JP2004090796A - 飛翔体の姿勢変更制御装置及び姿勢変更制御方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】人工衛星に搭載された姿勢変更制御装置24において、人工衛星姿勢ダイナミクス11に制御トルクを印加するアクチュエータとしてRWシステム9及びCMGシステム10を設ける。RWシステム9には回転軸の方向が相互に異なる4台のリアクションホイールを設け、CMGシステム10にはジンバル軸の方向が相互に等しい2台のコントロールモーメントジャイロを設ける。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、飛翔体に搭載したリアクションホイール(RW)及びコントロールモーメントジャイロ(CMG)によりこの飛翔体の姿勢角を高速かつ高精度に変更する飛翔体の姿勢変更制御装置及び姿勢変更制御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の人工衛星の姿勢角を制御する技術として、例えば特許第1976960号に開示された技術がある。図13はこの特許第1976960号に開示されている従来の人工衛星の三軸姿勢制御装置を示すブロック図であり、図14は、この従来の三軸姿勢制御装置を示す斜視図である。図13に示すように、この従来の人工衛星の三軸姿勢制御装置100は、姿勢角センサ101、姿勢決定回路102、制御回路103、ジンバルa駆動回路104、ジンバルb駆動回路105、モーメンタムホイール(MW)駆動回路106、ジンバルa107、ジンバルb108、及びモーメンタムホイール(MW)109から構成されている。なお、ジンバルa107及びジンバルb108は、コントロールモーメントジャイロと等価なトルク発生装置である。また、図13に示す人工衛星ダイナミクス110は、この三軸姿勢制御装置100が搭載された人工衛星の動特性を表している。
【0003】
図14に示すように、ジンバルa107にはロータ111が設けられており、ジンバルb108にはロータ112が設けられており、MW109にはロータ113が設けられている。ベクトル〈h111〉はロータ111の角運動量ベクトルを表し、aはジンバルa107の回転角を示し、ベクトル〈a’〉はジンバルa107のジンバル回転角速度ベクトルを表し、ベクトル〈h112〉はロータ112の角運動量ベクトルを表し、bはジンバルb108の回転角を示し、ベクトル〈b’〉はジンバルb108のジンバル回転角速度ベクトルを表す。また、ベクトル〈h113〉はMW109のロータ113の角運動量ベクトルを表す。なお、本明細書において、〈 〉付きの符号はベクトル量を表すものとする。また、符号a’及びb’は夫々a及びbの時間微分値を表すものとする。
【0004】
そして、図14に示すように、人工衛星内に固定されたXYZ直交座標系において、シンバルa107のジンバル回転軸はY軸に平行に設けられ、ロータ111の角運動量ベクトル〈h111〉は、初期状態においてはZ軸と平行になっている。また、ジンバルb108のジンバル回転軸はX軸に平行に設けられ、ロータ112の角運動量ベクトル〈h112〉は、初期状態においてはZ軸と平行になっている。更に、MW109の角運動量ベクトル〈h113〉はZ軸に平行に設けられている。このように、三軸姿勢制御装置100は、1個のモーメンタムホイール(MW)と2組のCMGと等価なジンバル駆動アクチュエータによって人工衛星の姿勢制御を行っている。
【0005】
図13に示すように、三軸姿勢制御装置100においては、姿勢角センサ101が人工衛星ダイナミクス110の姿勢角を検出し、その検出結果を姿勢決定回路102に対して出力する。次に、姿勢決定回路102が、この姿勢角の情報により人工衛星の姿勢を示す信号を生成し、制御回路103に対して出力する。次に、制御回路103がジンバルa107、ジンバルb108及びMW109を制御する制御信号を生成して出力し、ジンバルa駆動回路104、ジンバルb駆動回路105、MW駆動回路106が、夫々この制御信号に基づいて、ジンバルa107、ジンバルb108、MW109を駆動する。
【0006】
このとき、図14に示すように、ジンバルa107のロータ111の回転軸をジンバル軸回りに回転させることにより、X軸回りの制御トルクベクトル〈Tx〉を発生することができ、ジンバルb108のロータ112の回転軸をジンバル軸回りに回転させることにより、Y軸回りの制御トルクベクトル〈Ty〉を発生することができる。また、MW109を回転させることにより、Z軸回りの制御トルクベクトル〈Tz〉を発生させることができる。なお、制御トルクベクトル〈Tx〉及び〈Ty〉をベクトル式により記述すると、夫々下記数式1及び2のようになる。このようにして、ジンバルa107、ジンバルb108及びMW109が発生する制御トルクによって人工衛星ダイナミクス110を制御する。
【0007】
【数1】
【0008】
【数2】
【0009】
このように、特許第1976960号に記載された従来の三軸姿勢制御装置では、X軸回り及びY軸回りの姿勢制御にCMGと等価なジンバル機構を使用する点に特徴があり、Z軸回りの姿勢制御に使用している通常のMWと比べ、大きな制御トルクを発生させることが可能となる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述の従来の技術には以下に示すような問題点がある。ジンバル機構はモーメントホイールと比較して大きな制御トルクを発生することができるため、姿勢角変更を高速に行うことが可能となるが、その反面、ジンバル回転角速度の制御分解能の制約により姿勢角の精密な制御が困難となる。従って、特許第1976960号に記載された従来の三軸姿勢制御装置においては、X軸回り及びY軸回りの姿勢角の精密な制御が困難である。
【0011】
また、前述の特許第1976960号に記載された三軸姿勢制御装置においては、X軸回りの制御トルクベクトル〈Tx〉を発生させるために、ジンバルa117のロータ111の回転軸をジンバル軸回りに一方向に回転させると、この回転に伴って、ロータ111の角運動量ベクトル〈h111〉の方向が変動してしまうため、上記数式1の関係により、制御トルクベクトル〈Tx〉の方向も変化してしまう。このため、X軸回りの制御トルクを継続的に発生することが困難である。同様に、ジンバルb118のロータ112の回転軸をジンバル軸回りに一方向に回転させると、ロータ112の角運動量ベクトル〈h112〉の方向が変動し、制御トルクベクトル〈Ty〉の方向も変化してしまう。従って、Y軸回りの制御トルクを継続的に発生することも困難である。このため、制御トルクを自由に発生することができないという問題点がある。
【0012】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたものであって、高速且つ高精度な姿勢制御が可能であり、特定の方向の制御トルクを継続的に発生させることができる飛翔体の姿勢変更制御装置及び姿勢変更制御方法を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る飛翔体の姿勢変更制御装置は、飛翔体に搭載されこの飛翔体の姿勢変更を制御する飛翔体の姿勢変更制御装置において、回転軸の方向が相互に異なる3台以上のリアクションホイールと、2台以上のコントロールモーメントジャイロと、を有し、この2台以上のコントロールモーメントジャイロのうち、少なくとも2台のコントロールモーメントジャイロのジンバル回転軸の方向が相互に一致しており、この2台のコントロールモーメントジャイロは各ロータの回転軸を相互に反対の方向に回動させて駆動されることを特徴とする。
【0014】
本発明においては、回転軸の方向が相互に異なる3台以上のリアクションホイールを有することにより、飛翔体の高精度な姿勢制御が可能となる。また、2台以上のコントロールモーメントジャイロを有することにより、飛翔体の高速な姿勢制御が可能となる。また、ジンバル軸の方向が相互に等しい2台のコントロールモーメントジャイロを設け、夫々のロータの回転軸を相互に反対の方向に回動させることにより、これらのコントロールモーメントジャイロが発生する制御トルクのうち、所望の方向以外の方向の成分を互いに打ち消し合わせることができ、一定の方向の制御トルクを継続的に発生させることができる。
【0015】
また、前記リアクションホイールの台数が4台以上であってもよい。これにより、1台のリアクションホイールが故障しても、残りの3台以上のリアクションホイールにより3軸制御を行うことができる。
【0016】
更に、本発明に係る飛翔体の姿勢変更制御装置は、前記飛翔体の現在の姿勢角及び姿勢角速度を検出する検出手段と、この検出手段の検出結果及び姿勢変更後の目標姿勢に基づいて、姿勢変更を行うために前記リアクションホイール及びコントロールモーメントジャイロに発生させるトルクを算出する算出手段と、この算出手段の算出結果に基づいて前記リアクションホイールの駆動を制御するリアクションホイール駆動制御手段と、前記算出結果に基づいて前記コントロールモーメントジャイロの駆動を制御するコントロールモーメントジャイロ駆動制御手段と、を有することが好ましい。
【0017】
更にまた、前記検出手段が単位時間毎に前記姿勢角及び姿勢角速度を検出するものであり、前記算出手段が、前記姿勢変更後の目標姿勢に基づいて前記姿勢変更における姿勢変更回転軸及び前記飛翔体に対して設定された直交座標系の各軸回りの姿勢変更角度を算出すると共に姿勢変更時間を設定する目標姿勢設定部と、前記姿勢変更回転軸、姿勢変更角度及び姿勢変更時間に基づいて前記姿勢変更における角加速度を算出し、前記姿勢変更における姿勢角プロファイルを生成する最小時間プロファイル生成部と、前記姿勢角プロファイルに基づいて前記単位時間毎の目標姿勢を示す目標姿勢オイラーパラメータを算出する目標オイラーパラメータ逐次算出部と、前記単位時間毎に検出された姿勢角速度の検出結果に基づいて前記飛翔体の現在の姿勢を示す現在姿勢オイラーパラメータを算出する現在姿勢オイラーパラメータ算出部と、前記目標姿勢オイラーパラメータ及び現在姿勢オイラーパラメータに基づいて両者の差を示す姿勢誤差オイラーパラメータを算出する姿勢誤差算出部と、前記直交座標系における各軸回りの回転角を示す姿勢誤差ベクトルを前記姿勢誤差オイラーパラメータに基づいて算出する3軸制御用姿勢誤差ベクトル算出部と、前記姿勢誤差ベクトルに基づいて前記リアクションホイールに発生させるトルクを算出するリアクションホイール制御則演算部と、前記姿勢誤差ベクトルに基づいて前記コントロールモーメントジャイロに発生させるトルクを算出するコントロールモーメントジャイロ制御則演算部と、を有していてもよい。
【0018】
又は、前記検出手段が単位時間毎に前記姿勢角及び姿勢角速度を検出するものであり、前記算出手段が、前記姿勢変更後の目標姿勢に基づいて前記姿勢変更における姿勢変更回転軸及びこの姿勢変更回転軸回りの姿勢変更角度を算出し姿勢変更時間及び目標姿勢を示す目標姿勢オイラーパラメータを設定する目標姿勢オイラーパラメータ設定部と、前記単位時間毎に検出された姿勢角速度の検出結果に基づいて前記飛翔体の現在の姿勢を示す現在姿勢オイラーパラメータを算出する現在姿勢オイラーパラメータ算出部と、前記目標姿勢オイラーパラメータ及び現在姿勢オイラーパラメータに基づいて両者の差を示す姿勢誤差オイラーパラメータを算出する姿勢誤差算出部と、前記姿勢誤差オイラーパラメータに基づいて次の前記単位時間に実行する姿勢変更の回転軸及びこの回転軸回りの回転角である姿勢誤差角を算出する姿勢誤差算出部と、前記姿勢誤差角に基づいて前記姿勢変更に要するトルクを算出する制御トルク算出部と、前記算出されたトルクを前記飛翔体に対して設定された直交座標系における3軸ベクトルに変換して前記リアクションホイールに発生させるトルク及び前記コントロールモーメントジャイロに発生させるトルクを算出する3軸制御トルク生成部と、を有していてもよい。
【0019】
本発明に係る飛翔体の姿勢変更制御方法は、回転軸の方向が相互に異なる3台以上のリアクションホイールを夫々駆動させ、ジンバル回転軸の方向が相互に一致している2台以上のコントロールモーメントジャイロを各ロータの回転軸を相互に反対の方向に回動させることにより、トルクを発生させる工程を有することを特徴とする。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態について添付の図面を参照して具体的に説明する。先ず、本発明の第1の実施形態について説明する。図1は、本実施形態に係る人工衛星の姿勢変更制御装置を示すブロック図であり、図2は、図1に示す姿勢変更プロファイル演算部4の構成を示すブロック図であり、図3は、この姿勢変更制御装置におけるRWシステム9を示す斜視図であり、図4は、この姿勢変更制御装置におけるCMGシステム10を示す斜視図である。なお、図1に示す人工衛星姿勢ダイナミクス11は、本実施形態の姿勢変更制御装置24が搭載された人工衛星の姿勢動特性を表している。また、図1及び以下の説明において、「RW」はリアクションホイール、「CMG」はコントロールモーメントジャイロを意味する。
【0021】
図1に示すように、この姿勢変更制御装置24には、姿勢角検出器1、姿勢角速度検出器2、姿勢角/姿勢角速度決定部3、姿勢変更プロファイル演算部4、RW制御則演算部5、CMG制御則演算部6、RW駆動回路7、CMG駆動回路8、RWシステム9、CMGシステム10及び目標姿勢生成部12が設けられている。姿勢変更制御装置24は例えば人工衛星に搭載されている。
【0022】
姿勢角検出器1は、人工衛星の姿勢角を検出し、姿勢角検出信号13を生成して姿勢角/姿勢角速度決定部3に対して出力するものであり、例えばスラートラッカ(STT)により構成することができる。また、姿勢角速度検出器2は、人工衛星の姿勢角速度を検出し、姿勢角速度検出信号14を生成して姿勢角/姿勢角速度決定部3に対して出力するものであり、例えばジャイロ(IRU)により構成することができる。
【0023】
姿勢角/姿勢角速度決定部3は、姿勢角検出信号13及び姿勢角速度検出信号14に基づいて現在の人工衛星の姿勢角及び姿勢角速度を算出し、姿勢角決定信号15及び姿勢角速度決定信号16を生成して姿勢変更プロファイル演算部4に対して出力するものである。目標姿勢生成部12は人工衛星の姿勢変更後の目標姿勢から、目標姿勢角テレメトリデータ17を生成し、姿勢変更プロファイル演算部4に対して出力するものである。
【0024】
姿勢変更プロファイル演算部4は、フィードフォワード的な最小時間制御手法に基づいて、人工衛星の姿勢を最小時間で現在値から目標値へ変更するための姿勢変更プロファイルを生成し、そのプロファイルに基づき姿勢変更制御指令信号18を生成し、RW制御則演算部5及びCMG制御則演算部6に対して出力するものである。以下、姿勢変更プロファイル演算部4の構成をより詳細に説明する。
【0025】
図2に示すように、姿勢変更プロファイル演算部4においては、目標姿勢設定部30、最小時間プロファイル生成部31、現在姿勢オイラーパラメータ算出部32、目標オイラーパラメータ逐次算出部33、姿勢誤差算出部34及び3軸制御用姿勢誤差ベクトル導出部35が設けられている。目標姿勢設定部30は、入力された目標姿勢角テレメトリデータ17に基づいて、姿勢変更回転軸ベクトルとなるオイラー軸ベクトル〈n〉及び衛星座標系の各成分における前記姿勢変更回転軸回りの姿勢変更角度θmを算出すると共に、姿勢変更時間tmを設定し、最小時間プロファイル生成部31に対して出力するものである。最小時間プロファイル生成部31は、オイラー軸ベクトル〈n〉、姿勢変更角度θm、姿勢変更時間tmに基づいて、姿勢変更角加速度ベクトル〈αm〉を導出し、目標オイラーパラメータ逐次算出部33に対して出力するものである。目標オイラーパラメータ逐次算出器33は、サンプリング周期ごとの目標姿勢を示すオイラーパラメータベクトル〈qrot〉を算出し、姿勢誤差算出部34に対して出力するものである。
【0026】
現在姿勢オイラーパラメータ算出部32は、入力された姿勢角速度決定信号16に基づいて、人工衛星の現在姿勢を示すオイラーパラメータベクトル〈q〉を更新するものである。姿勢誤差算出部34は、目標姿勢を示すオイラーパラメータベクトル〈qrot〉と、現在の人工衛星の実際の姿勢角を示すオイラーパラメータベクトル〈q〉との間の誤差ベクトル〈qe〉を算出し、3軸制御用姿勢誤差ベクトル導出部35に対して出力するものである。そして、3軸制御用姿勢誤差ベクトル導出部35は、オイラーパラメータの誤差ベクトル〈qe〉から、3軸の姿勢誤差ベクトル〈θe〉を導出するものである。なお、3軸の姿勢誤差ベクトル〈θe〉は衛星座標系における各座標軸回りの回転角(オイラー角)を示している。
【0027】
図1に示すRW制御則演算部5は、姿勢変更制御指令信号18に基づいてRW駆動指令信号19を生成し、RW駆動回路7に対して出力するものである。CMG制御則演算部6は、姿勢変更制御指令信号18に基づいてCMG駆動指令信号20を生成し、CMG駆動回路8に対して出力するものである。なお、後述するように、姿勢変更プロファイル演算部4、RW制御則演算部5及びCMG制御則演算部6が行う演算は、簡単な比較演算及び四則演算であるため、姿勢変更プロファイル演算部4、RW制御則演算部5及びCMG制御則演算部6は、デジタル回路からなるハードウエア又はソフトウエアがプログラムされた集積回路によって容易に実現することができる。
【0028】
RW駆動回路7は、RW駆動指令信号19に基づいてRWシステム9を駆動させるRW駆動信号21を生成し、RWシステム9に対して出力するものである。CMG駆動回路8は、CMG駆動指令信号20に基づいてCMGシステム10を駆動させるCMG駆動信号22を生成し、CMGシステム10に対して出力するものである。
【0029】
図3に示すように、RWシステム9には、3台以上、例えば4台のリアクションホイールr1乃至r4が設けられている。人工衛星の内部に設定したXYZ直交座標系(以下、衛星座標系という)において、リアクションホイールr1乃至r4の角運動量ベクトル〈hr1〉乃至〈hr4〉は、いずれもXY平面から+Z方向に角度γだけ傾斜している。また、リアクションホイールr1乃至r4をXY平面に投影すると、リアクションホイールr1乃至r4は夫々第1乃至第4象限に配置されており、角運動量ベクトル〈hr1〉乃至〈hr4〉がXY平面上に投影されたベクトルと、X軸とのなす角度はいずれもαである。そして、このリアクションホイールr1乃至r4が回転することにより制御トルクを発生し、人工衛星姿勢ダイナミクス11に印加する。なお、リアクションホイールr1乃至r4の1台当たりの制御トルクの出力は、例えば現在実用化されているものとしては0.1乃至2Nm程度である。
【0030】
また、図4に示すように、CMGシステム10には、2台以上、例えば2台のCMG(コントロールモーメントジャイロ)51及び54が設けられている。CMG51にはロータ52が設けられている。そして、前述の人工衛星の内部に設定されたXYZ直交座標系(衛星座標系)において、CMG51のジンバル軸53は、XZ平面内に配置され、Z軸に対して角度βだけ傾斜しており、ジンバルの回転角をδ1と表す。すると、ロータ52の角運動量ベクトル〈h1〉は、ジンバル回転方向に対して常に直交することになる。そして、また、CMG54にはロータ55が設けられている。そして、前記衛星座標系において、CMG54のジンバル軸56は、XZ平面内に配置され、Z軸に対して角度βだけ傾斜しており、ジンバルの回転角をδ2と表す。すると、ロータ55の角運動量ベクトル〈h2〉は、ジンバル回転方向に対して常に直交することになる。なお、図4に示すジンバル回転角δ1及びδ2の時間微分値を大きさとするベクトル〈δ1’〉及び〈δ2’〉は、夫々ジンバル回転軸方向の回転角速度ベクトルを示している。CMG51及び54は、ロータ52及び55の回転軸が夫々ジンバル軸53及び56回りに回転することにより制御トルクを発生し、人工衛星姿勢ダイナミクス11に印加するものである。また、傾斜角βはオフセット角であり固定値である。更に、CMG51及び54の1台当たりの制御トルクの出力は、例えば約60Nmである。
【0031】
次に、本実施形態に係る姿勢変更制御装置の動作、即ち、本実施形態に係る姿勢変更制御方法について説明する。図5は本実施形態に係る姿勢変更制御方法を示すフローチャート図であり、図6は、図5に示すステップS5、即ち、本実施形態の姿勢変更制御装置における姿勢変更プロファイル演算部4の動作を詳細に示すフローチャートであり、図7(a)は横軸に時間をとり縦軸に飛翔体の姿勢角をとって、飛翔体の姿勢角の変化を示すグラフ図であり、(b)は横軸に時間をとり縦軸に飛翔体の姿勢角速度をとって、飛翔体の姿勢角速度の変化を示すグラフ図であり、(c)は横軸に時間をとり縦軸に飛翔体の姿勢角加速度をとって飛翔体の姿勢角加速度の変化を示すグラフ図である。
【0032】
図1及び図5に示すように、先ず、図5のステップS1に示すように、姿勢角検出器1が一定のサンプリング時間間隔ごとに人工衛星の姿勢角を検出し、姿勢角検出信号13を姿勢角/姿勢角速度決定部3に対して出力する。一方、ステップS2に示すように、姿勢角速度検出器2が一定のサンプリング時間間隔ごとに人工衛星の姿勢角速度を検出し、姿勢角速度検出信号14を姿勢角/姿勢角速度決定部3に対して出力する。そして、ステップS3に示すように、姿勢角/姿勢角速度決定部3が現在の人工衛星の姿勢角及び姿勢角速度を算出し、姿勢角決定信号15及び姿勢角速度決定信号16を生成し、これらの信号を姿勢変更プロファイル演算部4に対して出力する。一方、ステップS4に示すように、目標姿勢生成部12が、人工衛星の姿勢変更後の目標姿勢に基づいて、目標姿勢角テレメトリデータ17を姿勢変更プロファイル演算部4に対して出力する。次に、ステップS5に示すように、姿勢変更プロファイル演算部4が、人工衛星の現在の姿勢角を示す姿勢角決定信号15及び目標姿勢角を示す目標姿勢角テレメトリデータ17に基づいて、実行する姿勢変更動作の指標となる姿勢誤差ベクトル〈θe〉を算出する。そして、この姿勢誤差ベクトル〈θe〉及び姿勢角速度決定信号16を含む姿勢変更制御指令信号18を、RW制御則演算部7及びCMG制御則演算部8(図1参照)に対して出力する。
【0033】
以下、図2及び図6を参照して、このステップS5(図5参照)姿勢変更プロファイル演算部4の動作について詳細に説明する。図5に示すステップS5は、図6に示すステップS21乃至S31から構成されている。図6のステップS21に示すように、姿勢変更プロファイル演算部4の目標姿勢設定部30(図2参照)に目標姿勢角テレメトリデータ17が入力される。目標姿勢設定部30は、この目標姿勢角テレメトリデータ17に基づいて、姿勢変更回転軸ベクトルとなるオイラー軸ベクトル〈n〉及び姿勢変更角度θmを算出すると共に、姿勢変更時間tmを設定し、最小時間プロファイル生成部31に対して出力する。
【0034】
次に、図6のステップS22に示すように、最小時間プロファイル生成部31がオイラー軸ベクトル〈n〉、姿勢変更角度θm、姿勢変更時間tmに基づいて、姿勢変更角加速度ベクトル〈αm〉を導出する。以下、この導出方法について説明する。ある姿勢変更要求を、所定の姿勢変更時間tmにおいて効率よく実行するためには、図7(c)に示すように、正の一定加速度αmで衛星姿勢を加速後、大きさがこの正の一定化速度と等しく方向が逆である負の一定加速度(−αm)で減速すればよい。この場合、人工衛星の角度プロファイル及び角速度プロファイルは、夫々図7(a)及び(b)に示すようになる。姿勢変更角度θm及び姿勢変更時間tmが与えられれば、姿勢変更角加速度の大きさαmを下記数式3により算出することができる。また、姿勢変更角加速度ベクトル〈αm〉の方向は、オイラー軸ベクトル〈n〉により求めることができる。そして、算出された姿勢変更角加速度ベクトル〈αm〉に基づいて、人工衛星の角度、角速度、角加速度プロファイルを生成する。このようにして生成された人工衛星の角度、角速度、角加速度プロファイルは、夫々図7(a)乃至(c)に示すようになる。
【0035】
【数3】
【0036】
次に、図6のステップS23に示すように、目標オイラーパラメータ逐次算出器33が、設定された姿勢変更時間tmと姿勢変更開始から経過した時間tとを比較し、t<tm/2ならばステップS24へ進み、t≧tm/2ならばステップS25へ進む。ステップS24においては、サンプリング時間間隔dt、姿勢変更角加速度αm及び前回サンプリング時に導出した姿勢変更角速度ωs(i−1)に基づいて、下記数式4及び5により、サンプリング時間内に変化すべき微少姿勢変更角度δθ、及び次回のサンプリング時に使用する姿勢変更角速度ωs(i)を算出する。その後、ステップS28に進む。
【0037】
【数4】
【0038】
【数5】
【0039】
一方、ステップS25においては、設定された姿勢変更時間tmと姿勢変更開始から経過した時間tとを比較し、t<tmならばステップS26へ進み、t≧tmならばステップS27へ進む。ステップS26においては、下記数式6及び7に基づいて、サンプリング時間dt、姿勢変更角加速度αm及び前回サンプリング時に導出した姿勢変更角速度ωs(i−1)から、サンプリング時間に変化すべき微少姿勢変更角度δθ、及び次回のサンプリング時に使用する姿勢変更角速度ωs(i)を算出する。その後、ステップS28に進む。
【0040】
【数6】
【0041】
【数7】
【0042】
また、ステップS27においては、微少姿勢変更角度δθ及び姿勢変更角速度ωs(i)を0とした上で、サンプリング周期ごとの目標姿勢を示すオイラーパラメータベクトル〈qrot〉を、下記数式8のように一定値として設定し、姿勢誤差算出部34に対して出力する。なお、下記数式8は、ベクトルの転置表現を使用して表記している。その後、ステップS30に進む。
【0043】
【数8】
【0044】
図6に示すステップS28においては、目標オイラーパラメータ逐次算出部33が、オイラー軸ベクトル〈n〉を下記数式9のように定義した上で、下記数式10により、サンプリング周期ごとの目標姿勢を示すオイラーパラメータベクトル〈qrot〉を算出し、姿勢誤差算出部34に対して出力する。その後、ステップS30に進む。
【0045】
【数9】
【0046】
【数10】
【0047】
一方、前述のステップS21乃至S28に示す処理とは別に、ステップS29において、現在姿勢オイラーパラメータ算出部32が、入力された姿勢角速度決定信号16に基づいて、人工衛星の現在姿勢を示すオイラーパラメータを更新する。以下、このオイラーパラメータの更新方法について説明する。人工衛星に対して固定したXYZ直交座標系(衛星座標系)において、X軸回りの衛星角速度をω1、Y軸回りの衛星角速度をω2、Z軸回りの衛星角速度をω3とする。即ち、人工衛星姿勢ダイナミクス11の姿勢角速度ベクトル〈ω〉は、ベクトルの転置表現を使用して、下記数式11のように表記できる。
【0048】
【数11】
【0049】
また、オイラー軸ベクトル〈n〉及びオイラーパラメータベクトル〈q〉を夫々下記数式12及び13のように表記すると、オイラーパラメータベクトル〈q〉の成分q1、q2、q3、q4は、下記数式14乃至17のようになり、更に、下記数式18が成立する。
【0050】
【数12】
【0051】
【数13】
【0052】
【数14】
【0053】
【数15】
【0054】
【数16】
【0055】
【数17】
【0056】
【数18】
【0057】
更に、オイラーパラメータベクトル〈q〉の微分値は、下記数式19により与えられ、この数式19を近似的に離散化した下記数式20により、オイラーパラメータベクトル〈q〉を更新する。なお、下記数式20において、ΔTは姿勢角速度のサンプリング時間間隔、〈q(i−1)〉は1回前のサンプリング時のオイラーパラメータベクトル、〈q(i)〉は今回のオイラーパラメータベクトル、〈ω(i)〉は今回検出した姿勢角速度ベクトルを示す。なお、姿勢変更開始時のオイラーパラメータベクトル〈q(0)〉は、姿勢角決定信号15により求める。オイラーパラメータベクトル〈q(i)〉を求めた後、ステップS30へ進む。
【0058】
【数19】
【0059】
【数20】
【0060】
次に、ステップS30に示すように、姿勢誤差算出部34(図2参照)が、前述のステップS21乃至S28において求めたサンプリング周期ごとの目標姿勢を示すオイラーパラメータベクトル〈qrot〉と、前述のステップS29において求めた現在の人工衛星の実際の姿勢角を示すオイラーパラメータベクトル〈q〉との間の誤差ベクトル〈qe〉を、下記数式21に基づいて算出し、3軸制御用姿勢誤差ベクトル導出部35(図2参照)に対して出力する。
【0061】
【数21】
【0062】
次に、ステップS31に示すように、3軸制御用姿勢誤差ベクトル導出部35が、オイラーパラメータの誤差ベクトル〈qe〉から、3軸の姿勢誤差ベクトル〈θe〉を導出する。このとき、誤差ベクトル〈qe〉はオイラーパラメータベクトル〈q〉と比較して微小であるため、下記数式22に示す近似式を使用して、姿勢誤差ベクトル〈θe〉を求めることができる。
【0063】
【数22】
【0064】
そして、3軸制御用姿勢誤差ベクトル導出部35は、上記数式22により求めた姿勢誤差ベクトル〈θe〉及び姿勢角速度決定信号16を含む姿勢変更制御指令信号18を生成し、RW制御則演算部5及びCMG制御則演算部6(図1参照)に対して出力する。これにより、図5に示すステップS5が終了する。
【0065】
次に、図5のステップS6に示すように、RW制御則演算部5(図1参照)が、RWシステム9に発生させる制御トルクを、姿勢変更制御指令信号18により入力された姿勢誤差ベクトル〈θe〉と姿勢角速度決定信号16とから、例えば比例(P)・積分(I)・微分(D)制御(PID制御)等の制御ロジックにより算出する。そして、この算出した制御トルクに基づいてRW駆動指令信号19を生成し、RW駆動回路7に対して出力する。そして、ステップS7に示すように、RW駆動回路7が、RW駆動信号21を生成し、RWシステム9に対して出力する。これにより、ステップS8に示すように、RWシステム9が駆動して制御トルクを発生し、この制御トルクを人工衛星姿勢ダイナミクス11に印加する。この結果、人工衛星の姿勢を制御する。
【0066】
このとき、4台のリアクションホイールが衛星座標系に図3に示すように配置されている場合、RWシステム9全体の角運動量ベクトル〈hRW〉は下記数式23によって与えられる。
【0067】
【数23】
【0068】
このため、RWシステム9によって発生する制御トルクベクトルは、上記数式23を時間微分した下記数式24によって与えられる。
【0069】
【数24】
【0070】
上記数式24に示すように、4台のリアクションホイールr1乃至r4の角運動量ベクトル〈hr1〉乃至〈hr4〉の大きさを制御することにより、人工衛星の3軸制御を行うことができる。従って、RWシステム9は、それだけでも人工衛星の3軸制御を実施することが可能である。
【0071】
一方、図5のステップS9に示すように、CMG制御則演算部6が、CMGシステム10に発生させる制御トルクを、姿勢変更制御指令信号18により入力された姿勢誤差ベクトル〈θe〉と姿勢角速度決定信号16とから、例えば比例(P)・積分(I)・微分(D)制御(PID制御)等の制御ロジックにより算出する。そして、この算出された制御トルクに基づいてCMG駆動指令信号20を生成し、CMG駆動回路8に対して出力する。そして、ステップS10に示すように、CMG駆動回路8が、CMG駆動信号22を生成し、CMGシステム10に対して出力する。これにより、ステップS11に示すように、CMGシステム10が駆動して制御トルクを発生し、この制御トルクを人工衛星姿勢ダイナミクス11に印加する。この結果、ステップS12に示すように、人工衛星の姿勢が変更される。
【0072】
このとき、CMG51及びCMG54の角運動量ベクトル〈h51〉及び〈h52〉は、夫々下記数式25及び26により表される。従って、CMGシステム10全体の角運動量ベクトル〈hCMG〉は、下記数式27により与えられる。
【0073】
【数25】
【0074】
【数26】
【0075】
【数27】
【0076】
従って、CMGシステム10によって発生する制御トルクベクトルは、上記数式27を時間微分した下記数式28によって記述される。
【0077】
【数28】
【0078】
上記数式28より、CMGシステム10が図4に示すように2台のコントロールモーメントジャイロを備える場合、各コントロールモーメントジャイロのジンバル角δ1及びδ2、並びに各CMGが持つ角運動量h1及びh2を変化させることにより、3軸方向に制御トルクを発生することが可能となる。
【0079】
姿勢変更動作の初期状態において、例えば、CMGシステム10のロータ52の角運動量ベクトル〈h1〉の方向を+Y方向とし、ロータ55の角運動量ベクトル〈h2〉の方向を−Y方向とし、ベクトル〈h1〉及び〈h2〉の大きさを相互に等しくする。そして、この状態から、ロータ52及び55の回転軸を、夫々ジンバル軸53及び55回りに、相互に等しいジンバル角速度で同じ方向に一定の角度まで回転させる。このとき、CMG51が発生する制御トルクと、CMG54が発生する制御トルクとが相殺され、CMGシステム10全体としては制御トルクを発生しない。そして、ジンバル角が一定角度になったところで、ロータ52及び55の回転軸を、夫々ジンバル軸53及び55回りに、相互に等しい回転速度で反対の方向に回転させる。これにより、衛星座標系において、制御トルクの方向を一定としたまま、大きさのみを変化させることができる。また、同じ方向の制御トルクを継続的に発生させることができる。
【0080】
このように、本実施形態においては、RWシステム9が3軸方向について制御トルクを発生できるため、人工衛星の姿勢角を3軸の全ての方向について高精度に制御することができる。そして、CMGシステム10が3軸方向について制御トルクを、方向を一定としたまま任意の大きさで継続的に発生できるため、人工衛星の姿勢角を3軸の全ての方向について高速に制御することができる。即ち、本実施形態に係る姿勢変更制御装置は、人工衛星の姿勢角を3軸の全ての方向について高速且つ高精度に制御することができる。
【0081】
また、本実施形態の姿勢変更制御装置においては、リアクションホイール(RW)が4台設けられているため、仮に1台が故障しても、残りの3台で3軸を制御することができる。
【0082】
なお、CMGシステム10が3台以上のコントロールモーメントジャイロによって構成される場合でも、2台の場合と同様に、3軸方向の制御トルクを記述することができる。CMGシステム10に搭載するコントロールモーメントジャイロの個数を増やせば、発生させる制御トルクを増加することができる。但し、コントロールモーメントジャイロは人工衛星全体の質量を特に増大させるため、実際には、CMGシステム10に要求される制御トルクの大きさと許容される人工衛星全体の質量との関係から、搭載するコントロールモーメントジャイロの個数を決定する必要がある。
【0083】
また、図4に示す角度βを0°とし、ジンバル軸をZ軸と平行に設定すれば、上記数式28より、CMGシステム10はX軸回り及びY軸回りの制御トルクのみを発生できる。例えば、天体望遠鏡のプラットフォームとなる人工衛星等、高速に姿勢を変更する軸は1軸又は2軸のみでいい人工衛星については、角度βを0°とすることができる。更に、本実施形態に係る姿勢変更制御装置は、人工衛星以外に、ロケット又は航空機等にも搭載することができる。
【0084】
なお、CMGの代わりにガスジェットスラスタを使用する方法も考えられるが、ガスジェットスラスタは非線形出力、即ち、ON−OFF制御であるのに対し、CMGはその組み合わせにより任意の方向に線形的な制御トルク出力を得ることができる。このため、CMGを使用することにより、高精度な制御が可能となる。
【0085】
次に、本第1の実施形態の変形例について説明する。図8は本変形例におけるリアクションホイールを示す斜視図である。本変形例に係る姿勢変更制御装置においては、3台のリアクションホイールr5乃至r7が設けられている。各リアクションホイールr5乃至r7が発生する角運動量ベクトル〈hr5〉、〈hr6〉及び〈hr7〉の方向は、夫々X方向、Y方向及びZ方向となっている。このとき、RWシステム9が発生する合計の制御トルクベクトルは、下記数式29により与えられる。本変形例における上記以外の構成及び動作は、前述の第1の実施形態と同様である。
【0086】
【数29】
【0087】
本変形例の姿勢変更制御装置は、前述の第1の実施形態と比較して、リアクションホイールの数が3台と少ないため、より軽量である。但し、リアクションホイールの冗長性を無くしているため、1台のリアクションホイールが故障すると、RWシステムでは姿勢角を制御できない軸が発生してしまう。
【0088】
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。図9は本実施形態に係る姿勢変更制御装置を示すブロック図であり、図10は図9に示す姿勢変更駆動指令生成部25を示すブロック図である。図9に示すように、本実施形態に係る姿勢変更制御装置26は、前述の第1の実施形態に係る姿勢変更制御装置24(図1参照)と比較して、姿勢変更プロファイル演算部4、RW制御則演算部5及びCMG制御則演算部6の替わりに、姿勢変更駆動指令生成部25が設けられている。姿勢変更駆動指令生成部25は、現在の人工衛星の姿勢角を示す姿勢角決定信号15、現在の人工衛星の姿勢角速度を示す姿勢角速度決定信号16、目標姿勢角を示す目標姿勢角テレメトリデータ17が入力され、フィードバック的な制御に基づいて、RW駆動指令信号19及びCMG駆動指令信号20を出力するものである。本実施形態の姿勢変更制御装置26における上記以外の構成は、前述の第1の実施形態に係る姿勢変更制御装置24と同様である。
【0089】
また、図10に示すように、姿勢変更駆動指令生成部25においては、目標姿勢オイラーパラメータ設定部40、現在姿勢オイラーパラメータ算出部41、姿勢誤差オイラーパラメータ導出部42、制御誤差算出部43、制御トルク算出部44及び3軸制御トルク生成部45が設けられている。
【0090】
目標姿勢オイラーパラメータ設定部40は、目標姿勢角テレメトリデータ17が入力されるようになっており、この目標姿勢角テレメトリデータ17に基づいて、姿勢変更を1軸(オイラー軸)回りの回転とみなしたときの姿勢変更回転軸ベクトル(オイラー軸ベクトル)〈n〉及びこの1軸の姿勢変更回転軸周りの姿勢変更角度θmを算出し、姿勢変更時間tm及び目標姿勢のオイラーパラメータベクトル〈qr〉を設定して、姿勢誤差オイラーパラメータ導出部42に対して出力するものである。現在姿勢オイラーパラメータ算出部41は、姿勢角決定信号15及び姿勢角速度決定信号16が入力されるようになっており、この姿勢角速度決定信号16に基づいて、現在姿勢を示すオイラーパラメータベクトル〈q〉を更新し、姿勢誤差オイラーパラメータ導出部42に対して出力するものである。
【0091】
姿勢誤差オイラーパラメータ導出部42は、現在姿勢を示すオイラーパラメータベクトル〈q〉と目標姿勢を示すオイラーパラメータベクトル〈qr〉との差である姿勢誤差を示すオイラーパラメータベクトル〈qe〉を算出し、制御誤差算出部43に対して出力するものである。制御誤差算出部43は、この姿勢誤差オイラーパラメータベクトル〈qe〉に基づいて、次のサンプリング間隔に実行する姿勢変更の回転軸ベクトル〈ne〉及びこの回転軸回りの回転角である姿勢誤差角Φeを算出し、その結果を制御トルク算出部44に対して出力するものである。制御トルク算出部44は、姿勢誤差角Φe及び姿勢角速度決定信号16に基づいて、アクチュエータに発生させるべき制御トルクτを導出し、3軸制御トルク生成部45に対して出力するものである。そして、3軸制御トルク生成部45は、制御トルクτを3次元ベクトル〈τe〉に変換し、RWとCMGとに発生させる制御トルクを分配して、RW駆動指令信号19及びCMG駆動指令信号20を生成し、夫々RW駆動回路7及びCMG駆動回路8に対して出力するものである。
【0092】
次に、本実施形態に係る姿勢変更制御装置26の動作、即ち、本実施形態に係る姿勢変更制御方法について説明する。図11は本実施形態に係る姿勢変更制御方法を示すフローチャート図であり、図12は図11に示すステップS13を詳細に示すブロック図である。図11に示すステップS1乃至S4は、図5に示すステップS1乃至S4と同じである。図11に示すように、ステップS1乃至S4を終了した後、ステップS13を実施する。図11に示すステップS13は、図12に示すステップS41乃至S46から構成されている。
【0093】
図12のステップS41に示すように、目標姿勢オイラーパラメータ設定部40に目標姿勢角テレメトリデータ17が入力される。そして、目標姿勢オイラーパラメータ設定部40がこの目標姿勢角テレメトリデータ17に基づいて、姿勢変更を1軸(オイラー軸)回りの回転とみなして、姿勢変更回転軸ベクトル(オイラー軸ベクトル)〈n〉及びこの姿勢変更回転軸回りの姿勢変更角度θmを算出する。そして、この姿勢変更回転軸ベクトル〈n〉及び姿勢変更角度θmから導出される目標姿勢のオイラーパラメータベクトル〈qr〉及び姿勢変更時間tmを設定し、姿勢誤差オイラーパラメータ導出部42に対して出力する。なお、目標姿勢のオイラーパラメータベクトル〈qr〉は、下記数式30のように表される。
【0094】
【数30】
【0095】
一方、ステップS42に示すように、現在姿勢オイラーパラメータ算出部41に姿勢角決定信号15及び姿勢角速度決定信号16が入力される。そして、現在姿勢オイラーパラメータ算出部41が、姿勢角速度決定信号16に基づいて、姿勢角速度ベクトル〈ω〉より現在姿勢を示すオイラーパラメータベクトル〈q〉を、前記数式20により更新し、姿勢誤差オイラーパラメータ導出部42に対して出力する。
【0096】
次に、ステップS43に示すように、姿勢誤差オイラーパラメータ導出部42が、現在姿勢を示すオイラーパラメータベクトル〈q〉と目標姿勢を示すオイラーパラメータベクトル〈qr〉との誤差を示すオイラーパラメータベクトル〈qe〉を下記数式31により導出する。そして、この姿勢誤差を示すオイラーパラメータベクトル〈qe〉を制御誤差算出部43に対して出力する。
【0097】
【数31】
【0098】
次に、ステップS44に示すように、制御誤差算出部43が下記数式32及び33により、姿勢誤差オイラーパラメータベクトル〈qe〉から、次のダンプリング時間間隔に実行する姿勢変更の回転軸ベクトル〈ne〉及びこの回転軸回りの姿勢誤差角Φeを算出する。そして、その結果を制御トルク算出部44に対して出力する。
【0099】
【数32】
【0100】
【数33】
【0101】
次に、ステップS45に示すように、制御トルク算出部44が、例えば比例(P)・積分(I)・微分(D)制御(PID制御)等の制御ロジックにより、姿勢誤差角θe及び姿勢角速度決定信号16に基づいて、発生させるべき制御トルクτを導出する。そして、この制御トルクτを3軸制御トルク生成部45に対して出力する。
【0102】
次に、ステップS46に示すように、3軸制御トルク生成部45が、ステップS34において制御誤差算出器43が算出した回転軸ベクトル〈ne〉に基づいて、下記数式34により、ステップS35において導出した制御トルクτを3次元ベクトル〈τe〉に変換する。即ち、オイラー軸回りの回転とみなした姿勢変更を、衛星座標系の3軸の回転に再変換する。そして、この3次元制御トルクベクトル〈τe〉に基づいて、RWとCMGとに発生させる制御トルクを分配する。このとき、3軸制御トルク生成部45は、RW及びCMGが夫々出力できる制御トルクに基づいて、制御トルクの分配を行う。この分配結果に基づいて、3軸制御トルクを示すRW駆動指令信号19及びCMG駆動指令信号20を生成し、夫々RW駆動回路7及びCMG駆動回路8に対して出力する。これにより、図11に示すステップS13が終了する。
【0103】
次に、図11に示すステップS7及びS8並びにステップS10及びS11を実行する。図11に示すステップS7、S8、S10、S11は、前述の第1の実施形態において図5に示すステップS7、S8、S10、S11と同じである。これにより、ステップS12に示すように、人工衛星の姿勢が変更される。
【0104】
前述の第1の実施形態は、人工衛星の姿勢変更を衛星座標系の3軸の微小姿勢変更の総和とみなし、姿勢変更指令を衛星座標系の3軸の各成分に逐次分解しながら、RW及びCMGに対して全く同一の姿勢変更指令信号を入力することで、2種類のアクチュエータを協調させて姿勢変更を実施するものである。また、フィードフォワード的に制御を行うものである。
【0105】
これに対して、本実施形態は、姿勢変更指令を3次元空間上に任意に設定できるオイラー軸回りの1軸回転とみなし、逐次このオイラー軸回りの回転角と目標姿勢とを比較しながら制御トルクを決定し、この制御トルクをRWに発生させる制御トルクとCMGに発生させる制御トルクとに分配し、夫々を駆動するものである。また、フィードバック的に制御を行うものである。
【0106】
前述の第1の実施形態と本実施形態とを比較すると、第1の実施形態においては、3軸の微小姿勢変更の総和とみなし、サンプリング時点毎に近似式を用いて姿勢変更を実施するため、数値計算の観点から言えば、姿勢変更を1軸回りの回転とみなす第2実施形態と比較して、誤差が積算される可能性が高くなる。しかしながら、RW及びCMGは、本来衛星座標系の3軸に対して制御トルクを発生させることを想定して人工衛星本体に設置されるため、制御はしやすくなる。即ち、第1の実施形態は、制御ロジックは複雑になるがアクチュエータの制御は容易である。これに対して、第2の実施形態は、実際にアクチュエータを制御するためには3軸の各軸についてアクチュエータ毎に制御トルクを分配する等のプロセスが必要となるが、制御ロジックは単純になる。本実施形態における上記以外の効果は、前述の第1の実施形態と同様である。
【0107】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明によれば、飛翔体の姿勢変更制御装置において、回転軸の方向が相互に異なる3台以上のリアクションホイールを設けることにより高精度な3軸姿勢制御が可能となり、2台以上のコントロールモーメントジャイロを設けることにより、大きな制御トルクが発生可能となり高速な制御を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る人工衛星の姿勢変更制御装置を示すブロック図である。
【図2】図1に示す姿勢変更プロファイル演算部4の構成を示すブロック図である。
【図3】この姿勢変更制御装置におけるRWシステム9を示す斜視図である。
【図4】この姿勢変更制御装置におけるCMGシステム10を示す斜視図である。
【図5】本実施形態に係る姿勢変更制御方法を示すフローチャート図である。
【図6】図5に示すステップS5を詳細に示すフローチャートである。
【図7】(a)は横軸に時間をとり縦軸に飛翔体の姿勢角をとって、飛翔体の姿勢角の変化を示すグラフ図であり、(b)は横軸に時間をとり縦軸に飛翔体の姿勢角速度をとって、飛翔体の姿勢角速度の変化を示すグラフ図であり、(c)は横軸に時間をとり縦軸に飛翔体の姿勢角加速度をとって飛翔体の姿勢角加速度の変化を示すグラフ図である。
【図8】本実施形態の変形例におけるリアクションホイールを示す斜視図である。
【図9】本発明の第2の実施形態に係る姿勢変更制御装置を示すブロック図である。
【図10】図9に示す姿勢変更駆動指令生成部25を示すブロック図である。
【図11】本実施形態に係る姿勢変更制御方法を示すフローチャート図である。
【図12】図11に示すステップS13を詳細に示すブロック図である。
【図13】特許第1976960号に開示されている従来の人工衛星の三軸姿勢制御装置を示すブロック図である。
【図14】この従来の三軸姿勢制御装置を示す斜視図である。
【符号の説明】
1;姿勢角検出器
2;姿勢角速度検出器
3;姿勢角/姿勢角速度決定部
4;姿勢変更プロファイル演算部
5;RW制御則演算部
6;CMG制御則演算部
7;RW駆動回路
8;CMG駆動回路
9;RWシステム
10;CMGシステム
11;人工衛星姿勢ダイナミクス
12;目標姿勢生成部
13;姿勢角検出信号
14;姿勢角速度検出信号
15;姿勢角決定信号
16;姿勢角速度決定信号
17;目標姿勢角テレメトリデータ
18;姿勢変更制御指令信号
19;RW駆動指令信号
20;CMG駆動指令信号
21;RW駆動信号
22;CMG駆動信号
24;姿勢変更制御装置
25;姿勢変更駆動指令生成部
26;姿勢変更制御装置
30;目標姿勢設定部
31;最小時間プロファイル生成部
32;現在姿勢オイラーパラメータ算出部
33;目標オイラーパラメータ逐次算出部
34;姿勢誤差算出部
35;3軸制御用姿勢誤差ベクトル導出部
40;目標オイラーパラメータ設定部
41;現在姿勢オイラーパラメータ算出部
42;姿勢誤差オイラーパラメータ導出部
43;制御誤差算出部
44;制御トルク算出部
45;3軸制御トルク生成部
51、54;コントロールモーメントジャイロ(CMG)
52、55;ロータ
53、56;ジンバル軸
100;三軸姿勢制御装置
101;姿勢角センサ
102;姿勢決定回路
103;制御回路
104;ジンバルa駆動回路
105;ジンバルb駆動回路
106;MW駆動回路
107;ジンバルa
108;ジンバルb
109;モーメンタムホイール(MW)
110;人工衛星ダイナミクス
111、112、113;ロータ
a;ジンバルa107のジンバル回転角
b;ジンバルb108のジンバル回転角
r1乃至r7;リアクションホイール(RW)
tm;姿勢変更時間
α、β、γ;角度
δ1、δ2;ジンバル回転角
θm;姿勢変更角度
Φe;姿勢誤差角
τ;制御トルク
〈a’〉;ジンバルa107のジンバル回転角速度ベクトル
〈b’〉;ジンバルb108のジンバル回転角速度ベクトル
〈hr1〉乃至〈hr7〉、〈h1〉、〈h2〉、〈h111〉乃至〈h113〉;角運動量ベクトル
〈n〉;オイラー軸ベクトル
〈ne〉;回転軸ベクトル
〈qrot〉、〈qr〉;目標姿勢を示すオイラーパラメータベクトル
〈q〉;実際の姿勢角を示すオイラーパラメータベクトル
〈qe〉誤差ベクトル
〈Tx〉、〈Ty〉、〈Tz〉;制御トルクベクトル
〈αm〉;姿勢変更角加速度ベクトル
〈δ1’〉、〈δ2’〉;ジンバル回転角速度ベクトル
〈θe〉姿勢誤差ベクトル
〈τe〉;制御トルクτの3次元ベクトル
〈ω〉;姿勢角速度ベクトル
Claims (13)
- 飛翔体に搭載されこの飛翔体の姿勢変更を制御する飛翔体の姿勢変更制御装置において、回転軸の方向が相互に異なる3台以上のリアクションホイールと、2台以上のコントロールモーメントジャイロと、を有し、この2台以上のコントロールモーメントジャイロのうち、少なくとも2台のコントロールモーメントジャイロのジンバル回転軸の方向が相互に一致しており、この2台のコントロールモーメントジャイロは各ロータの回転軸を相互に反対の方向に回動させて駆動されることを特徴とする飛翔体の姿勢変更制御装置。
- 前記リアクションホイールの台数が4台以上であることを特徴とする請求項1に記載の飛翔体の姿勢変更制御装置。
- 前記飛翔体の現在の姿勢角及び姿勢角速度を検出する検出手段と、この検出手段の検出結果及び姿勢変更後の目標姿勢に基づいて、姿勢変更を行うために前記リアクションホイール及びコントロールモーメントジャイロに発生させるトルクを算出する算出手段と、この算出手段の算出結果に基づいて前記リアクションホイールの駆動を制御するリアクションホイール駆動制御手段と、前記算出結果に基づいて前記コントロールモーメントジャイロの駆動を制御するコントロールモーメントジャイロ駆動制御手段と、を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の飛翔体の姿勢変更制御装置。
- 前記検出手段が単位時間毎に前記姿勢角及び姿勢角速度を検出するものであり、前記算出手段が、前記姿勢変更後の目標姿勢に基づいて前記姿勢変更における姿勢変更回転軸及び前記飛翔体に対して設定された直交座標系の各軸回りの姿勢変更角度を算出すると共に姿勢変更時間を設定する目標姿勢設定部と、前記姿勢変更回転軸、姿勢変更角度及び姿勢変更時間に基づいて前記姿勢変更における角加速度を算出し、前記姿勢変更における姿勢角プロファイルを生成する最小時間プロファイル生成部と、前記姿勢角プロファイルに基づいて前記単位時間毎の目標姿勢を示す目標姿勢オイラーパラメータを算出する目標オイラーパラメータ逐次算出部と、前記単位時間毎に検出された姿勢角速度の検出結果に基づいて前記飛翔体の現在の姿勢を示す現在姿勢オイラーパラメータを算出する現在姿勢オイラーパラメータ算出部と、前記目標姿勢オイラーパラメータ及び現在姿勢オイラーパラメータに基づいて両者の差を示す姿勢誤差オイラーパラメータを算出する姿勢誤差算出部と、前記直交座標系における各軸回りの回転角を示す姿勢誤差ベクトルを前記姿勢誤差オイラーパラメータに基づいて算出する3軸制御用姿勢誤差ベクトル算出部と、前記姿勢誤差ベクトルに基づいて前記リアクションホイールに発生させるトルクを算出するリアクションホイール制御則演算部と、前記姿勢誤差ベクトルに基づいて前記コントロールモーメントジャイロに発生させるトルクを算出するコントロールモーメントジャイロ制御則演算部と、を有することを特徴とする請求項3に記載の飛翔体の姿勢変更制御装置。
- 前記検出手段が単位時間毎に前記姿勢角及び姿勢角速度を検出するものであり、前記算出手段が、前記姿勢変更後の目標姿勢に基づいて前記姿勢変更における姿勢変更回転軸及びこの姿勢変更回転軸回りの姿勢変更角度を算出し姿勢変更時間及び目標姿勢オイラーパラメータを設定する目標姿勢オイラーパラメータ設定部と、前記単位時間毎に検出された姿勢角速度の検出結果に基づいて前記飛翔体の現在の姿勢を示す現在姿勢オイラーパラメータを算出する現在姿勢オイラーパラメータ算出部と、前記目標姿勢オイラーパラメータ及び現在姿勢オイラーパラメータに基づいて両者の差を示す姿勢誤差オイラーパラメータを算出する姿勢誤差算出部と、前記姿勢誤差オイラーパラメータに基づいて次の前記単位時間に実行する姿勢変更の回転軸及びこの回転軸回りの回転角である姿勢誤差角を算出する姿勢誤差算出部と、前記姿勢誤差角に基づいて前記姿勢変更に要するトルクを算出する制御トルク算出部と、前記算出されたトルクを前記飛翔体に対して設定された直交座標系における3軸ベクトルに変換して前記リアクションホイールに発生させるトルク及び前記コントロールモーメントジャイロに発生させるトルクを算出する3軸制御トルク生成部と、を有することを特徴とする請求項3に記載の飛翔体の姿勢変更制御装置。
- 前記飛翔体が人工衛星であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の飛翔体の姿勢変更制御装置。
- 回転軸の方向が相互に異なる3台以上のリアクションホイールを夫々駆動させ、ジンバル回転軸の方向が相互に一致している2台以上のコントロールモーメントジャイロを各ロータの回転軸を相互に反対の方向に回動させることにより、トルクを発生させる工程を有することを特徴とする飛翔体の姿勢変更制御方法。
- 前記トルクを発生させる工程は、前記コントロールモーメントジャイロを駆動させる工程と、前記リアクションホイールを駆動させる工程と、を有することを特徴とする請求項7に記載の飛翔体の姿勢変更制御方法。
- 前記トルクを発生させる工程は、前記コントロールモーメントジャイロ及びリアクションホイールの双方を同時に駆動させる工程を有することを特徴とする請求項7に記載の飛翔体の姿勢変更制御方法。
- 前記飛翔体の現在の姿勢角及び姿勢角速度を検出する検出工程と、前記検出された姿勢角及び姿勢角速度並びに姿勢変更後の目標姿勢に基づいて、姿勢変更を行うために前記リアクションホイール及びコントロールモーメントジャイロに発生させるトルクを算出する算出工程と、を有し、前記トルクを発生させる工程において、前記コントロールモーメントジャイロ及びリアクションホイールを、前記算出されたトルクに基づいて制御することを特徴とする請求項7乃至9のいずれか1項に記載の飛翔体の姿勢変更制御方法。
- 前記算出工程が、前記姿勢変更後の目標姿勢に基づいて前記姿勢変更における姿勢変更回転軸及び前記飛翔体に対して設定された直交座標系の各軸回りの姿勢変更角度を算出すると共に姿勢変更時間を設定する工程と、前記姿勢変更回転軸、姿勢変更角度及び姿勢変更時間に基づいて前記姿勢変更における角加速度を算出し、前記姿勢変更における姿勢角プロファイルを生成する工程と、前記姿勢角プロファイルに基づいて目標姿勢を示す目標姿勢オイラーパラメータを算出する工程と、前記姿勢角速度の検出結果に基づいて前記飛翔体の現在の姿勢を示す現在姿勢オイラーパラメータを算出する工程と、前記目標姿勢オイラーパラメータ及び現在姿勢オイラーパラメータに基づいて両者の差を示す姿勢誤差オイラーパラメータを算出する工程と、前記姿勢誤差オイラーパラメータに基づいて前記直交座標系における各軸回りの回転角を示す姿勢誤差ベクトルを算出する工程と、前記姿勢誤差ベクトルに基づいて前記リアクションホイールに発生させるトルクを算出する工程と、前記姿勢誤差ベクトルに基づいて前記コントロールモーメントジャイロに発生させるトルクを算出する工程と、を有することを特徴とする請求項10に記載の飛翔体の姿勢変更制御方法。
- 前記算出工程が、前記姿勢変更後の目標姿勢に基づいて前記姿勢変更における姿勢変更回転軸及びこの姿勢変更回転軸回りの姿勢変更角度を算出し姿勢変更時間及び目標姿勢を示す目標姿勢オイラーパラメータを設定する工程と、前記姿勢角速度の検出結果に基づいて前記飛翔体の現在の姿勢を示す現在姿勢オイラーパラメータを算出する工程と、前記目標姿勢オイラーパラメータ及び現在姿勢オイラーパラメータに基づいて両者の差を示す姿勢誤差オイラーパラメータを算出する工程と、前記姿勢誤差オイラーパラメータに基づいて姿勢変更の回転軸及びこの回転軸回りの回転角である姿勢誤差角を算出する工程と、前記姿勢誤差角に基づいて前記姿勢変更に要するトルクを算出する工程と、前記算出されたトルクを前記飛翔体に対して設定された直交座標系における3軸ベクトルに変換して前記リアクションホイールに発生させるトルク及び前記コントロールモーメントジャイロに発生させるトルクを算出する工程と、を有することを特徴とする請求項10に記載の飛翔体の姿勢変更制御方法。
- 前記飛翔体が人工衛星であることを特徴とする請求項7乃至12のいずれか1項に記載の飛翔体の姿勢変更制御方法。
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