JP4095393B2 - 光学素子成形用金型及び三次元形状測定方法 - Google Patents

光学素子成形用金型及び三次元形状測定方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、主としてレンズ、プリズムなどの光学素子を成形加工するための金型、及びその形状を測定する技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、レンズ、プリズムなどの光学素子を成形するための金型を加工する場合には、光学有効面の形状および型内における面位置および姿勢を規定するための基準(面)に対し、加工機の加工精度に依存して光学有効面を加工する方法が採られている(例えば特開平9−230111号公報)。
【0003】
すなわち、図8に示すような型構造を、上下型として組み合わせて図示しない成形機に設置し、合成樹脂材料あるいはガラス材料を使用して光学素子の成形加工を行う場合、光学有効面101aの設計形状は基準面101s,101t,101uに対し定義される。光学有効面101aの型設計形状に対する加工形状の評価を行う際には、例えば図8に示すように、図示しない三次元形状測定装置の面形状測定手段であるプローブ105を、光学有効面101aに対し接触させながら走査させて面形状測定を行う。ここで、この面形状測定により三次元形状測定装置の装置座標として得られた光学有効面測定形状データについて、型設計形状に対して最小二乗法などを用いてフィッティングし、設計形状に対する測定形状の形状誤差を導出することが可能であり、一般にこのような形状評価方法が採用されている。このとき、同時に被測定面である光学有効面101aの面位置および姿勢に関しても、設計値に対する位置および姿勢誤差として求められる。
【0004】
図8に示す型構造において、上述した方法により光学有効面101aの形状評価を行い、設計形状の公差規格に対し十分な加工精度で光学有効面101aが加工されていた場合には、同評価結果に基づき上型または下型として図示しない成形機に取り付けられる。一方、光学有効面101aに対する測定形状評価において、導出された形状誤差(位置および姿勢誤差を含む)が設計形状の公差規格内に収まっていない、すなわち公差規格を満足していない場合には、形状誤差データをもとに光学有効面101aに対し修正加工を行う。そして、再度上記の方法により光学有効面101aについて測定形状評価を実施する。この一連の行為(形状測定評価および修正加工)を繰り返すことで公差規格を満足するような光学有効面形状が得られた後に、同様に上型または下型として図示しない成形機に取り付けられる。
【0005】
以上より、上下型ともに基準面101s〜101uに対し規定される設計形状の公差規格を満足する光学有効面101aが形状創成された型構造を使用して光学素子を成形加工することで、従来所望の光学素子製作を可能にしている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上述した従来技術による上下型に分離可能な型構造を採用し、合成樹脂材料あるいはガラス材料を使用して光学素子の成形加工を行う場合、型に形成された基準面を成形機の基準に対し取り付けることで上下型ともに成形機内での位置決めを行う。したがって、上下型それぞれに形状創成されている光学有効面型形状の相対的な面位置関係(上下型を組み合わせた構造における相対的な面位置および姿勢)は、前記型構造を成形機内に取り付けた際の上下型それぞれの基準面が共通の基準として取り扱い可能な場合において、光学有効面形状測定結果をもとに把握することが出来る。すなわち、成形機に対する型構造の取付状態について、上下型の基準面位置が完全に一致するような状態を実現し、同状態において光学素子の成形加工を行う場合には、上下型に形成された光学有効面の相対的な位置ずれは、前記した上下型それぞれの光学有効面について実施した形状測定の結果より、光学素子の設計形状に対する公差規格が保証されることになる。
【0007】
しかしながら、従来技術による型構造において光学素子を成形加工する場合、上下型を組み合わせて成形機に設置する際に、両型の加工誤差などが原因となり取付誤差が必ず発生する。すなわち、光学素子成形用上下型について、厳密には両型に形成されている基準面の位置が相対的にずれた状態となり、この状態では共通の基準(面)に対し上下型それぞれの光学有効面を規定することが不可能となる。言いかえると、前記型構造を成形機に取り付けた状態における上下型で共通となる基準に対し、前記光学有効面の面形状測定が予め行われていないため、上下型に形成されている光学有効面の相対位置について厳密には規定できないという課題がある。
【0008】
近年、光学素子の形状は高精度化してきており、素子内に形成される光学有効面の相対的な位置関係に関する公差規格についても、数μm以下の位置精度が要求されるものがある。このような光学素子を合成樹脂材料またはガラス材料を成形加工して製造する場合、前記した光学有効面の相対位置について共通の基準に対する規定ができないことが原因となり、光学有効面形状を高精度に形状創成(成形加工)することが困難であるという課題があった。
【0009】
従って、本発明は上述した課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、上下別々の型に形成された光学有効面の相対位置精度を向上させることが出来るようにすることである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係わる光学素子成形用金型は、光学素子を成形するための成形面をそれぞれ有する第1及び第2の金型部材を備える光学素子成形用金型であって、前記第1の金型部材は、前記光学素子の第1の光学有効面を成形するための第1の成形面と、該第1の成形面以外の部位に位置する3つの凸面の球面形状部とを有し、前記第2の金型部材は、前記光学素子の第2の光学有効面を成形するための第2の成形面と、該第2の成形面以外の部位に位置し前記凸面の球面形状部と組み合わされる3つの凹面の球面形状部とを有し、前記3組の凸面の球面形状部と凹面の球面形状部のうちの少なくとも2組の凸面の球面形状部と凹面の球面形状部の曲率は互いに等しく、前記第1の金型部材と前記第2の金型部材を組み合わせたときに、前記凸面の球面形状部の曲率中心位置と、前記凹面の球面形状部の曲率中心位置とが一致するように形成されていることを特徴としている。
【0013】
また、この発明に係わる光学素子成形用金型において、前記3組の球面形状部のうちの一組が、凸面の球面形状部の曲率半径が凹面の球面形状部の曲率半径よりも小さく設定されていることを特徴としている。
【0015】
また、この発明に係わる光学素子成形用金型において、前記第1及び第2の金型部材の少なくとも一方は、前記光学素子の複数の光学有効面を成形するための複数の成形面を有することを特徴としている。
【0016】
また、本発明に係わる三次元形状測定方法は、上記の光学素子成形用金型の成形面の形状を測定するための三次元形状測定方法であって、前記3つの球面形状部の全ての面形状を測定する球面形状測定工程と、該球面形状測定工程の測定結果に基づいて、それぞれの前記球面形状部の中心座標を算出する中心座標算出工程と、前記球面形状測定工程を実施する測定装置から前記光学素子成形用金型を着脱することなく、前記成形面の形状を測定する成形面測定工程と、前記中心座標算出工程で算出された前記球面形状部の1つの中心座標を原点とし、他の2つの球面形状部の中心の座標を基に座標系を設定し、前記成形面測定工程で得られた測定結果から、前記設定した座標系における前記成形面の面位置を算出する面位置算出工程とを備えることを特徴としている。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施形態について説明する。
【0020】
まず、実施形態の概要について説明する。
【0021】
本実施形態における光学素子成形用金型の型構造では、上下型二つに分離可能な型構造であり、どちらか一方の型内に凸面の球面形状を有し、さらにもう一方の型内に凹面の球面形状を有し、さらに前記した凹凸面それぞれの球面形状について、球の中心位置が各型内において、上下型を成形機に取り付ける際の組み付け状態において一致するような配置となっている。
【0022】
また、本実施形態における前記金型を測定対象とした三次元形状測定方法では、上下型それぞれについて型内に形状創成された光学有効面の面形状測定を行う際に、同一段取りで、すなわち三次元形状測定装置から被測定物である型を着脱することなく、前記球面形状についても面形状測定を行う。
【0023】
以上より、前記上下型を成形機に設置した状態における上下型それぞれに形成された光学有効面の相対的な位置関係(位置および姿勢)について、従来技術では困難であった上下型共通の基準に対する各光学有効面の形状測定評価が可能となる。
【0024】
また、本実施形態における型構造を使用して成形加工を実施し製作される光学素子において、同光学素子内に形状創成された複数の光学有効面について、各面の相対的な位置関係が従来技術と比較して高精度に形成されている。
【0025】
その結果、従来技術では公差規格が厳しいために製作困難であった光学素子を製造可能とし、また、従来製作可能であった光学素子に関しても、本実施形態によればより高精度な光学有効面形状の形状創成が可能となることから、光学素子の製造不良率の低下が図られる。
【0026】
次ぎに上記型部材の構成において、上下型部材共通の基準に対する光学有効面の形状測定及び評価が可能となる作用について説明する。
【0027】
まず、前記球面形状に対し面形状測定を行うことで、三次元形状測定装置に固定された座標系(装置座標系)で表された座標データ群(点群データ)として球面測定形状データが得られる。この球面測定形状について、同球面の設計形状に対し最小二乗法などによるフィッティング処理演算を行うことで、球面形状の中心位置を三次元形状測定装置の装置座標系における座標値として、球面測定形状データから導出される。
【0028】
ここで得られた球面形状の中心座標値は、前述した型構造の特徴から、上下型を組み合わせた状態において、上下型に形成されている凹凸面のそれぞれの球面の中心位置について、両中心位置が一致する。従って、上下型それぞれにおいて形成された光学有効面の面形状測定を行う際に、前記球面中心座標を基準とした上下型共通の被測定物基準座標系を考えることができ、それぞれの型内に形成された被測定面となる光学有効面形状は、共通の被測定物基準座標系において表すことができる。
【0029】
次に、型構造内において球面形状と光学有効面形状の位置関係は、型構造の設計形状として規定する。つまり、前記した球面形状中心位置より規定可能な被測定物基準座標系において、光学有効面形状をこの座標系上の座標データとして表すことが可能である。この球面形状中心位置と光学有効面形状の位置関係(座標変換)を用いることで、前記した方法で取得した測定装置座標系における球面形状の中心座標に対し、光学有効面形状の面位置および姿勢を測定装置座標系において規定される。
【0030】
このようにして、球面形状測定により得られた球面中心座標をもとに、三次元形状測定装置内において被測定面である光学有効面の面位置が明確となる。
【0031】
次に、前記座標変換の演算処理を行うことにより、三次元形状測定装置座標データ群として得られた光学有効面測定形状を、被測定物基準座標系で表される座標データ群に変換する。被測定物基準座標系において規定されている光学有効面の設計形状に対し、光学有効面測定形状を最小二乗法などによるフィッティング処理演算を行うことで、上下型で共通となる被測定物基準座標系における形状誤差および面位置、姿勢誤差について測定形状評価を行う。
【0032】
前述したとおり本実施形態における型構造は、成形機に取り付ける際の組み付け状態において、上下型それぞれに形成された凹凸面の球面形状がちょうど一致する、すなわち上下型の位置決め基準として機能し、その際凹凸面の球面形状それぞれの中心位置は一致する構造となっている。これより、本実施形態によれば前記上下型を成形機に取り付けた状態において、それぞれの型に形成されている光学有効面の測定形状は同一座標系で測定評価可能であることから、同光学有効面の相対的な位置関係(位置誤差)についても高精度に評価可能となる。
【0033】
次に、本実施形態における型構造を使用して光学素子を成形加工し製造することにより、複数面存在する光学有効面の相対的な位置関係が、従来技術と比較して高精度に形成可能となる作用について説明する。
【0034】
本実施形態における型構造を加工する際には、上下型それぞれに形成される光学有効面形状について、前記共通基準座標系における測定形状評価が可能であることから、光学有効面の相対的な位置関係に関する公差規格を満足するように、光学有効面の測定形状データをフィードバックしながら金型の修正加工を繰り返すことで形状を追い込む。
【0035】
したがって、修正加工の実施によりできあがった公差規格を満足する本実施形態における型構造を使用し、光学素子の成形加工を行うことにより、各光学有効面の相対的な位置関係が従来技術と比較して高精度に形成できることは言うまでもない。その結果、本実施形態によれば従来技術では公差規格が厳しいために製作困難であった光学素子についても製造可能となる。また、従来より製造可能であった光学素子形状に関しても、本実施形態で提供する型構造によれば、上下型共通となる基準座標系を規定する球面形状を、成型時の型組み状態において上下型の位置決めに利用する構造であることから、上下型を組み合わせた状態で常に上下型それぞれに形成された光学有効面形状の位置関係が保証される。したがって、従来技術では上下型を光学素子成形後に一度ばらし、再度組み合わせる際に発生していた両型の位置ずれによる光学素子成形不良といった問題を解決し、常に高精度な光学有効面を成形加工により形成可能となる。このように、本実施形態によれば、従来技術でも製造可能であった光学素子に関しても、従来と比較して製造不良率の低下が図られる。
【0036】
以下、本発明の実施形態について具体的に説明する。
【0037】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態を説明するための図であり、上下型二つに分離可能な型構造における下型の形状を示した図である。
【0038】
図1において、1は光学素子を成形する下型である。下型1は、光学素子成形時に光学有効面形状を転写するための光学有効面1aの他に、下型1内における光学有効面1aの位置および姿勢を規定し、かつ成形時における上下型の位置決め基準となる球面形状3a、3bを有する。
【0039】
ここで球面形状3a、3bは、後述する図2に示す上型2と組み合わせる際の接合面(基準面)1s上に形成されており、図1に示すとおりその形状は凸面形状である。さらに、球面形状3a、3bの各中心位置は、接合面1s上に存在する構造となっている。
【0040】
なお、図1では下型1に対し光学有効面1aが直接形成されている型構造としているが、本実施形態における型構造においては、光学有効面1aが形状創成されている下型1とは別体の型を、球面形状3a、3bが形成されている下型1に組み込んだ構造であってもよい。いずれの場合においても、型構造の設計形状において球面形状3a、3bと光学有効面1aの相対的な位置関係に関しては規定されている。
【0041】
以上説明した下型1に対し、本実施形態における三次元形状測定装置を使用して光学有効面1aの面形状測定を行う方法について以下に説明する。
【0042】
本実施形態における三次元形状測定方法では、図1に示す下型1を図示しない三次元形状測定装置に取り付けた後、初めに球面形状3a又は3bに対しプローブ5を走査することにより、球面形状3a又は3bの面形状測定を実施する。球面形状測定後に得られる、三次元形状測定装置の装置座標系における座標データ群である球面測定形状データについて、下型1の設計形状として規定されている球面形状に対し、最小二乗法などによるフィッティング処理演算を行うことで、装置座標系における球面形状の中心座標値が得られる。なお、本実施形態における三次元形状測定装置は、上記のフィッティング処理演算を行なう手段を有する。
【0043】
上記球面形状測定および球面中心座標導出処理を、図1に示す球面形状3a、3bともに実施する。これより、両球面形状の中心位置を三次元形状測定装置内で規定することができる。
【0044】
次に、下型1を三次元形状測定装置から着脱することなく、すなわち段取り変更することなく、引き続き図1に示す上型との接合面1s上にあり球面形状3a、3bの中心位置を結ぶ直線上にない任意の一点について、プローブ5を使用して点座標測定を実施する。これより、接合面1s上の一点の座標データが、三次元形状測定装置の装置座標系における座標データとして得られる。
【0045】
次に前述の球面形状測定および接合面上の一点に対する座標測定の測定結果をもとに、つぎに被測定物基準座標系を規定する。
【0046】
まず、形状測定により得られた球面形状3a又は3bの中心位置を被測定物基準座標系の原点に設定する。本実形態においては、一例として球面形状3aの中心位置測定座標値を原点として定める。
【0047】
次に、球面形状3a、3bの中心位置を通り3aから3bの中心位置へ向かう方向を被測定物座標系のy軸方向として定める。さらに、球面形状3a、3bの中心位置二点および接合面1s上の一点を含む平面が一意に求まり、同平面の法線方向で図1において下型1から上側に向かう方向を被測定物基準座標系のz軸方向として設定する。被測定物基準座標系をxyz直交三軸座標系とする場合、既に規定されたy、z軸方向をもとに残りの直交一軸であるx軸方向が一意に求まる。以上より、球面形状3aの中心位置を原点とする被測定物基準座標系が導出され、同時に三次元測定装置座標系から被測定物基準座標系への座標変換についても求まる。
【0048】
ここで、本実施形態における型構造においては、図1に示す下型1における球面形状3a、3bと上型との接合面1s、および光学有効面1aの相対的な位置関係が設計値として規定されている。これより同設計情報をもとにして、光学有効面1aの面位置および姿勢が被測定物基準座標系において求められる。
【0049】
次に、設計形状で規定されている面有効範囲についてプローブ5を走査させることで面形状測定を行う。この時、三次元測定装置座標系に対する被測定物基準座標系の位置関係については、前記座標変換する事により既に求められているため、被測定物である下型1を図示しない三次元形状測定装置からここでも着脱せずに同一段取り状態を保つことで、被測定面となる光学有効面1aに対し、高精度な測定が可能となる。ことが可能である。
【0050】
光学有効面1aの面形状測定後に、三次元形状測定装置座標系における座標データ群として得られた光学有効面測定形状データについて、光学有効面1aの設計形状に対し、最小二乗法などによるフィッティング処理演算を行うことで、光学有効面1aの測定形状について設計形状に対する形状誤差が求められる。なお、本実施形態における三次元形状測定装置は、光学有効面測定形状に対するフィッティング処理演算手段を有する。
【0051】
上記のとおり、光学有効面1aに対する面形状測定の実施により、図1に示す下型1内に形成された球面形状3a、3bおよび接合面1sにより規定される被測定物基準座標系において、光学有効面1aに関する形状誤差および位置、姿勢誤差を評価可能となる。ここで導出された形状誤差および位置、姿勢誤差について、光学有効面1aに対し設計値として与えられている公差規格(要求精度)を満足していない場合には、面形状測定より得られる形状誤差データをもとに光学有効面形状の修正加工を行う。加工後、再度上記の方法により光学有効面1aを対象とした面形状測定を実施し、修正加工後の形状誤差を求める。このように、測定および修正加工の一連の行為を、光学有効面1aの面形状が公差規格を満足するまで繰り返す。その結果、最終的に公差規格を満足する光学有効面形状を下型1に形成することが可能である。
【0052】
図2は、上下型二つに分離可能な型構造における上型の構造について示した図である。
【0053】
図2において、1は光学素子を成形する上型である。上型2は本実施形態における型構造は、図1に示す下型と同様に上型の型構造についても、光学素子成形時に光学有効面形状を転写するための光学有効面2aの他に、光学有効面2aの位置および姿勢を規定し、かつ成形時における上下型の位置決め基準となる球面形状4a、4bを有する。
【0054】
ここで球面形状4a、4bは、図1に示す下型1と組み合わせる際の接合面(基準面)2s上に形成されており、図2に示すとおりその形状は凹面形状である。さらに、球面形状4a、4bの各中心位置は、接合面2s上に存在する構造となっている。また、球面形状4aの曲率(球半径)は図1に示す球面形状3aの曲率と等しく、球面形状4bの曲率は図1に示す球面形状3bの曲率と等しい。
【0055】
なお、図1に示す下型構造と同様に図2に示す上型構造についても、光学有効面2aが形成されている上型2とは別体の型を、球面形状4a、4bが形成されている上型2に組み込んだ構造であってもよい。いずれの型構造においても、上型2の設計形状において球面形状4a、4bと光学有効面2aの相対的な位置関係に関しては規定されている。
【0056】
以上説明した上型2に対し、本実施形態における三次元形状測定装置を使用して図2における光学有効面2aの面形状測定を行う際の、形状測定方法について以下に説明する。
【0057】
図1に示す下型1に対する形状測定方法と同様、図2に示す上型2についても図示しない三次元形状測定装置に上型2を取り付けた後、初めに球面形状4a、4bに対しプローブ5を走査することにより、球面形状4a、4bの面形状測定を実施する。そして、三次元形状測定装置座標系における座標データ群として得られた球面測定形状データについて、図1における下型1内に形成された球面形状3a、3bの中心位置を導出する方法と同様な方法により、球面形状4a、4bの中心座標位置が得られる。
【0058】
上記の球面形状測定に引き続き、下型との接合面2s上にあり球面形状4a、4bの中心位置を結ぶ直線上にない任意の一点について、プローブ5を使用して点座標測定する際も、下型測定時と同様な方法を採用する。これより、接合面2s上の一点の座標データが、三次元形状測定装置座標系における座標データとして得られる。
【0059】
次に前述の球面形状測定および接合面上の一点の座標測定の測定結果をもとに、下型1内に形成された光学有効面1aの面形状測定時と同様の方法により、図2に示す上型2内においても被測定物基準座標系を規定する。ここで被測定物基準座標系の座標軸方向は、図2に示すxyz直交三軸座標系の各軸方向と一致するように規定する。また、被測定物基準座標系の原点については、球面形状4aの中心位置となるように規定する。これより、図2において球面形状4aの中心位置を原点とする被測定物基準座標系が導出され、同時に三次元測定装置座標系から被測定物基準座標系への座標変換についても求められる。
【0060】
つぎに、図1に示す下型1内の光学有効面1aに対する面形状測定と同様にして、図2に示す光学有効面2aについて面形状測定を実施する。面形状測定終了後には、光学有効面1aを対象とした測定形状解析手法と同一の方法により、光学有効面2aについても設計形状に対する形状誤差および位置、姿勢誤差が導出可能である。これより、被測定物基準座標系において光学有効面2aに関する形状誤差および位置、姿勢誤差について評価し、同誤差について設計値として与えられている公差規格(要求精度)を満足していない場合には、下型内光学有効面1aを対象とした場合と同様に修正加工を実施する。以上より、最終的に公差規格を満足する光学有効面形状を、上型2においても形成することが可能である。
【0061】
図3は、図1および図2に示した上下型を成形機に設置する際の、上下型の組み合わせ状態を説明するための図である。図3では、yz平面に平行な断面を示している。図3において、本実施形態における型構造では、成形機に設置する際に、図3に示すとおり上下型それぞれに形成されている球面形状3a、3bおよび4a、4bを上下型の位置決めとして使用する。このとき、下型1に形成されている凸面の球面形状3aが上型2に形成されている凹面の球面形状4aに、下型1に形成されている凸面の球面形状3bが上型2に形成されている凹面の球面形状4bに矢印の方向に組み合わされる。
【0062】
このような型構造を採用することにより、図1に示す下型1において規定した被測定物基準座標系と図2に示す上型2において規定した被測定物基準座標系を、図3に示す上下型を組んだ状態において一致させることが可能となる。これより、上下型それぞれに規定されている被測定物基準座標系において既に形状評価済みである光学有効面1aおよび2aは、上下型を組み合わせた状態、すなわち成形機に対し取付状態において、球面形状3aおよび4aの中心位置を原点とし、下型1または上型2において規定されている被測定物基準座標系と同一姿勢である共通の基準座標系に対して測定形状評価が行われている。このように本実施形態における型構造、三次元形状測定方法および三次元形状測定装置によれば、上下型組み合わせ状態において光学有効面1aと2aの相対的な位置関係を高精度に把握することが可能となる。
【0063】
以上説明したように、本実施形態によれば光学素子成形用金型の型構造において、上下型それぞれの接合面上に球面形状を形成し、同形状を上下型組み合わせ時の位置決めに使用することにより、従来技術においては発生していた成形機取付状態における上下型の位置ずれ誤差発生を抑制できる。さらに、上下型にそれぞれ形成された光学有効面は、成形機取付状態において共通の基準座標系に対し公差規格を満足することから、上下型組み合わせ状態における上下型それぞれの光学有効面形状は、従来技術に比べ高精度に相対位置が規定されていることになる。このことは、この型構造を用い合成樹脂材料またはガラス材料などの材料を使用して光学素子を成形する際に、高精度な光学有効面の形状精度を有する光学素子を成形可能となることに結びつく。
【0064】
なお、図1および図2に示した型構造に対する被測定物基準座標系の規定方法の詳細は前述したとおりであるが、この座標系の各軸方向および原点位置については上記の説明に限定されるものではない。
【0065】
例えば、図1において被測定物基準座標系のy軸方向を球面形状3bの中心位置から球面形状3aの中心位置に向かう方向に設定してもよい。同座標系の原点位置に関しても、上記の説明では球面形状3aの中心位置に設定すると記したが、球面形状3bの中心位置に設定するのでもよいことは言うまでもない。すなわち本実施形態においては、図3に示す上下型の組み合わせ状態において、上下型それぞれに対し規定した被測定物基準座標系が一致し、組み合わせ状態において共通の座標系として取り扱える条件を満足する規定方法であればよい。
【0066】
また、上記の説明では図1に示す型構造を下型とし、図2に示す型構造を上型として述べたが、本実施形態においては図1に示す型構造を上型とし、図2に示す型構造を下型とする型構造であってもよく、この場合についても同様な効果が得られることは言うまでもない。
【0067】
(第2の実施形態)
図4は、本発明の第2の実施形態を説明するための図であり、上下型二つに分離可能な型構造における下型の構造について示した図である。
【0068】
図4に示すように、本実施形態における型構造は、光学素子成形時に光学有効面形状を転写するための光学有効面11aの他に、下型11内における光学有効面11aの位置および姿勢を規定し、かつ成形時における上下型の位置決め基準となる球面形状13a、13b、13cを有する。
【0069】
ここで、球面形状13a、13b、13cは、後述する図5に示す上型2と組み合わせる際の接合面(基準面)11s上に形成されており、図4に示すとおりその形状は凸面形状である。さらに、球面形状13a、13b、13cの各中心位置は、接合面11s上に存在する構造となっている。また、球面形状13cのみ後述する図5に示す凹面の球面形状14cの曲率(球半径)に対し小さい曲率で形成されている。球面形状13a、13bに関しては、第1の実施形態と同様、後述する図5に示す球面形状14a、14bに対しそれぞれ等しい曲率で形成されている。
【0070】
なお、図4では下型11に対し光学有効面11aが直接形成されている型構造としているが、第1の実施形態と同様、光学有効面11aが形成されている下型11とは別体の型を、球面形状13a、13b、13cが形成されている下型11に組み込んだ構造であってもよい。いずれの場合においても、型構造の設計形状において球面形状13a、13b、13cと光学有効面11aの相対的な位置関係に関しては規定されている。
【0071】
以上説明した型構造に対し、本実施形態における三次元形状測定装置を使用して光学有効面11aの面形状測定を行う方法について以下に説明する。
【0072】
本実施形態では、球面形状13a、13bに対し第1の実施形態と同様な手法により、球面形状測定を行う。さらに本実施形態においては、図4に示す球面形状13cに対しても同様にプローブ5を走査させることで球面形状測定を実施する。球面形状測定終了後、第1の実施形態において球面形状3a、3bの中心位置を三次元形状測定装置座標系における座標データとして導出した方法にしたがい、球面形状13a、13b、13cについて中心位置を求める。
【0073】
三次元形状測定装置内で規定された球面形状13a、13b、13cの中心位置をもとに、第1の実施形態と同様、図4に示す下型11内に被測定物基準座標系を規定する。
【0074】
以下に、この規定方法について詳細を説明する。
【0075】
まず、第1の実施形態と同様にして、被測定物基準座標系原点として、形状測定により得られた球面形状13aの中心位置測定座標値を設定する。なおこれは一例であり、原点は球面形状13bまたは13cの中心位置であってもよい。ここでは球面形状13aの中心位置を座標系原点とした場合について説明する。
【0076】
この場合、次に被測定物基準座標系のy軸方向を第1の実施形態と同様に設定する。また、この座標系のz軸方向については、球面形状13a、13b、13cの中心位置三点を含む平面が一意に決まり、この平面の法線方向で図4において下型11から上側に向かう方向をz軸方向として設定する。これより、xyz直交三軸座標系で表される被測定物基準座標系において、x軸方向についても一意に求まる。以上より、本実施形態においても球面形状13aの中心位置を原点とする被測定物基準座標系が導出され、同時に三次元形状測定装置座標系から被測定物基準座標系への座標変換についても求まる。
【0077】
上記の通り導出された被測定物基準座標系に基づき、第1の実施形態と同様にして図4に示す光学有効面11aに対し面形状測定を行う。ここで、図示するプローブ15を使用した面形状測定方法、および図示しない三次元形状測定装置の演算手段による測定形状処理方法(フィッティング処理演算)に関しては、全て第1の実施形態と同様の方法で実施可能である。したがって、本実施形態においても、図4において設計値として規定された公差規格を満足する光学有効面形状を下型11において形成することができる。
【0078】
図5は、上下型二つに分離可能な型構造における上型の構造について示した図である。
【0079】
図5に示すように、図4に示す下型と同様に上型の型構造についても、光学素子成形時に光学有効面形状を転写するための光学有効面12aの他に、上型12内における光学有効面12aの位置および姿勢を規定し、かつ成形時における上下型の位置決め基準となる球面形状14a、14b、14cを有する。
【0080】
ここで、球面形状14a、14b、14cは、図4に示す下型11と組み合わせる際の接合面(基準面)12s上に形成されており、図5に示すとおりその形状は凹面形状である。さらに、球面形状14a、14b、14cの各中心位置は、接合面12s上に存在する構造となっている。また、球面形状14cのみ図4に示す球面形状13cの曲率(球半径)に対し大きい曲率で形成されている。球面形状14a、14bに関しては、前記したとおり図4に示す球面形状13a、13bに対しそれぞれ等しい曲率で形成されている。
【0081】
なお、図4に示す下型構造と同様、図5に示す上型構造についても、光学有効面12aが形成されている上型12とは別体の型を、球面形状14a、14b、14cが形成されている上型12に組み込んだ構造であってもよい。いずれの型構造においても、上型12の設計形状において球面形状14a、14b、14cと光学有効面12aの相対的な位置関係に関しては規定されている。
【0082】
以上説明した上型構造に対し、本実施形態における三次元形状測定装置を使用して光学有効面12aの面形状測定を行う方法について以下に説明する。
【0083】
本実施形態では、球面形状14a、14bに対し第1の実施形態で説明した方法と同様な手法により、球面形状測定を行う。さらに、本実施形態においては、図5に示す球面形状14cに対しても同様にプローブ15を走査させることで球面形状測定を実施する。球面形状測定終了後、第1の実施形態において図2に示す球面形状4a、4bの中心位置を三次元形状測定装置座標系における座標データとして導出した方法にしたがい、図5に示す球面形状14a、14b、14cに対し同形状の中心位置を求める。
【0084】
三次元形状測定装置内で規定された球面形状14a、14b、14cの中心位置をもとに、下型11内に形成された光学有効面11aの面形状測定時と同様の方法により、上型12内においても被測定物基準座標系を規定する。ここで、被測定物基準座標系の座標軸方向は、図5に示すxyz直交三軸座標系の各軸方向と一致するように規定する。また、被測定物基準座標系の原点については、球面形状14aの中心位置となるように規定する。これより、図5において球面形状14aの中心位置を原点とする被測定物基準座標系が導出され、同時に三次元測定装置座標系から被測定物基準座標系への座標変換についても求められる。
【0085】
上記の通り導出された被測定物基準座標系に基づき、第1の実施形態と同様にして図5に示す光学有効面12aに対し面形状測定を行う。ここで、図示するプローブ15を使用した面形状測定方法、および図示しない三次元形状測定装置の演算手段による測定形状処理方法(フィッティング処理演算)に関しては、全て第1の実施形態と同様の方法で実施可能である。したがって、本実施形態においても、図5において設計値として規定された公差規格を満足する光学有効面形状を上型12において形状創成することができる。
【0086】
以上より、本実施形態では、図4に示す下型11と図5に示す上型12とを組み合わせて図示しない成形機に取り付け、所望の光学素子を成形加工する。このとき、上下型の組み合わせ方法については第1の実施形態として図3に示した方法に従う。すなわち、図4に示す下型11に形成された球面形状13a、13bおよび図5に示す上型12に形成された球面形状14a、14bを上下型の位置決めとして使用する。ここで、下型11に形成されている凸面の球面形状13aが上型12に形成されている凹面の球面形状14aに、同様に凸面の球面形状13bが凹面の球面形状14bに組み合わされる。
【0087】
前述したとおり、図4に示す球面形状13cと図5に示す球面形状14cは、球面形状の中心位置が一致しており、かつ球面形状13cに対し球面形状14cの曲率が大きい。したがって、上下型組み合わせ状態において干渉することなく接合面11sおよび12sを合わせることが可能となる。
【0088】
このような型構造を採用することにより、第1の実施形態と同様に、上下型組み合わせ状態において、光学有効面11aと12aの相対的な位置関係を高精度に把握することが可能となる。また、本実施形態についても、図4および図5に示す型構造を採用することにより、高精度な光学有効面の形状精度を有する光学素子を成形可能となる。
【0089】
なお、本実施形態に関しても、被測定物基準座標系の規定方法については、この座標系の各軸方向および原点位置について上記の説明に限定されるものではない。すなわち本実施形態においても、上下型組み合わせ状態において上下型それぞれに対し規定した被測定物基準座標系が一致し、その状態において共通の座標系として取り扱える条件を満足する規定方法であればよい。
【0090】
また、上記の説明では図4に示す型構造を下型とし、図5に示す型構造を上型として説明したが、本実施形態においては図4に示す型構造を上型とし、図5に示す型構造を下型とする構造であってもよく、この場合についても同様な効果が得られることは言うまでもない。
【0091】
(第3の実施形態)
図6は、本発明の第3の実施形態を説明するための図であり、上下型二つに分離可能な型構造における下型の構造について示した図である。
【0092】
図6に示すように、本実施形態で説明する型構造は、図4に示す型構造と同じく光学素子成形時に光学有効面形状を転写するための光学有効面21aの他に、下型21内における光学有効面21aの位置および姿勢を規定し、かつ成形時における上下型の位置決め基準となる球面形状23a、23b、23dを有する。
【0093】
ここで球面形状23a、23b、23dは、既に説明した図5に示す上型12と組み合わせる際の接合面(基準面)21s上に形成されており、図6に示すとおりその形状は凸面形状である。さらに、球面形状23a、23b、23dの各中心位置は、接合面21s上に存在する構造となっている。また本実施形態においては、球面形状23a、23b、23d全てについて、図5に示す球面形状14a、14b、14cに対しそれぞれ等しい曲率で形成されている。
【0094】
なお、図6では下型21に対し光学有効面21aが直接形成されている型構造としているが、第1及び第2の実施形態と同様、光学有効面21aが形状創成されている下型21とは別体の型を、球面形状23a、23b、23dが形成されている下型21に組み込んだ構造であってもよい。いずれの場合においても、型構造の設計形状において球面形状23a、23b、23dと光学有効面21aの相対的な位置関係に関しては規定されている。
【0095】
以上説明した型構造に対し、第2の実施形態と同様な形状測定装置および形状測定方法により、図6における光学有効面21aの面形状測定を行う。その結果、図6において光学有効面21aに対し設計値として規定された公差規格を満足する光学有効面形状を、下型21に形成可能となる。この詳細については図4に示す第2の実施形態において説明したとおりであるため、ここでは説明を省略する。
【0096】
また、本実施形態における型構造の内、上型構造については、図5に示す上型12において、接合面12sと球面形状14a、14b、14cの各中心位置の位置関係のみ異なる型構造を使用する。具体的には、図5において接合面12sが球面形状の中心位置三点を含む平面よりもzプラス方向に平行にずれた位置に存在するような上型構造を採用する。このような構造の上型と図6に示す下型21を組み合わせて図示しない成形機に取り付け、所望の光学素子を成形加工する。
【0097】
最後に図7は、本発明の第3の実施形態を説明するための図であり、上下型を成形機に取り付ける際の組み合わせ状態を説明するための図である。
【0098】
図7に示すように、本実施形態における上下型の組み合わせ方法においては、図6に示す下型21に形成された球面形状23a、23b、23d、および前述の上型構造において、図5に示す上型12に形成された球面形状14a、14b、14cに相当する球面形状を上下型の位置決めとして使用する。ここで、下型21に形成されている凸面の球面形状23aが上型12に形成されている凹面の球面形状14aに、同様に凸面の球面形状23bが凹面の球面形状14bに、23dが14cに組み合わされる。
【0099】
このとき、上下型の組み合わせ状態(各型の姿勢)は球面形状の中心位置三点により一意に定まる。また、前述の上型の型構造における球面形状の中心位置と下型との接合面12sの位置関係から、厳密には図7に示すとおり上下型の接合面間に隙間が存在する構造となる。
【0100】
このような本実施形態における型構造においても、第1及び第2の実施形態と同様に、図7に示す上下型組み合わせ状態において光学有効面21aと12aの相対的な位置関係を高精度に把握することが可能となる。なお、本実施形態における型構造に対し、ガラス材料を用いて光学素子を成形加工することにより、前記隙間部分に相当するはみ出し部を有する光学素子が形成されることになる。このとき、上下型それぞれに形成されている光学有効面21a、12aの形状が転写されて形成される光学素子の光学有効面は、他の実施形態と同様に高精度な形状精度を有する。
【0101】
なお、本実施形態に関しても、被測定物基準座標系の規定方法については、この座標系の各軸方向および原点位置について上記の説明に限定されるものではない。すなわち本実施形態においても、上下型組み合わせ状態において上下型それぞれに対し規定した被測定物基準座標系が一致し、その状態において共通の座標系として取り扱える条件を満足する規定方法であればよい。
【0102】
また、上記の説明では図6に示す型構造を下型とし、図5に示す型構造とは球面形状中心位置と接合面の位置関係のみ異なる型構造を上型として説明したが、本実施形態においては、図6に示す型構造を上型とし、もう一方の型構造を下型とする構造であってもよく、この場合についても同様な効果が得られることは言うまでもない。
【0103】
以上説明したように、本実施形態では、光学素子成形用金型の型構造において上下型二つに分離可能な構造となっており、上下型それぞれの接合面に球面形状を有する型構造を提供し、さらに前記球面形状に対する面形状測定と光学有効面に対する面形状測定を、同一段取り下で測定する手段およびそれを実現する演算手段を有する三次元形状測定装置と、同装置を使用して被測定物である型構造の光学有効面形状測定を行うための形状測定方法を提供する。これより、本実施形態における型構造を成形機に取り付けた状態において、前記二つの型内にそれぞれ形成されている光学有効面の相対的な位置関係について、従来技術と比較して高精度に構成することが可能となる。
【0104】
また、前記型構造を用いて光学素子を成形加工することにより、従来技術に比べ高精度な光学有効面の形状精度を有する光学素子が製造可能となり、さらには同光学素子の製造不良率の低下が図られる。
【0105】
以上、本発明の実施形態について図1〜図7を用いて説明した。上記の説明ではプローブ5を接触式として説明したが、本発明においてはプローブは非接触式プローブであってもよい。いずれの方式を備える三次元形状測定装置であっても、本発明によれば前述した効果が同様に得られる。
【0106】
また、上記の説明では型構造として二つに分離可能な構造となっており、それぞれの型を上下型として説明したが、本発明においては上下方向の分離に限らず単に二つに分離可能となっている型構造であればよい。このとき、本発明による効果が同様に得られることは言うまでもない。
【0107】
また、上記の説明では、上下の型がそれぞれ1面の光学有効面を有するように説明したが、それぞれの型が複数面の光学有効面を有していてもよい。
【0108】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、上下別々の型に形成された光学有効面の相対位置精度を向上させることができ、その型により製造する光学素子の形状精度を向上させることができる。
【0109】
また、本発明によれば、球面形状部を3つ有する上下型の構成をとる事により、基準座標系を規定するための3点が全て球面形状の中心座標となるため、球面形状を2組有する上下型の構成よりも更に高精度に上下型共通の基準座標系を一致させることができる。
【0110】
また、本発明によれば、3組の内任意の1組だけ、球面形状部の中心位置は同じで曲率値が凹球面形状の曲率値よりも凸球面形状の曲率値が小さく設定することにより、球面形状部については上下型の凹凸球面形状の中心位置のみを一致させるだけでよいため、球面形状部の形状創成が簡易となる。
【0111】
また、本発明によれば、球面形状部の中心位置を接合面上からずらして配置することにより、球面形状部のみによる上下型の位置決めを行うことになり、安定した位置決めが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態を説明するための図であり、上下型二つに分離可能な型構造における下型の形状を示した図である。
【図2】上下型二つに分離可能な型構造における上型の構造について示した図である。
【図3】図1および図2に示した上下型を成形機に設置する際の、上下型の組み合わせ状態を説明するための図である。
【図4】本発明の第2の実施形態を説明するための図であり、上下型二つに分離可能な型構造における下型の構造について示した図である。
【図5】上下型二つに分離可能な型構造における上型の構造について示した図である。
【図6】本発明の第3の実施形態を説明するための図であり、上下型二つに分離可能な型構造における下型の構造について示した図である。
【図7】本発明の第3の実施形態を説明するための図であり、上下型を成形機に取り付ける際の組み合わせ状態を説明するための図である。
【図8】従来技術における型構造、及びその光学有効面形状測定評価方法について説明する図である。
【符号の説明】
1 下型
1a 光学有効面
1s 基準面
2 上型
2a 光学有効面
2s 基準面
3a、3b、3c、3d 球面形状
4a、4b、4c 球面形状
5 プローブ
11 下型
11a 光学有効面
11s 基準面
12 上型
12a 光学有効面
12s 基準面
13a、13b、13c 球面形状
14a、14b、14c 球面形状
21 下型
21a 光学有効面
21s 基準面
23a、23b、23c 球面形状
101a 光学有効面
101s、101t、101u 基準面
105 プローブ

Claims (4)

  1. 光学素子を成形するための成形面をそれぞれ有する第1及び第2の金型部材を備える光学素子成形用金型であって、
    前記第1の金型部材は、前記光学素子の第1の光学有効面を成形するための第1の成形面と、該第1の成形面以外の部位に位置する3つの凸面の球面形状部とを有し、
    前記第2の金型部材は、前記光学素子の第2の光学有効面を成形するための第2の成形面と、該第2の成形面以外の部位に位置し前記凸面の球面形状部と組み合わされる3つの凹面の球面形状部とを有し、
    前記3組の凸面の球面形状部と凹面の球面形状部のうちの少なくとも2組の凸面の球面形状部と凹面の球面形状部の曲率は互いに等しく、前記第1の金型部材と前記第2の金型部材を組み合わせたときに、前記凸面の球面形状部の曲率中心位置と、前記凹面の球面形状部の曲率中心位置とが一致するように形成されていることを特徴とする光学素子成形用金型。
  2. 前記3組の球面形状部のうちの一組が、凸面の球面形状部の曲率半径が凹面の球面形状部の曲率半径よりも小さく設定されていることを特徴とする請求項に記載の光学素子成形用金型。
  3. 前記第1及び第2の金型部材の少なくとも一方は、前記光学素子の複数の光学有効面を成形するための複数の成形面を有することを特徴とする請求項1に記載の光学素子成形用金型。
  4. 請求項1乃至のいずれか1項に記載の光学素子成形用金型の成形面の形状を測定するための三次元形状測定方法であって、
    前記3つの球面形状部の全ての面形状を測定する球面形状測定工程と、
    該球面形状測定工程の測定結果に基づいて、それぞれの前記球面形状部の中心座標を算出する中心座標算出工程と、
    前記球面形状測定工程を実施する測定装置から前記光学素子成形用金型を着脱することなく、前記成形面の形状を測定する成形面測定工程と、
    前記中心座標算出工程で算出された前記球面形状部の1つの中心座標を原点とし、他の2つの球面形状部の中心の座標を基に座標系を設定し、前記成形面測定工程で得られた測定結果から、前記設定した座標系における前記成形面の面位置を算出する面位置算出工程と
    を備えることを特徴とする三次元形状測定方法。
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