JP2004104612A - 光電センサ - Google Patents

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Abstract

【課題】入光状態と非入光状態とを交互に繰り返しつつ動作する状況下にあっても、しきい値設定状態等を分析する上で有効な情報が表示器に表示されるようにした光電センサを提供すること。
【解決手段】検出領域へと投光されるべき光を発する発光素子を有する投光手段と、投光手段から投光されたのち、検出領域を経て到来する反射光又は透過光を受光して受光量相当値を出力する受光素子を有する受光手段と、受光手段から得られる受光量相当値と所定のしきい値との比較により、入光状態か非入光状態かを判定する判定手段と、判定手段の判定結果に対応する出力動作を行う出力手段と、入光状態と判定される期間における受光量相当値に対応する表示値、および/または、非入光状態と判定される期間における受光量相当値に対応する表示値を期間別に所定の表示器に表示する表示手段と、を有する。
【選択図】 図23

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、受光量相当値に対応する表示値を所定の表示器に表示する機能を備えた光電センサに係り、特に、入光状態と非入光状態とを交互に繰り返しつつ動作する状況下にあっても、しきい値設定状態等を分析する上で有効な情報が表示器に表示されるようにした光電センサに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、受光量相当値に対応する表示値を所定の表示器に表示する機能を有する光電センサにあっては、図24に示されるように、入光状態であると判定される期間であるか、非入光状態であると判定される期間であるかに拘わらず、一定周期T0で取得された受光量相当値に対応する表示値(2500,1500,2900,1500,1600,2500,1200,1500)や、一定期間に得られる受光量相当値のライトピーク値やダークピーク値等を所定の表示器に表示するのが通例であった(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開平9−83333号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような従来の光電センサにあっては、一定周期T0で取得される受光量相当値に対応する表示値を表示するものについては、落下する微小物体のように、高速な対象物を瞬間的に検知する必要がある場合、表示を更新する一定周期と物体の検知タイミングとが合わず、受光量が正しく表示されない。しかし、表示更新周期を短くし過ぎると、読み取ることが困難となる。また、コンベア上を流れる物品の検査等に適用した場合のように、入光状態と非入光状態とを交互に繰り返しつつ動作する状況下にあっては、それとともに表示値も大きく変動して読取が著しく困難なものとなり、光電センサの作動状態の適否等を判定するための情報を有効に取得することができない。すなわち、光電センサの作動状態の適否を判定するためには、入光状態における受光量、非入光状態における受光量、並びに、それらの受光量のしきい値に対する余裕度等を知ることが必要とされる。
【0005】
また、一定期間に得られる受光量相当値のライトピーク値やダークピーク値等を所定の表示器に表示するものについては、入光状態であると判定される期間であるか、非入光状態であると判定される期間であるかに拘わらず、一定期間に得られる受光量相当値を基礎としてピーク値を算出するため、その算定の基礎となる期間が、入光状態期間と非入光状態期間とに跨っていた場合には、その状態で得られる表示値は殆ど意味をなさない。
【0006】
このように、従来の光電センサにおいて、センサ使用中に表示器に表示される表示値は、光電センサの設定状況等を判定する上において、なんら有効な情報を提供するものではなかった。
【0007】
この発明は、このような従来の問題点に着目してなされたものであり、その目的とするところは、入光状態と非入光状態とを交互に繰り返しつつ動作する状況下にあっても、しきい値設定状態等を分析する上で有効な情報が表示器に表示されるようにした光電センサを提供することにある。
【0008】
この発明のさらに他の目的並びに作用効果については、明細書の以下の記述を参照することにより、当業者であれば容易に理解されるであろう。
【0009】
【課題を解決するための手段】
この発明の光電センサは、検出領域へと投光されるべき光を発する発光素子を有する投光手段と、投光手段から投光された後、検出領域を経て到来する反射光又は透過光を受光して受光量相当値を出力する受光素子を有する受光手段と、受光手段から得られる受光量相当値と所定のしきい値との比較により、入光状態か非入光状態かを判定する判定手段と、判定手段の判定結果に対応する出力動作を行う出力手段と、入光状態と判定する期間における受光量相当値に対応する表示値、および/または、非入光状態と判定される期間における受光量相当値に対応する表示値を期間別に所定の表示器に表示する表示手段と、を有するものである。
【0010】
ここで、表示手段の構成において、『および/または』とあるのは、▲1▼入光状態と判定される期間における受光量相当値に対応する表示値は所定の表示器に表示するものの、非入光状態と判定される期間における受光量相当値に対応する表示値は所定の表示器に表示しない場合、▲2▼非入光状態と判定される期間における受光量相当値に対応する表示値は所定の表示器に表示するものの、入光状態と判定される期間における受光量相当値に対応する表示値については所定の表示器に表示しない場合、▲3▼入光状態と判定される期間における受光量相当値に対応する表示値と非入光状態と判定される期間における受光量相当値に対応する表示値との双方を所定の表示器に表示する場合の3つの場合を含んでいることを意味している。
【0011】
また、ここで言う『光電センサ』には、いわゆるアンプ一体型光電センサ、アンプ分離型光電センサ、及びファイバ型光電センサを少なくとも含んでいる。
【0012】
また、所定の表示器の形態については特に限定するものではなく、アナログ表示器、デジタル表示器、デジタル数値表示器、デジタルバーグラフ等の通常利用される全ての表示器の構成を含んでいる。もっとも、昨今この種の光電センサにおいては、7セグメント式のデジタル数値表示器を採用するのが普通である。
【0013】
尚、『受光量相当値に相当する表示値』には、受光量相当値に対応する瞬時値を含めても良いが、その場合入光状態または非入光状態といえども、ある程度表示値が変動することは避けがたいから、入光状態または非入光状態において変動しないそれらを代表する何らかの表示値を表示することが好ましいであろう。
【0014】
さらに、『所定の表示器』は、光電センサの筐体に組み込まれたものが好ましいが、もちろん光電センサの筐体とは別体であって、電気コードで結ばれたようなものを格別排除する主旨ではない。
【0015】
このような本発明の構成によれば、所定の表示器には、入光状態と判定される期間における受光量相当値に対応する表示値、および/または、非入光状態と判定される期間における受光量相当値に対応する表示値が期間別に表示されるから、例えばコンベア上を流れる物品の検査などに適用した場合のように、入光状態と非入光状態とを交互に繰り返しつつ動作する状況下にあっても、表示器における表示値はさほど変動することがなくなり、入光状態における受光量および/または非入光状態における受光量をユーザは的確に把握することが可能となり、しきい値設定状態などを分析する上で有効な情報を表示値から取得することが可能となる。
【0016】
本発明の光電センサの好ましい実施の一形態においては、前記期間別に表示される表示値が該当期間における受光量相当値の平均値とされる。ここで、『平均値』の更新周期としては、様々な決定の仕方が存在するが、表示値の応答性を考慮した場合、入光状態と非入光状態とが切り替わるタイミングにおいて表示値を更新するようにすれば、最も応答性の良好な表示動作を行わせることができる。尚、表示値の更新周期については、最新の複数入光状態期間分、または最新の複数非入光状態期間分としてもよいことは勿論である。
【0017】
このような構成によれば、所定の表示器に表示される表示値は有効状態と判定される期間における受光量相当値の平均値、および/または、非入光状態と判定される期間における受光量相当値の平均値となるため、少なくとも1入光状態期間または1非入光状態期間の中においては、表示値は固定されることとなるため、より一層表示の見やすさを向上させることができる。しかも、このようにして得られた表示値は、入光状態期間または非入光状態期間における受光量を的確に代表するため、これらの表示に基づいて、入光状態期間または非入光状態期間における受光量を的確に把握し、これに基づきしきい値に対する余裕度などを推定することが可能となる。
【0018】
このとき、入光状態期間における受光量相当値の平均値と非入光状態と判定される期間における受光量相当値の平均値との双方が表示されるようにすれば、その時点で設定されるしきい値の有効性をより的確に把握することができる。
【0019】
また、本発明の好ましい他の一実施形態としては、前記期間別に表示される表示値が、該当期間における受光量相当値のライトピーク値、および/または、ダークピーク値とすることができる。ここで、『ライトピーク値』とあるのは、明るい側のピーク値のことであり、また『ダークピーク値』とは暗い側のピーク値のことを意味している。従って、入光状態と判定する期間及び非入光状態と判定する期間のそれぞれに、ライトピーク値とダークピーク値との双方が存在することが理解されるであろう。
【0020】
このような構成によれば、所定の表示器には、該当期間における受光量相当値のライトピーク値、および/またはダークピーク値が表示されるため、例えば検出物体として液晶ガラス等の透明物体を想定し、しかもこれをファイバ型光電センサで透過形式で検査するような場合には、透明物体上の模様等による微細な光量変化の程度があろうとも、これによる受光量相当値のピーク値を的確に把握することが可能となる。殊に、入光状態期間においてライトピーク値は当該光電センサにおける受光量相当値の最大値を意味すると共に、同期間におけるダークピーク値は当該期間における最小値を意味することとなるため、例えば反射型光電センサによって表面の反射率がむらのある物体を検出するような場合、そのむらに基づく受光量の変動を的確に把握することが可能となる。同様にして、非入光状態期間におけるダークピーク値は当該光電センサにおける受光量相当値の最小値を意味すると共に、同期間におけるライトピーク値はその期間における最大値を意味することとなるため、光電センサとして透過型ファイバ方式の光電センサを利用し且つ液晶ガラス等の透明体を検出するような場合、透明体上の模様の影響による受光量の変動がどの程度存在するかを的確に把握することが可能となる。尚、この例にあっても、該当期間においてライトピーク値のみを表示したり、ダークピーク値のみを表示したり、ライトピーク値とダークピーク値との双方を表示したりすることは任意に採用される設計事項の範囲内である。
【0021】
また、この発明の光電センサのさらに他の実施の一形態としては、前記期間別に表示される受光量相当値が、該当期間における受光量相当値のライトピーク値とダークピーク値の偏差とすることが考えられる。ここで、ライトピーク値とダークピーク値との偏差はピークtoピークと言い換えることもできる。すなわち、この実施形態においては、入遮状態期間におけるライトピーク値とダークピーク値との偏差、非入光状態期間におけるライトピーク値とダークピーク値との偏差、またはそれら偏差の双方のいずれかを表示させることができる。勿論、それらの全てを表示可能であるが、切替スイッチによって適宜に選択してそれらのいずれかを単一の表示器に表示させることを妨げるものではない。
【0022】
このような構成によれば、前述した入遮状態期間または非入光状態期間における受光量相当値の変動幅が直読できるため、より一層それらの状態における受光量相当値の変動程度を確実に把握することが可能となる。
【0023】
また、本発明の光電センサにおけるさらに他の実施の一形態においては、入光状態と非入光状態との過渡期間における受光量相当値を表示値取得のための対象から除外することが考えられる。ここで、入光状態と非入光状態との過渡期間をどのように判定するかについては、公知の様々な手法を採用することができる。1つの手法としては、しきい値を挟んでその上下に過渡期判定用の別のしきい値を設け、ウィンドコンパレータによってそれらしきい値の間に挟まれる受光量相当値については過渡期間に相当するとして除外するものが考えられる。また、他の1手法としては、逐次一定期間でサンプリングされる受光量相当値をバッファメモリに蓄えておき、入光状態と非入光状態との切り替わり時点の前後一定時間分の受光量相当値については表示値取得の対象から除くことが考えられる。さらに他の1手法としては、相前後してサンプリングされる受光量相当値の偏差すなわち受光量相当値の変化率を求め、これが一定の変化率を越える場合には、表示値取得の対象から除外するなども考えられる。
【0024】
いずれにしても、このような構成によれば、平均値、ピーク値、ピークtoピーク値の取得に関し、過渡期間における受光量相当値が除かれることによって、より一層当該期間を代表する受光量相当値に対応する表示を確実に得ることが可能となる。
【0025】
本発明の光電センサのさらに他の実施の一形態としては、入光状態であると判定される期間であるか、非入光状態であると判定される期間であるかに拘わらず、一定周期で取得された受光量相当値に対応する表示値を所定の表示器に表示する表示手段をさらに有することが考えられる。
【0026】
このような構成によれば、例えばコンベアを停止して、物品が流れて来ない状態において光電センサの調整を行うような場合、各時点の瞬時値に相当する受光量相当値が得られるから、上述した平均値、ピーク値、ピークtoピーク値の表示される機能と併用することによって、センサの運用中のみならず、コンベアなどを停止して物品が流れて来ない状態で、光電センサの調整を行うような場合には、センサと検出物体との関係を変化させつつその時々の受光量相当値を的確に把握することができ、使い勝手が良好なものとなる。
【0027】
【発明の実施の形態】
以下に、この発明の光電センサの好適な実施の一形態を添付図面に従って詳細に説明する。尚、以下に説明する実施の形態は、本発明の一例を示すものに過ぎず、本発明に係る光電センサの及ぶ範囲は、特許請求の範囲の記載のみによって特定されることは言うまでもないことである。
【0028】
本発明光電センサの上部カバーを開いた状態における外観斜視図が図1に示されている。同図に示されるように、光電センサ1は多連層型のプラスチック製筐体101を有するファイバ型光電センサとして構成されている。筐体101の前部には、投光用ファイバ2と受光用ファイバ3とが挿入され、クランプレバー103の操作によって抜け止め固定される。筐体101の後部からは電気コード4が引き出されている。図示の電気コード4は、アース(GND)用の芯線41と、正電源(Vcc)用の芯線42と、検出出力用の芯線43と、いわゆるリモート入力用の芯線44とを有する。
【0029】
筐体101は、制御盤などの取付面に対して、図示しないDINレールを介して固定される。符号104で示されるものはDINレール嵌合溝である。筐体101の上部には、透明な上部カバー102が開閉可能に取り付けられている。上部カバー102を開いた状態で露出する筐体101の上面には、第1の表示器105と、第2の表示器106と、第1の操作ボタン107と、第2の操作ボタン108と、第3の操作ボタン109と、第1のスライド操作子110と、第2のスライド操作子111とが設けられている。
【0030】
本発明光電センサの操作・表示部の拡大図が図2に示されている。図1及び図2を参照して明らかなように、第1の表示器105及び第2の表示器106は、いずれも4桁の7セグメントデジタル表示器で構成されており、それぞれ4桁の数字、アルファベット、さらにはそれらの組み合わせを任意に表示可能となされている。第1の操作ボタン107、第2の操作ボタン108、および第3の操作ボタン109は、いずれもモメンタリタイプの押しボタンスイッチを構成しており、図2に示されるように、第1の操作ボタン107は『UPキー』として、第2の操作ボタン108は『DOWNキー』として、第3の操作ボタン109は『MODEキー』としてそれぞれ機能するように構成されている。第1のスライド操作子110及び第2のスライド操作子111はいずれもスライドスイッチを構成するものであり、図2に示されるように、第1のスライド操作子110は『SET/RUN切替スイッチ』として、第2のスライド操作子111は『L/D(ライトオン/ダークオン)切替スイッチ』として機能するように構成されている。
【0031】
図1に戻って、筐体101の内部には、図1では図示しないが、物体検出用の発光素子と物体検出用の受光素子とが内蔵されている。投光用ファイバ2をファイバ挿入孔にしっかりと挿入すると、投光用ファイバ2の端面と検出用の発光素子の発光部とがしっかりと光結合され、これにより検出用の発光素子から発生した光は、投光用光ファイバ2を経由して、その先端の図示しないファイバヘッドから検出領域へと投光される。同様に、受光用ファイバ3をファイバ挿入孔にしっかりと挿入すると、受光用ファイバ3の端面と検出用受光素子とが光結合され、これにより図示しない受光用ファイバ3のファイバヘッドからファイバ内に導入された光は、受光用ファイバ3に案内されて、検出用の受光素子にたどり着くようになっている。以上述べた投光用の発光素子と検出用の受光素子との配置構成は、従来のこの種のファイバ型光電センサに採用されたものと同様である。
【0032】
次に、本発明の一実施形態である光電センサの電気的ハードウェア構成の全体を示すブロック図が図3に示されている。同図に示されるように、この回路はマイクロプロセッサを主体として構成されるCPU200を中心として構成されている。CPU200内には、マイクロプロセッサの他に、システムプログラムを格納したROMやプログラムの実行に必要なワーキングRAM、さらには工場出荷前にメーカサイドにおいて、または工場出荷後にユーザサイドにおいて設定した各種のデータを記憶するためのEEPROM等が含まれている。このようなCPU200の構成については、各種の文献において種々公知であるから、その点についての詳細な説明は省略する。
【0033】
図において、最も左側には、先に説明した発光素子を有する投光部202と受光素子を有する受光部203とが描かれている。投光部202には、検出用の発光素子である発光ダイオード(以下、LEDと称する)202aと、LED202aを駆動するためのLED駆動部202bとが含まれている。一方、受光部203には、検出用の受光素子であるフォトダイオード(以下、PDと称する)203aと、PD203aの出力を増幅するためのアンプ部203bとが含まれている。そして、LED駆動部202bの作用により、検出用発光素子であるLED202aから発生したパルス光は、投光用ファイバ2を介して検出領域へと導かれる。そして、検出領域において透過または反射したことにより受光用ファイバ3に導入された光は、受光用ファイバ3を経由して検出用受光素子であるPD203aへとたどり着く。PD203aで光電変換されて生じた受光信号は、アンプ部203bで増幅された後、CPU200へとA/D変換器(図示せず)を介して取り込まれる。尚、これら投受光の基本的な構成についても、各種の文献において公知であるから、この点についての詳細な説明は省略する。
【0034】
表示部204は、CPU200における各種の演算により生成されたデータを表示させるための表示器で構成されており、この表示部204には、より具体的には、先に図1並びに図2を参照して説明した第1の表示器105並びに第2の表示器106が含まれている。それらの第1並びに第2の表示器105,106には、後に詳細に説明するように、本発明の表示機能に関連した各種の情報が数値、アルファベット、それらの組み合わせ等により表示される。
【0035】
入力部205は、CPU200に対して各種の情報を入力するためのものである。この入力部205には、キー入力部205aと信号入力部205bとが含まれている。キー入力部205aは、オペレータが手動操作で各種のデータを入力するためのものであり、このキー入力部205aには、先に図1並びに図2を参照して説明したように、第1の操作ボタン107、第2の操作ボタン108、第3の操作ボタン109、第1のスライド操作子110及び第2のスライド操作子111が含まれている。これに対して、信号入力部205bは、先に図1を参照して説明した電気コード4の芯線44を介していわゆるリモート入力信号を入力するためのものであり、この信号入力部205bを介して芯線44からのリモート入力信号がCPU200へと取り込まれる。
【0036】
出力部206は、CPU200で生成された物体検出信号を電気コード4に含まれる芯線43へと出力するためのものである。すなわち、CPU200で生成された物体検出用の検出信号は、出力部206を介して電気コード4内の芯線43へと送り出される。電気コード4に含まれる芯線43は、一般的には、PLCやPC等の上位装置へと接続される。
【0037】
電源部201は、図3に示される投光部202、受光部203、表示部204、入力部205、出力部206のそれぞれに対して電源を供給するための電源安定化装置等で構成されており、この電源部201に対する給電は、電気コード4に含まれる芯線41及び42を介して行われる。この例では、芯線41はGNDに接続され、芯線42はVccに接続される。
【0038】
次に、以上述べた機械的構造並びに電気的なハードウェア構成を前提として、この光電センサに備えられた様々な機能並びにそれらを実現するためにCPU200で実行されるシステムプログラムの構成について説明する。
【0039】
この光電センサには、選択的に実行(ON/OFF)可能な複数の機能が備えられている。それらの機能のそれぞれには、様々な選択肢が用意されている。それらの機能の選択(ON/OFF)並びに選択肢の選択は、この光電センサをSETモードに設定することが行うことができる。特定の選択肢に従ってON設定された機能を実現させる動作は、この光電センサをRUNモードに設定することで行うことができる。動作モードをSETモードとするかRUNモードとするかの指定は、図2に示されるように、第1のスライド操作子110を『SET』側とするか、『RUN』側とするかにより決定することができる。因みに、第2のスライド操作子111は、この光電センサの検出出力信号の論理極性を設定するためのもので、第2のスライド操作子111が『L』側に設定されているといわゆるライトオンモードとなり、『D』側に設定されているとダークオンモードとなる。
【0040】
CPUで実行されるシステムプログラムの全体を概略的に示すゼネラルフローチャートが図4に示されている。このシステムプログラムは電源投入によって実行を開始される。
【0041】
同図において、処理が開始されると、まず初期設定処理(ステップ401)が実行される。この初期設定処理(ステップ401)においては、後述するルーチン処理を開始するに先だって必要な各種の初期設定処理が実行される。この初期設定処理には、各種メモリ、表示灯、制御出力の初期化の実行や、メモリ部208に含まれるEEPROMから必要項目の読み出しとデータチェックを行う処理などが実行される。
【0042】
初期設定処理(ステップ401)が実行を完了すると、ルーチン処理への移行が行われ、その最初においてまず第1のスライド操作子110の設定状態が参照される(ステップ402)。ここで、第1のスライド操作子110が『SET』側へ設定されていれば(ステップ402SET)、続いてSETモード初期設定処理(ステップ403)が実行される。このSETモード初期設定処理(ステップ403)では、SETモード用設定値の初期化や機能番号Fの初期化(F=0)などが行われる。
【0043】
SETモード初期設定処理(ステップ403)が実行を完了すると、以後、第1のスライド操作子110が『SET』側へ設定された状態にある限り(ステップ405YES)、様々な機能(F)に関するSETモード処理(ステップ404)が実行される。この状態において、ユーザは、第1の操作ボタン107、第2の操作ボタン108、第3の操作ボタン109を適宜に操作することによって、当該光電センサに用意された様々な機能(F)のON/OFF設定、さらには、各機能(F)別の個別設定処理を実行することができる。
【0044】
一方、第1のスライド操作子110の設定状態を参照した結果、『RUN』側へと設定されたと判定されると(ステップ402RUN)、続いて、RUNモード初期設定処理(ステップ406)が実行される。このRUNモード初期設定処理(ステップ406)においては、表示灯、制御出力の初期化、しきい値及び各種RUNモード用設定値の初期化などが行われる。
【0045】
RUNモード初期設定処理(ステップ406)が完了すると、続いて第1のスライド操作子110が『RUN』側へ設定されている限り(ステップ408YES)、RUNモード処理(ステップ407)が実行される。このRUNモード処理(ステップ407)においては、光電センサとして必要な基本的な動作の他に、ユーザにより選択的に設定された各種の機能が実現される。尚、このRUNモード処理の具体的な内容については、必要に応じて、後に詳細に説明を行う。
【0046】
このように、CPU200で実行されるシステムプログラムは、いわゆる電源投入直後に行われるイニシャル処理である初期設定処理(ステップ401)と、ルーチン処理であるところの2つの処理、すなわちSETモード処理(ステップ404)及びRUNモード処理(ステップ407)に大別される。そして、本発明の要部であるところの表示機能の実行はRUNモード処理(ステップ407)において行われ、表示機能における各種の機能設定はSETモード処理(ステップ404)において行われる。
【0047】
SETモード処理の全体を示すフローチャートが図5に示されている。同図において処理が開始されると、まず機能別表示処理(ステップ501)が実行される。この機能別表示処理(ステップ501)では、機能番号(F)に該当する様々な表示処理が実行される。
【0048】
続いて、キー入力検知処理が実行され(ステップ502)、図1並びに図2に示される操作ボタン107〜109並びにスライド操作子110,111におけるキー入力操作の有無を待機する状態となる(ステップ503NO)。
【0049】
この状態において、キー入力有りと判定され(ステップ503YES)、しかも機能切替に相当するキー入力シーケンスが確認されると(ステップ504YES)、機能切替指令が確認される度に、機能番号(F)の値は全機能数に達するまで+1ずつインクリメントされ(ステップ505,506NO)、全機能数に達すると共に(ステップ506YES)、再びゼロリセットされて(ステップ507)、機能(F)の循環切替が実行される。
【0050】
この状態において、その時設定されている機能(F)に関する実行が指示されると(ステップ504NO,508YES)、機能別実行処理が実行され、機能番号(F)に該当する処理が行われる(ステップ509)。
【0051】
これに対して、機能切替指令でもなく(ステップ504NO)、及びいずれの機能実行でもないと判定されれば(ステップ508NO)、処理は終了して、以上の動作が繰り返し実行される(ステップ501〜508)。
【0052】
次に、図4に戻って、RUNモードの処理について説明する。RUNモードへの導入に先立ち、まずRUNモード初期設定処理が実行される(ステップ406)。RUNモード初期化設定処理(ステップ406)が完了すると、以後第1のスライド操作子110が『RUN』側に設定されている限り(ステップ408YES)、RUNモード処理(ステップ407)が繰り返し実行される。
【0053】
このRUNモード処理(ステップ407)の全体を示すフローチャートが図6に示されている。同図に示されるように、このRUNモード処理の全体は、通常処理(ステップ601〜605)と割込処理(ステップ606〜608)とに大別される。そして割込処理(ステップ606〜608)は、時間Tsec毎(例えば、100μsec毎)にタイマ割込で実行される。
【0054】
まず、時刻Tsec毎に実行される割込処理について説明する。割込処理が開始されると、まず投受光処理(ステップ606)が実行される。この投受光処理(ステップ606)においては、図3に示されるLED202aをLED駆動部202bを介してパルス駆動することによって、可視光または赤外線光を発生させ、これを投光用ファイバ2を通じて投光用ヘッド(図示せず)へと導き、投光用ヘッドから検出対象領域へと放出する。同時に、検出対象領域において反射又は透過した光を、受光用ファイバ3の先端に設けられた受光ヘッド(図示せず)から受光用ファイバ3内へと導入し、これを受光用ファイバ3を経由してPD203aへと導き、PD203aにて光電変換により得られた信号を、アンプ部203bを介してCPU200へと取り込む。これにより、検出対象領域の状況に対応する特徴量を含んだ受光量データが取得される。
【0055】
続いて、ON/OFF判定処理(ステップ607)が実行される。このON/OFF判定処理の詳細を示すフローチャートが図7に示されている。
【0056】
同図において処理が開始されると、まず受光量バッファリング処理(ステップ701)が実行され、受光部203から100μsec毎に取得される受光量データは、例えば2段〜32段構成の先入り先出しスタック(FIFO−1)に格納される。続いて、このFIFO−1に格納されたデータに基づいて、移動平均値A1が演算により求められ、こうして求められた受光量データの移動平均値(A1)が入光/非入光判定用の受光量として決定される。その後、こうして得られた移動平均値(A1)と所定の判定用しきい値(TH)との大小比較が行われる(ステップ703)。
【0057】
ここで、受光量データの移動平均値(A1)のほうがしきい値(TH)よりも大きければ、受光状態は『入光』と判定されるのに対し、移動平均値(A1)のほうがしきい値(TH)よりも小さければ『非入光』との判定が行われる。
【0058】
このようにして受光状態が『入光』と判定されると、続いてそのときのONモードの内容が参照される(ステップ704)。ここで、ONモードとしては、先に説明したように、ダークオンモードとライトオンモードとの2種類が用意されており、これらの切替は、第2のスライド操作子111を『L』側に設定するか『D』側に設定するかによって決定されている。
【0059】
ステップ704の判定において、ライトオンモードと判定されると、検出領域に予定の物体が存在するとして、ON判定が行われるのに対し、ダークオンモードと判定された場合には、検出対象領域に予定の物体が存在しないものとOFF判定が行われる(ステップ706)。
【0060】
一方、受光状態が『非入光』と判定された後、続くステップ707において、ONモードがライトオンモードと判定されると、検出対象領域に予定の物体が存在するものとしてON判定が行われ(ステップ708)、ダークオンモードと判定された場合には、検出領域に予定の物体が存在しないものとしてOFF判定が行われる(ステップ709)。
【0061】
このように、このON/OFF判定処理によれば、比較的少ない段数(2段〜32段程度)のFIFOスタック(FIFO−1)に受光量データをバッファリングした後、これらバッファリングされた受光量データを用いて移動平均値(A1)を演算により求め、この移動平均値を入光/非入光判定用の受光量としているため、応答性をさほど犠牲にすることなく、受光量データからノイズ成分を排除している。
【0062】
図6に戻って、こうしてON/OFF判定処理(ステップ607)が実行を終了すると、続いて出力制御処理(ステップ608)が実行され、図7のフローチャートを参照して説明したON/OFF判定結果は、図3に示される出力部206を介して、電気コード4に含まれる芯線43へと送り出される。こうして芯線43に送り出された検出信号(ON/OFF)は、PCやPLC等の上位装置へと伝えられる。
【0063】
次に、本発明の要部である表示灯制御処理(ステップ601)を含む通常処理(ステップ601〜605)について説明する。
【0064】
表示灯制御処理の詳細を示すフローチャートが図8に示されている。同図において処理が開始されると、受光量バッファリング処理(ステップ801)が実行されて、先に図7のフローチャートにおけるステップ702において説明した移動平均値(A1)の値が読み込まれ、これが別の先入り先出しスタック(FIFO−2)にプッシュされる。このFIFOスタック(FIFO−2)は、200段〜500段程度の容量に設定され、最新の200個〜500個の受光量データ(A1)の格納が可能とされている。
【0065】
続いて、この先入り先出しスタック(FIFO−2)に格納されたデータに基づき、移動平均値(A2)の演算が行われ、こうして求められた移動平均値(A2)が表示用受光量データとして確定される(ステップ802)。
【0066】
続いて、表示更新モードの内容が参照される(ステップ803)。ここで表示更新モードとしては、入光/非入光・切替時更新モードと定時更新モードとの2種類が用意されており、これらのモード設定は、先に説明したSETモード処理(ステップ404)において予めユーザが適切に設定したものが利用される。
【0067】
ここで、表示更新モードが入光/非入光・切替時更新モードと判定されると、続いて入遮切替時更新用の受光量表示処理(ステップ804)が実行されるのに対し、定時更新モードと判定された場合には、定時更新用の受光量表示処理(ステップ805)が実行される。
【0068】
定時更新用の受光量表示処理の詳細を示すフローチャートが図9に示されている。この定時更新用の受光量表示処理は、従来からこの種の光電センサに備えられていたものとほぼ同様である。すなわち、同図において処理が開始されると、まずサンプリングタイマのタイムアップが監視される(ステップ901)。ここで、サンプリングタイマのタイマ時間としては、ちらつきの防止と、検出応答性の低下を誤解されないとの両方の配慮から、200msecが選択設定されている。そのため、タイマ時間である200msecが経過する度に、サンプリングタイマのタイムアップとの判定が行われ(ステップ901)、以後の処理(ステップ902〜906)が順に実行される。
【0069】
すなわち、サンプリングタイマがタイムアップすると(ステップ901YES)、まず表示用受光量(A2)のサンプリングが行われ(ステップ902)、続いてしきい値(TH)の読込が行われる(ステップ903)。
【0070】
その後、サンプリングされた表示用受光量(A2)は第1の表示器に対する表示データを格納するための第1の表示バッファへと出力され(ステップ904)、読み込まれたしきい値(TH)については第2の表示器に対する表示データを格納するための第2の表示バッファへと出力される(ステップ905)。その後、サンプリングタイマを再起動して(ステップ906)、処理が終了する。
【0071】
こうして定時更新用の受光量表示処理が実行された場合における表示例が、図23(a)に示されている。同図に示されるように、200msec毎にサンプリングして得られた表示用受光量(A2)は、第1の表示器105に例えば『3112』として表示され、同時にしきい値(TH)は第2の表示器106に例えば『2000』として表示される。
【0072】
図8に戻って、表示更新モードが入遮切替時更新モードと判定されると(ステップ803)、続いて入遮切替時更新用の受光量表示処理(ステップ804)が実行される。入遮切替時更新用の受光量表示処理の詳細を示すフローチャートが図10に示されている。
【0073】
同図において処理が開始されると、まず表示内容の判定が行われる。ここで、表示内容としては、『平均値』、『ピーク値』、『ピークtoピーク値』の3種類が用意されている。これらの選択は、先に図4を参照して説明したSETモード処理(ステップ404)において、ユーザにより任意に行われる。
【0074】
そして、表示内容が『平均値』に設定されていれば、平均値表示処理(ステップ1004)が実行され、『ピーク値』に設定されていれば、ピーク値表示処理(ステップ1003)が実行され、『ピークtoピーク値』に設定されていれば、ピークtoピーク値表示処理(ステップ1002)が実行される。
【0075】
平均値表示処理の詳細を示すフローチャートが図11に示されている。同図において処理が開始されると、先の場合と同様にして、タイマ時間200msecのタイマにおけるタイムアップが判定される(ステップ1101)。ここで、サンプリングタイマのタイムアップが判定されると(ステップ1101YES)、受光状態の読込が行われる(ステップ1102)。ここで言う受光状態とは、先に図7のフローチャートにおいて、ステップ703にて判定された判定結果のことである。
【0076】
ここで、受光状態が『入光』と判定された場合には、以後入光期間における平均値の算出が行われるのに対し(ステップ1104〜1107)、『非入光』と判定された場合には、非入光期間における平均値の算出が行われる(ステップ1109〜1111)。
【0077】
すなわち、受光状態が『入光』と判定されると(ステップ1103入光)、続いて、入光状態に関して状態変化の有無が判定される(ステップ1104)。ここで状態変化なしと判定されれば、平均値算出処理(ステップ1105)並びに非入光用バッファメモリのクリア処理(ステップ1106)はスキップされて、表示用受光量サンプリング処理(ステップ1107)が実行され、予め用意された入光用バッファメモリにはその時の受光量(A2)の値が格納される。以上の動作が、『入光』と『非入光』との変化が到来するまで繰り返される結果、予め用意された入光用バッファメモリには、入光期間において200msec毎にサンプリングされた表示用受光量の値が漸次一連に格納される。
【0078】
このような状態において、『入光』から『非入光』への状態変化が確認されると(ステップ1104有り)、平均値算出表示処理(ステップ1105)が実行されて、最新の入光時に関する受光量の平均値が求められ、続いて入光用バッファメモリのクリア処理が実行されて(ステップ1106)、入光時の受光量は全て消去される。
【0079】
このように、受光状態が『入光』と判定された場合(ステップ1103)、『入光』の状態が継続する限り(ステップ1104無し)、入光期間における受光量が、200msec毎にサンプリングされて、一連のサンプルデータが、入光用バッファメモリに格納されていき(ステップ1107)、『入光』から『非入光』への切替時点が到来すると(ステップ1104有り)、平均値算出表示処理(ステップ1105)が実行されて、入光期間における受光量の平均値の算出並びに表示が行われ、その直後に入光用のバッファメモリがクリアされて(ステップ1106)、初期状態に繰り返され、以上の動作が、『入光』状態が到来するたびに繰り返される。
【0080】
平均値算出表示処理(入光時受光量)の詳細を示すフローチャートが図12に示されている。同図において処理が開始されると、アドレスポインタ(N)を初期設定した後(ステップ1201)、アドレスNで指定の受光量L(N)を入光用バッファメモリから読み出す処理(ステップ1202)が全ての格納データに達するまで(ステップ1205NO)、繰り返され、同時に入力用バッファメモリから読み出された受光量L(N)はそれが切替過渡期の受光量でないことを条件として(ステップ1203NO)、順次積算される(ステップ1204)。ここで、切替過渡期の受光量でないことの判定は(ステップ1203)、様々な方法で行うことができる。第1の方法としては、『入光』と『非入光』とを判定するしきい値の上下にさらに別のしきい値を設け、それらしきい値を超えない受光量については、切替過渡期の受光量であるとして排除することが考えられる。第2の方法としては、予めバッファリングされた受光量データの中で、切替過渡期の前後一定期間に含まれるデータを、切替過渡期の受光量データであるとして時間弁別するものが考えられる。第3の方法としては、相前後してサンプリングされる受光量の変化分が一定のしきい値を超えるものについては、急峻に変化しつつあるデータであると判定して、これを切替過渡期の受光量と見なし、積算データの対象から排除することが考えられる。いずれにしても、切替過渡期の受光量は、『入光』期間または『非入光』期間を代表するものではないから、このようにこれを排除することによって、ノイズ成分の混入を防止することが好ましい。
【0081】
入光用バッファメモリから全ての受光量の読み出しが完了すると(ステップ1206YES)、続いて受光量平均値算出処理(ステップ1207)が実行されて、受光量積算値は有効データ数によって除され、これにより『入光』期間における切替過渡期のデータを除いた平均値が算出され、こうして得られた受光量平均値は第1の表示バッファへと出力される(ステップ1208)。
【0082】
一方、図11に戻って、ステップ1103において受光状態が『非入光』と判定された場合には、先に説明した『入光』と判定された場合と同様にして、今度は非入光期間における受光量データに関して、表示用受光量サンプリング処理(ステップ1112)と、それらサンプリングされたデータに関する平均値算出処理(ステップ1110)並びに非入光用バッファメモリのクリア処理(ステップ1111)が実行される。
【0083】
尚、非入光時受光量に関する平均値算出処理(ステップ1110)の詳細については、図13のフローチャートに示されており、このフローチャートは対象となるデータが非入光時受光量であることを除き、図12に示される処理と同様であるから、重複説明は回避する。当業者であれば、図12のフローチャートと照らし合わせることにより、図13のフローチャートの意味するところを容易に理解されるはずである。
【0084】
図11に戻って、『入光』または『非入光』に関して、受光量のサンプリング並びにそれらサンプリングデータに基づく平均値算出が終了すると、サンプリングタイマの再起動が行われ(ステップ1108)、以上の動作が繰り返されることによって、『入光』状態並びに『非入光』状態における受光量平均値の算出並びに表示が実行される。このようにして算出された入光時平均値並びに非入光時平均値の表示態様の一例が図23(b)に示されている。同図に示されるように、この例にあっては、入光時平均値は第1の表示器105に例えば『2853』の如く表示され、非入光時平均値については第2の表示器106に例えば『1231』の如く表示される。従って、これらの表示に基づいて、ユーザは入光時並びに非入光時の受光量がおおよそどの程度の値であるかを目で容易に確認することができる。
【0085】
図10に戻って、表示内容『ピーク値』と判定されると(ステップ1101)、ピーク値表示処理(ステップ1003)が実行される。ピーク値表示処理の詳細を示すフローチャートが図14に示されている。
【0086】
同図において処理が開始されると、まず最初に、入光/非入光・判定用受光量の新規取得の確認が行われる(ステップ1401)。この入光/非入光・判定用受光量としては先に図7のフローチャートにおけるステップ702において算出された移動平均値(A1)が使用される。
【0087】
続いて、受光状態の読込処理が実行され(ステップ1402)、先に図7のフローチャートにおいて、ステップ703によって決定された受光状態の読込が行われる。その後、読み込まれた受光状態の内容が『入光』であるか『非入光』であるかの判定が行われ(ステップ1403)、その判定結果に応じて、入光時における最大光量の算出処理(ステップ1404〜1407)、または非入光時における最小光量の算出処理(ステップ1408〜1411)が実行される。
【0088】
すなわち、入光時における最大光量算出処理においては、『入光』状態が継続する限り、最大光量Pmax算出処理(ステップ1407)を繰り返し実行する一方、『入光』から『非入光』への変化時点が到来するのを待って、最大光量Pmaxを入光時ライトピークLPonとして、第1の表示バッファに出力する処理(ステップ1405)並びにPmaxをクリアする処理(ステップ1406)を実行する。
【0089】
一方、非入光時における最小光量算出処理にあっては、『非入光』状態が継続する限り(ステップ1408有り)、最小光量Pmin算出処理(ステップ1411)を繰り返し実行しつつ、受光状態が『非入光』から『入光』に変化するのを待って(ステップ1408有り)、最小光量Pminを非入光時ダークピークDPoffとして、第2の表示バッファに出力する処理(ステップ1409)及びPminをクリアする処理(ステップ1410)を実行する。
【0090】
『入光』状態における最大光量Pmax算出処理の詳細が図15のフローチャートに示されている。同図に示されるように、この最大光量Pmax(入光時)算出処理にあっては、まず、入光/非入光・判定用受光量を取得した後(ステップ1501)、それが過渡期の受光量でないことを条件として(ステップ1502NO)、その受光量とそれまでの最大受光量であるPmaxとの大小比較を行い(ステップ1503)、新たに取得された受光量がそれまでの受光量最大値Pmaxよりも大きいことを条件として(ステップ1503YES)、新たに取得された受光量によってそれまでの受光量最大値Pmaxを更新する処理(ステップ1504)を実行する。以上の一連の処理(ステップ1501〜1504)が実行される結果、同処理の終了時点においては、レジスタPmaxには、『入光』期間における最大光量が生成される。
【0091】
一方、『非入光』状態における最小光量Pmin算出処理(ステップ1411)の詳細が図16に示されている。この図16に示される最小光量Pmin(非入光時)算出処理の内容は、算出の基礎とされる受光量が非入光期間におけるものであること、並びに、算出される対象が最小値であることを除き、図15に示されるフローチャートとほぼ同様であるから、重複説明は回避する。尚、当業者であれば、図15に示されるフローチャートと図16に示されるフローチャートを照らし合わせることによって、最小光量Pmin(非入光時)算出処理については容易に理解されるはずである。
【0092】
図14に示されるピーク値表示処理が実行された結果、表示器に表示されるライトピーク並びにダークピークの表示態様の一例が図23(c)に示されている。同図に示されるように、この例にあっては、第1の表示器105には、入光時ライトピーク値が例えば『3120』として表示され、第2の表示器106には非入光時ダークピーク値が例えば『1106』として表示される。従って、このような表示によれば、ユーザは、当該センサにおいて受光される最大光量である入光時ライトピーク値を確認すると共に、同様に最小光量である非入光時ダークピーク値を確認することができる。
【0093】
入光時ライトピーク(LPon)及び非入光時ダークピーク(DPoff)の説明図が図20に示されている。同図に示されるように、入光時ライトピーク(LPon)については、LPon−1,LPon−2,LPon−3に示されるように、入光期間における極大値に相当する。一方、非入光時ダークピークについては、DPoff−1,DPoff−2に示されるように、非入光期間における極小値に相当する。そのため、これら2つのピーク値が表示される結果、当該センサが取り扱う光量値の最大値と最小値を明確に理解することができ、そのとき設定されているしきい値が適切であるか否かの判定を容易に行うことができる。
【0094】
このピーク値表示処理の他の例として、入光時における最大光量(入光時ライトピークLPon)を算出する代わりに、入光時における最小光量(入光時ダークピークDPon)を算出して用いても良いし、非入光時における最小光量(ダークピークDPoff)を算出する代わりに、非入光時における最大光量(非入光時ライトピークLPoff)を算出してもよい。
【0095】
また、入光時ダークピークDPonと非入光時ライトピークLPoffを組み合わせて用いれば、正味の余裕度の確認を簡便に行うことができる。
【0096】
さらには、所定回数の入光時ライトピークLPonの算出結果を一旦記憶し、その中の最大値のみを第1の表示バッファに出力処理するようにすることも可能である。同様に、所定回数の非入光時ダークピークDPoffの算出結果を一旦記憶し、その中の最大値のみを第2の表示バッファに出力処理するようにしてもよい。
【0097】
これらの処理を行うことで、複数の検出物体を対象として、その中の最大光量、最小光量を表示することができるので、検出対象物のばらつきまで含めた余裕度の確認を行うことができる。
【0098】
図10に戻って、表示内容が『ピークtoピーク値』であると判定されると、続いてピークtoピーク値表示処理(ステップ1002)が実行される。ピークtoピーク値表示処理(ステップ1002)の詳細が図17に示されている。
【0099】
同図において処理が開始されると、先のピーク値の場合と同様にして、入光/非入光・判定用受光量の新規取得の有無が判定され(ステップ1701)、新規取得が確認されるたびに(ステップ1701YES)、そのときの受光状態の読込が行われ(ステップ1702)、その後受光状態が『入光』であるか『非入光』であるかに応じて(ステップ1703)、『入光』期間におけるピークtoピーク値の算出処理(ステップ1704〜1707)または『非入光』期間におけるピークtoピーク値の算出処理(ステップ1708〜1711)の実行が行われる。
【0100】
すなわち、『入光』期間におけるピークtoピーク値算出処理においては、『入光』が継続する限り、最大光量Pmax及び最小光量Qminの算出処理が繰り返し実行され、その状態において『入光』から『非入光』への変化時点が到来するのを待って(ステップ1704有り)、Pmax−Qminを入光時ピークtoピーク値PPonとして第1の表示バッファに出力する処理(ステップ1705)及びPmax並びにQminの初期化処理(ステップ1706)の実行が繰り返される。最大光量Pmax,最小光量Qmin(入光時)の算出処理の詳細を示すフローチャートが図18に示されている。
【0101】
同図において処理が開始されると、先のピーク時と同様にして、入光/非入光・判定用受光量の取得が行われた後(ステップ1801)、その受光量が過渡期の受光量でないことを条件として(ステップ1802NO)、受光量の最大値を取得する処理(ステップ1803YES,1804)、並びに最小値を取得する処理(ステップ1805YES,1806)が実行される。その結果、この最大光量Pmax,最小光量Qmin(入光時)の算出処理が終了した時点においては、入光時における最大光量Pmax,最小光量Qminが求められる。
【0102】
最大光量Qmax,最小光量Pmin(非入光時)算出処理の詳細を示すフローチャートが図19に示されている。この図19に示されるフローチャートは、算定の対象となる受光量が非入光期間であることなどを除き、図18に示されるフローチャートとほぼ同様であるから、重複説明は回避する。尚、当業者であれば、図18のフローチャートと図19のフローチャートとを照らし合わせることによって、この最大光量Qmax,最小光量Pmin(非入光時)算出処理の内容を容易に理解されるはずである。
【0103】
このようにして、図17に示されるピークtoピーク値表示処理が実行された結果、操作表示部に表示されるピークtoピーク値の表示態様の一例が図23(b)に示されている。同図に示されるように、この例にあっては、第1の表示器105には入光時ピークtoピーク値が例えば『51』として表示され、第2の表示器106には非入光時ピークtoピーク値が例えば『76』として表示される。そのため、このような表示態様によれば、ユーザは、入光時における光量の変動幅並びに非入光時における光量の変動幅を容易に認識することができるため、しきい値の設定などを行う場合、あるいは透明物体を透過式ファイバ型センサで検出したり、表面に模様の存在する反射性物体を、反射型光電センサで検出するような場合、その模様による光量変化の影響がどの程度であるかなどを確認し、これに基づきしきい値の適正値を容易に求めることができるであろう。
【0104】
このピークtoピーク値、及び、ピーク値表示処理の他の例に使用される入光時ダークピーク(DPon)及び非入光時ライトピーク(LPoff)の説明図が図21に示されている。同図に示されるように、入光時ダークピークとは、DPon−1,DPon−2,DPon−3に示されるように、入光期間における極小値に相当するものであり、非入光時ライトピークとはLPoff−1,LPoff−2に示されるように、非入光期間における極大値に相当するものである。
【0105】
一方、入光時ピークtoピーク(PPon)及び非入光時ピークtoピーク(PPoff)の説明図が図22に示されている。同図に示されるように、入光時ピークtoピークとは図においてPPon−1,PPon−2,PPon−3に示されるように、入光期間におけるライトピークとダークピークとの偏差に相当するものであり、非入光時ピークtoピークについては、PPoff−1,PPoff−2に示されるように、非入光期間におけるライトピークとダークピークとの偏差に相当するものである。
【0106】
以上説明したように、本発明の光電センサによれば、図23に示されるように、定時更新モード、平均値モード、ピーク値モード、ピークtoピーク値モードのいずれかを選択して、第1の表示器105,第2の表示器106に該当する内容を表示させることができるので、例えばコンベア等を停止して、物体とセンサとの距離を変更しつつ、その時々の受光量を確認するような場合には、これを図23(a)に示されるように、定時更新モードを採用することによって、適切に行うことができる。一方、コンベアの運転を行いつつ、物体が流れてくる状態において、しきい値が適切に設定されているかどうかを判定するような場合には、同図(b)に示す平均値モード、同図(c)に示すピーク値モード、同図(d)に示すピークtoピーク値モードのいずれかに設定することによって、実際の受光光量は変動しているにも拘わらず、静止状態における表示を介して、平均値、ピーク値、ピークtoピーク値を確認することができ、この種の光電センサにおける使い勝手を著しく向上させることができる。
【0107】
【発明の効果】
以上の説明で明らかなように、本発明によれば、入光状態と非入光状態とを交互に繰り返しつつ動作する状況下にあっても、しきい値設定状態などを分析する上で有効な情報が表示器に表示され、この種の光電センサの使い勝手を著しく向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明光電センサの上部カバーを開いた状態における外観斜視図である。
【図2】本発明の一実施形態である光電センサの操作・表示部の拡大図である。
【図3】本発明の一実施形態である光電センサの電気的ハードウェア構成の全体を示すブロック図である。
【図4】CPUで実行されるシステムプログラムの全体を概略的に示すゼネラルフローチャートである。
【図5】SETモード処理の全体を示すフローチャートである。
【図6】RUNモード処理の全体を示すフローチャートである。
【図7】ON/OFF判定処理の詳細を示すフローチャートである。
【図8】表示灯制御処理の詳細を示すフローチャートである。
【図9】定時更新用の受光量表示処理の詳細を示すフローチャートである。
【図10】入遮切替時更新用の受光量表示処理の詳細を示すフローチャートである。
【図11】平均値表示処理の詳細を示すフローチャートである。
【図12】平均値算出表示処理(入光時受光量)の詳細を示すフローチャートである。
【図13】平均値算出表示処理(非入光時受光量)の詳細を示すフローチャートである。
【図14】ピーク値表示処理の詳細を示すフローチャートである。
【図15】最大光量Pmax(入光時)算出処理の詳細を示すフローチャートである。
【図16】最小光量Pmin(非入光時)算出処理の詳細を示すフローチャートである。
【図17】ピークtoピーク値表示処理の詳細を示すフローチャートである。
【図18】最大光量Pmax,最小光量Qmin(入光時)算出処理の詳細を示すフローチャートである。
【図19】最大光量Qmax,最小光量Pmin(非入光時)算出処理の詳細を示すフローチャートである。
【図20】入光時ライトピーク(LPon)及び非入光時ダークピーク(DPoff)の説明図である。
【図21】入光時ダークピーク(DPon)及び非入光時ライトピーク(LPoff)の説明図である。
【図22】入光時ピークtoピーク(PPon)及び非入光時ピークtoピーク(PPoff)の説明図である。
【図23】本発明による表示例を示す図である。
【図24】従来の光電センサにおける表示値と表示タイミングとの関係を説明するための図である。
【符号の説明】
1 光電センサ
2 投光用ファイバ
3 受光用ファイバ
4 電気コード
41 アース用芯線
42 正電源用芯線
43 検出信号出力用芯線
44 リモート入力取得用芯線
101 筐体
102 上部カバー
103 クランプレバー
104 DINレール嵌合溝
105 第1の表示器
106 第2の表示器
107 第1の操作ボタン
108 第2の操作ボタン
109 第3の操作ボタン
110 第1のスライド操作子
111 第2のスライド操作子
200 CPU
201 電源部
202 投光部
202a LED
202b LED駆動部
203 受光部
203a PD
203b アンプ部
204 表示部
205 入力部
205a キー入力部
205b 信号入力部

Claims (7)

  1. 検出領域へと投光されるべき光を発する発光素子を有する投光手段と、
    投光手段から投光されたのち、検出領域を経て到来する反射光又は透過光を受光して受光量相当値を出力する受光素子を有する受光手段と、
    受光手段から得られる受光量相当値と所定のしきい値との比較により、入光状態か非入光状態かを判定する判定手段と、
    判定手段の判定結果に対応する出力動作を行う出力手段と、
    入光状態と判定される期間における受光量相当値に対応する表示値、および/または、非入光状態と判定される期間における受光量相当値に対応する表示値を期間別に所定の表示器に表示する表示手段と、
    を有する光電スイッチ。
  2. 前記期間別に表示される表示値が、該当期間における受光量相当値の平均値である請求項1に記載の光電センサ。
  3. 前記期間別に表示される表示値が、該当期間における受光量相当値のライトピーク値、および/または、ダークピーク値である請求項1に記載の光電センサ。
  4. 前記期間別に表示される受光量相当値が、該当期間における受光量相当値のライトピーク値とダークピーク値との偏差である請求項1に記載の光電スイッチ。
  5. 入光状態と非入光状態との過渡期間における受光量相当値を表示値取得のための対象から除外する請求項2〜4のいずれかに記載の光電センサ。
  6. 入光状態であると判定される期間であるか、非入光状態であると判定される期間であるかに拘わらず、一定周期で取得された受光量相当値に対応する表示値を所定の表示器に表示する表示手段をさらに有する請求項1に記載の光電センサ。
  7. 前記期間別に表示される表示値が、所定回数の該当期間における受光量のライトピーク値および/またはダークピーク値である請求項1に記載の光電センサ。
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