JP2004091368A - 含ハロゲンアルコールおよびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】新規な含ハロゲンアルコールである1,1−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロ−2−プロパノール、およびその工業的な製造方法を提供する。
【解決手段】水および、少なくとも白金を含む触媒の存在下、1,1−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロアセトンを水素と接触させると1,1−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロ−2−プロパノールを得ることができる。反応時の温度は0〜50℃が特に好ましい。得られた1,1−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロ−2−プロパノールは、溶媒、洗浄剤等として優れた性能を示し、さらに医農薬中間体、有機化合物のビルディングブロックとしても有用である。
【選択図】 なし
【解決手段】水および、少なくとも白金を含む触媒の存在下、1,1−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロアセトンを水素と接触させると1,1−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロ−2−プロパノールを得ることができる。反応時の温度は0〜50℃が特に好ましい。得られた1,1−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロ−2−プロパノールは、溶媒、洗浄剤等として優れた性能を示し、さらに医農薬中間体、有機化合物のビルディングブロックとしても有用である。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、溶剤、溶媒、医薬・農薬の中間体として、また含フッ素基導入試薬として有用な1,1−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロ−2−プロパノールおよびその類縁化合物に関する。
【0002】
【従来の技術】
1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール(CF3CH(OH)CF3)は、医薬、農薬の原料として、含フッ素基導入試薬として、さらにはフッ素系ポリマー等の溶剤、有機合成における反応溶媒として汎用的に使用されている。また、2,2,3,3−テトラフルオロプロパノール(CHF2CF2CH2OH)は、CD−R、DVD−R等の光記憶メディアの色素溶剤として広く使用されている(WO2002/034841号公報、特開2002−53507号公報)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上述の1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノールや2,2,3,3−テトラフルオロプロパノールは、分子内のフッ素原子の効果によって、独自の溶解性を有している。。しかし、溶質の種類によっては十分な溶解性を示さない場合がある。このため、これらのフッ素原子の一部が塩素原子に置換されたアルコールを得ることができれば、溶剤としての溶解性が適度に変化し、前記、含フッ素アルコール類とは異なった溶解性が発現するものと期待される。
【0004】
また、前記2,2,3,3−テトラフルオロプロパノールは可燃性であるが、安全性の点では、不燃もしくは難燃性の溶剤が求められる。さらに、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノールおよび2,2,3,3−テトラフルオロプロパノールは沸点がそれぞれ59℃、109℃であるが、光記憶活性の色素をディスクに塗布するための溶剤用途として使用する場合、沸点があまり低いと蒸発速度が大きすぎ、均一に塗布し難い場合がある。色素溶剤としては、難燃性もしくは不燃性で、フッ素原子と塩素原子を含有し、かつ沸点が120℃程度の化合物が望まれる。
【0005】
本出願人らは、工業的に入手が容易な1,1−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロアセトンをプロトン性溶媒の存在下、金属亜鉛と反応させると、1,1,1−トリフルオロアセトンが製造できることを特開2000−226057号公報で開示した。さらに、触媒を用いるために廃棄物の負荷が少ない有利な方法として、1,1−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロアセトンをパラジウムを含む触媒の存在下、気相中で水素と接触させることにより、同じく1,1,1−トリフルオロアセトンが得られることを特開2001−316322号公報にて開示した。
【0006】
しかしながら上記の方法においては、1,1−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロアセトン中のジクロロメチル(−CHCl2)基やトリフルオロメチル(−CF3)基は還元(水素化)を受けるものの、カルボニル基の還元は起こりにくく、アルコール類を得ることはきわめて困難であった。事実、前記文献の方法においては、主生成物1,1,1−トリフルオロアセトンの他に、副生物としてトリフルオロメチル基がさらに水素化を受けた1,1−ジフルオロアセトン、1−フルオロアセトン、アセトンがそれぞれ少量生成するものの、含フッ素アルコールとして重要な物質である1,1−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロイソプロパノールや1,1,1−トリフルオロ−2−プロパノールは全く得られなかった。
【0007】
このように、入手の容易な化合物を原料として、フッ素原子と塩素原子を共に含有するアルコール類を効率よく合成する手段が望まれていた。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記課題に鑑み、フッ素原子と塩素原子を同時に含有するアルコールの合成につき、鋭意検討を行った。その結果、入手の容易な1,1−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロメチルアセトンを特定の条件下で水素ガスと反応させることにより、上記課題が解決することを見出した。
【0009】
すなわち本発明者らは、1,1−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロメチルアセトンを、水の存在下、少なくとも白金を含む触媒を共存させて、水素ガスと接触させると、新規化合物である1,1−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロメチル−2−プロパノールが穏和に生成することを見出した。
【0010】
本発明は1,1−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロメチルアセトンを還元処理するという点では、上記特開2000−226057号公報と特開2001−316322号公報の発明と共通するが、還元の起こる部位がこれらとは全く異なる。すなわち、これまで当化合物においては還元がきわめて困難と考えられていた2位のカルボニル基が優先的に還元を受け、ジクロロメチル(−CHCl2)基やトリフルオロメチル基はそのまま保持されるという驚くべき結果を与えた。さらに、上記反応は−10℃〜+50℃の温度領域で実施すると、1,1−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロメチル−2−プロパノールが特に高い選択性をもって生成することも判明した。
【0011】
このように得られた1,1−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロメチル−2−プロパノールは沸点が123℃であり、色素を溶解する溶剤として適度な沸点を有するのみならず、引火点が存在せず、取り扱い上、安全性の特に高いアルコールであることが分かった。また、有機化合物に対する溶解性も高く、洗浄剤としても良好に機能することも見出された。本化合物は、3個のフッ素原子と2個の塩素原子および水酸基を有しており、フッ素導入剤、医薬品等合成における新規なビルディングブロックとしても有用である。
【0012】
本発明者らはさらに、上記方法によって1,1−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロメチル−2−プロパノールを合成する際には、副生成物として、1,1,1−トリフルオロ−2−プロパノールが得られ、特に過剰量の水の存在下、50℃以上の温度で反応を実施すると1,1,1−トリフルオロ−2−プロパノールの生成量が増大することを見出した。この1,1,1−トリフルオロ−2−プロパノールは、上記特開2000−226057号公報と特開2001−316322号公報の方法では製造できなかったものであり、やはり、フッ素導入剤として有用な化合物である。
【0013】
1,1,1−トリフルオロ−2−プロパノールの製法としては、Angewandte Chemie, International Edition (1999), 38(13/14),P.2052−2054において、3,3,3−トリフルオロ−1−プロペンをヒドロボレーションに付す方法が開示されている。しかしながら本発明は、該文献の方法に比べ、原料の工業的入手が容易である上に、触媒反応であり、無害な水素ガスを還元剤として利用できるため、廃棄物を生じにくいという点で優れている。
【0014】
このように本発明者らは、新規化合物である1,1−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロメチル−2−プロパノールを得、この化合物の新規な用途を見出した。さらに1,1−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロメチル−2−プロパノールおよび、その類縁物質である1,1,1−トリフルオロ−2−プロパノールを効率的に合成する新規合成手段を見出し、本発明を完成した。
【0015】
すなわち本発明は、新規化合物である 1,1−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロ−2−プロパノールを提供する。また本発明は 1,1−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロアセトンを水および、少なくとも白金を含む触媒の存在下、水素ガスと接触させることを特徴とする、1,1−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロ−2−プロパノールの製造方法を提供する。またこの場合における水の量が、1,1−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロアセトン1モルあたり、3モルで以上であることを特徴とする1,1−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロ−2−プロパノールの製造方法を提供する。
【0016】
さらに本発明は1,1−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロアセトンを水および、少なくとも白金を含む触媒の存在下、水素ガスと接触させることを特徴とする、1,1,1−トリフルオロ−2−プロパノールの製造方法を提供する。またこの場合における水の量が、1,1−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロアセトン1モルあたり、10モル以上であることを特徴とする1,1,1−トリフルオロ−2−プロパノールの製造方法を提供する。
【0017】
また本発明は、溶剤、洗浄剤として、1,1−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロ−2−プロパノールを使用する方法を提供する。さらに本発明は1,1−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロ−2−プロパノールに色素を溶解させる方法を提供する。
【0018】
本発明に係る反応のスキームを以下に示す。
【0019】
【化1】
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明につき、さらに詳細に説明する。先ず、1,1−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロ−2−プロパノールの合成方法に関して記述する。
【0021】
本反応は気相方式でも液相方式でも実施可能である。ここで気相方式とは、原料を含む混合物を気化して反応を行う方法をいう。この方法は、原料化合物1,1−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロアセトンを含む混合物を気化し、次いで水素ガスと混合して、触媒を含む所定温度の反応基に導入することで達せられる。一方、液相方式とは、原料を含む混合物を液相の状態に保って、水素ガスと接触させ、反応させる方法をいう。この方法は、原料の1,1−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロメチルアセトンを含む混合物(液体)を反応基に導入し、触媒の存在下、水素ガスを導入し、所定温度で攪拌することで達せられる。
【0022】
気相方式の場合、原料を反応基に導入する前に気化させる必要があるが、原料化合物1,1−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロアセトンの沸点は常圧で75℃であることから、下記に示す、特に好ましい温度領域(50℃以下)にて反応を実施するためには反応系内を減圧にする必要があり、操作が煩雑になる。一方、液相方式の場合、常圧もしくは加圧条件で、反応を行えるため、気相方式よりも通常、容易に実施できる。つまり、本発明は、操作上の観点からは、液相方式の方が推奨される。
【0023】
本反応を実施する際の系内の温度は、−10℃から+100℃の範囲が好ましく、0℃から+50℃の範囲が特に好ましい。本反応においては目的物1,1−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロ−2−プロパノールの他に、1,1,1−トリフルオロメチル−2−プロパノールが副生する。しかし、50℃以下の温度領域では後者の生成は少なく抑えられ、1,1−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロ−2−プロパノールを主成物として得られる。特に常温(25℃)以下で反応を実施すると、1,1−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロ−2−プロパノールの選択性が特に高いため、1,1−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロ−2−プロパノールのみを目的物とする場合には特に有効である。
【0024】
反応温度が100℃よりも高い場合、1,1,1−トリフルオロメチル−2−プロパノールの生成量が増大するため、目的とする1,1−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロ−2−プロパノールの選択率が低下する。逆に、−10℃よりも低い場合、反応速度が低下するだけでなく、原料が凝固する場合があるので好ましくない。
【0025】
本反応には系内に水を共存させることが必須である。系内に水が全く存在しないと目的物1,1−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロメチル−2−プロパノールは得られない。水の量に下限値があるわけではないが、目的物を十分な収量で得るためには、原料1,1−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロメチルアセトン1モルに対して、3モル以上30モル以下が好ましく、5モル以上20モル以下がさらに好ましい。水の添加量が3モルよりも少ないときは、反応進行に伴い触媒の劣化、反応速度の低下、目的物の選択率の低下等が起こるので好ましくない。また水の量に上限はないが、1,1−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロメチルアセトン1モルに対して50モル以上加えても反応性に有意な向上は見られず、経済的に不利なだけであるから好ましくない。
【0026】
本反応には、少なくとも白金を含む触媒を系内に共存させることが必須である。この触媒の形態に特別の制限はないが、活性炭、シリカ、アルミナなどの担体に白金を含む化合物を担持させた固相触媒が好ましい。
【0027】
触媒としては、白金以外の金属として、パラジウム、ルテニウム、イリジウムまたはロジウムが併せて存在していても目的反応は進行する。上述の固相触媒の場合、白金と共にこれらの金属を担体に担持した固相触媒がこれに該当する。しかしながらこれらの金属は白金とは異なり、1,1−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロメチルアセトンのジクロロメチル基およびトリフルオロメチル基を水素化する作用を有し、1,1,1−トリフルオロメチル−2−プロパノール等の副生を増大させるため、これらの金属が多いほど、目的とする1,1−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロメチルアセトンの収量が低下する。したがって1,1−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロメチルアセトンのみを目的物とする場合は、白金以外には金属を含まない触媒を使用することが特に好ましい。
【0028】
固相の担体にこれらの金属を担持させる場合の担持方法は公知の方法によればよい。すなわち、活性炭、シリカ、アルミナ等の担体に、金属化合物の水溶液(例えばヘキサクロロ白金(IV)酸6水和物(H2[PtCl6]・6H2O)や硝酸パラジウムを水に溶解したもの)を浸漬、噴霧した後で、乾燥に付し、水素ガス等を流しながらおおむね150〜350℃に加熱するなどの手段により、目的とする固相触媒を調製できる。また市販されている固相触媒を利用することもできる。
【0029】
金属の担持量は担体に対して0.01wt%から20wt%(金属原子に換算した量)の範囲が好ましく、0.5wt%から5wt%の担持量が特に好ましい。
【0030】
このように調製した触媒は、水分を含まないドライ品としても、予め調湿したウエット品としても利用可能であるが、ドライ品は空気中で発火することがあり、取り扱いに注意を要する。本発明では、系内に水を添加することを特徴としているので、安全性の点で、ウエット品が推奨される。
【0031】
本発明の反応を実施する際の触媒の添加量に必ずしも制限はないが、上記のように調製した固相触媒のうち、水分を除いた重量が、1,1−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロアセトンに対して、0.5wt%から30wt%の範囲であることが妥当である。触媒の添加量がこれより少ないと、反応時間が極端に長くなったり、途中で反応が停止することがある。逆に、これより触媒を多量に用いる場合、反応性に特に有用な効果が認められず、経済的に不利であるから好ましくない。また、これらの触媒は固相触媒であるから、反応終了後に回収して再利用することも容易である。
【0032】
なお、含ハロゲン化合物を触媒存在下で水素によって還元する場合、副生するハロゲン化水素を中和し、触媒の被毒を防ぐ目的で、系内に塩基性化合物(例えばNaOH, KOH,LiOH, Na2CO3, NaHCO3,K2CO3,トリエチルアミン、ピリジンなど、水に1mol・dm−3の濃度で溶解したときの溶液のpHが8以上になる物質をいう)を共存させることが一般に行われる(例えば特開昭63−280035号公報)。しかしながら、本反応の原料化合物である1,1−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロアセトンは塩基性化合物と接触すると加水分解を受け、アルデヒド等に変換され(J.Org.Chem.,1988,53,P.5088〜5092)、収率の低下、純度の低下をもたらすので、本発明において、塩基の添加は好ましくない。本発明においても、目的とする反応の進行に伴い、副反応として、ジクロロメチル(−CHCl2)基の水素化が起こり1,1,1−トリフルオロ−2−プロパノールが副生するが、この際、塩化水素が生じる。この塩化水素が触媒の活性を低下させることが懸念されるが、本発明においては、上記のように系内に添加される水が、副生する塩酸を吸収、無毒化し、触媒の機能低下はほとんど起こらないことが見出された。
【0033】
液相方式で反応を行う場合、反応系内の圧力に特別な制限はないが、常圧(0.1MPa)から5MPaの範囲が好ましく、0.5MPaから3MPaの範囲が特に好ましい。反応圧力が高いほど、化学平衡上有利であり、また、液相中への水素溶解度が高くなるので好ましいが、それだけ耐圧性の高い反応器が要求される。
【0034】
液相方式の反応基内部の材質として、ポリテトラフルオロエチレン等でコーティングされた反応器が耐腐食性の点で推奨される。一方、ステンレス製の材質や、ガラス等の材質は腐食を受けやすいので、反応基内部の材質として用いることは好ましくない。
【0035】
液相方式の具体的な実施形態は特に限定されないが、好ましい態様の一例を以下に述べる。すなわち、原料の1,1−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロアセトン、水、および前記触媒を所定量、加圧条件に耐えられる反応基に投入する。次いで、容器を密閉し、容器内の攪拌を開始する。水素ガスのボンベに接続して水素ガスで加圧する。その後は、所定の温度にて反応器内部が一定の圧力に維持される様、水素ガスを連続的もしくは断続的に供給すればよい。反応中は適宜反応混合物の分析をガスクロマトグラフ等の手段で分析し、原料が十分に消費されるまで、反応を継続すればよい。反応時間に特別な制限はなく、条件によって異なるが、原料が十分消費された後、あまり長時間反応を継続すると、生成した1,1−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロ−2−プロパノールがさらに水素化を受け、目的物の収率がかえって低下することがあるので、好ましくない。
【0036】
次に、1,1−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロアセトンを原料とした1,1,1−トリフルオロ−2−プロパノールの製造法に関して記述する。先に述べたように、1,1−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロアセトンを原料とし、これを水の存在下で、少なくとも白金を含む触媒の存在下で水素ガスと接触させる手段により、1,1−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロ−2−プロパノールと、1,1,1−トリフルオロ−2−プロパノールは同時に生成する。したがって両化合物の製造方法は、基本的には共通する。
【0037】
しかしながら、1,1−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロ−2−プロパノールと、1,1,1−トリフルオロ−2−プロパノールでは、その生成しやすい条件に差異があるため、以下の点に注意する必要がある。
【0038】
まず、1,1−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロ−2−プロパノール製造時において、触媒としては白金のみを金属元素として含む触媒が最も好適であったが、1,1,1−トリフルオロ−2−プロパノールを目的物とする場合には、白金単独触媒だけでなく、当業者の所望により、白金の他に、パラジウム、ルテニウム、イリジウムまたはロジウムなどの金属(これを、添加金属と呼ぶ)が併せて存在すると、原料中のジクロロメチル基の水素化が促進され、1,1,1−トリフルオロ−2−プロパノールの選択性が高まるため、より好ましい。白金と添加金属の重量比に特別な制限はないが、白金があまり少ないと、原料化合物のカルボニル基の還元が進行しにくくなるため、1,1,1−トリフルオロメチルアセトンの生成量が増大する結果を招き、目的物の選択性が低下する。したがって1,1,1−トリフルオロ−2−プロパノールを目的物とする場合には、白金1モルに対する添加金属のモル数は2以内であることが好ましく、1.5以内であることがさらに好ましい。白金と添加金属のモル比=1:1付近とすることは特に好ましい態様の例である。
【0039】
次に、反応温度については、1,1−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロ−2−プロパノール製造時においては0℃から50℃の範囲が特に好適であったが、1,1,1−トリフルオロ−2−プロパノール製造時の場合、50℃から150℃が好ましく、80℃から150℃の領域がさらに好適である。50℃よりも温度が低いと、1,1−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロ−2−プロパノールの生成量が相対的に多くなる。この場合、生成した1,1−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロ−2−プロパノールはさらに還元を受けて、目的とする1,1,1−トリフルオロ−2−プロパノールに変換され得るが、それには長時間を要するので、好ましくない。また150℃よりも高くとも目的とする反応は進行するが、トリフルオロメチル基の水素化とそれに伴うフッ化水素酸の副生が起こりやすくなるため、好ましくない。
【0040】
本反応においても水の添加は必須であるが、1,1,1−トリフルオロ−2−プロパノールを製造する場合、1,1−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロ−2−プロパノール製造時よりも多くの水を添加することが好ましい。具体的には、1,1−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロアセトン1モルに対して、10倍モルから40倍モルの範囲の水を添加することが好ましく、20倍モルから30倍モルの範囲の水を添加することがさらに好ましい。この水の添加によって、反応に伴い副生する塩化水素が無毒化され、反応に伴う触媒の活性低下が抑制され、安定した状態で反応を続けることができる。
【0041】
1,1−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロアセトンを原料とした1,1,1−トリフルオロ−2−プロパノールの製造についてのその他の条件、方法は、既に述べた1,1−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロ−2−プロパノールの製造の場合と同じである。
【0042】
1,1−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロ−2−プロパノール製造の場合も、1,1,1−トリフルオロ−2−プロパノール製造の場合も、反応終了後の反応混合物からの目的物の単離方法については、有機化合物の公知の手段によればよく、特別な制限はない。具体的な方法を例示すると、まず反応混合物を蒸留し、水分と低沸点の不純物のみを留出除去し、次いで濃硫酸、ゼオライト、塩化カルシウム、硫酸マグネシウムなどの脱水剤を添加して残存する水分を除去する。脱水剤としては、特に濃硫酸が推奨される。次いで精密蒸留を行うことにより、高い純度の1,1−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロ−2−プロパノールまたは、1,1,1−トリフルオロ−2−プロパノールを単離することができる。
【0043】
1,1−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロ−2−プロパノールは消防法で規定された方法で引火点を測定した結果、引火点無しの結果が得られたので、溶媒、洗浄剤、水切り剤等の用途に使用したとき、安全性の点で優れている。また、洗浄性、水切り性を制御するために、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等を添加することが可能である。これらのアルコール類の添加量は任意であるが、1,1−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロ−2−プロパノールに対して1wt%から30wt%が好ましく、5〜15wt%がさらに好ましい。
【0044】
1,1−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロ−2−プロパノールの表面張力を測定したところ、26.4mN/mであり、現在使用されている2,2,3,3−テトラフルオロプロパノール(CHF2CF2CH2OH, 26.5mN/m)とほぼ同等の結果が得られたので、不燃性溶媒の代替品として使用可能である。
【0045】
CD−R、DVD−R等の光記憶媒体は、シアニン系、フタロシアニン系、アゾ色素系等の色素を溶剤に溶かし、基盤に色素を塗布して使用しているが、1,1−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロ−2−プロパノールは、フッ素原子および水酸基を有しているので、色素の溶剤として使用可能であり、これらに対する良好な溶解性を示す。
【0046】
さらに、1,1−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロ−2−プロパノール、1,1,1−トリフルオロ−2−プロパノールは、水酸基を有しているので、医薬、農薬等の含フッ素ビルディングブロックとして非常に有望である。
【0047】
【実施例】
以下に、本発明を実施例を以て説明するが、本発明は以下の実施例によって制限されない。
【0048】
[比較例1]
2リットルのガラスライニング製反応器に576gの水、384gの1,1−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロアセトン及び、5%パラジウム/活性炭触媒(50%含水品)19gを投入し、撹拌を開始した。窒素、及び水素ガスで系内を置換した後、温水にて反応器を昇温させた。そして反応器内の圧力が1.0MPaを保つように水素ガスを連続的に供給した。反応器内温80〜90℃で約8時間、加熱反応させた。水素の消費が止まったのを確認した後、反応を終了した。反応混合物中の有機成分について、ガスクロマトグラフィーで分析したところ、1,1,1−トリフルオロアセトンは97.8%であり、1,1−ジフロロアセトンが0.03%、1−クロロ−1,1−ジフルオロアセトンが1.2%、1,1,1−トリフルオロ2−プロパノールは痕跡量、1,1−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロイソプロパノールは検出されなかった。
【0049】
[実施例1]
予め硫酸で脱水した1,1−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロアセトン(純度:99.5%)に氷片を少しずつ投入して、1,1−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロアセトンと水のモル比が1:20の水溶液を調製した。内容積100mlの耐圧硝子容器へ、この水溶液を50g、デグサ ジャパン(株)製5wt%Pt/C粉末50%含水品(活性炭100gに対して、白金が5g(金属原子換算)担持された触媒を含水率が50重量%になるように調湿したもの)を1.7g投入した。容器を密閉した後、吹き込み管を通して水素で数回、空気を置換後、1MPaの圧力になる様、水素を導入した。マグネッティックスターラーで十分に撹拌しながら、徐々に反応液の温度が100℃になるように加熱した。反応にともない水素圧が低下したので、1MPaの圧力が維持される様、逐次水素ガスを追加導入した。反応開始から5時間後に撹拌を停止し、室温まで自然冷却後、さらに氷浴で冷却し、水素をパージした。内容物をガスクロマトグラフで分析した結果、1,1−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロアセトン(原料):痕跡量、1−クロロ−3,3,3−トリフルオロアセトン:痕跡量、1,1,1−トリフルオロアセトン:3.4%、1,1,1−トリフルオロ−2−プロパノール:53.6%、1,1−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロ−2−プロパノール:41.2%であった。
【0050】
[実施例2]
予め硫酸で脱水した1,1−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロアセトン(純度:99.5%、180g)に、氷片(270g)を少しずつ投入して、1,1−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロアセトン水溶液を調製した。内容積1.5リットルのポリテトラフルオロエチレンライニングのオートクレーブへ、この水溶液(450g)および、デグサ ジャパン(株)製5wt%Pt/C粉末50%含水品(活性炭100gに対して、金属原子換算の白金が5g担持された触媒を、含水率が50重量%になるように調湿したもの)18gを仕込んだ。冷凍機で冷却し、吹き込み管を通して水素で数回、空気を置換後、2MPaの圧力になる様、水素を導入した。撹拌羽根(かい型+プロペラ)で十分に撹拌しながら、反応液の温度が0〜2℃になるように制御した。反応にともない水素圧が低下したので、2MPaの圧力を維持する様、水素を逐次、追加導入した。反応開始から16時間後に撹拌を停止し、水素をパージした。内容物をガスクロマトグラフで分析した結果、1,1−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロアセトン(原料):16.4%、1−クロロ−3,3,3−トリフルオロアセトン:0.1%、1,1,1−トリフルオロアセトン:9.4%、1,1,1−トリフルオロ−2−プロパノール:4.8%、1,1−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロ−2−プロパノール:68.3%であった。濾過によって、反応液と触媒を分離後、減圧蒸留を行い、水および低沸点化合物を除去した。次いで硫酸を作用させて脱水した後、理論段数30段の蒸留塔を用いて常圧下で精密蒸留を行った。塔頂温度122℃から124℃における留分を主留分として回収した。得られた主留分をガスクロマトグラフによって分析したところ、1,1−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロ−2−プロパノールの純度は99%以上であった。この主留分をCDCl3溶媒中でNMR(日本電子製 400MHz FT−NMR (α−400))で分析し、下記の結果を得た。
NMR結果:
1H−NMR(基準物質:TMS=0ppm)
δ ppm:4.1(s,1H), 4.5(s,1H), 6.0(d,1H)
19F−NMR(基準物質:CFCl3=0ppm)
δ ppm:−75.4(d,3F, CF3)
13C−NMR(基準物質:CDCl3=77.0ppm)
δ ppm:68.5(d, CHCl2), 74.7(m, CH(OH)), 122.4(dq, CF3)
また、図1から図3に、得られたNMRのチャートを示す。
【0051】
[実施例3]
実施例2で得た1,1−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロ−2−プロパノール(純度99%以上)の引火点を、消防法で規定された方法で測定した。すなわち、タグ密閉式で20℃から80℃までの引火点を測定したが、引火現象は認められなかった。次に、クリーブランド式で20℃から123℃までの引火点を測定したが、123℃に至るまで引火現象は認められず、123℃付近で、1,1−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロ−2−プロパノールが沸騰し、試験炎が消えた。以上より、引火点無しと判断された。なお、この時の測定室の環境は、室温20℃、気圧1024hPa、相対湿度39%であった。
【0052】
[実施例4]
実施例2で得た1,1−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロ−2−プロパノール(純度99%以上)の表面張力を、自動表面張力測定装置(協和界面科学株式会社製 CBVP−A3型)で測定した。ベンゼン、純水、HCFC−141bで校正後、23℃で測定した。その結果、1,1−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロ−2−プロパノールの表面張力は26.4mN/mであった。
【0053】
[実施例5]
1,1−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロ−2−プロパノール100gに色素(銅(II)1,2,3,4,8,9,10,11,15,16,17,18,22,23,24,25−ヘキサデカフルオロ−29H,31H−フタロシアニン)0.1gを投入し、50℃で加熱、攪拌した。室温で24時間静置後、目視で観察した結果、良好に溶解していた。
【0054】
[実施例6]
1,1−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロ−2−プロパノール100gに色素(ニッケル(II)フタロシアニン)0.1gを投入し、50℃で加熱、攪拌した。室温で24時間静置後、目視で観察した結果、良好に溶解していた。
【0055】
[実施例7]
ハンダ用フラックスを硝子板に1.0952g塗布し、120℃で10分間加熱した。この硝子板を1,1−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロ−2−プロパノール500gと−2−プロパノール50gを混合した溶液に入れ、超音波洗浄機で5分間洗浄した。この硝子板を取り出し、液を切った後、さらに、新しい1,1−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロ−2−プロパノールの溶液中にこの硝子板を入れて、1分間仕上げ超音波洗浄を行った。乾燥後の硝子板の重量を測定した結果、ガラス板の質量増加は認められなかった。このことは、フラックスが良好に除去されたことを表している。
【0056】
[実施例8]
水切り剤としての性能を評価するために、1,1−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロ−2−プロパノール500gにメタノール50g添加した溶液中に、超純水の洗浄によって水滴が付着した眼鏡用レンズを入れた。2分間超音波洗浄後、120℃で温風乾燥した。目視による検査の結果、シミは認められなかった。
【0057】
[実施例9]
1,1−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロ−2−プロパノール100gにエタノール10gを添加した溶液中へ、機械油が付着したステンレスステール製ナットを入れ、5分間超音波洗浄をかけ、120℃で10分間、乾燥した。目視で検査した結果、表面は清浄であった。
【0058】
【発明の効果】
本発明は、溶剤、溶媒、医薬・農薬の中間体として、また含フッ素基導入試薬として有用な1,1−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロ−2−プロパノールを提供する。また、入手の容易な原料を用いたその効率的な製造方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は実施例2によって得られた1,1−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロ−2−プロパノール(純度99%以上)のCDCl3溶媒中における。1H−NMRのチャートである(使用機器:日本電子製 400MHz FT−NMR (α−400))。
【図2】図2は実施例2によって得られた1,1−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロ−2−プロパノール(純度99%以上)のCDCl3溶媒中における。19F−NMRのチャートである(使用機器:日本電子製 400MHz FT−NMR (α−400))。
【図3】図3は実施例2によって得られた1,1−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロ−2−プロパノール(純度99%以上)のCDCl3溶媒中における。13C−NMRのチャートである(使用機器:日本電子製 400MHz FT−NMR (α−400))。
【発明の属する技術分野】
本発明は、溶剤、溶媒、医薬・農薬の中間体として、また含フッ素基導入試薬として有用な1,1−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロ−2−プロパノールおよびその類縁化合物に関する。
【0002】
【従来の技術】
1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール(CF3CH(OH)CF3)は、医薬、農薬の原料として、含フッ素基導入試薬として、さらにはフッ素系ポリマー等の溶剤、有機合成における反応溶媒として汎用的に使用されている。また、2,2,3,3−テトラフルオロプロパノール(CHF2CF2CH2OH)は、CD−R、DVD−R等の光記憶メディアの色素溶剤として広く使用されている(WO2002/034841号公報、特開2002−53507号公報)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上述の1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノールや2,2,3,3−テトラフルオロプロパノールは、分子内のフッ素原子の効果によって、独自の溶解性を有している。。しかし、溶質の種類によっては十分な溶解性を示さない場合がある。このため、これらのフッ素原子の一部が塩素原子に置換されたアルコールを得ることができれば、溶剤としての溶解性が適度に変化し、前記、含フッ素アルコール類とは異なった溶解性が発現するものと期待される。
【0004】
また、前記2,2,3,3−テトラフルオロプロパノールは可燃性であるが、安全性の点では、不燃もしくは難燃性の溶剤が求められる。さらに、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノールおよび2,2,3,3−テトラフルオロプロパノールは沸点がそれぞれ59℃、109℃であるが、光記憶活性の色素をディスクに塗布するための溶剤用途として使用する場合、沸点があまり低いと蒸発速度が大きすぎ、均一に塗布し難い場合がある。色素溶剤としては、難燃性もしくは不燃性で、フッ素原子と塩素原子を含有し、かつ沸点が120℃程度の化合物が望まれる。
【0005】
本出願人らは、工業的に入手が容易な1,1−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロアセトンをプロトン性溶媒の存在下、金属亜鉛と反応させると、1,1,1−トリフルオロアセトンが製造できることを特開2000−226057号公報で開示した。さらに、触媒を用いるために廃棄物の負荷が少ない有利な方法として、1,1−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロアセトンをパラジウムを含む触媒の存在下、気相中で水素と接触させることにより、同じく1,1,1−トリフルオロアセトンが得られることを特開2001−316322号公報にて開示した。
【0006】
しかしながら上記の方法においては、1,1−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロアセトン中のジクロロメチル(−CHCl2)基やトリフルオロメチル(−CF3)基は還元(水素化)を受けるものの、カルボニル基の還元は起こりにくく、アルコール類を得ることはきわめて困難であった。事実、前記文献の方法においては、主生成物1,1,1−トリフルオロアセトンの他に、副生物としてトリフルオロメチル基がさらに水素化を受けた1,1−ジフルオロアセトン、1−フルオロアセトン、アセトンがそれぞれ少量生成するものの、含フッ素アルコールとして重要な物質である1,1−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロイソプロパノールや1,1,1−トリフルオロ−2−プロパノールは全く得られなかった。
【0007】
このように、入手の容易な化合物を原料として、フッ素原子と塩素原子を共に含有するアルコール類を効率よく合成する手段が望まれていた。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記課題に鑑み、フッ素原子と塩素原子を同時に含有するアルコールの合成につき、鋭意検討を行った。その結果、入手の容易な1,1−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロメチルアセトンを特定の条件下で水素ガスと反応させることにより、上記課題が解決することを見出した。
【0009】
すなわち本発明者らは、1,1−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロメチルアセトンを、水の存在下、少なくとも白金を含む触媒を共存させて、水素ガスと接触させると、新規化合物である1,1−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロメチル−2−プロパノールが穏和に生成することを見出した。
【0010】
本発明は1,1−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロメチルアセトンを還元処理するという点では、上記特開2000−226057号公報と特開2001−316322号公報の発明と共通するが、還元の起こる部位がこれらとは全く異なる。すなわち、これまで当化合物においては還元がきわめて困難と考えられていた2位のカルボニル基が優先的に還元を受け、ジクロロメチル(−CHCl2)基やトリフルオロメチル基はそのまま保持されるという驚くべき結果を与えた。さらに、上記反応は−10℃〜+50℃の温度領域で実施すると、1,1−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロメチル−2−プロパノールが特に高い選択性をもって生成することも判明した。
【0011】
このように得られた1,1−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロメチル−2−プロパノールは沸点が123℃であり、色素を溶解する溶剤として適度な沸点を有するのみならず、引火点が存在せず、取り扱い上、安全性の特に高いアルコールであることが分かった。また、有機化合物に対する溶解性も高く、洗浄剤としても良好に機能することも見出された。本化合物は、3個のフッ素原子と2個の塩素原子および水酸基を有しており、フッ素導入剤、医薬品等合成における新規なビルディングブロックとしても有用である。
【0012】
本発明者らはさらに、上記方法によって1,1−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロメチル−2−プロパノールを合成する際には、副生成物として、1,1,1−トリフルオロ−2−プロパノールが得られ、特に過剰量の水の存在下、50℃以上の温度で反応を実施すると1,1,1−トリフルオロ−2−プロパノールの生成量が増大することを見出した。この1,1,1−トリフルオロ−2−プロパノールは、上記特開2000−226057号公報と特開2001−316322号公報の方法では製造できなかったものであり、やはり、フッ素導入剤として有用な化合物である。
【0013】
1,1,1−トリフルオロ−2−プロパノールの製法としては、Angewandte Chemie, International Edition (1999), 38(13/14),P.2052−2054において、3,3,3−トリフルオロ−1−プロペンをヒドロボレーションに付す方法が開示されている。しかしながら本発明は、該文献の方法に比べ、原料の工業的入手が容易である上に、触媒反応であり、無害な水素ガスを還元剤として利用できるため、廃棄物を生じにくいという点で優れている。
【0014】
このように本発明者らは、新規化合物である1,1−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロメチル−2−プロパノールを得、この化合物の新規な用途を見出した。さらに1,1−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロメチル−2−プロパノールおよび、その類縁物質である1,1,1−トリフルオロ−2−プロパノールを効率的に合成する新規合成手段を見出し、本発明を完成した。
【0015】
すなわち本発明は、新規化合物である 1,1−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロ−2−プロパノールを提供する。また本発明は 1,1−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロアセトンを水および、少なくとも白金を含む触媒の存在下、水素ガスと接触させることを特徴とする、1,1−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロ−2−プロパノールの製造方法を提供する。またこの場合における水の量が、1,1−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロアセトン1モルあたり、3モルで以上であることを特徴とする1,1−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロ−2−プロパノールの製造方法を提供する。
【0016】
さらに本発明は1,1−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロアセトンを水および、少なくとも白金を含む触媒の存在下、水素ガスと接触させることを特徴とする、1,1,1−トリフルオロ−2−プロパノールの製造方法を提供する。またこの場合における水の量が、1,1−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロアセトン1モルあたり、10モル以上であることを特徴とする1,1,1−トリフルオロ−2−プロパノールの製造方法を提供する。
【0017】
また本発明は、溶剤、洗浄剤として、1,1−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロ−2−プロパノールを使用する方法を提供する。さらに本発明は1,1−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロ−2−プロパノールに色素を溶解させる方法を提供する。
【0018】
本発明に係る反応のスキームを以下に示す。
【0019】
【化1】
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明につき、さらに詳細に説明する。先ず、1,1−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロ−2−プロパノールの合成方法に関して記述する。
【0021】
本反応は気相方式でも液相方式でも実施可能である。ここで気相方式とは、原料を含む混合物を気化して反応を行う方法をいう。この方法は、原料化合物1,1−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロアセトンを含む混合物を気化し、次いで水素ガスと混合して、触媒を含む所定温度の反応基に導入することで達せられる。一方、液相方式とは、原料を含む混合物を液相の状態に保って、水素ガスと接触させ、反応させる方法をいう。この方法は、原料の1,1−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロメチルアセトンを含む混合物(液体)を反応基に導入し、触媒の存在下、水素ガスを導入し、所定温度で攪拌することで達せられる。
【0022】
気相方式の場合、原料を反応基に導入する前に気化させる必要があるが、原料化合物1,1−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロアセトンの沸点は常圧で75℃であることから、下記に示す、特に好ましい温度領域(50℃以下)にて反応を実施するためには反応系内を減圧にする必要があり、操作が煩雑になる。一方、液相方式の場合、常圧もしくは加圧条件で、反応を行えるため、気相方式よりも通常、容易に実施できる。つまり、本発明は、操作上の観点からは、液相方式の方が推奨される。
【0023】
本反応を実施する際の系内の温度は、−10℃から+100℃の範囲が好ましく、0℃から+50℃の範囲が特に好ましい。本反応においては目的物1,1−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロ−2−プロパノールの他に、1,1,1−トリフルオロメチル−2−プロパノールが副生する。しかし、50℃以下の温度領域では後者の生成は少なく抑えられ、1,1−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロ−2−プロパノールを主成物として得られる。特に常温(25℃)以下で反応を実施すると、1,1−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロ−2−プロパノールの選択性が特に高いため、1,1−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロ−2−プロパノールのみを目的物とする場合には特に有効である。
【0024】
反応温度が100℃よりも高い場合、1,1,1−トリフルオロメチル−2−プロパノールの生成量が増大するため、目的とする1,1−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロ−2−プロパノールの選択率が低下する。逆に、−10℃よりも低い場合、反応速度が低下するだけでなく、原料が凝固する場合があるので好ましくない。
【0025】
本反応には系内に水を共存させることが必須である。系内に水が全く存在しないと目的物1,1−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロメチル−2−プロパノールは得られない。水の量に下限値があるわけではないが、目的物を十分な収量で得るためには、原料1,1−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロメチルアセトン1モルに対して、3モル以上30モル以下が好ましく、5モル以上20モル以下がさらに好ましい。水の添加量が3モルよりも少ないときは、反応進行に伴い触媒の劣化、反応速度の低下、目的物の選択率の低下等が起こるので好ましくない。また水の量に上限はないが、1,1−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロメチルアセトン1モルに対して50モル以上加えても反応性に有意な向上は見られず、経済的に不利なだけであるから好ましくない。
【0026】
本反応には、少なくとも白金を含む触媒を系内に共存させることが必須である。この触媒の形態に特別の制限はないが、活性炭、シリカ、アルミナなどの担体に白金を含む化合物を担持させた固相触媒が好ましい。
【0027】
触媒としては、白金以外の金属として、パラジウム、ルテニウム、イリジウムまたはロジウムが併せて存在していても目的反応は進行する。上述の固相触媒の場合、白金と共にこれらの金属を担体に担持した固相触媒がこれに該当する。しかしながらこれらの金属は白金とは異なり、1,1−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロメチルアセトンのジクロロメチル基およびトリフルオロメチル基を水素化する作用を有し、1,1,1−トリフルオロメチル−2−プロパノール等の副生を増大させるため、これらの金属が多いほど、目的とする1,1−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロメチルアセトンの収量が低下する。したがって1,1−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロメチルアセトンのみを目的物とする場合は、白金以外には金属を含まない触媒を使用することが特に好ましい。
【0028】
固相の担体にこれらの金属を担持させる場合の担持方法は公知の方法によればよい。すなわち、活性炭、シリカ、アルミナ等の担体に、金属化合物の水溶液(例えばヘキサクロロ白金(IV)酸6水和物(H2[PtCl6]・6H2O)や硝酸パラジウムを水に溶解したもの)を浸漬、噴霧した後で、乾燥に付し、水素ガス等を流しながらおおむね150〜350℃に加熱するなどの手段により、目的とする固相触媒を調製できる。また市販されている固相触媒を利用することもできる。
【0029】
金属の担持量は担体に対して0.01wt%から20wt%(金属原子に換算した量)の範囲が好ましく、0.5wt%から5wt%の担持量が特に好ましい。
【0030】
このように調製した触媒は、水分を含まないドライ品としても、予め調湿したウエット品としても利用可能であるが、ドライ品は空気中で発火することがあり、取り扱いに注意を要する。本発明では、系内に水を添加することを特徴としているので、安全性の点で、ウエット品が推奨される。
【0031】
本発明の反応を実施する際の触媒の添加量に必ずしも制限はないが、上記のように調製した固相触媒のうち、水分を除いた重量が、1,1−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロアセトンに対して、0.5wt%から30wt%の範囲であることが妥当である。触媒の添加量がこれより少ないと、反応時間が極端に長くなったり、途中で反応が停止することがある。逆に、これより触媒を多量に用いる場合、反応性に特に有用な効果が認められず、経済的に不利であるから好ましくない。また、これらの触媒は固相触媒であるから、反応終了後に回収して再利用することも容易である。
【0032】
なお、含ハロゲン化合物を触媒存在下で水素によって還元する場合、副生するハロゲン化水素を中和し、触媒の被毒を防ぐ目的で、系内に塩基性化合物(例えばNaOH, KOH,LiOH, Na2CO3, NaHCO3,K2CO3,トリエチルアミン、ピリジンなど、水に1mol・dm−3の濃度で溶解したときの溶液のpHが8以上になる物質をいう)を共存させることが一般に行われる(例えば特開昭63−280035号公報)。しかしながら、本反応の原料化合物である1,1−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロアセトンは塩基性化合物と接触すると加水分解を受け、アルデヒド等に変換され(J.Org.Chem.,1988,53,P.5088〜5092)、収率の低下、純度の低下をもたらすので、本発明において、塩基の添加は好ましくない。本発明においても、目的とする反応の進行に伴い、副反応として、ジクロロメチル(−CHCl2)基の水素化が起こり1,1,1−トリフルオロ−2−プロパノールが副生するが、この際、塩化水素が生じる。この塩化水素が触媒の活性を低下させることが懸念されるが、本発明においては、上記のように系内に添加される水が、副生する塩酸を吸収、無毒化し、触媒の機能低下はほとんど起こらないことが見出された。
【0033】
液相方式で反応を行う場合、反応系内の圧力に特別な制限はないが、常圧(0.1MPa)から5MPaの範囲が好ましく、0.5MPaから3MPaの範囲が特に好ましい。反応圧力が高いほど、化学平衡上有利であり、また、液相中への水素溶解度が高くなるので好ましいが、それだけ耐圧性の高い反応器が要求される。
【0034】
液相方式の反応基内部の材質として、ポリテトラフルオロエチレン等でコーティングされた反応器が耐腐食性の点で推奨される。一方、ステンレス製の材質や、ガラス等の材質は腐食を受けやすいので、反応基内部の材質として用いることは好ましくない。
【0035】
液相方式の具体的な実施形態は特に限定されないが、好ましい態様の一例を以下に述べる。すなわち、原料の1,1−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロアセトン、水、および前記触媒を所定量、加圧条件に耐えられる反応基に投入する。次いで、容器を密閉し、容器内の攪拌を開始する。水素ガスのボンベに接続して水素ガスで加圧する。その後は、所定の温度にて反応器内部が一定の圧力に維持される様、水素ガスを連続的もしくは断続的に供給すればよい。反応中は適宜反応混合物の分析をガスクロマトグラフ等の手段で分析し、原料が十分に消費されるまで、反応を継続すればよい。反応時間に特別な制限はなく、条件によって異なるが、原料が十分消費された後、あまり長時間反応を継続すると、生成した1,1−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロ−2−プロパノールがさらに水素化を受け、目的物の収率がかえって低下することがあるので、好ましくない。
【0036】
次に、1,1−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロアセトンを原料とした1,1,1−トリフルオロ−2−プロパノールの製造法に関して記述する。先に述べたように、1,1−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロアセトンを原料とし、これを水の存在下で、少なくとも白金を含む触媒の存在下で水素ガスと接触させる手段により、1,1−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロ−2−プロパノールと、1,1,1−トリフルオロ−2−プロパノールは同時に生成する。したがって両化合物の製造方法は、基本的には共通する。
【0037】
しかしながら、1,1−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロ−2−プロパノールと、1,1,1−トリフルオロ−2−プロパノールでは、その生成しやすい条件に差異があるため、以下の点に注意する必要がある。
【0038】
まず、1,1−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロ−2−プロパノール製造時において、触媒としては白金のみを金属元素として含む触媒が最も好適であったが、1,1,1−トリフルオロ−2−プロパノールを目的物とする場合には、白金単独触媒だけでなく、当業者の所望により、白金の他に、パラジウム、ルテニウム、イリジウムまたはロジウムなどの金属(これを、添加金属と呼ぶ)が併せて存在すると、原料中のジクロロメチル基の水素化が促進され、1,1,1−トリフルオロ−2−プロパノールの選択性が高まるため、より好ましい。白金と添加金属の重量比に特別な制限はないが、白金があまり少ないと、原料化合物のカルボニル基の還元が進行しにくくなるため、1,1,1−トリフルオロメチルアセトンの生成量が増大する結果を招き、目的物の選択性が低下する。したがって1,1,1−トリフルオロ−2−プロパノールを目的物とする場合には、白金1モルに対する添加金属のモル数は2以内であることが好ましく、1.5以内であることがさらに好ましい。白金と添加金属のモル比=1:1付近とすることは特に好ましい態様の例である。
【0039】
次に、反応温度については、1,1−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロ−2−プロパノール製造時においては0℃から50℃の範囲が特に好適であったが、1,1,1−トリフルオロ−2−プロパノール製造時の場合、50℃から150℃が好ましく、80℃から150℃の領域がさらに好適である。50℃よりも温度が低いと、1,1−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロ−2−プロパノールの生成量が相対的に多くなる。この場合、生成した1,1−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロ−2−プロパノールはさらに還元を受けて、目的とする1,1,1−トリフルオロ−2−プロパノールに変換され得るが、それには長時間を要するので、好ましくない。また150℃よりも高くとも目的とする反応は進行するが、トリフルオロメチル基の水素化とそれに伴うフッ化水素酸の副生が起こりやすくなるため、好ましくない。
【0040】
本反応においても水の添加は必須であるが、1,1,1−トリフルオロ−2−プロパノールを製造する場合、1,1−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロ−2−プロパノール製造時よりも多くの水を添加することが好ましい。具体的には、1,1−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロアセトン1モルに対して、10倍モルから40倍モルの範囲の水を添加することが好ましく、20倍モルから30倍モルの範囲の水を添加することがさらに好ましい。この水の添加によって、反応に伴い副生する塩化水素が無毒化され、反応に伴う触媒の活性低下が抑制され、安定した状態で反応を続けることができる。
【0041】
1,1−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロアセトンを原料とした1,1,1−トリフルオロ−2−プロパノールの製造についてのその他の条件、方法は、既に述べた1,1−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロ−2−プロパノールの製造の場合と同じである。
【0042】
1,1−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロ−2−プロパノール製造の場合も、1,1,1−トリフルオロ−2−プロパノール製造の場合も、反応終了後の反応混合物からの目的物の単離方法については、有機化合物の公知の手段によればよく、特別な制限はない。具体的な方法を例示すると、まず反応混合物を蒸留し、水分と低沸点の不純物のみを留出除去し、次いで濃硫酸、ゼオライト、塩化カルシウム、硫酸マグネシウムなどの脱水剤を添加して残存する水分を除去する。脱水剤としては、特に濃硫酸が推奨される。次いで精密蒸留を行うことにより、高い純度の1,1−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロ−2−プロパノールまたは、1,1,1−トリフルオロ−2−プロパノールを単離することができる。
【0043】
1,1−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロ−2−プロパノールは消防法で規定された方法で引火点を測定した結果、引火点無しの結果が得られたので、溶媒、洗浄剤、水切り剤等の用途に使用したとき、安全性の点で優れている。また、洗浄性、水切り性を制御するために、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等を添加することが可能である。これらのアルコール類の添加量は任意であるが、1,1−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロ−2−プロパノールに対して1wt%から30wt%が好ましく、5〜15wt%がさらに好ましい。
【0044】
1,1−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロ−2−プロパノールの表面張力を測定したところ、26.4mN/mであり、現在使用されている2,2,3,3−テトラフルオロプロパノール(CHF2CF2CH2OH, 26.5mN/m)とほぼ同等の結果が得られたので、不燃性溶媒の代替品として使用可能である。
【0045】
CD−R、DVD−R等の光記憶媒体は、シアニン系、フタロシアニン系、アゾ色素系等の色素を溶剤に溶かし、基盤に色素を塗布して使用しているが、1,1−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロ−2−プロパノールは、フッ素原子および水酸基を有しているので、色素の溶剤として使用可能であり、これらに対する良好な溶解性を示す。
【0046】
さらに、1,1−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロ−2−プロパノール、1,1,1−トリフルオロ−2−プロパノールは、水酸基を有しているので、医薬、農薬等の含フッ素ビルディングブロックとして非常に有望である。
【0047】
【実施例】
以下に、本発明を実施例を以て説明するが、本発明は以下の実施例によって制限されない。
【0048】
[比較例1]
2リットルのガラスライニング製反応器に576gの水、384gの1,1−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロアセトン及び、5%パラジウム/活性炭触媒(50%含水品)19gを投入し、撹拌を開始した。窒素、及び水素ガスで系内を置換した後、温水にて反応器を昇温させた。そして反応器内の圧力が1.0MPaを保つように水素ガスを連続的に供給した。反応器内温80〜90℃で約8時間、加熱反応させた。水素の消費が止まったのを確認した後、反応を終了した。反応混合物中の有機成分について、ガスクロマトグラフィーで分析したところ、1,1,1−トリフルオロアセトンは97.8%であり、1,1−ジフロロアセトンが0.03%、1−クロロ−1,1−ジフルオロアセトンが1.2%、1,1,1−トリフルオロ2−プロパノールは痕跡量、1,1−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロイソプロパノールは検出されなかった。
【0049】
[実施例1]
予め硫酸で脱水した1,1−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロアセトン(純度:99.5%)に氷片を少しずつ投入して、1,1−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロアセトンと水のモル比が1:20の水溶液を調製した。内容積100mlの耐圧硝子容器へ、この水溶液を50g、デグサ ジャパン(株)製5wt%Pt/C粉末50%含水品(活性炭100gに対して、白金が5g(金属原子換算)担持された触媒を含水率が50重量%になるように調湿したもの)を1.7g投入した。容器を密閉した後、吹き込み管を通して水素で数回、空気を置換後、1MPaの圧力になる様、水素を導入した。マグネッティックスターラーで十分に撹拌しながら、徐々に反応液の温度が100℃になるように加熱した。反応にともない水素圧が低下したので、1MPaの圧力が維持される様、逐次水素ガスを追加導入した。反応開始から5時間後に撹拌を停止し、室温まで自然冷却後、さらに氷浴で冷却し、水素をパージした。内容物をガスクロマトグラフで分析した結果、1,1−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロアセトン(原料):痕跡量、1−クロロ−3,3,3−トリフルオロアセトン:痕跡量、1,1,1−トリフルオロアセトン:3.4%、1,1,1−トリフルオロ−2−プロパノール:53.6%、1,1−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロ−2−プロパノール:41.2%であった。
【0050】
[実施例2]
予め硫酸で脱水した1,1−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロアセトン(純度:99.5%、180g)に、氷片(270g)を少しずつ投入して、1,1−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロアセトン水溶液を調製した。内容積1.5リットルのポリテトラフルオロエチレンライニングのオートクレーブへ、この水溶液(450g)および、デグサ ジャパン(株)製5wt%Pt/C粉末50%含水品(活性炭100gに対して、金属原子換算の白金が5g担持された触媒を、含水率が50重量%になるように調湿したもの)18gを仕込んだ。冷凍機で冷却し、吹き込み管を通して水素で数回、空気を置換後、2MPaの圧力になる様、水素を導入した。撹拌羽根(かい型+プロペラ)で十分に撹拌しながら、反応液の温度が0〜2℃になるように制御した。反応にともない水素圧が低下したので、2MPaの圧力を維持する様、水素を逐次、追加導入した。反応開始から16時間後に撹拌を停止し、水素をパージした。内容物をガスクロマトグラフで分析した結果、1,1−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロアセトン(原料):16.4%、1−クロロ−3,3,3−トリフルオロアセトン:0.1%、1,1,1−トリフルオロアセトン:9.4%、1,1,1−トリフルオロ−2−プロパノール:4.8%、1,1−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロ−2−プロパノール:68.3%であった。濾過によって、反応液と触媒を分離後、減圧蒸留を行い、水および低沸点化合物を除去した。次いで硫酸を作用させて脱水した後、理論段数30段の蒸留塔を用いて常圧下で精密蒸留を行った。塔頂温度122℃から124℃における留分を主留分として回収した。得られた主留分をガスクロマトグラフによって分析したところ、1,1−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロ−2−プロパノールの純度は99%以上であった。この主留分をCDCl3溶媒中でNMR(日本電子製 400MHz FT−NMR (α−400))で分析し、下記の結果を得た。
NMR結果:
1H−NMR(基準物質:TMS=0ppm)
δ ppm:4.1(s,1H), 4.5(s,1H), 6.0(d,1H)
19F−NMR(基準物質:CFCl3=0ppm)
δ ppm:−75.4(d,3F, CF3)
13C−NMR(基準物質:CDCl3=77.0ppm)
δ ppm:68.5(d, CHCl2), 74.7(m, CH(OH)), 122.4(dq, CF3)
また、図1から図3に、得られたNMRのチャートを示す。
【0051】
[実施例3]
実施例2で得た1,1−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロ−2−プロパノール(純度99%以上)の引火点を、消防法で規定された方法で測定した。すなわち、タグ密閉式で20℃から80℃までの引火点を測定したが、引火現象は認められなかった。次に、クリーブランド式で20℃から123℃までの引火点を測定したが、123℃に至るまで引火現象は認められず、123℃付近で、1,1−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロ−2−プロパノールが沸騰し、試験炎が消えた。以上より、引火点無しと判断された。なお、この時の測定室の環境は、室温20℃、気圧1024hPa、相対湿度39%であった。
【0052】
[実施例4]
実施例2で得た1,1−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロ−2−プロパノール(純度99%以上)の表面張力を、自動表面張力測定装置(協和界面科学株式会社製 CBVP−A3型)で測定した。ベンゼン、純水、HCFC−141bで校正後、23℃で測定した。その結果、1,1−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロ−2−プロパノールの表面張力は26.4mN/mであった。
【0053】
[実施例5]
1,1−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロ−2−プロパノール100gに色素(銅(II)1,2,3,4,8,9,10,11,15,16,17,18,22,23,24,25−ヘキサデカフルオロ−29H,31H−フタロシアニン)0.1gを投入し、50℃で加熱、攪拌した。室温で24時間静置後、目視で観察した結果、良好に溶解していた。
【0054】
[実施例6]
1,1−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロ−2−プロパノール100gに色素(ニッケル(II)フタロシアニン)0.1gを投入し、50℃で加熱、攪拌した。室温で24時間静置後、目視で観察した結果、良好に溶解していた。
【0055】
[実施例7]
ハンダ用フラックスを硝子板に1.0952g塗布し、120℃で10分間加熱した。この硝子板を1,1−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロ−2−プロパノール500gと−2−プロパノール50gを混合した溶液に入れ、超音波洗浄機で5分間洗浄した。この硝子板を取り出し、液を切った後、さらに、新しい1,1−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロ−2−プロパノールの溶液中にこの硝子板を入れて、1分間仕上げ超音波洗浄を行った。乾燥後の硝子板の重量を測定した結果、ガラス板の質量増加は認められなかった。このことは、フラックスが良好に除去されたことを表している。
【0056】
[実施例8]
水切り剤としての性能を評価するために、1,1−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロ−2−プロパノール500gにメタノール50g添加した溶液中に、超純水の洗浄によって水滴が付着した眼鏡用レンズを入れた。2分間超音波洗浄後、120℃で温風乾燥した。目視による検査の結果、シミは認められなかった。
【0057】
[実施例9]
1,1−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロ−2−プロパノール100gにエタノール10gを添加した溶液中へ、機械油が付着したステンレスステール製ナットを入れ、5分間超音波洗浄をかけ、120℃で10分間、乾燥した。目視で検査した結果、表面は清浄であった。
【0058】
【発明の効果】
本発明は、溶剤、溶媒、医薬・農薬の中間体として、また含フッ素基導入試薬として有用な1,1−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロ−2−プロパノールを提供する。また、入手の容易な原料を用いたその効率的な製造方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は実施例2によって得られた1,1−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロ−2−プロパノール(純度99%以上)のCDCl3溶媒中における。1H−NMRのチャートである(使用機器:日本電子製 400MHz FT−NMR (α−400))。
【図2】図2は実施例2によって得られた1,1−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロ−2−プロパノール(純度99%以上)のCDCl3溶媒中における。19F−NMRのチャートである(使用機器:日本電子製 400MHz FT−NMR (α−400))。
【図3】図3は実施例2によって得られた1,1−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロ−2−プロパノール(純度99%以上)のCDCl3溶媒中における。13C−NMRのチャートである(使用機器:日本電子製 400MHz FT−NMR (α−400))。
Claims (7)
- 1,1−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロ−2−プロパノール。
- 1,1−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロアセトンを水および、少なくとも白金を含む触媒の存在下、水素ガスと接触させることを特徴とする、1,1−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロ−2−プロパノールの製造方法。
- 請求項2において、水の量が、1,1−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロアセトン1モルあたり、3モル以上であることを特徴とする、1,1−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロ−2−プロパノールの製造方法。
- 1,1−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロアセトンを水および、少なくとも白金を含む触媒の存在下、水素ガスと接触させることを特徴とする、1,1,1−トリフルオロ−2−プロパノールの製造方法。
- 請求項4において、水の量が、1,1−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロアセトン1モルあたり、10モル以上であることを特徴とする1,1,1−トリフルオロ−2−プロパノールの製造方法。
- 溶剤、洗浄剤として、1,1−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロ−2−プロパノールを使用する方法。
- 1,1−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロ−2−プロパノールに色素を溶解させる方法。
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