JP2004090842A - 車両用ブレーキ装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】車輪ブレーキから排出されるブレーキ液を貯留するリザーバと、該リザーバから汲み上げたブレーキ液をマスタシリンダ側に戻すポンプと、ポンプの吐出ブレーキ液を絞るオリフィスとを少なくとも備えてマスタシリンダおよび車輪ブレーキ間に介在するブレーキ液圧制御装置が、オリフィスを圧入するようにして金属製の基体に配設される車両用ブレーキ装置において、オリフィスの圧入強度を比較的低く設定可能として、オリフィス周辺の小型化を可能とする。
【解決手段】ポンプ10A,10Bの吐出部45に通じて基体22に設けられる液圧路20A,20Bに、ポンプ10A,10Bからのブレーキ液の流れ方向と同一方向でオリフィス14A,14Bが圧入される。
【選択図】    図4

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車輪ブレーキから排出されるブレーキ液を貯留するリザーバと、該リザーバから汲み上げたブレーキ液をマスタシリンダ側に戻すポンプと、該ポンプの吐出ブレーキ液を絞るオリフィスとを少なくとも備えてマスタシリンダおよび車輪ブレーキ間に介在するブレーキ液圧制御装置が、前記オリフィスを圧入するようにして金属製の基体に配設される車両用ブレーキ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、かかる車両用ブレーキ装置は、たとえば特許文献1等で既に知られている。
【0003】
【特許文献1】
特開平7−267064号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記従来のものでは、フレアパイプと一体に形成されるオリフィスがポンプから吐出されるブレーキ液の流れ方向と反対側から基体に圧入されており、ポンプの吐出圧に対抗してオリフィスの位置を維持するために、オリフィスの圧入強度を比較的大きく設定する必要があり、圧入面積、圧入径および締め代等を大きく設定する必要があることからオリフィス周辺が大型化している。
【0005】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、オリフィスの圧入強度を比較的低く設定可能として、オリフィス周辺の小型化を可能とした車両用ブレーキ装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1記載の発明は、車輪ブレーキから排出されるブレーキ液を貯留するリザーバと、該リザーバから汲み上げたブレーキ液をマスタシリンダ側に戻すポンプと、該ポンプの吐出ブレーキ液を絞るオリフィスとを少なくとも備えてマスタシリンダおよび車輪ブレーキ間に介在するブレーキ液圧制御装置が、前記オリフィスを圧入するようにして金属製の基体に配設される車両用ブレーキ装置において、前記ポンプの吐出部に通じて前記基体に設けられる液圧路に、前記ポンプからのブレーキ液の流れ方向と同一方向で前記オリフィスが圧入されることを特徴とする。
【0007】
このような請求項1記載の発明の構成によれば、オリフィスの圧入強度を比較的小さく設定してもポンプの吐出圧によってオリフィスが基体から抜け出てしまうことを防止することができ、オリフィスの圧入強度を比較的低く設定することでオリフィス周辺の小型化を図ることができる。
【0008】
また請求項2記載の発明は、上記請求項1記載の発明の構成に加えて、前記オリフィスを介して前記ポンプに接続されるようにして前記ブレーキ液圧制御装置の一部を構成する機器が、前記液圧路よりも大径にして前記基体に設けられる有底の装着穴に装着され、前記オリフィスが圧入される圧入孔部と、前記オリフィスの前記流れ方向に沿う下流端を当接させる環状の段部を前記圧入孔部との間に形成して前記圧入孔部よりも小径に形成される通路孔部とを有する前記液圧路が前記基体に設けられ、該液圧路は、前記段部に当接した状態にある前記オリフィスが前記圧入孔部から前記装着穴側に抜けることを回避する位置で前記装着穴と交差するように形成されることを特徴とし、かかる構成によれば、ポンプの吐出圧が作用するのに応じてオリフィスが最初の圧入位置からずれたとしても液圧路の途中の段部に接触するまでしかオリフィスの移動は許容されておらず、段部に接触した状態でオリフィスが装着穴内に抜け落ちることはないので、最初の圧入位置からずれたオリフィスが他の通路に悪影響を及ぼすことはない。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、添付の図面に示した本発明の一実施例に基づいて説明する。
【0010】
図1〜図5は本発明の一実施例を示すものであり、図1は車両用ブレーキ装置の液圧回路図、図2はブレーキ液圧制御装置の基体への取付け状態を示す縦断側面図であって図3の2−2線に沿う断面図、図3は図2の3矢視図、図4は図2の4矢視方向から見た一部切欠き正面図、図5は図2の5−5線拡大断面図である。
【0011】
先ず図1において、タンデム型のマスタシリンダMは、車両運転者がブレーキペダルPに加える踏力に応じたブレーキ液圧を発生する第1および第2出力ポート1A,1Bを備えており、左前輪用車輪ブレーキ2A、右後輪用車輪ブレーキ2B、右前輪用車輪ブレーキ2Cおよび左後輪用車輪ブレーキ2Dと、前記第1および第2出力ポート1A,1Bに個別に接続された第1および第2出力液圧路3A,3Bとの間に、ブレーキ液圧制御装置4が設けられる。
【0012】
ブレーキ液圧制御装置4は、第1出力液圧路3Aに対応した液圧路20Aならびに左前輪用車輪ブレーキ2Aおよび右後輪用車輪ブレーキ2B間にそれぞれ設けられる常開型電磁弁6A,6Bと、第2出力液圧路3Bに対応した液圧路20Bならびに右前輪用車輪ブレーキ2Cおよび左後輪用車輪ブレーキ2D間にそれぞれ設けられる常開型電磁弁6C,6Dと、液圧路20A,20B側へのブレーキ液の流通を許容するようにして前記常開型電磁弁6A〜6Dに並列に接続されるチェック弁7A,7B,7C,7Dと、第1および第2出力液圧路3A,3Bにそれぞれ個別に対応した第1および第2リザーバ8A,8Bと、第1リザーバ8Aならびに左前輪用車輪ブレーキ2Aおよび右後輪用車輪ブレーキ2B間にそれぞれ設けられる常閉型電磁弁9A,9Bと、第2リザーバ8Bならびに右前輪用車輪ブレーキ2Cおよび左後輪用車輪ブレーキ2D間にそれぞれ設けられる常閉型電磁弁9C,9Dと、第1および第2リザーバ8A,8Bに吸入部が接続されるとともに吐出部が液圧路20A,20Bに接続される第1および第2ポンプ10A,10Bと、両ポンプ10A,10Bを駆動する共通1個の電動モータ11と、第1および第2出力液圧路3A,3Bならびに第1および第2ポンプ10A,10Bの吸入部間にそれぞれ介設される常閉型電磁弁12A,12Bと、第1および第2ポンプ10A,10Bの吐出部および前記液圧路20A,20B間にそれぞれ介設される第1および第2ダンパ13A,13Bと、第1および第2ポンプ10A,10Bならびに第1および第2ダンパ13A,13B間にそれぞれ設けられる第1および第2オリフィス14A,14Bと、各ポンプ10A,10B側へのブレーキ液の流通を許容するようにして第1および第2ポンプ10A,10Bならびに第1および第2リザーバ8A,8B間に介設されるチェック弁15A,15Bと、第2出力液圧路3Bに取付けられる圧力センサ16と、第1および第2出力液圧路3A,3Bならびに液圧路20A,20B間にそれぞれ設けられるレギュレータ21A,21Bとを備える。
【0013】
常閉型電磁弁12A,12Bは、第1および第2ポンプ10A,10Bならびにチェック弁15A,15B間と、液圧路20A,20Bとの間にそれぞれ設けられる。
【0014】
レギュレータ21A,21Bは、第1および第2出力液圧路3A,3Bならびに液圧路20A,20B間に、常開型電磁弁5A,5Bと、一方向弁18A,18Bと、リリーフ弁19A,19Bとが並列に接続されて成るものである。
【0015】
一方向弁18A,18Bは、第1および第2出力液圧路3A,3B側からだけのブレーキ液の流通を許容するようにして常開型電磁弁5A,5Bに並列に接続される。またリリーフ弁19A,19Bは、液圧路20A,20Bの液圧が所定値以上になるのに応じて開弁するようにして常開型電磁弁5A,5Bに並列に接続される。
【0016】
このようなレギュレータ21A,21Bは、マスタシリンダMに通じる第1および第2出力液圧路3A,3Bおよび液圧路20A,20B間を常時は連通するものの、常閉型電磁弁12A,12Bの開弁時には出力液圧路3A,3Bおよび前記液圧路20A,20B間を遮断しつつ液圧路20A,20Bの液圧が設定値以上となるのに応じて前記液圧路20A,20Bの液圧をマスタシリンダM側に逃がすように作動し、それにより液圧路20A,20Bの液圧を設定値以下に調整する。
【0017】
また圧力センサ16は、マスタシリンダMから液圧が出力されているか否か、すなわちブレーキペダルPが踏まれているか否かを検出するものであり、上記車両の横滑り制御およびトラクション制御や、マスタシリンダMの出力液圧に応じた電動モータ11の回転数制御等に用いられる。
【0018】
ところで、上記ブレーキ液圧制御装置4において、各車輪がロックを生じる可能性のない通常ブレーキ時には、常開型電磁弁5A,5Bを消磁、開弁するとともに常閉型電磁弁12A,12Bを消磁、閉弁した状態で、各常開型電磁弁6A〜6Dが消磁、開弁状態とされるとともに各常閉型電磁弁9A〜9Dが消磁、閉弁状態とされる。これによりマスタシリンダMおよび車輪ブレーキ2A〜2D間が連通されるとともに車輪ブレーキ2A〜2Dおよびリザーバ8A,8B間が遮断される。したがってマスタシリンダMの第1出力ポート1Aから出力されるブレーキ液圧は常開型電磁弁5Aおよび常開型電磁弁6A,6Bを介して左前輪および右後輪用車輪ブレーキ2A,2Bに作用する。またマスタシリンダMの第2出力ポート1Bから出力されるブレーキ液圧は、常開型電磁弁5Bおよび常開型電磁弁6C,6Dを介して右前輪用および左後輪用車輪ブレーキ2C,2Dに作用する。
【0019】
上記ブレーキ中に車輪がロック状態に入りそうになったときに、常開型電磁弁6A〜6Dのうちロック状態に入りそうになった車輪に対応する常開型電磁弁が励磁、閉弁されるとともに、常閉型電磁弁9A〜9Dのうち上記車輪に対応する常閉型電磁弁が励磁、開弁される。これによりロック状態に入りそうになった車輪に対応する部分でマスタシリンダMおよび車輪ブレーキ2A〜2D間が遮断されるとともに車輪ブレーキ2A〜2Dおよびリザーバ8A,8B間が連通される。したがってロック状態に入りそうになった車輪のブレーキ液圧の一部が第1リザーバ8Aまたは第2リザーバ8Bに吸収され、ロック状態に入りそうになった車輪のブレーキ液圧が減圧されることになる。
【0020】
またブレーキ液圧を一定に保持する際には、常開型電磁弁6A〜6Dが励磁、閉弁されるとともに、常閉型電磁弁9A〜9Dが消磁、閉弁され、これにより車輪ブレーキ2A〜2DがマスタシリンダMおよびリザーバ8A,8Bから遮断される。
【0021】
さらにブレーキ液圧を増圧する際には、常開型電磁弁6A〜6Dが消磁、開弁状態とされるともに、常閉型電磁弁9A〜9Dが消磁、閉弁状態とされ、これによりマスタシリンダMおよび車輪ブレーキ2A〜2D間が連通されるとともに車輪ブレーキ2A〜2Dおよびリザーバ8A,8B間が遮断される。
【0022】
このように常開型電磁弁5A,5Bを消磁、開弁するとともに常閉型電磁弁12A,12Bを消磁、閉弁した状態で、各常開型電磁弁6A〜6Dおよび各常閉型電磁弁9A〜9Dの消磁・励磁を制御することにより、車輪をロックさせることなく、効率良く制動することができる。
【0023】
ところで、上述のようなアンチロックブレーキ制御中に、電動モータ11は回転作動し、この電動モータ11の作動に伴って第1および第2ポンプ10A,10Bが駆動されるので、第1および第2リザーバ8A,8Bに吸収されたブレーキ液は、第1および第2ポンプ10A,10Bに吸入され、次いで第1および第2ダンパ13A,13Bを経て第1および第2出力液圧路3A,3Bに還流される。このようなブレーキ液の還流によって、第1および第2リザーバ8A,8Bのブレーキ液の吸収によるブレーキペダルPの踏み込み量の増加を防ぐことができる。しかも第1および第2ポンプ10A,10Bの吐出圧の脈動は第1および第2ダンパ13A,13Bならびに第1および第2オリフィス14A,14Bの働きにより抑制され、上記還流によってブレーキペダルPの操作フィーリングが阻害されることはない。
【0024】
またブレーキ液圧制御装置4は、上述のアンチロックブレーキ制御に加えて、非ブレーキ操作状態での車両の横滑り制御やトラクション制御を行なうことができる。
【0025】
而してたとえば横滑り制御時には、レギュレータ21A,21Bの常開型電磁弁5A,5Bが励磁、閉弁されるとともに常閉型電磁弁12A,12Bが励磁、開弁され、さらに電動モータ11の作動により第1および第2ポンプ10A,10Bが駆動され、各常開型電磁弁6A〜6Dのうち制動したい車輪に対応する常開型電磁弁以外の常開型電磁弁が励磁、閉弁される。
【0026】
これにより両ポンプ10A,10Bは、マスタシリンダMのブレーキ液を第1および第2出力ポート1A,1Bから第1および第2出力液圧路3A,3B、常閉型電磁弁12A,12Bを介して吸入し、各車輪ブレーキ2A〜2Dのうち選択された車輪ブレーキに、常開型電磁弁6A〜6Dのうち開弁している常開型電磁弁を介してブレーキ液を供給し、ブレーキ液がマスタシリンダM側に逆流することは、常開型電磁弁5A,5Bが閉弁していることによって阻止される。
【0027】
このような横滑り制御やトラクション制御時に、第1および第2ポンプ10A,10Bからの吐出液圧が作用する液圧路20A,20Bの液圧が設定値以上となると、レギュレータ21A,21Bのリリーフ弁19A,19Bにより、過剰油圧分がマスタシリンダM側に逃がされることになり、ブレーキ圧が作用している車輪ブレーキに過剰の液圧が作用することが回避される。
【0028】
しかも液圧路20A,20Bおよびオリフィス14A,14B間にダンパ13A,13Bが介設されているので、レギュレータ21A,21Bの作動によって液圧路20A,20Bに生じる脈動をダンパ13A,13Bで吸収することができ、レギュレータ21A,21Bの作動による脈動に起因した作動音の発生を抑えることができる。
【0029】
図2〜図4において、ブレーキ液圧制御装置4は、たとえばアルミニウム合金等の金属によりブロック状に形成される基体22に設けられるものであり、ブレーキ液圧制御装置4が設けられた基体22は図示しない車体に取付けられる。
【0030】
チェック弁7A〜7Dを内蔵した常開型電磁弁6A〜6Dおよび各常閉型電磁弁9A〜9Dは、それらのソレノイド部23…,24…を基体22の一面22aから突出するようにしてそれぞれ一列に並んで基体22に取付けられる。また一方向弁18A,18Bおよびリリーフ弁19A,19Bと協働してレギュレータ21A,21Bを構成するようにして一方向弁18A,18Bおよびリリーフ弁19A,19Bを内蔵した常開型電磁弁5A,5Bが、前記常開型電磁弁6A,6Dを常閉型電磁弁9A,9Dとの間に挟む位置で、それらのソレノイド部25…を前記一面22aから突出するようにして基体22に取付けられる。さらに図示はしないが、常閉型電磁弁12A,12Bがそれらのソレノイド部を前記一面22aから突出しつつ前記常開型電磁弁5A,5B間で基体22に取付けられる。
【0031】
前記常開型電磁弁5Aを常開型電磁弁6Aとの間に挟む位置で前記一面22aに開口する有底の嵌合穴26が基体22に設けられ、該嵌合穴26には、一部を前記一面22aから突出させるとともに嵌合穴26の閉塞端との間に液圧室27を形成するようにして圧力センサ16が液密に嵌合される。しかも嵌合穴26の閉塞端および圧力センサ16間にはコイルばね28が設けられ、コイルばね28による弾発力によって圧力センサ16が嵌合穴26から離脱するのを阻止するための止め輪29が圧力センサ16に軸方向外方側から係合するようにして嵌合穴26の開口端部内面に装着される。
【0032】
第1および第2ダンパ13A,13Bは、常開型電磁弁6A〜6Dの軸線に直交するようにして基体22の左右両側面にそれぞれ開口するようにして基体22に同軸に設けられる有底のダンパ穴30…と、該ダンパ穴30…との間にダンパ室31…を形成してダンパ穴30…の開口端に液密に嵌合される蓋部材32…と、該蓋部材32…のダンパ穴30…からの抜け出しを阻止するようにしてダンパ穴30…の開口端に装着される止め輪33…とで構成される。
【0033】
而して第1ダンパ13Aのダンパ室31には常開型電磁弁6A,6Bが接続され、第2ダンパ13Bのダンパ室31には常開型電磁弁6C,6Dが接続される。
【0034】
第1および第2ポンプ10A,10Bは、圧力センサ16にほぼ対応した位置で常開型電磁弁6A〜6Dの配列方向に沿う同軸の作動軸線を有して基体22に配設されるものであり、両ポンプ10A,10Bが備えるプランジャ34…は、基体22における他面22bの中央部に設けられた凹部35に一端を臨ませるようにして相互に間隔をあけた位置に配置される。また両ポンプ10A,10Bには吸入弁36…および吐出弁37…がそれぞれ内蔵されている。
【0035】
電動モータ11は、その出力軸38を前記凹部35に突入させるようにして前記基体22の他面22bに取付けられ、前記出力軸38には、前記両ポンプ10A,10Bが備えるプランジャ34…の先端に摺接するボールベアリング39が、出力軸38とは偏心して装着される。而して電動モータ11の作動によって出力軸38が回転すると、ボールベアリング39に偏心運動が与えられ、それにより両ポンプ10A,10Bのプランジャ34…が往復駆動される。
【0036】
基体22の前記他面22b寄りの部分には、基体22の下面からの穿孔加工により形成される一対の通路40…が、一対ずつの常閉型電磁弁9A,9B;9C,9Dに接続されるようにして設けられ、各通路40…の前記基体22の下面への開口端はボール41…を圧入することで液密に閉じられる。
【0037】
第1および第2リザーバ8A,8Bは、前記一面22a寄りで基体22に設けられており、前記通路40…が第1および第2リザーバ8A,8Bに連通される。また第1および第2ポンプ10A,10Bの吸入部42…に通じる一対の吸入路43…が基体22の下面からの穿孔加工により前記通路40…と平行にして基体22に設けられており、各吸入路43…の前記基体22の下面への開口端はボール44…を圧入することで液密に閉じられ、吸入路43…の途中は、図示はしないが第1および第2チェック弁15A,15Bを介して第1および第2リザーバ8A,8Bに接続される。
【0038】
第1および第2ポンプ10A,10Bの吐出部45…にそれぞれ通じる液圧路20A,20Bは、前記通路40…および吸入路43…と平行にして基体22に設けられるものであり、第1および第2ダンパ13A,13Bのダンパ室31…に内端を通じさせるようにして基体22の下面から穿孔加工され、各液圧路20A,20Bの前記基体22の下面への開口端はボール46…を圧入することで液密に閉じられる。
【0039】
すなわち各液圧路20A,20Bは、第1および第2ポンプ10A,10Bを横切るようにして基体22に設けられている。またブレーキ液圧制御装置4の一部を構成する機器である常開型電磁弁5A,5Bを装着すべく、基体22の一面22aに開口する有底の装着穴47…が、第1および第2ポンプ10A,10Bと、第1および第2ダンパ13A,13Bとの間で基体22に液圧路20A,20Bよりも大径にして設けられており、前記液圧路20A,20Bは各装着穴47…の閉塞端寄りの部分と交差するようにして基体22に設けられる。
【0040】
しかも液圧路20A,20Bにおいて、第1および第2ポンプ10A,10Bと装着穴47…との間には、第1および第2ポンプ10A,10Bの吐出部45…からのブレーキ液の流れ方向48と同一方向で第1および第2オリフィス14A,14Bが圧入される。
【0041】
図5を併せて参照して、前記液圧路20A,20Bは、前記オリフィス14A,14Bを挿入可能とした挿入孔部49…と、前記オリフィス14A,14Bが圧入されるようにして挿入孔部49…よりも小径に形成される圧入孔部50…と、環状の段部52…を前記圧入孔部50…との間に形成して圧入孔部50…よりも小径に形成される通路孔部51…とが同軸に連なって成るものであり、挿入孔部49…は、基体22の下面から第1および第2ポンプ10A,10Bまでの間に形成され、圧入孔部50…は、第1および第2ポンプ10A,10Bから装着穴47…までの間に形成され、通路孔部51…は装着孔47…から第1および第2ダンパ13A,13Bのダンパ室31…までの間に形成される。
【0042】
前記段部52…は、圧入孔部50…に圧入されたオリフィス14A,14Bがその圧入位置から前記流れ方向に沿う下流側に移動したときに、オリフィス14A,14Bの流れ方向48に沿う下流端を当接させ得るものであり、液圧路20A,20Bは、前記段部52…に当接した状態にあるオリフィス14A,14Bが圧入孔部50…から装着穴47…側に抜けることを回避する位置で装着穴47…と交差するように形成される。
【0043】
而してこの実施例では、圧入孔部50…の軸線が装着穴47…より外方に配置されることで、段部52…に当接した状態にあるオリフィス14A,14Bが圧入孔部50…から装着穴47…側に抜けることを回避するようにしている。
【0044】
ところで、オリフィス14A,14Bの外周には部分的に大径となる圧入シール部53…が設けられており、この圧入シール部53…が圧入孔部50…に圧入されるのであるが、図5の鎖線で示すようにオリフィス14A,14Bが段部52…に当接したときに前記圧入シール部53…の全周が圧入孔部50…の内周に全周にわたって密接した状態にあるときには、通路孔部51…の装着孔47…への連通がオリフィス14A,14Bで遮断されることがないように段部52…の位置が設定される。またオリフィス14A,14Bが段部52…に当接したときに通路孔部51…の装着孔47…への連通がオリフィス14A,14Bで遮断される場合には、前記圧入シール部53…の一部と圧入孔部50…の内周の一部との密接状態が解除され、装着孔47…を第1および第2ポンプ10A,10Bの吐出部45…に通じさせる微少通路が圧入孔部50…の内周およびオリフィス14A,14B間に形成されるように、第1および第2オリフィス14A,14Bにおける圧入シール部53…の位置が設定される。
【0045】
基体22の一面22aには、横断面長方形状の筒形に形成される第1樹脂成形体55の一端に、第1樹脂成形体55の一端開口部を塞ぐ第2樹脂成形体56が振動溶着されて成るカバー57が締結される。このカバー57は、常開型電磁弁6A〜6Dのソレノイド部23…、常閉型電磁弁9A〜9Dのソレノイド部24…、常開型電磁弁5A,5Bのソレノイド部25…および常閉型電磁弁12A,12Bのソレノイド部を収納するとともに、第1および第2リザーバ8A,8Bの一部、ならびに圧力センサ16の一部を収納する収納室58を基体22との間に形成するようにして、基体22の一面22aに締結されている。しかもカバー57の基体22側端縁には、該基体22の一面22aに弾発的に接触する無端状のシール部材59が装着される。
【0046】
カバー57における第1樹脂成形体55内の中間部には、常開型電磁弁6A〜6Dのソレノイド部23…、常閉型電磁弁9A〜9Dのソレノイド部24…、常開型電磁弁5A,5Bのソレノイド部25…および常閉型型電磁弁12A,12Bのソレノイド部にそれぞれ個別に対応した矩形状の開口部60…,61…,62…を有する平面状の壁部63が、基体22の一面22aに対向するようにして一体に形成される。
【0047】
前記各ソレノイド部23…,24…,25…の先端部は前記開口部60…,61…,62…に挿入され、各ソレノイド部23…,24…,25…から一対ずつ突出される電磁弁側接続端子64…,65…,66…が、各開口部60…,61…,62…内を延びるようにして突出される。
【0048】
前記壁部63には、常開型電磁弁6A〜6D、常閉型電磁弁9A〜9D、常開型電磁弁5A,5Bおよび常閉型電磁弁12A,12Bにそれぞれ個別に対応した導電金属製の個別バスバー(図示せず)と、それらの電磁弁6A〜6D,9A〜9D,5A,5B,12A,12Bに共通に対応する単一の導電金属製の共通バスバー(図示せず)とが埋設される。
【0049】
前記電磁弁側接続端子64…,65…,66…の一方には、各個別バスバーの一端に形成される個別バスバー側接続端子67…,68…,69…がそれぞれ電気的に接続され、前記電磁弁側接続端子64…,65…,66…の他方には、前記共通バスバーに形成される複数の共通バスバー側接続端子(図示せず)がそれぞれ電気的に接続される。
【0050】
圧力センサ16からは3本の圧力センサ側接続端子70…が突出される。一方、カバー57の壁部63には、前記圧力センサ16に対応した開口部71が設けられており、前記圧力センサ側接続端子70…は開口部71内を延びるようにして圧力センサ16から突出される。しかも壁部63には、圧力センサ16に対応した導電金属製の3本のバスバー72…が埋設されており、各バスバー72…の一端に形成されるバスバー側接続端子73…が圧力センサ側接続端子70…にそれぞれ電気的に接続される。
【0051】
カバー57の第2樹脂成形体56および壁部63間でカバー57内には、電気回路が設けられる制御基板74が配置されており、該制御基板74は、前記壁部63に突設された複数の支持ボス部75…上に固定的に支持される。
【0052】
而して常開型電磁弁6A〜6D、常閉型電磁弁9A〜9D、常開型電磁弁5A,5Bおよび常閉型電磁弁12A,12Bに対応した個別バスバーおよび共通バスバーは、制御基板74上の電気回路に電気的に接続される。また圧力センサ16に対応したバスバー72…の他端は、制御基板74を貫通するようにして該制御基板74上の電気回路に電気的に接続される。
【0053】
カバー57にはカプラ部76が基体22から側方にはみだすようにして一体に形成されており、前記制御基板74に連なる複数の接続端子77…がカプラ部76内に配置される。
【0054】
次にこの実施例の作用について説明すると、第1および第2ポンプ10A,10Bの吐出ブレーキ液を絞るオリフィス14A,14Bが、第1および第2ポンプ10A,10Bの吐出部45…に通じて基体22に設けられる液圧路20A,20Bに、第1および第2ポンプ10A,10Bからのブレーキ液の流れ方向48と同一方向で圧入されている。
【0055】
このため、オリフィス14A,14Bの基体22への圧入強度を比較的小さく設定しても第1および第2ポンプ10A,10Bの吐出圧によってオリフィス14A,14Bが基体から抜け出てしまうことを防止することができ、オリフィス14A,14Bの圧入強度を比較的低く設定することでオリフィス14A,14B周辺の小型化を図ることができる。
【0056】
またオリフィス14A,14Bを介して第1および第2ポンプ10A,10Bに接続されるようにしてブレーキ液圧制御装置4の一部を構成する常開型電磁弁5A,5Bが、液圧路20A,20Bよりも大径にして基体22に設けられる有底の装着穴47…に装着されており、液圧路20A,20Bが、オリフィス14A,14Bが圧入される圧入孔部50…と、オリフィス14A,14Bの前記流れ方向48…に沿う下流端を当接させる環状の段部52…を圧入孔部50…との間に形成して圧入孔部50…よりも小径に形成される通路孔部51…とを有して基体22に設けられ、しかも段部52…に当接した状態にあるオリフィス14A,14Bが圧入孔部50…から装着穴47…側に抜けることを回避する位置で装着穴47…と交差するように液圧路20A,20Bが形成される。
【0057】
したがって第1および第2ポンプ10A,10Bの吐出圧が作用するのに応じてオリフィス14A,14Bが最初の圧入位置からずれたとしても液圧路20A,20Bの途中の段部52…に接触するまでしかオリフィス14A,14Bの移動は許容されておらず、段部52…に接触した状態でオリフィス14A,14Bが装着穴47…内に抜け落ちることはないので、最初の圧入位置からずれたオリフィス14A,14Bが他の通路に悪影響を及ぼすことはない。
【0058】
以上、本発明の実施例を説明したが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明を逸脱することなく種々の設計変更を行うことが可能である。
【0059】
【発明の効果】
以上のように請求項1記載の発明によれば、オリフィスの圧入強度を比較的小さく設定してもポンプの吐出圧によってオリフィスが基体から抜け出てしまうことを防止することができ、オリフィスの圧入強度を比較的低く設定することでオリフィス周辺の小型化を図ることができる。
【0060】
また請求項2記載の発明によれば、ポンプの吐出圧が作用するのに応じてオリフィスが最初の圧入位置からずれたとしても液圧路の途中の段部に接触するまでしかオリフィスの移動は許容されておらず、段部に接触した状態でオリフィスが装着穴内に抜け落ちることはないので、最初の圧入位置からずれたオリフィスが他の通路に悪影響を及ぼすことはない。
【図面の簡単な説明】
【図1】車両用ブレーキ装置の液圧回路図である。
【図2】ブレーキ液圧制御装置の基体への取付け状態を示す縦断側面図であって図3の2−2線に沿う断面図である。
【図3】図2の3矢視図である。
【図4】図2の4矢視方向から見た一部切欠き正面図である。
【図5】図2の5−5線拡大断面図である。
【符号の説明】
2A,2B,2C,2D・・・車輪ブレーキ
4・・・ブレーキ液圧制御装置
5A,5B・・・機器としての常開型電磁弁
8A,8B・・・リザーバ
10A,10B・・・ポンプ
14A,14B・・・オリフィス
20A,20B・・・液圧路
22・・・基体
45・・・吐出部
47・・・装着穴
48・・・流れ方向
50・・・圧入孔部
51・・・通路孔部
52・・・段部
M・・・マスタシリンダ

Claims (2)

  1. 車輪ブレーキ(2A,2B,2C,2D)から排出されるブレーキ液を貯留するリザーバ(8A,8B)と、該リザーバ(8A,8B)から汲み上げたブレーキ液をマスタシリンダ(M)側に戻すポンプ(10A,10B)と、該ポンプ(10A,10B)の吐出ブレーキ液を絞るオリフィス(14A,14B)とを少なくとも備えてマスタシリンダ(M)および車輪ブレーキ(2A,2B,2C,2D)間に介在するブレーキ液圧制御装置(4)が、前記オリフィス(14A,14B)を圧入するようにして金属製の基体(22)に配設される車両用ブレーキ装置において、前記ポンプ(10A,10B)の吐出部(45)に通じて前記基体(22)に設けられる液圧路(20A,20B)に、前記ポンプ(10A,10B)からのブレーキ液の流れ方向(48)と同一方向で前記オリフィス(14A,14B)が圧入されることを特徴とする車両用ブレーキ装置。
  2. 前記オリフィス(14A,14B)を介して前記ポンプ(10A,10B)に接続されるようにして前記ブレーキ液圧制御装置(4)の一部を構成する機器(5A,5B)が、前記液圧路(20A,20B)よりも大径にして前記基体(22)に設けられる有底の装着穴(47)に装着され、前記オリフィス(14A,14B)が圧入される圧入孔部(50)と、前記オリフィス(14A,14B)の前記流れ方向(48)に沿う下流端を当接させる環状の段部(52)を前記圧入孔部(50)との間に形成して前記圧入孔部(50)よりも小径に形成される通路孔部(51)とを有する前記液圧路(20A,20B)が前記基体(22)に設けられ、該液圧路(20A,20B)は、前記段部(52)に当接した状態にある前記オリフィス(14A,14B)が前記圧入孔部(50)から前記装着穴(47)側に抜けることを回避する位置で前記装着穴(47)と交差するように形成されることを特徴とする請求項1記載の車両用ブレーキ装置。
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