JP2004093661A - 光学素子及びその成形用金型及び三次元形状測定装置及び三次元形状測定方法 - Google Patents
光学素子及びその成形用金型及び三次元形状測定装置及び三次元形状測定方法 Download PDFInfo
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Abstract
【解決手段】光学有効面1aと連続する面内に、その法線の方向が光学有効面の光軸の方向と略一致する第1の基準面1sを有する。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、主としてレンズ、プリズムなどの光学素子及びその形状を測定する技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
レンズ、プリズムなどの光学素子の形状を三次元測定機を用いて測定する場合、測定対象となる被測定面が測定可能となるように、被測定物の位置および姿勢を測定治具または測定雇で固定した状態で測定が行われる。また、特に高精度な形状測定を行う場合、従来より測定基準を有する測定治具を用いている。
【0003】
ここで測定基準とは、図13に示すように、三次元測定機上の測定治具の位置を規定するための測定治具基準マーク3a〜3c、および測定治具に取り付けられた被測定物の治具上の位置を規定するための被測定物取付基準面2s〜2uを指す。
【0004】
図13において、被測定物1の形状測定時に測定治具2上の基準マーク位置3a〜3cを測定することにより、三次元測定機上における測定治具2本体の取付位置および姿勢が規定される。これより、三次元形状測定を行う際の被測定物1に対する測定基準が、三次元形状測定機上に設置された測定治具上に定められる。
【0005】
ここで、測定治具の設計・製作の過程において、測定治具内における測定治具基準マークの位置と被測定物取付基準面との位置関係を相対的に明らかにしておくことで、三次元測定機上に設定された前記測定基準点から測定治具内に設けられた被測定物取付基準面(点)までの位置関係が規定される。
【0006】
測定治具基準マーク位置と被測定物取付基準点との相対位置関係を規定する具体的な方法として、例えば両基準点を同一三次元測定機上で段取り変更せずに測定することにより規定する方法が採用されている。さらに、被測定物1内において測定治具への取付基準面と測定対象となる被測定面1aとの相対位置関係は、被測定物の設計値により規定される。なお、これらの規定された相対位置関係は全て座標変換として表すことが可能であり、この座標変換を用いることで所望の座標系(基準)における座標値として被測定面形状を把握することが可能である。これより、被測定面について図示しない三次元測定機装置制御部に指示した測定対象領域を高精度に形状測定することが可能となる。
【0007】
具体的な測定時の段取りの詳細について図13を用いて説明する。
【0008】
図13に示すように、被測定物1は三次元測定機上に設置(固定)された測定治具2に対し、取付基準面2s〜2uに被測定物1の基準面をつきあてた状態で固定される。この状態において、三次元測定機の測定用プローブ4は、図示するようにはじめに測定治具に取り付けられた基準マーク3a〜3cをそれぞれ走査し、測定機座標系における座標値としてマーク位置を測定する。これら3つのマーク位置(3点の装置座標)をもとに規定される測定治具上における基準座標系は、前述のようにあらかじめ明確にされており、測定治具内における被測定面1aの位置および姿勢をこの基準座標系で表現することが可能である。したがって、前述したとおり基準マークを測定用プローブ4で走査しマーク位置を測定したことで、上記の基準座標系の三次元測定機上における位置は装置座標として判明していることから、被測定面1aに関しても三次元測定機の装置座標系における座標値として面位置(姿勢)を表すことができる。
【0009】
この面位置情報(装置座標)をもとに、測定用プローブ4が被測定面1a上を走査することで、測定形状が三次元測定機の装置座標値として得られる。このとき、測定用プローブの接触式、非接触式は問わない。
【0010】
以上より、被測定物の形状測定時において、三次元測定機上の基準点に対する測定対象面形状の基準点の相対位置が規定され、三次元測定機座標系における座標値として出力される測定結果を、被測定物の測定対象面形状として得ることを可能にしている(特開平11−14906号公報)。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
前述した従来技術による三次元形状測定を行う場合、被測定物を測定治具に取り付けた状態において、測定治具に対する被測定物の取付誤差が必ず発生する。
【0012】
測定形状について形状評価を行う際、被測定面形状が設計値として既知の場合には、設計形状に対し測定形状を最小二乗法などを用いてフィッティングし、設計形状に対する測定形状の形状誤差を導出することが可能であり、一般にこのような評価方法が採用されている。このとき、同時に被測定面の面位置および姿勢に関しても、設計値に対する位置および姿勢誤差として求められる。しかしながら、前記した被測定物の測定治具に対する取付誤差が必ず存在するため、この取付誤差が前記フィッティング処理において算出される位置・姿勢誤差の中に含まれてしまう。すなわち、被測定物の設計値に対する位置・姿勢誤差に関しては、従来技術では高精度に求めることが不可能だった。
【0013】
上記課題について、被測定物である光学素子内において、面形状測定対象すなわち被測定面となる光学有効面が1面のみの光学素子に対し面形状測定を行う場合について、被測定面の位置および姿勢誤差を従来技術では高精度に求めることが困難である理由について、以下に説明する。
【0014】
被測定物に対し三次元形状測定機を使用して1面のみについて面形状を測定する場合、従来技術で説明したとおり、基準マークを有する測定治具に被測定物を取り付けて、三次元測定機上で被測定面が測定可能な姿勢に設定して形状測定を行う。測定形状は使用した測定治具内の基準マークで規定される座標系、および測定治具内の被測定物を取り付けるための基準面と基準マークの位置関係などから、座標変換を用いて被測定面である光学有効面の設計形状を定義する座標系における座標値として得ることが可能である。これより、点群データとして得られた測定面形状について設計形状と同一座標系における比較評価が可能となり、一般的には最小二乗法などを用いたフィッティング処理による評価が行われる。
【0015】
このとき、フィッティング処理を行わずに測定形状から設計形状を差し引いた残差は、単純に被測定物の形状誤差として捉えられる。仮に被測定物が測定治具に対し取付誤差が無い状態で固定されていたとすると、前記誤差を設計形状に対する形状誤差として取り扱うことで、被測定面に対する高精度な形状評価が可能となる。
【0016】
一方、実際の形状測定では被測定物の測定治具に対する取付誤差が必ず発生する。したがって、測定形状から設計形状を差し引いて得られる形状誤差には、厳密にはこの測定治具に対する被測定物の取付誤差が含まれることになる。このような状態で測定された被測定面形状に対し前記フィッティング処理を行った場合、測定形状と設計形状の差分として求められた形状を、さらに形状誤差と位置および傾斜(姿勢)誤差とに割り振ることになる。ここで割り振られて求められた形状誤差と位置および傾斜誤差の中には、フィッティング処理前の測定形状と設計形状の間の差分形状に測定治具への取付誤差が含まれていることから、取付誤差についても割り振られた誤差量として算出されることになる。すなわち、測定結果に対する形状評価において前記形状誤差について評価することは、前記測定治具に対する取付誤差が含まれた形状評価となることから、高精度な形状評価を行うことが難しいという課題があった。
【0017】
同様に前記課題について、被測定物である光学素子内において、被測定面となる光学有効面が複数面(2面以上)存在する光学素子に対し面形状測定を行う場合について、被測定面の位置および姿勢誤差を従来技術では高精度に求めることが困難である理由を同様に説明する。
【0018】
1面のみ光学有効面を有する光学素子に対し三次元形状測定を行う場合と同様に、被測定面である光学有効面を複数面有する光学素子について面形状を測定する場合、従来技術で前記したとおり、基準マークを有する測定治具に被測定物を取り付けて、三次元測定機に対し被測定面が測定可能となるような姿勢で測定治具に固定された被測定物を設置して形状測定を行う。測定形状を光学有効面の設計形状を定義する座標系における座標値として得る方法に関しては、前記した光学有効面が1面のみの光学素子に対し面形状測定を行う場合と同様である。また、点群データとして得られた測定面形状について設計形状と比較評価する手法についても、前記した光学有効面が1面のみの光学素子に対し面形状測定を行う場合と同様である(最小二乗法などを用いたフィッティング処理)。
【0019】
このとき、被測定面となる光学有効面が複数面(2面以上)存在する場合には、特開2000−46543号公報に開示されている方法を採用することで、三次元測定機に対する被測定物の取付誤差を高精度に除去することが可能である。
【0020】
すなわち、測定治具に取り付けられた基準マークにより規定される基準座標系で共通に表された各被測定面形状データ(点群データ)に対し、測定を行った複数面の測定形状を同時に各面の設計形状に対し最小二乗法などを用いたフィッティング処理を実施する。これより、測定治具に対する被測定物の取付誤差を含む三次元測定機に対する被測定物の取付誤差を除去することが可能となり、各被測定面の相対的な位置関係を高精度に評価可能となる。
【0021】
光学有効面が複数面存在する光学素子の場合、各有効面の面位置および姿勢(光軸位置および姿勢)は、一般的に光学素子内に形成されている基準面(基準位置)に対して設計値として規定されている。したがって、複数面の光学有効面について形状測定評価を行う場合、各面について光学素子内の基準面に対する面位置および姿勢が高精度に評価可能である必要がある。
【0022】
しかしながら、前記フィッティング処理による方法を用いた測定形状評価では、被測定物すなわち光学素子内における被測定面すなわち光学有効面の相対的な位置関係に関する評価は高精度に可能だが、各被測定面について被測定物内における絶対的な位置および姿勢を把握することは困難である。これは、複数存在する被測定面が相対的な位置関係を保ちながら、全体的に被測定物内に形成された基準面に対する絶対的な位置および姿勢について設計値に対する誤差を含んでいるとき、同誤差は前記フィッティング処理演算においては測定治具に対する被測定物の取付誤差として認識され、複数ある被測定面の測定形状評価を行う際には除去されてしまうからである。
【0023】
このように、光学有効面が複数面存在する場合に関しては、各有効面の測定形状評価において各有効面の位置についてこの位置を規定する光学素子内に形成された基準面に対する位置誤差を高精度に評価することが困難であるという課題があった。
【0024】
従って、本発明は上述した課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、三次元形状測定機による光学素子の形状測定において、被測定面である光学有効面の面形状の高精度な評価を可能とすることである。
【0025】
また、本発明の他の目的は、光学素子内の基準(面または位置)に対する光学有効面の位置および姿勢の設計値に対する誤差を高精度に測定評価可能とすることである。
【0026】
【課題を解決するための手段】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係わる光学素子は、光学有効面と連続する面内に、その法線の方向が前記光学有効面の光軸の方向と略一致する第1の基準面を有することを特徴としている。
【0027】
また、この発明に係わる光学素子において、前記光学有効面を挟み込む方向に位置し、且つ前記第1の基準面に直交する方向に形成された第2の基準面をさらに有することを特徴としている。
【0028】
また、この発明に係わる光学素子において、前記第1及び第2の基準面の双方に直交する第3の基準面をさらに有することを特徴としている。
【0029】
また、この発明に係わる光学素子において、前記光学有効面を複数面有することを特徴としている。
【0030】
また、この発明に係わる光学素子において、半導体露光装置の光学系に用いられることを特徴としている。
【0031】
また、この発明に係わる光学素子において、半導体測定装置の光学系に用いられることを特徴としている。
【0032】
また、この発明に係わる光学素子において、撮像カメラの光学系に用いられることを特徴としている。
【0033】
また、この発明に係わる光学素子において、レーザービームプリンタの光学系に用いられることを特徴としている。
【0034】
また、この発明に係わる光学素子において、複写機の光学系に用いられることを特徴としている。
【0035】
また、本発明に係わる光学素子成形用金型は、光学素子の光学有効面を成形するための有効面成形部と、前記有効面成形部の面位置及び姿勢を規定するための互いに直交する少なくとも三つの基準面とを有することを特徴としている。
【0036】
また、本発明に係わる三次元形状測定装置は、被測定物内の被測定面の形状を測定するための形状測定手段と、前記被測定物内の任意の点の座標を測定するための点座標測定手段とを有することを特徴としている。
【0037】
また、この発明に係わる三次元形状測定装置において、前記形状測定手段として接触式プローブを備えることを特徴としている。
【0038】
また、この発明に係わる三次元形状測定装置において、前記形状測定手段として非接触式プローブを備えることを特徴としている。
【0039】
また、この発明に係わる三次元形状測定装置において、前記形状測定手段として干渉計を備えることを特徴としている。
【0040】
また、この発明に係わる三次元形状測定装置において、前記被測定物は、前記被測定面である光学有効面と連続する面内に、その法線の方向が前記光学有効面の光軸の方向と略一致する基準面を有するとともに、前記点座標測定手段は前記基準面の位置を測定するように構成され、前記点座標測定手段により測定された前記基準面の位置に基づいて直交三軸座標系を求める第1の演算手段と、前記形状測定手段により測定された前記被測定面の形状データを前記直交三軸座標系の座標値に座標変換する第2の演算手段とをさらに有することを特徴としている。また、本発明に係わる三次元形状測定方法は、上記の三次元形状測定装置を用いる三次元形状測定方法であって、前記被測定物を前記三次元形状測定装置に対して着脱せずに、前記形状測定手段による測定と、前記点座標測定手段による測定とを行なうことを特徴としている。
【0041】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施形態について説明する。
【0042】
まず、本実施形態の概要について説明する。
【0043】
本実施形態における光学素子は、被測定面となる光学有効面の面位置および姿勢を規定するための基準となり、かつ三次元測定機により測定可能とするために十分な領域を有する基準面を少なくとも1面有する。
【0044】
そして、この光学素子の三次元形状測定を実施する際は、形状測定評価対象となる光学有効面の形状測定時に、光学有効面を測定する段取りと同一段取りで、すなわち三次元測定機内に設置された被測定物である光学素子を測定機に対し動かさない状態で、光学素子内に形状創成された上記の基準面について形状測定を実施する。
【0045】
ここで、本実施形態における三次元形状測定装置は、光学有効面の形状測定および基準面測定を同一段取りで実施可能であるものとする。
【0046】
以上より、光学有効面の基準面に対する面位置および姿勢について、従来技術に比べ高精度に測定評価が可能となる。
【0047】
さらに、本実施形態の光学素子が一部品として組み込まれる光学装置において、この光学装置に光学素子を組み込む際に、従来技術により提供される光学素子を組み込む場合と比較して高精度な組み込みが容易であり、結果として光学装置の製造コスト低減を図ることができる。
【0048】
上記構成において、初めに光学素子内に基準面を形状創成し、さらにこの基準面と光学有効面を同一段取りで三次元形状測定することにより、設計値に対する光学有効面の面位置、姿勢について高精度な測定評価が可能となる作用について説明する。
【0049】
本実施形態における光学素子は、前述したとおり光学有効面の他に光学有効面位置を規定するための基準面を少なくとも1面有する。また本実施形態における三次元形状測定装置は、面形状測定手段の他に被測定物の任意の点の座標を測定する手段を有する。なお、この点座標測定手段は、この測定手段による測定を連続的に繰り返して点群データを取得することで、面形状データを得ることも可能であるものとする。さらに、本実施形態における三次元形状測定方法においては、前記面形状測定手段による光学有効面形状の測定と、前記点座標測定手段による光学素子内の基準面測定を、被測定物すなわち測定治具に取り付けられた光学素子を三次元測定機内において動かす(測定機に対し被測定物を着脱する)ことなく同一段取り下で測定する。
【0050】
以上の被測定物となる光学素子、この光学素子を測定することを目的とした三次元形状測定装置、および前記三次元形状測定方法を組み合わせることにより、本実施形態における光学素子に対し光学有効面形状測定を行う際に、従来高精度な測定が困難であった光学素子内に形状創成された基準面に対する光学有効面の位置および姿勢についても、従来と比較して高精度に測定可能となる。この作用の詳細について、以下に説明する。
【0051】
すなわち、本実施形態における光学素子および三次元形状測定装置および三次元形状測定方法によれば、被測定面となる光学有効面に対し面形状測定を行うことで、三次元測定機に固定された座標系(装置座標系)で表された座標データ群(点群データ)として面形状データが得られる。また、段取り変更することなく前記基準面についても点座標測定手段により測定を行うことで、基準面についても前記装置座標系の座標データとして同様にデータが取得可能である。
【0052】
したがって、同一座標系(装置座標系)で表された光学有効面形状データおよび基準面座標データを使用して座標変換演算を行うことにより、基準面座標データで規定される被測定物基準座標系における座標データ群として前記光学有効面形状データを表すことが可能となる。
【0053】
なお、ここで表される光学有効面形状は、被測定物である光学素子に形状創成された基準面の面数に対応した自由度について、光学有効面の基準面に対する位置および姿勢を把握することができることになる。これは、従来の基準マークを有する測定治具を用いた形状測定方法では除去することが困難だった、測定治具に対する被測定物の取付誤差が除去可能となることを意味する。
【0054】
このように、本実施形態によれば、基準面を光学有効面測定と同一段取りで測定することにより、前記基準面に対する光学有効面の位置および姿勢に関して、従来除去することが困難であった測定治具に対する被測定物の取付誤差を除去することが可能となり、高精度に測定評価が可能となる。
【0055】
次に、光学素子内に基準面を形状創成することにより、この光学素子を一部品として構成される光学装置に組み込む際の組み込み精度向上、および光学装置の製造コスト低減を図ることが可能となる作用について説明する。
【0056】
従来技術による光学素子では、この光学素子内に基準面が形成されている場合においても、光学有効面の三次元形状測定結果からは前記基準面に対する光学有効面の位置および姿勢を正確に把握することができない。このため、光学素子を光学装置に組み込む際には、光学有効面を光学装置内において所望の光学性能が得られるような配置に組み込み調整する必要があり、この調整については例えば光学装置に設けられた組み込み調整機構を用い、組み込んだ光学素子に実際に光を通しながら調整をすることで実現していた。
【0057】
これに対し、本実施形態における光学素子を光学装置に組み込む際の調整については、この光学素子について本実施形態における三次元形状測定装置を使用した形状測定方法により得られた形状測定結果から、あらかじめ光学素子内の基準面に対する光学有効面の面位置および姿勢について明らかとなっている。したがって、光学装置内に設けられた光学素子組み込み調整機構を用い、明らかとなっている光学有効面の位置および姿勢ずれ分だけ調整することで、光学装置内における光学素子の位置決めを光を通すことなく実施することが可能となる。このように本実施形態によれば、従来技術と比較して光学素子を光学装置に組み込む際の調整が簡便となり、製造タクトを短縮化し結果的に光学装置の製造コスト低減を図ることが出来る。
【0058】
以下、本発明の実施形態について、具体的に説明する。
【0059】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係わる光学素子、この光学素子の形状測定方法、およびこの形状測定を実現するための三次元形状測定装置を説明するための図である。
【0060】
図1に示すように、本実施形態の光学素子1は、光学有効面1aの他に光学素子1内における光学有効面1aの位置および姿勢を規定するための基準面1s,1t,1uを有する。
【0061】
すなわち、図1に示す光学素子において基準面1s〜1uは互いに直交する位置関係にあり、例えば図示した基準面1s〜1uが直交する点を原点とし、基準面1sに対し垂直な方向をz軸とし、基準面1sと1uが交差する直線の方向をy軸とし、y軸およびz軸に直交する方向をx軸とするような、基準面1s〜1uにより規定される被測定物基準座標系を考える。ここで、光学有効面1aの設計形状は被測定物基準座標系の座標値として表すことができる。したがって、光学素子1内における光学有効面1aの面位置および姿勢に関する設計値(公差規格)は被測定物基準座標系において定められることになる。
【0062】
一方、図1に示すプローブ4を搭載した図示しない三次元形状測定装置は、プローブ4を被測定面1aに対し接触させながら走査することで被測定面形状を測定可能である。このとき被測定面測定形状は、三次元測定機装置座標系における座標データ(点群データ)として得られる。またプローブ4は、図1に示すとおり、基準面1s〜1uの位置情報を点座標データとして測定可能である。ここで、基準面1s〜1uの点座標測定を行う手段は、プローブ4とは別の異なる基準面測定専用プローブであってもよい。すなわち、本実施形態の三次元形状測定装置は、図1における被測定面(光学有効面)1aの面形状測定を行う手段と、基準面1s〜1uの面位置を測定するための点座標測定手段(不図示)を有する。
【0063】
次に、基準面位置の測定を目的とした点座標測定手段を使用して、基準面1s〜1uにより規定される被測定物基準座標系の導出方法について詳細に説明する。
【0064】
初めに基準面1sに対し、基準面1s上の任意の三点について、点座標測定手段(例えば、プローブ4)を用いて点測定を行う。このとき得られる三次元形状測定装置座標系で表された三点の座標データより、この三点が含まれる平面が装置座標系において一意に求まる。すなわち、この三点が含まれる平面の法線ベクトルの方向が一意に定まり、被測定物基準座標系を直交三軸座標系とした際の任意の一軸として設定する。例えば、図1に示すとおり、前記法線ベクトルの方向を被測定物基準座標系のz軸方向として定める。
【0065】
次に、残りの基準面二面における任意の一面について、基準面位置を測定する。例えば、図1において基準面1tに対し面位置を測定するとする。ここでは、基準面1tに対し、この基準面1t上の任意の二点について、前記点座標測定手段を用いて点測定を行う。この際、前記任意の二点を結ぶ直線の方向ベクトルが、被測定物基準座標系のz軸方向と同一方向にならないような二点を測定するものとする。このとき得られる三次元形状測定装置座標系で表された二点の点座標データについて、それぞれ基準面1s上の三点を測定して導出された平面に射影した点を結ぶ直線が一意に定まる。この直線の方向ベクトルを、直交三軸座標系として表された被測定物基準座標系において既に方向が定められているz軸以外の二軸における任意の一軸の方向として設定する。
【0066】
例えば、図1に示すとおり、前記直線の方向ベクトルと同一方向に、被測定物基準座標系のx軸方向を定める。以上より、直交三軸で規定される被測定物取付座標系において、直交する二軸(x、z軸)の方向が定まったことから、両軸に直交する方向が一意に定まり、この方向を被測定物座標系におけるy軸方向として設定する。
【0067】
最後に、残りの基準面一面について基準面位置を測定する。ここでは、図1に示す基準面1uに対し、この基準面1u上の任意の一点について、前記点座標測定手段を用いて点測定を行う。このとき得られる三次元形状測定装置座標系で表された点座標データを用い、同点を含み法線ベクトル方向が図1における被測定物基準座標系のx軸方向と一致する平面が一意に定まる。これより、直交する基準面1s,1t,1uの3面の面位置が、共通の三次元形状測定装置座標系において規定され、同基準面の交点を被測定物基準座標系原点として設定することができる。したがって、図1において被測定物取付座標系が三次元形状測定装置の装置座標系に対し求められる。これは、三次元形状測定装置座標系から被測定物基準座標系への座標変換が導出されたことと同意である。
【0068】
上述したとおり、本実施形態によれば、図1に示す被測定物1の基準面1s〜1uについて面位置を測定することにより、三次元形状測定装置座標系から被測定物基準座標系への座標変換を導出することが可能である。ここで、本実施形態では前述したとおり被測定物を三次元形状測定装置から着脱することなく、すなわち測定段取りを変更せずに基準面1s〜1uの面位置測定および被測定面である光学有効面1aの面形状測定が行われる。したがって、光学素子1における基準面1s〜1uに対する光学有効面1aの面形状について、前記座標変換演算を行うことで被測定物基準座標系における座標値で表された点群データとして得ることができる。
【0069】
本実施形態では、ここで導出された光学有効面1aの測定形状データについて、同じく被測定物基準座標系で規定されている光学有効面1aの設計形状に対し最小二乗法などを用いたフィッティング処理を行うことにより、前記基準面1s〜1uに対する光学有効面1aの面位置および姿勢を高精度に測定可能である。
【0070】
また、本実施形態では前記フィッティング処理を実施せずに、被測定物基準座標系で表された光学有効面1aの測定形状データから被測定物基準座標系で規定された設計形状データを差し引くことで、設計形状に対する光学素子1に形状創成されている光学有効面1aの形状誤差を高精度に導出可能である。
【0071】
なお、図1に示す第1の実施形態において、基準面1s〜1uの面位置測定方法について、前述した測定方法の他に次の方法で測定し、被測定物基準座標系を導出することが可能である。
【0072】
前述した基準面位置測定方法では、図1に示す点座標測定手段(プローブ4)を使用して、各基準面に対し直交三軸座標系を規定するために必要最小限の点データを測定することで被測定物基準座標系を導出する。これに対し、各基準面1s〜1uについて点座標測定手段(プローブ4)により複数の点座標を測定することにより、点群データとして基準面の面形状が測定可能である。点群データとして測定された基準面測定形状について、平面に対する前記フィッティング処理を行うことで、各基準面について三次元形状測定装置座標系における平面および同平面の法線ベクトルが導出できる。
【0073】
ここで、例えば図1において基準面1sの法線ベクトルと基準面1tの法線ベクトルに直交するベクトル、すなわち両法線ベクトルの外積として求められるベクトルの方向を図1に示す被測定物座標系のx軸方向として設定し、さらに基準面1sの法線ベクトル方向を同被測定物基準座標系のz軸方向として設定する。また、既に求められている被測定物基準座標系のx、z軸に直交する方向をy軸方向として設定する。被測定物基準座標系原点位置に関しては、前記した方法と同様に、互いに直交する基準面1s〜1uの交点を求め設定することにより、三次元形状測定装置内における被測定物基準座標系を規定することが可能である。本実施形態においては、このように各基準面形状を点座標測定手段により測定して求めることで、被測定物基準座標系を規定する方法を採用することも可能である。
【0074】
(第2の実施形態)
図2は、第2の実施形態に係わる光学素子、この光学素子の形状測定方法、およびこの形状測定を実現するための三次元形状測定装置を説明するための図である。
【0075】
第1の実施形態では、図1に示した三次元形状測定装置における被測定面形状を測定する手段であるプローブ4は、前記したとおり被測定面である光学有効面1aを走査する際に、被測定面に接触しながら走査することで被測定面形状を測定可能である。
【0076】
これに対し、図2に示す本発明の第2の実施形態では、被測定面である光学有効面1aを走査する際に、被測定面に対し非接触でプローブ5を走査しながら被測定面形状を測定可能である。
【0077】
すなわち、本実施形態の三次元形状測定装置は、被測定面である光学有効面の面形状測定手段として、非接触式のプローブを搭載した測定機であってもよい。この場合、前記三次元形状測定装置は被測定面形状測定用非接触式プローブ5と、接触式の点座標測定手段(プローブ)4を共に備えている。このとき、図2に示す基準面位置測定を目的とした点座標測定手段4、および同測定手段を用いた基準面測定方法、および同基準面測定結果により導出する被測定物基準座標系導出方法については、前記した第1の実施形態と同様とする。
【0078】
(第3及び第4の実施形態)
図3及び図4は、第3及び第4の実施形態に係わる光学素子、この光学素子の形状測定方法、およびこの形状測定を実現するための三次元形状測定装置を説明するための図である。
【0079】
図3及び図4に示すとおり、第3及び第4の実施形態の光学素子は、光学有効面1aの他に光学素子1内における光学有効面1aの位置および姿勢を規定するための、少なくとも一面の基準面1sを有する。すなわち、図3及び図4に示す光学素子1において基準面1sは、この基準面1sの法線方向が光学有効面1aの光軸方向と概ね一致しており、基準面1sの法線方向をz軸とし、基準面1sに含まれており互いに直交する二軸をそれぞれx軸、y軸とし、さらに基準面1s内に含まれる一点を原点とするような、基準面1sにより規定される被測定物基準座標系を考える。
【0080】
ここで、光学有効面1aの設計形状は、前記被測定物基準座標系の座標値として表すことができる。したがって、光学素子1内における光学有効面1aの面位置および姿勢に関する設計値(公差規格)は前記被測定物基準座標系において定められることになる。ただし、本実施形態においては被測定物基準座標系を規定するための基準面が、光学有効面に対し一面のみしか存在しないことから、光学有効面形状によって最大で四自由度の面位置および姿勢のみが設計値として定められることになる。すなわち、図3において被測定物基準座標系のz軸方向の位置およびx、y、z各軸回りの姿勢について、第1及び第2の実施形態と同じ三次元形状測定装置および測定方法を使用することで高精度な測定形状評価が可能となる。
【0081】
なお、本発明の第3の実施形態として、図3に示す光学素子1に対し光学有効面の面形状測定手段として接触式のプローブ4による測定を行う場合と、第4の実施形態として、図4に示す非接触式プローブ5による測定を行う場合があげられ、本発明においてはどちらの方式であっても同様な効果が得られる。
【0082】
(第5及び第6の実施形態)
図5及び図6は、第5及び第6の実施形態に係わる光学素子、この光学素子の形状測定方法、およびこの形状測定を実現するための三次元形状測定装置を説明するための図である。
【0083】
図5及び図6に示すとおり、第5及び第6の実施形態の光学素子は、光学有効面1aの他に光学素子1内における光学有効面1aの位置および姿勢を規定するための基準面として、光学有効面1aの光軸方向と法線方向が概ね一致する面内に存在する基準面1sと、光学有効面1aを挟み込む方向に存在し、基準面1sに直交する方向に形成された基準面1tとを有する。
【0084】
すなわち、図5及び図6に示す光学素子1において基準面1sの法線方向をz軸とし、基準面1sと1tが交差する直線の方向をx軸とし、前記x軸およびz軸に直交する方向をy軸とし、さらに基準面1sと1tの交線上の任意の点を原点とするような、基準面1s、1tにより規定される被測定物基準座標系を考える。
【0085】
ここで、光学有効面1aの設計形状は、前記被測定物基準座標系の座標値として表すことができる。したがって、光学素子1内における光学有効面1aの面位置および姿勢に関する設計値(公差規格)は前記被測定物基準座標系において定められることになる。ただし、本実施形態においては、被測定物基準座標系を規定するための基準面が、図5において光学有効面1aに対し基準面1sおよび1tのみしか存在しないことから、光学有効面形状によって最大で五自由度の面位置および姿勢のみが設計値として定められることになる。すなわち、図5において被測定物基準座標系のy、z軸方向の位置およびx、y、z各軸回りの姿勢について、第1乃至第4の実施形態と同じ三次元形状測定装置および測定方法を使用することで高精度な測定形状評価が可能となる。
【0086】
つまり本実施形態によれば、被測定物基準座標系のx軸方向の位置以外の自由度に関しては、被測定物基準座標系に対する被測定面である光学有効面の面位置および姿勢について、高精度な測定評価ができる。
【0087】
なお、本発明の第5の実施形態として、図5に示す光学素子1に対し光学有効面の面形状測定手段として接触式のプローブ4による測定を行う場合と、第6の実施形態として、図6に示す非接触式プローブ5による測定を行う場合が挙げられ、本発明においてはどちらの方式であっても同様な効果が得られる。
【0088】
(第7及び第8の実施形態)
図7及び図8は、第7及び第8の実施形態に係わる光学素子、この光学素子の形状測定方法、およびこの形状測定を実現するための三次元形状測定装置を説明するための図である。
【0089】
図7及び図8に示すとおり、第7及び第8の実施形態の光学素子は、複数の光学有効面1a、1bを有し、その他に光学素子1内における光学有効面1a、1bそれぞれの位置および姿勢を規定するための基準面1s,1t,1uを有する。すなわち、図7に示す光学素子1において基準面1s〜1uは、本発明の第1及び第2の実施形態の光学素子と同様、各基準面が直交する関係にあり、同基準面により規定される被測定物基準座標系についても本発明の第1及び第2の実施形態と同様に設定できる。
【0090】
さらに、光学有効面1aおよび1bの設計形状が前記被測定物基準座標系の座標値として表され、光学素子1内における光学有効面1a、1bの面位置および姿勢に関する設計値(公差規格)が前記被測定物基準座標系において定めれられる点についても、前記第1及び第2の実施形態と同様である。
【0091】
ここで、図7および図8に示す実施形態のように光学素子1内に複数の光学有効面を有する光学素子においても、前記した第1乃至第6の実施形態と同じ三次元形状測定装置および形状測定方法を使用することで、光学有効面1a、1bそれぞれについて被測定物基準座標系に対する面位置および姿勢を高精度に測定可能である。
【0092】
すなわち、複数存在する光学有効面形状をそれぞれ面形状測定手段(接触式プローブ4または非接触式プローブ5)を用いて形状測定する際に、三次元形状測定装置から被測定物である光学素子1を着脱することなく、同測定装置に搭載された基準面測定用点座標測定手段(プローブ4または図示しない専用測定手段)を使用して基準面1s〜1uに対し基準面位置情報を測定する。これより、図7において各光学有効面1aおよび1bの面形状データは、基準面1s〜1uで規定される被測定物基準座標系の座標値としてともに得ることができる。
【0093】
ここで、これらの同一座標系(被測定物基準座標系)で表された複数の光学有効面形状データについて、各面の設計形状に対し同時に最小二乗法などを用いたフィッティング処理を実施する(特開2000−46543に示されている方法を採用する)。これより、光学素子1内において設計値として定められている光学有効面1aおよび1bが両方の相対的な位置関係を保った状態で、基準面1s〜1uに対する両光学有効面の全体的な位置および姿勢ずれについて高精度に測定評価が可能となる。
【0094】
なお、本発明の第7の実施形態として、図7に示す光学素子1に対し光学有効面の面形状測定手段として接触式のプローブ4による測定を行う場合と、第8の実施形態として、図8に示す非接触式プローブ5による測定を行う場合が挙げられ、本発明においてはどちらの方式であっても同様な効果が得られる。
【0095】
(第9及び第10の実施形態)
図9及び図10は、第9及び第10の実施形態に係わる光学素子、この光学素子の形状測定方法、およびこの形状測定を実現するための三次元形状測定装置を説明するための図である。
【0096】
図9に示すとおり、第9及び第10の実施形態の光学素子は、複数の光学有効面1a、1bを有し、その他に光学素子1内における光学有効面1a、1bそれぞれの位置および姿勢を規定するための基準面として、光学有効面1a、1bの光軸方向と法線方向が概ね一致する面内に存在する基準面1sと、光学有効面1a、1bを挟み込む方向に存在し、基準面1sに直交する方向に形成された基準面1tとを有する。
【0097】
ここで、図9及び図10に示す光学素子1において基準面1s、1tにより規定される被測定物基準座標系は、本発明の第5及び第6の実施形態の光学素子と同様に設定可能である。さらに、光学有効面1aおよび1bの設計形状が前記被測定物基準座標系の座標値として表され、光学素子1内における光学有効面1a、1bの面位置および姿勢に関する設計値(公差規格)が前記被測定物基準座標系において定められる点についても、第1及び第6の実施形態と同様である。
【0098】
ここで、図9及び図10に示す実施形態に関しても、前記した第1乃至第8の実施形態と同じ三次元形状測定装置と、第7及び第8の実施形態と同じ形状測定方法を採用することで、光学有効面1a、1bそれぞれについて被測定物基準座標系に対する面位置および姿勢を高精度に測定可能である。
【0099】
つまり本実施形態によれば、被測定物基準座標系のx軸方向の位置以外の自由度に関しては、被測定物基準座標系に対する被測定面である複数の光学有効面それぞれについて、面位置および姿勢を高精度に測定評価することが可能である。また、前記した第7及び第8の実施形態で説明したフィッティング処理を行うことで、同様に基準面1s、1tに対する光学有効面1a、1b両面の全体的な位置および姿勢ずれについても高精度に測定評価が可能となる。
【0100】
なお、本発明の第9の実施形態として、図9に示す光学素子1に対し光学有効面の面形状測定手段として接触式のプローブ4による測定を行う場合と、第10の実施形態として、図10に示す非接触式プローブ5による測定を行う場合が挙げられ、本発明においてはどちらの方法であっても同様な効果が得られる。
【0101】
(第11及び第12の実施形態)
最後に、図11及び図12を参照して、本発明の第11及び第12の実施形態について説明する。
【0102】
図11及び図12は、第11及び第12の実施形態に係わる光学素子成形用金型および同金型の形状測定方法について説明するための図である。
【0103】
図11及び図12に示すとおり、第11及び第12の実施形態の金型は、光学有効面1aの他に図示する金型内における光学有効面1aの位置および姿勢を規定するための基準面1s,1t,1uを有する。
【0104】
このとき、前記した第1及び第2の実施形態の三次元形状測定装置および形状測定用法を使用することで、被測定物が光学素子である場合と同様の効果が、被測定物が光学素子成形用金型の場合においても得られる。
【0105】
すなわち、図11及び図12において金型基準面1s,1t,1uに対する光学有効面1aの形状および面位置、姿勢について従来技術と比較して高精度な測定評価が可能である。このことは、同金型を用いて光学素子を成形する際に、基準面に対する光学有効面の面位置および姿勢が高精度に求められていることから、成形機に同金型を組み込む際の位置決めにおいて基準面に対する光学有効面1aの位置および姿勢を補正する組み込み状態をつくることが可能となり、結果としてより設計形状に対する光学有効面の位置および姿勢誤差が少ない形状を得られる。
【0106】
なおこの場合についても、本発明の第11の実施形態として図11に金型に対し光学有効面1aの面形状測定手段として接触式のプローブ4による測定を行う場合と、第12の実施形態として、図12に示す非接触式プローブ5による測定を行う場合が挙げられ、本発明においてはどちらの方式であっても同様な効果が得られる。
【0107】
なお、図1〜図12に示した本発明の実施形態は、全て被測定面である光学有効面の面形状測定手段が三次元形状測定装置に搭載された接触式または非接触式のプローブであり、光学有効面に対し同プローブを走査することで面形状を測定する被測定面形状測定方法であるが、本発明では、前記被測定面(光学有効面)形状測定手段が干渉計方式であってもよい。この場合、プローブ方式と比較して光学有効面形状の測定時間短縮化が図られる。
【0108】
また、図1〜図10に示した本発明の実施形態の光学素子は、前記したとおり光学素子内に形成されている基準面に対する光学有効面の面位置および姿勢について高精度に求められている。したがって、同光学素子を一部品として構成される図示しない光学装置に組み込む際に、同光学装置内に設けられた光学素子組み込み調整機構を用い、明らかとなっている光学有効面の位置および姿勢ずれ分だけ調整することで、光学装置内における光学素子の位置決めを実際に光を通すことなく実施することが可能となる。
【0109】
このように本発明の各実施形態の光学素子は、光学装置に組み込む際の調整が簡便となり、光学装置製造タクトを短縮化し、結果として光学装置の製造コスト低減が図られる。
【0110】
なお、本発明の各実施形態の光学素子は、前記調整機構を有する各種光学装置、例えば半導体露光装置、半導体測定装置、撮像カメラ、レーザービームプリンタ、複写機などに取り付けることが可能である。
【0111】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、三次元形状測定機による光学素子の形状測定において、被測定面である光学有効面の面形状の高精度な評価が可能となる。
【0112】
また、光学素子内の基準(面または位置)に対する光学有効面の位置および姿勢の設計値に対する誤差を高精度に測定評価可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施形態に係わる光学素子、この光学素子の形状測定方法、およびこの形状測定を実現するための三次元形状測定装置を説明するための図である。
【図2】第2の実施形態に係わる光学素子、この光学素子の形状測定方法、およびこの形状測定を実現するための三次元形状測定装置を説明するための図である。
【図3】第3の実施形態に係わる光学素子、この光学素子の形状測定方法、およびこの形状測定を実現するための三次元形状測定装置を説明するための図である。
【図4】第4の実施形態に係わる光学素子、この光学素子の形状測定方法、およびこの形状測定を実現するための三次元形状測定装置を説明するための図である。
【図5】第5の実施形態に係わる光学素子、この光学素子の形状測定方法、およびこの形状測定を実現するための三次元形状測定装置を説明するための図である。
【図6】第6の実施形態に係わる光学素子、この光学素子の形状測定方法、およびこの形状測定を実現するための三次元形状測定装置を説明するための図である。
【図7】第7の実施形態に係わる光学素子、この光学素子の形状測定方法、およびこの形状測定を実現するための三次元形状測定装置を説明するための図である。
【図8】第8の実施形態に係わる光学素子、この光学素子の形状測定方法、およびこの形状測定を実現するための三次元形状測定装置を説明するための図である。
【図9】第9の実施形態に係わる光学素子、この光学素子の形状測定方法、およびこの形状測定を実現するための三次元形状測定装置を説明するための図である。
【図10】第10の実施形態に係わる光学素子、この光学素子の形状測定方法、およびこの形状測定を実現するための三次元形状測定装置を説明するための図である。
【図11】第11の実施形態に係わる光学素子成形用金型および同金型の形状測定方法について説明するための図である。
【図12】第12の実施形態に係わる光学素子成形用金型および同金型の形状測定方法について説明するための図である。
【図13】従来技術における被測定物とそれを固定する測定治具、および被測定物測定方法を説明する図である。
【符号の説明】
1 光学素子(被測定物)
1a 光学有効面
1s、1t、1u 光学素子(被測定物)基準面
2 測定治具
2s、2t、2u 測定治具基準面
3a、3b、3c 測定治具基準マーク
4 接触式プローブ
5 非接触式プローブ
Claims (16)
- 光学有効面と連続する面内に、その法線の方向が前記光学有効面の光軸の方向と略一致する第1の基準面を有することを特徴とする光学素子。
- 前記光学有効面を挟み込む方向に位置し、且つ前記第1の基準面に直交する方向に形成された第2の基準面をさらに有することを特徴とする請求項1に記載の光学素子。
- 前記第1及び第2の基準面の双方に直交する第3の基準面をさらに有することを特徴とする請求項1に記載の光学素子。
- 前記光学有効面を複数面有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の光学素子。
- 半導体露光装置の光学系に用いられることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の光学素子。
- 半導体測定装置の光学系に用いられることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の光学素子。
- 撮像カメラの光学系に用いられることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の光学素子。
- レーザービームプリンタの光学系に用いられることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の光学素子。
- 複写機の光学系に用いられることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の光学素子。
- 光学素子の光学有効面を成形するための有効面成形部と、
前記有効面成形部の面位置及び姿勢を規定するための互いに直交する少なくとも三つの基準面とを有することを特徴とする光学素子成形用金型。 - 被測定物内の被測定面の形状を測定するための形状測定手段と、
前記被測定物内の任意の点の座標を測定するための点座標測定手段とを有することを特徴とする三次元形状測定装置。 - 前記形状測定手段として接触式プローブを備えることを特徴とする請求項11に記載の三次元形状測定装置。
- 前記形状測定手段として非接触式プローブを備えることを特徴とする請求項11に記載の三次元形状測定装置。
- 前記形状測定手段として干渉計を備えることを特徴とする請求項11に記載の三次元形状測定装置。
- 前記被測定物は、前記被測定面である光学有効面と連続する面内に、その法線の方向が前記光学有効面の光軸の方向と略一致する基準面を有するとともに、前記点座標測定手段は前記基準面の位置を測定するように構成され、
前記点座標測定手段により測定された前記基準面の位置に基づいて直交三軸座標系を求める第1の演算手段と、
前記形状測定手段により測定された前記被測定面の形状データを前記直交三軸座標系の座標値に座標変換する第2の演算手段とをさらに有することを特徴とする請求項11に記載の三次元形状測定装置。 - 請求項11に記載の三次元形状測定装置を用いる三次元形状測定方法であって、
前記被測定物を前記三次元形状測定装置に対して着脱せずに、前記形状測定手段による測定と、前記点座標測定手段による測定とを行なうことを特徴とする三次元形状測定方法。
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