JP2004099277A - エレベータガイドレールの固定装置及びその固定方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ガイドレール3の背面に当接するレールブラケット2と、レールブラケット2の前面に当接する基部4d、及びガイドレール3の前面に当接する当接部4cからなるレールクリップ4と、レールクリップ4及びレールブラケット2を締結するボルト5とを備え、座金7の介設によりボルト5の締付け部5aがレールクリップ4の当接部4cより前方へ突出している。これによって、電動締付け工具9がレールクリップ4の当接部4cと干渉しない位置に配置される。
【選択図】 図1
Description
【発明が属する技術分野】
本発明は、エレベータガイドレールの固定装置及びその固定方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般にエレベータにおいて、乗かご及びつり合いおもりをガイドするガイドレールが昇降路内に立設され、その立設方向の複数箇所にて固定装置によりガイドレールが昇降路に固定されている。
【0003】
従来、例えば実開昭52‐150168号公報に開示されているように、ガイドレールを挟圧保持する締結具を有し、この締結具の締結作業を手動工具にて行いガイドレールを昇降路に固定するエレベータガイドレールの固定装置が提案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述した従来技術では、締結具の締結作業が手動工具によるため、作業者に多くの負担を掛けるという問題があり、特に、高階床のエレベータになると多数の固定装置の締結作業が必要となることから、上記の作業上の問題が顕著である。
【0005】
なお、上記の締結作業の効率向上のため従来のガイドレール固定装置に電動締付け工具を用いようとする場合、この電動締付け工具が固定装置の締結具に干渉するため、電動締付け工具の使用ができないという不都合がある。
【0006】
本発明は、上記した従来技術における実情に鑑みてなされたものであり、その第1の目的は、電動締付け工具を用いて容易に締結具の締付け作業を行うことができ、作業者の負担を軽減することのできるエレベータガイドレールの固定装置を提供することにある。
【0007】
また、本発明の第2の目的は、電動締付け工具による締付けトルクの管理を容易にかつ確実に行うことができ、ガイドレール固定装置を固定する際に現場の作業効率を向上させることのできるエレベータガイドレール固定装置の固定方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記第1の目的を達成するため、本発明の請求項1に係る発明は、昇降路内を昇降する乗かご及びつり合いおもりをガイドするよう立設されるエレベータガイドレールの固定装置において、前記昇降路に取付けられ、所定間隔を置いて左右一対のブラケット貫通穴を有し前記ガイドレールの背面に当接するレールブラケットと、このレールブラケットの前面に当接し前記ブラケット貫通穴と略同一芯を有するクリップ貫通穴が設けられる基部、及びこの基部より延設され前記ガイドレールの前面に当接する当接部からなる一対のレールクリップと、前記クリップ貫通穴及びブラケット貫通穴に挿入され、前記レールクリップ及びレールブラケットを締結する一対の締結具と、この一対の締結具の締付け部と前記レールクリップの基部間に介設されるスペーサとを備え、このスペーサの介設により前記締結具の締付け部が前記レールクリップの当接部より前方へ突出する構成にしてある。
【0009】
このように構成した請求項1に係る発明では、締結具の締付け部とレールクリップの基部間にスペーサを介設することにより、締結具の締付け部がレールクリップの当接部より前方へ突出するので、締結具の締付け部に電動締付け工具を係合する際に、この電動締付け工具がレールクリップの当接部と干渉しない位置に配置される。これによって、電動締付け工具を用いて容易に締結具の締付け作業を行うことができ、作業者の負担を軽減できる。
【0010】
また、上記第1の目的を達成するため、本発明の請求項2に係る発明は、昇降路内を昇降する乗かご及びつり合いおもりをガイドするよう立設されるエレベータガイドレールの固定装置において、前記昇降路に取付けられ、所定間隔を置いて左右一対のブラケット貫通穴を有し前記ガイドレールの背面に当接するレールブラケットと、このレールブラケットの前面に当接し前記ブラケット貫通穴と略同一芯を有するクリップ貫通穴が設けられる基部、及びこの基部より延設され前記ガイドレールの前面に当接する当接部からなる一対のレールクリップと、前記クリップ貫通穴及びブラケット貫通穴に挿入され、前記レールクリップ及びレールブラケットを締結する一対の締結具とを備え、前記クリップ貫通穴及びブラケット貫通穴のそれぞれの間隔を広げて配置した構成にしてある。
【0011】
このように構成した請求項2に係る発明では、略同一芯をそれぞれ有するクリップ貫通穴及びブラケット貫通穴のそれぞれの間隔を広げて配置することにより、上記の貫通穴に挿入される締結具の締付け部がレールクリップの当接部から離れているので、締結具の締付け部に電動締付け工具を係合する際に、この電動締付け工具がレールクリップの当接部と干渉しない位置に配置される。これによって、電動締付け工具を用いて容易に締結具の締付け作業を行うことができ、作業者の負担を軽減できる。
【0012】
また、上記第2の目的を達成するため、本発明の請求項3に係る発明は、請求項1または請求項2に記載のエレベータガイドレール固定装置に用いられる固定方法において、前記締結具を締結する電動締付け工具を備え、この電動締付け工具の最大トルクにて所定時間以上締付けることにより前記締結具に必要とされる所定の締付けトルクを得る構成にしてある。
【0013】
このように請求項3に係る発明では、電動締付け工具の最大トルクにて所定時間以上締付けるという簡単な条件にて、締結具に必要とされる所要の締付けトルクを得ることができる。これにより、電動締付け工具による締付けトルクの管理を容易にかつ確実に行うことができ、現場での締付けトルクに関する判断をごくシンプルにして、ガイドレール固定装置を固定する際に現場の作業効率を向上させることができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のエレベータガイドレールの固定装置及びその固定方法の実施の形態を図に基づいて説明する。
【0015】
図1は本発明の第1の実施形態に係るエレベータガイドレールの固定装置を示す斜視図、図2は第1の実施形態の固定装置を示す平面図、図3は第1の実施形態に係る固定方法を説明する図である。なお、図3は2種類の電動締付け工具の最大トルクにより締付けた際に得られる締付けトルクと締付け時間との相関図である。
【0016】
図1、図2に示すエレベータは、図示を省略した昇降路を昇降する乗かご及びつり合いおもりと、図示しない建屋梁から昇降路の内側(図2の下側)に延設されるファスナ1と、前記の昇降路に立設され、乗かご及びつり合いおもりをガイドするガイドレール3とを有している。
【0017】
そして、本実施形態のガイドレール3の固定装置は、ファスナ1に溶接固定されガイドレール3の背面に当接するレールブラケット2と、このレールブラケット2との間でガイドレール3を挟圧保持する一対のレールクリップ4と、レールブラケット2の背面側に配置されるナット付きプレート8と、これらのレールブラケット2、レールクリップ4及びナット付きプレート8を締結する締結具、例えばボルト5と、このボルト5の締付け部(頭部)5aがレールクリップ4より前方(図2の下方)へ突出して位置するよう締付け部5aとレールクリップ4の後述する基部4d間に介設されるスペーサ、例えば座金7と、ボルト5の締付け部5a及び座金7に挿入されるスプリングワッシャ6とから構成されている。
【0018】
レールブラケット2は、所定間隔を置いて左右一対のブラケット貫通穴2aを有している。レールクリップ4は、レールブラケット2の前面に当接し、クリップ貫通穴4aが設けられる基部4d、及びガイドレール3の前面に当接する当接部4cからなり、この当接部4cは、基部4dから段差を介して延設されるとともに、基部4dより前方(図2の下方)に配置されている。
【0019】
レールブラケット2、レールクリップ4、及びナット付きプレート8のそれぞれには、ボルト5が貫通するブラケット貫通穴2a、クリップ貫通穴4a及びプレート貫通穴8aが設けられており、これらの貫通穴2a、4a、8aは略同一芯を有している。さらに、ナット付きプレート8の背面には、プレート貫通穴8aと略同一芯を有するようナット8cが溶接されている。
【0020】
本実施形態のガイドレール3の固定方法にあっては、上記の固定装置でガイドレール3を固定する際に、電動締付け工具(インパクトレンチ)9を用いてボルト5を締付けるようになっている。その際に、まずボルト5の締付け部5aとレールクリップ4の基部4dとの間に座金7及びスプリングワッシャ6を介設した状態で、ボルト5をブラケット貫通穴2a、クリップ貫通穴4a、及びプレート貫通穴8aの順に挿通してねじ部5bをナット8cと螺合させる。このとき、図2に示すように、ボルト5の締付け部5aは、レールクリップ4の当接部4cより前方へ突出した位置に配置されているので、ボルト5の締付け部5aに電動締付け工具9を係合させる際に、この電動締付け工具9がレールクリップ4の当接部4cに干渉することが無くて済む。
【0021】
次いで、ボルト5を電動締付け工具9にて締結する際に、その電動締付け工具9の最大トルクにて所定時間以上締付けることにより、ボルト5に必要とされる締付けトルク、例えば図3に示す第1のトルクT1及び第2のトルクT2間の範囲内の締付けトルクを得るようになっており、それ以上でもそれ以下でも、ガイドレール3を良好に挟圧保持することはできない。
【0022】
例えば、電動締付け工具が図3の上線11で示すように比較的大きなトルクを出力する場合、ボルト5を締め始めてから時間t2〜時間t3の間で締付け作業を終えることにより、ボルト5でガイドレール3を良好に挟圧保持できる。
【0023】
しかしながら、上述したボルト5の締付けトルクの管理を作業現場で厳密に行うことは煩雑であるので、これを改善するため、下線10で示すように比較小さな最大トルクを出力する他の電動締付け工具を用いることにより、ボルト5を締め始めてから時間t3以降であれば、第1のトルクT1〜第2のトルクT2内の一定締付けトルクしか発生しないので、ボルト5の締付けトルクの管理が容易である。
【0024】
このように構成した第1の実施形態の固定装置では、電動締付け工具9を用いて容易にボルト5の締付け作業を行うことができ、作業者の負担を軽減できる。
【0025】
また、本実施形態の固定装置では、既に作成された固定装置の構成を一切変更せず、座金7を設けるだけで対応できるため、容易にかつ安価に上記の締付け作業の合理化を達成できる。さらに、ナット付きプレート8を用いたので、ナット8cを手で支持する負担が軽くなり作業性が向上する。
【0026】
また、本実施形態の固定方法では、図3の下線10で示すように比較小さな最大トルクを出力する電動締付け工具を用いることにより、この電動締付け工具による締付けトルクの管理を容易にかつ確実に行うことができ、現場での締付けトルクに関する判断をごくシンプルにして、ガイドレール固定装置を固定する際に現場の作業効率を向上させることができる。
【0027】
次に、本発明の第2の実施形態について図4、図5に基づいて説明する。ここで、図4は本発明の第2の実施形態に係るエレベータガイドレールの固定装置を示す斜視図、図5は第2の実施形態の固定装置を示す平面図である。
【0028】
図4、図5に示す本実施形態の固定装置は、前述した図1、図2に示すものと比べて、レールブラケット2、レールクリップ4、及びナット付きプレート8のそれぞれにそれぞれ設けた一対の貫通穴2b,4b,8bの間隔をそれぞれ広げて配置した点と、座金7を無くした点とが異なっており、その他の構成は基本的に同一である。
【0029】
そして、第2の実施形態にあっては、ブラケット貫通穴2b、クリップ貫通穴4b、及びプレート貫通穴8bの間隔を広げて配置してあり、これらの貫通穴2b、4b、8bに挿入されるボルト5の締付け部5aがレールクリップ4の当接部4cから離れているので、ボルト5の締付け部5aに電動締付け工具9を係合する際に、この電動締付け工具9がレールクリップ4の当接部4cと干渉しない位置に配置される。これにより、電動締付け工具9がレールクリップ4の当接部4cに干渉すること無くて済む。次いで、図3の下線10で示すように比較小さな最大トルクを出力する電動締付け工具を用いることによりボルト5の締付けトルクの管理を行うようになっている。
【0030】
このように構成した第2の実施形態でも、前述した第1の実施形態と同様の効果が得られる。
【0031】
なお、上述した第1の実施形態及び第2の実施形態では、主に鉄骨造の建屋梁から延設されるファスナ1に固定される固定装置を例に取り説明したが、コンクリート造の建屋に設けられる固定装置にも適用可能である。
【0032】
さらに、上述した第1の実施形態及び第2の実施形態では、ナット付きプレート8を設けたが、このナット付きプレート8の代わりにナットのみを配置し、一方の手でこのナットをスパナで支持するとともに他方の手で電動締付け工具9を操作して固定装置の締結作業を行えば、作業者の負担は増えるが、比較的安価な固定装置にすることができる。
【0033】
さらに、上述した第1の実施形態及び第2の実施形態では、レールクリップ4としてばねクリップを例に取り説明したが、このばねクリップの代わりに、鋳物クリップでも、このクリップとの干渉を防止することにより電動締付け工具9を使用可能である。
【0034】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のエレベータガイドレールの固定装置によれば、電動締付け工具を用いて容易に締付け作業を行うことができ、作業者の負担を軽減することができる。
【0035】
また、本発明のエレベータガイドレール固定装置の固定方法によれば、電動締付け工具による締付けトルクの管理を容易にかつ確実に行うことができ、ガイドレール固定装置を固定する際に現場の作業効率を向上させることをできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るエレベータガイドレールの固定装置を示す斜視図である。
【図2】第1の実施形態の固定装置を示す平面図である。
【図3】第1の実施形態に係る固定方法を説明する図である。
【図4】本発明の第2の実施形態に係るエレベータガイドレールの固定装置を示す斜視図である。
【図5】第2の実施形態の固定装置を示す平面図である。
【符号の説明】
1 ファスナ
2 レールブラケット
2a ブラケット貫通穴
2b ブラケット貫通穴
3 ガイドレール
4 レールクリップ
4a クリップ貫通穴
4b クリップ貫通穴
4c 当接部
4d 基部
5 ボルト(締結具)
5a 締付け部
5b ねじ部
7 座金(スペーサ)
8 ナット付プレート
8a プレート貫通穴
8b プレート貫通穴
9 電動締付け工具
Claims (3)
- 昇降路内を昇降する乗かご及びつり合いおもりをガイドするよう立設されるエレベータガイドレールの固定装置において、
前記昇降路に取付けられ、所定間隔を置いて左右一対のブラケット貫通穴を有し前記ガイドレールの背面に当接するレールブラケットと、このレールブラケットの前面に当接し前記ブラケット貫通穴と略同一芯を有するクリップ貫通穴が設けられる基部、及びこの基部より延設され前記ガイドレールの前面に当接する当接部からなる一対のレールクリップと、前記クリップ貫通穴及びブラケット貫通穴に挿入され、前記レールクリップ及びレールブラケットを締結する一対の締結具と、この一対の締結具の締付け部と前記レールクリップの基部間に介設されるスペーサとを備え、このスペーサの介設により前記締結具の締付け部が前記レールクリップの当接部より前方へ突出するようにしたことを特徴とするエレベータガイドレールの固定装置。 - 昇降路内を昇降する乗かご及びつり合いおもりをガイドするよう立設されるエレベータガイドレールの固定装置において、
前記昇降路に取付けられ、所定間隔を置いて左右一対のブラケット貫通穴を有し前記ガイドレールの背面に当接するレールブラケットと、このレールブラケットの前面に当接し前記ブラケット貫通穴と略同一芯を有するクリップ貫通穴が設けられる基部、及びこの基部より延設され前記ガイドレールの前面に当接する当接部からなる一対のレールクリップと、前記クリップ貫通穴及びブラケット貫通穴に挿入され、前記レールクリップ及びレールブラケットを締結する一対の締結具とを備え、前記クリップ貫通穴及びブラケット貫通穴のそれぞれの間隔を広げて配置したことを特徴とするエレベータガイドレールの固定装置。 - 請求項1または2に記載のエレベータガイドレール固定装置に用いられる固定方法において、
前記締結具を締結する電動締付け工具を備え、この電動締付け工具の最大トルクにて所定時間以上締付けることにより前記締結具に必要とされる所定の締付けトルクを得るようにしたことを特徴とするエレベータガイドレール固定装置の固定方法。
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