JP2004092594A - 遠心式送風機および車両用空調装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】縦拡がり部の形成による送風性能の確保と、駆動用モータの冷却構造との両立を図る。
【解決手段】スクロールケーシング3cのうち、遠心式送風ファン3bの軸方向一端側に空気吸入口3iを配置し、軸方向他端側の壁面部3fに駆動用モータ3aを配置し、軸方向他端側の壁面部3fにおいてスクロールケーシング3cの巻始め部3eからの巻き角が所定角度以内となる第1領域3f−1に駆動用モータ3a内に冷却空気を導入する冷却空気通路3sの冷却空気取入口3qを配置し、軸方向他端側の壁面部3fにおいて、巻き角が所定角度を超える第2領域3f−2に空気流路3rを軸方向外方へ拡大する縦拡がり部3hを形成する。
【選択図】 図2
【解決手段】スクロールケーシング3cのうち、遠心式送風ファン3bの軸方向一端側に空気吸入口3iを配置し、軸方向他端側の壁面部3fに駆動用モータ3aを配置し、軸方向他端側の壁面部3fにおいてスクロールケーシング3cの巻始め部3eからの巻き角が所定角度以内となる第1領域3f−1に駆動用モータ3a内に冷却空気を導入する冷却空気通路3sの冷却空気取入口3qを配置し、軸方向他端側の壁面部3fにおいて、巻き角が所定角度を超える第2領域3f−2に空気流路3rを軸方向外方へ拡大する縦拡がり部3hを形成する。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、モータにより駆動される遠心式送風機およびこの遠心式送風機を備えた車両用空調装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、特開平5−195995号公報においては、遠心式送風ファンを渦巻き状の空気流路を形成するスクロールケーシング内に収容し、このスクロールケーシングの軸方向一端側の壁面部に送風ファンの空気吸入口を形成し、スクロールケーシングの軸方向他端側の壁面部に送風ファンの駆動用モータを配置した遠心式送風機が記載されている。
【0003】
そして、スクロールケーシングの軸方向他端側の壁面部に、スクロールケーシング内の空気流路を軸方向外方へ拡大する縦拡がり部を形成している。この縦拡がり部はスクロールケーシングの巻始め部(ノーズ部)から巻終わり部側へ向かって、徐々に軸方向外方へ拡大され、スクロールケーシング内の空気流路を徐々に軸方向外方へ拡大する。
【0004】
この縦拡がり部の形成により、遠心式送風ファンから径外方側へ吹き出される空気をスクロールケーシング内空気流路の出口側へ向かってスムースに案内して、スクロールケーシング内空気流路での圧力損失の低減、送風騒音の低減を図っている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、モータにより送風ファンを駆動する遠心式送風機においては、スクロールケーシング内において送風ファン吐出側の送風空気の一部をモータ内部に循環させ、それにより、モータを強制空冷することが通常行われている。
【0006】
しかし、上記従来技術においては、送風ファン駆動用モータを強制空冷するための冷却構造については一切記載されていない。
【0007】
本発明は、上記点に鑑みて、縦拡がり部の形成による送風性能の確保と、駆動用モータの冷却構造とを両立させることを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、軸方向から吸入した空気を径外方側へ送風する遠心式送風ファン(3b)と、遠心式送風ファン(3b)を収容するとともに遠心式送風ファン(3b)により送風される空気を案内する渦巻き状の空気流路(3r)を形成するスクロールケーシング(3c)と、スクロールケーシング(3c)のうち、遠心式送風ファン(3b)の軸方向一端側に配置され、遠心式送風ファン(3b)に空気を吸入させる空気吸入口(3i)と、スクロールケーシング(3c)のうち、遠心式送風ファン(3b)の軸方向他端側に配置され、遠心式送風ファン(3b)を駆動する駆動用モータ(3a)とを備え、
スクロールケーシング(3c)は前記軸方向他端側に位置する壁面部(3f)を有し、この壁面部(3f)において、スクロールケーシング(3c)の巻始め部(3e)からの巻き角が所定角度以内となる第1領域(3f−1)に、空気流路(3r)から駆動用モータ(3a)内に冷却空気を導入する冷却空気通路(3s)の冷却空気取入口(3q)を配置し、
前記壁面部(3f)において、巻き角が所定角度を超える第2領域(3f−2)に、空気流路(3r)を軸方向外方へ拡大する縦拡がり部(3h)を形成することを特徴とする。
【0009】
これによると、モータ冷却空気の取入口(3q)を、巻始め部(3e)からの巻き角が所定角度以内となる第1領域(3f−1)に形成するから、縦拡がり部(3h)は巻き角が所定角度を超える第2領域(3f−2)においてモータ冷却空気の取入口(3q)に何ら妨げられることなく、送風性能上、必要な範囲まで拡大できる。その結果、縦拡がり部3hの形成による送風性能を確保しつつ、駆動用モータ3aの冷却構造を良好に成立できる。
【0010】
請求項2に記載の発明では、請求項1において、第1領域(3f−1)および第2領域(3f−2)は、遠心式送風ファン(3b)の軸方向に対して垂直な平面部(3g)を有しており、駆動用モータ(3a)にはフランジ部材(3j)が一体に備えられ、フランジ部材(3j)により駆動用モータ(3a)が平面部(3g)に固定され、フランジ部材(3j)に一体成形されたブリッジ部(3p)により冷却空気通路(3s)が構成されることを特徴とする。
【0011】
これによると、駆動用モータ(3a)をフランジ部材(3j)を介在して第1領域(3f−1)および第2領域(3f−2)の平面部(3g)に容易に固定できる。また、フランジ部材(3j)と一体のブリッジ部(3p)により冷却空気通路(3s)を容易に構成できる。
【0012】
請求項3に記載の発明では、請求項2において、冷却空気取入口(3q)は第1領域(3f−1)における平面部(3g)に開口しており、ブリッジ部(3p)には第1領域(3f−1)における平面部(3g)と平行な平面部(3p’)を形成し、両平面部(3g、3p’)の重合部分にて、ブリッジ部(3p)をスクロールケーシング(3c)の前記壁面部(3f)に固定することを特徴とする。
【0013】
これによると、平面部(3g、3p’)同士を重合して、冷却空気通路(3s)を構成するブリッジ部(3p)を軸方向他端側の壁面部(3f)に容易に固定できる。
【0014】
請求項4に記載の発明では、請求項1ないし3のいずれか1つに記載の遠心式送風機(3)と、遠心式送風機(3)により送風される空気と熱交換する熱交換器(4)とを備え、スクロールケーシング(3c)の巻始め部(3e)が熱交換器(4)の上端部近傍に位置するようにして、遠心式送風機(3)を熱交換器(4)の上方側に配置し、冷却空気取入口(3q)をスクロールケーシング(3c)の上方側に配置した車両用空調装置を特徴としている。
【0015】
これにより、スクロールケーシング(3c)の巻始め部(3e)を熱交換器(4)の上端部近傍に直接隣接配置するレイアウトを採用でき、空調装置の空調ユニット部全体の上下方向の体格を小型化できる。
【0016】
なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態を図に基づいて説明する。
図1は本発明を適用した車両用空調装置の空調ユニット1を示すもので、この空調ユニット1は車室内前部の計器盤内側に設置されるものである。図1の上下、前後は車両搭載状態における方向を示している。車両左右方向は図1の紙面垂直方向となる。
【0018】
最初に、空調ユニット1の概要を説明すると、本例の空調ユニット1は送風機部を一体化したユニットとして構成されており、樹脂製のケース2を有している。このケース2は複数の分割ケース体を周知の金属バネクリップ、ネジ止め等の手段で一体に結合して箱形状を構成するものである。ケース2は、車室内へ向かって流れる空気の通路を形成するとともに、後述する種々の空調用機器を内蔵するものである。
【0019】
送風機3は、モータ3aにより矢印a方向に回転駆動される遠心式送風ファン3bを有し、この遠心式送風ファン3bをスクロールケーシング3c内に配置した構成になっている。この遠心式送風ファン3bは多数の円弧状ブレード(翼)を円環状に配置したものである。また、スクロールケーシング3cは、送風ファン3bにより送風される空気を案内する渦巻き状の空気流路を形成するものであり、樹脂製のケース2に一体成形される。
【0020】
図1の紙面垂直方向においてモータ3aが紙面手前側(紙面表側)に配置され、モータ3aと反対側、すなわち、紙面裏側の部位に吸入口3i(後述の図3参照)が配置される。この吸入口3iから吸入した空気を遠心式送風ファン3bにより回転方向aに送風する。なお、吸入口3iには、図示しないクーラユニットおよび内外気切替箱を介して、内気または外気が吸入される。
【0021】
送風機3は、空調ユニット1において上方側で、かつ、車両前方側に配置され、送風機3の下側に冷房用熱交換器4が配置されている。ケース2の内部において、この冷房用熱交換器4の車両前方側空間5にスクロールケーシング3cの出口部3dが連通している。このため、送風機3の送風空気がスクロールケーシング3cの出口部3dから矢印bのように下方へ向かって流れて空間5に流入するようになっている。
【0022】
冷房用熱交換器4は冷凍サイクルの蒸発器により構成されており、図示しない空調用冷凍サイクルの減圧手段にて減圧された低圧冷媒が導入され、この低圧冷媒が送風空気から吸熱して蒸発することにより、空気を冷却する。冷房用熱交換器4を送風機3の送風空気が矢印cのように車両前方側から後方側へと流れる。
【0023】
そして、ケース2内において、冷房用熱交換器4の空気流れ下流側、すなわち、車両後方側に暖房用熱交換器6が配置されている。この暖房用熱交換器6は、車両エンジン(図示せず)からの温水(冷却水)を熱源として空気を加熱する。
【0024】
この暖房用熱交換器6に隣接して温度制御用のエアミックスドア7が矢印dのごとく回転可能に配置されており、このエアミックスドア7の回転により暖房用熱交換器6を通過する温風eと暖房用熱交換器6をバイパスする冷風fとの風量割合を調整して、車室内への吹出空気温度を制御するようになっている。
【0025】
温風eと冷風fは空気混合部8で混合されて所望温度の空調風となり、この空調風はフット開口部9、フェイス開口部10およびデフロスタ開口部11のいずれか1つまたは複数の開口部を通して車室内の所定部位(乗員足元側、乗員上半身側、車両窓ガラス内面側)へ吹き出すようになっている。フット開口部9、フェイス開口部10およびデフロスタ開口部11は、回転可能な板ドアから構成される2つの吹出モード切替ドア12、13により開閉される。
【0026】
次に、図2ないし図5により送風機3部をより具体的に詳述する。図2は図1の上部拡大図、図3は図2のA−A断面図、図4は図2のB−B断面図、図5は図2のC−C断面図である。
【0027】
送風機3のスクロールケーシング3cにおいて、渦巻き状の巻始め部3eは一般にノーズ部と称されており、冷房用熱交換器4の上端部近傍に配置されている。スクロールケーシング3cの半径は、この巻始め部3eを起点として図2の時計方向(送風ファン3bの回転方向a)へ進むに従って次第に拡大するようになっている。そして、巻始め部3eの車両前方側にスクロールケーシング3cの出口部3dが隣接配置されている。
【0028】
図2はスクロールケーシング3cの軸方向の壁面部のうち、モータ3a側の壁面部3fを示しており、この壁面部3fは本発明の軸方向他端側の壁面部を構成する。この壁面部3fは巻始め部3eからの巻き角が所定角度θ以内となる第1領域3f−1と、巻始め部3eからの巻き角が所定角度θを超える第2領域3f−2とから構成されている。
【0029】
ここで、スクロールケーシング3cの巻始め部3eからの巻き角とは、巻始め部3eとファン回転中心とを結ぶ直線を起点としてファン回転方向aへの角度を言う。なお、図2の例では、所定角度θが略200°程度になっている。
【0030】
図2において、壁面部3fのうち、斜線を付していない領域Wは送風ファン3bの軸方向(図2の紙面垂直方向)と垂直な平面部3gを示し、一方、斜線領域はスクロールケーシング3cの空気流路を軸方向外方(図2の紙面手前側)へ拡大する縦拡がり部3hを示している。
【0031】
上記第1領域3f−1はその全領域が平面部3gとなり、縦拡がり部3hが形成されていない。これに対し、第2領域3f−2ではその内周側のみに平面部3gを形成し、この平面部3gの外周側に縦拡がり部3hを形成している。第2領域3f−2では、上記巻き角が所定角度θを超えて増大するにつれて縦拡がり部3hの形成範囲が次第に増大するようになっている。ここで、縦拡がり部3hの形成範囲は径方向に次第に増大するとともに軸方向外方にも次第に増大する。
【0032】
図4は第1領域3f−1におけるスクロールケーシング3cの断面形状を示し、第1領域3f−1は送風ファン3bの軸方向Dと垂直な平面部3gのみで構成されている。
【0033】
図5は第2領域3f−2におけるスクロールケーシング3cの断面形状を示し、スクロールケーシング3cの内周側に位置する平面部3gの外周側に縦拡がり部3hを形成している。
【0034】
次に、送風機3の固定構造を説明すると、モータ3aの外周面には図2に示す円板状のフランジ部材3jが一体に配置される。このフランジ部材3jは樹脂製の部材であり、フランジ部材3jの中心部にはモータ3aを覆う円筒状のモータハウジング3nが一体に成形され、更に、モータ冷却空気通路を構成するためのブリッジ部3pがモータハウジング3nの円周方向の所定部位から外周方向に延びるようにフランジ部材3jに一体成形されている。モータハウジング3nの部分にてフランジ部材3jはモータ3aと一体に固定される。
【0035】
一方、スクロールケーシング3cのモータ3a側の壁面部3fには第1、第2領域3f−1、3f−2の両方にわたって平面部3gが形成してあり、この平面部3gの中心部に送風ファン3bをスクロールケーシング3cに挿入するためのファン挿入穴3k(図2)が開けてある。
【0036】
このファン挿入穴3kよりもフランジ部材3jの外径を所定量大きくして、フランジ部材3jの外周部の複数箇所(図2では3箇所)をねじ3m等の締結手段により壁面部3fの平面部3gに固定するようになっている。これにより、フランジ部材3jを壁面部3fの平面部3gに容易に固定できるとともに、ファン挿入穴3kをフランジ部材3jにより閉塞できる。
【0037】
次に、送風機3の駆動用モータ3aの冷却空気通路構成を説明すると、スクロールケーシング3cのモータ側の壁面部3fのうち、第1領域3f−1に冷却空気取入口3qを開口している。この冷却空気取入口3qは、図3に示すように、スクロールケーシング3c内においてファン外周側の空気流路3rに連通するように配置され、この空気流路3rを圧送される空気流れの一部をブリッジ部3pの内側に形成される冷却空気通路3sに取り入れるものである。
【0038】
ブリッジ部3pはその内側に冷却空気通路3sを形成するために断面略U状に成形され、且つ、冷却空気取入口3qとモータハウジング3nの内側空間との間を連結するようにファン径方向に延びるように成形される。
【0039】
なお、前記したフランジ部材3jの外周部の複数箇所のねじ止め固定部3mのうち、1箇所はブリッジ部3pに設定してある。このブリッジ部3pにおけるねじ止め固定部3mの周辺部は第1領域3f−1における平面部3gと平行な平面部3p’を形成し、この両平面部3g、3p’同士を重合して、ブリッジ部3pを壁面部3fにねじ止め3mにより容易に固定できるようにしてある。
【0040】
冷却空気取入口3qは図2に示すように第1領域3f−1の終端側(巻き角増大側)近傍に配置されている。これは、第1領域3f−1の終端側近傍の方が平面部3gの径方向寸法が増大して、冷却空気取入口3qの開口面積の確保が容易になるからである。また、冷却空気取入口3qは図2に破線図示するように円周方向に2分割して開口してある。これは、冷却空気取入口3q周辺部におけるねじ止め固定部3mの強度確保のためである。
【0041】
冷却空気通路3sは、モータハウジング3nの内側空間を経てモータ3aの本体ケースに設けた入口連通穴3tによりモータ本体ケース内部に連通する。そして、モータ3aの本体ケース内部は出口連通穴3uにより送風ファン3bの中心部付近の低圧部分に連通するようになっている。
【0042】
次に、本実施形態の作動を説明する。送風機3の駆動用モータ3aに通電して送風ファン3bを矢印a方向に回転駆動すると、吸入口3iから空気が送風ファン3bの内周側に矢印g(図3)のように吸入され、この吸入空気は、スクロールケーシング3c内の空気流路3rを矢印a(図1)方向に圧送される。この空気流路3rには図3に示すように冷却空気取入口3qが開口し、更に、冷却空気取入口3qは冷却空気通路3s→モータハウジング3nの内側空間→入口連通穴3t→モータ3aの本体ケース内部→出口連通穴3uを経て送風ファン3bの中心部付近の低圧部分に連通している。
【0043】
このため、空気流路3rから空気流れの一部を矢印h、i、jのように上記経路を経てモータ3aの本体ケース内部に循環させることができる。これにより、モータ3aの内部機構を効果的に強制空冷することができる。
【0044】
ところで、本実施形態では、モータ3aの内部機構を強制空冷するための冷却空気取入口3qを、スクロールケーシング3cのモータ側壁面部3fのうち、巻始め部3eからの巻き角が所定角度θ以内となる第1領域3f−1に配置し、そして、巻き角が所定角度θを超える第2領域3f−2に縦拡がり部3hを形成しているから、縦拡がり部3hの形成による送風性能を確保しつつ、駆動用モータ3aの冷却構造を良好に成立できる。
【0045】
すなわち、縦拡がり部3hは、遠心式送風ファン3bから径外方側へ吹き出される空気をスクロールケーシング3c内の空気流路の出口部3d側へ向かってスムースに案内して、スクロールケーシング3c内空気流路での圧力損失の低減、送風騒音の低減を図るものであって、巻始め部3eからの巻き角の増大とともに縦拡がり部3hの径方向寸法および軸方向外方への突き出し寸法が増大する。そのため、図6(a)の比較例のように、スクロールケーシング3cの出口部3d付近、つまり、巻始め部3eからの巻き角が非常に大きくなっている、本実施形態の第2領域3f−2に相当する部位に冷却空気取入口3qを配置すると、冷却空気取入口3qの配置に伴って縦拡がり部3hの形成範囲が図6(b)のように著しく制限され、空気流路の圧力損失が増大するので、縦拡がり部3hによる送風性能向上の効果を有効に発揮できない。
【0046】
これに対し、本実施形態では、巻始め部3eからの巻き角が所定角度θ以内となる第1領域3f−1に冷却空気取入口3qを配置し、巻始め部3eからの巻き角が所定角度θを超える第2領域3f−2に縦拡がり部3hを形成しているから、第2領域3f−2において縦拡がり部3hの径方向寸法および軸方向外方への突き出し寸法を巻き角の増大とともに増大することができ、縦拡がり部3hの増大が冷却空気取入口3qにより何ら妨げられない。よって、縦拡がり部3hによる送風性能向上の効果を有効に発揮できる。本発明者の実験検討によると、本実施形態では、図6の比較例に比較して風量を45m3/h程度増加できることを確認できた。
【0047】
なお、本実施形態では巻始め部3eからの巻き角が所定角度θ以内となる第1領域3f−1に冷却空気取入口3qを配置し、この第1領域3f−1では縦拡がり部3hを形成していないが、この第1領域3f−1では巻き角が小さいので、縦拡がり部3hの径方向寸法および軸方向外方への突き出し寸法が元々小さくなり、縦拡がり部3hによる送風性能向上の効果が小さい。従って、第1領域3f−1に縦拡がり部3hを形成しない構成であっても、送風性能への悪影響は微小である。
【0048】
また、図7の比較例のように冷却空気取入口3qを巻始め部3eの近傍に配置することが考えられる。この図7の比較例によれば、縦拡がり部3hの増大領域に冷却空気取入口3qを配置することに伴う送風性能への悪影響を回避できる。しかし、その反面、巻始め部3eの近傍部位では、スクロールケーシング3cのモータ側壁面部3fの面積が小さくなっているので、空気取入口3q部分をスクロールケーシング3cの外周面よりも径外方側へ突き出すように配置する必要が生じる。このため、冷房用熱交換器4の上端部と送風機3の底部との間の寸法が増大し、その結果、空調ユニット1全体の上下方向の体格を増大させる。
【0049】
これに対し、本実施形態によると、冷房用熱交換器4の上端部付近に配置される巻始め部3eの近傍に空気取入口3qを配置せず、スクロールケーシング3cの上方部に空気取入口3qを配置している。このスクロールケーシング3cの上方部位では、巻始め部3eからの巻き角がある程度増加しているので、スクロールケーシング3cのモータ側壁面部3fの面積が大きくなっている。そのため、スクロールケーシング3cの外径の範囲内に空気取入口3qを配置できるので、図7の比較例よりも、空調ユニット1全体の上下方向の体格を小型化できる。
【0050】
なお、上記の一実施形態では、モータ側壁面部3fの第1領域3f−1に縦拡がり部3hを形成していないが、必要に応じて第1領域3f−1に縦拡がり部3hを形成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態を示す車両用空調装置の空調ユニットの側面図である。
【図2】図1の送風機部の拡大図である。
【図3】図2のA−A断面図である。
【図4】図2のB−B断面図である。
【図5】図2のC−C断面図である。
【図6】(a)は比較例の空調ユニット部の送風機部側面図、(b)は(a)のD−D断面図である。
【図7】別の比較例による空調ユニット部の側面図である。
【符号の説明】
3a…駆動用モータ、3b…遠心式送風ファン、
3c…スクロールケーシング、3f…壁面部、3f−1…第1領域、
3f−2…第2領域、3h…縦拡がり部、3i…空気吸入口、
3q…冷却空気取入口、3r…空気流路、3s…冷却空気通路。
【発明の属する技術分野】
本発明は、モータにより駆動される遠心式送風機およびこの遠心式送風機を備えた車両用空調装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、特開平5−195995号公報においては、遠心式送風ファンを渦巻き状の空気流路を形成するスクロールケーシング内に収容し、このスクロールケーシングの軸方向一端側の壁面部に送風ファンの空気吸入口を形成し、スクロールケーシングの軸方向他端側の壁面部に送風ファンの駆動用モータを配置した遠心式送風機が記載されている。
【0003】
そして、スクロールケーシングの軸方向他端側の壁面部に、スクロールケーシング内の空気流路を軸方向外方へ拡大する縦拡がり部を形成している。この縦拡がり部はスクロールケーシングの巻始め部(ノーズ部)から巻終わり部側へ向かって、徐々に軸方向外方へ拡大され、スクロールケーシング内の空気流路を徐々に軸方向外方へ拡大する。
【0004】
この縦拡がり部の形成により、遠心式送風ファンから径外方側へ吹き出される空気をスクロールケーシング内空気流路の出口側へ向かってスムースに案内して、スクロールケーシング内空気流路での圧力損失の低減、送風騒音の低減を図っている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、モータにより送風ファンを駆動する遠心式送風機においては、スクロールケーシング内において送風ファン吐出側の送風空気の一部をモータ内部に循環させ、それにより、モータを強制空冷することが通常行われている。
【0006】
しかし、上記従来技術においては、送風ファン駆動用モータを強制空冷するための冷却構造については一切記載されていない。
【0007】
本発明は、上記点に鑑みて、縦拡がり部の形成による送風性能の確保と、駆動用モータの冷却構造とを両立させることを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、軸方向から吸入した空気を径外方側へ送風する遠心式送風ファン(3b)と、遠心式送風ファン(3b)を収容するとともに遠心式送風ファン(3b)により送風される空気を案内する渦巻き状の空気流路(3r)を形成するスクロールケーシング(3c)と、スクロールケーシング(3c)のうち、遠心式送風ファン(3b)の軸方向一端側に配置され、遠心式送風ファン(3b)に空気を吸入させる空気吸入口(3i)と、スクロールケーシング(3c)のうち、遠心式送風ファン(3b)の軸方向他端側に配置され、遠心式送風ファン(3b)を駆動する駆動用モータ(3a)とを備え、
スクロールケーシング(3c)は前記軸方向他端側に位置する壁面部(3f)を有し、この壁面部(3f)において、スクロールケーシング(3c)の巻始め部(3e)からの巻き角が所定角度以内となる第1領域(3f−1)に、空気流路(3r)から駆動用モータ(3a)内に冷却空気を導入する冷却空気通路(3s)の冷却空気取入口(3q)を配置し、
前記壁面部(3f)において、巻き角が所定角度を超える第2領域(3f−2)に、空気流路(3r)を軸方向外方へ拡大する縦拡がり部(3h)を形成することを特徴とする。
【0009】
これによると、モータ冷却空気の取入口(3q)を、巻始め部(3e)からの巻き角が所定角度以内となる第1領域(3f−1)に形成するから、縦拡がり部(3h)は巻き角が所定角度を超える第2領域(3f−2)においてモータ冷却空気の取入口(3q)に何ら妨げられることなく、送風性能上、必要な範囲まで拡大できる。その結果、縦拡がり部3hの形成による送風性能を確保しつつ、駆動用モータ3aの冷却構造を良好に成立できる。
【0010】
請求項2に記載の発明では、請求項1において、第1領域(3f−1)および第2領域(3f−2)は、遠心式送風ファン(3b)の軸方向に対して垂直な平面部(3g)を有しており、駆動用モータ(3a)にはフランジ部材(3j)が一体に備えられ、フランジ部材(3j)により駆動用モータ(3a)が平面部(3g)に固定され、フランジ部材(3j)に一体成形されたブリッジ部(3p)により冷却空気通路(3s)が構成されることを特徴とする。
【0011】
これによると、駆動用モータ(3a)をフランジ部材(3j)を介在して第1領域(3f−1)および第2領域(3f−2)の平面部(3g)に容易に固定できる。また、フランジ部材(3j)と一体のブリッジ部(3p)により冷却空気通路(3s)を容易に構成できる。
【0012】
請求項3に記載の発明では、請求項2において、冷却空気取入口(3q)は第1領域(3f−1)における平面部(3g)に開口しており、ブリッジ部(3p)には第1領域(3f−1)における平面部(3g)と平行な平面部(3p’)を形成し、両平面部(3g、3p’)の重合部分にて、ブリッジ部(3p)をスクロールケーシング(3c)の前記壁面部(3f)に固定することを特徴とする。
【0013】
これによると、平面部(3g、3p’)同士を重合して、冷却空気通路(3s)を構成するブリッジ部(3p)を軸方向他端側の壁面部(3f)に容易に固定できる。
【0014】
請求項4に記載の発明では、請求項1ないし3のいずれか1つに記載の遠心式送風機(3)と、遠心式送風機(3)により送風される空気と熱交換する熱交換器(4)とを備え、スクロールケーシング(3c)の巻始め部(3e)が熱交換器(4)の上端部近傍に位置するようにして、遠心式送風機(3)を熱交換器(4)の上方側に配置し、冷却空気取入口(3q)をスクロールケーシング(3c)の上方側に配置した車両用空調装置を特徴としている。
【0015】
これにより、スクロールケーシング(3c)の巻始め部(3e)を熱交換器(4)の上端部近傍に直接隣接配置するレイアウトを採用でき、空調装置の空調ユニット部全体の上下方向の体格を小型化できる。
【0016】
なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態を図に基づいて説明する。
図1は本発明を適用した車両用空調装置の空調ユニット1を示すもので、この空調ユニット1は車室内前部の計器盤内側に設置されるものである。図1の上下、前後は車両搭載状態における方向を示している。車両左右方向は図1の紙面垂直方向となる。
【0018】
最初に、空調ユニット1の概要を説明すると、本例の空調ユニット1は送風機部を一体化したユニットとして構成されており、樹脂製のケース2を有している。このケース2は複数の分割ケース体を周知の金属バネクリップ、ネジ止め等の手段で一体に結合して箱形状を構成するものである。ケース2は、車室内へ向かって流れる空気の通路を形成するとともに、後述する種々の空調用機器を内蔵するものである。
【0019】
送風機3は、モータ3aにより矢印a方向に回転駆動される遠心式送風ファン3bを有し、この遠心式送風ファン3bをスクロールケーシング3c内に配置した構成になっている。この遠心式送風ファン3bは多数の円弧状ブレード(翼)を円環状に配置したものである。また、スクロールケーシング3cは、送風ファン3bにより送風される空気を案内する渦巻き状の空気流路を形成するものであり、樹脂製のケース2に一体成形される。
【0020】
図1の紙面垂直方向においてモータ3aが紙面手前側(紙面表側)に配置され、モータ3aと反対側、すなわち、紙面裏側の部位に吸入口3i(後述の図3参照)が配置される。この吸入口3iから吸入した空気を遠心式送風ファン3bにより回転方向aに送風する。なお、吸入口3iには、図示しないクーラユニットおよび内外気切替箱を介して、内気または外気が吸入される。
【0021】
送風機3は、空調ユニット1において上方側で、かつ、車両前方側に配置され、送風機3の下側に冷房用熱交換器4が配置されている。ケース2の内部において、この冷房用熱交換器4の車両前方側空間5にスクロールケーシング3cの出口部3dが連通している。このため、送風機3の送風空気がスクロールケーシング3cの出口部3dから矢印bのように下方へ向かって流れて空間5に流入するようになっている。
【0022】
冷房用熱交換器4は冷凍サイクルの蒸発器により構成されており、図示しない空調用冷凍サイクルの減圧手段にて減圧された低圧冷媒が導入され、この低圧冷媒が送風空気から吸熱して蒸発することにより、空気を冷却する。冷房用熱交換器4を送風機3の送風空気が矢印cのように車両前方側から後方側へと流れる。
【0023】
そして、ケース2内において、冷房用熱交換器4の空気流れ下流側、すなわち、車両後方側に暖房用熱交換器6が配置されている。この暖房用熱交換器6は、車両エンジン(図示せず)からの温水(冷却水)を熱源として空気を加熱する。
【0024】
この暖房用熱交換器6に隣接して温度制御用のエアミックスドア7が矢印dのごとく回転可能に配置されており、このエアミックスドア7の回転により暖房用熱交換器6を通過する温風eと暖房用熱交換器6をバイパスする冷風fとの風量割合を調整して、車室内への吹出空気温度を制御するようになっている。
【0025】
温風eと冷風fは空気混合部8で混合されて所望温度の空調風となり、この空調風はフット開口部9、フェイス開口部10およびデフロスタ開口部11のいずれか1つまたは複数の開口部を通して車室内の所定部位(乗員足元側、乗員上半身側、車両窓ガラス内面側)へ吹き出すようになっている。フット開口部9、フェイス開口部10およびデフロスタ開口部11は、回転可能な板ドアから構成される2つの吹出モード切替ドア12、13により開閉される。
【0026】
次に、図2ないし図5により送風機3部をより具体的に詳述する。図2は図1の上部拡大図、図3は図2のA−A断面図、図4は図2のB−B断面図、図5は図2のC−C断面図である。
【0027】
送風機3のスクロールケーシング3cにおいて、渦巻き状の巻始め部3eは一般にノーズ部と称されており、冷房用熱交換器4の上端部近傍に配置されている。スクロールケーシング3cの半径は、この巻始め部3eを起点として図2の時計方向(送風ファン3bの回転方向a)へ進むに従って次第に拡大するようになっている。そして、巻始め部3eの車両前方側にスクロールケーシング3cの出口部3dが隣接配置されている。
【0028】
図2はスクロールケーシング3cの軸方向の壁面部のうち、モータ3a側の壁面部3fを示しており、この壁面部3fは本発明の軸方向他端側の壁面部を構成する。この壁面部3fは巻始め部3eからの巻き角が所定角度θ以内となる第1領域3f−1と、巻始め部3eからの巻き角が所定角度θを超える第2領域3f−2とから構成されている。
【0029】
ここで、スクロールケーシング3cの巻始め部3eからの巻き角とは、巻始め部3eとファン回転中心とを結ぶ直線を起点としてファン回転方向aへの角度を言う。なお、図2の例では、所定角度θが略200°程度になっている。
【0030】
図2において、壁面部3fのうち、斜線を付していない領域Wは送風ファン3bの軸方向(図2の紙面垂直方向)と垂直な平面部3gを示し、一方、斜線領域はスクロールケーシング3cの空気流路を軸方向外方(図2の紙面手前側)へ拡大する縦拡がり部3hを示している。
【0031】
上記第1領域3f−1はその全領域が平面部3gとなり、縦拡がり部3hが形成されていない。これに対し、第2領域3f−2ではその内周側のみに平面部3gを形成し、この平面部3gの外周側に縦拡がり部3hを形成している。第2領域3f−2では、上記巻き角が所定角度θを超えて増大するにつれて縦拡がり部3hの形成範囲が次第に増大するようになっている。ここで、縦拡がり部3hの形成範囲は径方向に次第に増大するとともに軸方向外方にも次第に増大する。
【0032】
図4は第1領域3f−1におけるスクロールケーシング3cの断面形状を示し、第1領域3f−1は送風ファン3bの軸方向Dと垂直な平面部3gのみで構成されている。
【0033】
図5は第2領域3f−2におけるスクロールケーシング3cの断面形状を示し、スクロールケーシング3cの内周側に位置する平面部3gの外周側に縦拡がり部3hを形成している。
【0034】
次に、送風機3の固定構造を説明すると、モータ3aの外周面には図2に示す円板状のフランジ部材3jが一体に配置される。このフランジ部材3jは樹脂製の部材であり、フランジ部材3jの中心部にはモータ3aを覆う円筒状のモータハウジング3nが一体に成形され、更に、モータ冷却空気通路を構成するためのブリッジ部3pがモータハウジング3nの円周方向の所定部位から外周方向に延びるようにフランジ部材3jに一体成形されている。モータハウジング3nの部分にてフランジ部材3jはモータ3aと一体に固定される。
【0035】
一方、スクロールケーシング3cのモータ3a側の壁面部3fには第1、第2領域3f−1、3f−2の両方にわたって平面部3gが形成してあり、この平面部3gの中心部に送風ファン3bをスクロールケーシング3cに挿入するためのファン挿入穴3k(図2)が開けてある。
【0036】
このファン挿入穴3kよりもフランジ部材3jの外径を所定量大きくして、フランジ部材3jの外周部の複数箇所(図2では3箇所)をねじ3m等の締結手段により壁面部3fの平面部3gに固定するようになっている。これにより、フランジ部材3jを壁面部3fの平面部3gに容易に固定できるとともに、ファン挿入穴3kをフランジ部材3jにより閉塞できる。
【0037】
次に、送風機3の駆動用モータ3aの冷却空気通路構成を説明すると、スクロールケーシング3cのモータ側の壁面部3fのうち、第1領域3f−1に冷却空気取入口3qを開口している。この冷却空気取入口3qは、図3に示すように、スクロールケーシング3c内においてファン外周側の空気流路3rに連通するように配置され、この空気流路3rを圧送される空気流れの一部をブリッジ部3pの内側に形成される冷却空気通路3sに取り入れるものである。
【0038】
ブリッジ部3pはその内側に冷却空気通路3sを形成するために断面略U状に成形され、且つ、冷却空気取入口3qとモータハウジング3nの内側空間との間を連結するようにファン径方向に延びるように成形される。
【0039】
なお、前記したフランジ部材3jの外周部の複数箇所のねじ止め固定部3mのうち、1箇所はブリッジ部3pに設定してある。このブリッジ部3pにおけるねじ止め固定部3mの周辺部は第1領域3f−1における平面部3gと平行な平面部3p’を形成し、この両平面部3g、3p’同士を重合して、ブリッジ部3pを壁面部3fにねじ止め3mにより容易に固定できるようにしてある。
【0040】
冷却空気取入口3qは図2に示すように第1領域3f−1の終端側(巻き角増大側)近傍に配置されている。これは、第1領域3f−1の終端側近傍の方が平面部3gの径方向寸法が増大して、冷却空気取入口3qの開口面積の確保が容易になるからである。また、冷却空気取入口3qは図2に破線図示するように円周方向に2分割して開口してある。これは、冷却空気取入口3q周辺部におけるねじ止め固定部3mの強度確保のためである。
【0041】
冷却空気通路3sは、モータハウジング3nの内側空間を経てモータ3aの本体ケースに設けた入口連通穴3tによりモータ本体ケース内部に連通する。そして、モータ3aの本体ケース内部は出口連通穴3uにより送風ファン3bの中心部付近の低圧部分に連通するようになっている。
【0042】
次に、本実施形態の作動を説明する。送風機3の駆動用モータ3aに通電して送風ファン3bを矢印a方向に回転駆動すると、吸入口3iから空気が送風ファン3bの内周側に矢印g(図3)のように吸入され、この吸入空気は、スクロールケーシング3c内の空気流路3rを矢印a(図1)方向に圧送される。この空気流路3rには図3に示すように冷却空気取入口3qが開口し、更に、冷却空気取入口3qは冷却空気通路3s→モータハウジング3nの内側空間→入口連通穴3t→モータ3aの本体ケース内部→出口連通穴3uを経て送風ファン3bの中心部付近の低圧部分に連通している。
【0043】
このため、空気流路3rから空気流れの一部を矢印h、i、jのように上記経路を経てモータ3aの本体ケース内部に循環させることができる。これにより、モータ3aの内部機構を効果的に強制空冷することができる。
【0044】
ところで、本実施形態では、モータ3aの内部機構を強制空冷するための冷却空気取入口3qを、スクロールケーシング3cのモータ側壁面部3fのうち、巻始め部3eからの巻き角が所定角度θ以内となる第1領域3f−1に配置し、そして、巻き角が所定角度θを超える第2領域3f−2に縦拡がり部3hを形成しているから、縦拡がり部3hの形成による送風性能を確保しつつ、駆動用モータ3aの冷却構造を良好に成立できる。
【0045】
すなわち、縦拡がり部3hは、遠心式送風ファン3bから径外方側へ吹き出される空気をスクロールケーシング3c内の空気流路の出口部3d側へ向かってスムースに案内して、スクロールケーシング3c内空気流路での圧力損失の低減、送風騒音の低減を図るものであって、巻始め部3eからの巻き角の増大とともに縦拡がり部3hの径方向寸法および軸方向外方への突き出し寸法が増大する。そのため、図6(a)の比較例のように、スクロールケーシング3cの出口部3d付近、つまり、巻始め部3eからの巻き角が非常に大きくなっている、本実施形態の第2領域3f−2に相当する部位に冷却空気取入口3qを配置すると、冷却空気取入口3qの配置に伴って縦拡がり部3hの形成範囲が図6(b)のように著しく制限され、空気流路の圧力損失が増大するので、縦拡がり部3hによる送風性能向上の効果を有効に発揮できない。
【0046】
これに対し、本実施形態では、巻始め部3eからの巻き角が所定角度θ以内となる第1領域3f−1に冷却空気取入口3qを配置し、巻始め部3eからの巻き角が所定角度θを超える第2領域3f−2に縦拡がり部3hを形成しているから、第2領域3f−2において縦拡がり部3hの径方向寸法および軸方向外方への突き出し寸法を巻き角の増大とともに増大することができ、縦拡がり部3hの増大が冷却空気取入口3qにより何ら妨げられない。よって、縦拡がり部3hによる送風性能向上の効果を有効に発揮できる。本発明者の実験検討によると、本実施形態では、図6の比較例に比較して風量を45m3/h程度増加できることを確認できた。
【0047】
なお、本実施形態では巻始め部3eからの巻き角が所定角度θ以内となる第1領域3f−1に冷却空気取入口3qを配置し、この第1領域3f−1では縦拡がり部3hを形成していないが、この第1領域3f−1では巻き角が小さいので、縦拡がり部3hの径方向寸法および軸方向外方への突き出し寸法が元々小さくなり、縦拡がり部3hによる送風性能向上の効果が小さい。従って、第1領域3f−1に縦拡がり部3hを形成しない構成であっても、送風性能への悪影響は微小である。
【0048】
また、図7の比較例のように冷却空気取入口3qを巻始め部3eの近傍に配置することが考えられる。この図7の比較例によれば、縦拡がり部3hの増大領域に冷却空気取入口3qを配置することに伴う送風性能への悪影響を回避できる。しかし、その反面、巻始め部3eの近傍部位では、スクロールケーシング3cのモータ側壁面部3fの面積が小さくなっているので、空気取入口3q部分をスクロールケーシング3cの外周面よりも径外方側へ突き出すように配置する必要が生じる。このため、冷房用熱交換器4の上端部と送風機3の底部との間の寸法が増大し、その結果、空調ユニット1全体の上下方向の体格を増大させる。
【0049】
これに対し、本実施形態によると、冷房用熱交換器4の上端部付近に配置される巻始め部3eの近傍に空気取入口3qを配置せず、スクロールケーシング3cの上方部に空気取入口3qを配置している。このスクロールケーシング3cの上方部位では、巻始め部3eからの巻き角がある程度増加しているので、スクロールケーシング3cのモータ側壁面部3fの面積が大きくなっている。そのため、スクロールケーシング3cの外径の範囲内に空気取入口3qを配置できるので、図7の比較例よりも、空調ユニット1全体の上下方向の体格を小型化できる。
【0050】
なお、上記の一実施形態では、モータ側壁面部3fの第1領域3f−1に縦拡がり部3hを形成していないが、必要に応じて第1領域3f−1に縦拡がり部3hを形成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態を示す車両用空調装置の空調ユニットの側面図である。
【図2】図1の送風機部の拡大図である。
【図3】図2のA−A断面図である。
【図4】図2のB−B断面図である。
【図5】図2のC−C断面図である。
【図6】(a)は比較例の空調ユニット部の送風機部側面図、(b)は(a)のD−D断面図である。
【図7】別の比較例による空調ユニット部の側面図である。
【符号の説明】
3a…駆動用モータ、3b…遠心式送風ファン、
3c…スクロールケーシング、3f…壁面部、3f−1…第1領域、
3f−2…第2領域、3h…縦拡がり部、3i…空気吸入口、
3q…冷却空気取入口、3r…空気流路、3s…冷却空気通路。
Claims (4)
- 軸方向から吸入した空気を径外方側へ送風する遠心式送風ファン(3b)と、
前記遠心式送風ファン(3b)を収容するとともに前記遠心式送風ファン(3b)により送風される空気を案内する渦巻き状の空気流路(3r)を形成するスクロールケーシング(3c)と、
前記スクロールケーシング(3c)のうち、前記遠心式送風ファン(3b)の軸方向一端側に配置され、前記遠心式送風ファン(3b)に空気を吸入させる空気吸入口(3i)と、
前記スクロールケーシング(3c)のうち、前記遠心式送風ファン(3b)の軸方向他端側に配置され、前記遠心式送風ファン(3b)を駆動する駆動用モータ(3a)とを備え、
前記スクロールケーシング(3c)は前記軸方向他端側に位置する壁面部(3f)を有し、前記壁面部(3f)において、前記スクロールケーシング(3c)の巻始め部(3e)からの巻き角が所定角度以内となる第1領域(3f−1)に、前記空気流路(3r)から前記駆動用モータ(3a)内に冷却空気を導入する冷却空気通路(3s)の冷却空気取入口(3q)を配置し、
前記壁面部(3f)において、前記巻き角が前記所定角度を超える第2領域(3f−2)に、前記空気流路(3r)を軸方向外方へ拡大する縦拡がり部(3h)を形成することを特徴とする遠心式送風機。 - 前記第1領域(3f−1)および前記第2領域(3f−2)は、前記遠心式送風ファン(3b)の軸方向に対して垂直な平面部(3g)を有しており、
前記駆動用モータ(3a)にはフランジ部材(3j)が一体に備えられ、前記フランジ部材(3j)により前記駆動用モータ(3a)が前記平面部(3g)に固定され、
前記フランジ部材(3j)に一体成形されたブリッジ部(3p)により前記冷却空気通路(3s)が構成されることを特徴とする請求項1に記載の遠心式送風機。 - 前記冷却空気取入口(3q)は前記第1領域(3f−1)における前記平面部(3g)に開口しており、前記ブリッジ部(3p)には前記第1領域(3f−1)における前記平面部(3g)と平行な平面部(3p’)を形成し、
前記両平面部(3g、3p’)の重合部分にて、前記ブリッジ部(3p)を前記スクロールケーシング(3c)の前記壁面部(3f)に固定することを特徴とする請求項2に記載の遠心式送風機。 - 請求項1ないし3のいずれか1つに記載の遠心式送風機(3)と、前記遠心式送風機(3)により送風される空気と熱交換する熱交換器(4)とを備え、
前記スクロールケーシング(3c)の巻始め部(3e)が前記熱交換器(4)の上端部近傍に位置するようにして、前記遠心式送風機(3)を前記熱交換器(4)の上方側に配置し、
前記冷却空気取入口(3q)を前記スクロールケーシング(3c)の上方側に配置したことを特徴とする車両用空調装置。
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JP2009525434A (ja) * | 2006-02-01 | 2009-07-09 | ロベルト・ボッシュ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング | 遠心ブロワー |
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