JP2004099515A - 毛髪処理剤に対する皮膚保護剤組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】延びがよく皮膚等への塗布が容易であり、染毛後における洗浄も容易であり、また、洗浄後におけるベタツキもなく、かつ、皮膚に対する染色防止効果力が高く、高温時においても安定な皮膚保護剤組成物の提供。
【解決手段】ワセリン、流動パラフィンおよびオイルゲル化剤を含有することを特徴とする毛髪処理剤に対する保護剤。
【選択図】    なし

Description

【0001】
【発明が属する技術分野】
本発明は、毛髪処理剤に対する皮膚保護剤組成物、特に染毛前に頭皮、額、首筋、耳等の頭髪周辺部の皮膚に塗布することにより、染毛剤による皮膚の染色を防止する皮膚保護剤組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
美容室等において、酸性染毛剤や酸化染毛剤などにより染毛を行う際には、刷毛で染毛剤を頭髪に塗布することが一般的に行われている。しかしながら、この際に刷毛につけた染毛剤が皮膚に垂れ落ちたり、襟足や頭髪の生え際等を染める際に毛髪だけでなくその部分の皮膚にまで染毛剤が付着して、皮膚染着が生ずる等の問題がある。
皮膚が染毛剤により染着された場合には、せっけん等では容易に洗い落とすことは不可能であり、染毛剤が付着したままにしておくと、皮膚の炎症を引き起こす惧れもあり、また、外観的にも問題となる。
【0003】
従来これらの問題を防止するために予め染毛前に、ワセリンや液状の鉱物油そのもの、または油性成分を含む乳液、クリーム等が使用されていた。しかしながら、ワセリンで対応した場合には延びが悪く肌に塗布しにくい欠点を有するばかりでなく、施術後に水で洗い流しても落ちにくく、流した後でもべたついて不快感が残り、さらに、剤としてのワセリン自体が高温において不安定である。また、液状の鉱物油で対応した場合には、垂れ流れるという欠点を有する。一方、水分を含む乳液やクリームの場合には、染毛剤による皮膚の染着を完全に防ぐことは不可能である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、延びがよく皮膚等への塗布が容易であり、染毛操作後における洗浄も容易であり、また、洗浄後におけるベタツキもなく、かつ、皮膚に対する染色防止効果力が高いために皮膚刺激性も少なく、高温時においても安定な皮膚保護剤組成物を提供することを目的とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は前記課題を、ワセリンおよび流動パラフィンを含有することを特徴とする毛髪処理剤に対する皮膚保護剤組成物を提供することにより解決することができた。
すなわち、本発明の皮膚保護剤組成物はワセリンおよび流動パラフィンを併用して含有させることにより、該皮膚保護剤組成物を頭髪周辺部の皮膚に塗布した場合、該塗布部分を染毛時に効果的に染色を防止できるだけでなく、染毛後においては前記皮膚に塗布した皮膚保護剤組成物を水洗等によって簡単に流し落とすことができるという優れた効果を発揮できるものである。
【0006】
ワセリン(好ましくは白色ワセリン)は化粧用ワセリンとして通常用いられているもので、例えば炭素数15〜30のイソパラフィンが主体で少量のノーマルパラフィンを含有するものが挙げられる。
ワセリンの配合量は、皮膚保護剤組成物に対して20重量%から90重量%、好ましくは30重量%から70重量%、特に40重量%から55重量%が好ましい。
【0007】
本発明で用いる前記流動パラフィンも、化粧品用流動パラフィンとして通常用いられているものが用いられ、例えば炭素数15〜30のノーマルパラフィンの混合物が挙げられる。
流動パラフィンの配合量は、皮膚保護剤組成物に対して5重量%から70重量%、好ましくは、7重量%から50重量%であり、特に好ましくは10重量%から25重量%である。
また、本発明においては、重質(345saybolt/sec.38.7℃)および軽質(65〜75saybolt/sec.38.7℃)の何れも使用することができるが、流動性や潤滑性の面から軽質流動パラフィンが好ましい。
【0008】
前記流動パラフィンとワセリンの配合比、即ち流動パラフィン/ワセリンは、0.01から3.0であり、好ましくは0.05から2.0であり、0.1から1.0が特に好ましい。
【0009】
本発明の皮膚保護剤組成物は、通常、前記ワセリンとパラフィンを主成分として、ワセリンおよび流動パラフィン以外の他の炭化水素類、ノニオン界面活性剤、ロウ類、オイルゲル化剤、防腐剤等の配合剤を配合することができる。
特にオイルゲル化剤および/またはノニオン界面活性剤を配合することにより、以下に記載するように、さらに本発明の皮膚保護剤組成物はその特性が改良される。
【0010】
前記のように本発明の皮膚保護剤組成物は前記ワセリンとパラフィンの両者が配合されることにより、使用時の延びの良さ、洗い落とし時の落としやすさ、および高い染色防止効果などの優れた効果を奏することができるが、前記ワセリンと流動パラフィンの両者が配合されることにより、高温、例えば40℃以上の温度においては熱安定性に欠け、粘度の低下、液状化というような現象が生じることがある。
【0011】
本発明の特徴は、さらに、前記の熱安定性の問題を解決した皮膚保護剤組成物を提供したことにある。
すなわち、本発明は前記のようなワセリンとパラフィンの両者が配合された皮膚保護剤組成物に、オイルゲル化剤を含有させることにより、高温、例えば40℃以上の温度においても、該保護剤組成物が粘度の低下をきたし液状化するという現象が生じ難い前記の熱安定性の問題を解決した皮膚保護剤組成物を提供することができた。
【0012】
前記オイルゲル化剤としては、例えば溶剤や油をゲル化できる低分子化合物を代表的に挙げることができる。このようなオイルゲル化剤としては、具体的には、デキストリン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ヒドロキシステアリン酸等を挙げることができる。
前記デキストリン脂肪酸エステルとしては、例えばレオパールTT〔(パルミチン酸/オクタン酸)デキストリン〕、レオパールMKL〔ミリスチン酸デキストリン〕、レオパールKL〔パルミチン酸デキストリン〕(いずれも商品名:千葉製粉株式会社製)が挙げられる。
また、グリセリン脂肪酸エステルとしては、例えばベヘン酸、エイコサン二酸とグリセリンからなるオリゴマーエステルであるノムコート HK−G(商品名:日清製油株式会社製)が挙げられる。
【0013】
ただし、本発明で用いるオイルゲル化剤は、本発明の皮膚保護剤組成物の系をゲル化する目的のために用いるものではなく、ワセリンとパラフィンの両者の熱安定性の問題を解決するために熱安定剤として使用されるものであって、このような観点からオイルゲル化剤の種類および/または使用量が決定される。したがって、本発明で用いるオイルゲル化剤は、前記のような特定のものに限定されるものではなく、皮膚保護剤組成物の系をゲル化することなく前記のような本発明の皮膚保護剤組成物の熱安定性を改善できるものであれば、任意のオイルゲル化剤が使用可能である。
【0014】
前記オイルゲル化剤の配合量は、皮膚保護剤組成物全体に対して0.5重量%から5.0重量%、好ましくは、1.0重量%から2.5重量%であり、さらに好ましくは、1.5重量%から2.0重量%である。0.5重量%より少ない場合には、高温で不安定となり目的を達成できず、また、5.0重量%より多い場合には、外観上に問題が生じる場合があり、また、本発明の皮膚保護剤組成物は剤型としてクリーム状のものが好ましいが、クリーム自体のなめらかさが失われ不都合である。
【0015】
本発明皮膚保護剤組成物は、さらにノニオン界面活性剤を含有させることにより、特に該皮膚保護剤組成物を洗い流した後のべたつきを改善した皮膚保護剤組成物を提供することができた。
すなわち、前記のワセリン及び流動パラフィンを主成分とした皮膚保護剤組成物、さらには該皮膚保護剤組成物にオイルゲル化剤を配合した皮膚保護剤組成物に、ノニオン活性剤を含有させることにより、前記皮膚保護剤組成物を洗浄して除去した後のべたつきを抑えることができる皮膚保護剤組成物が得られる。
【0016】
前記ノニオン界面活性剤は皮膚保護剤組成物全体に対して3.0重量%から50.0重量%、好ましくは10.0重量%から40.0重量%、さらに好ましくは15.0重量%から25.0重量%である。3.0重量%より少ない場合には、水洗時の洗い流しにくさと洗浄後のべたつきの原因となり目的を達成できず、50.0重量%より多い場合には、他の有効成分の配合量が減ることになるため完全な脱色防止効果がのぞめず不都合である。
【0017】
ノニオン界面活性剤の中でも、エーテル・エステル型のノニオン界面活性剤、特にポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、あるいはエステル型のノニオン界面活性剤、特にグリセリン脂肪酸エステルが好ましい。また、前記エーテル・エステル型のノニオン界面活性剤とエステル型のノニオン界面活性剤の両者を配合したノニオン界面活性剤も好ましい。
【0018】
前記本発明の前記各皮膚保護剤組成物の剤型は、塗布時の操作性、即ち、指に取り易く、頭皮等に塗り易く、かつ、塗布後において垂れ落ちし難い等の面からクリーム状とすることが好ましく、特に無水油系のクリームが好ましい。
【0019】
【実施例】
以下、本発明を実施例に基づき、さらに具体的に説明する。
なお、表中の数値は重量%を表す。
実施例1
表1に表す配合量により、その全成分を85℃以上に加熱して溶解した後、35℃まで撹拌しながら冷却し、皮膚保護剤を得た。
その結果を下表1に併記する。
【0020】
実施例2〜4
表1に記載の配合量により、実施例1と同様にして、毛髪処理剤に対する皮膚保護剤を得た。その結果を下表1に併記する。
【0021】
比較例1〜4
表2に示す配合量により実施例と同様にして毛髪処理剤に対する皮膚保護剤を得た。その結果を下表2に併記する。
上記の実施例および比較例により得られた皮膚保護剤について以下の方法により比較評価した。
【0022】
評価方法
上記で調製した本発明皮膚保護剤(実施例1〜4)、及び(比較例1〜4)をそれぞれ0.1g秤量し、下腕部に2cm×2cmの範囲で塗布し、その部分と皮膚保護剤の未塗布部分に酸化染毛剤を均一に塗布した。
染毛剤を塗布してから室温にて30分経過後、皮膚保護剤および酸化染毛剤を水洗により除去し、保護剤塗布部分と、未塗布部分とを比較評価した。
なお、酸化染毛剤は、1剤としてウエラ社 コレストンパーフェクト1/0、及び2剤としてウエラ社 ウエロキソンハーバル6%を1:1に調製し、使用した。
【0023】
染着防止効果についての評価は以下のとおりとした。
(判定基準)
○…染着がほとんど無く、ほぼ完全に染着防止効果が認められる。
△…染着はやや少なく、かなり染着防止効果が認められる。
×…ひどく染着しており、ほとんど染着防止効果が認められない。
【0024】
水洗における流去効果についての評価は以下のとおりとした。
(判定基準)
○…保護剤が水洗によって完全に洗い流され、その結果べたつきがない。
△…保護剤が水洗によってやや洗い流れ難く、べたつきが感じられる。
×…保護剤が水洗によっても流れ難く、その結果べたつきが強く感じられる
【0025】
40℃においての安定性についての評価は以下のとおりとした。
(判定基準)
○…保護剤の粘度が低下したり液状化することがない。
△…保護剤の粘度がやや下がる程度でほとんど液状化しない。
×…保護剤の液状化がみられる。
【0026】
【表1】
Figure 2004099515
【0027】
【表2】
Figure 2004099515
【0028】
【発明の効果】
本発明により、(1)のびが良く塗りやすい、(2)水で洗い流しやすく、かつ、洗い流した後のべたつきがなく、(3)高温安定性が高く、(4)皮膚刺激性も少なく、かつ、(5)皮膚への染色防止効果が高い染毛剤に対する皮膚保護剤組成物が提供された。

Claims (6)

  1. ワセリンおよび流動パラフィンを含有することを特徴とする毛髪処理剤に対する皮膚保護剤組成物。
  2. 剤型がクリーム状であることを特徴とする請求項1に記載の皮膚保護剤組成物。
  3. オイルゲル化剤を含有することを特徴とする請求項1または2に記載の皮膚保護剤組成物。
  4. オイルゲル化剤が、デキストリン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステルおよびヒドロキシステアリン酸よりなる群から選ばれた少なくとも一種であることを特徴とする請求項3に記載の皮膚保護剤組成物。
  5. ノニオン活性剤を含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の皮膚保護剤組成物。
  6. 毛髪処理剤が染毛剤であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の皮膚保護剤組成物。
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