水酸基、アルコール性水酸基あるいはカルボキシル基を生じ、その結果、レジストの露光部のアルカリ現像液に対する溶解性が高くなり、該露光部がアルカリ現像液によって溶解、除去されて、ポジ型のレジストパターンが得られる。
本発明の感放射線性樹脂組成物からレジストパターンを形成する際には、組成物溶液を、回転塗布、流延塗布、ロール塗布等の適宜の塗布手段によって、例えば、シリコンウエハー、アルミニウムで被覆されたウエハーや、予め下層膜を形成した基板等の上に塗布することにより、レジスト被膜を形成し、場合により予め加熱処理(以下、「PB」という。)を行ったのち、所定のレジストパターンを形成するように該レジスト被膜に露光する。その際に使用される放射線としては、ArKrエキシマレーザー(波長134nm)、Kr2 エキシマレーザー(波長147nm)、F2 エキシマレーザー(波長157nm)、ArFエキシマレーザー(波長193nm)あるいはKrFエキシマレーザー(波長248nm)が好ましい。
【0206】
本発明においては、露光後に加熱処理(以下、「PEB」という。)を行うことが好ましい。このPEBにより、ポリシロキサン(A1)中の酸解離性基の解離反応が円滑に進行する。PEBの加熱条件は、レジスト組成物の配合組成によって変わるが、通常、30〜200℃、好ましくは50〜170℃である。
本発明においては、感放射線性樹脂組成物の潜在能力を最大限に引き出すため、使用される基板上に有機系あるいは無機系の下層膜を形成しておくこと(例えば、特許文献4参照。)ができ、また環境雰囲気中に含まれる塩基性不純物等の影響を防止するため、レジスト被膜上に保護膜を設けること(例えば、特許文献5参照。)もでき、あるいはこれらの技術を併用することもできる。
【0207】
【特許文献4】
特公平6−12452号公報
【特許文献5】
特開平5−188598号公報
【0208】
次いで、露光されたレジスト被膜を現像することにより、所定のレジストパターンを形成する。
現像に使用される現像液としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、けい酸ナトリウム、メタけい酸ナトリウム、アンモニア水、エチルアミン、n−プロピルアミン、ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、トリエチルアミン、メチルジエチルアミン、エチルジメチルアミン、トリエタノールアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、ピロール、ピペリジン、コリン、1,8−ジアザビシクロ−[5.4.0]−7−ウンデセン、1,5−ジアザビシクロ−[4.3.0]−5−ノネン等のアルカリ性化合物の少なくとも1種を溶解したアルカリ性水溶液が好ましい。
前記アルカリ性水溶液の濃度は、通常、10重量%以下である。この場合、アルカリ性水溶液の濃度が10重量%を超えると、非露光部も現像液に溶解するおそれがあり好ましくない。
【0209】
また、前記アルカリ性水溶液からなる現像液には、例えば有機溶媒を添加することもできる。
前記有機溶媒としては、例えば、アセトン、2−ブタノン、4−メチル−2−ペンタノン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、3−メチルシクロペンタノン、2,6−ジメチルシクロヘキサノン等のケトン類;メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、i−プロピルアルコール、n−ブチルアルコール、t−ブチルアルコール、シクロペンタノール、シクロヘキサノール、1,4−ヘキサンジオール、1,4−ヘキサンジメチロール等のアルコール類;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸i−アミル等のエステル類;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類や、フェノール、アセトニルアセトン、ジメチルホルムアミド等を挙げることができる。
これらの有機溶媒は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
有機溶媒の使用量は、アルカリ性水溶液に対して、100容量%以下が好ましい。この場合、有機溶媒の使用量が100容量%を超えると、現像性が低下して、露光部の現像残りが多くなるおそれがある。
また、アルカリ性水溶液からなる現像液には、界面活性剤等を適量添加することもできる。
なお、アルカリ性水溶液からなる現像液で現像したのちは、一般に、水で洗浄して乾燥する。
【0210】
【発明の実施の形態】
以下、実施例を挙げて、本発明の実施の形態をさらに具体的に説明する。但し、本発明は、これらの実施例に何ら制約されるものではない。ここで、部および%は特記しない限り重量基準である。
実施例および比較例における各測定・評価は、下記の要領で行った。
Mw:
東ソー(株)製GPCカラム(G2000HXL 2本、G3000HXL 1本、G4000HXL 1本)を用い、流量1.0ミリリットル/分、溶出溶媒テトラヒドロフラン、カラム温度40℃の分析条件で、単分散ポリスチレンを標準とするゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定した。
【0211】
【実施例】
合成例1(ケイ素含有化合物(1)の合成)
撹拌機、還流冷却器、温度計を装着した3つ口フラスコに、トリエトキシシラン1,000g、5−〔2−ヒドロキシ−2,2−ビス(トリフルオロメチル)エチル〕ビシクロ[ 2.2.1 ]ヘプト−2−エン450gを仕込み、室温にて撹拌したのち、塩化白金酸(H2 PtCl6 )の0.2モルi−プロピルアルコール溶液1ミリリットルを加えて、反応を開始させ、100℃で100時間加熱した。その後、反応溶液を室温に戻し、n−ヘキサンで希釈したのち、セライトを敷いた吸引ロートでろ過し、得られたろ液を減圧留去して、粗生成物を得た。その後、粗生成物を減圧蒸留により精製して、0.1mmHgにおける沸点が126℃の留分として、化合物356gを得た。
この化合物について、 1H−NMRスペクトル(化学シフトδ)および赤外吸収スペクトル(IR)を測定したところ下記のとおりであり、前記式(1−35)で表される化合物(以下、「ケイ素含有化合物(a−1)」とする。)として同定された。
δ(単位ppm):
4.2(Si−H結合)、3.8(エトキシ基)、1.2(エトキシ基)。
IR(cm−1):
3400(ヒドロキシル基)、2878(メトキシ基)、2227(Si−H
結合)、1215(C−F結合)、1082(シロキサン基)。
【0212】
実施例1(ポリシロキサン(A)の製造)
撹拌機、還流冷却器、温度計を装着した3つ口フラスコに、下記式(2−1)で表されるケイ素含有化合物(以下、「ケイ素含有化合物(2−1)」という。)8.5g、下記式(2−2)で表されるケイ素含有化合物(以下、「ケイ素含有化合物(2−2)」という。)14.5g、下記式(2−3)で表されるケイ素含有化合物(以下、「ケイ素含有化合物(2−3)」という。)3.3g、ケイ素含有化合物(a−1)3.7g、4−メチル−2−ペンタノン30g、1.75重量%蓚酸水溶液5.1gを仕込み、撹拌しつつ、60℃で6時間反応させた。その後反応容器を氷冷して、反応を停止させたのち、反応溶液を分液ロートに移して、水層を廃棄し、さらにイオン交換水を加えて水洗して、反応溶液が中性になるまで水洗を繰り返した。その後、有機層を減圧留去して、ポリマー20.5gを得た。
次いで、このポリマーを4−メチル−2−ペンタノン67gに溶解し、蒸留水7.4g、トリエチルアミン10.5gを加えて、窒素気流中80℃で6時間攪拌したのち、氷冷し、蓚酸8.0gを蒸留水160gに溶解した水溶液を加えてさらに撹拌した。その後、反応溶液を分液ロートに移して、水層を廃棄し、さらにイオン交換水を加えて水洗して、反応溶液が中性になるまで水洗を繰り返した。その後、有機層を減圧留去して、ポリシロキサン(A)19.9gを得た。このポリシロキサン(A)のMwは2,200であった。
【0213】
【化99】
Figure 2004123793
【0214】
実施例2〜6および比較例1〜2
表1に示すケイ素含有化合物を用いた以外は、実施例1と同様にして、各ポリシロキサンを得た。得られたポリシロキサンの収量およびMwを表1に示す。
【0215】
【表1】
Figure 2004123793
【0216】
調製例(下層膜形成用組成物の調製)
温度計を備えたセパラブルフラスコに、窒素雰囲気下で、アセナフチレン100部、トルエン78部、ジオキサン52部、アゾビスイソブチロニトリル3部を仕込み、70℃で5時間攪拌した。その後、p―トルエンスルホン酸1水和物5.2部、パラホルムアルデヒド40部を添加して、120℃に昇温したのち、さらに6時間攪拌した。その後、反応溶液を多量のi−プロピルアルコール中に投入し、沈殿したポリマーをろ別し、40℃で減圧乾燥して、Mwが22,000のポリマーを得た。
次いで、得られたポリマー10部、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウム10−カンファ−スルホネート0.5部、4,4’−〔1−{4−(1−[ 4−ヒドロキシフェニル ]−1−メチルエチル)フェニル}エチリデン〕ビスフェノール0.5部を、シクロヘキサノン89部を溶解し、得られた溶液を孔径0.1μmのメンブランフィルターでろ過して、下層膜形成用組成物を調製した。
【0217】
評価例1〜6および比較評価例1〜2
表2に示す各ポリシロキサン100部、2−ヘプタノン900部、表2に示す酸発生剤と酸発生剤の総量に対し8モル%の2−フェニルベンズイミダゾールを均一に混合して、感放射線性樹脂組成物を調製した。
次いで、各組成物を、予めシリコンウエハー表面に下層膜(β−1)を形成した基板上に、スピンコートにより塗布し、130℃に保持したホットプレート上で、90秒間PBを行って、膜厚1,000Åのレジスト被膜を形成した。
ここで、下層膜(β−1)は、前記下層膜形成用組成物をシリコンウエハー上に、スピンコートにより塗布したのち、ホットプレート上にて、180℃で60秒間、さらに300℃で120秒間ベークして形成した膜厚3,000Åの膜である。
次いで、各レジスト被膜に対して、F2 エキシマレーザー(波長157nm)あるいはArFエキシマレーザー(波長193nm、NA=0.55、σ=0.70)をそれぞれ露光量を変えて露光し、90℃に保持したホットプレート上で、それぞれ90秒間PEBを行った。その後、2.38重量%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液により、F2 エキシマレーザー露光した場合は23℃で20秒間、またArFエキシマレーザー露光した場合は23℃で60秒間現像したのち、水洗し、乾燥して、ポジ型のレジストパターンを形成した。
このとき、F2 エキシマレーザー露光した場合は線幅130nm、またArFエキシマレーザー露光した場合は線幅160nmのライン・アンド・スペースパターン(1L1S)を形成する露光量を最適露光量とし、この最適露光量で解像される最小のパターン寸法を解像度(引き置き無し)とした。
また、前記と同様にして露光したのち、アミン含量5ppbのクリーンルームの環境条件下で各基板を60秒間放置して引き置きした場合について、前記と同様にしてPEB、現像、水洗、乾燥を行ったのち、前記と同様にして解像度(引き置き後)を評価した。引き置き無しと引き置き後とで解像度の変化量が小さく、引き置き後にもレジストパターンを形成しうるものが環境耐性に優れることを意味する。
評価結果を表2に示す。
【0218】
表2において、F2はF2 エキシマレーザー、ArFはArFエキシマレーザーを表す。
また、酸発生剤(B−1) 〜(B−4) は下記のとおりである。
B−1:トリフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート
B−2:トリフェニルスルホニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート
B−3:トリフェニルスルホニウム2−ノルボルニル−1,1,2,2−テトラフルオロエタン−1−スルホネート
B−4:トリフェニルスルホニウム10−カンファースルホネート
【0219】
【表2】
Figure 2004123793
【0220】
【発明の効果】
本発明のポリシロキサン(A)は、193nm以下、特に157nm、さらには147nm、134nm等の波長においても透明性が高く、かつドライエッチング耐性に優れるとともに、特に環境耐性に優れている。本発明のポリシロキサン(A1)は、遠紫外線、電子線、X線等の放射線を用いる微細加工用の化学増幅型レジストとして好適な放射線性樹脂組成物における樹脂成分として有用である。本発明のケイ素含有化合物(1)は、特にポリシロキサン(A)の合成原料として有用である。

Claims (3)

  1. 下記一般式(1)で表されるケイ素含有化合物。
    Figure 2004123793
    〔一般式(1)において、X1 は置換されていてもよい炭素数2〜20の2価の炭化水素基を示し、各R1 および各R2 は相互に独立に水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルコキシル基、炭素数1〜20の1価の炭化水素基または炭素数1〜20の1価のハロゲン化炭化水素基を示し、かつR1 の2つまたは3つがハロゲン原子または炭素数1〜20の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルコキシル基であり、mおよびnは相互に独立に0〜3の整数で、(m+n)<6を満たす。〕
  2. 請求項1に記載のケイ素含有化合物を重縮合させて得られる、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)によるポリスチレン換算重量平均分子量が500〜1,000,000のポリシロキサン。
  3. (イ)請求項2に記載のポリシロキサンのうち、酸解離性基を有するアルカリ不溶性またはアルカリ難溶性の樹脂であって、該酸解離性基が解離したときアルカリ易溶性となる樹脂、および(ロ)感放射線性酸発生剤を含有することを特徴とする感放射線性樹脂組成物。
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