JPH11335309A - フッ素化不飽和炭化水素の製造方法 - Google Patents

フッ素化不飽和炭化水素の製造方法

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JPH11335309A
JPH11335309A JP15533998A JP15533998A JPH11335309A JP H11335309 A JPH11335309 A JP H11335309A JP 15533998 A JP15533998 A JP 15533998A JP 15533998 A JP15533998 A JP 15533998A JP H11335309 A JPH11335309 A JP H11335309A
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JP
Japan
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reaction
unsaturated hydrocarbon
metal
fluorinated unsaturated
chlorofluorocarbon
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JP15533998A
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Toshiro Yamada
俊郎 山田
Tatsuya Sugimoto
達也 杉本
Akira Sekiya
章 関屋
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JAPAN ENVIROMENTAL MANAGEMENT
JAPAN ENVIROMENTAL MANAGEMENT ASSOCIATION FOR INDUSTRY
National Institute of Advanced Industrial Science and Technology AIST
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JAPAN ENVIROMENTAL MANAGEMENT
JAPAN ENVIROMENTAL MANAGEMENT ASSOCIATION FOR INDUSTRY
Agency of Industrial Science and Technology
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Publication date
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    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07CACYCLIC OR CARBOCYCLIC COMPOUNDS
    • C07C17/00Preparation of halogenated hydrocarbons
    • C07C17/23Preparation of halogenated hydrocarbons by dehalogenation

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  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)
  • Low-Molecular Organic Synthesis Reactions Using Catalysts (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 −CClF−CF2 −結合を有するクロロフ
ルオロカーボンから−CF=CF−結合を有するフッ素
化不飽和炭化水素を高く、かつ安定した収率で製造す
る。 【解決手段】 上記クロロフルオロカーボンの脱クロロ
フルオロ化によってフッ素化不飽和炭化水素を得る方法
を(1)還元作用を有する粉末状金属と有機カルボン酸
の存在下、または(2)貴金属触媒と炭化水素溶媒と水
素の存在下に行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、フロンなどの代替
化合物として有用なフッ素化飽和炭化水素の原料とし
て、また、発泡剤、洗浄剤、溶剤、重合用単量体などと
しても有用なフッ素化不飽和炭化水素の製造方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】フッ素化不飽和炭化水素の製造方法とし
て、例えば、Journal ofChemical
Society,1963,281には、1,2−ジク
ロロオクタフルオロシクロペンタンを亜鉛/エタノール
系で処理すると、オクタフルオロシクロペンテンが得ら
れることが記載されている。この反応において出発原料
は−CFCl−CFCl−結合を有するが、塩素とフッ
素の組み合わせでの脱離に基づく化合物を得たという記
載はない。
【0003】一方、ヨーロッパ特許第434,408号
明細書には、3工程を経てCCl3−CCl=CCl2
からCF3 −CF=CF2 を製造する方法が記載されて
いる。この方法の第3工程においては、CF3 −CFC
l−CF3 を亜鉛、マグネシウム、銅、鉄またはニッケ
ルと極性有機溶媒の存在下に脱クロロフルオロ化させ
て、CF3 −CF=CF2 を得ている。しかしながら、
この脱クロロフルオロ化反応における目的物の収率は低
い(同特許の唯一の実施例〔実施例47〕によれば、多
量の亜鉛ダストを用いてCF3 CF=CF2 を29%と
いう低収率で得ているに過ぎない。)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記の文献に記載され
たクロロフルオロカーボンの脱クロロフルオロ化の報告
例は、いずれも収率が低いこと、使用する亜鉛などの触
媒の使用量が非常に多いことなど、工業的規模で実施す
るには解決すべき大きな問題があった。従来技術の上記
のような問題点に鑑み、本発明の目的は、−CClF−
CF2−結合を有するクロロフルオロカーボンの脱クロ
ロフルオロ化反応によって−CF=CF−結合を有する
フッ素化不飽和炭化水素を製造する方法であって、比較
的少量の触媒を使用し、目的生成物を高い収率で得るこ
とができる方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、工業的規
模での実施に適した、−CF=CF−結合を有するフッ
素化不飽和炭化水素の製造方法を確立すべく鋭意検討を
加えたところ、−CFCl−CF2 −結合を有するクロ
ロフルオロカーボンを亜鉛、マグネシウム、アルミニウ
ム、鉄などから選ばれる少なくとも1種の金属と有機カ
ルボン酸の存在下に、脱クロロフルオロ化するか、また
は、貴金属触媒と炭化水素溶媒と水素の存在下に脱クロ
ロフルオロ化することによって−CF=CF−結合を有
するフッ素化不飽和炭化水素化合物が高収率で得られる
ことを見出し、本発明を完成するに至った。
【0006】かくして、本発明によれば、−CClF−
CF2 −結合を有するクロロフルオロカーボンを脱クロ
ロフルオロ化して−CF=CF−結合を有するフッ素化
不飽和炭化水素を製造する方法において、還元作用を有
する粉末状金属および有機カルボン酸の存在下に脱クロ
ロフルオロ化することを特徴とするフッ素化不飽和炭化
水素の製造方法が提供される。
【0007】さらに、本発明によれば、−CClF−C
2 −結合を有するクロロフルオロカーボンを脱クロロ
フルオロ化して−CF=CF−結合を有するフッ素化不
飽和炭化水素を製造する方法において、貴金属触媒、炭
化水素溶媒および水素の存在下に脱クロロフルオロ化す
ることを特徴とするフッ素化不飽和炭化水素の製造方法
が提供される。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明の製造方法は−CClF−
CF2 −結合を含有するクロロフルオロカーボンを脱ク
ロロフルオロ化して−CF=CF−結合を有するフッ素
化不飽和炭化水素を製造するものであるが、この方法に
は、(1)還元作用を有する粉末状金属と有機カルボン
酸の存在下に脱クロロフルオロ化を行う方法(以下、
「第1の方法」という)と、(2)貴金属触媒と炭化水
素溶媒と水素の存在下に脱クロロフルオロ化を行う方法
(以下、「第2の方法」という)とが含まれる。
【0009】本発明の製造方法において使用される出発
化合物は、−CClF−CF2 −結合を含有する鎖状ま
たは環状のクロロフルオロカーボンであり、環状である
ものが特に好ましい。出発化合物である−CClF−C
2 −結合を含有するクロロフルオロカーボンの基本骨
格の炭素数は、通常、4〜10、好ましくは4〜6、よ
り好ましくは5である。
【0010】出発化合物である−CClF−CF2 −結
合を含有するクロロフルオロカーボンの具体例として
は、1−クロロノナフルオロ−n−ブタン、2−クロロ
ノナフルオロ−n−ブタン、1−クロロウンデカフルオ
ロ−n−ペンタン、2−クロロウンデカフルオロ−n−
ペンタン、3−クロロウンデカフルオロ−n−ペンタ
ン、1−クロロトリデカフルオロ−n−ヘキサン、2−
クロロトリデカフルオロ−n−ヘキサン、3−クロロト
リデカフルオロ−n−ヘキサン、1−クロロペンタデカ
フルオロ−n−ヘプタン、2−クロロペンタデカフルオ
ロ−n−ヘプタン、3−クロロペンタデカフルオロ−n
−ヘプタン、4−クロロペンタデカフルオロ−n−ヘプ
タン、1−クロロヘプタデカフルオロ−n−オクタン、
2−クロロヘプタデカフルオロ−n−オクタン、3−ク
ロロヘプタデカフルオロ−n−オクタン、4−クロロヘ
プタデカフルオロ−n−オクタンなどの鎖状のクロロフ
ルオロカーボン類;およびクロロヘプタフルオロシクロ
ブタン、クロロノナフルオロシクロペンタン、クロロウ
ンデカフルオロシクロヘキサン、クロロトリデカフルオ
ロシクロヘプタン、クロロペンタデカフルオロシクロオ
クタンなどの環状のクロロフルオロカーボン化合物など
が挙げられる。好ましくは、2−クロロウンデカフルオ
ロ−n−ペンタン、3−クロロウンデカフルオロ−n−
ペンタン、クロロノナフルオロシクロペンタンであり、
より好ましいのはクロロノナフルオロシクロペンタンで
ある。
【0011】第1の方法においては、脱クロロフルオロ
化剤として還元作用を有する粉末状の金属を用いる。還
元作用を有する金属の好ましい例としては亜鉛、マグネ
シウム、アルミニウムおよび鉄が挙げられ、これらの中
でも亜鉛が最も好ましい。粉末状金属の粒子の大きさは
格別限定されない。粉末状の金属は脱クロロフルオロ化
反応に供用するに先立って予め活性化することが望まし
く、活性化する手法としては希塩酸などの酸で洗浄し、
よく乾燥する手法が採られる。
【0012】粉末状金属の使用量は、出発原料であるク
ロロフルオロカーボンに対して、好ましくは1〜2当
量、より好ましくは1〜1.5当量である。第1の方法
においては、上記粉末状金属とともに有機カルボン酸を
用いる。有機カルボン酸の共存下に脱クロロフルオロ化
反応を行うと、反応系中において粉末状金属の活性化が
進み、その結果、目的とするフッ素化不飽和炭化水素を
安定した高い収率で得ることができる。有機カルボン酸
を添加しないと、反応収率が低下し、また反応収率の再
現性が悪くなる。特に、粉末状の金属を反応に供用する
前に希塩酸などで活性化処理した場合に、洗浄方法、洗
浄後の乾燥状態、活性処理後の経過時間などに依存して
反応収率およびその再現性が大きく変動しがちである。
【0013】添加する有機カルボン酸は特に限定される
ものではない。有機カルボン酸としては、例えば、ギ
酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、吉草酸、イ
ソ吉草酸、n−カプロン酸、n−ヘプタン酸、n−オク
タン酸などの一塩基酸およびシュウ酸、酒石酸、マロン
酸、マレイン酸などの二塩基酸が挙げられる。好ましく
はギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、吉草
酸、イソ吉草酸、n−カプロン酸、n−ヘプタン酸、n
−オクタン酸などの一塩基酸であり、より好ましくは酢
酸である。添加する有機カルボン酸の量については、必
要以上に添加すると人体に対して有毒なフッ化水素の発
生が起こる場合があるので、過剰量の添加は好ましくな
い。好ましくは使用する粉末状金属に対して、1〜50
モル%、より好ましくは5〜20モル%である。
【0014】有機酸に代えて塩酸、硫酸などの無機酸を
用いた場合にも、反応収率の向上および安定化の効果は
或る程度認められるが、反応器の腐食などの問題を生じ
易い。第1の方法において使用される反応溶媒は特に、
限定されるものではないが、通常アルコール系溶媒およ
びエーテル系溶媒が使用される。例えば、アルコール系
溶媒としてはメタノール、エタノール、n−プロパノー
ル、イソプロパノール、n−ブタノール、sec−ブタ
ノール、イソブタノール、t−ブタノール、エチレング
リコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノ
エチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエー
テル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルなどの
一価アルコール、エチレングリコール、ジエチレングリ
コール、トリエチレングリコールなどの二価アルコール
が挙げられる。また、エーテル系溶媒としてはジエチル
エーテル、ジイソプロピルエーテル、ジ−n−プロピル
エーテル、ジ−n−ブチルエーテル、エチレングリコー
ルジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエー
テル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチ
レングリコールジエチルエーテル、テトラヒドロフラ
ン、1,4−ジオキサンなどが挙げられる。
【0015】第1の方法において、反応温度については
使用するクロロフルオロカーボン原料、反応溶媒にもよ
るが、好ましくは50〜150℃、より好ましくは70
〜100℃である。反応時の圧力は通常、常圧で良い
が、クロロフルオロカーボン原料や反応生成物の性質に
よっては加圧下に反応を行ってもよい。また、第1の方
法における脱クロロフルオロ化反応は、通常常圧下、還
流条件下で実施されるが、蒸留塔を反応器に付設して低
沸点であるフッ素化不飽和炭化水素を留出させ、連続的
に精製・分離する方法が生成物の重合性が高い場合や、
原料と生成物の沸点にあまり差がないような場合には有
効である。原料はあらかじめ脱クロロフルオロ化させる
金属と一緒に仕込んでおいてもよいし、最初に金属、有
機カルボン酸、溶媒の混合物を還流させておき、そこに
滴下しながら添加してもよい。
【0016】第2の方法においては、貴金属触媒の存在
下に水素を供給して極性の低い炭化水素溶媒中で脱クロ
ロフルオロ化反応を行う。貴金属触媒としては、通常、
貴金属を担体に担持させたものを用いる。貴金属として
はパラジウム、ロジウム、ルテニウム、レニウムまたは
白金を用いることができるが、パラジウムが好ましい。
これらの貴金属は単体で用いてもよいし、1種類または
2種類以上の貴金属成分を含む合金として使用すること
も可能である。
【0017】貴金属触媒を担持させる担体としては、例
えば、活性炭、アルミナ、酸化チタン、シリカゲル、そ
の他の担体を用いることができるが、活性炭が好まし
い。これらは粉末でも球状、ペレット状などの成形品で
もよいが、粉末状が好ましい。貴金属の担体に対する担
持量は0.5〜20重量%(貴金属と担体との合計重量
に基づく)が好ましい。粉末および成形品担体いずれも
1〜10重量%の貴金属担持量が推奨される。1〜10
重量%の貴金属を担持せる粉末触媒が最良である。貴金
属触媒の添加量は基質であるクロロフルオロカーボンに
対して、通常1〜50重量%、好ましくは3〜20重量
%、より好ましくは5〜20重量%である。
【0018】第2の方法においては、脱クロロフルオロ
化反応の促進と反応系中に発生する塩化水素、フッ化水
素を除去するために、反応系中にアルカリ金属塩および
アルカリ土類金属塩の中から選ばれた金属塩を添加して
おくことが好ましい。アルカリ金属塩およびアルカリ土
類金属塩の種類は特に限定されるものではないが、塩化
水素、フッ化水素と反応して水を生成しない無機酸およ
び有機酸の塩基性塩が推奨される。無機酸の塩基性塩と
しては、例えば、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸
カリウム、炭酸セシウムなどのアルカリ金属炭酸塩;炭
酸バリウム、炭酸カルシウム、炭酸ストロンチウムなど
のアルカリ土類金属炭酸塩が挙げられる。有機酸の塩基
性塩としては、例えば、酢酸ナトリウム、酢酸カリウ
ム、酢酸リチウム、酢酸セシウムなどのアルカリ金属酢
酸塩;酢酸バリウム、酢酸カルシウム、酢酸ストロンチ
ウムなどのアルカリ土類金属酢酸塩;ぎ酸ナトリウム、
ぎ酸カリウムなどのアルカリ金属ぎ酸塩;ぎ酸バリウ
ム、ぎ酸カルシウムなどのアルカリ土類金属ぎ酸塩;プ
ロピオン酸ナトリウム、プロピオン酸カリウムなどのア
ルカリ金属プロピオン酸塩;プロピオン酸バリウム、プ
ロピオン酸カルシウムなどのアルカリ土類金属プロピオ
ン酸塩;などが挙げられる。好ましくはアルカリ金属炭
酸塩およびアルカリ金属酢酸塩であり、より好ましくは
アルカリ金属炭酸塩である。
【0019】また、添加するアルカリ金属塩およびアル
カリ土類金属塩の量はクロロフルオロカーボン原料に対
して0.5〜10当量、好ましくは0.8〜5当量、よ
り好ましくは1〜2当量である。反応溶媒として使用さ
れる炭化水素溶媒は反応に影響しない不活性な溶剤であ
れば、特に限定されるものではない。炭化水素溶媒の具
体例としては、n−ペンタン、n−ヘキサン、イソヘキ
サン、n−ヘプタン、イソヘプタン、n−オクタン、イ
ソオクタン、n−デカン、イソデカン、n−ウンデカ
ン、n−ドデカン、n−トリデカン、シクロペンタン、
メチルシクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロ
ヘキサンなどの脂肪族炭化水素およびベンゼン、トルエ
ン、キシレンなどの芳香族炭化水素などが挙げられる
が、好ましくはベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳
香族炭化水素である。これら炭化水素は単独で使用して
もよいし、水が共存していても構わない。この場合の混
合比は体積比で炭化水素溶媒/水=90/10〜10/
90の範囲であれば特に限定されない。
【0020】第2の方法において、反応温度について
は、使用するクロロフルオロカーボン原料、反応溶媒に
もよるが、通常は20〜200℃、好ましくは40〜1
50℃、より好ましくは50〜100℃の範囲である。
また、第2の方法における脱クロロフルオロ化反応は水
素の存在下に行い、水素と原料の割合は大幅に変動させ
得る。しかしながら、通常は少なくとも化学量論量の水
素を使用して反応を行う。原料物質のモル数に対して通
常1〜50倍モル、好ましくは2〜20倍モルの水素を
使用する。第1の方法および第2の方法において、反応
器の材質としてはステンレス、ハステロイ、インコネ
ル、モネルなどから適宜選択されたものが使用される。
【0021】反応時間は、反応による水素の消費がなく
なるまで反応を続けるが、通常1〜48時間、好ましく
は12〜24時間である。反応圧力は特に限定されず、
通常、常圧から50kg/cm2 (ゲージ圧)、好ま
しくは常圧から20kg/cm2 (ゲージ圧)であ
る。反応終了後、後処理として、反応液中の無機物およ
び貴金属触媒を濾過し、得られた濾液を蒸留する方法で
精製できる。例えば、クロロノナフルオロシクロペンタ
ンを原料として第2の方法で脱クロロフルオロ化した場
合、オクタフルオロシクロペンテンが生成するが、原料
物質の沸点は常圧で52℃であり、生成物質の沸点は常
圧において27℃なので、蒸留によって容易に分離する
ことができる。第1の方法および第2の方法において、
反応器の材質としては、ステンレス、ハステロイ、イン
コネル、モネルなどから適宜選択されたものが使用され
る。
【0022】本発明の方法で得られる−CF=CF−結
合を有するフッ素化不飽和炭化水素は、出発化合中の−
CClF−CF2 −結合が脱クロロフルオロ化されて−
CF=CF−結合に変換された鎖状あるいは環状の化合
物であり、特に好ましくは環状化合物である。−CF=
CF−結合を有するフッ素化不飽和炭化水素の基本骨格
の炭素数は、原料同様、通常4〜10であり、好ましく
は4〜6、最も好ましくは5である。
【0023】本発明の方法で得られる−CF=CF−結
合を有するフッ素化不飽和炭化水素の具体例としては、
1,1,2,3,3,4,4,4−オクタフルオロ−1
−ブテン、1,1,1,2,3,4,4,4−オクタフ
ルオロ−2−ブテン、1,1,2,3,3,4,4,
5,5,5−デカフルオロ−1−ペンテン、1,1,
1,2,3,4,4,5,5,5−デカフルオロ−2−
ペンテン、1,1,2,3,3,4,4,5,5,6,
6,6−ドデカフルオロ−1−ヘキセン、1,1,1,
2,3,4,4,5,5,6,6,6−ドデカフルオロ
−2−ヘキセン、1,1,1,2,2,3,4,5,
5,6,6,6−ドデカフルオロ−3−ヘキセン、1,
1,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,7
−テトラデカフルオロ−1−ヘプテン、1,1,1,
2,3,4,4,5,5,6,6,7,7,7−テトラ
デカフルオロ−2−ヘプテン、1,1,1,2,2,
3,4,5,5,6,6,7,7,7−テトラデカフル
オロ−3−ヘプテン、1,1,2,3,3,4,4,
5,5,6,6,7,7,8,8,8−ヘキサデカフル
オロ−1−オクテン、1,1,1,2,3,4,4,
5,5,6,6,7,7,8,8,8−ヘキサデカフル
オロ−2−オクテン、1,1,1,2,2,3,4,
5,5,6,6,7,7,8,8,8−ヘキサデカフル
オロ−3−オクテン、1,1,1,2,2,3,3,
4,5,6,6,7,7,8,8,8−ヘキサデカフル
オロ−4−オクテンなどの鎖状のフッ素化不飽和炭化水
素類;およびヘキサフルオロシクロブテン、オクタフル
オロシクロペンテン、デカフルオロシクロヘキセン、ド
デカフルオロシクロヘプテン、テトラデカフルオロシク
ロオクテンなどの環状のフッ素化不飽和炭化水素類など
が挙げられる。好ましくは1,1,2,3,3,4,
4,5,5,5−デカフルオロ−1−ペンテン、1,
1,1,2,3,4,4,5,5,5−デカフルオロ−
2−ペンテン、オクタフルオロシクロペンテンであり、
より好ましくはオクタフルオロシクロペンテンである。
【0024】
【発明の効果】本発明によれば、比較的少量の触媒を使
用して−CClF−CF2 −結合を有するクロロフルオ
ロカーボンから、−CF=CF−結合を有するフッ素化
不飽和炭化水素を高い収率で安定して製造することがで
きる。本発明により製造されるフッ素化不飽和炭化水素
は、フロンなどの代替化合物として有用な塩素を含まな
いフッ素化飽和炭化水素の製造原料として、また、発泡
剤、洗浄剤、溶剤、フッ素樹脂製造用単量体などとして
有用である。
【0025】
【実施例】以下、実施例により本発明を具体的に説明す
る。ただし、本発明はこれらの実施例によってその範囲
を限定されるものではない。実施例中、%は重量基準で
ある。
【0026】実施例1 精留塔、滴下漏斗および攪拌機を付した200mlのガ
ラス反応器に希塩酸で洗浄処理した亜鉛末(15.7
g,0.24mol)、酢酸(2ml)およびイソプロ
パノール(50ml)を入れ、90℃で30分間撹拌し
た。その懸濁液に、クロロノナフルオロシクロペンタン
(53.3g,0.2mol)をイソプロパノール(5
0ml)に溶かした溶液を約2.5時間かけて滴下漏斗
よりゆっくりと滴下した。滴下終了後も同温度で反応を
継続した。生成物は精留塔の塔頂温度が27℃に達して
から1時間経過した時点より、還流比20:1で抜き出
を開始し、氷水およびドライアイス−アセトン浴に浸し
た受器に捕集した。得られた生成物をガスクロマトグラ
フィーにて分析した結果、標品の1,2,3,4,4,
5,5−オクタフルオロシクロペンテンと一致し、収量
は33.2g(収率、78.4%)であった。
【0027】実施例2 アリン式冷却器および撹拌機を付した200mlのガラ
ス反応器に希塩酸で洗浄処理した亜鉛末(7.87g,
0.12mol)、n−オクタン酸(721mg)、ク
ロロノナフルオロシクロペンタン(26.6g,0.1
mol)およびイソプロパノール(50ml)を入れ、
90℃にて3時間撹拌した。生成する低沸点生成物はア
リン式冷却塔の上部より抜き出し、氷水およびドライア
イス−アセトン浴に浸した受器に導き捕集した。得られ
た粗生成物の収量は16.1gであり、ガスクロマトグ
ラフィーにて分析した結果、1,2,3,3,4,4,
5,5−オクタフルオロシクロペンテンが89.3%含
まれていた。
【0028】実施例3 撹拌機を付した容量73mlのハステロイ製オートクレ
ーブに5重量%パラジウム担持活性炭(デグサ製)0.
75g、無水酢酸カリウム6.08g(62mmol)
を入れ、オートクレーブ内を減圧脱気した。脱気したオ
ートクレーブを氷水で冷却し、トルエン(15mL)、
クロロノナフルオロシクロペンタン15g(56mmo
l)を注入した。さらに、水素をゲージ圧で6kg/c
2 チャージし、50℃に加温後、撹拌しながら11時
間反応させた。反応混合物を濾過して無機塩および触媒
を取り除き、ろ液を水洗して有機層を分離した。得られ
た有機層をガスクロマトグラフィー(日立製作所製、2
63−70型)で分析した結果、溶媒のトルエンを除い
て、1,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロ
シクロペンテンを46.4%、1,3,3,4,4,
5,5−ヘプタフルオロシクロペンテンを19.4%お
よび原料のクロロノナフルオロシクロペンタンを22.
9%含有する混合物であった。この混合物を精留した結
果、1,2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフル
オロシクロペンテンが純度98%で3.6g(収率30
%)得られた。
【0029】実施例4 実施例3において、無水酢酸カリウムの代わりに、無水
炭酸カリウム8.57g(62mmol)、トルエンを
トルエン(10ml)−水(20mL)に変更した他は
実施例3と同様の反応を行った。得られた有機層をガス
クロマトグラフィー(日立製作所製、263−70型)
で分析した結果、溶媒のトルエンを除いて、1,2,
3,3,4,4,5,5−オクタフルオロシクロペンテ
ンを47.1%、1,3,3,4,4,5,5−ヘプタ
フルオロシクロペンテンを15.8%および原料のクロ
ロノナフルオロシクロペンタンを23.2%含有する混
合物であった。この混合物を精留した結果、1,2,
3,3,4,4,5,5−オクタフルオロシクロペンテ
ンが純度98%で3.8g(収率32%)得られた。
【0030】
【発明の好ましい実施態様】−CClF−CF2 −結合
を有するクロロフルオロカーボンを脱クロロフルオロ化
して−CF=CF−結合を有するフッ素化不飽和炭化水
素を製造する方法において、本発明に従って、(1)還
元作用を有する粉末状金属および有機カルボン酸の存在
下に脱クロロフルオロ化することを特徴とする第1の方
法、および(2)貴金属触媒、炭化水素溶媒および水素
の存在下に脱クロロフルオロ化することを特徴とする第
2の方法の好ましい実施態様をまとめると以下のとおり
である。
【0031】1.−CClF−CF2 −結合を有するク
ロロフルオロカーボンが環状クロロフルオロカーボンで
ある。 2.−CClF−CF2 −結合を有するクロロフルオロ
カーボンが、その基本骨格中に4〜10個の炭素原子、
より好ましくは4〜6個の炭素原子、さらに好ましくは
5個の炭素原子を有する。 3.第1の方法において、還元作用を有する粉末状金属
は亜鉛、マグネシウム、アルミニウムおよび鉄の中から
選ばれ、より好ましくは亜鉛である。
【0032】4.第1の方法において、粉末状金属の使
用量はクロロフルオロカーボンに対して1〜2当量、よ
り好ましくは1〜1.5当量である。 5.第1の方法において、有機カルボン酸は、一塩基酸
および二塩基酸の中から選ばれ、より好ましくは一塩基
酸の中から選ばれ、さらに好ましくは酢酸である。 6.第1の方法において、有機カルボン酸の使用量は粉
末状金属に対して1〜50モル%、より好ましくは5〜
20モル%である。
【0033】7.第1の方法において、粉末状金属は反
応に供用するに先立って予め酸で洗浄することによって
活性化処理する。 8.第1の方法において、反応溶媒としてアルコールま
たはエーテルが用いられる。 9.第2の方法において、触媒を構成する貴金属がパラ
ジウム、ロジウム、ルテニウム、レニウムおよび白金の
中から選ばれ、より好ましくはパラジウムである。
【0034】10.第2の方法において、触媒を構成す
る貴金属は、粉末状または成形品状の担体に0.5〜2
0重量%(貴金属と担体との合計重量に基づく)担持さ
れた形態で用いる。 11.前項の担体としては活性炭が好ましく、担体の形
態は粉末状が好ましく、また、貴金属の担持量は1〜1
0重量%(貴金属と担体との合計重量に基づく)が好ま
しい。 12.第2の方法において、貴金属触媒の添加量はクロ
ロフルオロカーボンに対して1〜50重量%、好ましく
は3〜20重量%、より好ましくは5〜20重量%であ
る。
【0035】13.第2の方法において、貴金属触媒、
炭化水素溶媒および水素に加えて、アルカリ金属塩およ
びアルカリ土類金属塩の共存下に脱クロロフルオロ化す
る。 14.前項13のアルカリ金属塩およびアルカリ土類金
属塩は塩化水素およびフッ化水素と反応して水を生成し
ない、無機酸または有機酸の塩基性塩であり、より好ま
しくはアルカリ金属炭酸塩およびアルカリ金属酢酸塩、
最も好ましくはアルカリ金属炭酸塩である。 15.前項13または14のアルカリ金属塩およびアル
カリ土類金属塩の使用量は、クロロフルオロカーボンに
対して0.5〜10当量、より好ましくは0.8〜5当
量、さらに好ましくは1〜2当量である。 16.第2の方法において、炭化水素溶媒は脂肪族炭化
水素溶媒および芳香族炭化水素溶媒の中から選ばれ、よ
り好ましくは芳香族炭化水素溶媒である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 杉本 達也 神奈川県川崎市川崎区夜光一丁目2番1号 社団法人 産業環境管理協会 日本ゼオ ン分室内 (72)発明者 関屋 章 茨城県つくば市東一丁目1番 工業技術院 物質工学工業技術研究所内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 −CClF−CF2 −結合を有するクロ
    ロフルオロカーボンを脱クロロフルオロ化して−CF=
    CF−結合を有するフッ素化不飽和炭化水素を製造する
    方法において、還元作用を有する粉末状金属および有機
    カルボン酸の存在下に脱クロロフルオロ化することを特
    徴とするフッ素化不飽和炭化水素の製造方法。
  2. 【請求項2】 還元作用を有する粉末状金属が亜鉛、マ
    グネシウム、アルミニウムおよび鉄の中から選ばれた少
    なくとも一種の金属である請求項1記載のフッ素化不飽
    和炭化水素の製造方法。
  3. 【請求項3】 −CClF−CF2 −結合を有するクロ
    ロフルオロカーボンを脱クロロフルオロ化して−CF=
    CF−結合を有するフッ素化不飽和炭化水素を製造する
    方法において、貴金属触媒、炭化水素溶媒および水素の
    存在下に脱クロロフルオロ化することを特徴とするフッ
    素化不飽和炭化水素の製造方法。
  4. 【請求項4】 貴金属触媒、炭化水素溶媒および水素の
    他に、アルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩の存在
    下に脱クロロフルオロ化する請求項3記載のフッ素化不
    飽和炭化水素の製造方法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001324491A (ja) * 2000-05-17 2001-11-22 Riken Keiki Co Ltd オクタフルオロシクロペンテン測定装置
WO2019230456A1 (ja) * 2018-05-28 2019-12-05 Agc株式会社 含フッ素プロペンの製造方法
CN112209805A (zh) * 2020-10-14 2021-01-12 中船重工(邯郸)派瑞特种气体有限公司 一种八氟环戊烯的合成方法

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