JP2004098301A - 包装容器用積層フィルム、積層シート及び包装容器 - Google Patents
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Abstract
【課題】溶媒を使用することなく、低温で積層することができ、熱劣化が少なく、また、熱成形性に優れた包装容器用積層フィルム、積層シート及び包装容器を提供すること。
【解決手段】少なくとも、熱可塑性樹脂からなる表面層4と、熱接着性を有する熱可塑性樹脂からなる接合層5を有することを特徴とする包装容器用積層フィルムであり、上記包装容器用積層フィルムと、オレフィン系重合体および/またはスチレン系重合体からなる基層3を、積層させてなる包装容器用積層シート1であり、上記の包装容器用積層シート1を熱成形することによって形成してなる包装容器。
【選択図】 図1
【解決手段】少なくとも、熱可塑性樹脂からなる表面層4と、熱接着性を有する熱可塑性樹脂からなる接合層5を有することを特徴とする包装容器用積層フィルムであり、上記包装容器用積層フィルムと、オレフィン系重合体および/またはスチレン系重合体からなる基層3を、積層させてなる包装容器用積層シート1であり、上記の包装容器用積層シート1を熱成形することによって形成してなる包装容器。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、熱成形によって包装容器等を成形するに適した包装容器用積層フィルム、積層シート及び該シートを用いた包装容器に関し、さらに詳しくは、熱劣化の少ない熱成形に適した包装容器用積層フィルム、積層シート及び包装容器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、食品、小物雑貨等は、熱可塑性合成樹脂からなるシートを真空成形等の熱成形によって形成された薄肉の熱可塑性合成樹脂製容器に収容されて販売されている。
【0003】
熱可塑性合成樹脂シートの熱成形は、成形効率がよく、安価に生産できることから広く利用されるに到っており、これら熱可塑性合成樹脂シートによる包装容器は、ポリスチレンなどが主骨格となる基層を形成している。
【0004】
しかしながら、ポリスチレン系樹脂はガスバリヤ性が不足して包装した食品が酸化したり、食用油脂などに対する耐油性が不足している為に容器の変形や亀裂が発生するなどの問題も生じやすかった。
【0005】
また、表面光沢に乏しい為に、外観が美しく見えにくいなどの問題も有していた。
【0006】
これらの問題を解決する為にガスバリヤ性や耐油性、表面光沢などに優れたフィルムを目的に合わせて選択し、ドライラミネートや押出ラミネートや熱ラミネートなどの手法で積層することで問題を解決してきた。
【0007】
ところが、従来の技術では、ドライラミネートでは加工上有機溶剤を使用するので、環境衛生上の問題や作業性低下、製造コスト上昇および最終製品の残存溶媒が包装する食品などの製品に悪影響を及ぼし得るなどの問題が新たに発生した。また、一般に、目的の機能を有し、表面層に選択する材質は融点が高いことが多いので加工温度が必然的に高くなり、押出ラミネートで表面層を形成しようとすると、表面層を形成すべく押し出した高温の溶融樹脂が基層を変形させるなどの問題点、及び押出ラミネートでは表面層に選択する樹脂の種類を変える毎にダイスを掃除しなければならないなどの作業性の悪さも発生してしまった。また、熱ラミネートは表面層の種類を変えるのにダイス掃除こそ不要だが、同様の理由でラミネート時の温度が高温にならざるを得ないので基層を変形させてしまう問題点を発生させてきた。
【0008】
このため、溶媒を使用することなく、低温で積層でき、熱劣化や変形の少ない包装容器用積層フィルム、積層シートの開発が要請されてきた。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、溶媒を使用することなく、低温で積層することができ、熱劣化が少なく、また、熱成形性に優れた包装容器用積層フィルム、積層シート及び包装容器を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記課題は以下の各本発明によって解決される。
【0011】
第1の発明は、少なくとも、熱可塑性樹脂からなる表面層と、熱接着性を有する熱可塑性樹脂からなる接合層を有することを特徴とする包装容器用積層フィルムである。
【0012】
第2の発明は、接合層を構成する熱接着性を有する熱可塑性樹脂の融点または軟化点が、表面層を構成する熱可塑性樹脂のそれより20℃以上低い包装容器用積層フィルムである。
【0013】
第3の発明は、熱接着性を有する熱可塑性樹脂が、エチレン−αオレフィン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体、エチレン−メタアクリル酸共重合体、エチレン−メタアクリル酸エステル共重合体、ポリアクリル酸エステルまたはポリメタアクリル酸エステルのいずれか1種または2種以上から選ばれる包装容器用積層フィルムである。
【0014】
第4の発明は、表面層が、エチレン系共重合体、プロピレン系重合体またはスチレン系重合体のいずれか1種または2種以上から選ばれる請求項1〜3のいずれかに記載の包装容器用積層フィルムである。
【0015】
第5の発明は、熱接着性を有する熱可塑性樹脂が、密度0.865〜0.950g/cm3のエチレン−αオレフィン共重合体である請求項1〜4のいずれかに記載の包装容器用積層フィルムである。
【0016】
第6の発明は、熱接着性を有する熱可塑性樹脂が、メタロセン触媒を用いて重合させた共重合体からなる請求項1〜5のいずれかに記載の包装容器用積層フィルムである。
【0017】
第7の発明は、上記の積層フィルムを積層した積層シートについてであって、オレフィン系重合体および/またはスチレン系重合体からなる基層を、積層させてなることを特徴とする包装容器用積層シートである。
【0018】
第8の発明は、基層が、発泡ポリスチレンおよび/または発泡ポリプロピレンである包装容器用積層シートである。
【0019】
第9の発明は、基層がアルミニウム蒸着されている包装容器用積層シートである。
【0020】
第10の発明は、上記の包装容器用積層シートを熱成形することによって形成してなることを特徴とする包装容器である。
【0021】
【発明の実施の形態】
本発明の包装容器用積層フィルムは少なくとも表面層と接合層からなり、本発明の包装容器用積層シートおよび包装容器は少なくとも表面層と接合層と基層からなる。
【0022】
本発明の合成樹脂積層シート1は、包装容器2を形成し得る積層シートであり、包装容器2は、図2に示すように、包装容器2の骨格を形成する熱可塑性樹脂からなる基層3と熱可塑性合成樹脂からなる表面層4とが熱接着性を有する熱可塑性樹脂からなる接合層5を介して積層された構造を有し、合成樹脂積層シート1は、図1に示すように、それに対応した構造とされる。
【0023】
本発明に用いる表面層4としては熱可塑性樹脂の中から広く選択でき、目的とする機能に合わせ、低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、エチレン・酢酸ビニル共重合体等のエチレン系重合体、ポリプロピレン、エチレン・プロピレン共重合体等のプロピレン系重合体等のオレフィン系重合体、あるいは、ポリエステル、ナイロン6,ナイロン66等のポリアミド、ポリスチレン、耐衝撃性ポリスチレン、ポリα−メチルポリスチレン、スチレン・アクリルニトリル共重合体等のスチレン系重合体等を用いることができる。なかでも、加工性と耐久性に優れたエチレン系共重合体、プロピレン系重合体、スチレン系重合体が好ましい。
【0024】
これらの表面層4となるフィルムは目的とする機能に合わせ、無延伸ポリプロピレンフィルム、延伸ポリプロピレンフィルム、無延伸ポリスチレンフィルム、延伸ポリスチレンフィルムなどとして市販のフィルムを選択、購入し、用いることができる。
【0025】
表面層4の厚さは、目的に応じて任意に選定することができるが、一般には、5〜150μm、好ましくは8〜120μm、さらに好ましくは10〜100μmとされる。
【0026】
本発明に用いる接合層5としては、加熱により基層3との熱接着性を発現できれば特に制限はないが、融点が低いと熱ラミネート時の加工温度が低く出来、基層3や表面層4の形状や機能を保持できるので好ましく、具体的には接合層5を構成する熱可塑性樹脂の融点が表面層4を構成する熱可塑性樹脂の融点より20℃以上低いことが好ましい。これらの融点は例えばDSCにて融解ピークのピークトップを測定することにより得られる。
【0027】
接合層5を構成する熱可塑性樹脂や表面層4を構成する熱可塑性樹脂が複数の融解ピークを有するときは、接合層5を構成する熱可塑性樹脂の融解ピークのうち最も低い融点が、表面層4を構成する熱可塑性樹脂の融解ピークのうち最も高い融点より20℃以上低ければ良い。これは、表面層4は最も融点の高い樹脂成分が骨格の保持を担い、接合層5の最も低い融点の樹脂成分が接着に最も強く作用する為である。
【0028】
また、熱接着性を好適に発現しながらも、明確な融点を有さない熱可塑性樹脂も有るので、その時は軟化点を指標にして、接合層5を構成する熱可塑性樹脂の軟化点が表面層4を構成する熱可塑性樹脂の軟化点より20℃以上低いことが好ましい。
【0029】
接合層5としての機能を発現する熱可塑性樹脂としては、エチレン−αオレフィン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体(以下、EVA)、エチレン−エチルアクリレート共重合体(以下、EEA)等のエチレン−アクリル酸エステル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体(以下、EAA)、エチレン−メタアクリル酸共重合体、エチレン−メタアクリル酸エステル共重合体、ポリアクリル酸エステルまたはポリメタアクリル酸エステル等が挙げられ、これらのいずれか1種または2種以上から選んでも良い。
【0030】
これらの熱可塑性樹脂のなかでも加工温度が低く設定でき、基層3との接着も良好に得られるのでエチレン−αオレフィン共重合体が好ましい。
【0031】
エチレン・α−オレフィン共重合体を構成するα−オレフィンとしては、炭素数4〜12程度のα−オレフィンが使用され、具体的には、プロピレン、ブテン−1、ヘキセン−1、オクテン−1、デセン−1等が使用される。
【0032】
また、エチレン・α−オレフィン共重合体としては、密度が0.865〜0.950g/cm3、好ましくは0.865〜0.915g/cm3、特に好ましくは0.870〜0.910g/cm3の範囲のものが使用される。密度がこの範囲より高いと基材3との接合性が悪くなり、また、この範囲より低いと加工性が悪くなり、ブロッキング性が悪くなる。
【0033】
接合層5の厚さは、目的に応じて任意に選定することができるが、一般には、5〜60μm、好ましくは8〜55μm、さらに好ましくは10〜50μmとされる。
【0034】
エチレン・α−オレフィン共重合体としては、メタロセン触媒を用いて重合した重合体が望ましい。メタロセン触媒を用いて重合した重合体を用いることによって基層3と表面層4を低温で接合することができるようになる。
【0035】
メタロセン触媒(あるいはシングルサイト系触媒)によるエチレン・α−オレフィン共重合体としては、例えば、二塩化ジルコノセンとメチルアルモキサンの組み合わせによる触媒等のメタロセン錯体とアルモキサンとの組み合わせによる触媒、すなわち、メタロセン触媒を使用して重合してなるエチレン−α−オレフィン共重合体を使用することができる。
【0036】
上記のメタロセン触媒は、現行の触媒が、活性点が不均一でマルチサイト系触媒と呼ばれているのに対し、活性点が均一であることからシングルサイト系触媒とも呼ばれているものである(以下、メタロセン触媒と、シングルサイト系触媒とは、同等の意味である。)。
【0037】
上記のメタロセン触媒を用いて重合したエチレン−α−オレフィン共重合体としては、具体的には、日本ポリケム株式会社製の商品名「カーネル」、三井化学株式会社製の商品名「エボリュー」、米国、エクソン・ケミカル(EXXON CHEMICAL)社製の商品名「エクザクト(EXACT)」、米国、ダウ・ケミカル(DOW CHEMICAL)社製の商品名「アフィニティー(AFFINITY)」、商品名「エンゲージ(ENGAGE)」等のエチレン−α−オレフィン共重合体を使用することができる。
【0038】
基層3を構成する樹脂としては、強度や成形性、コストなどのバランスに優れたオレフィン系重合体および/またはスチレン系重合体が好ましく選択できる。オレフィン系重合体としては、エチレン系重合体、例えば、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン等を使用することができる。また、プロピレン系重合体、例えば、ポリプロピレン、エチレン・プロピレンブロック共重合体等を使用することができる。スチレン系重合体としては、ポリスチレン、耐衝撃性ポリスチレン、ポリα−メチルポリスチレン、スチレン・アクリルニトリル共重合体等を用いることができる。中でもポリスチレンが好ましい。
【0039】
また、この基層3は用途に応じ、発泡ポリスチレンおよび/または発泡ポリプロピレンからも好適に選択することができる。
【0040】
また、この基層3は用途に応じ、事前にアルミニウム蒸着させてなるものも好適に選択することができる。
【0041】
基層3の厚さとしては、目的に応じて任意に選定することができるが、一般には、10〜1000μm、好ましくは20〜800μm、さらに好ましくは30〜500μmとされる。
【0042】
これら基層3、接合層5あるいは表面層4には、発明の効果を損なわない程度で、適宜、各種の添加剤を配合することができる。具体的には、フェノール系、有機ホスファイト系、ホスナイトなどの有機リン系、チオエーテル系等の酸化防止剤;ヒンダードアミン系等の光安定剤;ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、ベンゾエート系等の紫外線吸収剤;ノニオン系、カチオン系、アニオン系等の帯電防止剤;ビスアミド系、ワックス系、有機金属塩系等の分散剤;アミド系、ワックス系、有機金属塩系、エステル系等の滑剤;金属イオン系などの無機、有機抗菌剤等が挙げられる。
【0043】
これら添加剤を配合する方法としては、直接にロール、バンバリー、ニーダー、押出機等の混練機で溶融混練する方法、分散をよくするためヘンシェル型ミキサー等であらかじめ重合体の粉体と混合した後、前述の混練機等で溶融混練する方法、あるいは一旦高濃度のマスターバッチを作って後で希釈する方法等、種々の公知の方法を適用することができる。
【0044】
包装容器用積層フィルムは前記の表面層4と接合層5を有していれば製造方法に特に制限はないが、例えば、表面層4として目的とする機能を有するフィルムを選択し、これに接合層5とする熱可塑性樹脂を押出ラミネートすることで得られる。本発明では融点の低い熱可塑性樹脂を接合層5に選択しているので所望の機能を有し、性能の高い表面層4を選択し、結果として表面層4を構成する熱可塑性樹脂の融点が高かったとしても、この押出ラミネートは接合層5に用いる熱可塑性樹脂さえ加工できれば良いので、低い温度で加工が可能で表面層4を傷めることなく、また、この押出ラミネート成形時には基層3は関与していないので基層3を変形させることがない。
【0045】
押出ラミネートの手法としては公知の技術を織りこむことができ、表面層4と接合層5の接着強度を上げるために、コロナ処理やオゾン処理やAC剤を使用するなど各種の手法を用いることができる。
【0046】
包装容器用積層シート1の製造方法には特に制限はないが、目的とする機能を有する基層3を選択し、前記の方法で得た包装容器用積層フィルムを、熱ラミネートすることにより好適に得ることができる。
【0047】
この時、熱ラミネートの温度は、接合層5に融点の低い熱可塑性樹脂を用いることにより、仮に融点の高い表面層4を選択しても、低い温度での加工が可能になる。
【0048】
例えば、表面層4に溶剤可溶性の接着剤をコートし、乾燥し、熱圧着でラミネートする場合、接着剤の種類にも依るが、200〜280℃の高温を必要とすることが多い。この温度では基層3となるポリスチレンやポリプロピレン系樹脂が変形や光沢を失うなどの不具合を生じる。
【0049】
それに対し、本発明の接合層5を設けることにより、例えば80〜180℃、材質の選択よっては150℃以下、条件の選択によっては120℃以下と基層3や表面層4の機能や性能、外観を殆ど損なうことなく、包装容器用積層シート1を得ることができる。
【0050】
基層3と表面層4を積層する積層手段としては、予め、基層3となるシートを成形すると共に、表面層4と接着性を有する熱可塑性樹脂からなる接合層5との積層体を形成して熱ラミネート法を用いて複層化する手段や、予め形成した基層3となるシートと表面層4となる熱可塑性合成樹脂フィルムの間に、接合層5となる接着性を有する熱可塑性樹脂をフィルム状に溶融押出して圧着する方法を採ることができる。
【0051】
本発明の積層シート1は、建築物等の化粧板としてそのまま使用することができるが、一般には、熱成形方法によって二次成形することによって包装容器として用いられる。
【0052】
熱成形方法としては、シートを金型上に装着した後、金型外面側から吸引する方法、吸引と共にプラグアシストする方法、あるいは、金型内面側から空気圧を加える方法、これにプラグアシストをする方法、吸引と空気による与圧を併用する方法等いわゆる真空成形方法あるいは真空圧空成形方法を採用することができる。
【0053】
【発明の効果】
本発明によれば、溶媒を使用することなく、低温で積層することができ、熱劣化が少なく、また、熱成形性に優れた包装容器用積層フィルム、積層シート及び包装容器を得ることができる。
【0054】
【実施例】
実施例1
厚さ30μmのポリスチレン二軸延伸フィルム(OPS)に、メタロセン触媒を用いて重合した線状低密度ポリエチレン(LLDPE−1)(日本ポリケム社製「カーネル」密度0.888g/cm3、MFR20)を、厚さ15μmとなるように押出しラミネーションを行って積層シートとした。
【0055】
得られた積層シートを加熱炉内で再加熱をして、厚さ300μmのポリスチレンシート(PS)に圧着温度130℃で圧着して積層シートとして、以下の評価基準でその評価を行った。その結果を表1に示す。
【0056】
実施例2
接合層として、メタロセン触媒を用いて重合した線状低密度ポリエチレン(LLDPE−2)(日本ポリケム社製「カーネル」密度0.891g/cm3、MFR40)を用いた他は、実施例1と同様に実施した。その結果を表1に示す。
【0057】
実施例3
表面層として、厚さ12μmのポリエステルフィルム(PET)(ユニチカ社製「PTMU」)を用いた他は、実施例1と同様に実施した。その結果を表1に示す。
【0058】
比較例1
厚さ30μmのポリスチレン二軸延伸フィルム(OPS)に、溶媒型粘着剤(東洋モートン社製「EL420」)を塗布し、300μmのポリスチレンシートを併せて240℃で圧着した。実施例1と同様に評価し、その結果を表1に示す。
【0059】
(評価基準)
▲1▼ラミ加工適正
積層フィルムを押出ラミ成形する際の加工のしやすさ(ネックインやドローダウンや離ロール性など)を定性的に判断した。
◎:全く問題なく加工できた
○:若干の加工条件の調整で加工できた
△:加工性は悪いが、製造できた
×:加工性が悪く、加工できなかった
−:概念として非該当
【0060】
▲2▼ブロッキング性
◎:全くブロッキングしなかった
○:若干ブロッキングしたが、実用上問題のないレベルだった
△:ブロッキングが発生したが、巻直し工程を経ることで実用上問題のないレベルになった
×:ブロッキングが発生し、製品として使用できるレベルではなかった
−:概念として非該当
【0061】
▲3▼熱ラミ特性
◎:全く問題なく加工できた
○:若干の加工条件の調整で加工できた
△:加工性は悪いが、製造できた
×:加工性が悪く、加工できなかった
【0062】
▲4▼基材密着性、▲5▼光沢、▲6▼基材の変形
必要性能以上の基材密着性、必要性能以上の光沢、必要性能以上の寸法精度があるか否かを定性的に判断した。
◎:適正良好で、実用上、問題なく、さらなる付加価値があるレベル
○:適正良好で、実用上、問題のないレベル
△:実用上、問題のないが、適正不足
×:実用上、問題の発生し得るレベル
【0063】
【表1】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明積層シートの縦断面図
【図2】包装容器の例を示す縦断面図
【符号の説明】
1:積層シート
2:包装容器
3:基層
4:表面層
5:接合層
【発明の属する技術分野】
本発明は、熱成形によって包装容器等を成形するに適した包装容器用積層フィルム、積層シート及び該シートを用いた包装容器に関し、さらに詳しくは、熱劣化の少ない熱成形に適した包装容器用積層フィルム、積層シート及び包装容器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、食品、小物雑貨等は、熱可塑性合成樹脂からなるシートを真空成形等の熱成形によって形成された薄肉の熱可塑性合成樹脂製容器に収容されて販売されている。
【0003】
熱可塑性合成樹脂シートの熱成形は、成形効率がよく、安価に生産できることから広く利用されるに到っており、これら熱可塑性合成樹脂シートによる包装容器は、ポリスチレンなどが主骨格となる基層を形成している。
【0004】
しかしながら、ポリスチレン系樹脂はガスバリヤ性が不足して包装した食品が酸化したり、食用油脂などに対する耐油性が不足している為に容器の変形や亀裂が発生するなどの問題も生じやすかった。
【0005】
また、表面光沢に乏しい為に、外観が美しく見えにくいなどの問題も有していた。
【0006】
これらの問題を解決する為にガスバリヤ性や耐油性、表面光沢などに優れたフィルムを目的に合わせて選択し、ドライラミネートや押出ラミネートや熱ラミネートなどの手法で積層することで問題を解決してきた。
【0007】
ところが、従来の技術では、ドライラミネートでは加工上有機溶剤を使用するので、環境衛生上の問題や作業性低下、製造コスト上昇および最終製品の残存溶媒が包装する食品などの製品に悪影響を及ぼし得るなどの問題が新たに発生した。また、一般に、目的の機能を有し、表面層に選択する材質は融点が高いことが多いので加工温度が必然的に高くなり、押出ラミネートで表面層を形成しようとすると、表面層を形成すべく押し出した高温の溶融樹脂が基層を変形させるなどの問題点、及び押出ラミネートでは表面層に選択する樹脂の種類を変える毎にダイスを掃除しなければならないなどの作業性の悪さも発生してしまった。また、熱ラミネートは表面層の種類を変えるのにダイス掃除こそ不要だが、同様の理由でラミネート時の温度が高温にならざるを得ないので基層を変形させてしまう問題点を発生させてきた。
【0008】
このため、溶媒を使用することなく、低温で積層でき、熱劣化や変形の少ない包装容器用積層フィルム、積層シートの開発が要請されてきた。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、溶媒を使用することなく、低温で積層することができ、熱劣化が少なく、また、熱成形性に優れた包装容器用積層フィルム、積層シート及び包装容器を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記課題は以下の各本発明によって解決される。
【0011】
第1の発明は、少なくとも、熱可塑性樹脂からなる表面層と、熱接着性を有する熱可塑性樹脂からなる接合層を有することを特徴とする包装容器用積層フィルムである。
【0012】
第2の発明は、接合層を構成する熱接着性を有する熱可塑性樹脂の融点または軟化点が、表面層を構成する熱可塑性樹脂のそれより20℃以上低い包装容器用積層フィルムである。
【0013】
第3の発明は、熱接着性を有する熱可塑性樹脂が、エチレン−αオレフィン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体、エチレン−メタアクリル酸共重合体、エチレン−メタアクリル酸エステル共重合体、ポリアクリル酸エステルまたはポリメタアクリル酸エステルのいずれか1種または2種以上から選ばれる包装容器用積層フィルムである。
【0014】
第4の発明は、表面層が、エチレン系共重合体、プロピレン系重合体またはスチレン系重合体のいずれか1種または2種以上から選ばれる請求項1〜3のいずれかに記載の包装容器用積層フィルムである。
【0015】
第5の発明は、熱接着性を有する熱可塑性樹脂が、密度0.865〜0.950g/cm3のエチレン−αオレフィン共重合体である請求項1〜4のいずれかに記載の包装容器用積層フィルムである。
【0016】
第6の発明は、熱接着性を有する熱可塑性樹脂が、メタロセン触媒を用いて重合させた共重合体からなる請求項1〜5のいずれかに記載の包装容器用積層フィルムである。
【0017】
第7の発明は、上記の積層フィルムを積層した積層シートについてであって、オレフィン系重合体および/またはスチレン系重合体からなる基層を、積層させてなることを特徴とする包装容器用積層シートである。
【0018】
第8の発明は、基層が、発泡ポリスチレンおよび/または発泡ポリプロピレンである包装容器用積層シートである。
【0019】
第9の発明は、基層がアルミニウム蒸着されている包装容器用積層シートである。
【0020】
第10の発明は、上記の包装容器用積層シートを熱成形することによって形成してなることを特徴とする包装容器である。
【0021】
【発明の実施の形態】
本発明の包装容器用積層フィルムは少なくとも表面層と接合層からなり、本発明の包装容器用積層シートおよび包装容器は少なくとも表面層と接合層と基層からなる。
【0022】
本発明の合成樹脂積層シート1は、包装容器2を形成し得る積層シートであり、包装容器2は、図2に示すように、包装容器2の骨格を形成する熱可塑性樹脂からなる基層3と熱可塑性合成樹脂からなる表面層4とが熱接着性を有する熱可塑性樹脂からなる接合層5を介して積層された構造を有し、合成樹脂積層シート1は、図1に示すように、それに対応した構造とされる。
【0023】
本発明に用いる表面層4としては熱可塑性樹脂の中から広く選択でき、目的とする機能に合わせ、低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、エチレン・酢酸ビニル共重合体等のエチレン系重合体、ポリプロピレン、エチレン・プロピレン共重合体等のプロピレン系重合体等のオレフィン系重合体、あるいは、ポリエステル、ナイロン6,ナイロン66等のポリアミド、ポリスチレン、耐衝撃性ポリスチレン、ポリα−メチルポリスチレン、スチレン・アクリルニトリル共重合体等のスチレン系重合体等を用いることができる。なかでも、加工性と耐久性に優れたエチレン系共重合体、プロピレン系重合体、スチレン系重合体が好ましい。
【0024】
これらの表面層4となるフィルムは目的とする機能に合わせ、無延伸ポリプロピレンフィルム、延伸ポリプロピレンフィルム、無延伸ポリスチレンフィルム、延伸ポリスチレンフィルムなどとして市販のフィルムを選択、購入し、用いることができる。
【0025】
表面層4の厚さは、目的に応じて任意に選定することができるが、一般には、5〜150μm、好ましくは8〜120μm、さらに好ましくは10〜100μmとされる。
【0026】
本発明に用いる接合層5としては、加熱により基層3との熱接着性を発現できれば特に制限はないが、融点が低いと熱ラミネート時の加工温度が低く出来、基層3や表面層4の形状や機能を保持できるので好ましく、具体的には接合層5を構成する熱可塑性樹脂の融点が表面層4を構成する熱可塑性樹脂の融点より20℃以上低いことが好ましい。これらの融点は例えばDSCにて融解ピークのピークトップを測定することにより得られる。
【0027】
接合層5を構成する熱可塑性樹脂や表面層4を構成する熱可塑性樹脂が複数の融解ピークを有するときは、接合層5を構成する熱可塑性樹脂の融解ピークのうち最も低い融点が、表面層4を構成する熱可塑性樹脂の融解ピークのうち最も高い融点より20℃以上低ければ良い。これは、表面層4は最も融点の高い樹脂成分が骨格の保持を担い、接合層5の最も低い融点の樹脂成分が接着に最も強く作用する為である。
【0028】
また、熱接着性を好適に発現しながらも、明確な融点を有さない熱可塑性樹脂も有るので、その時は軟化点を指標にして、接合層5を構成する熱可塑性樹脂の軟化点が表面層4を構成する熱可塑性樹脂の軟化点より20℃以上低いことが好ましい。
【0029】
接合層5としての機能を発現する熱可塑性樹脂としては、エチレン−αオレフィン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体(以下、EVA)、エチレン−エチルアクリレート共重合体(以下、EEA)等のエチレン−アクリル酸エステル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体(以下、EAA)、エチレン−メタアクリル酸共重合体、エチレン−メタアクリル酸エステル共重合体、ポリアクリル酸エステルまたはポリメタアクリル酸エステル等が挙げられ、これらのいずれか1種または2種以上から選んでも良い。
【0030】
これらの熱可塑性樹脂のなかでも加工温度が低く設定でき、基層3との接着も良好に得られるのでエチレン−αオレフィン共重合体が好ましい。
【0031】
エチレン・α−オレフィン共重合体を構成するα−オレフィンとしては、炭素数4〜12程度のα−オレフィンが使用され、具体的には、プロピレン、ブテン−1、ヘキセン−1、オクテン−1、デセン−1等が使用される。
【0032】
また、エチレン・α−オレフィン共重合体としては、密度が0.865〜0.950g/cm3、好ましくは0.865〜0.915g/cm3、特に好ましくは0.870〜0.910g/cm3の範囲のものが使用される。密度がこの範囲より高いと基材3との接合性が悪くなり、また、この範囲より低いと加工性が悪くなり、ブロッキング性が悪くなる。
【0033】
接合層5の厚さは、目的に応じて任意に選定することができるが、一般には、5〜60μm、好ましくは8〜55μm、さらに好ましくは10〜50μmとされる。
【0034】
エチレン・α−オレフィン共重合体としては、メタロセン触媒を用いて重合した重合体が望ましい。メタロセン触媒を用いて重合した重合体を用いることによって基層3と表面層4を低温で接合することができるようになる。
【0035】
メタロセン触媒(あるいはシングルサイト系触媒)によるエチレン・α−オレフィン共重合体としては、例えば、二塩化ジルコノセンとメチルアルモキサンの組み合わせによる触媒等のメタロセン錯体とアルモキサンとの組み合わせによる触媒、すなわち、メタロセン触媒を使用して重合してなるエチレン−α−オレフィン共重合体を使用することができる。
【0036】
上記のメタロセン触媒は、現行の触媒が、活性点が不均一でマルチサイト系触媒と呼ばれているのに対し、活性点が均一であることからシングルサイト系触媒とも呼ばれているものである(以下、メタロセン触媒と、シングルサイト系触媒とは、同等の意味である。)。
【0037】
上記のメタロセン触媒を用いて重合したエチレン−α−オレフィン共重合体としては、具体的には、日本ポリケム株式会社製の商品名「カーネル」、三井化学株式会社製の商品名「エボリュー」、米国、エクソン・ケミカル(EXXON CHEMICAL)社製の商品名「エクザクト(EXACT)」、米国、ダウ・ケミカル(DOW CHEMICAL)社製の商品名「アフィニティー(AFFINITY)」、商品名「エンゲージ(ENGAGE)」等のエチレン−α−オレフィン共重合体を使用することができる。
【0038】
基層3を構成する樹脂としては、強度や成形性、コストなどのバランスに優れたオレフィン系重合体および/またはスチレン系重合体が好ましく選択できる。オレフィン系重合体としては、エチレン系重合体、例えば、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン等を使用することができる。また、プロピレン系重合体、例えば、ポリプロピレン、エチレン・プロピレンブロック共重合体等を使用することができる。スチレン系重合体としては、ポリスチレン、耐衝撃性ポリスチレン、ポリα−メチルポリスチレン、スチレン・アクリルニトリル共重合体等を用いることができる。中でもポリスチレンが好ましい。
【0039】
また、この基層3は用途に応じ、発泡ポリスチレンおよび/または発泡ポリプロピレンからも好適に選択することができる。
【0040】
また、この基層3は用途に応じ、事前にアルミニウム蒸着させてなるものも好適に選択することができる。
【0041】
基層3の厚さとしては、目的に応じて任意に選定することができるが、一般には、10〜1000μm、好ましくは20〜800μm、さらに好ましくは30〜500μmとされる。
【0042】
これら基層3、接合層5あるいは表面層4には、発明の効果を損なわない程度で、適宜、各種の添加剤を配合することができる。具体的には、フェノール系、有機ホスファイト系、ホスナイトなどの有機リン系、チオエーテル系等の酸化防止剤;ヒンダードアミン系等の光安定剤;ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、ベンゾエート系等の紫外線吸収剤;ノニオン系、カチオン系、アニオン系等の帯電防止剤;ビスアミド系、ワックス系、有機金属塩系等の分散剤;アミド系、ワックス系、有機金属塩系、エステル系等の滑剤;金属イオン系などの無機、有機抗菌剤等が挙げられる。
【0043】
これら添加剤を配合する方法としては、直接にロール、バンバリー、ニーダー、押出機等の混練機で溶融混練する方法、分散をよくするためヘンシェル型ミキサー等であらかじめ重合体の粉体と混合した後、前述の混練機等で溶融混練する方法、あるいは一旦高濃度のマスターバッチを作って後で希釈する方法等、種々の公知の方法を適用することができる。
【0044】
包装容器用積層フィルムは前記の表面層4と接合層5を有していれば製造方法に特に制限はないが、例えば、表面層4として目的とする機能を有するフィルムを選択し、これに接合層5とする熱可塑性樹脂を押出ラミネートすることで得られる。本発明では融点の低い熱可塑性樹脂を接合層5に選択しているので所望の機能を有し、性能の高い表面層4を選択し、結果として表面層4を構成する熱可塑性樹脂の融点が高かったとしても、この押出ラミネートは接合層5に用いる熱可塑性樹脂さえ加工できれば良いので、低い温度で加工が可能で表面層4を傷めることなく、また、この押出ラミネート成形時には基層3は関与していないので基層3を変形させることがない。
【0045】
押出ラミネートの手法としては公知の技術を織りこむことができ、表面層4と接合層5の接着強度を上げるために、コロナ処理やオゾン処理やAC剤を使用するなど各種の手法を用いることができる。
【0046】
包装容器用積層シート1の製造方法には特に制限はないが、目的とする機能を有する基層3を選択し、前記の方法で得た包装容器用積層フィルムを、熱ラミネートすることにより好適に得ることができる。
【0047】
この時、熱ラミネートの温度は、接合層5に融点の低い熱可塑性樹脂を用いることにより、仮に融点の高い表面層4を選択しても、低い温度での加工が可能になる。
【0048】
例えば、表面層4に溶剤可溶性の接着剤をコートし、乾燥し、熱圧着でラミネートする場合、接着剤の種類にも依るが、200〜280℃の高温を必要とすることが多い。この温度では基層3となるポリスチレンやポリプロピレン系樹脂が変形や光沢を失うなどの不具合を生じる。
【0049】
それに対し、本発明の接合層5を設けることにより、例えば80〜180℃、材質の選択よっては150℃以下、条件の選択によっては120℃以下と基層3や表面層4の機能や性能、外観を殆ど損なうことなく、包装容器用積層シート1を得ることができる。
【0050】
基層3と表面層4を積層する積層手段としては、予め、基層3となるシートを成形すると共に、表面層4と接着性を有する熱可塑性樹脂からなる接合層5との積層体を形成して熱ラミネート法を用いて複層化する手段や、予め形成した基層3となるシートと表面層4となる熱可塑性合成樹脂フィルムの間に、接合層5となる接着性を有する熱可塑性樹脂をフィルム状に溶融押出して圧着する方法を採ることができる。
【0051】
本発明の積層シート1は、建築物等の化粧板としてそのまま使用することができるが、一般には、熱成形方法によって二次成形することによって包装容器として用いられる。
【0052】
熱成形方法としては、シートを金型上に装着した後、金型外面側から吸引する方法、吸引と共にプラグアシストする方法、あるいは、金型内面側から空気圧を加える方法、これにプラグアシストをする方法、吸引と空気による与圧を併用する方法等いわゆる真空成形方法あるいは真空圧空成形方法を採用することができる。
【0053】
【発明の効果】
本発明によれば、溶媒を使用することなく、低温で積層することができ、熱劣化が少なく、また、熱成形性に優れた包装容器用積層フィルム、積層シート及び包装容器を得ることができる。
【0054】
【実施例】
実施例1
厚さ30μmのポリスチレン二軸延伸フィルム(OPS)に、メタロセン触媒を用いて重合した線状低密度ポリエチレン(LLDPE−1)(日本ポリケム社製「カーネル」密度0.888g/cm3、MFR20)を、厚さ15μmとなるように押出しラミネーションを行って積層シートとした。
【0055】
得られた積層シートを加熱炉内で再加熱をして、厚さ300μmのポリスチレンシート(PS)に圧着温度130℃で圧着して積層シートとして、以下の評価基準でその評価を行った。その結果を表1に示す。
【0056】
実施例2
接合層として、メタロセン触媒を用いて重合した線状低密度ポリエチレン(LLDPE−2)(日本ポリケム社製「カーネル」密度0.891g/cm3、MFR40)を用いた他は、実施例1と同様に実施した。その結果を表1に示す。
【0057】
実施例3
表面層として、厚さ12μmのポリエステルフィルム(PET)(ユニチカ社製「PTMU」)を用いた他は、実施例1と同様に実施した。その結果を表1に示す。
【0058】
比較例1
厚さ30μmのポリスチレン二軸延伸フィルム(OPS)に、溶媒型粘着剤(東洋モートン社製「EL420」)を塗布し、300μmのポリスチレンシートを併せて240℃で圧着した。実施例1と同様に評価し、その結果を表1に示す。
【0059】
(評価基準)
▲1▼ラミ加工適正
積層フィルムを押出ラミ成形する際の加工のしやすさ(ネックインやドローダウンや離ロール性など)を定性的に判断した。
◎:全く問題なく加工できた
○:若干の加工条件の調整で加工できた
△:加工性は悪いが、製造できた
×:加工性が悪く、加工できなかった
−:概念として非該当
【0060】
▲2▼ブロッキング性
◎:全くブロッキングしなかった
○:若干ブロッキングしたが、実用上問題のないレベルだった
△:ブロッキングが発生したが、巻直し工程を経ることで実用上問題のないレベルになった
×:ブロッキングが発生し、製品として使用できるレベルではなかった
−:概念として非該当
【0061】
▲3▼熱ラミ特性
◎:全く問題なく加工できた
○:若干の加工条件の調整で加工できた
△:加工性は悪いが、製造できた
×:加工性が悪く、加工できなかった
【0062】
▲4▼基材密着性、▲5▼光沢、▲6▼基材の変形
必要性能以上の基材密着性、必要性能以上の光沢、必要性能以上の寸法精度があるか否かを定性的に判断した。
◎:適正良好で、実用上、問題なく、さらなる付加価値があるレベル
○:適正良好で、実用上、問題のないレベル
△:実用上、問題のないが、適正不足
×:実用上、問題の発生し得るレベル
【0063】
【表1】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明積層シートの縦断面図
【図2】包装容器の例を示す縦断面図
【符号の説明】
1:積層シート
2:包装容器
3:基層
4:表面層
5:接合層
Claims (10)
- 少なくとも、熱可塑性樹脂からなる表面層と、熱接着性を有する熱可塑性樹脂からなる接合層を有することを特徴とする包装容器用積層フィルム。
- 接合層を構成する熱接着性を有する熱可塑性樹脂の融点または軟化点が、表面層を構成する熱可塑性樹脂のそれより20℃以上低い請求項1に記載の包装容器用積層フィルム。
- 熱接着性を有する熱可塑性樹脂が、エチレン−αオレフィン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体、エチレン−メタアクリル酸共重合体、エチレン−メタアクリル酸エステル共重合体、ポリアクリル酸エステルまたはポリメタアクリル酸エステルのいずれか1種または2種以上から選ばれる請求項1又は2に記載の包装容器用積層フィルム。
- 表面層が、エチレン系共重合体、プロピレン系重合体またはスチレン系重合体のいずれか1種または2種以上から選ばれる請求項1〜3のいずれかに記載の包装容器用積層フィルム。
- 熱接着性を有する熱可塑性樹脂が、密度0.865〜0.950g/cm3のエチレン−αオレフィン共重合体である請求項1〜4のいずれかに記載の包装容器用積層フィルム。
- 熱接着性を有する熱可塑性樹脂が、メタロセン触媒を用いて重合させた共重合体からなる請求項1〜5のいずれかに記載の包装容器用積層フィルム。
- 請求項1〜6のいずれかに記載の包装容器用積層フィルムと、オレフィン系重合体および/またはスチレン系重合体からなる基層を、積層させてなることを特徴とする包装容器用積層シート。
- 前記基層が、発泡ポリスチレンおよび/または発泡ポリプロピレンである請求項7に記載の包装容器用積層シート。
- 前記基層が、アルミニウム蒸着されている請求項7又は8に記載の包装容器用積層シート。
- 請求項7〜9のいずれかに記載の包装容器用積層シートを熱成形することによって形成してなることを特徴とする包装容器。
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JP2002259352A JP2004098301A (ja) | 2002-09-04 | 2002-09-04 | 包装容器用積層フィルム、積層シート及び包装容器 |
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Publications (1)
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Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2006326889A (ja) * | 2005-05-24 | 2006-12-07 | Toyobo Co Ltd | 積層ポリオレフィン系発泡フィルム |
JP2010221665A (ja) * | 2009-03-25 | 2010-10-07 | Fp Corp | 積層樹脂シート及び包装用容器 |
KR102204018B1 (ko) * | 2020-11-25 | 2021-01-18 | 주식회사 제이엠이엔씨 | 나노 항균성 매트리스 포장 비닐 |
CN113615946A (zh) * | 2015-10-21 | 2021-11-09 | 帕瓦贸易有限公司 | 用于爱好设备的箱子或罩子 |
-
2002
- 2002-09-04 JP JP2002259352A patent/JP2004098301A/ja active Pending
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