JP2004100645A - シリンダブロック - Google Patents
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Abstract
【解決手段】軽合金製ブロック基体1のボア内面2に金属材料を溶射して溶射層3を形成した後、この溶射層4の表面をホーニング加工により仕上げて摺動面4とするシリンダブロックにおいて、溶射条件およびホーニング加工条件を調整することにより、摺動面4のピット面積率Spを5〜14%の範囲に収めると共に、有効負荷粗さRkと初期摩耗高さRpkとの和で表わされる表面粗さ[Rk+Rpk]を0.9μm以下にする。ピット面積率Spを5〜14%の範囲に収めたことにより、摺動面内のピットのオイル保持能が十分となって耐スカッフィング性が向上し、また、表面粗さ[Rk+Rpk]を0.9μm以下としたので、摩擦係数が十分に低い値となり、燃費も向上する。
【選択図】 図2
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、内燃機関用シリンダブロックに係り、より詳しくはボア内面に溶射層を設けた軽合金製シリンダブロックに関する。
【0002】
【従来の技術】
アルミニウム合金、マグネシウム合金等の軽合金からなるシリンダブロックは、従来一般には、軽合金製のブロック基体に鋳鉄ライナーを鋳包みまたは圧入し、該鋳鉄ライナーにより必要な耐摩耗性、耐スカッフィング性、摺動特性等を確保したライナー一体型構造となっていた。しかし、この種のライナー一体型のシリンダブロックにおいては、ブロック基体に対する鋳鉄ライナーの密着が不十分で、両者の熱膨張係数が異なることもあって、使用中、両者の間に部分的な剥離が生じ易く、これに起因してボアの真円度が悪化し、そのまま放置するとオイル(潤滑油)の消費量が増大することになる。そこで従来は、ピストンリングとして張力の大きいものを使用して前記真円度の悪化に対処していたが、このような対策によれば、ボア内面(摺動面)とピストンリングとの間の摩擦抵抗が増大し、燃費の悪化が避けられないようになる。
なお、一部では、鋳鉄ライナーの内表面に溶射層を形成した後、これを硫化剤を含む中性塩浴中に浸漬して、その内表面または気孔内に浸硫層を形成することが行われているが(例えば、特許文献1)、この場合でも、上記したボアの真円度悪化を避けることはできず、根本的な解決には至らない。
【0003】
ところで最近、軽合金製ブロック基体のボア内面に溶射層を積層形成して、鋳鉄ライナーを省略した、いわゆるライナーレスのシリンダブロックの開発が推し進められており、例えば、特許文献2には、軽合金製ブロック基体のボア内面に、モリブデン粉末と鋼粉末との混合粉末をプラズマ溶射して溶射層を積層形成し、この溶射層の表面をホーニング加工により仕上げて摺動面を構成したシリンダブロックが記載されている。この公報に記載のシリンダブロックによれば、溶射層にもともと存在する気孔やホーニングにより新たに生じた微小凹部などがオイルを保持するピット(オイルピット)として機能し、鋳鉄ライナーと同等の耐スカッフィング性を有するものとなる。
なお、鋳鉄製シリンダブロックの分野では、従来よりライナーレスのものがあるが、このものでは、例えば、摺動面の表面粗さ、特に十点平均粗さRz、負荷長さ率tpおよび有効負荷粗さRkとを一定範囲に収めることにより、耐スカッフィング性の向上と摩擦抵抗の低減とを図ることを行っている(特許文献3)。
【0004】
【特許文献1】
特開昭63−195255号公報
【特許文献2】
特表平11−515057号公報
【特許文献3】
特開2002−138896号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記した特表平11−515057号公報に記載の軽合金製シリンダブロックによれば、摺動面に形成されるオイルピットの面積率(ピット面積率)について、特別の規定を設定していないため、ピット面積率が小さすぎる場合はオイルの保持量が不足して早期にスカッフィングが発生し、逆にピット面積率が大きすぎる場合は、オイル燃焼によるオイル消費量の増加や摩擦係数の増大による燃費低下が避けられず、耐久性、経済性の面で問題を残すこととなる。なお、この軽合金製シリンダブロックにおいて、その摺動面の表面粗さを、上記特開2000−138896号公報に記載のもののように規定することにより、摩擦係数をある程度下げることが可能になるが、十点平均粗さRz、負荷長さ率tpおよび有効負荷粗さRkの値では、山側の平滑度を正確に表す指標となり得ず、摩擦係数を一定レベル以下(鋳鉄ライナー以下)にすることは困難である。
本発明は、上記した従来の問題点に鑑みてなされたもので、その課題とするところは、摩擦係数および耐スカッフィング性の面で十分に満足する摺動面を備え、もって燃費向上と耐久性の向上とに大きく寄与するシリンダブロックを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明は、ボア内面に積層形成された溶射層の表面をホーニング加工により仕上げて摺動面を構成した内燃機関用シリンダブロックにおいて、前記摺動面は、ピット面積率Spが5〜14%の範囲にあり、かつ有効負荷粗さRkと初期摩耗高さRpkとの和で表わされる表面粗さ[Rk+Rpk]が0.9μm以下であることを特徴とする。
このようなシリンダブロックにおいては、摺動面のピット面積率Spが5〜14%の範囲にあるので、オイルの保持能は十分となり、また、表面粗さ[Rk+Rpk]が0.9μm以下となっているので、摩擦係数も十分に低いレベルとなる。
本発明においては、上記摺動面に、硫黄リッチ層を形成するようにしてもよい。
さらに、本発明においては、下記(1)式で表わされるY値が、14以上である構成とすることができる。
Y=1.36×Sp−8.8×Pc(1〜2)+0.083×H−13.3 … (1)
ただし、Sp:摺動面のピット面積率(%)
Pc:摺動面における深さ1μm以上2μm未満の10mm当りピークカウント
H :摺動面の表面硬さ(Hv)
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を説明する。
本発明に係る内燃機関用シリンダブロックは、図1および2に示すように、アルミニウム合金、マグネシウム合金等の軽合金製のブロック基体1のボア内面2に溶射層3を設けてなっている。この溶射層3の表面は、ホーニング加工により仕上げられて摺動面4として構成されており、この摺動面4を含む表層部には、溶射およびホーニング加工に際して形成されたピット5とホーニング加工に際して形成されたクロス状のホーニング傷6とが多数存在している。なお、ホーニング傷6の深さは、一般にピット5に比べて浅く(通常、2μm以下)、その一部は、ピット5同士を短絡する状態で存在している。
【0008】
本シリンダブロックにおいて、上記溶射層3を形成する金属材料の種類は任意であるが、耐摩耗性、耐スカッフィング性の向上を図るには、硬質の溶射層3を形成する金属材料を選択するのが望ましい。このような金属材料としては、炭素鋼、合金鋼等の鉄系材料を始め、クロム、モリブデン、タングステン等を含む非鉄系材料があるが、経済性を考慮すれば、0.4〜1.3%Cを含む中乃至高炭素鋼を選択するのが有利である。また、この溶射層3の厚さも任意であるが、摩耗および経済性を考慮すれば、0.08〜0.2mm(完成品)程度とするのが望ましい。
【0009】
しかして、本シリンダブロックは、その摺動面4におけるピット5のピット面積率Spが5〜14%の範囲にあり、かつ有効負荷粗さRkと初期摩耗高さRpkとの和で表わされる摺動面の表面粗さ[Rk+Rpk]が0.9μm以下となるように仕上げられている。
上記ピット面積率Spはオイル保持能に直接影響し、これが小さすぎる場合は、オイルの保持量が不足して早期にスカッフィングが発生し、逆に大きすぎる場合は、オイル燃焼によるオイル消費量の増加や摩擦係数の増大による燃費低下が避けられず、耐久性、経済性の面で問題を生じる。本シリンダブロックは、このピット面積率Spを上記した範囲5〜14%に収めているので、耐スカッフィング性は十分となり、しかも、オイル消費量の増加や燃費低下を招くことがない。
一方、上記[Rk+Rpk]で表される表面粗さは、山側の平滑度を正確に表す指標となり、上記したようにこの値を0.9μm以下に抑えることで、本シリンダブロックの摺動面4の摩擦係数は鋳鉄ライナー以下となり、燃費が向上する。
【0010】
本シリンダブロックはまた、前記摺動面4にFeSO4、FeSx等のFe硫化物層(硫黄リッチ層)を形成するようにしてもよく、この場合は、耐スカッフィング性がより一層向上する。
本シリンダブロックはさらに、前記(1)式{Y=1.36×Sp−8.8×Pc(1〜2)+0.083×H−13.3}で表わされる摺動面4のY値が、14以上である構成とすることができる。このY値は、実際のスカッフィング時間とぼぼ一致し、所望の耐スカッフィング性を得るための指標となる。この(1)式に従えば、耐スカッフィング性は、ピット面積率Spが大きく、1μm以上2μm未満のピークカウントPc(1〜2)が少なく、表面硬さHが高いほど良好になるが、Y値の14は、汎用の鋳鉄ライナーのスカッフィング時間(分)であり、したがって、このY値を14以上にすることで、鋳鉄ライナーと同等以上の耐スカッフィング性を確保できることになる。
【0011】
本シリンダブロックを製造するには、上記した軽合金製のブロック基体1のボア内面2に溶射した後、ホーニング加工により表面を仕上げるが、上記ピット面積率Spは、溶射に際して溶射層に形成される気孔の割合並びにその後のホーニング加工による溶射層からの粒子脱落の程度により決まるので、製造に際しては、ピット面積率Spが前記した範囲5〜14%に収まるように、溶射条件並びにホーニング加工条件を調整する。この場合、ホーニング傷6が深く現われると、ピット5同士を短絡するホーニング傷6を介してピット5内のオイルが流出する機会が増すので、ホーニング加工に際しては、ホーニング傷6の深さができるだけ浅くなるように、望ましくは0.1 μm未満となるようにホーニング加工条件を調整する。
【0012】
ここで、ボア内面に対する溶射方法は任意であり、例えば、粉末を溶射材とするプラズマ溶射を用いることができる。この溶射による溶射層の厚さは、上記した最終的に必要とする溶射層3の厚さ(0.08〜0.2mm)と後のホーニング加工による取代を考慮して決定する。
また、上記ホーニング加工方法も任意であるが、荒ホーニング、中ホーニング、仕上ホーニングを順に行うのが望ましい。また、必要により最終的にプラトーホーニングを行うようにしてもよい。
このホーニング加工に際しては、クーラントとして、硫黄分を0.3%以上含むものを用いるようにしてもよく、このようなクーラントを用いることで、摺動面にFeSO4、FeSx等のFe硫化物層(硫黄リッチ層)が形成される。
なお、摺動面4の表面硬さHは、選択する溶射材料の種類のほか、粉末供給量、粉末の加熱温度、飛行速度、溶射ガンの移動速度等により変化するので、できるだけ硬い溶射層が得られるようにこれらの条件を調整するのが望ましい。
【0013】
【実施例】
実施例1
ボア径82mmを有するアルミニウム合金製ブロック基体を対象に、そのボア内面をショットブラストにより前処理した後、エアブローにてブラスト塵を除去した。次に、このブロック基体をプラズマ溶射装置内にセットし、回転式プラズマ溶射ガンにて、1.0%Cを含む高炭素鋼粉末を溶射材として用いて溶射を行い、ボア内面に厚さ約0.1mm、気孔率2〜3%、硬さHV約380の溶射層を積層形成した。
次に、上記溶射を終えたブロック基体のボア入口の面取り加工(C=0.5)を行い、その後、これをホーニング加工装置(トランスファホーニング機)にセットして、表1に示す条件で溶射層表面(ボア内面)のホーニング加工を行い、表面性状の異なる複数のシリンダブロックを完成させた。
【0014】
【表1】
【0015】
そして、完成した各シリンダブロックから試験片を採取し、それぞれの試験片について表面粗さとピット面積率とを測定し、その後、これら試験片を摩擦試験に供した。摩擦試験は、図3に示すように、試験片11の摺動面12にピストンリング(窒化リング)13を980MPaの圧力で押付け、摺動面12にノズル14からオイル(10W30ベースオイル)を滴下しながら、ピストンリング13を300サイクル/分で摺動させる条件で行った。
【0016】
図4は、上記摩擦試験の結果を、JIS B0601−1994において規定される有効負荷粗さRkと初期摩耗高さRpkとの和で表わされる表面粗さ[Rk+Rpk]で整理して示したものである。なお、同図には、汎用の鋳鉄ライナーと、ボア内面を鏡面に仕上げた特殊鋳鉄ライナーと、従来の溶射品の結果を併記している。同図に示す結果より、摺動面の平均摩擦係数μと表面粗さ[Rk+Rpk]との間には密接な相関があり、平均摩擦係数μは表面粗さ[Rk+Rpk]の増大に従って直線的に増加している。また、本実施例で得られた溶射品(本溶射品)の摩擦係数μは、鋳鉄ライナーの一般的な摩擦係数0.084よりも十分に低いレベルにある。さらに、摺動面の摩擦係数を、汎用の鋳鉄ライナーの一般的なレベルL1と同等かそれより低い摩擦係数μとするには、前記表面粗さ[Rk+Rpk]を0.9 μm以下に抑える必要があることが明らかである。
【0017】
図5は、同じく摩擦試験の結果を、ピット面積率Spで整理して示したものである。同図に示す結果より、摺動面の平均摩擦係数μとピット面積率Spとの間には密接な相関があり、平均摩擦係数μはピット面積率Spの拡大に従って増加している。また、摺動面の摩擦係数を、汎用の鋳鉄ライナーの一般的なレベルL1(μ=0.084)と同等かそれよりも低くするには、ピット面積率Spを14%以下に抑える必要がある、といえる。
【0018】
実施例2
実施例1で得られた各試験片11を、図3に示したと同様の摩擦試験に供し、事前に摺動面12にオイルを塗布する以外は、実施例1と同様の条件で耐スカッフィング評価試験を行い、スカッフィング発生まで時間(スカッフ時間)Tを最大30分まで測定した。
図6は、この耐スカッフィング評価試験の結果をピット面積率で整理して示したもので、これより、汎用の鋳鉄ライナーの一般的なレベルL2(T=約14分)と同等かそれ以上の耐スカッフィング性を求めるならば、摺動面におけるピット面積率を5%以上にする必要がある、といえる。
【0019】
実施例3
実施例1で用いたアルミニウム合金製ブロック基体を対象に、摺動面におけるピット面積率Spが5〜14%の範囲にあり、かつ有効負荷粗さRkと初期摩耗高さRpkとの和で表わされる摺動面の表面粗さ[Rk+Rpk]が0.9μm以下となるように、ボア内面に対する溶射条件とホーニング加工条件とを変更して実施例1と同様の溶射およびホーニング加工を行い、表面性状の異なる25種類のシリンダブロックを完成させた。そして、各シリンダブロックから3つの試験片を採取し、それぞれの試験片について表面粗さとピット面積率とを測定し、その後、実施例2と同様の耐スカッフィング評価試験を行った。
【0020】
表2は、上記耐スカッフィング評価試験の結果を、表面粗さおよびピット面積率とともに示したものである。表中、Raは算術平均粗さ、Pc(1〜2)は、深さ1μm以上2μm未満の10mm当りピークカウント、Rkは有効負荷粗さ、Rpkは初期摩耗高さ、Spはピット面積率、Hは表面硬さ、Tはスカッフ時間をそれぞれ表している。なお、表中の数値は、各シリンダブロックから採取した3つの試験片の平均値である。また、表には、説明の便宜のため、一部を省略して示している。
【0021】
【表2】
【0022】
本実施例3においては、上記表2に示すデータについて重回帰分析を行い、耐スカッフィング性の指標である前記(1)式を確立し、このY値{Y=1.36×Sp−8.8×Pc(1〜2)+0.083×H−13.3}と実際のスカッフ時間Tとの相関を調査した。図7は、その結果を示したもので、実際のスカッフ時間Tと前記Y値との間には密接な相関が認められ、両者はほぼ1:1で対応している。すなわち、このY値は、計算上のスカッフィング時間を表しており、したがって、汎用の鋳鉄ライナーの一般的なスカッフ時間のレベルL2(T=約14分)と同等かそれ以上の耐スカッフィング性を求めるならば、このY値を14以上にする必要がある、といえる。
【0023】
実施例4
実施例1で用いたアルミニウム合金製ブロック基体を対象に、摺動面におけるピット面積率Spが2〜16%の範囲にあり、かつ有効負荷粗さRkと初期摩耗高さRpkとの和で表わされる摺動面の表面粗さ[Rk+Rpk]が0.9μm以下となるように、ボア内面に対する溶射条件とホーニング加工条件とを設定して、実施例1と同様に溶射およびホーニング加工を行い、特にホーニング加工に際しては、表3に示すように硫黄(S)含有量の異なる2種類のクーラントを使用し、2種類のシリンダブロックA,Bを完成させた。そして、各シリンダブロックA,Bから試験片を採取し、それぞれの試験片について、マイクロオージェ分析試験とXPS分析試験とを行い、さらに実施例2と同様の耐スカッフィング評価試験を行った。なお、ホーニング加工で用いる砥石中にもSが存在するので、表3には、荒ホーニング、中ホーニング、仕上げホーニング、プラトーホーニングで用いた各砥石中の硫黄濃度も併記している。
【0024】
【表3】
【0025】
図8は、マイクロオージェ分析試験を示したもので、硫黄分の多い(0.91%)クーラントを用いてホーニングを行ったシリンダブロックBは、硫黄分の少ない(0.11%)クーラントを用いてホーニングを行ったシリンダブロックAに比べて、表層部の硫黄濃度が著しく高くなっている。また、XPS分析試験の結果、摺動面12(図3)の表面にFeSO4、FeSx等のFe硫化物層の存在が認められた。
図9は、耐スカッフィング評価試験の結果を表面硫黄濃度と表面ピット面積率とで整理して示したものである。これより、硫黄分の多い(0.91%)クーラントを用いてホーニングを行ったシリンダブロックBは、表面ピット面積率Spが同等レベルでも、硫黄分の少ない(0.11%)クーラントを用いてホーニングを行ったシリンダブロックAに比べて、スカッフ時間Tが大幅に延びており、表面硫黄濃度が耐スカッフィング性の向上に大きく寄与することが明らかとなった。なお、硫黄分の少ない(0.11%)クーラントを用いてホーニングを行ったシリンダブロックA内の比較では、実施例2におけると同様にピット面積率Spが高くなるほど、スカッフ時間Tが延びている。
【0026】
実施例5
ホーニング加工で用いるクーラントとして、硫黄分が0.2%、0.31%、0.51%、0.72%と異なる4種類のクーラントを選択する以外は、実施例4と同様の条件でシリンダブロックを完成させ、各シリンダブロックから採取した試験片について、実施例2と同様の耐スカッフィング評価試験を行い、スカッフ時間Tを最大30分まで測定した。なお、比較のため、汎用の鋳鉄ライナーについても、前記のように硫黄分の異なるクーラントを用いてホーニング加工を行い(プラトーホーニングは省略)、同様の耐スカッフィング評価試験を行った。
図10は、上記耐スカッフィング評価試験の結果をクーラント中の硫黄濃度で整理して示したものである。同図に示す結果より、本実施例で得られた溶射品(本溶射品)は、クーラント中の硫黄濃度の上昇に従ってスカッフ時間Tが延びているのに対し、汎用の鋳鉄ライナー(Ra0.35)のスカッフ時間Tは、クーラント中の硫黄濃度によらずほぼ一定となっている。鋳鉄ライナーが硫黄濃度の影響をほとんど受けないのは、平滑面が少なく、面の接触割合が少ないため、と推定される。また、本溶射品の中では、ピット面積率Spが大きい(7%)ものの方が、ピット面積率Spの小さい(2%)ものよりも、スカッフ時間Tが延びている。
【0027】
【発明の効果】
以上、説明したように、本発明に係るシリンダブロックによれば、ボア内面に形成された溶射層表面のピット面積率および表面粗さを規定することで、耐スカッフィング性および摩擦係数を、鋳鉄ライナーと同等レベル以上の水準にすることができ、燃費の向上と耐久性の向上とに大きく寄与するものとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るシリンダブロックの表面状態を示す顕微鏡写真である。
【図2】本シリンダブロックの摺動面を含む表層部の状態を模式的に示す断面図である。
【図3】本発明の実施例で行った摩擦試験の実施状態を示す模式図である。
【図4】摩擦試験の結果を表面粗さ[Rk+Rpk]で整理して示すグラフである。
【図5】摩擦試験の結果をピット面積率Spで整理して示すグラフである。
【図6】耐スカッフィング評価試験の結果をピット面積率Spで整理して示すグラフである。
【図7】計算上のスカッフィング時間であるY値と実際のスカッフィング時間との関係を示す示すグラフである。
【図8】硫黄分の異なるクーラントを用いてホーニング加工を行って場合の摺動面における硫黄濃度を示すグラフである。
【図9】スカッフィング時間に及ぼす摺動面の硫黄濃度の影響を示すグラフである。
【図10】スカッフィング時間に及ぼすクーラントの硫黄濃度の影響を示すグラフである。
【符号の説明】
1 ブロック基体
2 ボア内面
3 溶射層
4 摺動面
5 ピット
6 ホーニング傷
Claims (3)
- ボア内面に積層形成された溶射層の表面をホーニング加工により仕上げて摺動面を構成した内燃機関用シリンダブロックにおいて、前記摺動面は、ピット面積率Spが5〜14%の範囲にあり、かつ有効負荷粗さRkと初期摩耗高さRpkとの和で表わされる表面粗さ[Rk+Rpk]が0.9μm以下であることを特徴とするシリンダブロック。
- 摺動面に、硫黄リッチ層を形成したことを特徴とする請求項1に記載のシリンダブロック。
- 下記式で表わされるY値が、14以上であることを特徴とする請求項1または2に記載のシリンダブロック。
Y=1.36×Sp−8.8×Pc(1〜2)+0.083×H−13.3
ただし、Sp:摺動面のピット面積率(%)
Pc:摺動面における深さ1μm以上2μm未満の10mm当りピークカウント
H :摺動面の表面硬さ(HV)
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