JP2004100920A - 無段変速機の制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】無段変速機およびクラッチを含む駆動系の実際の状態を反映したクラッチ係合圧を設定することにより、無段変速機での挟圧力を可及的に低下して燃費や耐久性の向上を図る。
【解決手段】トルク伝達部材を挟み付ける挟圧力に応じて伝達トルク容量が変化する無段変速機に、係合圧に応じて伝達トルク容量が変化するクラッチが直列に連結され、所定の条件が成立している場合に、無段変速機よりも先に前記クラッチに滑りが生じるように前記挟圧力および係合圧を制御する無段変速機の制御装置であって、前記クラッチを解放状態から係合状態に制御する際に、そのクラッチの係合圧を学習する学習手段(ステップS8)を備えている。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、クラッチが直列に連結された無段変速機の制御装置に関し、特に無段変速機よりもクラッチが先に滑りを生じるようにクラッチおよび無段変速機の伝達トルク容量を制御するように構成された制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
摩擦力を利用してトルクを伝達するクラッチやブレーキあるいはベルト式無段変速機、さらにはトラクションオイルのせん断力を利用してトルクを伝達するトラクション式無段変速機などが従来知られている。その伝達トルク容量は、接触圧力などのいわゆる垂直荷重と、摩擦係数もしくはせん断係数などの係数に応じた容量となるから、滑りを生じることなくトルクを伝達するためには、垂直荷重を大きくすればよい。しかしながら、垂直荷重を大きくすると、垂直荷重を発生させるために多くの動力を消費して燃費が悪化したり、あるいは動力の伝達効率が低下して燃費が悪化し、さらには装置の耐久性が低下するなどの不都合がある。
【0003】
そのため、例えばベルト式無段変速機については、そのベルト挟圧力を可及的に低圧とし、かつその状態で無段変速機に滑りを生じさせるトルクが入力されないように制限する制御が提案されている。その一例が特開平10−2390号公報(特許文献1)に記載されている。この公報に記載された装置は、クラッチに対して直列に配列されたベルト式無段変速機を対象とした制御装置であって、ベルト式無段変速機でのベルト滑りよりもクラッチが先に滑りを生じるようにするために、クラッチ締結力の滑りに対する余裕が、無段変速機でのベルト挟圧力の滑りに対する余裕より小さくなるようにクラッチ締結力を制御するように構成されている。
【0004】
【特許文献1】
特開平10−2390号公報(第3〜4頁、図3)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記の公報に記載された発明では、クラッチ締結力の余裕を無段変速機の挟圧力の余裕より小さくし、クラッチの滑りが検出された場合には、クラッチ締結力およびベルト挟圧力を増大し、反対にクラッチの滑りが検出されない場合には、クラッチ締結力およびベルト挟圧力を減少させるように構成している。
【0006】
そのクラッチ締結力は、エンジンからのトルクを伝達できる締結力に設定する必要があるから、エンジントルクを考慮して設定するのが一般的であるが、上記の公報に記載された発明では、その締結力で滑りが生じない場合には、締結力を低下させている。またクラッチ締結力を低下させることにより滑りが生じると、クラッチ締結力を増大させている。したがって上記の公報に記載された発明では、クラッチ締結力およびベルト挟圧力の減少制御と増大制御とを繰り返すいわゆる制御のハンチングが生じる可能性がある。
【0007】
また、その過程でのクラッチ締結力の低下と増大とは、クラッチ締結力を精度よく設定する必要があるために、ゆっくりとした速度でおこなうことになり、少なくともクラッチ締結力を低下させる場合には、クラッチが過剰に滑ることを回避するために、ゆっくりとした速度でおこなうことになる。そのために、クラッチ締結力およびベルト挟圧力を所定の状態に制御するための過渡的な制御に長い時間を要し、その間に、クラッチや無段変速機に不要な滑りが生じたり、あるいは反対にクラッチ締結力およびベルト挟圧力が過剰になったりし、ひいては燃費の向上などの本来の目的を充分に達成できない可能性があった。
【0008】
この発明は、上記の技術的課題に着目してなされたものであり、無段変速機に対して直列に連結されたクラッチに、無段変速機よりも先に滑りが生じるようにクラッチおよび無段変速機の伝達トルク容量を迅速かつ正確に設定することのできる制御装置を提供することを目的とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段およびその作用】
上記の目的を達成するために、請求項1の発明は、トルク伝達部材を挟み付ける挟圧力に応じて伝達トルク容量が変化する無段変速機に、係合圧に応じて伝達トルク容量が変化するクラッチが直列に連結され、所定の条件が成立している場合に、無段変速機よりも先に前記クラッチに滑りが生じるように前記挟圧力および係合圧を制御する無段変速機の制御装置において、前記クラッチを解放状態から係合状態に制御する際に、そのクラッチの係合圧を学習する学習手段を備えていることを特徴とする制御装置である。
【0010】
したがって請求項1の発明では、所定の条件が成立した場合に、無段変速機よりもクラッチで先に滑りが生じるように無段変速機の挟圧力とクラッチの係合圧とが制御される。そのクラッチの係合圧が、クラッチを解放状態から係合状態に変化させる際に学習される。その学習値は、前記無段変速機およびクラッチを搭載している車両の運転状態を示す所定のパラメータに関連させて保持し、前記所定の条件が成立した際にクラッチを係合させる係合圧として利用することが可能である。
【0011】
また、請求項2の発明は、トルク伝達部材を挟み付ける挟圧力に応じて伝達トルク容量が変化する無段変速機に、係合圧に応じて伝達トルク容量が変化するクラッチが直列に連結され、所定の条件が成立している場合に、無段変速機よりも先に前記クラッチに滑りが生じるように前記挟圧力および係合圧を制御する無段変速機の制御装置において、前記所定の条件が成立した際に設定する前記クラッチの係合圧が学習によって既に得られており、かつ前記所定の条件が成立している状態で前記クラッチを解放状態から係合させた後に、前記学習によって得られている係合圧に基づいて前記クラッチを係合させる係合手段を備えていることを特徴とする制御装置である。
【0012】
したがって請求項2の発明では、所定の条件が成立した場合に、無段変速機よりもクラッチで先に滑りが生じるように無段変速機の挟圧力とクラッチの係合圧とが制御される。その場合、クラッチの係合圧が学習によって得られていれば、その学習による係合圧に基づいてクラッチが係合させられる。その結果、クラッチの所定の係合状態が迅速に達成される。
【0013】
さらに、請求項3の発明は、請求項1または2に発明において、前記クラッチを解放状態から係合させる係合速度を、前記係合圧を学習するための係合時と、既に学習によって得られている係合圧に基づいて係合させる係合時とで異ならせる係合速度制御手段を備えていることを特徴とする制御装置である。
【0014】
したがって請求項3の発明では、解放状態のクラッチを係合させる速度が、係合圧が既に学習されている場合と学習されていない場合とでは異なる。一例として学習されていない場合には、遅い係合速度とされ、学習されている場合には、速い係合速度とされる。その結果、係合圧の学習精度が良好になり、また学習されている場合には、迅速に適正な係合圧でクラッチが係合させられる。
【0015】
またさらに、請求項4の発明は、請求項1における学習手段が、前記クラッチが係合する係合圧に予め定めた所定の余裕圧を付与して求められた係合圧に基づく学習値を学習する手段を含むことを特徴とする制御装置である。
【0016】
したがって請求項4の発明では、クラッチ係合圧の学習値として、所定の余裕圧を付与された係合圧や既に定められている係合圧との差である補正圧などが学習される。その結果、所定の条件が成立することに伴って、無段変速機よりも先に滑りが生じるようにクラッチを係合させる場合、所定の余裕圧を含む学習された係合圧あるいは補正された係合圧でクラッチが係合させられる。
【0017】
そして、請求項5の発明は、請求項1、3、4のいずれかの発明における前記学習手段が、前記クラッチが係合することに伴う所定の回転部材の回転変化に起因する慣性トルクを含まないようにして求められた係合圧に基づく学習値を学習する手段を含むことを特徴とする制御装置である。
【0018】
したがって請求項5の発明では、過渡的な要因である慣性トルクを排除した状態に対応したクラッチ係合圧が求められ、その結果、係合の緩急による係合圧のばらつきを回避して係合圧が適正化される。
【0019】
そしてまた、請求項6の発明は、請求項1ないし5のいずれかの発明において、前記クラッチが係合する係合圧に所定の余裕圧を付与した係合圧で前記クラッチを係合させる制御の終了条件が成立したことを検出する終了検出手段と、この終了検出手段によって前記終了条件が成立したことが検出された場合に、前記無段変速機のトルク容量を増大させた後に前記クラッチの係合圧を前記滑りが生じないように増大させる係合圧増大手段とを備えていることを特徴とする制御装置である。
【0020】
したがって請求項6の発明では、クラッチにおける滑りが生じるトルクに対する伝達トルクの余裕量を、無段変速機における滑りが生じるトルクに対する伝達トルクの余裕量より小さい状態に設定する制御の終了条件が成立すると、先ず、無段変速機のトルク容量が増大させられ、その後に、クラッチのトルク容量が増大させられる。すなわち前記の終了条件は、例えば外乱トルクによるクラッチの滑りであり、その滑りを防止もしくは回避するべくそのトルク容量を増大させる場合には、それに先立って無段変速機のトルク容量を増大させる。その結果、その過渡状態で外乱トルクが入力された場合には、クラッチに滑りが生じて無段変速機に作用するトルクが制限されるので、無段変速機の滑りが回避もしくは防止される。
【0021】
さらにまた、請求項7の発明は、請求項1ないし6のいずれかの発明において、前記クラッチの係合圧を、前記クラッチが係合する際のクラッチ摩擦係数と滑りのない完全係合時のクラッチ摩擦係数との相違に基づいて設定するクラッチ係合圧設定手段を備えていることを特徴とする制御装置である。
【0022】
したがって請求項7の発明では、クラッチを係合させた際の係合圧に所定の余裕圧を付与した係合圧でクラッチを係合させる場合、係合が判定された際の摩擦係数と最終的に滑りのない状態でクラッチが係合する場合の摩擦係数との相違を考慮してクラッチ係合圧が設定される。その結果、クラッチ係合圧が過不足なく適正に設定される。
【0023】
そして、請求項8の発明は、請求項7の発明における前記クラッチ係合圧設定手段が、前記クラッチ摩擦係数を変化させる要因となる物理量に基づいて前記係合圧を設定する手段を含むことを特徴とする制御装置である。
【0024】
したがって請求項8の発明では、クラッチの摩擦係数を直接検出することに替えて、その摩擦係数を変化させる要因となる物理量、例えば油温やクラッチの潤滑油の劣化の程度(使用期間)などが採用され、その物理量に基づいてクラッチ係合圧が設定され、その結果、クラッチの係合圧が適正化される。
【0025】
【発明の実施の形態】
つぎにこの発明を具体例に基づいて説明する。先ず、この発明で対象とする無段変速機を含む車両の駆動系統およびその制御系統について説明すると、図2は、ベルト式無段変速機1を含む変速機を模式的に示しており、その無段変速機1は、前後進切換機構2およびロックアップクラッチ3付きの流体伝動機構4を介して動力源5に連結されている。
【0026】
その動力源5は、内燃機関、あるいは内燃機関と電動機、もしくは電動機などによって構成され、要は、走行のための動力を発生する駆動部材である。なお、以下の説明では、動力源5をエンジン5と記す。
【0027】
また、流体伝動機構4は、例えば従来のトルクコンバータと同様の構成であって、エンジン5によって回転させられるポンプインペラーとこれに対向させて配置したタービンランナーと、これらの間に配置したステータとを有し、ポンプインペラーで発生させたフルードの螺旋流をタービンランナーに供給することよりタービンランナーを回転させ、トルクを伝達するように構成されている。
【0028】
このような流体を介したトルクの伝達では、ポンプインペラーとタービンランナーとの間に不可避的な滑りが生じ、これが動力伝達効率の低下要因となるので、ポンプインペラーなどの入力側の部材とタービンランナーなどの出力側の部材とを直接連結するロックアップクラッチ3が設けられている。なお、このロックアップクラッチ3は、この発明におけるクラッチに相当し、油圧によって制御するように構成され、完全係合状態および完全解放状態、ならびにこれらの中間の状態であるスリップ状態に制御され、またそのスリップ回転数を適宜に制御でき、さらに係合させる際の係合速度を適宜に制御できるようになっている。
【0029】
前後進切換機構2は、エンジン5の回転方向が一方向に限られていることに伴って採用されている機構であって、入力されたトルクをそのまま出力し、また反転して出力するように構成されている。図2に示す例では、前後進切換機構2としてダブルピニオン型の遊星歯車機構が採用されている。すなわち、サンギヤ6と同心円上にリングギヤ7が配置され、これらのサンギヤ6とリングギヤ7との間に、サンギヤ6に噛合したピニオンギヤ8とそのピニオンギヤ8およびリングギヤ7に噛合した他のピニオンギヤ9とが配置され、これらのピニオンギヤ8,9がキャリヤ10によって自転かつ公転自在に保持されている。そして、二つの回転要素(具体的にはサンギヤ6とキャリヤ10と)を一体的に連結する前進用クラッチ11が設けられ、またリングギヤ7を選択的に固定することにより、出力されるトルクの方向を反転する後進用ブレーキ12が設けられている。
【0030】
無段変速機1は、従来知られているベルト式無段変速機と同じ構成であって、互いに平行に配置された入力部材としての駆動プーリ13と出力部材としての従動プーリ14とのそれぞれが、固定シーブと、油圧式のアクチュエータ15,16によって軸線方向に前後動させられる可動シーブとによって構成されている。
したがって各プーリ13,14の溝幅が、可動シーブを軸線方向に移動させることにより変化し、それに伴って各プーリ13,14に巻掛けたベルト17の巻掛け半径(プーリ13,14の有効径)が連続的に変化し、変速比が無段階に変化するようになっている。そして、上記の駆動プーリ13が前後進切換機構2における出力要素であるキャリヤ10に連結されている。
【0031】
なお、従動プーリ14における油圧アクチュエータ16には、無段変速機1に入力されるトルクに応じた油圧(ライン圧もしくはその補正圧)が、図示しない油圧ポンプおよび油圧制御装置を介して供給されている。したがって、従動プーリ14における各シーブがベルト17を挟み付けることにより、ベルト17に張力が付与され、各プーリ13,14とベルト17との挟圧力(接触圧力)が確保されるようになっている。
【0032】
無段変速機1の伝達トルク容量はこのベルト挟圧力に応じた容量となる。この挟圧力を設定する油圧、すなわち油圧アクチュエータ16における油圧を検出する油圧センサー23が設けられている。これに対して駆動プーリ13における油圧アクチュエータ15には、設定するべき変速比に応じた圧油が供給され、目標とする変速比に応じた溝幅(有効径)に設定するようになっている。
【0033】
上記の従動プーリ14が、ギヤ対18を介してディファレンシャル19に連結され、このディファレンシャル19から駆動輪20にトルクを出力するようになっている。
【0034】
上記の無段変速機1およびエンジン5を搭載した車両の動作状態(走行状態)を検出するために各種のセンサーが設けられている。すなわち、無段変速機1に対する入力回転数(前記タービンランナーの回転数)を検出して信号を出力するタービン回転数センサー21、駆動プーリ13の回転数を検出して信号を出力する入力回転数センサー22、駆動輪20の回転数を検出して信号を出力する車輪速センサー24が設けられている。また、特には図示しないが、アクセルペダルの踏み込み量を検出して信号を出力するアクセル開度センサー、スロットルバルブの開度を検出して信号を出力するスロットル開度センサー、ブレーキペダルが踏み込まれた場合に信号を出力するブレーキセンサーなどが設けられている。
【0035】
上記の前進用クラッチ11および後進用ブレーキ12の係合・解放の制御、および前記ベルト17の挟圧力の制御、ならびに変速比の制御、さらにはロックアップクラッチ3の制御をおこなうために、変速機用電子制御装置(CVT−ECU)25が設けられている。この電子制御装置25は、一例としてマイクロコンピュータを主体として構成され、入力されたデータおよび予め記憶しているデータに基づいて所定のプログラムに従って演算をおこない、前進や後進あるいはニュートラルなどの各種の状態、および要求される挟圧力の設定、ならびに変速比の設定、ロックアップクラッチ3の係合・解放ならびにスリップ回転数などの制御を実行するように構成されている。
【0036】
ここで、変速機用電子制御装置25に入力されているデータ(信号)の例を示すと、無段変速機1の入力回転数Ninの信号、無段変速機1の出力回転数No の信号などが入力されている。また、エンジン5を制御するエンジン用電子制御装置(E/G−ECU)26からは、エンジン回転数Ne の信号、エンジン(E/G)負荷(トルク)の信号、スロットル開度信号、アクセルペダル(図示せず)の踏み込み量であるアクセル開度信号などが入力されている。
【0037】
さらに、上記の車両は、車輪のロックを回避するためのアンチロックブレーキシステム(ABS)を備えている。そのアンチロックブレーキシステムを構成する電子制御装置(ABS−ECU)27から変速機用電子制御装置25に、駆動輪(タイヤ)20の滑り判定信号などが入力されている。
【0038】
無段変速機1によれば、入力回転数であるエンジン回転数を無段階に(言い換えれば、連続的に)制御できるので、これを搭載した車両の燃費を向上できる。
例えば、アクセル開度などによって表される要求駆動量と車速とに基づいて目標駆動力が求められ、その目標駆動力を得るために必要な目標出力が目標駆動力と車速とに基づいて求められ、その目標出力を最適燃費で得るためのエンジン回転数が予め用意したマップに基づいて求められ、そして、そのエンジン回転数となるように変速比が制御される。
【0039】
そのような燃費向上の利点を損なわないために、無段変速機1における動力の伝達効率が良好な状態に制御される。具体的には、無段変速機1のトルク容量すなわちベルト挟圧力が、エンジントルクに基づいて決まる目標トルクを伝達でき、かつベルト17の滑りが生じない範囲で可及的に低いベルト挟圧力に制御される。
【0040】
この制御は、無段変速機1に対して直列に連結されているロックアップクラッチ3を、無段変速機1に対するいわゆるトルクヒューズとして機能させる制御である。すなわち、エンジン5から駆動輪20に至までの駆動系に作用するトルクが増大した場合に、無段変速機1よりもロックアップクラッチ3が先に滑りを生じるように、それぞれの伝達トルク容量を設定しておくことにより、無段変速機1に滑りが生じない状況を設定しておき、こうすることにより無段変速機1の伝達トルク容量すなわち挟圧力を可及的に小さくすることができる。これは、前述した公報に記載されているクラッチ係合圧の余裕を、無段変速機1でのベルト挟圧力の余裕より小さくする制御と同等である。なお、この発明におけるこれらの「余裕」とは、滑りが生じない範囲での最小の係合圧あるいは挟圧力を超えている余裕圧であり、言い換えれば滑りが生じない範囲での最小係合圧あるいは最小挟圧力に付加されている係合圧あるいは挟圧力の超過分である。
【0041】
その余裕圧は、予め設定しておくことができるが、これを付加する最小係合圧あるいは最小挟圧力は、油圧制御装置を含む装置全体の個体差や経時変化などの影響を受けて一定値とはならない。そのため、例えば上記のロックアップクラッチ3などの無段変速機1に対して直列に配列されてトルクヒューズとして機能させられるクラッチの係合圧は、そのクラッチの実際の係合状態とその時の係合圧とに基づいて求められる。
【0042】
一方、上記のロックアップクラッチ3は、本来の機能もしくは用途が、トルクコンバータなどの流体伝動機構4を補完するものでから、無段変速機1の動作とは別に制御されることがある。そこで、この発明の制御装置は、ロックアップクラッチ3の単独の係合制御の際にも係合圧を学習し、その学習値に基づいていわゆるトルクヒューズ制御をおこなうように構成されている。図1はその制御例を説明するためのフローチャートである。
【0043】
図1において、先ず、ロックアップクラッチ(L/C)3をオフ(解放状態)からオン(係合状態)に切り換える判定が成立したか否かが判断される(ステップS1)。ロックアップクラッチ3を完全に係合させると、エンジン5と変速機とが直接連結され、流体伝動機構4によるいわゆる緩衝機能もしくは振動の吸収機能が生じなくなる。したがって振動やこもり音などの乗り心地を損なう要因を避けるために、低車速状態ではロックアップクラッチ3を解放し、そのような要因が生じる可能性が少ない所定車速以上の状態では、燃費の向上のためにロックアップクラッチ3を係合させる。ステップS1での判断は、このようにして設定されているロックアップクラッチ3の解放領域から係合領域に、車両の走行状態が変化したか否かの判断である。
【0044】
このステップS1で否定的に判断された場合、その時点の車両の状態に応じたロックアップクラッチ3の制御が実行される(ステップS2)。ステップS1で否定的に判断される場合は、ロックアップクラッチ3が係合(オン)状態に維持される場合、解放(オフ)状態に維持される場合、スリップ状態に維持される場合、係合状態から解放状態に切り換えられる場合のいずれかである。したがってステップS2では、それぞれの状態に応じて、ロックアップクラッチ3を係合状態あるいは解放状態もしくはスリップ状態に維持するように係合圧が制御され、あるいは係合状態から解放状態に切り換えるための係合圧制御が実行される。
【0045】
ついで、ロックアップクラッチ3の制御状態あるいは車両の運転状態に応じて無段変速機1における挟圧力制御が実行される(ステップS3)。例えば、ロックアップクラッチ3が完全に係合していれば、駆動系統の全体がいわゆる直結状態となっていて、駆動系統に作用するトルクがそのまま無段変速機1に作用することがあり、また車両の走行状態が必ずしも定常状態もしくは準定常状態ではないので、滑りを未然に防止するために、ベルト挟圧力が相対的に大きく設定される。
【0046】
これに対してロックアップクラッチ3が解放されていて、流体伝動機構4で滑りが生じる状態(いわゆるトルクコン(T/C)状態)では、エンジン5側のいわゆる正入力トルクあるいは駆動輪20側の負トルクが急激に変化しても、流体伝動機構4で緩衝されて無段変速機1に作用するトルクが低減されるので、無段変速機1における滑りに対する余裕(マージン)が小さくてよく、その結果、ベルト挟圧力が相対的に小さく設定される。
【0047】
一方、車両の運転状態がロックアップ・オフ領域からロックアップ・オン領域に変化することによりステップS1で肯定的に判断された場合、車両の運転状態が準定常状態にあるか否かが判断される(ステップS4)。このステップS4は、ロックアップクラッチ3の係合圧の学習実行条件あるいはいわゆるトルクヒューズ制御の実行条件の成立を判断するための判断ステップであって、その準定常状態とは、車速や駆動系に作用するトルクなどがある程度安定している状態であり、具体的には、車速がほぼ一定であり、かつ入力トルクが所定の範囲に入っている場合に、準定常状態の判断が成立する。したがってこのステップS4での条件がこの発明での所定の条件に相当する。
【0048】
このステップS4で肯定的に判断された場合には、係合圧の学習が未だおこなわれていないか否か、あるいはトルク容量の更新時期に到っているか否かが判断される(ステップS5)。ロックアップクラッチ3の係合圧は、車速やエンジン負荷(スロットル開度)などで定まる運転状態毎に学習され、したがってステップS5では、その時点の運転状態における係合圧の学習値が未だ得られていないか否かが判断される。
【0049】
また、ロックアップクラッチ3の伝達トルク容量は、摩擦係数と係合圧とによって決まり、その摩擦係数は経時的に変化することがあり、したがって所定の伝達トルク容量を設定するための係合圧は、所定期間毎に再学習する必要がある。
そこでステップS5では、その所定期間が経過しているか否かが判断される。なお、その判断は、車両のトリップ数が所定トリップに達したか否か、あるいは走行距離が所定距離に達したか否かなどを判断することによりおこなえばよい。
【0050】
このステップS5で肯定的に判断された場合には、学習時の係合指令が出力される(ステップS6)。すなわち、ロックアップクラッチ3を係合させる要因は、車両の運転状態の変化であるが、その係合時に係合圧の学習を同時におこなうので、ロックアップクラッチ3の係合速度は学習に適した速度であることが好ましい。ステップS6ではその学習に適した速度でロックアップクラッチ3を係合させる指令が出力される。
【0051】
より具体的には、ロックアップクラッチ3の係合圧の学習は、ロックアップクラッチ3での滑りがほぼゼロになる係合圧、言い換えればその時点のトルクで滑りが生じない最低の係合圧を求めることをその内容として含んでおり、係合速度を通常の場合より遅くする。具体的には係合圧の昇圧速度を通常時より低下させる。
【0052】
ついで、ロックアップクラッチ3の係合が完了したか否かが判断される(ステップS7)。すなわちロックアップクラッチ3の滑りがほぼゼロになったか否か、あるいは滑り速度が所定値以下になったか否かが判断される。エンジン回転数と前記タービン回転数センサー21で得られる回転数とに差が生じていれば、ロックアップクラッチ3に滑りが生じていることになるので、この場合は、ステップS7で否定的に判断される。その場合、前述したステップS3に進んで、その時点の運転状態に応じた挟圧力制御が実行される。
【0053】
これとは反対にステップS7で肯定的に判断された場合には、その時点のエンジントルク(正入力トルク)に見合った伝達トルク容量(係合圧)が設定され、あるいはそのエンジントルクに対応した伝達トルク容量(係合圧)の学習値が更新される(ステップS8)。具体的には、ロックアップクラッチ3が完全に係合した時点の係合圧に、予め定めた余裕圧を加算した係合圧あるいは所定の安全率を掛けた係合圧でロックアップクラッチ3が係合させられる。すなわち係合完了判断が成立した時点の係合圧より所定の余裕分、高い係合圧に増大させられる。
また、その係合圧が学習値として新たに保持(記憶)される。
【0054】
そして、このようにして設定されたロックアップクラッチ3の伝達トルク容量に見合ったベルト挟圧力が設定される(ステップS9)。これは、ロックアップクラッチ3を無段変速機1に対するトルクヒューズとして機能させるための制御であり、ロックアップクラッチ3における前記余裕圧もしくは安全率よりも僅かに大きい余裕圧もしくは安全率をもったベルト挟圧力を設定する制御である。言い換えれば、駆動系に作用するトルクが増大した場合に、無段変速機1に先行してロックアップクラッチ3に滑りが生じるように、無段変速機1でのベルト挟圧力が設定される。
【0055】
なお、係合圧の学習値が既に得られており、また学習値の更新時期ではないことにより、ステップS5で否定的に判断された場合には、係合圧の学習をおこなってはいないので、通常の係合速度でロックアップクラッチ3を係合させる(ステップS10)。また、係合完了の判断(ステップS7)後は、係合圧の余裕圧分の増大などの制御を特におこなうことなく、直ちに学習値での係合圧を設定する(ステップS8)。
【0056】
また一方、車両の運転状態が準定常状態でないことにより、ステップS4で否定的に判断された場合には、ロックアップクラッチ3をいわゆるトルクヒューズとして機能させない場合の挟圧力制御(通常時の挟圧力制御)が実行される(ステップS11)。また、ロックアップクラッチ3の係合指令が出力される(ステップS12)。これらの挟圧力および係合圧は、一例として、ライン圧もしくはその補正圧で設定される挟圧力および係合圧である。
【0057】
したがって図1に示す制御を実行するように構成されたこの発明の制御装置によれば、通常の発進時などの加速度やエンジン負荷が特には大きくない場合に準定常状態の判断が成立し、また車速がある程度増大した時点でロックアップクラッチ3が係合させられ、その際にロックアップクラッチ3の係合圧の学習が実行される。そのため、クラッチの係合後の解放およびその後の再係合などの学習のための特別な制御をおこなうことなく、通常の発進もしくは走行中に係合圧の学習をおこなうことができ、その結果、係合圧の学習制御の頻度を増大し、いわゆるトルクヒューズ制御でのクラッチの係合圧を適正化できるのみならず、無段変速機1のベルト挟圧力を可及的に低下させて動力の伝達効率および燃費を良好なものにすることができる。
【0058】
また、係合圧の学習値が得られている場合には、ロックアップクラッチ3を係合させる場合に、いわゆるトルクヒューズ制御での係合圧に直ちに設定するので、ロックアップクラッチ3の係合・解放・再係合などの制御が不要になり、その結果、無段変速機1の挟圧力を速やかに低下させることが可能になり、挟圧力の低下頻度が向上し、この点でも燃費を改善することができる。さらに、上述したように、ロックアップクラッチ3を解放状態から係合させる場合に、係合圧の学習を同時におこなう場合には、係合速度を通常より遅くするので、学習精度を向上させることができる。
【0059】
さらに、上記のステップS4で否定的に判断された時点にいわゆるトルクヒューズ制御が実行されていれば、ステップS4でそのトルクヒューズ制御の終了を判断していることになる。その終了判断が成立した場合、上述したように、無段変速機1でのベルト挟圧力を通常の挟圧力に増大させ、その後にロックアップクラッチ3の係合圧を増大させている。そのため、滑りに対する伝達トルク容量のいわゆる余裕が、クラッチにおけるよりも無段変速機1で大きい状態が維持され、その結果、過渡的に大きいトルクが入力される事態が生じても、クラッチに滑りを生じさせて無段変速機1の滑りを未然に防止もしくは抑制することができる。
【0060】
なお、上記の具体例では、ステップS8において、所定の余裕圧を付加した係合圧を記憶することにより、係合圧を学習することとしたが、この発明では、このようにして得られた係合圧と入力トルクに応じて定めてある係合圧との差を、学習値として記憶・保持することとしてもよい。このように構成した場合には、いわゆるトルクヒューズ制御をおこなう際に、その時点の入力トルクに応じた係合圧に、学習値としての補正値を加えた係合圧が採用され、ロックアップクラッチ3が係合させられる。
【0061】
また、この発明においては、クラッチの係合が完了したと判断する時点の係合圧として、慣性トルクに相当する係合圧を含まない圧力を採用することができる。ロックアップクラッチ3の係合中は、入力側の回転部材の回転数が低下し、これが原因となって慣性トルクが生じる。慣性トルクは入力側回転部部材から算出できるので、慣性トルク相当分の圧力を係合完了時の圧力から減ずることによって正確な係合圧を得ることができる。
【0062】
また一方、ロックアップクラッチ3の摩擦係数は、滑り回転数(例えば、エンジン回転数とタービン回転数センサー21で検出された回転数との差)によって変化し、一般的な傾向としては、僅かな滑りが生じている状態での摩擦係数が最大となり、滑り回転数がゼロの状態での摩擦係数は滑りが生じている場合より小さくなる。したがって上記のように過渡的な係合圧を、係合完了時の係合圧として採用する場合には、ロックアップクラッチ3での滑り回転数が異なることによる摩擦係数の相違を係合圧に反映させることが好ましい。具体的には、前記過渡状態での滑り回転数に応じた摩擦係数と、滑り量がゼロの状態での摩擦係数とを求めておき、それらの摩擦係数の比(すなわちμ勾配倍率)で、前記過渡的な係合圧をわり算して係合圧を補正する。このようにして求められた係合圧は、摩擦係数の低下分を補った圧力となるので、より正確なトルクヒューズ制御を実行することができる。
【0063】
さらに、ロックアップクラッチ3の摩擦係数は、油温やオイルの劣化状態などによって変化する。一例として摩擦面に供給される油温が高いほど、摩擦係数が大きくなり、またオイルの使用時間が短い新品よりも、ある程度長期に亘って使用された劣化品による摩擦係数が大きくなる。したがってクラッチを係合させる係合圧は、このような油温や使用時間などの物理量に応じて補正し、その補正した係合圧でロックアップクラッチ3などのトルクヒューズとして機能するクラッチを係合させることが好ましい。このように制御すれば、摩擦係数の変化を反映した制御が可能となり、より正確なトルクヒューズ制御を実行することができる。
【0064】
ここで、上記の具体例とこの発明との関係を簡単に説明すると、図1に示すステップS8の機能的手段が、この発明の学習手段あるいはクラッチ係合圧設定手段に相当し、またステップS10の機能的手段が、この発明の係合手段に相当し、さらにステップS6の機能的手段が、この発明の係合速度制御手段に相当する。そして、ステップS4の機能的手段が、この発明の終了検出手段に相当し、ステップS11およびステップS12の機能的手段が、この発明の係合圧増大手段に相当する。
【0065】
なお、上記の説明では、ロックアップクラッチ3を無段変速機1に対して直列に連結されたクラッチとして説明したが、この発明は上記の具体例に限定されないのであって、発進時に次第に係合させられるいわゆる発進クラッチを、いわゆるトルクヒューズとして機能するクラッチとしてもよく、その場合、そのクラッチは、無段変速機に対して入力側あるいは出力側のいずれに配置されていてもよい。また、この発明は、無段変速機としてベルト式無段変速機以外に、トラクション式無段変速機を採用してもよい。さらに、動力源として内燃機関のみならず、電動機を併用したハイブリッド車、あるいは電動機のみを動力源とした電気自動車などの車両に搭載された無段変速機およびクラッチを対象とする制御装置に適用することができる。したがって、前後進切換機構は必要に応じて設けられていればよい。
【0066】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1の発明によれば、所定の条件が成立した場合に、無段変速機よりもクラッチで先に滑りが生じるように設定されるクラッチの係合圧が、クラッチを解放状態から係合状態に変化させる際に学習されるから、クラッチの係合圧を適正なものにすることができ、また、そのクラッチの係合が、係合圧の学習を目的としないものであってもその係合時を利用して学習をおこなうので、係合圧の学習の機会が増大し、その点でも係合圧の適正化を図ることができる。
【0067】
また、請求項2の発明によれば、所定の条件が成立した場合に、無段変速機よりもクラッチで先に滑りが生じるように設定されるクラッチの係合圧が学習によって得られていれば、その学習による係合圧に基づいてクラッチ圧が設定させられるので、クラッチの係合圧を適正化することができ、またクラッチを解放状態から係合させる場合に、所定の条件の下でクラッチを無段変速機よりも先に滑るように制御することができ、しかもそのようないわゆるトルクヒューズ状態を迅速に設定することができる。
【0068】
さらに、請求項3の発明によれば、解放状態のクラッチを係合させる速度を、係合圧が既に学習されている場合と学習されていない場合とでは異ならせるので、係合圧の学習を適正におこなうことができるとともに、学習値が既に得られている場合には、クラッチを所定の係合圧で迅速に係合させて、制御の不要な遅れを回避することができる。
【0069】
またさらに、請求項4の発明によれば、滑りに対する所定の余裕を付与された係合圧に基づく学習値が得られるので、駆動系統の実際の状態を反映した学習値によって係合圧を補正して、クラッチの滑りに対する伝達トルクのいわゆる余裕量を適正化でき、その結果、無段変速機での挟圧力を滑りを生じない範囲で可及的に低下して、燃費の向上を図ることができる。
【0070】
そして、請求項5の発明によれば、過渡的な要因である慣性トルクを排除した状態に対応したクラッチ係合圧を求めることができ、その結果、係合の緩急による係合圧のばらつきを回避して係合圧を適正化することができる。
【0071】
そしてまた、請求項6の発明によれば、無段変速機のトルク容量を増大させた後に、クラッチのトルク容量を増大させるので、例えばその過渡状態で外乱トルクが入力されても、クラッチに滑りが生じて無段変速機に作用するトルクが制限されるので、無段変速機の滑りを回避もしくは防止することができる。
【0072】
さらにまた、請求項7の発明によれば、クラッチの係合完了時の係合圧に所定の余裕圧を付与した係合圧でクラッチを係合させる場合、係合が判定された際の摩擦係数と最終的に滑りのない状態でクラッチが係合する場合の摩擦係数との相違を考慮してクラッチ係合圧が設定されるので、クラッチ係合圧を過不足がなく適正に設定することができる。
【0073】
そして、請求項8の発明によれば、クラッチの摩擦係数を直接検出することに替えて、その摩擦係数を変化させる要因となる物理量、例えば油温やクラッチの潤滑油の劣化の程度(使用期間)などが採用され、その物理量に基づいてクラッチ係合圧が設定され、その結果、クラッチの係合圧を適正化することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の制御装置による制御の一例を説明するためのフローチャートを示す図である。
【図2】この発明に係る動力伝達装置を搭載した車両の駆動系統および制御系統を模式的に示す図である。
【符号の説明】
1…無段変速機、 3…ロックアップクラッチ、 5…エンジン(動力源)、17…ベルト、 20…駆動輪、 25…変速機用電子制御装置(CVT−ECU)。

Claims (8)

  1. トルク伝達部材を挟み付ける挟圧力に応じて伝達トルク容量が変化する無段変速機に、係合圧に応じて伝達トルク容量が変化するクラッチが直列に連結され、所定の条件が成立している場合に、無段変速機よりも先に前記クラッチに滑りが生じるように前記挟圧力および係合圧を制御する無段変速機の制御装置において、
    前記クラッチを解放状態から係合状態に制御する際に、そのクラッチの係合圧を学習する学習手段を備えていることを特徴とする無段変速機の制御装置。
  2. トルク伝達部材を挟み付ける挟圧力に応じて伝達トルク容量が変化する無段変速機に、係合圧に応じて伝達トルク容量が変化するクラッチが直列に連結され、所定の条件が成立している場合に、無段変速機よりも先に前記クラッチに滑りが生じるように前記挟圧力および係合圧を制御する無段変速機の制御装置において、
    前記所定の条件が成立した際に設定する前記クラッチの係合圧が学習によって既に得られており、かつ前記所定の条件が成立している状態で前記クラッチを解放状態から係合させた後に、前記学習によって得られている係合圧に基づいて前記クラッチを係合させる係合手段を備えていることを特徴とする無段変速機の制御装置。
  3. 前記クラッチを解放状態から係合させる係合速度を、前記係合圧を学習するための係合時と、既に学習によって得られている係合圧に基づいて係合させる係合時とで異ならせる係合速度制御手段を備えていることを特徴とする請求項1または2に記載の無段変速機の制御装置。
  4. 前記学習手段は、前記クラッチが係合する係合圧に予め定めた所定の余裕圧を付与して求められた係合圧に基づく学習値を学習する手段を含むことを特徴とする請求項1に記載の無段変速機の制御装置。
  5. 前記学習手段は、前記クラッチが係合することに伴う所定の回転部材の回転変化に起因する慣性トルクを含まないようにして求められた係合圧に基づく学習値を学習する手段を含むことを特徴とする請求項1、3、4のいずれかに記載の無段変速機の制御装置。
  6. 前記クラッチが係合する係合圧に所定の余裕圧を付与した係合圧で前記クラッチを係合させる制御の終了条件が成立したことを検出する終了検出手段と、
    この終了検出手段によって前記終了条件が成立したことが検出された場合に、前記無段変速機のトルク容量を増大させた後に前記クラッチの係合圧を前記滑りが生じないように増大させる係合圧増大手段と
    を備えていることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の無段変速機の制御装置。
  7. 前記クラッチの係合圧を、前記クラッチが係合する際のクラッチ摩擦係数と滑りのない完全係合時のクラッチ摩擦係数との相違に基づいて設定するクラッチ係合圧設定手段を備えていることを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の無段変速機の制御装置。
  8. 前記クラッチ係合圧設定手段は、前記クラッチ摩擦係数を変化させる要因となる物理量に基づいて前記係合圧を設定する手段を含むことを特徴とする請求項7に記載の無段変速機の制御装置。
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