JP2004106713A - パワーシートトラック - Google Patents

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JP2004106713A JP2002272693A JP2002272693A JP2004106713A JP 2004106713 A JP2004106713 A JP 2004106713A JP 2002272693 A JP2002272693 A JP 2002272693A JP 2002272693 A JP2002272693 A JP 2002272693A JP 2004106713 A JP2004106713 A JP 2004106713A
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Kazuhito Fukui
福井 一仁
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Abstract

【課題】小型化が可能で、見栄えがよいパワーシートトラックを提供することを課題とする。
【解決手段】ロアレール101に回転が禁止されたねじ棒401を設け、アッパレール201に内部にねじ棒401に螺合するナット部材521を有するギアボックス501を設けたパワーシートトラックにおいて、アッパレール201内に配置されると共に、アッパレール201に固着され、アッパレール201がロアレール101から剥離しようとすると、ねじ棒401と係合し、アッパレール201のロアレールからの剥離を規制するフック部材611を設ける。
【選択図】   図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、フロア側に設けられるロアレールと、シート側に設けられ、前記ロアレールに移動可能に係合すると共に、ベルトアンカが設けられたアッパレールと、前記ロアレール、前記アッパレールのうちの一方のレール内で、そのレールの長手方向に沿って設けられるねじ棒と、前記ロアレール、前記アッパレールの他方のレールに設けられ、前記ねじ棒に螺合するナット部材と、前記アッパレールが前記ロアレールから剥離するのを防止する剥離防止手段とを有し、前記ねじ棒、前記ナット部材のうちのいずれか一方の回転を禁止し、他方を回転させることにより、前記アッパレールが前記ロアレールに沿って移動するパワーシートトラックに関する。
【0002】
【従来の技術】
シートを車体に取り付け、シートの前後位置の調整を行なう装置であるシートトラックは、フロア側に設けられるロアレールと、シート側に設けられ、ロアレールに移動可能に係合するアッパレールと、アッパレールの移動を禁止するロック機構とからなっている。
【0003】
又、シートの前後位置の調整をモータにより行なうパワーシートトラックにおいては、前記ロアレール、前記アッパレールのいずれか一方のレール内に、レールの長手方向に沿って設けられるねじ棒と、前記ロアレール、前記アッパレールの他方のレール内に設けられ、前記ねじ棒に螺合するナット部材とからなる機構を用い、ねじ棒とナット部材のいずれか一方の回転を禁止し、他方を回転させることでアッパレールをロアレールに対して移動させるようにしている。更に、このようなパワーシートトラックでは、モータと回転するねじ棒、又はナット部材との間に、大きな減速比の減速機構(例えば、ウォームとウォームホイールからなる減速機構)を介在させるので、ロック機構は設けられないのが一般的である。
【0004】
更に、シートベルトのシートベルトアンカがシートトラックのアッパレールに設けられる場合には、シートベルトアンカに作用した引っ張り力により、アッパレールがロアレールより剥離するのを防止するために、剥離防止手段が設けられる。
【0005】
このような一例として、実用新案登録第2503307号公報に記載されたパワーシートトラックを図7〜図9を用いて説明する。図7はパワーシートトラックを有するシートの斜視図、図8は図7のA方向矢視図、図9は図7の切断線B−Bの断面図である。
【0006】
図7において、シート5は、シートクッション1、シートバック3からなっている。シートクッション1の両側の側面には、ロアアーム7、ロアアーム7′が取り付けられている。又、ロアアーム7には、シートバック3の側面に設けられるアッパアーム11を回転させるリクライニング機構9が設けられている。
【0007】
シートクッション1の下面には、前後方向に沿って延びる一対のシートトラック13、シートトラック13′とが配設される。シートトラック13、シートトラック13′の主要部分の構成は同じである。よって、シートトラック13′の構成部品で、シートトラック13の構成部品と同じ構成部品には、シートトラック13の構成部品に′(ダッシュ)を付した番号を用い、重複する説明は省略する。
【0008】
図8を用いて、シートトラック13の説明を行なう。シートトラック13は、フロア側に設けられるロアレール15と、シートクッション1のロアアーム7に取り付けられ、ロアレール15に対して移動可能に係合するアッパレール17を有している。
【0009】
シートトラック13の内部空間には、2つのガイド部材19によりねじ棒21が回転可能に支持されている。
【0010】
アッパレール17には、ウォーム19とウォームホイール20とからなるギアボックス23が設けられている。そして、ウォームホイール20にはねじ棒21が接続されている。一方、ロアレール15には、ねじ棒21に螺合するナット部材25が取り付けられている。このため、ねじ棒が回転することにより、シートトラック13のアッパレール17はロアレール15に沿って移動することとなる。
【0011】
図7に戻って、シートトラック13、シートトラック13′間には、シートトラック13のギアボックス23のウォーム19を駆動するモータ27が配置されている。またモータ27の駆動力は、シャフト29を介してシートトラック13′のギアボックス23′にも伝達されるようになっている。
【0012】
従って、モータ27を駆動することにより、シートトラック13、シートトラック13′のアッパレール17、アッパレール17′がロアレール15、ロアレール15′に沿って前後方向に移動し、シート5の前後方向の調整が行なわれる。
【0013】
図9に示すように、シートトラック13′のアッパレール17′には、シートベルトのシートベルトアンカ31が設けられている。そして、シートベルトアンカ31に作用した引っ張り力により、シートトラック13′のアッパレール17′がロアレール15′より剥離するのを防止するために、シートベルトアンカ31の近傍には、剥離防止手段33が設けられている。剥離防止手段33は、ロアレール15′の側面の上部を内側に折り曲げて形成されたフック部35と、アッパレール17′に設けられ、フック部35内に下側から一定の間隔をもって臨むアンカブラケット37とからなっている。
【0014】
【特許文献1】
実用新案登録第2503307号公報(第1図、第3図、第7図)
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、図7〜図9に記載された構成のパワーシートトラックにおいて、以下のような問題点がある。
(1)剥離防止手段33がシートトラック13′の外部にあるので、シートトラック13′が大型化する。
(2)剥離防止手段33がシートトラック13′の外部に露出しているので、見栄えが悪い。
【0016】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたもので、その課題は、小型化が可能で、見栄えがよいパワーシートトラックを提供することにある。
【0017】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決する請求項1記載の発明は、フロア側に設けられるロアレールと、シート側に設けられ、前記ロアレールに移動可能に係合すると共に、ベルトアンカが設けられたアッパレールと、前記ロアレール、前記アッパレールのうちの一方のレール内で、そのレールの長手方向に沿って設けられるねじ棒と、前記ロアレール、前記アッパレールの他方のレールに設けられ、前記ねじ棒に螺合するナット部材と、前記アッパレールが前記ロアレールから剥離するのを防止する剥離防止手段とを有し、前記ねじ棒、前記ナット部材のうちのいずれか一方の回転を禁止し、他方を回転させることにより、前記アッパレールが前記ロアレールに沿って移動するパワーシートトラックにおいて、前記剥離防止手段は、前記ナット部材が設けられたレール内に配置されると共に、該レールに固着され、前記アッパレールが前記ロアレールから剥離しようとすると、前記ねじ棒と係合し、前記アッパレールの前記ロアレールからの剥離を規制するフック部材であることを特徴とするパワーシートトラックである。
【0018】
前記剥離防止手段であるフック部材は、前記ナット部材が設けられたレール内に配置されることにより、パワーシートトラックの小型化か可能で、見栄えもよい。
【0019】
又、フック部材が係合する部材をねじ棒としたことにより、簡単な構成で、大きな剥離荷重に耐えうる。
【0020】
更に、パワーシートトラックの移動方向と直交する方向でのパワーシートトラックの断面において、ねじ棒をその断面の略中央部分に配置することにより、シートベルトアンカに剥離力が作用した場合、パワーシートトラックの移動方向と直交する平面での回転モーメントが小さくなり、剥離強度が向上する。
【0021】
請求項2記載の発明は、前記フック部材を前記シートベルトアンカの近傍に設けることを特徴とする請求項1記載のパワーシートトラックである。
【0022】
前記フック部材を前記シートベルトアンカの近傍に設けることにより、パワーシートトラックの移動方向を含む平面での回転モーメントが小さくなり、剥離強度が向上する。
【0023】
請求項3記載の発明は、前記ねじ棒の回転が禁止され、前記ナット部材が回転することを特徴とする請求項1又は2記載のパワーシートトラックである。
【0024】
前記ねじ棒の回転が禁止されることにより、ねじ棒を回転可能に支持する場合に比べて、ねじ棒の支持が簡単な構成で、しかも、強度も強くできる。すなわち、ねじ棒を回転可能に支持する場合に比べて、簡単な構成で大きな剥離強度を得ることができる。
【0025】
請求項4記載の発明は、前記ねじ棒、前記ナット部材のうち、回転する方をアッパレールに設けたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のパワーシートトラックである。
【0026】
前記ねじ棒、前記ナット部材のうち、回転する方をアッパレールに設けたことにより、モータ等の駆動源がアッパレール側に設けられ、フロア側に設ける部品が少なくなる。
【0027】
一方、アッパレール(シート)側に設ける部品は、フロア側に設けた部品と干渉しない位置に設ける必要がある。
【0028】
よって、フロア側に設ける部品の数が少なくなることにより、アッパレール(シート)側に設ける部品の自由度が向上する。
【0029】
【発明の実施の形態】
(第1の実施の形態例)
図1〜4を用いて説明する。図1は本実施の形態例のパワーシートトラックの全体構成を説明する分解斜視図、図2は図1に示すパワーシートトラックを組み付けた際のC方向からみた断面図、図3は図1に示すパワーシートトラックを組み付けた際のD方向からみた図、図4は図1に示すナット部材の分解斜視図である。
【0030】
フロア側に設けられるロアレール101は、図3に示すように、フロアと略平行に設けられた基底部112と、基底部112の一方の端部より折曲し、フロアから離れる方向に延出する第1側壁部113と、基底部112の他方の端部より折曲し、フロアから離れる方向に延出し、第1側壁部113と略同じ長さの第2側壁部114と、第1側壁部113の上方の端部から、基底部112と略平行に折曲し、第2側壁部114方向へ延出する第1天部115と、第2側壁部114の上方の端部から、基底部112と略平行に折曲し、第1側壁部113方向へ延出し、第1天部と略同じ長さの第2天部116と、第1天部115の先端部から基底部112方向に折曲し、第1側壁部113より長さが短い第1垂下部117と、第2天部116の先端部から基底部112方向に折曲し、第1垂下部117と空間を介して対向し、第1垂下部117と略同じ長さの第2垂下部118とからなっている。
【0031】
シート側に設けられるアッパレール201は、図3に示すように、フロアと略平行に設けられた天部212と、天部212の一方の端部より折曲し、ロアレール101の第1垂下部117と第2垂下部118との間の空間を介してロアレール101内へ、ロアレール101の第1側壁部113と平行に延出する第1側壁部213と、天部212の他方の端部より折曲し、ロアレール101の第1垂下部117と第2垂下部118との間の空間を介してロアレール101内へ、ロアレール101の第2側壁部114と平行に延出する第2側壁部214と、第1側壁部213の下方の端部よりロアレール101の基底部112と平行な方向に折曲し、ロアレール101の第1側壁部113方向に延出する第1底部215と、第2側壁部214の下方の端部よりロアレール101の基底部112と平行な方向に折曲し、ロアレール101の第2側壁部114方向に延出する第2底部216と、第1底部215の先端部より折曲し、ロアレール101の第1側壁部113、第1天部115、第1垂下部117とで形成される空間へ延出する第1跳上部217と、第2底部216の先端部より折曲し、ロアレール101の第2側壁部114、第2天部116、第2垂下部118とで形成される空間へ延出する第2跳上部218とからなっている。
【0032】
そして、アッパレール201の第1垂下部117、第2垂下部118の下端には、アッパレール201の第1底部215、第2底部216の上面に当接する樹脂等の低摩擦材でなるスライダ301が設けられている。又、ロアレール101の基底部112上には、アッパレール201の第1底部215、第2底部216の下面が当接するローラ303が転動可能に設けられている。
【0033】
このような構成により、アッパレール201はロアレール101に対して移動可能に係合していることなる。
【0034】
次に、図1〜図3に示すように、ロアレール101内には、アッパレール201の移動方向に沿ってねじ棒401が配設される。本実施の形態例では、ねじ棒401は、パワーシートトラックの移動方向と直交する方向でのパワーシートトラックの断面において、パワーシートトラックの断面の略中央部分に配置した。ねじ棒401の一方の端部は周面におねじ403が形成された小径部405が形成されている。ねじ棒401の他方の端部は、小径部407が形成されている。
【0035】
ロアレール101の一方の端部側の内部には、ピン431をかしめることにより略L字形のブラケット441が固着される。このブラケット441には、ねじ棒401の小径部405の径より大きく、ねじ棒401の中間部の径より小さな径の穴443が形成され、この穴443にねじ棒401の小径部405が挿通し、おねじ403に螺合するナット445により、ねじ棒401は取り付けられている。ロアレール101の他方の端部側の内部には、ブラケット451が溶接等の手法で固着されている。このブラケット451には、穴453が形成され、この穴453にねじ棒401の小径部407が挿入され、さらに溶接で固定されることにより、ねじ棒401の回転が禁止されている。
【0036】
ねじ棒401にはギアボックス501が係合している。このギアボックス501は、ピン503を用いてアッパレール201に取り付けられるブラケット505を用いて、アッパレール201に取り付けられている。
【0037】
ここで、図4を用いてギアボックス501の説明を行なう。
【0038】
ナット部材521を囲むように配置される4つのカバー531、カバー512、カバー513、カバー533のうち、カバー531、カバー533には、穴531a、穴533aが形成されている。ナット部材521の内周面には、ねじ棒401に螺合するめねじ523が形成され、外周面の中央部分にはウォームホイール部525が形成されている。そして、ナット部材521の外周面の一方の端部は、カバー531の穴531aに嵌合し、ナット部材521の外周面の他方の端部は、カバー533の穴533aに嵌合することにより、ナット部材521は回転可能に支持されている。
【0039】
又、カバー431の外面側にはダンパ511が、カバー533の外面側にはダンパ513が配置されている。ダンパ511には、ナット部材521の外周面の一方の端部が嵌合する穴511aが形成され、ダンパ513には、ナット部材521の外周面の他方の端部が嵌合する穴513aが形成されている。
【0040】
ナット部材521のウォームホイール部525に噛合するウォーム551の一方の端部は、カバー512の穴512aに嵌合し、他方の端部はカバー514の穴514aに嵌合することにより、回転可能に支持されている。
【0041】
更に、ウォーム551の一方の端面は、アッパレール201に形成された穴201a(図1参照)を介して外部に露出し、図示しないモータの出力軸561が接続され、ウォーム551が図示しないモータにより回転駆動されるようになっている。従って、図示しないモータを駆動することにより、ウォーム551が噛合するウォームホイール部525を有するナット部材521が大幅に減速されて回転される。
【0042】
ナット部材521の内周面に形成されためねじ523は回転が禁止されたねじ棒401に螺合しているので、ギアボックス501が設けられたアッパレール201がロアレール101に対して移動することになる。
【0043】
図1〜図3に戻って、アッパレール201には、シートベルトのシートベルトアンカ601が固着されている。そして、シートベルトアンカ601の近傍のアッパレール201内には剥離防止手段としてのフック部材611が配置される。このフック部材611は、基端部側はブラケット505に固着され、ねじ棒401方向に延出し、先端側がねじ棒401の下部を空間を介して巻き込むように形成された略J字形となっている。
【0044】
このフック部材611は、アッパレール201がロアレール101から剥離しようとすると、ねじ棒401と係合し、アッパレール201のロアレール101からの剥離を規制するものである。
【0045】
上記構成によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)剥離防止手段であるフック部材611は、ギアボックス501が設けられるレール、本実施の形態例ではアッパレール201内に配置されることにより、パワーシートトラックの小型化か可能で、見栄えもよい。
(2)フック部材611が係合する部材をねじ棒401としたことにより、簡単な構成で、大きな剥離荷重に耐えうる。
(3)パワーシートトラックの移動方向と直交する方向でのパワーシートトラックの断面において、ねじ棒401をその断面の略中央部分に配置することにより、シートベルトアンカ601に剥離力が作用した場合、パワーシートトラックの移動方向と直交する平面での回転モーメントが小さくなり、剥離強度が向上する。
(4)フック部材611をシートベルトアンカ601の近傍に設けることにより、パワーシートトラックの移動方向を含む平面での回転モーメントが小さくなり、剥離強度が向上する。
(5)ねじ棒401の回転が禁止されることにより、ねじ棒401を回転可能に支持する場合に比べて、ねじ棒401の支持が簡単な構成で、しかも、強度も強くできる。すなわち、ねじ棒401を回転可能に支持する場合に比べて、簡単な構成で大きな剥離強度を得ることができる。
(6)ねじ棒401、ギアボックス501のうち、回転する方、本実施の形態例では、ギアボックス501をアッパレール201に設けたことにより、モータ等の駆動源はアッパレール201側に設けられ、フロア側に設ける部品が少なくなる。
【0046】
一方、アッパレール201側に設ける部品は、フロア側に設けた部品と干渉しない位置に設ける必要がある。
【0047】
よって、フロア側に設ける部品の数が少なくなることにより、アッパレール201側に設ける部品の自由度が向上する。
【0048】
本発明は、上記実施の形態例に限定するものではない。上記実施の形態例では、ロアレール101に回転が禁止されたねじ棒401を設け、アッパレール201に回転するナット本体(ナット部材)521(501)を設けたが、逆に、アッパレール201に回転が禁止されたねじ棒401を設け、ロアレール101に回転するナット本体(ナット部材)521(501)を設けてもよい。尚、この場合、ロアレール101側に回転するナット本体(ナット部材)521(501)を設けることにより、モータ等の駆動源もロアレール101側に設けられるので、アッパレール(シート)側に設ける部品の設計の自由度は若干低下する。
(第2の実施の形態例)
図5及び図6を用いて説明する。図5は本実施の形態例のパワーシートトラックの長手方向の断面図、図6は図5の右側面図である。尚、本実施の形態例でのロアレール、アッパレールは、第1の実施の形態例のロアレール101、アッパレール201と略同じなので、同一部分には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
【0049】
本実施の形態例では、アッパレール201内には、アッパレール201の移動方向に沿ってねじ棒701が配設される。本実施の形態例では、ねじ棒701は、パワーシートトラックの移動方向と直交する方向でのパワーシートトラックの断面において、パワーシートトラックの断面の略中央部分に配置した。
【0050】
ねじ棒701の一方の端部は小径部703が、他方の端部には小径部705が形成されている。更に、小径部703の先端部には、小径部703より更に径が小さく設定され、断面形状が小判状の小径部705が形成され、小径部705の先端部には、おねじ部707が形成されている。
【0051】
アッパレール201の一方の端部側の端面には、ブラケット751を介してギアボックス753が配置されている。そして、ねじ棒701の小径部703がギアボックス753内に挿入されている。
【0052】
ギアボックス753内には、図示しないモータによって回転駆動されるウォーム755と、ウォーム755と噛合するウォームホイール757とがそれぞれ回転可能に配置されている。ねじ棒701の小径部705は、ウォームホイール757の断面形状が小判状の穴757aに嵌合し、ウォームホイール757とねじ棒701とは一体となって回転するようになっている。又、ねじ棒701のおねじ部707はギアボックス653の外部へ露出し、ナット709が螺合し、ねじ棒701の軸方向の移動を禁止している。
【0053】
一方、アッパレール201の他方の端部側の内部には、第1側壁部213に固着されたベース部771と、ベース部771に設けられ、ねじ棒701の小径部705が回転可能に嵌合する穴が形成された軸受部773とからなる軸受ブラケット775が設けられている。よって、ねじ棒701は、ギアボックス753と軸受ブラケット775とにより回転可能に支持されている。更に、図しないモータを回転すると、ギアボックス753で大幅に減速され、ねじ棒701が回転することとなる。
【0054】
ねじ棒701にはナット部材801が螺合している。このナット部材801はねじ803を用いてロアレール101の基底部112に取り付けられるブラケット805により、回転が禁止された状態でロアレール101に取り付けられている。
【0055】
従って、図示しないモータが回転することにより、ギアボックス753を介してねじ棒701が回転する。ナット部材801は回転が禁止された状態でロアレール101に取り付けられているので、アッパレール201がロアレール101に対して移動することになる。
【0056】
シートベルトアンカ601の近傍のロアレール101内には剥離防止手段としてのフック部材811が配置される。このフック部材811は、基端部側はロアレール101の基底部112に固着され、ねじ棒701方向に延出し、先端側がねじ棒701の上部を空間を介して巻き込むように形成された略J字形となっている。
【0057】
このフック部材811は、アッパレール201がロアレール101から剥離しようとすると、ねじ棒701が係合し、アッパレール201のロアレール101からの剥離を規制するものである。
【0058】
上記構成によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)剥離防止手段であるフック部材811は、ナット部材801が設けられるレール、本実施の形態例ではロアレール101内に配置されることにより、パワーシートトラックの小型化か可能で、見栄えもよい。
(2)フック部材811が係合する部材をねじ棒701としたことにより、簡単な構成で、大きな剥離荷重に耐えうる。
(3)パワーシートトラックの移動方向と直交する方向でのパワーシートトラックの断面において、ねじ棒701をその断面の略中央部分に配置することにより、シートベルトアンカ601に剥離力が作用した場合、パワーシートトラックの移動方向と直交する平面での回転モーメントが小さくなり、剥離強度が向上する。
(4)フック部材811をシートベルトアンカ601の近傍に設けることにより、パワーシートトラックの移動方向を含む平面での回転モーメントが小さくなり、剥離強度が向上する。
(5)ねじ棒701、ナット部材801のうち、回転する方、本実施の形態例では、ねじ棒701をアッパレール201に設けたことにより、モータ等の駆動源はアッパレール201側に設けられ、フロア側に設ける部品が少なくなる。
【0059】
一方、アッパレール201側に設ける部品は、フロア側に設けた部品と干渉しない位置に設ける必要がある。
【0060】
よって、フロア側に設ける部品の数が少なくなることにより、アッパレール201側に設ける部品の自由度が向上する。
【0061】
本発明は、上記実施の形態例に限定するものではない。上記実施の形態例では、ロアレール101に回転が禁止されたナット部材801を設け、アッパレール201に回転するねじ棒701を設けたが、逆に、アッパレール201に回転が禁止されたナット部材801を設け、ロアレール101に回転するねじ棒701を設けてもよい。尚、この場合、ロアレール101側に回転するねじ棒701を設けることにより、モータ等の駆動源もロアレール101側に設けられるので、フロア側に設ける部品の設計の自由度は若干低下する。
【0062】
【発明の効果】
以上述べたように、請求項1記載の発明によれば、前記剥離防止手段であるフック部材は、前記ナット部材が設けられたレール内に配置されることにより、パワーシートトラックの小型化か可能で、見栄えもよい。
【0063】
又、フック部材が係合する部材をねじ棒としたことにより、簡単な構成で、大きな剥離荷重に耐えうる。
【0064】
更に、パワーシートトラックの移動方向と直交する方向でのパワーシートトラックの断面において、ねじ棒をその断面の略中央部分に配置することにより、シートベルトアンカに剥離力が作用した場合、パワーシートトラックの移動方向と直交する平面での回転モーメントが小さくなり、剥離強度が向上する。
【0065】
請求項2記載の発明によれば、前記フック部材を前記シートベルトアンカの近傍に設けることにより、パワーシートトラックの移動方向を含む平面での回転モーメントが小さくなり、剥離強度が向上する。
【0066】
請求項3記載の発明によれば、前記ねじ棒の回転が禁止されることにより、ねじ棒を回転可能に支持する場合に比べて、ねじ棒の支持が簡単な構成で、しかも、強度も強くできる。すなわち、ねじ棒を回転可能に支持する場合に比べて、簡単な構成で大きな剥離強度を得ることができる。
【0067】
請求項4記載の発明によれば、前記ねじ棒、前記ナット部材のうち、回転する方をアッパレールに設けたことにより、モータ等の駆動源がアッパレール側に設けられ、フロア側に設ける部品が少なくなる。
【0068】
一方、アッパレール(シート)側に設ける部品は、フロア側に設けた部品と干渉しない位置に設ける必要がある。
【0069】
よって、フロア側に設ける部品の数が少なくなることにより、アッパレール(シート)側に設ける部品の自由度が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施の形態例のパワーシートトラックの全体構成を説明する分解斜視図である。
【図2】図1に示すパワーシートトラックを組み付けた際のC方向からみた断面図である。
【図3】図1に示すパワーシートトラックを組み付けた際のD方向からみた図である。
【図4】図1に示すナット部材の分解斜視図である。
【図5】第2の形態例のパワーシートトラックの長手方向の断面図である。
【図6】図5の右側面図である。
【図7】従来のパワーシートトラックを有するシートの斜視図である。
【図8】図7のA方向矢視図である。
【図9】図7の切断線B−Bの断面図である。
【符号の説明】
101 ロアレール
201 アッパレール
401 ねじ棒
501 ギアボックス
611 フック部材

Claims (4)

  1. フロア側に設けられるロアレールと、
    シート側に設けられ、前記ロアレールに移動可能に係合すると共に、ベルトアンカが設けられたアッパレールと、
    前記ロアレール、前記アッパレールのうちの一方のレール内で、そのレールの長手方向に沿って設けられるねじ棒と、
    前記ロアレール、前記アッパレールの他方のレールに設けられ、前記ねじ棒に螺合するナット部材と、
    前記アッパレールが前記ロアレールから剥離するのを防止する剥離防止手段とを有し、
    前記ねじ棒、前記ナット部材のうちのいずれか一方の回転を禁止し、他方を回転させることにより、前記アッパレールが前記ロアレールに沿って移動するパワーシートトラックにおいて、
    前記剥離防止手段は、
    前記ナット部材が設けられたレール内に配置されると共に、該レールに固着され、前記アッパレールが前記ロアレールから剥離しようとすると、前記ねじ棒と係合し、前記アッパレールの前記ロアレールからの剥離を規制するフック部材であることを特徴とするパワーシートトラック。
  2. 前記フック部材を前記シートベルトアンカの近傍に設けることを特徴とする請求項1記載のパワーシートトラック。
  3. 前記ねじ棒の回転が禁止され、前記ナット部材が回転することを特徴とする請求項1又は2記載のパワーシートトラック。
  4. 前記ねじ棒、前記ナット部材のうち、回転する方をアッパレールに設けたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のパワーシートトラック。
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